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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】パラメータ設定システム
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/95 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H03K17/95 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020045302
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150673
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】田辺 樹
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/126029(WO,A1)
【文献】特開平07-177011(JP,A)
【文献】特開平05-022103(JP,A)
【文献】特開平09-238063(JP,A)
【文献】特開2017-130897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/74-17/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出用コイルと、
発振して前記検出用コイルに高周波磁界を発生させる発振回路と、
前記発振回路による発振の振幅を検波する検波回路と、
運転モードを検出モードと設定モードに切替え可能な切替え部と、
運転モードが設定モードである場合に、サンプリング周期に応じ、前記検波回路により検波された振幅が閾値を超えているか否かにより2進数を検出することで、当該検波された振幅をデジタル信号に変換する変換部と、
運転モードが設定モードである場合に、前記変換部により得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部とを備え、
前記閾値は、運転モードが検出モードである場合に被検出体の近接有無を判定するための閾値と同じである
ことを特徴とする近接スイッチと、
前記変換部で所定のパラメータの設定を行うためのデジタル信号が得られるように、前記検波回路により検波された振幅が、前記変換部での前記サンプリング周期に応じて、前記変換部で用いられる前記閾値を超える振幅と当該閾値を超えない振幅とを交互に繰り返すような信号を出力する設定用送信デバイスとを備え、
前記発振回路は、運転モードが設定モードである場合に、前記設定用送信デバイスが出力する信号に伴って発振する
ことを特徴とするパラメータ設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接している被検出体を検出する近接スイッチに対してパラメータの設定を行うパラメータ設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近接スイッチ(近接センサ)は、近接している金属等の導電体を有する被検出体を検出する(例えば特許文献1参照)。より具体的には、近接スイッチは、被検出体との間の距離に応じて変化する検出用コイルのインピーダンス又はQ値等に基づいて、近接している被検出体を検出する。なお、Q値は、電磁誘導作用によるインダクタンス損失を示す値であり、Q値が高い程損失が小さい。また、近接スイッチは、使用目的によっては、被検出体と近接スイッチ上の基準点との間の距離を検出する機能を有している。基準点は、例えば、検出用コイルが収納されたステンレスカバーにおける前面(被検出体と向き合う面)上の点である。
【0003】
近年、IoT(Internet of Things)の動向等に伴い、各種センサの多機能化が進んでおり、近接スイッチにおいてもパラメータ(設定パラメータ又は調整パラメータ)が増える傾向にある。例えば、指定された金属の種類に対応した閾値が選択されることで、複数種類の金属から成る被検出体に対する性能向上を図った近接スイッチが知られている(例えば特許文献2参照)。また、複数の閾値を設定し、多段で被検出体との間の距離に応じた検出が可能な近接スイッチも知られている(例えば特許文献3,4参照)。このような多機能化の傾向において、近接スイッチに対するパラメータの設定(調整を含む)は、IO-Linkマスタ経由でPCにて実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-216863号広報
【文献】特開2017-130897号広報
【文献】特開2019-121843号広報
【文献】特開2019-121845号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の近接スイッチに対する設定は、IO-Linkマスタ経由でPCにて実施されている。しかしながら、クリーンルーム等の現場で用いられる近接スイッチに対するパラメータの設定では、PCをクリーンルーム内に持ち込むことができない。また、ユーザによっては、IO-Linkマスタを準備できない場合がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、PC及びIO-Linkマスタを用いずに、パラメータの設定が可能なパラメータ設定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るパラメータ設定システムは、検出用コイルと、発振して検出用コイルに高周波磁界を発生させる発振回路と、発振回路による発振の振幅を検波する検波回路と、運転モードを検出モードと設定モードに切替え可能な切替え部と、運転モードが設定モードである場合に、サンプリング周期に応じ、検波回路により検波された振幅が閾値を超えているか否かにより2進数を検出することで、当該検波された振幅をデジタル信号に変換する変換部と、運転モードが設定モードである場合に、変換部により得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部とを備え、閾値は、運転モードが検出モードである場合に被検出体の近接有無を判定するための閾値と同じであることを特徴とする近接スイッチと、変換部で所定のパラメータの設定を行うためのデジタル信号が得られるように、検波回路により検波された振幅が、変換部でのサンプリング周期に応じて、変換部で用いられる閾値を超える振幅と当該閾値を超えない振幅とを交互に繰り返すような信号を出力する設定用送信デバイスとを備え、発振回路は、運転モードが設定モードである場合に、設定用送信デバイスが出力する信号に伴って発振することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、PC及びIO-Linkマスタを用いずに、パラメータの設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態2に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。
図3図3A図3Cは、実施の形態2に係る近接スイッチの動作例を示す図である。
図4】実施の形態3に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。
図5図5A図5Bは、実施の形態3に係る近接スイッチの動作例を示す図である。
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。
パラメータ設定システムは、近接スイッチ1に対してパラメータ(設定パラメータ又は調整パラメータ)の設定(調整を含む)を行う。このパラメータ設定システムは、図1に示すように、近接スイッチ1及び設定用送信デバイス2を備えている。
【0011】
近接スイッチ1は、近接している被検出体(不図示)を検出する。被検出体は、金属等の導電体を有する。図1に示す近接スイッチ1は、共振回路101、発振回路102、増幅器103、検波回路104、比較器105、出力回路106、切替え部107(不図示)、比較器(変換部)108、通信制御回路109、設定回路110、駆動回路111及びLED112を備えている。
【0012】
共振回路101は、検出用コイルLとコンデンサCとが並列接続されたLC共振回路である。なお図1では、検出用コイルLに発生する損失抵抗Rが示されている。損失抵抗Rの値は、被検出体と近接スイッチ1(検出用コイルL)との間の距離に応じて変化する。
【0013】
発振回路102は、発振して検出用コイルLに高周波磁界を発生させる。検出用コイルLが発生する高周波磁界に被検出体が近づくと、被検出体に誘導電流が流れて熱損失が発生し、検出用コイルLのインピーダンス又はQ値等が変化して発振回路102による発振が減衰する。
【0014】
増幅器103は、発振回路102による発振を増幅する。なお、増幅器103は、近接スイッチ1に必須の構成ではなく、近接スイッチ1に設けられていなくてもよい。
【0015】
検波回路104は、増幅器103による増幅後の発振の振幅を検波する。すなわち、検波回路104は、上記発振の振幅を直流化して整流する。
【0016】
比較器105は、検波回路104により検波された振幅を閾値と比較する。比較器105で用いられる閾値は、被検出体の近接有無を判定するために用いられる閾値であり、予め設定される。
【0017】
出力回路106は、比較器105による比較結果に基づいて、被検出体の近接有無を示す信号を外部に出力する。
【0018】
なお、図1に示す近接スイッチ1が有する構成のうち、共振回路101、発振回路102、増幅器103、検波回路104、比較器105及び出力回路106は、従来の近接スイッチが有する構成と同様である。また、近接スイッチ1が有する上記構成(共振回路101、発振回路102、増幅器103、検波回路104、比較器105及び出力回路106)は、図1に示す構成に限らない。また、近接スイッチ1は、被検出体と近接スイッチ1上の基準点との間の距離を検出する機能を有していてもよい。
【0019】
切替え部107は、近接スイッチ1の運転モードを切替え可能とする。運転モードには、検出モード及び設定モードが含まれる。検出モードは、近接スイッチ1が被検出体の近接有無を検出するためのモードである。設定モードは、近接スイッチ1に対してパラメータの設定を行うためのモードである。切替え部107としては、例えばスイッチが挙げられる。
【0020】
比較器108は、発振回路102による発振に基づく信号の振幅が閾値を超えているか否かということ自体をデジタル信号に変換する。ここで、上記発振回路102による発振に基づく信号の振幅は、検波回路104により検波された振幅である。比較器108で用いられる閾値は、比較器105で用いられる閾値と同じである。
【0021】
通信制御回路109は、運転モードが設定モードである場合に、比較器108により得られたデジタル信号を設定回路110及び駆動回路111に出力する。またこの際、通信制御回路109は出力回路106に対してもデジタル信号を出力し、出力回路106から当該デジタル信号を外部に出力させてもよい。
【0022】
設定回路110は、通信制御回路109により出力されたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う。この際、設定回路110は、予め規定された処理に従って、パラメータを記憶部(不図示)に記憶させる。なお、記憶部は、設定回路110の内部に設けられていてもよいし、設定回路110の外部に設けられていてもよい。設定回路110としては、例えばレジスタが用いられる。
【0023】
なお、通信制御回路109及び設定回路110は、「運転モードが設定モードである場合に、変換部により得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部」を構成する。
【0024】
駆動回路111は、通信制御回路109により出力されたデジタル信号に応じて、LED112を駆動させる。
LED112は、駆動回路111による制御に応じて発光する。
【0025】
なお、駆動回路111及びLED112は、近接スイッチ1に必須の構成ではなく、近接スイッチ1に設けられていなくてもよい。
【0026】
設定用送信デバイス2は、比較器108で所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、検波回路104により検波された発振の振幅が、比較器108でのサンプリング周期に応じて、比較器108で用いられる閾値を超える振幅と当該閾値を超えない振幅とを交互に繰り返すような信号を出力する。
【0027】
次に、図1に示す実施の形態1に係るパラメータ設定システムによる設定調整動作例について説明する。
ここで、近接スイッチ1は、センサの本質として、被検出体を検出するための検出用コイルLを有し、また、パラメータの設定の際には検出は行う必要はない。そこで、実施の形態1に係る近接スイッチ1では、検出用コイルLをパラメータ設定の信号入力デバイスとして流用する。これにより、この近接スイッチ1では、PC及びIO-Linkマスタを用いず、また、別途、パラメータ設定のための信号入力機能を追加することなく、パラメータ設定の作業効率を改善可能となる。
【0028】
具体的には、実施の形態1に係る近接スイッチ1に対してパラメータの設定を行う場合、作業者は、まず、近接スイッチ1の切替え部107を介して、近接スイッチ1の運転モードを設定モードに切替える。次に、作業者は、設定用送信デバイス2を用いて、比較器108で所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、検波回路104により検波された発振の振幅が、比較器108で用いられる閾値を超える振幅と当該閾値を超えない振幅とを交互に繰り返すような信号を出力する。これにより、近接スイッチ1ではデジタル信号が得られ、設定回路110は当該デジタル信号に従ってパラメータの設定を行う。
【0029】
例えば、比較器105で用いられる閾値を「5」に設定する場合を考える。ここで、「5」は、2進数で表すと「101」である。そこで、例えば、作業者は、近接スイッチ1の運転モードを設定モードに切替えた後、設定用送信デバイス2を用いて、比較器108で「101」を示すデジタル信号が得られるような信号を出力する。これにより、設定回路110は、「101」を示すデジタル信号に従って、比較器105で用いられる閾値を「5」に設定可能となる。
【0030】
なお、近接スイッチ1に対するパラメータの設定では、閾値の設定を行うことは可能であるが、比較器105,108で用いられる閾値自体に影響を与えない範囲での設定が前提となる。
【0031】
以上のように、この実施の形態1によれば、近接スイッチ1は、検出用コイルLと、発振して検出用コイルLに高周波磁界を発生させる発振回路102と、運転モードを設定モードに切替え可能な切替え部107と、発振回路102による発振に基づく信号の振幅が閾値を超えているか否かということ自体をデジタル信号に変換する比較器108と、運転モードが設定モードである場合に、比較器108により得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部とを備えた。これにより、実施の形態1に係る近接スイッチ1は、PC及びIO-Linkマスタを用いずに、パラメータの設定が可能となる。
【0032】
なお、近接スイッチ1の一般的な使われ方を鑑みれば、特定の現場又は装置で複数使用される近接スイッチ1では、パラメータの設定が一律である場合も多い。よって、近接スイッチ1に設定情報を取得させるデバイス(設定用送信デバイス2)についても、例えばカードのようなシンプルなもので済むことが多いと考えられる。また、シンプルにする程、クリーンルーム等での悪影響は低減されるため好適である。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1に係る近接スイッチ1では、運転モードを設定モードに切替えた上で、パラメータの設定を行う方式を採用している。これに対し、実施の形態2では、近接スイッチ1に入力される信号レベルに応じて検出処理と設定処理を自動的に切替える方式を採用した場合について示す。
図2は実施の形態2に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。この図2に示す実施の形態2に係るパラメータ設定システムは、図1に示す実施の形態1に係るパラメータ設定システムの切替え部107及び比較器108を、フィルタ部113及び比較器(変換部)108bに変更している。その他の構成は実施の形態1と同様であり、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0034】
フィルタ部113は、発振回路102による発振のうち、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数よりも高い周波数の信号を検出するハイパスフィルタである。ここで、通常、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振の周波数は、10kHz~1MHz程度である。そのため、フィルタ部113としては、上記のような周波数よりも高い周波数の信号を検出可能なフィルタが用いられる。
【0035】
比較器108bは、フィルタ部113により検出された成分をデジタル信号に変換する。
【0036】
なお、通信制御回路109は、比較器108bにより得られたデジタル信号を設定回路110及び駆動回路111に出力する。またこの際、通信制御回路109は出力回路106に対してもデジタル信号を出力し、出力回路106から当該デジタル信号を外部に出力させてもよい。
【0037】
また、設定用送信デバイス2は、比較器108bで所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数が、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数に対して高い周波数となるような信号を出力する。上述したように、通常、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振の周波数は、10kHz~1MHz程度である。そのため、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数が、上記のような周波数よりも高い周波数(例えば100MHz程度)となるような信号を出力する。
【0038】
次に、図2に示す実施の形態2に係るパラメータ設定システムによる設定調整動作例について説明する。
実施の形態2に係る近接スイッチ1に対してパラメータの設定を行う場合、作業者は、設定用送信デバイス2を用いて、比較器108bで所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数が、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数に対して高い周波数となるような信号を出力する。この場合、発振回路102による発振は、図3Aに示すようになる。図3Aにおいて、符号301は、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振(検出時の発振)を示している。また、符号302は、設定用送信デバイス2による信号に伴う発振回路102による発振(設定時の発振)を示している。このように、検出時の発振と設定時の発振とでは周波数が明確に異なるため、フィルタ部113により設定時の発振のみを検出可能となる(図3B)。そして、この設定時の発振を比較器108bにてデジタル信号に変換することで、図3Cに示すような信号が得られる。これにより、近接スイッチ1ではデジタル信号が得られ、設定回路110は当該デジタル信号に従ってパラメータの設定を行う。
【0039】
以上のように、この実施の形態2によれば、近接スイッチ1は、検出用コイルLと、発振して検出用コイルLに高周波磁界を発生させる発振回路102と、発振回路102による発振のうち、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数よりも高い周波数の信号を検出するフィルタ部113と、フィルタ部113により検出された成分をデジタル信号に変換する比較器108bと、比較器108bにより得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部とを備えた。これにより、実施の形態2に係る近接スイッチ1は、実施の形態1における効果に加え、検出時の発振と設定時の発振とを区別可能であるため、検出領域内に被検出体が存在する場合でも、パラメータの設定が可能となる。
【0040】
実施の形態3.
実施の形態1に係る近接スイッチ1では、運転モードを設定モードに切替えた上で、パラメータの設定を行う方式を採用している。これに対し、実施の形態3では、近接スイッチ1に入力される信号レベルに応じて検出処理と設定処理を自動的に切替える方式を採用した場合について示す。
図4は実施の形態3に係るパラメータ設定システムの構成例を示す図である。この図4に示す実施の形態3に係るパラメータ設定システムは、図1に示す実施の形態1に係るパラメータ設定システムの切替え部107及び比較器108を、閾値設定部114及び比較器108cに変更している。その他の構成は実施の形態1と同様であり、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0041】
閾値設定部114は、比較器108cで用いられる閾値を設定する。この閾値は、発振回路102による発振のうち、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の振幅よりも高い振幅の信号を検出するための閾値である。ここで、通常、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振の振幅は、数100mV程度である。そのため、閾値設定部114は、閾値として、上記のような振幅よりも高い振幅の信号を検出可能な閾値を設定する。
【0042】
比較器108cは、発振回路102による発振のうち、閾値設定部114により設定された閾値を超えた信号をデジタル信号に変換する。
【0043】
なお、通信制御回路109は、比較器108cにより得られたデジタル信号を設定回路110及び駆動回路111に出力する。またこの際、通信制御回路109は出力回路106に対してもデジタル信号を出力し、出力回路106から当該デジタル信号を外部に出力させてもよい。
【0044】
また、設定用送信デバイス2は、比較器108cで所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数及び振幅が、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数及び振幅に対して高い周波数及び振幅となるような信号を出力する。上述したように、通常、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振の周波数及び振幅は、10kHz~1MHz程度且つ数100mV程度である。そのため、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数及び振幅が、上記のような周波数及び振幅よりも高い周波数(例えば100MHz程度)及び振幅(例えば数V程度)となるような信号を出力する。
【0045】
次に、図4に示す実施の形態3に係るパラメータ設定システムによる設定調整動作例について説明する。
実施の形態3に係る近接スイッチ1に対してパラメータの設定を行う場合、作業者は、設定用送信デバイス2を用いて、比較器108cで所望のデジタル信号が得られる信号を出力する。この際、設定用送信デバイス2は、発振回路102による発振の周波数及び振幅が、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の周波数及び振幅に対して高い周波数及び振幅となるような信号を出力する。この場合、発振回路102による発振は、図5Aに示すようになる。図5Aにおいて、符号501は、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振回路102による発振(検出時の発振)を示している。また、符号502は、設定用送信デバイス2による信号に伴う発振回路102による発振(設定時の発振)を示している。また、符号503は、閾値設定部114により設定された閾値を示している。このように、検出時の発振と設定時の発振とでは振幅が明確に異なるため、比較器108cにより設定時の発振のみを検出してデジタル信号に変換可能となる(図5B)。これにより、近接スイッチ1ではデジタル信号が得られ、設定回路110は当該デジタル信号に従ってパラメータの設定を行う。
【0046】
以上のように、この実施の形態3によれば、近接スイッチ1は、検出用コイルLと、発振して検出用コイルLに高周波磁界を発生させる発振回路102と、発振回路102による発振のうち、検出領域内に被検出体が存在する場合での発振の振幅よりも高い振幅の信号を検出するための閾値を設定する閾値設定部114と、発振回路102による発振のうち、閾値設定部114により設定された閾値を超えた信号をデジタル信号に変換する比較器108cと、比較器108cにより得られたデジタル信号に基づいて、パラメータの設定を行う処理部とを備えた。これにより、実施の形態3に係る近接スイッチ1は、実施の形態1における効果に加え、検出時の発振と設定時の発振とを区別可能であるため、検出領域内に被検出体が存在する場合でも、パラメータの設定が可能となる。
【0047】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 近接スイッチ
2 設定用送信デバイス
101 共振回路
102 発振回路
103 増幅器
104 検波回路
105 比較器
106 出力回路
107 切替え部
108,108b,108c 比較器(変換部)
109 通信制御回路
110 設定回路
111 駆動回路
112 LED
113 フィルタ部
114 閾値設定部
図1
図2
図3
図4
図5