(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】多目的塵軽減システム
(51)【国際特許分類】
B64G 6/00 20060101AFI20240329BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20240329BHJP
A41D 19/00 20060101ALI20240329BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240329BHJP
D03D 15/533 20210101ALI20240329BHJP
【FI】
B64G6/00
A41D13/08 102
A41D13/08 104
A41D19/00 A
D03D1/00 Z
D03D15/533
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019126602
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-07-06
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マヤプー, カビャ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペルツ, レオラ
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008261(JP,A)
【文献】特表2007-510815(JP,A)
【文献】川本広行,“静電場における粒子のダイナミクスとその宇宙技術への応用”,静電気学会誌,2012年12月10日,Vol.36,No.6,p. 326-331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 6/00
A41D 13/08
A41D 19/00
D03D 1/00
D03D 15/513
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多目的塵軽減システム(「MDMS」)であって、
指セクション(302、502)、
前記指セクションに物理的に取り付けられた手セクション(304、510)、
前記指セクションと前記手セクションの両方の範囲内の生地材料であって、前面(1304)と裏面(1306)を含む生地材料、
前記生地材料の範囲内の複数の導電繊維(1308)であって、前記生地材料に沿って略平行であり且つ前記生地材料の前記前面に略隣接している複数の導電繊維、
前記複数の導電繊維と信号で通信する入力信号源(1318)、
前記入力信号源(1318)と信号で通信するMDMSコントローラ(2801)、及び
前記生地材料に略隣接した複数の入力ノード(1310)であって、前記複数の導電繊維(1308)と信号で通信し且つ
前記入力信号源(1318)から交流(「AC」)電圧信号(1316)を受信するように構成されている複数の入力ノードを備え、
前記複数の導電繊維(1308)が、前記複数の入力ノードが前記入力信号源から前記AC電圧信号を受信したことに応答して、前記生地材料の前記前面上に電場を生成するように構成されており、
前記複数の導電繊維(1308)が、第1の方向において前記生地材料に沿って略平行であり、且つ前記第1の方向を略横切る第2の方向において前記生地材料の前記前面に沿った定常波
及び進行波のうちの一方を前記電場から生成するように構成されて
おり、
前記MDMSコントローラ(2801)が、
前記複数の導電繊維に送信される単相AC信号を前記入力信号源に生成させて、前記定常波を生成することにより、特定の粒子サイズを有する第1の粒子を選別して浮揚させ、浮揚させた前記第1の粒子を収集するように構成されており、且つ
前記複数の導電繊維に送信される多相信号を前記入力信号源に生成させて、前記進行波を生成することにより、前記第1の粒子と異なる第2の粒子を選別して浮揚させ、浮揚させた前記第2の粒子を収集するように構成されている、
MDMS。
【請求項2】
前記複数の導電繊維が、複数のカーボンナノチューブ(「CNT」)繊維である、請求項1に記載のMDMS。
【請求項3】
前記手セクションが、手のひらセクション(310、510、710)と手背セクション(400、600、800、900)を含み、
前記指セクションが、内側指表面(312、512、712)と外側指表面を含み、
前記生地材料内の前記複数の導電繊維(1308)が、前記手のひらセクション(310、510、710)及び前記内側指表面、前記手背セクション及び
前記外側指表面(402、602、802)、又は前記手のひらセクション及び前記内側指表面と前記手背セクション及び前記外側指表面との両方の、範囲内に位置付けられている、請求項1又は2に記載のMDMS。
【請求項4】
前記複数の導電繊維(1308)が、前記手セクション(304、504)内に位置付けられた第1の下位複数の導電繊維(322、525、722、900)、及び前記指セクション(302、502)内に位置付けられた第2の下位複数の導電繊維(324、526、724)を含み、
前記指セクション(502)が、第1の指セクション(514)及び第2の指セクション(516)を有するミトンとして構成され、又は5つの指サブセクションを含む、請求項3に記載のMDMS。
【請求項5】
前記第2の下位複数の導電繊維(324、526、724)が、前記指セクション(302、502、702)に沿って略平行であり、
前記第1の下位複数の導電繊維(322、525、722、900)が、前記手セクションに沿って略平行であり又は略平行な螺旋(1102)である、請求項
4に記載のMDMS。
【請求項6】
前記手のひらセクション(310、510、710)が、上部手のひらセクション(314、518、714)、中間手のひらセクション(316、520、716)、及び側部手のひらセクション(318、522、718)を含み、
前記第1の下位複数の導電繊維(322、525、722)が、
前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第1の部分、
前記中間手のひらセクション(316、520、716)内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第2の部分、及び
前記側部手のひらセクション(318、522、718)内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第3の部分(1006)を含む、請求項
5に記載のMDMS。
【請求項7】
前記手のひらセクション(310、510、710)が、上部手のひらセクション(314、518、714)、中間手のひらセクション(316、520、716)、及び側部手のひらセクション(318、522、718)を含み、
前記第1の下位複数の導電繊維が、
前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ第3の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第1の部分、
前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ第4の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第2の部分、及び
前記側部手のひらセクション(318)内に位置付けられ且つ第5の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第3の部分を含む、請求項
5に記載のMDMS。
【請求項8】
前記手のひらセクション(710)が、上部手のひらセクション(714)、中間手のひらセクション(716)、及び側部手のひらセクション(718)を含み、
前記第1の下位複数の導電繊維が、
前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第1の螺旋である前記下位複数の導電繊維の第1の部分、
前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第2の螺旋である前記下位複数の導電繊維の第2の部分、及び
前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第3の螺旋である前記下位複数の導電繊維の第3の部分を含む、請求項
5に記載のMDMS。
【請求項9】
前記手のひらセクションが、上部手のひらセクション、中間手のひらセクション、及び側部手のひらセクションを含み、
前記第1の下位複数の導電繊維が、
前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第1の部分(1002)、
前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な螺旋
(1102)である前記下位複数の導電繊維の第2の部分
、及び
前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な前記下位複数の導電繊維の第3の部分(1006)を含む、請求項
5に記載のMDMS。
【請求項10】
前記生地材料(1302)の織物(1400)であって、前記生地材料が、
複数の生地材料の横糸(1404)、
複数の生地材料の縦糸(1402)、及び
複数の絶縁糸(1406)を含む、前記生地材料の織物と、
前記生地材料の前記織物の部分織物(1408)であって、
前記複数の導電繊維(1308)、
前記複数の絶縁糸、及び
前記複数の生地材料の横糸を含む、前記生地材料の前記織物の部分織物とを更に含み、
前記複数の絶縁糸が、前記複数の導電繊維間で間隔を空けて配置されている、請求項1から
9のいずれか一項に記載のMDMS。
【請求項11】
前記複数の導電繊維が、第1の方向(1314)において前記生地材料に沿った一連の略平行な複数の導電繊維として構成されている、請求項
10に記載のMDMS。
【請求項12】
前記入力信号源が多相入力信号源である、請求項1から
11のいずれか一項に記載のMDMS。
【請求項13】
前記MDMSコントローラが、多相信号、可変電圧波形を有する多相信号、及び前記複数の導電繊維内の個別の導電繊維用の可変位相を有する多相信号における可変位相シフトを選択的に前記入力信号源(1318)に生成させるように更に構成されている、請求項
1に記載のMDMS。
【請求項14】
前記複数の導電繊維が、
第1の下位複数の導電繊維(322、525、722、900)、
第2の下位複数の導電繊維(324、526、724)、及び
第3の下位複数の導電繊維(1006)を含み、
前記MDMSコントローラ(2801)が、
前記第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維の間に約120度の位相シフト、及び
前記第1の下位複数の導電繊維と前記第3の下位複数の導電繊維の間に約180度の位相シフトを、選択的に前記入力信号源(1318)に生成させるように構成されている、請求項
13に記載のMDMS。
【請求項15】
前記入力信号源(1318)が、前記複数の入力ノード(1310)に送信される複数のAC位相信号を有する前記AC電圧信号(1316)を生成するように構成され、
前記複数のAC位相信号の各AC位相信号の電圧、周波数、及び位相が、MDMSコントローラ(2801)によって固定され又は個別に変更される、請求項
12に記載のMDMS。
【請求項16】
前記生地材料内に複数のセンサ(2504、2802、2804)を更に含み、
前記複数のセンサが、複数のセンサデータ信号(2812、2814)を生成し、
前記複数のセンサが、前記MDMSコントローラ(2801)と信号で通信し、
前記MDMSコントローラが、前記複数のセンサデータ信号を受信し、それに応答して、前記複数のAC位相信号の各AC位相信号の電圧、周波数、及び位相を調整するように構成されている、請求項
15に記載のMDMS。
【請求項17】
前記生地材料内に複数のアクチュエータ(2600、2601、2806)を更に含む、請求項
16に記載のMDMS。
【請求項18】
前記アクチュエータが、前記MDMSコントローラ(2801)と信号で通信し、
前記MDMSコントローラが、前記MDMSが前記複数のセンサデータ信号(2812、2814)を受信したことに応答して、前記複数のアクチュエータ(2600、2601、2806)に送信される作動信号(2820)を生成するように構成されている、請求項
17に記載のMDMS。
【請求項19】
多目的塵軽減システム(「MDMS」)を用いた粒子収集のための方法(3200)であって、
前記MDMSが、指セクション、手のひらセクション、前記指セクションと前記手のひらセクションの両方の範囲内に前面と裏面を含む生地材料、前記生地材料内の複数の導電繊維、及び前記複数の導電繊維と信号で通信する複数の入力ノードを含み、前記方法が、
前記複数の入力ノードにおいて入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信すること(3204)、
前記複数の導電繊維を用いて前記生地材料の前面上に電場を生成すること(3206)
、
前記生地材料の前記前面に沿った定常波
及び進行波のうちの一方を前記電場から生成すること(3208)
、
前記複数の導電繊維に送信される単相AC信号を前記入力信号源に生成させて、前記定常波を生成することにより、特定の粒子サイズを有する第1の粒子を選別して浮揚させ、浮揚させた前記第1の粒子を収集すること、及び
前記複数の導電繊維に送信される多相信号を前記入力信号源に生成させて、前記進行波を生成することにより、前記第1の粒子と異なる第2の粒子を選別して浮揚させ、浮揚させた前記第2の粒子を収集することを含む、方法。
【請求項20】
前記複数の導電繊維が、
第1の下位複数の導電繊維、
第2の下位複数の導電繊維、及び
第3の下位複数の導電繊維を含み、
前記複数の導電繊維を用いて前記生地材料の前記前面上に前記電場を生成することが、前記第1の下位複数の導電繊維、前記第2の下位複数の導電繊維、及び前記第3の下位複数の導電繊維の間に約120度の位相シフトを生成することを含む、請求項
19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塵軽減、特に、導電繊維を用いた塵軽減システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間及び無人探査機の両方によって実施される月での探査活動は、月面表土として知られる未固結砕屑岩物質からなる惑星表面において行われる。月面は、高速の流星塵の衝突によって形成された幾つかの厚い表土層に覆われ、太陽と星からの帯電原子の粒子の一定の衝撃によって特徴づけられる。月面表土は、岩石破片と、主に、一般的に月面土壌と呼ばれるより小さい粒子とを含む。月面土壌と最初に接した時点から、NASAアポロの宇宙飛行士らは、月面土壌が「月塵」(又は単に「塵」)と呼ばれるたくさんの微細粒子を含有していると報告してきた。月塵のまとまる、付着する、又はそれ以外に船外活動(「EVA」)オペレーションで用いられた機器の表面を汚染する強い傾向を持つこの塵が原因で、アポロのミッションにおいて幾つかの異常が生じた。今日、月塵は正式には直径が20μm未満の「月面土壌」粒子と定義されるが、本開示の目的において、「月塵」、「月面土壌」、又は「塵」という語は相互交換可能に用いられ得る。
【0003】
更に、アポロミッションでは、月塵が宇宙服を急速に劣化させる作用があり、ミッションのオペレーションに影響を与えることも明らかとなった。一例として、アポロの技術班の報告及びミッション後の報告では、アポロの乗務員が、月面オペレーション中のシステム及び乗務員の活動範囲に対する月塵の影響についてかなり多く言及していることが伺える。EVAシステムの中でもとりわけ月塵の潜在的な影響について乗務員が頻繁に言及したのは、月面オペレーション中に摩耗したアポロ宇宙服であった。これらの影響には、1)宇宙服の生地とシステムに塵が付着し損傷を起こす、2)衣服の圧減衰の原因となる衣服層の適合性及び摩耗に伴う問題を含む月塵に関する機械的問題、3)視覚的障害、4)塵がセンサの入口に詰まったことに起因する測定器の値の間違った読み取り、5)熱制御の問題を引き起こす塵によるコーティング及び汚染、6)トラクションの喪失、7)接合機構の詰まり、8)摩耗、9)密閉不良、及び10)吸入及び炎症が含まれる。
【0004】
一例として、
図1に、EVAオペレーション後に月塵102でコーティングされた宇宙服104を着ている、アポロ17号のミッション中のNASAの宇宙飛行士100の画像を示す。同様に、
図2に、月塵に起因した摩耗によって生じた、宇宙服200の膝部分の穴(又は破れ)202を有する宇宙服200の画像を示す。このように、人間を月面、又はその他同様の惑星表面のいずれかに再び送る前に、塵を軽減(すなわち除去又は最小化)するシステム及び方法が必要である。更に、例えば、塵によって詰まりが生じ得る可撓性太陽電池パネル及び他の可撓性システムなどの塵に曝露されるシステムのために、地上において塵を軽減する必要もある。
【0005】
現在、太陽電池パネル、光軸面、ガラス構造及び熱放射体などの硬い面への利用に主に限定されてきた能動的及び受動的な方法の両方を用いる、試みの解決法が提案されている。残念なことに、宇宙服の塵の除去にこの技術を適用することは、宇宙服の不規則な外形、宇宙服の柔らかいエリアの可撓性構造、及びポリテトラフルオロエチレン(一例として、デラウェア州ウィルミントンのChemours社によって製造されたTEFLON(登録商標))でコーティングされた宇宙服材料を含む宇宙服の設計の複雑さが原因で、未だ課題のままである。このため、宇宙服(例えばオルト生地又は新たに生まれた可撓性材料)に用いるための既存の生地材料と互換性のある塵を軽減するシステム及び方法、又は例えば宇宙居住船、膨張性構造体、可撓性及び/又は展開可能アンテナ、並びに可撓性太陽電池パネルなどの生地材料を用いた他のデバイス/システムも必要である。
【発明の概要】
【0006】
多目的塵軽減システム(「MDMS」)が開示される。MDMSは、指セクション、指セクションに物理的に取り付けられた手セクション、指セクションと手セクションの両方の範囲内の生地材料、生地材料内の複数の導電繊維、及び生地材料に略隣接した複数の入力ノードを含む。生地材料は、前面と裏面を含む。複数の導電繊維は、生地材料に沿って略平行であり、生地材料の前面に略隣接している。複数の入力ノードは、複数の導電繊維と信号で通信し、入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信するように構成されている。複数の導電繊維は、複数の入力ノードが入力信号源からAC電圧信号を受信したことに応答して、生地材料の前面上に電場を生成するように構成されている。
【0007】
動作の一実施例では、MDMSが、複数の入力ノードにおいて入力信号源からAC電圧信号を受信すること、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること、及び生地材料に沿った第1の方向を略横切る第2の方向において生地材料の前面に沿って移動する進行波を電場から生成することを含む、塵軽減のための方法を実施する。
【0008】
動作の一実施例では、MDMSが、複数の入力ノードにおいて入力信号源からAC電圧信号を受信すること、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること、及び、複数の粒子をキャプチャするために、生地材料の前面に沿って定常波を電場から生成することを含む、粒子収集のための方法も実施する。
【0009】
本開示の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴、及び利点は、下記の図面及び詳細な説明を精査することにより当業者に明らかであるか、または明らかになる。こうした付加的なシステム、方法、特徴、及び利点は全てこの説明中に含まれ、本開示の範囲内であり且つ添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0010】
本開示は、以下の図面を参照することによって、より深く理解することができる。図面における構成要素は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、むしろ本発明の原理を示すことに重点が置かれている。図面において、同様の参照番号は、異なる図面を通して対応する部品を指すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】EVAオペレーション後の月塵で宇宙服が汚染されたNASA宇宙飛行士の画像である。
【
図2】月塵に起因する摩耗によって生じた宇宙服の膝部分の穴が開いている宇宙服の画像である。
【
図3】本開示による、手袋の形態を採る多目的塵軽減システム(「MDMS」)の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図4】本開示による、(
図3で示された)手袋の形態を採るMDMSの背面図である。
【
図5】本開示による、ミトンの形態を採るMDMSの例示的な一実施態様の正面図である。
【
図6】本開示による、(
図5で示された)ミトンの形態を採るMDMSの背面図である。
【
図7】本開示による、手袋の形態を採るMDMSの更に別の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図8】本開示による、(
図7で示された)手袋の形態を採るMDMSの背面図である。
【
図9】本開示による、(
図5で示された)ミトンの形態を採るMDMSの別の例示的な一実施態様の背面図である。
【
図10】本開示による、手袋の形態を採るMDMSの更に別の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図11】本開示による、手袋の形態を採るMDMSの更に別の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図12】本開示による、手袋の形態を採るMDMSの更に別の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図13A】本開示による、MDMSの例示的な一実施態様のシステムブロック図の側面図である。
【
図13B】本開示による、(
図13Aで示された)MDMSの実施態様のシステムブロック図の上面図である。
【
図14】本開示による、(
図13A及び
図13Bで示された)複数の導電繊維を有する生地材料の織物の一実施態様の上面図である。
【
図15A】本発明による、複数の導電繊維を有するオルト生地材料の、
図14で示された織物の例示的な一実施態様の拡大正面図である。
【
図15B】本発明による、複数の導電繊維を有するオルト生地材料の、
図15Aで示された織物の拡大率の低い拡大正面図である。
【
図16】本開示による、2つの導電繊維の一部分の例示的な一実施態様の傾斜した側面図である。
【
図17A】本開示による、生地材料の前面の複数の導電繊維の絶縁の例示的な一実施態様の拡大正面図である。
【
図17B】本開示による、生地材料の(
図17Aで示された)前面の絶縁層の例示的な一実施態様の拡大正面図である。
【
図17C】本開示による、生地材料の(
図17A及び
図17Bで示された)前面の上端層コーティングの例示的な一実施態様の拡大正面図である。
【
図18】本開示による、第1の複数のカーボンナノチューブ(「CNT」)繊維と第2の複数のCNT繊維とを有するオルト生地材料の別の例示的な一実施態様の拡大正面図である。
【
図19】本開示による、第1の複数のCNT繊維と第2の複数のCNT繊維とを有するオルト生地材料の例示的な更に別の一実施態様の拡大正面図である。
【
図20】本開示による、第1の複数のCNT繊維と第2の複数のCNT繊維とを有するオルト生地材料の例示的な更に別の一実施態様の正面図である。
【
図21】本開示による、複数の電気波形で起動する、複数のCNT繊維を有するオルト生地材料の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図22】本開示による、別の種類の複数の電気波形で起動する、複数のCNT繊維を有するオルト生地材料の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図23】本開示による、複数のCNT繊維を有する非オルト生地材料の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図24】本開示による、複数のCNT繊維を有する非オルト生地材料の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図25】本開示による、複数のCNT繊維及び複数のセンサを有するオルト生地材料の例示的な一実施態様の正面図である。
【
図26】MDMSの塵反発作用を強化するために機械的作用と電場とを組み合わせた、生地材料内又はCNT繊維内に埋め込まれたマイクロ振動センサとアクチュエータの例示的な一実施態様を示すシステムブロック図の上面図である。
【
図27】本開示による、生地材料内又はCNT繊維内に埋め込まれたマイクロ振動センサの、
図26で示されたシステムブロック図の正面図である。
【
図28】本開示による、MDMSコントローラ、並びに、
図26及び
図27で示されたマイクロ振動センサとアクチュエータを有する、MDMSの例示的な一実施態様のシステムブロック図の側面図である。
【
図29A】本開示による、MDMSと共に使用する、プリントされた可撓性導体及び導電繊維パターンの例示的な第1の実施態様の正面図である。
【
図29B】本開示による、MDMSと共に使用する、プリントされた可撓性導体及び導電繊維パターンの例示的な第2の実施態様の正面図である。
【
図29C】本開示による、MDMSと共に使用する、プリントされた可撓性導体及び導電繊維パターンの例示的な第3の実施態様の正面図である。
【
図29D】本開示による、MDMSと共に使用する、プリントされた可撓性導体及び導電繊維パターンの例示的な第4の実施態様の正面図である。
【
図30】本開示による、MDMSの電極の例示的な一実施態様の回路図である。
【
図31】本開示による、動作でMDMSによって実施される塵軽減の方法の例示的な一実施態様を示すフローチャートである。
【
図32】本開示による、動作でMDMSによって実施される粒子収集の方法の例示的な一実施態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多目的塵軽減システム(「MDMS」)が開示される。MDMSは、指セクション、指セクションに物理的に取り付けられた手セクション、指セクションと手セクションの両方の範囲内の生地材料、生地材料内の複数の導電繊維、及び生地材料に略隣接した複数の入力ノードを含む。生地材料は、前面と裏面を含む。複数の導電繊維は、生地材料に沿って略平行であり、生地材料の前面に略隣接している。複数の入力ノードは、複数の導電繊維と信号で通信し、入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信するように構成されている。複数の導電繊維は、複数の入力ノードが入力信号源からAC電圧信号を受信したことに応答して、生地材料の前面上に電場を生成するように構成されている。
【0013】
動作の一実施例では、MDMSが、複数の入力ノードにおいて入力信号源からAC電圧信号を受信すること、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること、及び生地材料に沿った第1の方向を略横切る第2の方向において生地材料の前面に沿って移動する進行波を電場から生成することを含む、塵軽減のための方法を実施する。
【0014】
動作の一実施例では、MDMSが、複数の入力ノードにおいて入力信号源からAC電圧信号を受信すること、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること、及び、複数の粒子をキャプチャするために、生地材料の前面に沿って定常波を電場から生成することを含む、粒子収集のための方法も実施する。
【0015】
例示的な一実施態様では、MDMSが、導電繊維を電極として用いることによって生地材料又は他の可撓性材料を用いた宇宙服、手袋、ミトン、又は他のデバイス若しくはシステム(例えば、可撓性宇宙居住船、展開構造など)の中に活性電極を有する動電型塵シールド(「EDS」)を実装する。この実施例では、活性電極が、可撓性導電繊維であるカーボンナノチューブ(「CNT」)繊維であってよい導電繊維である。一般に、EDS技術は、表面に近づく塵粒子をはじく、且つ/又は材料の表面から堆積された塵粒子を運び去るために、静電及び/又は動電及び/又は誘電泳動力を用いる。塵粒子をはじくことは、近づく塵粒子を表面から離れるように浮揚させる電場を生成することによって達成される。堆積された塵粒子を、静電気又はファン・デル・ワールス力による塵と表面の間の付着力を破壊することによって運び去り、次いで材料の表面から離れるように塵を浮揚させる。塵粒子をはじく、浮揚させる、及び運び去る力の大きさは、塵粒子の誘電特性、基板(この場合、可撓性構造)、塵粒子のサイズ、及び印加される入力AC電圧信号の特性に応じる。MDMSを用いた一実施例として、約1.2ミリメートル(「mm」)~2.0mmの間隔を空けて配置された約180μm~200μmの厚さの非絶縁CNT繊維を用いて、約800ボルト(「V」)~1200Vの範囲のAC電圧信号を印加することによって、約10ミクロン(「μm」)~75μmのサイズを有する塵粒子をはじくのに要する通常の動電力が生成され得る。
【0016】
この実施例では、MDMSが、上端面を有する生地材料を含み、上端面(本明細書では、上端面の一部分に関連付けられた「シールドエリア」を有する「シールド」とも称される)の一部分が、一連の(すなわち複数の)略平行な又はわずかにずれた(例えば、約15~20度のずれ)導電繊維を含み、導電繊維を通して、高電圧のAC電圧信号(例えば約5~100ヘルツの周波数において約800V~1200V)が印加され、その結果シールドに沿って電場の進行波が生成される。
【0017】
複数の導電繊維の各導電繊維は、隣接する導電繊維に対して略平行に、又はわずかにずれて位置決めされ得る。更に、生地材料の表面は異なる部分に分割され得る。その場合、生地材料の各部分は、シールドの他の部分に対して平行でない異なる導電繊維パターンを有するように構成することができる。例えば、シールドは、シールドの他のセクションから略90度までの角度を成すセクションを含み得る。複数の導電繊維の位置及び間隔は用途によって変化して、シールドに沿った電場の進行波の再構成を可能にする。この実施例では、結果的に得られる電場の進行波によりシールドの塵粒子がはじかれ、塵粒子の誘電特性及び塵粒子の帯電(及び誘電電荷)次第で、はじかれた塵粒子は進行波の方向に沿った方向に、又は進行波の方向とは反対の方向に進行する。この方法により、シールド上の塵粒子が更に蓄積されることが防止され、シールドから大半の帯電塵粒子が除去される。一般的に、導電繊維は、多相信号源であり得る入力信号源によって生成された単相又は多相AC電圧信号又は直流(「DC」)電圧信号の何れかを用いることによって起動され得る。
【0018】
一般的に、MDMSは、例えば、MDMSの製造におけるMDMSの初期構成及び/又は動作中のMDMSの起動後の再構成を含む、複数のやり方で動作するように構成され得る。具体的には、一実施例として、デバイス(例えば、宇宙服、手袋、ミトン、宇宙居住船、膨張性構造体、生地ベースアンテナ、ブランケット、可撓性材料デバイス、又は他の同様なシステム、デバイス、若しくは構成要素など)上にMDMSを製作するときに、導電繊維の配向は、MDMSの塵反発特性を最適化するようにMDMSが実装される生地材料の様々な外形、可撓性、又はそれらの両方が可能になるように設計され構成され得る。更に、生地材料の種類は、MDMSの動作を最適化する電気及び機械特性を有するように選択され得る。一実施例として、生地材料内の導電繊維の配置及び幾何学的配列の両方の構成、並びに生地材料又は可撓性材料の表面特性の最適化は、MDMSの物理的ロバスト性及び塵反発(すなわち、塵軽減)機能に直接的に関連している。
【0019】
更に、動作中の再構成の実施例として、MDMSは、生地材料又は可撓性材料の何れかのシールドエリアに関連する又はシールドエリア内のセンサから入力を受け取る、生地材料又は可撓性材料内の(或いは生地材料又は可撓性材料内に関連付けられた)フィードバック制御電子機器(
図26~
図28に関連して後に説明する)、電気機械デバイス、又はそれらの両方を含み得る。センサの実施例は、生地材料又は可撓性材料のシールドエリアに、或いはシールドエリア内、或いはシールドエリアとは遠く離れているが、生地材料又は可撓性材料のシールドエリアに関連付けられた何れか場所に位置付けられ得る光学又は容量センサを含み得る。したがって、これらのセンサは、生地材料又は可撓性材料内、導電繊維自体内、或いはそれらの両方に埋め込まれたシールドエリア内のローカルセンサであってよい。更に、センサは、例えば、宇宙服又はシールドエリアにおいてMDMSに関連付けられた他のデバイス若しくはシステムの異なるエリアに位置付けられたセンサなどの、シールドエリアから遠く離れて位置付けられたリモートセンサであってよい。更なる一実施例として、これらのセンサのうちの幾つかは、MDMSの動作を調整して、シールド上の塵軽減を更に最適化するために、MDMSへ塵データを提供する気象衛星(又は衛星)上のセンサなど、シールドエリアから完全に遠く離れていてよい。
【0020】
これら全てのセンサの実施例では、センサが、MDMSのMDMSコントローラへ(個々のセンサによって生成されたセンサデータ情報を有する情報信号である)センサ出力信号を提供する。MDMSコントローラは、MDMSの塵軽減特性を最適化するように、受信したセンサ出力信号に基づいて、導電繊維に提供されるAC電圧信号の波形及び周波数を変更するように構成されている。MDMSコントローラは、入力信号源と信号で通信することができ、受信したセンサ出力信号に応答して、入力信号源によって生成された個々のAC電圧信号の電圧、周波数、及び位相を調節又は調整することができる。この実施例では、MDMSコントローラが、マイクロコントローラ、中央処理装置(「CPU」)ベースのプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、又は他の同様なデバイス若しくはシステムを含み得る、任意の一般電子コントローラであってよい。
【0021】
センサに加えて、MDMSは、シールドエリアの下の生地材料又は可撓性材料の裏面に位置付けられ得る複数のアクチュエータも含み得る。これらのアクチュエータは、シールド上の塵粒子を取り除く、移動させる、及びはじくことにおいて助けとなる、移動、揺動、振動、又は他の種類の機械的作業を実行することができる、電気機械デバイスであってよい。アクチュエータは、MDMSコントローラと信号で通信し、MDMSコントローラは、シールドにおけるMDMSの塵軽減特性を最適化するように、受信したセンサ出力信号に基づいて、アクチュエータの動作を制御するようにも構成されている。センサ、アクチュエータ、又はそれらの両方を用いて、MDMSコントローラは、生地材料又は可撓性材料の特性(例えば、層、コーティング、誘電特性など)及び塵の特性(例えば、サイズ、質量、誘電特性、分布など)に基づいてMDMSの塵軽減を最適化するために、入力信号源からのAC電圧信号を調整するように構成されている。したがって、MDMSコントローラは、MDMSの動作モードを調整するために、AC電圧信号を変更するように構成されている。
【0022】
第1の動作モード(すなわち、動的塵移動モード)の一実施例として、生地材料のシールド上に塵が落ち着く前に塵をはじくために、MDMSによって、第1の波形及び第1の周波数値を有する第1の最適化されたAC電圧信号が用いられ得る。代替的に、生地材料のシールド上に静的塵が落ち着いている(すなわち、MDMSの起動前にシールドに塵がすでにたまっている)第2の動作モードの一実施例として、生地材料のシールド上に落ち着いた塵をはじくために、MDMSによって、第2の波形及び第2の周波数値を有する第2の最適化されたAC電圧信号が用いられ得る。
【0023】
例えば、シールド上に塵が落ち着く前にMDMSが起動した場合、約90%以上の塵が低電圧のAC電圧信号(例えば、約800V~900V)を用いてはじかれ、一方で代替的に、MDMSを起動する前にシールド上に塵がすでに落ち着いている場合、MDMSは、シールドから塵をはじくために高電圧のAC電圧信号(例えば、1000V~1200V)を用いる必要があるだろう。更に、シールド上に塵が落ち着くと、MDMSは、シールドから落ち着いた塵を取り除くために、最大約200Hzであり得る高いスペクトル帯域幅を有するAC電圧信号を用いる必要があり得る。これらの実施例では、MDMSコントローラが、シールド上の塵の汚染状況を提供し得るセンサからの入力データに基づいて、MDMSで利用する又は調整するAC電圧信号の種類(すなわち、信号波形、周波数、電圧、位相のなどの種類)を決定し、シールド上に落ち着きつつある又は落ち着いた塵を取り除く、はじく、又はそれらの両方を行うために、記憶ユニット(すなわち、メモリユニット又はモジュール)の検索データベースを用いることができる。検索データベースは、MDMSと信号で通信するセンサ又は他の供給源に基づく値を含み得る。記憶ユニットは、MDMSの部分であってよく、又はMDMSから遠隔であってよいがMDMSと信号で通信することができる。一実施例として、生地材料内の導電繊維に伝達されるAC電圧信号を生成する駆動及び制御電子機器(例えば、入力信号源など)の場所は、局所的に生地材料内に埋め込まれ、中央に位置付けられる且つ/若しくはMDMSから遠く離れ、又はMDMS及び他のデバイスと同一場所に位置付けられてよく、MDMSは、例えば、宇宙服のシステム及び電子機器などに実装される。この実施例では、DC電圧信号も、シールド上にこびり付いた可能性がある塵粒子を取り除くために用いられ得る。この実施例では、DC電圧信号が、低電圧AC電圧信号を用いる前に最初に印加され得る。
【0024】
別の例示的な一実施態様では、MDMSが、やはり導電繊維を電極として用いることによって、生地材料又は他の可撓性材料を用いる宇宙服、手袋、ミトン、又は他のデバイス若しくはシステム内に、活性電極を有する粒子仕分けデバイス(「PSD」)又はサンプル収集デバイス(「SCD」)も実装する。この実施例では、MDMSが、塵を洗浄し、粒子を仕分け、サンプルを収集し、塵並びに帯電した粒子及び帯電していない粒子を精密なやり方で移動させるように機能することができる。この実施例では、MDMSは、(上述した塵をはじく特性を用いて)塵で汚染された表面を洗浄するために、粒子を仕分けするために、又はそれらの両方のために、生地材料内に埋め込まれた導電繊維を有する専用の手袋若しくはミトン(又は他の同様なデバイス)の中へ組み込まれ得る。
【0025】
この実施例では、手袋又はミトンの手のひら側及び指に、予め規定された間隔を空けられた導電繊維ベースの糸(又は同様な導電性の糸)及び絶縁糸から作成された電極が埋め込まれている。それらの電極は、塵をはじくように且つ粒子を仕分けるマルチse(マルチスピンエコー)機能用に最適化するために、予め規定された時間シーケンスで、AC若しくはDC高電圧又はそれらの両方を印加するのに適している。MDMSベースの手袋又はミトンは、粒子を仕分けるツール、サンプルを収集するツール、及び他の関連する実施態様として使用するために最適化され得る。一般的に、導電繊維は、電場の範囲内で粒子を浮揚させ浮かせるが移動しないように、シールドに沿って電場の定常波を生成するように印加される位相信号を有することができる。
【0026】
手袋又はミトンの実施例では、MDMSが、塵を洗浄するように構成された手のひらセクション及び粒子を仕分け又は収集するように構成された指セクションを有することができる。
【0027】
具体的には、
図3の手袋の中に組み込まれているMDMSの実施例では、本開示による手袋の形態を採るMDMS300の例示的な一実施態様の正面図が示されている。MDMS300は、指セクション302及び指セクション302に物理的に取り付けられた手セクション304を含む。手セクション304は、前腕セクション308の部分である手首セクション306にも物理的に取り付けられている。この実施例では、手セクション304が、(手袋の前側に)手のひらセクション310、及び手背(すなわち、手の裏側)セクション(図示せず)を含み、指セクション302が、(手袋の前側に)内側指表面312、及び手袋の裏側に外側指表面(図示せず)を含む。指セクション302は、ユーザから5つの指を受け入れるように構成された5つの指サブセクションを含む。手のひらセクション310は、人間の手の手のひらセクションに対応した、上部手のひらセクション314、中間手のひらセクション316、及び側部手のひらセクション318を含むことができる。その場合、中間手のひらセクション316は、上部手のひらセクション314と側部手のひらセクション318との間に位置付けられている。上部手のひらセクション314は、中間手のひらセクション316と指セクション302との間に位置付けられており、側部手のひらセクション318は、中間手のひらセクション316と親指セクション320との間に位置付けられている。人間の手と同様に、上部手のひらセクション314、中間手のひらセクション316、及び側部手のひらセクション318は、手袋が人間の手と同じ物理的な方法で開閉することを可能にする。
【0028】
この実施例では、MDMS300が、指セクション302と手セクション304の両方の範囲内に生地材料を含む。手首セクション306と前腕セクション308も、生地材料を含むことができる。生地材料は、任意選択的に生地材料の全体を通して又は生地材料の特定のセクション内に位置付けられ得る複数の導電繊維を含む。例えば、
図3で示されているように、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維322は、手袋の手のひらセクション310内に位置付けられた生地材料内に位置付けられ得る。この実施例では、第1の下位複数の導電繊維322が、上部手のひらセクション314、中間手のひらセクション316、及び側部手のひらセクション318の全体を通して延在し得る。更に、内側指表面312は、複数の導電繊維の第2の下位複数の導電繊維324を含むことができる。更に、この実施例では示されていないが、(複数の導電繊維の)別の下位複数の導電繊維は、任意選択的に、手首セクション306、前腕セクション308、又はそれらの両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。
【0029】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維322が、手袋の第1の方向326に沿った略平行な手のひらセクション310内の生地材料に沿って通っている。第2の下位複数の導電繊維324は、手袋が静止位置にあるときに第1の方向326に略沿ってばらついている方向の指セクション302内の生地材料に沿って通っている。この実施例では、第2の下位複数の導電繊維324が、指セクション302の第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336、及び第5の下位部分338用の、第2の下位複数の導電繊維の更なる下位部分を含む。指セクション302の第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336、及び第5の下位部分338内の第2の下位複数の導電繊維324の対応する下位部分のそれぞれは、指セクション302の対応する下位部分内で互いに略平行であり、手のひらセクション310から、指セクション302の対応する下位部分の先端(すなわち、端部)まで延在する。この実施例では、第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336は、指セクション302の第1の指セクションと称され、ユーザの親指に対応する第5の下位部分338は、指セクション302の第2の指セクションと称され得る。複数の導電繊維は、複数のカーボンナノチューブ(「CNT」)繊維であってよく、複数のCNT繊維は、生地材料に織り込まれてよい。
【0030】
生地材料は、前面と裏面を含む。その場合、裏面は、ユーザの手、手首、及び前腕に隣接した手袋の範囲内にある。前面は、内側指表面312、手のひらセクション310の外側表面、手袋の裏側の外側指表面、手背セクションの外側表面、手首セクション306の外側表面、及び前腕セクション308の外側表面を含む。この実施例では、複数の導電繊維が、内側指表面312と手のひらセクション310の外側表面とに沿った生地材料の範囲内にある。それによって、複数の導電繊維は、生地材料に沿って略平行であり、生地材料の前面と略隣接している。この実施例では、生地材料の前面が、内側指表面312と手のひらセクション310の外側表面とを含む。
【0031】
MDMS300は、生地材料の裏面に沿って生地材料に略隣接する複数の入力ノード(図示せず)も含む。複数の入力ノードは、複数の導電繊維と信号で通信し、入力信号源からAC電圧信号を受信するように構成されている。複数の導電繊維は、複数の入力ノードが入力信号源からAC電圧信号を受信したことに応答して、生地材料の前面上に電場を生成するように構成されている。この実施例では、生地材料の前面の部分が、任意選択的に、内側指表面312、手のひらセクション310の外側表面、又はそれらの両方において位置付けられた、生地材料の前面の第1の部分であってよい。
【0032】
この実施例では、複数の導電繊維が、手袋に沿った第1の方向326において生地材料に沿って略平行である。動作の一実施例では、複数の導電繊維が、第1の方向326を略横切る手袋に沿った第2の方向328において生地材料の前面に沿って移動する進行波を電場から生成するように構成されている。動作の別の一実施例では、複数の導電繊維が、これもまた第1の方向326を略横切る第2の方向328において生地材料の前面に沿った定常波を電場から生成するように構成されている。
【0033】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維322と第2の下位複数の導電繊維324が、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成されている。MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0034】
言い換えると、MDMSコントローラは、定常波を生成するために複数の導電繊維に送信される単相AC信号を選択的に入力信号源に生成させ、又は進行波を生成するために複数の導電繊維に送信される多相信号を選択的に入力信号源に生成させるように構成されている。MDMSコントローラは、多相信号、可変電圧波形を有する多相信号、及び複数の導電繊維内の個別の導電繊維用の可変位相を有する多相信号における、可変位相シフトを選択的に入力信号源に生成させるように更に構成されている。
【0035】
動作の一実施例として、MDMSコントローラは、手のひらセクション310を用いて塵を洗浄し、又は指セクション302を用いて粒子を仕分けするために、手のひらセクション310と指セクション302の両方に対して、手のひらセクション310と指セクション302を構成することができる。動作の別の一実施例では、MDMSコントローラが、塵を洗浄し、粒子を仕分けし、サンプルを収集するために、手のひらセクション310と指セクション302を構成することができる。この実施例では、MDMSコントローラが、MDMS内の電極を再構成し、入力信号源を用いて異なる波形信号で電極を起動する。この実施例では、入力信号源からの特定の波形信号を用いて、特定の粒子サイズを有する特定の粒子を浮揚させる(すなわち、「ピックアップする」)ために、電極の一部分が用いられ得る。特定の粒子は、電極からの波形信号によって給電される導電繊維上の定常波パターンを用いて浮揚され得る。一実施例として、サンプル収集のために、定常波パターンが、特定のサイズの粒子を浮揚させ、次いでそれらを収集容器の中へ落とすことができる。これは、MDMSコントローラを用いて、電極にエネルギーを供給し(すなわち、与え)、特定のサイズの粒子を浮揚させる導電繊維上の定常波パターンを生成し、次いで電極に対するエネルギー供給を止め(すなわち、停止し)て、導電繊維上の定常波パターンを取り除き、特定のサイズの粒子を収集容器の中へ落とすことによって実現される。この実施例では、より低い駆動電圧で浮揚させることができる偏極粒子を除き、浮揚される粒子が重くなればなるほど、MDMS内の電極を駆動するのに必要な電圧が高くなる。洗浄用に、MDMSコントローラは、多相信号を受信するようにMDMSを構成し、多相信号を生成するように入力信号源を構成する。
【0036】
更に、動作のこの実施例では、指(すなわち、第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336、及び第5の下位部分338)を広げること、又は指セクション302内で指の姿勢を形作ることが、特定の作業又は機能向けに指セクション302内で生成される電場の分布を最適化する。具体的には、個々の指を指すことが、電場を集中させる。指がより近づいたときに、指セクション302は、より小さい粒度の粒子の仕分け、洗浄、又はそれらの両方のために用いられ得る増強された電場を生成する。指は、より広く広げることもできる。それによって、指セクション302は、より大きなエリアを洗浄することができる電場を生成する。
【0037】
この実施例では、指セクション302と手のひらセクション310の両方が洗浄用に構成され得る一方で、指セクション302は、利用可能な動きの範囲(すなわち、指をより近づける又は指(すなわち、先端)を指すように移動させる構成)のおかげで、所与のサイズの特定の粒子を仕分けし、キャプチャするために有用であり得ることに留意されたい。指セクション302内の指は、クラウド(cloud)内に分散された粒子をキャプチャするためにも使用され得る。しかし、表面上で粒子がより分散している場合、手のひらセクション310を用いて、洗浄のためにより大きな表面を覆うことができる。
【0038】
図4では、本開示による、MDMS300の例示的な一実施態様の背面図が示されている。この実施例では、手袋の裏側に、手セクション304が、手背セクション400を含み、指セクション302が、外側指表面402を含む。
図3で示されている実施例と同様に、外側指表面402と手背セクション400も、生地材料内に複数の導電繊維を有することができる。この実施例では、手背セクション400内の手セクション304が、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維404を含み、指セクション302が、複数の導電繊維の第2の下位複数の導電繊維406を含み得る。
【0039】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維404が、第1の方向326沿った略平行な手背セクション400内の生地材料に沿って通っている。第2の下位複数の導電繊維は、手袋が静止位置にあるときに第1の方向326に略沿ってばらついている方向の指セクション302内の生地材料に沿って通っている。この実施例では、第2の下位複数の導電繊維406が、指セクション302の第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336、及び第5の下位部分338用の、第2の下位複数の導電繊維406の更なる下位部分を含む。指セクション302の第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336、及び第5の下位部分338内の第2の下位複数の導電繊維406の対応する下位部分のそれぞれは、指セクション302の対応する下位部分内で互いに略平行であり、手背セクション400から、指セクション302の対応する下位部分の先端まで延在する。前述したように、この実施例では、第1の下位部分330、第2の下位部分332、第3の下位部分334、第4の下位部分336は、指セクション302の第1の指セクションの部分であり、ユーザの親指に対応する第5の下位部分338は、指セクション302の第2の指セクションの部分である。
【0040】
図3及び
図4で示されている実施例に基づいて、生地材料内の複数の導電繊維は、手のひらセクション310及び内側指表面312、手背セクション400及び外側指表面402、又は手のひらセクション310及び内側指表面312と手背セクション400及び外側指表面402との両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。更に、この実施例では示されていないが、(複数の導電繊維の)別の下位複数の導電繊維は、任意選択的に、手首セクション306、前腕セクション308、又はそれらの両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。
【0041】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維404と第2の下位複数の導電繊維406も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。やはり、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0042】
図5を参照すると、本開示による、ミトンの形態を採るMDMS500の別の例示的な一実施態様の正面図が示されている。MDMS500は、指セクション502及び指セクション502に物理的に取り付けられた手セクション504を含む。手セクション504は、前腕セクション508を含む手首セクション506にも物理的に取り付けられている。この実施例では、手セクション504が、(ミトンの前側に)手のひらセクション510、及び手背セクション(図示せず)を含み、指セクション502が、(ミトンの前側に)内側指表面512、及びミトンの裏側に外側指表面(図示せず)を含む。指セクション502は、ユーザから4つの指を受け入れるように構成された第1の指セクション514、及びユーザから親指を受け入れるように構成された第2の指セクション516を含む。手のひらセクション510は、人間の手の手のひらセクションに対応した、上部手のひらセクション518、中間手のひらセクション520、及び側部手のひらセクション522を含むことができる。その場合、中間手のひらセクション520は、上部手のひらセクション518と側部手のひらセクション522との間に位置付けられている。上部手のひらセクション518は、中間手のひらセクション520と指セクション502との間に位置付けられており、側部手のひらセクション522は、中間手のひらセクション520と親指セクション524との間に位置付けられている。人間の手と同様に、上部手のひらセクション518、中間手のひらセクション520、及び側部手のひらセクション522は、ミトンが人間の手と同じ物理的な方法で開閉することを可能にする。
【0043】
この実施例では、MDMS500が、指セクション502と手セクション504の両方の範囲内に生地材料を含む。手首セクション506と前腕セクション508も、生地材料を含むことができる。前述したように、生地材料は、任意選択的に生地材料の全体を通して又は生地材料の特定のセクション内に位置付けられ得る複数の導電繊維を含む。例えば、
図5で示されているように、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維525は、ミトンの手のひらセクション510内に位置付けられた生地材料内に位置付けられ得る。この実施例では、第1の下位複数の導電繊維525が、上部手のひらセクション518、中間手のひらセクション520、及び側部手のひらセクション522の全体を通して延在し得る。更に、内側指表面512は、(複数の導電繊維の)第2の下位複数の導電繊維526を含むことができる。
【0044】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維525が、第1の方向326沿った略平行な手背セクション510内の生地材料に沿って通っている。第2の下位複数の導電繊維526は、ミトンが静止位置にあるときにミトンに沿った第1の方向326に略沿った方向において指セクション502内の生地材料に沿って通っており、手のひらセクション510から、指セクション502の第1の指セクション514及び第2の指セクション516の先端まで延在する。やはり、複数の導電繊維は、複数のCNT繊維であってよく、複数のCNT繊維は、生地材料に織り込まれてよい。
【0045】
やはり、生地材料は、前面と裏面を含む。その場合、裏面は、ユーザの手、手首、及び前腕に隣接したミトンの範囲内にある。前面は、内側指表面512、手のひらセクション510の外側表面、ミトンの裏側の外側指表面、手背セクションの外側表面、手首セクション506の外側表面、及び前腕セクション508の外側表面を含む。この実施例では、複数の導電繊維が、内側指表面512と手のひらセクション510の外側表面とに沿った生地材料の範囲内にある。それによって、複数の導電繊維は、生地材料に沿って略平行であり、生地材料の前面と略隣接している。この実施例では、生地材料の前面が、内側指表面512と手のひらセクション510の外側表面とを含む。
【0046】
前述したように、MDMS500は、生地材料の裏面に沿って生地材料に略隣接する複数の入力ノード(図示せず)も含む。複数の入力ノードは、複数の導電繊維と信号で通信し、入力信号源からAC電圧信号を受信するように構成されている。複数の導電繊維は、複数の入力ノードが入力信号源からAC電圧信号を受信したことに応答して、生地材料の前面上に電場を生成するように構成されている。この実施例では、生地材料の前面の部分が、任意選択的に、内側指表面512、手のひらセクション510の外側表面、又はそれらの両方において位置付けられた、生地材料の前面の第1の部分であってよい。
【0047】
この実施例では、複数の導電繊維が、第1の方向326において生地材料に沿って略平行である。動作の一実施例では、複数の導電繊維が、第1の方向326を略横切るミトンに沿った第2の方向328において生地材料の前面に沿って移動する進行波を電場から生成するように構成されている。動作の別の一実施例では、複数の導電繊維が、これもまた第1の方向326を略横切る第2の方向328において生地材料の前面に沿った定常波を電場から生成するように構成されている。
【0048】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維525と第2の下位複数の導電繊維526も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。やはり、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0049】
図6では、本開示による、ミトンの形態を採るMDMS500の例示的な一実施態様の背面図が示されている。この実施例では、ミトンの裏側に、手セクション504が、手背セクション600を含み、指セクション602が、外側指表面602を含む。
図5で示されている実施例と同様に、外側指表面602と手背セクション600も、生地材料内に複数の導電繊維を有することができる。この実施例では、手セクション504が、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維604を含み、指セクション502が、複数の導電繊維の第2の下位複数の導電繊維606を含み得る。
【0050】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維604が、第1の方向326沿った略平行な手背セクション600内の生地材料に沿って通っている。第2の下位複数の導電繊維は、手袋が静止位置にあるときに第1の方向326に略沿った方向の指セクション502内生地材料に沿って通っている。この実施例では、第2の下位複数の導電繊維606が、指セクション502の第1の指セクション514及び第2の指セクション516用の、第2の下位複数の導電繊維606の更なる下位部分を含む。指セクション502の第1の指セクション514及び第2の指セクション516内の第2の下位複数の導電繊維606の対応する下位部分のそれぞれは、指セクション502の対応する第1の指セクション514及び第2の指セクション516内で互いに略平行であり、手背セクション600から、指セクション502の対応する第1の指セクション514及び第2の指セクション516の先端まで延在する。
【0051】
図5及び
図6で示されている実施例に基づいて、生地材料内の複数の導電繊維は、手のひらセクション510及び内側指表面512、手背セクション600及び外側指表面602、又は手のひらセクション510及び内側指表面512と手背セクション600及び外側指表面602との両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。
【0052】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維604と第2の下位複数の導電繊維606も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。やはり、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0053】
図7は、本開示による、手袋の形態を採るMDMS700の更に別の例示的な一実施態様の正面図である。
図3に関連して示された実施例と同様に、MDMS700は、指セクション702及び指セクション702に物理的に取り付けられた手セクション704を含む。手セクション704は、前腕セクション708の部分である手首セクション706にも物理的に取り付けられている。この実施例では、手セクション704が、手のひらセクション710、及び手背セクション(図示せず)を含み、指セクション702が、内側指表面712、及び手袋の裏側に外側指表面(図示せず)を含む。指セクション702は、ユーザから5つの指を受け入れるように構成された5つの指サブセクションを含む。手のひらセクション710は、人間の手の手のひらセクションに対応した、上部手のひらセクション714、中間手のひらセクション716、及び側部手のひらセクション718を含むことができる。その場合、中間手のひらセクション716は、上部手のひらセクション714と側部手のひらセクション718との間に位置付けられている。上部手のひらセクション714は、中間手のひらセクション716と指セクション702との間に位置付けられており、側部手のひらセクション718は、中間手のひらセクション716と親指セクション720との間に位置付けられている。人間の手と同様に、上部手のひらセクション714、中間手のひらセクション716、及び側部手のひらセクション718は、手袋が人間の手と同じ物理的な方法で開閉することを可能にする。
【0054】
この実施例では、MDMS700が、指セクション702と手セクション704の両方の範囲内に生地材料を含む。手首セクション706と前腕セクション708も、生地材料を含むことができる。生地材料は、任意選択的に生地材料の全体を通して又は生地材料の特定のセクション内に位置付けられ得る複数の導電繊維を含む。例えば、
図7で示されているように、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維722は、手袋の手のひらセクション710内に位置付けられた生地材料内に位置付けられ得る。この実施例では、第1の下位複数の導電繊維722が、上部手のひらセクション714、中間手のひらセクション716、及び側部手のひらセクション718の全体を通して延在し得る。更に、内側指表面712は、複数の導電繊維の第2の下位複数の導電繊維724を含むことができる。更に、この実施例では示されていないが、(複数の導電繊維の)別の下位複数の導電繊維は、任意選択的に、手首セクション706、前腕セクション708、又はそれらの両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。
【0055】
前の実施例とは異なり、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維722が、略平行な螺旋として手のひらセクション710内の生地材料に沿って通っている。第2の下位複数の導電繊維724は、手袋が静止位置にあるときに第1の方向326に略沿ってばらついている方向の指セクション302内の生地材料に沿って通っている。この実施例では、略平行な螺旋が、上部手のひらセクション714、中間手のひらセクション716、及び側部手のひらセクション718の範囲内に位置付けられている。
【0056】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維722と第2の下位複数の導電繊維724も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。やはり、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0057】
図8では、本開示による、MDMS700の例示的な一実施態様の背面図が示されている。この実施例では、手袋の裏側に、手セクション704が、手背セクション800を含み、指セクション302が、外側指表面802を含む。
図3で示されている実施例と同様に、外側指表面802と手背セクション800も、生地材料内に複数の導電繊維を有することができる。この実施例では、手背セクション800内の手セクション704が、(複数の導電繊維の)第1の下位複数の導電繊維804を含み、指セクション702が、複数の導電繊維の第2の下位複数の導電繊維806を含み得る。
【0058】
この実施例では、第1の下位複数の導電繊維804が、略平行な手背セクション800内の生地材料に沿って螺旋方向に通っている。第2の下位複数の導電繊維806は、手袋が静止位置にあるときに第1の方向326に略沿ってばらついている方向の指セクション702内の生地材料に沿って通っている。この実施例では、第2の下位複数の導電繊維806が、指セクション702の指下位部分用の、第2の下位複数の導電繊維406の下位部分を更に含む。前述されたように、第1の指セクション702の指下位部分内の第2の下位複数の導電繊維806の対応する下位部分のそれぞれが、指セクション702の対応する下位部分内で互いに略平行であり、手背セクション800から、指セクション702の対応する下位部分の先端まで延在する。
【0059】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維804と第2の下位複数の導電繊維806も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。やはり、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために単相AC信号を提供するように構成されている。
【0060】
図7及び
図8で示されている実施例に基づいて、生地材料内の複数の導電繊維は、手のひらセクション710及び内側指表面712、手背セクション800及び外側指表面802、又は手のひらセクション710及び内側指表面712と手背セクション800及び外側指表面802との両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。更に、この実施例では示されていないが、(複数の導電繊維の)別の下位複数の導電繊維は、任意選択的に、手首セクション706、前腕セクション708、又はそれらの両方の範囲内に位置付けられ得ることに留意されたい。
【0061】
図9では、
図5に関連して示された実施例に戻って、本開示による、MDMS900の別の例示的な一実施態様の背面図が示されている。この実施例では、MDMS900が、
図5で示されたMDMS500として示されているミトンの裏側の代替的な実施態様である。この実施例は、第1の下位複数の導電繊維900が手背セクション902内に位置付けられた略平行な螺旋であるということを除いて、
図5で示された実施例と同様である。
【0062】
図3に関連して手袋の前側に関して説明された実施例と同様に、この実施例では、第1の下位複数の導電繊維900と第2の下位複数の導電繊維608も、洗浄、粒子の仕分け、及びサンプル収集用に構成され得る。再び、MDMSコントローラは、入力信号源を用いて、進行波を生成するために多相AC信号を提供し、定常波を生成するために単相AC信号を提供し、可変位相シフト信号を提供し、又は可変電圧波形を提供するように構成されている。
【0063】
図3及び
図5に関連して示された実施例に戻って参照すると、手セクション304又は504並びに指セクション302及び502は、上部手のひらセクション314及び518、中間手のひらセクション316及び520、側部手のひらセクション318及び522、並びに指セクション302の下位部分330、332、334、336、338、514、及び524の範囲内で、第1の下位複数の導電繊維322及び525並びに第2の下位複数の導電繊維324及び526用の、異なる種類の配向を有することができる。
【0064】
図10では、本開示による、手袋の形態を採るMDMS1000の更に別の例示的な一実施態様の正面図が示されている。この実施例では、手袋が、上部手のひらセクション314、中間手のひらセクション316、及び側部手のひらセクション318のそれぞれが、異なる配向で構成された第1の下位複数の導電繊維の部分を有するということを除いて、
図3に関連した実施例で説明されたものと同じである。この実施例では、第1の下位複数の導電繊維が、上部手のひらセクション314内に位置付けられ且つ第1の方向326に沿って略平行な下位複数の導電繊維の第1の部分1002、中間手のひらセクション316内に位置付けられ且つ第1の方向326に沿って略平行な下位複数の導電繊維の第2の部分1004、及び側部手のひらセクション318内に位置付けられ且つ第1の方向326に沿って略平行な下位複数の導電繊維の第3の部分1006を含む。この実施例では、下位複数の導電繊維の第1の部分1002、第2の部分1004、及び第3の部分1006が、手袋に沿った第1の方向326に略沿って方向付けられているが、第1の方向326に略沿って、それらはそれぞれ互いから所定の角度だけばらつき得る。
【0065】
図11は、本開示による、手袋の形態を採るMDMS1100の更に別の例示的な一実施態様の正面図である。MDMS1100は、中間手のひらセクション316が、
図10で示されている直線的な略平行の導電繊維の代わりに略平行な螺旋である第1の下位複数の導電繊維の第1の部分1102を含むということを除いて、
図10に関連して説明され示されたMDMS1000の実施例と同様である。
【0066】
図12は、本開示による、手袋の形態を採るMDMS1200の更に別の例示的な一実施態様の正面図である。MDMS1200は、上部手のひらセクション314、中間手のひらセクション316、及び側部手のひらセクション318が、
図10及び
図11で示されている直線的な略平行の導電繊維の代わりに略平行な螺旋である第1の下位複数の導電繊維の第1の部分1202、第2の部分1204、及び第3の部分1206用の略平行な螺旋を含むということを除いて、
図10及び
図11に関連して説明され示されたMDMS1000及び1100の実施例と同様である。
【0067】
図10から
図12に関連して説明された同じアプローチが、MDMSが手袋の代わりにミトンである場合の手セクション504に用いられ得ることは、当業者に理解されるであろう。
【0068】
略平行な直線又は螺旋の導電繊維の配向が示されたが、導電繊維用の他の配向も用いられ得ることに更に留意されたい。例えば、同心の矩形、同心の三角形、ジグザグ、又は他の変形の配向も、導電繊維用に用いられ得る。
【0069】
図13Aを参照すると、本開示による、MDMS1300の例示的な一実施態様のシステムブロック図の側面図が示されている。MDMS1300は、前面1304と裏面1306とを有する生地材料1302、生地材料1302内の複数の導電繊維1308、及び生地材料1302内の第1の複数の信号経路1312を介して複数の導電繊維1308と信号で通信する生地材料1302の裏面1306上の複数の入力ノード1310を含む。
【0070】
複数の導電繊維1308は、前面1304に略隣接する(すなわち、前面上又は前面近くの何れかに)生地材料1302に沿った一連の(すなわち複数の)略平行な導電繊維1308として構成され、複数の入力ノード1310は、生地材料1302の裏面1306に略隣接する一連の入力ノードとして構成され、複数の入力ノードからの各入力ノードは、第1の複数の信号経路1312の対応する信号経路を介して複数の導電繊維1308からの対応する導電繊維と信号で通信する。複数の導電繊維1308は、MDMS1300のシールド1313を画定する前面1304(生地材料1302の上端面とも称される)の一部分であるシールドエリア1311内に位置付けられる。
【0071】
この実施例では、複数の導電繊維1308が、
図13Aの側面図のページに向かう或いはページから飛び出す(シールドエリア1311内の)生地材料1302のシールド1313に沿った第1の方向1314に略平行となるように且つ第1の方向1314に方向付けられるように図示されている。例示のために、第1の方向1314をページに向かう方向として示したが、当業者には、本開示内容を限定することなく、第1の方向1314が代替的にページから飛び出す反対の方向であってよいことが分かるだろう。複数の導電繊維1308が平行でない場合、複数の導電繊維1308は、例えば複数の導電繊維1308が平行から約15~20度ずれ得るなど、わずかにずれていてよい。
【0072】
この実施例では、複数の導電繊維1308が、シールド1313において、(例えば、織られた(若しくは編まれた)生地材料、可撓性材料、又はそれらの両方であり得る)生地材料1302の前面1304に織り込まれ又は編み込まれる。更に、複数の導電繊維1308の各導電繊維は、CNT繊維であってよい。更に、複数の入力ノード1310の各入力ノードは、電極であってよい。更に、複数の導電繊維1308の各導電繊維も、電極であってよい。
【0073】
この実施例では、複数の導電繊維1308が、(第2の複数の信号経路1320、複数の入力ノード1310、及び第1の複数の信号経路1312を介して)入力信号源1318からAC電圧信号1316を受信するように構成され、入力信号源1318は、第2の複数の信号経路1320を介して複数の入力ノード1310と信号で通信する。動作の一実施例では、複数の導電繊維1308が、AC電圧信号1316を受信すると、複数の導電繊維1308の各導電繊維は、通電されて生地材料1302の前面1304に沿って(又は略隣接して)電気放射素子として作用し、この結果、生地材料1302の前面1304に沿って電場1322が生じる。電場1322は、生地材料1302の前面1304に沿って第1の方向1314を横切る第2の方向1324に進行波を生成する。第2の方向1324は、任意選択的に、電場1322の性質に基づいて又は横方向に対する既定の角度において、左から右又は右から左であってよい。
【0074】
この実施例では、入力信号源1318は、AC電圧信号1316を、第1の位相信号1326、第2の位相信号1328、及び第3の位相信号1330を含む、複数のAC位相信号を有する三相AC電圧信号1316として生成し得る、三相電力供給信号源であってよい。三相AC電圧信号1316を生成する三相入力信号源1318である入力信号源1318の代わりに、他の多相入力信号源を用いることができ、例えば、二相AC電圧信号又は四相AC電圧信号をそれぞれ生成する二相信号源又は四相信号源も用いることができることは、当業者に理解される。三相AC電圧信号1326、1328、及び1330がMDMS1300に印加されると、生地材料1302の前面1304上の任意の塵粒子1332が、はじかれ、生地材料1302の前面1304から第2の方向1324に平行な反発方向1334に移動する。
図13Bを参照すると、本開示による、MDMS1300(
図13Aに示す)の実施態様のシステムブロック図の上面図が示されている。
【0075】
裏面1306に略隣接した複数の入力ノード1310を図示したが、これは例示のためであり、複数の入力ノード1310は、生地材料1302に隣接する様々な位置に位置付けられ得ることに留意されたい。一実施例として、複数の入力ノード1310は、裏面1306に隣接するがその直下の生地材料1302内で裏面上に、前面1304に隣接するがその直下の生地材料1302内で前面1304上に、前面1304又は裏面1306の何れかに対するアクセスを有する生地材料内で生地材料の側部(図示せず)に、或いは複数の導電繊維1308にAC電圧信号1316が供給されたときに、生成した電場1322との許容不可能な干渉をもたらさない生地材料に隣接した任意の場所に位置付けられ得る。というのも、AC電圧信号1316が複数の入力ノード1310と第1の複数の信号経路1312とから電磁場を誘発し、この電磁場が複数の導電繊維1308に近すぎると、AC電圧信号1316によって複数の導電繊維1308上に生成した誘発電流及び/又は結果的に生じた電場1322と相互作用し且つ/又は干渉し得るからである。入力信号源1318は、(前述した)多相AC源又はDC源であってよいことにも留意されたい。
【0076】
この実施例では、MDMSコントローラが、定常波、可変位相シフト信号、又は可変電圧波形を生成するために、入力信号源1318に単相AC信号を生成させるようにも構成され得る。
【0077】
MDMS1300の、或いはMDMS1300に関連付けられた回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイスは互いに信号で通信すると説明したが、信号での通信は、回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイス間での任意の種類の通信及び/又は接続を指し、これにより、回路、構成要素、モジュール、及び/又は装置が、別の回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイスと信号及び/又は情報を送受信することが可能になる。通信及び/又は接続は、1つの回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイスから別の回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイスへ信号及び/又は情報を送ることを可能にする回路、構成要素、モジュール、及び/又はデバイス間の任意の信号経路に沿ったものであってよく、これには無線又は有線信号経路が含まれる。信号経路は、例えば、導線、電磁導波管、ケーブル、取り付けられた及び/又は電磁的に若しくは機械的に結合された端子、半導体又は誘電体材料又はデバイス、或いは他の同様の物理的接続又は結合などの、物理的なものであってよい。更に、信号経路は、直接的な電磁接続を通さない様々なデジタル形式で、通信情報が1つの回路、構成要素、モジュール、及び/又は装置から別の回路、構成要素、モジュール、及び/又は装置へ送られる、デジタル構成要素を通る、自由空間(電磁伝播の場合)又は情報経路などの非物理的なものであってよい。
【0078】
この実施例では、複数の導電繊維1308は生地材料1302内の電極として用いられる複数のCNT繊維であり、これは、従来の金属電極と比べて良好な導電体であり、機械的に強く可撓性である(すなわち疲労回復力が高い)ためである。当業者には、CNT繊維がナノテクノロジー、エレクトロニクス、材料科学、光学などに適用される高性能の技術躍進的な材料であることが認識されるだろう。一般に、CNT繊維は、ポリマー、カーボンファイバー、及び金属の最良特性を組み合わせた多機能材料であり、これはCNT繊維が分子レベルで存在する非常に優れた機械的強度及び剛性、電気伝導性、熱伝導性、及び低密度(銅の約8.96g/cm3と比べてCNT繊維は約1g/cm3である)の特性を有するためである。具体的には、CNT繊維は、直径約1ナノメートル(「nm」=10-9)、直径に対する長さの比率が最大約132000000:1、高い熱伝導性(約100mWm2/kgK~1000mWm2/kgKの範囲)、(密度で正規化された約1kSm2/kg~6kSm2/kgの範囲の)正規化電気伝導性、及び(1GPa~1.3GPaおおよその範囲の引張強度の)高い機械的強度及び剛性を有する円筒状のナノ構造の炭素の同素体である。
【0079】
現在、軽量CNT繊維は、メートル単位の長さで、学術的ソースによって最近示されるように、ポリマー及び炭素繊維の比強度、金属の高い比電気伝導性、及びグラファイト繊維の比熱伝導性に近い特性を有するように製造され得る。このCNT繊維は、例えば銅などの比較的低い強度(例えば、市販の銅製マグネットワイヤの約49MS/m)を有する高伝導金属と比べて比較的伝導率が低い(例えば、CNT繊維については約1.1MS/m)高強度繊維である。しかしながら、このCNT繊維の電気伝導性は、銅及び他の既知の高伝導材料よりも低い場合があり、CNT繊維の利点は、質量により正規化された時に、低密度であるために金属導体よりも通電容量(「CCC」)が大幅に上がることである。
【0080】
この特性の結果、本実施例では、CNT繊維が、電極としてMDMS1300と金属ワイヤ又はストリップを統合するという課題を克服するため、CNT繊維は、導電繊維1308の代わりにMDMS1300の複数の導電繊維1308として用いられてきた。具体的には、CNT繊維の機械特性は高伝導金属材料の機械特性よりも高く、CNT繊維の質量は金属電極と比べて低い。従って、CNT繊維の厚さを増して金属電極の低抵抗と一致させる必要があったとしても、CNT繊維の全体的な質量寄与は、金属電極の質量よりも小さい。当然ながら、この実施例ではCNT繊維が用いられるが、高い強度と共に高い疲労回復力、金属材料と同程度の高い伝導性、及び金属電極に比べて低い質量を有する限り、例えばLitewireなどの他の繊維も他の用途に用いることができる。
【0081】
このように、生地材料1302が可撓性であり、宇宙服の生地の場合は可撓性であり且つ製造するのが複雑であるため、生地材料1302内の複数の導電繊維1308にCNT繊維を用いることが好ましい。具体的には、金属材料に疲労破損の課題があり、しばしば高サイクル疲労が起き、反復荷重下でのサイクル荷重に起因する金属材料の不具合につながるため、(例えば、銅又はインジウムスズ酸化物などの)金属材料を宇宙服の生地材料1302に使用することは困難となる。あいにく宇宙服は、例えば、特に宇宙服の脚又は腕部分内で宇宙服の材料(例えば、生地材料及び上記のような他の可撓性材料)を曲げる、屈曲させる、折り曲げる、又はひねるような反復した動きを経験する。このため、宇宙服の材料は、可撓性が高く、ほぼ疲労しないものである必要がある。加えて、宇宙服が不規則な外形と滑らかでない表面を有するため、これらの金属材料で宇宙服を製造することもまた課題である。この結果、宇宙服の製造材料では、例えば、スパッタリング又はインクジェットプリンティングなどの周知の技術を用いて宇宙服の生地材料表面に金属材料のワイヤを付着させることは不可能である。加えて、塵に曝露される(例えば、ベータクロス、オルト生地、又はこの両方、或いは例えばBIOSUIT(登録商標)などに使用される好適な生地材料又は可撓性材料の他の実施例、或いは宇宙居住船、膨張性構造、可撓性展開アンテナ、及びこれらの組み合わせに使用される可撓性材料など)宇宙服の生地材料は一般に、全ての電極を宇宙服の材料表面に直接接着させるために、伝導性ではないポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」、すなわち「TEFLON(登録商標)」としても一般に知られるテトラフルオロエチレンの合成フッ素重合体)でコーティングされる。しかし、接着が好適な他の生地材料については、本開示の精神から逸脱することなく電極を接着させることができることに留意すべきである。
【0082】
ベータクロスは、例えば、アポロ/スカイラボA7Lの宇宙服及びアポロの熱流星塵服などの宇宙服の製造に使われる種類の耐火性シリカ繊維布であることを理解すべきである。一般に、ベータクロスは、繊維ガラスと同様のPTFEでコーティングされた生地材料であり、不燃性で、摂氏6500度を超える温度でのみ溶解する細かく織られたシリカ繊維を含む。オルト生地は宇宙服の外層に用いられ、GORE-TEX(登録商標)(すなわち、空気と水滴を通す膜を含む合成防水生地材料)、KEVLAR(登録商標)(すなわち高引張強度のパラアラミド合成繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド)、及びNOMEX(登録商標)(難燃性メタアラミド合成繊維)材料が複雑に織り込まれた混合物を含む。オルト生地に加えて、生地材料は、VECTRAMTM(商標)、Teflon TEFLON(登録商標)生地、織られたKAPTON(登録商標)、ポリイミド素材、又はそれらの両方、ベータクロスなどであってよい。
【0083】
図14を参照すると、本開示による、複数の導電繊維1308(
図13A及び13Bに示す)を有する生地材料1302の織物1400の一実施態様の上面図が示されている。
図13A及び13Bに示す実施例と同様に、生地材料1302のシールドエリア1311内に七(7)つの導電繊維1308を図示したが、当業者には、シールド1313の所望の反発特性に基づき、任意の複数の導電繊維1308を用いることができることが理解されよう。
【0084】
この実施例では、導電繊維1308が、生地材料1302を形成するように織られたCNT繊維である。更に、この実施例では、複数の生地材料1302の縦糸1402(すなわち、複数の生地材料1302の水平糸1402)と、生地材料1302の前面1304を形成する複数の生地材料1302の横糸1404(すなわち、複数の生地材料1302の垂直糸1404)と、複数の導電繊維1308に隣接し且つ複数の導電繊維1308の間にある複数の絶縁糸1406と、を有する生地材料1302の織物1400が示される。この実施例では、複数の生地材料1302の縦糸1402、複数の絶縁糸1406、及び複数の導電繊維1308が、織物1400の第1の方向1314に沿って通り、一方で、複数の生地材料の横糸1404が、織物1400の第2の方向1324に沿って通っている。この実施例では、生地材料1302は、オルト生地材料であってよく、複数の生地材料の縦糸1402と複数の生地材料の横糸1404は、生地材料1302の織物1400を生産するために用いられる、一般に2層の(すなわち「2層の」糸を形成するためによりあわせられた(「層形成された」)材料の2本の糸)又は多層の(すなわち2層を上回る)布地繊維であるオルト生地材料の糸(すなわち撚糸又は布地繊維)であってよい。当業者には、生地材料1302が、一般に、生地材料1302の強度を高めるために少なくとも2層であることが分かるだろう。更に、オルト生地材料が複数の導電繊維1308のうちの各導電繊維を互いから電気的に絶縁することができる限り、複数の絶縁糸1406も、複数の生地材料の縦糸1402及び複数の生地材料の横糸1404と同じオルト生地材料であってよい。更に、複数の導電繊維1308の各導電繊維は、2層又は多層導電繊維であってもよい。したがって、この実施例では、生地材料1302が、生地材料1302の織物1400の部分織物1408として示されている。部分織物1408は、複数の生地材料の横糸1404に沿って且つ複数の生地材料1302の縦糸1402の間に、複数の導電繊維1308を(複数の縦の導電繊維として)含み、部分織物1408は、複数の導電繊維1308の間に間隔を空けて配置された複数の絶縁糸1406を含む。
【0085】
この実施例では、一方向(すなわち第1の方向1314)に一様に延びた複数の導電繊維1308と複数の絶縁糸1406を示したが、複数の導電繊維1308と複数の絶縁糸1406が、本開示に後で示すように、MDMS1300の設計に基づいて所望の任意の順序又はパターンの縦糸及び横糸の両方に混合され得ることに留意すべきである。更に、複数の絶縁糸1406が、MDMS1300によって生じた電場1322の進行波を大幅に減少させないような1つ以上の誘電率値を有し得ることに更に留意されたい。生地材料1302の織物1400をこの実施例に示したが、その代わりに生地材料1302は、編まれていてもよいことに留意されたい。
【0086】
図15A、
図15B、及び
図15Cを参照すると、本開示による、複数の導電繊維1308として用いられる複数のCNT繊維1502を有するオルト生地材料1500(例えば、宇宙服の外層材料)としての生地材料1302の織物、又は編み物の例示的な一実施態様の正面図及び背面図が示されている。
図15A及び
図15Bに、オルト生地材料1500の前面1304(本明細書において「上端面」とも称される)を示し、一方で、
図15Cに、オルト生地材料1500の裏面1306を示す。
図15Aは、オルト生地材料1500の糸(すなわち、繊維)を形成するように織られた又は編まれた(複数のCNT繊維1502の)単一のCNT繊維1504を示すオルト生地材料1500の前面1304の拡大正面図であり、
図15Bは、オルト生地材料1500の糸を形成するように織られた又は編まれた(複数のCNT繊維1502の)複数のCNT繊維を示す、オルト生地材料1500の前面1304の小さ目の拡大正面図である。この実施例では、複数のCNT繊維1502は、オルト生地材料1500の生地材料1302の全厚さを貫通しない。織り又は編みは、前面1304のみが、複数のCNT繊維1502を有するように行われる。このため、
図15Cには、CNT繊維1502がオルト生地材料1500の裏面1306を全く貫通しないオルト生地材料1500が示されている。
【0087】
図16に、本開示による、2つのCNT繊維1600及び1602の一部分の例示的な一実施態様の斜めになった側面図を示す。(複数のCNT繊維1502、
図15A~
図15C)の2つのCNT繊維1600及び1602には、組織的に又はランダムに配向され得る、CNT繊維1600及び1602においてわずかにほつれた撚糸によって形成された側面フィブリル1604及び1606(すなわち一般にCNT繊維の「髪」として知られる)が含まれ得る。一般的に、側面フィブリル1604及び1606を用いることにより、電場1322(
図13A)に不規則性を生じさせることによって、MDMS1300の塵反発効果が増す。
【0088】
図17A、
図17B、及び
図17Cでは、本開示による、オルト生地材料1500の前面1304における複数のCNT繊維1502(
図15A、
図15B、及び
図15Cに示す)の絶縁の例示的な一実施態様の正面図を示す。この実施例において、複数の熱可塑性繊維1700がオルト生地材料1500の製造中に装着される。この実施例では、組み立てられたオルト生地材料1500と複数の熱可塑性繊維1700が高温でアニールされ、熱可塑性繊維1700が溶けて、塵粒子1332をはじく電場1322の低下を最小限に抑えながら(例えば、約10%未満の低下)、オルト生地材料1500と複数のCNT繊維1502の組み合わせの安全性を高めるミクロンサイズの絶縁層1702が作製される。
図17Cに、オルト生地材料1500の前面1304及び複数のCNT繊維1502を完全に覆う上端層コーティング1704を示す。上端層コーティング1704は、電場1322を局所的に強化するために電気的に絶縁されていてよく或いは偏光されてよい。複数のCNT繊維1502とオルト生地材料1500の前面1304のアセンブリが完了した後に、上端層コーティング1704が塗布され得る。一実施例として、(例えば、NASA GRCにおいて開発された仕事関数のように)上端層コーティング1704は、シールド1313の複数のCNT繊維1502のバンドギャップを、塵粒子の典型的なバンドギャップと等しくするために、疎水性が最大となる表面特徴パターンを有する疎水性材料(例えばNASA GSFCによって開発されたLotusコーティング)、及び/又はアセンブリ(すなわち、コーティングとCNT繊維)の電子帯構造を曲げる材料などであってよい。
【0089】
図18を参照すると、本開示による、第1の複数のCNT繊維1802と第2の複数のCNT繊維1804とを有するオルト生地材料1800の別の例示的な一実施態様の拡大正面図が示されている。この実施例では、多方向のパターンを有する第1の複数のCNT繊維1802と第2の複数のCNT繊維1804が示される。一実施例として、オルト生地材料1800の2つのエリア1806及び1808が示され、第1のエリア1806は、「垂直」方向(すなわち垂直織り)に配向された第1の複数のCNT繊維1802を有し、第2のエリア1808は、「水平」方向(すなわち水平織り)に配向された第2の複数のCNT繊維1804を有する。
【0090】
同様に、
図19に、本開示による、第1の複数のCNT繊維1902と第2の複数のCNT繊維1904とを有するオルト生地材料1900の更に別の例示的な一実施態様の正面図を示す。この実施例では、第1の複数のCNT繊維1902と第2の複数のCNT繊維1904が、絶縁材料又は生地材料の薄膜によって絶縁される「垂直」織り及び「水平」織りに重ね合わされる。重ね合わせられた織りは、電場1322を強化するために可変であってよく且つ/又は異なるものであってよい。第1の複数のCNT繊維1902と第2の複数のCNT繊維1904の個々のCNT繊維は、個々のCNT繊維の何れかの側が絶縁されてよい。
【0091】
図20に、本開示による、第1の複数のCNT繊維2002と第2の複数のCNT繊維2004とを有するオルト生地材料2000の更に別の例示的な一実施態様の正面図を示す。この実施例では、第1の複数のCNT繊維2002と第2の複数のCNT繊維2004は、可変の間隔と寸法とを有し得る。第1の複数のCNT繊維2002と第2の複数のCNT繊維2004の個々のCNT繊維の幅(例えば、直径)は、90度に限定されない。第1の複数のCNT繊維2002と第2の複数のCNT繊維2004の個々の隣接するCNT繊維間の距離は変化し得る。更に、第1の複数のCNT繊維2002と第2の複数のCNT繊維2004のクラスタリングは、広い間隔2006と狭い間隔2008とを有する繊維間の距離により変化し得る。
【0092】
図21に、本開示による、複数の電気波形で駆動される複数のCNT繊維2102を有するオルト生地材料2100の例示的な一実施態様の正面図を示す。この実施例では、複数のCNT繊維2102は、6つのCNT繊維の中で3つの位相(第1の位相2106、第2の位相2108、及び第3の位相2110)を有する、低周波(例えば、10Hzの)AC多相正弦波信号2104によって駆動される。同様に、
図22に、本開示による、別の種類の複数の電気波形で駆動される複数のCNT繊維2102を有するオルト生地材料2100の例示的な一実施態様の正面図を示す。この実施例では、複数のCNT繊維2102が、4つのCNT繊維の中で2つの位相(第1の位相2202と第2の位相2204)を有する、低周波(例えば10Hzの)AC多相正弦波信号2200によって駆動される。これらの実施例では、CNT繊維2102のクラスタの中に分散された(0.1Hz~100Hzの範囲の)ランダムスペクトル成分を有する広いスペクトル波形が可能である。
【0093】
図23に、本開示による、複数のCNT繊維2302を有する非オルト生地材料2300の例示的な一実施態様の正面図を示す。
【0094】
図24に、本開示による、複数のCNT繊維2402と2404を有する非オルト生地材料2400の例示的な一実施態様の正面図を示す。非オルト生地材料2300及び2400は、マトリックスにおいて所定の間隔空けて埋め込まれたCNT繊維2302、2402、及び2404を有する(非導電ポリマーなどの)非導電繊維の配向繊維である柔軟性繊維を有するリボンを有する基板であってよい。リボンは、マトリックス硬化材料で作成された裏地で安定化され得る。代替的に、非オルト生地材料2300及び2400は、アセンブリの複雑な幾何学的輪郭の電場1322を局所的に強めることを可能にする帯電ポリマーを用いた帯電生地繊維であってよい。非オルト生地材料2300及び2400はまた、生地材料が1本の2層導電撚糸及び1本の絶縁撚糸等の2つの異なる種類の繊維で構成される、CNT繊維が埋め込まれた導電性ポリマーであってもよい。一般に、1層撚糸、及び2層撚糸の第1の(すなわち非導電)側に使用される材料は、生地材料の第1の(すなわち、非導電)側にある電場1322の進行波が大幅に減少しないような誘電率を有するべきである。更に、非導電撚糸と導電撚糸との間隔、順序、及びパターン、また入力信号源1318の位相及び周波数は、生地材料の第1の(非導電)面の反発及び分散効果を調整するように設計され得る。例えば、月面条件において約5~300μmサイズの塵粒子をはじくためには、導電繊維の幅の範囲が約0.5~400μm、導電繊維の間隔が約0.3~4mm、電圧が約500~2000V、周波数が約5~200Hz、そして単一入力信号から多相入力信号であることが予測される。これらのパラメータ値は、地上用途において、重力、湿度、及び大気条件の影響を考慮して、約3~5倍増加する場合がある。
【0095】
図25を参照する。
図25に、本開示による、複数のCNT繊維2502と複数のセンサ2504を有するオルト生地材料2500の例示的な一実施態様の拡大正面図を示す。センサ2504は、オルト生地材料2500に取り付けられた、あるいは複数のCNT繊維2502内に埋め込まれたマイクロセンサであってよい。センサ2504は、塵による被覆量を特定するように構成され、次に予め規定した塵による最小被覆率の値に基づいて、AC電圧信号1316でMDMS1300を起動させることができる。センサ2504は、オルト生地材料2500の前面2506上の光反射率、質量の変化などを検出し得る。
【0096】
図26に、MDMS1300のシールド1313の塵反発動作を促進するために、機械的動作を電場1322と結合させる生地材料2602内又は(生地材料2602に織り込まれた)CNT繊維2604内に埋め込まれたマイクロ振動センサ2600とアクチュエータ2601の例示的な一実施態様のシステムブロック図の上面図を示す。
【0097】
図27では、本開示による、生地材料2602又は複数のCNT繊維2604内に埋め込まれた複数のマイクロ振動センサ2600と複数のアクチュエータ2601の
図26で示されたシステムブロック図の正面図(平面A‐A’2606に沿って)が示されている。この実施例では、複数のCNT繊維2604(すなわち、一連の略平行するCNT繊維)が、宇宙服のオルト生地材料であってよい生地材料2602に織り込まれる。生地材料2602は最外層2700を有し、最外層2700の上端部は仕事関数コーティング2702である。生地材料2602はまた、最外層2700の下の生地材料2602の下位層2704も含む。複数のマイクロ振動センサ2600と複数のアクチュエータ2601は、最外層2700と下位層2704との間に位置付けられる。この実施例では、MDMS1300が、シールド1313から塵をはじくために、受動的、静電的、及び振動機械的動作を組み合わせる。
【0098】
図28を参照すると、本開示による、MDMSコントローラ2801並びにマイクロ振動センサ及びアクチュエータ2600(
図26及び
図27に示す)を有するMDMS2800の例示的な一実施態様のシステムブロック図の側面図が示されている。この実施例は、
図13Aに示す実施例と同様であるが、マイクロ振動センサとアクチュエータ2600内に第1のセンサ2802、第2のセンサ2804、及びアクチュエータ2806、及びMDMSコントローラ2801の追加要素を有する。この実施例では、前述したように、MDMSコントローラ2801が、マイクロコントローラ、CPUベースのプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、又は他の同様なデバイス若しくはシステムを含み得る、任意の一般電子コントローラであってよい。第1のセンサ2802及び第2のセンサ2804は、シールド1313上の塵粒子1332による被覆量を特定して、次いで、それぞれ信号経路2808と2810を介して第1及び第2のセンサ2802及び2804と信号で通信するMDSMコントローラ2801へその情報を提供することができるデバイスである。第1及び第2のセンサ2802及び2804は、MDMS電源(図示せず)によって、あるいはMDMS2800の装着者の動きから機械エネルギーを収集することによって電力供給されるマイクロセンサであってよい。第1及び第2のセンサ2802及び2804は、シールド1313の塵粒子1332による被覆量を決定し、それぞれ信号経路2808及び2810を介してMDMSコントローラ2801へ送信されるセンサデータ信号2812及び2814を介してMDNSコントローラ2801へその情報を提供する。MDMSコントローラ2801は受信すると次に、シールド1313上の塵粒子1332を除去するために、シールド1313上の電場1322の特性を変化させてAC電圧信号1316を調整する必要があるかどうかを決定する。AC電圧信号1316を調整する必要がある場合、MDMSコントローラ2801は信号経路2818を介して調整信号2816を入力信号源1318へ送信する。受信すると、入力信号源1318は、MDMS2800の塵軽減特性を最適化するために(調整信号2816に応じて)複数の導電繊維1308に提供されるAC電圧信号1316の波形及び/又は周波数を修正する。更に、MDMSコントローラ2801は、信号経路2822を介して作動信号2820をアクチュエータ2806へ提供し得る。受信すると、アクチュエータ2806は、シールド1313から塵粒子1332を取り除き易く且つ/又は除去し易くするために、生地材料2602の最外層2700に機械的作用(例えば、振動エネルギー)を付与し始めるようになる。この実施例では、アクチュエータ2806が、圧電デバイス(例えば、マイクロ振動デバイス)又は幾つかの導電繊維1308内の幾つかの撚糸(図示せず)であってよい。アクチュエータ2806は、第1及び第2のセンサ2802及び2804からの入力からMDMSコントローラ2801又はMDMS2800の外部の他の制御装置の制御下で動作し得る。第1及び第2のセンサ2802及び2804と同様に、アクチュエータ2806は、MDMS電源(図示せず)によって、又はMDMS2800の装着者の動きから機械エネルギーを収集することによって電源供給され得る。
【0099】
この実施例においては便宜上、
図28に2つのセンサ2802及び2804と1つのアクチュエータ2806のみが示されることに留意されたい。これは限定するものではなく、MDMS2800は、非限定的に生地材料2602の最外層2700の下に複数のセンサと複数のアクチュエータを含み得ることに留意されたい。
【0100】
1以上のアクチュエータを用いたMDMS2800の別の用途は、生地材料2602の前面から全ての犠牲コーティングを剥がしやすくするために複数のアクチュエータで高周波振動又は低周波カービング(curving)を発生させることによって、犠牲コーティング(例えば、一時的又は剥離可能な太陽光生地、迷彩生地、光学特性に必要なコーティング、撥水、対レーダーなど)を除去する機能である。
【0101】
センサ及びアクチュエータに加えて、MDMS2800はまた、塵軽減プロセス又は身体の暖房を支援するために用いられる1以上のマイクロヒータ(図示せず)も含み得る。マイクロヒータは、複数の導電繊維1308の抵抗率を上げるために、或いは複数の導電繊維1308の加熱を介してMDMS2800の装着者に熱を提供するために用いられ得る。複数の導電繊維1308用のCNT繊維の実施例では、マイクロヒータが、生地材料2602の最外層2700上の、或いは生地材料2602の下位層2704の二次的な複数の導電繊維(図示せず)としての何れかで実装され得る、複数の導電繊維1308の一部分として実装され得る。マイクロヒータは、MDMSコントローラ2801によって、或いは生地材料2602内のセンサからの直接入力によって制御され得る温度を、生地材料2602上或いは中に生じさせるように構成される。マイクロヒータは、MDMS電源によって電力供給され得る。
【0102】
複数の導電繊維1308はまた、MDMS2800の放射線防護にも用いられ得ることを更に留意すべきである。この実施例では、複数の導電繊維1308の織りパターンが最適化され、入力信号源1318が、電子、陽子、又はそれらの両方をはじく電場を生成するAC電圧信号1316を生成する。この用途では、MDMS2800の塵反発用途よりも高い周波数を用いて、複数の導電繊維1308に重ね合わせ、二重用途の実施態様においてより広いスペクトル範囲の複数の種類の波形を生成することができる。一実施例として、導電繊維のパターンを変更して、導電繊維の異なるゾーンの空間パターンを生成することができる。その場合、導電繊維の空間的分離は、ゾーンごとに変化し、AC電圧信号の印加される波形の空間的な分離が、ゾーンごとに変化する。
【0103】
更に、複数の導電繊維1308はまた、MDMS2800が、宇宙服、登山用衣類、及び登山用具、並びに政府及び軍の服及びデバイスの生地材料に組み込まれ得る、エネルギー収集にも用いられ得る。一般的に、複数の導電繊維1308は、塵軽減用の周波数、及び受信電力として整流され且つ収集され得る環境電磁エネルギーを受け取るための(1以上の)第2の周波数で動作するように調整され得る。更に、導電繊維用のCNT繊維の場合、装着者の動きから機械的エネルギーを収集して、それを電力に変換するために、CNT繊維又は生地材料内に圧電素子を埋め込むことができる。更に、CNT繊維は、熱電変換器として作用するCNT繊維を介して電力に変換される環境熱エネルギー(例えば、外部熱エネルギー、太陽からの放射線、装着者の身体からの熱)を受けるように構成され得る。
【0104】
更に、複数の導電繊維1308は、装着型通信システム、又は例えば生地材料を用いたアンテナなどの生地材料を用いたシステムの対妨信用途にも用いられ得る。この場合、生地材料と複数の導電繊維は、導電繊維にCNT繊維を用いることによって、装着型通信システムの一部分であり得る生地ベースのアンテナシステムと組み合わせて用いられ得る。この実施例では、CNT繊維は、妨害信号を検出することができるセンサとして動作することができ、MDMS2800はまた、妨害信号を検出することができる埋め込み電場センサも含むこともできる。妨害信号が検出されると、MDMS2800は、シールドからの塵を軽減するために、MDMS2800によって生成された周波数より高い周波数の対妨信AC電圧信号を発生させることができる追加の装置、構成要素、又はシステムを含み得る。この対妨信AC電圧信号を発生させるために、MDMSコントローラ2801は、外部の通信システムと信号で通信し得る。
【0105】
図29A、
図29B、
図29C、及び
図29Dを参照すると、本開示による、MDMS1300と共に使用するための、プリントされた可撓性導体及び/又は導電繊維パターンの異なる例示的な実施態様の正面図が示されている。塵反発動作をより良く制御するために、何らかのパターンが生地材料上に配置され、アクティブなコントローラ(すなわち、MDMSコントローラ)と信号で通信することができる。様々な形状により、様々な最適化された塵反発及び粒子収集動作が提供される。プリントされたパターンが次に、適切な誘電特性の可撓性材料、生地材料、及び/又は表面に取り付けられ得る。これらの実施例では、
図29Aは略平行な螺旋を示し、
図29Bは略平行な同心の矩形を示し、
図29Cは略平行な同心の三角形を示し、
図29Dは略平行なジグザグを示す。この実施例では、指(すなわち、セクション330、332、334、336、及び338)の先の尖った角で電場を強くするために、
図29Cで示されている略平行な同心の三角形が、(指セクション302の)指の先端に実装され得る。更に、導電繊維の(
図29Dで示されている)平行なジグザグ配向も、内側指表面312上に用いられ得る。
【0106】
本開示の実施例のほとんどは宇宙服に焦点を当てたものであるが、当業者には、本開示が、電気柵、装着型通信手段用の塵防護システム、放射線防護、熱保護、傘形アンテナ、テント、天蓋表面、適応型太陽熱収集器、適応型太陽電池、自己洗浄式アンテナ、展開構造、膨張性の物体、登山用の圧電性機械的動作を伴うCNT繊維埋め込みデバイスなどの、可撓性材料又は生地材料を用いた他の種類のデバイスにも適用されることが理解されるだろう。
【0107】
動作の一実施例として、CNT繊維の電極としての使用と、電極に多相AC電圧信号が印加された結果として得られる塵除去能力の試験を行うために、約3インチ×3インチのオルト生地材料のテストクーポンが幾つか、MDMS1300の複数の構成に適用された。
【0108】
図30は、本開示による、MDMS1300の電極の例示的な一実施態様の回路図である。この実施例では、3つの電極が、電極A3000、電極B3002、及び電極C3004として示されている。電極のそれぞれは、生地材料1302上の下位複数の導電繊維と信号で通信することができる。一実施例として且つ説明を簡単にする目的で、電極A3000は、3つの導電繊維3008、3010、及び3012として示されている第1の複数の導電繊維と信号で通信するように示されている。同様に、電極B3002は、3つの導電繊維3014、3016、及び3018として示されている第2の複数の導電繊維と信号で通信するように示されており、電極C3004は、3つの導電繊維3020、3022、及び3024として示されている第3の複数の導電繊維と信号で通信するように示されている。この実施例では、所与のサイズの塵粒子を除去するか又はそれらの粒子を収集するかの何れかのために、個別の導電繊維の位置が、入力信号源と組み合せて用いられ得る。個別の導電繊維の位置は、粒子のサイズ間の区別のために用いられ得る個別の導電繊維の間隔をもたらす。この実施例では、電極A3000と電極B3002の導電繊維の間隔が、距離x3026である。更に、電極B3002と電極C3006の導電繊維の間隔も、距離x3026である。電極A3000と電極C3006の導電繊維の間隔が、距離y3028である。この実施例では、粒子のサイズ間の区別のために、距離x3026とy3028を用いることができる。一実施例として、約距離x3026のサイズを有する粒子が所望であるときに、MDMSコントローラは、三相(すなわち、120度だけ位相シフトされた)信号で3つの電極を駆動するように入力信号源1318に指示することによって、3つの電極(すなわち、電極A3000、電極B3002、及び電極C3004)に電力供給することができる。その代わりに、約距離y3028のサイズを有する粒子が所望である場合、MDMSコントローラは、二相(すなわち、180度だけ位相シフトされた)信号で電極A3000と電極C3004を駆動するように入力信号源1318に指示することによって、電極A3000と電極C3004のみに電力供給することができる。代替的に、定常波電場が所望である場合、MDMSコントローラは、正弦波信号で電極A3000を駆動するように入力信号源1318に指示することによって、例えばV
psin(ωt)と等しい信号で電極A3000を駆動するように入力信号源1318に指示することによって、電極A3000のみに電力供給することができる。但し、V
pは(前述したように)印加される信号の振幅であり、ωはラジアンにおける信号の角周波数であり、tは時間である。この実施例では、電極B3002と電極C3004はゼロに設定される。
【0109】
この実施例では、電極A3000、電極B3002、及び電極C3004は、種々の入力信号及び導電繊維の構成に基づいて変動し得る位相シフトされた信号を、入力信号源から受信することができる。例えば、入力信号源は、三相信号用に120度の位相シフト、四相信号用に90度の位相シフト、二相信号用に180度の位相シフトなどを生成することができる。
【0110】
図31では、本開示による、動作中にMDMS1300によって実施される塵軽減の方法3100の例示的な一実施態様のフローチャートが示されている。この実施例では、MDMS1300が、
図13で示されたMDMS1300であるものと仮定する。
【0111】
方法3100は、複数の入力ノードで入力信号源からAC電圧信号を受信すること(3104)、及び複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること(3106)によって開始する(3102)。方法3100は、第1の方向を略横切る第2の方向において生地材料の前面に沿って移動する進行波を電場から生成すること(3108)を更に含み(すなわち、進行波は、導電繊維の長さの方向に対して直角に移動する)、その後、方法3100は終了する(3110)。
【0112】
この実施例では、AC電圧信号を受信すること(3104)が、生地材料内の少なくとも1つのセンサから(MDMSのシールド上に任意の塵粒子が存在するかどうかを示す)少なくとも1つのセンサデータ信号を受信すること、及び、少なくとも1つのセンサデータを受信したことへの応答に基づいて、AC電圧信号を生成することを含む。更に、方法3100は、少なくとも1つのセンサデータ信号に基づいて生地材料上に振動を生成することを更に含むことができる。
【0113】
図32を参照すると、本開示による、動作中にMDMSよって実施される粒子収集の方法3200の例示的な一実施態様のフローチャートが示されている。再び、この実施例では、MDMS1300が、
図13で示されたMDMS1300であるものと仮定する。
【0114】
方法3200は、複数の入力ノードで入力信号源からAC電圧信号を受信すること(3204)、及び複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること(3206)によって開始する(3202)。方法3200は、複数の粒子をキャプチャするために生地材料の前面に沿って電場から定常波を生成すること(3208)を更に含み、その後、方法3100は終了する(3210)。この実施例では、複数の導電繊維が、第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維を含むことができる。更に、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること(3206)は、AC電圧信号が三相信号である場合、MDMSコントローラが、第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維の間に約120度の位相シフトを、選択的に入力信号源に生成させることを含み得る。MDMSコントローラは、第1の下位複数の導電繊維と第3の下位複数の導電繊維との間に約180度の位相シフトを、選択的に入力信号源に生成させることもできる。AC電圧信号が四相信号である場合、複数の導電繊維を用いて生地材料の前面上に電場を生成すること(3206)は、第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、第3の下位複数の導電繊維、及び第4の下位複数の導電繊維の間に約90度の位相シフトを生成することを含むことができる。
【0115】
更に、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1
多目的塵軽減システム(「MDMS」)であって、指セクション、前記指セクションに物理的に取り付けられた手セクション、前記指セクションと前記手セクションの両方の範囲内の生地材料であって、前面と裏面を含む生地材料、前記生地材料の範囲内の複数の導電繊維であって、前記生地材料に沿って略平行であり且つ前記生地材料の前記前面に略隣接している複数の導電繊維、及び前記生地材料に略隣接した複数の入力ノードであって、前記複数の導電繊維と信号で通信し且つ入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信するように構成されている複数の入力ノードを備え、前記複数の導電繊維が、前記複数の入力ノードが前記入力信号源から前記AC電圧信号を受信したことに応答して、前記生地材料の前記前面上に電場を生成するように構成されている、MDMS。
条項2
前記複数の導電繊維が、複数のカーボンナノチューブ(「CMT」)繊維である、条項1に記載のMDMS。
条項3
前記手セクションが、手のひらセクションと手背セクションを含み、前記指セクションが、内側指表面と外側指表面を含み、前記生地材料内の前記複数の導電繊維が、前記手のひらセクション及び前記内側指表面、前記手背セクション及び外側指表面、又は前記手のひらセクション及び前記内側指表面と前記手背セクション及び前記外側指表面との両方の範囲内に位置付けられている、条項1又は2に記載のMDMS。
条項4
前記複数の導電繊維が、第1の方向において前記生地材料に沿って略平行であり、前記複数の導電繊維が、前記第1の方向を略横切る第2の方向において前記生地材料の前記前面に沿って移動する進行波を前記電場から生成するように構成されているか、又は、前記複数の導電繊維が、前記第1の方向を略横切る前記第2の方向において前記生地材料の前記前面に沿った定常波を前記電場から生成するように構成されている、条項3に記載のMDMS。
条項5
前記複数の導電繊維が、前記手セクション内に位置付けられた第1の下位複数の導電繊維、及び前記指セクション内に位置付けられた第2の下位複数の導電繊維を含み、前記指セクションが、第1の指セクション及び第2の指セクションを有するミトンとして構成され、又は5つの指サブセクションを含む、条項3に記載のMDMS。
条項6
前記第2の下位複数の導電繊維が、前記指セクションに沿って略平行であり、前記第1の下位複数の導電繊維が、前記手セクションに沿って略平行であり又は略平行な螺旋である、条項5に記載のMDMS。
条項7
前記手のひらセクションが、上部手のひらセクション、中間手のひらセクション、及び側部手のひらセクションを含み、前記第1の下位複数の導電繊維が、前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第1の部分、前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第2の部分、及び前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ前記第1の方向に沿って略平行な前記下位複数の導電繊維の第3の部分を含む、条項6に記載のMDMS。
条項8
前記手のひらセクションが、上部手のひらセクション、中間手のひらセクション、及び側部手のひらセクションを含み、第1の複数の導電繊維が、前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ第3の方向に沿って略平行な第1の下位複数の導電繊維、前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ第4の方向に沿って略平行な第2の下位複数の導電繊維、及び前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ第5の方向に沿って略平行な第3の下位複数の導電繊維を含む、条項6に記載のMDMS。
条項9
前記手のひらセクションが、上部手のひらセクション、中間手のひらセクション、及び側部手のひらセクションを含み、第1の複数の導電繊維が、前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第1の螺旋である第1の下位複数の導電繊維、前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第2の螺旋である第2の下位複数の導電繊維、及び前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第3の螺旋である第3の下位複数の導電繊維を含む、条項6に記載のMDMS。
条項10
前記手のひらセクションが、上部手のひらセクション、中間手のひらセクション、及び側部手のひらセクションを含み、第1の複数の導電繊維が、前記上部手のひらセクション内に位置付けられ且つ第1の方向に沿って略平行な第1の下位複数の導電繊維、前記中間手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な螺旋である第2の下位複数の導電繊維、及び前記側部手のひらセクション内に位置付けられ且つ略平行な第3の下位複数の導電繊維を含む、条項6に記載のMDMS。
条項11
前記生地材料の織物であって、前記生地材料が、複数の生地材料の横糸、複数の生地材料の縦糸、及び複数の絶縁糸を含む、前記生地材料の織物と、前記生地材料の前記織物の部分織物であって、前記複数の導電繊維、前記複数の絶縁糸、及び前記複数の生地材料の横糸を含む、前記生地材料の前記織物の部分織物とを更に含み、前記複数の絶縁糸が、前記複数の導電繊維間で間隔を空けて配置されている、条項1から10のいずれか一項に記載のMDMS。
条項12
前記複数の導電繊維が、第1の方向において前記生地材料に沿った一連の略平行な複数の導電繊維として構成されている、請求項11に記載のMDMS。
条項13
前記複数の導電繊維と信号で通信する入力信号源を更に含み、前記入力信号源が多相入力信号源である、条項1から12のいずれか一項に記載のMDMS。
条項14
前記入力信号源と信号で通信するMDMSコントローラを更に含み、前記MDMSコントローラが、定常波を生成するために前記複数の導電繊維に送信される単相AC信号を選択的に前記入力信号源に生成させ、又は進行波を生成するために前記複数の導電繊維に送信される多相信号を選択的に前記入力信号源に生成させるように構成されている、条項13に記載のMDMS。
条項15
前記MDMSコントローラが、多相信号、可変電圧波形を有する多相信号、及び前記複数の導電繊維内の個別の導電繊維用の可変位相を有する多相信号における可変位相シフトを選択的に入力信号源に生成させるように更に構成されている、条項14に記載のMDMS。
条項16
前記複数の導電繊維が、第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維を含み、前記MDMSコントローラが、前記第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維の間に約120度の位相シフト、及び前記第1の下位複数の導電繊維と前記第3の下位複数の導電繊維の間に約180度の位相シフトを、選択的に前記入力信号源に生成させるように構成されている、条項15に記載のMDMS。
条項17
前記入力信号源が、前記複数の入力ノードに送信される複数のAC位相信号を有する前記AC電圧信号を生成するように構成され、前記複数のAC位相信号の各AC位相信号の電圧、周波数、及び位相が、MDMSコントローラによって固定され又は個別に変更される、条項13に記載のMDMS。
条項18
前記生地材料内に複数のセンサを更に含み、前記複数のセンサが、複数のセンサデータ信号を生成し、前記複数のセンサが、前記MDMSコントローラと信号で通信し、前記MDMSコントローラが、前記複数のセンサデータ信号を受信し、それに応答して、前記複数のAC位相信号の各AC位相信号の電圧、周波数、及び位相を調整するように構成されている、条項17に記載のMDMS。
条項19
前記生地材料内に複数のアクチュエータを更に含む、条項18に記載のMDMS。
条項20
前記アクチュエータが、前記MDMSコントローラと信号で通信し、前記MDMSコントローラが、前記MDMSが前記複数のセンサデータ信号を受信したことに応答して、前記複数のアクチュエータに送信される作動信号を生成するように構成されている、条項19に記載のMDMS。
条項21
多目的塵軽減システム(「MDMS」)を用いた塵軽減のための方法であって、前記MDMSが、指セクション、手のひらセクション、前記指セクションと前記手のひらセクションの両方の範囲内に前面と裏面を含む生地材料、前記生地材料に沿った第1の方向に前記生地材料内の複数の導電繊維、及び前記複数の導電繊維と信号で通信する複数の入力ノードを含み、前記方法が、前記複数の入力ノードにおいて入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信すること、前記複数の導電繊維を用いて前記生地材料の前面上に電場を生成すること、及び前記第1の方向を略横切る第2の方向において前記生地材料の前記前面に沿って移動する進行波を前記電場から生成することを含む、方法。
条項22
前記AC電圧信号を受信することが、前記生地材料内の少なくとも1つのセンサから、前記MDMSのシールド上に任意の塵粒子が存在するかどうかを示す少なくとも1つのセンサデータ信号を受信すること、及び、前記少なくとも1つのセンサデータ信号を受信したことへの応答に基づいて、前記AC電圧信号を生成することを含む、条項21に記載の方法。
条項23
前記少なくとも1つのセンサデータ信号に基づいて、前記生地材料上に振動を生成することを更に含む、条項22に記載の方法。
条項24
多目的塵軽減システム(「MDMS」)を用いた粒子収集のための方法であって、前記MDMSが、指セクション、手のひらセクション、前記指セクションと前記手のひらセクションの両方の範囲内に前面と裏面を含む生地材料、前記生地材料内の複数の導電繊維、及び前記複数の導電繊維と信号で通信する複数の入力ノードを含み、前記方法が、前記複数の入力ノードにおいて入力信号源から交流(「AC」)電圧信号を受信すること、前記複数の導電繊維を用いて前記生地材料の前面上に電場を生成すること、及び複数の粒子をキャプチャするために前記生地材料の前記前面に沿った定常波を前記電場から生成することを含む、方法。
条項25
前記複数の導電繊維が、第1の下位複数の導電繊維、第2の下位複数の導電繊維、及び第3の下位複数の導電繊維を含み、前記複数の導電繊維を用いて前記生地材料の前記前面上に前記電場を生成することが、前記第1の下位複数の導電繊維、前記第2の下位複数の導電繊維、及び前記第3の下位複数の導電繊維の間に約120度の位相シフトを生成することを含む、条項24に記載の方法。
【0116】
当然ながら、本開示の範囲から逸脱しない限り、実装態様の様々な態様又は詳細を変更することが可能である。実装態様は包括的なものではなく、主張された開示内容を開示された正確な形態(複数可)に限定するものではない。更に、前述の説明は単なる例示のために過ぎず、限定するものではない。修正及び変更は、上述の説明を踏まえた上で可能である、あるいは本開示を実行することによって得ることができる。特許請求の範囲、及びその均等物により、本開示の範囲が規定される。