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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】硬貨処理装置および自動サービス装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/02 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G07D1/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021119241
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015452
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】榎本 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大志
(72)【発明者】
【氏名】宮地 勝
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-006015(JP,A)
【文献】特開2001-283280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を入金する入金部と、
前記硬貨を搬送する搬送部と、
入金された前記硬貨の金種を識別する識別部と、
前記硬貨を格納または排出する格納部と、
前記識別部によって金種が識別された前記硬貨を、金種毎に前記格納部に格納する振分部と、
前記格納部から排出された前記硬貨を一時的に収納する収納容器と、
前記搬送部の前記収納容器より下流側の搬送経路に配置され、前記硬貨の金種を識別する検知部と、
を有し、
前記収納容器を経由して搬送される前記硬貨の金種を、前記検知部によって識別した後に出金口に出金する硬貨処理装置であって、
前記硬貨の搬送経路の途中であって、前記識別部と前記振分部の間に配置され、前記識別部で識別された前記硬貨を保留する保留部を有し、
リジェクト操作に応じて前記保留部に保留されている前記硬貨を前記収納容器に送出することを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記格納部は、前記識別部によって識別された前記硬貨であって、予め決められた金種の前記硬貨を金種毎に格納し、
前記格納部に格納されない前記硬貨は、前記出金口に搬送されることを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記格納部に格納されない前記硬貨は偽貨であることを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記識別部は、金種を識別するために前記硬貨の複数の特徴を検出し、
前記検知部は、前記識別部で検出する前記複数の特徴の内の一部の特徴を検出することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記硬貨の直径を検出することを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記検知部によって検出される前記硬貨の金種毎の枚数と、
前記出金口から出金される予定の前記硬貨の金種毎の枚数と、を比較し、一致ならば正常に出金されたと判断し、不一致ならば前記硬貨の搬送異常があると判断する制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
硬貨を入金する入金部と、
前記硬貨を搬送する搬送部と、
入金された前記硬貨の金種を識別する識別部と、
前記硬貨を格納または排出する格納部と、
前記識別部によって金種が識別された前記硬貨を、金種毎に前記格納部に格納する振分部と、
前記格納部から排出された前記硬貨を一時的に収納する収納容器と、
前記搬送部の前記収納容器より下流側の搬送経路に配置され、前記硬貨の金種を識別する検知部と、
を有し、
前記収納容器を経由して搬送される前記硬貨の金種を、前記検知部によって識別した後に出金口に出金する硬貨処理装置であって、
前記収納容器は、前記入金部に対して、水平方向に対して交差する方向であって、低い位置に配置されており、
前記搬送部は、前記収納容器から前記収納容器よりも高い位置に配置されている前記検知部に、前記硬貨を搬送するリフターを備えることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項8】
前記硬貨の搬送経路の途中であって、前記識別部と前記振分部の間に配置され、前記識別部で識別された前記硬貨を保留する保留部を有し、
リジェクト操作に応じて前記保留部に保留されている前記硬貨を前記収納容器に送出することを特徴とする請求項7に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記格納部は、前記識別部によって識別された前記硬貨であって、予め決められた金種の前記硬貨を金種毎に格納し、
前記格納部に格納されない前記硬貨は、前記出金口に搬送されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記格納部に格納されない前記硬貨は偽貨であることを特徴とする請求項9に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記出金口が前記入金部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項7から請求項10の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
前記検知部は、前記リフターの端部に配置されていることを特徴とする請求項7から請求項11の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項13】
前記識別部は、金種を識別するために前記硬貨の複数の特徴を検出し、
前記検知部は、前記識別部で検出する前記複数の特徴の内の一部の特徴を検出することを特徴とする請求項7から請求項12の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項14】
前記検知部は、前記硬貨の直径を検出することを特徴とする請求項13に記載の硬貨処理装置。
【請求項15】
前記検知部によって検出される前記硬貨の金種毎の枚数と、
前記出金口から出金される予定の前記硬貨の金種毎の枚数と、を比較し、一致ならば正常に出金されたと判断し、不一致ならば前記硬貨の搬送異常があると判断する制御手段を備えることを特徴とする請求項7から請求項14の何れか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15の何れか1項に記載の硬貨処理装置と、前記硬貨処理装置によって代金を支払い、該代金の支払いに応じて、物品またはサービスを提供する物品処理手段と、を有することを特徴とする自動サービス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関し、特に、硬貨の入出金を処理する硬貨処理装置および硬貨処理装置を備えた自動サービス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投入口から投入された硬貨を、一枚ずつ金種を識別し、識別された硬貨を金種毎に設けられた格納部に格納し、必要に応じて指定された金種と枚数の硬貨を格納部から払出口に出金する硬貨処理装置が知られている。
【0003】
この様な、硬貨処理装置は、一度に複数枚の硬貨が投入される場合があり、投入された複数の硬貨を一枚ずつに分離し、搬送し、金種を識別する。また金種を識別された硬貨は、金種毎に配置された硬貨格納排出装置に格納される。また、硬貨格納排出装置から、所望の金額の硬貨を排出し、払出口から出金することができる。例えば、この様な硬貨処理装置としては、投入口から代金が支払われ、払出口から釣銭を受け取る自動販売機や釣銭機などがある。
【0004】
入金口と払出口が備わる硬貨処理装置では、入金口と払出口との間隔が離れていると、利用者に多くの動作をさせねばならず、また、釣銭の取り忘れが生じるなど、利用者に不便を強いることになる。
【0005】
例えば、特開2001-283280号公報は、ホッパーから払い出された硬貨が、受取皿に搬送されるまでに、こぼれたり詰まったりすることによって釣銭不足となったことを検出する硬貨処理装置が記載されている。硬貨処理装置は、硬貨投入口から投入された硬貨を、硬貨識別器により判別し、硬貨振分け部によって金種毎に分け、一時保留部に一旦保留する。発券処理等の処理が終了すると、硬貨が硬貨貯留放出部に格納される。釣銭を払い出す場合には、各ホッパー内の硬貨を所定枚数だけ硬貨搬送ベルトに放出し、硬貨搬送ベルトを駆動して硬貨を受取皿に搬送する。
【0006】
この硬貨処理装置は、受取皿に釣銭として放出された硬貨の重量を測定する硬貨荷重測定手段を備え、受取皿の硬貨の重量と、ホッパーから放出する金種と枚数から計算された重量とを比較する。硬貨処理装置は、比較の結果が不一致ならば、搬送ミスが生じ、受取皿に搬送される釣銭が不足したと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-283280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の技術では、排出された硬貨の全体の重量によって判断するので、出金するはずであった釣銭の金種と枚数と、実際の受取皿上の硬貨の金種と枚数とが、同一か否かを検証しているわけでは無い。50円硬貨は1枚当たり4gであり、1円硬貨は1枚当たり1g、500円硬貨は1枚当たり7gである。1円硬貨を1枚と500円硬貨を1枚とを合わせると8gとなり、50円硬貨が2枚のときの重量と同じとなる。単に、重さや枚数による判断では、誤判断をしてしまう可能性がある。また、受取皿にゴミなどが入った場合に、硬貨だけの重量を正確に測定することができない。
【0009】
従来の技術は、出金された硬貨が搬送途中に何かしらの原因で搬送不良を起こした場合に、受取皿の硬貨の重量から搬送上の問題の有無を推定するものであった。しかし、排出される硬貨の金種と枚数が検出できなければ、誤った判断をする恐れがある。
【0010】
また、従来の技術では、各ホッパーからの硬貨の排出タイミング、搬送ベルトへの排出位置の違い、搬送ベルト上での硬貨の暴れによって、硬貨が受取皿に受け渡され始めてから終わるまでの間隔は、一定では無い。そのため、受取皿への硬貨の排出の終了時が何時になるのか決めることが難しく、搬送不良を判断するのに長い時間必要となる場合があり、また判断のタイミングを決めることが困難であった。本発明は、排出された硬貨の金種と枚数を好適に検出し、搬送途中で搬送不良が生じたか否かを好適に検出できる硬貨処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の硬貨処理装置は、硬貨を入金する入金部と、前記硬貨を搬送する搬送部と、入金された前記硬貨の金種を識別する識別部と、前記硬貨を格納または排出する格納部と、前記識別部によって金種が識別された前記硬貨を、金種毎に前記格納部に格納する振分部と、前記格納部から排出された前記硬貨を一時的に収納する収納容器と、前記搬送部の前記収納容器より下流側の搬送経路に配置され、前記硬貨の金種を識別する検知部と、を有し、前記収納容器を経由して搬送される前記硬貨の金種を、前記検知部によって識別した後に出金口に出金する硬貨処理装置であって、前記硬貨の搬送経路の途中であって、前記識別部と前記振分部の間に配置され、前記識別部で識別された前記硬貨を保留する保留部を有し、リジェクト操作に応じて前記保留部に保留されている前記硬貨を前記収納容器に送出することを特徴とする。
また、本発明の硬貨処理装置は、硬貨を入金する入金部と、前記硬貨を搬送する搬送部と、入金された前記硬貨の金種を識別する識別部と、前記硬貨を格納または排出する格納部と、前記識別部によって金種が識別された前記硬貨を、金種毎に前記格納部に格納する振分部と、前記格納部から排出された前記硬貨を一時的に収納する収納容器と、前記搬送部の前記収納容器より下流側の搬送経路に配置され、前記硬貨の金種を識別する検知部と、を有し、前記収納容器を経由して搬送される前記硬貨の金種を、前記検知部によって識別した後に出金口に出金する硬貨処理装置であって、前記収納容器は、前記入金部に対して、水平方向に対して交差する方向であって、低い位置に配置されており、前記搬送部は、前記収納容器から前記収納容器よりも高い位置に配置されている前記検知部に、前記硬貨を搬送するリフターを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の自動サービス装置は、上述の硬貨処理装置と、前記硬貨処理装置によって代金を支払い、該代金の支払いに応じて、物品またはサービスを提供する物品処理手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出金される硬貨の金種と枚数を正確に把握し、搬送途中で生じた搬送不良を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、硬貨処理装置の構成の第1の例の概略図である。
図2図2は、硬貨処理装置の構成の第2の例の概略図である。
図3図3は、硬貨処理装置のブロック図である。
図4図4は、動作の第1の例を説明するフローチャートである。
図5図5は、動作の第2の例を説明するフローチャートである。
図6図6は、動作の第3の例を説明するフローチャートである。
図7図7は、硬貨の排出時の動作を説明するフローチャートである。
図8図8は、出金の確認の動作を説明するフローチャートである。
図9図9は、硬貨処理装置の例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図9を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
まず、硬貨処理装置の例を説明する。硬貨処理装置は、単独で使用してもよいし、他の装置と連動させて使用してもよい。自動サービス装置の例として、硬貨処理装置を内蔵するカード販売機を説明する。図9は、硬貨処理装置の例を説明する斜視図である。カード販売機1は、代金の入金と引き換えに、カードの販売、カードへの電子マネーのチャージを行う。また、カード販売機1には、両替機能が付加されている。
【0017】
カード販売機1は、箱形の本体2に扉3がヒンジ4によって開閉自在に取付けられている。本体2の下部には、2本の脚15が固定され、カード販売機1を支持する。ロック14によって扉3をロックすることができる。本体2内には、サービス等を行うための各種装置が内蔵される。操作パネル10はタッチパネルであり、LCDによって文字や図形が表示され、画面の所定位置に触れることで、その位置に対応した入力を行うことができる。例えば、操作パネル10には複数の選択ボタン12が表示されている。選択ボタン12は、カード販売、チャージ、両替などの各機能に対応し、何れかのボタンを選択することで対応する機能が実行される。
【0018】
紙幣入金口8は紙幣の入金を行う入金口であり、紙幣出金口9は紙幣の出金を行う出金口である。硬貨入金口5は、硬貨の入金を行う入金部であり、硬貨出金口6は硬貨の出金を行う出金部である。利用者は使用する紙幣、硬貨を紙幣入金口8または硬貨入金口5に入れ、釣銭や両替金などを紙幣出金口9または硬貨出金口6から受け取る。そのため、入金部と出金部は近傍に配置されていることが好ましい。例えば、硬貨出金口6と硬貨入金口5の距離は50cm以下が好ましく、30cm以下が更に好ましい。50cm程度ならば、姿勢を変えず手だけを上下左右に動かし、貨幣の入金や受取を容易に行える。また腰を屈めずに手を動かすだけで貨幣の入金や受取を容易に行えるように入金口と出金口の配置ができる。
【0019】
リジェクトレバー7は、入金を取り止めるときに操作するレバーである。紙幣または硬貨を入金した後に、入金を取り止める場合に、リジェクトレバーを操作することで、入金された貨幣が出金される。カード入出口16は、カードの入出を行う。
【0020】
スピーカー11は音声を出力する音声出力装置である。電子カメラ13は、被写体を撮像し、動画または静止画像のデータを生成する撮像装置である。スピーカー11、操作パネル10は、利用者に表示または音声によって各種報知をすることができる。電子カメラ13は、利用者、入金貨幣、出金貨幣、カード販売機1の周囲を撮影することができる。
【0021】
カードを購入する場合、利用者は、操作パネル10からカード購入ボタンを選択し、紙幣入金口8または硬貨入金口5から代金を入金し、商品のカードをカード入出口16から受け取る。カードに電子マネーをチャージする場合、利用者は、カードをカード入出口16から挿入し、操作パネル10を操作してチャージ金額を指定し、代金を紙幣入金口8または硬貨入金口5から入金する。そして、不図示のカード制御手段によって、カードに代金分の電子マネーが追加記憶され、カード入出口16からカードが排出される。両替する場合、利用者は、操作パネル10を操作して両替金種を選択し、両替前の貨幣を紙幣入金口8または硬貨入金口5から入金し、紙幣出金口9または硬貨出金口6から両替後の貨幣を受取る。電子カメラ13は、カード販売機1の操作、利用者、入金される貨幣、出金される貨幣、入出されるカード、周囲の状況が撮影される。撮影された撮影データは各種制御に使用される。
【0022】
硬貨処理装置は、硬貨の入金と出金を行う装置である。硬貨処理装置の概要について図1を用いて説明する。図1は、硬貨処理装置の構成の第1の例の概略図である。
【0023】
入金部20は、硬貨処理装置に硬貨を入金する入金口を含み、複数枚の硬貨が入金された場合に、一枚ずつに分離して次工程に搬送する。
【0024】
識別部21は、硬貨の真偽および金種を識別する。予め決められた金種の硬貨は金種毎に格納部37に格納されるが、予め決められた金種以外の金種の硬貨は格納部37に格納されずに外部に排出される。硬貨が偽貨であった場合または硬貨が正貨であり、さらに予め決められた金種ではなかった場合、硬貨は出金部36に搬送され返却される。硬貨が、正貨であり、さらに予め決められた金種であった場合、硬貨は保留部22に搬送される。
【0025】
出金部36は、硬貨処理装置から払い出される硬貨を受けるトレーを含む。出金部36のトレーは、利用者の利便性を考慮し、入金部20の硬貨の投入口の近傍に配置されるのが好ましい。
【0026】
保留部22に搬送された硬貨は、識別部21によって識別された順番に応じて保留される。例えば、1番目の硬貨が第1金種、2番目の硬貨が第3金種、3番目の硬貨が第1金種などと、搬送される硬貨の順番と金種の関係が崩れないように搬送、保留される。後述の制御部によって搬送、保留される硬貨の順番と金種の関係を把握し、制御可能にする。保留部22に保留された硬貨は、入金が確定した場合、振分部25に搬送される。例えば、入金の確定は、所定の代金またはそれ以上の金額の入金があったことの検出、入金が確定したことを示す操作の検出などがされた場合である。また、保留部22に保留された硬貨は、リジェクト操作がされ、入金が取り止めとなった場合、リジェクト通路24に搬送される。
【0027】
リジェクト通路24は、保留された硬貨を保留部22から一時収納部33に導く通路である。保留部22は、一時収納部33よりも高い位置に配置されており、リジェクト通路24は、傾斜したチューブであっても良い。硬貨は、傾斜したチューブを滑り落ち、一時収納部33に一時的に収納される。一時収納部33は硬貨を一時的に収納する収納容器である。一時収納部33には、収納されている硬貨を低い位置から高い位置に搬送する搬送装置が接続されている。この搬送装置は、後述するリフター部34である。リジェクト通路24には不図示の電動のゲートが接続され、ゲートを閉めた場合は振分部25に、開けた場合はリジェクト通路24に硬貨が案内される。
【0028】
振分部25は、識別部21によって識別された硬貨を、金種毎に振り分けて格納部37に格納する。振分部25は、金種毎に配置されたゲートを備え、搬送される硬貨の金種に応じてゲートを開閉させ、ゲートに接続される傾斜路に硬貨を案内する。傾斜路の先には、対応する金種の格納部が配置されており、案内された硬貨が格納される。
【0029】
格納部37には、第1金種格納部26、第2金種格納部28、第3金種格納部30が備えられ、3種類の金種の硬貨を格納することができる。例えば、500円、100円、50円の各硬貨を格納する。例として3種類の金種を挙げたが、3種類に限らず、それよりも少なくても多くても良い。各格納部には、排出部を備える。第1金種格納部26には、格納されている硬貨を排出する第1金種排出部27を備える。第1金種格納部26は上方が開口した格納容器を備え、振分部35から滑り落ちる硬貨を受け止めて格納する。第1金種格納部26の下部に第1金種排出部27が配置されている。第1金種排出部27は後述の制御部によって制御され、1枚ずつ硬貨を排出し、硬貨が排出されたことを検出することができる。同様に、第2金種格納部28には、第2金種排出部29が、第3金種格納部30には、第3金種排出部31が備わる。格納部37は、入金された硬貨を出金用にリサイクルすることができるが、出金専用にすることもできる。例えば、第3金種格納部30は振分部25から硬貨を格納せずに予め金種が識別された硬貨を格納しておき出金するだけの出金専用の格納部にしてもよい。
【0030】
硬貨は、識別部21による識別結果が第1金種となった場合は、振分部25によって第1金種格納部26に格納される。同様に、第2金種と識別された場合は、第2金種格納部28、第3金種と識別された場合は、第3金種格納部30に格納される。硬貨は、識別部21によって第1金種、第2金種、第3金種以外と判断された場合は、出金部36に搬送される。
【0031】
リジェクト指示部23は、リジェクト指示部23が操作された場合に、後述の制御部にリジェクト信号を出力し、保留部22に保留されている硬貨を全てリジェクト通路24に搬送する。リジェクト指示部23は、レバーやボタンなどのリジェクト操作部と、リジェクト信号出力部を含む。リジェクト信号出力部は、リジェクト指示部23が操作された場合に、後述の制御部にリジェクト信号を出力する。
【0032】
後述の制御部が、格納部37から出金制御を行った場合に、硬貨が格納部37から排出ベルト32に排出される。例えば、制御部が金種毎に排出枚数を指定して出金制御を行う。排出ベルト32は、格納部37から排出された硬貨を一時収納部33に搬送する。排出ベルト32の代わりに、傾斜した通路を備えるスライダーを用いて、排出された硬貨を一時収納部33に案内しても良い。
【0033】
一時収納部33は一時的に硬貨を収納し、リフター部34に硬貨を受け渡す。リフター部34は、水平方向に対して交差する方向であって、下方から上方に硬貨を搬送するリフターを備える装置である。例えば、鉛直方向に収納されている硬貨を上方に一枚ずつ搬送する装置である。リフター部34は、一時収納部33に収納されている硬貨を、上方に搬送する。リフター部34の搬送方向は水平方向に対して傾斜していても良いし、垂直でもよ。例えば、ベルト、ピン、スクリューによって下方から上方に硬貨が搬送される。格納容器から、上方に硬貨を搬送するホッパーなどが利用できる。この場合、格納容器が下方に配置された一時収納部33であり、上方にコインを搬送する機構がリフター部34である。例えば、リフター部34は、一時収納部33である下部に配置された容器に硬貨を格納し、容器より高い位置に硬貨を搬送する硬貨通路を備え、硬貨通路の先端から硬貨を一枚ずつ排出するコインホッパーである。リフター部34は、硬貨を10~150センチメートル上昇させて排出することができるので、自動サービス装置の下方から上方に硬貨を搬送することができる。硬貨を1枚ずつ分離して上昇させ、排出するので、リフター部34から排出される硬貨について一枚ずつ金種を識別することができる。
【0034】
一時収納部33に収納された硬貨を、一枚ずつ連続して出金部36に出金することができる。例えば、一時収納部33が無ければ、格納部37から排出された硬貨を、都度出金部36に搬送することになる。出金の間隔が一定で無かったり、長かったりする場合があり、利用者が、不具合が生じたかと誤解する恐れがある。しかし、一時収納部33があれば、出金する硬貨を貯めた後、連続して出金部に搬送することができるので、出金の間隔を一定にすることができる。一時収納部33には、硬貨の有無を検出する不図示の検出センサーが設けられ、制御回路40はこの検出センサーの検出結果によって一時収納部33内の硬貨の有無を判断することができる。一時収納部33から出金部36に出金されるまでの硬貨の移動に要する移動時間は予め分かることである。一時収納部33に硬貨が無くなってから、その移動時間が経過すると、装置内に搬送途中の硬貨が無いと判断することができる。このタイミングで、搬送異常の有無を判断することが好ましい。ステッピングモーターを用いてリフター部34を駆動する場合は、モーターの駆動ステップ数で制御することもできる。
【0035】
リフター部34から排出された硬貨は、検知部35によって金種が識別される。検知部35を通過する硬貨は、識別部21によって金種が識別された硬貨かまたは予め金種が識別され格納部37に格納されている硬貨である。識別部21によって硬貨の材質、サイズ、重さなどの複数の特徴をセンサーによって検出し、硬貨の金種を識別する。識別部21によって検出する硬貨の特徴の種類より少ない種類の特徴を、検知部35によって検出し、金種を識別する。例えば、検知部35では硬貨の直径のみを検出して金種を特定する。既に真偽、金種の識別がされた硬貨について、検知部35を用いて再度検出するので、識別部21を用いて金種を識別する方法よりも簡易な方法で金種を識別しても大きな問題は生じない。
【0036】
排出ベルト32、リジェクト通路24、一時収納部33では、複数の硬貨が混ざった状態になるが、それらの金種は、格納部37に格納可能な予め決められた3種類の金種の何れかである。例えば、3種類の金種の直径が異なれば、検知部35で直径だけを検出すれば、金種を特定できる。材質が異なれば、材質だけを検出することで金種を特定できる。検知部35を用いて金種を特定した後、硬貨は出金部36に渡される。検知部35は、硬貨の搬送経路の途中に配置され、リフター部34と出金部36との間に配置される。リフター部34の硬貨の搬送路の端部に検知部35を接続することが好ましい。一時収納部33よりも硬貨の搬送方向の下流側であり、出金部36の前段に検知部35を配置でき、さらに硬貨処理装置内に配置することができるからである。
【0037】
例えば検知部35は、硬貨の外周に沿って移動する切片を備え、切片の移動量をロータリーエンコーダーで検出し、ロータリーエンコーダーの出力するパルス信号をカウントすることで切片の移動量を計測することができる。切片の移動量は、硬貨の直径に比例するので、演算することで直径を求めることができる。
【0038】
硬貨処理装置は、入金部20から入金された硬貨を、格納部37に格納し、必要に応じて出金に再利用する。
【0039】
硬貨処理装置は、出金部36から硬貨が正しく出金されたか否かを確認する事ができる。出金されるまでの間に、硬貨の詰まりやこぼれで搬送不良が生じた場合に、予定されていた金種および枚数の硬貨が出金されない。硬貨処理装置は、検知部35によって、金種、枚数を取得でき、出金予定の金種、枚数と比較することで、出金の過不足を判断できる。
【0040】
硬貨の搬送経路が複雑になると、搬送不良が生じる可能性が高くなり、特に、低い位置から高い位置に硬貨を搬送するリフターを使用した場合に、ジャムなどの搬送不良が生じやすくなる。また、粘性物質が付着した硬貨を、硬貨処理装置が受け入れてしまった場合に、搬送経路で搬送しづらくなり、詰まってしまう場合がある。搬送不良には様々な要因が考えられるが、実際に出金された硬貨の金種および枚数が出金予定の硬貨の金種および枚数と異なる場合に、エラー処理を行うことで、利用者を保護することができる。エラー処理は、不具合の報知、管理者への通知、硬貨処理装置の利用制限などである。
【0041】
図1で説明した構成とは異なる硬貨処理装置の第2の例を説明する。図2は、硬貨処理装置の構成の第2の例の概略図である。図1で説明した保留部22、リジェクト通路24を省いた構成の硬貨処理装置の例である。図1と異なる部分を説明する。
【0042】
識別部21は、格納部37に格納可能な金種の硬貨であれば振分部25に搬送し、それ以外の金種ならば出金部36に搬送する。
【0043】
振分部25では、識別部21によって判断された金種毎に格納部37に硬貨を格納する。
【0044】
リジェクト操作がされ、リジェクト指示部23からリジェクトの信号が後述の制御部にあった場合、制御部は格納部37に対して出金制御をする。制御部は入金された硬貨の金種および枚数と同種の金種および枚数の硬貨を出金する制御をする。さらに、一時収納部33に収納された硬貨を搬送し、検知部35による金種の識別、枚数の計数を行った後、出金部36に出金される。
【0045】
スライダー部38は、排出ベルト32の代わりに配置され、格納部37から排出された硬貨を一時収納部33に案内する傾斜した硬貨の搬送路である。排出ベルト32は駆動制御が必要であるが、スライダー部38は駆動処理が不要となり、また駆動機構も不要であり、単純な構成にすることができる。また第1の例において、排出ベルト32の代わりにスライダー部38を用いることができる。
【0046】
図1の保留部22、リジェクト通路24、排出ベルト32の機構、制御を省略した硬化処理装置を提供することが可能となる。
【0047】
図3は、硬貨処理装置のブロック図である。
【0048】
制御回路40は、硬貨処理装置の動作を制御する。制御回路40はCPUを含み、ROM41に記憶されているプログラムに従い動作する。制御回路40は、例えば、硬貨の搬送制御、識別部21あるいは検知部35による検出結果を用いての金種の識別、硬貨の枚数の管理、操作パネルの制御、入金制御、出金制御など各種制御を行う。ROM41は、プログラム、設定値など硬貨処理装置の動作を制御するデータが記憶されている不揮発性のメモリーである。RAM42は、制御回路40の演算の一時的なワークエリア、制御に必要なデータの一時的な保存など制御に関するデータを記憶する。RAM42は、例えば、出金予定の硬貨の金種と枚数のデータ、検知部35を用いて取得された出金される硬貨の金種と枚数、識別部21を用いて取得された入金される硬貨の金種と枚数、入金順番と金種の関係、格納部37に格納されている金種毎の硬貨の枚数など、制御に必要な情報を記憶する。
【0049】
表示手段43は、制御回路40によって制御され、文字や図形などの表示を行うLCDなどの表示装置である。入力手段44は、制御回路40によって制御され、キーボードやスイッチなどの入力装置である。表示手段43と入力手段44を一体としたタッチパネルを用いることができ、例えば図9の操作パネル10である。
【0050】
撮像手段45は、制御回路40によって制御され、動画、制止画を撮影する装置であり、例えば図9の電子カメラ13である。紙幣処理手段46は、制御回路40によって制御され、紙幣の入金、出金、格納を行う装置であり、例えば、図9の紙幣入金口8、紙幣出金口9を含む。物品処理手段47は、制御回路40によって制御され、代金の支払と引き換えに物品、サービスを提供する装置であり、例えば図9のカード入出口16を含む。代金は、紙幣入金口8または硬貨入金口5から入金され、釣銭は紙幣出金口9または硬貨出金口6から出金され、カードはカード入出口16から出入りする。
【0051】
識別部駆動回路48は、制御回路40によって制御され、識別部21の動作を司る。識別部駆動回路48は、入金された硬貨の特徴を識別部21のセンサーで検出し、制御回路40に検出結果を出力し、制御回路40が真偽、金種を判断し、制御に利用する。
【0052】
リジェクト駆動回路49は、制御回路40によって制御され、図9のリジェクトレバー7が操作された場合に、リジェクト信号を制御回路40に出力する。制御回路40は、リジェクト信号を入力し、各種制御に利用する。
【0053】
保留部分岐駆動回路50は、制御回路40によって制御され、保留部22に保留された硬貨の搬送先を、リジェクト通路24かまたは振分部25のどちらかにする。制御回路40にリジェクト信号が入力された場合、保留部22に保留された硬貨は、リジェクト通路24に搬送される。入金が確定した場合、保留部22に保留された硬貨は、識別された順番に振分部25に搬送される。
【0054】
振分部駆動回路51は、制御回路40によって制御され、金種の識別された硬貨を、金種毎に格納部37に格納する。格納された硬貨の枚数は、金種毎に制御回路40が取得し、各種制御に利用する。例えば、制御回路40は、格納部37に格納されている硬貨の金種毎の枚数を把握し、管理することができる。
【0055】
第1金種格納部駆動回路52は、制御回路40によって制御され、指定された枚数の第1金種の硬貨を排出ベルト32上に排出する。排出された硬貨の枚数は、制御回路40が取得し、各種制御に利用する。
【0056】
第2金種格納部駆動回路53は、制御回路40によって制御され、指定された枚数の第2金種の硬貨を排出ベルト32上に排出する。排出された硬貨の枚数は、制御回路40が取得し、各種制御に利用する。第3金種格納部駆動回路54は、制御回路40によって制御され、指定された枚数の第3金種の硬貨を排出ベルト32上に排出する。排出された硬貨の枚数は、制御回路40が取得し、各種制御に利用する。制御回路40は、格納部37に格納されている金種毎の硬貨の枚数を管理することができる。
【0057】
排出ベルト駆動回路55は、制御回路40によって制御され、排出ベルト32を駆動する。排出ベルト32を駆動することで、排出ベルト32の上に載置された硬貨は、一時収納部33に搬送される。
【0058】
リフター部駆動回路56は、制御回路40によって制御され、リフター部34を駆動する。リフター部34を駆動することで、リフター部34の下方に配置された一時収納部33に収納された硬貨を、上方の検知部35に搬送する。リフター部駆動回路56は、一時収納部33内に収納された硬貨の有無を検出し、硬貨が全て搬送されるまで、搬送を続けることができる。入金部20から出金部36の各構成を水平方向に全て配置した場合、水平方向にサイズが大きくなり、広い設置面積が必要となり、装置が大型化してしまう。そのため、各構成を鉛直方向に上下に重ねるように配置することで、装置を小型化できる。その場合に、下方の硬貨を上方に移動させる機構が必要となる。入金部20よりも下方に一時収納部33が配置されるので、リフターを用いて硬貨を上方に移動させ、出金部36を入金部20の近傍に配置可能にした。例えば、図9の硬貨入金口5と硬貨出金口6を近傍に配置することができる。
【0059】
検知部駆動回路57は、制御回路40によって制御され、検知部35によってリフター部34から搬送されてきた硬貨の金種を検知し、制御回路40に検知結果を出力する。制御回路40は、検知結果を入力し、各種制御に利用する。例えば、検知部35によって、硬貨の直径を検知し、制御回路40に出力する。制御回路40では、硬貨の直径を演算し、金種を特定することができる。例えば、制御回路40は、出金される金種毎の枚数を計数して記憶させ、出金予定の硬貨の金種毎の枚数と比較し、硬貨が正しく出金されたか否かを判断するなどの各種制御に用いる。
【0060】
上述のブロック図は、図1の構成に対応するブロック図である。図2には、図1の保留部22、リジェクト通路24の構成が無く、リジェクト指示部23の指示先が異なる。また、図1の排出ベルト32の代わりにスライダー部38を用い、駆動制御が不要な構成である。図2のような構成については、図3のブロック図の保留部分岐駆動回路50と排出ベルト駆動回路55を制御しなくても良い。入金を取り止めるリジェクト操作がされた場合、制御部40は、リジェクト指示部23からのリジェクト信号の入力によって、入金された硬貨の金種毎の枚数と、同種であり同数の硬貨の出金を制御する。制御回路40は、第1金種の入金枚数と同数の枚数を指定して第1金種格納部駆動回路52から硬貨を排出する制御をし、第2金種の入金枚数と同数の枚数を指定して第2金種格納部駆動回路53から硬貨を排出する制御をし、第3金種の入金枚数と同数の枚数を指定して第3金種格納部駆動回路52から硬貨を排出する制御をする。
【0061】
次に、硬貨処理装置の動作について説明する。図4は、動作の第1の例を説明するフローチャートである。硬貨が入金されてから、格納部に格納するまでの動作の第1の例を説明する。ROM41に記憶されたプログラムに従って制御回路40が動作し、機能を実現する。
【0062】
ステップS1では、入金部20から入金された硬貨を、識別部21のセンサーによって特徴を検出し、金種を判断する。センサーは硬貨の複数の特徴を検出する複数のセンサーから構成されている。例えば、材質、直径、重さなどの複数の特徴を検出し、検出結果を、予め記憶されている金種毎に設定した設定値と比較する。検出結果は、金種毎に設定された設定値の許容範囲内に入か否かを判断され、その結果から硬貨の金種が特定される。所定の金種と判断された硬貨は正貨として後続の処理がされる。検出結果から、何れの金種の設定値の許容範囲にも入らない硬貨は偽貨と判断される。偽貨は偽造硬貨や格納部37に格納されない金種の硬貨として、また正貨は格納部37に格納される金種の硬貨として後続の処理が行われる。
【0063】
ステップS2では、識別部21で識別された硬貨が正貨か偽貨かを判断し、正貨と判断されればステップS3に移行し、偽貨と判断されればステップS12に移行する。ステップS3では、正貨と判断された硬貨を保留部22に案内する。ステップS12では、偽貨との判断された硬貨を出金部36に案内する。硬貨は1枚ずつ分離されて識別部21で真偽、金種が判断された後、一枚ずつ分離されて保留部22に搬送される。搬送される硬貨の金種は、一枚ずつ分離されて搬送され、保留部22に保留されるので、制御回路40によって硬貨毎に金種を対応させて管理することができる。
【0064】
ステップS4では、入金部20に識別部21に搬送されていない硬貨が存在するか否かを判断する。入金部20には不図示のセンサーが配置され、硬貨の有無を検出し制御部40が取得し、入金部20にまだ未搬送の硬貨がある場合は、ステップS1に移行し、硬貨を識別部21に硬貨を搬送する制御を行う。入金部20に未搬送の硬貨が無い場合は、ステップS5に移行する。
【0065】
次にステップS5では、リジェクト指示の有無を判断する。リジェクトレバー7が操作されることで、入金を中止し、入金された硬貨を払い出す処理を行う。リジェクト指示があればステップS9へ、なければステップS6に移行する。
【0066】
次にステップS6は、リジェクト指示が無い場合の処理であり、振分部25を制御して、硬貨を金種毎に格納部37に格納する。
【0067】
次にステップS7では、一時収納部33に硬貨が入っているか否かを判断する。硬貨が収納されていなければステップS8に移行し、収納されていればステップS10に移行する。一時収納部33には硬貨の有無を検出する不図示のセンサーが配置されており、制御回路40がこのセンサーの検出結果を取得し、一時収納部33の中の硬貨の有無を判断することができる。
【0068】
ステップS8では、一時収納部33に硬貨が無い場合であり、リフター部34を停止させる処理が行われる。このとき、リフター部34には搬送途中の硬貨が存在する可能性があるので、リフター部34を所定時間動作させてから停止する。制御回路40は、リフター部34によって搬送され、検知部35を用いて金種が識別された硬貨の枚数を取得できているので、この金種と枚数を利用して各種制御を行うことができる。例えば、所定時間は、一時収納部33から搬送される硬貨が、リフター部34を通過するのに要する時間である。例えば、リフター部34の通過に2.0秒要するのであれば、所定時間は、2.0秒または少し時間を付加した2.0+1.0秒に設定する。
【0069】
ステップS9では、保留部22に保留されている硬貨をリジェクトする処理を行う。入金された硬貨を、利用者に返却するため、保留部22に保留されている硬貨をリジェクト通路24に搬送する。例えば、保留部22に、リジェクト通路24に接続された電動のゲートが配置されている。ゲートを閉じることで硬貨を保留部22から振分部25に搬送可能とし、ゲートを開けることで硬貨を保留部22からリジェクト通路24を介して、一時収納部33に搬送可能とする。
【0070】
ステップS10では、リフター部34を駆動し、一時収納部33に収納されている硬貨をリフター部34の上部であり、端部に接続されている検知部35に搬送する。
【0071】
次にステップS11では、検知部35によって、リフター部34から受け渡された硬貨の特徴を検出する。検知部35の後段には、出金部36が配置され、検知部35を用いて識別された硬貨は、出金部36に排出される。検知部35の検出結果から制御回路40が金種を判断し、さらに搬送される硬貨の枚数を金種毎に計数し、RAM42に記憶する。リジェクトされる毎に、あるいは、格納部37から出金制御される毎に、検知部35を通る硬貨について金種毎の枚数を計数し、記憶する。制御回路40は、搬送される硬貨の金種と枚数を取得し、各種制御に利用する。各種制御とは、例えば、制御回路40が、出金予定の金種と枚数と、実際に出金された硬貨の金種と枚数とを比較し、差を演算し、一致不一致を判断する処理である。制御回路40は、出金予定の硬貨の金種と枚数を管理している。リジェクトされたときの出金予定の硬貨の金種と枚数は、保留部22に保留されている硬貨の金種毎の枚数である。格納部37から出金されたときの出金予定の硬貨の金種と枚数は、出金時には出金する硬貨の金種と枚数が指定されるので、その指定された金種と枚数である。出金予定の硬貨の金種と枚数は、入金の識別後、釣銭演算後、両替金演算後などの処理後にRAM42に演算の結果として記憶されている。
【0072】
ステップS12では、偽貨と判断された硬貨を出金部36に案内し、出金する。
【0073】
次にステップS13では、入金部20に硬貨があるか否かを判断し、まだ入金部20に硬貨が残っていればステップS1に移行し、残っていなければステップS7に移行する。
【0074】
入金部20に硬貨が入れられた後、入金部20に入れられた硬貨全てを識別部21で正貨と偽貨を識別し、偽貨なら出金部36に排出し、正貨なら格納部37に格納するか、リジェクトする。リジェクトする場合は、検知部35によって排出する硬貨の金種を判断し、枚数を計数する。排出予定の硬貨の金種と枚数は、リジェクト操作時に保留部22に保留されている硬貨の金種と枚数である。また、実際に排出された硬貨の金種と枚数は、検知部35の検出結果から識別された硬貨の金種と、金種毎に計数した枚数である。排出予定の硬貨の金種と枚数と、実際に排出された硬貨の金種と枚数を比較することで、搬送途中で不具合があったか否かを判断できる。不一致であれば、何かしらの原因で硬貨が正常に搬送されていないことが分かる。制御回路40は、搬送不良をいち早く検出でき、搬送不良が生じた場合にいち早く対処処理を実行できる。
【0075】
図5は、動作の第2の例を説明するフローチャートである。硬貨が入金されてから、格納するまでの動作の第2の例を説明する。図1の識別部21において、偽貨と判断された場合に、識別部21が出金部36に案内せずに、リジェクト通路24に案内し、入金された硬貨に対して、検知部35によって再度金種と枚数を確認する例である。ROM41に記憶されたプログラムに従って制御回路40が動作し、機能を実現する。
【0076】
ステップS20では、入金部20から入金された硬貨を、識別部21のセンサーによって特徴を検出し、金種を判断する。センサーは硬貨の複数の特徴を検出する複数のセンサーから構成されている。例えば、材質、直径、重さなどの複数の特徴を検出し、検出結果を、予め記憶されている金種毎に設定した設定値と比較する。検出結果は、金種毎に設定された設定値の許容範囲内に入か否かを判断され、その結果から硬貨の金種が特定される。所定の金種と判断された硬貨は正貨として後続の処理がされる。検出結果から、何れの金種の設定値の許容範囲にも入らない硬貨は偽貨と判断される。偽貨は偽造硬貨や格納部37に格納されない金種の硬貨として、また正貨は格納部37に格納される金種の硬貨として後続の処理が行われる。
【0077】
ステップS21では、識別部21で識別された硬貨が正貨か偽貨かを判断し、正貨と判断されればステップS22に移行し、偽貨と判断されればステップS28に移行する。ステップS22では、正貨と判断された硬貨を保留部22に案内する。ステップS28では、偽貨との判断された硬貨をリジェクト通路24に案内する。硬貨は1枚ずつ分離されて識別部21で真偽、金種が判断された後、一枚ずつ分離されて保留部22に搬送されるか、リジェクト通路24を経由して一時収納部33に送られる。搬送される硬貨の金種は、一枚ずつ分離されて搬送され、保留部22に保留されるので、制御回路40によって硬貨毎に金種を対応させて管理することができる。
【0078】
ステップS23では、入金部20に識別部21に搬送されていない硬貨が存在するか否かを判断する。入金部20には不図示のセンサーが配置され、硬貨の有無を検出し制御部40が取得し、入金部20に未搬送の硬貨がある場合は、ステップS20に移行し、識別部21に硬貨を搬送する制御を行う。入金部20に未搬送の硬貨が無い場合は、ステップS24に移行する。
【0079】
次にステップS24では、リジェクト指示の有無を判断する。リジェクトレバー7が操作されることで、入金を中止し、入金された硬貨を払い出す処理を行う。リジェクト指示があればステップS29へ、なければステップS25に移行する。
【0080】
次にステップS25では、リジェクト指示が無い場合の処理であり、振分部25を制御して、硬貨を金種毎に格納部37に格納する。
【0081】
次にステップS26では、一時収納部33に硬貨が入っているか否かを判断する。硬貨が収納されていなければステップS27に移行し、収納されていればステップS30に移行する。一時収納部33には硬貨の有無を検出する不図示のセンサーが配置されており、制御回路40がこのセンサーの検出結果を取得し、一時収納部33の中の硬貨の有無を判断することができる。
【0082】
ステップS27では、一時収納部33に硬貨が無い場合であり、リフター部34を停止させる処理が行われる。このとき、リフター部34には搬送途中の硬貨が存在する可能性があるので、リフター部34を所定時間動作させてから停止する。制御回路40は、リフター部34によって搬送され、検知部35を用いて金種が識別された硬貨の枚数を取得できているので、この金種と枚数を利用して各種制御を行うことができる。例えば、所定時間は、一時収納部33から搬送される硬貨が、リフター部34を通過するのに要する時間である。
【0083】
ステップS29では、保留部22に保留されている硬貨をリジェクトする処理を行う。入金された硬貨を、利用者に返却するため、保留部22に保留されている硬貨をリジェクト通路24に搬送する。例えば、保留部22に、リジェクト通路24に接続された電動のゲートが配置されている。ゲートを閉じることで硬貨を保留部22から振分部25に搬送可能とし、ゲートを開けることで硬貨を保留部22からリジェクト通路24を介して、一時収納部33に搬送可能とする。
【0084】
ステップS30では、リフター部34を駆動し、一時収納部33に収納されている硬貨をリフター部34の上部であり、端部に接続されている検知部35に搬送する。
【0085】
次にステップS31では、検知部35によって、リフター部34から受け渡された硬貨の金種を検出する。検出結果から制御回路40が金種を判断し、さらに搬送される硬貨の枚数を計数する。制御回路40は、搬送される硬貨の金種と枚数を取得し、各種制御に利用する。次にステップS26に移行する。
【0086】
一時収納部33には、偽貨と判断された硬貨と、リジェクトされた硬貨が混在する可能性がある。制御回路40は、リフター部34で搬送され、検知部35を通る硬貨の金種と枚数を取得し、各種制御ができる。排出予定の硬貨の金種と枚数は、リジェクト操作時に保留部22に保留されている硬貨の金種と枚数と偽貨の金種と枚数の合計である。また、実際に排出された硬貨の金種と枚数は、検知部35によって検出された硬貨の金種と枚数である。排出予定の硬貨の金種と枚数と、実際に排出された硬貨の金種と枚数を比較することで、搬送途中で不具合があったか否かを判断できる。制御回路40は、排出予定の硬貨の金種と枚数と、実際に排出された硬貨の金種と枚数が不一致ならば、何かしらの原因で硬貨の搬送に不具合が生じたと判断できる。制御回路40は、搬送不良をいち早く検出でき、搬送不良が生じた場合にいち早く対処処理を実行できる。
【0087】
次に別の動作の例を説明する。図1に説明した構成では、正貨と判断された硬貨は保留部22に一旦格納された後、入金が完了した後に格納部37に格納またはリジェクトされる構成であった。しかし図2に説明した構成では、図1の保留部22が無く、識別部21で識別した後、保留せずに振分部25によって金種毎に格納部37に格納される。図2のような構成の場合に、硬貨が入金されてから格納部37に格納されるまでの動作について説明する。図6は、動作の第3の例を説明するフローチャートである。ROM41に記憶されたプログラムに従って制御回路40が動作し、機能を実現する。
【0088】
ステップS40では、入金部20から入金された硬貨を、識別部21のセンサーによって特徴を検出し、金種を判断する。センサーは硬貨の複数の特徴を検出する複数のセンサーから構成されている。例えば、材質、直径、重さなどの複数の特徴を検出し、検出結果を、予め記憶されている金種毎に設定した設定値と比較する。検出結果は、金種毎に設定された設定値の許容範囲内に入か否かを判断され、その結果から硬貨の金種が特定される。所定の金種と判断された硬貨は正貨として後続の処理がされる。検出結果から、何れの金種の設定値の許容範囲にも入らない硬貨は偽貨と判断される。偽貨は偽造硬貨や格納部37に格納されない金種の硬貨として、また正貨は格納部37に格納される金種の硬貨として後続の処理が行われる。
【0089】
ステップS41では、識別された硬貨が正貨か偽貨かを判断し、正貨との判断ならばステップS42に移行し、偽貨との判断ならばステップS51に移行する。ステップS42では、正貨と判断された硬貨を振分部25に案内する。ステップS51では、偽貨との判断された硬貨を出金部36に案内する。硬貨は1枚ずつ分離されて識別部21で真偽、金種が判断された後、一枚ずつ分離されて振分部25に搬送される。搬送される硬貨の金種は、一枚ずつ分離されて搬送され、振分部25に搬送されるので、制御回路40によって硬貨と金種を対応して管理することができる。
【0090】
ステップS43では、振分部25を制御して、硬貨を金種毎に格納部37に格納する。
【0091】
次にステップS44では、入金部20に識別部21に搬送されていない硬貨が存在するか否かを判断する。入金部20には不図示のセンサーが配置され、硬貨の有無を検出し制御部40が取得し、入金部20に未搬送の硬貨がある場合は、ステップS40に移行し、識別部21に硬貨を搬送する制御を行う。入金部20に未搬送の硬貨が無い場合は、ステップS45に移行する。
【0092】
次にステップS45では、リジェクト指示の有無を判断する。リジェクトレバー7が操作されることで、入金を中止し、入金された硬貨を払い出す処理を行う。リジェクト指示があればステップS48へ、なければステップS46に移行する。
【0093】
次にステップS46は、リジェクト指示が無い場合の処理であり、一時収納部33に硬貨が入っているか否かを判断する。一時収納部33には硬貨の有無を検出する不図示のセンサーが配置されており、制御回路40は、このセンサーの検出結果を取得し、一時収納部33の硬貨の有無を管理できる。硬貨が収納されていなければステップS47に移行し、収納されていればステップS49に移行する。
【0094】
ステップS47では、一時収納部33に硬貨が無いので、リフター部34を停止させる。このとき、リフター部34には、搬送途中の硬貨が残っている可能性があるので、リフター部34を所定時間動作させてから停止する。制御回路40は、リフター部34によって搬送され、検知部35を通って排出された硬貨の金種と枚数が取得されているので、この金種と枚数を利用して各種制御を行うことができる。
【0095】
ステップS48では、入金された硬貨と同じ金種および枚数の硬貨を格納部37から排出する処理を行う。入金部20から入金され、識別部21で正貨と判断された硬貨は、格納部37に金種毎に格納される。入金されてからリジェクトの操作がされるまでに格納部37に格納された硬貨の金種と枚数は、制御回路40によって取得されている。例えば、格納部37に格納された硬貨の金種と枚数は、RAM42に記憶されている。制御回路40は、格納部37に対して、入金されてからリジェクトの操作がされるまでに格納部37に格納された硬貨の金種と枚数と同じ金種と枚数を指定し、払い出す制御を行う。格納部37から、指定された金種および枚数の硬貨がスライダー部38に排出される。硬貨は、スライダー部38を滑り、一時収納部33に搬送され、収納される。
【0096】
ステップS49では、リフター部34を駆動し、一時収納部33に収納されている硬貨をリフター部34の上部であって端部に配置されている検知部35に搬送する。
【0097】
次にステップS50では、検知部35によって、リフター部34から受け渡された硬貨の特徴を検出する。検出結果から制御回路40が金種を判断し、さらに搬送される硬貨の枚数を計数する。制御回路40は、搬送される硬貨の金種と枚数を取得し、各種制御に利用する。次にステップS46に移行する。
【0098】
ステップS51では、偽貨と判断された硬貨を出金部36に案内し、出金する。
【0099】
次にステップS52では、入金部20に硬貨があるか否かを判断し、入金部20に硬貨が残っていればステップS40に移行し、残っていなければステップS46に移行する。
【0100】
入金部20に硬貨が入れられた後、入金部20に入れられた硬貨全てについて識別部21で正貨と偽貨を識別し、偽貨なら出金部36に排出し、正貨なら格納部37に格納する。リジェクトする場合は、格納部37に格納されている硬貨を排出することで行う。リジェクトされる硬貨は、入金された硬貨の金種毎の枚数は同じであるが、入金された硬貨そのものを返すとは限らない。
【0101】
リジェクトされ、搬送される硬貨は、検知部35によって特徴が検出され、金種が判断され、枚数が計数される。排出予定の硬貨の金種と枚数は、リジェクト操作時に格納部37から硬貨を排出するために指定された金種と枚数である。また、実際に排出された硬貨の金種と枚数は、検知部35によって検出された硬貨の金種と枚数である。排出予定の硬貨の金種と枚数と、実際に排出された硬貨の金種と枚数を比較することで、搬送途中で不具合があったか否かを判断できる。比較の結果が不一致ならば、搬送途中で何かしらの原因で不具合が生じたと判断される。制御回路40は、搬送不良をいち早く検出でき、搬送不良が生じた場合にいち早く対処処理を実行できる。
【0102】
次に、格納部37から金種と枚数を指定して排出するときの動作について説明する。図7は、硬貨の排出時の動作を説明するフローチャートである。格納部37に格納されている硬貨を出金するまでの動作の例を説明する。ROM41に記憶されたプログラムに従って制御回路40が動作し、機能を実現する。
【0103】
まずステップS60では、制御回路40は、排出する硬貨の金種と枚数を指定して格納部37に硬貨を排出させる制御を行う。格納部37は、指定された金種の硬貨を指定された枚数だけ排出する。
【0104】
次にステップS61では、排出ベルト32を駆動し、排出ベルト32に載置された硬貨を一時収納部33に搬送する。排出ベルト32を用いずに、スライダー等の別の駆動制御が不要な機構を用いる場合には、このステップは必要ない。
【0105】
次にステップS62では、格納部37から指定された硬貨が全て排出されたか否かを判断する。少なくとも排出予定の硬貨が全て排出され、一時収納部33に格納されるまで排出ベルト32を駆動する。排出予定の硬貨の排出が終了したらステップS63に移行する。
【0106】
ステップS63では、リフター部34を駆動し、一時収納部33に収納された硬貨を検知部35に搬送する。
【0107】
次にステップS64では、検知部35によって、リフター部34から受け渡された硬貨の特徴を検出する。検出結果から制御回路40が金種を判断し、さらに搬送される硬貨の枚数を金種毎に計数する。制御回路40は、出金される硬貨の金種と枚数を取得し、各種制御に利用することができる。次にステップS65に移行する。
【0108】
ステップS65では、一時収納部33に硬貨が入っているか否かを判断する。硬貨が一時収納部33に収納されていなければステップS66に移行し、収納されていればステップS63に移行する。
【0109】
ステップS66では、排出ベルト32の駆動を停止する。排出ベルト32を用いずに、スライダー等の別の駆動制御が不要な機構を用いる場合には、排出ベルト32を停止させる処理をしなくとも良い。このとき格納部37から排出が終了してから所定時間、例えば5秒間は排出ベルト32を駆動する。少なくとも、格納部37からの排出終了時から排出ベルト32を1回転させる必要がる。さらに、一時収納部33に硬貨が無いので、リフター部34を停止させる。このとき、リフター部34に搬送途中の硬貨が残っている可能性があるので、リフター部34を所定時間動作させてから停止する。例えば、5秒間は、リフター部34を駆動し、少なくとも、最も下の場所から最も上の場所に硬貨を移動させるのに要する時間は駆動する。制御回路40は、リフター部34によって搬送され、出金された硬貨の金種と枚数を取得できているので、この金種と枚数を利用して各種制御を行うことができる。
【0110】
次に、実際に排出された硬貨の金種と枚数を制御回路40が取得した後の動作について説明する。図8は、出金の確認の動作を説明するフローチャートである。出金された硬貨の金種に応じた処理について説明する。ROM41に記憶されたプログラムに従って制御回路40が動作し、機能を実現する。出金予定の硬貨の金種毎の枚数と出金された硬貨の金種毎の枚数はRAM42に記憶され、制御に利用可能である。
【0111】
ステップS70では、制御回路40は、まず、出金予定枚数すなわち出金予定の硬貨の金種および枚数を取得し、さらに、実際の出金枚数、すなわち実際に出金された硬貨の金種と枚数を取得する。制御回路40は、出金予定枚数と出金枚数とを比較する。また、出金予定枚数は、格納部37から排出された硬貨の金種と枚数とすることもできる。格納部37から排出された硬貨の枚数をセンサーで検出し、排出された硬貨の金種と枚数を制御部40が取得して制御に用いることができる。また、排出制御には、各金種の格納部37から排出する硬貨の枚数を指定するが、この指定された金種と枚数を第1の出金予定枚数とし、格納部37から排出された硬貨の金種と枚数を第2の出金予定枚数として、それぞれの出金予定枚数と実際に出金された硬貨の金種と枚数とを比較することもできる。この比較によって搬送不具合の生じた場所を、格納部37の排出時なのか、その後の搬送時なのかなど、不具合の場所を更に細かく特定することができる。また、リジェクト操作がされ、リジェクト通路24を通過した硬貨について、出金予定枚数と出金枚数を比較する場合に、振分部25、格納部37、排出ベルト32に搬送上の問題が生じないと判断できる。逆に、リジェクト通路24を使用しなければ、リジェクト通路24には搬送上の問題が生じないと判断できる。
【0112】
次にステップS71では、出金予定枚数と出金枚数の比較の結果が一致した場合はステップS72に、不一致の場合はステップS73に移行する。
【0113】
ステップS72では、出金予定枚数と出金枚数が一致しているので、搬送途中に搬送不具合が無いことが分かり問題が無いので、予定してる後続の処理を実施する。またこのとき、出金予定の硬貨の金種と枚数と、出金された硬貨の金種と枚数を操作パネル10に表示し、またスピーカー11によって音声で正常であることをユーザーに報知する処理を行っても良い。
【0114】
ステップS73では、出金予定枚数と出金枚数が不一致なので、搬送途中に搬送不具合が生じたことが分かり、問題があるので、予定する後続の処理はせずに、エラー処理を実施する。エラー処理は、搬送不具合が発生したこと、およびその場所が特定できれば、その場所を操作パネル10に表示し、また、スピーカー11から音声で搬送不具合を報知する処理を行っても良い。このとき操作パネル10に、出金予定の硬貨の金種と枚数と、出金された硬貨の金種と枚数を表示することができ、また不具合となった金種と枚数を表示することができる。このとき、出金予定枚数と出金枚数の差を演算し、差分を表示することができる。また、エラー処理として、管理者に不図示の通信手段を介して通知し、メンテナンスを実施することを指示しても良い。通知内容に、出金予定枚数と出金枚数の差、不具合の場所が特定できればその場所を含めることができる。
【0115】
硬貨処理装置には、撮像手段45が備わり、入出金の硬貨の金種と枚数、硬貨処理装置の操作、物品又はサービスの提供状況、入出金の紙幣の金種と枚数などの状況を撮影し、RAM42に記憶することができる。制御回路40の制御によって表示手段43に撮影した映像を表示し、この撮影画像を確認する事で、入金された金種と枚数や、搬送不具合が発生したときの排出枚数を確認する事ができる。
【符号の説明】
【0116】
1 カード販売機
2 本体
3 扉
4 ヒンジ
5 硬貨入金口
6 硬貨出金口
7 リジェクトレバー
8 紙幣入金口
9 紙幣出金口
10 操作パネル
11 スピーカー
12 選択ボタン
13 電子カメラ
14 ロック
15 脚
16 カード入出口

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9