(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】吸収性物品中の吸収性材料を測定しプロファイルする方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/84 20060101AFI20240329BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240329BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240329BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61F13/84 100
A61F13/15 329
A61F13/53 300
G01N22/00 Z
(21)【出願番号】P 2019531552
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 US2017048570
(87)【国際公開番号】W WO2018039535
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519066821
【氏名又は名称】アキュセントリー、インク
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】タン、ウェイ シオング
(72)【発明者】
【氏名】ワッチテル、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】サントソ、ジェンデラ
(72)【発明者】
【氏名】リザナ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コーセン、デイビッド
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】▲高▼橋 杏子
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0181133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0132762(US,A1)
【文献】特表2002-535040(JP,A)
【文献】特表2016-515456(JP,A)
【文献】特表2016-502871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136009(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0169904(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0296396(US,A1)
【文献】特表2014-525274(JP,A)
【文献】特開2008-154964(JP,A)
【文献】特開2016-116860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の毛羽パルプおよび高吸収性ポリマー(SAP)若しくは吸収ゲル化材料(AGM)の重量および分布を製造中に同時に測定する方法であって、
吸収性物品を380nm~700nmの可視スペクトルの波長を有する光エネルギーに晒し、前記吸収性物品を通過する光エネルギーを画像データとして取得する工程であって、前記吸収性物品は2層の不織巻取紙間に挟まれた少なくとも毛羽パルプおよびSAP若しくはAGMのコアを有するものである、取得する工程と、
コンピュータが、前記吸収性物品の前記画像データを受け取る工程と、
前記コンピュータが、前記画像データから生成された前記吸収性物品の画像の強度を決定する工程と、
前記吸収性物品を3KHz~3GHzの周波数を有する固定の無線周波数(RF)信号に晒し、前記吸収性物品を通過する前記RF信号をRFデータとして取得する工程と、
前記コンピュータが、前記吸収性物品の前記RFデータを受け取る工程と、
前記コンピュータが、前記吸収性物品の前記画像データから前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量および分布と、前記吸収性物品の前記RFデータから且つ前記吸収性物品の前記画像の前記強度に基づき前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量および分布とを決定する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、この方法はさらに、前記コンピュータが、前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量を前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量から減算することによって、前記吸収性物品の前記SAP/AGMの重量を決定する工程を有するものである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程は、
前記コンピュータが前記吸収性物品の前記画像データおよび前記吸収性物品の対応するRFデータから前記吸収性物品のプロファイルを生成する工程と、
前記コンピュータが前記吸収性物品の前記プロファイルの視覚的画像を生成する工程であって、前記視覚的画像は前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を示すものである、前記視覚的画像を生成する工程と
を有するものである、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程は、さらに、
コンピュータが前記吸収性物品の前記プロファイルを複数の領域に分割する工程と、
前記複数の領域の各々における前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量および分布を示す工程と
を有するものである、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記画像データを受け取る工程は、前記コンピュータが画像取得デバイスを使用して取得された前記吸収性物品の複数のスライスの画像データを受け取る工程を有するものであり、前記画像取得デバイスは前記吸収性物品が移動する連続的な巻取紙上の前記画像取得デバイスを通過するように前記吸収性物品を通過する前記光エネルギーを取得するものであり、各スライスは前記吸収性物品の断面部分
の分割されたプロファイルを有するものであり、前記コンピュータが前記吸収性物品の対応する無線周波数(RF)データを受け取る工程は、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記複数のスライスの各々の対応するRFデータを受け取る工程を有し、前記吸収性物品の前記プロファイルは前記吸収性物品の前記複数のスライスの前記画像データおよび前記吸収性物品の前記複数のスライスの前記対応するRFデータから生成されるものである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上は、前記吸収性物品を製造するプロセスを制御するのに用いられるものである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、この方法はさらに、前記コンピュータが、
前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの位置および寸法を決定する工程と、
前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの前記位置、寸法および重量を、前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの位置、寸法および重量の目標値とリアルタイムに比較する工程と、
前記目標値からの任意の偏差を用いて前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの前記位置、寸法、および重量が前記目標値に近づくように操作することによって前記吸収性物品を製造する前記プロセスを制御する工程と
を有するものである、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上は、既定の重量または分布基準の範囲外にある、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布の1若しくはそれ以上を有する吸収性物品を排除するのに用いられるものである、方法。
【請求項9】
吸収性物品の毛羽パルプおよび高吸収性ポリマー(SAP)若しくは吸収ゲル化材料(AGM)の重量および分布を測定するシステムであって、
380nm~700nmの可視スペクトルの波長を有する光エネルギーを吸収性物品へ放出する発光体であって、前記吸収性物品は2層の不織巻取紙間に挟まれた少なくとも前記毛羽パルプおよびSAP若しくはAGMのコアを有するものである、前記発光体と、
画像取得デバイスであって、前記吸収性物品を通過する前記光エネルギーを取得するものである、前記画像取得デバイスと、
無線周波数(RF)放出体であって、3KHz~3GHzの周波数を有する固定のRF信号を放出するものであり、前記RF信号は前記吸収性物品を通過するものである、前記RF放出体と、
前記吸収性物品を通過する前記RF信号を受け取るRF受信機と、
コンピュータであって、このコンピュータは、
前記画像取得デバイスから前記吸収性物品の画像データを受け取り、
前記画像データから生成された前記吸収性物品の画像の強度を決定し、
前記RF受信機から前記吸収性物品の対応するRFデータを受け取り、
前記吸収性物品の前記画像データおよび前記対応するRFデータから、前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量および分布と、前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布とを決定すること
により、前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量および分布と、前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量と、前記吸収性物品のSAP/AGMの重量とを決定するものである、前記コンピュータと
を有する、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記吸収性物品の前記SAP/AGMの重量は、前記吸収性物品の毛羽パルプの重量を前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量から減算することによって決定されるものである、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、このシステムは前記コンピュータと通信するディスプレイをさらに有し、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程は、
前記コンピュータが前記吸収性物品の前記画像データおよび前記吸収性物品の前記対応するRFデータから前記吸収性物品のプロファイルを生成する工程と、
前記コンピュータが前記ディスプレイ上に前記吸収性物品の前記プロファイルの視覚的画像を生成する工程であって、前記視覚的画像は、前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を示すものである、前記視覚的画像を生成する工程と
を有するものである、システム
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程はさらに、
前記コンピュータが前記吸収性物品の前記プロファイルを複数の領域に分割する工程と、
前記コンピュータが、前記複数の領域のそれぞれにおける前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量および分布を示す工程と
を有するものである、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、このシステムはさらに、移動する連続的な巻取紙上にエンコーダおよび複数の吸収性物品を有し、
前記エンコーダは、前記画像取得デバイスによる画像データとRF受信機によるRFデータの送信を前記連続的な巻取紙の移動と同期させるものであり、
前記コンピュータが画像取得デバイスを使用して取得された前記吸収性物品の画像データを受け取る工程は、前記コンピュータが前記連続的な巻取紙上の1若しくは複数の吸収性物品における複数のスライスの画像データを受け取る工程を有するものであり、前記画像取得デバイスは前記吸収性物品が移動する連続的な巻取紙上の前記画像取得デバイスを通過するように前記吸収性物品を通過する前記光エネルギーを取得するものであり、
各スライスは、前記吸収性物品の断面部分
の分割されたプロファイルを有するものであり、
前記コンピュータが前記吸収性物品の対応するRFデータを受け取る工程は、前記コンピュータが前記連続的な巻取紙上の前記複数の吸収性物品のうちの1つにおける複数のスライスのそれぞれについて前記対応するRFデータを受け取る工程を有するものであり、
前記吸収性物品の前記プロファイルは、前記吸収性物品の前記複数のスライスの前記画像データと前記吸収性物品の前記複数のスライスの前記対応するRFデータから生成されるものである、
システム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムにおいて、このシステムはさらに、吸収性物品の製造を制御する制御システムを有し、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上は、前記吸収性物品を製造するプロセスを制御するのに用いられるものである、システム。
【請求項15】
非一時的媒体に格納されたコンピュータ実行可能なコンピュータ・コード・セクションを有するコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータ・コード・セクションは吸収性物品の毛羽パルプおよび高吸収性ポリマー(SAP)若しくは吸収ゲル化材料(AGM)の重量および分布を測定するためのものであり、
前記コンピュータ・コード・セクションは、コンピュータにより実行された場合、前記コンピュータに、
380nm~700nmの可視スペクトルの波長を有する光エネルギーに晒された吸収性物品の画像データを受け取る工程であって、前記吸収性物品は2層の不織巻取紙間に挟まれた少なくとも前記毛羽パルプおよびSAP若しくはAGMのコアを有するものである、前記画像データを受け取る工程と、
前記画像データから生成された前記吸収性物品の画像の強度を決定する工程と、
前記吸収性物品を通過する3KHz~3GHzの固定のRF信号から前記吸収性物品の対応する無線周波数(RF)データを受け取る工程と、
前記吸収性物品の前記画像データからの前記画像の強度と対応するRFデータの組み合わせに基づいて、前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量および分布と、前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量と、前記吸収性物品のSAP/AGMの重量とを決定する工程と、
前記吸収性物品の前記毛羽パルプの重量を前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量から減算することによって、前記吸収性物品の前記SAP/AGMの重量を決定する工程と
を実行させるものであり、
前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布は、前記吸収性物品の前記画像データおよび前記対応するRFデータから前記吸収性物品のプロファイルを生成し、前記吸収性物品の前記プロファイルの視覚的画像を生成することにより決定されるものであり、前記視覚的画像は前記吸収性物品の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を示すものである、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2016年8月25日に出願された米国特許出願第15/247,245号に基づく優先権および利益を主張するものであり、この参照によりその全てを組み込みこの出願の一部とするものである。
【0002】
本発明は、吸収性物品の製造中に、毛羽パルプおよび超吸収性ポリマー(Super AbsorbentPolymer:SAP)または吸収ゲル化材料(Absorbent Gelling Material:AGM)の重量および分布を同時にリアルタイムで測定しプロファイルする方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の部材を有し連続的に移動する巻取紙(web)の品質を検査するために様々な非接触式測定技術が採用されている。例えば、1982年12月1日の優先日を伴う米国特許第4698832号には、紙または厚紙の厚さ方向における詰め物(filler)および/またはコーティング材料の分布を非破壊的に測定する方法および手段が記載されている。放射性同位元素源からの放射線を用い材料部材中においてその特徴的なX線放射線を励起し、この放射線の強度が観察される。測定は紙の両面で行われ、その他の詰め物部材の含有量も、分布測定を乱すこれらの部材の影響を排除するため、X線吸収によって決定される。
【0004】
1987年1月27日の優先日を伴う米国特許第4837715号には、吸収材料上の部材の配置を検出する方法および装置が記載されている。この特許は具体的には、選択された弾性部材の位置の検査を扱うものであり、当該弾性部材は巻取紙を構成する相互接続された複数の吸収性物品に取り付けられている。この特許には、赤外線照射光源の使用、巻取紙の画像を取得するためのカメラ、および前記画像において前記複合物品の重なり合う端部の位置を特定するプロセスが記載されている。
【0005】
1991年10月21日の優先日を伴う米国特許第5399016号には、熱可塑性プラスチックの押出成形部の厚さの変動を連続的かつ非破壊的に監視するデバイスおよび方法が記載されている。この発明は、画像処理ソフトウェアを含むコンピュータシステムに接続された検出および測定ユニットと、放射線記録ユニットと、表示スクリーンとを配置して、当該検出および測定ユニットによって検出される放出された放射線の変動に基づき前記成形部の厚みの変動を決定する。
【0006】
2000年3月15日の優先日を伴う米国特許第7004053号には、高速プロセスにおいて個別部品の切断長を測定し制御するシステムが記載されている。このシステムは、実際の切断長を測定し、実際の切断長の平均と目標切断長とを比較し、巻取紙の張力または供給回転速度を調節して目標切断長を達成する性能を有している。それにより、実際の切断長の変動は減少する。
【0007】
2009年12月16日の優先日を伴う米国特許第8405032号には、吸収性物品中の吸収性材料の分布を評価する方法およびシステムが記載されている。このシステムでは放射線源と検出器とが用いられ、吸収性物品が当該放射線源と検出器との間に位置するように配置される。放射線源は3μm~3.2μmの間の波長を有する赤外線を発生するように構成されている。この発明の重要な点は、SAP/AGMが吸収性物品内のその他の材料よりも特定の波長範囲内でより多くの赤外線を吸収することである。検出器での赤外線のレベル低下は、吸収性物品中のSAP/AGMの存在を示す。
【0008】
2013年4月17日の優先日を伴う国際公開第2014/170797号には、SAP/AGM材料を含有した吸収性パッドを有する吸収性衛生物品を製造する機械が記載されている。それはマイクロ波共振器を具備するセンサーを用いてSAP/AGM材料の量を検出する。材料の密度および水分を検出するマイクロ波共振器の動作原理は、「IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques」第39巻、第5号、1991年5月に掲載されたKraszewski,A.Wによる「Microwave Aquametry-Needs and Perspectives」という科学論文に記載されていた。国際公開第2014/170797号に先立ち、その原理は、Kraszewski,A.Wによって記載されたように、2000年8月17日の優先日を伴う米国特許第6,476,619号においても、繊維糸、スライバおよびパッド材料の水分および密度を測定するのに適用される。
【0009】
上述のように、カメラおよびその他のセンサー技術を用いて吸収性物品およびその他の種類の材料の非接触式測定または検査技術を扱う多くの先行技術がある。しかしながら、米国特許第8405032号および国際公開第2014/170797号のみが吸収性物品中のSAP/AGMの測定を扱っていることに注目すべきである。米国特許第8405032号には、3μm~5μmの間の感度を有する特別な中間波長赤外線カメラを用いて吸収性物品中のSAP/AGMの分布を測定する方法が記載されている。国際公開第2014/170797号の特許は、SAP/AGMの密度を測定するため1991年発表の論文においてKraszewski,A.W.により説明された原理に基づくマイクロ波共振器を用いる。
【0010】
高速製造プロセスでは、製造業者は、吸収性物品中の毛羽パルプやSAP/AGMの品質および分布の変動を制御する課題に直面している。従来、毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布は、品質管理者がSAP/AGMの存在を自分の指で感じることにより大まかに決定されている。代替的に、しかしながら手動で主観的なものであるが、品質管理者はまずライトテーブルを使用して毛羽パルプ密度を評価し、次いで吸収性物品上に着色液体を分散させ、当該物品にわたる色強度分布を主観的に評価することができた。ライトテーブル試験では、吸収性物品を通過する光が少ない部分は、最高濃度の毛羽パルプがある部分である。液体試験では、吸収性物品中において色が濃い部分ほど、より高濃度のSAP/AGMを有する部分であることを示す。これらの方法およびシステムは時間がかかり、主観的であり、また間違いを起こしやすい。
【0011】
したがって、当技術についての課題を解決するシステム、方法、デバイス、およびコンピュータプログラム製品が望まれており、それらのうちのいくつかは、上述したものであり、吸収性物品の製造中に毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布のプロファイルを扱うものである。この発明は、吸収性物品の製造中に毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量を同時にリアルタイムで測定しプロファイルする方法を記載する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2013/0181133号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2003/0132762号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2002/0071603号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2016/0051414号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2014/0163504号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2016/0138009号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書には、高速製造プロセスにおける毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布のプロファイルを扱うシステム、方法、デバイス、およびコンピュータプログラム製品が開示される。
【0013】
本明細書には、女性用ナプキン、パンティライナー、おむつ、おむつパンツ、成人失禁、ベッドシーツ、子犬用パッド、および吸収コアの使用を含むその他の製品などの吸収性物品の吸収コアを有する毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量を測定し分布をプロファイルする技術が開示される。高速生産ラインにおいて、製品ごとに毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量が変動することは避けられない。前記吸収コアは吸収性物品において最も重要な部材である。したがって、リアルタイムで各吸収性物品のSAP/AGMの重量を測定し分布をプロファイルできることは非常に価値がある。製造担当者はリアルタイムデータを用いてSAP/AGMの重量および分布を最適化することができる。
【0014】
また本明細書には、高速製造プロセスにおいて、毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量を測定し分布をプロファイルするシステムの実施形態が開示される。一実施形態において、前記システムは、発光体と、カメラなどの画像取得デバイスと、無線周波数(RF)送信機と、RF受信機と、コンピュータとを有する。画像取得デバイスは、発光体が当該画像取得デバイスとは反対側の吸収性物品の側面から光を放出する状態で吸収性物品の画像を取得するものであり、しがたって、発光体からの光の少なくとも一部が吸収性物品を通過する。吸収性物品は画像取得デバイスと発光体との間に配置される。取得画像においてより低い光強度を有する部分ほど、より高い毛羽パルプを有する吸収性物品部分に対応する。SAP/AGMの存在は、画像の強度にほとんど、または全く影響を与えない。このように前記画像強度は、吸収コア中の毛羽パルプの重量の良好な指標を提供する。発光体は、UVスペクトル(約180~380nm)、可視スペクトル(約380~700nm)、または近赤外スペクトル(約700nm~2500nm)の波長の光を放出することができる。各吸収性物品が画像取得デバイスと発光体との間を移動するため、画像取得デバイスは吸収性物品の画像を連続的に取得することができる。トリガー信号が画像取得動作を同期させるのに使用されて画像取得デバイスが吸収コアの全体像を取得するようになっている。
【0015】
RF受信機は、RF送信機から無線信号を受け取る。無線信号は、約3KHz~3GHzの間の任意のものとすることができる。RF信号は固定振幅またはピーク間電圧(例えば10V)とすることができる。吸収性物品はRF送信機とRF受信機との間に配置される。RF受信機によって受信される無線信号の振幅は吸収性物品中の毛羽パルプおよびSAPの総重量に依存する。画像取得デバイスを同期させるのに使用されたのと同じトリガー信号が、RF受信機による信号の受信を同期させるために用いられる。トリガー信号は吸収性物品の始まりを指し示すのに用いられる。吸収性物品がRF送信機を横切って滑走するため、RF送信機は信号を連続的に送信している。吸収性物品はまたRF受信機を横切って滑走するため、RF受信機は信号レベルを連続的にサンプリングしている。時間経過に対する信号レベルは、吸収性物品の移動方向に沿ったSAP/AGMの重量に比例する。通常、吸収性物品は当該吸収性物品の長尺方向に沿って移動している。
【0016】
異なる実施態様では、2またはそれ以上のRF送信機とRF受信機の対を使用して、一方の対で吸収性物品の一方の側面を測定し、反対移動方向において他方の対で吸収性物品の他方の側面を測定することができる。
【0017】
コンピュータは画像取得デバイスおよびRF受信機からデータを受け取る。画像取得デバイスからのデータは、発光体とカメラとの間の毛羽パルプの重量に比例する。RF受信機からのデータは、RF送信機とRF受信機との間の毛羽パルプとSAP/AGMの合計重量に比例する。較正を通じて、毛羽パルプならびに毛羽パルプとSAP/AGMとの組み合わせの重量を重量測定値(例えばグラム)に変換することができる。毛羽パルプとSAP/AGMの合計重量と、毛羽パルプの重量との差は、SAP/AGMの重量である。
【0018】
追加の利点は、以下の説明に部分的に記載されているか、または実施により習得することができる。その利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組み合わせによって実現され達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載のように限定的なものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、実施形態を示し、その記載と共に方法およびシステムの原理を説明するのに役立つものである。
【
図1】
図1は、連続的な巻取紙上の吸収性物品の吸収コアを有する毛羽パルプおよびSAP/AGMの一例の部分上面図を示す。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の方法を実施するように構成されたシステムの概略図である。
【
図3】
図3は、カメラセンサーの例示的な画素構成を示す。
【
図4】
図4は、2つのRF送信機およびRF受信機の例示的構成を示す。
【
図5】
図5は、3つのRF送信機およびRF受信機の例示的構成を示す。
【
図6】
図6は、吸収性物品の吸収コアのプロファイルを分割する典型的な領域パターンを示す。
【
図7】
図7は、吸収コアの異なる領域パターンを示す。
【
図8】
図8は、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定する方法の例示的方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定するために使用し得る例示的なコンピュータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本方法およびシステムの開示および説明の前に、本方法およびシステムは、特定の合成方法、特定の部材、または特定の組成物に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定することは意図されないことを理解されたい。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうでないことを示していない限り、複数の指示対象を含む。本明細書では範囲は「約」ある特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までとして表現されている場合がある。このような範囲が表されている場合、その他の実施形態には一つの特定の値からおよび/またはその他の特定の値までが含まれる。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表されている場合、その特定の値はその他の一実施形態を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の終点は、他方の終点との関連で、また他方の終点と無関係に、重要であることが理解されよう。
【0022】
「任意選択的な」または「任意選択的に」とは、後に記載する事象または状況が生じても生じていなくてもよく、その説明が当該事象または状況が発生した場合と発生しなかった場合とを含むことを意味する。
【0023】
本明細書の説明および請求項にわたり、用語「comprise」ならびにその用語の変形「comprising」および「comprises」などは、「有するが、これに限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加物、部材、整数または工程を除外することは意図されない。「例示的」とは、「の一例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の示唆を伝えることは意図されない。「のような」とは、限定的な意味ではなく、説明目的で用いられるものである。
【0024】
開示される方法およびシステムを実行するのに使用可能な部材が開示される。これらおよびその他の部材が本明細書に開示されており、これらの部材の組合せ、一部組み合わせ、相互作用、グループ化などが開示されている場合、それぞれの様々な個々の集合的な組合せの具体的な参照およびそれらの順列は明示的に開示されていないことがあるが、それぞれは、すべての方法およびシステムについての本明細書で具体的に企図され説明されている。これは、それに限定されないが開示されている方法の工程を含む本出願の全ての態様に適用される。したがって、実行可能な様々な追加の工程がある場合、これらの追加の工程の各々は、開示されている方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組合せを用いて実行され得ることが理解される。
【0025】
本方法およびシステムは、以下の好ましい実施形態の詳細な説明およびその中に含まれる実施例、ならびに図面およびそれらの前後の説明を参照することによってより容易に理解され得る。
【0026】
当業者ならば理解されるように、前記方法およびシステムは、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとることができる。さらに、前記方法およびシステムは、記憶媒体内に具現化されたコンピュータ可読プログラム命令(たとえば、コンピュータソフトウェア)を有するコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形をとることができる。より具体的には、本方法およびシステムは、巻取紙実行用コンピュータソフトウェアの形をとることができる。ハードディスク、CD-ROM、光学記憶デバイス、または磁気記憶デバイスを含む任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体が利用されてよい。
【0027】
前記方法およびシステムの実施形態を、方法、システム、装置およびコンピュータプログラム製品のブロック図およびフローチャート図を参照して以下に説明する。ブロック図およびフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート図のブロックの組み合わせはそれぞれ、コンピュータプログラム命令によって実行することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置にロードされて機構を生成し、コンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置上で実行される命令が前記フローチャートのブロックまたはブロック群において特定される機能を実行する手段を生成するようになっていてよい。
【0028】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置に特定の様式で機能するように指示可能なコンピュータ可読メモリに格納することができ、コンピュータ可読メモリに格納された命令が、フローチャートのブロックまたはブロック群において特定される機能を実行するコンピュータ可読命令を含む製造による物品を生成するようになっている。また、コンピュータプログラム命令がコンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置にロードされて、当該コンピュータまたはその他のプログラム可能装置上で一連の動作工程が実行され、コンピュータ実行プロセスを生成し、そのコンピュータまたはその他プログラム可能装置上で実行する命令がフローチャートのブロックまたはブロック群において特定される機能を実行する工程を提供するようになっていてもよい。
【0029】
したがって、ブロック図およびフローチャート図のブロックは、特定された機能を実行する手段の組合せ、当該特定された機能を実行する工程の組合せ、および当該特定された機能を実行するプログラム命令手段を支持するものである。また、ブロック図およびフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能または工程を実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行できることを理解されよう。
【0030】
本明細書では、吸収性パッドの全体的な密度(consistency)および品質を改善するため、画像データおよび/またはRFデータ、例えば位置、寸法、および重量などから抽出し得る、毛羽パルプおよびSAP/AGMについての有用なリアルタイム情報を提供するシステム、方法およびコンピュータプログラム製品が記載されている。
【0031】
図1は、女性用ナプキン、パンティライナー、おむつ、おむつパンツ、成人失禁、ベッドシーツ、子犬用パッド、および吸収コアの使用を組み込んだその他の任意の製品などの吸収性物品の製造中における連続した巻取紙110上のサンプル吸収コア140を示す。
図1には、吸収コア140の1つの全体像が示され、それに第2の吸収コアの部分的な像が続いていることが示されている。吸収コア140は通常、毎分約150メートル~毎分約600メートルの速度範囲で連続的に構築される。典型的な製造速度は、毎分約500~2000吸収性物品である。
【0032】
一般に、吸収コア140は、毛羽パルプ150および/またはSAP/AGM160からなる。毛羽パルプ150およびSAP/AGM160は共に、吸収性物品のため液体吸収剤として働く。SAP/AGM160は、毛羽パルプ150よりもはるかに大きい液体吸収能力を有する。吸収コア140は、典型的には2層の不織巻取紙120の間に挟まれている。
【0033】
吸収性物品の製造において、各吸収コア140は既定重量の毛羽パルプ150およびSAP/AGM160を含むことが望ましい。毛羽パルプ150および/またはSAP/AGM160の重量が十分でないと、吸収性物品の性能が不十分なものとなる。毛羽パルプ150および/またはSAP/AGM160が多すぎると、吸収性物品が詰まり製造プロセスを動かなくさせ、コスト高な生産停止をもたらす可能性がある。また、少量の毛羽パルプ150および/またはSAP/AGM160であっても継続的に過剰に適用すると、事業の収益性に悪影響を及し得る。
【0034】
吸収性物品の製造において吸収コア140に使用される毛羽パルプ150およびSAP/AGM160の総重量だけでなく、吸収性物品内の毛羽パルプ150およびSAP/AGM160の分布も重要である。例えば、男性用に設計された吸収性物品の場合、女性用に設計された物品の場合よりも吸収性物品の前側に高濃度のSAP/AGM160を有することが望ましいことがある。
【0035】
図1には隣接する吸収性物品の境界を描く切断線130がさらに示されている。一般的に切断線130に対する吸収コア140の位置を維持することが望ましい。
【0036】
図2は、本明細書に記載の方法を実施するように構成されたシステム210の概観図である。
図2のシステム210は、発光体220と、カメラ(動画(ビデオ)または静止画)などの画像
取得デバイス230と、RF送信機250と、RF受信機260と、エンコーダ280とからなる。発光体220および画像取得デバイス230は吸収性物品を運搬する不織巻取紙290が発光体220と画像取得デバイス230との間を移動するように取り付けられている。発光体220から放出された光の少なくとも一部は、光をカメラセンサー235に収束させる画像
取得デバイス230のレンズ232に到達する前に、不織巻取紙290および吸収コア140を通過する。エンコーダ280は不織巻取紙290の動きを追跡し、一定の距離間隔でトリガーパルスを生成し、当該パルスを、無線で、またはエンコーダケーブル245(これには、光ファイバケーブルや通常の導電性ケーブルが含まれる)を介して画像取得デバイス230に送信する。吸収コア140を通過する光エネルギーの量は吸収コア140の毛羽パルプの重量に比例する。
【0037】
図3は、カメラセンサー235の例示的な画素構成310を示す。各トリガーパルスで画素320は吸収コアのスライス(slice)330の小区画のプロファイルを表す。カメラセンサー235の典型的な構成は約512~約2048ピクセルの間の任意のものを有する。ゆえに、吸収コア330のスライスは、約512~2048の区分に分割され、吸収コアの当該スライスの完全なプロファイルを生成する。
【0038】
画像取得デバイス230は各トリガーパルスのため、無線で、またはカメラケーブル240を介してコンピュータ295に一度に1行のデータを送信する。各トリガーパルスの後にコンピュータ295が受信したデータは、当該トリガーパルスの瞬間に画像取得デバイス230と発光体230間に存在する毛羽パルプの重量に直接相関する。各トリガーパルスに基づきカメラセンサー235によって収集された画像データは、吸収コア140の移動方向に沿うスライスを表す。コンピュータ295は、吸収コア140の連続的なスライス群からのデータをつなぎ合わせることによって、各吸収性物品について吸収コア140を有する不織巻取紙290の全体像を構築することができる。
【0039】
RF送信機250およびRF受信機260はまた、
図2に示すように、不織巻取紙290が送信機250と受信機260との間を走行するように配置される。RF送信機250は、不織巻取紙290および吸収コア140を通じてRF受信機260に無線信号を送信する。エンコーダ280からのトリガーパルスもまた無線でまたは別個のエンコーダケーブル255を介してRF送信機260に送信される。エンコーダ280からのトリガーパルスは、コンピュータ295に信号データのセットを送信するようにRF受信機260を作動させる。信号データは、トリガーパルスの瞬間にRF送信機250とRF受信機260間に存在する材料の重量に直接相関する。
【0040】
図4は、RF受信機260およびRF送信機250の詳細な断面構成410の一例を示す。
図4にはさらに、2組の対となるRF送信機420、440およびRF受信機450、470が示されている。各RF送信機およびRF受信機の対は、対応するRF送信機とRF受信機間に存在する材料の重量を感知し決定する。
【0041】
図5は、3組の対となるRF送信機およびRF受信機510を配置する例示的な実施形態を示す。RF送信機およびRF受信機の対がより多く用いられるほど、より多くの重量データが利用可能となり、したがって吸収コアの巻取紙断面方向における重量および分布を測定する際に装置の解像度が高くなる。
【0042】
各スライスはエンコーダ280からの各トリガーパルスに対応するが、コンピュータ295は、一スライスの重量データを一度に受け取る。巻取紙290が移動すると、コンピュータ295は、吸収性物品の巻取紙と共に吸収コア140の完全な重量および分布プロファイルを構築することができる。試験データでは、画像取得デバイス230からの画像の強度が吸収コア内の毛羽パルプの重量に反比例することが示されている。そのため、画像取得デバイスからのデータを用いて吸収コア140上の毛羽パルプ150の重量および分布を計算することができる。
【0043】
試験データではさらに、吸収性物品を通して各RF送信機250によって送信され各RF受信機260によって受信されたデータが、対となるRF送信機250とRF受信機260間に存在する材料の重量に正比例することが示されている。その結果、コンピュータ295は画像取得装置230からの前記データを用いて吸収性コア140上の毛羽パルプおよびSAP/AGM160の重量および分布を計算することができる。RF受信機260のデータから計算された毛羽パルプ150及びSAP/AGM160の総重量を、画像取得デバイス230からのデータから計算された毛羽パルプの重量により減算することで、コンピュータ295は吸収コア内のSAP/AGM160の重量を計算することができる。したがって、吸収性物品の吸収コア140に使用される毛羽パルプ150およびSAP/AGM160の重量を報告することができる。
【0044】
画像取得デバイス230からのデータによって決定されるような毛羽パルプ150およびSAP/AGM160の分布は、領域ごとに報告することができる。
図6は典型的な領域パターン610を示す。領域620およびその他の領域における毛羽パルプ150およびSAP/AGM160含有量は個々に報告される。
図7は、吸収コアについての異なる領域パターン710を示す。同様に、領域720およびその他の領域における毛羽パルプ150およびSAP/AGM160含有量は個別に報告されることとなる。いずれの場合も、コンピュータ295は、画像
取得デバイス230およびRF受信機260からの生データを組み合わせて、各領域についての毛羽パルプ150およびSAP/AGM160の分布および重量を計算する。
【0045】
図8は、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定する方法の例示的方法を示すフローチャートである。この方法の実施形態はコンピュータが吸収性物品の画像データを受け取る工程802を有する。一般的に画像データはカメラなどの画像取得デバイスによって提供される。一態様において、吸収性物品の画像データを受け取る工程は、前記コンピュータが吸収性物品の複数のスライスの画像データを受け取る工程を有し、各スライスは当該吸収性物品の断面部分を有するものである。804では、前記コンピュータが前記吸収性物品の対応する無線周波数(RF)データを受け取る。一態様において、前記コンピュータが前記吸収性物品の対応する無線周波数(RF)データを受け取る工程は、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記複数のスライスのそれぞれに対応するRFデータを受け取る工程を有し、前記吸収性物品の前記プロファイルは、当該吸収性物品の前記複数のスライスの前記画像データおよび当該吸収性物品の前記複数のスライスの前記対応するRFデータから生成される。806では、前記コンピュータが使用されて前記吸収性物品の前記画像データから前記吸収性物品上の前記毛羽パルプの重量および分布が決定され、808では、前記コンピュータが使用されて前記吸収性物品の前記RFデータから前記吸収性物品上の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量が決定される。
【0046】
図8には示されていないが、前記方法はさらに、前記コンピュータが、前記画像データによって決定されるような前記吸収性物品上の前記毛羽パルプの重量を、前記RFデータによって決定されるような前記吸収性物品上の前記毛羽パルプ及び前記SAP/AGMの重量から差し引くことによって、前記吸収性物品上の前記SAP/AGMの重量を決定する工程を有してもよい。同様に
図8に示されていないが、前記方法はまた、前記コンピュータが、前記吸収性物品上の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程を有してもよい。例えば、前記コンピュータが前記吸収性物品上の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程は、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記画像データおよび前記吸収性物品の前記対応するRFデータから前記吸収性物品のプロファイルを生成する工程と、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記プロファイルの視覚的画像を生成する工程であって、当該視覚的画像は前記吸収性物品上の毛羽パルプおよびSAP/AGMの分布を示すものである、前記視覚的画像を生成する工程とを有してもよい。前記吸収性物品上の前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの分布を決定する工程はさらに、前記コンピュータが前記吸収性物品の前記プロファイルを複数の領域に分割する工程と、前記複数の領域の各々について前記毛羽パルプおよび前記SAP/AGMの重量および分布を示す工程とを有してもよい。
【0047】
一態様において、前記方法はさらに、毛羽パルプの重量、SAP/AGMの重量、または毛羽パルプおよびSAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上を示す工程を有してもよい。
【0048】
任意選択的にまたは代替的に、前記方法は、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上を用いて前記吸収性物品を製造するプロセスを制御する工程を含んでもよい。
【0049】
また任意選択的にまたは代替的に、前記毛羽パルプの重量、前記SAP/AGMの重量、ならびに前記毛羽パルプおよびSAP/AGMの分布のうち1若しくはそれ以上を用いて、規定重量または分布基準の範囲外にある毛羽パルプの重量、SAP/AGMの重量、ならびに毛羽パルプおよびSAP/AGMの分布のうちの1若しくはそれ以上を伴う吸収性物品を排除してもよい。
【0050】
前記システムはユニットから構成されるものとして上述した。当業者であれば、これは機能的な説明であり、それぞれの機能は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実行できることを理解するであろう。ユニットは、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせとすることができる。当該ユニットは、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定するためのソフトウェアを有し得る。例示的な一態様において、当該ユニットは、
図9に示され以下に記載されるようにプロセッサ921を有するコンピュータ295を備えることができる。
【0051】
図9は、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定するのに使用することができる例示的なコンピュータ295を示す。様々な態様において、
図9のコンピュータは、コンピュータ295および/またはプロセス制御システムの全部または一部を有し得る。本明細書で用いられる場合、「コンピュータ」は、複数のコンピュータを含んでもよい。コンピュータ295は、1若しくはそれ以上のハードウェアコンポーネント、例えば、プロセッサ921、ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュール922、読み出し専用メモリ(ROM)モジュール923、記憶装置924、データベース925、1若しくはそれ以上の入出力(I/O)デバイス926、およびインターフェース927などを含むことができる。代替的におよび/または追加的に、コンピュータ295は、1若しくはそれ以上のソフトウェアコンポーネント、例えば、前記例示的な実施形態に関連する方法を実行するコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ可読媒体などを含むことができる。上記に列挙したハードウェアコンポーネントの1若しくはそれ以上がソフトウェアを用いて実行されてよいことが企図される。例えば、記憶装置924は、1若しくはそれ以上のその他のハードウェアコンポーネントに関連するソフトウェアパーティションを含んでもよい。上記に列挙したコンポーネントは例示的なものにすぎず、限定しているとは意図されないことが理解される。
【0052】
プロセッサ921は、1若しくはそれ以上のプロセッサを含んでもよく、それぞれは、命令及びプロセスデータを実行して吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定するための処理装置に関連した1つ若しくはそれ以上の機能を実行するように構成されている。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」921は、入力に対して機能を実行し出力を生成する符号化された命令を実行する物理的ハードウェアデバイスを指す。プロセッサ921は、RAM922、ROM923、記憶装置924、データベース925、入出力デバイス926、およびインターフェース927に通信可能に接続されてよい。プロセッサ921は、様々なプロセスを実行するためのコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行するように構成されてもよい。コンピュータプログラム命令は、プロセッサ921による実行のためRAM922にロードされてもよい。
【0053】
RAM922およびROM923はそれぞれ、プロセッサ921の動作に関連する情報を格納する1若しくはそれ以上のデバイスを含んでもよい。例えば、ROM923は、コンピュータ295に関連する情報にアクセスし当該情報を格納するように構成されたメモリデバイスを含んでもよく、当該情報には1若しくはそれ以上のコンポーネント及びサブシステムの動作を特定、初期化、監視するための情報が含まれてよい。RAM922はプロセッサ921の1若しくはそれ以上の動作に関連するデータを格納するメモリデバイスを含んでもよい。例えばROM923はプロセッサ921による実行のため命令をRAM922にロードすることができる。
【0054】
記憶装置924は任意の種類の大容量記憶デバイスを含んでもよく、当該デバイスは、プロセッサ921が開示される実施形態と一致するプロセスを実行するのに必要する可能性がある情報を格納するように構成され得る。例えば記憶装置924は、ハードドライブ、CD-ROM、DVD-ROM、またはその他の任意の種類のマスメディアデバイスなどの1若しくはそれ以上の磁気および/または光学ディスクデバイスを含んでもよい。
【0055】
データベース925はコンピュータ295および/またはプロセッサ921が用いるデータを格納、編成、分類、フィルタリング、および/または配置するように協働する1若しくはそれ以上のソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントを含んでもよい。データベース925は上記に列挙したものに対し追加のおよび/または異なる情報を格納してもよいことが企図される。
【0056】
入出力デバイス926はコンピュータ295に関連付けられたユーザと情報を通信するように構成された1若しくはそれ以上のコンポーネントを含んでもよい。例えば、入出力デバイスは拡張キーボードおよびマウスを有するコンソールを含み、吸収性物品の毛羽パルプおよびSAP/AGMの重量および分布を測定するアルゴリズム、吸収性物品の製造工程を制御するソフトウェアなどをユーザが管理できるようにしてもよい。入出力デバイス926はまた、モニタ上に情報を出力するためグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を含んでもよい。入出力デバイス926はまた、例えば、コンピュータ295に関連する情報を印刷するためのプリンタ、ユーザが携帯型メディアデバイスに格納されたデータを入力するためのユーザがアクセス可能なディスクドライブ(例えば、USBポート、フロッピー、CD-ROM、またはDVD-ROMなど)、マイクロフォン、スピーカシステム、または任意のその他の適切な種類のインターフェースデバイスのような周辺装置を含んでもよい。
【0057】
インターフェース927は、通信ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワークステーション・ピアツーピア・ネットワーク、ダイレクト・リンク・ネットワーク、無線ネットワーク、またはその他の適切な通信プラットフォームを介してデータを送受するように構成された1若しくはそれ以上のコンポーネントを含んでもよい。例えばインターフェース927は、1若しくはそれ以上の変調器、復調器、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、ネットワーク通信デバイス、無線デバイス、アンテナ、モデム、および通信ネットワークを介したデータ通信を可能にするように構成されたその他の任意の種類のデバイスを含んでもよい。
【0058】
前記方法およびシステムを好ましい実施形態および特定の実施例に関連して説明してきたが、本明細書の実施形態があらゆる点で例示的なものであり限定的なものではないことが意図されるように、範囲が説明した特定の実施形態に限定されることは意図されない。
【0059】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法はその工程が特定の順序で実行されることを要すると解釈することは決して意図されない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に記載していない場合、または工程が特定の順序に限定されるべきであることが請求項または説明において別段に具体的に述べられていない場合、順序が推定されることはあらゆる点で決して意図されない。これは、工程の配置または動作フローに関する論理の問題、文法上の編成または句読点から生じる率直な意味合い、明細書に記載されている実施形態の数または種類を含む解釈のための任意の可能性のある非明示的な根拠のため保持される。
【0060】
本出願を通して様々な刊行物が参照されてよい。前記方法およびシステムが属する技術水準をより十分に説明するため、これらの刊行物の開示はその全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
範囲または趣旨から逸脱することなく様々な修正および変更をすることができることが当業者にとって明らかであろう。その他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示された実施から当業者にとって明らかであろう。明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、適正な範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。