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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ガス圧接用バーナー
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/00 20060101AFI20240329BHJP
   F23D 14/58 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B23K20/00 330C
F23D14/58 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020002477
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021109201
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】312012689
【氏名又は名称】二瓶 ひろみ
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】二 瓶 ひ ろ み
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-267258(JP,A)
【文献】特開平11-19783(JP,A)
【文献】特開2011-242047(JP,A)
【文献】特開2006-334636(JP,A)
【文献】特開2000-317649(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0078171(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00
F23D 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、これら仮想接合端面から加熱炎放射距離を隔てて包囲する環の一部をなし、当該仮想軸心線と、この仮想軸心線に直交し且つ当該仮想接合端面を通る中心線とから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の基端から先端に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわ、および中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、当該仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の当該仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、該加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、該固定仮想体の周壁の仮想接合端面からその仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、当該固定仮想体の周壁の仮想接合端面からその仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が、夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端がわが、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続されたものとしたことを特徴とするガス圧接用バーナー。
【請求項2】
仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、これら仮想接合端面から遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて該仮想接合端面を包囲する環の一部をなし、当該仮想軸心線と、この仮想軸心線に直交し且つ当該仮想接合端面を通る中心線とから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の基端から先端に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわ、および中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、当該仮想接合端面に向けた中央火口が該ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、この加圧仮想体の周壁の仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、この固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が、夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端がわが、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続され、その中央火口が、仮想接合端面を遠心方向から同心上に包囲するよう、これら一対の弓型ヘッドを固定支持した場合に、ガス圧接の進行に伴い、その仮想接合端面が固定仮想体の外端がわに向けて僅かに加圧移動されると、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口からの加熱炎によるシールドが、該仮想接合端面を含む圧接部の膨らみ部分を外気から隔絶され続けるよう包まれてなるものとしたことを特徴とするガス圧接用バーナー。
【請求項3】
仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、該仮想接合端面から遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて包囲する環の接線上に配された八角形中の仮想軸心線に直交し、当該仮想接合端面を通る中心線に交叉する対辺である2辺を除き、この仮想軸心線の周回り方向に180°隔てて対峙する連続した3辺からなる2個であり、夫々の3辺が先端部と基端部および中途部とからなる平板状であって、夫々の基端部から先端部に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの先端部と基端部および中途部の中、少なくとも先端部および基端部の夫々の仮想接合端面の遠心方向に対峙する複数箇所に、これら仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの先端部ないし基端部の該仮想軸心線方向の該加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁、および、加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の双方の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所から仮想軸心線方向の外端がわに向けて角度チップが突設され、これら一対の弓型ヘッドの加圧がわ側壁の各角度チップには、当該加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から該仮想軸心線方向の該直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの固定がわ側壁の各角度チップには、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から該仮想軸心線方向の該直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端部が、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続されてなるものとしたことを特徴とするガス圧接用バーナー。
【請求項4】
弓型ヘッドが、先端部と基端部および中途部に仮想軸心線方向の厚みを有する背壁と、該背壁の仮想軸心線方向端から夫々仮想接合端面がわに向けて延伸された固定がわ側壁および加圧がわ側壁、および、該背壁の先端と該固定がわ側壁および該加圧がわ側壁の間を閉鎖する先端壁が一体化され、先端壁と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の仮想接合端面と対峙する端で囲まれた範囲に装着口が開口されると共に、その先端部および基端部に相当する固定がわ側壁および加圧がわ側壁に夫々チップ用切欠を有し、基端部にガス供給管が接続される接続部が設けられたバケットを有し、該バケットの各チップ用切欠に対し角度チップが組み込まれ、このバケットの装着口には、装着口の仮想軸心線方向の固定がわ側壁ないし加圧がわ側壁の内壁間寸法の中、固定がわ側壁の内がわおよび加圧がわ側壁の内がわの夫々に配された一対のサイドプレートと、これら一対のサイドプレートの間に挟み込まれ積層状に一体化され、仮想接合端面の遠心方向に対峙する露出壁の、バケットの先端部と基端部および中途部に夫々配される各部分の中の少なくとも先端部および基端部の夫々に配される各部分の複数箇所に、仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通する如く穿設されたセンタープレートとからなり、当該露出壁とは反対がわとなる後壁に、このバケットの固定がわ側壁および加圧がわ側壁夫々チップ用切欠に対峙するチップ用嵌合溝が凹設された火口ブロックが、各チップ用嵌合溝に角度チップが嵌合されると共に、当該バケットの装着口に対し、火口ブロックの後壁と、バケットの背壁、先端壁、固定がわ側壁および加圧がわ側壁の各内壁との間にガス管路が連通する如く組み込まれたものとしてなる、前記請求項3記載のガス圧接用バーナー。
【請求項5】
各角度チップが、該角度チップのチップ背壁の範囲内に、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の基端が連通された、仮想軸心線方向の直線状の溝路が刻設されると共に、該溝路にはガス管路が連通され、バケットの固定がわ側壁がわに突出された角度チップのチップ背壁がわには、この角度チップのチップ背壁がわに嵌合する凹欠溝が刳り抜き状に縦設された柱状カバーが、同角度チップのチップ背壁がわに凹欠溝が嵌合されると共に、柱状カバーの基端が固定がわ側壁に接合され、溝路が密閉状となるよう結合されてなるものとした、前記請求項4記載のガス圧接用バーナー。
【請求項6】
中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口または固定側遠サイド火口の少なくとも何れか一つが、先端がわを筒状とされた筒状先端部とされ、該筒状先端部の基部からガス管路との接続部分までが、ガス管路に向けて口径が漸次拡大された錐状基端部とされ、該錐状基部の最大口径が、ガス管路の口径よりも小径に設定されてなるものとした、前記請求項1ないし請求項5何れか一記載のガス圧接用バーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、同一軸心線上に直列状に配された一対の鉄筋の接合端面同士を、ガス圧接工法によって一体化する際に用いられるリングバーナー技術に関連するものであり、特に、リングバーナーを固定状に支持したままであってもガス圧接の対象となる鉄筋の突き合わせ圧接部分、およびその近傍を含む範囲を、より確実に加熱炎によるシールドで包囲し、該接合端面間に酸素が浸入することがなく、より安定に溶接可能とするガス圧接用バーナーを製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
土木、建設分野における鉄筋コンクリート用鋼棒のガス圧接工法は、例えば、図18に示すように、圧接器PMの固定がわクランプFCと可動がわクランプMCとの間の略中央に、ガス圧接の対象となる2本の鉄筋FB,PBの互いの接合端面BSが配されるよう、該固定がわクランプFCに対し、固定がわとなる1本の鉄筋FBの中途部が緊締固定され、該可動がわクランプMCに対し、加圧がわとなる他の1本の鉄筋PBの中途部が緊締固定され、該固定がわの鉄筋FBと該加圧がわの鉄筋PBとが同一仮想軸心線BC上に直列状に配された上、該圧接器PMには加圧器RCが接続され、該加圧器RCからの圧力Pが、該可動がわクランプMCを介して、該加圧がわとなる鉄筋PBに加えられ、該固定がわの鉄筋FBおよび該加圧がわの鉄筋PBの双方の接合端面BS間に、同図18中の白抜き矢印に示す方向に充分な圧力Pが加えられるものとなっている。
【0003】
図17および図18に例示するとおり、リングバーナーRBには、アセチレンガスおよび酸素の調整器に繋げられた吹管に対し、接続される吹管取付け口9が設けられており、作業員は、該リングバーナーRBが接続された吹管を把持して操作し、該リングバーナーRBの複数の火口6,6,……が、該接合端面BSの直径Dから遠心方向に加熱炎放射距離FDを隔てて環状に包囲するよう配置させ、該接合端面BSの周囲からアセチレン・酸素混合ガスによる火炎RFで加熱し、同時に該圧接器PMおよび加圧器RCによって圧接されることにより、これら固定がわの鉄筋FBおよび加圧がわの鉄筋PBを一本に結合、一体化してしまうものである。
【0004】
一般的なリングバーナーRBは、吹管に接続される吹管取付け口9に、先端がわが二又に分岐され、ガス圧接の対象となる鉄筋FB,PBの外周がわを円弧状に包囲するよう湾曲されたガス供給管90,90が設けられ、該ガス供給管90,90の円弧状先端91がわ内周面には、周方向に沿って点在する複数個の円柱状の火口チップ92,92,……が、各火口チップ92,92,……の夫々の先端を、円弧形状の中心に向かい、ガス圧接の対象鉄筋FB,PBの仮想軸心線BCを中心とする放射状に配置され、各火口チップ92,92,……の先端からガスを放射、燃焼させることにより、ガス圧接の対象となる鉄筋FB,PBの接合端面BSおよびその近傍周辺を加熱し、鉄筋の加熱状態を目視、確認しながら圧接していくものである。
【0005】
こうした従来型のリングバーナーRBを用いると、各火口チップ92,92,……からの火炎RFが、対象とする鉄筋FB,PBの接合端面BSに集中するように構成されているものの、各火口チップ92,92,……から放出される燃焼ガスRFが、夫々所定燃焼温度を維持する必要から当該鉄筋FB,PBの接合端面BSに集中するように形成されていて、各火口チップ92,92,……全体の火炎RFは、恰も鉄筋FB,PBの該仮想軸心線BCに直交する薄っぺらな面状の火炎RFとして当該鉄筋FB,PBに反射されるため、ガス圧接作業基準どおり「各鉄筋FB,PBとも当接面BSから夫々少なくとも鉄筋の直径Dに相当する幅L(L1+L2)の範囲を、一律且つ一定時間内に速やかに鉄筋FB,PB中心温度で約1200℃となるように加熱する。」には、該リングバーナーRB自体を、各火口チップ92,92,……の加熱炎放射距離FD(各火口チップ92,92,……の当該鉄筋FB,PBの直径Dの周壁FB1,PB1から、各火口チップ92,92,……までの距離)が変わらないように注意しながら、該接合端面BSの該仮想軸心線BC方向の両がわに、夫々少なくとも鉄筋径Dに相当する幅L(L1+L2)分だけ素早く平行移動操作しながら加熱作業を継続し、その短時間の作業の中にも、部分的な異常な加熱を防止すると共に、当該鉄筋FB,PBの接合端面BSを含む圧接部分に酸化被膜を生成してフラット破面を形成してしまわないよう、該接合端面BSを含む接合部分を、図17に各火口チップ92,92,……から放射される破線で示すように、還元炎シールドRFによって包囲し、接合部分への不要な空気の侵入を阻止するよう細心の注意を払わなければならない。
【0006】
さらに、圧縮器PMによって加圧された鉄筋FB,PBは、双方の接合端面BSおよびその近傍が溶融され、図17に二点鎖線で示すように、圧接が進むに従い、該接合端面BSが、仮想軸心線BC方向の鉄筋FBの外端FB0がわに向け、直径Dの約1/2(L3)程度僅かに移動されながら、当該接合端面BSおよびその近傍部分が、最終的には直径Dの約1.5倍の外径(図17の二点鎖線円)となる膨らみ部分PEが次第に形成されることとなり、このように当該接合端面BSおよびその近傍部分は、圧接加工の最中にもその位置、形状および寸法が連続的に変化して行くから、作業員は、圧接加工を開始したら、圧接加工が完了するまで、接合端面BSおよびその近傍の鉄筋FB,PBの加熱および圧接の状態を観察し、リングバーナーRBを常に適正な加熱状態を保つよう、同17の二点鎖線白抜き矢印に示すように、この仮想軸心線BC方向に平行移動するよう操作し続けなければならず、経験の浅い作業員には非常に難しい作業であり、安定した品質のガス圧接を実現化するには、熟練の技が不可欠なものとなっており、こうした専門性の強い作業内容に起因し、人材確保や作業効率の改善が困難なものとなっていた。
【0007】
(従来の技術)
こうした状況を改善すべく、本願出願人は、下記の特許文献1(1)に示すように、加熱対象空間を包囲状とする形状の一部をなす平面形であって、基端側にはガス供給管を接続可能とする接続部が設けられ、同基端側から先端側に掛けて連通状で、背面側だけを開放状とした溝部に形成してなるガス供給路本体に対し、その先端側と基端側、および中途部所定複数箇所夫々から当該加熱対象空間に向けた火口駒部を一体的に突出形成した上、それら火口駒部に対応した溝部の底面から各火口駒部肉厚方向中途までを夫々剔り取り、各火口駒部用の下穴部となし、それら各下穴部からは、火口駒部肉厚方向であって、当該加熱対象空間に応じた最適な角度方向に向けて火口用細通孔を穿設すると共に、ガス供給路本体溝部の開放状とされた背面側に隠蔽板を鑞付け、一体化されてなるものとした、ガス圧接用火口基体を使って形成してなるガス圧接用火口部品の一対を、火口取付け口に枝分かれする如く接続された左右対称形状の一対のガス供給管の先端部夫々に基端側接続部を介して接続し、互いの火口駒部同士が、加熱対象空間を挟んで対峙する配置となるよう組み合わせてなり、該ガス圧接用火口部品が、それら各火口駒部の何れか選択された適所に、夫々一個または複数個の火口用細通孔を、加熱対象空間が均質に加熱されるよう適宜選択した角度で穿設されてなるものとしたガス圧接用バーナーについては、既に開発、実用化済みとしている。
【0008】
しかし、当該特許文献1(1)に示したガス圧接用バーナーは、冷間鍛造によって成型されたガス圧接用火口基体に切削加工が施されたガス圧接用火口部品が用いられており、量産に適しているが、ガス圧接の対象となる鉄筋の直径に応じ、形状および寸法の異なるガス圧接用火口基体を製造するには、鉄筋の直径毎に冷間鍛造用の金型を準備する必要があり、生産コストが嵩むという欠点を有し、また、ガス圧接用火口基体の溝部から各下穴部を通じて火口用細通孔が、加熱対象空間に向け、最適な位置および角度で穿孔されたものとなっているが、各火口用細通孔は、ガス圧接の対象となる鉄筋の直径毎にガス圧接の実験を繰り返して行い、この実験の結果に基づき最も適する角度姿勢に穿設されたものとしなければならず、こうした長期間に当たる地道な研究、開発に多大な労力と経費とを費やさなければならないものであった。
【文献】(1)特許第3696485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案されたガス圧接用バーナーは、ガス圧接用火口部品のガス圧接用火口基体が、冷間鍛造によって成型されたものの場合、ガス圧接の対象となる鉄筋の直径毎に個別の金型を準備しなければならず、生産コストが嵩むものになるばかりではなく、ガス圧接用火口基体に対し、複数の火口用細通孔を最適な位置および角度に穿孔するには、直径の異なる鉄筋毎に、ガス圧接用バーナーの試作と、それを使用したガス圧接実験とを繰り返し行い、最適にガス圧接できる火口用細通孔の位置および角度を決定しなければならず、商品化には多大な労力と経費とを必要とされるものであったという事情に着目し、ガス圧接の対象となる鉄筋の直径と、ガス圧接用バーナーの複数の火口の最適な姿勢とを関連付ける配置比率を見出し、どのような直径の鉄筋であっても、複数の火口の最適な姿勢を簡単に決定して設計できるものとし、ガス圧接用バーナーの試作後に必要となる試験回数を大幅に削減し、より効率的な開発、商品化を実現化できる新規なガス圧接用バーナー技術の開発、実用化の可能性を痛感するに至ったものである。
【0010】
(発明の目的)
そこで、この発明は、ガス圧接の対象となる鉄筋の直径毎に、火口の位置および角度を簡便に決定し、開発コストを大幅に削減することができる上、ガス圧接用バーナーをガス圧接の対象となる鉄筋の接合端面の周囲から、複数の火口が夫々所定距離を隔てて包囲する姿勢に固定するよう支持するだけで、従前までは繊細且つ複雑な熟練の技術を要していたス圧接用バーナーの難しい操作を一切不要とし、高品質のガス圧接加工を確実に実現化できるものとした新たなガス圧接用バーナー技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘り、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のガス圧接用バーナーを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のガス圧接用バーナーは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、これら仮想接合端面から加熱炎放射距離を隔てて包囲する環の一部をなし、当該仮想軸心線と、この仮想軸心線に直交し且つ当該仮想接合端面を通る中心線とから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の基端から先端に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわ、および中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、当該仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の当該仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、該加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、該固定仮想体の周壁の仮想接合端面からその仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、当該固定仮想体の周壁の仮想接合端面からその仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が、夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端がわが、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続されたものとした構成を要旨とするガス圧接用バーナーである。
【0012】
この基本的な構成からなるガス圧接用バーナーは、その表現を変えて示すならば、仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、これら仮想接合端面から遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて該仮想接合端面を包囲する環の一部をなし、当該仮想軸心線と、この仮想軸心線に直交し且つ当該仮想接合端面を通る中心線とから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の基端から先端に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわ、および中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、当該仮想接合端面に向けた中央火口が該ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、この加圧仮想体の周壁の仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、この固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が、夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端がわが、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続され、その中央火口が、仮想接合端面を遠心方向から同心上に包囲するよう、これら一対の弓型ヘッドを固定支持した場合に、ガス圧接の進行に伴い、その仮想接合端面が固定仮想体の外端がわに向けて僅かに加圧移動されると、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口からの加熱炎によるシールドが、該仮想接合端面を含む圧接部の膨らみ部分を外気から隔絶され続けるよう包むものとされた構成からなるガス圧接用バーナーとなる。
【0013】
より具体的には、仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いに同一の直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、該仮想接合端面から遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて包囲する環の接線上に配された八角形中の仮想軸心線に直交し、当該仮想接合端面を通る中心線に交叉する対辺である2辺を除き、この仮想軸心線の周回り方向に180°隔てて対峙する連続した3辺からなる2個であり、夫々の3辺が先端部と基端部および中途部とからなる平板状であって、夫々の基端部から先端部に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの先端部と基端部および中途部の中、少なくとも先端部および基端部の夫々の仮想接合端面の遠心方向に対峙する複数箇所に、これら仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの先端部ないし基端部の該仮想軸心線方向の該加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁、および、加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の双方の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所から仮想軸心線方向の外端がわに向けて角度チップが突設され、これら一対の弓型ヘッドの加圧がわ側壁の各角度チップには、当該加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から該仮想軸心線方向の該直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの固定がわ側壁の各角度チップには、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から該仮想軸心線方向の該直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が夫々ガス管路に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッドの各基端部が、吹管取付け口に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管の先端部の夫々に接続された構成からなるガス圧接用バーナーとなる。
【0014】
さらに、具体的なものとして示すならば、弓型ヘッドが、先端部と基端部および中途部に仮想軸心線方向の厚みを有する背壁と、該背壁の仮想軸心線方向端から夫々仮想接合端面がわに向けて延伸された固定がわ側壁および加圧がわ側壁、および、該背壁の先端と該固定がわ側壁および該加圧がわ側壁の間を閉鎖する先端壁が一体化され、先端壁と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の仮想接合端面と対峙する端で囲まれた範囲に装着口が開口されると共に、その先端部および基端部に相当する固定がわ側壁および加圧がわ側壁に夫々チップ用切欠を有し、基端部にガス供給管が接続される接続部が設けられたバケットを有し、該バケットの各チップ用切欠に対し角度チップが組み込まれ、このバケットの装着口には、装着口の仮想軸心線方向の固定がわ側壁ないし加圧がわ側壁の内壁間寸法の中、固定がわ側壁の内がわおよび加圧がわ側壁の内がわの夫々に配された一対のサイドプレートと、これら一対のサイドプレートの間に挟み込まれ積層状に一体化され、仮想接合端面の遠心方向に対峙する露出壁の、バケットの先端部と基端部および中途部に夫々配される各部分の中の少なくとも先端部および基端部の夫々に配される各部分の複数箇所に、仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通する如く穿設されたセンタープレートとからなり、当該露出壁とは反対がわとなる後壁に、このバケットの固定がわ側壁および加圧がわ側壁夫々チップ用切欠に対峙するチップ用嵌合溝が凹設された火口ブロックが、各チップ用嵌合溝に角度チップが嵌合されると共に、当該バケットの装着口に対し、火口ブロックの後壁と、バケットの背壁、先端壁、固定がわ側壁および加圧がわ側壁の各内壁との間にガス管路が連通する如く組み込まれたものとしてなる、前記のガス圧接用バーナーということができ
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、この発明のガス圧接用バーナーによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の夫々の配置および姿勢が、ガス圧接加工の対象として想定された固定仮想体および加圧仮想体の仮想接合端面の直径Dの値に関連付けて自動的に決定されたものとすることができ、直径Dの異なる鉄筋用のガス圧接用バーナーを開発する場合にも、多くの試作および実験を試みずとも、異なる直径D毎に設計どおりに製造された各ガス圧接用バーナーを、確認試験する程度の実験だけで完成することができ、大幅な開発期間の短縮と開発経費の削減とを達成可能とすることができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0016】
加えて、この発明のガス圧接用バーナーは、仮想軸心線上に直列され、直径Dの仮想接合端面同士が接合された固定仮想体および加圧仮想体が、ガス圧接の対象となる一対の鋼棒に置き換えられた場合に、一対の弓型ヘッドの中央火口が、該一対の鋼棒の接合端面の遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて包囲するよう配され、該加圧仮想体に相当する鋼棒に加圧側サイド火口が対峙され、この固定仮想体に相当する鋼棒に固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口が対峙するよう配された上、吹管取付け口、ガス供給管およびガス管路を経て燃焼用ガスが供給、点火されると、中央火口から仮想接合端面の周囲に加熱炎が放射され、その加圧側サイド火口から、当該加圧仮想体に相当する鋼棒の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に加熱炎が放射され、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の夫々から、固定仮想体に相当する鋼棒の周壁で、その仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置、および、固定仮想体に相当する鋼棒の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置の夫々に加熱炎が放射され、それらの加熱炎によるシールドが、この仮想接合端面と、仮想接合端面の近傍の加圧仮想体に相当する鋼棒の周壁、および、当該固定仮想体に相当する鋼棒の周壁を広く覆い、仮想接合端面の酸化を防止すると共に、仮想接合端面を含む広範囲(仮想軸心線方向の距離L1+L2の範囲)を均質に加熱するものとなり、さらに、加圧仮想体に相当する鋼棒から、この固定仮想体に相当する鋼棒に向けた仮想軸心線方向の加圧力(およびガス圧接の進行に伴う圧縮力)を受け、仮想接合端面を含む圧接部の膨らみ部分が生長しながら、固定仮想体に相当する鋼棒の外端がわに僅かに移動している間にも、これら固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の夫々から放射される加熱炎によって圧接部の膨らみ部分およびその周辺が均質に加熱されることとなるから、当該ガス圧接用バーナーの中央火口が、その仮想接合端面に向かうよう包囲する如く位置決めしたまま固定状に支持しているだけで、特別な熟練を要することなく、より品質に優れたガス圧接加工を実現化することができるという優れた効果を奏するものである。
【0017】
そして、一対の弓型ヘッドの先端部ないし基端部の仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁、および、該加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の双方の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所から仮想軸心線方向の外がわに向けて角度チップが突設され、この角度チップに対し、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口が夫々設けられたものとされたガス圧接用バーナーによれば、これら加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口が、火口ブロックのセンタープレートに設けられた中央火口から仮想軸心線方向の外がわに充分に離れた配置とすることができ、より幅広い範囲に加熱炎によるシールドをムラ無くより安定して発生することができるものになる。
【0018】
さらに、弓型ヘッドが、バケット、角度チップおよび火口ブロックからなるものとされ、該火口ブロックが、一対のサイドプレートと、これら一対のサイドプレートの間に挟み込まれ積層状に一体化されたセンタープレートとからなるものとされたガス圧接用バーナーによれば、弓型ヘッドを構成する全ての部品を、金属板からプレス成型された部品とすることが可能であり、これら一対のサイドプレートによるサンドイッチ構造を採用したことによってセンタープレートの板厚寸法を小さく抑え、板厚が大きい場合にプレス加工によるエッジ部分の丸みが大きくなり、小径の穿孔加工の精度が悪化するという問題を解決し、中央火口の正確な穿孔加工を実現化できるものとなり、また、角度チップに対し、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口をまとめて穿孔加工されたものとしたから、限られた極僅かな部品に対して切削加工を施すだけで、高精度を要する穿孔加工を完了することができ、製造工数を大幅に削減することができる上、より品質に優れたガス圧接用バーナーを安定且つ効率的に生産することができるものになる。
【0019】
また、角度チップのチップ背壁がわに柱状カバーが組み合わされたものは、その柱状カバーが、角度チップのチップ背壁に刻設された溝路をより確実に密閉するものとなる上、バケットの固定がわ側壁がわから突出量が多くなるよう寸法設定された角度チップを、チップ背壁および仮想軸心線の周回り方向の角度チップの両側壁がわから強固に補強、支持するものとなり、突出量の大きな特徴ある角度チップの耐久強度を格段に高めたものとすることができる。
【0020】
さらにまた、これら中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口または固定側遠サイド火口の少なくとも何れか一つが、先端がわを筒状とされた筒状先端部とされ、該筒状先端部の基部からガス管路との接続部分までが、そのガス管路に向けて口径が漸次拡大された錐状基端部とされ、該錐状基部の最大口径が、ガス管路の口径よりも小径に設定されたガス圧接用バーナーによれば、ガス管路から火口までのガスの流動抵抗を低減し、ガス管路の基端に配された火口と、先端がわに配された火口とのガスの放出量を均等にすることが可能となり、格段にムラが無く、均質な加熱炎によるシールドが発生し、より品質に優れたガス圧接加工を実現化できるという大きな効果を奏することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
固定仮想体および加圧仮想体は、ガス圧接加工の対象となる鉄筋を仮定した想像物であり、ガス圧接の工程中における、この発明のガス圧接用バーナーおよびその各部の位置関係を明確に示すための仮想物であって、この発明のガス圧接用バーナーが、実際にガス圧接加工に用いられる場合には、この固定仮想体および加圧仮想体として設定された位置に、一対の鉄筋が置き換えられた状態に配置されることとなり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、円柱形の鋼棒、ステンレス鋼棒、アルミニウム合金棒、銅合金棒、チタン合金棒、その他の合金棒、などの何れか一が仮想されたものとすることができる外、楕円柱形または多角柱形などの金属棒などの何れか一が仮想されたものとすることが可能である。
【0022】
仮想接合端面は、固定仮想体および加圧仮想体の互いに対峙接合され、ガス圧接加工を受ける双方の端面であり、また、固定仮想体および加圧仮想体の互いの接合端面同士間に仮定される想像上の一平面ということも可能であり、ガス圧接加工によって結合され一体化される端面であるということができる。
【0023】
弓型ヘッドは、ガス供給管の先端部に対し、中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の夫々を夫々の位置に支持すると共に、そのガス供給管の先端部に、中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口を連通し、ガス供給管を通じて供給される燃焼ガスを、これら中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口から放出可能とする機能を分担し、仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いの直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、該仮想接合端面から遠心方向に加熱炎放射距離を隔てて包囲する環の一部をなし、仮想軸心線と、この仮想軸心線に直交し、且つ仮想接合端面を通る中心線とから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の基端から先端に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわおよび中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、当該加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、ガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、この固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が夫々ガス管路に連通されて設けられたものとしなければならない。
【0024】
弓型ヘッドを、より具体的に示すと、後述する実施例にも示しているように、仮想軸心線上に直列する固定仮想体および加圧仮想体の互いの直径Dの仮想接合端面同士を接合された場合に、該仮想接合端面から遠心方向に所定距離FDを隔てて包囲する環の接線上に配された八角形中の仮想軸心線に直交し、仮想接合端面を通る中心線に交叉する対辺である2辺を除き、仮想軸心線の周回り方向に180°の角度を隔てて対峙する2個の連続された3辺が、仮想軸心線と、仮想軸心線に直交し且つ仮想接合端面を通る中心線Cとから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、夫々の3辺が先端部と基端部および中途部とからなる平板状であって、夫々の基端部から先端部に掛けてガス管路が連通された弓型ヘッドの一対が、これら一対の弓型ヘッドの先端部と基端部および中途部の中、少なくとも先端部および基端部の夫々の仮想接合端面の遠心方向に対峙する複数箇所に、その仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの先端部および基端部の仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁、および、該加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の双方から仮想軸心線方向の外端がわに向けて角度チップが突設され、これら一対の弓型ヘッドの加圧がわ側壁の各角度チップには、この加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口が、そのガス管路に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッドの固定がわ側壁の各角度チップには、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口、および、該固定仮想体の周壁の、該仮想接合端面から該仮想軸心線方向の該直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口が、夫々ガス管路に連通されて設けられたものとすることができる。
【0025】
また、弓型ヘッドを、表現を変えて示すと、後述する実施例にも示すとおり、先端部と基端部および中途部の仮想軸心線方向の厚みを有する背壁と、該背壁の仮想軸心線方向端から夫々仮想接合端面がわに延伸された固定がわ側壁および加圧がわ側壁、および、当該背壁の先端と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の間を閉鎖する先端壁が一体化され、これら先端壁と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の仮想接合端面と対峙する端で囲まれた範囲に装着口が開口されると共に、先端部および基端部に相当する固定がわ側壁および加圧がわ側壁に夫々チップ用切欠を有し、基端部にガス供給管が接続される接続部が設けられたバケットを有し、該バケットの各チップ用切欠に対し角度チップが組み込まれ、このバケットの装着口には、装着口の仮想軸心線方向の固定がわ側壁ないし加圧がわ側壁の内壁間寸法の中、固定がわ側壁の内がわおよび加圧がわ側壁の内がわの夫々に配された一対のサイドプレートと、これら一対のサイドプレートの間に挟み込まれ積層状に一体化され、それら先端部と基端部および中途部の中、少なくとも先端部および基端部の夫々の仮想接合端面の遠心方向に対峙する複数箇所に、仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連
通する如く穿設されたセンタープレートとからなり、バケットの固定がわ側壁および加圧がわ側壁夫々チップ用切欠に対峙するチップ用嵌合溝が凹設された火口ブロックが、各チップ用嵌合溝に該角度チップが嵌合されると共に、同火口ブロックの後壁と、該バケットの背壁、先端壁、固定がわ側壁および加圧がわ側壁の内がわとの間に、ガス管路が連通する如く組み込まれてなるものであるということが可能である。
【0026】
弓型ヘッドのバケットは、該弓型ヘッドの固定仮想体、仮想接合端面および加圧仮想体に向けられた各火口を有する火口ブロックの後壁がわ、および、角度チップのチップ背壁の溝路の一部を壁面で密閉状に覆い、該火口ブロックの後壁がわ、および、角度チップのチップ背壁の溝路の一部に、弓型ヘッドの基端部から先端部に掛けてガス管路が連通されたものとする機能を担い、これら弓型ヘッドの先端部と基端部、および中途部の仮想軸心線方向の厚みを有する背壁と、該背壁の仮想軸心線方向端から夫々仮想接合端面がわに延伸された固定がわ側壁および加圧がわ側壁、および、この背壁の先端と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の間を閉鎖する先端壁が一体化され、該先端壁と固定がわ側壁および加圧がわ側壁の仮想接合端面と対峙する端で囲まれた範囲に装着口が開口されると共に、先端部および基端部に相当する固定がわ側壁および加圧がわ側壁に夫々チップ用切欠を有し、基端部にガス供給管が接続される接続部が設けられたものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、厚さ1mmの銅合金板から打ち抜かれた素材が板金加工されて製造され、これら火口ブロック、角度チップおよびガス供給管などの各部品が組み合わせられた上、各部品同士の接合部間を鑞付けによって密閉化すると共に、強固に一体化されたものとするのが良い。
【0027】
弓型ヘッドの火口ブロックは、弓型ヘッドの仮想接合端面に向けられた壁に中央火口を配し、中央火口を後壁がわのガス管路に連通し、角度チップをバケットのチップ用切欠との間に挟み込むよう支持する機能を担い、金属ブロックから切削可能によって削り出された1個の金属ブロックや、冷間鍛造によって成型された1個の金属ブロックなどとすることが可能であるが、このように鍛造加工や切削加工を多用して製造されたものは、工数が嵩んだり、鍛造用の金型が高価であるなどの要因によって部品価格が高騰してしまうものであり、また、厚さ6mmの銅合金板からプレス加工によって打ち抜かれた1個の金属ブロックからなるものとすると、該金属ブロックの厚みが大きくなるため打ち抜き加工によるエッジ部分のR面が大きくなり、厚み寸法(6mm)内の正確な位置に直径0.8mmの中央火口を穿設するのが困難になるという欠点を招くものであり、こうした課題を解決する構成として、後述する実施例にも示しているように、火口ブロックが、厚さ1.5mmの銅合金板から打ち抜かれた一対のサイドプレートの間に、厚さ3mmの銅合金板から打ち抜かれ、厚み寸法内に中央火口が穿設された1枚のセンタープレートが積層状に挟み込まれてなるものとするのが良く、表現を変えて示すと、バケットの装着口の仮想軸心線方向の固定がわ側壁ないし加圧がわ側壁の内壁間寸法の中、固定がわ側壁の内がわおよび加圧がわ側壁の内がわの夫々に配された一対のサイドプレートと、これら一対のサイドプレートの間に挟み込まれ積層状に一体化され、その仮想接合端面の遠心方向に対峙する露出壁の、バケットの先端部と基端部および中途部に夫々配される各部分の中、少なくとも先端部および基端部の夫々に配される各部分の複数箇所に、仮想接合端面に向けた中央火口がガス管路に連通する如く穿設されたセンタープレートとからなり、このバケットの固定がわ側壁および加圧がわ側壁夫々チップ用切欠に対峙するチップ用嵌合溝が凹設されたものとすることができる。
【0028】
火口ブロックのセンタープレートは、弓型ヘッドの先端がわと基端がわおよび中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに仮想接合端面に向けた中央火口が、ガス管路に連通されたものとする機能を担い、一対のサイドプレートの間に積層状に挟み込まれ、火口ブロックに一体化されたものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、仮想接合端面に向けられた露出壁の、中央火口が設けられていない適所には、一対のサイドプレートの接合壁に開口する凹欠形の鑞溜が、仮想接合端面に向けて開放するよう設けられたものとすることができる。
【0029】
中央火口は、弓型ヘッドのガス管路から仮想接合端面に向け燃焼ガスを放射可能とし、該弓型ヘッドから仮想接合端面に向け加熱炎を放射可能とし、ガス圧接行程の開始から仮想接合端面間が閉じるまでの間に亘って還元炎シールドを形成可能とし、その仮想接合端面が閉じた後は、圧接部の膨らみ部分がなだらかに成長するよう加熱炎を放射する機能を担い、一対の弓型ヘッドの夫々の先端がわと基端がわおよび中途部の中の少なくとも先端がわと基端がわに、仮想接合端面に向けガス管路に連通されて設けられたものとしなければならず、後述する実施例にも示したように、センタープレートの先端部と基端部および中途部の夫々の仮想接合端面の遠心方向に対峙する複数箇所に仮想接合端面に向けられ、ガス管路に連通する如く穿設されたものとすることができる。
【0030】
角度チップは、弓型ヘッドの所定位置に対し、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口を配すると共に、これら加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口を、弓型ヘッド中のガス管路に連通する機能を担い、弓型ヘッドの先端部ないし基端部の仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁、および、該加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の双方の該仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所から仮想軸心線方向の外端がわに向けて突設されたものとすべきであり、「該仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所」とは、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口または固定側遠サイド火口の何れか一の複数個が、固定仮想体または加圧仮想体の少なくとも何れか一方の周壁の全周を加熱炎によるシールドで包囲可能となるよう等角度置き毎に配されたものとすることにあり、例えば、「該仮想軸心線の周回り方向に180°置きとなる合計2箇所」、「該仮想軸心線の周回り方向に120°置きとなる合計3箇所」、「該仮想軸心線の周回り方向に60°置きとなる合計6箇所」または「該仮想軸心線の周回り方向に45°置きとなる合計8箇所」などの何れか一とすることが可能であり、製造コストやガス圧接加工性の安定などを考慮すると、後述する実施例にも示しているように、厚さ4mmの銅合金板からプレス加工によって打ち抜かれた1個のチップからなり、バケットの「該仮想軸心線の周回り方向に90°置きとなる合計4箇所」に設けられた各チップ用切欠と、火口ブロックのチップ用嵌合溝との間に挟み込まれ、該弓型ヘッドに対して一体化されたものとするのが良い。
【0031】
さらに、後述する実施例にも示しているとおり、角度チップは、該角度チップのチップ背壁の範囲内に、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の基端が連通された、仮想軸心線方向の直線状の溝路が刻設されると共に、該溝路にはガス管路が連通され、バケットの固定がわ側壁がわに突出された該角度チップのチップ背壁がわには、この角度チップのチップ背壁がわに嵌合する凹欠溝が刳り抜き状に縦設された柱状カバーが、当該角度チップのチップ背壁がわに凹欠溝が嵌合されると共に、柱状カバーの基端が固定がわ側壁に接合され、その溝路が密閉状となるよう結合されたものとすることができる。
【0032】
加圧側サイド火口は、仮想接合端面の近傍となる加圧仮想体の周壁に、加熱炎を放射可能とし、ガス圧接行程の開始から仮想接合端面間が閉じるまでの間に亘って中央火口が発生する還元炎シールドを、当該加圧仮想体の外端がわに向けて拡大し、仮想接合端面が閉じた後は、圧接部の膨らみ部分がなだらかに成長するよう加圧仮想体の周壁に加熱炎を放射する機能を担い、一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧仮想体がわに面する加圧がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に配され、加圧仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けて開口され、ガス管路に連通されて設けられたものとしなければならず、後述する実施例にも示しているように、一対の弓型ヘッドの加圧がわ側壁に突設された角度チップの端部の加圧仮想体がわに向けられた部分に開口されたものとすることができる。
【0033】
固定側近サイド火口は、固定仮想体の周壁の仮想接合端面からその仮想軸心線方向の近い位置に加熱炎を放射可能とし、ガス圧接行程の開始から仮想接合端面間が閉じるまでの間に亘って中央火口が発生する還元炎シールドを、当該固定仮想体の周壁の仮想接合端面に近い位置に向けて切れ間無く拡大し、この仮想接合端面が閉じた後は、圧接部の膨らみ部分がなだらかに成長するよう、その仮想接合端面よりも固定仮想体の僅かに外端がわとなる周壁に加熱炎を放射する機能を担い、一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けて開口され、ガス管路に連通されて設けられたものとしなければならず、加圧側サイド火口または固定側遠サイド火口の少なくとも何れか一方が穿設された角度チップとは別に設けられた角度チップに穿設されたものとすることが可能である外、後述する実施例にも示しているように、一対の弓型ヘッドの固定がわ側壁に突設され、固定側遠サイド火口が穿設された角度チップの基部近傍に開口されたものとすることができる。
【0034】
固定側遠サイド火口は、固定仮想体の周壁の仮想接合端面から仮想軸心線方向の遠い位置に加熱炎を放射可能とし、ガス圧接加工の開始から仮想接合端面間が閉じるまでの間に亘って中央火口および固定側近サイド火口が発生する還元炎シールドを、当該固定仮想体の周壁の遠い位置に向けて切れ間無く連続するよう拡大し、仮想接合端面が閉じた後は、圧接部の膨らみ部分がなだらかに成長するよう、この固定仮想体の周壁の遠い位置に加熱炎を放射する機能を担い、一対の弓型ヘッドの仮想軸心線方向の加圧がわ側壁とは反対がわとなる当該固定仮想体がわに面する固定がわ側壁の仮想軸心線の周回り方向に等角度置きとなる複数箇所に、当該固定仮想体の周壁の、仮想接合端面から仮想軸心線方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けて開口され、ガス管路に連通されて設けられたものとしなければならず、加圧側サイド火口または固定側近サイド火口の少なくとも何れか一方が穿設された角度チップとは別に設けられた角度チップに穿設されたものとすることが可能である外、後述する実施例にも示すように、一対の弓型ヘッドの固定がわ側壁に突設され、固定側近サイド火口が穿設された角度チップの端部の固定仮想体の外端がわに向けられた部分に開口されたものとすることができる。
【0035】
また、中央火口の口径が0.8、加圧側サイド火口の口径が1、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の口径が夫々0.9の比率となるよう設定されたものとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例にも示すように、中央火口の口径が0.8mm、加圧側サイド火口の口径が1mm、固定側近サイド火口および固定側遠サイド火口の口径が夫々0.9mmに設定されたものとするのが良い。
【0036】
さらに、また、中央火口、加圧側サイド火口、固定側近サイド火口または固定側遠サイド火口の少なくとも何れか一つが、先端がわを筒状とされた筒状先端部とされ、該筒状先端部の基部からガス管路との接続部分までが、そのガス管路に向けて口径が漸次拡大された錐状基端部とされ、該錐状基部の最大口径が、このガス管路の口径よりも小径に設定されたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面は、この発明のガス圧接用バーナーの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】ガス圧接用バーナーを一部断面化して示す三面図である。
図2】ガス圧接用バーナーを示す背面図である。
図3】ガス圧接用バーナーを断面化して示す正面図である。
図4】分解されたガス圧接用バーナーを示す正面図である。
図5】弓型ヘッドを示す三面図である。
図6】バケットを示す三面図である。
図7】サイドプレートを示す三面図である。
図8】センタープレートを示す三面図である。
図9】角度チップを示す三面図である。
図10】柱状カバーを示す三面図である。
図11】弓型ヘッドが円弧状のガス圧接用バーナーを示す三面図である。
図12】ガス圧接を開始したガス圧接用バーナーを示す正面図である。
図13】ガス圧接を開始した固定仮想体と加圧仮想体とを示す正面図である。
図14】ガス圧接の途中の固定仮想体と加圧仮想体とを示す正面図である。
図15】ガス圧接の終了直前の固定仮想体と加圧仮想体とを示す正面図である。
図16】ガス圧接の終了直前のガス圧接用バーナーを示す正面図である。
図17】従来型のリングバーナーを示す三面図である。
図18】従来型のリングバーナーによるガス圧接加工を示す正面図である。
【実施例1】
【0038】
図1ないし図10に示す事例は、仮想軸心線BC上に直列する固定仮想体FBおよび加圧仮想体PBが、互いに同一の直径Dの仮想接合端面BS同士が接合された場合に、該仮想接合端面BSから加熱炎放射距離FDを隔てて包囲する環の一部をなし、その仮想軸心線BCと、該仮想軸心線BCに直交し且つ仮想接合端面BSを通る中心線Cとから仮想された平面を境として対峙する面対象形とされ、ガス管路5が連通された弓型ヘッド2,2の一対に、該仮想接合端面BSに向けた中央火口6,6,……が設けられ、これら一対の弓型ヘッド2,2の加圧がわ側壁35の仮想軸心線BCの周回り方向の複数箇所に、加圧仮想体PBの周壁PB1の、その仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口75が設けられ、これら一対の弓型ヘッド2,2の仮想軸心線BC方向の固定がわ側壁36の仮想軸心線BCの周回り方向の複数箇所に、当該固定仮想体FBの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dの1/2に相当する距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口76、および、当該固定仮想体FBの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口77が夫々設けられた上、これら一対の弓型ヘッド2,2の各基端がわが、吹管取付け口9に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管90,90の先端部の夫々に接続されたものとした、この発明のガス圧接用バーナーにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0039】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のガス圧接用バーナー1は、仮想軸心線BC上に直列する直径Dが51mmの鉄筋コンクリート用の異形棒鋼を想定した固定仮想体FBおよび加圧仮想体PBの、互いの仮想接合端面BS同士が接合された場合に、該仮想接合端面BSから遠心方向に20mmの加熱炎放射距離FD(センタープレート41より4mm遠心がわに配されるから厳密には、遠心方向に24mm)を隔てて包囲する環の接線上に配された八辺からなる八角形中の、仮想軸心線BCに直交し、その仮想接合端面BSを通る中心線Cに交叉する対辺である2辺を除く、仮想軸心線BCの周回り方向に180°の角度βを隔てて対峙する、連続した3辺からなる2個であって、夫々の3辺が先端部31と基端部33および中途部32とからなる平板状とされ、夫々の基端部33から先端部31に掛けた内部にガス管路5が連通された弓型ヘッド2,2の一対が、これら一対の弓型ヘッド2,2の先端部31と基端部33および中途部32の夫々の仮想接合端面BSの遠心方向に対峙する複数箇所に、その仮想接合端面BSに向けた中央火口6、6,……がガス管路5に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッド2,2の先端部31ないし基端部33の仮想軸心線BC方向の加圧仮想体PBがわに面する加圧がわ側壁35、および、該加圧がわ側壁35とは反対がわとなる固定仮想体FBがわに面する固定がわ側壁36の双方の仮想軸心線BCの周回り方向に90°の等角度α置きとなる合計4箇所から、この仮想軸心線BC方向の外端がわに向けて角度チップ7が突設され、これら一対の弓型ヘッド2,2の加圧がわ側壁35の各角度チップ7には、その加圧仮想体PBの外端PB0がわの周壁PB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の51mmの直径Dに等しい51mmの距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口75が、そのガス管路5に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッド2,2の固定がわ側壁36の各角度チップ7には、固定仮想体FBの外端FB0がわの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dの1/2に相当する25.5mmの距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口76、および、当該固定仮想体FBの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい51mmの距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口77が、夫々ガス管路5に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッド2,2の各基端がわの接続部39が、吹管取付け口9に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管90,90の先端部93,93の夫々に接続されたものである。
【0040】
図1ないし図10に示すように、一対の弓型ヘッド2,2は、夫々がバケット3、角度チップ7,7、および、一対のサイドプレート40,40の間にセンタープレート41が挟み込まれてなる火口ブロック4の組み合わせからなり、互いに対象形状とされたものであるから、1個の弓型ヘッド2について以下に示すこととする。
【0041】
図1および図6に示すように、弓型ヘッド2のバケット3は、厚さ1.6mmの銅合金板から打ち抜かれ折り曲げ加工されたものであり、先端部31と基端部33および中途部32の仮想軸心線BC方向に9mmの厚みを有する背壁34と、該背壁34の仮想軸心線BC方向端から夫々仮想接合端面BSがわに向けて延伸された固定がわ側壁36および加圧がわ側壁35、および、背壁34の先端と固定がわ側壁36および加圧がわ側壁35の間を閉鎖する先端壁30が一体化され、該先端壁30と固定がわ側壁36および加圧がわ側壁35の仮想接合端面BSと対峙する端で囲まれた範囲に装着口37が、5.8mmの内壁間寸法Wに開口されると共に、先端部31および基端部33に相当する固定がわ側壁36および加圧がわ側壁35の仮想軸心線BCの周回り方向の90°隔てた2箇所夫々にチップ用切欠38,38を有し、基端部33にガス供給管90が接続される接続部39が設けられたものである。
【0042】
合計4個設けられた角度チップ7,7,……は、何れも同一の形状のものとされているから、図1および図9を参照しながら、1個の角度チップ7について示すと、この角度チップ7は、厚さ4mmの銅合金板から後述する形状に打ち抜かれたチップ7であり、バケット3に組み込まれた場合の仮想軸心線BC方向の全長が25mm、該仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅(厚み寸法)が4mm、仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが8mm、バケット3のチップ用切欠38,38に対し、チップ背壁72がわが組み込まれた場合の固定がわ側壁36から仮想軸心線BC方向の外がわへの突出量が10.5mm、加圧がわ側壁35からの仮想軸心線BC方向の外がわへの突出量が5.5mmとなるよう、バケット3に組み込まれた場合、仮想接合端面BSに対峙するチップ前壁70には、固定がわ側壁36から突出する外端から中央がわに12.1mm、および、加圧がわ側壁35から突出する外端から中央がわに7.1mmとなる中途部に、火口ブロック4の後述するチップ用嵌合溝48に嵌合される嵌合溝71が凹設され、該チップ前壁70とは反対がわとなるチップ背壁72の範囲内に、仮想軸心線BC方向の長さが15mm、仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が2mm、仮想軸心線BCの求心方向の奥行きが2mmの直線状の溝路73が、バケット3の装着口37内に配される範囲、ないし、固定がわ側壁36から仮想軸心線BC方向に、後述する柱状カバー8の長さ8mmに満たない6mm程度の長さとなる範囲に渡って刳り抜かれ、チップ前壁70の仮想軸心線BC方向の両端の角部分には60°の面取り面74,74が設けられ、加圧がわ側壁35から突出されたがわの面取り面74の中央には、加圧側サイド火口75がその溝路73に達するよう穿孔されたものとなっている。
【0043】
加えて、この角度チップ7のチップ前壁70の固定がわ側壁36から突出されたがわの端の面取り面74の中央には、固定側遠サイド火口77が溝路73に達するよう穿孔され、また、チップ前壁70の中途部の、例えば固定がわ側壁36に近接された位置には、固定側近サイド火口76が、その溝路73に達するよう穿孔されたものとされ、加圧側サイド火口75、固定側近サイド火口76および固定側遠サイド火口77は、互いにこの仮想軸心線BCに平行する一直線上に配列されたものとされ、しかも、それら加圧側サイド火口75、固定側近サイド火口76および固定側遠サイド火口77は、角度チップ7の肉厚内となる先端がわを口径0.9mmの筒状の筒状先端部CTとされ、筒状先端部CTの基部から、仮想軸心線BCの求心方向の奥行き深さが2mmの溝路73との接続部分までが、その溝路73に向けて口径が漸次拡大された錐状基端部CEとされ、該錐状基部CEの最大口径2mmが、ガス管路5の口径5.8mmよりも小径に設定されたものとなっている。
【0044】
角度チップ7のバケット3の固定がわ側壁36がわに突出されたチップ背壁72がわには、図1および図10に示すように、仮想軸心線BC方向の長さが8mm、仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が9mm、仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが8mmの六角柱形状の銅合金製であって、固定仮想体FBがわに面することとなる前側壁80に、その仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が4mm、仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが4mmの、仮想軸心線BC方向の両端および固定仮想体FBがわに開口する矩形柱形の凹欠溝81が刳り抜かれた柱状カバー8の凹欠溝81が嵌合され、角度チップ7のバケット3の固定がわ側壁36がわに突出されたチップ背壁72に刳り抜かれた溝路73が密閉されるよう組み合わせられたものとなっている。
【0045】
図1図4ないし図10に示すように、バケット3の各チップ用切欠38,38の夫々に対し、角度チップ7,7のチップ背壁72,72がわが組み込まれ、さらに、該バケット3の装着口37、および、角度チップ7,7の嵌合溝71,71には、火口ブロック4が組み込まれたものとされ、該火口ブロック4は、一対のサイドプレート40,40と、これら一対のサイドプレート40,40の間に積層状に組み合わせられたセンタープレート41とからなり、これら一対のサイドプレート40,40は同じ形状であるから、一のサイドプレート40について、図1図6および図7を参照して示すと、このサイドプレート40は、厚さ1.4mmの銅合金板から打ち抜かれ、仮想接合端面BSから遠心方向に20mmの加熱炎放射距離FD(センタープレート41より1mm遠心がわに配されるから厳密には、遠心方向に21mm)を隔てて包囲する環の接線上に配された八辺からなる八角形中の仮想軸心線BCに直交し、その仮想接合端面BSを通る中心線Cに交叉する対辺である2辺を除き、その仮想軸心線BCの周回り方向に180°の角度βを隔てて対峙する、連続された3辺からなる2個の中の1個の形状とされ、同仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが7mmとされ、バケット3の先端部31および基端部33の各チップ用切欠38,38に対応する後壁42には、夫々仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が4mm、仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが4mmのチップ用嵌合溝48,48が凹設されたものとされている。
【0046】
図1図4ないし図10に示すように、センタープレート41は、厚さ3mmの銅合金板から打ち抜かれ、仮想接合端面BSから遠心方向に20mmの加熱炎放射距離FDを隔てて包囲する環の接線上に配された八辺からなる八角形中の、その仮想軸心線BCに直交し、仮想接合端面BSを通る中心線Cに交叉する対辺である2辺を除き、仮想軸心線BCの周回り方向に180°の角度βを隔てて対峙する、連続された3辺からなる2個の中の1個の形状とされ、仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが、サイドプレート40よりも1mm、バケット3よりも4mm、仮想接合端面BSがわに近接する如く突出するよう8mmとされ、バケット3の先端部31および基端部33の各チップ用切欠38,38に対応する後壁42には、夫々この仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が4mm、同仮想軸心線BCの求心方向の奥行きが4mmのチップ用嵌合溝48,48が凹設されたものとされ、仮想接合端面BSがわに面することとなる露出壁43の135°の2つの内角谷部44,44、さらに、仮想軸心線BCの周回り方向の先端45および基端46の合計4箇所の夫々に、該仮想軸心線BCの周回り接線方向の幅が3mm、同仮想軸心線BCの遠心方向の奥行きが2mmの鑞溜47,47,……が刻設されている。
【0047】
さらに、センタープレート41の露出壁43の仮想軸心線BC方向の厚み寸法3mmの中央(厚み方向の1.5mmの位置)には、該仮想軸心線BCの周回り方向に一列に点在するよう並ぶ複数個の中央火口6,6,……が、口径0.8mmに設定され、バケット3の中途部32および基端部33に対応する範囲のチップ用嵌合溝48,48が設けられた部分を除く範囲の夫々にチップ用嵌合溝48,48を挟み2個ずつ合計4個が穿設され、また、バケット3の中途部32に対応する範囲には、合計3個が穿設されたものとなっており、各中央火口6,6,……は、センタープレート41の肉厚内となる先端がわを口径0,8mmの筒状とされた筒状先端部60とされ、該筒状先端部60の基部からガス管路5との接続部分までが、該ガス管路5に向けて口径が最大口径の2mmまで漸次拡大された錐状基端部61とされ、該錐状基端部61の最大口径2mmが、そのガス管路5の口径5.8mmよりも小径に設定されたものとなっている。
【0048】
センタープレート41に対し、仮想軸心線BCの方向の両がわから、一対のサイドプレート40,40が積層状に組み合わされてなる火口ブロック4は、そのセンタープレート41の中央火口6,6,……が穿孔された露出壁43が、一対のサイドプレート40,40の露出壁よりも、仮想軸心線BCの求心方向に(仮想接合端面BSがわに向けて)1mm突出された配置とされ、各鑞溜47,47,……が、センタープレート41の中央火口6,6,……が穿孔された露出壁43よりも仮想軸心線BCの遠心方向に2mm没しており、さらに、各鑞溜47,47,……が、一対のサイドプレート40,40の露出壁よりも仮想軸心線BCの遠心方向に1mm没した形状となっている。
【0049】
図1ないし図10に示すように、角度チップ7,7がチップ用嵌合溝48,48に嵌着された火口ブロック4が、バケット3の装着口37に対し、このバケット3の装着口37が、センタープレート41の露出壁43より4mm、一対のサイドプレート40,40の露出壁より3mm、夫々仮想軸心線BCの遠心方向に配される如く嵌合状に組み込まれた上、各鑞溜47,47,……および各部品間の隙間を通じて鑞付けされ、中央火口6、加圧側サイド火口75、固定側近サイド火口76および固定側遠サイド火口77に鑞が流入せずに各部品同士が密に結合され、バケット3の内側壁と角度チップ7,7および火口ブロック4の後壁42によって囲まれた先端部31ないし基端部33に掛けて連通するガス管路5が形成されたものとなり、このようにして製造された一対の弓型ヘッド2,2の各基端部33,33がわの接続部39,39が、吹管取付け口9に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管90,90の先端部93,93の夫々に鑞付けされ、各ガス供給管90,90がガス管路5,5に連通されるよう一体に接続されてなるものである。
【0050】
また、この発明のガス圧接用バーナー1は、図11に示すように、ガス圧接用バーナー1の弓型ヘッド2が、仮想軸心線BC上に直列する直径Dが51mmの鉄筋コンクリート用の異形棒鋼を想定した固定仮想体FBおよび加圧仮想体PBが、互いの仮想接合端面BS同士が接合された場合に、その仮想接合端面BSから遠心方向に20mmの加熱炎放射距離FDを隔てて包囲する円環の、同仮想接合端面BSを通る中心線Cに交叉する位置を12時・6時の位置とすると、11時ないし1時の60°の範囲、および、5時ないし7時の60°の範囲を除く、1時ないし5時の120°の範囲、および、7時ないし11時の120°の範囲に相当し、仮想軸心線BCと、仮想軸心線に直交し、且つ仮想接合端面BSを通る中心線Cとから仮想された平面を境とし、互いに180°の角度βを隔てて対峙する面対象形とされた2個の円弧形状のものとされ、夫々の120°の範囲の円弧形状は、先端部31の40°の範囲と、基端部33の40°の範囲、および中途部32の40°の範囲とからなる平板状であって、夫々の基端部33から先端部31に掛けてガス管路5が連通された弓型ヘッド2,2の一対が、これら一対の弓型ヘッド2,2の先端部31と基端部33および中途部32の夫々の仮想接合端面BSの遠心方向に対峙する複数箇所に、仮想接合端面BSに向けた中央火口6、6,……が、そのガス管路5に連通されて設けられている。
【0051】
一対の弓型ヘッド2,2の先端部31ないし基端部33の仮想軸心線BC方向の加圧仮想体PBがわに面する加圧がわ側壁35、および、加圧がわ側壁35とは反対がわとなる固定仮想体FBがわに面する固定がわ側壁36の双方の仮想軸心線BCの周回り方向に90°の等角度α置きとなる合計4箇所から仮想軸心線BC方向の外端がわに向けて角度チップ7が突設され、これら一対の弓型ヘッド2,2の加圧がわ側壁35の各角度チップ7には、当該加圧仮想体PBの外端PB0がわの周壁PB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の51mmの直径Dに等しい51mmの距離L1離れた位置に向けた加圧側サイド火口75が、そのガス管路5に連通されて設けられ、これら一対の弓型ヘッド2,2の固定がわ側壁36の各角度チップ7には、固定仮想体FBの外端FB0がわの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dの1/2に相当する25.5mmの距離L3離れた位置に向けた固定側近サイド火口76、および、当該固定仮想体FBの周壁FB1の、仮想接合端面BSから仮想軸心線BC方向の直径Dに等しい51mmの距離L2離れた位置に向けた固定側遠サイド火口77が、夫々ガス管路5に連通されて設けられた上、これら一対の弓型ヘッド2,2の各基端がわの接続部39が、吹管取付け口9に左右対称形状に枝分かれされる如く接続された一対のガス供給管90,90の先端部93,93の夫々に接続されたものとすることができる。
【0052】
この実施例1に示したガス圧接用バーナー1は、ガス圧接の対象となる固定仮想体FBおよび加圧仮想体PBの仮想接合端面BSの直径Dが51mmとされたが、これに限定されず、例えば、表1に示すように、固定仮想体FBおよび加圧仮想体PBの仮想接合端面BSの直径Dが、19mm(D19)ないし51mm(D51)の何れか一とすることが可能であり、ガス圧接加工の作業性を高めるには、夫々の直径D毎の中央火口6と、加圧側サイド火口75(フリー側)、固定側近サイド火口76および固定側遠サイド火口77(固定側)の夫々の個数や口径(孔径)などが、同表1中に示すように、設定されたものとするのが良いと言える。
【表1】
【0053】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のガス圧接用バーナー1を用いたガス圧接加工について示すと、図1および図12に示すように、固定仮想体FBに相当する固定がわ鉄筋FB、および、加圧仮想体PBに相当する加圧がわ鉄筋PBは、双方とも直径Dが51mmの鉄筋コンクリート用の異形棒鋼(FB,PB)であり、仮想接合端面BSに相当する接合端面BS,BSは、グラインダーなどを用いて酸化皮膜が全て除去され、互いの全面が出来るだけ隙間を生じずに接合するよう平滑面に仕上げられたものとした上、図12に示すように、加圧器RCが接続された圧縮器PMの固定がわクランプFCに対し、この固定がわ鉄筋FBの中途部を、また、同圧縮器PMの可動がわクランプMCには、該加圧がわ鉄筋PBの中途部を、夫々緊締ボルトTB,TBによって締め付け固定し、さらに、偏心調節ネジEBによって仮想軸心線BC上に直列状に配されるよう調節し、互いの接合端面BSが、該仮想軸心線BCに同心上に接合させたものとした上、作業者が加圧器RCを操作することによって、ガス圧接作業中に必要となる圧力Pを、図12中の白抜き実線矢印に示すように、その可動がわクランプMCを介して加圧がわ鉄筋PBに伝え、互いの接合端面BS,BS間に加えるようにする。
【0054】
作業者は、このガス圧接用バーナー1の吹管取付け口9に、図示しないアセチレンホースと酸素ホースとが接続された吹管を接続し、吹管のアセチレンガス・酸素混合ガスの流量調整バルブを調節しながら該ガス圧接用バーナー1に点火した上、図1ないし図3および図12に示すように、角度チップ7,7,……の各加圧側サイド火口75,75,……が、この加圧がわ鉄筋PBの周壁PB1に対峙し、その角度チップ7,7,……の各固定側近サイド火口76,76,……、および、固定側遠サイド火口77,77,……が、該固定がわ鉄筋FBの周壁FB1に対峙し、火口ブロック4のセンタープレート41の各中央火口6,6,……が接合端面BSの外周囲に加熱炎放射距離FDを隔てた位置に配され、各弓型ヘッド2,2(の中心線C)が、仮想軸心線BCに直交する姿勢となるよう支持し、ガス圧接加工を開始してからガス圧接加工が終了するまでの間に亘り、このガス圧接用バーナー1(各弓型ヘッド2,2)の姿勢を固定支持されたままとする。
【0055】
そして、接合端面BSから、この加圧がわ鉄筋PBの周壁PB1がわに、その接合端面BSの直径Dに相当する距離L1、および、同接合端面BSから固定がわ鉄筋FBの外端FB0がわに、接合端面BSの直径Dに相当する距離L2の合計範囲L(加圧側サイド火口75および固定側遠サイド火口77が向けられた範囲)より外がわに炎が広がる範囲を含むシールド範囲SRに、図1図12および図13に破線で示すように、アセチレン過剰炎(還元炎)RFを隙間無く放射し、均質な加熱と加圧とを行いながら接合端面BSの酸化を防ぐものとし、ガス圧接加工が進行するのに伴い、図14に破線で示してあるように、これら接合端面BS,BSの隙間が閉じて金属組織が細化し、圧接部の膨らみ部分PEが次第に発生し始めた頃には、中性炎RFで加熱するよう供給ガスの混合比率を調節し、さらに、図15および図16に示すように、ガス圧接加工の最終段階を迎える時期には、この圧接部の膨らみ部分PEがなだらかに隆起された断面形状をなし、その外径EDが、該加圧がわ鉄筋PBおよび該固定がわ鉄筋FBの直径Dの1.4倍ないし1.6倍となるまで加熱および圧縮を加えるが、その間も図15に破線で示すように、シールド範囲SRに中性炎RFの均質な放射が維持され、ガス圧接を完了した後に、アセチレン・酸素混合ガスの供給、および、加圧器RCによる加圧を停止し、ガス圧接加工を終了する。
【0056】
この発明のガス圧接用バーナー1を用いて行うガス圧接加工は、従来構造のリングバーナーの場合には、作業者が、仮想軸心線BC方向に平行に移動するよう高度且つ繊細な操作を行いながら、所謂幅焼きの操作を行なわなければならなかったが、こうした熟練の技術を必要とせずとも、加圧がわ鉄筋PB、固定がわ鉄筋FBおよびそれらの接合端面BS,BSに対し、このガス圧接用バーナー1を、前述のように所定の配置関係に固定支持したままとするだけで、高品質のガス圧接作業をより効率的に完了することができるものとなる。
また、図11に示した、この発明のガス圧接用バーナー1のように、各弓型ヘッド2,2の外的輪郭形状などが異なるものの場合であっても、前述したような基本的な部品配置を満たすものであれば、同様の使用によって同等の高品質なガス圧接作業を実現化できるものとなる。
【0057】
(結 び)
叙述の如く、この発明のガス圧接用バーナーは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、研究開発および試作実験に要する多大な時間と労力および経費を大幅に削減することができる上、切削加工や金型の使用を削減し、高精度の部品をできるだけ廉価に製造し、より簡便且つ高精度に組み立て可能なものとされているから、従前からのリングバーナーに比較して遥かに経済的なものとすることができ、しかも製造工数および生産コストをより確実に削減し、品質に優れたガス圧接用バーナーの安定供給が保証されるものとなり、さらに、熟練の技術を要さずともガス圧接加工の作業性と作業効率とを大幅に改善し、ガス圧接加工に要する経費の削減と作業時間の大幅な短縮とをより確実に達成可能にするものであるから、熟練作業者の減少に伴い人材の確保が困難な状況となり、さらに種々の経費の節減が求められる建築および建設業界において高い評価がなされ、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0058】
1 ガス圧接用バーナー
2 弓型ヘッド
3 バケット
30 同 先端壁
31 同 先端部
32 同 中途部
33 同 基端部
34 同 背壁
35 同 加圧がわ側壁
36 同 固定がわ側壁
37 同 装着口
38 同 チップ用切欠
39 同 接続部
C 同 中心線
W 同 内壁間寸法
4 火口ブロック
40 同 サイドプレート
41 同 センタープレート
42 同 後壁
43 同 露出壁
44 同 内角谷部
45 同 先端
46 同 基端
47 同 鑞溜
48 同 チップ用嵌合溝
5 ガス管路
6 中央火口
60 同 筒状先端部
61 同 錐状基
7 角度チップ
70 同 チップ前壁
71 同 嵌合溝
72 同 チップ背壁
73 同 溝路
74 同 面取り面
FD 同 加熱炎放射距離
α 同 等角度(90°)
75 同 加圧側サイド火口
L1 同 仮想接合端面から加圧仮想体の周壁の加圧側サイド火口が向けられた位置までの距離
76 同 固定側近サイド火口
L3 同 仮想接合端面から固定仮想体の周壁の固定側近サイド火口が向けられた位置までの距離
77 同 固定側遠サイド火口
L2 同 仮想接合端面から固定仮想体の周壁の固定側遠サイド火口が向けられた位置までの距離
CT 同 筒状先端部
CE 同 錐状基端部
8 柱状カバー
80 同 前側壁
81 同 凹欠溝
9 吹管取付け口
90 同 ガス供給管
91 同 円弧状先端
92 同 円柱状の火口チップ
93 同 先端部
β 仮想軸心線の周回り方向の角度(180°)
BC 仮想軸心線
FB 固定仮想体
FB0 同 外端
FB1 同 周壁
PB 加圧仮想体
PB0 同 外端
PB1 同 周壁
D 仮想接合端面(固定仮想体、加圧仮想体)の直径
BS 仮想接合端面
PE 圧接部の膨らみ部分
ED 同 外径
RF 加熱炎シールド(還元炎、中性炎)
SR 加熱炎によるシールドの範囲
PM 圧縮器
FC 同 固定がわクランプ
MC 同 可動がわクランプ
RC 同 加圧器
TB 同 緊締ボルト
EB 同 偏心調節ネジ
P 同 仮想接合端面BSに加わる圧力
RB 従来のリングバーナー


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18