(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】光プローブ及び光プローブ用先端ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240329BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61B1/00 R
A61B1/00 732
A61B1/00 717
A61B1/00 714
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2019179888
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519353617
【氏名又は名称】日逓テクノ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】山村 哲
(72)【発明者】
【氏名】脇田 徹
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153951(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157416(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/146652(WO,A1)
【文献】特表平08-507871(JP,A)
【文献】米国特許第05423312(US,A)
【文献】特開2016-209058(JP,A)
【文献】国際公開第2016/182463(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/147556(WO,A1)
【文献】米国特許第06141098(US,A)
【文献】特開2006-343402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性を有する先端ユニット、及び、コードユニットを備える光プローブであって、
前記先端ユニットは、
耐熱性のある第一の
光ファイバーと、
耐熱性のある第二の
光ファイバーと、
前記第一の
光ファイバー及び前記第二の
光ファイバーのそれぞれの端部を固定する耐熱性ファイバー固定部材と、
前記耐熱性ファイバー固定部材、前記第一の
光ファイバー、及び、前記第二の
光ファイバーを収容する耐熱性筒部材と、
前記耐熱性筒部材の一方の端部に形成される先端ユニット側コネクタを備えており、
前記コードユニットは、
照射用光ファイバーと、
受光用光ファイバーと、
電気信号を通すための導線と、
前記照射用光ファイバー、前記受光用光ファイバー、及び、前記導線を覆う外鎧と、
前記先端ユニットの前記先端ユニット側コネクタとの接続を行うコードユニット先端側コネクタと、を備えており、
前記先端ユニットと前記コードユニットは着脱可能である光プローブ。
【請求項2】
前記先端ユニットにおける前記耐熱性ファイバー固定部材の一方には、通電用導線が固定されている請求項1記載の光プローブ。
【請求項3】
耐熱性のある第一の
光ファイバーと、
耐熱性のある第二の
光ファイバーと、
前記第一の
光ファイバー及び前記第二の
光ファイバーのそれぞれの端部を固定する耐熱性ファイバー固定部材と、
前記耐熱性ファイバー固定部材、前記第一の
光ファイバー、及び、前記第二の
光ファイバーを収容する耐熱性筒部材と、
前記耐熱性筒部材の一方の端部に形成される先端ユニット側コネクタを備えている
耐熱性を備えた光プローブ用先端ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プローブ及び光プローブ用の先端ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光プローブは、入力された光を先端側まで所定距離導くことができる一方、先端側からも光の入力を受けることができ、この光を後端側に導くことができる器具であって、例えば腹腔鏡手術において用いることができる装置である。例えば腹腔鏡で用いる場合、具体的には、体内にこの光プローブの先端部分を挿入し、体内の状態を確認することができるもの。腹腔鏡手術は、メスで開腹する開腹手術とは異なり低侵襲であって、近年その重要性及びそのニーズが非常に高まっている。
【0003】
上記光プローブに関する技術としては、例えば下記特許文献1に、腹腔鏡診断装置に関する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、外科手術において患者の血液等に触れた手術器具や装置は、手術の度に洗浄・殺菌・滅菌等の処理(以下「滅菌等処理」という。)が必須となっており、光プローブにおいても例外ではない。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような腹腔鏡では、滅菌等処理において非常に手間がかかるといった問題がある。具体的に説明すると、従前の腹腔鏡においては、制御装置の接続部分から先端部分まで一体で形成されており、その全体は非常に長く、そのため一般的な装置(例えばオートクレーブ等)では収納しきれず、滅菌等処理の手間が大きい。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より滅菌等処理がしやすい光プローブ及びそれに用いられる先端ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る光プローブは、耐熱性かつ防水性を有する先端ユニット、及び、コードユニットを備えた光プローブであって、先端ユニットとコードユニットは、着脱可能となっている。
【0009】
また、本発明の他の一観点に係る光プローブ用先端ユニットは、第一のファイバーと、第二のファイバーと、第一のファイバー及び第二のファイバーのそれぞれの端部を固定する耐熱性ファイバー固定部材と、ファイバー固定部材、第一のファイバー、及び、第二のファイバーを収容する耐熱性筒部材と、耐熱性筒部材の一方の端部に形成される先端ユニット側コネクタを備えており、耐熱性かつ防水性を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によって、より滅菌等処理がしやすい光プローブ及びそれに用いられる先端ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態に係る腹腔鏡装置における制御装置の機能ブロックを示す図である。
【
図3】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの概略断面図である。
【
図4】実施形態に係る光プローブのコードユニットの概略断面図である。
【
図5】実施形態に係る光プローブのコードユニットの後端側(制御装置接続側)の正面概略図である。
【
図6】実施形態に係る光プローブのコードユニットの先端側(先端ユニット接続側)の正面概略図である。
【
図7】実施形態に係る光プローブのコードユニットの後端側(制御装置接続側)の他の例の正面概略図である。
【
図8】実施形態に係る光プローブのコードユニットの先端側(先端ユニット接続側)の他の例の正面概略図である。
【
図9】実施形態に係る光プローブのコードユニットの他の一例の概略断面図である。
【
図10】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの概略斜視図である。
【
図11】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの先端側の概略正面図である。
【
図12】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの後端側の概略正面図である。
【
図13】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの先端側部の部分拡大図である。
【
図14】実施形態に係る光プローブの先端ユニットと組み合わされるキャップの概略図である。
【
図15】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの他の例の概略断面図である。
【
図16】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの先端側の他の例の概略正面図である。
【
図17】実施形態に係る光プローブの先端ユニットの後端側の他の例の概略正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に具体的に記載された例にのみ限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る光プローブ1を用いた腹腔鏡装置(以下「本装置」という。)Sの概略を示す図である。本装置Sは、耐熱性・防水性を備えた先端ユニット2とコードユニット3を有する光プローブ1と、これに接続される制御装置Cを備えている。なお、本図の例では、先端ユニット2とコードユニット3、コードユニット3と制御装置Cはそれぞれ着脱可能である。
【0014】
光プローブ1は、制御装置Cに含まれる光源からの光を、コードユニット3を介して先端ユニット2に導き、光照射対象(例えば体内組織)側に出射し、逆に、体内組織から反射する光又は光照射対象(体内組織)において発せられた光(蛍光等)を先端ユニット2及びコードユニット3を通じて制御装置Cに送り、所定の処理を行うことで、体内の状態を光強度の情報として得ることができるものである。
【0015】
図2は、本装置Sの機能ブロックを示す図である。光プローブ1における制御装置Cは、光源C1を備えるとともに、受信した光に基づき所定の処理を行うための情報処理部C2を備える。情報処理部C2の具体的な構造は特に限定されるわけではないが、例えばいわゆるコンピュータを用いることができる。また、本制御装置Cでは、光源C1の他、光源C1からコードユニット3に光を導くための導光部材C3と、コードユニット3からの光を受光して電気信号に変換するための受光素子C4及びこの受光素子C4に光を導くための導光部材C5を有していることが好ましい。また、後述の記載のように、先端ユニット2及びコードユニット3には通電用導線4が収容されており、これが制御装置Cにおける通電確認部C6を介して情報処理装置C2の制御を受ける構成となっている。
【0016】
また、制御装置Cにおいて、用いる光源C1としては、所望の波長を発することができるものである限りにおいて特に限定されるわけではないが、LD、LED、ハロゲンランプ等を用いることができる。
【0017】
また、制御装置Cにおいて、用いる光の波長としては、限定されるわけではないが、例えば可視領域から近赤外領域の範囲における光を含んでいることが好ましく、具体的には700nm以上900nmの波長範囲の光を含んでいることが好ましく、より好ましくは750nm以上850nm、更に好ましくは780nm以上820nmである。一方、上記に加え、用いる光の波長には、可視領域の光も含ませておくことが好ましく、具体的には400nm以上800nm以下の波長範囲の光を含んでいることが好ましく、より好ましくは420nm以上700nm以下である。可視領域の光を含ませることで、体内に光を照射した際、手術者がその光が当たった部分を認識することが可能となる。また近赤外領域の波長領域の光を含ませることで、蛍光物質と組み合わせて所望の体内組織を特定することが可能となる。具体的には、被手術者の体内に予め蛍光物質を含む薬剤を投与し、これを所望の体内組織(例えばリンパ節)に集積させる一方、体内組織に上記光を当てて蛍光を発光させ、発光強度を確認することにより、発光強度の強い位置を所望の体内組織であると認識することができる。
【0018】
光プローブ1におけるコードユニット3は、上記の通り、制御装置Cの光源C1からの光を先端ユニット2に導くためのものである。
図3は、先端ユニット2の概略断面図であり、
図4は、コードユニット3の概略断面図である。
【0019】
これらの図で示すように、まず、コードユニット3は、照射用光ファイバー31と、受光用光ファイバー32、電気信号を通すための導線33、これらを覆う外鎧34、コードユニット3と制御装置Cを確実に接続させるためのコードユニット後端側コネクタ35、先端ユニット2との接続を確実に行うためのコードユニット先端側コネクタ36と、手術者が光照射等の操作を行うための操作スイッチ371を備える操作部37と、を備えている。また、コードユニット3の外鎧34の両端には、入射光ファイバー31、受光用光ファイバー32及び導線33を固定するためのファイバー固定部材38により固定されていることが好ましい。ファイバー固定部材38を設けることで、先端ユニット2とコードユニット3、コードユニット3と制御装置Cの間の接続及び光の送受信を確実に行わせることができるようになる。なお
図5に、コードユニット3の後端側(制御装置Cを接続する側)の正面の概略図を、
図6に、コードユニット3の先端側(先端ユニット2を接続する側)の正面の概略図をそれぞれ示しておく。なお
図5、
図6はいわゆるMTフェルールを用い、これを更に金属等の部材により固定した構造を示しているが、例えば
図7、
図8のように金属等の部材に光ファイバーを固定する孔を所定の間隔で直接形成したものとすることも可能である。また、規格品のフェルールを金属の穴に固定したものであってもよい。
【0020】
照射用光ファイバー31は、制御装置C側から入射される光を先端ユニット2側に導くためのものであり、受光用光ファイバー32は、逆に先端ユニット2側から入射される光を制御装置C側に導くためのものである。照射用光ファイバー31及び受光用光ファイバー32(これらを合わせた単に「光ファイバー」ともいう。)の構成については特に限定されず一般的な光ファイバーを採用することが可能である。より具体的には、コアと、このコアを覆うクラッド、更にこれらを被覆する被覆層を備えたものを採用することができる。
【0021】
また、照射用光ファイバー31と受光用光ファイバー32の本数はそれぞれ限定されない。照射用光ファイバー31の本数を増加させることで、より強い光を光照射対象に対して供給することができるようになり、受光用光ファイバー32の本数を増加させることで、より多くの光を受光して制御装置C側に供給することができる。上記の図では、例えば照射用光ファイバー31の本数を1本、受光用光ファイバー32の本数を7本とし、合計8本の光ファイバーとした場合の例を示しておく。
【0022】
導線33は、導電性を備え、制御装置Cとの間の電気信号を伝達するために用いることができるものである。より具体的には、先端ユニット2とコードユニット3がしっかりと接続されているか否かの確認を電気信号の有無によって確認する、更に具体的には着脱検地を行うことができるようにするためのものであるとともに、先端ユニット2とコードユニット3が接続されている状態において、スイッチ371を押した状態においてのみ光が先端ユニット2に供給できるようにするためのものである。導線33の構成としては、電気信号を伝達することができるものである限りにおいて限定されるわけではないが、電気の導通を確認するための電気回路(ループ)を形成する部分として、往復分となるよう偶数本、好ましくは少なくとも4本の導線を備えたものであることが好ましい。4本とする場合、コードユニット3における操作スイッチ31によるオンオフ動作に2本、先端ユニットの接続の有無について2本用い、これらの接続を確認することができるようになる。なお、2本の導線33とする場合は、
図9で示すように、先端ユニット2側から戻ってくる電気信号用の導線33をスイッチ371に接続させることとすればよい。
【0023】
外鎧34は、上記光ファイバー及び導線を収容するとともに、先端の方向を所望の方向に向けることができるよう柔軟性を備えている一方、外から力が加わったとしても光ファイバー及び導線を破断させないよう保護することができるものである。外鎧34の構成としては、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えばいわゆる金属コルゲートチューブであることが好ましい。
【0024】
コードユニット後端側コネクタ35は、上記の通り、コードユニット3と制御装置Cを確実に接続させるためのものであり、制御装置C側にもこの形状に対応するコネクタが備えられており、これらを嵌め合わせることで着脱可能となるとともに安定的に接続することができる。なお、コードユニット後端側コネクタ35には、照射用光ファイバー31、受光用光ファイバー32及び導線33を固定するための固定部材38が備えられており、照射用光ファイバー31等はこれに固定されている。これらを固定することで、より確実に光の送受信、電気信号の授受を行うことができるようになる。なお、コードユニット後端側コネクタ35の形状は、制御装置C側のコネクタと嵌め合わせることができる限りにおいて限定されず、様々な形状や構造(例えば挿入側、被挿入側を反対にした構造)を採用することができるのは言うまでもない。
【0025】
また、コードユニット先端側コネクタ36は、先端ユニット2との接続を確実に行うためのものであり、後に詳述するように、先端ユニット側コネクタと接続され、光及び電気信号の授受を可能とする。具体的には、照射用光ファイバー31、受光用ファイバー32及び導線33を固定しており、これと同様に固定された相手側と接続することで、光の授受及び電気信号の授受を可能とする。
【0026】
また、操作部37は、手術者が光照射等の操作を行うための操作スイッチ371を備えるものであり、手術者は操作部37を把持しつつ、必要な場合、操作スイッチ371を押すことで、照射用光ファイバー31から光を先端ユニット側に供給することが可能となる。より具体的に説明すると、操作スイッチ371には、上記導線33のうちの2本が接続されており、操作スイッチ371を押した場合、これら2本の導線を導通させて制御装置C側の光源に光を発するよう指示(電気信号)を送ることが可能となる。なお、
図9の例の場合は、先端ユニット2がしっかりと接続されていない場合、先端ユニット2とコードユニット3の間が断線しているため、スイッチ371を押したとしても動作しないようになっている一方、しっかりと接続されていれば回路が形成されるため、スイッチ371を押すことで照射用光ファイバー31から光を供給することができるようになる。
【0027】
また、本プローブ1は、上記の通り、先端ユニット2とコードユニット3は、それぞれに設けられるコネクタ(コードユニット3の先端側コネクタ36と先端ユニット2の後端側コネクタ)によって着脱可能となっている。これにより、コードユニット3と、先端ユニット2をそれぞれ別に取り扱うことが可能となり、市販の洗浄装置や滅菌装置等で対応可能な大きさとすることができ、十分な滅菌等処理が可能となる。なお、本光プローブ1では、これらが着脱可能となる一方で、分離及び再接続により生じうる接続不良を抑えるために各種の工夫が行われている。これらについて以下詳述していくこととする。
【0028】
ここで改めて、本光プローブ1における先端ユニット2について説明する。
図10は、本光プローブ1における先端ユニット2の概略斜視図であり、その概略断面図は上記
図3で示した通りである。また、
図11に、先端側(光照射対象側)の正面の概略図を、
図12に、後端側(コードユニット3と接続する側)の正面概略図を、
図13に、
図3の先端部分における一部拡大図をそれぞれ示しておく。
【0029】
これらの図で示すように、先端ユニット2は、第一のファイバー21と、第二のファイバー22と、第一のファイバー21及び第二のファイバー22のそれぞれの端部を固定する耐熱性ファイバー固定部材23と、耐熱性ファイバー固定部材23、第一のファイバー21、及び、第二のファイバー22を収容する耐熱性筒部材24と、耐熱性筒部材24の一方の端部に形成される先端ユニット側コネクタ25を備えている。
【0030】
先端ユニット2において、第一のファイバー21、第二のファイバー22は、一方が光照射用であり、他方が受光用である。先端ユニット2がコードユニット3から分離された場合、どちらが光照射用で、どちらが受光用であるのかを区別しにくい場合が生じうるおそれがあるため、「第一」、「第二」という表現にしているが、それ以外の技術的な意味は持たない。なお本実施形態では、第一のファイバー21を照射用の光ファイバー、第二の光ファイバー22を受光用の光ファイバーとして説明する。
【0031】
先端ユニット2において、第一の光ファイバー21は、上記の通り光照射用に用いられるファイバーである。第一の光ファイバー21の構成としては、いずれもが耐熱性を備えたものである限りにおいて特に限定されず、上記と同様、石英等を含む耐熱性コアに、これと屈折率の異なる耐熱性クラッドが形成され、更に、ポリイミドやパーフルオロポリエーテル等のフッ素樹脂等の耐熱性被覆材がコーティングされているものであることは好ましい一例である。また、第一の光ファイバー21の先端側及びコードユニット側の端部には、耐熱性フェルールが付されていることも好ましい。耐熱性フェルールを用いることで、光ファイバーを保護するとともに、接続においてはその確実な接続が可能となり、更にファイバー固定部材による固定が容易となる。ここで耐熱性フェルールとしては、限定されるわけではないが、ジルコニア、SUS、ガラス等で構成されていることが好ましい。
【0032】
また、第二の光ファイバー22も上記第一の光ファイバー21と同様の構成を採用することができる。ただし、第二の光ファイバー22は受光用であり、受光用である場合、複数本の光ファイバーにより構成されていることが好ましく、具体的には4本以上、好ましくは6本以上であることが好ましい。入射光は、予め体内に投与された蛍光物質に照射されることによって発生する蛍光に変化するが、光は様々な方向に広がる。そのため、多数の光ファイバーを組み合わせておくことで、より確実に受光することが可能となる。
【0033】
なお、第一の光ファイバー21及び第二の光ファイバー22(以下これらを合わせた点に「光ファイバー」ともいう。)の径は特に限定されるわけではないが、125μm以上700μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。この範囲に収めておくことで、挿入ユニット全体の径を十分に小さくすることができるようになる。
【0034】
また、第一の光ファイバー21、第二の光ファイバー22は、耐熱性である一方、熱による収縮によっても破損しないよう、常温(室温程度)において、長さに対して少し撓んだ状態で保持させておくことが好ましく、具体的には、先端ユニットにおける光ファイバーの端面間の直線距離1を1とした場合、実際の光ファイバーの長さ(端面間の距離)が0.01%以上1%以下の範囲長くなっていることが好ましい(例えば
図14参照)。このようにしておくことで、熱による膨張があり、光ファイバーの端面間の直線距離が変動したとしても、光ファイバーが破断してしまうおそれが低くなる。
【0035】
また、先端ユニット2における耐熱性ファイバー固定部材23は、上記第一の光ファイバー及び第二の光ファイバーを固定することができるものである。具体的には、第一の光ファイバー及び第二の光ファイバーを挿入するための孔が形成されている。なお、断面は円形状であって、その直径は5mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0036】
また、耐熱性ファイバー固定部材23は耐熱性であることが好ましいが、具体的にはSUS等の合金、ジルコニア等の金属酸化物、フッ素樹脂やPEEK等の耐熱性プラスチック等を例示することができる。これにより、殺菌時の高温処理にも耐えることが可能である。
【0037】
また、先端ユニット2における耐熱性筒部材24は、上記の通り、第一のファイバー21、第二のファイバー22、耐熱性ファイバー固定部材23を収容するものである。耐熱性筒部材24は、文字通り耐熱性の材料で構成されていることが好ましく、具体的にはSUS等の合金、ジルコニア等の合金、PEEKやフッ素樹脂などの耐熱性プラスチック等を例示することができる。これにより、殺菌時の高温処理にも耐えることが可能である。なお、耐熱性筒部材24は、先端ユニット2の長さを規定する部材であり、先端ユニット2の長さとしては、全体として50mm以上400mm以下であることが好ましい。この範囲とすることで市販のオートクレーブ等の装置に収容可能となる。また、耐熱性筒部材24の表面は平滑であることが好ましい。このようにすることで、筒部表面に体組織が残ってしまわないようにすることでより洗浄・滅菌等処理がしやすくなるといった利点がある。
【0038】
また、先端ユニット2における先端ユニット側コネクタ25は、上記の通り、耐熱性筒部材24の一方の端部に形成されるものであり、耐熱性を備えるとともに、コードユニット3側のコネクタに接続されるものである。
【0039】
また、先端ユニット側コネクタ25には、通電用導線26が固定されている。この通電用導線を設けることで、導通を確認することが可能となり、先端ユニット2側とコードユニット3側の接続の位置関係が正常であるということを確認することができるようになる。具体的には、先端ユニット側コネクタ25の二つの端子を接続する導線をそのまま接続する。これにより、コードユニット3の導線33と接続してループとなり、制御回路はループが形成されている場合は先端ユニットが接続されており、ループが形成されていない場合は電気信号が認識できないため、接続されていないと認識することができる。
【0040】
また、先端ユニット2の先端ユニット側コネクタ25にはコードユニットと分離された状態であって、オートクレーブ等による洗浄工程において、このコネクタ内部を保護するためのキャップ4を備えていることが好ましい。このキャップ4を備えることで、コネクタ内に水分等が入り込んでしまうことを防止できるといった利点がある。このキャップのイメージについて
図15に示しておく。またこの場合において、キャップと先端ユニット側コネクタ25の間にはゴム等で構成されるOリングを配置しておくことが好ましい。このようにすることで、密封性を確保することができる。もちろん、Oリングの配置についてはコネクタ側、キャップ側のいずれに配置されていてもよい。
【0041】
また、上記
図11、12の例では上記コードユニット3と同様、いわゆるMTフェルールを用いた例を示しているがこれに限定されず、例えば
図16、17で示すように、耐熱性ファイバー固定部材23に直接光ファイバーを固定するための孔を形成し、これに光ファイバーを固定するようにしてもよい。
【0042】
以上、本実施形態により、滅菌等処理が可能な光プローブを提供することができる。具体的に効果について説明すると、本光プローブは、手術において一体として用いた後、先端ユニットとそれ以外(コードユニット及び制御装置)に分けることが可能となる。コードユニット側は体内に挿入するものではないため、簡単な拭き取り洗浄などの処理によって処置が簡便に完了できる。一方、先端ユニット1は血液などの体組織に触れているため、念入りな洗浄及びオートクレーブによる熱殺菌が必要となる。しかしながら本先端ユニット1はコードユニット等と切り離されているため、比較的小さい大きさとなっており、市販される程度の大きさのオートクレーブに収容、処理が可能となる。特に、先端ユニットは全体が耐熱性で構成されているため、熱処理を行っても破損することがない。そして、十分に滅菌等処理を行った後、再びコードユニットと接続することで、一体化した光プローブとして使用が可能となる。更に、本先端ユニットでは、通電用導線を設けることで、コードユニットおよびコードユニットと確実に接続が行われているか否かを確認することが可能となり、接続不良を防ぐことも可能となるといった利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、光プローブ及びそれに用いられる先端ユニットとして産業上の利用可能性がある。