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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】キャスタ、寝台及び台車
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20240329BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240329BHJP
   A47C 19/02 20060101ALI20240329BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B60B33/00 U
B60B33/00 F
B62B3/00 Z
A47C19/02 B
A61G1/02 703
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023080972
(22)【出願日】2023-05-16
(62)【分割の表示】P 2023067624の分割
【原出願日】2023-04-18
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022167201
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152664
【氏名又は名称】株式会社日乃本錠前
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕基
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-001703(JP,A)
【文献】特開平10-094930(JP,A)
【文献】国際公開第2010/010655(WO,A1)
【文献】実開昭48-040961(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105691107(CN,A)
【文献】特開平08-077892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00 - 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物に固定される治具と、
回転中心にシャフトが接続された車輪と、
前記車輪及び前記治具をそれぞれ軸支して前記車輪と前記治具とを接続するシャフトケースと、
前記車輪のホイールに当接可能なストッパ部材と、
前記ストッパ部材を含むトグル構造を有するものであって、前記シャフトケース内に設けられて操作機構に押されて揺動する揺動カムと、前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備えるストッパ機構と、
前記トグル構造を変形させることで前記ストッパ部材を前記ホイールに当接させることによって前記車輪の回転を止める前記操作機構と、
前記リンク部材が前記シャフトから放射方向に向かって略直立したときに前記揺動カムと前記シャフトケースまたは前記リンク部材とを当接させることにより前記揺動カムの回転を制限する回転制限機構と、を備え、
前記回転制限機構は、
前記リンク部材が前記シャフトから放射方向に向かって略直立したときに、
(1)前記揺動カムに設けられる制限突起が、前記シャフトケースに設けられる停止壁に当接することで前記揺動カムの回転を制限するか、
(2)前記揺動カムに形成される溝部で軸支された前記リンク部材が、前記溝部の奥面に当接することで前記揺動カムの回転を制限する、キャスタ。
【請求項2】
前記ストッパ部材を前記ホイールに当接して前記回転を止める際に前記治具に対する前記シャフトケースの旋回を同時にロックする旋回止機構を備える請求項1に記載のキャスタ。
【請求項3】
前記操作機構はワイヤに接続された係止体で操作される請求項1に記載のキャスタ。
【請求項4】
前記操作機構は前記シャフトケースから外部に突出したロットで操作される請求項1に記載のキャスタ。
【請求項5】
前記ストッパ部材の前記ホイールとの当接面に設けられる車輪ロック歯と、
前記ホイールに設けられて前記車輪ロック歯が噛み合わさる車輪受歯と、を備え、
前記車輪ロック歯及び前記車輪受歯は、それぞれ前記ホイールの円周の彎曲に沿って連なる三角形状を有する請求項1に記載のキャスタ。
【請求項6】
前記ストッパ機構は、
前記シャフトケース内に設けられて前記操作機構に押されて揺動する揺動カムと、
前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記リンク部材の前記揺動カムとは反対側の一端に軸支されるとともに一端が前記シャフトケースに軸支される請求項1に記載のキャスタ。
【請求項7】
前記揺動カムは前記シャフトに軸支される請求項に記載のキャスタ。
【請求項8】
前記キャスタは双輪型キャスタである請求項1に記載のキャスタ。
【請求項9】
前記キャスタは単輪型キャスタである請求項1に記載のキャスタ。
【請求項10】
前記トグル構造の変形を制限する制限機構と、
前記車輪のロックを解除する際に前記トグル構造の変形を解消する弾性部材と、を備える請求項1に記載のキャスタ。
【請求項11】
前記シャフトケースは、前記車輪と前記治具とを変位可能に接続する請求項1に記載のキャスタ。
【請求項12】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のキャスタと、
前記キャスタに支持される脚部と、を備える寝台。
【請求項13】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のキャスタを備える台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタ又はこのキャスタにより移動可能にされた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
キャスタのストッパ機構は、車輪とストッパ機構との摩擦で車輪の回転を阻止する摩擦式と、車輪の回転機構に何かしら剛体物を差し込んで剛体物の剛性で車輪の回転を阻止するロック式と、に大別することができる。
ロック式のストッパ機構では、車輪及びストッパ機構の摩耗が少なく、またロック後即時に車輪の回転を停止させることができる。
公知のロック式のストッパ機構は多様であるが、いずれであってもロックをかけたときにロックしそびれることなく、ロック機能が発揮されることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-039405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば診療用寝台のキャスタでロック及びロック解除の操作が重いと、操作者の負担になることに加え、寝台に横臥している患者も操作の度に反動による衝撃を受けるという課題があった。また、操作が重いと、操作音も大きくなる傾向があるという課題もあった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、軽い力で確実にロック及びロック解除をすることができるキャスタ、台車及び寝台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るキャスタは、運搬物に固定される治具と、回転中心にシャフトが接続された車輪と、前記車輪及び前記治具をそれぞれ軸支して前記車輪と前記治具とを接続するシャフトケースと、前記車輪のホイールに当接可能なストッパ部材と、前記ストッパ部材を含むトグル構造を有するものであって、前記シャフトケース内に設けられて前記操作機構に押されて揺動する揺動カムと、前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備えるストッパ機構と、前記トグル構造を変形させることで前記ストッパ部材を前記ホイールに当接させることによって前記車輪の回転を止める操作機構と、前記リンク部材が前記シャフトから放射方向に向かって略直立したときに前記揺動カムの回転を制限する回転制限機構と、を備えるものである。
【0007】
また、本実施形態に係る寝台は、運搬物に固定される治具と、回転中心にシャフトが接続された車輪と、前記車輪及び前記治具をそれぞれ軸支して前記車輪と前記治具とを接続するシャフトケースと、前記車輪のホイールに当接されるストッパ部材と、前記ストッパ部材を含むトグル構造を有するものであって、前記シャフトケース内に設けられて前記操作機構に押されて揺動する揺動カムと、前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備えるストッパ機構と、前記トグル構造を変形させることで前記ストッパ部材を前記ホイールに当接させることによって前記車輪の回転を止める操作機構と、前記リンク部材が前記シャフトから放射方向に向かって略直立したときに前記揺動カムの回転を制限する回転制限機構と、前記治具で前記車輪に支持される脚部と、を備えるものである。
【0008】
また、本実施形態に係る台車は、前記キャスタを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、軽い力で確実にロック及びロック解除をすることができるキャスタ、台車及び寝台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)第1実施形態に係るキャスタを適用した寝台の一例を示す概略斜視図、(B)第1実施形態に係るキャスタを適用した台車の一例を示す概略斜視図。
図2】(A)第1実施形態に係るキャスタを適用したラックの一例を示す概略斜視図、(B)第1実施形態に係るキャスタを適用したキャスタ付鞄の一例を示す概略斜視図。
図3】第1実施形態に係るキャスタの斜視図。
図4図3から上部シャフトケースを除いて、シャフトケースの内部の構成を示す斜視図。
図5図4から下部シャフトケースを除いてキャスタを側面後方方向から見下げた斜視図。
図6】第1実施形態における回転制限機構周辺の拡大側面図。
図7】(A)ロック解除状態のストッパ機構を示す図、(B)ロック状態のストッパ機構を示す図。
図8】(A)第2実施形態におけるストッパ機構を示す斜視図、(B)第2実施形態におけるストッパ機構の変形例を示す斜視図。
図9】第3実施形態に係るキャスタの斜視図。
図10】(A)第3実施形態の変形例に係る旋回止機構のロック解除状態を示す側面図、(B) 同・ロック状態を示す側面図。
図11】第4実施形態に係るキャスタの旋回止機構及びその周辺部材を示す斜視図。
図12】第4実施形態に係るキャスタを歯付リングの高さで水平に切断した切断断面を示す部分拡大断面図。
図13】(A)第4実施形態の変形例に係るキャスタでロック解除状態のキャスタを示す斜視図、(B)同・ロック状態を示す斜視図。
図14】第5実施形態に係るキャスタの斜視図。
図15】第5実施形態に係るキャスタの旋回止機構及びその周辺部材を示す斜視図。
図16】旋回止バーに軸支された板ばねを揺動カム側からみた斜視図。
図17】(A)ロック解除状態の第5実施形態に係るキャスタの側面図、(B)同・ロック状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1(A)は第1実施形態に係るキャスタ10を適用した寝台100の一例を示す概略斜視図、図1(B)はキャスタ10を適用した台車200の一例を示す概略斜視図である。
第1実施形態に係るキャスタ10は、図1(A)に示されるように、例えばストレッチャや診療ベッドなどの寝台100の脚部150に好適に用いられる。また、キャスタ10は、図1(B)に示されるように、荷物や人、動物、機材等を運搬する台車200に用いられてもよい。
【0013】
また、図2(A)はキャスタ10を適用したラック300の一例を示す概略斜視図、図2(B)は第1実施形態に係るキャスタ10を適用したキャスタ付鞄400の一例を示す概略斜視図である。
キャスタ10は、図2(A)に示されるようなラック300等の什器、オフィス機器、店頭看板などの販促用機器又は床頭台等の医療機器等、移動させることのある機器全般に対して移動用脚として適用可能である。さらに、キャスタ10は、図2(B)に示されるように、キャスタ付鞄400に設けられてもよい。
キャスタ10は、その負荷に応じて、樹脂、金属、又はカーボン等から適宜素材が選択される。これら寝台100、台車200、ラック300及びキャスタ付鞄400等の運搬物の脚部150又は底部に不図示の取付台が固定されて、この脚部150又は取付台にキャスタ10が固定される。
【0014】
図3は、第1実施形態に係るキャスタ10を側面前方方向から見下げた斜視図である。
図3では、車輪14の背部の構造を明示するため、片方の車輪14を想像線で示している。
第1実施形態に係るキャスタ10は、図3に示されるように、主に、挿入筒11、シャフトケース12、シャフト13、車輪14、及びストッパ機構15で構成される。
キャスタ10は、1つのキャスタ10が1つの車輪14を備える単輪型キャスタであってもよいし、図3のような2つの車輪14が並置された双輪型キャスタであってもよい。
キャスタ10が双輪型キャスタの場合、2つの車輪14どうしは、その回転中心点においてシャフト13で接続される。シャフト13の両端部に設けられた車輪ベアリング16に車輪14が嵌め込まれることで、車輪14はシャフト13を軸に回転する。なお、製造時に車輪14とシャフト13とが一体成形されて、シャフト13がシャフトケース12に軸支される構成でもよい。
【0015】
以下、説明の便宜上、シャフト13の延在方向を「左右」方向とよぶ。また、この左右方向に垂直で車輪14の回転によりキャスタ10が進行する方向を「前後」方向という。また、これら左右方向及び前後方向の両方に垂直な方向を「上下」方向という。また、車輪14を地面に載置したときの重力のかかる向きを「下」、その反対を「上」という。
【0016】
シャフト13は、上向きに膨らむ上部シャフトケース12aに通される。上部シャフトケース12aの縁辺には下向きに膨らむ下部シャフトケース12bの縁辺が当接されて、ネジ留めにより互いに固定される。上部シャフトケース12aと下部シャフトケース12bとの当接辺の一部には突出孔25が設けられる。この突出孔25から、シャフトケース12に収容されたストッパ機構15の一部を構成するストッパ板24が車輪14に向けて突出している。
【0017】
上部シャフトケース12aには、上方の前部又は後部に軸支孔が設けられる。この軸支孔には、治具の一例である挿入筒11が挿入されて首振り用ベアリング17により軸動可能に軸支孔に固定される。挿入筒11は、例えば寝台100の脚部150の下端部から脚部150の内部に挿入されて、挿入筒11の胴部に設けられたネジ孔11aにおいて脚部150にネジ留めされる。
このように、シャフトケース12は、治具及びシャフト13をそれぞれ軸支又は固定することで、車輪14と治具である挿入筒11とを変位可能に接続する。なお、首振り用ベアリング17及び車輪ベアリング16は必須の部材ではない。キャスタ10の種類によっては、キャスタ10の首振りができないものや、車輪ベアリング16を用いずに車輪14の回転を可能にする機構を有するものもある。
【0018】
また、図4は、図3のキャスタ10からさらに上部シャフトケース12aを除いて、シャフトケース12の内部の構成を示す斜視図である。
図4では、部材同士の接続関係を明示するため、操作機構の一例である操作プレート18、首振り用ベアリング17、小径フランジ20b及び操作ワイヤ21を想像線で示している。
また、図5は、図4から更に下部シャフトケース12bを除いてキャスタ10を側面後方方向から見下げた斜視図である。
図5では、揺動カム19の周辺部材及びリンク部材23の周辺部材をそれぞれ取り出して拡大して示している。また、図5では、挿入筒11及びその周辺部材、操作プレート18、操作ワイヤ21及びストッパ部材の一例であるストッパ板24を想像線で示している。
【0019】
挿入筒11は、図4又は図5に示されるように、外径が下方に向けて3段階で小さくなる3つの筒部位11b~11dが一体形成された形状を有する。首振り用ベアリング17は、このうち中径筒部11cに嵌め込まれる。また、首振り用ベアリング17を挟むように、中径筒部11cには大径フランジ20aが、また小径筒部11dには小径フランジ20bが嵌め込まれてそれぞれ挿入筒11に固定される。
このように挿入筒11に首振り用ベアリング17が軸支されることで、前述のようにシャフトケース12で吊支されたシャフト13及び車輪14は挿入筒11まわりに旋回可能に挿入筒11に軸支される。
【0020】
挿入筒11の内空間11eには、アウタチューブ21aで被覆されるとともに下端部に係止体の一例である係止球26を有する操作ワイヤ21が通される。内空間11eは、中腹部で内径が一段小さくなって、2つの内径を有する。この内径の段差箇所に、アウタチューブ21aの端部に設けられた固定ワッシャ21b(図5)が当接することで、アウタチューブ21aは内空間11eからシャフトケース12内に突出することが阻止される。
一方、操作ワイヤ21は内空間11eの小径部も貫通して挿入筒11の端部からシャフトケース12内部に向かってせり出ている。
【0021】
また、シャフト13の胴部には、ストッパ機構15の一部である揺動カム19が設けられる。
ストッパ機構15は、例えば、この揺動カム19に加え、操作プレート18、リンク部材23、ストッパ板24及びダブルトーションばね27で主に構成される。ストッパ機構15は、操作プレート18で後述するトグル構造を変形させることで、車輪ロック歯24aを車輪受歯28に嵌め込んで車輪14をロックする。
揺動カム19の円筒状の胴部には、ストッパ機構15を固定するマウント突起19xが形成されている。
【0022】
このマウント突起19xには、操作プレート18の一端が固定される。また、操作プレート18の自由端側の他端は、係止球26が係止される。操作プレート18の中央部には係止球26が挿通可能な挿通孔29と、この挿通孔29から自由端に向かって延びるスリット孔29aが設けられる。係止球26がこの挿通孔29から操作プレート18の背面側に挿通された後、操作ワイヤ21がスリット孔29aを伝って自由端に配置されることで、係止球26が操作プレート18の自由端に係止される。
【0023】
このような構成により、操作ワイヤ21がけん引され係止球26が上方に引き上げられると、操作プレート18は、その自由端が係止球26に引き上げられながらマウント突起19x側の固定端を軸に回転して水平になろうとする。この操作プレート18の回転により、操作プレート18にあそびを付与して支持する揺動カム19が、操作プレート18に押されて、マウント突起19xを操作ワイヤ21から引き離す向きに回転する。
なお、この操作プレート18は、操作ワイヤ21の牽引力の誤差を吸収するため操作ワイヤ21を下方に引き下げる弾性力を有する例えば板バネであることが望ましい。また、このように操作プレート18がワイヤ牽引方向に弾性力を有すると、揺動カム19を押す操作プレート18による力も弾性力となる。よって、後述の車輪ロック歯24aと車輪受歯28との山がずれた場合でも、車輪ロック歯24aに車輪受歯28が嵌まり込もうとする圧がかかり続けているので、山がさらに僅かにずれた際に車輪ロック歯24aに車輪受歯28が自動的に嵌まり込む。
【0024】
ストッパ機構15の構成の説明を続ける。
マウント突起19xにはシャフト13に平行にマウント突起19xを左右に貫通するマウントバー31が設けられる。このマウントバー31には、リンク部材23が軸支される。リンク部材23は、板面を対向させて平行に配置された2本の基部板32を結合プレート33で結合した梯子形状を有する。2つの基部板32の端部がそれぞれマウントバー31に軸支されることで、リンク部材23がマウント突起19xまわりに揺動する。また、2つの基部板32の他端にはストッパバー34が架橋される。このストッパバー34がストッパ板24の背面のブラケット24bに嵌め込まれることで、ストッパ板24はリンク部材23に軸支される。
【0025】
また、ストッパ板24の一端辺はシャフトケース12に位置決め支軸37で軸支される。つまり、ストッパ板24は、リンク部材23に背面を押されてシャフトケース12の定点周りに揺動する。
このストッパ板24の板面には、表面に三角形を連ならせた鋸歯形状の車輪ロック歯24aが設けられる。この車輪ロック歯24aは、車輪14のホイール39のシャフト13側の側面に設けられた車輪受歯28と噛み合う。車輪受歯28は、ホイール39の回転中心Aに向かって車輪ロック歯24aと同一のピッチでホイール39の円形形状の彎曲に沿って一周設けられる。
【0026】
また、揺動カム19の円筒状の胴部には、回転制限機構40を構成する制限突起41が設けられている。
ここで、図6は、第1実施形態における回転制限機構40周辺の拡大側面図である。
シャフトケース12の内壁には、図6に示されるように、揺動カム19に向けて揺動カム19の胴部に接触しない位置まで迫り出た停止壁42が形成される。制限突起41及び停止壁42は、リンク部材23がシャフト13から放射方向に向かって略直立したときに制限突起41が停止壁42に当接するように配置される。ここで、「略直立」とはシャフト13の放射方向とリンク部材23とのなす角度が+-10度以内であることをいう。つまり、シャフト13におけるリンク部材23が接する点の接線と、リンク部材23と、がなす角度が90度+-10度以内であることをいう。「直立」とは、具体的には、図7(B)に示されるように、ストッパバー34とマウントバー31とを結ぶ直線の沿線上に揺動カム19の揺動中心が乗っている状態をいう。より好ましくは、シャフト13の放射方向とリンク部材23とのなす角度は+-5度以内である。このように制限突起41及び停止壁42は、マウント突起19xが特定の角度まで回転したときにその回転を停止させて、車輪14のロック時のマウント突起19xの位置を規定する回転制限機構40として機能する。
【0027】
なお、車輪ロック歯24a及び車輪受歯28をいずれも矩形ではなく三角形を連ならせた形状とすることが望ましい。矩形の歯では、隣り合う歯どうしの間隔を歯の幅が完全に一致していると、斜め方向から嵌まり込もうとする歯の側面とぶつかり噛み合わせることができない。よって、矩形の歯の場合、車輪ロック歯24a及び車輪受歯28のそれぞれにおいて、隣り合う歯どうしの間隔を歯の幅よりも広くする必要がある。この結果、矩形の歯を用いたキャスタ製品は、噛み合わせたときに噛み合った歯どうしの間に僅かに隙間が生じるため、ロック後も車輪が前後に微回転して使用者にガタつく使用感を与える。
一方、歯形が三角形の場合、歯24a,28どうしを噛み合わせた際に隙間が空かない設計にすることができるため、ロック後のガタつきを防止することができる。
【0028】
なお、揺動カム19の胴部には、さらにダブルトーションばね27が設けられる。ダブルトーションばね27を構成する線材は、揺動カム19の左右一方の胴部に巻き付けられたのちマウント突起19xの制限突起41側の側面を通って他方の胴部に巻き付けられる。ダブルトーションばね27の線材の両端部はそれぞれシャフトケース12の内壁に掛けられる。
ダブルトーションばね27は、係止球26が引き下げられた状態で自然形状となる。よって、係止球26が引き上げられマウント突起19xが操作ワイヤ21側に引き放されているときには、係止球26を引き下げ、マウント突起19xを操作ワイヤ21側にから引き寄せる向きにばね力が付与される。
【0029】
次に、図7(A),(B)を用いて、ストッパ機構15のトグル構造及びその変形態様について説明する。
図7(A)はロック解除状態のストッパ機構15を示す図、図7(B)はロック状態のストッパ機構15を示す図である。
【0030】
トグル構造は、2つのリンク軸と1つのスライダから構成されるリンク構造の一種である。トグル構造とは、このようなリンク構造において、入力によってリンク軸が入力方向に移動し、倍力構造によって出力が増大する構造のことである。
第1実施形態に係るキャスタ10では、マウントバー31が入力を受けるリンク軸、揺動カム19の回転中心Aが定点のされたリンク軸、そしてストッパバー34がスライダに相当する。なお、ストッパ板24の一端辺はシャフトケース12に位置決め支軸37で軸支されているため、ストッパバー34には位置決め支軸37を回転中心Aとした円弧H上のみをスライドするという制限が課される。
【0031】
よって、リンク部材23はストッパバー34が円弧H上に位置する態様でしか変位しない。この制限により、マウントバー31が操作ワイヤ21から離れる向きに回転しようとすると、リンク部材23はシャフト13の放射方向に向けて徐々に立ち上がる。そして、
ストッパバー34が車輪ロック歯24aに向けて移動する。
【0032】
そして、車輪ロック歯24aに車輪受歯28が嵌まり込んだときに、制限突起41が停止壁42に当接して揺動カム19の回転は停止される。ここで、制限突起41が停止壁42に近づくにつれて、回転中心A、マウントバー31及びストッパバー34が一直線上に並ぶ配置に近づき、ストッパバー34に倍力構造による大きな押力がかかる。つまり、回転中心A、マウントバー31及びストッパバー34が一直線上に並ぶ配置に近づくと、ストッパバー34がストッパ板24の車輪ロック歯24aを車輪受歯28に押し付ける力が急速に増加する。従って、操作プレート18を介した操作ワイヤ21の小さな牽引力で、大きなロック力を発生させることができる。そして、車輪ロック歯24aに車輪受歯28が嵌まり込むと、車輪14はロック状態となる。
【0033】
また、車輪14のロック状態では、図7(B)に示されるようにリンク部材23とストッパ板24とが略直角に配置される。ここで、「略直角」とは、直角+-10度以内のことをいう。つまり、リンク部材23とストッパ板24とのなす角度が80度~90度の範囲にあることをいう。この略直角は、より好ましくは、直角+-5度以内である。このとき、ストッパバー34が円弧H上のみ可動であるため、ストッパ板24からリンク部材23が受ける力は、リンク部材23の頂点からリンク部材23の重心及びシャフト13の回転中心Aに向かう。よって、シャフト13から直立したリンク部材23は、車輪14が回転しようとすることで発生する外力に対して操作ワイヤ21側に倒れることなく、ストッパ板24への押力を維持することができる。つまり、車輪14のロック状態は、操作ワイヤ21が引き上げられ、操作プレート18がマウント突起19xを押し込んで制限突起41を停止壁42に当接させている限り維持される。この結果、一度車輪14がロック状態になると、ストッパ板24がロックを解除する向きに回転しようとする力に対しては、操作ワイヤ21の牽引力を付与しなくても抗力を有する。よって、ストッパ板24の保持に余分な力を必要としないため、軽い力で操作をすることができる。
【0034】
なお、リンク部材23は、必ずしもシャフト13の放射方向に向けて揺動カム19上に完全に直立していなくてもよい。つまり、リンク部材23の立ち上がりが直角より小さい角度で車輪ロック歯24aに車輪受歯28が嵌り込む設計であっても、リンク部材23はストッパ板24から受ける反力によっては時計回りにも反時計回りにも回転せず、安定してストッパ板24をロック状態に維持することができる。また、このときでも倍力構造によって増大した押力でリンク部材23がストッパ板24を車輪受歯28に押し付けることができる。
【0035】
また、マウント突起19xは、押戻し機構であるダブルトーションばね27により、操作プレート18を押し返して操作ワイヤ21側に寄せられる力を受ける。よって、操作ワイヤ21の牽引力が消失して操作プレート18による押力が消失すると、揺動カム19がロック位置にあるマウント突起19xとともに回転して、ロックが解除される。なお、マウント突起19xをロック解除状態の位置に押し戻す押戻し機構は、弾性的に押し戻す弾性部材であればダブルトーションばね27に限定されない。例えば、押戻し機構は、一端がマウント突起19xを貫通して固定され、他端がシャフトケース12の内壁に固定されたシングルトーションばねであってもよい。また、押戻し機構は、一端をシャフトケース12の内壁に固定されて他端をマウント突起19xに当接されたコイルばねや板バネであってもよい。
【0036】
また、このような構造のストッパ機構15では、車輪14をロックする際の係止球26の変位長さつまり操作ワイヤ21の牽引距離を、図7(A),(B)のようにストッパ板24の回転距離よりも大きくなるように設計することができる。つまり、車輪ロック歯24aを車輪受歯28に嵌まり込ませるために、操作ワイヤ21はストッパバー34の変位距離よりも長い距離だけ牽引される設計にすることができる。よって、てこの原理により、より一層軽い力で操作ワイヤ21を牽引して車輪14をロックすることができる。
また、このようにストッパ機構15が極めて軽い力で作動するため、従来のようなロック動作又はロック解除動作による大きな衝突音の発生を防止することができる。
【0037】
なお、操作プレート18の操作は、操作ワイヤ21による操作に限定されない。例えば、操作プレート18をシャフトケース12の外側に突出させて足で操作プレート18を踏み込むことで揺動カム19を回転させるロット構造であってもよい。
また、揺動カム19はシャフト13に設けられてシャフト13を軸として回転する例で説明したが、揺動カム19はシャフト13に設けられなくてもよい。つまり、トグル構造を含むストッパ機構15は、シャフト13とは別個にシャフトケース12内に架橋された軸に設けられてもよい。また、図7(A),(B)ではストッパ機構15の特にトグル構造部分が水平から45°傾いた位置に描写されているが、トグル構造部分の地面に対する配置角度は特に限定されない。
【0038】
以上のように、第1実施形態によれば、キャスタ10のストッパ機構15をトグル構造で構成することで、軽い力で確実にキャスタ10のロック及びロック解除をすることができる。
また、車輪ロック歯24a及び車輪受歯28を用いることで、ロック状態のキャスタ10のガタつきを抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図8(A)は第2実施形態におけるストッパ機構15Aを示す斜視図である。
また、図8(B)は第2実施形態における変形例に係るストッパ機構15Bを示す斜視図である。
なお、第1実施形態との差異を明示するため、図8(A)及び図8(B)では、ストッパ機構15Aを構成するストッパ板24及び操作プレート18の図示を省略している。
【0040】
第2実施形態では、回転制限機構40Aとして揺動カム19Aに設けられた制限突起41Aが、図8(A)に示されるように、マウント突起19Axの左右2つの側面に設けられる。
制限突起41Aは、第1実施形態では、揺動カム19Aの回転を制限するために、シャフトケース12に設けられる停止壁42に当接されるように設けられた。
しかし、ストッパ機構15の変形は、揺動カム19Aに対するリンク部材23の変形を制限することでも停止させることができる。
【0041】
そこで、第2実施形態では、制限突起41Aをマウント突起19Axから左右方向に突出させる。制限突起41Aは、車輪14にロックがかかり、図7(A),(B)に示されるようにストッパ板24からリンク部材23が受ける力がリンク部材23の頂点からシャフト13の回転中心Aに向かう状態になったときにリンク部材23の左右の基部板32に当接するように設計される。制限突起41Aに当接されたリンク部材23は、それ以上回転しないため、軌道が円弧Hに制限されているストッパ板24も固定される。よって、揺動カム19Aのシャフト13周りの順回転も停止される。つまり、ストッパ機構15Aのトグル構造全体の変形が停止される。
【0042】
なお、揺動カム19Aでリンク部材23Aの回転を制限する構造は、図8(A)のように制限突起41Aを用いた構造に限定されない。
例えば、図8(B)に示されるように、マウント突起19Axに溝部19Byを形成して、この溝部19Byに一本の基部棒32aで構成されたリンク部材23を嵌め込んでもよい。溝部19Byに嵌め込まれたリンク部材23は、溝部19Byを左右方向に貫通するマウントバー31に揺動可能に軸支される。溝部19Byは、ストッパ板24が車輪14をロックしたときに、リンク部材23がちょうど溝部19Byの奥面19By1がリンク部材23に当接するように、形状設計される。このように溝部19Byの奥面19By1を利用してリンク部材23の回転を所定位置で停止させることで、制限突起41Aを用いずに、トグル構造の変形を所定姿勢で停止させることができる。
【0043】
なお、第2実施形態に係るキャスタ10は、上述した構成以外、第1実施形態と同様の構成及び機能を有するため、重複する説明を省略する。また、図面においても重複する構成は、図示を省略または同一の符号を付して説明を省略する。
以上のように、第2実施形態に係るキャスタ10によれば、異なる配置形状のストッパ機構15A,15Bで第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0044】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係るキャスタ10Aの斜視図である。図9では、キャスタ10Aからシャフトケース12、片方の車輪14及び車輪ベアリング16を除いて示している。
また、図10(A),(B)は、図9のキャスタ10Aの側面図である。図10(A)は、車輪14がロック解除された状態を示す。また、図10(B)は、車輪14がロックされた状態を示す。なお、図10(A),(B)では、偏心カム58、ペダル59及びロッド60の図示は省略している。
【0045】
第3実施形態に係るキャスタ10Aは、図9に示されるように、ストッパ機構15Cが複数個所において第1実施形態などと異なる。第3実施形態では、まず、操作プレート18Aが、マウント突起19Cxから分離されて揺動カム19Cに一体化されている。このような形状では、操作プレート18Aの起点がマウント突起19Bxに限定されないため、ストッパ機構15Cの設計自由度が向上している。
【0046】
また、第3実施形態では、揺動カム19Cのロックをかけるための回転向きが第1実施形態とは逆向きになる。揺動カム19Cの操作プレート18Aの下面には、コイルばね27aを係止するばね係止突起47が設けられている。コイルばね27aは、ダブルトーションばね27に代えて設けられる。コイルばね27aは、第1実施形態の上端部をばね係止突起47(図10(A),(B))に係止されるとともに下端部をシャフトケース12の壁面に支持されて、操作プレート18Aを上方へ押し上げる。また、操作プレート18Aの上面には押し下げ棒48が当接される。
【0047】
押し下げ棒48は、第1実施形態の係止球26に代えて操作プレート18Aを操作する硬質の棒体である。押し下げ棒48は、挿入筒11(図4等)を変形したプレート接続筒46を貫通してプレート接続筒46の上部に突出する。押し下げ棒48の上端には、偏心カム58の縁周側面が当接される。偏心カム58の偏心した回転中心には、ペダル59を有するロッド60が接続される。このペダル59を操作者が踏み込むと、ロッド60とともに偏心カム58が回転する。偏心カム58が回転することで、偏心カム58の縁周側面に押されて押し下げ棒48が下方に押し下げられる。なお、ロッド60の回転操作はペダル59の踏み込みに限らず、手などの操作によってもよい。
【0048】
ロック時には、図10(A),(B)に示されるように、押し下げ棒48がコイルばね27aの押上げ力に抗って操作プレート18Aを下方に押し下げる。操作プレート18を押し下げることで、揺動カム19Cが、第1実施形態とは逆向きすなわちマウント突起19Bxを操作ワイヤ21側に近づけるように回転する。そして、マウント突起19Bxが操作ワイヤ21に向けて回転した後に制限突起41がシャフトケース12に当接したときに、第1実施形態と同様にホイール39の回転中心A、マウントバー31及びストッパバー34が直線上に配置されて、ストッパ板24Xがホイール39に強く押し付けられる。
【0049】
また、第3実施形態では、第1実施形態で示した車輪ロック歯24a及び車輪受歯28がそれぞれホイール39及びストッパ板24Xに設けられていない。ストッパ板24Xには車輪ロック歯24aに代えて例えばゴム製の摩擦部材49が設けられている。第3実施形態では、この摩擦部材49がホイール39の内周曲面に強く当接されることで発生する摩擦により、ストッパ板24Xがホイール39の回転を停止させる。
【0050】
また、第3実施形態では、ストッパ板24Xの運動は、位置決め支軸37に代えて、シャフトケース12aの突出孔25(図3及び図10(A),(B)参照)により制約を受ける。つまり、突出孔25の形状を工夫することで、位置決め支軸37でストッパ板24Xの運動を規制しなくても、ストッパ板24Xの運動を規制することができる。例えば、突出孔25の形状をスリット形状にすることで、ストッパ板24Xの運動を突出孔25の周縁部で規制して、このスリット形状に沿った直進運動に制限することができる。よって、位置決め支軸37を備えない第3実施形態のストッパ機構15Cであっても、第1実施形態等と同様にトグル構造を形成することができる。
【0051】
また、第3実施形態では、運搬物(100~400)にキャスタ10Aを取り付ける治具が第1実施形態に示した挿入筒11に代えて固定プレート51である。挿入筒11は、押し下げ棒48を把持するように変形され、かつ、大径筒部11bを短くされた上述のプレート接続筒46に代えられる。プレート接続筒46は、大径筒部11bが固定プレート51に接続されて、この固定プレート51を介して運搬物に固定される。例えば、台車200、ラック300またはキャスタ付鞄400のように、その底部に挿入筒11を挿入する脚部150がなく底部が平面であるとき、固定プレート51を用いてキャスタ10Aをこの底部に固定するのが好ましい。固定プレート51は、例えば、この固定プレート51に設けられたビス孔52からビスで底部に固定する。
【0052】
なお、上述した構造以外、第3実施形態は第1実施形態と同様の構成及び機能を有するため、重複する説明を省略する。また、図面においても、重複する構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
以上のように、第3実施形態に係るキャスタ10Aによれば、トグル構造の変形態様が第1実施形態とは異なるストッパ機構15Cでも、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。また、固定プレート51を用いることで、キャスタ10Aを運搬物200,300,400の底部に直接固定することができる。
【0053】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係るキャスタ10Bの旋回止機構44A及びその周辺部材を示す斜視図である。図11では、首振り旋回がロックされている状態を示す。
また、図12は、第4実施形態に係るキャスタ10Bを歯付リング20cの高さで水平に切断した切断断面を示す部分拡大断面図である。図12では、車輪14及び車輪ベアリング16の図示を省略している。また、図12では、各構成の形状の見やすさの観点から、嵌合部材45にドットを入れている。
【0054】
第4実施形態に係るキャスタ10Bは、図11及び図12に示されるように、車輪14をロックする際に挿入筒11に対するシャフトケース12の首振り旋回を同時にロックする旋回止機構44Aを備える。
旋回止機構44Aは、例えば、挿入筒11の下端部に設けられて外周一周にかけて一定のピッチで外向きに歯が設けられた歯車形状の歯付リング20cと、歯付リング20cに嵌合して挿入筒11周りのキャスタ10Bの首振り旋回をロックする嵌合部材45と、で構成される。歯付リング20cは、例えば小径フランジ20b(図4)に代えて挿入筒11に固定される。操作ワイヤ21の係止球26は、嵌合部材45を介して間接的に操作プレート18Bに係止される。
また、操作プレート18Bは、中央部から自由端部に向けて分岐して二股部43を有する。
【0055】
嵌合部材45は、図11及び図12に示されるように、円筒状の胴体部45aの上部に歯付フランジ45bが形成された形状を有する。歯付フランジ45bの上面には歯付リング20cの歯に嵌合可能な嵌合歯45cが設けられている。また、胴体部45aから2つの腕部45dが互いに逆向きに突出している。
【0056】
それぞれの腕部45dの肩部には、胴体部45aを挟み込んだ操作プレート18Bの二股部43の先端の屈曲部が係止される。また、歯付フランジ45bの円周側面にはガイド突起45eが形成されている。このガイド突起45eは、上部シャフトケース12aから下部シャフトケース12bにかけて上下方向に沿って設けられるガイドレール61に嵌まり込んでガイドレール61に沿ってスライドする。ガイド突起45eがガイドレール61に嵌まり込むことで、シャフトケース12が旋回すると、嵌合部材45はこのシャフトケース12とともに挿入筒11及び歯付リング20cに対して回転する。
【0057】
操作ワイヤ21が牽引されると、係止球26に係止された嵌合部材45が引き上げられるとともに、腕部45dに係止された操作プレート18Bが引き上げられる。この引き上げにより、第1実施形態と同様にホイール39の車輪ロック歯24aにストッパ板24の車輪受歯28が嵌まり込み車輪14にロックがかかる。
【0058】
また、係止球26の引き上げにより、嵌合部材45が引き上げられて、歯付リング20cの歯に歯付フランジ45bの嵌合歯45cが嵌まり込む。第1実施形態で述べたとおり、シャフトケース12は首振り用ベアリング17を介して挿入筒11に軸支されているため、キャスタ10Bは、挿入筒11の周りを首振り旋回する。しかし、挿入筒11に固定された歯付リング20cに嵌合部材45が固定されると、ガイド突起45e及びガイドレール61によりシャフト13が挿入筒11に固定されることになる。なお、嵌合部材45とシャフトケース12とが上述のように連動して挿入筒11の周りを旋回する構造を有すれば、歯付リング20c及び嵌合部材45を用いてキャスタ10Bの首振り旋回を停止させることができる。よって、嵌合部材45とシャフトケース12との係合関係は、上述のガイド突起45e及びガイドレール61の例に限定されない。
このように、係止球26が引き上げられると、車輪14のロックとともに、挿入筒11に対するキャスタ10Bの首振り旋回にロックがかかる。
【0059】
なお、操作ワイヤ21の牽引を解除すると、引き上げられていた嵌合部材45が、操作プレート18Bに付与されるダブルトーションばね27(図10(A),(B))の牽引力及び自重で降下して、車輪14のロックが解除されるとともに、歯付リング20cと嵌合歯45cとの嵌合が解除され首振り旋回のロックも解除される。
【0060】
また、図13(A),(B)は、第4実施形態の変形例に係るキャスタ10Cを示す斜視図である。
変形例に係るキャスタ10Cの旋回止機構44Bでは、操作プレート18Cが嵌合部材45の機能も有する。
操作プレート18Cは、第1実施形態の操作プレート18の板面を山折り及び谷折りに2度直角に折り曲げた階段形状を有する。便宜上、このように折り曲げられて形成された面のうち、係止球26が係止される面を係止面18Cとよぶ。
また、操作プレート18Cの係止面18Cには歯付リング20cに向けて屈曲して突出する例えば2つの突起片18xが形成される。この突起片18xは、歯付リング20cに嵌合可能な形状を有する。
【0061】
このような構成において、図13(A)のように車輪14のロック解除の状態では、係止球26が引き上げられてないため、操作プレート18Cの係止面18Cはダブルトーションばね27(図10(A),(B))の牽引力及び自重で傾いている。このとき、突起片18xと歯付リング20cは噛み合っていない。
一方、図13(B)のように車輪14のロックの状態では、係止球26に引き上げられて係止面18Cが歯付リング20cに当接して突起片18xが歯付リング20cに嵌まり込む。
このように、変形例に係る旋回止機構44Bでは、操作プレート18Cが、第1実施形態の操作プレート18の機能に加え、嵌合部材45の機能も有する。
【0062】
なお、首振り旋回をロックする機構が設けられたこと以外、第4実施形態は第1実施形態と同様の構成及び機能を有するため、重複する説明を省略する。また、図面においても、重複する構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0063】
以上のように、第4実施形態に係るキャスタ10B,10Cによれば、第1実施形態の効果に加えて、車輪14のロックと同時にキャスタ10B,10Cの首振り旋回もロックすることができる。
【0064】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態に係るキャスタ10Dの斜視図である。図14では、内部構造を明示するため、片方の車輪14、車輪ベアリング16及びシャフトケース12を除いて示している。また、図14では、車輪14の回転及び首振り旋回がともにロックされている状態を示している。
また、図15は、第5実施形態に係るキャスタ10Dの旋回止機構44C及びその周辺部材を示す斜視図である。
【0065】
第5実施形態に係るキャスタ10Dは、図14及び図15に示されるように、第4実施形態で示した旋回止機構44を変形した旋回止機構44Cを備える。旋回止機構44Cは、旋回止バー53により、上部シャフトケース12aに軸支される旋回止片54を備える。旋回止片54は、図15に示されるように、板ばね55と、旋回止揺動子56と、が重ねあわされて、旋回止バー53にいずれも揺動可能に軸支される。
【0066】
ここで、図16は、旋回止バー53に軸支された板ばね55を揺動カム19D側からみた斜視図である。板ばね55は、図16に示されるように、例えば概ね長方形に旋盤加工された一枚の金属製又は樹脂製の平板が折曲加工されたものである。平板の4辺のうち後側の縁辺には、前後方向に沿って2つのスリットが入れられることで、左右2つの復元板55aと、中央の押し込み板55cとが形成される。また、平板の4辺のうち前側の縁辺には、前後方向に沿って、左右2つの解除ピン55dと、中央の押上板55bと、が形成される。左右2つの解除ピン55dは、上方に向けて45°程度の角度で根元から折り曲げられる。また、平板の4辺のうち左右の2辺には、それぞれパンチ孔を有する係止耳55eが設けられている。この係止耳55eは解除ピン55dの曲げ方向とは反対側すなわち下方に向けて折り曲げられる。係止耳55eが折り曲げられることで対向した左右のパンチ孔に一本の旋回止バー53が挿入されることで、板ばね55は旋回止バー53に軸支される。
【0067】
板ばね55は、首振り旋回のロック時及びロック解除時のそれぞれにおいて旋回止揺動子56を揺動させる機能を有する。板ばね55は、ストッパ板24Yに設けられた操作突起57によってばね変形しながら揺動する。操作突起57は、位置決め支軸37による軸支部位に設けられ、板ばね55の押し込み板55cに当接される。解除ピン55dの先端は上部シャフトカバー12aの内面に当接されている。板ばね55の押し込み板55cが操作突起57に押されてばね変形しながら揺動しようとすると、解除ピン55dは上部シャフトカバー12aの内面に押し付けられてばね変形する。この解除ピン55dのばね変形により、板ばね55は、上部シャフトカバー12aの内面から弾性的な抗力を受ける。解除ピン55dは、走行時の振動等で不意にロックがかからないように、常時、シャフトカバー12aに押し付けられる。
【0068】
また、旋回止揺動子56は、板ばね55とほぼ同様の形状をしている。ただし、左右の解除ピン55d及び押し込み板55cに重なる箇所には板は設けられていない。つまり、旋回止揺動子56と板ばね55とを重ね合わせた旋回止片54を旋回止揺動子56の上面側から見ると、図14及び図15に示されるように、左右の解除ピン55d及び押し込み板55cが旋回止揺動子56から露出する。旋回止揺動子56は、板ばね55より厚く剛性の高い、例えば鋼鉄製の板で構成される。旋回止揺動子56のうち板ばね55の押上板55bに重なる部位は、ロック操作時に押上板55bに押し上げられて歯付リング20cの歯と歯の間に嵌まり込むロックピン56aとなる。ロックピン56aが、歯付リング20cに嵌まり込むことで、旋回止バー53を介して旋回止片54を軸支する上部シャフトケース12aの、歯付リング20cに対する旋回が停止される。
【0069】
ここで、図17(A),(B)は、図14のキャスタ10Dの側面図である。図17(A)は、車輪14がロック解除された状態を示す。また、図17(B)は、車輪14がロックされた状態を示す。
上述したストッパ機構15Dの構成により、図17(A),(B)に示されるように、ストッパ板24Yが車輪ロック歯24aに嵌まり込む向きに回転すると、操作突起57も回転して、押し込み板55cが下方に押し込まれる。押し込み板55cが下方に押し込まれた板ばね55は、旋回止バー53の周りに回転する。ここで、解除ピン55dは、解除ピン55dの剛性を下げるため、押し込み板55cなど板ばね55の他の部位よりも細く長い形状に設計される。よって、上述のように解除ピン55が上部シャフトカバー12aから抗力を受けても、板ばね55は全体として押し込み板55cが押し込まれる方向に回転する。
【0070】
つまり、板ばね55は、押し込み板55cが押し込まれると、解除ピン55dをより大きく変形させることで板ばね55全体としては回転し、旋回止揺動子56を回転させる。そして、板ばね55は、旋回止揺動子56のロックピン56aの先端を上方に押し上げて、歯付リング20cの歯に嵌まり込ませる。
よって、第5実施形態においても、車輪14をロックすると同時にキャスタ10Dの旋回もロックされることになる。
【0071】
なお、板ばね55にロックピン56aが押し上げられた場合でも、ロックピン56aの先端が歯付リング20cの歯にぶつかってしまい、歯と歯の間に嵌り込まないことがある。このとき、仮にストッパ板24Yの操作突起57が板ばね55を介さずに、旋回止揺動子56に直接当接されているとすると、旋回止揺動子56がストッパ板24Yの回転を阻害してしまうことになる。つまり、ロックピン56aの先端が歯付リング20cの歯と歯の間に嵌り込まなかった場合、ストッパ板24Yの回転が不十分になり、車輪14のロックがかからなくなるおそれがある。しかし、第5実施形態では、操作突起57が板ばね55に当接されているため、ロックピン56aの先端が歯付リング20cの歯にぶつかり、歯と歯の間に嵌り込なかった場合にも、板ばね55が変形することで、車輪14のロックに十分な量だけストッパ板24Yを回転させることができる。つまり、板ばね55はロックピン56aが歯付リング20cにぶつかることで発生する旋回止揺動子56の回転不足を吸収して、確実に車輪14をロックする回転差の吸収機能を有する。
【0072】
また、板ばね55を用いてロックピン56aの先端に上向きの弾性力を付与することで、首振り旋回によりロックピン56aが歯付リング20cと噛み合わない位置から噛み合う位置に移動した時に、ロックピン56aの先端が歯と歯の間にこの弾性力で嵌り込む。
【0073】
なお、ロック解除時にはシャフトカバー12aに押し付けられて変形していた解除ピン55dの復元力により、板ばね55は押上板55bが歯付リング20cから外れる向きに逆回転しようとする。このとき、板ばね55の復元板55aに押されて、旋回止揺動子56も板ばね55と一体となって回転する。よって、旋回止片54は、ロックピン56aが歯付リング20cから外れる向きに逆回転して、所定のロック解除位置に戻る。
【0074】
なお、解除ピン55dの機能は、上述した解除ピン55dの形態以外でも発揮することができる。例えば、板ばね55とは別部材のダブルトーションばねや押しばねを用いてもよい。また、ダブルトーションばねや押しばねを組み合わせることで、板ばね55を代用することもできる。
【0075】
なお、図14及び図15に示されるように、車輪ロック歯24aはストッパ板24Yの一面の全域ではなく、一部にのみ設けられてもよい。
また、操作ワイヤ21の牽引距離を短くしたい場合、図14に示されるように、揺動カム19Dに設けられたマウント突起19Cxをできるだけ高くすることが望ましい。マウント突起19Cxを高くすることで、操作ワイヤ21の少ない牽引距離でトグル構造を大きく変形することができる。例えば、マウント突起19Cxの高さは、リンク部材23の長手方向の長さの2倍以上、より好ましくは3倍以上である。操作ワイヤ21の牽引距離を短くすることで、操作ワイヤ21の操作量を小さくすることができるため、操作ワイヤ21を操作する操作部(不図示)を小型化することができる。
【0076】
なお、上述の構成以外、第5実施形態は第4実施形態等と同様の構成及び機能を有するため、重複する説明を省略する。また、図面においても、重複する構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
以上のように、第5実施形態に係るキャスタ10Dによれば、第4実施形態とは異なる構成で第4実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0079】
例えば、キャスターケースで治具とシャフトとを首振り旋回可能に接続した例で説明したが、治具とシャフトとはキャスターケースを用いない方法で接続されてもよい。
また、実施形態では揺動カムがシャフト周りに揺動する例で説明したが、揺動カムの揺動中心は、シャフトに限定されず、トグル構造を変形可能に構成できれば自由に設計できる。
【0080】
また、実施形態では操作機構を操作プレートの例で説明したが、揺動カムを揺動させることができれば、その形態は特に限定されない。特に、揺動カムが操作ワイヤなど外部からの操作手段に近い位置に配置される場合、揺動カムから操作プレートを延ばさずに揺動カムを操作することができる。例えば、揺動カムに設けられた小突起を操作機構として機能させてもよい。また、マウント突起に、操作ワイヤを貫通させて接続して、操作ワイヤで直接マウント突起を牽引操作してもよい。さらには、突起を設けずに、揺動カムの胴部に係止球を係止する溝を設けてこの胴部に直接操作ワイヤを接続して揺動カムを操作してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10(10A~10D)…キャスタ、11(11a~11e)…挿入筒(治具)、11a…ネジ孔、11b…大径筒部、11c…中径筒部、11d…小径筒部、11e…内空間、12(12a,12b)…シャフトケース(上部シャフトケース,下部シャフトケース)、13…シャフト、14…車輪、15(15A~15D)…ストッパ機構、16…車輪ベアリング、17…首振り用ベアリング、18(18A~18C)…操作プレート(操作機構)、18C(18C)…係止面、18x(18)…突起片、19(19A~19D)…揺動カム、19x(19Ax~19Cx)…マウント突起、19By…溝部、19By…溝部の奥面、20a…大径フランジ、20b…小径フランジ、20c…歯付リング、21…操作ワイヤ、21a…アウタチューブ、21b…固定ワッシャ、23(23A)…リンク部材、24(24X,24Y)…ストッパ板(ストッパ部材)、24a…車輪ロック歯、24b…ブラケット、25…突出孔、26…係止球(係止体)、27(27a)…弾性部材(ダブルトーションばね,コイルばね)、28…車輪受歯、29…挿通孔、29a…スリット孔、31…マウントバー、32…基部板、32a…基部棒、33…結合プレート、34…ストッパバー、37…位置決め支軸、39…ホイール、40(40A)…回転制限機構、41(41A)…制限突起、42…停止壁、43…二股部、44(44A~44C)…旋回止機構、45(45a~45d)…嵌合部材、45a…胴体部、45b…歯付フランジ、45c…嵌合歯、45d…腕部、45e…ガイド突起、46…プレート接続筒、47…ばね係止突起、48…押し下げ棒、49…摩擦部材、51…固定プレート、52…ビス孔、53…旋回止バー、54…旋回止片、55(55a~55e)…板ばね、55a…復元板、55b…押上板、55c…押し込み板、55d…解除ピン、55e…係止耳、56…旋回止揺動子、56a…ロックピン、57…操作突起、58…偏心カム、59…ペダル、60…、ロッド、61…ガイドレール、100…寝台、150…脚部、200…台車、300…ラック、400…キャスタ付鞄、A…回転中心、H…円弧。
【要約】
【課題】軽い力で確実にロック及びロック解除をすることができるキャスタ、台車及び寝台を提供する。
【解決手段】 キャスタ10は、運搬物に固定される治具11と、回転中心にシャフト13が接続された車輪14と、車輪14及び治具11をそれぞれ軸支して車輪14と治具11とを接続するシャフトケース12と、車輪14のホイール39に当接可能なストッパ部材24と、ストッパ部材24を含むトグル構造を有するものであって、シャフトケース12内に設けられて操作機構18に押されて揺動する揺動カム19と、揺動カム19に一端が軸支されるリンク部材23と、を備えるストッパ機構と、トグル構造を変形させることでストッパ部材24をホイール39に当接させることによって車輪14の回転を止める操作機構18と、リンク部材23がシャフト13から放射方向に向かって略直立したときに揺動カム19の回転を制限する回転制限機構40と、を備える。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図13
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図17