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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ケーブル、電源ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/18 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H01B7/18 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024005696
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310016175
【氏名又は名称】ティグロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129539
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 康志
(72)【発明者】
【氏名】沖野 賢太郎
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4754102(US,A)
【文献】特開2002-78070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々絶縁体で被覆された複数の導体と、
前記複数の導体を束ねるシースと、
各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、前記シースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、
前記複数の導体の中の少なくとも1本をシールド中心線として用い、
第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を二次側のアース線に結線する接続端とし、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を一次側のアース線に結線する接続端としていることを特徴とするケーブル。
【請求項2】
複数組の前記シールド導線束を編組して前記シースの外周面側を覆う編組シールドを形成し、その中のいずれか2組の前記シールド導線束を、前記シールド中心線とする前記導体に結線していることを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記2組のシールド導線束は、1次側から2次側に向かって同じ方向にコイル巻きし、互いに交差していないことを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項4】
各々絶縁体で被覆された複数の導体と、
前記複数の導体を束ねるシースと、
各々絶縁層で被覆された複数の導線の束であって、前記シースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、
前記複数の導体の中の少なくとも1本をシールド中心線として用い、
第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端をコネクタ側のアース線に結線し、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を電源プラグ側のアース線に結線していることを特徴とする電源ケーブル。
【請求項5】
絶縁体で被覆された導体と、
各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、前記導体の外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、
前記導体をシールド中心線として用い、
第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一端に結線し、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の他端に結線していることを特徴とするケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル、電源ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電源ケーブルや信号ケーブルなどに使用されるケーブルには、導体(心線や芯線とも称される)が1本の単心ケーブルや2本以上の多心ケーブルなどが知られている。これらケーブルは、一般的に、絶縁体で被覆した導体、および1本又は複数の導体を覆うシースで構成されている。
【0003】
ケーブルには、外部ノイズ対策として、導体を覆うシースの内周面などにシールドを設けたものがある。シールドは、一般的に、銅線やアルミニウム線などの編組ストランド、銅テープなどのスパイラル巻線などで形成する。
【0004】
例えばオーディオ機器用の電源ケーブルや信号ケーブルの場合、外部ノイズの影響が特に音質に表れてしまう。そのため、外部ノイズの影響を抑え、音質を向上させることのできるシールド構造の改良が継続して行われている。勿論、オーディオ機器用に限らず、内部導体を有するケーブルは外部ノイズの影響を受ける為、他の分野・用途においても、シールド構造の改良が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4282759号公報
【文献】特表2013-518360号公報
【文献】特開2012-33791号公報
【文献】実用新案登録第3238829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、これまでにないエネルギー安定化構造を有し、外部ノイズの影響を抑え安定したエネルギーや信号を供給することのできるケーブル、電源ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)本発明のケーブルは、各々絶縁体で被覆された複数の導体と、前記複数の導体を束ねるシースと、各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、前記シースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、前記複数の導体の中の少なくとも1本をシールド中心線として用い、第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を二次側のアース線に結線する接続端とし、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を一次側のアース線に結線する接続端としていることを特徴とする。
(2)複数組の前記シールド導線束を編組して前記シースの外周面側を覆う編組シールドを形成し、その中のいずれか2組の前記シールド導線束を、前記シールド中心線とする前記導体に結線している。
(3)前記2組のシールド導線束は、1次側から2次側に向かって同じ方向にコイル巻きし、互いに交差していない。
(4)本発明の電源ケーブルは、各々絶縁体で被覆された複数の導体と、前記複数の導体を束ねるシースと、各々絶縁層で被覆された複数の導線の束であって、前記シースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、前記複数の導体の中の少なくとも1本をシールド中心線として用い、第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端をコネクタ側のアース線に結線し、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を電源プラグ側のアース線に結線していることを特徴とする。
(5)本発明のケーブルは、絶縁体で被覆された導体と、各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、前記導体の外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、前記導体をシールド中心線として用い、第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一端に結線し、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の他端に結線していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、複数の導体を束ねるシースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束を備え、例えば導体の1本をシールド中心線として用い、第1の組のシールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を二次側のアース線に結線する接続端とし、第2の組のシールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を一次側のアース線に結線する接続端としたことにより、これまでにない新たなエネルギー安定化構造を実現できる。その結果、外部ノイズの影響を抑え安定したエネルギーや信号を供給することのできるケーブルを提供することが可能となる。
【0009】
そして、このケーブルを例えばオーディオ機器用の電源ケーブル又は信号ケーブルに用いると、高度なノイズカット効果が得られ、桁違いの静寂感とノイズレスな安定した音質が得られることを実際の試験で確認している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に従うケーブルを用いた電源ケーブルの撮像図である。
図2】上記ケーブルの断面図である。
図3】上記ケーブルの内部構造の撮像図である。
図4】上記ケーブルの編組シールドの拡大撮像図である。
図5】上記ケーブルの編組シールドの説明図である。
図6】上記ケーブルの編組シールドの説明図である。
図7】上記ケーブルの編組シールドの説明図である。
図8】比較例のケーブルの編組シールドの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態に従うケーブルおよび電源ケーブルについて、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は、以下に説明する実施形態によって何ら限定解釈されることはない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に従うケーブル1を用いたオーディオ機器用の電源ケーブル10を示している。ケーブル1は、好ましい一例として単相100Vの3心ケーブルを使用する。但し、単心ケーブルであってもよく、3心以外の多心ケーブルであってもよい。また、単相100Vに限らない。電源ケーブル10は、ケーブル1の1次側に電源プラグ2を接続し、2次側にコネクタ21を接続している。この電源ケーブル10は、外部ノイズの影響を抑え安定した音質が得られることを試験で確認できており、オーディオ機器用として好適である。但し、用途が限定されることはなく、電力を供給するための電源ケーブルとしていずれの機器にも使用可能である。
【0013】
図1の電源プラグ2は、一例として、2枚の平刃22とアース23を有する接地タイプの挿し込みプラグ(接地2P)を示しているが、他のタイプのプラグであってよい。例えば引っ掛けタイプ、抜き止めタイプのプラグである。さらには、国内で多く使用されているAタイプに限らず、例えば海外での使用も考慮して、Bタイプ、Cタイプ、B3タイプ、BFタイプ、SEタイプ、Oタイプ、O2タイプのいずれかを選択してよい。コネクタ21も同様に、機器に応じた型式のコネクタを選択してよい。図1のコネクタ21は、一例として、3Pメスコネクタ(IEC C13)を示している。
【0014】
ケーブル1は、特に図2図3に示すように、内部に3本の導体3を配置した円型の3心ケーブルである。このケーブル1は、各々絶縁体31で被覆された3本の導体3、中間シースとしての介在32、シールド33、中間シース34、シールド35、中間シース36、編組シールド37、全体シース38を備えている。
【0015】
各導体3は、銅などの導電性の高い金属で形成する。撚線であってもよく単線であってもよい。各導体3を被覆する絶縁体31の材質は、例えば耐熱PVCなどである。各導体3の絶縁体31は、例えば黒色、白色、赤色に色分けする。絶縁体31で被覆された3本の導体3は、ケーブル1の中心から放射状に位置するように束ねて、介在32で一つにまとめる。すなわち、介在32は、複数の導体を束ねるシースの一例である。介在32の材質は、例えばPVCなどである。なお、3本の導体3は、並列に束ねてもよく、撚り合わせで束ねてもよい。また、好ましい一例として円型の3心ケーブルを示しているが、3本の導体3を一列に配置した平型の3心ケーブルであってもよい。
【0016】
シールド33は、第1のシールドとして、介在32の外周面と中間シース34の内周面の間に設けている。このシールド33は、一例として、銅線などの金属を用いた一般的な横巻シールドである。中間シース34の材質は、例えばPVCなどである。シールド35は、第2のシールドとして、中間シース34の外周面と中間シース36の内周面の間に設けている。このシールドは、一例として、マグネシウムシートなどの金属シートを一方向に巻いたシールドであり、本発明者による特許第4282759号公報に詳しく開示されている。シールド33、シールド35は、他のタイプのシールドであってもよい。また、シールド33とシールド35の両方を有することが望ましいが、後述する新規な編組シールド37を有することから、必ずしも設けなくともよい。
【0017】
編組シールド37は、第3のシールドとして、中間シース36の外周面と全体シース38の内周面の間に設ける。すなわち、編組シールド37は、3本の導体を束ねるシース(本例では介在32)の外周面側に配置している。
【0018】
編組シールド37は、特に図4に示すように、複数本の導線4で編組したシールドである。但し、本実施形態の編組シールド37は、一般的な編組シールドとは構成が異なる。第1に、各導線4は、絶縁被膜処理して互いに絶縁されている。オーディオ業界では初めての試みであり、これにより抵抗や複合共振が発生することを防ぐ。そして、各々が絶縁被膜処理された複数の導線4の束(以下、「シールド導線束41」と称する)で編組する。一例として、外径約0.15mmの10本の導線4の束を一組とし、16組のシールド導線束41で編組する。導線4のサイズや一組の本数は適宜変更してよい。導線4は、一例として、銅線などの導電性の金属線を絶縁被膜処理したものを用いる。絶縁被膜は、一例として、ウレタン被膜などの絶縁性材料のコーティングが好ましい。さらにその上に塗装を施してよい。着色や色分けする場合、例えばこの塗装で行う。さらに絶縁被膜処理は、液体材料の塗膜に限らず、絶縁体を被覆してもよい。
【0019】
第2に、編組シールド37を構成している複数組のシールド導線束41の中から、少なくとも2組のシールド導線束41(41A,41B)をアースに落とす。アースに落とす2組のシールド導線束41A,41Bは、所定の方向に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束41A,41Bである。図4の例では、黒色に着色した3組のシールド導線束の中の2組である。この2組のシールド導線束41A,41Bは、ケーブル1の1次側から2次側に向かって同じ方向に、相互に間隔をあけて平行にコイル巻きしたものである。コイル巻きする方向は、一次側から見て右巻きにした方がノイズカットでき、外部ノイズ対策として好適である。さらに、平行にコイル巻きした方がノイズカットでき、外部ノイズ対策として好適である。但し、互いに交差していなければ必ずしも精密に平行になっていなくともよい。
【0020】
16組のシールド導線束41は、13組を白色に着色し、3組を黒色に着色している。これにより図4に示すようにケーブル1の意匠性を高めると共に、アースに落とすシールド導線束41A,41Bを分かり易くする。勿論、白色と黒色に限らない。そのため全体シース38は透明性を有する材料で形成している。全体シース38の材質は、例えば透明PVCなどである。なお、図1図3図4は、全体シース38を外して撮像している。
【0021】
続いて、図5を参照しながら、2組のシールド導線束41A,41Bをアースに落とす構成について詳述する。先ず、本実施形態では、3本の導体3の中の1本(導体3C)を「シールド中心線」として用いる。他の導体3A,3Bは給電用に用いる。シールド中心線として用いる導体3Cは、通常は、電源プラグ2とコネクタ21のアース線23,24に結線する導体であるが、本実施形態では、この導体3Cを次のように結線することによって、エネルギー基準となる「シールド中心線」として用いる。すなわち、第1の組のシールド導線束41Aの一端(接続端)を、導体3Cの一次側に結線する。第1の組のシールド導線束41Aの他端(接続端)は、コネクタ21のアース線24に結線する。そして、第2の組のシールド導線束41Bの一端(接続端)を、導体3Cの二次側に結線する。第2の組のシールド導線束41Bの他端(接続端)は、電源プラグ2のアース線23に結線する。シールド中心線とする導体3Cの一次側及び二次側は、電源プラグ2のアース線23およびコネクタ21のアース線24に結線しなくてよい。結線するとアースループするからであり、オーディオ機器用の場合、音がこもってしまう。
【0022】
このように構成することによって、高度なノイズカット効果が得られ、桁違いの静寂感とノイズレスな安定した音質が得られることを実際の試験で確認している。すなわち、絶縁被膜処理して互いに絶縁されている導線4の束でシールド導線束41を構成し、1つの基準となるエネルギー線(シールド中心線)にIN,OUTが同じ2組のコイル巻きシールド導線束41A,41Bを連結させ、2組のコイル巻きシールド導線束41A,41Bが平行に並んでいるときに、これまでにないエネルギー安定化構造が実現でき、高度なノイズカット効果を得られることを確認した。その理由として、ノイズの影響を受けないフォトン(光子)およびゼロ地場を形成させ易くできていると推察する。
【0023】
なお、導体3C、電源プラグ2のアース線23、コネクタ21のアース線24に対するシールド導線束41A,41Bの結線は逆にしてもよい。
【0024】
(第2実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、アースに落とす2組のシールド導線束41A,41Bを、シールド導線束41A,41Cに変えた変形例である。その他の構成については第1実施形態と同じであるので詳しい説明は省略する。図6に示すように、第2実施形態のケーブル1は、ケーブル1の1次側から2次側に向かって互いに異なる方向にコイル巻きした2組のシールド導線束41A,41Cをアースに落とす。すなわち、第1の組のシールド導線束41Aは、一次側から見て右巻きになっており、第2の組のシールド導線束41Cは、一次側から見て左巻きになっている。従って部分的に交差する箇所があるが、各導線4を絶縁被膜処理しているので抵抗や複合共振が発生することが防がれる。
【0025】
本実施形態でも、3本の導体3の中の1本(導体3C)を「シールド中心線」として用いる。そして、第1の組のシールド導線束41Aの一端(接続端)を、導体3Cの一次側に結線する。第1の組のシールド導線束41Aの他端(接続端)は、コネクタ21のアース線に結線する。第2の組のシールド導線束41Cの一端(接続端)を、導体3Cの二次側に結線する。第2の組のシールド導線束41Cの他端(接続端)は、電源プラグ2のアース線に結線する。シールド中心線とする導体3Cの一次側及び二次側は、電源プラグ2のアース線23およびコネクタ21のアース線24に結線しなくてよい。係る構成としても、第1実施形態と比べるとその効果は小さいものの、従来に比べれば高いノイズカット効果が得られることを実際の試験で確認している。
【0026】
なお、導体3C、電源プラグ2のアース線23、コネクタ21のアース線24に対するシールド導線束41A,41Cの結線は逆にしてもよい。また、シールド導線束41Aではなくシールド導線束41Bとシールド導線束41Cの2組で同様に結線してもよい。
【0027】
(第3実施形態)
本実施形態は、図7に示すように、右巻きにした複数組のシールド導線束4のうち、4組のシールド導線束4の一端(接続端)を導体3Cの二次側に結線し、他端(接続端)を電源プラグ2のアース線23に結線した変形例である。この場合、ケーブル1の表面を覆う面積が増えることで高いノイズカット効果が得られるが、作業効率が悪いことと若干の位相感の悪さが感じられた。これに対して、第1実施形態は、構成がシンプルで同等の効果が得られることから、最適な構成であるとの結論に至った。このようにシールド中心線に結線するシールド導線束4は2組以上としてよい。複数組にするのは右巻きだけに限らず左巻きを複数組にしてもよい。
【0028】
なお、導体3C、電源プラグ2のアース線23、コネクタ21のアース線24に対するシールド導線束41A,41Bの結線は逆にしてもよい。また、第2実施形態のようにシールド導線束41Aとシールド導線束41Cの2組で同様に結線してもよい。
【0029】
比較例として、図8に示すように3本の導体の中の1本(導体3C)を「シールド中心線」として用いなかった場合、すなわち3組のシールド導線束41A、41B、41Cを直列的に接続してアースに落とした場合、一般的な編組シールドと同等のノイズカット効果しか得られなかった。
【0030】
なお、上述の実施形態は、電源ケーブル10を一例に挙げて説明したが、信号ケーブルであってもよく、ケーブル1を用いることでエネルギー安定化構造が実現され、高度なノイズカット効果が得られる。また、3心ケーブルに限らず、単心ケーブル、3心以外の多心ケーブル(例えば、4心ケーブルや3心×3心ケーブルなど)であっても同様の効果が得られる。なお、シールド中心線として用いる導体を別に設けてもよい。その場合、他の導体3と径が異なっていてもよい。さらに、シールド中心線として用いる導体は、介在32より外側に配置してもよい。図2の例の場合、例えば中間シース34と中間シース36の間に、絶縁体で被覆した導体を配置してシールド中心線とする。この場合、中間シース36が、複数の導体を束ね、その外周面側にシールド導線束4をコイル巻きされるシースの一例である。好ましい一例としてシールド中心線を1本の導体としたが、2本以上の導体をシールド中心線としてもよい。
【0031】
同じ理屈で、ケーブル1を用いたブレスレットやネックレスなどを形成すれば、例えば血流を良くするなどの効果が得られることが期待できる。この場合、単心ケーブルを用いて、内部導体をシールド中心線とする。そして、第1の組のシールド導線束41Aの一端(接続端)を、内部導体の一端に結線し、第2の組のシールド導線束41Bの一端(接続端)を、内部導体の他端に結線する。第1の組のシールド導線束41Aの他端(接続端)および第2の組のシールド導線束41Bの他端(接続端)は、装着者の肌に触れるようにする。
【0032】
以上のとおり、本実施形態のケーブル1を用いた電源ケーブル10によれば、これまでにない新たなエネルギー安定化構造を有し、外部ノイズの影響を抑え安定したエネルギーや信号を供給することのできるケーブル1および電源ケーブル10を提供することが可能である。
【0033】
本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0034】
1 ケーブル
10 電源ケーブル
3 導体
31 絶縁体
32 介在
37 編組シールド
4 絶縁被膜処理された導線
41 シールド導線束

【要約】
【課題】新たなエネルギー安定化構造を有し、外部ノイズの影響を抑え安定したエネルギーや信号を供給することのできるケーブル、電源ケーブルを提供する。
【解決手段】本発明のケーブルは、各々絶縁体で被覆された複数の導体と、前記複数の導体を束ねるシースと、各々絶縁被膜処理された複数の導線の束であって、前記シースの外周面側に別々にコイル巻きした少なくとも2組のシールド導線束と、を備え、前記複数の導体の中の少なくとも1本をシールド中心線として用い、第1の組の前記シールド導線束の一端を該導体の一次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を二次側のアース線に結線する接続端とし、第2の組の前記シールド導線束の一端を該導体の二次側に結線すると共に該シールド導線束の他端を一次側のアース線に結線する接続端としている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8