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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/20 20060101AFI20240329BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F23G5/20 A ZAB
F23G5/44 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020105145
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021196150
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308030570
【氏名又は名称】株式会社エム・アイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】中村 康行
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-110163(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00385098(EP,A2)
【文献】実開昭63-108097(JP,U)
【文献】特開平07-225086(JP,A)
【文献】特開2013-044482(JP,A)
【文献】特開平08-082410(JP,A)
【文献】米国特許第04422388(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 - 7/14
F23M 5/00 - 5/08
F27B 7/28
F27D 1/16
B09B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を供給する燃料供給部と、
前記燃料の供給を受けて、前記燃料を燃焼させる燃焼筒と、
前記燃焼筒の内側を構成する内筒と、
前記燃焼筒の外側を構成し、前記内筒の外側にある外筒と、
前記内筒と前記外筒との間に設けられる空気空間と、
前記内筒の内壁の延伸方向に沿って取り付けられる複数の空気供給ユニットと、を備え、
前記複数の空気供給ユニットのそれぞれは、
前記内壁に取り付けられる本体部と、
前記本体部を貫通して、前記燃焼筒の内部空間と前記空気空間とを連通させる空気孔と、を有し、
前記空気孔は、前記内筒の延伸方向に沿って、複数の異なる位置に設けられると共に、前記内筒の前方に向かうに伴って前記空気孔の内径が大きくなり、
前記本体部は、断熱材を含み、
前記複数の空気供給ユニットのそれぞれは、前記内壁の延伸方向に沿って取り付けられ、
前記複数の空気供給ユニットは、前記内壁の円周方向を分割する態様で、前記内壁の略全体に取り付けられ、
前記複数の空気供給ユニットのそれぞれは、前記内壁の円周方向において、相互の間に空隙をもって取り付けられ、
前記空隙には、緩衝材が備わり、
前記内壁は、前記内壁の延伸方向に沿っていると共に前記内壁の円周方向を複数の区画に分割する線状の突起を更に備え、
前記複数の空気供給ユニットのそれぞれは、前記複数の区画のそれぞれに取り付けられ、
前記複数の空気供給ユニットのそれぞれは、交換可能であり、
前記本体部は、前記内筒の円周方向のそれぞれの略中央において前記内筒の中心方向に突出する突出部を有しており、
前記空気孔は、前記突出部を貫通して、前記燃焼筒の円周方向に対して斜めに形成される燃焼装置。
【請求項2】
前記空気孔は、前記空気空間から前記内部空間へ、空気を供給する、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記空気空間は、空気を循環させて、前記空気孔から前記内部空間へ空気を供給する、請求項2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記内部空間での燃焼によって、前記空気空間内部の空気は加熱される、請求項1から3のいずれか記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記燃料供給部は、前記燃料に加えて、生活廃棄物、産業廃棄物、汚染土および廃プラスチックの少なくとも一つを、前記内部空間に供給する、請求項1からのいずれか記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温での燃焼を可能とする燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な目的のために燃焼装置が用いられる。廃棄物を燃焼処理するためであったり、燃焼によって生じる熱を利用するためであったりで、燃焼装置が用いられる。ここで、廃棄物を燃焼処理するためには、廃棄物を完全に燃焼させるための高温での燃焼を必要とする。例えば、生活廃棄物や産業廃棄物を燃焼させるためには、十分な高温での燃焼が必要である。特に、近年問題となっている廃棄プラスチックなどを燃焼処理するためには、十分な高温での燃焼処理が必要である。
【0003】
このため、既存のほとんどの燃焼装置は、廃棄プラスチックを十分に燃焼処理することができない。また、生活廃棄物や産業廃棄物であっても、燃焼が不十分となって、多くの残渣が残ってしまったり不完全燃焼の残存物が残ってしまったりすることがある。また、燃焼が不十分であることで、毒性につながるガスが発生してしまったりすることもある。また、燃焼が不十分となることで、燃焼装置そのものが、破損や故障してしまうこともある。
【0004】
また、燃焼熱を利用するために燃焼装置が利用される場合にも、燃焼装置における燃焼熱が十分高温であることが必要である。十分な高温であることで、適切な温度の燃焼熱が得られるからである。また、燃焼が不安定とならないことで、利用する燃焼熱の安定性も高まる。このため、燃焼装置は、十分であって安定した燃焼を行うことが求められる。
【0005】
また、燃焼熱を利用したり廃棄物を燃焼処理したりするだけでなく、汚染土などを燃焼により浄化することが必要となることもある。燃焼熱により、汚染土に含まれる汚染成分が揮発処理されたり変性処理されたりして、汚染土を浄化することができる。
【0006】
農地や耕作地を形成する場合はもちろん、建造物を建設するためには、用地を必要とする。これらの用地は、様々な環境にさらされていることが多く、水分や油分を多く含んでいたり、ヘドロや有機物などの不純物を含んでいたりすることがある。これらの土壌は、そのままでは建造物を建設したり、農地や耕作地のような特定用途に用いたりすることが困難である。あるいは、工場や下水からの汚水や汚泥によって、土壌が不純物を多く含むようになってしまうこともある。
【0007】
これらの汚泥や汚水によって不純物を含む汚染土は、放置されると、悪臭や公害になることもある。もちろん、上述の通り、特定用途に用いたり、建設用地として利用したりすることが困難である。これらのような不純物や水分などを多く含む土壌は、一般的な場所においても存在し、これら一般土壌の改質を行うことが求められている。
【0008】
これらの汚染土の改質を行う場合にも、燃焼によって実現される場合がある。この土壌改質のための熱処理においても、燃焼装置が用いられる。この場合の燃焼装置による燃焼でも、上述のように十分な高温での燃焼がなされる必要がある。
【0009】
このように燃焼装置における高温燃焼が、様々な面から求められている。この要望に対応するように、燃焼効率を高めた燃焼装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-303737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、熱分解炉装置10は燃焼室27と、燃焼室27を貫通して設けられた回転ドラム11と、回転ドラム11の入口側非加熱領域11a内に設けられた投入スクリュー22とを備えている。回転ドラム11の入口側非加熱領域11aに設けられた投入スクリュー22のスクリューケーシング23の上部に掻取板33が固定され、この掻取板33は半径方向外方へ回転しながら湾曲する形状を有している。この掻取板33により回転ドラム11内面に付着した付着物を取除く熱分解路装置を、開示する。
【0012】
特許文献1は、廃棄物等の燃焼を行い、燃焼において揮発成分であるガスと燃焼残差とに分離することを目的としている。
【0013】
しかしながら、特許文献1の技術は、燃焼室やドラム内部にクリンカが生じて残ってしまう。このクリンカが生じることで、熱分解路装置は、その燃焼効率を上げることが難しい。クリンカが残ったり付着したりすると、クリンカによって燃焼が阻害されてしまい、燃焼効率が下がるからである。
【0014】
あるいは、内部にクリンカが残ったり付着したりすると、定期的にクリンカを除去する作業も必要となる。クリンカの除去作業は手間が掛かり作業中においては、燃焼処理が実行できなくなってしまう。このために、時間軸上での燃焼効率が下がってしまう問題もある。
【0015】
このように、特許文献1をはじめとする従来技術においては、燃焼熱を利用したり、廃棄物を燃焼処理したり、汚染土の浄化を行なったりするための燃焼熱が不十分である問題があった。特に、燃焼熱の高温レベルが不十分である問題があった。
【0016】
また、廃棄プラスチックなどをはじめとした廃棄物を燃焼処理するには、十分な高温での燃焼が必要である。従来技術の構成のままでの燃焼装置で、高温となる燃焼を行なおうとすると、燃焼熱による燃焼装置への不具合や破損などに繋がる問題も生じる。結果として、廃プラスチックやその他の廃棄物の燃焼処理が困難となる問題がある。勿論、燃焼熱を利用する場合や汚染土の浄化を行うための燃焼装置としても、従来技術では不十分である問題がある。
【0017】
特に、今後世界中で求められる廃プラスチックの燃焼処理には、従来技術の燃焼装置では不十分である。
【0018】
このように、従来技術の燃焼装置では十分な燃焼熱を得ること、これに合わせて燃焼装置の破損などを低減することが難しいことの問題があった。
【0019】
本発明は、これらの課題に鑑み、十分な燃焼熱を得ると共に高温の燃焼熱であっても燃焼装置の破損などを低減できる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の燃焼装置は、燃料を供給する燃料供給部と、
燃料の供給を受けて、燃料を燃焼させる燃焼筒と、
燃焼筒の内側を構成する内筒と、
燃焼筒の外側を構成し、内筒の外側にある外筒と、
内筒と外筒との間に設けられる空気空間と、
内筒の内壁の延伸方向に沿って取り付けられる複数の空気供給ユニットと、を備え、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、
内壁に取り付けられる本体部と、
本体部を貫通して、燃焼筒の内部空間と空気空間とを連通させる空気孔と、を有し、
空気孔は、内筒の延伸方向に沿って、複数の異なる位置に設けられると共に、内筒の前方に向かうに伴って空気孔の内径が大きくなり、
本体部は、断熱材を含み、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、内壁の延伸方向に沿って取り付けられ、
複数の空気供給ユニットは、内壁の円周方向を分割する態様で、内壁の略全体に取り付けられ、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、内壁の円周方向において、相互の間に空隙をもって取り付けられ、
空隙には、緩衝材が備わり、
内壁は、内壁の延伸方向に沿っていると共に内壁の円周方向を複数の区画に分割する線状の突起を更に備え、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、複数の区画のそれぞれに取り付けられ、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、交換可能であり、
本体部は、内筒の円周方向のそれぞれの略中央において内筒の中心方向に突出する突出部を有しており、
空気孔は、突出部を貫通して、燃焼筒の円周方向に対して斜めに形成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の燃焼装置は、燃料を燃焼させる内部空間に対して、燃焼筒の空気空間からの空気の供給を受ける。この空気の供給によって、燃焼筒の内部空間における燃焼による燃焼熱がより高温になる。この高温での燃焼により、化石燃料やバイオマス燃料などだけでなく、廃棄物の燃焼処理も行うことができる。
【0022】
また、燃焼筒の内部空間に空気を供給する空気供給ユニットは、内部空間の内壁の延伸方向に沿って複数の空気供給ユニットが組み合わされている。複数の空気供給ユニットが組み合わされて内壁の内周を分割しつつ埋めている。この形態により、内部空間が非常に高温となって燃焼筒の外周の温度が高くない場合の温度差があっても、空気供給ユニットのそれぞれの変形などが生じにくい。この変形が生じにくいことで、空気空間から内部空間への空気供給を確実に行える。
【0023】
また、変形が生じにくいことで、燃焼装置の故障や破損などを生じさせにくく、加えて、使用者に不安を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】参考技術における燃焼装置の側面図である。
図2】参考技術における燃焼装置の正面図である。
図3】本発明の実施の形態1における燃焼装置の側面図である。
図4図3のA-Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の発明に係る燃焼装置は、燃料を供給する燃料供給部と、
燃料の供給を受けて、燃料を燃焼させる燃焼筒と、
燃焼筒の内側を構成する内筒と、
燃焼筒の外側を構成し、内筒の外側にある外筒と、
内筒と外筒との間に設けられる空気空間と、
内筒の内壁の延伸方向に沿って取り付けられる複数の空気供給ユニットと、を備え、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、
内壁に取り付けられる本体部と、
本体部を貫通して、燃焼筒の内部空間と空気空間とを連通させる空気孔と、を有する。
【0026】
この構成により、高い燃焼熱での燃焼を実現する。併せて、複数の空気供給ユニットで内壁が分割されて覆われることで、燃焼筒2の高温化を防止し更に燃焼筒や空気供給ユニットの膨張・変形・破損などを抑制できる。
【0027】
本発明の第2の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、空気孔は、空気空間から内部空間へ、空気を供給する。
【0028】
この構成により、内部空間に継続的に十分な空気を供給できる。この空気の供給により、内部空間では、高い燃焼熱と燃焼効率で、燃焼が実現される。
【0029】
本発明の第3の発明に係る燃焼装置では、第2の発明に加えて、空気空間は、空気を循環させて、空気孔から内部空間へ空気を供給する。
【0030】
この構成により、内部空間への空気孔を介した空気供給の量を高めることができる。また、切れ目なく空気を供給させることもできる。
【0031】
本発明の第4の発明に係る燃焼装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、内部空間での燃焼によって、空気空間内部の空気は加熱される。
【0032】
この構成により、空気空間での空気循環が促進されて、空気孔から内部空間への空気の供給能力が高まる。また、加熱空気の供給により、内部空間での燃焼効率が高まる。
【0033】
本発明の第5の発明に係る燃焼装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、空気孔は、内筒の延伸方向に沿って、複数の異なる位置に設けられると共に、内筒の前方に向かうに伴って空気孔の内径が大きくなる。
【0034】
この構成により、高い燃焼熱を必要とする前方側により多くの空気を供給できる。結果として、内部空間での燃焼能力を高めることができる。
【0035】
本発明の第6の発明に係る燃焼装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、本体部は、断熱材を含む。
【0036】
この構成により、内部空間での燃焼熱が高くても、燃焼筒2の外部に伝導することを抑制できる。結果として、燃焼装置の耐久性を高めて使用の容易性を高める。
【0037】
本発明の第7の発明に係る燃焼装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、複数の空気供給ユニットのそれぞれは、内壁の延伸方向に沿って取り付けられ、
複数の空気供給ユニットは、内周の円周方向を分割する態様で、内壁の略全体に取り付けられる。
【0038】
この構成により、内壁の全体を覆うことを実現しつつ、一つずつは小さな空気供給ユニットであることで、燃焼熱による膨張や変形などを抑制することができる。
【0039】
本発明の第8の発明に係る燃焼装置では、第7の発明に加えて、複数の空気供給ユニットのそれぞれは、内壁の円周方向において、相互の間に空隙をもって取り付けられる。
【0040】
この構成により、空気供給ユニットが燃焼熱で膨張したり変形したりする場合でも、空隙によって吸収される。これにより空気供給ユニットの破損や故障などに繋がることが抑制される。
【0041】
本発明の第9の発明に係る燃焼装置では、第8の発明に加えて、空隙には、緩衝材が備わる。
【0042】
この構成により、空気供給ユニットの膨張や変形が吸収される。
【0043】
本発明の第10の発明に係る燃焼装置では、第8または第9の発明に加えて、内壁は、内壁の延伸方向に沿っていると共に内壁の円周方向を複数の区画に分割する線状の突起を更に備え、
複数の空気供給ユニットのそれぞれは、複数の区画のそれぞれに取り付けられる。
【0044】
この構成により、内壁全体でありながら、区画に分割された態様で空気供給ユニットが備わった状態となる。
【0045】
本発明の第11の発明に係る燃焼装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、複数の空気供給ユニットのそれぞれは、交換可能である。
【0046】
この構成により、燃焼装置のメンテナンス性が高まる。メンテナンスコストも低減できる。
【0047】
本発明の第12の発明に係る燃焼装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、空気孔は、燃焼筒の円周方向に対して斜めに形成される。
【0048】
この構成により、供給される空気は、内部空間で対流を生じさせることができる。対流によって、内部空間での燃焼効率を更に高めることができる。
【0049】
本発明の第13の発明に係る燃焼装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、燃料供給部は、燃料に加えて、生活廃棄物、産業廃棄物、汚染土および廃プラスチックの少なくとも一つを、内部空間に供給する。
【0050】
この構成により、従来は難しかった廃棄物なども、確実に燃焼処理できる。
【0051】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0052】
(実施の形態1)
【0053】
(発明者による解析)
参考技術をもとにして、発明者による解析を説明する。図1は、参考技術における燃焼装置の側面図である。図2は、参考技術における燃焼装置の正面図である。図1は、燃焼装置200を側面から見た状態であって、内部を透視状態として示している。図2は、燃焼装置200を正面である開口部から見た状態を示している。
【0054】
燃焼装置200は、内部空間203内部での燃料の燃焼をより高温で燃焼させるために検討される参考技術での構成を有している。燃焼装置200は、外筒204と外筒204の内側である内筒205を備える。外筒204と内筒205の間には、空気が循環して後述する空気孔208から内部空間203に空気を送り込むための空気空間206が備わる。
【0055】
また、内部空間203に燃料を供給する燃料供給部202が備わる。燃料供給部202は、内部空間203に連通して、燃料を供給できる。
【0056】
内筒205の内壁には、空気供給装置210が備わっている。空気供給装置210は、内壁全体に装着される形態を有した一体の装置である。すなわち、空気供給装置210が、内壁全体を埋めるように装着されている。
【0057】
空気供給装置210は、内筒205の延伸方向に沿っている空気パイプ207と、空気パイプ207の外側を覆う断熱部材209と、空気空間206と内部空間203とを連通させる空気孔208を備える。この空気孔208は、空気空間206から空気パイプ207を経由して、内部空間203までを連通させている。この連通によって、まず空気空間206から空気パイプ207に空気が送られる。空気パイプ207は、図1に示されるように内壁の延伸方向に沿って設けられる。このため、空気空間206から空気パイプ207に送られた空気は、内壁の延伸方向に循環する。
【0058】
この延伸方向への循環した空気は、空気パイプ207の延伸方向の途中に設けられた複数の空気孔208から内部空間203に供給される。空気供給装置210は、複数の空気パイプ207を備える。これら複数の空気パイプ207のそれぞれは、空気孔208を介して、空気空間206からの空気を内部空間203に供給できる。
【0059】
空気パイプ207以外の部分は、図1図2に示されるように、断熱材209で充填されている。
【0060】
燃焼筒201は、図1のように延伸方向の長さを持っている。燃料が供給された状態で、内部空間203にて燃料が燃焼される場合に、空気孔208から空気が供給されることで、内部空間203全体での燃焼に空気を恒常的に供給できる。これにより、高い燃焼熱で燃焼を実現できる。
【0061】
しかしながら、参考技術の燃焼装置200では、空気供給装置210が一体として内壁に装着されている。また、空気供給装置210は、内部空間203においては、熱の伝導性の低い断熱材209と、空気パイプ207に連通する空気孔208とのそれぞれが露出している。上述の通り、内部空間203は、燃焼によって高温となる。この高温の熱は、空気供給装置210の表面に放射される。
【0062】
ここで、断熱材209の部分は、燃焼熱による温度上昇が小さく、空気孔208の部分は、燃焼熱による温度上昇が大きくなる。このため、空気パイプ207は、部位によって温度上昇が異なってしまう。また、空気孔208や空気パイプ207を通じて燃焼筒の内筒205や外筒204に伝わる熱も、断熱材209の部分と空気孔208の部分とで相違する。
【0063】
この結果、空気パイプ207の部位によって温度上昇が相違してしまう。この状態が蓄積することで、空気パイプ207が変形したり場合によっては破損したりしてしまうこともあり得る。
【0064】
変形により、空気孔208からの空気供給に不具合が生じる懸念もある。また、変形していることで、燃焼装置200全体への不具合や故障に繋がる懸念もある。さらに、燃焼装置200の使用者が、燃焼装置200が壊れたと思ってしまう問題もありえる。
【0065】
また、変形により空気供給装置210を交換する場合には(交換が必要で交換する場合も、交換は不要だが使用者が変形していることで交換したいと考える場合とがある)、空気供給装置210全体をまとめて交換する必要がある。これは、燃焼装置200を分解作業などする必要も生じて、メンテナンス性が悪い。勿論、交換費用も大きくなってしまう。
【0066】
このように、より高温の燃焼熱での燃焼を実現するために検討される参考技術の燃焼装置200は、変形や故障などといった問題が考えられる。また、メンテンナンス性の低下やメンテナンス費用の高額化などの問題が考えられる。
【0067】
発明者は、このような解析に基づいて、本発明に至った。
【0068】
(全体概要)
図3は、本発明の実施の形態1における燃焼装置の側面図である。図3は、燃焼装置1の内部を透視可能な状態で示している。図4は、図3のA-Aに沿った断面図である。図4は、燃焼装置1の内部空間21内部が分かるような態様で示している。
【0069】
燃焼装置1は、燃料供給部5、燃焼筒2、内筒4、外筒3、空気空間6、複数の空気供給ユニット7を、備える。図3のように、燃焼筒2と燃料供給部5とが連通して連結している。外筒3と内筒4とは、燃焼筒2を構成する要素である。複数の空気供給ユニット7は、内筒4の内壁に取り付けられて組み込まれる。
【0070】
燃料供給部5は、燃料を燃料筒2の内部空間21に燃料を供給する。燃料を供給することで、燃焼筒2の内部空間21での燃料による燃焼が実現される。燃料供給部5は、回転部51を有している。この回転部51により、燃料供給部5に投入された燃料は、効率よくかつある程度の単位量を維持しながら内部空間21に供給される。回転部51が回転する。回転部51に備わる羽根が回転しながら、燃料を内部空間21に送り込むからである。
【0071】
燃焼筒2は、燃料の供給を受けて燃料を燃焼させる。燃焼筒2は、外筒3と内筒4とを備える。また、内筒4の内部が、内部空間21となる。この内部空間21を有することで、燃焼筒2は、内部空間21での燃焼を行う。また、燃焼筒2は、燃焼装置1の外形を構成する。
【0072】
外筒3は、内筒4の外側にある。外筒3は、燃焼筒2の外形を構築する。内筒4は、外筒3の内側に備わる。外筒3および内筒4のそれぞれは、円筒状の形状を有している。燃料供給部5と逆側の前方は開口して開口部22となっている。すなわち、外筒3と内筒4とは、その前方を開口状態としている。根元部分は、図3のように、燃料供給部5と接続する形態である。
【0073】
外筒3と内筒4とは、内径の異なる円筒状の部材であり、外筒3の内側に内筒4が備わる態様である。外筒3は、燃焼筒2の外側を構成し、内筒4は、燃焼筒2の内側を構成する。
【0074】
外筒3と内筒4との間には空間が形成される。内径の違いにより生じるからである。この外筒3と内筒4との間に生じる空間が空気空間6である。空気空間6は、空気供給ユニット7を介して、内部空間21に空気を供給する。このため、空気空間6の根元は、外部に連通している。外部に連通していることで、外部から空気が空気空間6に継続して入ってくる。この継続して入ってくる空気を、空気空間6は、空気供給ユニット7を介して、内部空間21に供給する。
【0075】
複数の空気供給ユニット7は、内筒4の内壁の延伸方向(図3の横方向)に沿って取り付けられる。複数の空気供給ユニット7のそれぞれが、内壁の延伸方向に沿って取り付けられることで、内壁全体に渡って空気供給ユニット7が取り付けられたような状態となる。ただし、複数の空気供給ユニット7の組み合わせによって、内壁全体に渡って取り付けられた状態である。
【0076】
複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、空気空間6から内部空間21に空気を供給する。
【0077】
複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、内壁に取り付けられる本体部72と、本体部72を貫通して内部空間21と空気空間6とを連通させる空気孔71とを有する。この空気孔71が、空気空間6から内部空間21に空気を供給する。この空気孔71は、複数の空気供給ユニット7のそれぞれに設けられる。
【0078】
図4のように、内壁の内周方向においては、複数の空気供給ユニット7が取り付けられている。すなわち、内壁の円周方向は、複数の空気供給ユニット7により分割されているような態様である。このため、複数の空気供給ユニット7のそれぞれに空気孔71が設けられていることで、内周方向の分散した複数の角度方向から、空気が内部空間21に供給されるようになる。
【0079】
空気孔71は、空気空間6と内部空間21を連通させる。これにより、空気孔71は、空気空間6から内部空間21へ空気を供給できる。このとき、空気空間6には、外部から継続して空気が入るので、空気孔71も、内部空間21に継続して空気を供給することができる。
【0080】
この結果、内部空間21には十分な空気が継続的に供給される。また、内周方向の様々な角度方向から供給されることで、空気の供給状態も、燃焼効率および燃焼レベルの向上に好ましい。結果として、燃焼装置1は、燃料を高い燃焼熱で燃焼させることができる。高い燃焼熱で燃焼させることができると、従来技術では十分な燃焼処理ができなかった廃棄物を燃焼処理できる。また、廃プラスチックも、燃焼処理することができるようになる。
【0081】
また、図4に示されるように、空気供給ユニット7は、本体部72と空気孔71を備える。このとき、内部空間21に向けては、本体部72がそのほとんどを露出している。空気孔71の開口部だけが露出しており、空気孔71を構成する部材は本体部72でおおわれている。このため、参考技術のように、空気孔の部材が露出していない。また、空気パイプなどもない。
【0082】
ここで、燃焼装置1の内部空間21での燃焼熱が高温となると、参考技術で説明したように、空気供給ユニット7での温度上昇による影響が考えられる。しかしながら、燃焼装置1では、内壁の外周全体において、複数の空気供給ユニット7が組み合わされている。これにより、温度上昇による影響があっても、一つ一つの空気供給ユニット7は小さいので変形や破損などの問題を生じさせにくい。
【0083】
また、参考技術に係る図2と本発明の燃焼装置1の図4を比較すればわかるように、内部空間21に、空気孔71を形成する部材が露出していない。本体部72に設けられた空気孔71の開口部があるだけである。このため、空気供給ユニット7での、温度上昇の大きな差が生じにくくなる、この点でも、空気供給ユニット7の変形や破損などの問題を生じさせにくい。
【0084】
これらの問題が生じにくいことで、燃焼装置1そのものの故障などを抑制できる。また、使用者が壊れたと考えてしまう問題も解消できる。また、必要であれば、参考技術のような全体の空気供給ユニット全体を交換するのではなく、複数の空気供給ユニット7のいずれかを交換するだけでよい。これにより、メンテナンス性も向上する。
【0085】
次に、各部の詳細などについて説明する。
【0086】
(燃焼筒)
燃焼筒2は、円筒状を有しており、外筒3と内筒4の二重構造を有している。円筒状であって、先端が開口部22により開口している。根元には、燃料供給部5が取り付けられている。このため、開口部22により先端は開口し、燃料供給部5により根元が塞がれている構造を有する。このような構造によって、内部空間21が形成される。
【0087】
内部空間21は、供給された燃料を実際に燃焼させる空間である。内部空間21において、上述したように十分高温の燃焼熱をもって、燃料が燃焼できる。燃焼筒2は、このような高温の燃焼に耐えられるように、耐熱性や耐久性の高い金属や合金で形成されていることが好適である。
【0088】
また、燃焼筒2は、必要に応じて回転可能であることも好適である。回転可能であることで、内部空間21に供給される燃料を攪拌しながらより効率的な燃焼を実現できる。また、空気供給ユニット7の空気孔71から供給される空気も、内部空間21において循環しやすくなる。この点でも、燃焼筒2が回転可能であることで、内部空間21における燃焼効率が高まり、より高い燃焼熱で燃焼することができる。
【0089】
開口部22からは、燃焼に伴う燃焼熱が放出される。放出される燃焼熱は、様々な用途に利用可能である。熱を利用した温水化装置、熱を利用した発電装置などに利用可能である。
【0090】
また、燃焼筒2は、燃焼時においては水平向きであってもよいし、若干下向きになっていることでもよい。燃焼効率の増加につながるからである。また、図3などには示していないが、燃焼筒2を支持する支持部材を備えていることもよい。支持部材により、燃焼装置1そのものの使用が容易となるからである。
【0091】
(外筒と内筒)
外筒3と内筒4とは、燃焼筒2を構成する。外筒3は、燃焼筒2の外形を構成し、内筒4は、燃焼筒2の内部を構成する。外筒3と内筒4とは燃焼筒2の二重構造を実現する。内筒4の直径は外筒3の内径よりも小さい。この大きさの差によって、内筒4は、外筒3の内部に収まると共に、内筒4と外筒3との間に隙間を生じさせることができる。
【0092】
この隙間が、空気空間6となる。
【0093】
燃料が実際に燃焼する内部空間21は、この空気空間6に囲われている。この空気空間6からの空気が供給されることで、開口部21以外が閉鎖されていても、内部空間21における燃焼効率は高い。
【0094】
外筒3と内筒4は、燃焼筒2を構成する要素であり、内部空間21での燃焼に対応する。このため、外筒3と内筒4のそれぞれは、耐久性および耐熱性に優れた金属や合金などの素材で形成されることが好適である。
【0095】
内筒4の内壁には、上述したように、複数の空気供給ユニット7が取り付けられる。この結果、内筒4の内壁は、複数の空気供給ユニット7で全体が(隙間もなくという限定的な意味ではない)おおわれた状態である。内部空間21から見ると、内筒4の内壁は、複数の空気供給ユニット7でおおわれている。また、複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、内筒4の延伸方向(図3の横方向)に沿っている。このため、内壁の内周方向において、複数の空気供給ユニット7が区画を分割するようにして取り付けられている。
【0096】
(空気空間)
空気空間6は、外筒3と内筒4との間の隙間の空間である。空気空間6の根元は、燃焼筒2の根元側(燃料供給部5側)において、外部に連通している。また、空気空間6の先端側(開口部21側)は、外部に連通あるいは、内部空間21に連通している。これらのような根元と先端との連通によって、空気空間6には、外部からの空気が常に供給される状態となる。
【0097】
また、根元と先端との連通によって、空気空間6は空気を循環させることができる。更に、空気空間6は、空気孔71によって内部空間21と連通している。このことによっても、空気空間6は、その内部において、空気を循環させることができる。
【0098】
また、内部空間21においては、燃料が燃焼する。この燃焼熱は、内部空間21に露出している内側に熱を伝える。内部空間21に露出している内側は、図4のように、複数の空気供給ユニット7が存在する。内部空間21での燃焼熱は、この空気供給ユニット7に放射される。この放射を受けた空気供給ユニット7は、燃焼熱を空気空間6に伝導させる。この熱伝導により、空気空間6内部の空気は、加熱される。
【0099】
後述するように、空気供給ユニット7の本体部72は、断熱材で形成されている場合もある。この場合には熱伝導は低いが、一定の熱伝導は生じる。この熱伝導によって、空気空間6の空気は加熱される。この加熱により、空気空間6の内部では、空気の循環がより促進される。
【0100】
この空気循環が促進されることで、空気供給ユニット7の空気孔71からの内部空間21への空気の供給がより効率的になる。効率的になることで、内部空間21での燃焼効率が更に高まる。また、加熱された空気が供給されることで、燃焼熱を更に高めて、燃料を燃焼させることができる。
【0101】
燃焼効率や燃焼熱が高まることで、従来は燃焼処理が不十分となっていた廃棄物などを確実に燃焼させることができる。
【0102】
(空気供給ユニット)
複数の空気供給ユニット7は、内筒4の内壁の延伸方向に沿って取り付けられる。図3図4には、この状態が示されている。複数の空気供給ユニット7のそれぞれが延伸方向に沿って取り付けられることで、内周方向は、複数の空気供給ユニット7で区画のように分割された状態となる。内周方向の断面は、図4のように、複数の空気供給ユニット7が分割したような態様である。
【0103】
空気供給ユニット7のそれぞれは、本体部72と本体部72を貫通する空気孔71とを備える。内壁に取り付けられると、空気孔71は、空気空間6と内部空間21とを連通させる。また、取り付けられた状態では、本体部72が内部空間21に露出している。空気孔71については、開口部のみが露出している。
【0104】
このような取り付け状態により、内壁の内部空間21側においては、本体部72が空気孔71の開口部以外は本体部72が露出している態様である。ここで、本体部72は、断熱材を含む。断熱材を含むことで、内部空間21での高温の燃焼が生じても、内筒4や外筒3の温度上昇を抑制することができる。特に外筒3の温度上昇を抑えることで、燃焼装置1の使用現場での取り扱いの困難性を軽減できる。
【0105】
空気供給ユニット7は、空気孔71を備える。このとき、図3に示す通り、空気供給ユニット7は、内筒4の延伸方向に沿って備わる。この延伸方向に沿って、図3のように、空気供給ユニット7のそれぞれは、複数の空気孔71を備えることも好適である。複数の空気孔71が備わることで、空気空間6からより多くの空気を内部空間21に供給することができる。また、空気空間6から空気を供給する場合に、より効率的かつ効果的に送ることもできる。特に、複数の空気孔71のどれかが不純物などで塞がってしまっても、他の空気孔71からの空気供給が可能である。
【0106】
内壁には、複数の空気供給ユニット7が取り付けられる。複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、複数の空気孔71を備える。この結果、内壁に向けては、多数の空気孔71が、空気空間6と連通して備わる。空気空間6は、外周に沿った全体に渡っており、これらの全体から、多数の空気孔71が空気を内部空間21に供給できる。
【0107】
このように複数の空気孔71が設けられることで、内部空間21に十分な量の空気が供給される。この十分な量の空気供給により、内部空間21で高温の燃焼熱で十分な燃焼が行える。複数の空気孔71は、異なる複数の位置のそれぞれに設けられる。
【0108】
また、内筒4の前方側(開口部22側)に向かうにつれて、複数の空気孔71の内径が大きくなっていくことも好適である。大きくなっていくことで、内部空間21の前方における空気供給量が根元側よりも大きくなり、燃焼効率を高めることができるからである。
【0109】
特に、内部空間21の根元は燃料供給部5から燃料が供給される部分である。ここで燃焼が始まり、前方に行くほど燃焼が拡大および燃焼レベルが上がっていく。このため、先端ほどより多くの空気供給を得られることは、燃焼装置1全体での燃焼レベルや燃焼効率の向上に適している。この点で、空気供給ユニット7のそれぞれの延伸方向において設けられる複数の空気孔71において、前方ほど空気孔71の内径が大きいことは好適である。
【0110】
複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、内筒4の内壁の延伸方向に沿って取り付けられる。また、内壁の内周方向(円周方向)を、複数の空気供給ユニット7が分割する態様となって、複数の空気供給ユニット7が取り付けられる。図4は、燃焼筒2を正面(開口部21)から見た状態を示している。複数の空気供給ユニット7が、内周方向を分割したような態様となっている。図4では、一例として、8個の空気供給ユニット7が取り付けられている。8個の空気供給ユニット7が、内周方向を8分割した状態である。
【0111】
また、図4のように円周方向を分割する態様であると共に、図3のように内壁の略全体に、複数の空気供給ユニット7が取り付けられる。略全体に取り付けられることで、断熱材である本体部72が、内壁の略全体を覆うようになる。この結果、内部空間21での燃焼熱が燃焼筒2につたわることを低減できる。また、全体に空気供給ユニット7が備わることで、内壁全体に空気孔71が備わる態様となり、内部空間21に、効率よくまた満遍なく空気を供給できる。
【0112】
図4では、複数の空気供給ユニット7は、内壁の内周方向(円周方向)において、隣接する空気供給ユニット7相互の間に空隙73をもって取り付けられる。空隙73をはさむようにして、空気供給ユニット7のそれぞれが内壁に取り付けられる。
【0113】
空隙73が備わることで、内部空間21での燃焼による熱を受けた空気供給ユニット7が膨張したり若干の変形をしたりしても、この空隙がこれら膨張や変形を吸収できる。また、燃焼熱によって、内筒4や外筒3が少し膨張したり変形したりすることもありえる。これらの膨張や変形が生じると、空気供給ユニット7が、これに引きずられることがありえる。この場合も、空隙73が、これを吸収して、空気供給ユニット7の変形や破損などをより確実に防止できる。
【0114】
また、図4に示されるように、空隙73には、緩衝材75が備わることも好適である。燃焼熱によって外筒3、内筒4および空気供給ユニット7が膨張や変形する場合でも、緩衝材75が、これらの膨張や変形を吸収できる。この九州によって、空気供給ユニット7の変形や破損などを、更に低減できる。内壁全体において、空気供給ユニット7が複数であることで、一つ一つの空気供給ユニット7は相対的に小さくなる。この結果、熱の影響による膨張や変形の度合いが低下する。これに加えて、空隙73や緩衝材75によって、膨張や変形を吸収できることになる。
【0115】
これらの特徴の結果、参考技術で説明したような変形や故障、あるいは不要な交換修理などの問題を解消できる。
【0116】
内壁は、内壁の延伸方向に沿っていると共に、内壁の円周方向を複数の区画に77分割する線状の突起76を更に備える。図4では、円周方向(内壁の内周)を、8分割する区分に合わせて、線状の突起76が備わっている。言い換えれば、8つの突起76が、内周方向を8つの区画77に区分している。勿論、燃焼筒2そのものがより大きくなる場合には、区画77の数を増加させて、より多数の空気供給ユニット7を取り付けることでもよい。燃焼装置1が大型化すれば、熱量を生成する場合にも好適である。
【0117】
複数の空気供給ユニット7のそれぞれは、8つの区画77のそれぞれに取り付けられる。空気供給ユニット7の形状や大きさは、この区画77の形状や大きさに合っている。これにより、区画77に空気供給ユニット7が挿入されて固定されるなどするだけで、空気供給ユニット7は、区画77に取り付けられる。複数の区画77のすべてに空気供給ユニット7が取り付けられれば、内壁の略全体が、空気供給ユニット7で覆われる。
【0118】
略全体が覆われれば、内部空間21に面する内壁の略全体は、断熱材を備える本体部72で覆われることになる。これにより、内部空間21で燃焼がなされても、この燃焼熱が燃焼筒2に強く伝導することを防止できる。さらに、本体部72を貫通する複数の空気孔71が、内壁の略全体に存在する状態となる。この結果、内部空間21全体に、空気空間6から空気が供給されるようになる。
【0119】
また、複数の区画77のそれぞれに空気供給ユニット7が取り付けられる構成により、空気供給ユニット7のそれぞれは、交換可能である。交換可能であることで、いずれかの空気供給ユニット7に不具合が発生すれば、その空気供給ユニット7だけを交換すれば済むようになる。
【0120】
このように交換可能であることで、燃焼装置1のメンテナンス性が高まる。
【0121】
以上のように、実施の形態1における燃焼装置1は、より高い燃焼熱での効率よい燃焼を実現できる。高い燃焼熱、燃焼レベル、燃焼効率により、従来は燃焼処理の難しかった廃棄物や廃プラスチックなども、燃焼処理させることができる。
【0122】
また、これを実現する空気供給ユニット7が、複数により内壁に取り付けられる。これにより、燃焼熱による空気供給ユニット7の変形、膨張、破損などの発生を抑制できる。また、変形などの抑制により、使用者への不安を減少させることもできる。更に、高いメンテナンス性を実現できる。
【0123】
(実施の形態2)
【0124】
次に、実施の形態2について説明する。
【0125】
(空気孔の方向)
空気孔71は、燃焼筒2の円周方向に対して斜めに形成されることも好適である。図4は、空気孔71が、円周方向に対して斜めに形成されている状態を示している。円周方向に斜めとは、内筒4の円周における接線に対して、垂直ではない角度で形成されている状態である。
【0126】
空気孔71が、このような斜めの角度で形成されていることで、空気孔71から内部空間に供給される空気は、内部空間21内部で対流を生じさせやすい。斜め角度の複数の空気孔71から空気が供給されると、内部空間21に垂直方向の供給と異なり、それぞれの空気が内壁にぶつかったり相互にぶつかったりして、対流特に旋回対流を生じさせやすい。
【0127】
また、上述したように、燃焼筒2が回転しながらであると、更に内部空間21での空気の対流が生じやすい。
【0128】
空気孔71の形態により、内部空間21内部に供給される空気による対流の発生により、内部空間21での燃焼効率が更に高まる。結果として、高い燃焼熱で燃料を燃焼させることができる。燃焼熱が高いことで、従来は燃焼させることが難しかった廃棄物や廃プラスチックも確実に燃焼処理させることができる。
【0129】
また、空気孔71が斜めの角度で形成されていることで、仮に燃焼熱で空気供給ユニット7が膨張や変形などしても、空気孔71の変形に繋がりにくい効果がある。また、空気孔71が斜めであることで、空気供給ユニット7の芯棒となって、空気供給ユニット7の変形などをより抑制できるメリットもある。
【0130】
(燃料供給部)
燃料供給部5は、燃料を供給する。燃料としては、化石燃料、バイオマス燃料などの燃焼用の燃料である。燃料供給部5は、この燃料に加えて、生活廃棄物、産業廃棄物、汚染土および廃プラスチックの少なくとも一つを、内部空間21に供給する。
【0131】
内部空間21では、燃料の燃焼に伴って、生活廃棄物、産業廃棄物、汚染土および廃プラスチックなどを一緒に燃焼させることができる。上述したように、空気供給ユニット7や空気空間6などにより、内部空間21では、高い燃焼熱で燃焼を実現できる。このため、上記の廃棄物や廃プラスチックも十分に燃焼処理できる。
【0132】
参考技術や従来技術の燃焼装置では、燃焼熱が不十分であった。このため、様々な廃棄物や廃プラスチックを十分に燃焼処理できない問題があった。これに対して、本発明の燃焼装置1は、十分に高い燃焼熱によってこれらの廃棄物を十分に燃焼処理できる。
【0133】
以上、実施の形態1~2で説明された燃焼装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0134】
1 燃焼装置
2 燃焼筒
21 内部空間
22 開口部
3 外筒
4 内筒
5 燃料供給部
6 空気空間
7 空気供給ユニット
71 空気孔
72 本体部
73 空隙
75 緩衝材
76 突起
図1
図2
図3
図4