(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240329BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20240329BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02S50/00
G05F1/67 A
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2019208201
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0141801
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ シンユエン ユエドン テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク ムンホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨンチャン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092851(JP,A)
【文献】特開2014-168338(JP,A)
【文献】特開2016-208768(JP,A)
【文献】特開2018-152953(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056309(WO,A1)
【文献】特開2016-171653(JP,A)
【文献】特開2012-120285(JP,A)
【文献】特開2013-208005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02S 50/00
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールから入力される直流電源を交流電源に変換して出力する太陽光モジュール内の電力変換装置において、
前記太陽電池モジュール又はコンバータから入力される直流電源を交流電源に変換して系統に出力するインバータと、
前記インバータが動作する期間のうち、第1期間において、前記インバータから出力される交流電圧の第1周波数変動値を演算し、前記変動値に基づいて、
印加する無効電力のレベルを可変するように制御し、前記無効電力注入後の前記系統の系統電圧の第2周波数変動値が設定値以上である場合、前記インバータがオフになるように制御する単独運転感知部とを含
み、
前記第1期間は、ランダムに決定され、前記第1期間は、隣接する電力変換装置と重ならないことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記単独運転感知部は、ランダム
なレベルで前記無効電力を注入することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記注入される前記無効電力
のレベルは、隣接する電力変換装置で注入される無効電力と異なることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記単独運転感知部は、
現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算し、
ランダムに現れる前記第1周波数変動値
の小数項に応じて、
前記第1期間を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記単独運転感知部は、
現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算し、前記第1周波数変動値が基準値以下である場合、前記無効電力の注入を行わないことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記単独運転感知部は、
前記無効電力注入以後の系統電圧周波数と、前記無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値が前記設定値以上である場合、前記インバータがオフになるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記単独運転感知部は、
前記無効電力注入以後の系統電圧周波数と、前記無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値が前記設定値以上であり、前記第2周波数変動値が設定値以上である場合が所定回数以上である場合、前記インバータがオフになるように制御すること
を特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記単独運転感知部は、
前記インバータのオフ後に再起動するとき、前記出力電圧に無効電力が注入されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記単独運転感知部は、
前記無効電力を注入した後、前記無効電力注入以後の系統電圧周波数と、前記の無効電力注入以前の系統電圧の変動値である第2周波数変動値が前記設定値未満である場合、前記無効電力の注入を終了し、
前記インバータが動作する期間のうち、前記第1期間以外の第2期間の間、前記無効電力が注入されない交流電圧が出力されるように制御することを特徴とする請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記単独運転感知部は、
前記インバータの動作時、前記第1期間の間、出力される
有効電力が一定になるように制御することを特徴とする請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記単独運転感知部は、
前記インバータの動作時、前記第1期間及び前記第2期間の間、出力される
有効電力が一定になるように制御することを特徴とする請求項
9に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記太陽電池モジュールから入力される前記直流電源のレベルを変換して出力するコンバータと
前記インバータから出力される出力電圧を検出する出力電圧検出部とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記系統の電圧情報を受信する通信部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項
13のうちいずれか1項の電力変換装置を備える太陽光モジュール。
【請求項15】
互いに並列に接続され、系統に交流電圧をそれぞれ出力する複数の太陽光モジュールを備え、
前記複数の太陽光モジュールにそれぞれ前記電力変換装置が備えられ、
前記複数の太陽光モジュールのそれぞれは、請求項1ないし請求項
13のうちいずれか1項の電力変換装置を備えることを特徴とする太陽光システム。
【請求項16】
互いに並列に接続され、系統に交流電圧をそれぞれ出力する複数の太陽光モジュールを備え、
前記複数の太陽光モジュール内それぞれに、前記太陽電池モジュールから入力される直流電源を交流電源に変換して出力する電力変換装置が備えられ、
前記電力変換装置は、
前記太陽電池モジュール又はコンバータから入力される直流電源を交流電源に変換して系統に出力するインバータと、
前記インバータが動作する期間のうち、第1期間において、前記インバータから出力される交流電圧の第1周波数変動値を演算し、前記変動値に基づいて、印加する無効電力のレベルを可変するように制御し、前記無効電力注入後の前記系統の系統電圧の第2周波数変動値が設定値以上である場合、前記インバータがオフになるように制御する単独運転感知部とを含み、
前記第1期間は、複数の太陽光モジュールのそれぞれの電力変換装置において、ランダムに決定される、
ことを特徴とする太陽光システム。
【請求項17】
前記単独運転感知部は、
現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算し、それぞれの前記単独運転感知部でランダムに現れる前記第1周波数変動値の小数項に応じて、前記第1期間を決定することを特徴とする請求項16に記載の太陽光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムに関し、より詳しくは、商用系統と連系するとき、単独運転を防止して安定的な交流電圧を系統に出力できる電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光モジュールは複数の太陽電池を備え、太陽電池は直列又は並列で接続されることができる。
【0003】
一方、太陽光モジュールの電力変換装置は、直流電源を交流電源に変換する。
【0004】
太陽光モジュールのような分散型電源による交流電源が系統に接続されて電力を供給する場合、事故や安全などの問題により停電して系統が遮断されたとき、電力変換装置がこれを即座に感知できずに電力を系統に供給し続けると、不安定な電力品質の問題及び感電などの安全問題が発生する可能性がある。電力変換装置には、このような単独運転を防止するために単独運転を感知する技術が必須である。
【0005】
一方、単独運転を感知するために、電力変換装置から出力される有効電力を変動させて単独運転を感知する方法があるが、この場合、最大電力地点が変更されて出力電力の効率が低下する問題がある。また、複数の電力変換装置が並列に接続されると、互いに影響を与えるようになるため、通常の単独運転の検出性能が低下して単独運転が発生する問題が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、太陽電池モジュールの出力を交流に変換する電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【0007】
本発明の目的は、単独運転を防止する電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、安定的な交流電圧を系統に出力できる電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ゲートウェイではなく、電力変換装置内のインバータ内部のアルゴリズムを用いて、電力変換装置の単独運転防止を実現できる電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、無効電力注入により出力電力の変動のない状態で不安定な交流電圧が出力される場合、動作を停止できる電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、互いに並列接続された電力変換装置に無効電力を注入して、出力電力の変動のない状態で単独運転を感知してインバータの動作を停止できる電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明の実施形態による電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムは、太陽電池モジュールから入力される直流電源を交流電源に変換して出力する太陽光モジュール内の電力変換装置において、太陽電池モジュール又はコンバータから入力される直流電源を交流電源に変換して系統に出力するインバータと、前記インバータの単独運転を感知して前記インバータを系統から分離する単独運転感知部とを含む。
【0013】
前記単独運転感知部は、系統周波数を検出する周波数検出する段階、前記検出された周波数の変化量に応じて選択的に無効電力を注入する段階、前記無効電力注入以後に前記系統周波数の変化量が所定値以下であると、前記インバータの正常動作を継続し、所定値より大きいと、単独運転状態と判断して前記インバータの動作を停止して系統から遮断する。
【0014】
前記周波数検出は、電力変換装置のPLLにより系統周波数を推定して行われることができる。
【0015】
インバータの出力は、系統と同一の位相と周波数を有して同期化された正弦波形態で系統に供給されるが、このために、系統の位相情報を検出するためにPLLが使用される。
【0016】
従って、PLLで検出された系統周波数の変動から系統周波数に異常があるか否かを1次に判断する。系統周波数の周波数変動値(Err)は、以前系統周波数と現在系統周波数の差として求めることができ、この周波数変動値が所定値以上であると、インバータの出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。
【0017】
このとき、PLLで検出した位相角により周波数の周波数変動値を計算する過程は、本発明のように並列に接続されたインバータごとにそれぞれのPLLが独立的に行われる。
【0018】
このとき、PLLの小数点部分はそれぞれのインバータごとに異なるように計算されて、同一値が発生する確率が非常に低いため、並列に接続された各インバータにおいて同一のErr値が算出される可能性が少なく、結果的に、各インバータが互いに独立的で非同期な無効電力を印加することになる。これにより、並列に接続されたインバータに印加された無効電力が互いに相殺されて単独運転感知に失敗することがなくなる。
【0019】
一方、周波数の変動値がないと(Err=0)、正常状態と判断して無効電力を注入しない。変動値があると、単独運転であるか否かを判断するために無効電力を注入する。このとき、変動値に応じて進相無効電力又は遅相無効電力の注入量を決定する。
【0020】
一例として、Err=1であると、第1の進相無効電力を、Err>1であると、第2の進相無効電力を注入し、Err=-1であると、第1の遅相無効電力を、Err<-1であると、第2の遅相無効電力を注入する。このとき、変動値が大きいほど注入される量が大きくなる。
【0021】
一方、系統が連系されている状況では、系統電源の系統周波数が支配する状況であるので、微小な変動量である無効電力を外部から印加しても系統周波数に変化がないが、系統がない状態で無効電力が印加されると、PLLで検出される周波数の変動量が大きくなる。従って、無効電力の注入後に系統周波数の変動値(Grid Err)を計算して、これから単独運転の可否を判断することができる。
【0022】
一方、検出された系統周波数の変動値(Grid Err)が基準値以上であると、すぐに単独運転を判断せずに、所定期間の間繰り返されて異常と判断される場合に単独運転と判断する。
【0023】
このために、無効電力の注入後の変動値(Grid Err)が基準値以上であると、これをカウントし、再び系統周波数検出段階に戻って単独運転の判断を繰り返す。
【0024】
もし、系統がない場合、再びPLL動作を繰り返すと、1次無効電力の注入後に周波数差が系統と差がさらに大きくなってErr値が増加してより大きな無効電力が印加されて無効電力の注入後の変動値が再び基準値以上になるが、一時的な変動による場合は、再び系統信号が安定してErr値が小さくなって周波数変動値が基準値以下になり得る。
【0025】
一時的な変動ではなく、停電による単独運転状態を判断するために設定した周期の間、基準値以上にカウントされる周期が予め設定した数値以上であると、単独運転を判断してインバータを停止する。実施形態においては、10回の周期の間該当動作を繰り返してカウントされる異常周期が3回以上であると、単独運転と判断し、そうでないと、正常動作と判断する。
【0026】
一方、本発明は、複数のインバータが並列に系統に接続された分散電源装置に適用することであり、このとき、前記第1期間は、並列に接続された他の電力変換装置と重ならない。
【0027】
一方、無効電力の注入時、ランダムにインバータの出力交流電源に無効電力を注入する。
【0028】
一方、注入される無効電力は、並列に接続される他の電力変換装置で注入される無効電力とは異なる。
【0029】
一方、制御部は、現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数の差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値に応じて、ランダムに無効電力を注入する。
【0030】
一方、制御部は、現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数との差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値が基準値以下である場合、無効電力の注入を行わない。
【0031】
一方、制御部は、ランダムに無効電力を注入した後、現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数との差である第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する。
【0032】
一方、制御部は、ランダムに無効電力を注入した後、無効電力注入後の現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数との差である第2周波数変動値が設定値以上であり、第2周波数変動値が設定値以上である場合が所定回数以上である場合、インバータがオフになるように制御する。
【0033】
一方、制御部は、インバータのオフ後に再起動するとき、出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。
【0034】
一方、制御部は、無効電力を注入した後、現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数の周波数変動値が設定値未満である場合、正常動作と判断してインバータの動作を継続する。
【0035】
一方、制御部は、インバータの動作時、第1期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。
【0036】
一方、制御部は、インバータの動作時、第1期間及び第2期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。
【0037】
一方、前記目的を達成するための本発明の他の実施形態による電力変換装置及びそれを備える太陽光モジュールは、複数のスイッチング素子を備え、コンバータからの直流電源を交流電源に変換する複数のインバータが互いに並列に接続されて系統に接続される装置であり、前記複数のインバータは、それぞれインバータを制御する制御部と、系統周波数の変動に応じて無効電力を注入して単独運転が感知されると、インバータを停止する単独運転感知部とを含む。
【0038】
インバータから出力される交流電圧の第1周波数変動値を演算し、変動値に基づいて、無効電力を選択的に印加し、無効電力注入後の系統の系統電圧の第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する単独運転感知部を含む。
【0039】
一方、単独運転感知部は、演算された第1周波数変動値に応じて、印加された無効電力のレベルが可変するように制御することができる。
【0040】
一方、単独運転感知部は、第1期間の間、印加された無効電力のレベルが可変するように制御することができる。
【0041】
一方、第1期間は、ランダムに決定される。
【0042】
一方、第1期間は、隣接する電力変換装置と重ならない。
【0043】
一方、単独運転感知部は、ランダムに無効電力を注入する。
【0044】
一方、注入される無効電力は、隣接する電力変換装置で注入される無効電力とは異なる。
【0045】
一方、単独運転感知部は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数との差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値に応じて、ランダムに無効電力を注入する。
【0046】
一方、単独運転感知部は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数との差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値が基準値以下である場合、無効電力の注入を行わない。
【0047】
一方、単独運転感知部は、無効電力を注入した後、無効電力注入以後の系統電圧周波数と無効電力注入以前の系統電圧周波数との差である第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する。
【0048】
一方、単独運転感知部は、無効電力を注入した後、無効電力注入以後の系統電圧周波数と無効電力注入以前の系統電圧周波数との差である第2周波数変動値が設定値以上であり、第2周波数変動値が設定値以上である場合が所定回数以上である場合、インバータがオフになるように制御する。
【0049】
一方、単独運転感知部は、インバータのオフ後に再起動するとき、出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。
【0050】
一方、制御部は、無効電力を注入した後、無効電力注入後の系統電圧周波数と無効電力注入以前の系統電圧周波数の変動値である第2周波数変動値が設定値未満である場合、無効電力の注入を終了し、第2期間の間、無効電力が注入されていない交流電圧が出力されるように制御する。
【0051】
一方、単独運転感知部は、インバータの動作時、第1期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。
【0052】
一方、単独運転感知部は、インバータの動作時、第1期間及び第2期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。
【0053】
一方、電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムは、太陽電池モジュールから入力される直流電源のレベルを変換して出力するコンバータと、インバータから出力される出力電圧を検出する出力電圧検出部とをさらに含むことができる。
【0054】
一方、電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムは、系統電圧情報を受信する通信部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の実施形態による電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムは、太陽電池モジュールから入力される直流電源を交流電源に変換して出力する太陽光モジュール内の電力変換装置において、太陽電池モジュール又はコンバータから入力される直流電源を交流電源に変換して系統に出力するインバータと、インバータから出力される交流電圧の第1周波数変動値を演算し、変動値に基づいて無効電力を選択的に印加し、無効電力注入以後の系統の系統電圧の第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する単独運転感知部とを含む。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。特に、系統が正常に接続されて無効電力注入により出力電力の変動がない状態と、系統が切れて不安定な交流電圧が出力される場合に、動作を停止させることができる。すなわち、電力変換装置の単独運転を防止できるようになる。従って、系統が安定になる。
【0056】
一方、単独運転感知部は、並列に接続されたインバータごとにランダムな第1期間の間無効電力を注入して、現在系統周波数と以前系統周波数の周波数変動値に応じて単独運転状態を検出して前記インバータの動作を停止させ、前記インバータの出力を系統と遮断する。
【0057】
これにより、系統が正常に接続されて無効電力注入により系統周波数の変動がない状態は正常動作と判断し、ランダムな無効電力注入により系統周波数の変動が大きい状態は系統電源が切れたなどの異常状態と判断して、動作を停止させることができる。すなわち、電力変換装置の単独運転を防止できるようになる。
【0058】
一方、第1期間は、ランダムに決定され、隣接する電力変換装置と重ならない。従って、並列に接続されたインバータにより互いに影響を与えることなく単独運転を検出することができる。
【0059】
一方、制御部は、ランダムに無効電力を注入する。従って、最大電力地点が変更されないことがあり、出力電力の効率低下を防止できる。
【0060】
一方、注入される無効電力は、隣接する電力変換装置で注入される無効電力とは異なる。従って、最大電力地点が変更されないことがあり、出力電力の効率低下を防止できる。
【0061】
一方、制御部は、系統周波数検出部により検出された連続した系統周波数のうち系統周波数の現在値と以前値を比較して系統周波数の差である第1周波数変動値(Err)を演算し、基準値以上であると、第1周波数変動値に応じて、ランダムに無効電力を注入する。これにより、出力電力の効率低下を防止できるようになる。
【0062】
一方、制御部は、前記第1周波数変動値が基準値以下である場合、無効電力の注入を行わない。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。
【0063】
一方、制御部は、ランダムに無効電力を注入した後、無効電力注入後の現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数との差である第2周波数変動値(GridErr)を演算し、第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する。これにより、電力変換装置の単独運転を防止できるようになる。
【0064】
一方、制御部は、ランダムに無効電力を注入した後、系統電圧周波数の現在値の以前値との差である第2周波数変動値が設定値以上であり、第2周波数変動値が設定値以上である場合が所定回数以上である場合、系統電圧がない状態と判断し、インバータがオフになるように制御する。これにより、単独運転を防止することができる。
【0065】
特に、並列に接続されたインバータの信号が相互作用して実際に系統が切れた状態において単独運転を感知できず、系統に不安定な交流電圧を出力するようになることを防止する。従って、系統が安定し、安全事故に対備することができる。
【0066】
一方、制御部は、インバータのオフ後に再起動するとき、出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。これにより、出力電力の効率低下を防止できるようになる。
【0067】
一方、制御部は、無効電力を注入した後、無効電力注入以後の系統電圧周波数の以前値と現在値の周波数変動値が設定値未満である場合、正常動作と判断し、インバータを継続して動作させて、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。
【0068】
一方、制御部は、インバータの動作時、第1期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。すなわち、有効電力ではなく無効電力に変動を与えるので、有料電力の大きさは同一で安定した波形を維持することにより、出力電力の効率低下を防止できるようになる。
【0069】
一方、制御部は、インバータの動作時、第1期間及び第2期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。これにより、出力電力の効率低下を防止できるようになる。
【0070】
一方、本発明の他の実施形態による電力変換装置及びそれを備える太陽光モジュールは、複数のスイッチング素子を備え、コンバータからの直流電源を交流電源に変換するインバータと、インバータを制御し、系統周波数を検出し、出力電圧に無効電力を注入する制御部とを備え、制御部は、インバータの動作時、並列に接続される他の電力変換装置と非同期で、出力電圧に無効電力が注入されるように制御し、無効電力注入後の現在系統電圧周波数と以前系統電圧周波数の周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御する。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。
【0071】
特に、無効電力注入によっても並列に接続された他のインバータとの相互作用により周波数変動が発生しないので、不安定な交流電圧が出力される場合を防止し、インバータの動作を停止できるようになる。すなわち、前記方式を適用すると、多数の並列に接続された電力変換装置の単独運転を防止できるようになる。従って、系統が安定になる。
【0072】
本発明の実施形態による電力変換装置及びそれを備える太陽光モジュールは、複数のスイッチング素子を備え、コンバータからの直流電源を交流電源に変換するインバータと、インバータを制御し、出力交流電源に無効電力を注入する制御部とを備え、前記制御部は、ランダムな第1期間の間無効電力を注入して、前記ゲートウェイから収集された現在系統周波数と以前系統周波数の周波数変動値に応じて単独運転状態を検出して前記インバータの動作を停止させて前記インバータの出力を系統と遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1a】従来の単独運転防止技術が適用された太陽光モジュールを含む太陽光システムを示す図である。
【
図1b】
図1aの太陽光モジュールの動作説明に参照される図である。
【
図1c】
図1aの太陽光モジュールの動作説明に参照される図である。
【
図1d】
図1aの太陽光モジュールの動作説明に参照される図である。
【
図2a】本発明の実施形態による太陽光モジュールを含む太陽光システムの例を示す図である。
【
図2b】本発明の実施形態による太陽光モジュールを含む太陽光システムの例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による太陽光モジュールの正面図である。
【
図5】
図3の太陽光モジュール内の電力変換装置の回路図を示す図である。
【
図6】
図5の制御部の内部ブロック図の一例である。
【
図7】本発明の実施形態による電力変換装置の動作方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の動作方法の説明に参照される図である。
【
図9】
図7の動作方法の説明に参照される図である。
【
図10】
図7の動作方法の説明に参照される図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本明細書においては、太陽光モジュール内のコンバータに入力される入力電流のリップルを低減できる方案を提示する。
【0075】
以下では、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0076】
以下の説明において使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、単に本明細書の作成の容易さのみが考慮されて与えられるものであり、それ自体で特に重要な意味又は役割を有するものではない。従って、前記「モジュール」及び「部」は互いに混用されて使用されてもよい。
【0077】
図1aは、従来の単独運転防止技術が適用された太陽光モジュールを含む太陽光システムを示す図であり、
図1bないし
図1dは、
図1aの太陽光モジュールの動作説明に参照される図である。
【0078】
図1に示すように、太陽光システム10xは、複数の太陽光モジュール50ax、50bx、...、50nxを備える。
【0079】
複数の太陽光モジュール50ax、50bx、...、50nxは、互いに並列接続され、複数の太陽光モジュール50ax、50bx、...、50nxからそれぞれ出力される交流電圧Vac1x、Vac2x、...、Vacnxがケーブル(CABco)を介してグリッド90に供給される。
【0080】
一方、複数の太陽光モジュール50ax、50bx、...、50nxのそれぞれは、直流電圧Vdc1x、Vdc2x、...、Vdcnxを出力する太陽電池モジュール100ax、100bx、...、100nxと、交流電圧Vac1x、Vac2x、...、Vacnxを出力する電力変換装置500ax、500bx、...、500nxとを備える。
【0081】
一方、
図1aの太陽光システム10x内の複数の太陽光モジュール50ax、50bx、...、50nxは、系統90に接続された系統連系型太陽光モジュールである。
【0082】
特に、複数の電力変換装置500ax、500bx、...、500nxからそれぞれの交流電圧Vac1x、Vac2x、...、Vacnxを出力する。
【0083】
一方、各電力変換装置500ax、500bx、...、500nxは、系統電圧周波数や位相によって制御されて認定された信号を系統に供給するが、系統の停電や事故などにより系統電圧が切れた状態になると、各電力変換装置500ax、500bx、...、500nxの出力のレベルや位相、周波数が揺らぐようになり、不安定な信号が系統に継続して供給される単独運転状態になって、感電などの安全事故の問題が発生する。この問題を防止するために、系統電源の停電などを感知して電力変換装置の動作を停止させる単独運転防止技術が必要である。
【0084】
特に、複数の電力変換装置500ax、500bx、...、500nxが互いに並列に接続された場合、それぞれ異なる交流電圧Vac1x、Vac2x、...、Vacnxを出力すると、系統に異常が発生したときに、系統電圧ではない他の電力変換装置の信号を系統と認識して該当電圧の周波数と位相に同期させる不安定な出力を継続して系統に供給される現象が発生しやすい。
【0085】
従って、複数の電力変換装置500ax、500bx、...、500nxに対する単独運転が行われないようにすることが重要である。
【0086】
一方、従来の単独運転防止方案として、複数の電力変換装置500ax、500bx、...、500nxから出力される交流電圧の有効電力に変動を付加し、これによる系統信号の変化を感知して系統信号の有無を感知する方案がある。
【0087】
このような有効電力を付加する方案は、特に、複数の電力変換装置500ax、500bx、...、500nxから出力される出力電圧を検出し、これに基づいて系統電圧の安定化のために有効電力を付加する。
【0088】
図1bは、従来の有効電力付加方案に従って、電力変換装置500xにおいて、出力電圧を検出することを例示する。
【0089】
図面を参照すると、電力変換装置500xは、太陽電池モジュールからの直流電圧のレベルを変換するコンバータ530xと、コンバータ530xからの直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ540xと、インバータ540xを制御する制御部550と、インバータ540xの出力電圧を検出する電圧検出部Fxとを備える。
【0090】
図1cは、従来の有効電力付加方案に従って、電力変換装置500xにおいて、有効電力が付加され、これによる出力電圧波形を例示する。
【0091】
図1cの(a)は有効電力波形を示し、
図1cの(b)は出力電圧波形Vacxを示す。
【0092】
図面を参照すると、Tax時点まで有効電力はP1xに設定され、Tax時点からTbxまで有効電力はP1xより高いP2xに設定され、Tbx時点からTcxまで有効電力はP1xより低いP3xに設定され、Tcx時点からTdxまで有効電力はP1xに設定されることを例示する。
【0093】
このような有効電力が付加される場合、Tax時点までの出力電圧波形Vacxのピーク値はVplc1xとして現れ、Tax時点からTbxまで出力電圧波形Vacxのピーク値はVplc1xより高いVplc2xとして現れ、Tbxの時点からTcxまで出力電圧波形Vacxのピーク値はVplc1xより低いVplc3xとして現れ、Tcx時点からTdxまで出力電圧波形Vacxのピーク値はVplc1xとして現れる。
【0094】
このように、有効電力が付加される場合、系統電圧の安定化は図れるが、出力電圧波形Vacxのピーク値などが多様に現れるので、これを検出するために、電圧検出部Fxの性能が高性能でなければならない短所がある。
【0095】
一方、
図1dは、有効電力付加によって、最大電力地点が可変することを例示する。
【0096】
図面を参照すると、有効電力を付加する前に、最大電力地点はmpp1として、最大電力はPmpp1として現れることができる。
【0097】
しかしながら、
図1cに示すように、多様なレベルの有効電力を付加するとき、Vmpp1ではなく、Vmpp2、Vmpp3などに電圧レベルが可変されるので、最大電力地点も可変され、従って、最大電力は、Pmpp1より低い、Pmpp2、Pmpp3などとして現れることがある。
【0098】
従って、有効電力が付加される場合、最大電力地点追従(MPPT)制御によって、動作する電力変換装置500xの効率が低くなる短所がある。
【0099】
本発明においては、系統電圧安定化のために、有効電力付加方案ではなく、無効電力付加案を提示する。特に、継続的な無効電力付加ではなく、ランダムに所定期間の間のみ無効電力を付加して、系統電圧安定化を図るとともに、電力変換装置の効率低下を防止する方案を提示する。これについては、以下を参照して記述する。
【0100】
図2a及び
図2bは、本発明の実施形態による太陽光モジュールを含む太陽光システムの多様な例を示す図であり、
図2cは、
図2a又は
図2bの説明に参照される図である。
【0101】
まず、
図2aを参照すると、本発明の実施形態による太陽光システム10は、複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nを備える。
【0102】
一方、複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nは、互いに並列接続され、複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nからそれぞれ出力される交流電圧Vac1、Vac2、...、VacnがケーブルCABcoを介してグリッド90に供給されることができる。
【0103】
一方、複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nのそれぞれは、直流電圧Vdc1、Vdc2、...、Vdcnを出力する太陽電池モジュール100a、100b、...、100nと、交流電圧Vac1、Vac2、...、Vacnを出力する電力変換装置500a、500b、...、500nとを備える。
【0104】
一方、電力変換装置500a、500b、...、500nは、それぞれ単独運転防止のための単独運転感知部550a、550b、...、550nを備える。
【0105】
一方、
図2aの太陽光システム10内の複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nは、系統90に接続された系統連系型太陽光モジュールである。
【0106】
特に、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nからそれぞれの交流電圧Vac1、Vac2、...、Vacnを出力する。
【0107】
一方、単独運転防止のために、通常は、ゲートウェイにおいて系統状態情報を受信して、系統電力が停止されているか否かを判断し、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nに情報を与えると、複数の電力変換装置500a、500b、...、500n内の各インバータは、当該情報に基づいて運転を停止して、容易に単独運転を防止することができる。
【0108】
一方、本発明は、ゲートウェイではなく、電力変換装置内の単独運転感知部550a、550b、...、550nの内部のアルゴリズムを利用して、電力変換装置の単独運転防止を実現することに目的がある。
【0109】
例えば、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nが動作するとき、系統がない単独運転状態になると、一部の電力変換装置が動作する場合、一部の動作する電力変換装置を系統と認識するようになって、制限された時間内に動作を止めない可能性がある。
【0110】
従って、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nに対する単独運転が制限された時間以内にのみ行われるようにすることが重要である。すなわち、制限された時間以後には、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nに対する単独運転が行われないようにすることが重要である。
【0111】
これにより、本発明の実施形態による複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、インバータ540の動作時、第1期間の間、出力電圧に無効電力が注入されるように制御し、無効電力注入後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の変動値が設定値以上である場合、インバータ540がオフになるように制御する。
【0112】
これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。特に、無効電力注入により出力電力の変動がない状態で不安定な交流電圧が出力される場合、動作を停止させることが可能となる。すなわち、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nが並列接続された場合、各電力変換装置500a、500b、...、500nの単独運転を防止できるようになる。従って、系統が安定になる。
【0113】
特に、本発明の実施形態による単独運転感知部550a、550b、...、550nは、インバータから出力される交流電圧の第1周波数変動値を演算し、変動値に基づいて、無効電力を選択的に印加し、無効電力注入後の系統の系統電圧の第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータがオフになるように制御することができる。
【0114】
一方、本発明の実施形態による単独運転感知部550a、550b、...、550nは、演算された第1周波数変動値に応じて、印加される無効電力のレベルが可変するように制御することができる。
【0115】
一方、本発明の実施形態による単独運転感知部550a、550b、...、550nは、第1期間の間、印加された無効電力のレベルが可変するように制御することができる。
【0116】
一方、単独運転感知部550a、550b、...、550nは、後述する電力変換装置内の制御部に対応することができる。
【0117】
一方、第1期間はランダムに決定され、隣接する電力変換装置と重ならないことが好ましい。
【0118】
前記第1期間をランダムに決定するために、本発明においては、インバータの出力電圧を制御するDSPで実現される制御部550内のPLLを利用することができる。PLLは、出力電圧の位相を感知することができ、特に、ソフトウェア的に駆動されることができる。
【0119】
一方、PLLの小数項がランダムに現れる点を利用して、前記小数項によって無効電力が印加される期間を定めると、他のインバータの出力と重なる確率がほとんどない無効電力の変動分が印加される。
【0120】
これにより、無効電力の印加時、隣接する電力変換装置と重ならないようになるため、系統が安定になる。
【0121】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、ランダムに無効電力を注入する。従って、最大電力地点が変更されなく、出力電力の効率低下を防止することができる。
【0122】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値に応じて、ランダムに無効電力を注入する。これにより、出力電力の効率低下を防止することができる。
【0123】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算し、第1周波数変動値が基準値以下である場合、無効電力の注入を行わない。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力することができる。
【0124】
一方、
図2cは、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を示す図である。
【0125】
図2cにおいて、Err0は第1周波数変動値が0である場合を示し、Erra1は第1周波数変動値がレベル1である場合を示し、Erra2は第1周波数変動値がレベル2である場合を示し、Errb1は第1周波数変動値がレベル-1である場合を示し、Errb2は第1周波数変動値がレベル-2である場合を示す。
【0126】
これにより、本発明においては、Err0のように、Err=0の場合に無効電力の注入を行わない。
【0127】
一方、Erra1に対応するErr=1又はErra2に対応するErr>1である場合、以前出力電圧の周波数による波形より現在出力電圧の周波数による波形が進相であると判断して進相無効電力を変動値として出力電圧に付加することができる。
【0128】
一方、Errb1に対応するErr=-1又はErrb2に対応するErr<-1である場合、以前出力電圧の周波数による波形より現在出力電圧の周波数による波形が遅相である判断して、遅相無効電力を変動値として出力電圧に付加することができる。
【0129】
無効電力の値は、第1周波数変動値が大きいほど大きな値を印加することができる。第1周波数変動値の演算は、それぞれ並列に接続されたインバータのPLLにおいて行なわれるので、PLLの小数点がインバータごとに異なるため、相異なるErr値を有するようになり、これにより、無効電力の注入がランダムに行われる。
【0130】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、ランダムに無効電力を注入した後、系統電圧周波数の以前値と現在値を比較して、その差である第2周波数変動値(Grid Err)が設定値以上である場合に、単独運転状態と判断し、インバータ540がオフになるように制御する。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できる。
【0131】
このために、第2周波数変動値が設定値以上である場合は1とカウントし、設定値以下である場合は0とカウントし、前記最初の段階に戻って繰り返す。第1周波数変動値の変動幅が大きくなると、再び無効電力を印加し、それによる第2周波数変動値を検出して設定値以上である場合は前記カウント値を増加させる。
【0132】
前記過程を所定期間の間繰り返し、期間内にカウントされた値が予め設定した値以上であると、単独運転状態と判断してインバータをオフにする。
【0133】
一方、単独運転感知部550は、インバータ540のオフ後に再起動するとき、出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。これにより、出力電力の効率低下を防止することができる。
【0134】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、無効電力を注入した後、現在系統電圧周波数と、以前系統電圧周波数の周波数変動値が設定値未満である場合、系統電源が正常に接続されていると判断して、安定的な交流電圧を系統に出力する。
【0135】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、インバータ540の動作時、第1期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。これにより、出力電力の効率低下を防止することができる。
【0136】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、インバータ540の動作時、第1期間及び第2期間の間、出力される電力が一定になるように制御する。これにより、出力電力の効率低下を防止することができる。
【0137】
一方、複数の電力変換装置500a、500b、...、500nのそれぞれは、インバータ540の動作時、隣接する電力変換装置500と非同期で、出力電圧に無効電力が注入されるように制御し、無効電力注入後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の変動値が設定値以上である場合、インバータ540がオフになるように制御する。これにより、安定的な交流電圧を系統に出力できるようになる。特に、有効電力に影響を与えない無効電力注入を選択的に行うことにより、インバータの有効出力電力の変動がない状態で不安定な交流電圧が出力される場合、動作を停止させることが可能となる。すなわち、電力変換装置500の単独運転を防止することができる。従って、系統が安定になる。
【0138】
次に、
図2bに示すように、本発明の実施形態による太陽光システム10bは、複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50nと、ゲートウェイ80を備える。
【0139】
図2bの太陽光システム10bは、
図2aの太陽光システム10と類似し、以下ではその相違点を中心に記述する。
【0140】
ゲートウェイ80は、グリッド90電圧を検出し、グリッド電圧に関する情報IVgを、各複数の太陽光モジュール50a、50b、...、50n、特に、各電力変換装置500a、500b、...、500nに伝送することができる。
【0141】
例えば、グリッド電圧に関する情報IVgの伝送のために、ゲートウェイ80と、各電力変換装置500a、500b、...、500nは、電力線通信を行うことができる。
【0142】
他の例として、グリッド電圧に関する情報IVgの伝送のために、ゲートウェイ80と、各電力変換装置500a、500b、...、500nは、無線通信を行うことができる。
【0143】
図3は、本発明の実施形態による太陽光モジュールの正面図であり、
図4は、
図3の太陽光モジュールの背面図である。
【0144】
図面を参照すると、本発明の実施形態による太陽光モジュール50は、太陽電池モジュール100と、太陽電池モジュール100の背面に位置するジャンクションボックス200を含むことができる。
【0145】
ジャンクションボックス200は、電力変換のために電力変換装置(
図5の500)を備える。
【0146】
図5などにおいては、電力変換装置(
図5の500)が、
図3の4つの太陽電池ストリングに対応して、3つのバイパスダイオード(
図5のDa、Db、Dc)を備えることを例示する。
【0147】
一方、太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池を備える。
【0148】
図面においては、複数の太陽電池がリボンにより一列に接続されて、太陽電池ストリング140が形成されることを例示する。これにより、6つのストリング140a、140b、140c、140d、140e、140fが形成され、各ストリングは10個の太陽電池を備えることを例示する。一方、図面とは異なり、様々な変形が可能である。
【0149】
一方、各太陽電池ストリングは、バスリボンにより電気的に接続されることができる。
図3は、太陽電池モジュール100の下部に配置されるバスリボン145a、145c、145eにより、それぞれ第1太陽電池ストリング140aと第2太陽電池ストリング140bが、第3太陽電池ストリング140cと第4太陽電池ストリング140dが、第5太陽電池ストリング140eと第6太陽電池ストリング140fが電気的に接続されることを例示する。
【0150】
また、
図3は、太陽電池モジュール100の上部に配置されるバスリボン145b、145dにより、それぞれ第2太陽電池ストリング140bと第3太陽電池ストリング140cが、第4太陽電池ストリング140dと第5太陽電池ストリング140eが電気的に接続されることを例示する。
【0151】
一方、第1ストリングに接続されたリボン、バスリボン145b、145d、及び第4ストリームに接続されたリボンは、それぞれ第1ないし第4導電性ライン(図示せず)に電気的に接続され、第1ないし第4導電性ライン(図示せず)は、太陽電池モジュール100に形成された開口を介して、太陽電池モジュール100の背面に配置されるジャンクションボックス200内のバイパスダイオード(
図5のDa、Db、Dc)と接続されることができる。
【0152】
このとき、太陽電池モジュール100に形成された開口は、ジャンクションボックス200が位置する領域に対応して形成されることができる。
【0153】
図5は、
図3の太陽光モジュール内の電力変換装置の回路図を示す図である。
【0154】
図面を参照すると、電力変換装置500は、
図4のジャンクションボックス200内に備えられることができる。
【0155】
電力変換装置500は、太陽電池モジュール100からの直流電源を変換して変換された電源を出力することができる。
【0156】
このために、電力変換装置500は、コンバータ530、インバータ540、及びこれを制御する制御部550、通信部580を含むことができる。
【0157】
また、電力変換装置500は、バイパスのためのバイパスダイオード部510、直流電源の格納のためのキャパシタ部520、出力される交流電源のフィルタリングのためのフィルタ部570をさらに含むことができる。
【0158】
一方、電力変換装置500は、入力電流検出部A、入力電圧検出部B、コンバータ出力電流検出部C、コンバータ出力電圧検出部D、インバータ出力電流検出部E、インバータ出力電圧検出部Fをさらに備える。
【0159】
一方、制御部550は、コンバータ530及びインバータ540を制御することができる。
【0160】
バイパスダイオード部510は、太陽電池モジュール100の第1ないし第4導電性ライン(図示せず)間に、それぞれ配置されるバイパスダイオードDc、Db、Daを備える。このとき、バイパスダイオードの個数は1つ以上であり、導電性ラインの個数より1つ少ないことが好ましい。
【0161】
バイパスダイオードDc、Db、Daは、太陽電池モジュール100から、特に、太陽電池モジュール100内の第1ないし第4導電性ライン(図示せず)から太陽光直流電源が入力される。そして、バイパスダイオードDc、Db、Daは、第1ないし第4導電性ライン(図示せず)のうち少なくとも1つからの直流電源において逆電圧が発生する場合、バイパスさせることができる。
【0162】
一方、バイパスダイオード部510を経た直流電源は、キャパシタ部520で入力される。
【0163】
キャパシタ部520は、太陽電池モジュール100及びバイパスダイオード部510を経て入力される入力直流電源を格納することができる。
【0164】
一方、図面においては、キャパシタ部520が互いに並列接続結される複数のキャパシタCa、Cb、Ccを備えることを例示しているが、これと異なり、複数のキャパシタが、直並列の混合で接続されるか、直列に接地端に接続されることも可能である。または、キャパシタ部520が1つのキャパシタのみを備えることも可能である。
【0165】
コンバータ530は、バイパスダイオード部510とキャパシタ部520を経た、太陽電池モジュール100からの入力電圧のレベルを変換することができる。
【0166】
特に、コンバータ530は、キャパシタ部520に格納された直流電源を利用して、電力変換を行うことができる。
【0167】
一方、コンバータ530内のスイッチング素子は、制御部550からのコンバータスイッチング制御信号に基づいて、ターンオン/オフ動作することができる。これにより、レベル変換された直流電源が出力できる。
【0168】
インバータ540は、コンバータ530において変換された直流電源を交流電源に変換することができる。
【0169】
図面においては、フルブリッジインバータ(full-bridge inverter)を例示する。すなわち、それぞれ互いに直列接続される上アームスイッチング素子SW1、SW3及び下アームスイッチング素子SW2、SW4が一対となり、合計2対の上、下アームスイッチング素子が互いに並列(S1、S2、S3、S4)に接続される。各スイッチング素子SW1~SW4にはダイオードが逆並列に接続されることができる。
【0170】
インバータ540内のスイッチング素子SW1~SW4は、制御部550からのインバータスイッチング制御信号に基づいて、ターンオン/オフ動作することができる。これにより、所定周波数を有する交流電源が出力できる。好ましくは、グリッド(grid)の交流周波数と同一の周波数(約60Hz又は50Hz)を有することが好ましい。
【0171】
一方、キャパシタCは、コンバータ530とインバータ540との間に配置されることができる。
【0172】
キャパシタCは、コンバータ530のレベル変換された直流電源を格納することができる。一方、キャパシタCの両端をdc端と称してもよく、これにより、キャパシタCはdc端キャパシタと称してもよい。
【0173】
一方、入力電流検出部Aは、太陽電池モジュール100からキャパシタ部520に供給される入力電流ic1を感知することができる。
【0174】
一方、入力電圧検出部Bは、太陽電池モジュール100からキャパシタ部520に供給される入力電圧Vc1を感知することができる。ここで、入力電圧Vc1は、キャパシタ部520の両端に格納された電圧と同一であり得る。
【0175】
感知された入力電流ic1と入力電圧vc1は、制御部550に入力されることができる。
【0176】
一方、コンバータ出力電流検出部Cは、コンバータ530から出力される出力電流ic2、すなわち、dc端電流を感知し、コンバータの出力電圧検出部Dは、コンバータ530から出力される出力電圧vc2、すなわち、dc端電圧を感知する。感知された出力電流ic2と出力電圧vc2は、制御部550に入力されることができる。
【0177】
一方、インバータ出力電流検出部Eは、インバータ540から出力される電流ic3を感知し、インバータ出力電圧検出部Fは、インバータ540から出力される電圧vc3を感知する。検出された電流ic3と電圧vc3は、制御部550に入力される。
【0178】
一方、制御部550は、コンバータ530のスイッチング素子を制御する制御信号を出力することができる。特に、制御部550は、検出された入力電流ic1、入力電圧vc1、出力電流ic2、出力電圧vc2、出力電流ic3、又は出力電圧vc3のうち少なくとも1つに基づいて、コンバータ530内のスイッチング素子のターンオンタイミング信号を出力することができる。
【0179】
一方、制御部550は、インバータ540の各スイッチング素子SW1~SW4を制御するインバータ制御信号を出力することができる。特に、制御部550は、検出された入力電流ic1、入力電圧vc1、出力電流ic2、出力電圧vc2、出力電流ic3、又は出力電圧vc3のうち少なくとも1つに基づいて、インバータ540の各スイッチング素子SW1~SW4のターンオンタイミング信号を出力することができる。
【0180】
一方、制御部550は、太陽電池モジュール100に対する最大電力地点を演算し、それにより、最大電力に該当する直流電源を出力するように、コンバータ530を制御することができる。
【0181】
一方、フィルタ部570は、インバータ540の出力端に配置されることができる。
【0182】
そして、フィルタ部570は、複数の受動素子を含み、複数の受動素子のうち少なくとも一部に基づいて、インバータ540から出力される交流電流ioと交流電圧voとの間の位相差を調整することができる。
【0183】
一方、フィルタ部570の出力端に、系統ケーブルCABcに接続される第1ケーブル31が電気的に接続されることができる。
【0184】
通信部580は、電力線通信又は無線通信などにより、外部のゲートウェイ80などと通信を行うことができる。
【0185】
特に、通信部580は、ゲートウェイ80から系統電圧関連情報IVgを受信することができる。ここで、系統電圧関連情報IVgは、系統電圧のレベル、位相、周波数などを含むことができる。
【0186】
図6は、
図5の制御部の内部ブロック図の一例である。
【0187】
図面を参照すると、制御部550は、カウンタ551、第1周波数変動値演算部552、メモリ554、第2周波数変動値演算部556、無効電力注入部553、動作停止部557を備える。
【0188】
カウンタ551は、出力電圧検出部Fにおいて検出される出力電圧情報IVacの1周期の間の周波数をカウントすることができる。通常制御部は、DSPで構成され、DSP内には基準となる入力信号に同期した信号を出力するPLL部を有する。
【0189】
インバータの出力は系統電圧と一致しなければならないので、PLLにより系統電圧による出力電圧の周波数を検出する。この情報により、PWM装置から入力されるDC電源を系統電圧周波数に合う振幅と位相に合うAC出力として生成して出力するようになるが、本発明においては、この周波数情報の偏差によって単独運転を判断する。
【0190】
第1周波数変動値演算部552は、PLLにおいて演算した周波数に基づいて、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値Errを演算することができる。以前出力電圧の周波数は、メモリ554に格納された値であり得る。
【0191】
無効電力注入部553は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値に応じて、無効電力を注入するように制御信号Sipを出力することができる。
【0192】
特に、無効電力注入部553は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値によって、ランダムに無効電力を注入することができる。
【0193】
例えば、無効電力注入部553は、第1周波数変動値の大きさが大きいほど、注入される無効電力の大きさが大きくなるが、注入される無効電力の印加期間が長くなるように制御することができる。
【0194】
一方、無効電力注入部553は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値が基準値超過である場合にのみ、無効電力を注入することもできる。
【0195】
すなわち、無効電力注入部553は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値が基準値以下である場合、無効電力の注入を行わないことがある。
【0196】
メモリ554は、以前出力電圧の周波数を格納することができる。また、メモリ554は、無効電力注入以前の系統電圧周波数を格納することができる。
【0197】
第2周波数変動値演算部556は、無効電力を注入した後、無効電力注入後の系統電圧周波数と無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値を演算することができる。
【0198】
ここで、無効電力注入以前の系統電圧周波数は、メモリ554に格納されたものであり得る。
【0199】
一方、動作停止部557は、第2周波数変動値演算部556において演算された第2周波数変動値が設定値以上である場合、インバータ540がオフになるように、動作停止信号Sstを出力することができる。これにより、インバータ540がオフになって、動作が停止するようになる。
【0200】
図7は、本発明の実施形態による電力変換装置の動作方法を示すフローチャートであり、
図8ないし
図10は、
図7の動作方法の説明に参照される図である。
【0201】
まず、
図7に示すように、初期に、電力変換装置500の動作をオンさせる(S710)。
【0202】
制御部550は、インバータ550などに制御信号Sicを出力し、インバータ550などが動作して、電力変換装置500の動作がオンになるように制御することができる。
【0203】
次に、制御部550は、電力変換装置500の単独運転を防止するために、無効電力の注入が、各インバータごとにランダムに行われるように制御することができる。
【0204】
図9の(a)は、電源オン時点Tpon以後に、第1電力変換装置500aにおいて、無効電力可変モードMD1が第1期間Pknaの間行われることを例示する。
【0205】
一方、無効電力可変モードMD1は一時的に行われ、無効電力可変モードMD1の終了後、無効電力付加なしに、出力交流電圧を系統に出力する発電モードMD2が、第2期間Plnaの間行われることができる。
【0206】
一方、
図9の(b)は、電源オン時点Tpon以後に、第2電力変換装置500bにおいて、無効電力付加なしに、出力交流電圧を系統に出力する発電モードMD2が2期間Plnbの間行われてから、その以後、無効電力可変モードMD1が、第1期間Pknbの間行われることを例示する。
【0207】
一方、
図9の(c)は、電源オン時点Tpon以後に、第3電力変換装置500cにおいて、無効電力付加なしに、出力交流電圧を系統に出力する発電モードMD2が2期間Plncの間行われてから、その以後、無効電力可変モードMD1が、第1期間Pkncの間行われることを例示する。
【0208】
一方、無効電力可変モードが行われる第1期間は、
図9に示すように、複数の電力変換装置500a~500cにおいて、互いに重ならないことが好ましい。
【0209】
すなわち、複数の電力変換装置500a~500cのそれぞれは、他の隣接する複数の電力変換装置と非同期で、第1期間の間、出力電圧に無効電力を注入することができる。従って、系統安定性が向上できる。
【0210】
一方、制御部550は、単独運転を感知するか否かによってインバータを動作又は停止させるようにインバータのスイッチング部を制御することができる。
【0211】
一方、制御部550は、無効電力可変モードがオンになるか否かを判断し(S715)、該当する場合、出力電圧検出部Fにおいて検出される出力電圧情報IVacを受信し(S720)、出力交流電圧の周波数を演算することができる(S725)。
【0212】
そして、制御部550、特に、第1周波数変動値演算部552は、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値を演算する(S730)。
【0213】
そして、制御部550、特に、無効電力注入部553は、第1周波数変動値に応じて、無効電力を注入する(S735)。
【0214】
一方、制御部550、特に、無効電力注入部553により注入される無効電力は、隣接する電力変換装置で注入される無効電力と異なることが好ましい。これにより、系統電圧を安定化させることができる。
【0215】
次に、制御部550は、通信部580において受信される系統電圧関連情報IVgを受信することができる(S737)。
【0216】
次に、制御部550、特に、第2周波数変動値演算部556は、無効電力注入後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値を演算する(S740)。
【0217】
次に、制御部550、特に、動作停止部557は、第2周波数変動値が設定値以上であり、特に、設定値以上である場合が所定回数以上である場合(S745)、インバータ540がオフになるように制御する。特に、動作停止信号Sstを出力できる。
【0218】
一時的な変動ではなく、停電による単独運転状態を判断するために設定した周期の間、基準値以上にカウントされる周期が予め設定した数値以上であると、単独運転を判断してインバータを停止する。実施形態においては、10回の周期の間該当動作を繰り返してカウントされる異常周期が3回以上であると、単独運転と判断し、そうでないと、正常動作と判断する。
【0219】
一方、制御部550は、インバータ540のオフ後に再起動されるとき、出力電圧に無効電力が注入されるように制御することができる。
【0220】
このとき、
図9の(a)に示すように、電源オン時点Tpon以後に、第1電力変換装置500aにおいて、無効電力可変モードMD1が、第1期間Pknaの間、再び行われることができる。
【0221】
前記制御部550は、系統周波数を検出する周波数検出する段階、前記検出された周波数の変化量に応じて選択的に無効電力を注入する段階、前記無効電力注入後に前記系統周波数の変化量が所定値以下であると、前記インバータの正常動作を継続し、所定値より大きいと、単独運転状態と判断して前記インバータの動作を停止させて系統から遮断する。
【0222】
前記周波数検出は、電力変換装置500のPLLにより系統の周波数を推定して行われることができる。
【0223】
インバータの出力は、系統と同一の位相と周波数を有して同期化された正弦波形態で系統に供給されるが、このために、系統の位相情報を検出するためにPLLが使用される。
【0224】
従って、PLLにおいて検出された系統の周波数の変動から系統周波数に異常があるか否かを1次に判断する。系統周波数の周波数変動値Errは、以前系統周波数と現在系統周波数の差として求めることができ、この周波数変動値が所定値以上であると、インバータの出力電圧に無効電力が注入されるように制御する。
【0225】
このとき、PLLにおいて検出した位相角により周波数の周波数変動値を計算する過程は、本発明のように並列に接続されたインバータごとにそれぞれのPLLが独立的に行われる。
【0226】
このとき、PLLの小数点部分はそれぞれのインバータごとに異なるように計算され、同一値が発生する確率が非常に低いため、並列に接続された各インバータにおいて同一のErr値が算出される可能性が少なく、結果として各インバータが互いに独立的で非同期な無効電力を印加するようになる。これにより、並列に接続されたインバータに印加された無効電力が互いに相殺されて単独運転感知に失敗することがなくなる。
【0227】
一方、周波数の変動値がないと(Err=0)、正常状態と判断して無効電力を注入しない。変動値があると、単独運転であるか否かを判断するために無効電力を注入する。このとき、変動値に応じて進相無効電力又は遅相無効電力の注入量を決定する。
【0228】
一例として、Err=1であると、第1の進相無効電力を、Err>1であると、第2の進相無効電力を注入し、Err=-1であると、第1の遅相無効電力を、Err<-1であると、第2の遅相無効電力を注入する。このとき、変動値が大きいほど注入される量が大きくなる。
【0229】
一方、系統が連系されている状況では、系統電源の系統周波数が支配する状況であるため、微小な変動量である無効電力を外部から印加しても系統周波数に変化がないが、系統がない状態で無効電力が印加されると、PLLにおいて検出される周波数の変動量が大きくなる。従って、無効電力注入後に系統周波数の変動値(Grid Err)を計算して、これから単独運転の可否を判断することができる。
【0230】
一方、検出された系統周波数の変動値(Grid Err)が基準値以上であるとき、すぐに単独運転を判断せずに、所定期間の間繰り返されて異常と判断される場合に単独運転と判断する。
【0231】
このために、無効電力注入後の変動値(Grid Err)が基準値以上であると、これをカウントし、再び系統周波数検出段階に戻って単独運転の判断を繰り返す。
【0232】
もし、系統がない場合、再びPLL動作を繰り返すと、1次無効電力の注入後に、周波数差が系統と差がさらに大きくなってErr値が増加してより大きな無効電力が印加されて無効電力注入後の変動値が再び基準値以上になるが、一時的な変動による場合は、再び系統信号が安定してErr値が小さくなって周波数変動値が基準値以下になり得る。
【0233】
一時的な変動ではなく、停電による単独運転状態を判断するために設定した周期の間、基準値以上にカウントされる周期が予め設定した数値以上であると、単独運転を判断してインバータを停止する。実施形態においては、10回の周期の間該当動作を繰り返してカウントされる異常周期が3回以上であると、単独運転と判断し、そうでないと、正常動作と判断する。
【0234】
一方、本発明は、複数のインバータが並列に系統に接続された分散電源装置に適用するものであり、このとき、前記第1期間は、並列に接続された他の電力変換装置500と重ならない。
【0235】
図8の(a)は、電力変換装置500から出力される出力電圧波形Vacaを例示し、
図8の(b)は、電力変換装置500に印加された無効電力波形Piaを例示し、
図8の(c)は、系統電圧波形Vgridaを例示し、
図8の(d)は、電力変換装置500内のインバータ540に印加されるスイッチング制御信号波形Sicaを例示する。
【0236】
図8の(a)の出力電圧波形Vacaを見ると、P1期間と、P2期間での出力電圧波形Vacaの周波数が、それぞれ第1周波数f1、第1周波数f1より高い第2周波数f2であることを例示する。
【0237】
電力変換装置500は、太陽電池モジュール100から出力される発電量、特に、直流電圧によって、随時、出力電圧波形のレベル又は周波数などが可変されることがある。
【0238】
これにより、制御部550は、P1期間と、P2期間での出力電圧波形の周波数の差を演算する。
【0239】
一方、現在出力電圧の周波数と以前出力電圧の周波数の差である第1周波数変動値が基準値超過である場合、制御部550は、T2時点からT3時点までであるP3期間の間、無効電力可変モードに進入して、無効電力が注入されるように制御することができる。
【0240】
図面においては、Pmレベルの無効電力が注入されることを例示する。
【0241】
一方、注入される無効電力は、ランダムに決定できる。
【0242】
次に、制御部550は、ランダムに無効電力を注入した後、すなわち、T2時点以後、無効電力注入以後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値を演算することができる。
【0243】
図8の(c)は、P2期間の系統電圧周波数はfg2であり、P3期間の系統電圧周波数はfg3であることを例示する。
【0244】
特に、無効電力注入の後、系統電圧周波数f3が、P2期間の系統電圧周波数f2に比べて非常に大きくなったことが分かる。
【0245】
これは、無効電力注入によって、電力変換装置500から出力される電圧波形により、系統電圧周波数が影響を受けたためである。
【0246】
従って、制御部550は、無効電力注入以後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の差である第2周波数変動値が設定値以上であり、第2周波数変動値が設定値以上である場合が所定回数以上である場合、系統安定化のために、当該電力変換装置の動作をオフするように制御することができる。特に、インバータ540がオフになるように制御することができる。
【0247】
これによって、制御部550は、インバータ540に動作停止信号Sstを出力することができる。
【0248】
図8の(d)は、T1、T2、T3時点まで、インバータスイッチング制御信号SicのレベルがTハイレベルHLを維持してから、T3時点からローレベルLLを維持することを例示する。
【0249】
これによって、T3時点からインバータ540の動作は停止し、従って、
図8の(a)に示すように、T3時点から出力電圧波形Vacaは0レベルを維持するようになる。
【0250】
これによって、不安定な動作をする電力変換装置500の動作を一時停止させることができ、従って、系統が安定化になる。
【0251】
一方、
図7ないし
図9において記述した無効電力付加技法は、
図1dの有効電力付加と異なるので、無効電力付加にもかかわらず、電力変換装置から出力される電力が一定になる。
【0252】
特に、インバータ540の動作時、無効電力が注入される第1期間の間、出力される電力が一定になることができる。このために、制御部550は、インバータ540の動作時、第1期間の間、出力される電力が一定になるように制御することができる。
【0253】
一方、制御部550は、無効電力を注入した後、無効電力注入以後の系統電圧周波数と、無効電力注入以前の系統電圧周波数の変動値が設定値未満である場合、無効電力の注入を終了し、第2期間の間、無効電力が注入されない交流電圧が出力されるように制御する。
【0254】
ここで、制御部550は、インバータ540の動作時、第1期間及び第2期間の間、出力される電力が一定になるように制御することができる。
【0255】
図10は、無効電力注入前と注入後にも一定な最大電力地点を有することを説明するために参照される図である。
【0256】
図面を参照すると、無効電力注入前はもちろん、無効電力注入後にも、最大電力地点はmpp1として、最大電力はPmpp1として現れることがある。
【0257】
すなわち、無効電力注入前はもちろん、無効電力注入後にも、最大電力地点に対応する電圧はVmpp1として一定であり、最大電力地点に対応する電流はImpp1として一定であり得る。
【0258】
従って、無効電力付加にもかかわらず、最大電力点追従(MPPT)制御によって、動作する電力変換装置500の効率が低下しなく、そのまま維持されながら、系統安定化を図ることができるようになる。
【0259】
本発明による電力変換装置、それを備える太陽光モジュール、及び太陽光システムは、前述したように説明された実施形態の構成と方法が限定的に適用されることではなく、前記実施形態は様々な変形が可能であり、各実施形態の全部又は一部が選択的に組み合わせられて構成されることもできる。
【0260】
また、以上では本発明の好ましい実施例について図示し、説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見込みから個別的に理解されてはならない。