(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】レンジフード及びレンジフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240329BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F24F13/20 205
(21)【出願番号】P 2020165793
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】國分 喜勝
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-35997(JP,A)
【文献】実開昭53-82552(JP,U)
【文献】実開昭58-114428(JP,U)
【文献】実開昭50-85053(JP,U)
【文献】特開平10-281521(JP,A)
【文献】特開2002-317986(JP,A)
【文献】特開昭51-43843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0200412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側の吸気開口から排気口へ向かう空間を周壁部により覆ったフード部と、前記フード部の内部で前記吸気開口から吸い込んだ気体を前記排気口へ強制搬送する送風機とを備えたレンジフードにおいて、
前記フード部内の下端側には、補強桟が前記周壁部の内面の少なくとも2点に固定され、
前記補強桟は、前記周壁部内部の空間を分割する位置にあることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記吸気開口は、前記送風機が通過可能な大きさの開口部であり、
前記フード部に対し前記補強桟の全部または一部が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンジフード。
【請求項3】
前記周壁部の前記補強桟を固定している前記内面が、平坦面であることを特徴とする請求項1又は2記載のレンジフード。
【請求項4】
前記フード部は、周方向において外向き凸状に湾曲する凸曲面部と、この凸曲面部における周方向の一端側と他端側にそれぞれ接続された平板部と、これら二つの平板部を前記凸曲面部側に対する逆側で接続する側面部とから上方側を窄めた略筒状に構成されることを特徴とする
請求項1~3何れか1項記載のレンジフード。
【請求項5】
前記補強桟は、平板状の前記側面部に対し平行に設けられていることを特徴とする請求項4記載のレンジフード。
【請求項6】
前記補強桟を含む水平面上において、前記補強桟と前記側面部を略同一の長さにしていることを特徴とする請求項5記載のレンジフード。
【請求項7】
前記フード部は、下端縁が凸曲線状に延設された前記凸曲面部と、下端縁が一方向へ直線状に延設された前記平板部とを一体に有する一枚板状のフード本体を備え、
前記平板部の下端縁は、前記一方向の寸法が、前記フード本体の上端部の同方向の全長寸法よりも長く設定され、
前記フード本体には、前記凸曲面部及び前記平板部の下端縁に沿って、縁補強部材が設けられ、
前記補強桟は、両側の前記平板部の間に架け渡され、
前記補強桟と、前記平板部の直線状の下端縁における凸曲面部側の端部との間の寸法が、前記フード本体の前記全長寸法よりも短く設定されていることを特徴
とする請求項4~6何れか1項記載のレンジフード。
【請求項8】
前記フード部内における前記補強桟よりも下側に位置する内部部材が、前記補強桟に固定されていることを特徴とする請求項1~7何れか1項記載のレンジフード。
【請求項9】
弾性復元力によって前記吸気開口をその開口面積を拡大する方向へ付勢するように、前記吸気開口の内縁に沿って枠状弾発部材が嵌め合わせられ、前記枠状弾発部材が、前記補強桟に固定されていることを特徴とする請求項8記載のレンジフード。
【請求項10】
前記送風機は、ファン吸込口とファン吐出口を有するファンケースと、前記ファンケース内で回転して前記ファン吸込口に吸い込む気体を前記ファン吐出口へ強制搬送する回転羽根とを備え、
前記ファン吸込口が、前記フード部の前記吸気開口に連通し、
前記補強桟は、前記吸気開口に平行する横断面上において、前記ファン吸込口の外側であって、且つ前記フード部内の空間の中央寄りに配置されていることを特徴とする請求項1~9何れか1項記載のレンジフード。
【請求項11】
前記フード部内の前記吸気開口寄りには、前記フード部内の前記吸気開口側の空間とその逆側の空間を仕切る部材または仕切る部材の一部として、前記送風機側へ気体を通過させる開口部を有する吸気案内部が設けられ、
前記補強桟は、前記逆側の空間に設けられていることを特徴とする請求項1~9何れか1項記載のレンジフード。
【請求項12】
前記補強桟における前記周壁部に対する固定箇所以外の箇所を、前記送風機に直接的又は間接的に固定したことを特徴とする請求項1~11何れか1項記載のレンジフード。
【請求項13】
前記周壁部は、前記吸気開口の開口寸法を拡大する方向の弾性復元力を保持した状態で、その内面が、前記補強桟の一端側と他端側にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1~12何れか1項記載のレンジフード。
【請求項14】
前記開口寸法が狭まるように前記周壁部を弾性変形する工程と、前記周壁部の内面に前記補強桟を固定する工程とを含むことを特徴とする請求項13記載のレンジフードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフード及びレンジフードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レンジフードは、吸気開口を下方へ向けるとともにダクトに接続される排気口を上方側に有するフード部と、このフード部内で空気を強制搬送するファン及びファンモータ等とを備え、厨房等において調理器具の上方に位置するようにして壁面に止着固定される。
特に、特許文献1に記載されるレンジフードは、曲面部と平面部により比較的内部空間が広い側面視略台形状のフード部を構成しており、優美で高級感のある意匠性を醸し出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、フード部の周壁が外側へ膨れたり逆に内側へ凹んだり等して、設計どおりの形状を保持できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
下端側の吸気開口から排気口へ向かう空間を周壁部により覆ったフード部と、前記フード部の内部で前記吸気開口から吸い込んだ気体を前記排気口へ強制搬送する送風機とを備えたレンジフードにおいて、前記フード部内の下端側には、補強桟が前記周壁部の内面の少なくとも2点に固定され、前記補強桟は、前記周壁部内部の空間を分割する位置にあることを特徴とするレンジフード。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、フード内面間の寸法を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係るレンジフードの一例を斜め上方から視た図である。
【
図2】(a)は同レンジフードを斜め下方から視た図であり、(b)は同レンジフードを真下から視た図である。
【
図3】同レンジフードについて、
図1の(III)-(III)線に沿う断面図である。
【
図4】同レンジフードについて、フード部及びダクトカバーを外した状態を斜め上方から視た図である。
【
図5】同レンジフードについて、整流板、吸気案内部、枠状弾発部材および縁部補強部材を外した状態を斜め下方から視た図である。
【
図6】枠状弾発部材を示す平面図であり、(a)は略平坦な初期状態を示し、(b)外力により枠内側へ狭められた状態を示す。また、(a’)は同図面上の(a)の(I)-(I)線に沿う断面図を示し、(b’)は同図面上(b)の(II)-(II)線に沿う断面図を示す。
【
図7】
図4における(VII)-(VII)線に沿う断面において、(a)はフード部に対し補強桟を取り付けている様子を示し、(b)はフード部の縁部に対し縁補強部材を取り付けている様子を示す。
【
図8】
図4における(VII)-(VII)線に沿う断面において、(c)は補強桟に対し枠状弾発部材を取り付けている様子を示し、(d)は、枠状弾発部材が装着された状態を示す。
【
図9】(a)は、
図3におけるIXa部を拡大して示す図であり、(b)は、
図8(d)におけるIXb部を拡大して示す図である。
【
図10】本発明に係るレンジフードの他例について、枠状弾発部材を下方へ外した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図10における(XI)-(XI)線に沿う拡大断面図である。
【
図12】枠状弾発部材の一例について、弾性変形する前の平坦状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、下端側の吸気開口から排気口へ向かう空間を周壁部により覆ったフード部と、前記フード部の内部で前記吸気開口から吸い込んだ気体を前記排気口へ強制搬送する送風機とを備えたレンジフードにおいて、前記フード部内の下端側には、補強桟が前記周壁部の内面の少なくとも2点に固定され、前記補強桟は、前記周壁部内部の空間を分割する位置にある(
図1~
図9参照)。
ここで、前記「補強桟が前記周壁部の内面の少なくとも2点に固定され」とは、前記補強桟が前記周壁部の内面の2点に固定される態様や、前記補強桟が前記周壁部の内面の3点以上に固定される態様等を含む。
この構成によれば、補強桟によって周壁部の内面間の寸法を一定に保持することができる上、周壁部が振動するようなことを抑制することができる。
【0009】
第二の特徴として、前記吸気開口は、前記送風機が通過可能な大きさの開口部であり、前記フード部に対し前記補強桟の全部または一部が着脱可能に設けられている(
図2~
図3参照)。
この構成によれば、補強桟を着脱できるので、製造時に送風機をフード内に装着する作業や、メンテナンス時に送風機を交換する作業等を容易に行うことができる。
【0010】
第三の特徴は、前記周壁部の前記補強桟を固定している前記内面が、平坦面である(
図7~
図8参照)。
この構成によれば、前記内面間に補強桟を設ける作業を容易に行うことができる。
【0011】
第四の特徴として、前記フード部は、周方向において外向き凸状に湾曲する凸曲面部と、この凸曲面部における周方向の一端側と他端側にそれぞれ接続された平板部と、これら二つの平板部を前記凸曲面部側に対する逆側で接続する側面部とから上方側を窄めた略筒状に構成される(
図4参照)。
この構成によれば、補強桟により補強効果の高い形状を得ることができる。
【0012】
第五の特徴として、前記補強桟は、平板状の前記側面部に対し平行に設けられている(
図1~
図5参照)。
この構成によれば、補強桟の一端側と他端側で略対象となる形状を安定的に保持することができ、意匠性が良好である。
【0013】
第六の特徴は、前記補強桟を含む水平面上において、前記補強桟と前記側面部を略同一の長さにしている(
図2及び
図4~
図5参照)。
この構成によれば、補強桟の一端側と他端側で略対象となる形状を、より安定的に保持することができ、意匠性がさらに良好である。
【0014】
第七の特徴として、前記フード部は、下端縁が凸曲線状に延設された前記凸曲面部と、下端縁が一方向へ直線状に延設された前記平板部とを一体に有する一枚板状のフード本体を備え、前記平板部の下端縁は、前記一方向の寸法が、前記フード本体の上端部の同方向の全長寸法よりも長く設定され、前記フード本体には、前記凸曲面部及び前記平板部の下端縁に沿って、縁補強部材が設けられ、前記補強桟は、両側の前記平板部の間に架け渡され、前記補強桟と、前記平板部の直線状の下端縁における凸曲面部側の端部との間の寸法が、前記フード本体の前記全長寸法よりも短く設定されている(
図1~
図4参照)。
この構成によれば、補強桟により補強効果が高く、且つ意匠上の体裁に優れたフード形状を得ることができる。
【0015】
第八の特徴として、前記フード部内における前記補強桟よりも下側に位置する内部部材が、前記補強桟に固定されている(
図8参照)。
この構成によれば、フード部内に位置する内部部材を止着するための部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削除して、部品構成を簡素化することができる。
【0016】
第九の特徴は、弾性復元力によって前記吸気開口をその開口面積を拡大する方向へ付勢するように、前記吸気開口の内縁に沿って枠状弾発部材が嵌め合わせられ、前記枠状弾発部材が、前記補強桟に固定されている(
図8参照)。
この構成によれば、枠状弾発部材によって吸気開口の形状を安定的に保持できる上、この枠状弾性部材を補強桟によって容易に固定することができる。
【0017】
第十の特徴として、前記送風機は、ファン吸込口とファン吐出口を有するファンケースと、前記ファンケース内で回転して前記ファン吸込口に吸い込む気体を前記ファン吐出口へ強制搬送する回転羽根とを備え、前記ファン吸込口が、前記フード部の前記吸気開口に連通し、前記補強桟は、前記吸気開口に平行する横断面上において、前記ファン吸込口の外側であって、且つ前記フード部内の空間の中央寄りに配置されている(
図1~
図5参照)。
この構成によれば、補強桟によってフード部を効果的に補強することができる。
【0018】
第十一の特徴として、前記フード部内の前記吸気開口寄りには、前記フード部内の前記吸気開口側の空間とその逆側の空間を仕切る部材または仕切る部材の一部として、前記送風機側へ気体を通過させる開口部を有する吸気案内部が設けられ、前記補強桟は、前記逆側の空間に設けられている(
図3~
図4参照)。
この構成によれば、フード部内の気体の流れが、補強桟によって妨げられるのを防ぐことができる。
【0019】
第十二の特徴は、前記補強桟における前記周壁部に対する固定箇所以外の箇所を、前記送風機に直接的又は間接的に固定した(
図3及び
図4参照)。
この構成によれば、送風機の中央部から、補強桟が固定されるフード部内面までの距離を一定にすることができ、例えば、送風機の両側でフード部を左右対称形状に保持することができる。また、補強桟の撓みを抑制することができる。
【0020】
第十三の特徴として、前記周壁部は、前記吸気開口の開口寸法を拡大する方向の弾性復元力を保持した状態で、その内面が、前記補強桟の一端側と他端側にそれぞれ固定されている(
図7参照)。
この構成によれば、フード部の弾性復元力に対抗するように、補強桟を止着しているため、当該フード部の形状をより安定的に保持することができる。
【0021】
第十四の特徴は、前記開口寸法が狭まるように前記周壁部を弾性変形する工程と、前記周壁部の内面に前記補強桟を固定する工程とを含む(
図7参照)。
この構成によれば、フード部の弾性復元力により当該フード部の形状を安定的に保持することができる上、製造性も良好である。
【0022】
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「右」「左」「上」「下」「奥」「手前」等の表現は、
図1又は
図10に示す矢印の方向である。
また、フード周方向とは、フード部10下端の吸気開口1の口縁に沿う方向を意味する。
また、枠内方向とは、枠状弾発部材50の枠外側から枠内側へ向かう方向を意味し、枠外方向とは、前記枠内方向に対する逆方向を意味する。
また、枠内外方向は、図示例においては略水平方向である。
【0023】
<第一の実施態様>
図1は、本発明に係るレンジフードAの一例を示す。
レンジフードAは、例えば、コンロ等の調理器具の上方側に、吸気開口1を下方へ向けるようにして配設され、その右側面が、室内壁面等の不動部位に止着され固定される。
【0024】
このレンジフードAは、下端側の吸気開口1から上端側の排気口2(
図3参照)へ向かう空間を周壁部10aにより略筒状に覆うようにして囲んだフード部10と、フード部10の内部で吸気開口1から吸い込んだ気体を排気口2(
図3参照)へ強制搬送する送風機20と、周壁部10aの両側の内面間にわたる長尺状の補強桟30と、吸気開口1の下縁部に沿って周方向へ連続する縁補強部材40と、吸気開口1の内縁に沿ってフード部10の内面に嵌め合わせられた枠状弾発部材50と、吸気される気体を吸気開口面に沿う平面方向へ導いた後に送風機20の吸込み側へ導く平板状の吸気案内部60と、吸気案内部60に対しその下方側に略平行に設けられた整流板70とを具備する。
なお、周壁部10aには、後述する凸曲面部11a、平板部11b,11b、及び側面部12aが含まれる(
図1~
図5参照)。
【0025】
フード部10は、
図1中の左側に位置するフード本体11、右端側に位置する側面部12a及び天壁部12b(
図3及び
図4参照)等から上方側を窄めた略筒状に構成され、図示例によれば、正面視略台形状を呈する。
【0026】
フード本体11は、一枚の金属板をプレス加工及び曲げ加工等することにより、外向き凸状の湾曲面を有する凸曲面部11aと、この凸曲面部11aにおける周方向の一端側と他端側にそれぞれ接続された平板部11b,11bとを有し、一体に構成される。このフード本体11は、横断面横向きU字状に形成され、吸気開口1の開口寸法を拡大する方向(
図1によれば奥方向と手前方向に拡大する方向)の弾性復元力を有する。
すなわち、周壁部10aは、前記弾性復元力を保持した状態で、その内面が、補強桟30の一端側と他端側にそれぞれ止着固定されている。
【0027】
凸曲面部11aは、その下端縁を凸曲線状に湾曲して延設している。この凸曲面部11aの湾曲状の内壁面は、上方へゆくにしたがって徐々にフード内側へ向かう傾斜状に形成される。この傾斜内面の下端寄りには、後述する枠状弾発部材50が掛止されている。
【0028】
平板部11bは、その下端縁を一方向(図示例によれば略水平方向)へ直線状に延設している。この平板部11bは、平坦状の内壁面を、上方(排気口2側)へゆくにしたがって徐々にフード内側へ向かう傾斜状に形成している。この平板部11bの傾斜内面の下端寄り(吸気開口1寄り)には、後述する枠状弾発部材50が掛止されている。
【0029】
平板部11bの下端縁は、前記一方向(図示の左右方向)の寸法aが、フード本体11の上端部の同方向の全長寸法bよりも長く設定される(
図1及び
図4参照)。
補強桟30と、各平板部11bの下端縁における凸曲面部11a側の端部との間の寸法c(
図1参照)は、フード本体11の前記全長寸法bよりも短く設定される。
【0030】
側面部12aは、フード本体11の二つの平板部11b,11bにおける反凸曲面部11a側の端に接して直立する平板状の部材である(
図4参照)。
天壁部12bは、フード本体11の上端開口を覆う部材である。
【0031】
側面部12aは、平面視台形の板状に形成される。
天壁部12bは、フード本体11及び側面部12aの上端縁を覆う板状に形成される。この天壁部12bの上面には、ファンケース21に対し内部空間同士を連通させるようにして、排気口2が装着されている。
これら側面部12aと天壁部12bは、図示例によれば、接続された別体の金属板であるが、他例としては、一体の縦断面逆L字状の金属板とすることも可能である。
【0032】
そして、天壁部12bの上面には、ダクトカバー13が接続される。このダクトカバー13は、排気口2及び該排気口2に接続されるダクト(図示せず)を覆い隠すように、単数又は複数の部材から構成される。
このダクトカバー13は、図示例によれば、上下方向へ連続する横断面U字状に形成される。このダクトカバー13の右側面は、当該レンジフードAの設置対象である躯体の壁面等に、ネジやボルト等の止着具によって止着される。
【0033】
そして、フード本体11の凸曲面部11a、平板部11b,11bと、側面部12aは、吸気開口1から排気口2へ向かって徐々に横断面積を縮小する略筒状の周壁部10aを形成している。
【0034】
また、フード本体11の下端縁には、後述する縁補強部材40に嵌り合う突片部11cと掛止片部11dが周方向に間隔を置いて複数設けられる(
図5参照)。
突片部11cは、凸曲面部11aから下斜め左方向へ凸状に突出し、後述する縁補強部材40の被嵌合孔41に嵌り合う。
掛止片部11dは、平板部11bから下方へ突出して前方へ曲がる略L字状(もしくはフック状)に形成され、縁補強部材40の被嵌合孔41に係止される。
【0035】
また、送風機20は、ファン吸込口21aとファン吐出口21bを有するファンケース21と、このファンケース21内で回転してファン吸込口21aに吸い込む気体をファン吐出口21bへ強制搬送する回転羽根22と、回転羽根22を駆動回転するモータ23とを備える(
図3参照)。
【0036】
ファンケース21は、ファン吸入口21aを下方の吸気開口1へ連通するとともにファン吐出口21bを上方の排気口2に連通させて、フード部10内の右半部寄りに固定される。
【0037】
回転羽根22は、図示例によれば、回転中心側に吸い込む気体を遠心方向へ吐出する多翼ファンである。また、モータ23は、図示しない制御回路によって制御された電動モータであり、その回転軸に回転羽根22を固定している。
これら回転羽根22及びモータ23は、回転軸を傾斜させてファンケース21内に支持される。
なお、他例としては、送風機20を、プロペラファン等の他のタイプの送風機に置換することが可能である。
【0038】
補強桟30は、桟本体30aと、この桟本体30aの両側に接続されたブラケット30b,30bとを具備する。
【0039】
桟本体30aは、金属板を長尺状の略溝形鋼状に加工してなる。この桟本体30aは、その長手方向の一端側と他端側に、それぞれ、上方向きの係合片部31(
図9(b)参照)を有する。
この桟本体30aの一端側と他端側は、フード本体11の平板部11bに対し、ブラケット30bを介在して、着脱可能に止着される。
【0040】
ブラケット30bは、桟本体30aに対し略平行な被止着片30b1を有する部材であり、両側の平板部11b,11bの各内面に、溶接等の固定手段によって固定されている。なお、他例としては、ブラケット30bを平板部11b,11bの各内面に対し着脱可能に接続することも可能である。
桟本体30aは、両端側の係合片部31を、それぞれ、被止着片30b1の係止孔に挿通して位置決めされ、図示しない螺合部材(ネジやボルト等)によって固定される(
図9参照)。
【0041】
上記構成の補強桟30は、吸気開口1に平行する横断面(図示例によれば水平面)上において、ファン吸込口21aの外側であって、且つフード部10内の空間の左右方向の中央寄りに配置される(
図3参照)。そして、補強桟30は、フード部10の周壁部10aの内面の少なくとも2点(図示例によれば両側の平板部11b,11b)間に架け渡され固定されている。この補強桟30は、
図1及び
図5等に示すように、フード部10内の下端側の空間を、複数に分割する位置(図示例によれば、水平方向の一方側と他方側に二分割する位置)にある。
【0042】
ここで、前記「分割する位置にある」とは、前記補強桟の位置を示す表現であり、前記補強桟が前記周壁部内部の空間を複数の部屋に分割すること限定するものではない。すなわち、前記補強桟は前記周壁部内部の空間を分割してもよいし、周壁内部の空間を分割する仮想面の一部であってもよい。
【0043】
前記構成によって、フード部10内の下端側には、補強桟30が周壁部10aの内面の2以上(図示例によれば2つ)の点に固定され、前記2以上の点のうちの少なくとも2つを含む平面と周壁部10a内面が交差する線状部と補強桟30によって2つ以上の空間が形成される。
【0044】
また、異なる表現をすれば、この補強桟30は、周壁部10aの内面間にわたって延設されるとともに、その延設の方向に対する交差方向において周壁部10aの内面から離れている。
そして、この補強桟30は、該補強桟30を含む水平面上(別表現をすれば、吸気開口1に平行する横断面上)において、右側の側面部12aに対し平行にするとともに、側面部12aの奥行方向の長さdと略同一の長さに形成される(
図5参照)。なお、図示例について詳述すれば、両側のブラケット30b,30bを含む補強桟30の長さを、前記長さdと同一にしている。
【0045】
なお、図示例以外の他例としては、補強桟がブラケット30bを具備せず桟本体30aのみからなり、桟本体30aの端部をフード本体11に対し直接固定するようにしてもよい。この場合、補強桟30をフード本体11に対し固定する手段は、図示例以外に、リベット止めや、溶接、接着材(接着剤や両面テープを含む)を用いた接着、嵌合、掛止等とすることが可能である。
さらに、他の一例として、桟本体30aのみからなる補強桟30をフード本体11に対し着脱可能に直接接続するようにしてもよい。
【0046】
また、補強桟30は、その略中央部が、送風機20(詳細にはファンケース21)の外側面に対し、ブラケット32を介して間接的に止着固定される。
ブラケット32は、補強桟30の長手方向の中央部にネジ等の止着具によって止着される止着片32aと、ファンケース21の直立する面にネジ等の止着具によって止着される止着片32bとを一体に有する部材であり、図示例によれば、縦断面略クランク状に形成される。
この補強桟30によれば、両側の平板部11b,11bの下端側が、図示の奥側又は手前側へ偏るのを防ぎ、フード本体11を奥手前方向に対称な形状に保持することができる。また、後述する内部部材の重量により、補強桟30が撓むようなことを防ぐことができる。
なお、図示例以外の他例としては、ブラケット32を省いて、補強桟30がファンケース21に対し直接止着されるようにしてもよい。
【0047】
そして、上記構成の補強桟30には、フード本体11部内における補強桟30よりも下側に位置する内部部材が、止着されている。前記内部部材は、図示例によれば、枠状弾発部材50である。このため、枠状弾発部材50を止着するための他の部材やブラケット等を不要にすることができる。
なお、他例としては、補強桟30に止着される内部部材を、吸気案内部60や、枠状弾発部材50と吸気案内部60を一体とした部材、その他の部材とすることが可能である。
【0048】
縁補強部材40は、フード本体11における凸曲面部11a及び平板部11b,11bの下端縁に沿う平面視略U字状に形成される。この縁補強部材40は、図示例によれば、フード本体11の肉厚よりも外径が大きい金属製の円筒状部材を前記U字状に曲げ加工してなる。
この縁補強部材40には、フード本体11下端の複数の突片部11c、掛止片部11d、後述する枠状弾発部材50の突片部51a,52a等に対応するように、複数の被嵌合孔41が設けられる。
【0049】
この縁補強部材40は、フード側の突片部11cや枠状弾発部材50の突片部51a,52aに、被嵌合孔41を嵌め合わせるとともに、掛止片部11dに被嵌合孔41を掛止して、フード本体11の下端縁に沿って固定される。このようにして、縁補強部材40は、フード部10の下端に、安定した開口形状の吸気開口1を構成する。
なお、一部の被嵌合孔41は、フード本体11の突片部11cと、枠状弾発部材50の突片部51a(突片部52a)との両方に嵌り合っている(
図9(a)参照)。
【0050】
吸気開口1は、送風機20を通過可能な大きさの開口部であり、フード本体11及び側面部12aの下端に、縁補強部材40を止着して構成される。
この吸気開口1は、図示の左側の下端縁を、周方向に沿ってフード内側へカーブするフード部曲線部1a(
図2参照)としている。
【0051】
また、枠状弾発部材50は、吸気開口1に嵌め合わせられていない状態では平面視凹枠状の平坦部分fを有し(
図6(a)(a’)参照)、吸気開口1に嵌め合わせられる際に、平坦部分fがその開口幅W1を狭めて幅W2にするとともに平坦部分fの内縁側を上方へ迫り上げるように変位させる(
図6(b)(b’)参照)。
そして、枠状弾発部材50は、吸気開口1に嵌め合わせられた状態では、該枠状弾発部材50の下端を含む面(別表現すれば下端縁)と、該枠状弾発部材50の上端を含む面(別表現すれば上端縁)とが、平行になる(
図6(b)及び
図8(c)参照)。
【0052】
平坦部分fは、枠状弾発部材50の枠状弾発部材曲線部51から両枠状弾発部材直線部52,52にわたって平面視U字状に連続している。この平坦部分fは、床面等の平坦面に対し略全面を接触させて重なり合う平板状である。
この枠状弾発部材50は、吸気開口1の内縁に嵌め合わされるとともに該内縁に沿う周方向へ延設されており、この延設の方向に直交する断面形状が、上方斜めフード内側へ向かう直線状である(
図9参照)。なお、この枠状弾発部材50の他例としては、上方へゆくにしたがって徐々にフード内側へ倒れ込んでゆく凹湾曲面状や、上方へゆくにしたがって徐々に直立してゆく凸湾曲状等とすることも可能である。
そして、枠状弾発部材50は、その弾性復元力によって吸気開口1をその開口面積を拡大する方向(図示例によれば、奥側方向と手前側方向へ拡大する方向)へ付勢している。
【0053】
より詳細に説明すれば、この枠状弾発部材50は、フード部曲線部1aに対し内側から嵌り合う平面視略円弧状の枠状弾発部材曲線部51と、この枠状弾発部材曲線部51の両端部にそれぞれ接続された枠状弾発部材直線部52,52とを一体的に具備し、
図5及び
図6に示す平面視略U字状に構成される。
枠状弾発部材曲線部51と枠状弾発部材直線部52,52は、図示例によれば接続された別体の部材であるが、一体の部材として構成してもよい。
【0054】
枠状弾発部材曲線部51は、円錐台の周方向の一部分を切り抜いた形状を呈する。
この枠状弾発部材曲線部51は、フード部曲線部1aに対し内側から嵌り合う前の平坦状態で、フード部曲線部1aよりも曲率の小さい(曲がり具合が緩い)曲線状に形成されている(
図6(a)参照)。この枠状弾発部材曲線部51は、フード部曲線部1aに嵌り合った状態では前記曲率が大きく(曲がり具合がきつく)なる。
【0055】
そして、この枠状弾発部材曲線部51は、周方向の中央寄り部分が、フード部曲線部1aの周方向の中央寄り部分に嵌り合っている。
詳細に説明すれば、枠状弾発部材曲線部51の周方向の中央寄りには、突片部51aが設けられる。この突片部51aが、縁補強部材40における最左端側の被嵌合孔41に嵌め合わせられる。
枠状弾発部材曲線部51は、突片部51aを被嵌合孔41に嵌め合わせるとともに、突片部51a以外の部分の下端縁を縁補強部材40に当接するようにして係止することで、位置決めされている(
図9参照)。
【0056】
また、枠状弾発部材直線部52は、図示の左右方向へ直線状に延設された帯状の部材である。この枠状弾発部材直線部52は、上方へゆくにしたがって枠内側へ傾斜しており、その上端部に、補強桟30に略平行する止着片52bを有する(
図5参照)。この止着片52bは、下方から挿通される螺合部材(図示しないネジやボルト等)によって補強桟30(詳細には桟本体30a)に止着される。
また、枠状弾発部材直線部52の下端縁には、間隔を置いて複数の突片部52aが設けられる。これら突片部52aは、縁補強部材40の被嵌合孔41に嵌り合う。
【0057】
上記構成の枠状弾発部材50は、その上端縁側において、フード周方向の一部である中央部のみがフード本体11の傾斜内面に接触し、同周方向の他の部分がフード本体11の傾斜内面から離れている。
詳細に説明すれば、凸曲面部11aにおけるフード周方向の中央部において、枠状弾発部材50(詳細には枠状弾発部材曲線部51)は、
図9(a)に示すように、フード本体11の傾斜内面と略平行しており、フード本体11の傾斜内面に対し、その傾斜方向の下端側から上端側へわたって連続的に接触している。
また、フード本体11の奥側と手前側において、枠状弾発部材50(詳細には枠状弾発部材直線部52)は、
図9(b)に示すように、フード本体11の傾斜内面よりもフード内側へ傾斜しており、上方へゆくにしたがってフード本体11の傾斜内面から離れてゆく。
【0058】
なお、図中、符号12cは、U字状の枠状弾発部材50の両端部(図示例によれば両右端部)間にわたる傾斜板である。この傾斜板12cは、フード本体11と一体的に構成され、図示例によればファンケース21の下端側に止着されている。
【0059】
また、吸気案内部60は、フード部10内における吸気開口1寄りに位置し、吸気開口1面に対し略平行する平板状の部材であり、枠状弾発部材50と協働して、フード部10内における吸気開口1側の空間とその逆側の空間を仕切っている(
図3参照)。なお、補強桟30は、前記逆側の空間に位置する。
この吸気案内部60には、ファン吸込口21aに対応する位置に、ファン吸込口21a内へ連通する開口部61が設けられる。
【0060】
また、整流板70は、吸気案内部60よりも左右方向の寸法と奥手前方向の寸法が小さい板状の部材である。この整流板70は、吸気案内部60の下側に一定の間隔を置くようにして配設され、図示しないフック状の部材等を介して、吸気案内部60の下面に着脱可能に掛止されている。
この整流板70の外縁部(外周部)と、吸気開口1の内縁部(内周部)との間は、外気を吸い込ませるための吸気口として機能する。
すなわち、
図3に示すように、レンジフードA下方の気体は、整流板70の外縁部と、吸気開口1の内縁部との間に吸い込まれ、整流板70と吸気案内部60の間の空間を通って、ファン吸込口21aに吸い込まれる。
【0061】
次に、上記構成のレンジフードAについて、その製造方法上の特徴について説明する。
レンジフードAの製造方法は、吸気開口1の一方向の開口寸法X1を狭めて寸法X2にするように、フード部10の周壁部10aを構成するフード本体11を外力によって弾性変形する工程と、このフード本体11の内面に補強桟30(詳細には桟本体30a)を止着し固定する工程と、フード本体11の下端に縁補強部材40を嵌め合わせ止着する工程とを含む(
図7(a)(b)参照)。
【0062】
詳細に説明すれば、前記工程において、フード本体11は、初期状態では図示の奥手前方向の開口寸法がX1であり、この開口寸法が、外力により弾性的に狭められてX2になる。
桟本体30aは、前記のようにして狭められたフード本体11の両内面に予め固定されたブラケット30bに対し、係合片部31を挿通してネジ止めされる。すなわち、桟本体30aは、ブラケット30bを介してフード本体11に固定される。
そして、縁補強部材40は、被嵌合孔41を突片部11c,掛止片部11dに嵌め合わせて、図示の右方向へ移動されることで、一部の被嵌合孔41が略フック状の掛止片部11dに係止される。
【0063】
さらに、レンジフードAの製造方法は、吸気開口1の開口寸法よりも枠内外方向の寸法W1が大きい枠状弾発部材50を、前記開口寸法よりも小さい寸法W2になるように枠内側へ弾性変形して、吸気開口1の内側に嵌め合わせる工程を含む(
図6及び
図8参照)。
【0064】
詳細に説明すれば、枠状弾発部材50は、初期状態では図示の奥手前方向の開口寸法がW1であって(
図6(a)参照)、略平坦な帯板状である(
図6(a’)参照)。
この枠状弾発部材50は、製造作業者により両側から押される等して、弾性的に狭められ吸気開口1の内縁に嵌め合わせられると、その開口寸法をW2にするとともに(
図6(b)参照)、当該枠状弾発部材50の内縁を上方へ迫り上げるようにして変位する(
図6(b’)参照)。そして、この変形状態において、枠状弾発部材50は、枠状弾発部材曲線部51及び両枠状弾発部材直線部52,52の下端縁を同一平面上に配置する。
【0065】
次に、上記構成のレンジフードA及びその製造方法について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
組立後のフード部10には、フード本体11の開口寸法を図示のX2からX1へ拡げようとする弾性復元力が作用し、この力に対抗するようにして、フード本体11の内面間を補強桟30が支持する(
図7参照)。よって、フード部10内面間の寸法を安定させることができる。さらには、運転時等に周壁部10aが厚み方向へ振動するようなことも抑制することができる。
【0066】
また、フード部10の吸気開口1側には、その開口寸法を図示のW2からW1へ拡げようとする弾性復元力が、枠状弾発部材50によって作用する(
図8参照)。このため、吸気開口1の形状が、製造ばらつき等に起因して崩れるのを防ぎ、吸気開口1の形状を安定的に保持することができる。
特に、吸気開口1の直線部分の寸法a(
図1参照)が比較的長いフード部10では、前記直線部分の上方の平板部11bが、凸曲面部11a寄りの部分で、フード外側へ拡がるように膨らんで、設計上の形状が崩れ易いが、このような形状の崩れを補強桟30によって防ぐことができる。そして、さらには、運転時等に吸気開口1が振動するのを抑制することができる。
【0067】
そして、美感および重厚感等を具備して意匠性に優れた形状を、上記した補強桟30及び枠状弾発部材50等の支持構造によって、安定的に保持することができる。
【0068】
しかも、製造前の枠状弾発部材50は、平坦状であるため(
図6(a’)参照)、複数枚積み重ねて、コンパクトに収容することができる。
【0069】
また、使用時には、枠状弾発部材50下面に油汚れ等が付着する場合があるが、当該レンジフードAの下面は、左側部分が角の無い湾曲状の枠状弾発部材曲線部51であって、この枠状弾発部材曲線部51がフード内側へ傾斜しているため、特にこの左側部分の清掃性に優れている。
【0070】
なお、上記実施態様では、特に好ましい一例として、図示の左右方向の中央部近傍に補強桟30を配置したが、補強桟30の他例としては、前記中央部よりも左方向側に位置する態様や、前記中央部よりも右側に位置する態様とするとこも可能である。
【0071】
また、上記実施態様によれば、枠状弾発部材50は、その上端縁側において、フード周方向の一部である中央部のみがフード本体11の傾斜内面に接触し、同周方向の他の部分がフード本体11の傾斜内面から離れるようにしたが、枠状弾発部材50の他例としては、その上端側においてフード周方向の中央部以外の一部分がフード本体11の傾斜内面に接触する態様や、その上端側においてフード周方向の複数の部分がフード本体11の傾斜内面に接触する態様、その上端側においてフード周方向の全部がフード本体11の内面から離れている態様等とすることも可能である。
【0072】
また、上記実施態様では、好ましい一例として、フード本体11の下端に縁補強部材40を設けたが、他例としては、この縁補強部材40を省くことも可能である。縁補強部材40を省いた場合、枠状弾発部材50は、その下端側を直接フード本体11の内面下端側に、孔や凹凸等により掛止する構造とすればよい。
【0073】
また、上記実施態様では、枠状弾発部材50をフード部10の内面に嵌め合わせたが、他例としては、枠状弾発部材50をフード部10の下端縁(吸気開口1の内縁)に嵌め合わせることも可能である。
【0074】
また、図示例では、吸気開口1の下縁を略水平状に形成したが、他例としては、吸気開口1の下縁を、図示の左側が右側よりも高くなる傾斜状に形成することも可能である。
【0075】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係る他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上記構成のレンジフードAを一部変更したものであるため、主にその変更部分に詳述し、重複する詳細説明を省略する。
【0076】
図10に示すレンジフードBは、下端側の吸気開口3から上端側の排気口4へ向かう空間を周壁部112により略筒状に覆うようにして囲んだフード部110と、フード部110の内部で吸気開口3から吸い込んだ気体を排気口4へ強制搬送する送風機120と、吸気開口3の内縁に沿ってフード部110(詳細には立上り片部114)の内面に嵌め合わせられた枠状弾発部材150とを具備する。
【0077】
フード部110は、上下方向の厚みが比較的薄い略矩形箱状であって、その下面を開放して吸気開口3としている。
詳細に説明すれば、このフード部110は、
図11に示すように、矩形平板状の吸気案内部111と、この吸気案内部111の四辺から下方へ角筒状に突出する周壁部112と、周壁部112の下端からフード内側へ平板状に延設されたフード下面部113と、このフード下面部113の内縁から上方へ立上り延設された立上り片部114とから一体状に構成される。
【0078】
吸気案内部111は、略水平な平板状に形成され(
図11参照)、その中央部寄りに、送風機120の吸入口に連通する開口(図示せず)を有する。
立上り片部114は、周壁部112の内面に対し間隔を置いて、フード部110の四辺側にそれぞれ配設される。
図示例によれば、この立上り片部114には、枠状弾発部材150の下端側を係止するための係合孔114aが設けられる。この係合孔114aは、フード部110の周方向に間隔を置いて複数設けられる。
【0079】
送風機120は、吸入口(図示せず)と排気口4を有するファンケース121と、このファンケース121内で回転してファン吸込口21aに吸い込む気体を排気口4へ強制搬送する回転羽根(図示せず)と、この回転羽根を駆動回転するモータ(図示せず)とを備える。
なお、図示例によれば、ファンケース121は、排気口4を側方へ向けて配置しているが、他例としては、排気口4を上方へ向けた態様や、図示と逆側の側方へ向けた態様、手前側へ向けた態様、背面側へ向けた態様とすることが可能である。
【0080】
枠状弾発部材150は、
図10に示すように、直線帯板状に延設された一片部150aと、この一片部150aの両端側から、曲面部150b,150bを経て直角方向へ延設された二つの他片部150c,150cと備え、平面視凹枠状に構成される。この枠状弾発部材150は、吸気開口3に嵌め合わせられ、曲面部150b,150bに保持された弾性復元力によって、吸気開口3をその開口面積を拡大する方向(図示例によれば左右方向)へ付勢している。
詳細に説明すれば、枠状弾発部材150は、吸気開口3に嵌め合わせられていない状態では平面視凹枠状の平坦部分fを有する(
図12参照)。
この枠状弾発部材150は、外力によってその開口幅を狭めるように、曲面部150b,150bを弾性変形させることで、平坦部分fの内縁側を上方へ迫り上げるように変位して、
図10に示す形状になる。
そして、枠状弾発部材150は、前記弾性変形状態を保持して、排気口4の内縁(詳細には立上り片部114のフード内側の面)に嵌め合わせられる。
【0081】
フード部110に嵌め合わせられた状態の枠状弾発部材150は、上方へゆくにしたがってフード内側へ傾斜している(
図11参照)。
この枠状弾発部材150の下端縁には、周方向へ間隔を置いて、係合片部151が複数突設している。
また、枠状弾発部材150の上端縁には、吸気案内部111に止着されるように、吸気案内部111に対し平行面状に接するフランジ部152が設けられる。
【0082】
枠状弾発部材150は、下端側の係合片部151をフード部110内面の立上り片部114に係止するとともに、上端側のフランジ部152を吸気案内部111の下面に対し溶接やねじ止め等によって止着することで、これらの間を弾発している。
すなわち、枠状弾発部材150は、その傾斜部分の寸法S(
図11参照)が、フード部110における同部分の寸法よりも大きめに設定されており、フード部110に固定された状態では、フード部110を上記のように弾発し、フード部110の外観形状を安定的に保持する。
なお、枠状弾発部材150の固定方法は、図示例以外の嵌合や、溶接、ネジ止め等とすることが可能である。
【0083】
また、図示する好ましい態様では、フード部110の内面と、該内面に対向する枠状弾発部材150の内面との間に、一端側をフード部110内面に当接するとともに、他端側を枠状弾発部材150の面(フード本体側の面)に当接するようにして補強部材180が設けられている。
この補強部材180は、フード部10の周方向に間隔を置いて複数設けられた軸状の部材としてもよいし、フード部10の周方向に連続する部材としてもよい。
この補強部材180の一端側は、図示例によれば吸気案内部111に止着され、他端側は、枠状弾発部材150の傾斜方向の中央寄りに止着される。前記止着の手段は、溶接やねじ止め、嵌合等とすればよい。
【0084】
よって、上記構成のレンジフードBによれば、レンジフードAと同様に、枠状弾発部材150の弾発力によって、吸気開口3の形状を安定的の保持できる上、運転時にフード部110や枠状弾発部材150等が振動するのを抑制することができる。特に、図示例によれば、補強部材180によって、枠状弾発部材150の傾斜面が撓むようにして振動するのを抑制することができる。
また、製造前の枠状弾発部材150は、平坦状であるため、複数枚積み重ねて、コンパクトに収容することができる。
【0085】
また、長期間の使用により、枠状弾発部材150下面に油汚れ等が付着する場合があるが、枠状弾発部材150がフード内側へ傾斜して下方へ露出するため、その傾斜面に対する清掃性が良好である。
【0086】
なお、このレンジフードBについても、レンジフードAと同様にして、フード部110内に、上記補強桟30や上記整流板70と同様の部材をそれぞれ設けることが可能である。
【0087】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい態様として、枠状弾発部材50,150を製造前に平坦状になる構成としたが、他例としては、この枠状弾発部材を、平坦状にならない枠状の部材とすることも可能である。すなわち、この他例の枠状弾発部材は、例えば軸状部材を凹状やU字状に曲げて構成され、弾性的に狭められて吸気開口1内縁に嵌め合わせられる。
さらに他例としては、前記枠状弾発部材は、その開口面積を拡大する方向へ弾性復元力を有する無端環状等、凹状やU字状以外の形状にすることも可能である。
【0088】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
1,3:吸気開口
2,4:排気口
10a,112:周壁部
10,110:フード部
11:フード本体
11a:凸曲面部
11b:平板部
20,120:送風機
30:補強桟
40:縁補強部材
50,150:枠状弾発部材(内部部材)
60,111:吸気案内部
70:整流板
A,B:レンジフード