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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】人造宝石の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/20 20060101AFI20240329BHJP
   C30B 29/34 20060101ALI20240329BHJP
   C30B 11/10 20060101ALI20240329BHJP
   C30B 13/12 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C30B29/20
C30B29/34 Z
C30B11/10
C30B13/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022143761
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2021176817の分割
【原出願日】2019-09-16
(65)【公開番号】P2022168159
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0127139
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520146178
【氏名又は名称】ビア ロジス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,チョル ホン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ユン,イン サン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ミン
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0154528(US,A1)
【文献】特開2012-200574(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1796329(CN,A)
【文献】特表2005-507843(JP,A)
【文献】特公昭47-044433(JP,B1)
【文献】特開2013-183897(JP,A)
【文献】特開2008-247706(JP,A)
【文献】国際公開第2004/105540(WO,A1)
【文献】特開2007-152075(JP,A)
【文献】特表2008-529951(JP,A)
【文献】特開2013-241313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0025392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/20
C30B 29/34
C30B 11/10
C30B 13/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または動物の火葬後の遺灰から人造宝石を製造する方法において、
前記火葬後の遺灰から生体抽出物を抽出することと、
前記生体抽出物を宝石原料と混合して混合原料を製造することと、
前記混合原料を溶融させて結晶種子の上に人造宝石を単結晶で形成することと、を含み、
前記火葬後の遺灰から前記生体抽出物を抽出することは、
ファーネス内で前記火葬後の遺灰を加熱して前記遺灰の不純物を除去することと、前記火葬後の遺灰に蒸留水を入れて希釈液を生成することと、前記希釈液を沸騰させて前記火葬後の遺灰を前記生体抽出物とスラッジに分離させることと、前記希釈液から前記スラッジを除去することと、前記希釈液から前記生体抽出物を析出させることと、を含み、
前記宝石原料は、アルミニウム酸化物及びケイ酸マグネシウムのうち少なくとも一つであり、
前記スラッジは、前記蒸留水に溶解されないことを特徴とする人造宝石の製造方法。
【請求項2】
前記希釈液から前記生体抽出物を抽出することは、
前記希釈液に前記宝石原料を入れること、及び前記希釈液内の水を蒸発させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の人造宝石の製造方法。
【請求項3】
前記生体抽出物を抽出することは、
撹拌棒、及び前記撹拌棒を運動させる電動モータを含むスターラーを利用して前記希釈液を撹拌することを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の人造宝石の製造方法。
【請求項4】
前記混合原料を製造することは、
ミキサーを利用して前記生体抽出物及び前記宝石原料を混合することを含むことを特徴とする請求項1に記載の人造宝石の製造方法。
【請求項5】
ミキサーを利用して前記生体抽出物及び前記宝石原料を混合することは、
前記生体抽出物、前記宝石原料、及びセラミックボールを混合することを含み、
前記ミキサーは、二重振とうミキサー(Double Shaking Mixer)であることを特徴とする請求項4に記載の人造宝石の製造方法。
【請求項6】
前記人造宝石を単結晶で形成することは、
原料投入部に前記混合原料を投入する原料投入ステップと、
酸素及び水素を利用して火花を点火し、前記火花でマッフルの内部空間の温度を上昇させる点火及び加熱ステップと、
前記結晶種子の最上部を溶融させる溶種ステップと、
前記結晶種子の上に溶融された前記混合原料を到達させて前記人造宝石の第1部分を成長させる拡大ステップと、
前記第1部分の上に溶融された前記混合原料を到達させて前記人造宝石の第2部分を成長させる成長ステップと、
前記人造宝石の内部応力を減少させる保温ステップと、を含み、
前記第1部分は成長しながらその直径が増加し、
前記第2部分は成長しながらその直径が一定であることを特徴とする請求項1に記載の人造宝石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人造宝石の製造方法に係り、より詳しくは、人または動物の身体組織、または人または動物の遺体の火葬後の遺灰を利用して人造宝石を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
亡くなった人またはペットを永遠に記憶するために、或いは愛する恋人または芸能人を追憶するために、人々は多様な方法を研究してきた。外国の場合、人またはペットの身体組織、または人またはペットの遺体の火葬後の遺灰から生体元素を抽出して、人工ルビーや人工ダイヤモンドのような人工宝石に投入するビジネスが盛んになっている(引用文献1参照)。最近は、比較的製造が容易な人工ルビーに生体元素を投入する傾向が増えている。人またはペットから生体元素を抽出して人工宝石に投入する技術は一部の先進国でのみ発展しており、韓国ではこのような技術の発展が遅れている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2004/015452号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人または動物の身体組織、または人または動物の遺体の火葬後の遺灰を利用して人造宝石を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、人または動物から抽出した生体原料または生体抽出物の特性及び元素含有量によって特定の色相を有する人造宝石を製造することを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、人または動物の身体の火葬後の遺灰から人造宝石を製造する方法において、前記火葬後の遺灰から生体抽出物を抽出することと、前記生体抽出物を宝石原料と混合して混合原料を製造することと、前記混合原料を溶融させて結晶種子の上に人造宝石を単結晶で形成することと、を含み、前記火葬後の遺灰から前記生体抽出物を抽出することは、ファーネス内で前記遺灰を加熱して前記遺灰の不純物を除去することと、前記火葬後の遺灰に蒸留水を入れて希釈液を製造することと、前記希釈液を沸騰させて前記火葬後の遺灰を前記生体抽出物とスラッジに分離させることと、前記希釈液から前記スラッジを除去することと、前記希釈液から前記生体抽出物を析出させることと、を含み、前記宝石原料は、アルミニウム酸化物及びケイ酸マグネシウムのうち少なくとも一つであり、前記スラッジは、前記蒸留水に溶解されないことを特徴とする。
【0006】
前記希釈液から前記生体抽出物を抽出することは、前記希釈液に前記宝石原料を入れること、及び前記希釈液内の水を蒸発させることを含むことができる。
【0007】
前記生体抽出物を抽出することは、撹拌棒及び前記撹拌棒を運動させる電動モータを含むスターラーを利用して前記希釈液を撹拌することを更に含むことができる。
【0008】
前記混合原料を製造することは、ミキサーを利用して前記生体抽出物及び前記宝石原料を混合することを含むことがよい。
【0009】
前記ミキサーを利用して前記生体抽出物及び前記宝石原料を混合することは、前記生体抽出物、前記宝石原料、及びセラミックボールを混合することを含み、前記ミキサーは二重振とうミキサー(Double Shaking Mixer)であることが望ましい。
【0010】
前記人造宝石を単結晶で形成することは、原料投入部に前記混合原料を投入する原料投入ステップと、酸素及び水素を利用して火花を点火し、前記火花でマッフルの内部空間の温度を上昇させる点火及び加熱ステップと、前記結晶種子の最上部を溶融させる溶種ステップと、前記結晶種子の上に溶融された前記混合原料を到達させて前記人造宝石の第1部分を成長させる拡大ステップと、前記第1部分の上に溶融された前記混合原料を到達させて前記人造宝石の第2部分を成長させる成長ステップと、前記人造宝石の内部応力を減少させる保温ステップと、を含み、前記第1部分は成長しながらその直径が増加し、前記第2部分は成長しながらその直径が一定であることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明による人造宝石の製造方法は、湿式または乾式工程を介して人または動物の身体組織、または人または動物の遺体の火葬後の遺灰から生体原料または生体抽出物を抽出することで、生体原料または生体抽出物の特性及び元素含有量によって特定の色相を有する人造宝石を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例による人造宝石の製造方法の概略的な順序を説明するための図である。
図2】生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。
図3】生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。
図4】生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。
図5】混合原料製造工程の実施例を説明するための順序図である。
図6】宝石成長装置を説明するための断面図である。
図7】宝石成長工程の実施例を説明するための順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点及び特徴を添付の図面を基に実施例により説明する。本発明は、この実施例に限らず、様々な形態に具現できる。実施例により、本発明がより理解可能となる。明細書で、同じ参照符号は同じ構成要素を指す。実施例の用語は、説明のためで、本発明を制限するものではない。単数形は文の中で特に言及されない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」と「含む(comprising)」は、言及された構成要素、ステップ、動作、及び/または装置の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作、及び/または装置の存在または追加を排除しない。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例による人造宝石の製造方法の概略的な順序を説明するための図である。図1を参照すると、本発明の実施例による人造宝石の製造方法は、生体抽出工程S100、混合原料製造工程S200、及び宝石成長工程S300を含む。生体抽出工程S100において、人または動物の身体組織、または人または動物の遺体の火葬後の遺灰から生体原料または生体抽出物を抽出する。一例として、身体組織は人または動物の髪の毛、手の爪、及び足の爪のうち少なくとも一つである。混合原料製造工程S200において、生体原料または生体抽出物を宝石原料と混合して混合原料を製造する。一例として、宝石原料はアルミニウム酸化物及びケイ酸マグネシウム酸化物のうち少なくとも一つを含む。宝石成長工程S300は、混合原料製造工程S200で製造された混合原料を人造宝石に成長させる。
【0015】
図2は、生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。図2を参照すると、図2による生体抽出工程S100は、身体組織から生体原料を抽出する乾式工程である。一例として、身体組織は人または動物の髪の毛、手の爪、及び足の爪のうち少なくとも一つである。図2による生体抽出工程S100は、検査ステップS102、カットステップS104、洗浄ステップS106、乾燥ステップS108、か焼ステップS110、収集ステップS112、及び粉砕ステップS114を含む。
【0016】
検査ステップS102は、身体組織を検査することを含む。身体組織を検査することは、電子天秤を利用して身体組織の重量を検査すること、及び身体組織の状態を検査することを含む。一例として、身体組織の重量は10gである。カットステップS104は、はさみを利用して身体組織を切ることを含む。一例として、身体組織は0.5cm乃至1cmの長さに切られる。洗浄ステップS106は、切られた身体組織を洗浄することを含む。切られた身体組織を洗浄することは、第1ビーカーの中に身体組織を入れること、第1ビーカーの中に洗浄液を入れること、及び洗浄液で身体組織を洗浄することを含む。洗浄液は、アルコノックス(Alconox)及び蒸留水を含む。アルコノックスは、米国のAlconox社製の洗浄剤のうち一つである。一例として、洗浄液で身体組織を洗浄することは、撹拌機と撹拌子を利用して身体組織を洗浄することを含む。撹拌機はマグネチック撹拌機である。撹拌子はマグネチック撹拌子である。撹拌子は、身体組織と洗浄液が入った第1ビーカー内にあって、撹拌機が発生する磁場によって回転する。
【0017】
洗浄ステップS106は、身体組織から洗浄液を洗浄することを更に含む。身体組織から洗浄液を洗浄することは、第1網目を利用して洗浄液から身体組織をふるいかけること、第2ビーカーの中にふるいにかけられた身体組織を入れること、第2ビーカーの中に蒸留水を入れること、及び蒸留水で身体組織を洗浄することを含む。乾燥ステップS108は、第2網目を利用して蒸留水から身体組織をふるいかけること、及びふるいかけられた身体組織を乾燥することを含む。身体組織を乾燥することは、オーブンを利用して身体組織を乾燥することを含む。
【0018】
か焼ステップS110は、アッシングファーネス(ashing furnace)を利用して身体組織を燃焼すること、及び脱臭機を利用して燃焼によって発生する臭いを脱臭することを含む。アッシングファーネスを利用して身体組織を燃焼することは、身体組織が入ったセラミック容器をアッシングファーネス内に配置すること、エアポンプを利用してアッシングファーネス内に空気を流すこと、身体組織を1次燃焼すること、及び身体組織を2次燃焼することを含む。身体組織を1次燃焼することは、アッシングファーネスの温度を一定時間以上上昇させた後、上昇させた温度を一定時間維持することを含む。身体組織を2次燃焼することは、1次燃焼で維持されたアッシングファーネスの温度を一定時間以上上昇させた後、上昇させた温度を一定時間維持することを含む。1次及び2次燃焼によって、アッシングファーネス内の身体組織が燃焼されながら身体組織内の有機物が除去されるが、有機物が除去された身体組織が生体原料と定義される。身体組織を1次及び2次燃焼することで全体的な燃焼時間を短縮することができ、身体組織が炭化されなくなる。一例として、生体原料はAl、B、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Sr、Ti、V、Zn、Si、P、及びSのうち少なくとも一つを含む。
【0019】
か焼ステップS110によって生成された生体原料の重量は、か焼ステップS110前の身体組織の重量より軽い。アッシングファーネス内に空気を流すことで、アッシングファーネス内の身体組織は完全燃焼される。言い換えれば、アッシングファーネス内の身体組織は炭化されない。身体組織から除去された有機物は、アッシングファーネスと連結された脱臭機に移動し排出される。収集ステップS112は、1次及び2次燃焼が終了された後、アッシングファーネス内から生体原料を取り出すことを含む。粉砕ステップS114において、生体原料を微細に粉砕する。臼及び杵を利用して生体原料を微細に粉砕する。
【0020】
図3は、生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。図3を参照すると、図3による生体抽出工程S100は、身体組織から生体抽出物を抽出する湿式工程である。一例として、身体組織は人の髪の毛、手の爪、及び足の爪のうち少なくとも一つである。図3による生体抽出工程S100は、検査ステップS102、カットステップS104、洗浄ステップS106、乾燥ステップS108、か焼ステップS110、第1収集ステップS112、第1粉砕ステップS114、希釈ステップS122、ボイリングステップS124、フィルタリングステップS126、蒸発ステップS128、第2収集ステップS130、及び第2粉砕ステップS132を含む。図3による生体抽出工程S100の検査ステップS102、カットステップS104、洗浄ステップS106、乾燥ステップS108、か焼ステップS110、第1収集ステップS112、及び第1粉砕ステップS114は、図2による生体抽出工程S100の検査ステップS102、カットステップS104、洗浄ステップS106、乾燥ステップS108、か焼ステップS110、収集ステップS112、及び粉砕ステップS114と実質的に同じである。
【0021】
希釈ステップS122において、第1粉砕ステップS114で粉砕された生体原料を蒸留水に入れて希釈液を生成する。ボイリングステップS124において、希釈液を撹拌しながら沸騰させる。希釈液を撹拌しながら沸騰させることは、マグネチック撹拌機及びマグネチック撹拌子を利用して希釈液を撹拌すること、及びマグネチック撹拌機の上のホットプレート(hot plate)を利用して希釈液を沸騰させることを含む。
【0022】
希釈液を撹拌しながら沸騰させることで、生体原料が生体抽出物及びスラッジに分離される。生体原料から抜け出す物質が生体抽出物と定義され、生体原料に残留する物質がスラッジと定義される。スラッジは希釈液内に溶解されずに沈殿される。フィルタリングステップS126において、希釈液内のスラッジを除去する。遠心分離機を利用して、希釈液内のスラッジが除去される。
蒸発ステップS128において、希釈液内の水分を完全に蒸発させる。希釈液内の水分を蒸発させることは、第3ビーカー内に希釈液と宝石原料を入れること、第3ビーカーをホットプレートの上に乗せること、及びホットプレートで希釈液を加熱して希釈液を沸騰させることを含む。宝石原料は、後の混合原料製造工程S200で追加される宝石原料に比べ相対的に少量である。一例として、宝石原料はアルミニウム酸化物及びケイ酸マグネシウム酸化物のうち少なくとも一つを含む。希釈液内の水分が完全に蒸発されることで、第3ビーカー内に生体抽出物及び宝石原料が析出される。生体抽出物及び宝石原料は、第3ビーカーの側壁及び底面にくっついて析出される。一例として、生体抽出物はAl、B、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Sr、Ti、V、Zn、Si、P、及びSのうち少なくとも一つを含む。
【0023】
第2収集ステップS130において、第3ビーカーの側壁及び底面にくっついている生体抽出物及び宝石原料が収集される。一例として、スプーンを利用してビーカーの側壁及び底面にくっついている生体抽出物及び宝石原料を掻き出すことで、生体抽出物及び宝石原料が収集される。蒸発ステップS128において、第3ビーカー内に宝石原料を入れることで、析出される原料(生体抽出物及び宝石原料の合計)の量が増加し、生体抽出物の収集が相対的に容易になる。第2粉砕ステップS132において、収集された生体抽出物及び宝石原料が微細に粉砕される。臼及び杵を利用して生体抽出物及び宝石原料を微細に粉砕する。
【0024】
図4は、生体抽出工程の実施例を説明するための順序図である。図4を参照すると、図4による生体抽出工程S100は、火葬後の遺灰から生体抽出物を抽出する湿式工程である。図4による生体抽出工程S100は、検査ステップS142、か焼ステップS144、希釈ステップS146、ボイリングステップS148、フィルタリングステップS150、蒸発ステップS152、収集ステップS154、及び粉砕ステップS156を含む。検査ステップS142は、火葬後の遺灰を検査することを含む。一例として、火葬後の遺灰の重量は50gである。
【0025】
か焼ステップS144において、火葬後の遺灰が加熱される。火葬後の遺灰は、ファーネス(furnace)内で加熱される。か焼ステップS144を経て、火葬後の遺灰から不純物が除去され、火葬後の遺灰の状態が均質化される。希釈ステップS146において、ビーカーの中に火葬後の遺灰及び蒸留水を入れて希釈液を生成する。ボイリングステップS148は、希釈液を撹拌すること、及び希釈液を沸騰させることを含む。希釈液を撹拌することは、スターラー(stirrer)を利用して希釈液を撹拌することを含む。スターラーは、撹拌棒、及び撹拌棒を運動させる電動モータを含む。希釈液を沸騰させることは、ホットプレートを利用して希釈液を沸騰させることを含む。ホットプレートを利用して希釈液を沸騰させる前に、別途の工程で希釈液を加熱させたら、ホットプレートで希釈液を沸騰させる時間を短縮することができる。希釈液を撹拌しながら沸騰させることで、火葬後の遺灰が生体抽出物及びスラッジに分離される。火葬後の遺灰から抜け出す物質が生体抽出物と定義され、火葬後の遺灰に残留する物質がスラッジと定義される。スラッジは希釈液内に溶解されずに沈殿される。
【0026】
フィルタリングステップS150において、希釈液内のスラッジを除去する。遠心分離機を利用して、希釈液内のスラッジが除去される。蒸発ステップS152において、希釈液内の水分を完全に蒸発させる。希釈液内の水分を蒸発させることは、ビーカー内に希釈液と宝石原料を入れること、ビーカーをホットプレートの上に乗せること、及びホットプレートで希釈液を加熱して希釈液を沸騰させることを含む。宝石原料は、後の混合原料製造工程S200で追加される宝石原料に比べ相対的に少量である。一例として、宝石原料はアルミニウム酸化物及びケイ酸マグネシウム酸化物のうち少なくとも一つを含む。
【0027】
希釈液内の水分が完全に蒸発されることで、ビーカー内に生体抽出物及び宝石原料が析出される。生体抽出物及び宝石原料は、ビーカーの側壁及び底面にくっついて析出される。一例として、生体抽出物はAl、B、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Ni、Sr、Ti、V、Zn、Si、P、及びSのうち少なくとも一つを含む。収集ステップS154において、ビーカーの側壁及び底面にくっついている生体抽出物及び宝石原料が収集される。蒸発ステップS152において、ビーカー内に宝石原料を入れることで、析出される原料(生体抽出物及び宝石原料の合計)の量が増加し、生体抽出物の収集が相対的に容易になる。粉砕ステップS156において、収集された生体抽出物及び宝石原料が微細に粉砕される。臼及び杵を利用して生体抽出物及び宝石原料を微細に粉砕する。
【0028】
図5は、混合原料製造工程の実施例を説明するための順序図である。図5を参照すると、混合原料製造工程S200は、混合ステップS202、分離ステップS204、及び乾燥ステップS206を含む。
【0029】
混合ステップS202において、生体抽出工程S100で粉砕された生体原料または生体抽出物及び宝石原料に宝石原料を追加する。生体原料または生体抽出物及び宝石原料と追加される宝石原料を混合して混合原料が生成される。図2による生体抽出工程S100によって抽出された生体原料を利用する場合、混合原料における生体原料の含量比は0.01wt%乃至0.1wt%である。図3による生体抽出工程S100によって抽出された生体抽出物を利用する場合、混合原料における生体抽出物の含量比は0.01wt%乃至0.1wt%である。図4による生体抽出工程S100によって抽出された生体抽出物を利用する場合、混合原料における生体抽出物の含量比は0.1wt%乃至0.6wt%である。
【0030】
生体原料または生体抽出物及び宝石原料と追加される宝石原料を混合することは、ミキサーの中に生体原料または生体抽出物及び宝石原料、追加される宝石原料及びセラミックボールを入れること、及びミキサーを約1時間稼働することを含む。ミキサーの中にセラミックボールを入れれば、混合原料の均質度が相対的に高くなる。一例として、セラミックボールはジルコニウムボールである。一例として、ミキサーは二重振とうミキサー(Double Shaking Mixer)である。
【0031】
分離ステップS204において、混合原料とセラミックボールを分離する。第3網目を利用して、混合原料とセラミックボールを分離する。乾燥ステップS206において、混合原料を乾燥する。混合原料を乾燥することは、オーブンを利用して混合原料を乾燥することを含む。本発明の生体抽出工程S100及び混合原料製造工程S200によって(特に、生体原料及び生体抽出物の含量比によって)、宝石原料を高温(例えば、1600℃)で加熱しながら生体原料または生体抽出物を投入する必要なく、後の宝石成長工程S300で成長される人造宝石が、亀裂がなく澄んだトーンを有するようにすることができる。一例として、宝石原料を高温で加熱することは、硫酸アルミニウムアンモニウム(Al(NH(SO・24HO)を加熱し、ガンマ相のアルミニウム酸化物(γ-Al)を形成することを含む。
【0032】
図6は、宝石成長装置を説明するための断面図である。図7は、宝石成長工程の実施例を説明するための順序図である。図6を参照すると、宝石成長装置は、原料投入部100及び宝石成長部200を含む。
【0033】
原料投入部100は、混合原料投入部110、網目115、ホッパー120、第1管130、第2管140、第3管150、酸素投入管160、水素投入管170、及びタッピング部180を含む。第1管130はホッパー120と連結される。混合原料投入部110は第1管130内に提供される。混合原料投入部110には混合原料Rが投入される。混合原料投入部110とホッパー120との間に網目115が提供される。混合原料投入部110内の混合原料Rは、網目115を介してホッパー120に移動する。混合原料投入部110の上にタッピング部180が提供される。タッピング部180は、混合原料投入部110に物理的な力を加える。タッピング部180が加える物理的な力によって、混合原料投入部110内の混合原料Rは網目115を通ってホッパー120に移動する。第1管130の側壁に酸素投入管160が連結される。酸素投入管160を介し、酸素Oが第1管130に投入される。酸素Oは第1管130を介してホッパー120に移動する。
【0034】
ホッパー120は漏斗状を有する。ホッパー120は第2管140と連結される。ホッパー120内の混合原料R及び酸素Oは第2管140に移動する。ホッパー120及び第2管140内において、酸素Oが混合原料Rのキャリングガス(carrying gas)と作用する。言い換えれば、酸素Oの移動によって混合原料Rが移動する。第2管140を囲む第3管150が提供される。言い換えれば、第3管150内に第2管140が提供される。第3管150の側壁に水素投入管170が連結される。水素投入管170を介し、水素Hが第3管150に投入される。
【0035】
第3管150は、宝石成長部200と連結される端部151を含む。第3管150の端部151に開口152が提供される。水素Hと酸素Oは第3管150の開口152に排出される。混合原料Rは第3管150の開口152に排出される。第3管150の開口152に隣接して点火プラグ(図示せず)が提供される。点火プラグの点火で、水素H及び酸素Oを燃料とする火花Fが形成される。宝石成長部200は、マッフル210、密封部220、及び支持台230を含む。マッフル210は、その内部に内部空間ISを含む。マッフル120の内部空間ISは、第3管150の開口152を介して第3管150の内部と連通される。第3管150の端部151の外壁とマッフル210との間に密封部220が提供される。密封部220は第3管150を固定する。密封部220は、マッフル210の内部空間ISがマッフル210の上の外部空間と連通しないようにマッフル210の内部空間ISを密封する。
【0036】
上下に移動自在に構成される支持台230が提供される。支持台230は、上に移動しながらマッフル210の下の外部空間からマッフル210の内部空間ISに入り、下に移動しながらマッフル210の内部空間ISからマッフル210の下の外部空間ISに出る。支持台230の上に結晶種子Sが提供される。結晶種子Sは、成長させようとする人造宝石のシード(seed)である。水素H及び酸素Oによってマッフル210の内部空間ISに火花Fが形成される。第3管150の開口152を介して、マッフル210の内部空間ISに移動した混合原料Rは火花Fによって溶融される。
【0037】
図6及び図7を参照すると、宝石成長工程S300は、原料投入ステップS302、点火及び加熱ステップS304、溶種ステップS306、拡大ステップS308、成長ステップS310、及び保温ステップS312を含む。原料投入ステップS302において、原料投入部100に原料を投入する。混合原料投入部110に混合原料Rを投入し、酸素投入管160に酸素Oを投入し、水素投入管170に水素Hを投入する。酸素Oは、第1管150、ホッパー120、及び第2管140に沿って移動し、第3管150の開口152に排出される。水素Hは第3管150に沿って移動し、第3管150開口152に排出される。
【0038】
点火及び加熱ステップS304において、火花Fを生成する。第3管150の開口152を介して排出される水素H及び酸素Oを点火プラグで添加して火花Fを形成する。火花Fは、マッフル210の内部空間IS内に形成される。マッフル210の内部空間IS内に形成された火花Fによって、マッフル210の内部空間ISの温度が上昇する。溶種ステップS306において、支持台230の上に結晶種子Sを提供する。次に、結晶種子Sの最上部が火花Fの最下部と接するように支持台230を上昇させる。結晶種子Sの最上部が火花Fと接しながら、結晶種子Sの最上部が溶融される。溶融された結晶種子Sの最上部の直径は、溶融される前の結晶種子Sの最上部の直径より大きい。拡大ステップS308において、結晶種子Sの上で人造宝石Gの第1部分G1が成長される。タッピング部180で混合原料投入部110に物理的な力を加えると、混合原料投入部110内の混合原料Rが網目115を通ってホッパー120に移動する。混合原料Rは、ホッパー120、第2管140、及び第3管150に沿って移動し、第3管150の開口152に排出される。第3管150の開口152に排出された混合原料Rは火花Fによって溶融される。火花Fによって溶融された混合原料Rは溶融された結晶種子Sの最上部の上に到達し、人造宝石Gの第1部分G1が成長する。
【0039】
人造宝石Gの第1部分G1は、成長しながらその直径が増加する。酸素投入管160を介して供給される酸素Oの量を次第に増加させることで、人造宝石Gの第1部分G1は成長しながらその直径が増加する。人造宝石Gの第1部分G1の成長によって、支持台230を下降させる。支持台230を下降させることで、人造宝石Gの第1部分G1の最上部と火花Fの最下部が接する状態が維持されるように人造宝石Gの第1部分G1が成長する。言い換えれば、支持台230は人造宝石の成長によって下降する。
【0040】
成長ステップS310において、人造宝石Gの第1部分G1で人造宝石Gの第2部分G2が成長する。人造宝石Gの第2部分G2は、その直径が一定に維持されるように成長する。酸素投入管160を介して供給される酸素Oの量を一定に維持することで、人造宝石Gの第2部分G2はその直径が一定に維持されるように成長する。人造宝石Gの第2部分G2の成長によって、支持台230を下降させる。支持台230を下降させることで、人造宝石Gの第2部分G2の最上部と火花Fの最下部が接する状態が維持されるように人造宝石Gの第2部分G2が成長する。
【0041】
保温ステップS312において、人造宝石Gの成長が完了されたら、酸素O及び水素Hの供給を中断して火花Fを消す。火花Fが消されても、マッフル210の内部空間ISの温度は一定時間相対的に高く維持される。支持台230を下降させて、人造宝石Gをマッフル210の内部空間ISから相対的にゆっくり取り出す。人造宝石Gをマッフル210の内部空間ISから相対的にゆっくり取り出すことで、人造宝石Gの内部応力が減少される。
【0042】
図面を参照して本発明の実施例を説明したが、技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施されてもよい。上述の実施例は例示的なものであって、限定的なものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、人または動物の身体組織、または人または動物の遺体の火葬後の遺灰を利用して人造宝石を製造する方法であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0044】
100 原料投入部
110 混合原料投入部
115 網目
120 ホッパー
130 第1管
140 第2管
150 第3管
151 端部
152 開口
160 酸素投入管
170 水素投入管
180 タッピング部
200 宝石成長部
210 マッフル
220 密封部
230 支持台
F 火花
G 人造宝石
G1 第1部分
G2 第2部分
H 水素
IS 内部空間
O 酸素
R 混合原料
S 結晶種子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7