(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】医療機器
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61M25/092 500
(21)【出願番号】P 2017150211
(22)【出願日】2017-08-02
【審査請求日】2020-06-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】兼政 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】内藤 真徳
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0059288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25 / 00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを有する長尺な樹脂管と、前記樹脂管の軸方向に沿って埋設されているとともに第1操作線及び第2操作線がそれぞれ挿通されている第1中空管及び第2中空管と、を含んで構成されている長尺な医療機器本体と、
前記第1操作線及び前記第2操作線の牽引により前記医療機器本体の先端部の屈曲操作を行うための屈曲操作部と、
を備え、
前記医療機器本体の前記先端部には、リング状のマーカーが設けられており、
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第1操作線と前記第2操作線とは前記医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在しており、
前記医療機器本体の軸方向における先端部には、
前記第1操作線と前記第2操作線とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している湾曲領域が形成されており、
前記第1操作線の先端と前記第2操作線の先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに離間して前記医療機器本体に固定されており、
前記湾曲領域では、前記第1中空管と前記第2中空管とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲しており、
前記第1中空管の前記先端と前記第2中空管の前記先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに前記樹脂管の肉厚よりも大きい距離で離間して終端しており、
前記第1操作線の前記先端と前記第2操作線の前記先端とは、前記マーカーに対して固定されているとともに、前記医療機器本体の周方向において前記樹脂管の肉厚よりも大きい距離で離間している医療機器。
【請求項2】
前記屈曲操作部に対する操作により、前記第1操作線と前記第2操作線とが一度に牽引される請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記医療機器本体の軸方向における先端部には、前記湾曲領域の先端側において前記第1操作線と前記第2操作線とが前記中間部及び前記基端部での距離よりも近接して互いに並列に延在している並列領域が形成されている請求項1又は2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記医療機器本体の軸方向において、前記湾曲領域の基端から先端までの距離よりも、前記湾曲領域の先端から前記第1操作線及び前記第2操作線の先端までの距離の方が長い請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
前記医療機器本体の軸方向において、前記湾曲領域の基端から先端までの距離の方が、前記湾曲領域の先端から前記第1操作線及び前記第2操作線の先端までの距離よりも長い請求項
3に記載の医療機器。
【請求項6】
当該医療機器は、前記湾曲領域の先端部において前記樹脂管に埋設されている環状部材を更に備え、
前記環状部材は、前記樹脂管よりも高剛性に構成されていて前記樹脂管の肉厚よりも小さい外径に形成されており、
前記環状部材に前記第1操作線と前記第2操作線とが挿通されている請求項3から5のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項7】
前記環状部材に前記第1中空管と前記第2中空管とが挿通されており、
前記湾曲領域では、前記第1中空管と前記第2中空管とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している請求項6に記載の医療機器。
【請求項8】
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第1操作線と前記第2操作線とが前記医療機器本体の周方向において互いに対向する位置に配置されている請求項1から7のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項9】
前記屈曲操作部は、
回転可能に軸支されている回転部材であって、前記第1操作線及び前記第2操作線が係合しているとともに前記第1操作線の基端部と前記第2操作線の基端部とが固定されている回転部材と、
前記回転部材を前記第1操作線及び前記第2操作線を牽引する牽引方向、及び、前記牽引方向に対する反対方向に移動させる移動機構と、
を備えて構成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項10】
前記医療機器本体の先端部の周方向において、前記第1操作線と前記第2操作線との間の領域、又は、前記医療機器本体の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域には、当該医療機器本体の屈曲性が局部的に高い易屈曲部が形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項11】
前記易屈曲部は、前記医療機器本体の外面側に形成された切欠形状部を含んで構成されている請求項10に記載の医療機器。
【請求項12】
前記医療機器本体は、当該医療機器本体の軸方向に沿って埋設されているとともに第3操作線及び第4操作線がそれぞれ挿通されている第3中空管及び第4中空管を含んで構成されており、
当該医療機器は、前記第3操作線及び前記第4操作線の牽引により、前記第1操作線及び前記第2操作線の牽引による前記医療機器本体の先端部の屈曲の方向とは異なる方向への前記医療機器本体の先端部の屈曲操作を行うための第2屈曲操作部を備え、
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第3操作線と前記第4操作線とは前記医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在しており、
前記湾曲領域では、前記第3操作線と前記第4操作線とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲しており、
前記第3操作線の先端と前記第4操作線の先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに離間して前記医療機器本体に固定されている請求項1から11のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項13】
前記第2屈曲操作部に対する操作により、前記第3操作線と前記第4操作線とが一度に牽引される請求項12に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
先端部の屈曲操作が可能なカテーテル等の長尺な医療機器としては、操作線を有するタイプのものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のカテーテルにおいては、中央のルーメンの周囲に複数の中空管が配置されており、中央のルーメンを介して対向する2本の中空管の内部にそれぞれ操作線が挿通されている。同文献のカテーテルにおいては、操作線の先端は、当該カテーテルの先端部に固定されている。同文献のカテーテルは、操作線の後端を牽引操作することが可能に構成されている。これにより、操作線を選択して牽引することでカテーテルの先端部を屈曲させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のカテーテルでは、湾曲した血管等の体腔を通過した後で更に先端部を屈曲させる際には、湾曲の内側方向には容易に屈曲させることができるが、外側方向に屈曲させにくい。
なぜなら、湾曲のアウトコース側に位置する操作線を牽引してカテーテルの先端を外側方向に屈曲させようとすると、牽引される操作線の経路が短くなる方向へと、湾曲した血管内でカテーテルが当該カテーテルの軸周りに回転してしまうためである。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、より確実に先端部を所望の向きに屈曲させることが可能な構造のカテーテル等の医療機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ルーメンを有する長尺な樹脂管と、前記樹脂管の軸方向に沿って埋設されているとともに第1操作線及び第2操作線がそれぞれ挿通されている第1中空管及び第2中空管と、を含んで構成されている長尺な医療機器本体と、
前記第1操作線及び前記第2操作線の牽引により前記医療機器本体の先端部の屈曲操作を行うための屈曲操作部と、
を備え、
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第1操作線と前記第2操作線とは前記医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在しており、
前記医療機器本体の軸方向における先端部には、
前記第1操作線と前記第2操作線とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している湾曲領域が形成されており、
前記第1操作線の先端と前記第2操作線の先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに離間して前記医療機器本体に固定されている医療機器を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より確実に先端部を所望の向きに屈曲させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る医療機器の医療機器本体における先端側の部分を示す縦断面図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図3】
図1のB-B線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図4】
図1のC-C線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は第1実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部の屈曲動作を説明するための模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る医療機器の屈曲操作部及びその近傍の部分を示す平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る医療機器の屈曲操作部及びその近傍の部分を示す側面図である。
【
図8】
図8(a)は第1実施形態に係る医療機器の全体図であり、
図8(b)は第1実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部が一方側に屈曲した状態の全体図である。
【
図9】第2実施形態に係る医療機器の医療機器本体における先端側の部分を示す縦断面図である。
【
図10】
図9のA-A線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は第2実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部の屈曲動作を説明するための模式図である。
【
図12】第3実施形態に係る医療機器の医療機器本体における先端側の部分を示す縦断面図である。
【
図13】
図12のA-A線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図14】
図12のB-B線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図15】
図12のC-C線に沿った医療機器本体の横断面図である。
【
図16】
図16(a)、
図16(b)、
図16(c)及び
図16(d)は第3実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部の屈曲動作を説明するための模式図である。
【
図17】第3実施形態に係る医療機器の屈曲操作部及びその近傍の部分を示す側面図である。
【
図18】
図18(a)は第3実施形態に係る医療機器の全体図であり、
図18(b)は第3実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部が一方側に屈曲した状態の全体図であり、
図18(c)は第3実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部が他方側に屈曲した状態の全体図である。
【
図19】
図19(a)及び
図19(b)は第4実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部の模式的であり、このうち
図19(a)は平面図、
図19(b)は側面図である。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は第5実施形態に係る医療機器の医療機器本体の先端部の模式的であり、このうち
図20(a)は平面図、
図20(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
本実施形態に係る医療機器の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0011】
本発明の実施形態を説明する際に用いられる用語は、特段の断りがない限り、以下のとおり定義される。
実施形態の説明において、先端部および基端部という用語を使用する場合がある。先端部とは、医療機器の各部において、医療機器の挿入先端側の端(遠位端)を含む所定の長さ領域をいう。また基端部とは、医療機器の各部において、医療機器の基端側の端(近位端)を含む所定の長さ領域をいう。
また、軸心とは、医療機器本体の長手方向に沿った中心軸を意味する。
医療機器の縦断面とは、医療機器を軸心に沿って切断した断面をいう。
医療機器の横断面とは、医療機器を軸心に対して直交する平面で切断した断面をいう。
【0012】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図8(b)を用いて第1実施形態を説明する。
なお、
図1は
図2のA-A線に沿った断面図である。
図5(a)及び
図5(b)は医療機器本体10の先端部11を
図4の矢印A方向に視たときの屈曲動作を説明するための模式図であり、
図5(a)は屈曲前の状態を示し、
図5(b)は屈曲した状態を示す。
図7においては、部分的に屈曲操作部80の筐体86を破断して筐体86の内部の構造を示している。
図8(a)、
図8(b)においては、医療機器本体10の長手方向における途中部分を破断して省略している。
図8(a)及び
図8(b)に示す医療機器本体10において、省略部分よりも基端側の部分と先端側の部分とでは、医療機器本体10の軸周りにおける回転位相が90度異なっている。
【0013】
図1から
図8(b)のいずれかに示すように、本実施形態に係る医療機器100は、ルーメン21を有する長尺な樹脂管20と、樹脂管20の軸方向に沿って埋設されているとともに第1操作線41及び第2操作線42がそれぞれ挿通されている第1中空管31及び第2中空管32と、を含んで構成されている長尺な医療機器本体10と、第1操作線41及び第2操作線42の牽引により医療機器本体10の先端部11の屈曲操作を行うための屈曲操作部80(
図6、
図7)を備えている。
第1中空管31及び第2中空管32は、それぞれサブルーメンチューブであり、これらサブルーメンチューブの内腔はサブルーメンである。すなわち、各操作線(第1操作線41、第2操作線42)は、サブルーメンに挿通されている。
医療機器本体10の軸方向における中間部12及び基端部13(
図6、
図7)では、第1操作線41と第2操作線42とは医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在している。医療機器本体10の軸方向における先端部11には、第1操作線41と第2操作線42とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している湾曲領域15が形成されている。第1操作線41の先端41aと第2操作線42の先端42aとが医療機器本体10の周方向において互いに離間して医療機器本体10に固定されている。
【0014】
本実施形態によれば、第1操作線41と第2操作線42との双方を牽引することによって、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、医療機器本体10の先端部11を屈曲させることができる。この際に、医療機器本体10の先端部11を第1操作線41により牽引する荷重と第2操作線42により牽引する荷重のバランスがとれるため、第1操作線41又は第2操作線42が近道をしようとして医療機器本体10が軸周りに回転する現象の発生を抑制できる。
よって、医療機器本体10が湾曲した血管等の体腔を通過した後で更に先端部11を屈曲させる際においても、より確実に先端部11を所望の向きに屈曲させることが可能である。
なお、本実施形態の場合のように、医療機器100が備える操作線の数が2であり、これら操作線が合流している場合、操作線の牽引により先端部11を屈曲させることができる方向は一方向となる。
【0015】
また、医療機器本体10の屈曲の際にインコース側となる部分のセンター位置(屈曲の腹となる位置)を避けて第1中空管31及び第2中空管32が配置されることとなるため、第1中空管31及び外層23の剛性が医療機器本体10の屈曲の妨げとなってしまうことを抑制でき、医療機器本体10がより容易に屈曲できる。特に先端部11における基端側ほど、第1中空管31及び第2中空管32がインコース側から離間しているため、屈曲が容易になる。
よって、第1操作線41及び第2操作線42の牽引操作に要する力の増大を抑制しつつ、より確実に先端部11を所望の向きに屈曲させることが可能となる。
【0016】
また、第1操作線41の先端41aと第2操作線42の先端42aとが医療機器本体10の周方向において互いに離間していることから、湾曲領域15での第1中空管31及び第2中空管32の湾曲を緩やかにできる。よって、第1中空管31と第1操作線41との摩擦抵抗、並びに、第2中空管32と第2操作線42との摩擦抵抗の増大を抑制できる。
【0017】
ここで、医療機器100の製造に際しては、例えば、第1中空管31及び第2中空管32に予めそれぞれサブ芯線(不図示)を挿通した状態で樹脂管20の後述する外層23を熱成形し、その後にサブ芯線をそれぞれ牽引して抜去するとともに、当該サブ芯線を、当該サブ芯線にそれぞれ連結された第1操作線41及び第2操作線42に置換する行程を行う。
本実施形態では、湾曲領域15での第1中空管31及び第2中空管32の湾曲を緩やかにできることから、サブ芯線の抜去を容易に行うことができる。
【0018】
医療機器100は、典型的にはカテーテルである。
【0019】
本実施形態の場合、樹脂管20は、内腔がルーメン21となっている中空管形状の内層22と、内層22と同軸で内層22の外周囲に形成されている中空管形状の外層23と、を含む層構造となっている。内層22及び外層23は、それぞれ樹脂材料により構成されている。外層23の内周面は内層22の外周面に対して接合している。
内層22を構成する樹脂材料と外層23を構成する樹脂材料とは互いに異なっていてもよいし、互いに等しくてもよい。
医療機器本体10の外表層には、必要に応じて、親水性コートが形成されていてもよい。
ルーメン21は、医療機器本体10の先端から基端に亘って連続的に形成されており、医療機器本体10の先端と基端においてそれぞれ開口している。
第1中空管31及び第2中空管32の内径は、ルーメン21の内径よりも小さい。
第1操作線41及び第2操作線42は、それぞれ金属又は樹脂などの細線により構成されている。
【0020】
医療機器本体10の軸方向における先端部11では、第1中空管31と第2中空管32とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している。これにより、第1中空管31内の第1操作線41と第2中空管32内の第2操作線42とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している。
なお、第1中空管31と第2中空管32とは互いに交差はしていない。また、第1操作線41と第2操作線42とは互いに交差はしていない。
【0021】
本明細書では、医療機器本体10の軸方向において、第1操作線41と第2操作線42とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している領域を、湾曲領域15と称する。湾曲領域15の基端位置15aは、第1操作線41及び第2操作線42が互いの方向に向けて湾曲し始めている位置であり、湾曲領域15の先端位置15bは、第1操作線41及び第2操作線42が互いの方向に向けて湾曲し終わった位置である。
本実施形態の場合、湾曲領域15の先端位置15bは、第1操作線41及び第2操作線42の先端41a、42aが配置されている位置、又は、その近傍の位置である。
【0022】
第1操作線41の先端41aは、第1中空管31の先端31aから突出している。同様に、第2操作線42の先端42aは、第2中空管32の先端32aから突出している。
例えば、先端41aは先端31aの近傍に位置しており、先端42aは先端32aの近傍に位置している。
【0023】
医療機器本体10は、例えば、樹脂管20に埋設されているブレード層51を備えている。これにより、医療機器本体10がブレード層51によって補強されている。ブレード層51は複数本のワイヤを編組することにより構成されている。ブレード層51は、例えば、内層22の周囲に配置されている。
なお、第1中空管31及び第2中空管32は、例えば、ブレード層51よりも医療機器本体10の径方向外方(医療機器本体10の軸心から遠い位置)に配置されている。
【0024】
医療機器本体10は、更に、樹脂管20に埋設されている巻回ワイヤ52を備えている。巻回ワイヤ52は、ブレード層51、第1中空管31及び第2中空管32よりも医療機器本体10の径方向外方において巻回されている。巻回ワイヤ52は、例えば、第1中空管31及び第2中空管32をブレード層51に対して拘束している。
【0025】
湾曲領域15において、第1中空管31及び第2中空管32は、それぞれブレード層51の外周に沿って配置されている(
図3、
図4参照)。
湾曲領域15において、医療機器本体10の周方向における第1中空管31と第2中空管32との距離が、先端側に向けて徐々に縮小しているとともに、医療機器本体10の周方向における第1操作線41と第2操作線42との距離が、先端側に向けて徐々に縮小している。
なお、第1中空管31及び第2中空管32は、例えば、湾曲領域15の基端位置15aよりも先端側において、それぞれ湾曲形状に癖付けされている。湾曲領域15の基端位置15aにおいて、第1中空管31及び第2中空管32がそれぞれブレード層51又は内層22の少なくとも一方に対して固定されていてもよいし、巻回ワイヤ52の先端が湾曲領域15の基端位置15aに配置されていて、基端位置15aよりも先端側では第1中空管31及び第2中空管32が巻回ワイヤ52により拘束されていなくてもよい。
【0026】
医療機器本体10の軸方向における中間部12及び基端部13では、第1操作線41と第2操作線42とが医療機器本体10の周方向において互いに対向する位置に配置されている。
本実施形態の場合、例えば、
図2に示すように、医療機器本体10の中間部12においては、第1操作線41と第2操作線42とが、医療機器本体10の軸中心を基準として、医療機器本体10の周方向において、互いに180度対向している。同様に、医療機器本体10の基端部13、及び、湾曲領域15の基端位置15aでも、医療機器本体10の周方向において、第1操作線41と第2操作線42とが互いに180度対向している。すなわち、中間部12、基端部13及び湾曲領域15の基端位置15aにおいて、医療機器本体10の周方向における第1操作線41と第2操作線42との位相差が180度である。
ただし、第1操作線41と第2操作線42とが医療機器本体10の周方向において互いに対向する位置に配置されているとは、この例に限らず、第1操作線41と第2操作線42とが医療機器本体10の周方向において互いに120度以上離間していることを意味する。
医療機器本体10の周方向における第1操作線41と第2操作線42との位相差は、湾曲領域15において先端側に向けて徐々に縮小している。
第1操作線41及び第2操作線42は、湾曲領域15にて、それぞれ医療機器本体10の周方向において30度以上の角度で回転(湾曲)していることが好ましく、45度以上の角度で回転(湾曲)していることが更に好ましい。第1操作線41及び第2操作線42は、湾曲領域15にて、それぞれ医療機器本体10の周方向において90度未満の角度で回転(湾曲)している。
【0027】
また、本実施形態の場合、医療機器本体10の中間部12、基端部13及び湾曲領域15の基端位置15aにおいて、第1中空管31と第2中空管32とが、医療機器本体10の軸中心を基準として、医療機器本体10の周方向において、互いに180度対向している。すなわち、中間部12、基端部13及び湾曲領域15の基端位置15aにおいて、医療機器本体10の周方向における第1中空管31と第2中空管32との位相差が180度である。当該位相差は、湾曲領域15において先端側に向けて徐々に縮小している。
なお、医療機器本体10の中間部12、基端部13及び湾曲領域15の基端位置15aにおいて、第1中空管31と第2中空管32とが、医療機器本体10の軸中心を基準として、医療機器本体10の周方向に180度未満の角度で対向している方が、湾曲領域15での第1中空管31及び第2中空管32の湾曲を緩やかにできるため、第1中空管31及び第2中空管32からのサブ芯線の抜去が容易となる。
【0028】
医療機器本体10の先端部11には、放射線不透過性の金属材料により構成されているリング状のマーカー70が設けられている。
マーカー70は、ルーメン21と同軸に、且つ、ルーメン21の周囲に配置されている。
マーカー70は、例えば、ブレード層51の周囲に配置されている。
【0029】
第1操作線41の先端41aは、例えば、スポット状の半田である第1固定部71によりマーカー70に対して固定されている。
同様に、第2操作線42の先端42aは、例えば、スポット状の半田である第1固定部71によりマーカー70に対して固定されている。
第1固定部71及び第2固定部72は、例えば、マーカー70における基端側の端部に配置されている。
第1固定部71と第2固定部72とは、医療機器本体の周方向において互いに離間している。
【0030】
第1操作線41の先端41aと第2操作線42の先端42aとは、例えば、樹脂管20の肉厚よりも大きい距離で離間している。
【0031】
次に、
図6及び
図7を用いて、医療機器本体10の基端部に設けられたハブ90について説明する。
ハブ90は、当該ハブ90の基端から図示しない注入器(シリンジ)を挿入するための連結部93を有している。連結部93の外周には、シリンジを着脱可能に固定できるようにねじ溝が形成されている。
ハブ90の外周には、ハブ90の軸心を介して互いに対向する2枚の羽部92を有している。
ハブ90の先端部には、医療機器本体10の基端部が差し込み固定されている。これにより、医療機器本体10の内側のルーメン21と、ハブ90の内部空間とが相互に連通している。
ハブ90の軸心を中心として羽部92を回転させることにより、医療機器本体10の全体を軸回転させるトルク操作が可能である。
ハブ90の先端側には、後述する屈曲操作部80の筐体86が連接固定されている。
【0032】
次に、
図6及び
図7を用いて、医療機器100が備える屈曲操作部80について説明する。
【0033】
医療機器100は、第1操作線41及び第2操作線42の牽引により医療機器本体10の先端部11の屈曲操作を行うための屈曲操作部80を備えている。
【0034】
屈曲操作部80は、回転可能に軸支されている回転部材81であって第1操作線41及び第2操作線42が係合しているとともに第1操作線41の基端部と第2操作線42の基端部とが固定されている回転部材81と、回転部材81を第1操作線41及び第2操作線42を牽引する牽引方向、及び、当該牽引方向に対する反対方向に移動させる移動機構と、を備えて構成されている。
回転部材81は、例えば、プーリである。
【0035】
移動機構は、進退部材82とピニオン83とを含んで構成されている。
進退部材82は、回転部材81を回転可能に保持している保持部82aと、保持部82aから医療機器本体10の基端側に延出している棒状部82bと、を備えている。
棒状部82bには、ラック部82cが形成されている。
【0036】
屈曲操作部80は、更に、屈曲操作部80の本体部である筐体86と、筐体86に対して回転可能に軸支されているダイヤル操作部84と、ダイヤル操作部84と一体に設けられているピニオン83、筐体86の内面に設けられていて棒状部82bを当該棒状部82bの長手方向にガイドするガイド85(例えば前後一対のガイド85)と、を備えている。
医療機器本体10の基端部13は、筐体86の内部を通して、筐体86の基端側に導かれており、ハブ90の先端部に差し込み固定されている。
ダイヤル操作部84の回転軸は、筐体86内における医療機器本体10の軸心方向に対して直交する方向に延在している。
ピニオン83は、ダイヤル操作部84の一方の面側に、ダイヤル操作部84と一体に形成されており、ダイヤル操作部84の回転軸と同軸に配置されている。
ピニオン83の外周の歯車は、進退部材82のラック部82cの歯車と噛み合っている。
ダイヤル操作部84は、少なくとも一部分が筐体86の外部に露出しており、医療機器100の操作を行う操作者がダイヤル操作部84を回転させる操作を筐体86の外部から行うことができるようになっている。
【0037】
第1操作線41及び第2操作線42は、筐体86内においてそれぞれ医療機器本体10から導出されている。
第1操作線41の基端部は、例えば、回転部材81に対して1周半巻回されて、当該第1操作線41の基端が第1固定部81a(
図6)にて回転部材81に固定されている。
同様に、第2操作線42は、例えば、回転部材81に対して1周半巻回されて、当該第2操作線42の基端が第2固定部81b(
図6)にて回転部材81に固定されている。
回転部材81に対する第1操作線41の巻回方向と第2操作線42の巻回方向とは互いに反対方向となっている。このため、回転部材81の回転角度は、第1操作線41の張力と第2操作線42の張力とが均衡する角度に自律的に調整されるようになっている。
【0038】
医療機器100の操作を行う操作者が筐体86又はハブ90を把持してダイヤル操作部84を回転させることにより、ダイヤル操作部84と一体のピニオン83が軸回転し、これに伴い、ラック部82cを有する進退部材82が、筐体86に対して相対的に、医療機器本体10の軸方向に前進(医療機器本体10の先端側に移動)又は後退(医療機器本体10の基端側に移動)する。
図6において、ダイヤル操作部84を時計回りに回転させることにより、進退部材82及び回転部材81が後退し、第1操作線41及び第2操作線42の双方が医療機器本体10の基端側に牽引される。
【0039】
このように、屈曲操作部80に対する操作により、第1操作線41と第2操作線42とが一度に牽引される。
ここで、第1操作線41と第2操作線42とが一度に牽引されるとは、第1操作線41と第2操作線42の双方がともに牽引されるタイミングが存在することを意味し、第1操作線41と第2操作線42とで牽引され始めのタイミングが同じになることに限らず、また、第1操作線41と第2操作線42とで牽引され終わりのタイミングが同じになることに限らない。
【0040】
例えば
図8(a)に示すように医療機器本体10の先端部11が直線状の形状のときに、
図8(b)においてダイヤル操作部84を時計回りに回転させると、第1操作線41及び第2操作線42の双方が医療機器本体10の基端側に牽引されるため、医療機器本体10の先端部11が一方向に屈曲する。
なお、
図8(b)の状態からダイヤル操作部84を反時計回り回転させると、進退部材82及び回転部材81が前進し、第1操作線41及び第2操作線42の張力が緩められるため、医療機器本体10の先端部11が直線状に復帰することが許容される。
このように、本実施形態の場合、屈曲操作部80は、使用者による操作を回転機構(ダイヤル操作部84)で受け、この操作により回転機構に与えられた力を、ピニオン83及びラック(ラック部82c)により構成された変換機構によって、医療機器本体10の軸方向における進退運動に変換するように構成されている。
【0041】
次に、医療機器100の各部の材料の例を説明する。
内層22の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等の樹脂材料を用いることができる。
外層23の材料としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のほか、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン-酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を用いることができる。
第1中空管31及び第2中空管32の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等の樹脂材料を用いることができる。
ブレード層51を構成するワイヤの材料は、例えば、ステンレスやタングステンなどの金属材料が好ましいが、樹脂材料であってもよい。
巻回ワイヤ52を構成するワイヤの材料は、例えば、ステンレスやタングステンなどの金属材料が好ましいが、樹脂材料であってもよい。
【0042】
以上のような第1実施形態に係る医療機器100によれば、第1操作線41と第2操作線42との双方を牽引することによって医療機器本体10の先端部11を屈曲させることができ、その際に、医療機器本体10の先端部11を第1操作線41により牽引する荷重と第2操作線42により牽引する荷重のバランスがとれるため、第1操作線41又は第2操作線42が近道をしようとして医療機器本体10が軸周りに回転する現象の発生を抑制できる。
よって、より確実に医療機器本体10の先端部11を所望の向きに屈曲させることが可能である。
【0043】
また、医療機器本体10の屈曲の際にインコース側となる部分のセンター位置(屈曲の腹となる位置)を避けて第1中空管31及び第2中空管32が配置されることとなるため、第1中空管31及び外層23の剛性が医療機器本体10の屈曲の妨げとなってしまうことを抑制でき、医療機器本体10がより容易に屈曲できる。特に先端部11における基端側ほど、第1中空管31及び第2中空管32がインコース側から離間しているため、屈曲が容易になる。
【0044】
また、医療機器100の製造に際し、第1中空管31及び第2中空管32に予めそれぞれサブ芯線(不図示)を挿通した状態で樹脂管20の後述する外層23を熱成形し、その後にサブ芯線をそれぞれ牽引して抜去するとともに、当該サブ芯線を、当該サブ芯線にそれぞれ連結された第1操作線41及び第2操作線42に置換する場合に、サブ芯線の抜去を容易に行うことができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、
図9から
図11(b)を用いて第2実施形態に係る医療機器100を説明する。
図11(a)及び
図11(b)は医療機器本体10の先端部11を
図10の矢印A方向に視たときの屈曲動作を説明するための模式図であり、
図11(a)は屈曲前の状態を示し、
図11(b)は屈曲した状態を示す。
本実施形態に係る医療機器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る医療機器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る医療機器100と同様に構成されている。
【0046】
本実施形態の場合、湾曲領域15の先端(先端位置15b)と、第1操作線41及び第2操作線42の先端41a、42aとの間には、第1操作線41と第2操作線42とが互いに並列に延在している並列領域16が形成されている。
【0047】
すなわち、医療機器本体10の軸方向における先端部11には、湾曲領域15の先端側において第1操作線41と第2操作線42とが中間部12及び基端部13でのそれらの距離よりも近接して互いに並列に延在している並列領域16が形成されている。
並列領域16においては、第1中空管31と第2中空管32とが中間部12及び基端部13でのそれらの距離よりも近接して互いに並列に延在している。
【0048】
また、湾曲領域15の先端(先端位置15b)において、第1操作線41と第2操作線42とが樹脂管20の軸方向における中間部12及び基端部13よりも樹脂管20の周方向に小さい距離で近接しており、湾曲領域15の先端と、第1操作線41及び第2操作線42の先端41a、42aとの間には、第1操作線41と第2操作線42とが互いに近接して並列に延在している並列領域16が形成されている。
【0049】
本実施形態の場合、医療機器100は、湾曲領域15の先端部において樹脂管20に埋設されている環状部材を更に備えている。
環状部材は、樹脂管20よりも高剛性に構成されていて樹脂管20の肉厚よりも小さい外径に形成されている(
図10参照)。
そして、環状部材に第1操作線41と第2操作線42とが挿通されている。
これにより、第1操作線41及び第2操作線42の経路の変動をより確実に抑制することができる。
【0050】
ここで、共通の1つの環状部材に第1操作線41及び第2操作線42が挿通されていてもよいが、本実施形態の場合、樹脂管20には第1環状部材61及び第2環状部材62の2つの環状部材が埋設されており、第1環状部材61には第1操作線41が、第2環状部材62には第2操作線42が、それぞれ挿通されている。
【0051】
第1操作線41と第2操作線42とが相互に離間する限りにおいて、第1環状部材61と第2環状部材62とは相互に接していてもよい。本実施形態の場合、第1環状部材61と第2環状部材62とは医療機器本体10の周方向において互いに離間して配置されている。
【0052】
より詳細には、本実施形態の場合、環状部材に第1中空管31と第2中空管32とが挿通されている。湾曲領域15では、第1中空管31と第2中空管32とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している。
【0053】
ここで、共通の1つの環状部材に第1中空管31及び第2中空管32が挿通されていてもよいが、本実施形態の場合、樹脂管20には第1環状部材61及び第2環状部材62の2つの環状部材が埋設されており、第1環状部材61には第1中空管31が、第2環状部材62には第2中空管32が、それぞれ挿通されている。
【0054】
第1環状部材61及び第2環状部材62の材料は特に限定されないが、第1環状部材61及び第2環状部材62は、例えば、金属又は硬質樹脂などにより構成することができる。
【0055】
本実施形態の場合も、第1操作線41と第2操作線42との双方を牽引することによって、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、医療機器本体10の先端部11を屈曲させることができる。
このとき、湾曲領域15での屈曲角度よりも、並列領域16での屈曲角度の方がより急峻となる。
【0056】
一例として、医療機器本体10の軸方向において、湾曲領域15の基端(基端位置15a)から先端(先端位置15b)までの距離(
図9に示す距離L1)よりも、湾曲領域15の先端(先端位置15b)から第1操作線41及び第2操作線42の先端41a、42aまでの距離(
図9に示す距離L2)の方が長い。
このような構成によって、先端部11がより屈曲しやすいようにできる。
また、先端部11の屈曲は、主として並列領域16において生じるようにできる。このため、先端部11の屈曲角度にかかわらず、湾曲領域15における第1操作線41と第1中空管31との摩擦、及び第2操作線42と第2中空管32との摩擦を略一定に維持させることができるため、先端部11の屈曲角度にかかわらず、第1操作線41及び第2操作線42の牽引に要する力の大きさを略一定に維持させることができる。
【0057】
また、他の一例として、医療機器本体10の軸方向において、湾曲領域15の基端(基端位置15a)から先端(先端位置15b)までの距離(
図9に示す距離L1)の方が、湾曲領域15の先端(先端位置15b)から第1操作線41及び第2操作線42の先端41a、42aまでの距離(
図9に示す距離L2)よりも長い。
このような構成により、先端部11の屈曲性をある程度抑制することができる。
また、湾曲領域15における第1操作線41及び第2操作線42並びに第1中空管31及び第2中空管32の湾曲を緩やかにできるため、湾曲領域15における第1操作線41と第1中空管31との摩擦、及び第2操作線42と第2中空管32との摩擦を低減できる。
また、医療機器本体10の先端部11において第1中空管31と第2中空管32とが互いに近接して並進する長さ領域、つまり剛性が高い長さ領域が短くなるため、医療機器本体10の先端部11を屈曲させて分岐した体腔に進入させる際の良好な選択性(良好な血管選択性など)が得られる。
【0058】
なお、距離L1と距離L2とは同じでもよい。この場合、第1操作線41及び第2操作線42の牽引のスムーズさと、医療機器本体10の先端部11を屈曲させて分岐した体腔に進入させる際の良好な選択性と、をバランス良く得ることができる。
【0059】
〔第3実施形態〕
次に、
図12から
図18(c)を用いて第3実施形態に係る医療機器100を説明する。
図16(a)及び
図16(b)は医療機器本体10の先端部11を
図15の矢印A方向に視たときの屈曲動作を説明するための模式図であり、
図16(a)は屈曲前の状態を示し、
図16(b)は屈曲した状態を示す。
図16(c)及び
図16(d)は医療機器本体10の先端部11を
図15の矢印B方向に視たときの屈曲動作を説明するための模式図であり、
図16(c)は屈曲前の状態を示し、
図16(d)は屈曲した状態を示す。
図18(a)、
図18(b)及び
図18(c)においては、医療機器本体10の長手方向における途中部分を破断して省略している。
図18(a)、
図8(b)及び
図18(c)に示す医療機器本体10において、省略部分よりも基端側の部分と先端側の部分とでは、医療機器本体10の軸周りにおける回転位相が90度異なっている。
本実施形態に係る医療機器100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係る医療機器100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係る医療機器100と同様に構成されている。
【0060】
本実施形態の場合、医療機器本体10は、当該医療機器本体10の軸方向に沿って埋設されているとともに第3操作線43及び第4操作線44がそれぞれ挿通されている第3中空管33及び第4中空管34を含んで構成されている。
第3操作線43及び第4操作線44は、第1操作線41及び第2操作線42と同様に、それぞれ金属又は樹脂などの細線により構成されている。
第3中空管33及び第4中空管34は、第1中空管31及び第2中空管32と同様のサブルーメンチューブであり、これらサブルーメンチューブの内腔はサブルーメンである。すなわち、各操作線(第3操作線43、第4操作線44)は、サブルーメンに挿通されている。
第3中空管33及び第4中空管34の内径は、ルーメン21の内径よりも小さい。
【0061】
本実施形態の場合、医療機器本体10の中間部12においては、第1中空管31と第3中空管33とが互いに近接又は当接して並列に延在しているとともに、第2中空管32と第4中空管34とが互いに近接又は当接して並列に延在している(
図13参照)。
同様に、医療機器本体10の基端部においても、第1中空管31と第3中空管33とが互いに近接又は当接して並列に延在しているとともに、第2中空管32と第4中空管34とが互いに近接又は当接して並列に延在している。
【0062】
なお、医療機器本体10の中間部12及び基端部において、第1中空管31と第2中空管32とが医療機器本体10の周方向において180度未満の角度で離間している。このため、第1実施形態と比べて、第1中空管31及び第2中空管32からのサブ芯線の抜去が容易となる。
同様に、医療機器本体10の中間部12及び基端部において、第3中空管33と第4中空管34とが医療機器本体10の周方向において180度未満の角度で離間している。このため、第3中空管33及び第4中空管34からのサブ芯線の抜去も容易に行うことができる。
【0063】
医療機器本体10の先端部11の湾曲領域15では、第3中空管33と第4中空管34とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している。これにより、第3中空管33内の第3操作線43と第4中空管34内の第4操作線44とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲している。
湾曲領域15において第3中空管33及び第3操作線43が湾曲している方向は、第1中空管31及び第1操作線41が湾曲している方向と対称な方向である。
同様に、湾曲領域15において第4中空管34及び第4操作線44が湾曲している方向は、第2中空管32及び第2操作線42が湾曲している方向と対称な方向である。
なお、各中空管(第1中空管31、第2中空管32、第3中空管33及び第4中空管34)は、他の中空管と交差はしていない。また、各操作線(第1操作線41、第2操作線42、第3操作線43及び第4操作線44)は、他の操作線と交差はしていない。
【0064】
並列領域16においては、第1操作線41と第2操作線42とが互いに並列に延在しているのと同様に、第3操作線43と第4操作線44とが互いに並列に延在している。
また、並列領域16においては、第1中空管31と第2中空管32とが互いに並列に延在しているのと同様に、第3中空管33と第4中空管34とが互いに並列に延在している。
第3操作線43の先端43aは、第3中空管33の先端から突出している。同様に、第4操作線44の先端44aは、第4中空管34の先端から突出している。
【0065】
第3操作線43の先端43aは、例えば、スポット状の半田である第3固定部73によりマーカー70に対して固定されている(
図15)。
同様に、第4操作線44の先端44aは、例えば、スポット状の半田である第4固定部74によりマーカー70に対して固定されている。
第3固定部73及び第4固定部74は、例えば、マーカー70における基端側の端部に配置されている。
第3固定部73と第4固定部74とは医療機器本体10の周方向において互いに離間して配置されている。
第3固定部73及び第4固定部74が配置されている領域と、第1固定部71及び第2固定部72が配置されている領域とは、医療機器本体10の周方向において互いに対向している。
【0066】
図14に示すように、本実施形態の場合、医療機器100は、湾曲領域15の先端部において樹脂管20に埋設されている第3環状部材63及び第4環状部材64を備えている。第3環状部材63及び第4環状部材64は、第1環状部材61及び第2環状部材62と同様のものである。
第3環状部材63には第3中空管33が挿通されており、第4環状部材64には第4中空管34が挿通されている。
第3操作線43と第4操作線44とが相互に離間する限りにおいて、第3環状部材63と第4環状部材64とは相互に接していてもよい。本実施形態の場合、第3環状部材63と第4環状部材64とは医療機器本体10の周方向において互いに離間して配置されている。
第3環状部材63及び第4環状部材64が配置されている領域と、第1環状部材61及び第2環状部材62が配置されている領域とは、医療機器本体10の周方向において互いに対向している。
【0067】
本実施形態の場合も、第1操作線41と第2操作線42との双方を牽引することによって、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、医療機器本体10の先端部11を一方向に屈曲させることができる。
更に、本実施形態の場合は、第3操作線43と第4操作線44との双方を牽引することによって、
図16(c)及び
図16(d)に示すように、医療機器本体10の先端部11を上記一方向に対する反対方向に屈曲させることができる。
【0068】
図17及び
図18(a)に示すように、本実施形態の場合、屈曲操作部80は、第1操作線41及び第2操作線42の牽引により医療機器本体10の先端部11の屈曲操作を行うための第1屈曲操作部180と、第3操作線43及び第4操作線44の牽引により医療機器本体10の先端部11の屈曲操作を行うための第2屈曲操作部280と、を備えている。
【0069】
第1屈曲操作部180は、第1回転部材181、第1進退部材182、第1ピニオン183、第1ダイヤル操作部184及び第1ガイド185を備えている。第1回転部材181、第1進退部材182、第1ピニオン183、第1ダイヤル操作部184及び第1ガイド185は、第1実施形態で説明した回転部材81、進退部材82、ピニオン83、ダイヤル操作部84及びガイド85にそれぞれ相当する。
したがって、第1進退部材182は、保持部82a、棒状部82b及びラック部82cにそれぞれ相当する第1保持部182a、第1棒状部182b及び第1ラック部182cを備えている。
第1実施形態において回転部材81に対して第1操作線41及び第2操作線42が巻回及び固定されているのと同様に、第1回転部材181には、第1操作線41及び第2操作線42が巻回及び固定されている。
【0070】
第2屈曲操作部280は、第2回転部材281、第2進退部材282、第2ピニオン283、第2ダイヤル操作部284及び第2ガイド285を備えている。第2回転部材281、第2進退部材282、第2ピニオン283、第2ダイヤル操作部284及び第2ガイド285は、第1回転部材181、第1進退部材182、第1ピニオン183、第1ダイヤル操作部184及び第1ガイド185と同様のものである。
第2進退部材282は、第1保持部182a、第1棒状部182b及び第1ラック部182cとそれぞれ同様の第2保持部282a、第2棒状部282b及び第2ラック部282cを備えている。
第1回転部材181に対して第1操作線41及び第2操作線42が巻回及び固定されているのと同様に、第2回転部材281には、第3操作線43及び第4操作線44が巻回及び固定されている。
例えば、第2屈曲操作部280は、第1屈曲操作部180に対して、
図17において上下対称に配置されている。
【0071】
本実施形態の場合、第1ダイヤル操作部184を回転させて第1進退部材182及び第1回転部材181を後退させることにより、第1操作線41及び第2操作線42を牽引して、医療機器本体10の先端部11を一方向に屈曲させることができる(
図18(b))。
また、第2ダイヤル操作部284を回転させて第2進退部材282及び第1進退部材182を後退させることにより、第3操作線43及び第4操作線44を牽引して、医療機器本体10の先端部11を上記一方向に対する反対方向に屈曲させることができる(
図18(c))。
【0072】
このように、本実施形態の場合、医療機器100は、第3操作線43及び第4操作線44の牽引により、第1操作線41及び第2操作線42の牽引による医療機器本体10の先端部11の屈曲の方向とは異なる方向への医療機器本体10の先端部11の屈曲操作を行うための第2屈曲操作部280を備えている。
医療機器本体10の軸方向における中間部12及び基端部では、第3操作線43と第4操作線44とは医療機器本体10の周方向において互いに離間して並列に延在しており、湾曲領域15では、第3操作線43と第4操作線44とが先端側に向けて徐々に医療機器本体10の周方向において互いに近づくように湾曲しており、第3操作線43の先端43aと第4操作線44の先端44aとが医療機器本体10の周方向において互いに離間して医療機器本体10に固定されている。
【0073】
また、第2屈曲操作部280に対する操作により、第3操作線43と第4操作線44とが一度に牽引される。
【0074】
〔第4実施形態〕
次に、
図19(a)及び
図19(b)を用いて第4実施形態に係る医療機器100を説明する。
本実施形態に係る医療機器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る医療機器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る医療機器100と同様に構成されている。
【0075】
本実施形態の場合、医療機器本体10の先端部11の周方向において、第1操作線41と第2操作線42との間の領域、又は、医療機器本体10の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域には、当該医療機器本体10の屈曲性が局部的に高い易屈曲部110が形成されている。
これにより、先端部11の屈曲性が向上するので、屈曲操作時に第1操作線41及び第2操作線42に作用する張力を低減できる。よって、第1操作線41又は第2操作線42が近道をしようとして医療機器本体10が軸周りに回転する現象の発生をより一層抑制できる。
【0076】
より詳細には、
図19(b)に示すように、医療機器本体10の先端部11の周方向において、第1操作線41と第2操作線42との間の領域と、医療機器本体10の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域との双方に、易屈曲部110が形成されている。
これにより、先端部11の屈曲性が一層向上する。
【0077】
易屈曲部110は、医療機器本体10の外面側に形成された切欠形状部111を含んで構成されている。
切欠形状部111は、例えば、
図19(b)に示すように弧状に抉れた形状とすることができる。
これにより、先端部11をより急峻に屈曲させることができる。
【0078】
〔第5実施形態〕
次に、
図20(a)及び
図20(b)を用いて第5実施形態に係る医療機器100を説明する。
本実施形態に係る医療機器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る医療機器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る医療機器100と同様に構成されている。
【0079】
本実施形態の場合、医療機器本体10の先端部11の周方向において、第1操作線41と第2操作線42との間の領域、又は、医療機器本体10の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域には、当該医療機器本体10の屈曲性が局部的に高い易屈曲部110が形成されている。
これにより、先端部11の屈曲性が向上するので、屈曲操作時に第1操作線41及び第2操作線42に作用する張力を低減できる。よって、第1操作線41又は第2操作線42が近道をしようとして医療機器本体10が軸周りに回転する現象の発生をより一層抑制できる。
【0080】
より詳細には、
図20(b)に示すように、医療機器本体10の先端部11の周方向において、第1操作線41と第2操作線42との間の領域に、易屈曲部110が形成されており、医療機器本体10の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域には、易屈曲部110が形成されていない。
ただし、易屈曲部110は、医療機器本体10の先端部11の周方向において、第1操作線41と第2操作線42との間の領域と、医療機器本体10の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域との双方に形成されていてもよい。
【0081】
易屈曲部110は、医療機器本体10の外面側に形成された切欠形状部111を含んで構成されている。
本実施形態の場合、医療機器本体10は、当該医療機器本体10の軸方向において相互に隣接して配置された複数の切欠形状部111を有する。これら切欠形状部111は、医療機器本体10の周方向に長尺であり、断面形状が楔形である。
本実施形態の場合、医療機器本体10の先端部11は、屈曲の初期段階では容易に屈曲するが、ある程度の屈曲角度に達すると、楔形の傾斜面どうしが接することでそれ以上の屈曲はしにくくなる(ある程度の屈曲角度に達すると剛性が高くなる)。
このため、医療機器本体10の先端部11は、体腔に押し込まれる際において軸方向の圧縮に対する耐変形性が良好となるため、医療機器100の血管選択性が良好となる。
【0082】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0083】
上記の第1実施形態では、屈曲操作部80の回転機構がダイヤル操作部84である例を説明したが、屈曲操作部80の回転機構は、ダイヤル操作部84以外(例えば回転式のレバーなど)であってもよい。
また、上記の第1実施形態では、屈曲操作部80の変換機構がラック(ラック部82c)とピニオン83とを備えて構成されている例を説明したが、屈曲操作部80は、その他の変換機構(例えば、カム、リンク機構、又は、ピンと溝付きガイドなど)を備えて構成されていてもよい。
他の実施形態でも同様である。
【0084】
上記の各実施形態では、第1操作線41の基端部と第2操作線42の基端部とが個別に屈曲操作部80に固定されている例を説明したが、第1操作線41の基端と第2操作線42の基端とが相互に繋がっていて屈曲操作部80においてループ(例えば回転部材81に係合している部分でループ)していてもよい。
同様に、上記においては第3操作線43の基端部と第4操作線44の基端部とが個別に第2屈曲操作部280に固定されている例を説明したが、第3操作線43の基端と第4操作線44の基端とが相互に繋がっていて第2屈曲操作部280においてループ(例えば第2回転部材281に係合している部分でループ)していてもよい。
【0085】
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0086】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ルーメンを有する長尺な樹脂管と、前記樹脂管の軸方向に沿って埋設されているとともに第1操作線及び第2操作線がそれぞれ挿通されている第1中空管及び第2中空管と、を含んで構成されている長尺な医療機器本体と、
前記第1操作線及び前記第2操作線の牽引により前記医療機器本体の先端部の屈曲操作を行うための屈曲操作部と、
を備え、
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第1操作線と前記第2操作線とは前記医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在しており、
前記医療機器本体の軸方向における先端部には、
前記第1操作線と前記第2操作線とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している湾曲領域が形成されており、
前記第1操作線の先端と前記第2操作線の先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに離間して前記医療機器本体に固定されている医療機器。
(2)前記屈曲操作部に対する操作により、前記第1操作線と前記第2操作線とが一度に牽引される(1)に記載の医療機器。
(3)前記医療機器本体の軸方向における先端部には、前記湾曲領域の先端側において前記第1操作線と前記第2操作線とが前記中間部及び前記基端部での距離よりも近接して互いに並列に延在している並列領域が形成されている(1)又は(2)に記載の医療機器。
(4)前記医療機器本体の軸方向において、前記湾曲領域の基端から先端までの距離よりも、前記湾曲領域の先端から前記第1操作線及び前記第2操作線の先端までの距離の方が長い(3)に記載の医療機器。
(5)前記医療機器本体の軸方向において、前記湾曲領域の基端から先端までの距離の方が、前記湾曲領域の先端から前記第1操作線及び前記第2操作線の先端までの距離よりも長い(4)に記載の医療機器。
(6)当該医療機器は、前記湾曲領域の先端部において前記樹脂管に埋設されている環状部材を更に備え、
前記環状部材は、前記樹脂管よりも高剛性に構成されていて前記樹脂管の肉厚よりも小さい外径に形成されており、
前記環状部材に前記第1操作線と前記第2操作線とが挿通されている(3)から(5)のいずれか一項に記載の医療機器。
(7)前記環状部材に前記第1中空管と前記第2中空管とが挿通されており、
前記湾曲領域では、前記第1中空管と前記第2中空管とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している(6)に記載の医療機器。
(8)前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第1操作線と前記第2操作線とが前記医療機器本体の周方向において互いに対向する位置に配置されている(1)から(7)のいずれか一項に記載の医療機器。
(9)前記湾曲領域では、前記第1中空管と前記第2中空管とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲している(1)から(8)のいずれか一項に記載の医療機器。
(10)前記屈曲操作部は、
回転可能に軸支されている回転部材であって、前記第1操作線及び前記第2操作線が係合しているとともに前記第1操作線の基端部と前記第2操作線の基端部とが固定されている回転部材と、
前記回転部材を前記第1操作線及び前記第2操作線を牽引する牽引方向、及び、前記牽引方向に対する反対方向に移動させる移動機構と、
を備えて構成されている(1)から(9)のいずれか一項に記載の医療機器。
(11)前記医療機器本体の先端部の周方向において、前記第1操作線と前記第2操作線との間の領域、又は、前記医療機器本体の軸心を間に挟んで当該領域の反対側に位置する領域には、当該医療機器本体の屈曲性が局部的に高い易屈曲部が形成されている(1)から(10)のいずれか一項に記載の医療機器。
(12)前記易屈曲部は、前記医療機器本体の外面側に形成された切欠形状部を含んで構成されている(11)に記載の医療機器。
(13)前記医療機器本体は、当該医療機器本体の軸方向に沿って埋設されているとともに第3操作線及び第4操作線がそれぞれ挿通されている第3中空管及び第4中空管を含んで構成されており、
当該医療機器は、前記第3操作線及び前記第4操作線の牽引により、前記第1操作線及び前記第2操作線の牽引による前記医療機器本体の先端部の屈曲の方向とは異なる方向への前記医療機器本体の先端部の屈曲操作を行うための第2屈曲操作部を備え、
前記医療機器本体の軸方向における中間部及び基端部では、前記第3操作線と前記第4操作線とは前記医療機器本体の周方向において互いに離間して並列に延在しており、
前記湾曲領域では、前記第3操作線と前記第4操作線とが先端側に向けて徐々に前記医療機器本体の周方向において互いに近づくように湾曲しており、
前記第3操作線の先端と前記第4操作線の先端とが前記医療機器本体の周方向において互いに離間して前記医療機器本体に固定されている(1)から(12)のいずれか一項に記載の医療機器。
(14)前記第2屈曲操作部に対する操作により、前記第3操作線と前記第4操作線とが一度に牽引される(13)に記載の医療機器。
【符号の説明】
【0087】
10 医療機器本体
11 先端部
12 中間部
13 基端部
15 湾曲領域
15a 基端位置
15b 先端位置
16 並列領域
20 樹脂管
21 ルーメン
22 内層
23 外層
31 第1中空管
31a 先端
32 第2中空管
32a 先端
33 第3中空管
34 第4中空管
41 第1操作線
41a 先端
42 第2操作線
42a 先端
43 第3操作線
43a 先端
44 第4操作線
44a 先端
51 ブレード層
52 巻回ワイヤ
61 第1環状部材
62 第2環状部材
63 第3環状部材
64 第4環状部材
70 マーカー
71 第1固定部
72 第2固定部
73 第3固定部
74 第4固定部
80 屈曲操作部
81 回転部材
81a 第1固定部
81b 第2固定部
82 進退部材(移動機構)
82a 保持部
82b 棒状部
82c ラック部
83 ピニオン(移動機構)
84 ダイヤル操作部
85 ガイド
86 筐体
180 第1屈曲操作部
181 第1回転部材
182 第1進退部材(移動機構)
182a 第1保持部
182b 第1棒状部
182c 第1ラック部
183 第1ピニオン(移動機構)
184 第1ダイヤル操作部
185 第1ガイド
280 第2屈曲操作部
281 第2回転部材
282 第2進退部材(移動機構)
282a 第2保持部
282b 第2棒状部
282c 第2ラック部
283 第2ピニオン(移動機構)
284 第2ダイヤル操作部
285 第2ガイド
90 ハブ
92 羽部
93 連結部
100 医療機器
110 易屈曲部
111 切欠形状部