(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】箱開封装置及び箱開封方法
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20240329BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240329BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20240329BHJP
B26D 5/08 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B65B69/00 D
B25J13/08 A
B26D5/00 Z
B26D5/08 B
(21)【出願番号】P 2020018246
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 治
(72)【発明者】
【氏名】中村 亘孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎佑
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-212012(JP,A)
【文献】特開平10-203516(JP,A)
【文献】特開平03-029730(JP,A)
【文献】特開2000-072121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
B25J 13/08
B26D 5/00
B26D 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記位置制御データ生成部は、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値が閾値を超えるか否かを判定し、
前記第3座標値が閾値を超える場合、前記切断経路における前記第3座標値が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正する、ことを特徴とする箱開封装置。
【請求項2】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記位置制御データ生成部は、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値の変化率が閾値を超えるか否かを判定し、
前記変化率が閾値を超える場合、前記切断経路における前記変化率が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正する、ことを特徴とする箱開封装置。
【請求項3】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記制御部は、前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示し、
前記入力画面において、前記切断経路に沿って前記カッタを移動させるパスの順番と、パスごとの前記カッタの移動方向であるパス方向とのうち一方を、前記入力部から受け付け可能に構成されることを特徴とする箱開封装置。
【請求項4】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記箱は、直方体であり、前記一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、
前記制御部は、前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示し、
前記入力画面において、前記長辺と前記短辺とのうち少なくとも一方に対して前記パスをオフセットさせる方向であるオフセット方向と、前記オフセット方向にオフセットさせる前記パスのオフセット量とのうち一方を、前記入力部から受け付け可能に構成されることを特徴とする箱開封装置。
【請求項5】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記箱は直方体であり、前記一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、
前記位置制御データ生成部は、前記長方形の角に閾値を超える丸みがある場合、当該角を挟む2つの辺の延長線の交点を頂点とすることを特徴とする箱開封装置。
【請求項6】
箱を開封する箱開封装置であって、
カッタと、
前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と、
前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、
前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備え
、
前記箱は一対のフラップの境界にテープが貼られて梱包された直方体であり、前記一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、
前記位置制御データ生成部は、前記三次元データのうち前記一面を含む座標平面上で、前記一面の外形から幾何学的な関係を用いて、2つの前記短辺の中点を結ぶ直線を第1切断経路として求め、前記第1切断経路の二次元座標値に対して前記一面と交差する方向の第3座標値を前記三次元データに基づき付与することで、前記第1切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成し、前記短辺に沿う第2切断経路を、前記三次元データに基づき生成する、ことを特徴とする箱開封装置。
【請求項7】
前記位置制御データ生成部は、前記一面の外形線が前記長方形の前記短辺に対して外側へはみ出る部分のはみ出し量が閾値を超える場合、前記はみ出る部分の少なくとも一部を削除する補正を行い、補正後の外形線に基づいて前記第2切断経路の前記位置制御データを生成することを特徴とする請求項
6に記載の箱開封装置。
【請求項8】
箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記位置制御データ生成ステップにおいて、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値が閾値を超えるか否かを判定する判定ステップと、
前記第3座標値が閾値を超える場合、前記切断経路における前記第3座標値が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正する補正ステップとを備える、ことを特徴とする箱開封方法。
【請求項9】
箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記位置制御データ生成ステップにおいて、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値の変化率が閾値を超えるか否かを判定する判定ステップと、
前記変化率が閾値を超える場合、前記切断経路における前記変化率が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正する補正ステップとを備える、ことを特徴とする箱開封方法。
【請求項10】
箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示する表示ステップと、
前記入力画面において、前記切断経路に沿って前記カッタを移動させるパスの順番と、パスごとの前記カッタの移動方向であるパス方向とのうち一方を、前記入力部から受け付ける受付ステップとを備えることを特徴とする箱開封方法。
【請求項11】
直方体であり、一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示する表示ステップと、
前記入力画面において、前記長辺と前記短辺とのうち少なくとも一方に対して前記パスをオフセットさせる方向であるオフセット方向と、前記オフセット方向にオフセットさせる前記パスのオフセット量とのうち一方を、前記入力部から受け付ける受付ステップと、を備えることを特徴とする箱開封方法。
【請求項12】
直方体であり、一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記位置制御データ生成ステップにおいて、前記長方形の角に閾値を超える丸みがある場合、当該角を挟む2つの辺の延長線の交点を頂点とするステップを備えることを特徴とする箱開封方法。
【請求項13】
一対のフラップの境界にテープが貼られて梱包された直方体であり、一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する箱を開封する箱開封方法であって、
前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、
前記三次元データに基づいてカッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、
前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備え
、
前記位置制御データ生成ステップにおいて、前記三次元データのうち前記一面を含む座標平面上で、前記一面の外形から幾何学的な関係を用いて、2つの前記短辺の中点を結ぶ直線を第1切断経路として求め、前記第1切断経路の二次元座標値に対して前記一面と交差する方向の第3座標値を前記三次元データに基づき付与することで、前記第1切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成するステップと、
前記位置制御データ生成ステップにおいて、前記短辺に沿う第2切断経路を、前記三次元データに基づき生成するステップとを備える、ことを特徴とする箱開封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱を開封する箱開封装置及び箱開封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、箱の閉じたフラップの周縁に沿って貼られたテープを切断して箱を開封する箱開封装置が開示されている。特許文献1に記載された箱開封装置(箱開梱包装置)は、段ボール箱の開封されるべき一面(開封面)と側面との間に貼られた第1テープと、一面におけるフラップの衝合部に貼られた第2テープとをカッタで切断して箱を開梱する。
【0003】
特許文献1に記載された箱開封装置では、箱のフラップと側面の間に貼られた第1テープを切断するためのカッタが、箱が載置される載置台に対して固定されている。箱が載置台上で移動されたときにカッタが第1テープを切断する。また、この箱開封装置は、案内レールに沿って移動可能なカッタ保持部材を備え、カッタ保持部材が移動することにより、フラップの衝合部に貼られた第2テープが切断される。箱開封装置は、カッタが固定される高さ位置を調整する調整機能を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の箱開封装置では、箱の開封されるべき一面(開封面)が湾曲していると、カッタのテープに対する差込み深さが部分的に浅くなったり、カッタがテープから離れた箇所ができたりする。この場合、テープが部分的に切断されず、箱の開封不良が発生する。また、箱の一面が湾曲していると、カッタのテープに対する差込みが深すぎる箇所ができる場合がある。この場合、箱の内容物を傷付ける心配がある。このため、箱の開封されるべき一面が多少湾曲していても、テープの切断ミスに起因する箱の開封不良を低減できる箱開封装置が要望されている。なお、箱開封装置は、テープを切断して開封する構成に限定されず、テープと箱の一部又は箱の一部を切り落として箱を開封する場合、同様に、箱の一部が切断されず、開封不良となりうる。
【0006】
本発明の目的は、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる箱開封装置及び箱開封方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する箱開封装置は、箱を開封する箱開封装置であって、カッタと、前記カッタを前記箱に対して相対移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御部と、前記箱の一面からの反射光を正面から計測して当該一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測部と、を備え、前記制御部は、前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成部と、前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御部とを備える。なお、正面とは、真正面に限らず多少斜めに傾いた向きから箱の一面からの反射光を計測できる向きであればよい。
【0008】
この構成によれば、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記三次元データのうち前記一面を含む座標平面上で、前記一面の外形から幾何学的な関係を用いて切断経路を二次元座標値で求め、当該切断経路の前記二次元座標値に対して前記一面と交差する方向の第3座標値を前記三次元データに基づき付与することで、前記切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成してもよい。
【0009】
この構成によれば、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。また、三次元データを用いて三次元座標空間で幾何学的な演算を行う構成に比べ、位置制御データを簡単に生成できる。
【0010】
上記箱開封装置において、前記三次元計測部は、前記箱の一面を交差方向から撮像して得られる当該箱の前記一面の画像を含む画像データと、前記三次元データとを取得し、前記位置制御データ生成部は、前記画像データを用いて前記箱の前記一面の外形から幾何学的な関係を用いて切断経路を二次元座標値で求め、当該切断経路の前記二次元座標値に対して前記三次元データに基づき前記一面と交差する方向の第3座標値を付与することで、前記切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成してもよい。
【0011】
この構成によれば、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。また、三次元データを用いて三次元座標空間で幾何学的な演算を行う構成に比べ、位置制御データを簡単に生成できる。
【0012】
上記箱開封装置において、前記箱は一対のフラップの境界にテープが貼られて梱包された直方体であり、前記一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、前記位置制御データ生成部は、前記一面の外形から幾何学的な関係を用いて、2つの前記短辺の中点を結ぶ直線を前記切断経路として求め、当該切断経路の二次元座標値に対して前記第3座標値を付与してもよい。
【0013】
この構成によれば、位置制御データ生成部は、一面の外形である長方形の2つの短辺の中点を結ぶ直線を切断経路とし、この切断経路の二次元座標値に一面と交差する方向の第3座標値を付与するので、切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを簡単に生成することができる。よって、直方体の箱の一面が湾曲していても、箱の一対のフラップの境界に貼られたテープを、切断ミスを抑えつつ適切に切断することができる。
【0014】
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記短辺に沿う第2切断経路を、前記三次元データに基づき生成してもよい。
この構成によれば、箱の一面の外形である長方形の短辺に沿う第2切断経路は、三次元データに基づいて生成される。二次元を介さないので、第2切断経路を求める処理が簡単かつ速くなる。よって、切断作業の高速化に寄与する。
【0015】
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記一面の外形線が前記長方形の前記短辺に対して外側へはみ出る部分のはみ出し量が閾値を超える場合、前記はみ出る部分の少なくとも一部を削除する補正を行い、補正後の外形線に基づいて前記第2切断経路の前記位置制御データを生成してもよい。
【0016】
この構成によれば、テープの破れや剥がれが箱の一面から外側にはみ出しても、切断ミスを抑えつつ箱を適切に開封させることができる。
上記箱開封装置において、前記箱は直方体であり、前記一面の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、前記位置制御データ生成部は、前記箱の前記一面の一部を含む切除対象部分を前記カッタで切り落とす切断経路を三次元座標で表した位置制御データを生成し、前記切断制御部は、前記位置制御データを基に前記移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させて前記箱の前記切除対象部分を切り落としてもよい。
【0017】
この構成によれば、箱の一面が湾曲していても、箱の一面の一部を含む切除対象部分を適切に切り落とすことができる。
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記長方形の角に閾値を超える丸みがある場合、当該角を挟む2つの辺の延長線の交点を頂点としてもよい。
【0018】
この構成によれば、箱の一面の角に丸みがあっても、切断経路を高い精度で取得できる。
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値が閾値を超えるか否かを判定し、前記第3座標値が閾値を超える場合、前記切断経路における前記第3座標値が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正してもよい。
【0019】
この構成によれば、テープの破れや剥がれ及び皺などによる切断ミスを低減できる。
上記箱開封装置において、前記位置制御データ生成部は、前記切断経路に対する前記一面と交差する方向の座標値である第3座標値の変化率が閾値を超えるか否かを判定し、前記変化率が閾値を超える場合、前記切断経路における前記変化率が閾値を超える部分を含む一部の前記第3座標値を補正してもよい。
【0020】
この構成によれば、テープの破れや剥がれ及び皺などによる切断ミスを低減できる。
上記箱開封装置において、前記制御部は、前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示し、前記入力画面において、前記切断経路に沿って前記カッタを移動させるパスの順番と、パスごとの前記カッタの移動方向であるパス方向とのうち一方を、前記入力部から受け付け可能に構成されてもよい。
【0021】
この構成によれば、パスの順番と、パスごとのパス方向とのうち一方を指定することができる。移動機構は、入力部から指定されたパスの順番とパス方向とのうち指定された一方に従ってカッタを移動させることができる。
【0022】
上記箱開封装置において、前記箱は、直方体であり、前記一面の外形は長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有し、前記制御部は、前記カッタを前記切断経路に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部から受け付け可能に構成されるとともに、前記入力部の操作で前記パス条件の入力が可能な入力画面を表示部に表示し、前記入力画面において、前記長辺と前記短辺とのうち少なくとも一方に対して前記パスをオフセットさせる方向であるオフセット方向と、前記オフセット方向にオフセットさせる前記パスのオフセット量とのうち一方を、前記入力部から受け付け可能に構成されてもよい。
【0023】
この構成によれば、切断経路であるパスを箱の辺に対してオフセットさせる調整を行うことができる。例えば、テープを切断する場合、切断ミスの少ない切断が可能になり、箱の一部を切り落とす場合、開封後に作業のし易い切断形状に箱の一部を切り落とすことができる。
【0024】
上記課題を解決する箱開封方法は、箱を開封する箱開封方法であって、前記箱の一面からの反射光を計測して当該箱の前記一面を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元データを取得する三次元計測ステップと、前記三次元データに基づいて前記カッタの切断経路を三次元座標値で表す位置制御データを生成する位置制御データ生成ステップと、前記位置制御データを基に移動機構を制御し、前記カッタを前記箱に対して前記切断経路に沿って相対移動させる切断制御ステップとを備える。
【0025】
この構成によれば、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、箱の一面が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態においてロボットが待機位置にあるときの箱開封システムを示す模式側面図。
【
図2】ロボットが切断作業を行っているときの箱開封システムを示す模式側面図。
【
図5】箱を開封するときの第1テープと第2テープを切断するときのカッタユニットの姿勢を示す模式正面図。
【
図6】箱開封システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図9】(a)は三次元点群データを示す斜視図、(b)は三次元点群データを示す模式図。
【
図10】箱の開封面の外形から幾何学的に切断経路を求める方法を示す模式図。
【
図11】(a)は開封面の外形の角に丸みがある場合、(b)はテープに破れや剥がれがある場合の処理を説明する模式図。
【
図12】開封面が湾曲している場合の第1切断経路の点群を示す斜視図。
【
図13】(a)切断経路が連続的な場合と、(b)切断経路が不規則な場合との判定方法を説明するグラフ。
【
図14】フラップの端と側面とのずれが大きい場合において第2切断経路を求める方法を説明する模式正断面図。
【
図15】三次元位置制御されるカッタの動作を説明する模式正面図。
【
図16】回転式カッタを備えるカッタユニットを示す模式正面図。
【
図18】(a)~(c)H型の切断形状を示す箱の模式斜視図。
【
図19】(a)~(c)ロ型の切断形状を示す箱の模式斜視図。
【
図20】(a)~(c)コ型の切断形状を示す箱の模式斜視図。
【
図21】第2実施形態における(a)二次元画像データ及び(b)三次元点群データをそれぞれ示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、箱開封装置11を備える箱開封システム10に係る第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1、
図2に示す箱開封システム10において、箱12の高さ方向をZ方向、Z方向と直交する2方向のうち箱12が搬送される搬送方向と平行な方向をY方向、Y方向と直交する幅方向をX方向とする。なお、Y方向のうち箱12が搬送される方向を搬送方向Y1、2つの方向X,Zを、幅方向X、高さ方向Zともいう。
【0029】
図1、
図2に示す箱開封システム10は、箱12を搬送するコンベヤ21を備える搬送装置20と、コンベヤ21上の作業位置SPに位置決めされた箱12を開封する開封作業を行う箱開封装置11とを備える。搬送装置20は、コンベヤ21の駆動源である搬送モータ22と、搬送モータ22の動力をコンベヤ21に伝える動力伝達機構23とを備える。コンベヤ21は、例えば、ローラコンベヤであるが、ベルトコンベヤでもよい。
【0030】
箱開封装置11は、箱12を開封する切断に使用されるカッタ45と、カッタ45を箱12に対して相対移動させる移動機構の一例としてのロボット40と、三次元計測部の一例としての3Dカメラ50と、ロボット40を制御する制御部70(
図6参照)とを備える。3Dカメラ50は、箱12の一面としての開封面13を正面から撮像してその撮像結果を計測することで、箱12の開封面13を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元点群データD3を取得する。本実施形態では、三次元点群データD3が三次元データの一例に相当する。
【0031】
図1、
図2に示す例では、箱12は開封すべき開封面13を天面とする向きでコンベヤ21に搬入される。箱開封装置11は、コンベヤ21上の作業位置SPに位置決めされた箱12に対して開封面13に貼られたテープ17,18をカッタ45で切断することで、箱12を開封する。
【0032】
図1、
図2に示すように、搬送装置20は、コンベヤ21上の箱12を作業位置SPに位置決めする位置決め装置25を備える。位置決め装置25は、箱12を搬送方向Y1に位置決めするストッパ装置26(
図3参照)と、箱12を幅方向Xに位置決めするガイド装置27とを有する。
図3に示すように、ストッパ装置26は、シリンダ28と、シリンダ28のピストンロッドの先端に固定されたストッパ29とを備える。ストッパ29は、シリンダ28が伸縮駆動により、箱12の搬送方向Y1への移動を規制する
図3に示す規制位置と、箱12の搬送方向Y1への移動を許容する退避位置とに配置される。
【0033】
図1、
図3に示すように、ガイド装置27は、コンベヤ21上の作業位置SPを幅方向Xに挟む両側のうち一方側に配置された固定式のガイド部材31と、他方側に配置された可動式のガイドユニット32とを備える。ガイドユニット32は、シリンダ33と、ガイドロッド34と、シリンダ33のピストンロッドの先端及び2本のガイドロッド34の先端が固定されたガイド部材35とを有する。シリンダ33が伸長駆動されると、箱12は、一対のガイド部材31,35によって挟持されることで幅方向Xに位置決めされる。
【0034】
また、
図1、
図2に示すように、搬送装置20は、箱12が作業位置SPに到達したことを検知するセンサ36を備える。センサ36が、ストッパ29に当たって位置決めされた箱12を検知すると、ガイドユニット32は駆動され、箱12を幅方向Xに位置決めする。なお、一対のガイド部材31,35が共に可動式であってもよい。
【0035】
図1、
図2に示すように、ロボット40は、多関節式の産業ロボットである。ロボット40は、例えば、6軸又は7軸の多関節型ロボットである。ロボット40は、コンベヤ21上の箱12に対して切断作業ができるようにコンベヤ21の隣位置に所定高さに配置されている。ロボット40は、台部41と、台部41に対して鉛直軸を中心に回転可能な回転台42を有する多関節のアーム43(マニピュレータ)とを備える。アーム43の先端部にはカッタユニット44が着脱可能に装着されている。アーム43は、台部41に配設された駆動源41Aの動力により回転台42と共に軸回転する。また、アーム43は、角度変更可能に連結された複数のアーム部43A~43Cを備える。複数のアーム部43A~43Cは、それぞれの間接部分に配設された不図示のサーボモータ等を含む駆動機構が駆動されることにより不図示の駆動リンク等を介して角度調整される。カッタユニット44は、アーム43の先端部となるアーム部43Cが不図示のモータを動力源として軸回転可能に備える回転部43D(
図4参照)に着脱可能に装着されている。ロボット40は、制御部70(
図6参照)により制御される。ロボット40は、箱12の開封面13に貼られたテープ17,18をカッタユニット44に取り付けられたカッタ45で切断する開封作業を行う。
【0036】
図1、
図2に示すように、3Dカメラ50は、作業位置SPに位置決めされた箱12の開封面13と直交する高さ方向Zにおいて開封面13よりも所定高さ上方位置に配置されている。3Dカメラ50が取得した三次元点群データD3は、制御部70(
図6参照)へ送信される。
【0037】
次に、
図4を参照してカッタユニット44について説明する。
図4に示すように、カッタユニット44は、超音波振動方式のカッタ45を備える。詳しくは、カッタユニット44は、アーム部43Cの回転部43Dに対して着脱可能に装着される支持部61と、支持部61に組み付けられた円柱状の振動子62と、振動子62の出力軸62Aの先端部に着脱可能に固定されたカッタ45とを有する。振動子62は、支持部61に対して保持部材63を介して不図示のボルトを用いた締結により固定されている。振動子62の基端部から延びる電力線62Bは不図示の発振器と電気的に接続されている。発振器から電力線62Bを通じて供給される周期的に変化する電圧によって、振動子62が出力軸62Aに超音波振動を発生させることで、出力軸62Aに固定されたカッタ45が超音波振動する。
【0038】
図1に示すように、3Dカメラ50は、作業位置SPに配置された箱12の一面である開封面13を正面から撮像する。3Dカメラ50は、作業位置SPにある最大サイズの箱12の開封面13を含むエリアを撮像エリアとする。また、3Dカメラ50は、箱開封装置11が開封対象として想定する最低高さから最高高さまでの箱12の開封面13に焦点が合う構成となっている。
【0039】
3Dカメラ50は、開封面13を正面から撮像して箱12の表面を三次元座標で表した三次元点群データD3を出力する。3Dカメラ50は、例えば、光投影方式で三次元点群データD3を取得する。3Dカメラ50は、例えば、開封面13を含む撮像エリアにパターンを映し出すプロジェクタを備える。パターンは、例えば、縞模様である。3Dカメラ50は、例えば、撮像エリアCAに縞模様等のパターンを投影して反射パターンの歪み具合から所定の演算処理を行って三次元点群データD3を生成する。3Dカメラ50は、三次元点群データD3を制御部70(
図6参照)に出力する。なお、3Dカメラ50は、撮像対象の表面を表す三次元座標値を含む三次元点群データD3を取得できれば、三次元点群データ生成方式はどの方式でもよい。例えば、光切断方式に属するレーザー光切断方式を採用する3Dスキャナーを内蔵する3Dカメラ50でもよい。また、レーザー光切断方式の3Dスキャナーそのものでもよい。
【0040】
図3に示すように、本実施形態の箱12は直方体である。箱12の開封面13は長方形である。開封面13は、2つの長辺と2つの短辺を有する。作業位置SPに位置決めされた箱12の開封面13は、長辺方向がY軸と平行であり、短辺方向がX軸と平行である。以下では、変形のない開封面13が長方形であるとした場合、長辺と平行な方向を長辺方向Y、短辺と平行な方向を短辺方向Xともいう。
図3に示すように、箱12は、例えば、段ボール箱である。
【0041】
箱12は、箱本体15と、箱本体15の上側の開口12Kを閉じる状態に折り曲げられた4つのフラップ16(
図3では外側の2つのみ示す)を有する。箱12は、開封面13における2つのフラップ16の境界に沿って貼られた第1テープ17と、開封面13の2つの短辺に沿って貼られた一対の第2テープ18とにより閉じられている。つまり、箱12は、所謂「H貼り」により閉じられている。テープ17,18は、例えば、粘着テープである。
【0042】
図3に示すように、第1テープ17は、同図に一点鎖線で示す第1切断経路L1に沿って切断される。第1切断経路L1は、一対のフラップ16の境界線に沿う経路である。また、第2テープ18は、
図3に一点鎖線で示す第2切断経路L2に沿って切断される。第2切断経路L2は、一対のフラップ16の側縁、つまり開封面13の短辺に沿う経路である。
【0043】
ロボット40は、
図5に示すように、アーム43の姿勢を制御してカッタ45を、第1切断経路L1(
図3参照)に沿って移動させることで、第1テープ17を切断する。また、ロボット40はアーム43を制御して、
図5に示すようにカッタ45を、例えば、開封面13に対して約45度に傾けた姿勢とし、カッタ45を第2切断経路L2(
図3参照)に沿って移動させることで、第2テープ18を切断する。
図5において、ロボット40は、第1テープ17を切断するための1回のカッタ45の移動と、2つの第2テープ18を切断するための2回のカッタ45の移動との合計3回カッタ45を移動させる。
【0044】
カッタ45の移動経路に沿う1回の移動をパスと呼び、パスの順番は所望の順番に設定できる。
図3及び
図5では、「H貼り」の例を示したが、箱開封装置11は、箱12の開封面13に第1テープ17のみが貼られた「I貼り」の開封にも対応している。「I貼り」の場合は、第1切断経路L1は「H貼り」と同様であるが、第2切断経路L2は、第1テープ17を幅方向に幅分の寸法で切断する経路となる。また、箱開封装置11は、箱12の一部をカッタ45で切り落とすことによる箱12の開封も可能となっている。
【0045】
箱開封装置11が開封した箱12は、コンベヤ21により搬出される。搬出された箱12は、箱開封システム10よりも搬送方向Y1の下流側に配置された不図示の開梱装置へ送られる。なお、開梱装置は、開封後の箱12に対して、複数のフラップ16を外側に押し広げて箱12を内容物の取り出しが可能な状態としたり、さらに箱12から内容物を取り出す作業を行ったりする。
【0046】
なお、箱開封システム10の上流側には、パレットに段積みされた箱群から1つずつ箱12を取り出してコンベヤ21上に載置する段ばらし作業を行うデパレタイザが配置されている。デパレタイザは箱12に記された2次元コードを読取部で読み取って箱特定情報を取得する。箱開封システム10が有する
図6に示す制御部70は、デパレタイザから受信して箱特定情報を事前に取得している。制御部70は、箱特定情報を基に取得した箱12のサイズに応じてシリンダ33を駆動制御してガイド部材35を位置制御する。
図1、
図2に示すコンベヤ21上には各種のサイズの箱12が搬入されるが、箱特定情報に応じてシリンダ33の突出量が制御されることで、どのサイズの箱12も幅方向Xに位置決めできる。
【0047】
次に、
図6を参照して、箱開封システム10の電気的構成について説明する。箱開封システム10の制御部70には、操作盤80が電気的に接続されている。操作盤80は入力部81、表示部82備える。作業者が、箱開封システム10に対して、各種設定データの入力操作、運転の開始及び停止等の指示を与える操作を行うときに、操作盤80が用いられる。制御部70は、
図7に示すパス条件設定画面などの設定画面を操作盤80の表示部82に表示させる。なお、表示部82は、制御部70に接続された、あるいは制御部70の一部を構成するパーソナルコンピュータのモニタでもよい。
【0048】
制御部70には、コンベヤ21、位置決め装置25及びセンサ36が電気的に接続されている。また、制御部70には、ロボット40、カッタユニット44及び3Dカメラ50が電気的に接続されている。制御部70は、コンベヤ21で搬入される箱12をセンサ36が検知すると、位置決め装置25を駆動し、箱12を作業位置SPに位置決めする。制御部70は、位置決め装置25の駆動により箱12が作業位置SPに位置決めされると、3Dカメラ50に撮像を指令する。3Dカメラ50は指令に基づく撮像動作により三次元点群データD3及び画像データを取得する。制御部70は、3Dカメラ50から三次元点群データD3及び画像データを入力する。制御部70は、本実施形態では、三次元点群データD3を用いて、箱12の開封面13に貼られたテープ17,18の切断経路L1,L2を求める。また、制御部70は、ロボット40を制御し、アーム43の先端部に装着されたカッタユニット44のカッタ45を、三次元的な位置制御により切断経路L1,L2に沿って移動させることで、テープ17,18を切断する。この切断過程では、制御部70は、カッタユニット44を駆動させてカッタ45を超音波振動させる。
【0049】
また、制御部70は、画像処理部71、演算部72、位置制御データ生成部73、切断制御部74及びメモリ75を備える。メモリ75には、
図17にフローチャートで示される切断制御用のプログラムPRが記憶されている。制御部70は、マイクロプロセッサ等のコンピュータを内蔵する。画像処理部71、演算部72、位置制御データ生成部73及び切断制御部74は、コンピュータがメモリ75に記憶されたプログラムPRを実行することで構成されるソフトウェアよりなる。なお、各部71~74は、制御部70内の電子回路によるハードウェアで構成してもよい。また、制御部70は、搬送系のコントローラと、箱開封系のコントローラとに分けて構成してもよい。さらに、箱開封系のコントローラは、ロボット40を制御するロボットコントローラと、3Dカメラ50を制御するコントローラとに分けて構成してもよい。3Dカメラ50は、例えば、パーソナルコンピュータにより制御されてもよい。
【0050】
制御部70は、3Dカメラ50が箱12を撮像して取得した三次元点群データD3に基づいて、テープ17,18の切断経路L1,L2を算出する。制御部70は、3Dカメラ50から箱12を撮像した画像データも受信する。画像処理部71は、画像データの画像処理に用いられる。本実施形態では、制御部70は、切断経路L1,L2を求めるために画像データを使用しない。制御部70は、三次元点群データD3に基づいて、第1切断経路L1及び第2切断経路L2を取得する。
【0051】
次に、箱開封システム10の作用を説明する。作業者は、操作盤80を操作し、表示部82に
図7に示す入力画面の一例としてのパス条件設定画面90を表示させる。作業者は、入力部81を操作してパス条件を設定する。ここで、切断経路をパスともいう。
図7に示すパス条件設定画面90では、パス条件として、切断形状の型、パスの順番、パスの方向(向き)及びオフセット量を入力可能である。パス条件設定画面90には、切断形状の型を選択するための選択項目91、パスの順番を入力するための入力欄92、パスの方向を選択する選択項目93及びオフセット量を入力するための入力欄94が設けられている。
【0052】
ここで、切断形状の型とは、全パスで切断される切断形状を類型化した型である。切断形状の型には、テープを切断する場合の型として「I型」、「H型」があり、箱12の一部を切り落とす場合の型として「ロ型」、「コ型」がある。「I型」はI貼りのテープを切断する型である。「H型」はH貼りのテープを切断する型(
図18参照)である。「ロ型」は、箱12の開封面13をロの字の形状に切り落とす型(
図19参照)である。また、「コ型」は、箱12の開封面13を含む箱12の一部をコの字の形状に切り落とす型である(
図20参照)。なお、「ロ型」又は「コ型」を選択するときは、ロボット40のアーム43の先端部に、段ボールの切断に適した
図16に示すカッタユニット46が装着される。
【0053】
また、
図7に示すパス条件設定画面90では、パスの順番は、数値で入力可能である。また、切断形状の型ごとにデフォルトの切断経路が予め設定されている。デフォルトの切断経路をオフセットさせる指定が可能である。つまり、デフォルトの切断経路に対してオフセット方向とオフセット量とをパスごとに指定可能である。ここで、デフォルトの切断経路は、開封面13の外形である長方形の長辺と短辺とのうち少なくとも一方に設定されている。オフセット方向は、開封面13の外形である長方形の長辺と短辺とのうち少なくとも一方に対してパスをオフセットさせる方向である。オフセット量は、パスをオフセット方向にオフセットさせる寸法である。なお、「I型」と「H型」における第1切断経路L1についてはオフセットの指定はできない。
【0054】
作業者は、表示部82に表示されたパス条件設定画面90において、切断形状の型を選択する。型を選択すると、その型に対応する画像(例えば、
図18~
図20)が表示されるので、その表示された画像の中から所望の1つを選択する。画像は、選択された型に対応するオフセット方向の異なる画像群であり、この中から1つを選択することで、その型に関するオフセット方向が選択される。すると、
図7に示すように、パス条件設定画面90に、選択した型の画像が表示され、パス順、パスごとのパス方向及びオフセット量の入力が可能になる。作業者は、入力部81を操作して、パス順、パス方向、オフセット量を入力する。
図7に示す例では、型は「ロ型」が選択され、その選択によって、例えば、
図19(a)~(c)を含む複数の「ロ型」のバリエーションの画像が表示され、その中から所望の1つを選択すると、
図7に示すパス条件設定画面90となる。この画面で、作業者は、入力部81を操作して各項目を入力する。作業者は、パス条件の入力を終えると、入力部81の操作で、設定画面90上のOKボタン95を押すことで、パス条件を確定する。
【0055】
作業者は、操作盤80の操作で、箱開封システム10に対して運転開始の指示を与える。制御部70は、運転開始の指示を受け付けると、箱開封システム10の運転を開始する。制御部70は、メモリ75から
図17にフローチャートで示されるプログラムPRを読み出して実行する。
【0056】
なお、制御部70は、箱開封システム10の上流側で箱の段ばらし作業を行っているデパレタイザから、コンベヤ21へ搬入される箱12に関する箱特定情報を受信する。箱特定情報には、箱12の品番、形状およびサイズ等の情報が含まれる。コンベヤ21に箱12が搬入されたことを不図示のセンサが検知すると、制御部70は、シリンダ28を駆動させてストッパ29を退避位置から
図3に示す規制位置へ移動させる。箱12がストッパ29に当たって搬送方向Y1に位置決めされ、センサ36が箱12を検知すると、シリンダ33を駆動させて一対のガイド部材31,35によって箱12を幅方向Xに位置決めする。こうして箱12は、作業位置SPに位置決めされる。
【0057】
以下、制御部70が
図17にフローチャートで示されるプログラムPRを実行し、箱開封装置11に行わせる開封制御について説明する。なお、以下では、切断形状の型として「H型」が選択された場合を例とし、箱12の開封面13にH型に貼られた1つの第1テープ17及び2つの第2テープ18を切断することで、箱12を開封する例で説明する。箱12の開封作業を開始する前は、ロボット40は
図1に示す待機姿勢で待機する。
【0058】
まずステップS11では、制御部70は、3Dカメラ50に箱12の開封面13を撮像させる。詳しくは、制御部70は、
図1に示すように、箱12が作業位置SPに配置されたことを検知すると、3Dカメラ50に撮像指令信号を出力する。3Dカメラ50は、対象物である箱12と非接触で開封面13を含む表面を三次元計測する計測部51を備える。計測部51は、例えば、投影部と撮像部とを備える。3Dカメラ50は、撮像指令信号を入力すると、
図8に示すように、計測部51の投影部が光を投影した箱12の開封面13を正面から撮像部が撮像する撮像動作を行い、その撮像結果を計測部51が計測することで、開封面13を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元点群データD3を生成する。3Dカメラ50は、例えば、撮像エリアCAに縞模様等のパターンを投影し、反射パターンの歪み具合から撮像エリアCA内の表面までの距離を座標点ごとに求めることで、三次元点群データD3を生成する。三次元点群データD3は、箱12を含む撮像エリアCA内の表面をXYZ座標の三次元座標の点群で表した点群データである。3Dカメラ50は、計測部51が生成した三次元点群データD3及び計測部51の撮像部が撮像した画像データを制御部70へ出力する。なお、
図8では、箱12の側面も点群が示されているが、3Dカメラ50から見て隠れる面については点群がない。
【0059】
ステップS12では、制御部70は、3Dカメラ50から三次元点群データ3Dを取得する。すなわち、制御部70は、箱12の一面としての開封面13を正面とする向きで箱12が撮像された開封面13を含む表面を三次元の点群座標で表した三次元点群データD3を取得する。
図9(a)では、高さ方向Zの座標をイメージし易いように斜視図で示しているが、開封面13と交差する撮像方向CDから見た
図9(b)に示すような撮像方向CDをZ座標軸とする三次元点群データD3が取得される。なお、本実施形態では、ステップS11,S12の処理が、「三次元計測ステップ」の一例に相当する。
【0060】
ステップS13では、制御部70は、三次元点群データから開封面領域13Aの三次元座標を取得する。制御部70は、
図8に示す撮像エリアCA内の三次元点群データD3のうち開封面13の領域である
図9(b)に示す開封面領域13Aの三次元座標を取得する。制御部70は、例えば、3Dカメラ50の光軸上に位置する座標点を含む領域で且つZ座標値が箱特定情報からの箱12の天面高さZ0に対して±αの範囲内の値をとる点群領域を、開封面領域13Aとして取得する。箱12は直方体であるため、
図9(b)に示すように開封面領域13Aの外形は長方形である。ここで得られる開封面領域13Aは、開封面13上の点群のみを三次元座標で表した三次元点群データである。また、他の方法として、3Dカメラ50の光軸上に位置する1つの点を含む同一平面とみなせる点群領域を、開封面領域としてもよい。本実施形態では、3Dカメラ50が開封面13と対向する位置から撮像するので、開封面13のZ座標値は、ある一定範囲内に収まる。この場合、開封面13が湾曲している場合を考慮し、同一平面に対するずれ量が所定範囲±α内の値をとる点群領域を、同一平面とみなすことが好ましい。さらに、他の方法として、制御部70は、例えば、3Dカメラ50の光軸上に位置する座標点を含む領域で且つZ座標値(高さ位置)が急激に所定値(例えば10cm)を超えて変化している輪郭ラインで囲まれた点群領域を、開封面領域13Aとして取得してもよい。
【0061】
ステップS14では、制御部70は、開封面領域13Aの二次元座標を取得する。すなわち、制御部70は、開封面領域13Aの三次元座標(XYZ座標)のうち二次元座標(XY座標)を取得する。制御部70は、開封面領域13Aの三次元点群データから、例えば、二次元平面で幾何学的な演算を行ううえで不要なZ座標値を除去する。つまり、開封面領域13Aの二次元点群データを取得する。また、制御部70は、開封面領域13Aの二次元点群データのうち開封面領域13Aの外形線の二次元座標値を取得してもよい。さらに、制御部70は、開封面領域13Aの外形線のうち二次元平面で幾何学的な演算を行ううえで必要な複数の点の座標値のみ取得してもよい。ここで、複数の点は、開封面領域13Aの外形の頂点を含めばよい。
【0062】
ステップS15では、制御部70は、開封面領域13Aの外形から幾何学的に第1切断経路L11を取得する。詳しくは、制御部70は、開封面領域13Aの外形である長方形から幾何学的な計算を行って、開封面領域13AのXY平面における第1切断経路L11を取得する。第1切断経路L1の計算は、制御部70の演算部72が以下のように行う。
【0063】
図10に示すように、XY平面上の二次元データD2で表される開封面領域13Aの外形である長方形は、4つの頂点A,B,C,Dと、2つの長辺Ls1と2つの短辺Ls2とを有する。演算部72は、開封面領域13Aの外形である長方形の頂点A,B,C,Dの座標(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),(x4,y4)から、一方の短辺Ls2である線分ABの中点E((x1+x2)/2,(y1+y2)/2)と、他方の短辺Ls2である線分CDの中点F((x3+x4)/2,(y3+y4)/2)とを求める。これらの2つの中点E(x5,y5),F(x6,y6)を結んだ線分EFをXY平面上の第1切断経路L11として求める。
【0064】
ところで、
図11(a)に示すように、長方形の角が丸くなっている場合がある。制御部70は、開封面領域13Aの長方形の角に閾値を超える丸みがあるか否かを判定する。角に閾値を超える丸みがある場合、丸みのある角を挟む二辺、つまり、長辺Ls1と短辺Ls2における丸みの無くなった直線部分において、長辺Ls1上に2点P1、短辺Ls2上に2点P2をそれぞれとる。そして、長辺Ls1上の2点P1を結んだ直線の延長線と、短辺Ls2上の2点P2を結んだ直線の延長線との交点を求める。そして、この交点を、四角形のうち丸みのある角の頂点とする。こうして求めた頂点を含む4つの頂点A,B,C,Dの座標値を用いて、第1切断経路L11を求める。
【0065】
また、箱12の側面12A又は側面12Bが内容物に押されて膨らみ、その膨らみによって開封面領域13Aの長方形のうち1つの長辺又は1つの短辺が湾曲する曲線になっている場合がある。この場合、箱12の側面12A又は側面12Bの上部が天面をなすように変形するが、2つのフラップ16は長方形に保たれる。この結果、2つのフラップ16の境界線は、直線状に保たれる。このため、開封面領域13Aの外形である長方形の短辺Ls2が膨らむような曲線であっても、制御部70は、
図10に示すように、2つの短辺Ls2の中点E,Fを結んだ直線を第1切断経路L11とする。
【0066】
ステップS16では、制御部70は、第1切断経路L11のXY座標値にZ座標値を付与し、第1切断経路L1を三次元座標で取得する。
図12に示すように、XY平面上で求めた二次元座標の点群で示される同図に一点鎖線で示す第1切断経路L11に、Z座標値を付与することで、三次元座標で示された第1切断経路L1が取得される。この結果、
図12に示すように、開封面領域13Aの面が湾曲していて第1テープが貼られた経路が湾曲している場合、高さ方向Zで湾曲する第1切断経路L1が得られる。第1切断経路L1は、2つの中点E,Fの2点と、これら中点E,Fの間に座標Ln(xn,yn,zn)(但し、添字nは、n=1,2,…,k)で示される点群とを含む三次元の点群データで表される。
【0067】
ステップS17では、制御部70は、開封面領域の三次元座標から第2切断経路L2を三次元座標で取得する。すなわち、制御部70は、
図9(b)に示す長方形の開封面領域13Aの三次元点群データD3から、短辺Ls2の三次元座標を取得し、第2切断経路L2とする。このように、第2切断経路L2は、開封面領域13Aの二次元座標を用いた演算を経ずに、開封面領域13Aの三次元点群データD3から短辺Ls2の三次元座標が直接取得される。ここで、短辺Ls2は、XY座標値については2つの頂点を結んだ直線の座標値を採用する。つまり、短辺Ls2が湾曲している場合も、
図9(b)に示す長方形の短辺が第2切断経路L2として採用される。
【0068】
ここで、短辺が曲線である場合でも、直線の短辺を採用する理由は以下による。
図14に示すように、箱12の内容物に押されて側面12Bが膨らむ場合、側面12Bの一部が天面となるように変形する。この場合、フラップ16は長方形に保持される。開封面13と直交する方向から見た平面視において、
図14に白丸で示す位置を通る開封面13の短辺Ls2は曲線になる。この短辺Ls2を第2切断経路L2にすると、切断経路L2で第2テープ18を切断してもフラップ16は開封されない。そのため、XY平面座標で2つの頂点を結んだ
図14に示す黒丸を通る直線よりなる短辺Ls2を、第2切断経路L2とする。この第2切断経路L2で切断すれば、フラップ16は開封される。なお、テープ18を切断できないほどずれなければ、曲線のままの短辺Ls2を第2切断経路L2として採用してもよい。
【0069】
また、
図11(b)に示すように、テープ17,18が破れた部分や剥がれた部分が、開封面領域13Aから外側へはみ出る場合がある。
図11(b)に示す例では、第2テープ18の破れたテープ片G2が開封面領域13Aの外側にはみ出ている。この場合、制御部70は、はみ出したテープ片G2を開封面領域13Aの外形の一部であると誤認する可能性がある。そのため、制御部70は、開封面領域13Aからはみ出したテープ片G2の部分を無視し、テープ片G2の外形線を、開封面領域13Aの外形線の一部とはしない。
【0070】
具体的には、
図11(b)において、制御部70は、開封面領域13Aの頂点Cと頂点Dとを結んだ直線よりも外側にはみ出したはみ出し量が閾値を超えるか否かを判定する。制御部70は、はみ出し量が閾値を超えると判定すると、そのはみ出した部分(テープ片G2)を無視する。制御部70は、例えば、短辺Ls2の両端に位置する2つの頂点C,Dを結んだ直線を第2切断経路L2とする。また、短辺Ls2上のテープ片G2のはみ出し部分を挟む両側の2点P3を結んだ線分を、短辺Ls2の一部とする補正を行い、補正後の短辺Ls2を第2切断経路L2としてもよい。一方、制御部70は、はみ出し量が閾値以下であると判定すると、短辺Ls2が曲線であっても、曲線よりなる短辺Ls2の三次元点群データを、第2切断経路L2として取得する。
【0071】
ここで、ステップS16及びステップS17において、三次元点群データD3のZ座標値をそのまま採用すると、テープ17,18の切断ミスに繋がる場合がある。開封面13の凹みによるテープ17,18の凹みはそのままZ座標値を採用しても問題がない。しかし、テープ17,18の高さ方向Zへの膨らみについては、開封面13の膨らみによるテープ17,18の膨らみ以外に、テープ17,18の破れや剥がれ、テープ17,18とフラップ16との間に空気が入ってできたテープ17,18の膨らみ、テープの一部が互いに接着してできたテープ17,18の皺による突起である場合がある。これらのうち、テープ17,18の破れや剥がれ及び皺の突起である場合、Z座標値をそのまま採用すると、切断ミスを誘発する場合がある。一方、空気が入ってできたテープ17,18の膨らみである場合は、そのままZ座標値を採用した方が好ましい。そのため、制御部70は、Z座標値をそのまま採用してよい場合と、Z座標値を変更する必要がある場合とを判定する。
【0072】
図13(a),(b)は、切断経路に対するZ座標値の変化を示すグラフである。横軸は二次元(XY座標)で示された切断経路、縦軸はZ座標値を示す。開封面13が膨らんでいるためにテープ17,18が膨らんでいる場合、及び空気(気泡)が入ってテープ17,18が膨らんでいる場合は、
図13(a)に示すように、Z座標値は連続的に変化する。一方、テープの破れや剥がれ及び皺の突起がある場合、
図13(b)に示すように、Z座標値が局所的に大きく変化している領域が存在する。
【0073】
図13(a)に示すように、Z座標値が切断経路に対して連続的に変化している場合は、Z座標値をそのまま付与する。つまり、ステップS16では、Z座標値がそのまま付与され、ステップS17では、短辺Ls2の三次元座標値がそのまま採用される。
【0074】
一方、テープの破れや剥がれ及び皺の突起である場合、
図13(b)に示すように、Z座標値が切断経路に対して不規則(不連続)に変化する。制御部70は、Z座標値が切断経路に対して不規則に変化している場合、その不規則に変化している領域のZ座標値を補正し、その補正したZ座標値を採用する。
【0075】
制御部70は、切断経路に対するZ座標値の変化が膨らむ曲線である場合、連続的に変化する曲線であるか、それとも不規則に変化する曲線であるかを判定する。そのために、制御部70は、基準高さに対する膨らみ量と、切断経路に対するZ座標値の変化率とのうち少なくとも一方を用いて判定する。
【0076】
第1の方法は、制御部70が、基準高さに対する膨らみ量が閾値を超えるかを判定する方法である。制御部70は、膨らみ量が閾値を超えなければ、Z座標値をそのまま採用する。すなわち、
図13(a)に示すグラフ線が切断経路L1又はL2とされる。一方、膨らみ量が閾値を超えると、閾値を超える領域を挟む両側の2点を結ぶ直線に置き換える補正を行う。例えば、
図13(b)に一点鎖線で示すZ座標値に補正されることで、切断経路L1又はL2が求められる。なお、膨らみ量は基準高さに対するZ座標値で示される。基準高さは、例えば、箱特定情報から得られる箱12の開封面13(天面)の高さを表すZ座標値が用いられる。
【0077】
第2の方法は、変化率が閾値を超えるか否かを判定する方法である。変化率は、
図13(a),(b)に示すグラフ線の傾きに相当する。
図13(a)に示すように、Z座標値が切断経路に対して連続的に変化している場合、全領域で変化率は閾値以下であると判定される。この場合、制御部70は、Z座標値をそのまま採用する。すなわち、
図13(a)に示すグラフ線が切断経路L1又はL2とされる。
【0078】
一方、
図13(b)に示すように、Z座標値が切断経路に対して不規則(不連続)に変化している場合、変化率が閾値を超えると判定される。テープの破れや剥がれ及び皺の突起である場合、その部分でZ座標値が切断経路に対して不規則に変化するため、変化率が閾値を超える。この場合、制御部70は、Z座標値を補正する。制御部70は、例えば、この変化率が閾値を超える位置間の領域を挟む両側の2点を結んだ直線の値にZ座標値を補正する。すなわち、
図13(b)に一点鎖線で示すZ座標値に補正されることで、切断経路L1又はL2が求められる。なお、第1の方法と第2の方法とを組み合わせて判定してもよい。
【0079】
図14に示すように、下側のフラップ16が外側にずれて位置する場合、第2テープ18は、上側のフラップ16の上面と、下側のフラップ16の上面16Aとに亘って貼られている。この場合、開封面13の外形である長方形の短辺の両端に位置する2つの頂点を結んだ直線よりなる短辺が
図14に白丸で示す位置となる。この場合、
図14に示す白丸を通る直線よりなる短辺を第2切断経路L2とした場合、第2切断経路L2に沿って第2テープ18が切断されても、上側のフラップ16と下側のフラップ16には第2テープ18が貼られたままであるので、フラップ16を開封できない。
【0080】
そこで、
図14に黒丸で示す第2切断経路L2を求める。位置制御データ生成部73は、三次元点群データD3を基に、長辺方向Yに箱12の側面12Bが上側のフラップ16の端に対して外側にずれるずれ量が閾値を超えるか否かを判定する。ずれ量が閾値を超える場合、位置制御データ生成部73は、
図14に示すように、Z座標値が変化している変化領域ZAを、第2テープ18が上側のフラップ16と下側のフラップ16との段差に貼られた部分であると推定する。位置制御データ生成部73は、フラップ16の端と短辺Ls2との間で長辺方向YのY座標値に対してZ座標値が変化している変化領域ZAを検出する。位置制御データ生成部73は、変化領域ZA内の位置を通るように第2切断経路L2を決定する。
図14に示すように、短辺(
図14の白丸)よりも内側にオフセットさせた
図14に黒丸で示す位置に第2切断経路L2が決定される。位置制御データ生成部73は、例えば、
図14に示すように、変化領域ZAのうち長辺方向Yの中央位置よりも高い側の位置(黒丸の位置)に第2切断経路L2を決定することが好ましい。
【0081】
図17に戻って、ステップS18では、制御部70は、切断経路から位置制御データを生成する。詳しくは、位置制御データ生成部73が、切断経路を、ロボット制御の座標系に座標変換する。この座標変換に当たり、位置制御データ生成部73は、切断経路に沿ってテープ又は段ボールを切断するときにカッタ45の刃先を一部差し込む深さ分の値でZ座標値を補正する。なお、本実施形態では、このステップS18の処理が、「位置制御データ生成ステップ」の一例に相当する。
【0082】
ステップS19では、制御部70は、位置制御データに基づいてカッタ45を三次元位置制御し、箱12を開封する。詳しくは、切断制御部74が、ロボット40を制御してカッタ45を三次元位置制御し、カッタ45によりテープ17,18を切断する。このとき、カッタ45は、パス条件設定画面で設定されたパスの順番で、指定されたパスの方向にカッタ45の移動が制御され、テープ17,18が切断され、箱12が開封される。
【0083】
図15に示すように、開封面13が湾曲している場合、カッタユニット44は高さ方向Zに変位しながら第1切断経路L1(
図12参照)に沿って移動する。第1テープ17が湾曲していても、カッタ45は第1テープ17の湾曲した経路に沿ってZ方向に変位しつつ第1テープ17を切断する。すなわち、第1テープ17は、切断されない部分ができたり、カッタ45が箱12内に過剰に深く入り込んだりするミスがなく、第1テープ17を適切に切断することができる。また、一対のフラップ16が山形に浮いている場合、三次元点群データD3から、一対のフラップ16の浮き上がった境界部分の高さ位置でZ座標値が付与されるので、この場合も、第1テープ17を確実に切断することができる。
【0084】
また、箱12をロ型又はコ型の切断経路で切断する場合、ロボット40のアーム43の先端部に
図16に示すカッタユニット46が装着される。
図16に示すように、カッタユニット46は、ホルダ47と、ホルダ47に回転可能に支持された回転式のカッタ48とを備える。カッタ48は、回転軸49と平行な方向から見た側面形状が、例えば、多角形であり、箱12の材料である段ボールを切断するのに適している。なお、カッタ48の形状は円形でもよい。
【0085】
次に、
図18~
図20を参照して、切断形状の型ごとの切断経路及び切断経路のバリエーションを説明する。
図18はH型、
図19はロ型、
図20はコ型の一例を示す。3つの型において箱12の辺に対するオフセット方向とオフセット量とが指定される。オフセット量は「0」がデフォルトであり、作業者が所望するオフセット方向及びオフセット量を指定できる。
図18(a)~(c)は、2つの第2切断経路L2を開封面13の短辺からのオフセット方向の異なる3つの例を示す。オフセット方向には短辺に対して側面12B側にオフセットする第1オフセット方向と、開封面13側にオフセットする第2オフセット方向とがあり、2つの第2切断経路L2ごとに個別にオフセット方向を指定可能である。
【0086】
また、I型(つまりI貼り)については、図は省略しているが、第2切断経路L2の3種類のオフセット方向の指定が可能になっている。オフセット方向の組合せは、
図18と同様であるが、第2切断経路L2の長さが、テープ幅寸法に合わせた長さである点が異なる。つまり、「I型」の場合、2つの短辺の中点を中心として短辺方向Xにテープ17の幅寸法分の短辺に沿う線分を第2切断経路L2とする。
【0087】
図19(a)~(c)は、ロ型であり、開封面13の一部を含む長方形の部分が切除対象部分として切り落とされる。開封面13の長方形の4辺に対して個別にオフセット方向を指定可能である。オフセット方向は、
図18と同様に第1オフセット方向と第2オフセット方向とがある。
図20(a)~(c)は、コ型であり、開封面13の一部を含む切除対象部分が3つの面に亘るコの字状に切り落とされる。つまり、開封面13と、開封面13と2つの長辺を挟んで隣に位置する2つの側面12Aとに亘る切除対象部分が切り落とされる。2つの側面12Aの下端の切断経路L43以外の6つの切断経路L41,L42について個別にオフセット方向を指定可能である。なお、開封面13と2つの側面12Aとに亘る部分を切除対象部分とするのは、2つの側面12Aの下端の切断経路L43に沿って切断する場合、カッタ45がコンベヤ21と干渉しにくいからである。つまり、箱12の幅方向Xに対向する2つの側面12Aと開封面13とに亘るコ型の切除対象部分を切り落とす。
【0088】
図19に示すロ型及び
図20に示すコ型については、二次元平面上で開封面領域の外形から幾何学的に切断経路を求めることはしていない。このため、切断経路は、全て第2切断経路に属する。なお、ロ型及びコ型についても、二次元平面上で開封面領域13Aの外形から幾何学的に切断経路を求めてもよい。開封面領域の外形から幾何学的な計算により切断経路を求める場合、ステップS14~S16の処理を行う。特に、開封面13の外形をなす辺よりも内側にオフセットする切断経路を求める場合、二次元平面上で開封面領域13Aの外形から幾何学的に切断経路を求め、その求めた切断経路にZ座標値を付与してもよい。この他、オフセット以外にも、開封面13の外形線以外の経路で切断経路を求める場合は、二次元平面上で開封面領域13Aの外形から幾何学的に切断経路を求め、その求めた切断経路にZ座標値を付与してもよい。なお、
図18~
図20に示す切断経路は一例であって、その他の切断経路の組合せも可能である。例えば、
図20において、開封面13と2つ側面12Bに亘るコ型の切除対象部分を切り落とす切断経路であってもよいし、コ型をなすその他の面の組合せやその他のオフセットの組合せも可能である。また、切除対象部分は、開封面13の一部を含む2つの面に亘るL字状をなすL型であってもよい。さらに、開封面13の一部を含み開封面13の4辺と隣合う4つの面に亘る5面を切り落としてもよい。このように、切除対象部分を切り落とすための切断経路及びオフセットの仕方は適宜設定できる。
【0089】
また、ロ型及びコ型についても、H型のときと同様の処理が行われる。例えば、
図11(a)に示す方法で頂点を求める処理、
図11(b)に示す開封面領域13Aの外形線が短辺Ls2からはみ出るはテープ片G2の部分を削除して外形線を補正する処理が行われる。さらに、
図11(b)及び
図13に示す第1の方法と第2の方法とのうち一方又は両方を行う。
【0090】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)箱開封装置11は、カッタ45,48を箱12に対して相対移動させるロボット40と、ロボット40を制御する制御部70と、箱12の開封面13と交差する交差方向から測定して開封面13を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元点群データD3を取得する3Dカメラ50とを備える。制御部70は、位置制御データ生成部73と切断制御部74とを備える。位置制御データ生成部73は、三次元点群データD3に基づいてカッタ45,48の切断経路L31,L32,L41~L43を三次元座標値で表す位置制御データを生成する。切断制御部74は、位置制御データを基にロボット40を制御し、カッタ45,48を箱12に対して切断経路L1,L2,L31,L32,L41~L43に沿って相対移動させる。よって、箱12の開封面13が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
【0091】
(2)位置制御データ生成部73は、三次元点群データD3のうち開封面13を含む座標平面上で、開封面13の外形から幾何学的な関係を用いて切断経路L11を二次元座標値で求める。そして、位置制御データ生成部73は、切断経路L11の二次元座標値に対して開封面13と交差する高さ方向ZのZ座標値を三次元点群データD3に基づき付与することで、切断経路L1を三次元座標値で表す位置制御データを生成する。よって、箱12の開封面13が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。例えば、箱12の湾曲した開封面13に貼られたテープ17,18を適切に切断して箱12を開封できる。また、箱12の開封面13又は側面12Bが湾曲していても、箱12の開封面13の一部を含む切除対象部分を適切に切り落とし、箱12を開封できる。また、三次元点群データD3を用いて三次元座標空間で幾何学的な演算を行う構成に比べ、位置制御データを簡単に生成できる。
【0092】
(3)箱12は一対のフラップ16の境界にテープ17,18が貼られて梱包された直方体であり、開封面13の外形は、長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する。位置制御データ生成部73は、開封面13の外形から幾何学的な関係を用いて、2つの短辺の中点を結ぶ直線を第1切断経路L1として求め、第1切断経路L11の二次元座標値に対してZ座標値を付与する。よって、第1切断経路L1を三次元座標値で表す位置制御データを簡単に生成することができる。したがって、直方体の箱12の開封面13が湾曲していても、箱12の一対のフラップ16の境界に貼られた第1テープ17を、切断ミスを抑えつつ適切に切断することができる。
【0093】
(4)位置制御データ生成部73は、短辺に沿う第2切断経路L2を、三次元点群データD3に基づき生成する。よって、箱12の開封面13の外形である長方形の短辺に沿う第2切断経路L2は、三次元点群データD3に基づいて生成される。二次元を介さないので、第2切断経路L2を求める処理が簡単かつ速くなる。よって、切断作業の高速化に寄与する。
【0094】
(5)位置制御データ生成部73は、箱12の開封面13の一部を含む切除対象部分をカッタ48で切り落とす切断経路L31,L32,L41~L43を三次元座標で表した位置制御データを生成する。切断制御部74は、位置制御データを基にロボット40を制御し、カッタ48を箱12に対して切断経路L31,L32,L41~L43に沿って相対移動させて箱12の切除対象部分を切り落とす。よって、箱12の開封面13が湾曲していても、箱12の開封面13の一部を含む切除対象部分を適切に切り落とすことができる。
【0095】
(6)位置制御データ生成部73は、長方形の角に閾値を超える丸みがある場合、角を挟む2つの辺の延長線の交点を頂点とする。よって、箱12の開封面13の角に丸みがあっても、切断経路L1,L2,L31,L32,L41~L43を高い精度で取得できる。
【0096】
(7)位置制御データ生成部73は、開封面13の外形線が長方形の短辺に対して外側へはみ出る部分のはみ出し量が閾値を超える場合、はみ出る部分の少なくとも一部を削除する補正を行い、補正後の外形線に基づいて第2切断経路L2の位置制御データを生成する。よって、テープ18の破れや剥がれが箱12の開封面13から外側にはみ出しても、開封面13の短辺に貼られたテープ18を、切断ミスを抑えつつ適切に切断することができる。
【0097】
(8)位置制御データ生成部73は、切断経路L1に対する第3座標値が閾値を超えるか否かを判定する。位置制御データ生成部73は、第3座標値が閾値を超える場合、切断経路L1における第3座標値が閾値を超える部分を含む一部の第3座標値を補正する。よって、テープ17,18の破れや剥がれ及び皺などによる切断ミスを低減できる。
【0098】
(9)位置制御データ生成部73は、二次元座標で示される切断経路L1に対する第3座標値の変化率が閾値を超えるか否かを判定する。位置制御データ生成部73は、変化率が閾値を超える場合、切断経路L1における変化率が閾値を超える部分を含む一部の第3座標値を補正する。よって、テープ17,18の破れや剥がれ及び皺などによる切断ミスを低減できる。
【0099】
(10)制御部70は、カッタ45,48を切断経路L1,L2,L31,L32,L41~L43に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部81から受け付け可能に構成されるとともに、入力部81の操作でパス条件の入力が可能なパス条件設定画面90を表示部82に表示させる。制御部70は、パス条件設定画面90において、切断経路L1,L2,L31,L32,L41~L43に沿ってカッタ45,48を移動させるパスの順番と、パスごとのカッタ45,48の移動方向であるパス方向とを、入力部81から受け付け可能に構成される。よって、パスの順番と、パスごとのパス方向とを指定することができる。ロボット40は、入力部81から指定されたパスの順番と、パスごとのパス方向とに従って、カッタ45,48を移動させる。したがって、ユーザーがカッタ45,48が切断する切断経路の順番かつ切断経路ごとに方向を指定できるので、適切な切断が行われやすくなる。
【0100】
(11)箱12は、直方体であり、開封面13の外形は長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する。制御部70は、カッタ45,48を切断経路L1~L4に沿って移動させるパスの条件であるパス条件を入力部81から受け付け可能に構成されるとともに、入力部81の操作でパス条件の入力が可能なパス条件設定画面90を表示部82に表示させる。制御部70は、パス条件設定画面90において、長辺と短辺とのうち少なくとも一方に対してパスをオフセットさせる方向であるオフセット方向と、オフセット方向にオフセットさせるパスのオフセット量とを、入力部81から受け付け可能に構成される。よって、切断経路であるパスを箱12の辺に対してオフセットさせる調整を行うことができる。例えば、第2テープ18を切断する場合、切断ミスの少ない切断が可能になり、箱12の一部を切り落とす場合、開封後に作業のし易い切断形状に箱12の一部を切り落とすことができる。
【0101】
(12)三次元点群データD3を取得する三次元計測ステップ(ステップS11,S12)と、位置制御データ生成ステップ(ステップS13~S18)と、切断制御ステップ(ステップS19)とを備える箱開封方法を採用する。位置制御データ生成ステップでは、三次元点群データD3のうち開封面13を含む座標平面上で、開封面13の外形から幾何学的な関係を用いて第1切断経路L1を二次元座標値で求め、第1切断経路L1の二次元座標値に対して高さ方向ZのZ座標値を三次元点群データD3に基づき付与することで位置制御データを生成する。よって、箱12の開封面13が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
【0102】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、3Dカメラ50が撮像した二次元の画像データを用いて、開封面領域の外形から幾何学的に第1切断経路L1を取得する点が、前記第1実施形態と異なる。箱開封装置11の構成及び電気的構成は、第1実施形態と同様であるので、制御部70がプログラムPRを実行して行う処理が前記第1実施形態と異なる。制御部70は、二次元の画像データを用いて開封面領域13Aの外形から幾何学的に第1切断経路L1を取得する点が、前記第1実施形態と異なる。
【0103】
制御部70は、プログラムを実行して
図22にフローチャートで示される切断制御処理を実行する。なお、本実施形態の3Dカメラ50は、第1実施形態と同様であるので、ステップS21及びステップS22の処理は、
図17に示す第1実施形態におけるステップS11及びステップS12の処理と基本的に同様である。
【0104】
まず、
図22におけるステップS21では、制御部70は、3Dカメラ50に箱12の開封面13を撮像させる。3Dカメラ50は、制御部70から撮像指令信号を入力すると、撮像動作を行い、箱12の開封面13を正面から撮像した二次元画像データ、及び開封面13に正面から光を投影して開封面13を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元点群データD3を出力する。
【0105】
ステップS22では、制御部70は、3Dカメラ50から二次元画像データCIと三次元点群データD3とを取得する。制御部70は、開封面13が正面となる向きから箱12が撮像された開封面13gを含む箱12gの画像データである二次元画像データCI(以下、単に「二次元画像CI」ともいう。)(
図21(a)参照)と、箱12の開封面13を含む表面を三次元の点群座標で表した三次元点群データD3(
図21(b)参照)とを取得する。
図21(a)に示すように、画像データCIには、正面から撮像された開封面13g、第1テープ17g及び第2テープ18gが写されている。なお、本実施形態では、このステップS21,S22の処理が、「三次元計測ステップ」の一例に相当する。
【0106】
ステップS23では、制御部70は、二次元画像に画像処理を施す。画像処理は、開封面13gを他の領域と区別するために行う。詳しくは、画像処理部71が、開封面13gを含む画像データCIに画像処理として、例えば、二値化処理を施し、開封面13gの外形を認識可能な画像を生成する。なお、画像データCIにおいて開封面13gの外形を認識可能であれば、画像処理を省略してもよい。
【0107】
ステップS24では、制御部70は、二次元画像から開封面領域13Aを取得する。詳しくは、制御部70は、例えば、画像中の閾値以上の濃度値の領域を開封面領域13Aとして取得する。制御部70は、開封面領域13Aが特定されると、開封面領域13Aの外形を取得する。開封面領域13Aの外形は長方形であり、2つの長辺と2つの短辺とを有する。
【0108】
ステップS25では、制御部70は、開封面領域の外形から幾何学的に第1切断経路L11を取得する。詳しくは、位置制御データ生成部73は、開封面領域13Aの外形である長方形から幾何学的な計算を行って、第1切断経路L11を取得する。位置制御データ生成部73は、画像処理された二次元画像CI中の開封面13gの外形である長方形の外形線上の複数の特定な点の座標を用いて、長方形の幾何学的な関係を用いた計算を行って、XY平面における第1切断経路L11を求める。幾何学的な計算は、
図10と同様であり、複数の特定な点として、開封面領域13Aの外形である長方形の4つの頂点を用いて、2つの短辺の中点を結んだ直線を第1切断経路L11として取得する。第1切断経路L11は、直線の二次元座標値として取得される。第1切断経路L11は、直線上の点群の二次元座標値である。
【0109】
ステップS26では、制御部70は、第1切断経路L11のXY座標値にZ座標値を付与し、第1切断経路L1を三次元座標で取得する。
以降、制御部70は、第1実施形態と同様に、
図17に示すステップS17~ステップS19の処理を実行する。すなわち、制御部70は、第2切断経路L2を開封面領域13Aの三次元点群データD3から三次元座標で取得する(ステップS17)。制御部70は、切断経路L1,L2から位置制御データを生成する(ステップS18)。そして、制御部70は、位置制御データに基づいてカッタ45を三次元位置制御し、箱12を開封する(ステップS19)。
【0110】
この第2実施形態によれば、開封面13の外形の特定に画像データCIを用いるので、画像処理により外形を特定できる。例えば、箱12とそれ以外の部分の濃度により開封面領域13Aを特定できるので、三次元点群データD3の点群の二次元座標値の中から開封面領域13Aを特定する処理が簡単で済む。この構成によれば、切断経路L1を求めるまでの処理時間を短縮できる。なお、
図18~
図20に示すように箱12の開封面13の一部を含む切除対象部分を切り落とす場合において、開封面13の外形線以外の経路で切断経路を求める場合は、二次元平面上で開封面領域13Aの外形から幾何学的に切断経路を求め、その求めた切断経路にZ座標値を付与してもよい。この場合、制御部70は、ステップS23~ステップS26の処理を行う。
【0111】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
前記第1実施形態における前記(1),(3)~(12)の効果が同様に得られるうえ、下記の効果を得ることができる。
【0112】
(13)3Dカメラ50は、箱12の開封面13を高さ方向Zから撮像して開封面13の画像を含む画像データCIと、開封面13を高さ方向Zから測定して開封面13を含む表面上の点群を三次元座標で表した三次元点群データD3を取得する。位置制御データ生成部73は、画像データCIを用いて開封面13の外形から幾何学的な関係を用いて切断経路L1を二次元座標値で求め、切断経路L1の二次元座標値に対して三次元点群データD3に基づきZ座標値を付与することで、切断経路L1を三次元座標値で表す位置制御データを生成する。切断制御部74は、位置制御データを基にロボット40を制御し、カッタを箱12に対して切断経路L1に沿って相対移動させる。よって、箱12の開封面13が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。また、三次元点群データD3を用いて幾何学的な計算を行う構成に比べ、位置制御データを簡単に生成できる。
【0113】
(14)画像データCIと三次元点群データD3とを取得する三次元計測ステップ(ステップS21,S22)と、位置制御データ生成ステップ(ステップS23~S26,S17,S18)と、切断制御ステップ(ステップSS19)とを備える箱開封方法を採用する。位置制御データ生成ステップでは、画像データCIを用いて開封面13の外形から幾何学的に切断経路を二次元座標値で求め、切断経路の二次元座標値に対して三次元点群データD3に基づきZ座標値を付与することで位置制御データを生成する。この方法によれば、箱12の開封面13が湾曲していても、開封のための切断を適切に行うことができる。
【0114】
前記実施形態は、上記に限定されず、以下のように変更してもよい。
・箱12の一面の一例である開封面13を天面とする姿勢で箱12を開封する構成に限定されない。開封面13を横向きにして箱12を開封したり、開封面13を下向きにして箱12を開封したりしてもよい。このような箱12の姿勢でも、開封面13と対向する方向から3Dカメラ50が撮像すれば、同様の処理でテープ17,18の切断経路を求めることができる。
【0115】
・前記各実施形態において、カッタユニット44、46をエアシリンダに支持し、エアシリンダに与えた微小のエア圧で付勢しながらカッタ45を位置制御することでテープ17,18を切断してもよい。この構成によれば、箱12の開封面13又は側面12Bに凹みがあっても、カッタ45を開封面13又は側面12Bの凹みに追従させながらテープ17,18を切断できる。
【0116】
・三次元計測部は、画像データCIを取得するカメラ(撮像部)と、三次元点群データD3を取得する三次元スキャナ(3Dスキャナ)とにより構成してもよい。
前記各実施形態において、3Dカメラ50等の三次元計測部をロボット40のアーム43に取り付けてもよい。
【0117】
・三次元計測部は、箱12の一面(開封面)からの反射光を正面から計測する非接触方式が精度及び安定性から好ましく、光切断法(レーザ切断法)、空間コード化法、位相シフト法、モアレ法、ステレオビジョン方式などどの方式でもよい。箱の一面に光を照射して箱の一面からの反射光を計測する方式でもよい。この場合、光の照射は、レーザー光などの光の照射に限らず、光の投影でもよい。このように、三次元計測部は、箱の一面に光を投影し、その投影した光の一面からの反射光を計測する方式でもよい。例えば、箱の一面にパターンを投影して箱の一面からの反射パターンを計測する方式でもよい。光を投影する方式では、計測部51は、投影部及び撮像部を備える。また、三次元計測部は、箱の一面に照射した照射光と、照射光が箱の一面から反射した反射光との位相差を計測する方式でもよい。この方式では、計測部51は、位相検出器及び位相差比較器を備える。また、これらのうち複数の方式を併用した方式でもよい。なお、ステレオビジョン方式は、ステレオカメラの視差から三角測量を用いて距離情報を取得する方式であり、光の照射は必須ではない。
【0118】
・制御部70は、パス条件設定画面90において、パスの順番、パス方向、オフセット方向及びオフセット量のうち少なくとも1つを入力部81により受け付け可能な構成でもよい。例えば、制御部70は、パスの順番、パス方向、オフセット方向及びオフセット量のうち1つのみを入力部81により受け付け可能な構成でもよい。また、制御部70は、パスの順番及びパス方向を入力部81により受け付け可能な構成でもよい。また、制御部70は、オフセット方向及びオフセット量を入力部81により受け付け可能な構成でもよい。
【0119】
・箱12は直方体に限らず、三角柱などの四角柱以外の多角柱でもよい。また、箱12は、円柱でもよい。さらに、箱12は、6面体以外の多面体でもよい。
・ロボット40は、垂直多関節型や水平多関節型などの多関節型ロボットに限定されず、直交座標型、円筒座標型、極座標型、パラレルリンク型などの他の機構を用いた産業用ロボットでもよい。
【0120】
・箱開封装置11は、移動機構としてロボット40を備えない構成でもよい。例えば、カッタ45をX方向及びY方向に移動させるアクチュエータを有する切断機構と、制御部70とを備えた箱開封装置11としてもよい。また、例えば、箱開封装置11は、固定されたカッタ45と、箱12をカッタ45に対して移動させることで、箱12の開封面13に貼られたテープ17,18を切断する構成でもよい。
【0121】
・カッタは、超音波振動式のカッタ45や回転式のカッタ48に限定されず、刃で物理的に切断するカッタでもよい。
・箱12の開封面13に対するテープの貼り方は、I貼り(I型)やH貼り(H型)に限定されず、第1テープと第2テープとを十字状に貼る「十字貼り」でもよい。
【0122】
・テープ17,18は粘着テープに限らず、糊又は接着剤で箱12に貼られたテープでもよい。また、テープ17,18が箱12に溶着されていてもよい。
・箱は、紙製の段ボール箱に限らず、プラスチック製の段ボール箱でもよい。
【符号の説明】
【0123】
10…箱開封システム、11…箱開封装置、12…箱、12B…側面、12K…開口、12g…画像中の箱、13…開封面、13A…開封面領域、13g…画像中の開封面、16…フラップ、17…テープの一例としての第1テープ、18…テープの一例としての第2テープ、20…搬送装置、21…コンベヤ、25…位置決め装置、26…ストッパ装置、32…ガイド装置、29…ストッパ、31…ガイド部材、36…センサ、40…移動機構の一例としてのロボット、43…アーム、43A~43C…アーム部、43D…回転部、44,46…カッタユニット、45…カッタ、48…回転式のカッタ、50…三次元計測部の一例としての3Dカメラ、45…カッタ、70…制御部、71…画像処理部、72…演算部、73…位置制御データ生成部、74…切断制御部、75…メモリ、80…操作盤、81…入力部、82…表示部、90…入力画面の一例としてのパス条件設定画面、SP…作業位置、CD…撮像方向、D3…三次元データの一例としての三次元点群データ、13A…開封面領域、A,B,C,D…頂点、E,F…中点、L1…切断経路の一例としての第1切断経路、L2…切断経路の一例としての第2切断経路、Ls1…長辺、Ls2…短辺、P1,P2,P3…点、PR…プログラム、CI…二次元画像データ、Y1…搬送方向、Y…長辺方向、X…短辺方向(幅方向)、Z…交差方向の一例としての高さ方向。