(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】溝を使用した素子の除去のための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240329BHJP
H01S 5/323 20060101ALI20240329BHJP
H01S 5/22 20060101ALI20240329BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L21/205
H01S5/323 610
H01S5/22
H01L33/32
(21)【出願番号】P 2021541054
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2020013934
(87)【国際公開番号】W WO2020150511
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-09-08
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
(72)【発明者】
【氏名】ガンドロトゥーラ, スリニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】アラキ, マサヒロ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0190148(US,A1)
【文献】国際公開第2018/031876(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0045658(US,A1)
【文献】特表2003-511871(JP,A)
【文献】特表2018-509362(JP,A)
【文献】特開2018-110171(JP,A)
【文献】国際公開第2018/204916(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01S 5/323
H01S 5/22
H01L 33/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
基板をエッチングし、前記基板の表面上に1つ以上の溝を形成することと、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に成長制限マスクを堆積させることであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される1つ以上の開放面積を有する、ことと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上に1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層を成長させることであって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、ことと、
前記III族窒化物ELO層上に1つ以上のIII族窒化物半導体素子層を成長させ、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、1つ以上の島状III族窒化物半導体層を生成することと、
前記溝を使用して、前記基板から前記光電子素子を除去することと
を含む、方法。
【請求項2】
方法であって、
ELO層形成基板を準備することであって、前記ELO層形成基板は、
表面上に1つ以上の溝を有する基板と、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に堆積された成長制限マスクであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される1つ以上の開放面積を有する、成長制限マスクと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上の1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物ELO層と
を備える、ことと、
前記III族窒化物ELO層上に1つ以上のIII族窒化物半導体素子層を成長させ、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、1つ以上の島状III族窒化物半導体層を生成することと、
前記溝を使用して、前記基板から前記光電子素子を除去することと
を含む、方法。
【請求項3】
前記溝内に堆積された前記成長制限マスクは、前記溝内に前記開放面積のうちの1つ以上のものを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記III族窒化物ELO層は、前記溝内の前記開放面積において成長させられる、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の表面上に前記溝を形成するための前記基板のエッチングは、前記基板の1つ以上の残留表面領域をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記成長制限マスクは、前記残留表面領域の少なくとも一部の上に堆積される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記残留表面領域の一部は、前記残留表面領域の縁を備える、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記残留表面領域の一部の上に堆積される前記成長制限マスクは、前記基板から前記
光電子素子を除去するために劈開が開始されるべき場所を決定する、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記III族窒化物ELO層は、癒合することなく前記成長制限マスクの開放面積から成長させられ、前記III族窒化物ELO層の別個の島の間に非成長領域を残す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溝は、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状をもたらす、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
構造であって、
基板の表面上に1つ以上の溝を形成するためにエッチングされる基板と、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に堆積された成長制限マスクであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される開放面積を有する、成長制限マスクと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上で成長させられた1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層と、
その上で1つ以上の光電子素子が加工される島状III族窒化物半導体層を生成するために、前記III族窒化物ELO層上で成長させられた1つ以上のIII族窒化物半導体素子層と
を備える、構造。
【請求項12】
構造であって、
表面上に1つ以上の溝を有する基板と、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に堆積された成長制限マスクであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される開放面積を有する、成長制限マスクと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上の1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物ELO層と、
その上で1つ以上の光電子素子が加工される島状III族窒化物半導体層を生成するために、前記III族窒化物ELO層上で成長させられた1つ以上のIII族窒化物半導体素子層と
を備える、構造。
【請求項13】
素子であって、
成長制限マスクの1つ以上の開放面積における基板の表面上で成長させられた1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記基板は、前記基板の表面上に1つ以上の溝を含み、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層と、
その上で1つ以上の光電子素子が加工される島状III族窒化物半導体層を生成するために、前記III族窒化物ELO層上で成長させられた1つ以上のIII族窒化物半導体素子層と
を備える、素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびMasahiro Arakiによる、「METHOD FOR REMOVAL OF DEVICES USING A TRENCH」と題され、2019年1月16日に出願された、米国仮出願第62/793,253号(弁理士整理番号第G&C 30794.0713USP1(UC 2019-398-1)号)。
その出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願に関する。
その出願が、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、Hongjian Li、およびDaniel A. Cohenによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2017年5月5日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮特許出願第62/502,205号(弁理士整理番号第30794.0653USP1(UC 2017-621-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、 Hongjian Li、およびDaniel A. Cohenによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2018年5月7日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US18/31393号(弁理士整理番号第30794.0653WOU1(UC 2017-621-2)号)。
その出願が、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2017年9月15日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮特許出願第62/559,378号(弁理士整理番号第30794.0659USP1(UC 2018-086-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2018年9月17日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US18/51375号(弁理士整理番号第30794.0659WOU1(UC 2018-086-2)号)。
その出願が、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES BY USING LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年3月30日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮特許出願第62/650,487号(弁理士整理番号第G&C 30794.0680USP1(UC 2018-427-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES USING EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2019年4月1日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US19/25187号(弁理士整理番号第30794.0680WOU1(UC 2018-427-2)号)。
その出願が、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2018年5月17日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮出願第62/672,913号(弁理士整理番号第G&C 30794.0682USP1(UC 2018-605-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2019年5月17日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US19/32936号(弁理士整理番号第30794.0681WOU1(UC 2018-605-2)号)。
その出願が、Srinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる、「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2018年5月30日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮出願第62/677,833号(弁理士整理番号第G&C 30794.0682USP1(UC 2018-614-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Srinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる、「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2019年5月30日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US19/34686号(弁理士整理番号第30794.0682WOU1(UC 2018-614-2)号)。
その出願が、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD OF OBTAINING A SMOOTH SURFACE WITH EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年10月31日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された、米国仮出願第62/753,225号(弁理士整理番号第G&C 30794.0693USP1(UC 2019-166-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる、「METHOD OF OBTAINING A SMOOTH SURFACE WITH EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2019年10月31日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US19/59086号(弁理士整理番号第30794.0693WOU1(UC 2019-166-2)号)。
その出願の全てが、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
1.発明の分野
本発明は、溝を使用した素子の除去のための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
2.関連技術の説明
多くの素子製造業者が、自立バルク窒化ガリウム(GaN)基板を使用し、照明、光学記憶、および他の目的のためのレーザダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)を生産している。GaN基板は、GaN基板上のホモエピタキシャル成長によって低欠陥密度を有する高品質のIII族窒化物系半導体層を取得することが容易である点において、魅力的である。
【0005】
しかしながら、典型的には、水素化物気相エピタキシ(HVPE)を使用して生産される、GaN基板は、非常に高価である。また、非極性および半極性GaN基板は、極性(c面)GaN基板よりも高価である。結果として、研究者は、素子が製造された後、GaN基板からIII族窒化物系半導体層を除去することを調査している。そのような技法は、再生利用され得るGaN基板をもたらし、これは、顧客にとって非常に安価かつ高品質のGaN基板およびIII族窒化物系素子を提供するであろう。
【0006】
その結果、容易な様式でIII族窒化物系基板または層およびIII族窒化物系層を伴うヘテロ基板からIII族窒化物系半導体層を除去する技法の必要性が、存在する。
【0007】
1つの以前の技法では、GaN層は、引張り歪下で金属のストレッサ層によってスポーリングされる。例えば、Applied Physics Express 6 (2013) 112301および米国特許第8,450,184号(その両方は、参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。具体的には、本技法は、GaN層の中間においてスポーリングを使用する。
【0008】
しかしながら、スポーリング面上の表面形態は、粗く、本技法は、スポーリング位置において制御されることができない。また、本除去方法は、除去されている層における過剰な屈曲に起因して、半導体層を損傷させ得、これは、意図せぬ方向における亀裂をもたらし得る。したがって、いかなるそのような損傷および表面粗さも低減させることが、必要である。
【0009】
別の従来の技法は、GaN基板から素子構造を除去するための犠牲層の光電気化学(PEC)エッチングの使用であるが、これは、長い時間がかかり、いくつかの複雑なプロセスを伴う。また、これらのプロセスからの収率は、業界の期待に達していない。
【0010】
したがって、III族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する改良された方法の必要性が、当技術分野において存在する。本発明は、本必要性を満たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(発明の要約)
上記に説明される従来技術における限界を克服し、本明細書の熟読および理解に応じて明白となるであろう他の限界を克服するために、本発明は、溝を使用して基板から素子のバーを除去するための方法、および本方法によって加工される結果として生じる素子を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的には、本発明は、以下のステップ、すなわち、基板をエッチングし、基板の表面に溝を形成するステップと、溝上またはその中、随意に、基板の残留表面領域の少なくとも一部の上を含む、基板上に成長制限マスクを堆積させるステップであって、成長制限マスクは、基板の表面が暴露される、開放面積を有する、ステップと、成長制限マスクを使用して、基板上にIII族窒化物ELO層を成長させるステップであって、III族窒化物ELO層は、基板内の溝によって形成される窪みのある別個の領域を有し、III族窒化物ELO層は、癒合せず、相互から分離されたままである、ステップと、随意に、湿式または乾式エッチングによって成長制限マスクを除去するステップと、III族窒化物ELO層上にIII族窒化物半導体素子層を成長させ、その上でLEDおよびLD等の光電子素子が加工される、島状III族窒化物半導体層を生成するステップと、基板から素子のバーを除去するステップと、次いで、バーを別個の素子に分割するステップとを実施する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、
基板をエッチングし、前記基板の表面上に1つ以上の溝を形成することと、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に成長制限マスクを堆積させることであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される1つ以上の開放面積を有する、ことと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上に1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層を成長させることであって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、ことと、
前記III族窒化物ELO層上に1つ以上のIII族窒化物半導体素子層を成長させ、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、1つ以上の島状III族窒化物半導体層を生成することと、
前記溝を使用して、前記基板から前記光電子素子を除去することと
を含む、方法。
(項目2)
前記溝内に堆積される前記成長制限マスクは、前記溝内に前記開放面積のうちの1つ以上のものを有する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記III族窒化物ELO層は、前記溝内の前記開放面積において成長される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記基板の表面上に前記溝を形成するための前記基板のエッチングは、前記基板の1つ以上の残留表面領域をもたらす、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記成長制限マスクは、前記残留表面領域の少なくとも一部の上に堆積される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記残留表面領域の一部は、前記残留表面領域の縁を備える、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記残留表面領域の一部の上に堆積される前記成長制限マスクは、前記基板から前記素子を除去するために劈開が開始されるべき場所を決定する、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記III族窒化物ELO層は、癒合することなく前記成長制限マスクの開放面積から成長され、前記III族窒化物ELO層の別個の島の間に非成長領域を残す、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記溝は、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状をもたらし、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する前記対称形状は、フリップチップ接合のために好適である前記素子をもたらす、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記窪みのある別個の領域の表面は、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高い、項目1に記載の方法。
(項目11)
1つ以上の劈開点が、力が、前記基板からの前記素子の除去のために前記劈開点に印加されるように、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高く位置する、項目10に記載の方法。
(項目12)
項目1に記載の方法によって加工される、素子。
(項目13)
構造であって、
基板の表面上に1つ以上の溝を形成するためにエッチングされる基板と、
少なくとも部分的に、前記溝上またはその中を含む、前記基板上またはその上方に堆積される成長制限マスクであって、前記成長制限マスクは、前記基板の表面が暴露される開放面積を有する、成長制限マスクと、
前記成長制限マスクの開放面積における前記基板の表面上で成長される1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層と、
その上で1つ以上の光電子素子が加工される島状III族窒化物半導体層を生成するために、前記III族窒化物ELO層上で成長される、1つ以上のIII族窒化物半導体素子層と
を備える、構造。
(項目14)
前記溝は、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状をもたらし、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する前記対称形状は、フリップチップ接合のために好適である前記素子をもたらす、項目13に記載の素子。
(項目15)
前記窪みのある別個の領域の表面は、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高い、項目13に記載の素子。
(項目16)
1つ以上の劈開点が、力が、前記基板からの前記素子の除去のために前記劈開点に印加されるように、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高く位置する、項目15に記載の素子。
(項目17)
素子であって、
成長制限マスクの1つ以上の開放面積における基板の表面上で成長される1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層であって、前記基板は、前記基板の表面上に1つ以上の溝を含み、前記III族窒化物ELO層は、前記基板内の前記溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物エピタキシャル側方過成長(ELO)層と、
その上で1つ以上の光電子素子が加工される島状III族窒化物半導体層を生成するために、前記III族窒化物ELO層上で成長される、1つ以上のIII族窒化物半導体素子層と
を備える、素子。
(項目18)
前記溝は、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状をもたらし、前記III族窒化物ELO層の別個の島に関する前記対称形状は、フリップチップ接合のために好適である前記素子をもたらす、項目17に記載の素子。
(項目19)
前記窪みのある別個の領域の表面は、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高い、項目17に記載の素子。
(項目20)
1つ以上の劈開点が、力が、前記基板からの前記素子の除去のために前記劈開点に印加されるように、前記III族窒化物ELO層の底部よりも高く位置する、項目19に記載の素子。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、同様の参照番号が、全体を通して対応する部分を表す、図面を参照する。
【0014】
【
図1a】
図1(a)および1(b)は、本発明による、素子の構造を図示する、概略図である。
【
図1b】
図1(a)および1(b)は、本発明による、素子の構造を図示する、概略図である。
【
図2a】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2b】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2c】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2d】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2e】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2f】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2g】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2h】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2i】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2j】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図2k】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、2(i)、2(j)、および2(k)は、溝を使用して基板からの素子の除去を促進するために、素子を加工するときに基板内に溝を形成する際に使用されるステップを図示する、概略図である。
【
図3】
図3(a)および3(b)は、基板内に形成される溝の構造を図示する、概略図である。
【
図4a】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4b】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4c】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4d】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4e】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4f】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4g】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図4h】
図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)、4(e)、4(f)、4(g)、および4(h)は、島状III族窒化物半導体層の間に細片が形成されることを防止する方法を図示する、概略図である。
【
図5a】
図5(a)および5(b)は、素子のバーを劈開するための支持構造を形成する方法を図示する、概略図である。
【
図5b】
図5(a)および5(b)は、素子のバーを劈開するための支持構造を形成する方法を図示する、概略図である。
【
図6a】
図6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、および6(e)は、素子のバーが基板から除去される方法を図示する、概略図である。
【
図6b】
図6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、および6(e)は、素子のバーが基板から除去される方法を図示する、概略図である。
【
図6c】
図6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、および6(e)は、素子のバーが基板から除去される方法を図示する、概略図である。
【
図6d】
図6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、および6(e)は、素子のバーが基板から除去される方法を図示する、概略図である。
【
図6e】
図6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、および6(e)は、素子のバーが基板から除去される方法を図示する、概略図である。
【
図7】
図7(a)および7(c)は、エピタキシャル側方過成長層の画像であり、
図7(b)は、エピタキシャル側方過成長層の概略図である。
【
図8】
図8(a)は、バーの除去後の溝を伴う基板の表面を示し、
図8(b)は、除去後のバーの裏側表面を示す。
【
図9】
図9(a)および9(b)は、エピタキシャル側方過成長層の画像である。
【
図10a】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図10b】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図10c】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図10d】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図10e】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図10f】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)は、n電極が加工され、バーが素子に分解される方法を図示する、概略図および画像である。
【
図11】
図11は、ファセットがレーザダイオード素子に関してコーティングされる方法を図示する、概略図である。
【
図12-1】
図12(a)、12(b)、および12(c)は、素子がヒートシンク板上でワイヤ接合される方法を図示する、概略図である。
【
図12-2】
図12(a)、12(b)、および12(c)は、素子がヒートシンク板上でワイヤ接合される方法を図示する、概略図である。
【
図13】
図13(a)および13(b)は、素子を分離するために、ヒートシンク板が分割される方法を図示する、概略図である。
【
図14】
図14(a)および14(b)は、素子がスクリーニングされる方法を図示する、概略図である。
【
図15】
図15は、素子がパッケージ化される方法を図示する、概略図である。
【
図16】
図16は、素子が搭載される方法を図示する、概略図である。
【
図17】
図17は、本発明によって実施される処理ステップを図示する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
以下の好ましい実施形態の説明では、本発明が実践され得る、具体的実施形態が、参照される。他の実施形態も、利用され得、構造的変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。
【0016】
概観
本発明は、溝を使用した基板上に形成される1つ以上の素子の除去のための方法を開示する。素子は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、ショットキー障壁ダイオード(SBD)、または金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備えてもよい。
【0017】
図1(a)および1(b)は、本発明に従って加工される構造を図示し、これは、基板101と、成長制限マスク102と、開放面積103と、非成長領域104と、III族窒化物ELO層105と、III族窒化物半導体素子層106と、平坦表面領域107と、層屈曲領域108と、溝109と、島状III族窒化物半導体層110と、窪みのある別個の領域111と、劈開点112と、III族窒化物テンプレート層113とを含み、構造は、1つ以上の光電子素子114を備える。
【0018】
代替実施形態では、GaN等のIII族窒化物基板101またはサファイア、Si、GaAs、SiC等のヘテロ基板101が、使用されてもよい。
図1(b)に示されるように、GaNテンプレート113または他のIII族窒化物系半導体層113は、他の層の堆積または成長に先立って、ヘテロ基板101上に成長されてもよい。
【0019】
複数の溝109が、基板101内に形成され、成長制限マスク102は、基板101上またはその上方に堆積され、成長制限マスク102は、少なくとも部分的に、溝109上またはその中に堆積される。
【0020】
III族窒化物ELO層105は、癒合することなく、成長制限マスク102の開放面積103から成長され、III族窒化物ELO層105の別個の島の間に非成長領域104を残す。溝109は、III族窒化物ELO層105の島毎に対称形状をもたらし、対称形状は、フリップチップ接合のために好適である素子114をもたらす。
【0021】
平坦表面領域107と、層屈曲領域108とを含む、III族窒化物半導体素子層106は、III族窒化物ELO層105上に成長され、島状III族窒化物半導体層110をもたらし、これは、1つ以上の素子114を形成するために使用される。開放面積103の幅は、島状III族窒化物半導体層110の幅よりも狭い。島状III族窒化物半導体層110は、概して、開放面積103においてのみ、基板101に接合する。成長制限マスク102と島状IIII族窒化物半導体層110との間の接合の強度は、典型的には、弱い。
【0022】
溝109は、III族窒化物ELO層105の各島の底部上に窪みのある別個の領域111をもたらし、窪みのある別個の領域111の表面は、III族窒化物ELO層105の底部よりも高い。劈開点112は、III族窒化物ELO層105の底部よりも高く位置し、力が、島状III族窒化物半導体層110によって形成される素子114のバーの除去のために、劈開点112に効率的に印加されることができる。その結果、溝109は、基板101から素子114を除去することに役立つ。
【0023】
基板内の溝の形成
以下は、本発明による、その上に素子114を加工するために、基板101が処理される方法の説明である。具体的には、
図2(a)-2(k)は、溝109を使用して基板101からの素子114の除去を促進するために、素子114を加工するときに基板101内に溝109を形成する際に使用されるステップを図示する。
【0024】
1.基板101が、
図2(a)に示されるように、準備される。一実施形態では、基板101は、c軸に向かって-1度を伴うミスカット配向を有する自立m面GaN基板101である。
【0025】
2.SiO
2マスク201が、
図2(b)に示されるように、基板101内に溝109を形成することに先立って、基板101上に堆積される。代替として、フォトレジストマスク201が、SiO
2マスク201の代わりに使用されてもよい。
【0026】
3.溝109は、
図2(c)に示されるように、湿式または乾式エッチングまたは別の方法によって形成される。本実施形態では、溝109の幅Wは、約50μmであり、基板101内の溝109の深さDは、約1μmである。約50μmの幅Lを有する基板101の残留表面領域202を被覆する、マスク201は、次いで、除去される。
【0027】
4.成長制限マスク102は、
図2(d)に示されるように、溝109上またはその中に、随意に、残留表面領域202の少なくとも一部の上に形成される。成長制限マスク102内の開放面積103の幅Bは、約50μmであり、残留表面領域202を被覆する成長制限マスク102の幅Cは、約5μmであり、成長制限マスク102の厚さは、約0.2μmである。
【0028】
5.III族窒化物ELO層105は、
図2(e)に示されるように、溝109を伴う基板101上で成長される。こうすることによって、III族窒化物ELO層105は、窪みのある別個の領域111を有する。
【0029】
6.また、
図2(e)に示されるように、III族窒化物ELO層105の成長後、基板101は、MOCVDリアクタから除去されてもよく、成長制限マスク102は、湿式または乾式エッチングまたは別の方法によって除去されてもよい。
【0030】
7.III族窒化物半導体素子層106は、III族窒化物ELO層105上で金属有機化学蒸着(MOCVD)によって成長され、
図2(f)に示されるように、島状III族窒化物半導体層110をもたらす。同時に、III族窒化物半導体層106はまた、基板101内の溝109上で成長されてもよい。
【0031】
8.素子処理は、
図2(g)に示されるように、島状III族窒化物半導体層110上で実施され、素子114をもたらす。本処理は、特に、隆起縞構造の形成、p電極の堆積等を含んでもよい。
【0032】
9.ポリマーフィルム203が、
図2(h)に示されるように、素子114の上面に取り付けられる。ポリマーフィルム203は、多層フィルム203であってもよい。
【0033】
10.
図2(i)に示されるように、圧力204が、ポリマーフィルム203に印加され、これは、ポリマーフィルム203の底部部分205を溝109の中に押動する。ポリマーフィルム203の底部部分205は、
図2(i)に206Aによって表されるように、素子114の上面の下方の距離Kに位置してもよい。代替として、ポリマーフィルム203の底部部分205は、
図2(i)の206Bおよび206Cによって表されるように、溝109の底部に接触してもよい。
【0034】
11.
図2(i)および2(j)に示されるように、劈開点112は、素子114のIII族窒化物ELO層105の底部部分よりも高く位置し、これは、ポリマーフィルム203を使用して基板101から素子114を除去するために、力207が、ポリマーフィルム203、したがって、劈開点112に効率的に印加され得ることを意味する。
【0035】
12.反転される素子114およびポリマーフィルム203を描写する、
図2(k)に示されるように、基板101の残留表面領域202の幅は、開放面積103の幅を上回り、差異は、残留表面領域202上の成長制限マスク102の幅である。
【0036】
13.いったん素子114が、基板101から除去されるが、依然として、ポリマーフィルム203に取り付けられていると、さらなる処理が、下記により詳細に説明されるように、実施されることができる。本さらなる処理は、素子114の側面ファセットおよび平坦表面領域107における劈開のための支持構造を形成するステップと、素子114上にn電極を加工するステップと、素子114のバーを別個の素子114に分解するステップと、レーザダイオード素子114のファセットをコーティングするステップと、素子114をスクリーニングするステップと、素子114をパッケージ上またはその中に搭載するステップとを含んでもよい。
【0037】
素子加工プロセス
素子114を加工する際に本発明によって使用されるステップのより詳細な説明が、下記に提供される。
【0038】
ステップ1:基板101上に溝109を形成し、基板101は、III族窒化物テンプレート113がその上に堆積される、III族窒化物基板101またはヘテロ基板101である。
【0039】
ステップ2:少なくとも部分的に、溝109上またはその中を含む、基板101上に成長制限マスク102を堆積させ、基板101の残留表面領域202が、成長制限マスク102内の縞状開放面積103によって暴露される。
【0040】
ステップ3:III族窒化物ELO層105の成長が、成長制限マスク102の縞状開放面積103に平行な方向に延在し、III族窒化物ELO層105が、癒合しないように、成長制限マスク102を使用して、MOCVDリアクタ内で基板101上またはその上方にIII族窒化物ELO層105を成長させる。
【0041】
ステップ4:MOCVDリアクタからIII族窒化物ELO層105を伴う基板101を除去し、成長制限マスク102は、フッ化水素(HF)またはバッファードHF(BHF)酸等のエッチング液を用いた乾式または湿式エッチングによって除去される。
【0042】
ステップ5:III族窒化物ELO層105上、およびIII族窒化物ELO層105の島の間の基板101の表面上にIII族窒化物半導体素子層106を成長させる。
【0043】
ステップ6:従来の方法によって平坦表面領域107において1つ以上の素子114を加工し、隆起縞構造、p電極等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層110のそれぞれの上に配置される。
【0044】
ステップ7:素子114の側面ファセットおよび平坦表面領域107における劈開のための支持構造を形成する。
【0045】
ステップ8:以下によって、基板101から素子114のバーを除去する。
ステップ8.1:ポリマーフィルム203をバーに取り付ける。
ステップ8.2:圧力204をポリマーフィルム203および基板101に印加する。
ステップ8.3:圧力が印加される間、ポリマーフィルム203および基板101の温度を低減させる。
ステップ8.4:バーを除去するために、ポリマーフィルム203と基板101との間の熱係数の差異を利用する。
【0046】
ステップ9:バー上にn電極を加工する。
【0047】
ステップ10:バーを別個の素子114に分解する。
【0048】
ステップ11:ヒートシンク板上に素子114を搭載する。
【0049】
ステップ12:各レーザダイオード素子114のファセットをコーティングする。
【0050】
ステップ13:ヒートシンク板および素子114を分割する。
【0051】
ステップ14:素子114をスクリーニングする。
【0052】
ステップ15:素子114をパッケージ上またはその中に搭載する。
【0053】
これらのステップは、下記により詳細に解説される。
【0054】
ステップ1:基板上に溝を形成する
基板101内の溝109は、乾式エッチング、湿式エッチング、または他の方法によって形成されてもよい。一実施形態では、
図3(a)-3(b)に示されるように、各溝109の幅Wは、約50μmであり、各溝109の深さDは、約1μmであり、溝109の間の基板101の各残留表面領域202の幅Lは、約50μmであり、残留表面領域202上の成長制限マスク102の重複領域の幅Cは、約5μmである。この場合では、開放面積103、溝109、および残留表面領域202の形状は、
図3(b)に示されるように、縞である。
【0055】
ステップ2:少なくとも部分的に、溝上またはその中を含む、基板上に成長制限マスクを堆積させる
基板101は、SiO
2層を用いてパターン化され、パターン化されたSiO
2層は、成長制限マスク102である。
図3(a)および3(b)に示される成長制限マスク102は、間隔pにおいて周期的に、(1-100)面に配向されたIII族窒化物系半導体基板101の11-20方向に平行な第1の方向およびIII族窒化物系半導体基板101の0001方向に平行な第2の方向に配列され、第2の方向に延在する、複数の開放面積103を備える。成長制限マスク102は、残留表面領域202を部分的に被覆する場合とそうではない場合がある。
【0056】
一実施形態では、開放面積103の長さAは、約200~35,000μmであり、開放面積103の幅Bは、約2~180μmであり、成長制限マスク102は、約0.05~3μmの厚さを有する。加えて、開放面積103の間の間隔Pは、約100~1,000μmである。
【0057】
ステップ3:成長制限マスクを使用して基板上にIII族窒化物ELO層を成長させる
エピタキシャルGaN層105が、成長制限マスク102を使用して、基板101上にELOによって成長される。こうすることによって、III族窒化物ELO層105は、基板101の残留表面領域202上に形成される、開放面積103上でのみ成長される。また、III族窒化物ELO層105は、成長制限マスク102の上部で癒合しない。
【0058】
一実施形態では、MOCVDが、III族窒化物ELO層105のエピタキシャル成長のために使用される。トリメチルガリウム(TMGa)が、III族元素源として使用される。アンモニア(NH3)が、窒素を供給するために生ガスとして使用される。水素(H2)および窒素(N2)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される。平滑表面エピ層を取得するためにキャリアガス中に水素を含むことが、重要である。一実施形態では、III族窒化物ELO層105の厚さは、約3~100μmである。また、III族窒化物ELO層105は、平滑な表面を取得するために、GaNまたはAlGaN層を含んでもよい。
【0059】
ステップ4:成長制限マスクを除去する
III族窒化物ELO層105が、成長された後、基板101は、湿式エッチング、乾式エッチング、または他の方法によって成長制限マスク102を除去するために、MOCVDリアクタから除去されてもよい。これは、基板101上の成長面積を増加させる随意のステップである。
【0060】
III族窒化物半導体素子層106の成長の前に成長制限マスク102を除去することはまた、III族窒化物ELO層105の側面ファセットへの過剰な供給ガスを低減させる。側面ファセットへの過剰な供給ガスを低減させることは、III族窒化物ELO層105の縁領域における縁成長を回避することができる。これは、平滑な表面およびIII族窒化物半導体素子層106内の活性層からの均一な発光を取得することをより容易にすることができる。
【0061】
しかしながら、成長制限マスク102が、III族窒化物半導体素子層106の成長前に除去されない場合、他の利益が、存在することができる。
図4(a)-4(e)に示されるように、細片401が、多くの場合、III族窒化物半導体素子層106内の厚いIn含有AlGaNおよびInGaN層の成長の間に成長制限マスク102上に堆積される。いくつかの状況では、島状III族窒化物半導体層110のうちの2つは、細片401によって接続されてもよい。その後、本細片401は、超音波洗浄、湿式エッチング、または別の方法によって除去されることができる。しかしながら、時として、これは、大量生産環境において収率の低減につながる。
【0062】
図4(a)-4(h)に示されるように、成長制限マスク102は、溝109上またはその中に堆積されてもよい。供給ガスの量は、溝109の縁において少なく、これは、細片401の量を低減させる。最終的に、本効果は、細片401および島状III族窒化物半導体層110の接続を回避する。
【0063】
図4(a)-4(d)、4(e)、および4(f)-4(h)に示されるように、いくつかの異なるタイプのマスク102の形状が、存在する。
図4(f)-4(h)では、溝109内の成長制限マスク102は、溝109の中心の近傍に1つ以上の開放面積103を有する。
図4(h)では、III族窒化物ELO層105は、溝109内の開放面積103において成長される。
【0064】
図4(f)と
図4(g)との間の別の差異が、存在し、
図4(f)は、残留表面領域202上の成長制限マスク102を示し、
図4(g)は、それを示さない。
図4(f)では、残留表面領域202の縁上に成長制限マスク102が、存在する一方、
図4(g)は、溝109内にのみ成長制限マスク102を示す。残留表面領域202上の成長制限マスク102の存在は、劈開が開始されるべき場所を決定する際に重要であり、これは、大量生産環境において収率を上昇させることに役立つ。しかしながら、
図4(g)に示されるように、残留表面領域202上に成長制限マスク102を伴わなくても、素子のバーを除去することは、容易である。
【0065】
ステップ5:III族窒化物半導体素子層を成長させる
基板101は、III族窒化物半導体素子層106の成長のためにMOCVDリアクタの中に装填され、島状III族窒化物半導体層110をもたらす。トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、およびトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用される。アンモニア(NH3)が、窒素を供給するために生ガスとして使用される。水素(H2)および窒素(N2)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される。平滑表面エピ層を取得するためにキャリアガス中に水素を含むことが、重要である。
【0066】
生理食塩水およびビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)が、n型およびp型ドーパントとして使用される。圧力設定は、典型的には、50~760トルである。III族窒化物系半導体層は、概して、700~1,250℃の温度範囲において成長される。
【0067】
例えば、成長パラメータは、以下を含み、すなわち、TMGは、12sccmであり、NH3は、8slmであり、キャリアガスは、3slmであり、SiH4は、1.0sccmであり、V/III比は、約7,700である。これらの成長条件は、一実施例にすぎず、上記に説明される層毎に変更および最適化されることができる。
【0068】
ステップ6:平坦表面領域上に素子を加工する
素子114は、平坦表面領域107上に加工され、隆起縞構造、p電極等を含んでもよい。従来の方法が、隆起縞構造、p電極等を加工するために使用されることができる。
【0069】
ステップ7:側面ファセットおよび平坦表面領域における劈開のための支持構造を形成する
図5(a)および5(b)に示されるように、本ステップの目標は、素子114のバー501が基板101から除去される前に、素子114のバー501を分割するように準備することである。分割支持領域502が、周期的長さにおいて形成され、各周期は、素子114の長さによって決定される。例えば、レーザダイオード素子114の場合では、1つの周期は、300~1,200μmであるように設定される。
【0070】
分割支持領域502は、
図5(a)に示されるように、ダイヤモンド先端付きスクライバまたはレーザスクライバによって彫られる線、または
図5(b)に示されるように、RIE(反応性イオンエッチング)またはICP(誘導結合プラズマ)等の乾式エッチングによって形成される溝であるが、それらの方法に限定されない。分割支持領域502は、バー501の両側上に、またはバー501の片側上に形成されてもよい。分割支持領域502の深さは、好ましくは、1μm以上である。
【0071】
分割支持領域502が、任意の他の部分よりも弱いため、両方の場合が、バー501を分割支持領域502において別個の素子114に分割することができる。分割支持領域502は、これが、素子114の長さを精密に決定し得るように、意図せぬ位置においてバー501を分解することを回避する。
【0072】
分割支持領域502は、隆起縞構造内にある電流注入領域503、およびp電極504、および層屈曲領域108を回避する様式で、平坦表面領域107に生成されるが、これは、SiO2電流制限層505の少なくとも一部を包含し得る。
【0073】
分割支持領域502は、それらが、平坦化された面積であるため、処理することが容易である、第1のファセット506、随意に、第2のファセット507に形成される。第3のファセット508は、回避されてもよい。
【0074】
図5(b)に示されるように、分割支持領域502が、第2のファセット506においてのみ形成されることが、好ましくあり得、その場合では、これは、島状III族窒化物系半導体層110の小さい幅を使用しなければならない。この場合では、これは、素子114のバー501を精密に分割することができる。
【0075】
また、p電極504、誘電体層505、およびワイヤ接合のためのpパッド等は、分割支持領域502を回避することができる。
【0076】
こうすることによって、分割支持領域502の形状は、均一に形成される。バー501を分解するためのブレードが、バー501の裏側に接触することが、はるかに好ましい。こうすることによって、劈開は、バー501の上面における分割支持領域502から開始するが、本技法に限定されない。
【0077】
ステップ8:基板から素子のバーを除去する
図6(a)-6(e)は、素子114のバーが基板101から除去される方法を説明する。
【0078】
ステップ8.1は、
図6(a)に示されるように、ポリマーフィルム203を素子114の上面に取り付けるステップを含む。一実施形態では、ポリマーフィルム203は、基部フィルム601と、接着剤層602と、裏打ちフィルム603とから成る。しかしながら、より多いまたはより少ない層が、同様に使用されてもよい。
【0079】
ステップ8.2は、
図6(b)に示されるように、板604または他の手段を使用して、圧力204をポリマーフィルム203、素子114、および基板101に印加するステップを含む。圧力204を印加することの目標は、素子114の間にポリマーフィルム203を設置することである。ポリマーフィルム203は、素子114よりも軟質であり、したがって、ポリマーフィルム203は、素子114を容易に囲繞することができる。好ましくは、ポリマーフィルム203は、これを軟化するために加熱され、これは、ポリマーフィルム203が素子114を被覆することを容易にする。
【0080】
III族窒化物ELO層105が、10μmを下回る等、非常に薄い場合、III族窒化物ELO層105を被着することは、容易ではない。しかしながら、本発明では、基板101内に形成される溝109は、ポリマーフィルム203がIII族窒化物ELO層105を被着することに役立つ。
図6(c)に示されるように、ポリマーフィルム203は、劈開点112まで押し下げされ、圧力204は、水平に印加されるため、素子114は、斜め下方605に傾斜され、基板101から素子114を除去することは、より容易である。
【0081】
溝109を伴わないと、III族窒化物ELO層105の形状は、
図7(a)に示され、劈開点112およびIII族窒化物ELO層105の底部は、同一の高さである。溝109を伴うと、III族窒化物ELO層105の形状は、
図7(b)および7(c)に示され、劈開点112は、III族窒化物ELO層105の底部の上方にある。
【0082】
本発明では、バー501を除去することを促進するために最も重要なことは、
図6(d)に示されるように、III族窒化物ELO層105の底部が劈開点112の下方にあることである。III族窒化物ELO層105の底部と劈開点112との間の高さの差異は、ゼロを上回る。
【0083】
この場合では、ポリマーフィルム203からの力は、劈開点112に効率的に印加される。言い換えると、III族窒化物ELO層105は、窪みのある別個の領域111を有し、窪みのある別個の領域111の表面は、III族窒化物ELO層105の底部よりも高く位置する。結果として、溝109は、より薄い、かつより幅広いIII族窒化物ELO層105が容易に除去されることを可能にする。
【0084】
ステップ8.3は、印加された圧力204を維持しながら、フィルム203および基板101の温度を低減させるステップを含む。しかしながら、温度の変化の間に圧力204を印加することは、必要ではない。
【0085】
種々の方法が、温度を低減させるために使用されてもよい。例えば、基板101およびポリマーフィルム203は、圧力204を印加すると同時に(例えば、77°Kにおける)液体N2の中に設置されることができる。基板101およびポリマーフィルム203の温度はまた、圧電トランスデューサを用いて制御されることができる。また、圧力204をポリマーフィルム203に印加する板604は、ポリマーフィルム203との接触の前および/またはその間に低温に冷却されることができる。こうすることによって、ポリマーフィルム203は、冷却され、大きい熱膨張係数に起因して圧力204を素子114に印加することができる。
【0086】
温度を低減させるとき、基板101およびポリマーフィルム203は、大気中水分によって湿潤され得る。この場合では、温度低減は、乾燥空気雰囲気または乾燥N2雰囲気中で行われることができ、これは、基板101およびポリマーフィルム203が湿潤することを回避する。
【0087】
ステップ8.4は、基板101から素子114を除去するために、ポリマーフィルム203と基板101との間の熱係数の差異を利用するステップを含む。
【0088】
図6(c)に示されるように、ポリマーフィルム203は、温度が減少するにつれて収縮し、ポリマーフィルム203は、素子114の側面ファセットにおいて水平方向に圧力204を印加する。
図6(d)に示されるように、結果として、ポリマーフィルム203の底部205は、素子205の上部606よりも低い。
図6(c)に示されるように、側面ファセットから印加される圧力204は、素子114が、劈開点112において開始して、基板101から効果的に除去されることを可能にする。
【0089】
また、溝109は、ポリマーフィルム203によって印加される圧力204を、基板101とIII族窒化物ELO層105との間の界面の近傍の劈開点112においてより効果的にする。溝109は、窪みのある別個の領域111を画定し、より薄い、かつより幅広いIII族窒化物ELO層105が、基板101からより効果的に除去されることを可能にする。
【0090】
その後、温度は、例えば、室温まで増加し、圧力204は、もはやポリマーフィルム203に印加されなくなる。その時点で、素子114は、基板101から除去されており、ポリマーフィルム203は、次いで、基板101から分離される。
図6(e)に示されるように、ポリマーフィルム203、特に、接着剤層602を有するポリマーフィルム203を使用するとき、素子114は、容易かつ迅速な様式でポリマーフィルム203を使用して除去されることができる。
【0091】
図8(a)は、本発明を使用する基板101からのバーの除去後の溝109を伴う基板101の表面を示す。
図8(b)は、本発明を使用する基板101からのバーの除去後のバーの裏側表面を示す。
【0092】
本発明は、他の利点も同様に提供する。
図9(a)に示されるように、c面に向かってミスカット配向を有するm面基板101を使用するとき、III族窒化物ELO層105の形状は、多くの場合、非対称である。この場合では、c面に向かって-1度のミスカット配向を有するm面基板101が、使用される。非対称形状の場合では、島状III族窒化物半導体層110に関して、左側高さと異なる右側高さを有する可能性が、存在する。溝109を伴う基板101は、これらの異なる高さを回避する際に非常に有用であろう。
【0093】
同一のミスカット配向を有する基板101を使用するときであっても、本方法は、
図9(b)に示されるように、対称形状の層を取得することができる。本現象が、溝109の存在に起因する側面ファセットへの材料ガスの供給の差異によって引き起こされることが、考えられる。
【0094】
また、本方法は、GaAs等の側方成長を実装し得る他の材料のために採用されることができる。
【0095】
ステップ9:n電極を加工する
図10(a)に示されるように、基板101からバー501を除去した後、バー501は、上下逆の様式でポリマーフィルム203に取り付けられる。
図10(b)は、分割支持領域502の間に別個の面積1001を有する、バー501の裏側を示し、劈開が、分割支持領域502において劈開ブレード1002によって実施される。
【0096】
図10(c)に示されるように、金属マスク1003が、ポリマーフィルム203上のバー501のそれぞれに上置し、別個の領域1001のみが、マスク1003を通して示される。n電極1004が、次いで、別個の面積1001内でバー501の裏側上に配置される。概して、別個の面積1001は、n電極1004が低い接触抵抗率を取得するために、清浄かつ良好な表面条件に保たれる。代替として、n電極は、素子114の上面上に配置されることができる。
【0097】
ステップ10:バーを素子に分解する
n電極1004を配置した後、バー501はそれぞれ、
図10(d)に示されるように、1つ以上の素子114に分割されてもよい。分割支持領域502は、バー501を素子114に分割することに役立つ。劈開または分解方法、および他の方法が、使用されることができる。
【0098】
ステップ11:ヒートシンク板上に各素子を搭載する
ステップ8の後、分割されたバー501は、依然として、ポリマーフィルム203上にある。一実施形態では、ポリマーフィルム203は、UV感受性ダイシングテープである。この場合では、ポリマーフィルム203は、
図10(e)に示されるように、ポリマーフィルム203の接着剤強度を低減させ得る、UV(紫外線)光1005に暴露される。これは、ポリマーフィルム203から素子114を除去することを容易にする。
【0099】
この場合では、AlNから作製されるヒートシンク板1006が、準備される。Au-Snはんだ1007が、ヒートシンク板1006上に配置され、ポリマーフィルム203から除去された素子114は、Au-Snはんだ1007においてヒートシンク板1006上に搭載される。この時点で、はんだ1007の融解温度を超えて加熱される、ヒートシンク板1006は、素子114を搭載することができる。素子114は、n電極1004またはp電極504のいずれかの側を下にして搭載されることができる。
図10(f)は、n電極1004側を下にし、p電極504側を上にしてヒートシンク板1006に搭載される素子114を示す。
【0100】
ステップ12:レーザダイオード素子のファセットをコーティングする
素子114処理の次のステップは、レーザダイオード素子114のファセットをコーティングするステップを含む。レーザダイオード素子114が、レーザ発振している間に、素子114のファセットを通して素子114の外側まで透過する素子114内の光は、ファセット温度が、連続的に増加するように、ファセットにおける非放射性再結合中心によって吸収される。その結果、温度増加は、ファセットの壊滅的な光学損傷(COD)につながり得る。
【0101】
ファセットコーティングは、非放射性再結合中心を低減させることができる。CODを防止するために、AlN、AlON、Al2O3、SiN、SiON、SiO2、ZrO2、TiO2、Ta2O5、および同等物等の誘電体層を使用して、ファセットをコーティングすることが、必要である。概して、コーティングフィルムは、上記の材料から成る多層構造である。層の構造および厚さは、所定の反射率によって決定される。
【0102】
図10(f)に示されるように、素子114のバー501は、劈開されたファセット1008を取得するために、ステップ10において分割されている。これらのファセット1008は、容易な様式で、同時に複数の素子114上でコーティングされることができる。素子114は、低水平位置においてヒートシンク板1006上に搭載される。
【0103】
図11に示されるように、素子114を伴うヒートシンク板1006は、コーティングバー1101上に搭載され、これは、スペーサ板上に設置されてもよく、複数のコーティングバー1101およびスペーサ板が、コーティングホルダ1102内に保管される。スペーサ板を使用することが、常に必要であるわけではなく、コーティングバー1101が、単独で使用され得ることに留意されたい。
【0104】
こうすることによって、いくつかの素子114が、同時にコーティングされることができる。一実施形態では、コーティングは、少なくとも2回、すなわち、前ファセット1008に1回、後ファセット1008に1回、行われる。ヒートシンク板1006の長さは、ほぼレーザダイオード素子114の空洞の長さであるように設定され、これは、コーティングプロセスを2回実施することを容易かつ迅速にする。いったんコーティングバー1101が、コーティングホルダ1102内に設定されると、両方のファセット1008が、コーティングホルダ1102内にコーティングバー1101を再び設定することなく、コーティングされることができる。一実施形態では、第1のコーティングが、レーザ光を放出する前ファセット1008上に実施され、第2のコーティングが、レーザ光を反射する後ファセット1008上に実施される。コーティングホルダ1102は、コーティングフィルムを堆積させる設備内で第2のコーティングの前に逆転される。これは、プロセスのリードタイムを実質的に短縮する。
【0105】
ステップ13:素子を分割する
図12(a)に示されるように、ワイヤボンド1201および1202が、素子114に取り付けられ、次いで、ヒートシンク板1006が、例えば、素子114のうちの1つ以上のものの間の溝1203において分割される。
図12(b)は、素子114、溝1203、およびワイヤボンド1201、1202の相対的設置および位置を示す、
図12(a)の上面図である。
図12(c)は、ヒートシンク板1006上の素子114との別個のプローブ1204およびワイヤボンド1205の併用を示す。
【0106】
図13(a)および13(b)はさらに、ワイヤボンド1002、1202の取付の前または後に行われ得る、ヒートシンク板1006が素子114を分離するために分割される方法を示す。こうすることによって、コーティングプロセスが完了した後、素子114を分離することが、容易である。
【0107】
ステップ14:素子をスクリーニングする
本ステップは、欠陥のある素子114と欠陥のない素子114とを区別する。最初に、出力電力、電圧、電流、抵抗率、FFP(遠距離場パターン)、傾斜効率、および同等物等の素子114の種々の特性が、所与の条件下でチェックされる。この時点で、素子114は、すでにヒートシンク板1006上に搭載されており、したがって、これらの特性をチェックすることは、容易である。
【0108】
試験装置1401が、
図14(a)および14(b)に示され、n電極1004への電気的導通を有する、p電極504およびはんだ1007は、プローブ1402、1403によって接触される。次いで、欠陥のない素子114が、時効試験(寿命試験)によって選択およびスクリーニングされることができる。
【0109】
一実施形態では、時効試験が、乾燥空気または窒素雰囲気中にシールされる素子114を用いて行われ得るように、試験装置1401が、箱または他の容器を備えることが、好ましい。また、熱ステージ1404が、スクリーニング試験の間の素子114の温度、例えば、60度、80度等を維持するために使用されてもよい。光検出器1405が、一定の出力電力を有する欠陥のない素子114を識別する、または欠陥のある素子114を識別する、光出力電力1406を測定するために使用されてもよい。
【0110】
特に、III族窒化物系半導体レーザダイオード素子114の場合では、レーザダイオードが、水分を含有する雰囲気中で発振されるとき、これが、劣化することが、公知である。本劣化は、空気中の水分およびシロキサンによって引き起こされ、したがって、III族窒化物系半導体レーザダイオード素子114は、時効試験の間に乾燥空気中でシールされる必要がある。
【0111】
その結果、
図15に示されるように、III族窒化物系レーザダイオード1501が、製造業者から出荷されるとき、チップ1502自体は、ステム1503上に搭載され、TO-canパッケージ1504を使用して、乾燥空気雰囲気中にシールされ、パッケージ1504は、発光1506のための窓1505を含む。
【0112】
一般的に言えば、スクリーニングまたは時効試験は、欠陥のある素子114を排除するために、出荷前に行われる。例えば、スクリーニング条件は、高温および高電力等のレーザダイオード素子114の仕様に従って行われる。
【0113】
また、時効試験は、素子114がパッケージ1501の上/中に搭載され、パッケージ1501がスクリーニングの前に乾燥空気および/または乾燥窒素中にシールされた状態で、行われ得る。本事実は、レーザ素子のパッケージ化および搭載の柔軟性を制限的にする。
【0114】
従来技術では、欠陥のある生産が、起こった場合、欠陥のある製品は、TO-CANパッケージ1501全体で廃棄され、これは、生産にとって大きな損失である。これは、レーザダイオード素子114の生産費用を削減することを困難にする。早期のステップにおいて欠陥のある素子114を検出する必要性が、存在する。
【0115】
本発明では、低い水平位置においてその上に複数の素子114が搭載され得る、ヒートシンク板1006を使用して、素子114のファセット1008をコーティングし、次いで、コーティングプロセスの後、溝1203を使用して、ヒートシンク板1006および素子114を分割することは、素子114が、ヒートシンク板1006のサブマウントを伴って、乾燥空気または窒素雰囲気中のスクリーニング試験においてチェックされることを可能にする。
【0116】
スクリーニング試験を行うとき、素子114は、すでに2つの接点、すなわち、p電極504およびヒートシンク板1006上のはんだ1007、またはフリップチップ接合の場合では、n電極1004およびヒートシンク板1006上のはんだ1007を有している。また、本発明は、素子114がチップおよびサブマウントのみから成るとき、スクリーニング試験を使用して、欠陥のある製品を選択することができる。したがって、欠陥のある製品を廃棄する場合では、本発明は、従来技術よりも損失を低減させることができ、これは、大きな価値を有する。
【0117】
高電力レーザダイオード素子114のスクリーニングの場合では、ヒートシンク板1006が、電気的導通を伴わずに配置されるはんだ1007の2つの部分を有することが、好ましくあり得る。はんだ1007の1つの部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてp電極504に接続され、はんだ1007の別の部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてn電極1004に接続される。また、p電極504およびn電極1004は、例えば、2つ以上のワイヤ1205によってはんだ1007に接続されるp電極504を示す、
図12(c)に示されるように、2つ以上のワイヤによってはんだ部分1007に接続されることが、好ましくあり得る。このように、電流を素子114に印加するためのプローブ1204は、p電極504(またはn電極1004)に直接接触することを回避することができ、これは、高電力レーザダイオード素子114のスクリーニングの場合では、重要である。具体的には、プローブ1204は、特に、高電流密度を印加する場合では、接触された部分を破損し得る。
【0118】
ステップ15:素子をパッケージ上またはその中に搭載する
図16に示されるように、素子114(ヒートシンク板1006を含む)は、パッケージ1601の底部において素子114を接合するように、はんだまたは別の金属を使用して、パッケージ1601内に搭載されてもよい。パッケージ1601のピン1602が、ワイヤ1603によって素子114に接続される。こうすることによって、外部電力供給源からの電流が、素子114に印加されることができる。
【0119】
これは、Au-Au、Au-In等の金属を使用する、パッケージ1601とヒートシンク板1006との間の接合よりも好ましい。本方法は、パッケージ1601の表面およびヒートシンク板1006の裏側において平坦性を要求する。しかしながら、はんだ1007を伴わないと、本構成は、素子114プロセスにとって大きな利点である、高い熱伝導率および低温接合を遂行する。
【0120】
その後、蓋1604が、パッケージ1601を封入してもよい。また、蛍光体1605が、パッケージ1601の外側および/または内側に設定されることができ、窓1606が、発光がパッケージ1601から出射することを可能にする。こうすることによって、パッケージ1601は、電球または自動車のヘッドライトとして使用されることができる。
【0121】
本明細書に記載されるように、これらのプロセスは、レーザダイオード素子114を取得するための改良された方法を提供する。加えて、いったん素子114が、基板101から除去されると、基板101は、数回、再生利用されることができる。これは、環境に優しい生産および低費用のモジュールの目標を遂行する。これらの素子114は、電球等の照明デバイス、データ記憶機器、Li-Fi等の光学通信機器等として利用されてもよい。
【0122】
1つのパッケージ1601内に複数の異なるタイプのレーザ素子114を伴ってパッケージ化することは、困難である。しかしながら、本方法は、パッケージ化することなく時効試験を実施することが可能であることに起因して、本問題を克服することができる。したがって、1つのパッケージ1601内に異なるタイプの素子114を搭載することは、容易である。
【0123】
代替実施形態
以下は、本発明による、素子114を加工するための代替実施形態である。
【0124】
第1の実施形態
第1の実施形態では、自立m面GaN基板101が、使用され、基板101は、c軸に向かって-1度を伴うミスカット配向を有する。
【0125】
第2の実施形態
第2の実施形態では、基板101は、種々のオフ角基板を含み得る、III族窒化物基板101を備え、III族窒化物ELO層105は、GaN層である。
【0126】
第3の実施形態
第3の実施形態では、異なるマウントタイプ、すなわち、フリップチップ方法が、使用される。フリップチップ方法では、ヒートシンク板1006と接触する素子114の面積は、改良された熱伝導率のために大きくあり得る。加えて、本発明を使用して形成されるIII族窒化物ELO層105の略対称形状に起因して、素子114の上面は、水平かつより平坦である。
【0127】
用語の定義
III族窒化物系基板
III族窒化物系基板101が、成長制限マスク102を通してIII族窒化物系半導体層の成長を可能にする限り、バルクGaNおよびAlN結晶から{0001}、{11-22}、{1-100}、{20-21}、{20-2-1}、{10-11}、{10-1-1}面等または他の面上でスライスされる、任意のGaN基板101が、使用されることができる。
【0128】
ヘテロ基板
また、本発明はまた、素子114のためにヘテロ基板101を使用することができる。例えば、GaNテンプレート113または他のIII族窒化物系半導体層113が、本発明における使用のために、サファイア、Si、GaAs、SiC等のヘテロ基板101上で成長されてもよい。GaNテンプレート113または他のIII族窒化物系半導体層113は、典型的には、約2~6μmの厚さまでヘテロ基板101上で成長され、次いで、成長制限マスク102が、GaNテンプレート113または他のIII族窒化物系半導体層113上に配置される。
【0129】
成長制限マスク
成長制限マスク102は、SiO2、SiN、SiON、Al2O3、AlN、AlON、MgF、ZrO2等の誘電体層、またはW、Mo、Ta、Nb、Rh、Ir、Ru、Os、Pt等の耐熱金属または貴金属から成る。成長制限マスク102は、上記の材料から選択される、積層構造であってもよい。これはまた、上記の材料から選定される、多重スタッキング層構造であってもよい。
【0130】
成長制限マスク102は、スパッタ、電子ビーム蒸着、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、イオンビーム蒸着(IBD)等によって堆積されるが、それらの方法に限定されない。
【0131】
一実施形態では、成長制限マスク102の厚さは、約0.05~3μmである。マスク102の幅は、好ましくは、20μmよりも大きく、より好ましくは、幅は、40μmよりも大きい。
【0132】
図3(a)および3(b)に示される成長制限マスク102は、間隔pにおいて周期的に、(1-100)面に配向されたIII族窒化物系半導体基板101の11-20方向に平行な第1の方向およびIII族窒化物系半導体基板101の0001方向に平行な第2の方向に配列され、第2の方向に延在する、複数の開放面積103を備える。
【0133】
成長制限マスク102は、残留表面領域202を部分的に被覆する場合とそうではない場合があり、これは、基板101から素子114の各バーを除去することに役立つ。残留表面領域202の被覆面積の長さCは、素子114のバーの除去を促進するために、0~0.4μmまたはそれを上回ってもよい。
【0134】
成長制限マスクの方向
m面自立GaN基板101上で、縞状開放面積103は、それぞれ、第1の間隔および第2の間隔において周期的に、III族窒化物半導体層105、106、110の11-20方向(a軸)に平行な第1の方向およびIII族窒化物半導体層105、106、110の0001方向(c軸に)平行な第2の方向において配列され、第2の方向に延在する。
【0135】
c面自立GaN基板101上で、縞状開放面積103は、それぞれ、第1の間隔および第2の間隔において周期的に、III族窒化物半導体層105、106、110の11-20方向(a軸)に平行な第1の方向およびIII族窒化物半導体層105、106、110の1-100方向(m軸に)平行な第2の方向において配列され、第2の方向に延在する。
【0136】
半極性(20-21)または(20-2-1)GaN基板101上で、開放面積103は、それぞれ、[-1014]および[10-14]に平行な方向において配列される。
【0137】
代替として、ヘテロ基板101が、使用されることができる。c面GaNテンプレート113が、c面サファイア基板101上に成長されるとき、開放面積103は、c面自立GaN基板101と同一の方向にあり、m面GaNテンプレート113が、m面サファイア基板101上に成長されるとき、開放面積103は、m面自立GaN基板101と同一の方向にある。こうすることによって、m面劈開面が、c面GaNテンプレート113を伴う素子114のバー501を分割するために使用されることができ、c面劈開面が、m面GaNテンプレート113を伴う素子114のバー501を分割するために使用されることができ、これは、はるかに好ましい。
【0138】
縞状開放面積103の幅は、典型的には、第2の方向において一定であるが、必要に応じて、第2の方向において変更されてもよい。
【0139】
III族窒化物系半導体層
III族窒化物ELO層105、III族窒化物半導体素子層106、および島状III族窒化物半導体層110は、In、Al、および/またはB、およびMg、Si、Zn、O、C、H等の他の不純物を含むことができる。
【0140】
III族窒化物半導体素子層106は、概して、n型層、ドープされていない層、およびp型層の中から少なくとも1つの層を含む、2つを上回る層を備える。III族窒化物半導体素子層106は、具体的には、GaN層、AlGaN層、AlGaInN層、InGaN層等を備える。
【0141】
非成長領域104である、相互に隣接する島状III族窒化物系半導体層110の間の距離は、概して、30μmまたはそれを下回り、好ましくは、10μmまたはそれを下回るが、これらの数字に限定されない。
【0142】
平坦表面領域および層屈曲領域
平坦表面領域107は、III族窒化物ELO層105の縁における層屈曲領域108の間にある。さらに、平坦表面領域107は、成長制限マスク102上にある。
【0143】
半導体素子114の加工は、主に、平坦表面領域107上で実施される。平坦表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μmであり、より好ましくは、10μm以上である。平坦表面領域107は、平坦表面領域107内の半導体層105、106、110毎に厚さの高い均一性を有する。
【0144】
半導体素子114の加工が、層屈曲領域108上で部分的に形成される場合は、問題にならない。より好ましくは、層屈曲領域108における層は、エッチングによって除去される。例えば、層屈曲領域108内の活性層の少なくとも一部が、乾式エッチングまたは湿式エッチング等のエッチングプロセスを使用して除去されることが、より良好である。
【0145】
ポリマーフィルム
一実施形態では、ポリマーフィルム203は、UV感受性ダイシングテープ等のダイシングテープである。ポリマーフィルム203は、例えば、約80μmの厚さを有し、ポリ塩化ビニル(PVC)から作成され得る、基部フィルム601材料と、例えば、約15μmの厚さを有し、アクリルUV感受性接着剤から作成され得る、接着剤層602と、例えば、約38μmの厚さを有し、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T.)から作製され得る、裏打ちフィルム603材料とを含む、
図6(a)、6(b)、および6(c)に示される等の多層フィルム203を備えてもよい。ポリマーフィルム203が、UV感受性ダイシングテープであり、UV光に暴露されると、接着剤の粘着性は、大幅に低減され、ポリマーフィルム203から素子114を除去することを容易にする。
【0146】
ヒートシンク板
上記に説明されるように、除去されるとき、素子114のバー501は、AlN、SiC、Si、Cu、CuW、および同等物であり得る、ヒートシンク板1006に移送される。
図10(e)に示されるように、Au-Sn、Su-Ag-Cu、Agペースト、および同等物であり得る、接合のためのはんだ1007は、ヒートシンク板1006に配置される。次いで、n電極またはp電極が、はんだ1007に接合される。素子114はまた、ヒートシンク板1006にフリップチップ接合されることができる。
【0147】
LED素子114をヒートシンク板1006に接合する場合では、ヒートシンク板1006のサイズは、問題にならず、これは、所望に応じて設計されることができる。
【0148】
LD素子114をヒートシンク板1006に接合する場合では、ヒートシンク板1006の長さが、ファセットコーティングプロセスのためにLD素子114の長さと同一である、またはそれよりも短いことが、好ましく、LD素子114の長さは、レーザ空洞の長さとほぼ同一である。こうすることによって、レーザ空洞の両方のファセット1008をコーティングすることが、容易である。ヒートシンク板1006の長さが、レーザ空洞よりも長い場合、ヒートシンク板1006は、レーザファセット1008の均一なコーティングを妨害し得る。
【0149】
長い幅のヒートシンク板
ヒートシンク板1006に関する長い幅は、レーザダイオード素子114を加工するプロセスをより生産的にする。
図11に示されるように、ヒートシンク板1006は、コーティングバー1101、可能性として、スペーサ板上に設置され、次いで、同時に複数の素子114をコーティングするために、コーティングホルダ1102内で他のコーティングバー1101およびスペーサ板とスタックされる。その結果、単一のコーティングプロセスが、多くのデバイス114をコーティングすることができる。
【0150】
溝を伴うヒートシンク板
図12(b)に示されるように、ヒートシンク板1006が、素子114を分割するための溝1203を有することが、好ましい。本構造は、ファセットコーティングプロセス後、ヒートシンク板1006が、1つ以上の素子114、例えば、単一の素子114または素子114のアレイに分割される場合に有用である。ヒートシンク板1006を分割した後、素子114は、照明モジュール等のモジュールに加工されることができる。ヒートシンク板1006内の溝1203は、素子114への分割を誘導する。
【0151】
溝1203は、湿式エッチング方法によって形成され、素子114が搭載される前に機械的に処理されることができる。例えば、ヒートシンク板1006が、シリコンから作製される場合、湿式エッチングが、溝1203を形成するために使用されることができる。このように溝1203を使用することは、プロセスのリードタイムを短縮する。
【0152】
はんだを伴うヒートシンク板
図10(f)に示されるように、はんだ1007の長さが、ヒートシンク板1006上の素子114の長さよりも短いことが、好ましい。これは、素子114の特性の劣化を引き起こし得る、ファセット1008へのはんだ1007のいかなる回り込みも防止する。特に、回り込みは、フリップチップ搭載のために回避されるべきである。
【0153】
図12(b)に示されるように、コーティングプロセス後、コーティングバーは、破線によって囲繞される面積である、回り込み面積を有する。回り込み面積は、約10~20μmの幅Wを有する。コーティングフィルムは、これらの面積をコーティングするであろう。また、コーティングフィルムを用いてはんだ1007をコーティングすることを回避することは、困難である。概して、コーティングフィルムは、1つ以上の誘電体材料から選択され、このため、本面積は、伝導性を有していない。これは、ワイヤがはんだ1007に接合されるとき、伝導性および接着性の両方にとって問題となる。したがって、ワイヤが、回り込み面積を回避するように設置されることが、好ましい。少なくとも、ワイヤ接合の場所は、ヒートシンク板1006の縁から約25μm離れるべきである。
【0154】
半導体素子
半導体素子114は、例えば、ショットキーダイオード、発光ダイオード、半導体レーザ、フォトダイオード、トランジスタ等であるが、これらの素子に限定されない。本発明は、縁発光レーザおよび垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)等のマイクロLEDおよびレーザダイオードのために特に有用である。本発明は、劈開されたファセットを有する半導体レーザのために特に有用である。
【0155】
LED素子を加工する
LED素子114を加工する場合では、同一のプロセスが、ステップ6まで使用されてもよい。本議論は、2つのタイプのLEDを作製する方法を簡潔に解説する。タイプ1のLEDは、チップの片面上に2つの電極(p電極およびn電極)を有する一方、タイプ2のLEDは、チップの対向する側上に電極を有する。
【0156】
第1に、タイプ1のLEDの場合では、p電極およびn電極が、ステップ6において、素子114の上面上に形成される。次いで、素子114のバー501が、ステップ8に説明されるように除去され、除去された素子114は、ヒートシンク板1006上に搭載される。
【0157】
第2に、タイプ2のLEDの場合では、ほぼ同一のプロセスが、ステップ6まで使用され、ITO電極が、素子114のp-GaN接触層上に形成される。また、層屈曲領域108が排除されることが、好ましい。
【0158】
プロセスフローチャート
図17は、上記に説明される素子加工プロセスを図示する、フローチャートであり、フローチャートの最終ブロックは、素子加工プロセスの結果として生じる製品、すなわち、本方法に従って加工される1つ以上のIII族窒化物系半導体素子および素子から除去されており、再生利用および再使用のために利用可能である基板を表す。
【0159】
ブロック1701は、基板をエッチングし、基板の表面上に1つ以上の溝を形成するステップを表す。
【0160】
ブロック1702は、少なくとも部分的に、溝上またはその中を含む、基板上またはその上方に成長制限マスクを堆積させるステップであって、成長制限マスクは、基板の表面が暴露される、1つ以上の開放面積を有する、ステップを表す。基板の表面上に溝を形成するための基板のエッチングは、基板の1つ以上の残留表面領域をもたらしてもよく、成長制限マスクは、基板の残留表面領域の少なくとも一部の上に堆積されてもよく、残留表面領域の一部は、残留表面領域の縁を備える。残留表面領域の一部の上に堆積される成長制限マスクは、基板から素子を除去するために劈開が開始されるべき場所を決定する。
【0161】
ブロック1703は、成長制限マスクの開放面積における基板の表面上に1つ以上のIII族窒化物ELO層を成長させるステップであって、III族窒化物ELO層は、基板内の溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、ステップを表す。溝内に堆積される成長制限マスクは、溝内に開放面積のうちの1つ以上のものを有してもよく、III族窒化物ELO層は、溝内の開放面積において成長されてもよい。III族窒化物ELO層は、癒合することなく成長制限マスクの開放面積から成長され、III族窒化物ELO層の別個の島の間に非成長領域を残す。溝は、III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状をもたらしてもよく、III族窒化物ELO層の別個の島に関する対称形状は、フリップチップ接合のために好適である素子をもたらす。窪みのある別個の領域の表面は、III族窒化物ELO層の底部よりも高くてもよく、1つ以上の劈開点が、力が、基板からの素子の除去のために劈開点に印加されるように、III族窒化物ELO層の底部よりも高く位置する。
【0162】
ブロック1704は、III族窒化物ELO層上に1つ以上のIII族窒化物半導体素子層を成長させ、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、1つ以上の島状III族窒化物半導体層を生成するステップを表す。
【0163】
ブロック1705は、ステップ1701-1704に従って加工された中間構造を含み得る、プロセスからの結果を表す。例えば、中間構造は、基板の表面上に1つ以上の溝を形成するためにエッチングされる、基板と、少なくとも部分的に、溝上またはその中を含む、基板上またはその上方に堆積される、成長制限マスクであって、成長制限マスクは、基板の表面が暴露される、開放面積を有する、成長制限マスクと、成長制限マスクの開放面積における基板の表面上で成長される、1つ以上のIII族窒化物ELO層であって、III族窒化物ELO層は、基板内の溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物ELO層と、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、島状III族窒化物半導体層を生成するために、III族窒化物ELO層上で成長される、1つ以上のIII族窒化物半導体素子層とを含んでもよい。
【0164】
ブロック1706は、溝を使用して、基板から光電子素子を除去するステップを表す。
【0165】
ブロック1707は、ステップ1701-1706に従って加工された最終素子を含み得る、プロセスからの結果を表す。例えば、最終素子は、成長制限マスクの1つ以上の開放面積における基板の表面上で成長される、1つ以上のIII族窒化物ELO層であって、基板は、基板の表面上に1つ以上の溝を含み、III族窒化物ELO層は、基板内の溝によって形成される窪みのある別個の領域を有する、1つ以上のIII族窒化物ELO層と、その上で1つ以上の光電子素子が加工される、島状III族窒化物半導体層を生成するために、III族窒化物ELO層上で成長される、1つ以上のIII族窒化物半導体素子層とを備えてもよい。
【0166】
利点および利益
本発明は、いくつかの利点および利益を提供する。
・高価なIII族窒化物系基板101が、基板101が素子114層から除去された後に再使用されることができる。
・高品質の層105、106、110が、非常に低い欠陥密度を伴って、同一または類似する材料の基板101を使用して取得され得る。
・基板101および層105、106、110の両方のために同一または類似する材料を使用することが、層105、106、110内の歪みを低減させることができる。
・基板101および層105、106、110の両方のために同一または類似する熱膨張を伴う材料を使用することが、エピタキシャル成長の間に基板101の屈曲を低減させることができる。
・ELOによって成長される層105が、高品質である。
・III族窒化物ELO層105が、相互と癒合せず、内部歪みが、解放され、これは、亀裂のいかなる発生も回避することに役立つ。AlGaN層である素子層106に関して、これは、特に、高Al含有層の場合に非常に有用である。
・島状III族窒化物系半導体層110が、単独で形成され、したがって、引張応力または圧縮応力が、他の島状III族窒化物系半導体層110に向けられない。
・また、成長制限マスク102およびIII族窒化物ELO層105が、化学的に接合されず、したがって、III族窒化物ELO層105および付加的素子層106内の応力は、成長制限マスク102とIII族窒化物ELO層105との間の界面において引き起こされる摺動によって弛緩されることができる。
・島状III族窒化物系半導体層110のそれぞれの間の非成長領域104の存在が、可撓性を提供し、基板101が、外力が印加されるときに容易に変形され、屈曲されることができる。したがって、基板101内にわずかな反り、湾曲、または変形が生じる場合であっても、これは、小さい外力によって容易に補正され、亀裂の発生を回避することができる。結果として、真空チャックによる基板101の取扱が、可能であり、これは、半導体素子の製造プロセスがより容易に実行されるようにする。
・非成長領域104が、成長制限マスク102の大きい面積を分断することを容易にする。
・高品質の半導体結晶の層105、106、110が、基板101の湾曲を抑制することによって成長されることができ、さらに、層105、106、110が、非常に厚いときであっても、亀裂等の発生は、抑制されることができ、それによって、大面積半導体素子が、容易に実現されることができる。
・加工方法はまた、大きいサイズのウエハ(>2インチ)にも容易に採用されることができる。
【0167】
修正および代替
いくつかの修正および代替が、本発明の範囲から逸脱することなく行われることができる。
【0168】
例えば、本発明は、他の配向のIII族窒化物基板101と併用されてもよい。具体的には、基板101は、基底非極性m面{10-10}群および{20-2-1}面等の少なくとも2つの非ゼロのh、i、またはkミラー指数および非ゼロのlミラー指数を有する半極性面群であってもよい。(20-2-1)の半極性基板101は、平坦化ELO成長の広い面積のため、特に有用である。
【0169】
別の実施例では、本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、ショットキー障壁ダイオード(SBD)、または金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等の異なる光電子素子構造を加工するために使用されるように説明される。本発明はまた、マイクロLED、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、縁発光レーザダイオード(EELD)、およびソーラセル等の他の光電子素子を加工するために使用されてもよい。
【0170】
結論
ここで、本発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。網羅的である、または本発明を開示される精密な形態に限定することは、意図していない。多くの修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ、本明細書に添付される請求項によって限定されることを意図している。