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  • 特許-90度方向動作自動テーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】90度方向動作自動テーブル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240329BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L21/68 K
H01L21/68 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020116127
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014013
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591242209
【氏名又は名称】アルファクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】石塚 靜
(72)【発明者】
【氏名】石塚 陽介
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-338896(JP,A)
【文献】特開平7-237061(JP,A)
【文献】特開2009-135351(JP,A)
【文献】特開2002-164413(JP,A)
【文献】特開2009-246238(JP,A)
【文献】特開2007-118164(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0120980(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向へ駆動力を付与する第一モータを有し、その第一モータの上面にベースプレートを介して第一モータと同様にX軸方向へ駆動力を付与する第二モータを備え、前記ベースプレートの左右両縁に相対向する一対の立壁板を備え、その一対の立壁板の上面に天板を固定し、その天板の上方に前記したX軸と交差方向へ可動とした可動テーブルをその可動方向のガイドを介して備え、前記可動テーブルには、可動方向を強制する長孔が形成され、その長孔にはカムフォロアが嵌装されていることを特徴とする90度方向動作自動テーブル。
【請求項2】
前記した第一モータとベースプレートは支持部材を介して取り付けられ、この支持部材はX軸方向のみへの摺動が可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項3】
前記した第二モータの上面には第二の支持部材が設けられ、この第二の支持部材の上面には前記した天板に形成された透孔を挿通してカムフォロアの下端が固定されるカムフォロア固定板が固着されていることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項4】
前記した天板の一方端の上面には第一のばねポストが立設され、可動テーブルの下面で、前記第一のばねポストと直線上の位置には第二のばねポストが垂設されており、その二つのばねポスト間には可動テーブルの可動方向に沿って可動テーブルを附勢する引張りばねを張設してあることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項5】
前記した天板上と、可動テーブルの下面には、可動テーブルを可動方向に直線にガイドするリニアガイドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項6】
前記したリニアガイドには可動テーブルの下面に下向き断面コ字状をしたスライダーと、天板上には、そのスライダーに挟まれるガイドバーとで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項7】
前記したリニアガイドは平行に二つ設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項8】
前記したカムフォロアの長孔と嵌装される頭部は円盤状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項9】
前記した長孔の長手方向両端部分は、カムフォロアの頭部形状とフィットする弧状とされていることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。
【請求項10】
前記したX軸と交差方向は、X軸と直交するY軸であることを特徴とする請求項1に記載の90度方向動作自動テーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は90度方向動作自動テーブル、主として半導体素子(チップ、あるいはチップバー)の性能検査のため、プローブ針を取り付けて、対象となる半導体素子に対して、可動させるための90度方向動作自動テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した半導体素子の検査のためのテーブルをX、Y軸方向に動かすためには、各々の方向へ駆動力を付与するための二つのモータを用意するが、このモータの設置がX、Yの各々の軸方向に沿って平面的に装置から突出してしまうこととなり、Y軸がX軸と重なり大きな設置スペースを必要とすることとなり、コンパクトな設置ができない。
【0003】
また、単一のモータで可動方向を変更するには複雑なギヤやプーリ、ベルトあるいはチェーン等の要素を必要とし、そのため、やはり大きなスペースを必要とし、さらには煩雑なメンテナンスも必要となってしまうこととなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる技術は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、従来、対象とするテーブルをX軸と交差する方向へも可動させるためには、複数のモータが各可動方向へ突出してしまい、X軸とY軸が重なりコンパクトな設置ができず大きなスペースを必要としてしまい、また、一つのモータによって可動方向を変更しようとすると複雑なギヤやプーリ、ベルト、チェーン等の要素を必要として、やはり、大きなスペースを必要とし、故障もふえ、煩雑なメンテナンスが必要となってしまい、コンパクトな配置ができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る90度方向動作自動テーブルは、X軸方向へ駆動力を付与する第一モータを有し、その第一モータの上面にベースプレートを介して第一モータと同様にX軸方向へ駆動力を付与する第二モータを備え、前記ベースプレートの左右両縁に相対向する一対の立壁板を備え、その一対の立壁板の上面に天板を固定し、その天板の上方に前記したX軸と交差方向へ可動とした可動テーブルをその可動方向のガイドを介して備え、前記可動テーブルには、可動方向を強制する長孔が形成され、その長孔にはカムフォロアが嵌装されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る90度方向動作自動テーブルは、前記した第一モータとベースプレートは支持部材を介して取り付けられ、この支持部材はX軸方向のみへの摺動が可能とされていることを特徴とし、前記した第二モータの上面には第二の支持部材が設けられ、この第二の支持部材の上面には前記した天板に形成された透孔を挿通してカムフォロアの下端が固定されるカムフォロア固定板が固着されていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明に係る90度方向動作自動テーブルは、前記した天板の一方端の上面には第一のばねポストが立設され、可動テーブルの下面で、前記第一のばねポストと直線上の位置には第二のばねポストが垂設されており、その二つのばねポスト間には可動テーブルの可動方向に沿って可動テーブルを附勢する引張りばねを張設してあることを特徴とし、前記した天板上と、可動テーブルの下面には、可動テーブルを可動方向に直線にガイドするリニアガイドが設けられていることを特徴とし、前記したリニアガイドには可動テーブルの下面に下向き断面コ字状をしたスライダーと、天板上には、そのスライダーに挟まれるガイドバーとで構成されていることを特徴とし、前記したリニアガイドは平行に二つ設けられていることを特徴としている。
【0009】
そして、本願発明に係る90度方向動作自動テーブルは、前記したカムフォロアの長孔と嵌装される頭部は円盤状に形成されていることを特徴とし、前記した長孔の長手方向両端部分は、カムフォロアの頭部形状とフィットする弧状とされていることを特徴とし、前記したX軸と交差方向は、X軸と直交するY軸であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明に係る90度方向動作自動テーブルは上記のように構成されている。そのため、二台のX軸方向へ駆動力を付与するモータを二段に重ね、そのため、モータの突出方向は一方側のみとなって大きなスペースを不要として、コンパクトな設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願発明を実施した90度方向動作自動テーブルの斜視図である。
図2】同平面図である。
図3】同正面図である。
図4】同側面図である。
図5】同図2中のA-A線断面図である。
図6】同B-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0013】
次に、本願発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図中1は本願発明を実施した90度方向動作自動テーブルを示している。この90度方向動作自動テーブル1はX軸方向へ駆動力を付与する第一モータ2を有している。この第一モータ2の上面には支持部材3が設けられており、この支持部材3の上面にはベースプレート4がねじによって固着されている。支持部材3の下面の突出部3aは第一モータ2の上面に形成された凹陥部2aに嵌められ、X軸方向の可動距離を規制する。
【0014】
このベースプレート4の上面には第一モータ2と同様にX軸方向へ駆動力を付与する第二モータ5が固定されている。この第二モータ5の上面には第二の支持部材6が設けられ、この第二の支持部材6の上面には後述するカムフォロアの下端を受けて固定するカムフォロア固定板7がねじによって固定されている。第二の支持部材6の下面にも支持部材3と同様に突出部6aが設けられ、この突出部6aが第二モータ5の上面に形成されている凹陥部5aに嵌められ、そのX軸方向の可動距離は第一モータ2と同等に規制されている。
【0015】
一方、ベースプレート4の左右両縁には相対向する一対の立壁板8a、8bが備えられている。この一対の立壁板8a、8bの上面には天板9が架設されて固定され、この天板9、立壁板8a、8b及びベースプレート4によって、第二モータ5、第二の支持部材6及びカムフォロア固定板7を囲む外装筐体が形成されている。
【0016】
天板9上の前端寄りと後端寄りには各々リニアガイド10、10が平行に設けられている。このリニアガイド10は、直線状で上下方向の途中にくびれ部分を形成したガイドバーとなっており、後述する可動テーブルの下面に設けられた断面下向きコ字状のスライダー13が、このガイドバーを挟持し、くびれ部分で脱落を防止した状態で可動テーブルをリニアガイド10、10に沿って直線可動(走行)させることとなる。
【0017】
また、図中11は可動テーブル、それも本実施例ではX軸と直交するY軸方向に可動とされている可動テーブルを示している。この可動テーブル11は後端の一隅は45度に欠落されており、前後寸法は天板9と同一とされ、幅は天板9より小さく形成されており、初期状態で立壁板8a側に寄せられてセットされている。この幅の寸法差の距離が可動テーブル11のY軸可動範囲とされる。この規制は後述する構成による。
【0018】
この可動テーブル11の略中央には長孔(カム溝)12がその長手方向をX軸と45度に交差させた形態で穿設されている。また、この可動テーブル11の前端下面と後端下面には各々断面を下向きコ字状のスライダー13が固着され、このスライダー13が前記リニアガイド10、10を挟持するようにセットされ、可動テーブル11が設置されている。
【0019】
前記長孔の12の略中央にはカムフォロア14が上方から挿し込まれて嵌装されており、このカムフォロア14の下端は天板9の挿通孔9aを貫通して、カムフォロア固定板7の略中央に固着されている。ここで、天板9の透孔9aの径は天板9と可動テーブル11の幅サイズの差と同等とされて、可動テーブル11の可動範囲(距離)を規制している。
【0020】
また、前記カムフォロア14の長孔12への嵌装部分(頭部)は円盤状に形成されており、長孔12の内壁面とのスムーズな滑動が得られるものとしてあり、長孔12の長手方向両端部はカムフォロア14の嵌装部分(頭部)とフィットする弧状に形成され、密接してカムフォロア14を受け、ストッパの効も奏する。
【0021】
さらに、天板9の後方寄りで、立壁板8b側の上面には第一のばねポスト15が立設されており、可動テーブル11の後方寄りで立壁板8a側寄りには、前記第一のばねポスト15と直線上(Y軸と平行)に第二のばねポスト16が垂設されている。この第一及び第二のポスト15、16間にY軸に沿って引張ばね17が張設され、可動テーブル11を初期状態位置に附勢している。
【0022】
図中18は第一モータ2のモータケーブルを示し、18aは第二モータのモータケーブルを示している。
【0023】
本実施例に係る90度方向動作自動テーブル1は上記のように構成されている。特に図示していないが、可動テーブル11の上面には、さらにZ軸(上下動)の可動テーブルが設けられ、本実施例の装置を半導体素子の性能検査として用いる場合、対象となるチップと接触するプローブは、このZ軸テーブルに複数個が取り付けられることになる。
【0024】
本実施例に係る90度方向動作自動テーブル1にあって、第一モータ2が起動すると、その駆動力によって可動テーブル11はX軸方向に移動するが、この移動はベースプレート4、左右の立壁板8a、8b及び天板9で形成される外装筐体ごとの動きとなり、その移動距離は第一モータ2の凹陥部2aと支持部材3の突出部3aによって規制される。
【0025】
また、第二モータ5を起動させると、この第二モータもX軸方向に対して駆動力を作用させる。ここで、カムフォロア14にはX軸方向へ移動する力が付与されるが、このカムフォロア14の円盤状をした頭部は可動テーブル11に形成されている長孔12に嵌装されて内壁面と接しており、このカムフォロア14に与えられたX軸方向への駆動力は、長孔12の内壁面に沿って、これと摺接する。このカムフォロア14の摺接力は、長孔12がX軸に対して45度の角度で形成されているため、この長孔12を形成している可動テーブル11を引張ばね17の引張附勢力に抗して強制的にX軸と直交するY軸方向へ押していくこととなる。この移動距離はカムフォロア14と天板9の透孔9a及び長孔12によって規制される。
【0026】
このように、本願発明によると、X軸方向に駆動する二台のモータによって可動テーブル11を強制的にY軸方向へも可動させることができる。これによって、二台のモータの突出方向はX軸方向のみとなって従前のようにX軸とY軸との重なりもなく装置をコンパクトな状態で設置することができる。また、可動テーブル11の復帰は引張ばね17の附勢力に加え、長孔12とカムフォロア14の摺動によって行われる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本実施例に係る90度方向動作自動テーブルは上記のように構成され、作用する。本実施例では可動テーブルをX軸方向に加え、直交するY軸方向にも可動可能としているが、これにこだわるものではなく、長孔12の長手方向中心線をX軸に対し、角度を選択設定し、引張ばね17も張設方向を変えることで、45度、60度等、X軸と交差方向を変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 90度方向動作自動テーブル
2 第一モータ
2a 凹陥部
3 支持部材
3a 突出部
4 ベースプレート
5 第二モータ
5a 凹陥部
6 第二の支持部材
6a 突出部
7 カムフォロア固定板
8a、8b 立壁板
9 天板
9a 透孔
10 リニアガイド
11 可動テーブル
12 長孔
13 スライダー
14 カムフォロア
15 第一のばねポスト
16 第二のばねポスト
17 引張ばね
18、18a モータケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6