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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】配布物作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/015 20230101AFI20240329BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240329BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240329BHJP
【FI】
G06Q30/015
G06F3/12 303
G06F3/12 343
G06F3/12 350
G06Q30/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019103268
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197877
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宣親
(72)【発明者】
【氏名】西村 博一
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-233543(JP,A)
【文献】特開2016-032903(JP,A)
【文献】特開2010-157131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配布対象者に商品の購入を惹起させる配布物を作成する配布物作成システムであり、
配布対象者のステータスに応じた配布対象者の重要度情報、並びに、
配布対象者のステータス及び前記配布対象者の重要度情報の少なくとも一方に応じた、配布物に印刷される情報である配布物への印刷情報、の少なくとも一方に基づいて、
重要度の高い配布対象者に大きい印刷用紙が割り当てられ、重要度の低い配布対象者に小さい印刷用紙を割り当てられるように、印刷面の大きさが異なる複数種類の印刷用紙データから、印刷に適した大きさの印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段と、
前記配布対象者の重要度情報、前記配布物への印刷情報、及び前記印刷用紙決定手段で決定された印刷用紙、の少なくとも一つに基づいて、
配達料金の異なる複数の配布物のサイズの中から配布物のサイズを決定するサイズ決定手段と、を有し、
前記印刷情報には、配布対象者のステータス及び前記配布対象者の重要度情報の少なくとも一方に応じた商品情報が含まれる、
ことを特徴とする、配布物作成システム。
【請求項2】
配布対象者に商品の購入を惹起させる配布物を作成する配布物作成システムであり、
配布対象者のステータスに応じた配布対象者の重要度情報、並びに、
配布対象者のステータス及び前記配布対象者の重要度情報の少なくとも一方に応じた、配布物に印刷する情報である配布物への印刷情報、の少なくとも一方に基づいて、
配達料金の異なる複数の配布物のサイズの中から、重要度が高い場合に定型外郵便料金である配布物のサイズに決定するように、配布物のサイズを決定するサイズ決定手段を有し、
前記印刷情報には、配布対象者のステータス及び前記配布対象者の重要度情報の少なくとも一方に応じた商品情報が含まれる、
ことを特徴とする配布物作成システム。
【請求項3】
前記配布対象者の重要度情報、前記配布物への印刷情報、及び前記サイズ決定手段で決定された配布物のサイズ、の少なくとも一つに基づいて、
印刷面の大きさが異なる複数種類の印刷用紙データから、印刷に適した大きさの印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段、
を有する請求項2記載の配布物作成システム。
【請求項4】
前記印刷用紙及び前記配布物のサイズに基づいて、印刷情報の配置を決定する印刷情報配置手段を有する、請求項1又は3記載の配布物作成システム。
【請求項5】
配布対象者のステータスに応じて配布対象者の重要度を決定する重要度情報決定手段と、
配布対象者のステータス及び前記配布対象者の重要度情報の少なくとも一方に基づいて、前記配布物への印刷情報を決定する印刷情報決定手段と、
を有する請求項1~4の何れか1項に記載の配布物作成システム。
【請求項6】
印刷情報を印刷する印刷手段を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の配布物作成システム。
【請求項7】
配布物の送付先情報と配布物の発送元情報とに基づいて、配布物の印刷順を決定する配布物印刷順決定手段を有する、請求項1~6の何れか1項に記載の配布物作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトメール、パンフレット等のアナログ媒体に係る配布物を作成する配布物作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインモールやECサイトでは、利用者の約70%にカート落ち、かご落ち(以下「カート落ち」という)が発生するといわれる。
【0003】
カート落ちとは、ECサイト等において、注文のためにウェブサイト上にある仮想のカートに商品を入れる操作を行った後、その注文を確定せずにカート内に商品が入ったままとなっている状態をいう。
【0004】
このようなカート落ちを発生させている者に対しては、カート落ちが発生してから一定期間内に、電子メール等のデジタル媒体により商品の購入を促すことが行われているが、さらに、デジタル媒体以外による顧客への販促活動、例えば、紙媒体などのアナログ媒体によるダイレクトメール(以下「DM」という)の発送などの活動が、カート落ちさせた商品購入意欲を効果的に再惹起させる。
【0005】
一方で、ウェブサイト上やネットワーク上の端末から入力された情報に基づいて、DM等の配布物の内容を自動的に異なるようにする技術がある(下記特許文献1~3)。
【0006】
特許文献1の技術は、ECサイトに登録された顧客のステータスに応じてDMの情報を異なるようにする。例えば、ECサイトにID等を登録した後に、商品の購入が行われない場合に、ID登録からの経過期間に応じてDMの内容を自動的に変更する。また、前回購入した商品に応じてDMの内容を自動的に変更する。
【0007】
特許文献2の技術は、ウェブサイトから入力された地理的情報に基づいてDMの内容を変更する。
【0008】
特許文献3の技術は、複数の支店を有する事業体において、顧客を管轄する各支店の端末から当該顧客のニーズに応じた内容のDMを簡易に作製できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許6186391号
【文献】特開2016-45844号公報
【文献】特開2002-163249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献に開示される技術は、ウェブサイト上やネットワーク上の端末から入力された情報に応じて、DMの内容を変更するが、上記のカート落ち等を発生させている者に対する商品購入意欲を効果的に再惹起させるような配布物の生成やそのコストが考慮されていない。例えば、カート落ちを発生させている者の顧客重要度に応じてDMとなるアナログ媒体自体の仕様変更、配布物にかけるコストの差別化が考慮されていない。
【0011】
アナログ媒体である配布物が同一サイズのハガキに限定されている場合には、そこに記載する情報を差別化しても配布物自体に対する注目度、開封率がさほど変化しないため、特許文献に記載の技術では、カート落ちを発生させている者に対する商品購入意欲を効果的に再惹起させるには不十分である。
【0012】
また、購入回数の多い重要度の高い顧客とそうでない顧客とに同一の発送料金の配布物を発送するのは効率的ではない。特に、発送料金は、ダイレクトメールにおける主要なコストである。
【0013】
そこで、本発明の主たる課題は、通信販売などのECサイト等を利用する配布物の配布対象者に対して、商品購入意欲を再惹起させるに効果的なDM等の配布物を、配布対象者の重要度を考慮して、適切なコストで作成することができる配布物作成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決した第一の手段は、
配布対象者のステータスに応じた配布対象者の重要度情報及び配布物への印刷情報の少なくとも一方に基づいて、複数種類の印刷用紙データから印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段、を有することを特徴とする、配布物作成システムである。
【0015】
本手段では、配布物対象者の重要度等に基づいて自動的又は手動で印刷用紙が決定されるため、重要度の高い配布対象者に情報量を多くできる大きい印刷用紙を割り当て、また、重要度の低い配布対象者に情報量を多くしなくともよい小さい印刷用紙を割り当てることができ、配布対象者に重要度に応じて、適切な印刷用紙のコストに調整することができる。なお、印刷用紙の決定は、自動で行われるのが望ましい。
【0016】
第二の手段は、
前記配布対象者の重要度情報、前記配布物へ印刷情報、及び前記印刷用紙決定手段で決定された印刷用紙の少なくとも一つに基づいて、配布物のサイズを決定するサイズ決定手段を有する上記第一に係る配布物作成システムである。
【0017】
本手段では、配布対象者の重要度に基づいて配布物のサイズが自動的又は手動で決定される。配布物のサイズは郵送の際の配送料金に関わるため、本手段によれば、配布対象者に重要度に応じて、適切な郵送コストに調整することができる。なお、サイズの決定は、自動で行われるのが望ましい。
【0018】
第三の手段は、
前記配布対象者のステータスに応じた配布対象者の重要度情報及び配布物へ印刷情報の少なくとも一つに基づいて、配布物のサイズを決定するサイズ決定手段、を有することを特徴とする配布物作成システムである。
【0019】
第二の手段と同様に配布対象者に重要度に応じて、適切な郵送コストに調整することができる。
【0020】
第四の手段は、
前記配布対象者の重要度情報、前記配布物へ印刷情報、及び前記サイズ決定手段で決定された配布物のサイズの少なくとも一つに基づいて、複数種類の印刷用紙データから印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段を有する上記第三に係る配布物作成システムである。
【0021】
第一の手段と同様に、配布対象者の重要度に応じて、適切な印刷用紙のコストに調整することができる。
【0022】
第五の手段は、
前記印刷用紙及び前記配布物のサイズに基づいて、印刷情報の配置を決定する印刷情報配置手段を有する、上記第2又は第4の手段に係る配布物作成システムである。
【0023】
本手段によれば、印刷用紙と配布物のサイズに応じて印刷情報が自動的又は手動で配置されるため、配布対象者に対して伝えたい情報を適切な位置に配置することができる。なお、印刷情報の配置は自動で行われるのが望ましい。
【0024】
第六の手段は、
配布対象者のステータスに応じて配布対象者の重要度を決定する重要度情報決定手段と、配布対象者のステータス及び前記重要度情報の少なくとも一方に基づいて配布物への印刷情報を決定する印刷情報決定手段と、を有する上記第一~第五の手段に係る配布物作成システムである。
【0025】
本手段によれば、配布対象者の重要度と印刷情報が自動的又は手動で決定されるため、適切な情報が選択できる。なお、重要度情報と印刷情報は自動で決定されるのが望ましい。
【0026】
第七の手段は、
印刷情報を印刷する印刷手段を有する、上記第一~第六の手段に係る配布物作成システムである。
本手段によれば印刷手段により配布物を印刷することができる。
【0027】
第八の手段は、
配布物の送付先情報と配布物の発送元情報とに基づいて、配布物の印刷順を決定する配布物印刷順決定手段を有する、上記第一~第七の手段に係る配布物作成システムである。
【0028】
本手段によれば、郵送に時間を要する遠方の配布対象者を先に印刷したり、また、重要度の高い配布対象者を優先して、配布物を生成することができ、適切な配布時期に調整することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、通信販売などのECサイト等を利用する配布物の配布対象者に対して、商品購入意欲を再惹起させるに効果的なDM等の配布物を、配布対象者の重要度を考慮して、適切なコストで作成することができる配布物作成システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の配布物作成システムの概要を説明するための概略図である。
図2】本発明の他の配布物作成システムの概要を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次いで、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳述する。図1は、本形態に係る配布物作成システムの概要を説明するための概略図である。
【0032】
図1に示されるように、本発明に係る配布物作成システム1は、ECサイト2内における重要度情報決定手段21で決定された配布対象者の重要度情報D1及びECサイト2内における印刷情報決定手段22で決定された配布物への印刷情報D2の少なくとも一方の情報、さらにその後の好ましい処理を行ったのち、複数種類の印刷用紙データから自動的に印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段13を有している。
【0033】
ここで、配布対象者の重要度情報D1は、顧客情報管理手段20等において管理される配布対象者のステータスD0に応じて決定されればよく、配布物への印刷情報D2は、前記重要度情報D1及び配布対象者のステータスD0の少なくとも一方に基づいて決定されればよい。
【0034】
なお、配布対象者の重要度情報D1及び配布物への印刷情報D2の特定は、ECサイト内等本発明の配布物作成システム外で行われる場合には、その手段が限定されるものではない。
【0035】
本発明に係る配布物作成システム1は、一又は複数の配布物30を自動的に作成するシステムであるが、好ましくは、多数の配布物31,32,33を作成するのに適する。
【0036】
本発明にかかる配布物30とは、ダイレクトメール、パンフレット等のアナログ媒体である。サンプル商品を包装した包装物であってもよい。本形態は、主に配布対象者に商品の購入を惹起させるダイレクトメールを例に説明する。
【0037】
本発明に係る配布対象者とは、ダイレクトメール等の配布物を配布する者であり、例えば、オンラインモールやECサイトに登録した者や顧客である。
【0038】
本発明に係る配布対象者のステータスD0とは、例えば、オンラインモールやECサイトに登録した者や顧客の過去の購入金額、購入履歴、商品購入頻度、購入物、住所、商品配送先として登録された住所、さらには、商品をECサイト等の仮想カートにいれた日時、カート落ちしている期間等の配布対象者を特徴づける情報である。図示の形態では、配布対象者のステータスは、ECサイト利用者のPC3、3…からインターネット等のネットワークN1を介して入力された情報等を管理する顧客情報管理手段20に記憶されるようなっており、この顧客情報管理手段20に記憶された配布対象者のステータスD0に基づいて重要度情報D1等が決定される。
【0039】
配布対象者の重要度情報D1は、ECサイト等から見た顧客や登録者の重要度に係る情報であり、前記ステータスに基づくRFM分析によるランク情報等、前記一又はそれ以上の前記ステータスから決定される情報である。過去の購入金額が高い顧客や購入頻度が高い顧客ほど重要度を高く設定した情報等である。なお、RFM分析とは顧客分析の一種であり、最近の購入日、来店頻度、購入金額を指標して顧客をランク付けする分析手法である。
【0040】
配布物への印刷情報D2とは、例えば、ECサイトの登録者や顧客のカート落ちしている商品や過去に購入した商品と同等・類似の商品やおすすめ商品、リニューアル商品に係る説明、写真等の商品情報、さらに配布対象者の配布先情報を含むことができる。また、カラー印刷とするかモノクロ印刷とするか、写真画像印刷を行うか等の情報を含むことができる。この印刷情報D2は、配布対象者のステータスD0及び配布対象者の重要度情報D1の少なくとも一方に基づいて定めることができ、重要度が高い配布対象者では複数の商品の情報を含むように決定される。
【0041】
本発明に係る配布物作成システム1においては、配布対象者のステータスD0に応じた配布対象者の重要度情報D1、及び配布物への印刷情報D2の各情報の生成については、ECサイト等の本発明の配布物作成システム外において作成されたものでよく、ECサイト等における顧客管理情報手段20に記憶されたステータスD0の必要な事項をRFM分析した結果等であってよい。
【0042】
本発明に係る配布物作成システム1は、好ましくは、ECサイト等において作成された、配布対象者のステータスD0に応じた配布対象者の重要度情報D1及び配布物への印刷情報D2を、電子的に受け入れるように、上記ECサイト等における重要度情報D1や印刷情報D2を決定したり管理するPCやサーバ等の電子端末と、インターネット等の通信網ネットワークN2により接続され、定期的又は経時的に前記重要度情報D1及び印刷情報D2を取得できるようにされているのが望ましい。
【0043】
より好ましくは、自動的に前記重要度情報D1及び印刷情報D2を取得できるようにされているのがよい。このようにすれば、ECサイト等において作成された重要度情報D1及び印刷情報D2を迅速に取得してダイレクトメールDMを作製することが可能となる。
【0044】
ただし、本発明に係る配布物作成システム1内に情報入力端末を有して、ECサイト等より帳簿等の紙媒体、USBメモリ等の電子媒体を介して取得した配布対象者の重要度情報D1及び配布物への印刷情報D2を入力するようにしてもよい。
【0045】
他方で、本発明に係る配布物作成システム1の他の形態として、図2に示すように、配布物作成システム1内に、配布物を配布する配布対象者のステータスD0に応じた配布対象者の重要度情報D1を自動的に決定する重要度情報決定手段11と、配布対象者のステータスD0及び前記重要度情報D1の少なくとも一方に基づいて配布物への印刷情報D2を決定する印刷情報決定手段12とを有するようにしてもよい。この場合にも、ECサイト等における配布対象者のステータス等の顧客情報を管理する顧客情報管理手段20と、インターネット等の通信網ネットワークN2により接続されているのが望ましい。
【0046】
ここで、本発明に係る配布物作成システム1は、特徴的に、複数種類の印刷用紙データから自動的に印刷用紙を決定する印刷用紙決定手段13を有する(図中、印刷用紙決定手段で決定された印刷用紙に係る情報をD3と示す)。この印刷用紙決定手段13は、印刷業者等における上記処理を行うソフトウェアが組み込まれたPC等の端末でよく、データベース化等された複数種類の印刷用紙データから重要度情報D1及び印刷情報D2の少なくとも一方に基づいて印刷用紙を決定する。例えば、ハガキサイズ、ハガキ二面分サイズ、A4規格、A3規格等の印刷用紙データから重要度情報に応じて一枚の印刷用紙を決定する。この際、配布対象者の重要度情報D1に基づき、重要度が高いとされる配布対象者については、印刷面の広い印刷用紙を決定し、重要度情報D1において重要度が低いとされる配布対象者には、印刷面の狭い印刷用紙を決定するなどする。また、重要度情報D1に基づいて多くの印刷情報D2を印刷する場合には印刷面の広い印刷用紙を決定し、重要度情報D1に基づく判断により印刷する情報が少ない場合に、印刷面の狭い印刷用紙を決定するなどする。
【0047】
このように本発明に係る配布物作成システム1では、配布対象者の重要度に応じた適切な印刷用紙が決定されるため、配布対象者の重要度に応じた適切なCPOでダイレクトメールの作成が可能となる。
【0048】
さらに、本発明に係る配布物作成システム1は、配布対象者のステータスD0に応じた配布対象者の重要度情報D1、配布物へ印刷情報D2、及び印刷用紙決定手段13で決定された印刷用紙の少なくとも一つに基づいて、自動的に配布物のサイズを決定するサイズ決定手段14を有するのが望ましい(図中、サイズ決定手段14で決定された配布物のサイズに係る情報をD4と示す)。
【0049】
配布物のサイズとは、例えば、葉書サイズ、パンフレットサイズ等、主に郵便料金などの配達料金に基づくサイズである。このサイズ決定手段では、印刷用紙決定手段13でハガキ二面分サイズの用紙が決定された場合に、そのサイズのままとするのか、圧着ハガキなど二つ折した葉書一枚サイズとするのかなどを決定する。このサイズ決定手段13によって決定される配布物のサイズは、配布対象者が配布物を受け取った際の印象と配達料金に影響する。したがって、本発明に係る配布物作成システム1では、さらに、サイズ決定手段14を有することで、配布対象者の重要度に応じた適切な配達料金とすることができ、より配布対象者の重要度に応じた適切なCPOでダイレクトメールの作成が可能となる。
【0050】
本発明に係る配布物作成システム1は、印刷用紙と配布物のサイズとに基づいて、複数の印刷情報D2の配置を決定する印刷情報配置手段15を有するのが望ましい。
【0051】
印刷情報D2の配置は、印刷情報D2の印刷紙面への面付であり、配布対象者の配達先情報やECサイトの顧客等へ案内する複数の商品情報等の配置を決定する。例えば、ECサイトの顧客がカート落ちしているのであれば、印刷用紙及び配布物のサイズに応じて、その商品の詳細説明やカート落ちしている旨の印刷情報を最も視認しやすい位置、その商品に類似や関係する商品の情報を他の位置に配置するように決定する。また、配布対象者の配達先が適切な位置に印刷されることを含んでもよい。
【0052】
本発明に係る配布物作成システム1は、印刷情報D2を印刷する印刷手段17を有するのが望ましい。印刷手段17は、公知の業務用、家庭用の印刷機とすることができ、カット紙に限らず、輪転機を用いた印刷も可能である。その方式は限定されるものではない。また、印刷情報D2をオンデマンドで適宜に自動的に印刷できるものが望ましい。
【0053】
この印刷手段は、上記の印刷用紙決定手段で決定された印刷用紙、サイズ決定手段で決定された配布物のサイズ、印刷情報配置手段で決定された印刷情報の配置に係るデータに基づいて、印刷を実行する。この印刷手段における印刷の実行により、配布物30が、特に重要度の高い顧客向けダイレクトメール31、重要度中程度の顧客向けダイレクトメール32、重要度の低い顧客向けダイレクトメール33となるように作成される。
【0054】
本発明に係る配布物作成システム1は、さらに、配布物の送付先情報と配布物の発送元情報とに基づいて、配布物の印刷の順を決定する配布物印刷順決定手段16を有するのが望ましい(図中、配布物印刷順決定手段16で決定された印刷順に係る情報をD6と示す)。配布物の送付先情報は配布対象者のステータスD0からネットワークを介して取得できるのが望ましく、同様に、配布物の発送元情報は、配布物の発注者となるECサイト等又は印刷業者等において取得できるようになっているのが望ましい。配布物印刷順決定手段16では、配送物の送付先情報と発送元情報とを対比し、さらに必要に応じて配達機関における配達に係る情報と対比して、例えば、発送元から最も遠方の配送先から印刷を行うように決定する。これにより、到着日は遠方であっても近辺であっても同日にダイレクトメールが到着するように調整可能となる。
【0055】
なお、以上説明の形態では、印刷用紙を先に決定したのちに、配布物のサイズを決定するようにしたが、配布対象者のステータスに応じた配布対象者の重要度情報、前記重要度情報に基づく配布物へ印刷情報、及び前記サイズ決定手段で決定された配布物のサイズの少なくとも一つに基づいて、印刷用紙を決定するように、先に配布物のサイズを決定してから、印刷用紙を決定するようにしてもよい。この場合、図1及び図2中において符号13がサイズ決定手段、符号14が印刷用紙決定手段となる。また、図示はしないが、各手段において、配布対象者のステータスD0を参考にすることができる。
【0056】
さらに、本発明の配布物作成システムの第一の処理フローを、ECサイトでカート落ちが発生している複数の顧客に対してダイレクトメールを作成する例にして説明する。
【0057】
まず、ECサイト内におけるカート落ちしてから所定期間経過した複数の顧客をECサイトのアクセスログなどから自動取得して配布物対象者とし、ECサイト内の適宜のシステム又は本発明に係る配布物作成システムにおける重要度情報決定手段11,21において、配布対象者のステータスD0を最近の購入日、来店頻度、購入金額としてRFM分析を行い、各顧客をランク付けした配布対象者の重要度情報D1を生成する。ここでは、顧客の重要度を高、中、低の3ランクに分けた情報を重要度情報D1とする(ステップ1)。
【0058】
次いで、ECサイト内の適宜のシステム又は本発明に係る配布物作成システム1における印刷情報決定手段12,22において、重要度情報D1において重要度が高い場合に、ステータスD0に基づきカート落ちした商品及び複数の他の複数のおすすめ商品の商品情報を印刷情報D2として決定する。また、重要度情報D1において重要度が中程度の場合に、カート落ちした商品及び一つのおすすめ商品の商品情報を印刷情報D2として決定する。また、重要度情報において重要度が低い場合に、カート落ちした商品の商品情報を印刷情報D2として決定する(ステップ2)。
【0059】
次いで、印刷用紙決定手段13において、重要度情報において重要度が高い場合に、定型外郵便料金であるA3規格(A4パンフレット二面分)の印刷用紙を決定し、重要度情報において重要度が中程度の場合に、定型内郵便サイズ(235mm×120mm)の印刷用紙を決定し、重要度情報において重要度が低い場合に、葉書サイズ゛(105mm×150m)の印刷用紙を決定する。この印刷用紙の決定により印刷情報量及び配送コストが差別化される(ステップ3-1)。
【0060】
また、印刷用紙決定手段13においては、印刷情報D2の情報量に応じて印刷用紙を決定することができる。印刷情報D2がカート落ちした商品及び複数の他の複数のおすすめ商品の商品情報のように情報量が多い場合には、A3規格の印刷用紙を決定し、印刷情報が、カート落ちした商品及び一つのおすすめ商品の商品情報のように中程度の場合には、定型内郵便サイズの印刷用紙を決定し、印刷情報が、カート落ちした商品の商品情報をのみと少ない場合には、葉書サイズの印刷用紙を決定する(ステップ3―2)。この印刷情報に基づく印刷用紙の決定は、上記の重要度情報D1に基づく決定とともに、または、単独で行うことができる。
【0061】
次に、サイズ決定手段14において、重要度情報D1における重要度が高く、印刷情報D2の情報量が多く、また、印刷用紙がA3規格と決定されている場合に、配布物のサイズをA4版に決定し、折り畳まれて、見開いて使用するA4タイプのダイレクトメールに決定する。また、重要度情報D1における重要度が中程度で、印刷情報の情報量が多く、また、印刷用紙が定型内郵便サイズと決定されている場合に、配布物の定型内郵便サイズに決定し、表裏一枚の枚葉のダイレクトメールに決定する。さらに、重要度情報D1における重要度が低く、印刷情報の情報量が少なく、また、印刷用紙が葉書サイズと決定されている場合に、配布物のサイズを葉書サイズに決定し、表裏一枚の葉書のダイレクトメールに決定する。このサイズ決定手段14は、配布対象者の重要度情報D1、配布物へ印刷情報D2、前記印刷用紙決定手段13で決定された印刷用紙の少なくとも一つに基づいて決定される(ステップ4)。
【0062】
次に、印刷情報配置手段15において、印刷用紙と配布物のサイズとに基づいて、面付けとも称される印刷情報D2の配置を決定する。重要度が高く、印刷用紙決定手段でA3規格の印刷用紙に決定され、サイズ決定手段においてA4サイズのダイレクトメールが決定されている場合に、印刷情報D2のうち最も重要な情報を宛名情報に近い前面や裏面に配置したり、顧客だけが欲しい秘匿性の高い有用情報を見開き内面に配置するよう決定する。同様に、印刷用紙決定手段13で定型内郵便サイズの印刷用紙に決定され、サイズ決定手段において定型内郵便サイズのダイレクトメールが決定されている場合に、宛名情報と印刷情報D2の配置を決定する。同様に、印刷用紙決定手段13で葉書サイズの印刷用紙に決定され、サイズ決定手段において葉書サイズのダイレクトメールが決定されている場合に、宛名情報と印刷情報D2の配置を決定する(ステップ5)。
【0063】
なお、この印刷情報配置手段15においては、A0サイズ等の大きい用紙に1枚に対して、印刷用紙決定手段13において決定された印刷用紙が裁断によって得られるように印刷情報を配置するようにしてもよい。例えば、A0規格であれば、裁断によって4枚のA3規格の印刷用紙、4枚のA4規格の印刷用紙、8枚のA5規格の印刷用紙を得ることができる。この例では、一枚の大きな用紙から複数のダイレクトメールを作製でき、特に印刷機における用紙交換を少なくし、効率的にダイレクトメールを作製することができる。
【0064】
他方で、配布対象者のステータスの一つとしての配布物の送付先情報と配布物の発送元情報とに基づいて、配布物印刷順決定手段において、配布物の印刷の順を決定する。このとき、ダイレクトメールの発送元であるECサイト又は印刷業者における発送元住所である発送元情報と、ダイレクトメールの送付先である顧客住所とを対比して、郵送に時間を要する遠方の配布対象者を先に印刷するように決定する。
【0065】
次に、顧客毎に、印刷情報、印刷用紙、ダイレクトメールのサイズ、印刷情報の配置、印刷順が決定されている場合に、その他の印刷における公知の情報ととともに、印刷手段17において印刷を実行する。印刷の実行は、複数の印刷機に対して行うようにしてもよい。また、裁断によって複数の規格の印刷用紙が得らえる一枚の大きな印刷用紙に対して印刷を行うようにしてもよい。この場合には、印刷後に裁断工程を経て個々のダイレクトメールとする。
【0066】
かくして、ECサイトの顧客に対して、商品購入意欲を再惹起させるに効果的なDM等の配布物30を、重要度が高い顧客用のA4版ダイレクトメール31と、重要度が中程度の定型内郵便料金の枚葉のダイレクトメール32と、重要度が低い葉書サイズのダイレクトメール32として、自動的に一度に作成され、利用者の顧客重要度に基づいて、紙面サイズ及び配達料金の異なるダイレクトメールが作成でき、適切なCPOでダイレクトメールが作製される。
【0067】
ここで、上記処理フローは、印刷用紙決定手段において印刷用紙が決定された後に、配布物のサイズを決定するように処理しているが、配布物のサイズを先に決定し、その後に印刷用紙を決定するように処理してもよい。
【0068】
なお、上記の実施形態は、顧客重要度を高、中、低の3つのランクに分けた顧客重要度情報としているが、それ以上の5ランクに分けるようにしてもよいし、また、印刷用紙や配布物のサイズに対しても上記の形態に限定されるわけではない。
【符号の説明】
【0069】
1…配送物作成システム、2…ECサイト,3…顧客端末、20…顧客情報管理システム、11,21…重要度決定手段、12,22…印刷情報決定手段、13…印刷用紙決定手段、14…サイズ決定手段、15…印刷情報配置手段、16…配布物印刷順決定手段、17…印刷手段、N1~N2…通信網(通信ネットワーク)。
30,31、32、33…配布物、D0…配布対象者のステータス、D1…重要度情報、D2…印刷情報、D3…印刷用紙情報、D4…配布物のサイズ情報、D6…印刷順情報。
図1
図2