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  • 特許-感度試験器、感度試験方法及び煙感知器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】感度試験器、感度試験方法及び煙感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20240329BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G08B17/10 L
G08B17/00 K
G08B17/10 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019220578
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021089671
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴弘
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-267423(JP,A)
【文献】特開2000-149160(JP,A)
【文献】特開2001-067557(JP,A)
【文献】特開2004-054691(JP,A)
【文献】特開2005-208885(JP,A)
【文献】特開平11-096469(JP,A)
【文献】特開2019-128720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙感知器の設置場所に持ち運んで、煙感知器の感度試験を行う煙感知器用の感度試験器であって、
煙感知器に記憶される、感度試験器が用いられて行われた前回の感度試験の実施時期情報を含む前回の試験情報を表示する表示部を備え
前記前回の感度試験の実施時期情報は、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数であることを特徴とする煙感知器用の感度試験器。
【請求項2】
前記表示部は、今回の感度試験の実施日と前回の感度試験の実施時期情報を並べて表示することを特徴とする請求項に記載の感度試験器。
【請求項3】
前記感度試験器は、電池駆動のポータブル式のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感度試験器。
【請求項4】
前記感度試験器は、無線通信手段をさらに備え、前記煙感知器から前記前回の試験情報を無線信号の送受信によって取得することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の感度試験器。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の感度試験器が用いられて行われる煙感知器の感度試験方法であって、前記感度試験器が、煙感知器に記憶される、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数である前記前回の感度試験の実施時期情報を含む前記前回の試験情報を煙感知器から取得するステップと、その取得した前回の試験情報を表示するステップとを含むことを特徴とする煙感知器の感度試験方法。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の感度試験器が用いられて感度試験が行われる煙感知器であって、前記感度試験器の表示部に表示される、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数である前記前回の感度試験の実施時期情報を含む前記前回の試験情報を記憶する記憶部を備えることを特徴とする煙感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感度試験器と、感度試験方法と、それにより感度試験が行われる煙感知器に関する。
【0002】
火災感知器として用いられる煙感知器は、1年に一度、感度試験を行うことが消防法で定められている。感度試験は、感度試験器が用いられて有資格者によって行われる。感度試験器は、煙感知器の感知器取付部を有しており、その取付部に取り付けられる煙感知器の感度を測定することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-149160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感度試験は、試験対象の実際に設置されている煙感知器を取り外して行う必要がある。その際、取り外した煙感知器が警戒していた区画が試験作業中に未警戒の状態になるのを防ぐために、交換用の煙感知器を一時的に取り付ける必要がある。このように感度試験の作業は非常に面倒であり、また、煙感知器の設置個数が多い場合、その全数を試験するとなると、時間も非常にかかることになる。
【0005】
このため、例えば、試験対象の煙感知器を数グループに分けてローテーションし、数年をかけて全数の感度試験を行ったり、感度試験を実施せずに加煙試験(作動試験)のみで済ませたりするなどの不正が行われることが考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の感度試験器では、各煙感知器の前回の感度試験の実施時期を確認することができなかったので、そのような不正が行われていたとしても、それを確認することができなかった。
【0007】
この発明は、以上の事情に鑑み、煙感知器の感度試験の不正の有無を確認できる、感度試験器、感度試験方法及び煙感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、煙感知器の設置場所に持ち運んで、煙感知器の感度試験を行う煙感知器用の感度試験器であって、煙感知器に記憶される、感度試験器が用いられて行われた前回の感度試験の実施時期情報を含む前回の試験情報を表示する表示部を備え、前記前回の感度試験の実施時期情報は、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数であることを特徴とする煙感知器用の感度試験器、である。
【0009】
ここで、前記感度試験器は、煙感知器が取り付けられる感知器取付部をさらに備えるものとすることができる。前記感度試験器は、各種情報を入力する入力部をさらに備えるものとすることができる。前記表示部は、今回の感度試験の実施日と前回の感度試験の実施時期を並べて表示するものとすることができる。前記感度試験器は、電池駆動のポータブル式のものとすることができる。前記前回の試験情報は、前回の感度試験の試験結果の情報を含むものとすることができる。前記表示部は、今回の感度試験の実施時期情報を含む今回の試験情報も表示するものとすることができる。前記感度試験器は、無線通信手段をさらに備え、前記煙感知器から前記前回の試験情報を無線信号の送受信によって取得するものとすることができる。前記感度試験器は、各種情報を外部出力する出力手段をさらに備えるものとすることができる。
【0010】
また、この発明は、前記感度試験器が用いられて行われる煙感知器の感度試験方法であって、感度試験器が、煙感知器に記憶される、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数である前記前回の感度試験の実施時期情報を含む前記前回の試験情報を煙感知器から取得するステップと、その取得した前回の試験情報を表示するステップと、を含むことを特徴とする煙感知器の感度試験方法、である。
【0011】
さらに、この発明は、前記感度試験器が用いられて感度試験が行われる煙感知器であって、前記感度試験器の表示部に表示される、前回の感度試験の実施日及び前回の感度試験の実施日からの経過日数である前記前回の感度試験の実施時期情報を含む前記前回の試験情報を記憶する記憶部を備えることを特徴とする煙感知器、である。
【発明の効果】
【0012】
この発明においては、試験対象の煙感知器の前回の感度試験の実施時期を感度試験器の表示部の表示によって確認することができる。
【0013】
したがって、この発明によれば、煙感知器の感度試験における不正の有無を確認することができる、感度試験器、感度試験方法及び煙感知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の感度試験器の実施形態の一例を示したものであり、煙感知器が取り付けられていない状態の平面図(ケースを平置きにして上から見た図)である。
図2】同上の感度試験器の装置構成の概要を示したブロック図である。
図3】この発明の煙感知器の実施形態の一例を示したものであり、その装置構成の概要を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の感度試験器、感度試験方法及び煙感知器の実施形態について、自動火災報知設備における煙感知器(火災感知器)を感度試験の対象として適用する場合を例に図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<感度試験器>
まず、この発明の感度試験器の実施形態の一例について、図1及び2を参照しつつ説明する。
【0017】
・基本構成
感度試験器1は、ケース2と、電池3と、感知器取付部4と、制御部5と、表示部6と、操作/入力部7等を備えている(図1及び2参照)。
【0018】
・ケース
ケース2は、電池3や制御部5等が内蔵される箱形の形状を有しており、その上面(ケース2を平置きした際の上面)上に、感知器取付部4、表示部6及び操作/入力部7が露出して設けられている(図1参照)。なお、図示の例では示していないが、感知器取付部4等が設けられるケース2の上面側には、感知器取付部4等のケース2の上面側の構成部分を非使用時に保護するカバーが設けられるものとするのが好ましい。
【0019】
・電池
電池3は、感度試験器1の電源として機能する。感度試験器1は、この電池3による電池駆動で使用可能に構成される。感度試験器1の電源としては、ACアダプタを介して商用電源に接続可能なものとして、外部電源を用いるようにすることもできるが、電池を用いた方が感度試験器1をポータブル式のものとすることができ、有利である。なお、電池3としては、一次電池、二次電池のいずれを用いてもよい。
【0020】
ここで、感度試験器1は、電池駆動のポータブル式のものであるので、煙感知器の設置場所に持ち運んで使用することができ、煙感知器を設置面から取り外したら、その取り外した場所で直ちに感度試験を行うことができる。
【0021】
・感知器取付部
感知器取付部4は、試験対象の煙感知器を取り付けることができる取り付け構造(例えば、設置用の取付ベースの取り付け構造に対応する構造のものとしてもよいし、煙感知器を機械的及び電気的に接続可能な端子からなるものとしてもよい)を有する。この感知器取付部4は、本実施形態の場合、ケース2本体の上面側に1つ設けられている。感知器取付部4を複数設け、同時に複数の煙感知器を取り付けることができるようにしてもよいが、感知器取付部4を1つとした方が機器全体の大きさを小型化することができ、ポータブル化するのに好適なものとすることができる。なお、煙感知器の取り付け構造には、複数種類あるが、感知器取付部4の取り付け構造を煙感知器の複数種類の取り付け構造に対応するものとしたり、アダプタを介在させたりすることにより、感知器取付部4は1つとしていても、煙感知器の複数種類の取り付け構造に対応したものとすることは可能である。
【0022】
さらに、感知器取付部4には、煙感知器が備える試験用の端子(例えば、後記で説明する煙感知器10の試験用の端子10T)と電気的に接続される、感度試験器側の試験用端子TTが設けられている(図1及び2参照)。本実施形態の場合、感度試験器1は、その試験用端子TTを介して、感知器取付部4に取り付けられる試験対象の煙感知器に試験用の電圧を印加したり、信号を送受信したりすることができるように構成される。なお、感知器取付部4を、煙感知器が備えるC/L端子(例えば、後記で説明する煙感知器が備えるC/L端子CT、LT)に接続されるC/L端子が設けられるものとしてもよく、そのC/L端子を介して、試験対象の煙感知に試験用の電圧を印加したり、信号を送受信したりするものとしてもよい。
【0023】
・制御部
制御部5は、処理部5-1、記憶部5-2、外部出力部5-3等を有し、各種制御処理を行う。この制御部5が行う各種制御処理の内容については、後記で詳細に説明する。なお、制御部5は、図示は省略するが、ケース2に内蔵される回路基板上に設けられる。また、制御部5において、外部出力部5-3は、各種情報を外部の電子機器(パソコンやプリンタ等)に出力する出力部として機能し、ケーブルを介して外部の電子機器に接続される出力端子OTが設けられる(図2参照)。
【0024】
・表示部
表示部6は、各種情報を表示する。この表示部6としては、例えばLCDを用いることができる。
【0025】
・操作/入力部
操作/入力部7は、感度試験の際に、電源のオン・オフ等の各種操作と、各種情報の入力を行うのに用いられる。この操作/入力部7としては、例えば、テンキーを有するキーボード或いはキーパッド等を用いることができる。図示の例は、前記の表示部6のLCDと一体の薄板状のキーパッドを用いる場合を示している(図1参照)。なお、この操作/入力部7によって入力される各種情報については、後記で説明する。
【0026】
・制御部が感度試験の際に行う処理
制御部5は、例えば、感度試験の際に以下の処理を行うものとすることができる。
・・過去の試験情報の要求、取得
制御部5は、試験対象の煙感知器に対し、その記憶部(例えば、後記の煙感知器10の記憶部13-2)に記憶される、前回の感度試験の実施時期を確認可能な情報を含む前回の試験情報を要求する信号を送信する。そして、試験対象の煙感知器から前回の試験情報の信号を受信し、その情報を取得する。
・・感度試験処理(試験発報、感度測定、合否判定)
制御部5は、試験対象の煙感知器のアンプ出力に試験電圧をオフセット的に徐々に上昇させながら印加し、発報時(火災判定閾値を超えた時)の試験電圧(以下「感度電圧」ともいう)を測定する。煙感知器は、無煙時でも煙検出回路のアンプ出力電圧があり、ここに試験電圧がオフセット的に加えられ、火災判定閾値を超えたとき、火災発報(以下「試験発報」ともいう)する。さらに測定した感度電圧の合否の判定も行う場合には、感度電圧を判定基準電圧(判定基準電圧は煙感知器の機種ごとに異なる。機種ごとの判定基準電圧は、煙感知器の裏面側に記載されており、操作/入力部7により煙感知器の機種情報と共に入力される)と比較して合否を判定する。
・・各種情報の表示処理
制御部5は、表示部6に各種情報を表示させる。なお、表示部6が表示する各種情報については、後記で説明する。
・・各種情報の出力処理
制御部5は、外部出力部5-3を介し、外部のパソコンやプリンタ等の電子機器に各種情報を出力する。なお、外部出力部5-3を介して出力される各種情報については、後記で説明する。
・・今回の試験情報の書き込みの要求
制御部5は、試験対象の煙感知器に対し、今回の試験情報の記憶部への書き込みを要求する信号を送信する。なお、今回の試験情報については、後記で説明する。
【0027】
・表示部が表示する情報
表示部6は、例えば、感度試験の際に以下の情報を表示するものとすることができる。
・・煙感知器の機種情報
表示部6は、試験対象の煙感知器の機種番号等の機種情報を表示する。この機種情報は、機種ごとに異なる判定基準電圧の情報を含むものとすることができる。なお、この機種情報は、感度試験の際に操作/入力部7から入力されたり、試験対象の煙感知器の記憶部から取得されたりするものとすることができる。
・・過去の試験情報
表示部6は、試験対象の煙感知器から取得した、前回の試験情報を表示する。前回の試験情報は、前回の感度試験の実施時期が確認可能な実施時期情報、前回の感度試験の結果情報(感度電圧等の情報)等とすることができる。前回の感度試験の実施時期情報は、前回の感度試験の実施日や実施日から今回の感度試験の実施日までの経過日数とすることができる(いずれか一方としてもよいし、両方としてもよい)。なお、前回の試験情報は、感度試験の履歴情報として、前々回等のさらに前の回の同様の試験情報と共に表示されるものとしてもよい(表示例として後記の表1参照)。
・・今回の試験情報
表示部6は、今回の試験情報を表示する。今回の試験情報は、今回の感度試験の実施時期情報、今回の感度試験の結果情報(感度電圧、合否判定結果等)等とすることができる。なお、今回の感度試験の実施時期情報中、今回の感度試験の実施日は、感度試験の際に操作/入力部7から入力されるものとすることができる。
【0028】
ここで、感度試験器1においては、前記の通り、前回の感度試験の実施時期情報を含む、試験対象の煙感知器の前回の試験情報が表示部6に表示される。したがって、試験者は、その表示によって前回の感度試験の実施時期を確認することができ、その不正の有無を確認することができる。また、表示部6に表示される、前回の感度試験の実施時期情報を前回の感度試験の実施日から今回の感度試験の実施日までの経過日数を含むものとすれば、試験者は、前回の感度試験の実施日からの経過の程度を直ちに確認することができ、前回の感度試験の実施時期の不正の有無を直ちに確認することができる。
【0029】
ここで、煙感知器に感度試験の実施日が記録されることを知った不正な試験者は、実施日の日付を過去の日付に設定して試験を行うことが考えられる。具体的には、例えば、過去の日付と当日の日付で複数回試験を行うことにより1日で複数年分の試験を行うという不正をすることが考えられる。そのような不正に対しては、次表に示したように、表示部6に表示される感度試験の履歴情報として、前回の感度試験の実施日から今回の感度試験の実施日までの経過日数も表示されるものとしていれば、表示される実施日の履歴と経過日数が整合しないことになるので、不正を直ちに発見することができる。それにより不正を抑制することもできる。
【0030】
【表1】
【0031】
・外部出力部を介して出力する情報
外部出力部5-3を介して出力される情報は、表示部6が表示する各種情報と同じものとすることができるし、それら情報を用途に応じて加工、編集したものとすることができる。
【0032】
ここで、感度試験器1においては、前記の通り、外部出力部5-3を介し、外部のパソコンやプリンタ等の電子機器に各種情報を出力することができる。それにより、例えば、各種情報を印刷しつつ、感度試験を行うことができ、その作業を円滑に行うことができる。また、各種情報をパソコンに出力し、今回や過去の試験結果の情報から感度の経時変化の傾向等を分析したり、もちろんデータとして蓄積、管理したりすることができる。
【0033】
<煙感知器> 次に、この発明の煙感知器の実施形態の一例について、図3を参照しつつ説明する。
【0034】
・基本構成
煙感知器10は、自動火災報知設備における火災感知器として用いられるものであり、ケース11と、煙検出部12、制御部13等を備えている。なお、煙感知器10は、C端子CT、L端子LT、試験用端子TT等の各種端子をさらに備えているが、それらはいずれも、ケース11の裏面側に設けられる。
【0035】
・煙検出部
煙検出部12は、例えば、発光素子、受光素子、検煙部、光トラップ、ラビリンス等から構成され、検煙部に煙が流入することで発生する発光素子の光の散乱光を受光素子が受光し、その受光量により煙の濃度を検出する、光電式のものが用いられる。
【0036】
・制御部
制御部13は、処理部13-1、記憶部13-2等を有し、煙検出部12の検出値に基づく火災の判定処理や火災信号の出力処理等の各種制御処理を行う。
【0037】
・・カウンタ
制御部13は、カウンタ13-3をさらに有する。カウンタ13-3は、前回の感度試験の実施日からの経過日数をカウントする。
【0038】
・・記憶部に記憶される過去の試験情報
記憶部13-2には、感度試験の際、感度試験器1に表示される、前記の過去の試験情報が記憶される。例えば、前記の過去の試験情報中、前回の感度試験の実施日からの経過日数の情報は、カウンタ13-3がカウントしたものが記憶され、前回の感度試験の実施日や試験結果の情報は、感度試験が実施された際に感度試験器1から送信されるものが記憶される。これらの過去の試験情報は、更新ごとに書き換えられるものとしてもよいし、数回分を記憶可能とし、古いものから書き換えられるものとしてもよい。
・・記憶部に記憶されるその他情報
記憶部13-2には、煙感知器の機種情報が記憶される。機種情報としては、感知器の製造番号や機種タイプ、製造年月日、製造工場等とすることができる。さらに、記憶部13-2には、前回の感度試験の実施日からの発報回数が記憶されるものしてもよい。そのようにすれば、設置場所における非火災報の頻度を確認することができるようになる。
【0039】
・各種端子
C端子CT及びL端子LTは、自動火災報知設備におけるC線及びL線と電気的に接続される。煙感知器1の試験用端子TTは、煙感知器10の感度試験を行う際に、感度試験器1の試験用端子TTと電気的に接続されて、感度試験器1から試験用の電圧を印加したり、感度試験器1との間で信号を送受信したりするための端子である。
【0040】
<感度試験の方法>
感度試験は、例えば、以下の作業工程により行うことできる。
【0041】
・感度試験器への取り付け
試験対象の煙感知器10を設置面から取り外し、その取り外した煙感知器10を感度試験器1の感知器取付部4に取り付ける。
【0042】
・感度試験器への情報の入力
感度試験器1の感知器取付部4に煙感知器10を取り付けて、互いの試験用端子TTを接続した状態にしたら、今回の感度試験の実施時期を確認可能な情報、煙感知器10の機種情報、その判定基準電圧等の必要な情報を感度試験器1の操作/入力部7から入力する。
【0043】
・過去の試験情報の要求、取得、表示
感度試験器1の操作/入力部7を操作し、煙感知器10の記憶部13-2に記憶されている、前回の感度試験の実施時期情報を含む前回の試験情報を要求、取得する。そして、取得した前回の試験情報を、今回の感度試験の実施時期情報等と共に感度試験器1の表示部6に表示する。
【0044】
・感度の測定
感度試験器1を測定モードとして、試験対象の煙感知器のアンプ出力に試験電圧をオフセット的に徐々に上昇させながら印加し、発報時の試験電圧を感度電圧として測定し、感度を示すものとして感度試験器1の表示部6に表示する。
【0045】
・合否の判定
測定した感度電圧の合否の判定も行う場合には、感度試験器1を判定モードとし、測定した感度電圧を煙感知器10の判定基準電圧と比較して合否を判定する。そして、判定の結果を感度試験器1の表示部6に表示する。
【0046】
<構成の変更例>
この発明においては、例えば、上記で説明した構成を以下のように変更することができる。
【0047】
・自己試験機能を有する煙感知器
煙感知器10は、感度の自己試験機能を有するものとしてもよい。その場合、無煙時のアンプ出力の変化から感度の変化を計算し合否判定を行う。このとき、煙感知器からは電圧値や感度の変化量を感度試験器に送信して、感度試験器が合否判定を行っても良いし、煙感知器が合否判定まで行って、結果を感度試験器に送信してもよい。
【0048】
感度の変化は、受光素子や発光素子が汚れることによる低下と、ラビリンスの壁面が汚れることによる上昇とがある。それぞれに閾値を設けることで感度試験を行うことができる。
【0049】
汚れ量の合否判定は、感度試験器1において行うものとすることができる。この場合、信号の送受信によって、感度試験器1からの要求に従い、煙感知器10が±の測定値を火災判定閾値と共に感度試験器1に送るものとすることができ、煙感知器10から取得した値に基づいて感度試験器1が汚れ量の合否判定を行うものとすることができる。
【0050】
また、煙感知器10が汚れ量の合否判定まで行うものとすることもできる。この場合、感度試験の際に、信号の送受信によって、感度試験器1からの要求に従い、煙感知器10が汚れ量の判定を行い、その判定結果の情報を感度試験器1に送るものとしてもよいし、煙感知器10が通常監視中に定期的に汚れ量の判定まで行い、その判定結果の情報も記憶部13-2に記憶しておき、感度試験の際に、信号の送受信によって、その判定結果の情報を感度試験器1に送るものとしてもよい。なお、この場合も判定結果の情報等を感度試験器と送受信する際には、試験用端子を用いてもよいし、C/L端子を用いてもよい。
【0051】
・無線による信号の送受信
煙感知器10を前記のように自己試験機能を有するものとする場合、感度試験器1と煙感知器10の間は信号の送受信のみで足りることになるので、その送受信を無線信号により行うものとすることができる。感度試験器1と煙感知器10をどちらも無線通信手段を備えるものとして、無線により信号の送受信を行うものとすれば、いずれにおいても試験用端子TTを不要にすることができるし、感度試験器1においては感知器取付部4も不要とすることができる。さらに、感度試験の際には、煙感知器10を取り外すことすら不要とすることができる。すなわち、煙感知器10を設置状態のままで感度試験を行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1:感度試験器 2:ケース 3:電池 4:感知器取付部
TT:試験用端子 5:制御部 5-1:処理部 5-2:記憶部
5-3:外部出力部 OT:出力端子 6:表示部
7:操作/入力部 10:煙感知器 11:ケース 12:煙検出部
13:制御部 13-1:処理部 13-2:記憶部
13-3:カウンタ CT:C端子 LT:L端子
TT:試験用端子
図1
図2
図3