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特許7462428テープレイアップ機械のサーモグラフィ検査
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】テープレイアップ機械のサーモグラフィ検査
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20240329BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20240329BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/16
B29K105:08
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020028553
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2020142510
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】16/291,974
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・ホームズ
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ・ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ケー・ブラディ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-262881(JP,A)
【文献】特表2015-534915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0191622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/16,70/38,70/54
B29K 105/08
G01N 25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ敷設プロセスを制御する方法であって、前記方法は、
積層体の表面上にテープを敷設するステップ(1502)と、
前記テープを敷設すると同時に、IR画像化を使用して、敷設した前記表面ならびに前記敷設したテープを検査するステップ(1504)と、
許容範囲外の状態について前記IR画像化を再検討するステップ(1506)と、
許容範囲外の状態が検出された場合、前記テープの敷設を停止するステップ(1508)と
を含む方法。
【請求項2】
前記IR画像化を介して取得されたサーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、前記方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
.6℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
領域の温度に基づいて、前記領域がテープのレーンを表すか、又は前記表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
.6℃から28℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記テープの方向を決定するステップと、
前記テープの各レーンについて、前記方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
前記テープの各レーンについて、前記表面の対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、前記IR画像化を実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
前記サーモグラフィ画像内に描かれている前記境界の座標を決定するステップと、
前記赤外線カメラの前記位置及び前記対応する境界の前記座標に基づいて、前記箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記テープの温度よりも高く前記表面の温度を上昇させることによって熱を加えるステップ、又は
熱を加えるステップが、前記表面の温度よりも高く前記テープの温度を上昇させるステップ
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によって敷設される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行される場合、請求項1から7のいずれか一項に記載のテープ敷設プロセスを制御する方法を実行するように作動可能であるプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
テープレイアップ機械(130)のヘッド(140)であって、
テープのレーンを積層体(150)の表面(156)上に敷設するテープディスペンサ(143)と、
前記テープのレーンを前記表面に粘着させるために熱を加えるヒータ(144)と
を備えるヘッド(140)と、
前記テープを敷設する前記表面ならびに前記積層体に付着された前記テープのレーンのサーモグラフィ画像を生成する赤外線カメラ(145)と、
コントローラー(112)であって、前記テープの敷設中に、
前記サーモグラフィ画像に基づいて、前記テープを敷設する前記表面、ならびに前記積層体に付着された前記テープのレーンの前記表面を検査し、
許容範囲外の状態について前記サーモグラフィ画像を再検討し、
許容範囲外の状態が検出された場合、前記テープの敷設を停止する
よう構成されたコントローラー(112)と
を備える、テープレイアップシステム。
【請求項10】
前記赤外線カメラによって取得された前記サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、前記コントローラーが、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別し、
.6℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てる
ようにさらに構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラーが、領域の温度に基づいて、前記領域がテープのレーンを表すのか、又は前記表面を表すのかを決定するようにさらに構成され、かつ/又は0.6℃から28℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが異なる領域に割り当てられる、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラーが、
前記テープの方向を決定するよう構成され、
前記テープの各レーンについて、前記方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別し、
前記テープの各レーンについて、前記表面の対応する境界の箇所を決定し、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IR画像化を実行する前記赤外線カメラの位置を決定するステップと、
前記サーモグラフィ画像内に描かれている前記境界の座標を決定するステップと、
前記赤外線カメラの前記位置及び前記対応する境界の前記座標に基づいて、前記箇所を決定するステップと
を含む、
ようにさらに構成されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ヒータが、前記テープの温度よりも高く前記表面の温度を上昇させることによって熱を加えるように構成されている、又は熱を加えることが、前記表面の温度よりも高く前記テープの温度を上昇させることを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記テープレイアップ機械が、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択される、請求項9から13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形加工の分野に関し、特に、複数のテープ層を含む積層体を生成するテープレイアップ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
構成材料(例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP))の多層積層体は、複合部品に硬化するための任意の様々な形状に形成され得る。複合部品の製造を容易にするために、自動ファイバ配置(AFP)機械又は自動テープレイアップ(ATL)機械などのテープレイアップ機械が使用され得る。例えば、テープレイアップ機械は、積層体を形成する構成材料のトウの1つ又は複数の層をレイアップし、次いで積層体を硬化(例えば、硬化又は圧密化)して複合部品を形成することができる。
【0003】
テープレイアップ機械の作動は、テープレイアップ機械の動きを命令する数値制御(NC)プログラムによって命令される。テープレイアップ機械は、単一コースで積層体上に複数のトウを一度に分配することができ(例えば、積層体を横切る単一の「走行」)、テープレイアップ機械は、NCプログラムからの命令に応答してコース内の異なる箇所の内部でテープの個々のレーンを開始又は終了することができる。
【0004】
テープレイアップ機械によって生成される最終の積層体は、いつも制御可能であるとは限らないという理由で、NCプログラムで意図されているものと異なる可能性がある。例えば、機械の目盛補正が必要であることに起因して、テープのレーンが意図した箇所からある程度の距離で離れて配置される可能性があり、異物が積層体に落下する可能性があり、積層プロセスにおける不整合に起因して、テープのレーン内でねじれ又は折り目などの製造の不整合が発生する可能性がある。テープのレーンは同じ材料で作られており、したがって同じ色(例えば、黒)であるため、レイアップ中にこれらの状態を視覚的に検出することは困難である。さらに、硬化前の積層体の人間による検査により、追加の異物(例えば、糸くずなど)が積層体に付着する可能性がある。さらに、現在の検査技術では、レイダウンプロセスのコース検査によるリアルタイムコースが可能ではない。上記の問題は、繊維強化されていないテープから作製された積層体、及び複合部品に硬化できない積層体にも当てはまる。上記のすべての条件を検出することが望ましく、レイアップの一部が許容範囲外になる状態を検出することが特に望ましい。
【0005】
積層体を硬化した後、超音波技術を使用して複合部品の検査を実行することは可能である。しかし、複合部品内の許容範囲外の状態が、望ましいレベルを下回る品質レベルを示している場合、複合部品全体を再加工又は廃棄する必要がある可能性がある。航空機の翼などの大型複合部品の場合、単一の再加工又は廃棄された複合部品は、資源、時間、及び労力の大幅な浪費につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記に考察する少なくともいくつかの課題、ならびに他の起こり得る課題を考慮に入れる方法及び装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、テープレイアップ機械のヘッドに取り付けられたサーモグラフィ検査システムを含む。これらの検査システムは、赤外線カメラを使用して、ヘッドによって付着されたテープのレーンの熱画像を取得する。積層体の異なる部分は、それらが下にある積層体、異物、又は下にある積層体の上に付着されたテープのレーンであるかどうかに応じて、異なる温度を示す。例えば、ヘッドのヒータは、下にある積層体又はテープのレーンのいずれかを加熱することにより、下にある積層体とテープのレーンの間に検出可能な温度差を生成することができる。さらなる例では、ヒータは、積層体及び積層体上の異物の両方を加熱することができる。しかし、積層体及び異物は異なる熱特性を有するので、異物は下にある積層体とは異なって、加熱に対して応答し、その結果、検出可能な温度差が生じる。これらの差は、レイアッププロセス中に取得された熱画像を再検討することによって検出される。したがって、テープレイアップ機械のヘッドに取り付けられた赤外線カメラからの熱画像を分析することにより、積層体の品質に影響を与える形態の箇所及び性質を確実に検出し、報告することができる。一実施形態は、テープレイアップの検査を実行する方法である。この方法は、テープを積層体の表面上にレイアップするステップ、テープを表面に粘着させるために熱を加えるステップ、及び表面に付着されたテープのサーモグラフィ画像を生成するステップを含む。
【0008】
別の実施形態は、付着されたテープ境界を決定する方法である。この方法は、テープのレーンを積層体の表面上にレイアップするステップと、積層体の表面にテープのレーンを粘着させるために熱を加えるステップと、積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成するステップと、テープのレーンを識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析するステップと、サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告するステップとを含む。
【0009】
別の実施形態は、プロセッサによって実行される場合、テープレイアップ検査を実施する方法を実行するように作動可能であるプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体である。この方法は、テープのレーンを積層体の表面上にレイアップするステップと、積層体の表面にテープのレーンを粘着させるために熱を加えるステップと、積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成するステップと、テープのレーンを識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析するステップと、サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告するステップとを含む。
【0010】
やはり別の実施形態は、テープレイアップ端部検出システムである。このシステムには、テープレイアップ機械のヘッドが含まれる。ヘッドは、積層体の表面上にテープのレーンをレイアップするテープディスペンサと、テープのレーンを表面に粘着させるために熱を加えるヒータと、積層体に付着されるテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成するテープディスペンサの下流に配置された赤外線カメラとを含む。システムは、テープのレーンを識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析し、サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告するコントローラーもまた含む。
【0011】
やはり別の実施形態は、テープ敷設プロセスを制御する方法である。この方法は、表面上にテープをレイアップするステップと、テープをレイアップすると同時に、IRイメージングを使用して、レイアップされた表面ならびにレイアップされたテープを検査するステップと、許容範囲外の状態についてIRイメージングを再検討するステップと、許容範囲外の状態が検出された場合、テープ敷設を停止するステップとを含む。
【0012】
やはり別の実施形態は、テープ敷設プロセス中に許容範囲外の不整合を検出する方法である。この方法は、テープが付着される表面を加熱するステップと、表面のIR画像を取得するステップと、許容範囲外の不整合がIR画像に描かれていることを決定するステップとを含む。
【0013】
やはり別の実施形態は、複合表面を検査する方法である。この方法は、加熱された表面上に温度差を生成するステップと、表面上の温度差を検出するステップと、温度差に基づいて、許容範囲外の不整合が存在することを決定するステップとを含む。
【0014】
やはり別の実施形態は、複合構造を生成する方法である。この方法は、積層体が敷設される表面をIRイメージングで検査するステップと、許容範囲外の状態についてIRイメージングを再検討するステップと、許容範囲外の状態に到達する前にテープのレイアップを停止するステップとを含む。
【0015】
やはり別の実施形態は、積層体にテープのレーンをレイアップするステップと、テープのレーンを熱的に画像化するためにIRカメラを操作するステップと、テープのレーンの端部を識別するために熱画像を再検討するステップと、テープのレーンの端部が許容範囲外にあるかどうかを決定するステップと、処分のために許容範囲外のテープのレーンを報告するステップとを含む方法である。
【0016】
他の例示的な実施形態(例えば、前述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体)は、以下で説明され得る。考察された形態、機能及び利点が、様々な実施形態において独立して達成可能であり、又はさらに他の実施形態に組み合わせ可能であり、その追加の詳細は、以下の説明及び図面に関連して理解され得る。
【0017】
本開示は、次の項も含む:
1.テープレイアップの検査を実行する方法であって、方法は、
積層体の表面上にテープをレイアップするステップ(202)と、
テープを表面に粘着させるために熱を加えるステップ(204)と
表面に付着されたテープのサーモグラフィ画像を生成するステップ(206)と
を含む方法。
2.周囲と熱的に異なる積層体の形態を識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析するステップ(208)
をさらに含む、項1に記載の方法。
3.形態のサイズ、形態の形状、又は形態とその周囲との温度差の少なくとも1つに基づいて、形態を分類するステップ(210)
をさらに含む、項1又は2に記載の方法。
4.形態が許容範囲外であるかどうかを決定するステップ(212)と、形態が許容範囲外にある場合は再検討のために形態を報告するステップと
をさらに含む、項2又は3に記載の方法。
5.サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
0.56℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
6.0.56℃から27.78℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項5に記載の方法。
7.サーモグラフィ画像が生成された時点で赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている形態の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び形態の座標に基づいて、積層体の箇所を決定するステップと
によって、形態の箇所を決定する、
項2から6のいずれか一項に記載の方法。
8.熱を加えるステップが、テープの温度よりも高く積層体の温度を上昇させるステップを含む、
項1から7のいずれか一項に記載の方法。
9.熱を加えるステップが、テープの圧縮ローラーの上流に配置されたヒータを介して、積層体の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップを含む、
項1から7のいずれか一項に記載の方法。
10.テープをレイアップするステップが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によって実施される、
項1から9のいずれか一項に記載の方法。
11.付着されたテープ境界を決定する方法であって、
テープのレーンを積層体の表面上にレイアップするステップ(202)と、
積層体の表面にテープのレーンを粘着させるために熱を加えるステップ(204)と、
積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成するステップ(206)と、
テープのレーンを識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析するステップ(802)と、
サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告するステップ(810)と
を含む方法。
12.サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
0.56℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、項11に記載の方法。
13.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は積層体の表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項11又は12に記載の方法。
14.0.56℃から27.78℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項12又は13に記載の方法。
15.テープのレーンの方向を決定するステップ(804)と、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップ(806)と、
テープの各レーンについて、積層体の対応する境界の箇所を決定するステップ(808)であって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップ(808)と
をさらに含む、項11から14のいずれか一項に記載の方法。
16.熱を加えるステップが、テープの温度よりも高く積層体の温度を上昇させるステップを含み、又は
熱を加えるステップが、積層体の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップを含む、
項11から15のいずれか一項に記載の方法。
17.テープをレイアップするステップが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によって実施される、
項11から16のいずれか一項に記載の方法。
18.プロセッサによって実行される場合、テープレイアップ検査を実行するための方法を実行するように動作可能なプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、その方法が、
テープのレーンを積層体の表面上にレイアップすること(202)と、
積層体の表面にテープのレーンを粘着させるために熱を加えること(204)と、
積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成すること(206)と、
テープのレーンを識別するためにサーモグラフィ画像内の対比を分析すること(802)と、
サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告すること(810)と
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
19.サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別することと、
0.56℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てることと
をさらに含む項18に記載の媒体。
20.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は積層体の表面を表すかを決定すること
をさらに含む、項18又は19に記載の媒体。
21.0.56℃から27.78℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項19又は20に記載の媒体。
22.テープのレーンの方向を決定すること(804)と、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別すること(806)と、
テープの各レーンについて、積層体の対応する境界の箇所を決定すること(808)であって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、赤外線カメラの位置を決定することと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定することと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定することと
を含む、決定すること(808)と
をさらに含む、項18から21のいずれか一項に記載の媒体。
23.熱を加えることが、テープの温度よりも高く積層体の温度を上昇させることを含み、又は
熱を加えることが、積層体の温度よりも高くテープの温度を上昇させることを含む、
項18から22のいずれか一項に記載の媒体。
24.テープをレイアップすることが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によって実施される、
項18から23のいずれか一項に記載の媒体。
25.テープレイアップ端部検出システムであって、
テープレイアップ機械(130)のヘッド(140)であって
テープのレーンを積層体(150)の表面(156)にレイアップするテープディスペンサ(143)と、
テープのレーンを表面に粘着させるために熱を加えるヒータ(144)と、
積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を生成する、テープディスペンサの下流に配置された赤外線カメラ(145)と
を備えるヘッド(140)と、
テープのレーンを識別するために、サーモグラフィ画像内の対比を分析し、サーモグラフィ画像に描かれた境界に基づいて、テープのレーンの端部の箇所を報告するコントローラー(112)と
を備えるテープレイアップ端部検出システム。
26.サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、
コントローラーが、隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別し、0.56℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てる、
項25に記載のシステム。
27.0.56℃から27.78℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項26に記載のシステム。
28.コントローラーがテープのレーンの方向をさらに決定し、テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別し、
テープの各レーンについて、コントローラーが、サーモグラフィ画像が生成された時点で、赤外線カメラの位置を決定することと、サーモグラフィ画像内に描かれている対応する境界の座標を決定することと、赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定することとによって、積層体の対応する境界の箇所を決定する、
項25から27のいずれか一項に記載のシステム。
29.ヒータがテープディスペンサの上流に配置されているか、又は、
ヒータがテープディスペンサの下流に配置されているか、又は
ヒータ(144)がテープディスペンサの下流に配置され、かつヒータ(144)がテープディスペンサの上流に配置されている、
項25から28のいずれか一項に記載のシステム。
30.テープレイアップ機械が、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択される、
項25から29のいずれか一項に記載のシステム。
31.テープ敷設プロセスを制御する方法であって、方法は、
表面上にテープをレイアップするステップ(1502)と、
テープをレイアップすると同時に、IRイメージングを使用して、レイアップされた表面ならびにレイアップされたテープを検査するステップ(1504)と、
許容範囲外の状態についてIRイメージングを再検討するステップ(1506)と、
許容範囲外の状態が検出された場合、テープ敷設を停止するステップ(1508)と
を含む方法。
32.IRイメージングを介して取得されたサーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
0.56℃(華氏1度)を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、
項31に記載の方法。
33.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項32に記載の方法。
34.0.56℃から27.78℃(華氏1度から50度)の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項32又は33に記載の方法。
35.テープの方向を決定するステップと、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
テープの各レーンについて、表面の対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IRイメージングを実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、項31から34のいずれか一項に記載の方法。
36.表面の温度をテープの温度よりも高く上昇させることにより熱を加えるステップ、又は
熱を加えるステップが、表面の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップ
をさらに含む、項31から35のいずれか一項に記載の方法。
37.テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によってレイアップされる、
項31から36のいずれか一項に記載の方法。
38.前述の項1から17、31から37、39から64のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部。
39.テープ敷設プロセス中に許容範囲外の不整合を検出する方法であって、方法は、
テープが付着される表面を加熱するステップ(1602)と、
表面のIR画像を取得するステップ(1604)と、
許容範囲外の不整合がIR画像に描かれていることを決定するステップ(1606)と
を含む方法。
40.IR画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
華氏1度を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む
項39に記載の方法。
41.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項39又は40に記載の方法。
42.華氏1度から50度の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項40又は41に記載の方法。
43.テープの方向を決定するステップと、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
テープの各レーンについて、対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IRイメージングを実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、項40から42のいずれか一項に記載の方法。
44.加熱するステップが、テープの温度よりも高く表面の温度を上昇させるステップ、又は表面の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップを含む、
項39から43のいずれか一項に記載の方法。
45.テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によってレイアップされる、
項39から44のいずれか一項に記載の方法。
46.加熱された表面に温度差を作成するステップ(1702)と、
表面上の温度差を検出するステップ(1704)と、
温度差に基づいて、許容範囲外の不整合が存在することを決定するステップ(1706)と
を含む、複合表面を検査する方法。
47.温度差を検出するステップが、サーモグラフィ画像を取得するステップを含み、サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応し、方法は、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
華氏1度を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、
項46に記載の方法。
48.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項46又は47に記載の方法。
49.華氏1度から50度の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項47又は48に記載の方法。
50.テープの方向を決定するステップと、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
テープの各レーンについて、積層体の対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IRイメージングを実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、項47から49のいずれか一項に記載の方法。
51.温度差を生成するステップが、テープの温度よりも高く表面の温度を上昇させるステップを含む、
項47から50のいずれか一項に記載の方法。
52.温度差を生成するステップが、表面の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップを含む、項51に記載の方法。
53.テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によってレイアップされる、
項47から52のいずれか一項に記載の方法。
54.積層体が敷設される表面をIRイメージングで検査するステップ(1802)と、
許容範囲外の状態についてIRイメージングを再検討するステップ(1804)と、
許容範囲外の状態に到達する前にテープのレイアップを停止するステップ(1806)と
を含む、複合構造を作成する方法。
55.サーモグラフィ画像を取得することによって温度差を検出するステップであって、サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応するステップと、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
華氏1度を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、項54に記載の方法。
56.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項54又は55に記載の方法。
57.華氏1度から50度の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項55又は56に記載の方法。
58.テープの方向を決定するステップと、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
テープの各レーンについて、積層体の対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IRイメージングを実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、項54から57のいずれか一項に記載の方法。
59.テープの温度よりも高く表面の温度を上昇させるステップによって温度差を生成するステップ、又は表面の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップによって温度差を生成するステップを含む、
項54から58のいずれか一項に記載の方法。
60.テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によってレイアップされる、
項54から59のいずれか一項に記載の方法。
61.積層体にテープのレーンをレイアップするステップ(1902)と、
テープのレーンを熱的に画像化するためにIRカメラを操作するステップ(1904)と、
テープのレーンの端部を識別するために熱画像を再検討するステップ(1906)と、
テープのレーンの端部が許容範囲外であるかどうかを決定するステップ(1908)と、
処分のために許容範囲外のテープのレーンを報告するステップ(1910)と
を含む方法。
62.サーモグラフィ画像を取得することによって温度差を検出するステップであって、サーモグラフィ画像内のピクセル値が温度に対応するステップと、
隣接するピクセルの値の差に基づいて、温度が異なる領域を識別するステップと、
華氏1度を超える温度差がある隣接するピクセルを異なる領域に割り当てるステップと
をさらに含む、項61に記載の方法。
63.領域の温度に基づいて、領域がテープのレーンを表すか、又は表面を表すかを決定するステップ
をさらに含む、項61又は62に記載の方法。
64.華氏1度から50度の温度差がある隣接するピクセルが、異なる領域に割り当てられる、
項62又は63に記載の方法。
65.テープの方向を決定するステップと、
テープの各レーンについて、その方向に進む場合、温度が閾値を超えて変化する境界を識別するステップと、
テープの各レーンについて、積層体の対応する境界の箇所を決定するステップであって、
サーモグラフィ画像が生成された時点で、IRイメージングを実行する赤外線カメラの位置を決定するステップと、
サーモグラフィ画像内に描かれている境界の座標を決定するステップと、
赤外線カメラの位置及び対応する境界の座標に基づいて、箇所を決定するステップと
を含むステップと
をさらに含む、項61から64のいずれか一項に記載の方法。
66.テープの温度よりも高く表面の温度を上昇させるステップによって、温度差を生成するステップである、
項61から65のいずれか一項に記載の方法。
67.表面の温度よりも高くテープの温度を上昇させるステップによって、温度差を生成するステップ
をさらに含む、項61から66のいずれか一項に記載の方法。
68.テープが、自動ファイバ配置(AFP)機械及び自動テープレイアップ(ATL)機械から成るグループから選択されたテープレイアップ機械によってレイアップされる、
項61から67のいずれか一項に記載の方法。
69.前述の項61から68のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部。
【0018】
ここで、本開示のいくつかの実施形態が、単なる例として、添付の図面を参照して説明される。同じ参照符号は、すべての図面で同じ要素又は同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示的な実施形態におけるテープレイアップ検査システムのブロック図である。
図2】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ画像に基づいて、積層体のレイアップ内に見られる形態を検出及び分類する方法を示すフローチャートである。
図3】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械を示す図である。
図4】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械によってレイアップされたコースの上面図である。
図5A】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械のヘッドの側面図である。
図5B】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械のヘッドの側面図である。
図6】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械のヘッドの側面図である。
図7】例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械のヘッドの側面図である。
図8】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ画像に基づいてテープのレーンの端部の箇所を決定する方法を示すフローチャートである。
図9】例示的な実施形態におけるテープのレーンの端部を含むコースの一部のサーモグラフィ画像である。
図10】例示的な実施形態におけるレイアップ不整合を検出する方法を示すフローチャートである。
図11】例示的な実施形態におけるレイアップ不整合を含むコースの一部のサーモグラフィ画像である。
図12】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ画像に基づいて破片の箇所を決定する方法を示すフローチャートである。
図13】例示的な実施形態における破片を含むコースの一部のサーモグラフィ画像である。
図14】例示的な実施形態において画像座標を物理的箇所と相関させる方法を示すフローチャートである。
図15】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図16】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図17】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図18】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図19A】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図19B】例示的な実施形態におけるサーモグラフィ検査に関する追加の方法を示す図である。
図20】例示的な実施形態における航空機の製造及び保守点検方法のフロー図である。
図21】例示的な実施形態における航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面及び以下の説明は、本開示の特定の例示的な実施形態を提供する。したがって、当業者は、本明細書で明示的に説明又は示されていないが、本開示の原理を具現化し、本開示の範囲内に含まれる様々な構成を考案できることを理解されたい。さらに、本明細書で説明される例は、本開示の原理の理解を支援することを意図しており、そのような具体的に列挙された例及び状態に限定されないものと解釈されたい。結果として、本開示は、以下で説明する特定の実施形態又は例に限定されず、特許請求の範囲及びそれらの均等物によって限定される。
【0021】
本明細書で使用される「テープ」は、繊維強化テープ又はスリットテープトウを含み得る。この開示では、テープ及びトウという用語は、様々な幅の材料のストリップを示すために互換的に使用される。テープは、複合部品に硬化される積層体を含む、様々な積層体の製造に使用され得る。炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品などの複合部品は、最初に多層積層体にレイアップされる。積層体の各層内の個々の繊維は、積層体の面内で互いに平行に位置合わせされるが、異なる寸法に沿った、結果として得られる複合材の強度を高めるために、異なる層が異なる繊維配向を示す可能性がある。積層体は、プリフォームを硬化させて複合部品(例えば、航空機で使用するため)にするために固化する粘性樹脂を含むことができる。未硬化の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に含浸された炭素繊維は、「プリプレグ」と呼ばれる。他のタイプの炭素繊維には、熱硬化性樹脂に含浸されていない「乾燥繊維」が含まれるが、粘着付与剤又はバインダを含むことができる。乾燥繊維は、硬化前に樹脂を注入され得る。熱硬化性樹脂について、硬化は硬化と呼ばれる一方向のプロセスである。熱可塑性樹脂の場合、硬化(又は固化)された樹脂は、再加熱される場合、粘性形態に達する可能性がある。
【0022】
図1は、例示的な実施形態におけるテープレイアップ検査システム100のブロック図である。テープレイアップ検査システム100は、積層体を形成するためにテープをレイアップし、品質管理の目的で積層体を検査するように作動可能な任意のシステム、構成要素、又は装置を備える。テープレイアップ検査システム100は、品質管理に関連する可能性のある形態を識別するために、テープレイアップ機械のヘッドに取り付けられた熱画像装置を利用するように強化されてきた。
【0023】
この実施形態では、テープレイアップ検査システム100は、検査サーバ110とテープレイアップ機械130とを含む。テープレイアップ機械130は、積層体150の1つ又は複数の層152を形成するテープ154のレーン160をレイアップするために、NCプログラム135に従ってヘッド140を作動させる。例えば、テープレイアップ機械130のコントローラー132は、ヘッド140を積層体150の様々な箇所に移動させるために、メモリ134に格納された命令に基づいてモーター138の作動を命令することができる。コントローラー132は、追加のテープをヘッド140のテープディスペンサ143に提供するように、テープリザーブ136にさらに命令することができる。コントローラー132は、例えば、カスタム回路として、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサとして、又はそれらの何らかの組み合わせとして実施され得る。
【0024】
ヘッド140は、テープ154のレーン160を積層体150の表面156に付着させるテープディスペンサ143を含む。ヒータ141及び/又はヒータ144は、テープ154のレーンを積層体150に粘着させることを促進する熱を加える。例えば、これらのヒータは、テープ154のレーン内の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が粘着するか、又は溶融する温度まで積層体150(又はテープ154のレーン160)を加熱することができる。ヒータ141及び144は、レーザ、赤外線加熱ランプなどを備えることができる。
【0025】
ヒータ141及び144が積層体150又はテープのレーンのいずれかを加熱する実施形態では、テープ154のレーン160と積層体150との間に、実質的な温度差(例えば、熱硬化性テープについて華氏1~50度、熱可塑性テープについて華氏500~800度)が存在する。これは、サーモグラフィ画像(例えば、華氏1度の5分の1の感度をもつ)が、新しく敷設されたテープのレーン160と積層体150の間に大きな対比を示すことを意味する。
【0026】
ヒータ141及び144が、テープ154のレーン160及び積層体150もまた加熱するように作動する実施形態では、同じ熱量にさらされることに応答して、それらが積層体材料とは異なる温度に達し、かつ異なる熱放射率を有するので、異物(異なる材料のタイプから作製されている)は、下にある積層体材料に対して際立つ対比をなすことになる。
【0027】
ヘッド140はまた、圧縮ローラー146を含み、これはテープ154のレーン160に圧力を加え(例えば、レーン160が粘着化された後)、それらを積層体150に押し付け、それらを積層体150内に物理的に一体化する。赤外線(IR)カメラ142及び145は、積層体150、ならびに積層体150に付着されるテープ154のレーン160を撮像する。サーモグラフィ画像がIRカメラ142及び145によって取得されると、位置センサ139はヘッド140の箇所を検出する。これにより、サーモグラフィ画像内のピクセルを、積層体150の実世界の箇所と相関させることができる。位置センサ139は、例えば、レーザ又は視覚追跡システム、テープレイアップ機械130内のアクチュエータに取り付けられた回転及び/又は延長センサなどを備えることができる。
【0028】
レイアップ中にテープレイアップ機械130によって生成されたサーモグラフィ画像118は、検査サーバ110によって処理される。検査サーバ110は、メモリ114に格納されたサーモグラフィ画像118を分析し、検出機能122に基づいてサーモグラフィ画像118内の形態を識別及び分類するコントローラー112を含む。検出機能122は、本明細書で説明される方法の1つ又は複数を実施するための命令も含むことができる。コントローラー112はさらに、位置センサ139から取得した位置データ120に基づいて、積層体150上の形態の箇所を決定する。この情報は、報告として、又は再検討のための積層体の注釈付き画像として技術者に渡され得る。コントローラー112は、例えば、カスタム回路として、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサとして、又はそれらの何らかの組み合わせとして実施され得る。
【0029】
テープレイアップ検査システム100の作動の例示的な詳細は、図2に関して考察される。具体的には、図2は、サーモグラフィ画像に基づいて、積層体のレイアップ内で見られる形態を検出及び分類する方法を示す。この実施形態では、テープレイアップ機械130は、積層体(例えば、硬化されて複合部品になる積層体)をレイアップするためのNCプログラム135の命令に従うようにプログラムされていると仮定されたい。さらに、テープレイアップ機械130にテープの列(例えば、プリプレグ熱硬化性樹脂又は熱可塑性CFRP)が装填され、積層体の製造を開始する準備ができていると仮定されたい。この目的のために、テープレイアップ機械130はヘッド140を作動させて、テープのレーンを含む1つ又は複数のコースを分配することにより積層体150のベース層をレイアップする。
【0030】
図2は、例示的な実施形態におけるテープレイアップ検査システムを作動させる方法を示すフローチャートである。方法200のステップは、図1のテープレイアップ検査システム100を参照して説明されるが、当業者は、方法200が他のシステムで実行され得ることを理解するであろう。本明細書で説明されるフローチャートのステップは、すべてを含むわけではなく、図示されていない他のステップを含むことができる。本明細書で説明されるステップは、代替の順序でも実行され得る。
【0031】
ステップ202において、テープレイアップ機械130のヘッド140は、積層体150の表面156上にテープ154をレイアップする。これは、コース内のテープの複数のレーンを切断及び/又は分配するためのNCプログラム135の次の命令を含むことができる。これは、新しく分配されたテープのレーンを積層体150と物理的に一体化するために圧縮ローラー146を作動させるステップをさらに含むことができる。
【0032】
ステップ204では、テープのレーンを積層体150の表面に粘着させるために、ヒータ141又はヒータ144が熱を加える。ステップ204は、ステップ202と同時に、その前に、又は後にでも実施することができる。したがって、多くの実施形態では、積層体150又はレーン160は、互いに接触する前に加熱される。テープ154がプリプレグ熱硬化性樹脂テープを含む実施形態では、テープのレーンが表面に付着される前に、ヒータ141は、周囲温度に関して積層体150の表面の温度を変えるために作動され得る。テープ154がプリプレグ熱可塑性テープを含む実施形態では、ヒータ144は、テープ154を加熱する1つ又は複数のレーザを含むことができ、その結果、テープ154が付着される前の積層体の表面との温度差が華氏約400度から800度(摂氏222度から444度)になる。いずれの場合でも、ヒータは、テープディスペンサ143を出るテープ154のレーンと積層体150の表面との間に実質的な温度差を生成する。
【0033】
ステップ206において、IRカメラ145は、積層体150に付着されたテープ154のレーン160のサーモグラフィ画像118を生成する。各サーモグラフィ画像118は、コース内のすべてのレーンの一部を描写することができ、サーモグラフィ画像118は、コース全体から生じるレイアップを描写するために一体にまとめることができる。レーンは数十フィートに延伸することがあるため、コース内の個々のレーンの特定の開始箇所及び停止箇所を検出するために、複数のサーモグラフィ画像118を分析する必要があり得る。したがって、サーモグラフィ画像118は、レイアップ中に画像間に範囲のギャップがないことを保証するために、定期的に(例えば、数秒ごとに1回、ヘッド140の10フィートの動きごとに1回など)取得され得る。
【0034】
ステップ208において、コントローラー112は、周囲と熱的に異なる積層体150の形態を識別するために、サーモグラフィ画像118内の対比を分析する。サーモグラフィ画像118内の各ピクセルは、温度に対応する値が割り当てられ、範囲外のピクセルで囲まれている(例えば、連続するピクセルのセットとは華氏1度超異なる)、温度範囲内(例えば華氏50度、華氏10度など)にある連続するピクセルのセットを識別することにより、熱的に異なる形態が検出され得る。各形態は、関連する温度又は温度範囲、既知の形状、及びピクセルの幅又は数に関して既知のサイズを有することができる。別の実施形態では、画像が分析される前に、縁部検出アルゴリズム(ラプラシアン又は他のフィルタなど)を応用することにより、サーモグラフィ画像を変更することができる。
【0035】
ステップ210において、コントローラー112は、形態のサイズ、形態の形状、又は形態とその周囲との温度差の少なくとも1つに基づいて、形態を分類する。例えば、テープ154のレーン160は、下にある積層体からの温度差の既知の範囲を示すと予想される。これらの範囲は上記で考察されている。ある領域が別の領域に対して予想される温度差の範囲内にある場合、その領域は他の地域よりも熱いか、又は冷たいかに基づいて分類され得る
【0036】
ステップ212において、コントローラー112は、許容範囲外の形態(例えば、形態の特性に対して実行されるフィルタリングプロセスによって識別される、大きすぎるなど)を決定する。形態が許容範囲外である場合、コントローラー112は、再検討のために許容範囲外の形態を報告する。これらの形態/条件は、積層体150の表示に関して図表を用いて、又はテキストレポートで報告され得る。このステップの間、コントローラー112は、人間の介入を必要とせずに許容範囲外の形態を自動的に示し、強調表示するために、それらのサイズ及びタイプに基づいて形態にさらにフィルタをかけることができる。
【0037】
別の例において、丸い境界を示す形態(例えば、液体の水たまり)は、鋭い線形の縁部(例えば、テープのレーンの縁部)を有する形態とは異なるように分類され得る。小さな形態は積層体の破片を示し、一方、大きな形態はコース全体又はテープのレーンを示す場合があるので、サイズもやはりこれらの決定に役割を果たす。
【0038】
方法200は、レイアップ形態を識別及び分類するために、色ではなく温度の差を利用するため、従来の検査技術に比べて実質的な利点を提供する。例えば、レイアップ構成要素間に既存の温度差がある可能性が高い(例えば、それらの1つが粘着を促進するために加熱されるので)が、一方、積層体とテープのレーンの間に可視光スペクトルにおける色差がほとんどない可能性が高い。したがって、方法200により、レイアップ検査技術の信号対雑音比が、従来の技術に比べて桁違いに増加することが可能になる。さらに、熱画像技術はテープレイアップ機械130のヘッド140と緊密に連結されているため、積層体の手動によるイメージング、又は積層体150と他の人間の相互作用の必要はない。これにより、技術者が積層体に異物破片を落としたり、積層体150の上を踏んだり、さもなければ人による検査中に意図せずに積層体150を変更したりする機会が減る。これにより、特に人間のアクセス/検査を促進するためにテープのレイダウンを停止することに比べて、レイアップ検査が、はるかに高速で実施され、積層体の各層の各コースについてテープレイダウンと同時に行われることが可能である。
【0039】
図3は、例示的な実施形態における支持体370に取り付けられたテープレイアップ機械300を示す図である。テープレイアップ機械300は、積層体350を形成するテープのレーン352をレイアップすることができる(例えば、複合部品に硬化するための)システム又はデバイスを含む。テープレイアップ機械300は、レイアップ中にテープ(例えばCFRP)のレーン352を分配するヘッド380を含む。レーン352はレイアップされて積層体350を形成し、積層体350は、単一のモノリシック複合部品に硬化される材料の1つ又は複数の層を含む。この実施形態では、積層体350は、航空機用のセクションを含み、回転ホルダー360によって所定の位置に保持される。
【0040】
テープレイアップ機械300がテープのレーン352を積層体350上にレイアップするように作動するにつれて、テープレイアップ機械300は、X軸線366に沿って積層体350に向かって、若しくは積層体350から離れて、Y軸線364に沿って垂直に上方へ若しくは下方へ、及び/又はZ軸線362に沿って横方向に直接移動することができる。本明細書で使用されるように、テープレイアップ機械300がヘッド380の単一の「スイープ」中に複数のレーン352を同時にレイアップする場合、それらのレーン352は集合的に単一の「コース」と呼ばれる。連続して付着される、重複しないコースのセットは、層と呼ぶことができる。積層体350に層が追加されるにつれて、結果として得られる複合部品の強度が向上する。
【0041】
大きな積層体350(例えば、胴体のセクション)の材料をレイアップすることは、時間がかかり複雑なプロセスである。レーン352が迅速かつ効率的にレイアップされることを保証するために、テープレイアップ機械300の作動はNCプログラムにより制御される。一実施形態では、NCプログラムは、テープレイアップ機械300を位置合わせ及び再配置するためのコースごとの命令を提供し、個々のトウ/テープの付着、ヘッド380の移動、積層体350上にレーン352をレイアップするステップに到るまでレイアッププロセスを制御する。このようにして、NCプログラムで命令を実行することにより、テープレイアップ機械300は積層体(例えば、複合部品に硬化するための積層体)を製造する。
【0042】
図4は、例示的な実施形態におけるテープレイアップ機械によってレイアップされたコース420の上面図であり、図3の矢印4に対応する。図4は、積層体400を示しており、それ自体は、一体に粘着されたテープのレーン(分かりやすくするために図示せず)を含む。ヘッド380が積層体400の表面430を横切って移動するにつれて、ヘッド380はテープの1つ又は複数のレーン352を含むコース420を積層体400上に付着させる。この実施形態では、各コースは8個のトウのレーンを含む。繊維強化積層体の場合、コースの各レーンは同じ繊維方向を示すが、積層体の異なる層の異なるコースは異なる繊維方向を示す可能性がある。
【0043】
ヘッド380に命令するNCプログラムは、コース420内の各レーン352を配置する箇所を示すことができる。しかしながら、積層体400上に配置されたレーン352の実際の端部は異なる可能性がある。したがって、レーン353の実際の端部の箇所とレーン353の意図された端部の箇所との間に距離Dが存在し得る。加えて、レイアップ中又はレイアップ後に破片440が積層体上に落下する可能性があり、レイアッププロセス中に1つ又は複数のレイアップ不整合450もまた発生する可能性がある。破片440は、テープの繊維のピル又はプル(「ファズボール」)、液体(例えば、油又は水)、粒子(例えば、金属の削りくず、プラスチック材料の顆粒など)、及びテープの裏打ちを含み得る。レイアップ不整合450は、ねじれたテープ、折り畳まれたテープ、テープのブリッジ、パッカー、しわ、非粘着トウ若しくはその一部、欠落したトウ、二重のトウ、割れた若しくは損傷したトウ、欠落した材料、又はその他状態を含み得る。
【0044】
サーマルイメージングは、レーンの端部の箇所、異物の箇所、レイアップ不整合の箇所などの様々な形態の態様を定量化するために利用できるため、積層体400の再加工に費やす時間及び労力が削減される。すなわち、積層体400の許容範囲外の形態がレイアップ中に直ちに検出されるため、処分する必要があるのはコースの一部のみである。さらに、積層体400は検査プロセス中に緑色のままで未硬化のままであるため、再構築プロセスは、テープのレーンを直接取り外して積層体に再付着させるという簡単な事柄である。これは、積層体が硬化されて複合部品になった後には不可能である。
【0045】
図5から図7は、テープレイアップ機械のヘッド380の様々な構成の側面図であり、図4の矢印5に対応する。具体的には、図5A及び図5Bは、積層体に付着されたテープの熱硬化性レーンを検査するように構成されたヘッドを示し、図6は積層体に付着されたテープの熱可塑性レーンを検査するように構成されたヘッドを示し、図7は破片について積層体を検査するように構成されたヘッドを示す。
【0046】
図5Aは、例示的な実施形態において積層体に付着されたテープの熱硬化性レーンを検査するためのヘッド380の側面図である。図5Aに示すように、ヘッド380は方向500に進み、テープのレーン352を積層体400の表面430上に圧縮するための圧縮ローラー520を含む。ヒータ530は、表面430が軟化し、粘着性になる温度まで表面430の温度を上昇させるために、表面430に熱(Δ)を加える(すなわち、既にレイアップされ、新しい層によって覆われようとしている層に対して粘着性を高めるため)。ヒータ530は、圧縮ローラー520の前にある距離をおいて示されているが、別の実施形態では、ヒータ530は圧縮ローラー520の直前に配置される。レーン352が表面430に付着される場合、レーンと下にある(例えば、加熱されていない)積層体との間に温度差が存在する。これにより、圧縮ローラー520を追跡する(すなわち、下流に位置する)IRカメラ510からのサーモグラフィ画像を再検討する場合、レーン352を下にある積層体から区別することができるようになる。図5Bは、ヒータ532が圧縮ローラー520の上流に配置され、テープが圧縮ローラー520に到達する前に1つ又は複数のレーン352に対してテープを加熱する別の図を示す。
【0047】
図6は、例示的な実施形態において積層体に付着されたテープの熱可塑性レーンを検査するためのヘッド380の側面図である。図6に示すように、ヘッド380は方向600に進み、テープのレーン352を積層体400の表面430上に圧縮するための圧縮ローラー620を含む。ヒータ632は、熱可塑性材料の溶融温度まで、又はそれを超えて温度を上昇させるために、レーン352内のテープに標的熱(Δ)を加える。この熱は、レーン352のテープが積層体400上に圧縮される時点で、又はその直前に加えられる。これにより、テープの追加されたレーン又は紛失したレーン、ならびに破片を検出できる。レーン352のテープが表面430に付着される場合、レーンと下にある積層体との間に温度差が存在する。これにより、圧縮ローラー620を追跡するIRカメラ610からのサーモグラフィ画像を再検討する場合、レーンを下にある積層体から区別することができるようになる。
【0048】
図7は、例示的な実施形態における破片を検出するために積層体を検査するためのヘッド380の側面図である。図7に示すように、ヘッド380は方向700に進み、テープのレーン352を積層体400の表面430上に圧縮するための圧縮ローラー720を含む。ヘッド380はまた、ヒータ730及びIRカメラ710、ならびにヒータ732及びIRカメラ712を含む。ヒータ730は、表面430の温度を上昇させるために、表面430に熱(Δ)を加える。したがって、表面430に位置する破片750(例えば異物破片(FOD)、繊維の丸い塊など)は、ヒータ730によって加熱される。破片の下にある熱特性が表面430の熱特性と異なる可能性が高いため、又は破片の形状が表面430と比較して熱を保持する能力を変える可能性があるため、及び/又は破片の形状が画像分析によって認識され得るため、破片750は、IRカメラ710によって取得されたサーモグラフィ画像内で検出され得る。
【0049】
ヘッド380は、追加的にヒータ732及びIRカメラ712を含む。ヒータ732は、レーン352の温度を上昇させる。これは、IRカメラ712が破片760(例えば、オイルなど、ヘッド380から落下する新しい破片)とレーン352とをより良く区別するのに役立つ。したがって、1つ又は複数のレーン352のテープがレイアップされる前に、表面430上に破片が存在する場合、破片はIRカメラ710により検出されることができ、一方、レーン352がレイアップされた後に、レーン352に落ちる破片はIRカメラ712により検出され得る。
【0050】
図7に示された構成は、IRカメラ712が、破片750を間接的にもまた検出できるという追加の利点を有する。破片750は、レーン352と積層体表面430との間の直接接触とは異なって、レーン352と積層体表面430との間に熱を伝達することが多い。破片750が直接接触よりも断熱性が高い(すなわち熱伝導がより悪い)場合、又は破片750がレーン352と積層体表面430の間にエアギャップ(これも絶縁する)を誘発する場合、そのとき破片750上方の1つ又は複数のレーン352の領域は、周囲のレーンよりも高温を示し、このホットスポットはレーン352の下に埋設された破片750の検出として使用され得る。破片750がレーン352と積層体表面430との間の直接接触よりも伝導性が高い(すなわち、熱伝導がより良い)場合、そのとき破片750より上方のレーン352の領域は、周囲のレーン352よりも低温を示し、このコールドスポットはレーン352の下に埋設された破片750の検出として使用され得る。
【0051】
図8から図13は、テープのレーンの端部、レイアップ不整合、及び破片をそれぞれ識別するための様々な特定の技術を示す。具体的には、図8及び図9はテープのレーンの端部の識別を説明し、図10及び図11はレイアップ不整合の識別を説明し、図12及び図13は破片の識別を説明する。
【0052】
図8は、例示的な実施形態におけるテープのレーンの端部を検出するための、テープレイアップ検査システムを作動させる方法800を示すフローチャートである。方法800のステップは、図1のテープレイアップ検査システム100に関して説明されており、図5又は図6に示されたヘッド380、又はさらに図7に示されたヘッド380を介して実施され得る。方法800は、積層体にテープのレーンをレイアップ及び画像化するために、上述の方法200のステップ202~206で開始することができる。
【0053】
ステップ802において、コントローラー112は、サーモグラフィ画像118内の対比を分析して、テープ154のレーン160を識別する。コントローラー112は、サーモグラフィ画像118内の複数のピクセルのそれぞれで値(例えば、強度レベル、又は輝度レベル)を識別することができる。サーモグラフィ画像内のピクセル値は温度に対応している。したがって、コントローラー112は、隣接するピクセルの値の間の差に基づいて、異なる温度を有する領域を識別することができる。
【0054】
このプロセスには、隣接するピクセルの隣接領域に対して所定の閾値を超える温度差を有するピクセルの隣接領域を識別するステップ、又は温度の閾値範囲(例えば、華氏5度、華氏50度)内にあるすべての隣接するピクセルを互いに一体に1つの領域の中にグループ化するステップが含まれる。例えば、テープ154のレーン160が積層体150に関して華氏1度~50度の温度差を有することが知られている場合、コントローラー112は、周囲領域に対して対応する温度差を有するピクセルの隣接領域をテープのレーンであると識別することができる。
【0055】
ステップ804で、コントローラー112は、テープ154のレーン160の方向を決定する。テープのレーンの方向は、ヘッド140がレーンをレイアップすると同時に移動する方向である。方向は、位置データ120及び/又はNCプログラム135によって指定された方向と組み合わせて考察される、ヘッド140に対するカメラの既知の配向に基づいて事前に定義され得る。コントローラー112は、ヘッド140がNCプログラム135によって示される方向に移動することを確認するために位置データ120をさらに使用することができる。別法として、方向は、あるいはサーモグラフィ画像内に描かれたレーンについて見られた最長軸線に基づいて動的に決定され得る。
【0056】
ステップ806では、コントローラー112は、テープの各レーンについて、ステップ804で決定された方向に進む場合に温度が閾値を超えて変化する境界を識別する。すなわち、テープの各レーンの境界内で、コントローラー112は、境界が検出されるまでその方向にピクセルごとに移動しながら、隣接する/近傍のピクセルの値を再検討する。上記に考察されるように、境界検出のために使用される閾値は、熱硬化性材料と熱可塑性材料の間で異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、ステップ806は、サーモグラフィ画像118に縁部検出アルゴリズムを実行する(例えば、ラプラシアン又は他のフィルタを適用する)ステップ、及び温度間で急激な遷移が生じる領域を識別するステップを含み得る。
【0057】
ステップ808で、コントローラー112は、テープ154の各レーン160について、対応する境界の箇所を決定する。これは、例えば、IRカメラが熱画像を生成した時点でのIRカメラの既知の位置及び/又は配向、ならびにIRカメラとピクセルの座標との間の既知のオフセットに基づいて、サーモグラフィ画像118の座標を積層体150の箇所に変換するステップを含み得る。
【0058】
ステップ810において、コントローラー112は、サーモグラフィ画像内で検出された境界に基づいて、テープ154のレーン160の端部の箇所を報告する。例えば、コントローラー112は、テキストレポート又は積層体150の画像の上に提供されたオーバーレイのいずれかで、ステップ808で決定された箇所を報告することができる。レーン160の端部の箇所が、それらの意図された開始箇所及び停止箇所から閾値(例えば、1インチ、10インチなど)を超える場合、コントローラー112は、報告の一部としてこの状態を示すことができる。ステップ812において、コントローラー112は、レーンの端部が許容範囲内にあるかどうかを決定する。レーンの端部のいずれかが許容範囲外である場合、ステップ814はこれらの端部を処分するステップを含む。処分するステップは、端部について発見された許容範囲外の状態に対処するための行動方針の任意のタイプの決定を含むことができる。
【0059】
図9は、例示的な実施形態におけるコースの一部のサーモグラフィ画像900である。サーモグラフィ画像内では、異なる温度を有する物体を表すピクセルは、異なる値(輝度のレベルなど)を有するであろう。したがって、冷たい物体に対するピクセルは、暖かい物体のピクセルよりも暗く見える可能性がある。コントローラー112は、縁部検出アルゴリズムを適用するか、さもなければ閾値(例えば、摂氏0.56度/華氏1度)よりも大きいY方向930に沿った温度の遷移を検索することにより、サーモグラフィ画像900を分析することができる。次に、コントローラー112は、サーモグラフィ画像900内に描かれた各レーンの箇所及び厚さを決定することができる。繊維は、テープの各レーン内で任意の適切な方向に配向され得る。例えば、上部レーンを示す領域922は幅W1を有し、中央部レーンを示す領域924は幅W2を有し、下部レーンを示す領域926は幅W3を有する。これらの領域は、下にある積層体を表す領域920によって囲まれている(温度の違いによって決定される)。各レーンが占めるY座標内で、コントローラー112は、X方向940にピクセルを横切って、閾値より大きいピクセル間の境界910を識別することができる。このようにして識別された各境界910について、コントローラー112は、画像内の境界910のX座標及びY座標をレーンの端部として識別することができる。例えば、上部レーンはX1で終わり、中央部レーンはX2で終わり、下部レーンはX3で終わる。境界がピクセルの領域を含む実施形態では、コントローラー112は、領域の重心を計算し、重心の座標を使用することができる。座標は、位置データ120に基づいて積層体150の箇所に変換されることができ、箇所はNCプログラムで示された所望の箇所に対して比較され得る。箇所が目的の箇所から閾値距離(例えば、1フィート、1インチなど)を超える場合、次いで技術者は、任意の許容範囲外の状態を処分する(例えば、再加工する)ために、積層体のレイアッププロセスを一時停止することを選択できる。加えて、所望のレーン箇所を各層について識別されたレーン箇所と比較する統計的報告が技術者に提供され得る。
【0060】
図10は、例示的な実施形態におけるレイアップ不整合を検出する方法1000を示すフローチャートである。方法1000のステップは、図1のテープレイアップ検査システム100に関して説明されており、図5又は図6に示されたヘッド380、又はさらに図7に示されたヘッド380を介して実施され得る。方法1000は、積層体にテープのレーンをレイアップ及び画像化するために、上述の方法200のステップ202~206で開始することができる。
【0061】
ステップ1002は、サーモグラフィ画像118内の対比を分析して、テープ154のレーン160を識別するステップを含む。これは、積層体150とレーン160との間の温度差の予想される量に基づいて実施することができ、上記に提供される方法800のステップと同様の方法で実施され得る。
【0062】
ステップ1004において、テープの各レーンについて、コントローラー112は、温度差についてレーンの内部を再検討する。これらの温度差は、レーンの内部が異なる領域と見なされないほど十分に小さい可能性があるが、しかし十分に大きい場合がある(不整合が存在する可能性があることを示すため)。したがって、ステップ1004は、テープのレーン内で見つかったレイアップ不整合の検出を容易にする。
【0063】
ステップ1006で、テープの各レーンについて、コントローラー112は、形状の不整合についてレーンの境界を再検討する。例えば、レーンは、形状が略矩形であり、長い直線で構成される境界を有すると予想され得る。境界が高い曲率又は不規則性を示す場合、これはレイアップ不整合の存在を示す可能性がある。したがって、ステップ1006は、テープの1つ又は複数のレーンの縁部で発見されたレイアップ不整合の検出を容易にする。
【0064】
ステップ1008において、コントローラー112は、例えばステップ1004及びステップ1006の再検討に基づいて、レイアップ不整合の存在を決定する。ステップ1010において、コントローラー112は、レイアップ不整合のサイズ、レイアップ不整合の形状、又はレイアップ不整合での温度差の少なくとも1つに基づいてレイアップ不整合を分類する。例えば、検出機能122は、トウの幅が所定量未満に変化する場合、トウ間のギャップが閾値を超えて増加又は閾値未満に減少する場合、トウの境界がギザギザである場合など、不整合が存在することを示すことができる。形状、サイズ、及び温度の様々な組み合わせに基づいて、検出機能122の異なるものがトリガされ得る(したがって、コントローラー112によって異なる分類の不整合を割り当てることができる)。ステップ1012で、コントローラー112は、許容範囲外のレイアップ不整合を識別し、ステップ1014で、コントローラー112は、再検討のために許容範囲外のレイアップ不整合を報告する(例えば、技術者が許容範囲外の状態の処分に従事できるようにするため)。
【0065】
図11は、例示的な実施形態におけるレイアップ不整合を含むコースの一部のサーモグラフィ画像1100である。サーモグラフィ画像内では、異なる温度を有する物体を表すピクセルは、異なる値(輝度のレベルなど)を有するであろう。したがって、冷たい物体に対するピクセルは、暖かい物体のピクセルよりも暗く見える可能性がある。レーンは、X方向1160に沿った長さ、及びY方向1150に沿った幅を有する。この実施形態では、レーン1122及び1124は不整合を含まないが、一方、レーン1126は、ひだの形態のレイアップ不整合1130及びしわの形態のレイアップ不整合1140を含む。レイアップ不整合1130は、レーン1126が予想幅を下回るか、幅が変化することに基づいて決定されることが可能であり、あるいはレーン1126の縁部の曲率が変化するか、又は事前に規定された範囲内にあることを決定することによって検出され得る。レイアップ不整合は、レーン1126と積層体の下にある層1120との間の温度差(閾値を超える)によってもやはり検出され得る。一方、レイアップ不整合1140は、その長くて狭い形状、及びレーン1126の残りの部分に対して既知の温度差を有することに基づいて検出され得る。
【0066】
図12は、例示的な実施形態におけるサーモグラフィ画像に基づいて破片の箇所を決定する方法1200を示すフローチャートであり、図7に示されるヘッド380を介して実施され得る。方法1200のステップは、図1のテープレイアップ検査システム100に関連して説明されるが、しかし所望の他のシステムで実行され得る。方法1200は、ステップ1202でヒータ141を介して積層体150の表面156を加熱するステップ、及びステップ1204でIRカメラ142を介して表面156のサーモグラフィ画像118を生成するステップを含む。方法1200はまた、ステップ1206において、テープディスペンサ143を介して積層体150の表面156上にテープ154のレーン160をレイアップするステップを含む。ステップ1208では、方法1200は、ヒータ144を介してテープ154のレーン160を加熱するステップを含み、ステップ1210は、積層体150に付着されるテープ154のレーン160のサーモグラフィ画像を生成するステップを含む。理想的には、レーン160は積層体150と同じ温度に加熱される。これにより、破片(例えば、FOD)が、レーン160及び積層体150が作られているテープ154からより容易に区別することが可能になる。
【0067】
積層体150及び積層体150に付着されたレーン160の両方を示すサーモグラフィ画像118を取得すると、温度の違いを識別することにより、異物破片を正確かつ効率的に見つけることができる。ステップ1212において、コントローラー112は、異なる温度を有する異なる領域を識別するために、サーモグラフィ画像内の対比を分析し、これは、上述の技術と同様の方法で実施され得る。しかし、破片の異なる分類は実質的に異なる熱特性に関連付けられる可能性があるため、それぞれ異なるタイプの破片に対応する様々な異なる温度閾値に基づいて領域を区別することができる。例えば、テープの繊維の丸い塊は、下にある積層体よりも高い温度の第1の範囲であり、サイズが小さく、不規則な境界を有すると予想され得るが、一方、液体は、下にある積層体よりも低い温度の第2の範囲であり、幅広いサイズ及び滑らかな境界を有すると予想され得る。したがって、方法1200で別々の領域を定義するための基準として使用される温度差の量(例えば、5度未満、2度未満など)は、他の方法に関して説明された温度差の量よりもはるかに小さい可能性がある。
【0068】
サーモグラフィ画像はテープのレーンをレイアップする前と後の両方で取得されるため、サーモグラフィ画像内の対比を分析するステップは、テープの少なくとも1つの層で覆われた破片を識別するために、積層体の表面のサーモグラフィ画像を再検討するステップと、さらにテープのレーンの表面の破片を識別するために、積層体に付着されたテープのレーンのサーモグラフィ画像を再検討するステップとを含むことができる。IRカメラ710によって検出された許容範囲外の一片の破片の上にコースをレイアップする前に、プロセスを停止することがさらに可能である。これにより、破片の上にコースを付着する前に処分(例えば、破片の一片の除去など)が可能になる。破片が許容範囲を超えていない場合、その上にコースを付着させることが所望の動作になる可能性がある。レーン又はコース間の境界での破片の検出を容易にするために、画像は、破片が配置される可能性のある箇所を捕捉するために十分な広視野を有することができる。
【0069】
ステップ1214において、コントローラー112は、領域のサイズ、領域の形状、又はその領域と他の領域との間の温度差の少なくとも1つに基づいて、領域内の破片のタイプを分類する。例えば、繊維の丸い塊は、不規則な形状を有し、下にある積層体と特定の温度差があり、小さい(例えば、直径1センチメートル未満の領域に対応する最大ピクセル数を有する)と予想され得る。金属の削りくずなどの粒子は特に小さいか、周囲と温度が異なることが予想され、液体は周囲との温度差の範囲が異なり、丸い境界を有することが予想され得る。さらに、いくつかの実施形態では、任意のサイズの金属削りくずは許容範囲外であると見なされ、特定のサイズ未満の丸い塊は許容範囲内であると見なされる可能性がある。検出機能122は、積層体の様々な領域のそれぞれを破片の分類に分類するための条件を示すことができる。破片がコントローラー112によって分類及び識別された後、コントローラー112は、検出された破片の性質、箇所、及び/又は重大度を示すレポートを生成することができる。ステップ1216において、許容範囲外の破片は、コントローラー112によって(例えば、そのサイズ及び分類に基づいて)識別され、ステップ1218において、許容範囲外の破片は、処分(例えば、除去)のために技術者に報告される。
【0070】
図13は、例示的な実施形態における破片を含むコースの一部のサーモグラフィ画像1300である。サーモグラフィ画像内では、異なる温度を有する物体を表すピクセルは、異なる値(輝度のレベルなど)を有するであろう。したがって、冷たい物体に対するピクセルは、暖かい物体のピクセルよりも暗く見える可能性がある。この実施形態では、コースは、レーン1322、レーン1324、及びレーン1326を含む。レーン1322は、周囲よりも高温になっている金属ペレット1330の形態の破片を含み、レーン1326は、周囲よりも冷たくなっている液体水たまり1340の形態の破片を含む。この場合、金属ペレット1330は、レーン1322と下にある積層体1320との境界をまたいでいる。コースはX方向1360に進み、Y方向1350に沿った幅を有する。
【0071】
図14は、例示的な実施形態において画像座標を物理的箇所と相関させる方法1400を示すフローチャートである。方法1400のステップ1402では、コントローラー1412は、サーモグラフィ画像がIRカメラ145によって生成された時点でのIRカメラ145の位置及び/又は配向を決定する。これは、図1の位置センサ139によって報告される位置データ120の形態でもたらされ得る。ステップ1404において、コントローラー112は、サーモグラフィ画像内に描かれた形態の座標(例えば、X及びY位置)を決定する。これは、隣接する領域とは異なる温度を有する領域を識別するステップ、及び領域の重心を計算するステップを含み得る。
【0072】
ステップ1406は、IRカメラ145の位置及び形態の座標に基づいて積層体の箇所を決定するステップを含む。例えば、位置データは、サーモグラフィ画像が撮影された場合のIRカメラ145の位置及び配向を示すことができる。カメラはテープレイアップ機械のヘッドに対して固定されているため、すべての画像内の各座標は、IRカメラ145からの既知の物理的オフセットに相当することができる。したがって、オフセットを適用することにより、積層体での形態の実際の箇所が確実に決定され得る。
【0073】
図15は、例示的な実施形態におけるテープ敷設プロセスを制御する方法1500を示している。この方法は、表面上にテープをレイアップするステップ(ステップ1502)と、テープをレイアップすると同時に、レイアップされた表面、ならびにIRイメージングを使用してレイアップされたテープを検査するステップ(ステップ1504)とを含む。この方法は、許容範囲外の状態のIRイメージングを再検討するステップと、許容範囲外の状態が検出された場合にテープ敷設を停止するステップとをさらに含む(ステップ1508)。
【0074】
図16は、例示的な実施形態において、テープ敷設プロセス中に許容範囲外の不整合を検出する方法1600を示す。この方法は、テープが付着される表面を加熱するステップ(ステップ1602)と、表面のIR画像を取得するステップ(ステップ1604)と、許容範囲外の不整合がIR画像に描かれていることを決定するステップ(ステップ1606)とを含む。
【0075】
図17は、例示的な実施形態における複合表面を検査する方法1700を示す。方法1700は、加熱された表面上に温度差を作成するステップ(ステップ1702)と、表面上の温度差を検出するステップ(ステップ1704)と、温度差に基づいて、許容範囲外の不整合が存在することを決定するステップ(ステップ1706)とを含む。
【0076】
図18は、例示的な実施形態における複合構造を作成する方法1800を示す。この方法は、IRイメージングを用いて、積層体が敷設される表面を検査するステップを含む(ステップ1802)。この方法は、許容範囲外の状態についてIRイメージングを再検討するステップ(ステップ1804)と、許容範囲外の状態に達する前にテープのレイアップを停止するステップ(ステップ1806)とをさらに含む。
【0077】
図19A及び図19Bは、例示的な実施形態におけるテープ端部レイアップを検査する方法1900及び1950を示す。方法1900は、積層体にテープのレーンをレイアップするステップ(ステップ1902)と、テープのレーンを熱的に画像化するためにIRカメラを操作するステップ(ステップ1904)と、テープのレーンの端部を識別するために熱画像を再検討するステップ(ステップ1906)と、テープのレーンの端部が許容範囲外であるかどうかを決定するステップ(ステップ1908)と、処分のために許容範囲外のテープのレーンを報告するステップ(ステップ1910)とを含む。
【0078】
図19Bは、テープ端部レイアップを検査する方法1950を示す。粘着を改善するために、テープを配置する前にテープを加熱することに焦点を合わせた場合の方法1950。方法1950は、図示の実施形態においてテープ敷設プロセス中に許容範囲外の不整合を検出するために使用され得る。この方法は、テープが表面に付着される前にテープを加熱するステップ(ステップ1952)と、表面のIR画像を取得するステップ(ステップ1954)と、許容範囲外の不整合がIR画像に描かれていることを決定するステップ(ステップ1956)とを含む。
【0079】
実施例
図面をより詳細に参照すると、本開示の実施形態が、図20に示す方法2000及び図21に示す航空機2002の航空機製造及び保守点検の文脈で説明され得る。量産初回中、方法2000は、航空機2002の仕様及び設計2004、ならびに材料調達2006を含むことができる。製造中、構成要素及び部分組立品の製造2008ならびに航空機2002のシステム統合2010が生じる。その後、航空機2002は、就航中2014の中に配置されるために、認証及び搬送2012を経ることができる。顧客によって就航中に、航空機2002は、日課の整備及び保守点検2016のための予定を組み込まれる(整備及び保守点検には、修正、再構成、改装などもまた含まれる可能性がある)。本明細書で実施される装置及び方法は、方法2000(例えば、仕様及び設計2004、材料調達2006、構成要素及び部分組立品の製造2008、システム統合2010、認証及び搬送2012、就航中2014、整備及び保守点検2016)で説明される生産及び保守点検の任意の1つ若しくは複数の適切な段階中に、ならびに/又は航空機2002の適切な構成要素(例えば、機体2018、システム2020、内部2022、推進システム2024、電気システム2026、油圧システム2028、環境システム2030)の中で採用され得る。
【0080】
方法2000の各工程は、システムインテグレータ、第三者及び/又は操作者(例えば、顧客)によって、実施又は実行され得る。この説明の目的のために、システムインテグレータは、限定されないが、任意の数の航空機製造者及び主システム下請人を含むことができ、第三者は、限定されないが、任意の数の売主、下請人及び供給者を含むことができ、操作者は、航空会社、リース会社、軍事会社、サービス機構などであることができる。
【0081】
図21に示すように、方法2000によって製造される航空機2002は、複数のシステム2020及び内部2022を含む機体2018を備えることができる。システム2020の実施例は、推進システム2024、電気システム2026、油圧システム2028及び環境システム2030の1つ又は複数を含む。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙の実施例が図示されているが、本発明の原理が、自動車産業などの他の産業に応用され得る。
【0082】
上記に既に述べたように、本明細書で実施される装置及び方法は、方法2000に記載される製造及び保守点検の任意の1つ又は複数の段階の間に採用され得る。例えば、構成要素及び部分組立品の製造2008に相当する構成要素又は部分組立品は、航空機2002が就航中の間に製造される構成要素及び部分組立品と同様の方法で製作又は製造され得る。さらに、1つ若しくは複数の装置の実施形態、方法の実施形態又はその組み合わせが、例えば航空機2002の組立を実質的に促進し、又は航空機2002の費用を低減することによって、部分組立品の製造2008及びシステム統合2010の間に利用され得る。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態又はそれらの組み合わせの1つ又は複数が、航空機2002が就航中に、例えば、限定しないが、整備及び保守点検2016の間に利用され得る。例えば、本明細書で説明する手法とシステムは、材料調達2006、構成要素及び部分組立品の製造2008、システム統合2010、就航中2014、ならびに/若しくは整備及び保守点検2016に使用可能であり、ならびに/又は機体2018及び/若しくは内部2022に使用され得る。これらの技術及びシステムは、例えば、推進システム2024、電気システム2026、油圧2028、及び/又は環境システム2030を含むシステム2020にさえも利用され得る。
【0083】
一実施形態では、部品は機体2018の一部を含み、構成要素及び部分組立品の製造2008の間に製造される。次いで、部品はシステム統合2010で航空機に組み立てられ、摩耗により部品が使用できなくなるまで、就航中2014に使用され得る。次いで、整備及び保守点検2016では、部品は廃棄され、新しく製造された部品と交換される可能性がある。本発明の構成要素及び方法は、新しい部品に硬化される積層体を製造するために、構成要素及び部分組立品の製造2008全体で利用され得る。
【0084】
図示されるか、又は本明細書で説明される任意の様々な制御要素(例えば、電気又は電子構成要素)は、ハードウェア、ソフトウェアを実装するプロセッサ、ファームウェアを実装するプロセッサ、又はこれらの何らかの組み合わせとして実施され得る。例えば、要素は専用のハードウェアとして実装され得る。専用のハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラー」、又は同様の用語で呼ばれ得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はその一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラー」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、限定的ではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ストレージ、ロジック、又はその他の物理ハードウェア構成要素若しくはモジュールを暗黙に含み得る。
【0085】
また、制御要素は、要素の機能を実行するためにプロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実装され得る。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、ファームウェアである。命令は、要素の機能を実行するようにプロセッサに命令するために、プロセッサによって実行される場合に動作可能である。命令は、プロセッサで読み取り可能な記憶装置に保存され得る。記憶装置のいくつかの例は、デジタル又は固体メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、あるいは光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0086】
特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示の範囲はそれらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0087】
300 テープレイアップ機械
350 積層体
352 レーン
353 レーン
360 回転ホルダー
362 Z軸線
364 Y軸線
366 X軸線
370 支持体
380 ヘッド
400 積層体
420 コース
430 積層体表面
440 破片
450 レイアップ不整合
510,610,710,712 IRカメラ
520,620,720 圧縮ローラー
530,532,632,730,732 ヒータ
750,760 破片
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