IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ GE富士電機メーター株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20240329BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G01R11/04 B
G01R22/06 130H
G01R22/06 130D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020047682
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148552
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】311002034
【氏名又は名称】富士電機メーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 千裕
(72)【発明者】
【氏名】上條 浩章
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200095(JP,A)
【文献】特開2020-016580(JP,A)
【文献】特開2016-145711(JP,A)
【文献】特開2020-020756(JP,A)
【文献】特開2016-017834(JP,A)
【文献】特開2011-095134(JP,A)
【文献】特開2003-338342(JP,A)
【文献】特開平07-282904(JP,A)
【文献】特開2016-054064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/04
G01R 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる極性を有する複数の端子が左右方向に沿って配列される端子ユニットと、前記端子ユニットが上下方向に着脱可能に構成され、前記端子ユニットの前記複数の端子に対応して左右方向に沿って配列される接続端子を有する電力測定ユニットと、を備える電力量計であって、
前記端子ユニットは、
前記複数の端子を介して前記接続端子と接続されることにより前記電力測定ユニットの下方に装着され、
前記電力測定ユニットは、
前記複数の接続端子配列された前記接続端子の左右方向の両端部近傍で前記複数の接続端子の配列する左右方向と直交する前後方向に延び、対向して配置される一対の第1壁面部と、
前記一対の第1壁面部の前方側の一端部から前記一対の第1壁面部の内側に延びる一対の支持壁面部と、
前記一対の第1壁面部の後方側の他端部間で前記複数の接続端子配列する左右方向に延びる第2壁面部と、
前記一対の支持壁面部のうち一方の支持壁面部において、前記一対の支持壁面部の内側の一端部から前記第1壁面部とは反対側に前記複数の接続端子配列する左右方向と交差する上下方向に延び、前記端子ユニットの一部に対して接触して前記端子ユニットの前記電力測定ユニット側への移動を規制することにより、前記端子ユニットにおける異極端子間の短絡を防止する規制片と、を有し、
前記一対の第1壁面部、前記一対の支持壁面部及び前記第2壁面部で規定される空間に前記端子ユニットの一部が収容された状態で装着され
前記接続端子を介して、前記複数の端子と接続されることにより前記端子ユニットと上下方向に着脱可能に構成されることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
前記一対の支持壁面部を構成する各支持壁面部の一部を前記端子ユニットが配置された下側に突出させたことを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項3】
前記電力測定ユニットは、前記一対の支持壁面部の間に配置された前記接続端子の一部を前記端子ユニットが配置された下側に突出させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力量計。
【請求項4】
前記電力測定ユニットは、前記一対の支持壁面部のうち他方の支持壁面部寄りの位置に配置された前記接続端子の一部を前記端子ユニットが配置された下側に突出させたことを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項5】
前記電力測定ユニットは、前記一対の支持壁面部の間であって前記一方の支持壁面部寄りの位置に配置され、前記端子ユニットが配置された下側に突出する突出片を有することを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項6】
前記電力測定ユニットは、前記一対の第1壁面部のうち一方の第1壁面部を挟んで前記規制片と反対側に配置され、当該一方の第1壁面部よりも前記端子ユニットが配置された下側に延出する第3壁面部を有することを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子ユニットと、この端子ユニットに着脱可能な電力測定ユニットとを備え、使用可能期間の経過等に伴う交換時の作業を容易にすることができる電力量計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電力量計においては、電力測定ユニットにブラシ構造を有する電圧ピンと、ネジ止めにより固定される電流線とを備え、電圧ピンを接触にて端子ユニットに接合する一方、ネジ止めにより電流線を端子ユニットに接合する。これにより、少ない本数のネジの着脱にて電力測定ユニットを交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-85947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の電力量計においては、電力測定ユニットに対する端子ユニットの装着姿勢によっては、端子ユニットの端子間が短絡してしまう事態が発生し得る。特許文献1に記載のような分離式の電力量計においては、一般に端子ユニットが通電された状態のままで電力測定ユニットの交換作業が行われる。このように通電を維持した状態で、仮に端子ユニットにおける異なる極性の端子間が短絡すると、危険な事態を生じる可能性もある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、測定ユニットに対して端子ユニットが任意の姿勢で装着される場合であっても、端子ユニットにおける異なる極性の端子間の短絡を防止することができる電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電力量計は、異なる極性を有する複数の端子が左右方向に沿って配列される端子ユニットと、前記端子ユニットが上下方向に着脱可能に構成され、前記端子ユニットの前記複数の端子に対応して左右方向に沿って配列される接続端子を有する電力測定ユニットと、を備える電力量計であって、前記端子ユニットは、前記複数の端子を介して前記接続端子と接続されることにより前記電力測定ユニットの下方に装着され、前記電力測定ユニットは、前記複数の接続端子配列された前記接続端子の左右方向の両端部近傍で前記複数の接続端子の配列する左右方向と直交する前後方向に延び、対向して配置される一対の第1壁面部と、前記一対の第1壁面部の前方側の一端部から前記一対の第1壁面部の内側に延びる一対の支持壁面部と、前記一対の第1壁面部の後方側の他端部間で前記複数の接続端子配列する左右方向に延びる第2壁面部と、前記一対の支持壁面部のうち一方の支持壁面部において、前記一対の支持壁面部の内側の一端部から前記第1壁面部とは反対側に前記複数の接続端子配列する左右方向と交差する上下方向に延び、前記端子ユニットの一部に対して接触して前記端子ユニットの前記電力測定ユニット側への移動を規制することにより、前記端子ユニットにおける異極端子間の短絡を防止する規制片と、を有し、前記一対の第1壁面部、前記一対の支持壁面部及び前記第2壁面部で規定される空間に前記端子ユニットの一部が収容された状態で装着され、前記接続端子を介して、前記複数の端子と接続されることにより前記端子ユニットと上下方向に着脱可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定ユニットに対して端子ユニットが任意の姿勢で装着される場合であっても、端子ユニットにおける異なる極性の端子間の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の正面図である。
図2】第1の実施形態に係る電力量計の斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る電力量計の斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの正面図である。
図5】第1の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの斜視図である。
図6】第1の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの斜視図である。
図7】第1の実施形態に係る電力量計が有する端子ユニットの斜視図である。
図8】第1の実施形態に係る電力量計が有する端子ユニットの正面図(図8A)及び上面図(図8B)である。
図9】第1の実施形態に係る電力量計における端子ユニットの誤装着を防止する態様の説明図である。
図10】第1の実施形態に係る電力量計における端子ユニットの誤装着を防止する態様の説明図である。
図11】第1の実施形態に係る電力量計における端子ユニットの誤装着を防止する態様の説明図である。
図12】第1の実施形態に係る電力量計における端子ユニットの誤装着を防止する態様の説明図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の正面図である。
図14】第2の実施形態に係る電力量計の斜視図である。
図15】第2の実施形態に係る電力量計の斜視図である。
図16】第2の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの正面図である。
図17】第2の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの斜視図である。
図18】第2の実施形態に係る電力量計が有する電力測定ユニットの斜視図である。
図19】第2の実施形態に係る電力量計が有する端子ユニットの斜視図である。
図20】第2の実施形態に係る電力量計が有する端子ユニットの正面図(図20A)及び上面図(図20B)である。
図21】第2の実施形態に係る電力量計における誤装着防止の態様の説明図である。
図22】第2の実施形態に係る電力量計における誤装着防止の態様の説明図である。
図23】第2の実施形態に係る電力量計における誤装着防止の態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力量計1の正面図である。図2及び図3は、第1の実施形態に係る電力量計1の斜視図である。図2においては、斜め上方側から電力量計1を示し、図3においては、斜め下方側から電力量計1を示している。以下においては、図1に示す上下方向及び左右方向、並びに、図2及び図3に示す上下方向、左右方向及び前後方向を、電力量計1の上下方向、左右方向及び前後方向として説明を行う。第1の実施形態に係る電力量計1は、例えば、60Aが定格の電力量計1に適用される。
【0010】
図1図3に示すように、第1の実施形態に係る電力量計1は、電力測定ユニット(以下、単に「測定ユニット」という)11と、端子ユニット15と、通信ユニット18とを含んで構成される。端子ユニット15及び通信ユニット18は、測定ユニット11の下方側部分に装着される。なお、図1図3においては、説明の便宜上、電力量計1における下方側部分を保護する下部カバーを省略している。下部カバーは、測定ユニット11において、端子ユニット15及び通信ユニット18を覆うように取り付けられる。測定ユニット11に下部カバーが装着された状態において、電力量計1は、概して直方体形状を有している。
【0011】
詳細について後述するように、測定ユニット11は、上部カバー(外部カバー)13から本体部12の一部が下方側に延出している。端子ユニット15は、この本体部12の延出部分に対して下方側から装着される。通信ユニット18は、本体部12及び本体部12に装着された端子ユニット15の前方側に配置される。通信ユニット18は、測定ユニット11(本体部12)の下面に装着される。通信ユニット18は、図示しないモジュラーケーブルを介して測定ユニット11と通信可能に構成される。
【0012】
以下、第1の実施形態に係る電力量計1が有する測定ユニット11の構成について、図4図6を参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る電力量計1が有する測定ユニット11の正面図である。図5及び図6は、第1の実施形態に係る電力量計1が有する測定ユニット11の斜視図である。図5においては、斜め上方側から測定ユニット11を示し、図6においては、斜め下方側から測定ユニット11を示している。
【0013】
図4図6に示すように、測定ユニット11は、電力を測定する測定回路が収容される本体部12と、本体部12を覆う上部カバー13とを含んで構成される。本体部12は、下方部分に端子ユニット15と結合する結合部14を備えている。結合部14は、上部カバー13内に収容された本体部12の後方側部分から下方側に延出し、上部カバー13から露出している。上部カバー13は、例えば、ポリカーボネイト等の樹脂により構成される。
【0014】
本体部12の前面の上部には、表示部121が設けられている。例えば、表示部121は、測定回路で測定された使用電力を表示する。上部カバー13には、表示部121に対応する位置に開口部131が形成されている。表示部121の表示内容は、開口部131を介して視認可能に構成されている。なお、開口部131には、アクリルガラス等を嵌め込んでもよい。
【0015】
上部カバー13において、開口部131の下方には、突出部132が設けられている。突出部132は、上部カバー13の左右方向全体で前方側に突出している。突出部132の右端部には、上部カバー13を本体部12に固定するための封印ねじを覆う封印キャップ133が設けられている。上部カバー13の後面には、係合部134が設けられている。係合部134の後面には、電力量計1が固定される壁面の係合片と係合する係合溝134aが形成されている(図4参照)。
【0016】
結合部14は、端子収容部141と、一対の側壁部142、143と、後面部144とを有している。側壁部142は、結合部14の左方側端部に配置され、側壁部143は、結合部14の右方側端部に配置される。端子収容部141は、これらの側壁部142、143の間に配置される。後面部144は、結合部14の後方側で上下方向に延在して設けられている。後面部144は、後述する測定ユニット11の複数の端子の配列方向に延びる第2壁面部の一例を構成する。
【0017】
端子収容部141には、左右方向に並べて1側~3側の電流線の一部を構成する複数の端子が配列されている。端子収容部141の最も左方側には、1側の電流線における電源側の端子1Sが配置される一方、最も右方側には、1側の電流線における負荷側の端子1Lが配置されている。端子1Lの左方側には、2側の電流線における負荷側の端子2Lが配置されている。端子2Lの左方側には、3側の電流線における負荷側の端子3L及び3側の電流線における電源側の端子3Sが配置されている。これらの端子は、後述する端子ユニット15の複数の端子に対応して配列される接続端子の一例を構成する。
【0018】
各端子1S、1L、2L、3S及び3Lの下端部は、下方側に開口する二股形状を有している。言い換えると、各端子1S、1L、2L、3S及び3Lは、下方側に向けて突出する一対の突出片を有している。端子1S、1L、3S及び3Lは、共通の構成を有しており、一対の突出片が同一の長さに構成されている。端子2Lは、一方の突出片2Lが他の端子の突出片と同一の長さを有するのに対し、他方の突出片2Lが突出片2Lよりも長く構成されている(図4参照)。突出片2Lは、端子ユニット15が不適切な姿勢で測定ユニット11に装着される場合にストッパとしての役割を果たす。
【0019】
側壁部142には、前後方向及び上下方向に延在する壁面142aが設けられている。壁面142aは、後面部144と、上部カバー13に収容された本体部12の下面とから延出するように設けられている。壁面142aは、測定ユニット11の複数の端子の配列方向と交差する方向に延びる第1壁面部の一例を構成する。壁面142aの前端部近傍には、切欠き部142bが形成されている。切欠き部142bは、下方側に開口して設けられている。切欠き部142bの上端部は、壁面142aの中央付近の位置に配置されている。
【0020】
切欠き部142bの前方側であって壁面142aの前端部(一端部)には、支持壁面142cが連続して設けられている。支持壁面142cは、壁面142aの一端部から測定ユニット11の内側に延びる支持壁面部の一例を構成する。支持壁面142cは、上部カバー13に収容された本体部12の下面から下方側に延出して設けられている。支持壁面142cは、壁面142aの前端部から右方側(測定ユニット11の内側)に延びている。壁面142aの前端部と支持壁面142cと接続部分は、下面視にて屈曲した形状(より具体的には、L字形状)を有している(図6参照)。以下、このL字形状を有する支柱部分を支柱部142hとよぶものとする。支柱部142hは、端子ユニット15が不適切な姿勢で測定ユニット11に装着される場合にストッパとしての役割を果たす。支持壁面142cの下端部には、下方側に開口する切欠き部142dが形成されている。支持壁面142cは、切欠き部142dを挟んで一対の突出片142e、142fを有している(図4参照)。突出片142eは、突出片142fよりも下方側に長く構成されている。
【0021】
壁面142aの左方側には、一定距離を挟んで案内壁面142gが設けられている。案内壁面142gは、壁面142aと同様に、後面部144と、上部カバー13に収容された本体部12の下面とから延出するように設けられている。案内壁面142gは、壁面142aと対向して配置されている。案内壁面142gは、上方側に向かうに連れて後面部144から延出する長さが長くなるように構成されている(図5図6参照)。
【0022】
側壁部143は、構成要素が左右対称に配置される点を除き、側壁部142と同一の構成を有している。このため、側壁部143の構成の説明を省略する。各図においては、側壁部143の構成に関し、側壁部142の構成に付与した符号の数字部分を側壁部143に替えて示している。
【0023】
側壁部142の右方側には、前後方向及び上下方向に延在するリブ145が設けられている。リブ145は、規制片の一例を構成する。リブ145は、支持壁面142cの右端部(一端部)から前方側(壁面142aとは反対側)に延びるように設けられている。リブ145は、上下方向に沿って支持壁面142c(より具体的には、支持壁面142cの突出片142fの下端部)と同等の長さを有している。リブ145は、端子ユニット15が不適切な装着姿勢で測定ユニット11に装着される場合にストッパとしての役割を果たす。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る電力量計1が有する端子ユニット15の構成について、図7図8を参照して説明する。図7は、第1の実施形態に係る電力量計1が有する端子ユニット15の斜視図である。図8は、第1の実施形態に係る電力量計1が有する端子ユニット15の正面図(図8A)及び上面図(図8B)である。
【0025】
図7及び図8に示すように、端子ユニット15は、PBT等の絶縁性の高い樹脂材料で構成され、概して直方体形状を有している。端子ユニット15は、端子収容部151と、一対の側壁部152、153とを含んで構成される。側壁部152は、端子ユニット15の左方側端部に配置され、側壁部153は、端子ユニット15の右方側端部に配置される。端子収容部151は、これらの側壁部152、153の間に配置される。
【0026】
端子収容部151には、左右方向に並べて1側~3側の電源側用又は負荷側用の複数の端子が配列されている。端子収容部151の最も左方側には、1側の電源側用の端子11Sが配置される一方、最も右方側には、1側の負荷側用の端子11Lが配置されている(図8B参照)。端子11Sの右方側には、2側の電源側用の端子22Sが配置されている。端子11Lの左方側には、2側の負荷側用の端子22Lが配置されている。端子22Lは、端子33S及び端子33Lの後方側にて端子22Sと接続されている。端子22Sの右方側には、3側の電源側用の端子33Sが配置されている。端子22Lの左方側には、3側の負荷側用の端子33Lが配置されている。これらの複数の端子は、異なる極性を有する複数の端子を構成する。
【0027】
端子収容部151の前面には、各端子に対応して開口部151a~151fが設けられている。開口部151aは、端子11Sに対応し、その上方側に測定ユニット11の端子1Sを固定するネジが配置される一方、その下方側に外部から供給される1側電源側導線を固定するネジが配置される。開口部151bは、端子22Sに対応し、その下方側に外部から供給される2側電源側導線を固定するネジが配置される。開口部151cは、端子33Sに対応し、その上方側に測定ユニット11の端子3Sを固定するネジが配置される一方、その下方側に外部から供給される3側電源側導線を固定するネジが配置される。
【0028】
開口部151dは、端子33Lに対応し、その上方側に測定ユニット11の端子3Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される3側負荷側導線を固定するネジが配置される。開口部151eは、端子22Lに対応し、その上方側に測定ユニット11の端子2Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される2側負荷側導線を固定するネジが配置される。開口部151fは、端子11Lに対応し、その上方側に測定ユニット11の端子1Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される1側負荷側導線を固定するネジが配置される。
【0029】
側壁部152には、上下方向に延在する壁面152aが設けられている。壁面152aの上端部近傍の前面には、ネジ152bが取り付けられている。ネジ152bは、端子ユニット15を測定ユニット11に固定する際に利用される。ネジ152bは、測定ユニット11における支持壁面142cの切欠き部142dに締結されることにより、端子ユニット15を測定ユニット11に対して固定する。
【0030】
壁面152aの左方側には、固定用ブロック152cが設けられている。固定用ブロック152cには、端子ユニット15を電力量計1が固定される壁面に固定するための固定面部152dと、図示しない下部カバーを端子ユニット15に固定するための固定片152eとを有している。固定面部152dは、端子ユニット15の後方側部分で上下方向に延在する。固定面部152dには、前後方向に貫通する貫通孔152fが形成されている。この貫通孔152fに図示しないネジを貫通させ、電力量計1が固定される壁面にねじ込むことにより端子ユニット15が固定される。固定片152eは、固定面部152dの下端部から前方側に突出して設けられる。固定片152eの前端部には、下部カバーを端子ユニット15に固定するためのネジが挿入されるネジ孔152gが形成されている。壁面152aの上方側部分であって、前端部近傍には、上下に延在するリブ152hが設けられている。リブ152hは、壁面152aの左端部から左方側に突出して設けられている。
【0031】
側壁部153は、構成要素が左右対称に配置される点を除き、側壁部152と同一の構成を有している。ここでは、側壁部153の構成の説明を省略する。各図においては、側壁部153の構成に関し、側壁部152の構成に付与した符号の数字部分を側壁部153に替えて示している。
【0032】
端子ユニット15の上面には、環状壁部16が設けられている。環状壁部16は、端子収容部151、側壁部152及び153の上面から上方側に突出して設けられている。環状壁部16は、端子収容部151の上面の前縁部に沿って設けられる前壁部161と、端子収容部151の上面の後縁部に沿って設けられる後壁部162と、側壁部152の左縁部に沿って設けられる側壁部163と、側壁部153の右縁部に沿って設けられる側壁部164とを含む。環状壁部16は、これらの前壁部161、後壁部162及び側壁部163、164が連続して環状に構成されている。
【0033】
環状壁部16の内側には、隔壁部165が設けられている。隔壁部165は、端子11Lと端子22Lとの間で前後方向に延在し、前壁部161と後壁部162とに接続されている。また、環状壁部16の内側には、仕切り壁部166が設けられている。仕切り壁部166は、端子22Lと端子33Lとの間に配置されている。仕切り壁部166は、前壁部161から後方側に延出すると共に、端子33Lの後方側にて左方側に屈曲して端子33Sの近傍まで延出している。
【0034】
環状壁部16の内側であって、端子11Sの近傍には、底壁部167が設けられている。底壁部167は、概して平面形状を有している。底壁部167の右方側には、開口部168が形成されている。開口部168は、上面視にて、端子33S及び端子33Lの周囲をアーチ状に囲むように形成されている(図8B参照)。環状壁部16の内側であって、隔壁部165よりも右方側には、底壁部169が設けられている。底壁部169は、概して平面形状を有し、端子11Lの近傍に配置されている。
【0035】
上記のような構成を有する端子ユニット15が測定ユニット11に装着される。測定ユニット11に装着された状態において、端子ユニット15は、測定ユニット11の一対の壁面142a、143aと、後面部144と、一対の支持壁面142c、143cとの内側に形成される空間に、固定用ブロック152c、153cよりも上方側の部分が収容される(図2図3参照)。このとき、端子ユニット15の側壁部152に設けられたリブ152hは、測定ユニット11の壁面142aに形成された切欠き部142b内に収容される。同様に、端子ユニット15の側壁部153に設けられたリブ153hは、測定ユニット11の壁面143aに形成された切欠き部143b内に収容される。
【0036】
また、支持壁面142cの下端部に形成された切欠き部142d内に端子ユニット15のネジ152bが収容され、支持壁面142cに締結される。同様に、支持壁面143cの下端部に形成された切欠き部143d内に端子ユニット15のネジ153bが収容され、支持壁面143cに締結される。これにより、測定ユニット11に対して端子ユニット15が固定される。この場合において、測定ユニット11に設けられたリブ145は、測定ユニット11に装着された通信ユニット18の左方側の側面に沿って配置される。
【0037】
このように端子ユニット15が適切に装着されることを許容する一方で、測定ユニット11は、不適切な姿勢で装着されることを制限し、端子ユニット15における異なる極性の端子(例えば、2側の負荷側用の端子22Lと3側の負荷側用の端子33Lとの間)間が短絡する事態を防止する。以下、第1の実施形態に係る測定ユニット11が不適切な姿勢による端子ユニット15の装着を制限する態様の一例について、図9図12を参照して説明する。
【0038】
図9図12は、それぞれ第1の実施形態に係る電力量計1における端子ユニット15の誤装着を防止する態様の一例の説明図である。図9及び図12においては、測定ユニット11に対して端子ユニット15が端子1個分だけ左方側にずれて装着される場合について示し、図10及び図11においては、測定ユニット11に対して端子ユニット15が端子0.5個分だけ左方側にずれて装着される場合について示している。なお、図9図12においては、説明の便宜上、通信ユニット18を省略すると共に、端子ユニット15の一部を切り欠いて示している。
【0039】
図9に示すように、端子ユニット15が端子1個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、端子収容部141の右方側に配置された端子1Lや端子2L等は、端子ユニット15の環状壁部16内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子1L等が端子収容部151内に配置された端子22Lや端子33Lに接触することで、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0040】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット11では、リブ145及び支柱部142hが端子ユニット15の一部に対して接触して端子ユニット15の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。リブ145は、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット15の環状壁部16の前壁部161に対して接触する。同様に、支柱部142hは、端子ユニット15の底壁部167に対して接触する。これらのリブ145及び支柱部142hの接触により、端子ユニット15の測定ユニット11側への移動が制限される。これにより、端子ユニット15における異極端子間の短絡が防止される。
【0041】
図10に示すように、端子ユニット15が端子0.5個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、端子収容部141の右方側に配置された端子1Lや端子2L等は、端子ユニット15の環状壁部16内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子1L等が端子収容部151内に配置された端子22Lや端子33Lに接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0042】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット11では、リブ145が端子ユニット15の一部に対して接触して端子ユニット15の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。リブ145は、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット15の環状壁部16の後壁部162に対して接触する。このリブ145の接触により、端子ユニット15の測定ユニット11側への移動が制限される。これにより、端子ユニット15における異極端子間の短絡が防止される。
【0043】
図11に示すように、端子ユニット15が端子0.5個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、端子収容部141の右方側に配置された端子1Lや端子2L等は、端子ユニット15の環状壁部16内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子1L等が端子収容部151内に配置された端子22Lや端子33Lに接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0044】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット11では、端子2Lが端子ユニット15の一部に対して接触して端子ユニット15の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。端子2Lの突出片2Lは、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット15の端子22Lの一部に対して接触する。この端子2Lの突出片2Lの接触により、端子ユニット15の測定ユニット11側への移動が制限される。これにより、端子ユニット15における異極端子間の短絡が防止される。この場合において、突出片2Lが突出片2Lと同一の長さに設定されると、端子ユニット15の測定ユニット11側への移動が僅かに許容されてしまう。突出片2Lの長さを突出片2Lよりも長く設定することにより、端子ユニット15の移動を制限でき、異極端子間の短絡を防止することができる。
【0045】
図12に示すように、端子ユニット15が端子2個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、端子収容部141の右方側に配置された接続端子等は、端子ユニット15の環状壁部16内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの接続端子等が端子収容部151内に配置された端子22Lや端子33Lに接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0046】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット11では、支柱部142hが端子ユニット15の一部に対して接触して端子ユニット15の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。支柱部142hは、端子ユニット15の底壁部167に対して接触する。この支柱部142hの接触により、端子ユニット15の測定ユニット11側への移動が制限される。これにより、端子ユニット15における異極端子間の短絡が防止される。
【0047】
以上説明したように、第1の実施形態に係る電力量計1においては、一対の壁面142a、143a、一対の支持壁面142c、143c及び後面部144の内側に形成される空間に端子ユニット15の一部が収容された状態で装着される一方で、リブ145が支持壁面142cの端部から前方側に延びて設けられる。このため、上記空間に収容されない状態で端子ユニット15が測定ユニット11に装着されようとすると、一対の壁面142a、143a、一対の支持壁面142c、143c及びリブ145の少なくとも1つが端子ユニット15の一部に接触する。これにより、測定ユニット11に対する端子ユニット15の接近が規制されるので、測定ユニット11に対して端子ユニット15が任意の姿勢で装着される場合であっても、端子ユニット15における異なる極性の端子間の短絡を防止することができる。
【0048】
特に、第1の実施形態に係る電力量計1においては、支持壁面142c、143cの一部(突出片142e、143e)を端子ユニット15側に突出させていることから、当該部分で測定ユニット11に対する端子ユニット15の接近を早い段階で規制することができる。
【0049】
特に、第1の実施形態に係る電力量計1においては、一対の支持壁面142c、143cのうち、リブ145が設けられていない支持壁面143c寄りの位置に配置された端子2Lの一部(突出片2L)を端子ユニット15側に突出させていることから、接近してくる端子ユニット15に対して最初に端子2Lの突出片2Lを接触させることができる。これにより、不適切な姿勢で測定ユニット11に端子ユニット15が装着されようとする場合でも、端子2Lの突出片2Lのみを接触させ、他の端子3L等に端子ユニット15の端子が接触するのを防止できるので、簡単な構成で端子ユニット15における異なる極性の端子間の短絡を防止することができる。
【0050】
なお、第1の実施の形態では、一対の支持壁面142c、143cのうち、リブ145が設けられていない支持壁面143c寄りの位置に配置された端子2Lの一部(突出片2L)を端子ユニット15側に突出させる場合について説明している。しかしながら、一部を端子ユニット15側に突出させる接続端子については、端子2Lに限定されず、適宜変更が可能である。一対の支持壁面部142c、143cの間に配置された任意の接続端子の一部を突出させてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電力量計2の正面図である。図14及び図15は、第2の実施形態に係る電力量計2の斜視図である。図14においては、斜め上方側から電力量計2を示し、図15においては、斜め下方側から電力量計2を示している。以下においては、図13に示す上下方向及び左右方向、並びに、図14及び図15に示す上下方向、左右方向及び前後方向を、電力量計2の上下方向、左右方向及び前後方向として説明を行う。第2の実施形態に係る電力量計2は、例えば、120Aが定格の電力量計1に適用される。
【0052】
図13図15に示すように、第2の実施形態に係る電力量計2は、測定ユニット21と、端子ユニット25と、図示しない通信ユニットとを含んで構成される。端子ユニット25及び通信ユニットは、測定ユニット21の下方側部分に装着される。なお、図13図15においては、説明の便宜上、電力量計2における下方側部分を保護する下部カバーを省略している。下部カバーは、測定ユニット21において、端子ユニット25及び通信ユニットを覆うように取り付けられる。測定ユニット21に下部カバーが装着された状態において、電力量計1は、概して直方体形状を有している。
【0053】
詳細について後述するように、測定ユニット21は、上部カバー(外部カバー)23から本体部22の一部が下方側に延出している。端子ユニット25は、この本体部22の延出部分に対して下方側から装着される。通信ユニットは、本体部22及び本体部22に装着された端子ユニット25の前方側に配置される。通信ユニットは、測定ユニット21(本体部22)の下面に装着される。通信ユニットは、図示しないモジュラーケーブルを介して測定ユニット21と通信可能に構成される。
【0054】
以下、第2の実施形態に係る電力量計2が有する測定ユニット21の構成について、図16図18を参照して説明する。図16は、第2の実施形態に係る電力量計2が有する測定ユニット21の正面図である。図17及び図18は、第2の実施形態に係る電力量計2が有する測定ユニット21の斜視図である。図17においては、斜め上方側から測定ユニット21を示し、図18においては、斜め下方側から測定ユニット21を示している。
【0055】
図16図18に示すように、測定ユニット21は、電力を測定する測定回路が収容される本体部22と、本体部22を覆う上部カバー23とを含んで構成される。本体部22は、下方部分に端子ユニット25と結合する結合部24を備えている。結合部24は、上部カバー23内に収容された本体部22の後方側部分から下方側に延出し、上部カバー23から露出している。上部カバー23は、例えば、ポリカーボネイト等の樹脂により構成される。
【0056】
本体部22の前面の上部には、表示部221が設けられている。例えば、表示部221は、測定回路で測定された使用電力を表示する。上部カバー23には、表示部221に対応する位置に開口部231が形成されている。表示部221の表示内容は、開口部231を介して視認可能に構成されている。なお、開口部231には、アクリルガラス等を嵌め込んでもよい。
【0057】
上部カバー23において、開口部231の下方には、突出部232が設けられている。突出部232は、上部カバー23の左右方向全体で前方側に突出している。突出部232の右端部には、上部カバー23を本体部22に固定するための封印ねじを覆う封印キャップ233が設けられている。上部カバー23の後面には、係合部234が設けられている。係合部234の後面には、電力量計2が固定される壁面の係合片と係合する係合溝234aが形成されている(図16参照)。
【0058】
結合部24には、一対の側壁部241、242と、後面部243とを有している。側壁部241は、結合部24の左方側端部に配置され、側壁部242は、結合部24の右方側端部に配置される。後面部243は、結合部24の後方側で上下方向に延在して設けられている。後面部243は、後述する測定ユニット11の複数の端子の配列方向に延びる第2壁面部の一例を構成する。後面部243は、側壁部241、242(より具体的には、後述する壁面241a、242a)の後縁部に接続されている。結合部24は、これらの側壁部241、242と後面部243とで構成され、前方側に開口した形状を有している。
【0059】
本体部22の下面からは、1側~3側の電流線の一部を構成する複数の端子が露出している。複数の端子は、本体部22の後方側部分に配置され、左右方向に配列されている。複数の端子の最も左方側には、1側の電流線における電源側の端子1Sが配置される一方、最も右方側には、1側の電流線における負荷側の端子1Lが配置されている。端子1Lの左方側には、2側の電流線における負荷側の端子2Lが配置されている。端子2Lの左方側には、3側の電流線における負荷側の端子3L及び3側の電流線における電源側の端子3Sが配置されている。これらの端子は、後述する端子ユニット25の複数の端子に対応して配列される接続端子の一例を構成する。
【0060】
各端子1S、1L、2L、3S及び3Lの下端部は、下方側に開口する二股形状を有している。言い換えると、各端子1S、1L、2L、3S及び3Lは、下方側に向けて突出する一対の突出片を有している。全ての端子1S、1L、2L、3S及び3Lは、共通の構成を有しており、一対の突出片が同一の長さに構成されている。
【0061】
側壁部241には、前後方向及び上下方向に延在する壁面241aが設けられている。壁面241aは、測定ユニット21の複数の端子の配列方向と交差する方向に延びる第1壁面部の一例を構成する。壁面241aは、後面部243と、上部カバー23に収容された本体部22の下面とから延出するように設けられている。壁面241aの下端部には、壁面241aよりも外側で上下方向に延在する壁面241bが設けられている。壁面241bは、壁面241aを挟んで後述するリブ241eと反対側に配置され、壁面241aよりも下方側(端子ユニット15側)に延出する第3壁面部の一例を構成する。
【0062】
壁面241aの前端部には、支持壁面241cが連続して設けられている。支持壁面241cは、上部カバー23に収容された本体部22の下面から下方側に延出して設けられている。支持壁面241cは、壁面241aの前端部から僅かに右方側に延在している。支持壁面241cは、壁面241aの一端部から測定ユニット21の内側に延びる支持壁面部の一例を構成する。壁面241aの前端部と支持壁面241cと接続部分は、下面視にて屈曲した形状(より具体的には、L字形状)を有している(図18参照)。支持壁面241cの下端部には、下方側に開口する切欠き部241dが形成されている。
【0063】
支持壁面241cの右方側には、前後方向及び上下方向に延在するリブ241eが設けられている。リブ241eは、規制片の一例を構成する。リブ241eは、支持壁面241cの右端部と、上部カバー13に収容された本体部12の下面とから延出するように設けられている。リブ241eは、上下方向に沿って支持壁面241cと同等の長さを有している。リブ241eは、端子ユニット25が不適切な装着姿勢で測定ユニット21に装着される場合にストッパとしての役割を果たす。
【0064】
側壁部242は、構成要素が左右対称に配置される点を除き、側壁部241と同一の構成を有している。このため、側壁部242の構成の説明を省略する。各図においては、側壁部242の構成に関し、側壁部241の構成に付与した符号の数字部分を側壁部242に替えて示している。
【0065】
図16及び図18に示すように、本体部22の下面における左方側寄りの位置(一対の支持壁面241c、242cの間であって、支持壁面241c寄りの位置)には、突出片222が設けられている。突出片222は、概して直方体形状を有している。突出片222は、正面視にて、端子1Sと端子3Sとの間に配置されている。突出片222は、正面視にて、端子1Sや端子3S等の先端部(下端部)よりも僅かに上方側の位置に配置されている。突出片222は、端子ユニット25が不適切な装着姿勢で測定ユニット21に装着される場合にストッパとしての役割を果たす。
【0066】
次に、第2の実施形態に係る電力量計2が有する端子ユニット25の構成について、図19図20を参照して説明する。図19は、第2の実施形態に係る電力量計2が有する端子ユニット25の斜視図である。図20は、第2の実施形態に係る電力量計2が有する端子ユニット25の正面図(図20A)及び上面図(図20B)である。
【0067】
図19及び図20に示すように、端子ユニット25は、PBT等の絶縁性の高い樹脂材料で構成され、概して直方体形状を有している。端子ユニット25は、端子収容部251と、一対の側壁部252、253とを含んで構成される。側壁部252は、端子ユニット25の左方側端部に配置され、側壁部253は、端子ユニット25の右方側端部に配置される。端子収容部251は、これらの側壁部252、253の間に配置される。
【0068】
端子収容部251には、左右方向に並べて1側~3側の電源側用又は負荷側用の複数の端子が配列されている。端子収容部251の最も左方側には、1側の電源側用の端子11Sが配置される一方、最も右方側には、1側の負荷側用の端子11Lが配置されている(図20B参照)。端子11Sの右方側には、2側の電源側用の端子22Sが配置されている。端子11Lの左方側には、2側の負荷側用の端子22Lが配置されている。端子22Sの右方側には、3側の電源側用の端子33Sが配置されている。端子22Lの左方側には、3側の負荷側用の端子33Lが配置されている。これらの複数の端子は、異なる極性を有する複数の端子を構成する。
【0069】
端子収容部251の前面には、各端子に対応して開口部251a~251fが設けられている。開口部251aは、端子11Sに対応し、その上方側に測定ユニット21の端子1Sを固定するネジが配置される一方、その下方側に外部から供給される1側電源側導線を固定するネジが配置される。開口部251bは、端子22Sに対応し、その下方側に外部から供給される2側電源側導線を固定するネジが配置される。開口部251cは、端子33Sに対応し、その上方側に測定ユニット21の端子3Sを固定するネジが配置される一方、その下方側に外部から供給される3側電源側導線を固定するネジが配置される。
【0070】
開口部251dは、端子33Lに対応し、その上方側に測定ユニット21の端子3Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される3側負荷側導線を固定するネジが配置される。開口部251eは、端子22Lに対応し、その上方側に測定ユニット21の端子2Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される2側負荷側導線を固定するネジが配置される。開口部251fは、端子11Lに対応し、その上方側に測定ユニット21の端子1Lを固定するネジが配置される一方、その下方側に需要家に供給される1側負荷側導線を固定するネジが配置される。
【0071】
側壁部252には、上下方向に延在する壁面252aが設けられている。壁面252aの上端部近傍の前面には、ネジ252bが取り付けられている。ネジ252bは、端子ユニット25を測定ユニット21に固定する際に利用される。ネジ252bは、測定ユニット21における支持壁面242cの切欠き部242dに締結されることにより、端子ユニット25を測定ユニット21に対して固定する。
【0072】
壁面252aの下方側には、端子ユニット25を電力量計2が固定される壁面に固定するための固定面部252cと、図示しない下部カバーを端子ユニット25に固定するための固定片252dとを有している。固定面部252cは、端子ユニット25の後方側部分で上下方向に延在する。固定面部252cには、前後方向に貫通する貫通孔252eが形成されている。この貫通孔252eに図示しないネジを貫通させ、電力量計2が固定される壁面にねじ込むことにより端子ユニット25が固定される。固定片252dは、固定面部252cの下端部から前方側に突出して設けられる。固定片252dの前端部には、下部カバーを端子ユニット25に固定するためのネジが挿入されるネジ孔252fが形成されている。
【0073】
側壁部253は、構成要素が左右対称に配置される点を除き、側壁部252と同一の構成を有している。ここでは、側壁部253の構成の説明を省略する。各図においては、側壁部253の構成に関し、側壁部252の構成に付与した符号の数字部分を側壁部253に替えて示している。
【0074】
端子ユニット25の上面には、環状壁部26が設けられている。環状壁部26は、端子収容部251の上面から上方側に突出して設けられている。環状壁部26は、前壁部261と、後壁部262と、側壁部263及び側壁部264とを含む。環状壁部26は、これらの前壁部261、後壁部262及び側壁部263、264が連続して環状に構成されている。
【0075】
環状壁部26の内側には、隔壁部265、266が設けられている。隔壁部265は、端子11Sの右方側の位置で前後方向に延在し、前壁部261と後壁部262とに接続されている。隔壁部266は、端子11Lと端子22Lとの間で前後方向に延在し、前壁部261と後壁部262とに接続されている。また、環状壁部26の内側には、仕切り壁部267が設けられている。仕切り壁部267は、端子33S及び端子33Lの外側に配置されている。仕切り壁部267は、端子33S及び端子33Lを囲むように設けられている。仕切り壁部267の周囲には、開口部268が形成されている。開口部268は、上面視にて、仕切り壁部267の周囲をアーチ状に囲むように形成されている(図20B参照)。
【0076】
環状壁部26の左方側及び右方側には、予備壁部271、272が設けられている。予備壁部271、272は、それぞれ環状壁部26の後方側部分に連続して設けられている(図19参照)。すなわち、予備壁部271、272は、上面視にて、環状壁部26の後方側部分から左右方向に突出するように設けられている。
【0077】
上記のような構成を有する端子ユニット25が測定ユニット21に装着される。測定ユニット21に装着された状態において、端子ユニット25の上端部は、測定ユニット21の一対の壁面241a、242aと、後面部243と、一対の支持壁面241c、242cとの内側に形成される空間に収容される(図13図15参照)。
【0078】
また、支持壁面241cの下端部に形成された切欠き部241d内に端子ユニット25のネジ252bが収容され、支持壁面241cに締結される。同様に、支持壁面242cの下端部に形成された切欠き部242d内に端子ユニット25のネジ253bが収容され、支持壁面242cに締結される。これにより、測定ユニット21に対して端子ユニット25が固定される。
【0079】
このように端子ユニット25が適切に装着されることを許容する一方で、測定ユニット21は、不適切な装着姿勢で装着されることを制限し、端子ユニット25における異なる極性の端子(例えば、2側の負荷側用の端子22Lと3側の負荷側用の端子33Lとの間)間が短絡する事態を防止する。以下、第2の実施形態に係る測定ユニット21が不適切な装着姿勢による端子ユニット25の装着を制限する態様の一例について、図21図23を参照して説明する。
【0080】
図21図23は、それぞれ第2の実施形態に係る電力量計2における端子ユニット25の誤装着を防止する態様の一例の説明図である。図21においては、測定ユニット21に対して端子ユニット25が端子0.5個分だけ左方側にずれて装着される場合について示し、図22においては、測定ユニット21に対して端子ユニット25が端子1個分だけ左方側にずれて装着される場合について示している。図23においては、測定ユニット21に対して端子ユニット25が左方側に大きく傾いて装着される場合(例えば、端子1個分左方側にずれて装着される場合)について示している。なお、図21図23においては、説明の便宜上、通信ユニットを省略すると共に、端子ユニット25の一部を切り欠いて示している。
【0081】
図21に示すように、端子ユニット25が端子0.5個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、測定ユニット21の右方側に配置された端子2Lや端子3L等は、端子ユニット25の環状壁部26内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子2L等が端子収容部251内に配置された端子11Lや端子22L等に接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0082】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット21では、リブ241e及び突出片222が端子ユニット25の一部に対して接触して端子ユニット25の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。リブ241eは、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット25の環状壁部26の後壁部262に対して接触する。同様に、突出片222は、端子ユニット25の環状壁部26の前壁部261に対して接触する。これらのリブ241e及び突出片222の接触により、端子ユニット25の測定ユニット21側への移動が制限される。これにより、端子ユニット25における異極端子間の短絡が防止される。
【0083】
図22に示すように、端子ユニット25が端子1個分だけ左方側にずれて装着されようとする場合、測定ユニット21の右方側に配置された端子2Lや端子3L等は、端子ユニット25の環状壁部26内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子2L等が端子収容部251内に配置された端子11Lや端子22L等に接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0084】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット21では、リブ241e及び突出片222が端子ユニット25の一部に対して接触して端子ユニット25の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。リブ241eは、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット25の環状壁部26の後壁部262に対して接触する。同様に、突出片222は、端子ユニット25の環状壁部26の前壁部261に対して接触する。これらのリブ241e及び突出片222の接触により、端子ユニット25の測定ユニット21側への移動が制限される。これにより、端子ユニット25における異極端子間の短絡が防止される。
【0085】
図23に示すように、測定ユニット21に対して端子ユニット25が左方側に大きく傾いて装着されようとする場合(例えば、端子1個分左方側にずれて装着されようとする場合)には、測定ユニット21の右方側に配置された端子1Lや端子2L等は、端子ユニット25の環状壁部26内に入り込む事態が発生し得る。この場合、これらの端子1L等が端子収容部251内に配置された端子22Lや端子33L等に接触し、これらの端子間が短絡する事態が発生し得る。
【0086】
このような装着姿勢の場合において、測定ユニット21では、壁面241bが端子ユニット25の一部に対して接触して端子ユニット25の移動を規制することで異極端子間の短絡を防止する。壁面241bは、上記のような装着姿勢で装着されようとする端子ユニット25の環状壁部26の予備壁部271に対して接触する。この壁面241bの接触により、端子ユニット25の測定ユニット21側への移動が制限される。これにより、端子ユニット25における異極端子間の短絡が防止される。
【0087】
以上説明したように、第2の実施形態に係る電力量計2においては、一対の壁面241a、242a、一対の支持壁面241c、242c及び後面部243の内側に形成される空間に端子ユニット25の一部が収容された状態で装着される一方で、リブ241e、242eが支持壁面241c、242cの端部から前方側に延びて設けられる。このため、上記空間に収容されない状態で端子ユニット25が測定ユニット21に装着されようとすると、一対の壁面241a、242a、一対の支持壁面241c、242c及びリブ241e、242eの少なくとも1つが端子ユニット25の一部に接触する。これにより、測定ユニット21に対する端子ユニット25の接近が規制されるので、測定ユニット21に対して端子ユニット25が任意の姿勢で装着される場合であっても、端子ユニット25における異なる極性の端子間の短絡を防止することができる。
【0088】
特に、第2の実施形態に係る電力量計2においては、一方の支持壁面241c寄りの位置に配置され、端子ユニット25側に突出する突出片222を有することから、一対の壁面241a、242a、一対の支持壁面241c、242c及び後面部243の内側に形成される空間に収容されない状態で端子ユニット25が測定ユニット21に装着されようとすると、一対の壁面241a、242a、一対の支持壁面241c、242c又はリブ241e、242eに加えて突出片222が端子ユニット25の一部に接触する。これにより、測定ユニット21に対する端子ユニット25の接近を効果的に規制することができる。
【0089】
また、第2の実施形態に係る電力量計2においては、壁面241a(242a)を挟んでリブ241e(242e)と反対側に配置され、壁面241a(242a)よりも端子ユニット25側に延出する壁面241b(242b)を有することから、一対の壁面241a、241a、一対の支持壁面241c、242c及び後面部243の内側に形成される空間から大幅にずれた状態で端子ユニット25が測定ユニット21に装着されようとすると、一対の壁面241a、242a、一対の支持壁面241c、242c又はリブ241e、242eに加えて壁面241b(242b)が端子ユニット25の一部に接触する。これにより、測定ユニット21に対する端子ユニット25の接近を効果的に規制することができる。
【0090】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明は、端子ユニットに対して測定ユニットが任意の姿勢で装着される場合であっても、端子ユニットにおける異なる極性の端子間の短絡を防止することができるという効果を有し、特に、使用可能期間の経過等に伴う交換作業が必要な電力量計に有用である。
【符号の説明】
【0092】
1、2 :電力量計
2L :電流端子
2L1 :突出片
2L2 :突出片
11、21:電力測定ユニット(測定ユニット)
12、22:本体部
13、23:上部カバー
14、24:結合部
15、25:端子ユニット
16、26:環状壁部
18 :通信ユニット
141 :端子収容部
142、143:側壁部
142a、143a:壁面
142b、143b:切欠き部
142c、143c:支持壁面
142d、143d:切欠き部
142h、143h:支柱部
144 :後面部
145 :リブ
151 :端子収容部
151a~151f:開口部
152、153:側壁部
152a、153a:壁面
152b、153b:ネジ
152h、153h:リブ
161 :前壁部
162 :後壁部
163 :側壁部
164 :側壁部
165 :隔壁部
166 :仕切り壁部
167 :底壁部
168 :開口部
169 :底壁部
221 :表示部
222 :突出片
241、242:側壁部
241a、242a:壁面
241b、242b:壁面
241c、242c:支持壁面
241d、242d:切欠き部
241e、242e:リブ
243 :後面部
251 :端子収容部
251a~251f:開口部
252、253:側壁部
252a、253a:壁面
252b、253b:ネジ
252c、253c:固定面部
252d、253d:固定片
261 :前壁部
262 :後壁部
263 :側壁部
264 :側壁部
265 :隔壁部
266 :隔壁部
267 :仕切り壁部
268 :開口部
271、272:予備壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23