(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】銀行間情報ネットワークを実装するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240329BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019570801
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 US2018038993
(87)【国際公開番号】W WO2018237264
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519022104
【氏名又は名称】ジェイピーモルガン・チェース・バンク,ナショナル・アソシエーション
【氏名又は名称原語表記】JPMorgan Chase Bank,N.A.
【住所又は居所原語表記】383 Madison Avenue,New York,NY 10179,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,ジョン・コーウィン
(72)【発明者】
【氏名】パテル,パルカ・エス
(72)【発明者】
【氏名】サンタンナ,ルシアン・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】リム,レティシア・プイ・ジィー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ティファニー・アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】アキーノ,エリザベス・ポランコ
(72)【発明者】
【氏名】ファラハ,サマー
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤイ,スディール
(72)【発明者】
【氏名】モバ,トゥラシ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】シェティ,スレシュ
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】渡邊 聡
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-512595(JP,A)
【文献】特表2012-522319(JP,A)
【文献】国際公開第2017/66715(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0132630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全であり非集中型のネットワークを提供する銀行間情報ネットワークアーキテクチャを実装するシステムであって、
第1の銀行内システムに通信可能に結合された第1の銀行ノードであって、許可された共有台帳と、取引、顧客および個人識別可能情報(PII)を含む私的データベースとを保持するブロックチェーンノードを含む、第1の銀行ノードと、
第2の銀行内システムに通信可能に結合された第2の銀行ノードであって、ブロックチェーンベースのプラットフォームで通信チャネルを提供する銀行間情報ネットワークを介して、前記第1の銀行ノードとの間で直接的な通信チャネルを有する、第2の銀行ノード
であって、複製された前記共有台帳を保持する第2のブロックチェーンノードを含む、第2の銀行ノードと、
を備え、
第1のネットワーク参加者から、口座の有効性を確認するためのリクエストを受信すると、前記第1の銀行ノードは、前記リクエストを含むメッセージを、ブロックチェーンネットワークを介して前記第2の銀行ノードへ直接送信し、
前記リクエストを受信すると、前記第2の銀行ノードは、
第2のネットワーク参加者により作成された前記口座の有効性に関する情報を含む応答
を、前記ブロックチェーンネットワークを介し
て、前記第1の銀行ノードへ送信し、
前記第1の銀行ノードは、
前記第1のネットワーク参加者による前記応答
の審査
と、支払いの決定
の情報を受け取る、システム。
【請求項2】
前記メッセージが、不正行為(fraud)、検証(validation)、制裁(sanctions)、トラッキング、清算(clearing)、決済(settlement)および通知(advising)のうちの1つに関する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記銀行間情報ネットワークに参加する権限を有するノードのリストを維持管理する管理者ノードをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記銀行間情報ネットワークにおける各銀行ノードが、ノード機能への銀行内ユーザのアクセスの責任を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記メッセージが暗号化されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記銀行間情報ネットワークが、最適化された支払いルーティングを提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記メッセージが、前記第2の銀行ノードと関連付けられた口座を検証する要求を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の銀行内システムが、支払い情報アプリケーション、クライアント情報アプリケーション、制裁アプリケーションおよび既知の不正行為者リストを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の銀行ノードと関連付けられたユーザが、ウェブベースのインターフェースを介して、クライアントデバイスから前記
第1の銀行ノードのAPIにアクセスする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
安全であり非集中型のネットワークを提供する銀行間情報ネットワークアーキテクチャを実装する方法であって、前記銀行間情報ネットワークアーキテクチャは、
第1の銀行内システム
に通信可能に結合された第1の銀行ノードであって、許可された共有台帳と、取引、顧客および個人識別可能情報(PII)を含む私的データベースとを保持するブロックチェーンノードを含む、第1の銀行ノードと、
第2の銀行内システムに通信可能に結合された第2の銀行ノードであって、ブロックチェーンベースのプラットフォームで通信チャネルを提供する銀行間情報ネットワークを介して、前記第1の銀行ノードとの間で直接的な通信チャネルを有
し、
複製された前記共有台帳を保持する第2のブロックチェーンノードを含む、第2の銀行ノードと、を備え、
前記方法は、
第1のネットワーク参加者から、口座の有効性を確認するためのリクエストを受信すると、前記第1の銀行ノードにより、前記リクエストを含むメッセージを、ブロックチェーンネットワークを介して前記第2の銀行ノードへ直接送信するステップと、
前記第2の銀行ノードが前記リクエストを受信すると、前記第2の銀行ノードにより、
前記第1のネットワーク参加者により作成された前記口座の有効性に関する情報を含む応答
を、前記ブロックチェーンネットワークを介して前記応答を、前記第1の銀行ノードへ送信するステップと、
前記第1の銀行ノードにより、
前記第1のネットワーク参加者による前記応答
の審査
と、支払いの決定
の情報を受け取るステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記メッセージが、不正行為、検証、制裁、トラッキング、清算、決済および通知のうちの1つに関する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記銀行間情報ネットワークに参加する権限を有するノードのリストを維持管理する管理者ノードをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記銀行間情報ネットワークにおける各銀行ノードが、ノード機能への銀行内ユーザのアクセスの責任を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記メッセージが暗号化されている、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記銀行間情報ネットワークが、最適化された支払いルーティングを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージが、前記第2の銀行ノードと関連付けられた口座を検証する要求を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の銀行内システムが、支払い情報アプリケーション、クライアント情報アプリケーション、制裁アプリケーションおよび既知の不正行為者リストを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の銀行ノードと関連付けられたユーザが、ウェブベースのインターフェースを介して、クライアントデバイスから前記
第1の銀行ノードのAPIにアクセスする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2017年6月22日に出願され、その内容全体が本明細書に組み込まれる米国仮出願第62/523,429号(代理人整理番号第72167.001239号)の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、銀行間情報ネットワーク(IIN)を実装するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]一般に、銀行は、ある取引のために完全な検証(validation)を行うために、詳細な情報を必要とする。ある支払いが到着すると、その支払いは、制裁(sanctions)、不正行為(fraud)、不正確な金額情報などのような様々な異なる理由に関して、トラッキングを受ける。問題が検出されると、現行のシステムは、オペレータおよび/またはクライアントサービスの代表者に、手作業によって支払いの検証を完了することを、要求する。現行のプロセスは、複数の参加者や仲介者を巻き込むことになり、完了するのに数日を要するのが通常である。銀行が、取引の検証および/またはそれ以外の機能のために、効率的であって安全に情報を交換する仕組みは、存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]現時点では、これらの欠点とその他の欠点とが、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]ある実施形態によると、本発明は、安全であり非集中型(decentralized)のネットワークを提供する銀行間情報ネットワークに関する。このシステムは、第1の銀行内システムに通信可能に結合された第1の銀行ノードであって、第1の銀行ノードが、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介してアプリケーションビジネスロジックと通信するクライアント内部システムと、許可された共有台帳と、取引、顧客および個人識別可能情報(PII)を含む私的データベースとをサポートするブロックチェーンノードとを含む、第1の銀行ノードと、第2の銀行内システムに通信可能に結合された第2の銀行ノードと、第1の銀行ノードと第2の銀行ノードとの間に直接的な通信チャネルを確立する銀行間情報ネットワークとを備える。
【0006】
[0006]本発明の別の実施形態は、安全であり非集中型のネットワークを提供する銀行間情報ネットワークアーキテクチャを実装する方法に関する。この方法は、第1の銀行内システムに通信可能に結合された第1の銀行ノードを提供するステップであって、この第1の銀行ノードが、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介してアプリケーションビジネスロジックと通信するクライアント内部システムと、許可された共有台帳と、取引、顧客および個人識別可能情報(PII)を含む私的データベースとをサポートするブロックチェーンノードとを含む、第1の銀行ノードを提供するステップと、第2の銀行内システムに通信可能に結合された第2の銀行ノードを提供するステップと、第1の銀行ノードと第2の銀行ノードとの間の直接的な通信チャネルである銀行間情報ネットワークを確立するステップとを含む。
【0007】
[0007]このシステムは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサと、モバイルデバイスと、電子ストレージデバイスと、ネットワークとを備えた特別にプログラムされたコンピュータシステムを含む場合がある。
【0008】
[0008]本明細書に記載されたコンピュータ実装システム、方法および媒体は、本発明の様々な実施形態に従って、口座を有する顧客に、無類の利点を提供する。本発明の一実施形態は、支払いを行う業者が支払い処理と情報共有とを再定義することを可能にする、安全であり非集中型のネットワークを作り出すことに向けられている。本発明による銀行間情報ネットワークは、コルレス銀行業務(correspondent banking)における分散型の台帳技術から予測される価値提案(value proposition)と整合性を有する。この銀行間情報ネットワークは、さらに、業務処理、リアルタイムでのコンプライアンスモニタリング、リスク許容度の向上、およびクライアントへのサービスの改善を簡略化する。このネットワークは、業務効率(たとえば、支払い検証、不正行為の統制、ルーティング、クライアントサービス/調査、調整、メッセージング、報告、その他)を押し上げるために、(たとえば、時間を要する、手作業による、透明性に欠ける、費用を要する、などの)業務上の弱点を緩和する。これらのおよびそれ以外の利点については、以下の詳細な説明において、より完全に説明がなされる。
【0009】
[0009]本発明のより完全な理解を容易にするため、次に、添付の図面が参照される。これらの図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明の異なる態様と実施形態とを単に示すことが、意図される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]現在の照会(inquiry)プロセスを示す例示的な図である。
【
図2】[0011]本発明の一実施形態による銀行間情報ネットワークの概略的な図である。
【
図3】[0012]本発明の一実施形態による銀行間情報ネットワークのノードの論理ビューを示す例示的な図である。
【
図4】[0013]本発明の一実施形態による照会プロセスの例示的な流れ図である。
【
図5】[0014]本発明の一実施形態による制裁照会および情報収集プロセスを示す例示的な図である。
【
図6】[0015]本発明の一実施形態による口座検証プロセスの例示的な流れ図である。
【
図7】[0016]本発明の一実施形態による検証使用案件の例示的な図である。
【
図8】[0017]本発明の一実施形態による不正行為チェック使用案件の例示的な図である。
【
図9】[0018]本発明の一実施形態による例示的な支払いトラッキングの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0019]以下の説明では、特定の実施形態と詳細とを提供することにより、本発明の理解を伝達することが、意図される。しかし、本発明は、単なる例示に過ぎないこれらの特定の実施形態と詳細とに限定されないことが理解される。当業者であれば、既知のシステムと方法を考慮することにより、特定の設計と他のニーズとに応じて、任意の数の代替的な実施形態において本発明の意図された目的と利益とのために本発明を用いることの真価を認めるであろうことがさらに理解される。
【0012】
[0020]
図1は、現行の照会プロセスを示す例示的な図面である。
図1に示されるように、照会があると、支払いに関するコンプライアンスの照会などのように、顧客に関する情報を取得するために要求される複数のステップが存在する。
図1は、送金人110、送金側銀行112、機関(Institution)114、受取側銀行116および受取人118のうちの二者間および三者以上の間での、対話とデータの交換とを示す。対話は、データの要求、データの交換およびデータの発信を含み得る。
図1に示されるように、機関114は、コンプライアンスに関する行動を開始させる支払い審査プロセスを有することがある。送金側銀行112からのデータが要求される場合があり、その場合、送金側銀行112は、送金人110からのデータを要求する可能性がある。送金人110と受取人118とが個人識別可能情報(PII)を得るために通信することがあるが、このプロセスは、現時点では手作業によるプロセスであり、完了するまでに2日から16日を要する場合がある。送金人110がデータを送金側銀行112に送ると、次に、送金側銀行112は、データを機関114に送ることができる。機関114は、情報を受け取ると、処理を先に進めるか、さらに調査を行うか、または停止するかを判断することになる場合がある。さらに、それぞれの対話が、翻訳および/または通信障害点の可能性を備えた異なる非標準的なメッセージフォーマットおよびチャネルに続く場合がある。PIIは様々な個人およびシステムを経由して通信されるため、通信の間に、遅延を経ることになる。
【0013】
[0021]現行の銀行業務モデルでは、最終的な受取人に到達するために金銭が複数の銀行を通過することを要求する地球規模の送金を簡略化することができる銀行は、ひとつも存在しない。現行のプロセスは、不透明で、非効率で、費用を要する。フローが不連続な場合には、資金のフローを送金人まで逆方向にトラッキングするためには、支払いに関する(たとえば、支払い状況、不正行為、コンプライアンスなどの)照会を必要とする。当事者が複数人となる結果、それぞれの銀行が、リスク管理、流動性管理、清算(clearing)/決済(settlement)、および通報を繰り返すことになるために、冗長性が生じる。
【0014】
[0022]支払いを処理する銀行は、制裁リストに対するスクリーニングをリアルタイムで実行することを要求される。潜在的な問題に関して、現行のプロセスは、1つまたは複数の当事者に対する問合せを含む場合がある手作業での審査を含む。たとえば、現行のプロセスは、送金側の銀行が送金人にリクエストを送ることを含む場合があるが、その場合、送金人は、追加的な情報を求めて受取人にコンタクトすることになる。受取人は、要求された情報を返送するが、この返送された情報は、送金人が受け取り、送金側銀行に送られる。このプロセスは、また、複数の国境や国家を超えて生じる場合もあり、さらなる複雑性を追加する。
【0015】
[0023]本発明の一実施形態は、銀行間情報ネットワーク(IIN)に向けられたものであり、そのネットワークでは、情報が、既存の機能を補完するネットワークを介して共有されることが可能である。サンプルの使用例は、不正行為(たとえば、既知の不正行為者)、検証(たとえば、口座番号、氏名、通貨(CCY)および支払い状況の検証)、制裁(たとえば、口座の詳細、氏名、住所、生年月日(DOB)、法人名)、トラッキング(たとえば、支払い状況のトラッキングおよびトレーシング)、清算、決済、通知(advising)、不正行為のモニタリング、資金洗浄対策、外国為替市場、流動性貸出し(liquidity lending)、ノード操作リスクレーティングなど、を含み得る。
【0016】
[0024]本発明の一実施形態は、情報の共有、支払いの処理、価値の交換およびそれ以外の作業を簡略化して向上させる、安全で非集中型のネットワークを作り出すことに向けられている。このネットワークは、クラウドベースのネットワーク、物理的または仮想的なインフラストラクチャ、さらには、それ以外の柔軟なネットワークホスティングシステムを表すことができる。この銀行間情報ネットワークは、動作処理、リアルタイムでのコンプライアンスモニタリング、強化されたリスク許容度、および改善されたクライアントサービスを単純化する。このネットワークは、業務効率(たとえば、支払いの確認、不正行為の統制、ルーティング、クライアントサービス/調査、調整、メッセージング、報告など)を押し上げるために、業務上の弱点(たとえば、低速で、手作業による、不透明で、コストを要する)を緩和し、分散型台帳技術に参加する他の地球規模の資金移動を益するようにソリューションを利用し、スループットを向上するために同時的な処理を行う。このネットワークは、支払いを処理する前に資金洗浄対策(AML)のリスクを管理し、ストレートスループロセシング(STP)、AMLおよび外国資金統制局(OFAC)の調査リクエストをサポートするために共有される「情報クラウド」を提供し、OFACのスマートチェックを用いて再スクリーニングの必要性を緩和し、共有される有用なモデルを提供することを通じてコンプライアンス処理の費用を削減する。強化されたリアルタイムでの統制を実現することで、クライアントのフローを緊密に管理することが可能になり、リスクのあるクライアントが迅速に識別され処理されることによって、銀行は、より迅速に拡大し、より大きなリスクを取ることができるようになる。このネットワークは、文書化の要求が原因である遅延の短縮と、クライアントからの完全なエンドツーエンドの支払い処理の透明性強化とを、実現させる。
【0017】
[0025]さらに、銀行間清算および決済機能は、資金流動性の使用およびモニタリングを最適化し、クライアントサービスを向上させ、地球規模での資金移動ポートフォリオを保護する。対応の金融清算および決済は、異なるチャネルにおいて異なる時点で生じ、非パートナーとの複数のホップ(hop)が、最終的な銀行間での決済の可視化の不足を生じさせる。分散型台帳技術(DLT)ネットワークは、支払いの最小単位を保存する。決済のリアルタイムな可視化により、よりよい流動性管理を導く改善された流動性の可視化が可能になる。銀行間清算および決済機能は、予測性を提供し、地球規模での資金移動の仲介者が減少することによって、延長されたホップによる遅延を短縮し、24/7のリアルタイムの支払いのための潜在性を実現し、仲介者が減少するために、より安価で低減された手数料が可能になる。市場に対して最初に投入されるため、追加的な外国為替(FX)収入の回廊への位置決めを提供する。銀行は、本発明の一実施形態の新たなインフラストラクチャにおいて課金オプションがどのように存在するのかを、定義することができる。このネットワークは、銀行が、処理のためのオペレータ手数料を獲得する機会をさらに提供する。
【0018】
[0026]以下の説明は、例示的な実施形態による異なる構成と特徴とを提供する。アプリケーション/ハードウェアに関して特定の用語およびタイプを説明しているが、それ以外の名称およびアプリケーション/ハードウェアの使用も可能であり、提供している用語は、限定を意味しない例として、そのように提供しているに過ぎない。さらに、具体的な実施形態を説明しているが、それぞれの実施形態の特徴および機能は、当業者の能力の範囲内において、いずれかの組合せで、組み合わせる可能であると了解するべきである。図面は、本発明に関する追加的で例示的な詳細を提供する。これらの例示的な実施形態は、限定を意味しない例として提供しているに過ぎないことも了解するべきである。
【0019】
[0027]本明細書では、様々な例示的な方法を、例として提供する。これらの方法は、例示的なものであって、その理由は、本開示による方法を実行するためには様々な態様が存在するからである。示され説明されている方法は、あるシステムおよびモジュールによってもしくは様々なシステムおよびモジュールの組合せによって、実行するまたはそれ以外の態様で行うことが可能である。方法において示すそれぞれのブロックは、例示的な方法において行われる1つもしくは複数のプロセス、決定、方法またはサブルーチンを表しており、これらのプロセス、決定、方法またはサブルーチンは、必ずしも、方法において概要が述べられている特定の順序で行われるわけではなく、それらの順序のうちのそれぞれが要求されることもない。
【0020】
[0028]
図2は、本発明の一実施形態による銀行間情報ネットワークの概略図を示す。既存の支払い処理機能は、完全に検証されフォーマット化された支払いが支払いインフラストラクチャに入力されることを保証する銀行間情報ネットワークを通じて、強化することができる。
図2は、銀行間情報ネットワークの内部の参加者に対する多くの利益を有する、強化した共同的なプロセスを示す。
図2は、本発明の一実施形態による、地球規模のネットワークを備えたコンプライアンスプロセスを示す。
図2に示されるように、銀行間情報ネットワーク202は、送金側銀行212、ノード214、ノード216、ノード218、コルレス銀行(Corresponding Bank)220および受取側銀行222など、様々なノードを含むことがある。この例では、送金人210は、送金側銀行212にリクエストを送る場合があるが、すると、送金側銀行212は、受取人224の代理人である受取側銀行212に、ネットワーク212を通じて通信することができる。ノードは、銀行、金融機関、法人、監督機関(regulator)、政府機関および/またはネットワーク202のそれ以外の参加者を表すことができる。たとえば、政府機関は、支払い監査データにアクセスし、他のモニタリングおよび管理業務を行うことがある。取引における異なる相手方(たとえば、借方ノード、貸方ノード、ならびに監督機関を含むノード)が、取引レベルの情報へのアクセスを有する場合もある。各ノードにおいて、暗号化および/または復号化が行われることがあり得る。さらに、ノードが管理者ノードを表す場合もある。
【0021】
[0029]本発明の一実施形態によると、銀行、第三者、監督機関またはそれ以外の法人が、管理者ノードとして機能する場合がある。このノードは、ネットワークプラットフォームを横断して存在する必要な場合がある共有データを、管理およびモニタすることができる。別の例によると、ネットワークへのアクセスに対して監査またはその他の照会が必要なときには、監督機関が、それぞれの銀行にping(またはメッセージ)を送ることがあり得る。管理者ノードは、ネットワークと関連付けられた許可を統制することができる。たとえば、管理者ノードは、情報の交換および他の作用を行うことが可能なノードのホワイトリストを維持管理することができる。
【0022】
[0030]
図2に示されるように、本発明の一実施形態は、支払いまたは潜在的支払いとコンプライアンス照会とに関し、2人以上の参加者の間での支払いに関する詳細と照会との交換を簡易化することができる。支払い審査プロセスは、コルレス銀行220を経由する226によって示されるコンプライアンス照会を、トリガすることになる。コルレス銀行220は、受取側銀行222からのデータを要求する場合がある。ネットワーク202は、合意された条項ごとにリクエストを検証し、さらに、許可を得た当事者のために、暗号化されタイムスタンプが付された記録を保持することができる。照会への応答は、安全で許可ベースのプロトコルを用い、ネットワーク202を介してルーティングされ、コルレス銀行220に戻され得る。受取側銀行222は、リクエストを受け取り、銀行の暗号化されたデータにアクセスして、たとえば氏名や生年月日などの照会に応答することができる。他のデータ属性として、口座の状態、氏名、住所の詳細、氏名に一致する条件、通貨、口座開設日、口座活動因子などを含み得る。ネットワーク202は、情報のピアツーピアの交換を可能にし、それによって、問合せと決済支払いを処理する時間を短縮する。さらに、ネットワーク202は、支払いまたは潜在的な支払いを処理する参加者と問合せ対象になっている口座にサービスを提供する別のネットワーク参加者との間での情報の交換を容易にする。コルレス銀行220は、情報を受け取ると、処理を進めるか、さらに調査を行うか、または停止するかを判断することになる。
図2に示されるネットワークは、顧客体験、セキュリティ、自動化された一体化、確認された情報、基礎となる取引と関連する情報の交換に関する様々な利益を提供する。たとえば、本発明の一実施形態は、照会のターンアラウンド時間、支払い遅延およびクライアントの関与を短縮する。このシステムは、さらに、安全で暗号化されたネットワークの全体で、個人情報に関して強化されたセキュリティ、手作業による処理を排除するシステマティックなデータ交換およびコスト低減を提供しており、制度的に供給され検証された顧客および顧客情報とプロセス内の取引に関する情報の交換および通信とを利用する。
【0023】
[0031]
図2のネットワークは、効率性を向上させるための金融システム/金融オペレーションに一体化するデータへのリアルタイムでのアクセスと(たとえば、STPを駆動し、失策と遅延を減少させる)、参加者にバックオフィスのサービスを提供しインハウスによるデューディリジェンスの要求なしに相手方またはシステムの信頼を得ることを可能にするサービスを提供するプラットフォームおよびインフラストラクチャとを提供する。さらには、このネットワークは、ピアツーピアの移動、合理化されたメッセージング、流動性管理、アクティブなリスク/コンプライアンス管理および共有された効用機能を提供する。
【0024】
[0032]
図2のネットワークは、さらに、資金のシームレスで相互接続されたフローを可能にし、複数の銀行に対する必要性を除去する、地球規模の分散型ネットワークを作り出す。ブロックチェーンが、エンドツーエンドのフローの透明性を強化しながら、複数の仲介者を必要とすることなく地球規模の相互接続されたネットワークの作成を可能にする。情報は、暗号化され、ノードのネットワークの内部の2人以上の参加者の間で、秘密に(privately)共有されることが可能である。さらに、共有される効用機能が、冗長なプロセス(たとえば、制裁、コンプライアンス、検証など)をネットワークレベルに移動させ、より高速な実行を、より低いコストで可能にする。このリアルタイムで相互接続されたネットワークが、情報に通じたリアルタイムなリスク管理を可能にする。
【0025】
[0033]
図3は、本発明の一実施形態による銀行間情報ネットワークのうちの1つのノードの論理ビューを示す例示的な図である。
図3に示されるように、ネットワーク302は、銀行、金融機関およびその他の法人を表す様々なノードを含むことがある。ノード310は、クライアントAを表す。クライアントAは、たとえば、銀行を表す場合がある。ノード310は、クライアント対話システム312を含むことがある。クライアント環境としては、316と318とによって表されるクライアントビジネスシステムを備えたクライアント内部システム314を含むことがある。これらのシステムは、API320を介して、アプリケーションビジネスロジック340と通信することができ、同様に、API324を介して、クライアントユーザ322とも通信することができる。アプリケーションビジネスロジック340は、非集中型アプリケーションと(たとえば、支払いコンプライアンス照会など)、342、344および346によって表される対応するデータベースと通信することができる。ブロックチェーンノード350は、許可された共有台帳352と秘密データベース354とをサポートすることができるが、許可された共有台帳352と秘密データベース354とは取引、顧客およびPIデータを含み得る。たとえば、それぞれのノードは、利害関係を有する台帳に関する情報の完全なコピーを保持することができる。
【0026】
[0034]本発明の一実施形態は、銀行間情報ネットワークについての情報を知らせる台帳を実装する。共有の台帳が情報を知らせることについての追加的な詳細は、本出願と同じ出願人による現在係属中の出願である、2017年10月30日に出願された米国特許出願第15/797,602号(代理人整理番号第72167.001337号)に提供されているが、この米国特許出願は、2016年10月28日に出願された米国仮出願第62/414,398号の優先権を主張するものである。なお、これらの出願の内容全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0027】
[0035]このネットワークとIINプラットフォームは、安全なウェブインターフェースを経由して、または、金融アプリケーションもしくはサービスへの安全なAPI一体化を経由して、アクセスすることが可能である。このネットワークは、それぞれの参加者-承認され一員として認められた参加者だけのためのホワイトリストに含まれるIPアドレスに制限されたウェブインターフェースへのアクセスを含み得る参加者-のための独立なウェブアプリケーションのデプロイメントを備えたウェブインターフェースおよびAPIのための双方向のSSLを適用することができるが、同様に、承認された参加者とユーザとは、APIのためのUIと証明書/鍵とにアクセスするため、ログイン認証情報を活用することになる。ノードにアクセスするための鍵は、ネットワーク動作モデルによって定義されるプロセスごとにアクセス可能な鍵ヴォルト(key-vault)に厳重に保管される場合がある。
【0028】
[0036]
図3に示されるように、クライアントAなどのネットワーク参加者は、ネットワーク302への接続とアプリケーションとを、ウェブインターフェースまたはAPIを介して、確保することができる。クライアントAは、情報を照会する/リクエストするために、登録された業務アプリケーションにアクセスすることがある。ブロックチェーンノード350は、検証し、許可を確認し、一致を得ることができる。ブロックチェーンノード350は、公開台帳352上に、照会活動(たとえば、ハッシュ)を記録および公開する場合があり、その場合には、この公開台帳352は、各ノードにおいて複製される。ブロックチェーンノード350は、秘密照会の詳細を、許可された参加者の安全な秘密ストアに、送ることができる。クライアントBなどの受信側のネットワーク参加者は、リクエストと動作とをそれに従って審査するために、ウェブインターフェースまたはAPIを介してネットワーク302とアプリケーションとへの接続を確保することによって、応答する場合がある。対応するブロックチェーンノードは、次に、秘密照会の詳細を、許可された参加者の安全な秘密ストアに、送ることができる。クライアントAなどのネットワーク参加者は、次に、照会の応答と動作とをそれに従って受け取ることができる。
【0029】
[0037]銀行間情報ネットワークは、ピアツーピアモデルにおける支払いと顧客とに関連する情報をブロックチェーンベースのプラットフォームを通じて交換するための代替的な通信チャネルを提供することによって、支払いに関係するプロセスおよび照会の効率を向上させるように設計された技術プラットフォームを表す。このプラットフォームは、どのネットワーク参加者であっても、ネットワーク接続性とアプリケーションモデルとを利用して、そのネットワーク上のどの他のネットワーク参加者とであっても、直接的に問合せと情報とを通信して交換することを可能にする。たとえば、参加者Aは、参加者Bおよび/または参加者Cとの間で、クエリ/データを送信/受信するために、通信することができる。参加者Bは、参加者Aおよび/または参加者Cとの間で、クエリ/データを送信/受信するために、通信することができる。参加者Cは、参加者Aおよび/または参加者Bとの間で、クエリ/データを送信/受信するために、通信することができる。
【0030】
[0038]本発明の一実施形態によると、銀行間情報ネットワークは、セキュリティ、弾力性、コンセンサスおよび不変性を達成するために、コアブロックチェーンベースの技術を利用することができる。それぞれのクライアント技術の資産が、それ自体の仮想秘密ネットワークとサーバインフラストラクチャとにおいて、展開される。たとえば、単独のホスティングモデルが、ネットワーク参加者のために確立された専用で秘密の第三者インフラストラクチャを用いる場合がある。ノードは、データセンタにおける第三者ホスティングプロバイダによって、ホストされることになる。IINプラットフォームは、参加者の選好(たとえば、オンプレミス、第三者、公開クラウド、秘密クラウドなど)に基づき、様々なホスティングモデルをサポートする場合がある。
【0031】
[0039]
図3は、さらに、それぞれの銀行がネットワークにおける1つのノードを表すような、クラウドベースのネットワークまたは物理/仮想インフラストラクチャを表す場合がある。ある例示的なアプリケーションによると、このネットワークは、ブロックチェーンプラットフォーム上で多層状となる場合がある。それぞれの銀行モードは、APIまたは安全な統合層を通じて、ネットワークにおけるその銀行の特定のノード表現に接続されることになり得る。ブロックチェーンプラットフォームを用いると、それぞれの銀行ノードは、仲介者またはデータ管理プロバイダなしで、情報を秘密に共有することができる。したがって、それぞれの銀行ノードは、直接に接続することができるのであるから、検証、不正行為、制裁、トラッキングなどを行うために、別の銀行ノードからのデータを受信する/別の銀行ノードからのデータにアクセスすることができる。ブロックチェーンプラットフォームは、銀行ノードが、暗号化された情報を、直接に、特定の銀行ノードへ送ることを可能にする。このネットワークは、ある銀行ノードから別の銀行ノードへのメッセージを確認する。本発明の一実施形態は、複数の銀行ノードの間で機密情報を安全に共有することに向けられたものである。
図2および
図3は、例示的なノード構成を示す。様々なシナリオ、応用例および状況に対処するために、他のノード構成が実装される場合もあり得る。
【0032】
[0040]本発明の様々な実施形態によると、例示的使用の場合としては、検証および不正行為と、制裁照会および支払いトラッキングとを含み得る。たとえば、本発明によるネットワークは、受取人の氏名/住所の確認/強化を伴う有効口座のアクノレッジを提供することで、支払いの遅延を短縮し、それと同様に、完全で有効な氏名および住所を返答させる。本発明によるネットワークは、ネットワーク全体にわたる不正行為者のリストに対して積極的な確認を提供する。このネットワークは、リアルタイムで共有されるネットワーク全体にわたる不正行為者のリストを利用することによって、不正な支払いを減少させる。本発明によるネットワークは、銀行のクライアント情報システム(CIS)またはクライアント情報を含む他のシステムを利用して、迅速で効率的な制裁照会情報を提供する。たとえば、それぞれのノードは、対応する制裁リスト(または、それ以外の情報)を維持管理することができる。別の実施形態によると、このネットワークは、ネットワークにおけるどのノードによってもアクセスが許容される単一の制裁リストを維持管理する場合がある。さらに別の実施形態によると、それぞれのノードが、制裁リストの一部を維持管理する場合もある。それ以外の変形例も、実装され得る。このネットワークは、さらに、支払いの遅延を短縮し、誤検知のより迅速な清算を達成する。このネットワークは、標準化されたメッセージングと重要なデータ要素のためのデータモデルとを利用することによって、自動化された照会の解消を可能にする。本発明によるネットワークは、関連の銀行を横断して支払い段階へのリアルタイムでのアクセスを提供し、さらに、支払いトラッキング照会の積極的な管理を提供する。
【0033】
[0041]情報は、銀行内の調整を確実にするため、既存の外部メッセージングおよび決済ネットワークと並列して共有され得る。それぞれのノードは、ノード機能への銀行内ユーザのアクセスを担うことができる。ネットワークは、ネットワークに参加する可能性があるノードのリストを維持管理する。情報は、様々な態様で、銀行によって、取引参照データ(たとえば、強化されたリアルタイムでの統制確認データなど)、非取引参照データ(たとえば、不正行為付随リスト、口座参照など)および/またはそれ以外の手段を介して、満たされることになる。
【0034】
[0042]本発明の一実施形態は、異なる分類のデータを処理して、共有する場合があり得る。たとえば、本発明の一実施形態のネットワークは、プルリクエストまたはプッシュリクエストに基づいて、データを受信することがある。プルリクエストとは、ある銀行ノードへの情報を求めるリクエストを含むことがある。プッシュリクエストとは、ノードが、リクエストを予想して提供される優先的に満たされたデータを維持管理する状況を含むことがある。データの別の分類として、ノードがコンテンツを共有しているのかそれともアクノレッジを共有しているのかという分類が含まれることがある。たとえば、銀行のノードは、口座番号をリクエストすることがある。応答側のノードは、たとえば口座番号というコンテンツを提供することがあり得る。アクノレッジとは、銀行のノードが、ある口座番号の確認またはアクノレッジをリクエストする場合を含む。
【0035】
[0043]
図4は、本発明の一実施形態による、照会プロセスの例示的な流れ図である。
図4は、照会者と応答者との間の例示的な対話を示す。通信は、ブロックチェーンネットワークへのAPI接続性またはユーザインターフェースによって、提供され得る。ネットワーク参加者412は、414において、支払いの証拠を提出することができる。データ要素が、ステップ416で、定義され得る。データ要素としては、フルネーム、生年月日、完全な住所、出生地などが、含まれ得る。照会は、ステップ418で提出され、ネットワーク参加者420によって受け取られ得る。ネットワーク参加者420は、次に、ステップ422において、応答を作成する場合がある。ネットワーク参加者412は、次に、ステップ424において応答を審査し、426で決定を下す場合がある。
【0036】
[0044]
図5は、本発明の一実施形態による、制裁照会および情報収集プロセスを示す例示的な図である。
図5に示されるように、銀行Aは、制裁照会が共有され得るというような秘密メッセージを送る場合がある。銀行Aは、顧客情報アプリケーション512を含めて、様々なアプリケーション、システムおよび/またはデータベースを維持管理する場合がある。このメッセージは、514によって示されるように、受取人情報を求めるリクエストを含むことがあり得る。銀行Bのノード518である受信側ノードは、そのリクエストを受け取り、リクエストされたプロセスを行う場合がある。たとえば、銀行Bのノードの担当者が、リクエストを修正し、リクエストをスマートコントラクトとして表す場合があり得る。この担当者は、APIまたは安全な通信レイヤを表すことになる。スマートコントラクトは、ビジネスロジックを捉えて、それに従って、特定のリクエストを開始する。この例では、受信側ノードの担当者は、照会を受け取り、次に、受取側システム520によって維持管理されるクライアント情報アプリケーション522を用いて、リクエストされた情報をリトリーブする場合がある。
図5に示されるように、秘密メッセージは、バンクBのノード518から、バンクA510に送られ得る。516に示されるように、応答は、口座保持者の氏名や住所などを含み得る。
図5は、本発明の一実施形態による、制裁照会を受け取りそれに応答する安全なプロセスを示す。
【0037】
[0045]
図6は、本発明の一実施形態による、口座検証プロセスの例示的な流れ図である。
図6は、照会者と応答者との間の例示的な対話を示す。通信は、ブロックチェーンネットワークへのAPI接続性またはユーザインターフェースによって、提供され得る。ネットワーク参加者612は、ステップ614において、リクエストを提出することができる。リクエストは、616によって示されるように、たとえば口座が有効かどうかなど、口座の確認であり得る。照会は、ステップ618で提出され、受け取られ得る。ネットワーク参加者620は、次に、ステップ622において、応答を作成する場合がある。応答は、口座番号が有効かどうか、および、氏名が一致しているかまたは氏名がどの点で異なっているかを含み得る。ネットワーク参加者612は、次に、ステップ624において応答を審査し、そして、626で決定を下す場合がある。
【0038】
[0046]
図7は、本発明の一実施形態による、検証使用案件の例示的な図である。銀行A710は、支払い情報アプリケーション712を通じて、銀行Bのノード718によって表される別の銀行から、口座の確認を求められることがある。リクエストを受け取る(714)と、銀行Bのノード718は、クライアント情報アプリケーション722にアクセスし、716に示されるように、応答を生成することになる。例示的で詳細な支払いメッセージは、730に示される。情報は、暗号化された形式で、送られ、記憶される。復号鍵は、認証されたノードへ、別個に送られることになる。
【0039】
[0047]
図8は、本発明の一実施形態による、不正行為チェック使用案件の例示的な図である。
図8に示されるように、本発明の一実施形態は、本発明の一実施形態の銀行間情報ネットワークの内部における、不正行為のチェック、受取人口座の確認および住所の充実に向けられている。例示的な不正行為使用案件では、情報は、暗号化された形式で、送られ、記憶される。復号鍵は、認証されたノードへ、別個に送られることになる。銀行A810は、支払い情報アプリケーション812を通じて、不正行為情報を、818によって表される管理者ノードに、リクエストすることができる。リクエストを受け取る(814)と、管理者818は、認証されたノードとネットワークで共有される不正行為者のリストとにアクセスして、816によって示されるように、応答を生成することができる。例示的で詳細な支払いメッセージは、830に示される。
【0040】
[0048]
図9は、本発明の一実施形態による、例示的な支払いトラッキングである。
図9に示されるように、状態情報は、それぞれの関係の当事者によって、リアルタイムで更新することができる。銀行A910は、支払い情報アプリケーション912を通じて、銀行B920によって表される別の銀行に、状態情報をリクエストすることができる。リクエストを受け取ると、受取側銀行922は、状態応答を、リアルタイムで、提供することができる。
【0041】
[0049]追加的なアプリケーションとして、確認、最適化、流動性、外国為替(FX)、トークン、請求、サービス水準合意(SLA)、トラッキングおよび合意、ならびに日中報告が含まれ得る。確認のためには、本発明の一実施形態は、口座が現実のものであるか、公開されているかまたは閉鎖されているかの判断、口座がどのくらい長く存在してきたのかの判断、氏名と口座とが一致するかどうか、低額の支払いについて早期警告サービス(EWS)およびそれ以外のディレクトリとの統合、eウォレットとの統合、支払いリスクスコアサービスなどを行うことができる。
【0042】
[0050]ある例示的な例証によると、企業当事者は、いくつかのeウォレットアプリケーションに接続する場合があり得る。たとえば、ある企業当事者が、アメリカ合衆国におけるオンライン支払いシステムから中国におけるモバイル支払いアプリケーションへの支払いを開始する場合がある。本発明の一実施形態による銀行間情報ネットワークは、オンライン支払いシステムとモバイル支払いアプリケーションとの間の支払いを容易にすることができる。
【0043】
[0051]最適化のために、本発明の一実施形態は、最適化された支払いルーティング、金融活動タスクフォース(FATF)の強化、ワークフローケースの管理ツールとの統合、およびファクタリングならびに先物支払いの考慮を実行する場合がある。
【0044】
[0052]流動性のためには、本発明の一実施形態は、クライアントと口座とによるノストロ口座の管理、ノストロ口座の可視性および最適化、ならびに流動性管理のためのオンチェーン取引における影の残高に適用されることがあり得る。ノストロ口座とは、一般に、ある銀行が外国通貨で別の銀行に保有する口座を指す。
【0045】
[0053]外国貿易に関しては、本発明の一実施形態は、取引のための現行の公定歩合、市場とのFX契約、インテリジェントなFXルーティングおよびFXネッティングへの可視性を提供することができる。
【0046】
[0054]トークンに関しては、本発明の一実施形態は、付加価値サービス(VAS)またはappの使用をトラッキングするためにトークンを発行する、すなわち、VASおよびappの使用のために収入に課金し収集するためにトークンを発行し、たとえばコーポレートコインのソリューションなど、企業が彼らの子会社および口座の全体における支払いをトラッキングすることを可能にする仕組みを作り出すことがあり得る。
【0047】
[0055]以上の例では、単一の物理的構成における本発明の様々な実施形態を示すが、様々な構成要素が、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、電気通信ネットワーク、イントラネットおよび/またはインターネットなど、分散型ネットワークの離れた箇所に配置されることがあることが了解されるべきである。よって、様々な実施形態の構成要素を、1つまたは複数のデバイスとなるように組み合わせられるし、分散型ネットワークの特定のノードに一緒に配置できるし、または、たとえばネットワークの様々な場所に分散させられることが了解されるべきである。当業者に了解されるように、様々な実施形態の構成要素は、それぞれのシステムの動作に影響を与えることなく、分散型ネットワークの中の任意の1つまたは複数の場所に配置することが可能である。
【0048】
[0056]上述されたように、本発明の様々な実施形態は、それぞれが少なくとも1つのプログラムされたプロセッサと少なくとも1つのメモリまたはストレージデバイスとを含む場合があり得る、いくつかの通信デバイスおよび構成要素をサポートする。メモリは、命令セットを記憶することがある。命令は、プロセッサの1つまたは複数のメモリに、恒久的にまたは一時的に、記憶され得る。命令セットは、上述されたタスクなど、1つまたは複数の特定のタスクを行う様々な命令を含むことがある。特定のタスクを行うためのそのような命令セットは、プログラム、ソフトウェアプログラム、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーションまたはソフトウェアとして、特徴付けられる場合がある。
【0049】
[0057]上述された本実施形態の方法を実施するためには、プロセッサおよび/またはメモリが同一の地理的場所に物理的に存在する必要はないことが了解される。すなわち、本発明の例示的な実施形態で用いられるプロセッサおよびメモリは、それぞれが、地理的に別々の場所にあり、いずれかの適切な態様で通信するように接続されることがあり得る。さらに、プロセッサおよび/またはメモリは、それぞれが、物理的に異なる機器で構成される場合があることが了解される。したがって、プロセッサが、ある場所における単一の機器であり、メモリが、別の場所における別の単一の機器であることは必ずしも必要ではない。すなわち、プロセッサが、2箇所以上の物理的場所における2つ以上の機器である場合もあり得ることが考えられる。2つの別々の機器が、いずれかの適切な態様で接続されることもあり得る。さらに、メモリが、2つ以上の物理的場所における、メモリの2つ以上の部分を含む場合もあり得る。
【0050】
[0058]上述されたように、命令セットが、本発明の様々な実施形態の処理で、用いられる。サーバは、メモリ(たとえば、プロセッサによって実行されるプログラムコード命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体)に記憶されており本明細書に記載されている方法を実行するためのソフトウェアまたはコンピュータプログラムを含む場合がある。命令セットは、プログラムまたはソフトウェアまたはappという形態を有する場合もある。ソフトウェアは、たとえば、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアという形態を有する場合もある。ソフトウェアは、たとえば、別個のプログラムの集合体、より大きいプログラムの内部にあるプログラムモジュール、またはプログラムモジュールの一部、という形態を有する場合もある。用いられるソフトウェアは、また、オブジェクト指向プログラミングの形態を有するモジュラプログラミングを含むこともある。ソフトウェアは、処理されつつあるデータに何をすべきかをプロセッサに伝える。
【0051】
[0059]さらに、本発明の実装および動作に用いられる命令または命令セットは、プロセッサが命令を読み取ることができるような適切な形式であり得ることが了解される。たとえば、プログラムを形成する命令は、適切なプログラミング言語の形式を有し得るのであるが、この適切なプログラミング言語は、1つまたは複数のプロセッサが命令を読み取ることが可能となるように、機械語またはオブジェクトコードに変換される。すなわち、特定のプログラミング言語でプログラミングコードまたはソースコードとして書かれたラインは、コンパイラ、アセンブラまたはインタープリタを用いて、機械語に変換される。機械語は、たとえば、特定のタイプのプロセッサすなわち特定のタイプのコンピュータに固有なバイナリコード化された機械命令である。本発明の様々な実施形態では、いずれかの適切なプログラミング言語を用いてもかまわない。たとえば、用いられるプログラミング言語は、アセンブリ言語、Ada、APL、Basic、C、C++、COBOL、dBase、Forth、Fortran、Java(登録商標)、Modula-2、Pascal、Prolog、REXX、Visual Basic、および/またはJavaScript(登録商標)を含み得る。さらに、単一のタイプの命令または単一のプログラミング言語が、本発明のシステムおよび方法の動作と共に用いられることは、必要でない。むしろ、必要または希望に応じて、いずれかの個数の異なるプログラミング言語を利用してかまわない。
【0052】
[0060]また、本発明の様々な実施形態の実現に用いられる命令および/またはデータは、希望に応じて、いずれかの圧縮または暗号化技術またはアルゴリズムを用いることがある。暗号化モジュールが、データを暗号化するために、用いられる場合があり得る。さらに、たとえば、適切な復号化モジュールを用いて、ファイルまたは他のデータが、復号化される場合がある。
【0053】
[0061]本発明の例示的な実施形態のシステムおよび方法においては、モバイルデバイス120、130またはそれ以外のパーソナルコンピューティングデバイスとユーザがインターフェースすることを可能にするために、様々な「ユーザインターフェース」が用いられる場合がある。本明細書で用いられるユーザインターフェースは、ユーザが通信デバイスのプロセッサと対話することを可能にするプロセッサによって用いられるいずれかのハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せを含んでもかまわない。ユーザインターフェースは、たとえば、appによって提供されるダイアログスクリーンの形式を有する場合もある。ユーザインターフェースは、また、タッチスクリーン、キーボード、ボイスリーダ、ボイス認識器、ダイアログスクリーン、メニュボックス、リスト、チェックボックス、トグルスイッチ、押下ボタン、仮想環境(たとえば、仮想マシン(VM)/クラウド)、または、ユーザインターフェースが命令セットを処理しおよび/またはプロセッサに情報を提供すると、プロセッサの動作に関する情報をユーザが受け取ることを可能にするいずれかの他のデバイスのうちのいずれかを含み得る。したがって、ユーザインターフェースは、ユーザとプロセッサとの間の通信を提供するいずれかのシステムでよい。ユーザインターフェースを通してユーザによってプロセッサに提供される情報は、たとえば、コマンド、データの選択、または何らかの他の入力という形式でかまわない。
【0054】
[0062]ソフトウェア、ハードウェアおよび本明細書に記載されているサービスは、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、およびサービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)など、1つまたは複数のクラウドサービスモデルを用いて、および/または、公開クラウド、秘密クラウド、ハイブリッドクラウド、および/またはコミュニティクラウドモデルなど、1つまたは複数の展開モデルを用いて、提供され得る。
【0055】
[0063]上述の例は、主に、顧客のモバイルデバイス上にダウンロードされたソフトウェアアプリケーション(「app」)を用いることとして説明されてきたが、本発明の他の実施形態は、顧客のモバイルデバイス上の既存のウェブブラウザを用いて表示されるデータの送信など、類似の技術を用いても、実装することが可能である。
【0056】
[0064]本明細書において、本発明の実施形態は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装形態という文脈において説明されてきたが、当業者は、本発明の有用性はそれに限定されないこと、そして、本発明の実施形態は、類似の目的のために他の関連する環境においても、有益に実装することができることを認識するであろう。