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特許7462400問題騒音の発音源を識別するための騒音データの人工知能装置および前処理方法
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  • 特許-問題騒音の発音源を識別するための騒音データの人工知能装置および前処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】問題騒音の発音源を識別するための騒音データの人工知能装置および前処理方法
(51)【国際特許分類】
   G10L 25/51 20130101AFI20240329BHJP
   G10L 25/30 20130101ALI20240329BHJP
【FI】
G10L25/51
G10L25/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019205710
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2020095258
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0160833
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519406326
【氏名又は名称】インダストリー-ユニバーシティ、コーオペレイション、ファウンデーション、ハニャン、ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY-UNIVERSITY COOPERATION FOUNDATION HANYANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】チョン、イン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジュン-ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ノ、キョン-ジン
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018066(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117358(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 25/51
G10L 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音データ学習部を介して、時間によってサンプリングした騒音のうち問題騒音に対して単位フレームを選定するステップと、
セグメント分割部を介して、前記単位フレームをN個のセグメントに分割するステップと、
セグメント分析部と、平均処理部を介して、前記セグメント毎に周波数特性を分析し、ログメルフィルタ(Log Mel Filter)を適用して前記周波数特性を抽出するステップと、
学習モデル統合部と、学習モデル生成部と、特徴パラメータ抽出部を介して、前記セグメントに関する情報を平均し、1個の代表フレームとして特徴ベクトル(特徴パラメータ)を出力するステップと、を含む、問題騒音の発音源を識別するための騒音データの前処理方法を含み、
前記前処理方法により前記時間の変化に従って抽出された特徴パラメータによる人工知能学習に、双方向RNN(Bidirectional RNN)を適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項2】
前記サンプリングは、問題周波数帯域の2倍の範囲でサンプリングすることを特徴とする、請求項1に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項3】
前記時間による単位フレームと、次の時間の単位フレームとの間には、オーバーラップを設定することを特徴とする、請求項1に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項4】
前記人工知能学習にDNN(Deep Neural Network)をさらに適用することを特徴とする、請求項1に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項5】
前記人工知能学習にアテンションメカニズム(Attention Mechanism)をさらに適用することを特徴とする、請求項4に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項6】
前記人工知能学習にアーリーステージアンサンブル(Early stage ensemble)アルゴリズムをさらに適用することを特徴とする、請求項5に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項7】
前記問題騒音学習データの時間軸が一定に収集される場合、
正確度を向上するために、時間‐周波数マップとエンジン回転数‐周波数マップの両方を用いるEnsemble model of jointly trained RNNsアルゴリズムをさらに適用することを特徴とする、請求項6に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法。
【請求項8】
請求項7に記載の問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法が実現された装置であって、
前記装置の入力手段で車両またはパワートレインの騒音を直接測定するか、格納されている騒音データを格納媒体を用いて提供することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両騒音、特にパワートレイン騒音のような非定型的な騒音に対する、ディープラーニング(Deep Learning)に基づく人工知能を用いた問題騒音の発生源診断技術であって、問題騒音の発音源を識別するための騒音データの人工知能装置および前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、数多くの部品が組み立てられてなる完成体である。
【0003】
特に、車両の動力系は、固有の騒音および振動特性を有している。
【0004】
しかし、数多くの部品の組み合わせにより発生する騒音情報は非常に膨大である。
【0005】
騒音は、正常な場合の動作騒音と、異常な場合に現われる問題騒音とが異なって現われる。
【0006】
問題騒音が発生すると、車両は異常状態に置かれる場合が多い。
【0007】
しかしながら、非常に複雑な構造を有している車両が発生させる問題騒音情報のみで、車両のどの部位の故障であるかを判断することは非常に難しい。
【0008】
例えば、車両のパワートレインは、問題騒音が発生した箇所を検出することが非常に難しい。
【0009】
その理由は、かかる車両の問題騒音は、非定型的に発生するためである。
【0010】
そのため、従来は、騒音の専門家らが聴音テストにより診断し、過去の経験に頼って問題騒音源を探していた。
【0011】
この際、複数の騒音の専門家らがセンサやその他の試験条件を用いるとしても、長時間がかかっていた。
【0012】
それにもかかわらず、問題騒音源を完全に診断することは非常に難しいことであった。
【0013】
近年、騒音データを用いて問題騒音源を探そうとする努力が行われてきたが、適切な解決方法がない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】KR2018‐0029320A1
【文献】JP2013‐200143A1
【文献】US2016‐0071336A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、人工知能技法を用いて、騒音データが類型毎に蓄積された騒音ビックデータの資産価値を極大化する、問題騒音の発音源を識別するための騒音データの人工知能装置および前処理方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
時間によってサンプリングした騒音のうち問題騒音に対して単位フレームを選定するステップと、前記単位フレームをN個のセグメントに分割するステップと、前記セグメント毎に周波数特性を分析し、ログメルフィルタ(Log Mel Filter)を適用して前記周波数成分を抽出するステップと、前記セグメントに関する情報を平均し、1個の代表フレームとして特徴ベクトル(特徴パラメータ)を出力するステップと、を含む、問題騒音の発音源を識別するための騒音データの前処理方法を含み、前記前処理方法により前記時間の変化によって抽出された特徴パラメータを用いた人工知能学習に、双方向RNN(Bidirectional RNN)を適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0017】
また、前記サンプリングは、問題周波数帯域の2倍の範囲でサンプリングすることを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0018】
また、前記時間による単位フレームと、次の時間の単位フレームとの間には、オーバーラップを設定することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0019】
また、前記人工知能学習にDNN(Deep Neural Network)をさらに適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0020】
また、前記人工知能学習にアテンションメカニズム(Attention Mechanism)をさらに適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0021】
また、前記人工知能学習にアーリーステージアンサンブル(Early stage ensemble)アルゴリズムをさらに適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0022】
また、前記問題騒音学習データの時間軸が一定に収集される場合、正確度を向上するために、時間‐周波数マップとエンジン回転数‐周波数マップの両方を用いるEnsemble model of jointly trained RNNsアルゴリズムをさらに適用することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法を提供する。
【0023】
また、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法が実現された装置であって、前記装置の入力手段で車両またはパワートレインの騒音を直接測定するか、格納されている騒音データを格納媒体を用いて提供することを特徴とする、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
第一に、パワートレインの複雑な騒音源が混在している点を考慮し、1~n順位まで確率的な方法により入力される騒音源に対して診断結果を出力することができる多重診断システム概念を適用しているため、低い特性を示す問題騒音の発音源も診断することができる。
【0025】
第二に、パワートレイン問題騒音のビックデータに基づいて学習されたモデルを生成することで、複合的、且つ非定型的なパワートレイン騒音または車両騒音の高精度の診断が確率的に可能となる。
【0026】
第三に、非常に短い時間で、問題騒音の発音源を正確に診断することができる。
【0027】
第四に、GRU、DNN、アテンションメカニズム、およびアーリーステージアンサンブルアルゴリズムを用いるため、過去時間のデータが消失することが防止される。
【0028】
第五に、アテンションメカニズムの適用により学習データの重要部分の加重値をさらに与えることで、非定型的な騒音に対する正確な学習モデルの樹立が可能となる。
【0029】
第六に、人(専門エンジニア)のデータ分析および判断に要する手間を効率的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好ましい実施形態による全体フローチャートである。
図2】本発明の好ましい実施形態による類型毎の騒音データの前処理ステップを示す。
図3】本発明の好ましい実施形態による人工知能学習モデルに任意の騒音データを入力して診断する過程を示す。
図4】本発明の好ましい実施形態による人工知能学習に用いられる時間‐周波数マップに関する図である。
図5】本発明の好ましい実施形態によるエンジン回転数‐周波数マップに関する図である。
【発明を行うための形態】
【0031】
本発明は様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるものであり、特定の実施形態を図に例示して詳細な説明で具体的に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するためのものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されるべきである。
【0032】
各図を説明するにあたり、類似の参照符号を類似の構成要素に用いる。
【0033】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いることができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0034】
例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。「および/または」という用語は、記載された複数の関連項目の組み合わせまたは記載された複数の関連項目の何れかの項目を含む。
【0035】
他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0036】
一般に用いられる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されてはならない。
【0037】
本発明の問題騒音の発音源を識別するための騒音データの前処理方法を説明する。
【0038】
任意の騒音は、診断のために必要な問題騒音の類型および発音源の情報が分からない騒音である。
【0039】
後述するが、本発明では、任意の騒音とともに、測定されたエンジンRPM情報を用いることができる。
【0040】
一方、必要に応じて、エンジンRPM情報なしに、任意の騒音を入力として用いて診断可能である。
【0041】
図1は本発明の好ましい実施形態による全体フローチャートである。この場合、全体のフローチャートを図2の騒音データ前処理器100-1を参照して説明すれば、下記の通りである。
【0042】
先ず、 騒音データ前処理器100-1の騒音データ入力部(110)を介して, 任意の騒音が入力される(S1)。
【0043】
騒音データ学習部(100)を介して, 時間によってサンプリングした騒音のうち問題騒音に対して、単位フレームを選定する(S2)。
【0044】
セグメント分割部(200)を介して, 単位フレームをN個のセグメントに分割する(S3)。
【0045】
この際、時間によるサンプリングは、問題周波数帯域の2倍の範囲でサンプリングすることが好ましい。
【0046】
このようなサンプリング作業を、本発明では騒音ビックデータの前処理(Pre‐conditioning)という。
【0047】
ビックデータの前処理(Pre‐conditioning)は、パワートレインの特性を考慮した診断学習に必要であり、パワートレイン騒音の特性分析において重要である。
【0048】
騒音ビックデータの前処理(Pre‐conditioning)は、高正確度の学習の特徴パラメータの抽出のために学習に用いられる。
【0049】
騒音ビックデータの前処理(Pre‐conditioning)に用いられる技法としては、診断しようとする騒音周波数の2倍数であるFrequency samplingによりサンプリング(re‐sampling)することが好ましい。
【0050】
また、時間による単位フレームと、次の時間の単位フレームとの間には、オーバーラップを設定することが好ましい。
【0051】
オーバーラップは単位フレームの間にも存在することができる。
【0052】
オーバーラップは、1個の単位フレームをN個のセグメントに分割する場合にも存在することができる。
【0053】
オーバーラップは、データの損失を防止することをその目的とする。
【0054】
セグメント分析部(300)と、平均処理部(400)を介して, セグメント毎に周波数特性を分析し、ログメルフィルタを適用して周波数成分を抽出する(S4)。
【0055】
ログメルフィルタは、低周波成分と高周波成分の両方を使用可能とするために用いられる。
【0056】
学習モデル統合部(500)と、学習モデル生成部(600)と、特徴パラメータ抽出部(610)を介して, セグメントに関する情報を平均し、1個の代表フレームとして特徴ベクトル(特徴パラメータ)を出力する(S5)。
【0057】
特徴パラメータは無次元の概念であり、特徴ベクトルは次元のある概念であって、特徴パラメータが特徴ベクトルより上位概念である。
【0058】
しかし、ここで、特徴ベクトルと特徴パラメータは類似の概念で理解され得る。
【0059】
このような特徴ベクトル(特徴パラメータ)作業を、本発明では騒音ビックデータの前処理(Pre‐conditioning)という。
【0060】
一方、出力された特徴ベクトルは、人工知能学習器(700)の人工知能学習で入力値として用いることができる。
【0061】
人工知能学習器(700)の人工知能ロジック(710)は、特徴ベクトルを用いて問題騒音の発音源を最終的に識別する(S6)。
【0062】
人工知能ロジック(710)は、ディープラーニング(Deep learning)または機械学習、マシンラーニングなどと類似の意味で理解され得る。
【0063】
人工知能学習では時間の変化による特徴パラメータを用い、これにより、パワートレイン騒音の特徴である非定型性の特徴を全て把握することができるのである。
【0064】
この際、人工知能学習には双方向RNN(GRU:Rated Recurrent Unit)を適用することができる。
【0065】
GRU(Gated Recurrent Unit)とは、RNN(Recurrent Neural Network)技法の1つであって、これを用いて時間の変化による人工知能学習モデルを構築することができる。
【0066】
一方、人工知能学習にDNN(Deep Neural Network)をさらに適用することも考慮され得る。
【0067】
DNN(Deep Neural Network)は、Many to oneの確率的正確度を向上するためのアルゴリズムとして用いることができる。
【0068】
この際、ソフトマックス(soft max)技法を適用することも好ましい。
【0069】
Many to one診断技法とは、時間の流れに対する問題騒音の発音源を診断する技術である。
【0070】
また、人工知能学習にアテンションメカニズムをさらに適用することも好ましい。
【0071】
アテンションメカニズムは、過去時間データの情報消失を改善するために活用されることができる。
【0072】
アテンションメカニズムは、時間進行軸において重要な特徴ベクトルに加重値を与える学習技法である。
【0073】
すなわち、アテンションメカニズムは、学習データの重要部分の加重値をさらに与えることで、非定型的な騒音に対する正確な学習モデルの樹立を可能とする。
【0074】
この際、双方向RNN(GRU)を複合して適用することも好ましい。
【0075】
そして、人工知能学習にアーリーステージアンサンブルアルゴリズムをさらに適用することも可能である。
【0076】
アーリーステージアンサンブルアルゴリズムとは、GRUの上位概念であるRNN(Recurrent Neural Network)における問題点のうち過去時間データの重要性を浮かび上がらせる加重値学習技法である。
【0077】
すなわち、アーリーステージアンサンブル技法は、初期時間と最終時間に対する加重値を均等に分割し、情報を保持するために用いることができる。
【0078】
図2は本発明の好ましい実施形態による類型毎の騒音データの前処理ステップを示す。
【0079】
図3は本発明の好ましい実施形態による人工知能学習モデルに任意の騒音データを入力して診断する過程を示す。
【0080】
図2図3を参照すれば、騒音データ人工知能学習装置(1)は、問題騒音発音源識別のための騒音データ人工知能学習方法が実現された装置を提供することができる。
【0081】
前記騒音データ人工知能学習装置(1)は、入力手段(3)と、騒音データ前処理器(100-1)と、人工知能学習器(700)と、問題騒音発音源分類器(800)と、問題騒音判断器(900)とを含む。
【0082】
前記入力手段(3)は、騒音測定センサ(3-1)として車両あるいはパワートレインの騒音を直接測定したり、格納媒体(3-2)として格納された騒音データを介して提供を受けることができる。すなわち、格納媒体(3-2)は、騒音データが格納され、これを介して学習モデル生成部(600)の人工知能学習モデルに適用させることも可能である。
【0083】
前記騒音データ前処理器(100-1)は、騒音データ学習部(100)と、騒音データ入力部(110)と、セグメント分割部(200)と、セグメント分析部(300)と、平均処理部(400)と、学習モデル統合部(500)と、学習モデル生成部(600)と、特徴パラメータ抽出部(610)とから構成される。
【0084】
前記騒音データ人工知能学習装置(1)の動作は次の通りである。
【0085】
先ず、騒音データ学習部(100)によって問題類型毎の騒音データを単位時間毎に学習する。
【0086】
入力される騒音データ学習部(100)の騒音データは、任意の騒音である。
【0087】
この際、単位フレームを選定し、オーバーラップの範囲を選定する。
【0088】
車両の騒音には様々な類型があるが、非定型的に発生する車両騒音の類型は次のとおりである。
【0089】
すなわち、時間の長さによって発生する問題騒音として、短時間で発生する問題騒音と長時間で発生する問題騒音がある。
【0090】
また、周波数成分によって発生する問題騒音として、特定周波数成分の問題騒音が存在する。
【0091】
本発明の類型毎の騒音データの前処理では、時間的特性と周波数成分特性が全て考慮される。
【0092】
換言すれば、時間によって変化する騒音特性と、低い周波数成分から高い周波数成分までを全て含むように、時間軸は1個のフレーム単位で分割する。
【0093】
1個のフレーム単位で分割する理由は、時間によって変化する騒音の特徴を正確に判断するためのことである。
【0094】
そして、分割された1個のフレームと次の時間のフレームのオーバーラップを設定する。
【0095】
この際、オーバーラップの比率は均一に適用される。
【0096】
単位フレームをN個のセグメント(例、1個のフレームを計9個のセグメント)にセグメント分割部(200)で分割が行われ、セグメントごとにセグメント分析部(300)で周波数特性を分析してログメルフィルタ(Log Mel Filter)を適用する。
【0097】
ログメルフィルタを適用した結果が平均処理部(400)の平均値として出力される。
【0098】
これは、周波数特性が低い周波数帯域から高い周波数帯域までにおける効率向上のための後処理作業に当たる。
【0099】
その後、各時間毎の個別データの特徴を抽出した後、学習モデル統合部(500)の1個の学習モデルに統合させる。
【0100】
次に、同一の故障現象が発生した時に収集された振動ビックデータを用いた、特徴ベクトル(パラメータ)に基づく学習モデル生成部(600)の学習モデルを生成する。
【0101】
人工知能学習器(700)は、抽出された 特徴パラメータ抽出部(610)の特徴ベクトル(パラメータ)を用いて問題騒音の発音源を識別し、問題騒音発音源分類器(800)の分類結果を導出することができる。
【0102】
また、人工知能学習器(700)は、全騒音のうち意味の高いデータを問題騒音判断器(900)のアテンション結果として出力することができる。
【0103】
問題騒音判断器(900)のアテンション結果は、NVH(Noise, Vibration, Harshness)専門家集団が騒音の詳細分析時に用いる技法を適用するために用いることができ、近年、データ加重値が高くなり、初期データの加重値は低くなる非定型時間データの分析における欠点を補完する。
【0104】
図4は、本発明の好ましい実施形態による人工知能学習に用いられる時間‐周波数マップ(711)を示したものであり、図5は、本発明の好ましい実施形態によるエンジン回転数‐周波数マップ(721)に関する図である。
【0105】
問題騒音学習データの時間軸が一定に収集される場合には、正確度の向上のために、Ensemble model of jointly trained RNNsアルゴリズムを用いることができる。
【0106】
Ensemble model of jointly trained RNNsアルゴリズムとは、時間‐周波数マップ(711)とエンジン回転数‐周波数マップ(721)の両方を用いるアルゴリズムである。
【0107】
Ensemble model of jointly trained RNNsアルゴリズムは、換言してJointed time and RPM MAP analysis技法ともいう。
【0108】
この際、問題騒音学習データの時間軸が一定に収集される場合とは、同一の時間を基準としてシンクロされる場合を意味する。
【0109】
例えば、全ての学習データと診断のための格納データの時間軸が10秒としたときに、このように同一の時間測定データである場合に、時間軸に整形的な騒音データを収集するのである。
【0110】
本発明のさらに他の好ましい実施形態として、問題騒音の発音源を識別するための騒音データ人工知能学習方法が実現された装置を提供することができる。
【0111】
この際、入力手段で車両またはパワートレイン騒音を直接測定してもよく、格納されている騒音データを格納媒体を用いて提供してもよい。
【0112】
すなわち、格納媒体には騒音データが格納されており、これを用いて人工知能学習モデルに適用することも可能である。
【0113】
一方、本発明の問題騒音発音源識別のための騒音データ人工知能学習方法が実現された装置の好ましい他の実施例として、任意の騒音とエンジンRPM信号を測定可能なポータブル装備に適用させることができる。
【0114】
これにより測定された任意の騒音を、PCまたは分析装備に基づくシステムを適用して分析可能である。
【0115】
本発明は、騒音データを用いて非常に短時間に正確な問題騒音の発音源を診断する技術であって、約5秒以内に問題騒音発音源分類器(800)の診断結果が出力可能となる。
【符号の説明】
【0116】
S1 騒音入力
S2 単位フレーム選定
S3 N個のセグメントに分割
S4 ログメルフィルタ適用、周波数成分抽出
S5 特徴ベクトル出力
S6 人工知能を用いた問題騒音発音源の識別
図1
図2
図3
図4
図5