(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】伸縮脚装置および梯子体
(51)【国際特許分類】
E06C 7/06 20060101AFI20240329BHJP
E06C 1/12 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E06C7/06
E06C1/12
(21)【出願番号】P 2023111841
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2022159723の分割
【原出願日】2022-10-03
【審査請求日】2024-01-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】杉木 道明
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-090144(JP,A)
【文献】特開2022-142036(JP,A)
【文献】特開2021-004455(JP,A)
【文献】特開2017-203309(JP,A)
【文献】特開2019-060080(JP,A)
【文献】登録実用新案第3127879(JP,U)
【文献】実開昭62-131599(JP,U)
【文献】特開2005-061033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 7/00-7/50
E06C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右2本の支柱間に複数本の踏桟が段状に渡し止められている梯子体において、各支柱にスライド自在に連結されて梯子体の脚を構成している左右2本の伸縮脚部材と、各伸縮脚部材を各支柱に対して任意のスライド位置でロックしうる左右2つのロック機構と、左右のロック機構を遠隔操作するための遠隔操作機構とを備えており、各ロック機構が、各伸縮脚部材にその長さ方向に沿って形成されている被係止部と、梯子体の下部に設けられかつ各伸縮脚部材の被係止部と係合するロック状態および被係止部との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能な係止部材とを有している、梯子体の伸縮脚装置であって、
前記遠隔操作機構が、各支柱に沿って設けられかつ
所定方向に
動作可能な左右2つの
伝動部材と、梯子体および/または左右の
伝動部材における左右のロック機構の係止部材よりも上方位置に設けられかつ所定の操作により
伝動部材を
動作させうる操作部と、各
伝動部材の
動作を各ロック機構の係止部材に伝達して係止部材をロック解除状態に切り替える下部伝達部とを有して
おり、
前記操作部の少なくとも一部が、梯子体における左右のロック機構の係止部材よりも上方位置において、各支柱を把持した状態で手指により操作可能に設けられていることを特徴とする、梯子体の伸縮脚装置。
【請求項2】
前記操作部の少なくとも一部が、各支柱の背部側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の梯子体の伸縮脚装置。
【請求項3】
前記操作部の少なくとも一部の表面に、各支柱を把持した状態で操作する際に手指に沿いうるように凹状に湾曲した湾曲部が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の梯子体の伸縮脚装置。
【請求項4】
前記操作部の少なくとも一部が、水平軸を中心として揺動自在に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の梯子体の伸縮脚装置。
【請求項5】
左右2本の支柱間に複数本の踏桟が段状に渡し止められている梯子体であって、請求項1~4のいずれか1つの伸縮脚装置を備えていることを特徴とする、梯子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右2本の支柱間に複数の踏桟が段状に渡し止められている梯子体に設けられる伸縮脚装置、および、同装置を備えた梯子体に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子体を備えた梯子、専用脚立、梯子兼用脚立、足場台等の高所作業用構造体において、梯子体に伸縮脚装置を設けたものが知られている(例えば下記の特許文献1参照)。
この伸縮脚装置は、梯子体の脚を構成するように各支柱にスライド自在に連結されている左右2つの伸縮脚部材と、各伸縮脚部材を各支柱に対して任意のスライド位置でロックする左右2つのロック機構とを備えているものである。
各ロック機構は、各伸縮脚部材にその長さ方向に沿って形成されているラック等の被係止部と、梯子体の下部に設けられかつ各伸縮脚部材の被係止部と係合するロック状態および被係止部との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能な係止部材とを有している。係止部材は、通常、支柱の下端部付近に揺動可能に設けられており、被係止部と係合させられる係止部を有している。また、係止部材は、スプリング等の付勢部材により、係止部が被係止部と係合させられる方向に向かって付勢されている。さらに、係止部材には、付勢部材の付勢力に抗して係止部材をその係止部が被係止部から外れる方向に揺動させる操作レバー部が設けられている。
【0003】
また、梯子体の伸縮脚装置として、ロック機構を遠隔操作するための遠隔操作機構を備えたものも知られている。
例えば、下記の特許文献2に記載された梯子体の伸縮脚装置の場合、遠隔操作機構は、下から数えて所要の複数段目に位置する第1上部踏桟の背面に所定の動作を行いうるように設けられた上部操作部材と、各支柱に沿って設けられかつ上部操作部材と各係止部材とを連動させるための左右2つの伝動部材とを備えており、上部操作部材を操作して所定の動作を行わせることにより、伝動部材を介して係止部材がロック解除位置に切り替えられるようになっている。伝動部材は、支柱の長さ方向に沿ってスライド自在となされかつ上部操作部材の動作が伝達されることにより下降する板状の昇降バーによって構成されている。昇降バーの下端部には、上部操作部材の動作に伴って昇降バーが下降させられた際に係止部材の所要箇所を押圧して被係止部と係止部との係合が解除される方向に回動させる押圧部材が取り付けられている。
上記の遠隔操作機構を備えた伸縮脚装置によれば、例えば、梯子体を立てた状態で、立ったままの楽な姿勢で、伸縮脚部材の伸縮操作を簡単に行いうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-193780号公報
【文献】特開2019-167693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、伸縮脚部材の伸縮作業を楽な姿勢で簡単に行うための遠隔操作機構を備えた梯子体の伸縮脚装置として、支柱を手で把持したままの状態でロック解除操作を行うことができる利便性に優れたものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
なお、この発明を特定するに当たり、梯子体において作業者が昇降を行う側を「前」側といい、これと反対側を後側または「背」側(または「後」側)といい、「左右」は前側から見た場合の左右をいうものとする。
また、この発明を特定するに当たり、「梯子体」には、梯子、専用脚立、梯子兼用脚立、および足場台のうちいずれかの一部または全体を構成するものが含まれることとする。
【0008】
1)左右2本の支柱間に複数本の踏桟が段状に渡し止められている梯子体において、各支柱にスライド自在に連結されて梯子体の脚を構成している左右2本の伸縮脚部材と、各伸縮脚部材を各支柱に対して任意のスライド位置でロックしうる左右2つのロック機構と、左右のロック機構を遠隔操作するための遠隔操作機構とを備えており、各ロック機構が、各伸縮脚部材にその長さ方向に沿って形成されている被係止部と、梯子体の下部に設けられかつ各伸縮脚部材の被係止部と係合するロック状態および被係止部との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能な係止部材とを有している、梯子体の伸縮脚装置であって、
前記遠隔操作機構が、各支柱に沿って設けられかつ所定方向に動作可能な左右2つの伝動部材と、梯子体および/または左右の伝動部材における左右のロック機構の係止部材よりも上方位置に設けられかつ所定の操作により伝動部材を動作させうる操作部と、各伝動部材の動作を各ロック機構の係止部材に伝達して係止部材をロック解除状態に切り替える下部伝達部とを有しており、
前記操作部の少なくとも一部が、梯子体における左右のロック機構の係止部材よりも上方位置において、各支柱を把持した状態で手指により操作可能に設けられていることを特徴とする、梯子体の伸縮脚装置。
【0009】
2)前記操作部の少なくとも一部が、各支柱の背部側に配置されていることを特徴とする、前記1)の梯子体の伸縮脚装置。
【0010】
3)前記操作部の少なくとも一部の表面に、各支柱を把持した状態で操作する際に手指に沿いうるように凹状に湾曲した湾曲部が形成されていることを特徴とする、前記1)または2)の梯子体の伸縮脚装置。
【0011】
4)前記操作部の少なくとも一部が、水平軸を中心として揺動自在に設けられていることを特徴とする、前記1)~3)のいずれか1つの梯子体の伸縮脚装置。
【0012】
5)左右2本の支柱間に複数本の踏桟が段状に渡し止められている梯子体であって、前記1)~4)のいずれか1つの伸縮脚装置を備えていることを特徴とする、梯子体。
【発明の効果】
【0013】
この発明による梯子体の伸縮脚装置または梯子体によれば、支柱を手で把持したままの状態で操作部の少なくとも一部を手指で操作することにより、ロック機構の係止部材のロック解除を行うことができるので、例えばロック解除時またはロック解除後に梯子体を持ち上げたり移動させたりする際に、手を持ち替える必要がなく、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明による第1の
参考実施形態の伸縮脚装置を備えた梯子兼用脚立を示すものであって、その一方の梯子体の一部を前側から見た斜視図である。
【
図2】同梯子体の一部を背側から見た斜視図である。
【
図3】伸縮脚装置の係止部材がロック状態となされた同梯子体の一部を示すものであって、(a)は垂直断面図、(b)は正面図である。図中、二点鎖線の円(P)で囲まれた部分は、二点鎖線の円(p)で囲まれた部分を拡大して示したものであり、二点鎖線の円(Q)で囲まれた部分は、二点鎖線の円(q)で囲まれた部分を拡大して示したものである。
【
図4】伸縮脚装置の係止部材がロック解除状態となされた同梯子体の一部を示すものであって、(a)は垂直断面図、(b)は正面図である。図中、二点鎖線の円(R)で囲まれた部分は、二点鎖線の円(r)で囲まれた部分を拡大して示したものであり、二点鎖線の円(S)で囲まれた部分は、二点鎖線の円(s)で囲まれた部分を拡大して示したものである。
【
図5】伸縮脚装置の下部を後側から見た分解斜視図である。
【
図6】a)は伸縮脚装置の回転部材および第1下部伝達部材を分解して示す斜視図であり、(b)は両部材を連結した状態の斜視図である。
【
図7】伸縮脚装置の下部を示すものであって、(a)は係止部材がロック状態となされた際の水平断面図、(b)は同背面図であり、また、(c)は係止部材がロック解除状態となされた際の水平断面図、(d)は同背面図である。
【
図8】上部踏桟および操作部材を分解して示す斜視図である。
【
図9】(a)は伸縮脚装置の回転部材、第1上部伝達部材、第2上部伝達部材、および上部保持部材を示す斜視図であり、(b)はこれらの部材を分解して示す斜視図である。
【
図10】伸縮脚装置の上部構造を示す垂直横断面図であって、(a)は操作部材がロック解除非操作位置にある状態を示し、(b)は操作部材がロック解除操作位置にある状態を示し、(c)は梯子体が上下反転させられたときの状態を示している。
【
図11】この発明による
実施形態の伸縮脚装置を示すものであって、(a)同伸縮脚装置の上部構造を示す背面図であり、(b)は同装置の操作部材に備えられた端部操作部を手指で操作する状態を示す斜視図である。
【
図12】この発明による第
2の
参考実施形態の伸縮脚装置の上部構造を示す斜視図である。
【
図13】この発明による第
3の
参考実施形態の伸縮脚装置の上部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、
図1~
図13を参照して、この発明の
参考実施形態および実施形態を説明する。
以下の各実施形態では、この発明による伸縮脚装置および梯子体を梯子兼用脚立に適用した態様を示している。
なお、以下の説明において、
図3(a)、
図4(a)の各右側を「前」、同左側を「背」または「後」といい、また、「左右」は前から見た場合の左右(例えば
図3(b),
図4(b)の各左右)をいうものとする。
【0016】
<第1の
参考実施形態>
図1~
図10には、この発明の第1の
参考実施形態に係る伸縮脚装置および梯子体が示されている。
図1~
図4によって一部の構成を示したように、梯子兼用脚立(1)は、前後2つの梯子体(2)の上端部どうしがヒンジ金具(図示略)により開閉自在に連結されてなる。また、梯子兼用脚立(1)は、一方の梯子体(2)を上下反転するように回動させることによって、梯子としても使用できるようになっている。
なお、2つの梯子体(2)は、前後対向状に配置されている点を除いて実質的に同形同大のものであるので、以下では、一方の梯子体(2)のみについて、図面に基づいて説明を行うこととする。また、梯子体(2)は、その左右幅中心線を通る面を対称面として左右対称形であるので、各図では梯子体(2)の右部のみを表しており、梯子体(2)の左部については図示を省略した。
【0017】
梯子体(2)は、左右2本の支柱(3)と、両支柱(3)間に上下方向に間隔をおいて段状に渡し止められた複数本(例えば5本)の踏桟(4A)(4B)(4C)とを備えている。
最上段の踏桟(図示略)は、脚立として使用する際、天板を構成する。
2つの梯子体(2)における左支柱(3)の上部どうしの間および右支柱(3)の上部どうしの間には、それぞれ開き止め金具(図示略)が渡し止められている。
梯子体(2)には、この発明による伸縮脚装置(5)が設けられている。
【0018】
梯子体(2)の左右各支柱(3)は、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)よりなる。また、図示の支柱(3)は、左右方向内方に開口した略コ字形の横断面を有する中空状のものとなされている。
各踏桟(4A)(4B)(4C)も、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)よりなる。また、図示の踏桟(4A)(4B)(4C)は、それぞれ略四角形の横断面を有する中空状のものとなされている。なお、図示は省略したが、各踏桟(4A)(4B)(4C)の上面(踏面)には、左右長さ方向に沿ってのびる複数の滑り止め用凸条部および凹溝部が前後幅方向に交互に形成されている。
最下段の踏桟(4A)および下から2段目の踏桟(4B)の左右各端部は、それぞれ前後1対のブラケット(401)(402)を介して、左右各支柱(3)に取り付けられている。下から3段目の踏桟(上部踏桟)(4C)の左右各端部は、左右各支柱(3)の内部に差し込まれて、例えばリベット(403)により、支柱(3)の前後壁部に直接取り付けられている。
なお、梯子体(2)を構成する支柱(3)および踏桟(4A)(4B)(4C)の形状や取付構造等は、上記に限定されず、適宜変更可能である。
【0019】
梯子体(2)に設けられた伸縮脚装置(5)は、各支柱(3)にスライド自在に連結されて梯子体(2)の脚を構成している左右2本の伸縮脚部材(6)と、各伸縮脚部材(6)を各支柱(3)に対して任意のスライド位置でロックしうる左右2つのロック機構(7)と、左右のロック機構(7)を遠隔操作するための遠隔操作機構(8)とを備えている。
【0020】
伸縮脚部材(6)は、支柱(3)内にその下端からスライド自在に挿入されている。伸縮脚部材(6)の反挿入側の端部には、接地部(61)が設けられている。
伸縮脚部材(6)は、通常、金属形材(好適には、アルミニウム合金形材)により構成されている。
また、
図7に示すように、この実施形態の伸縮脚部材(6)は、略方形の横断面を有している。伸縮脚部材(6)の前後壁部は、互いに相手方に向かって突出するように略U形に湾曲させられている。伸縮脚部材(6)の左右方向外側壁部の前後縁にはスライド案内用突条部(63)が延長状に形成されており、これらの突条部(63)が各支柱(3)における前後壁部内面の左右方向外側縁に形成された垂直凹溝(31)にスライド自在に嵌め込まれている。伸縮脚部材(6)の左右方向内側壁部には、左右方向内方に開口した内部拡大溝(64)が形成されている。
伸縮脚部材(6)の上端部には、伸縮脚部材(6)が支柱(3)から抜け落ちるのを防止するための抜け止め部(62)が設けられている。抜け止め部(62)は、伸縮脚部材(6)の上端部に嵌合固定された抜け止め用キャップ(62)よりなる。抜け止め用キャップ(62)は、左右方向内方に突出した内方凸部(621)を有している。この内方凸部(621)が、後述するカバー部材(404)の上端縁と当接することによって、伸縮脚部材(6)が支柱(3)から抜け落ちるのが防止される。
なお、伸縮脚部材は、上記のように中空状の支柱にスライド自在に挿入されたものとする他、支柱の外側(例えば左右方向外側)にスライド自在に連結されたものであってもよい。
【0021】
ロック機構(7)は、
図3~5,7に詳しく示すよう、各伸縮脚部材(6)にその長さ方向に沿って形成されている被係止部(71)と、梯子体(2)の下部に設けられかつ各伸縮脚部材(6)の被係止部(71)と係合するロック状態および被係止部(71)との係合が解除されるロック解除状態の間で切り替え可能な係止部材(72)とを有している。また、ロック機構(7)は、係止部材(72)をロック状態が保持されるように所定方向に向かって付勢する付勢部材(73)を有している。
被係止部(71)は、例えば、各伸縮脚部材(6)の左右方向内側面に設けられかつ伸縮脚部材(6)の長さ方向に並んだ多数の歯(711)を有するラック(71)によって構成することができる。
係止部材(72)は、梯子体(2)における各支柱(3)の下端部付近、より詳細には、最下段の踏桟(4A)の左右各端部を支柱(3)に取り付けるための前後ブラケット(401)に前後方向にのびる揺動軸(720)を中心として揺動自在に取り付けられている。
係止部(721)は、揺動軸(720)が挿通されている中心部(723)から左右方向外方にのびており、その先端部分に、ラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる歯(721a)が形成されている。
付勢部材(73)は、係止部材(72)をその係止部(721)の歯(721a)がラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる方向(
図7(b)(d)の反時計回り方向)に向かって付勢するスプリング(73)よりなる。
また、係止部材(72)には、中心部(723)から左右方向内方にのびた操作レバー部(722)が設けられている。この操作レバー部(722)に対して上向きの操作力を加えることにより、係止部材(72)が、スプリング(73)のばね弾性力(付勢力)に抗して、係止部(721)の歯(721a)がラック(71)の歯(711)から外れる方向(D)(
図7(b)(d)の時計回り方向)に揺動させられるようになっている。
つまり、係止部材(72)は、所定方向に揺動させられることによって、係止部(721)の歯(721a)がラック(71)の歯(711)と係合するロック状態、および、係止部(721)の歯(721a)とラック(71)の歯(711)との係合が外れるロック解除状態の間で、切り替え可能となされている。
スプリング(73)は、係止部材(72)の操作レバー部(722)上面と最下段の踏桟(4A)の下面との間に、上下方向に伸縮自在に介在させられている。係止部材(72)には、操作レバー部(722)上面の長さ中間位置から上方にのびるスプリング保持部(724)が形成されており、同スプリング保持部(724)と中心部(723)との間に、スプリング(73)の下端部が挿入されて保持されている。
各支柱(3)の下端部には、横断面略コ字形をした金属製のカバー部材(404)が、各支柱(3)の開口を覆うように嵌め被せられている。前後のブラケット(401)は、このカバー部材(404)の前後壁部の上から、支柱(3)の前後壁部にリベット(405)によって取り付けられている。カバー部材(404)には、その上部に、後述する第1下部伝達部材(110)を所定の取付位置に配置するための上部連通窓(404a)が形成されているとともに、その下部に、ラック(71)の一部の歯(711)を露出させるための下部連通窓(404b)が形成されている。係止部材(72)の係止部(721)の歯(721a)は、下部連通窓(404b)を通じて、ラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる。
なお、ロック機構は、図示の態様には限定されず、適宜変更可能である。例えば、係止部材は、図示のように最下段の踏桟(4A)の下方に設ける他、同踏桟(4A)の内部に組み込むか、あるいは同踏桟(4A)の上方に設けてもよい。
【0022】
この発明による第1の参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)は、以下の構成よりなる遠隔操作機構(8)を備えている点に特徴を有している。
すなわち、遠隔操作機構(8)は、各支柱(3)に沿って設けられかつ周方向に回転可能な左右2つの回転部材(9)と、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)よりも上方位置に設けられかつ所定の操作により回転部材(9)を回転させうる操作部(10)と、各回転部材(9)の回転動作を各ロック機構(7)の係止部材(72)に伝達して係止部材(72)をロック解除状態に切り替える下部伝達部(11)とを有している。
操作部(10)は、各回転部材(9)に対応して少なくとも1つ設けられていれば足りるが、複数の高さ位置(例えば、回転部材(9)の上部および長さ中間部に対応する2つの高さ位置)のそれぞれに操作部(10)が設けられていてもよい。
また、この参考実施形態の操作部(10)は、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)よりも上方位置に設けられかつ操作力が加えられることにより所定方向に動作可能な操作部材(10)よりなる。これに伴い、遠隔操作機構(8)には、さらに、操作部材(10)の動作を回転部材(9)に伝達して回転部材(9)を回転させる上部伝達部(12)が設けられている。
但し、操作部は、各回転部材(9)の上部および/または長さ中間部に同部分と一体的に設けられていてもよく、その場合、上部伝達部は省略可能である。
【0023】
回転部材(9)は、梯子体(2)の上部に設けられた操作部(10)の動作を、梯子体(2)の下部に設けられたロック機構(7)の係止部材(72)に伝達するためのものであって、支柱(3)の長さ方向に沿ってのびる長尺材よりなる。より詳細には、回転部材(9)は、例えば、金属や合成樹脂等よりなる棒材または筒材によって構成することができる。回転部材(9)を棒材や筒材によって構成した場合、支柱(3)の開口部の幅に対する太さ(外径)を小さくできるため、例えば、支柱(3)の内部に収容された伸縮脚部材(6)の上端部に抜け止め用キャップ(62)を取り付け易くなり、組立性が向上する。
回転部材(9)の長さは、上記機能を奏する範囲内で適宜に設定すればよい。また、回転部材(9)の太さ(外径)も、特に限定されないが、軽量化を考慮すると、回転動作による伝達機能を確保できる範囲内で細く(小さく)する方が好ましいと言える。
図示の回転部材(9)は、支柱(3)の開口部付近、より詳細には、支柱(3)の後壁部の左右方向内側縁に近接した位置に配置されている。但し、回転部材(9)の配置は、上記に限定されず、例えば支柱(3)の内部に入り込んで配置されることもありうる。
回転部材(9)は、所定の保持手段によって、周方向に回転可能に保持されるが、保持手段については後述する。
【0024】
操作部(10)は、作業者が、ロック機構(7)の係止部材(72)の切り替え操作を、係止部材(72)よりも上方の遠隔位置で行うためのものである。
この
参考実施形態では、操作部(10)を構成する操作部材(10)は、梯子体(2)の下から数えて3段目に位置する踏桟(上部踏桟)(4C)の背部側に設けられている。なお、操作部材(10)は、同踏桟(4C)の下部側に設けられてもよく、あるいは、同踏桟(4C)の背部側および下部側にまたがって設けられていてもよい(後述する第3,第4の実施形態および
図12,
図13参照)。また、操作部材(10)は、下から数えて3段目に位置する踏桟(上部踏桟)(4C)の背部側および/または下部側に設けられる他、梯子体のサイズや使用態様等に応じて、下から2段目の踏桟(4B)や、下から4段目以上の踏桟(図示略)の背部側および/または下部側に設けられてもよい。
【0025】
好ましい態様では、操作部(10)は、左右のロック機構(7)を個別に遠隔操作できるように構成されている。また、より好ましい態様では、操作部(10)は、左右のロック機構(7)を個別に遠隔操作できると共に、両ロック機構(7)を同時に遠隔操作できるように構成されている。
後者の態様の一例として、この
参考実施形態の操作部(10)は、上部踏桟(4C)の略左半部および略右半部それぞれの背面に左右方向にのびる軸を中心として揺動自在にかつ互いに近接して並ぶように取り付けられた左右2つの操作部材(10)よりなる(
図3,4参照)。これらの操作部材(10)を、個別にまたは同時に操作して、所定の動作方向、より詳細には、上部踏桟(4C)の背面に近づく方向(A)(
図10(a)(b)の反時計回り方向)に揺動させることにより、上部伝達部(12)、回転部材(9)および下部伝達部(11)を介して、左右のロック機構(7)の係止部材(72)が、個別にまたは同時に、ロック解除状態に切り替えられる。また、上記態様の操作部材(10)によれば、上部踏桟(4C)を把持した状態で手指により揺動操作を容易に行うことができる上、2つの操作部材(10)が近接して配置されているので、片手で同時に操作することもでき、操作性に優れている。
図8,10に詳しく示すように、各操作部材(10)は、左右方向に長い操作部材本体(101)を有している。操作部材本体(101)は、例えば金属形材(好ましくはアルミニウム合金形材)や合成樹脂成形品よりなる偏平中空状のものであって、その上縁部に前斜め上方にのびる傾斜壁部(101a)を有している。傾斜壁部(101a)の先端縁には、後方に湾曲したヒンジ形成用嵌合凸条(101b)が形成されている。
一方、上部踏桟(4C)背面の上縁部に、左右方向にのびるヒンジ形成用嵌合凹溝(41)が形成されている。ヒンジ形成用嵌合凹溝(41)は、上部踏桟(4C)の背面の上縁部から前斜め上方にのびる横断面を有しているとともに、その奥部が後方に向かって湾曲させられている。
そして、操作部材本体(101)のヒンジ形成用嵌合凸条(101b)が、上部踏桟(4C)のヒンジ形成用嵌合凹溝(41)にその一端開口から挿入されて回動自在に嵌め合わせられており、それによって、操作部材本体(101)が上部踏桟(4C)の背面側に嵌合凸条(101b)を中心として揺動可能に取り付けられている。
操作部材本体(101)の左右両端部のうち上部踏桟(4C)の長さ中央に近接した内側端部には、内側エンドキャップ(102)が嵌め被せられている。内側エンドキャップ(102)は、例えば合成樹脂成形品よりなり、その片面から突出するように形成された横断面略十字形の差込部(102a)を操作部材本体(101)の左右方向内側端部内に嵌め込むことにより、同端部に固定されている。
内側エンドキャップ(102)には、操作部材戻し用板バネ部(操作部材戻し用付勢部)(102b)が一体に形成されている。板バネ部(102b)は、正面より見て略舌状のものであって、内側エンドキャップ(102)から左右方向外方に向かって斜め前方に湾曲状にのびて、操作部材本体(101)と上部踏桟(4C)の背面との間に介在されており、そのばね弾性力(付勢力)によって操作部材(10)を上部踏桟(4C)の背面から離れる方向に付勢している。
上部踏桟(4C)には、その上面に連なるように背面側に張り出した上部張出壁部(42)が形成されている。各操作部材(10)は、この上部張出壁部(42)の下方に配置されている(
図10参照)。上記態様によれば、梯子兼用脚立(1)を脚立として使用する場合はもとより、一方の梯子体(2)を上下反転させて梯子として使用する場合にも、操作部材(10)が上部踏桟(4C)の前面(昇降面)側や上面(踏面)側に現れないので、使用に支障を来すおそれがない。
【0026】
上部伝達部(12)は、操作部材(10)の動作を回転部材(9)に伝達するためのものであって、第1上部伝達部(12a)および第2上部伝達部(12b)により構成されている。
第1上部伝達部(12a)は、操作部材(10)に設けられており、第1係合部(121)を有している。第2上部伝達部(12b)は、回転部材(9)に設けられており、第1係合部(121)と係合する第2係合部(122)を有している。操作部材(10)の動作が、第1上部伝達部(12a)および第2上部伝達部(12b)を介して、回転部材(9)に伝達されることにより、回転部材(9)が所定のロック解除方向(C)(
図7(a)(c)の反時計回り方向)に回転させられるようになっている。
【0027】
第1上部伝達部(12a)は、操作部材本体(101)の左右両端部のうち支柱(3)に近接した外側端部に、同端部の開口を覆うように固定状に連結されている第1上部伝達部材(12a)よりなる。従って、第1上部伝達部材(12a)は、操作部材本体(101)の外側エンドキャップを兼ねている。
図8~
図10に詳しく示すように、第1上部伝達部材(12a)は、操作部材本体(101)の外側端部に連結される連結部(123)と、連結部(123)の下部から前方にのびるアーム部(124)とを有する側面視略L形のものであって、例えば合成樹脂成形品によって構成することができる。
連結部(123)は、同連結部(123)を貫通して操作部材本体(101)下部のタッピングビス孔(101c)にねじ込まれたタッピングビス(図示略)により操作部材本体(101)の外側端面に固定されている。
アーム部(124)は、操作部材(10)のロック解除方向(A)への揺動に伴い、上部踏桟(4C)の下方空間を前方に向かって移動するようになっている。アーム部(124)の先端部分には、同部分の厚み方向(左右方向)に貫通した係合孔(121)が形成されており、同係合孔(121)によって第1係合部(121)が形成されている。係合孔(121)は、その上下の孔縁部が凹弧状となされ、前後の孔縁部が凸弧状となされている。なお、第1係合部(121)は、上記係合孔に代えて、アーム部(124)の先端部分の左右方向外側面に形成された係合凹部によって構成することも可能である。
【0028】
第2上部伝達部(12b)は、回転部材(9)の上端部に固定状に連結された第2上部伝達部材(12b)よりなる。従って、第2上部伝達部(12b)は、回転部材(9)と一体的に回転する。
図9,
図10に詳しく示すように、第2上部伝達部材(12b)は、垂直部(125)と、垂直部(125)の上部から側方に突出した係合凸部(122)とを有するものであって、例えば合成樹脂成形品によって構成することができる。
垂直部(125)の下端面には、回転部材の上端部が嵌め入れられる嵌合凹部(図示略)が形成されており、同嵌合凹部によって、回転部材(9)との連結部が構成されている。また、垂直部(125)周面の前側部には、側方開口凹部(126)が形成されている。
係合凸部(122)は、第1上部伝達部材(12a)のアーム部(124)の係合孔(121)に左右方向外側から挿入されるようになっており、同係合孔(121)よりなる第1係合部(121)と係合する第2係合部(122)を構成している。
【0029】
以上の構成よりなる第1上部伝達部(12a)および第2上部伝達部(12b)は、操作部材(10)の動作が伝達されることにより、第1係合部(121)と係合した第2係合部(122)が回転部材(9)の周方向に沿って移動するように動作させられる。
より詳細には、操作部材(10)のロック解除方向(A)への動作(揺動)に連動して、第1上部伝達部材(12a)のアーム部(124)が前方に移動させられ、同アーム部(124)の動作が、第1係合部(121)および第2係合部(122)を介して第2上部伝達部材(12b)に伝達されることにより、第2上部伝達部材(12b)が回転部材(9)と共にロック解除方向(C)(
図7(a)の反時計回り方向)に回転させられる。
第1上部伝達部材(12a)のアーム部(124)には、支柱(3)の内部に向かって左右方向外方に突出した外方突出部(124e)が一体に形成されている。操作部材(10)に対してロック解除方向(A)と反対方向に比較的大きな外力が作用した際、この外方突出部(124e)が支柱(3)の後壁部に当接させられることにより、第1係合部(121)と第2係合部(122)との係合が外れるのが確実に防止される。
【0030】
遠隔操作機構(8)は、第2上部伝達部(12b)を回転可能に保持する上部保持部(13)を有している。この上部保持部(13)によって、第2上部伝達部(12b)が回転可能に保持されることにより、第2上部伝達部(12b)と一体的に設けられた回転部材(9)の上部も回転可能に保持されるので、保持手段を簡素化でき、軽量化にも寄与しうる。
上部保持部(13)は、各支柱(3)および上部踏桟(4C)のうち少なくとも一方に固定された上部保持部材(13)よりなる。
図9,10に詳しく示すように、上部保持部材(13)には、第2上部伝達部(12b)の側方開口凹部(126)と係合しうるように後方に突出した側方凸部(131)が形成されている。側方開口凹部(126)と側方凸部(131)とが係合した状態で、第1上部伝達部(12a)からの力が加えられると、第2上部伝達部(12b)の前方への移動が規制されるので、その力が第2上部伝達部(12b)を回転させる力に効率良く変換される。従って、第2上部伝達部(12b)は、操作部材(10)の動作が第1上部伝達部(12a)を介して伝達された際、側方凸部(131)を支点として周方向にスムーズに回転させられる。
より詳細には、図示の上部保持部材(13)は、前後方向にのびる側壁部と、側壁部の前後縁部から左右方向外方にのびる前後壁部とを有する横断面略コ字形のものであって、例えば合成樹脂成形品によって構成することができる。側壁部の左右方向内側面には、上述した側方凸部(131)が一体的に形成されている。また、側壁部には、係合爪部(132)が上方に突出するように形成されており、同係合爪部(132)が、上部踏桟(4C)の外側端部にスナップ係合させられるようになっている。さらに、前後壁部の外面には突起(133)が形成されており、同突起(133)が支柱(3)の前後壁部の内面に圧接させられることにより、上部保持部材(13)の上下方向の位置ズレが抑制されるようになっている。
なお、上部保持部(13)は、第2上部伝達部(12b)を回転可能に保持する機能を奏するものであればよく、その構成や配置等も上記態様には限定されない。具体的には、例えば、第2上部伝達部(12b)の周囲に配置されて、第2上部伝達部(12b)の前後左右への移動を規制する円筒状の上部保持部材によって、上部保持部を構成することもできる。
【0031】
また、遠隔操作機構(8)には、梯子体(2)が上下反転させられた際に操作部材(10)の動作を規制しうるストッパ(14)が設けられている。
図10に詳しく示すように、ストッパ(14)は、梯子兼用脚立(1)が脚立として使用される状態では、操作部材(10)の動作を阻止しない第1位置(
図10(a)(b)参照)に配置される一方、梯子兼用脚立(1)を梯子として使用するために梯子体(2)とともに上下反転させられた状態では、操作部材(10)の動作を阻止する第2位置(
図10(c)参照)に配置されるように変位可能となされている。このストッパ(14)によれば、梯子体(2)が上下反転させられた状態で、操作部材(10)がロック解除方向(A)に動作するのが阻止されるので、例えば上下反転状態の梯子体(2)を作業者が昇降する際に操作部材(10)に対して意図しない操作力が加えられたとしても、ロック機構(7)による伸縮脚部材(6)のロック状態が誤って解除されることがなく、安全に使用できる。
図示のストッパ(14)の場合、操作部材(10)の一部を構成する第1上部伝達部材(12a)におけるアーム部(124)の基端側部分に、操作部材(10)の動作方向と交差する方向、すなわち、左右方向にのびる揺動軸を中心として揺動自在に設けられている。従って、ストッパ(14)の第1位置および第2位置間の変位は、梯子体(2)の上下の向きの変更に伴い、ストッパ(14)の自重による揺動によって自動的に行われる。なお、ストッパの変位は、上記態様の他、例えば、自重による所定方向での往復移動によるものでも構わない。
ストッパ(14)は、揺動軸を通る面を対称面とする対称形、具体的には略釣鐘形となされている。第1上部伝達部材(12a)のアーム部(124)には、その基端部分の左右方向内側面に凹所(124a)が形成されており、この凹所(124a)にストッパ(14)が収容されている。また、ストッパ(14)は、その一端部から左右方向外方に突出するように形成された半割状の差込部(141)が、アーム部(124)の基端側部分にあけられた孔(124b)に緩く差し込まれることにより、同差込部(141)を揺動軸として揺動自在となされている(
図8参照)。
ストッパ(14)における第1揺動方向(B1)(脚立として使用される際の揺動方向、
図10(a)(b)参照)側の側部に第1当接部(142)が設けられているとともに、第1上部伝達部材(12a)のアーム部(124)に、第1揺動方向(B1)に揺動したストッパ(14)の第1当接部(142)と当接させられてストッパ(14)を第1位置に保持する第1被当接部(124c)が設けられている。また、ストッパ(14)における第2揺動方向(B2)(梯子として使用される際の第1揺動方向と反対の揺動方向、
図10(c)参照)側の側部に第2当接部(143)が設けられているとともに、アーム部(124)に、第2揺動方向(B2)に揺動したストッパ(14)の第2当接部(143)と当接させられてストッパ(14)を第2位置に保持する第2被当接部(124d)が設けられている。第1被当接部(124c)は、ストッパ(14)に対して第1揺動方向(B1)側に位置するアーム部(124)(より詳細には凹所(124a)の周面)の一部によって構成されている。第2被当接部(124d)は、ストッパ(14)に対して第2揺動方向(B2)側に位置するアーム部(124) (より詳細には凹所(124a)の周面)の他の一部によって構成されている。ストッパ(14)における揺動軸と反対側の端部に第3当接部(144)が設けられているとともに、上部踏桟(4C)に、第2被当接部(124d)に第2当接部(143)が当接させられた状態で操作部材(10)に対して動作方向の外力が加えられた際に第3当接部(144)と当接させられる第3被当接部(43)が設けられている。
なお、ストッパ(14)は、必ずしも上記のように第1上部伝達部(12a)に設けられることを要せず、操作部材(10)、上部伝達部(12)、回転部材(9)、下部伝達部(11)のいずれかの動作を阻止できるように、第1上部伝達部(12a)以外の所要箇所に設けられていてもよい。
【0032】
下部伝達部(11)は、回転部材(9)の回転動作をロック機構(7)の係止部材(72)に伝達するためのものであって、第1下部伝達部(110)および第2下部伝達部(725)により構成されている。
第1下部伝達部(110)は、回転部材(9)に設けられており、第3係合部(111)を有している。第2下部伝達部(725)は、係止部材(72)に設けられており、第3係合部(111)と係合する第4係合部(725a)を有している。回転部材(9)の回転動作が、第1下部伝達部(110)および第2下部伝達部(725)を介して、係止部材(72)に伝達されることにより、係止部材(72)がロック解除状態に切り替えられるようになっている。
【0033】
図5~
図7に詳しく示すように、第1下部伝達部(110)は、回転部材(9)の下端部に固定状に連結されている第1下部伝達部材(110)よりなる。従って、第1下部伝達部(110)は、回転部材(9)と一体的に回転するようになっている。
第1下部伝達部材(110)は、垂直部(112)と、垂直部(112)の下部から側方に突出した側方突出部(113)とを有するものであって、例えば合成樹脂成形品によって構成することができる。
垂直部(112)の上端面には、回転部材(9)の下端部が嵌め入れられる嵌合凹部(112a)が形成されており、同嵌合凹部(112a)によって、回転部材(9)との連結部が構成されている。
側方突出部(113)は、平面視略円弧状に屈曲させられており、同側方突出部(113)の先端部分によって第3係合部(加圧凸部)(111)が構成されている。
【0034】
係止部材(72)は、その中心部(723)から上方にのびた上方突出部(725)を一体的に有しており、この上方突出部(725)によって第2下部伝達部(725)が構成されている(
図5~7参照)。従って、第2下部伝達部(725)は、係止部材(72)と一体的に動作(揺動)するようになっている。
また、上方突出部(725)は、その左右方向内側面が第1下部伝達部(110)の第3係合部(111)と係合させられるようになっており、同内側面が第4係合部(被加圧部)(725a)となされている。
【0035】
回転部材(9)のロック解除方向(C)への回転動作により、回転部材(9)と一体の第1下部伝達部(110)が同方向(C)に回転させられると、第1下部伝達部(110)の第3係合部(加圧凸部)(111)が、係止部材(72)の第4係合部(被加圧部)(725a)に係合して、左右方向外方(加圧方向)に加圧される。これにより、係止部材(72)が、ロック解除方向(D)に揺動させられて、係止部材(72)と被係止部(71)との係合が外れたロック解除状態に切り替えられる(
図7参照)。
【0036】
遠隔操作機構(8)は、第1下部伝達部(110)を回転可能に保持する下部保持部(15)を有している。この下部保持部(15)によって、第1下部伝達部(110)が回転可能に保持されることにより、第1下部伝達部(110)と一体的に設けられた回転部材(9)の下部も回転可能に保持されるので、保持手段を簡素化でき、軽量化にも寄与しうる。
好適な態様において、下部保持部(15)は、少なくともその一部が、梯子体(2)における左右のロック機構(7)の係止部材(72)に近接する部分(より詳細には、例えば、最下段の踏桟(4A)および/または同踏桟(4A)を支柱(3)に取り付けるための取付部材(404)(405))によって構成されている。上記の態様によれば、下部保持部(15)を構成する部材を別途用意して取り付ける負担が軽減されるので、部品コストが抑えられ、より一層の軽量化が図られる。
上記態様の一例として、この
参考実施形態では、第1下部伝達部材(110)の垂直部(112)の下面に形成された下方凸部(112b)が、最下段の踏桟(4A)の下壁部(44)によって回転可能に受けられている。すなわち、最下段の踏桟(4A)の下壁部(44)によって、第1下部伝達部(110)が下方から保持されている。また、これに伴い、最下段の踏桟(4A)の上壁部(45)に、回転部材(9)の下部を挿通させるための切欠または孔が必要に応じて形成されている(
図3,4等参照)。
第1下部伝達部材(110)は、その垂直部(112)上面の一部が、カバー部材(404)の上部連通窓(404a)の上縁部に近接する下方位置に配置されている。すなわち、カバー部材(404)の上部連通窓(404a)の上縁部によって、第1下部伝達部(110)の上方への移動が規制されるようになっている(
図5等参照)。
また、第1下部伝達部材(110)は、その側方突出部(113)の基端部が、係止部材(72)の上方突出部(725)と最下段の踏桟(4A)の端部の後側壁(46)との間に介在されており、これらの部分(725)(46)によって、第1下部伝達部材(110)が前後両側から保持されている(
図3,4,7等参照)。
さらに、第1下部伝達部材(110)は、その垂直部(112)が、カバー部材(404)と、最下段の踏桟(4A)の左右各端部を前後ブラケット(401)に取り付けるためのリベット(405)との間に介在されており、これらのカバー部材(404)およびリベット(405)によって、第1下部伝達部材(110)が左右両側から保持されている(
図3~5等参照)。
以上の通り、この
参考実施形態によれば、下部保持部(15)として、特別な部材を用意することなく、最下段の踏桟(4A)やその取付部材(404)(405)の一部を利用して、第1下部伝達部(110)が回転可能に保持されている。
但し、下部保持部(15)は、上記の態様には限定されず、第1下部伝達部の形状や配置等に応じて適宜の構成とすればよい。
【0037】
次に、上記の遠隔操作機構(8)を使用して、ロック機構(7)による伸縮脚部材(6)をロック解除/ロックする操作手順の一例を説明する。
すなわち、操作部材(10)を上部踏桟(4C)と一緒に片手で握ってロック解除操作方向(A)(上部踏桟(4C)の背面に近づく方向)に揺動させると、操作部材(10)と一体に設けられた第1上部伝達部(12a)が同方向(A)に動作させられ、それによって第2上部伝達部(12b)、回転部材(9)、および第1下部伝達部(110)が所定のロック解除方向(C)に回転させられる。すると、第1下部伝達部(110)の加圧凸部(第3係合部)(111)が、係止部材(72)と一体の第2下部伝達部(725)の被加圧部(第4係合部)(725a)に係合して所定の加圧方向に加圧して、係止部材(72)がロック解除方向(D)に揺動させられ、伸縮脚部材(6)の被係止部(71)と係止部材(72)の係止部(721)との係合が解除される。これにより、伸縮脚部材(6)が支柱(3)に対してスライド自在となるので、伸縮脚部材(6)を所要長さ分だけ伸縮させることができる。
操作部材(10)から手を離すと、スプリング(73)のばね弾性力によって係止部材(72)がロック方向に揺動させられて、係止部(721)が被係止部(71)に係合させられ、伸縮脚部材(6)が再びロックされる。また、係止部材(72)の上記揺動により、第2下部伝達部(725)の被加圧部(725a)が、第1下部伝達部(110)の加圧凸部(111)をロック解除方向(D)と反対方向に加圧し、それによって、第1下部伝達部(110)、回転部材(9)、および第2上部伝達部(12b)がロック解除方向(C)と反対方向に回転させられ、操作部材(10)が上部踏桟(4C)の背面から離れる方向(ロック解除方向(A)と反対方向)に揺動させられて、非操作時の待機位置まで変位させられる。この際、操作部材(10)には、レバー戻し用板バネ部(102b)のばね弾性力も作用するので、操作部材(10)が待機位置まで速やかにかつ確実に戻る。
【0038】
以上の通り、この参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)によれば、伸縮脚部材(6)のロック解除操作を、梯子体(2)の下から複数段目に位置する上部踏桟(4C)の背面に設けられた操作部材(10)により行うため、立ったままの楽な姿勢で簡単に行うことができる。
また、上記ロック解除操作は、左右の操作部材(10)を個別に操作することにより、左右の伸縮脚部材(6)毎に個別に行える他、左右の操作部材(10)を片手で同時に操作すれば、左右の伸縮脚部材(6)のロック解除を同時に行えるので、利便性に優れている。
さらに、この参考実施形態の伸縮脚装置(5)によれば、梯子兼用脚立(1)をその一方の梯子体(2)を上下反転させて梯子として使用する場合でも、操作部材(10)が上部踏桟(4C)の前面(昇降面)や上面(踏面)に現れないので、梯子の使用に支障を来すおそれがない。
【0039】
そして、これらの効果に加えて、この参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)によれば、遠隔操作機構(8)が、ロック機構(7)の係止部材(72)と操作部(10)との間の伝達手段として、回転部材(9)を使用したものであって、同伝達手段として昇降バーを使用していた従来技術と比べて、そのサイズや重量を低減することができるので、それによって、より一層の軽量化を図ることができ、運搬性が向上する。
また、この参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)によれば、支柱(3)に対する回転部材(9)のサイズを小さくできるため、例えば、上記の従来技術において、抜け止めキャップの組付け順序が最後となったり、その組付けのために昇降バーに特別な構造(キャップを通すための孔や切り欠き等)が必要になるといった制約を解消でき、組立性を向上させることができる。
【0040】
<
実施形態>
図11は、この発明の
実施形態を示したものである。
この実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)は、以下の点を除いて、
図1~
図10に示す第1の
参考実施形態のそれらと実質的に同一である。
すわなち、図示の梯子体(2)の伸縮脚装置(5)の場合、その操作部材(10X)が、支柱(3)を把持した状態で手指により操作可能な端部操作部(127)を有するものとなされている。好適な態様では、端部操作部(127)は、各支柱(3)の背部側に配置されている。
端部操作部(127)は、操作部材本体(101)の左右方向外側端部に連結された第1上部伝達部材(12a)に一体的に設けられている。より詳細には、第1上部伝達部材(12a)には、その連結部(123)の背面に連なるように左右方向外方にのびた操作用張出壁部(127)、換言すればトリガー部(127)が設けられており、このトリガー部(127)が端部操作部(127)を構成している。トリガー部(127)は、少なくともその一部が支柱(3)の背部側に配置されるような形状および大きさを有しており、支柱(3)を把持した状態で、手指(特に人差し指や中指)で手前に引くように操作可能となされている。
トリガー部(127)の表面には、支柱(3)を把持した状態で操作する際に手指に沿いうるように凹状に湾曲した湾曲部(127a)が形成されている(図11参照)。
上記態様の操作部材(10X)によれば、支柱(3)を手で把持したままの状態で端部操作部(127)を手指で操作することにより、ロック機構(7)の係止部材(72)のロック解除を行うことができるので、例えばロック解除時またはロック解除後に梯子体(2)を持ち上げたり移動させたりする際に、手を持ち替える必要がなく、利便性が向上する。
また、この実施形態の操作部材(10X)では、端部操作部(127)に加えて、操作部材本体(101)も主操作部として機能するので、使用状況等に応じて、これらを適宜使い分けることもできる。
なお、この実施形態の操作部材(10X)は、回転部材(9)を使用した遠隔操作機構(8)に限らず、例えば特許文献2に記載された昇降バーを使用した遠隔操作機構においても、同様に適用可能である。
【0041】
また、図示は省略したが、実施形態の操作部材(10X)における操作部材本体(101)および内側エンドキャップ(102)を省略し、端部操作部(127)を備えた第1上部伝達部材(12a)のみによって、操作部材を構成することも可能である。
この場合、例えば、第1上部伝達部材(12a)の連結部(123)に、操作部材本体(101)と同様の傾斜壁部およびヒンジ形成用嵌合凸条を形成して、上部踏桟(4C)に揺動自在に取り付ければよい。
また、上記態様の操作部材についても、回転部材(9)を使用した遠隔操作機構(8)への適用に限らず、例えば特許文献2に記載された昇降バーを使用した遠隔操作機構への適用も可能である。
【0042】
<第
2の
参考実施形態>
図12は、この発明の第
2の
参考実施形態を示したものである。
この
参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)は、以下の点を除いて、
図1~
図10に示す第1の
参考実施形態のそれらと実質的に同一である。
すわなち、図示の梯子体(2)の伸縮脚装置(5)の場合、左右の操作部材(10Y)が、それぞれ上部踏桟(4C)の下部側から背部側にまたがって設けられている。
上部踏桟(4C)には、その下壁部の後部が切り欠かれることにより、下方開口部(471)が形成されている。上部踏桟(4C)の後壁部内面の下縁部には、左右方向にのびるヒンジ形成用嵌合凹溝(472)が形成されている。
各操作部材(10Y)は、上部踏桟(4C)の内部に配置されかつ上部踏桟(4C)の嵌合凹溝(472)に回転可能に嵌め合わせられるヒンジ形成用嵌合凸条(103a)を一端縁に有している横断面略ヘアピン状の屈曲壁部(103)と、屈曲壁部(103)の他端縁に連なって設けられかつ上部踏桟(4C)の下方開口部(471)を通じて後方にのびている後方突出壁部(104)とを備えている。従って、操作部材(10Y)は、嵌合凸条(103a)を揺動軸として、揺動自在となされている。
また、上部踏桟(4C)の左右方向外側端部に、第1上部伝達部材(12Y)が連結されている。第1上部伝達部材(12Y)は、上下方向にのびる縦軸部(128a)と、縦軸部(128a)の上端から前方にのびるアーム部(128b)と、縦軸部(128a)の下部に連なって前方に膨出するように設けられかつ左右厚み方向に貫通した係合孔(121)を有する膨出部(128c)とよりなる。アーム部(128b)の先端部分は、操作部材(10Y)の屈曲壁部(103)の上方に位置するように、上部踏桟(4C)の内部に向かって略L形に折れ曲がっている。
この第1上部伝達部材(12Y)は、例えば、アーム部(128b)の基端部分を貫通して上部踏桟(4C)の上壁部下面に形成された上部嵌合凹溝(図示略)に嵌め入れられた連結ピン(128d)により、上部踏桟(4C)に揺動自在に連結されている。第1上部伝達部材(12Y)の膨出部(128c)は、上部踏桟(4C)の下方開口部(471)を通じて、上部踏桟(4C)の下方に配置されている。
そして、第1上部伝達部材(12Y)における膨出部(128c)の係合孔(121)によって、第2上部伝達部材(12b)の第2係合部(係合凸部)(122)と係合する第1係合部(121)が構成されている。なお、第1係合部(121)は、上記係合孔(121)に代えて、膨出部(128c)の左右方向外側面に形成された係合凹部によって構成することも可能である。
ロック機構(7)の係止部材(72)をロック解除する場合、操作部材(10Y)の後方突出壁部(104)に対して手で下向きの操作力を加えると、操作部材(10Y)がロック解除方向に揺動し、屈曲壁部(103)の上面によって第1上部伝達部材(12Y)のアーム部(128b)の先端部分に上向きの力が作用する。これによって、第1上部伝達部材(12Y)がロック解除方向に揺動し、その動作が第1係合部(121)および第2係合部(122)を介して第2上部伝達部材(12b)に伝達されることにより、第2上部伝達部材(12b)が回転部材(9)と共にロック解除方向に回転させられ、さらに、回転部材(9)の回転動作が下部伝達部(11)を介して係止部材(72)に伝達されることにより、係止部材(72)がロック解除状態に切り替えられる。
係止部材(72)を再びロック状態に切り替える際には、操作部材(10Y)の後方突出壁部(104)から手を離して操作力を解除すればよい。
上記第
2の
参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)によれば、第1の
参考実施形態のそれらとほぼ同様の効果が奏される。
【0043】
<第
3の
参考実施形態>
図13は、この発明の第
3の
参考実施形態を示したものである。
この
参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)は、以下の点を除いて、
図12に示す第
2の
参考実施形態のそれらと実質的に同一である。
すわなち、図示の梯子体(2)の伸縮脚装置(5)の場合、1つの操作部材(10Z)が、上部踏桟(4C)の下部側に設けられている。
上部踏桟(4C)には、その下壁部の前後幅中間部が切り欠かれることにより、下方開口部(471)が形成されている。下方開口部(471)の前後縁には、上方にのびた立上り壁部(471a)が形成されている。
操作部材(10Z)は、左右方向に長い偏平中空板状のものであって、上部踏桟(4C)内に上下移動自在に配置されている。操作部材(10Z)の前後縁部には、上部踏桟(4C)の立上り壁部(471a)が緩く挿入される下方開口溝部(105)が形成されており、それによって操作部材(10Z)の前後方向の移動が規制されている。
第1上部伝達部材(12Y)は、第2の
参考実施形態のそれと同様のものであって、例えば、アーム部(128b)の基端部分を貫通して上部踏桟(4C)の上壁部内面に形成された上部嵌合凹溝(図示略)に嵌め入れられた連結ピン(128d)により、上部踏桟(4C)に揺動自在に連結されている。第1上部伝達部材(12Y)の膨出部(128c)は、上部踏桟(4C)の下方開口部(471)を通じて、上部踏桟(4C)の下方に配置されている。また、第1上部伝達部材(12Y)の縦軸部(128a)を通すために、操作部材(10Z)の外側端部が部分的に切り欠かれている。
ロック機構(7)の係止部材(72)をロック解除する場合、上部踏桟(4C)の下方開口部(471)を通じて、操作部材(10Z)の底面に対して手で上向きの操作力を加えると、操作部材(10Z)が上方に移動し、操作部材(10Z)の上面によって第1上部伝達部材(12Y)のアーム部(128b)の先端に上向きの力が作用する。これによって、第1上部伝達部材(12Y)がロック解除方向に揺動し、その動作が第1係合部(121)および第2係合部(122)を介して第2上部伝達部材(12b)に伝達されることにより、第2上部伝達部材(12b)が回転部材(9)と共にロック解除方向に回転させられ、さらに、回転部材(9)の回転動作が下部伝達部(11)を介して係止部材(72)に伝達されることにより、係止部材(72)がロック解除状態に切り替えられる。
係止部材(72)を再びロック状態に切り替える際には、操作部材(10Z)から手を離して操作力を解除すればよい。
この
参考実施形態において、左右のロック機構(7)の係止部材(72)を個別にロック解除する場合には、操作部材(10Z)の底面の左右両側部分のうちロック解除したいロック機構(7)と同じ側の部分のみに操作力を加えればよく、また、左右のロック機構(7)の係止部材(72)を同時にロック解除する場合には、操作部材(10Z)の底面の左右両側部分に操作力を加えればよい。
上記第
3の
参考実施形態の伸縮脚装置(5)および梯子体(2)によっても、第1の
参考実施形態のそれらとほぼ同様の効果が奏される。
【0044】
なお、上記の各参考実施形態および実施形態では、この発明による伸縮脚装置および梯子体を梯子兼用脚立に適用した例を示したが、この発明は、梯子体を備えたその他の高所作業用構造体、すなわち、梯子、専用脚立、足場台等についても、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、高所作業用構造体である梯子、専用脚立、梯子兼用脚立、足場台等の梯子体、および、同梯子体に設けられる伸縮脚装置として好適に使用されるものである。
【符号の説明】
【0046】
(1):梯子兼用脚立
(2):梯子体
(3):支柱
(4A):最下段の踏桟
(4B):下から数えて2段目の踏桟
(4C):下から数えて3段目の踏桟(上部踏桟)
(401):ブラケット(取付部材)
(405):リベット(取付部材)
(5):伸縮脚装置
(6):伸縮脚部材
(7):ロック機構
(71):ラック(被係止部)
(72):係止部材
(725):第2下部伝達部
(725a):被加圧部(第4係合部)
(8):遠隔操作機構
(9):回転部材
(10)(10X)(10Y)(10Z):操作部材(操作部)
(11):下部伝達部
(110):第1下部伝達部材(第1下部伝達部)
(111):加圧凸部(第3係合部)
(12):上部伝達部
(12a)(12Y):第1上部伝達部材(第1上部伝達部)
(12b):第2上部伝達部材(第2上部伝達部)
(121):係合孔(第1係合部)
(122):係合凸部(第2係合部)
(126):側方開口凹部
(127):端部操作部
(127a):湾曲部
(13):上部保持部材(上部保持部)
(131):側方凸部
(15):下部保持部
【要約】 (修正有)
【課題】伸縮作業を楽な姿勢で簡単に行うため、支柱を手で把持したままの状態でロック解除操作を行うことができる梯子体の伸縮脚装置を提供する。
【解決手段】伸縮脚装置5は、支柱3にスライド自在に連結されて梯子体2の脚を構成する伸縮脚部材6と、伸縮脚部材6を支柱3に対して任意のスライド位置でロックしうるロック機構7と、ロック機構7を遠隔操作するための遠隔操作機構8とを備えている。ロック機構7が、伸縮脚部材6に形成されている被係止部71と係合する係止部材72を有している。遠隔操作機構8が、支柱3に沿って設けられかつ周方向に回転可能な回転部材10と、上方位置に設けられかつ所定の操作により回転部材10を回転させうる操作部と、回転部材10の回転動作を係止部材72に伝達して係止部材72をロック解除状態に切り替える下部伝達部とを有している。操作部の少なくとも一部が、支柱3を把持した状態で手指により操作可能に設けられている。
【選択図】
図11