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特許7462304点流速検出装置及び点流速センサ用カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】点流速検出装置及び点流速センサ用カバー
(51)【国際特許分類】
   G01P 5/04 20060101AFI20240329BHJP
   G01F 1/28 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G01P5/04 B
G01F1/28 B
G01P5/04 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020107753
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003313
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591015278
【氏名又は名称】株式会社 拓和
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】バネパリ アヌ
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 重信
(72)【発明者】
【氏名】宮下 勉
(72)【発明者】
【氏名】小池 秀之
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158463(JP,A)
【文献】特開2007-304061(JP,A)
【文献】特開2009-300346(JP,A)
【文献】特許第4794931(JP,B2)
【文献】特開2006-226755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 5/02 ~ 5/04
G01F 1/00 ~ 1/54
E02B 1/00 ~ 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流の点流速を検出する点流速センサと、
前記点流速センサを覆う点流速センサ用カバーと、
を備え、
前記点流速センサは、
前記点流速センサを鉛直方向の設置面に取り付けた状態で、鉛直方向と平行の方向の底面と、前記底面と対向する天面と、河床側を向く下面と、前記下面と対向する上面と、前記水流としての順流が当たる側の上流側側面と、前記水流としての逆流が当たる側の逆流側側面とを有し、前記下面に開口が形成されているケースと、
一部が前記開口より前記ケースの外部へと突出し、水流によって前記ケース内に設けられている回転軸を中心として所定の角度の範囲で正方向または逆方向に回転する検知アームと、
を備え、
前記点流速センサ用カバーは、
前記天面を覆う天板部と、
前記上流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第1の傾斜部と、
前記逆流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第2の傾斜部と、
前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部における少なくとも前記下面側の側端部に設けられ、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部の面と直交する方向に突出するフランジと、
を備える
点流速検出装置。
【請求項2】
前記フランジが前記ケースの前記下面と鉛直方向の同じ位置となるように、前記点流速センサと前記点流速センサ用カバーとが互いに位置決めされている請求項1に記載の点流速検出装置。
【請求項3】
水流の点流速を検出する点流速センサを覆う点流速センサ用カバーであり、
前記点流速センサは、
前記点流速センサを鉛直方向の設置面に取り付けた状態で、鉛直方向と平行の方向の底面と、前記底面と対向する天面と、河床側を向く下面と、前記下面と対向する上面と、前記水流としての順流が当たる側の上流側側面と、前記水流としての逆流が当たる側の逆流側側面とを有し、前記下面に開口が形成されているケースと、
一部が前記開口より前記ケースの外部へと突出し、水流によって前記ケース内に設けられている回転軸を中心として所定の角度の範囲で正方向または逆方向に回転する検知アームと、
を備え、
前記点流速センサ用カバーは、
前記天面を覆う天板部と、
前記上流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第1の傾斜部と、
前記逆流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第2の傾斜部と、
前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部における少なくとも前記下面側の側端部に設けられ、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部の面と直交する方向に突出するフランジと、
を備える
点流速センサ用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点流速検出装置及び点流速センサ用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水流によって回転軸を中心として所定の角度の範囲で正逆方向に回転する棒状の検知アームと、検知アームと一体的に回転し、検知アームの角度を検出するための加速度センサとを備える点流速センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-158463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている点流速センサにおいて、検知アームはその一部がケースの下面に設けた開口より外部へと突出している。ケースの側面に当たる水流がケースの下面側へと回り込み、検知アームを本来の点流速による力以上の力で回転させてしまい、点流速が不正確に検出されることがある。点流速をより正確に検出することができる点流速検出装置を提供することが望まれる。
【0005】
本発明は、点流速をより正確に検出することができる点流速検出装置、及び、点流速センサによって点流速をより正確に検出するための点流速センサ用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水流の点流速を検出する点流速センサと、前記点流速センサを覆う点流速センサ用カバーとを備え、前記点流速センサは、前記点流速センサを鉛直方向の設置面に取り付けた状態で、鉛直方向と平行の方向の底面と、前記底面と対向する天面と、河床側を向く下面と、前記下面と対向する上面と、前記水流としての順流が当たる側の上流側側面と、前記水流としての逆流が当たる側の逆流側側面とを有し、前記下面に開口が形成されているケースと、一部が前記開口より前記ケースの外部へと突出し、水流によって前記ケース内に設けられている回転軸を中心として所定の角度の範囲で正方向または逆方向に回転する検知アームとを備え、前記点流速センサ用カバーは、前記天面を覆う天板部と、前記上流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第1の傾斜部と、前記逆流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第2の傾斜部と、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部における少なくとも前記下面側の側端部に設けられ、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部の面と直交する方向に突出するフランジとを備える点流速検出装置を提供する。
【0007】
本発明は、点流速センサを覆う点流速センサ用カバーであり、前記点流速センサは、前記点流速センサを鉛直方向の設置面に取り付けた状態で、鉛直方向と平行の方向の底面と、前記底面と対向する天面と、河床側を向く下面と、前記下面と対向する上面と、前記水流としての順流が当たる側の上流側側面と、前記水流としての逆流が当たる側の逆流側側面とを有し、前記下面に開口が形成されているケースと、一部が前記開口より前記ケースの外部へと突出し、水流によって前記ケース内に設けられている回転軸を中心として所定の角度の範囲で正方向または逆方向に回転する検知アームとを備え、前記点流速センサ用カバーは、前記天面を覆う天板部と、前記上流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第1の傾斜部と、前記逆流側側面を覆い、前記点流速センサから離れた位置から前記点流速センサに近付くに従って、前記設置面側から前記天板部側へと向かうように傾斜して前記天板部に繋がる第2の傾斜部と、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部における少なくとも前記下面側の側端部に設けられ、前記天板部と前記第1及び第2の傾斜部の面と直交する方向に突出するフランジとを備える点流速センサ用カバーを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の点流速検出装置によれば、点流速をより正確に検出することができる。本発明の点流速センサ用カバーによれば、点流速センサによって点流速をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の点流速検出装置の一部を構成する点流速センサの蓋を外した状態を示す平面図である。
図2図1に示す点流速センサを、ケースを切断した状態で示す側面図である。
図3図1に示す点流速センサにおける回転軸周囲の構成を一部断面にて示す拡大図である。
図4A図1に示す点流速センサにおける回転体及び加速度センサユニットが正方向に回転した状態におけるケーブルの状態を示す部分平面図である。
図4B図1に示す点流速センサにおける回転体及び加速度センサユニットが逆方向に回転した状態におけるケーブルの状態を示す部分平面図である。
図5】一実施形態の点流速検出装置を下面から見た平面図である。
図6】一実施形態の点流速検出装置の一部を構成する点流速センサ用カバー、及び一実施形態の点流速センサ用カバーを示す斜視図である。
図7】一実施形態の点流速検出装置を正面から見た平面図である。
図8】点流速センサに接続されたデータ送信部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態の点流速検出装置及び点流速センサ用カバーについて、添付図面を参照して説明する。まず、図1図4Bを用いて、一実施形態の点流速検出装置の一部を構成する点流速センサの構成例を説明する。図1において、点流速センサ10は、ケース101におけるケース本体101aから蓋101b(図2参照)を外した状態を示している。ケース本体101a及び蓋101bは、例えば合成樹脂によって形成されている。
【0011】
ケース本体101aの底面に取り付けられた回転軸121には、ステンレス板よりなるベース103が正逆方向に回転自在に取り付けられている。図1において、反時計方向の回転を正方向(+方向)の回転とすれば、時計方向の回転が逆方向(-方向)の回転である。ベース103が回転軸121を中心として回転自在に取り付けられている詳細な構成については後述する。
【0012】
ベース103の表面には、加速度センサユニット105が固着されている。加速度センサユニット105は、加速度センサ及び回路基板よりなるユニットと、そのユニットが取り付けられている取付部1051とより構成されている。加速度センサユニット105の取付部1051、ベース103、及び図2に示す重り板107~109は、一対のねじ106によって連結されている。重り板107~109はステンレス板よりなる。図1または図2に示すように、ベース103及び重り板107~109は、一対のねじ110によって連結されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、重り板107の下端部には重り板107の面に直交して突出する突出片107aが形成されている。突出片107aには雌ねじが形成された孔が形成されている。検知アーム111の上端部には雄ねじが形成されている。検知アーム111の上端部の雄ねじを突出片107aの孔の雌ねじに螺合させることによって、検知アーム111は重り板107に固定されている。結果として、加速度センサユニット105と検知アーム111とは実質的に一体化されている。
【0014】
回転軸121に回転自在に取り付けられたベース103には、重り板107~109及び検知アーム111が一体化されているので、ベース103、重り板107~109、及び検知アーム111は回転体を構成する。加速度センサユニット105は回転体と一体化されているので、加速度センサユニット105は回転軸121を中心として回転体と一体的に回転する。
【0015】
ケース101(ケース本体101a)の下面には、細長い四角形の開口102が形成されている。ケース101の下面は、点流速センサ10を水中に設置したときに下方(河床側)に向ける面である。検知アーム111の一部は、開口102よりケース101の外部へと突出している。開口102は、検知アーム111が通る程度のスリットであってもよい。検知アーム111が回転する正逆方向の最大角度は、開口102の端部の位置によって決まる。
【0016】
図2または図3に示すように、ケース本体101aの底面(図2の右側面)には、例えば皿ねじよりなる回転軸121が取り付けられている。回転軸121には、ワッシャ122、ナット123、軸金具124、ステレンスパイプ125、ワッシャ128、ナット129が通されている。ナット123及び129を回転軸121に締め付けることにより、回転軸121には、軸金具124及びステレンスパイプ125がナット123とナット129との間に挟まれた状態で固定されている。
【0017】
ステレンスパイプ125には、樹脂製の円筒形の無給油ブッシュ126が通されている。無給油ブッシュ126の直径はステレンスパイプ125の直径よりもわずかに大きい。ベース103及び補助板127に形成された孔には、無給油ブッシュ126が嵌め込まれている。補助板127はステンレス板よりなり、ベース103に溶接されている。ベース103に固定された補助板127は、回転体の一部を構成する。無給油ブッシュ126はベース103及び補助板127に接着されており、ステレンスパイプ125を中心に所定の角度の範囲で一体的に回転する。
【0018】
なお、補助板127は、ベース103の厚みが無給油ブッシュ126の軸方向の長さよりも格段に小さいため設けているものである。補助板127を設けることは必須ではない。
【0019】
点流速が0m/sであるとき、検知アーム111は鉛直方向の真下を向いており、この検知アーム111の位置が0点である。検知アーム111が水流によって図1の右方向(反時計方向)または左方向(時計方向)へと回転すると、加速度センサユニット105が回転する。加速度センサユニット105が回転すれば、加速度センサユニット105は、検知アーム111の正方向または逆方向の角度を検出することができる。加速度センサユニット105が生成した検知アーム111(回転体)の角度を示す検出値(電圧値)は、ケーブル131を介して点流速センサ10の外部へと出力される。
【0020】
次に、点流速が0m/sとなったときに検知アーム111を0点に戻しやすくするための具体的な構成について説明する。図1に示すように、ケーブル131は、加速度センサユニット105の幅方向の中央から引き出されている。ケーブル131は、正方向に対応する右方向に向かった後に湾曲して、加速度センサユニット105から上方に離れた位置であって幅方向の中央に戻るU字状の突出部132を有する。さらに、ケーブル131は、突出部132に連続して、幅方向の中央から逆方向に対応する左方向に向かった後に湾曲して、加速度センサユニット105からさらに上方に離れた位置であって幅方向の中央に戻るU字状の突出部133を有する。
【0021】
加速度センサユニット105の幅方向の中央から引き出されたケーブル131に、左方向に向かった後に湾曲して幅方向の中央に戻る突出部133を形成し、続けて、右方向に向かった後に湾曲して幅方向の中央に戻る突出部132を形成してもよい。
【0022】
ケーブル131には、幅方向の中央から引き出されて正方向と逆方向とのうちの一方の方向に対応する第1の方向に向かった後に湾曲して、加速度センサユニット105から離れて幅方向の中央に戻る第1の突出部が形成されればよい。これに加えて、ケーブル131には、第1の突出部に連続して、幅方向の中央から正方向と逆方向とのうちの他方の方向に対応する第2の方向に向かった後に湾曲して、加速度センサユニット105からさらに離れて幅方向の中央に戻る第2の突出部が形成されればよい。
【0023】
第1及び第2の突出部とは、ケーブル131を引き回すときのケーブル131の形状が、加速度センサユニット105の幅方向の中央から左右方向に突出しているということである。
【0024】
ケーブル131は、突出部133に連続して、加速度センサユニット105の幅方向の中央の位置において上方へ直線状に引き回されている。直線状に引き回されたケーブル131は、ケーブル固定板134によって軸金具124に固定されている。ケーブル固定板134は、一対のねじ135によって軸金具124に固定されている。さらに、ケーブル131は、ケース本体101aに設けられたケーブル引き出し用パイプ136より外部へと引き出されている。
【0025】
図4Aは、点流速センサ10における回転体及び加速度センサユニット105が正方向に回転した状態を示している。図4Bは、点流速センサ10における回転体及び加速度センサユニット105が逆方向に回転した状態を示している。図4Aに示すように、回転体及び加速度センサユニット105が正方向に回転すると、突出部132が広がり、突出部133が縮む。図4Bに示すように、回転体及び加速度センサユニット105が逆方向に回転すると、突出部132が縮み、突出部133が広がる。
【0026】
点流速センサ10が所定の点流速を検出して回転体及び加速度センサユニット105が正方向または逆方向に回転した状態で、点流速が0m/sとなったとする。すると、一方が広がって他方が縮んだ突出部132及び突出部133が元の状態に戻ろうとするので、検知アーム111は0点に戻りやすくなる。検知アーム111は、点流速が0m/sとなると即座に0点に戻る。
【0027】
図1に示す点流速センサ10においては、ケーブル131に第1の方向に突出する突出部と第2の方向に突出する突出部を一対形成しているが、2対以上の突出部を形成してもよい。第1の方向に突出する突出部の数と第2の方向に突出する突出部の数は同じとする必要がある。
【0028】
図1に示す点流速センサ10においては、検知アーム111を0点に戻しやすくするための好ましい構成として、ベース103を、無給油ブッシュ126を介して回転軸121に取り付けている。ケーブル131に突出部132及び突出部133を設けるのに加えて、ベース103を、無給油ブッシュ126を介して回転軸121に取り付ける構成とすることが好ましい。
【0029】
図1に示す点流速センサ10においては、検知アーム111を0点に戻しやすくするためのさらに好ましい構成として、回転体及び加速度センサユニット105を次のように構成している。加速度センサユニット105は、ベース103の第1の面(表面)に取り付けられている。ベース103の第1の面とは反対側の第2の面(裏面)には、回転体の一部としての重り板107~109が取り付けられている。但し、重り板107における突出片107aは実質的に第1の面側に位置している。検知アーム111は第1の面側に位置している。
【0030】
ベース103の第1の面側に位置する加速度センサユニット105、突出片107a、及び検知アーム111の各部の重さとベース103に対する位置とによって決まるモーメントを第1のモーメントとする。ベース103の第2の面側に位置する重り板107~109(突出片107aを除く)の各部の重さとベース103に対する位置とによって決まるモーメントを第2のモーメントとする。本実施形態においては、第1のモーメントと第2のモーメントとが87%均等となるように設定されている。
【0031】
即ち、回転体及び加速度センサユニット105が、ケース本体101aの底面側に傾いたり、蓋101b側に傾いたりすることなく、点流速が0m/sであるときに検知アーム111が鉛直方向の真下を向くように、各部品(加速度センサユニット105、重り板107~109、検知アーム111)の重さ、及び各部品のベース103に対する位置を設定している。
【0032】
図1に示す点流速センサ10においては、3枚の重り板107~109を設けているが、ベース103の第1の面側の重さと第2の面側の重さとを均等とするための重り板の枚数は3枚に限定されない。重り板の大きさ及び枚数は設計的な事項である。
【0033】
次に、図5図7を用いて、以上説明した点流速センサ10を備えて構成される一実施形態の点流速検出装置及び点流速センサ用カバーを説明する。図5に示すように、河川内の所定の構造物300には、Lアングル30が固定されている。Lアングル30には、断面コ字状の金具12が取り付けられている。金具12は、天板部1201と、天板部1201に対して90度の角度を有する脚部1202a及び1202bとを有する。金具12は、1枚のステンレス板を折り曲げることによって形成されている。
【0034】
図5は、左岸取り付けの例を示している。右岸取り付けの場合には、Lアングル30を左右逆にして構造物300に固定し、Lアングル30に金具12を取り付ければよい。
【0035】
金具12の天板部1201の一方の端部には、皿ねじ14aによって連結板13aが取り付けられており、天板部1201の他方の端部には、皿ねじ14bによって連結板13bが取り付けられている。連結板13a及び13bは、天板部1201と平行な第1の部分1301と、第1の部分1301に対して90度を越える角度を有して構造物300の方向へと向かう第2の部分1302とを有する。天板部1201には、第1の部分1301の端部が皿ねじ14a及び14bによって固定されている。連結板13a及び13bは、各1枚のステンレス板を折り曲げることによって形成されている。
【0036】
天板部1201には、上述した点流速センサ10が図示していないねじ等によって固定されている。点流速センサ用カバー16は、金具12及び点流速センサ10を覆っている。図6は、点流速センサ用カバー16を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、点流速センサ用カバー16は、天板部161と、天板部161に対して90度を越える角度を有して構造物300の方向へと向かう傾斜部162a及び162bとを有する。
【0037】
天板部161と傾斜部162a及び162bの両側端部には、フランジ163a及び163bが設けられている。フランジ163a及び163bは、天板部161と傾斜部162a及び162bの面と直交する方向に突出している。フランジ163a及び163bの高さは、天板部161の部分において10mm程度である。フランジ163a及び163bの高さは、傾斜部162a及び162bの天板部161とは反対側の端部に向かうに従って順に低くなっている。
【0038】
天板部161及び傾斜部162a及び162bは、1枚のステンレス板を折り曲げることによって形成されている。フランジ163a及び163bは、天板部161と傾斜部162a及び162bの両側端部に溶接されて、天板部161と傾斜部162a及び162bと一体化されている。
【0039】
図5に示すように、連結板13a及び13bの第2の部分1302は、傾斜部162a及び162bと同じ傾斜角度を有する。第2の部分1302は、皿ねじ15a及び15bによって傾斜部162a及び162bに固定されている。連結板13a及び13bは、金具12と点流速センサ用カバー16とを連結している。
【0040】
図5に示す構成例においては、点流速センサ10、金具12、連結板13a及び13b、点流速センサ用カバー16が点流速検出装置100を構成している。少なくとも点流速センサ10と点流速センサ用カバー16で点流速検出装置100を構成してもよい。
【0041】
図7は、Lアングル30に固定した点流速検出装置100を正面から見た状態を示している。点流速センサ10は、鉛直方向の設置面に取り付けられている。構造物300の表面または金具12の天板部1201が設置面である。この状態で、点流速センサ10のケース101は、鉛直方向と平行の方向の底面と、底面と対向する天面と、河床側を向く下面と、下面と対向する上面と、水流としての順流が当たる側の上流側側面と、水流としての逆流が当たる側の逆流側側面とを有する。蓋101bの上面が天面である。
【0042】
点流速センサ用カバー16における天板部161は、ケース101の天面を覆っている。傾斜部162a(第1の傾斜部)は、ケース101の上流側側面を覆い、点流速センサ10から離れた位置から点流速センサ10に近付くに従って、設置面側から天板部161側へと向かうように傾斜して天板部161に繋がっている。傾斜部162b(第2の傾斜部)は、ケース101の逆流側側面を覆い、点流速センサ10から離れた位置から点流速センサ10に近付くに従って、設置面側から天板部161側へと向かうように傾斜して天板部161に繋がっている。
【0043】
点流速センサ用カバー16よりも下方を流れる順流Wc1は、検知アーム111を回転させる。傾斜部162aに当たった順流Wc2が下方へと流れたとする。フランジ163aは、下方へと流れた順流Wc2がケース101の下方へと流れることを抑制するので、順流Wc2が検知アーム111を回転させる力を低減させることができることから、乱流の発生を低減できるとともに順流Wc1のみを検知しやすくなる。よって、点流速検出装置100によれば、点流速をより正確に検出することができる。点流速センサ用カバー16によれば、点流速センサ10によって点流速をより正確に検出することができる。
【0044】
点流速センサ用カバー16は、天板部161と傾斜部162a及び162bにおける少なくともケース101の下面側の側端部に設けられたフランジ163aを備えればよい。図7に示すように、フランジ163aがケース101の下面と鉛直方向の同じ位置となるように、点流速センサ10と点流速センサ用カバー16とが互いに位置決めされていることが好ましい。フランジ163bは、ケース101の上面よりも上方に位置していることが好ましい。
【0045】
図8を用いて、点流速検出装置100(点流速センサ10)が検出した点流速の検出値がどのように利用されるかを説明する。図8に示すように、点流速センサ10には、データ送信部20が接続されている。データ送信部20は、点流速センサ10が取り付けられている支柱の上方に、点流速センサ10とは所定距離だけ離隔した状態で取り付けられている。
【0046】
データ送信部20は、ケーブル131を介して点流速センサ10から供給されるデジタル値の検出値をレベル変換するレベル変換器21、検出値を点流速データに変換する中央処理装置22(以下、CPU22)、点流速データを無線送信する無線機23を備える。また、データ送信部20は、データ送信部20内の各部及び点流速センサ10に電力を供給する電源部24を備える。電源部24は、ソーラーパネル及び充電池であってもよいし、予め充電された充電池または乾電池であってもよい。
【0047】
図8に示す構成においては、ケーブル131は、点流速センサ10が検出した点流速の検出値をデータ送信部20に供給するケーブルと、電源部24からの電力を点流速センサ10に供給するケーブルとよりなる。
【0048】
無線機23は、点流速センサ10が検出したベース103の回転方向の角度に基づく点流速データを中継局または河川を監視する監視事務所へと送信する。
【0049】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。図1図4Bに示す点流速センサ10は、点流速が0m/sとなったときに検知アームを0点に戻しやすくするように構成した点流速センサとしての好ましい構成例を示している。点流速センサの具体的な構成は図1図4Bに示す点流速センサ10に限定されるものではない。但し、点流速センサを、図1図4Bに示す点流速センサ10とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
10 点流速センサ
12 金具
13a,13b 連結板
16 点流速センサ用カバー
30 Lアングル
101 ケース
101a ケース本体
101b 蓋
102 開口
103 ベース
105 加速度センサユニット
107~109 重り板
111 検知アーム
121 回転軸
125 ステレンスパイプ
126 無給油ブッシュ
131 ケーブル
132,133 突出部
161 天板部
162a,162b 傾斜部
163a,163b フランジ
300 構造物
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8