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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/375 20220101AFI20240329BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20240329BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240329BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/34 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/232 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/223 20220101ALI20240329BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20240329BHJP
【FI】
F24H15/375
F25B30/02 A
F25B1/00 383
F25B1/00 361A
F25B1/00 371B
F24H4/02 C
F24H15/34
F24H15/35
F24H15/219
F24H15/215
F24H15/232
F24H15/223
F24H15/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020058446
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156518
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】松坂 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 晋司
(72)【発明者】
【氏名】所 寿洋
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-204251(JP,A)
【文献】特開2008-039339(JP,A)
【文献】特開2008-039272(JP,A)
【文献】特開2002-089958(JP,A)
【文献】特開2006-046681(JP,A)
【文献】特開昭63-091468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/10 - 15/493
F25B 30/02
F25B 1/00
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンク(20)と、
上記貯湯タンク(20)内の湯水を加熱するための水熱交換器(2)を有するヒートポンプユニット(100)と、
上記水熱交換器(2)を介して上記貯湯タンク(20)内の湯水を循環させる循環ポンプ(P)と、
上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御する制御装置(10,110)と
を備え、
上記制御装置(10,110)により上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御して、上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第1沸き上げ運転を行った後に、上記第1沸き上げ運転における上記水熱交換器(2)の出湯温度よりも低い出湯温度で上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第2沸き上げ運転を行い、
上記制御装置(10)は、上記第1沸き上げ運転において上記水熱交換器(2)の入水温度が第1設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転に切り替えるように、上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御することを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ式温水装置において、
上記制御装置(10,110)は、上記第1沸き上げ運転において、上記水熱交換器(2)の出湯温度が目標出湯温度になるように上記循環ポンプ(P)の回転数を制御すると共に、上記第2沸き上げ運転において、上記循環ポンプ(P)の回転数を上記第1沸き上げ運転時の回転数よりも高い回転数にすることを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヒートポンプ式温水装置において、
上記制御装置(110)は、上記第1沸き上げ運転において上記水熱交換器(2)の凝縮温度が第2設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転に切り替えるように、上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御することを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1つに記載のヒートポンプ式温水装置において、
上記制御装置(110)は、上記第2沸き上げ運転において上記水熱交換器(2)の凝縮温度が第3設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転を終了するように、上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御することを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【請求項5】
湯水を貯える貯湯タンク(20)と、
上記貯湯タンク(20)内の湯水を加熱するための水熱交換器(2)を有するヒートポンプユニット(100)と、
上記水熱交換器(2)を介して上記貯湯タンク(20)内の湯水を循環させる循環ポンプ(P)と、
上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御する制御装置(10,110)と
を備え、
上記制御装置(10,110)により上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御して、上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第1沸き上げ運転を行った後に、上記第1沸き上げ運転における上記水熱交換器(2)の出湯温度よりも低い出湯温度で上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第2沸き上げ運転を行い、
上記ヒートポンプユニット(100)は、空気熱交換器(3)と、上記空気熱交換器(3)に外気を供給するファン(6)とを有し、
上記制御装置(110)は、上記第2沸き上げ運転において、上記水熱交換器(2)の凝縮温度が第4設定温度以上になると、上記ファン(6)の回転数を現在回転数よりも下げるか、または、上記ファン(6)を停止するように、上記ヒートポンプユニット(100)を制御することを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【請求項6】
湯水を貯える貯湯タンク(20)と、
上記貯湯タンク(20)内の湯水を加熱するための水熱交換器(2)を有するヒートポンプユニット(100)と、
上記水熱交換器(2)を介して上記貯湯タンク(20)内の湯水を循環させる循環ポンプ(P)と、
上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御する制御装置(10,110)と
を備え、
上記制御装置(10,110)により上記ヒートポンプユニット(100)および上記循環ポンプ(P)を制御して、上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第1沸き上げ運転を行った後に、上記第1沸き上げ運転における上記水熱交換器(2)の出湯温度よりも低い出湯温度で上記貯湯タンク(20)内の湯水を沸き上げる第2沸き上げ運転を行い、
上記制御装置(110)は、上記第2沸き上げ運転において、上記水熱交換器(2)の凝縮温度が第5設定温度以上になると、上記ヒートポンプユニット(100)の圧縮機(1)の回転数を現在回転数よりも下げるように、上記ヒートポンプユニット(100)を制御することを特徴とするヒートポンプ式温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプ式温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ式温水装置としては、凝縮器で凝縮する冷媒が循環する冷媒回路を有するヒートポンプユニットと、凝縮器において加熱された温水を貯留する貯湯タンクとを備えたものがある(例えば、国際公開第2012/121382号(特許文献1)参照)。
【0003】
上記ヒートポンプ式温水装置では、第1流量の加熱温水が貯湯タンクに供給される循環沸上モードと、第1流量よりも少ない第2流量の加熱温水が貯湯タンクの頂部側に供給される一過沸上モードとを、凝縮器に供給される冷媒温度に基づいて切り換えることによりエネルギー効率を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/121382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ヒートポンプ式温水装置では、一過沸上モードでの沸き終いにおいて入水温度が急激に上昇した場合、冷媒回路の高圧を抑えることができないため、入水温度が所定温度まで上昇したら沸き上げを停止している。このため、上記ヒートポンプ式温水装置では、貯湯タンク下部に温度の低い水が残った状態で沸き上げを停止するため、温度の低い水の分だけ貯湯タンク内に貯められる高温のお湯の量が少なくなり、貯湯タンク内に多くの熱量を貯めることができないという問題がある。
【0006】
特に、貯湯タンクの容量が比較的小さいヒートポンプ式温水装置の場合は、湯切れのリスクを低減するため、沸き上げ完了時にできるだけ多くの熱量を貯湯タンク内に貯めることが望ましい。
【0007】
本開示では、貯湯タンク内の湯水の全量をできるだけ高い温度に沸き上げることができるヒートポンプ式温水装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のヒートポンプ式温水装置は、
湯水を貯える貯湯タンクと、
上記貯湯タンク内の湯水を加熱するための水熱交換器を有するヒートポンプユニットと、
上記水熱交換器を介して上記貯湯タンク内の湯水を循環させる循環ポンプと、
上記ヒートポンプユニットおよび上記循環ポンプを制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置により上記ヒートポンプユニットおよび上記循環ポンプを制御して、上記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる第1沸き上げ運転を行った後に、上記第1沸き上げ運転における上記水熱交換器の出湯温度よりも低い出湯温度で上記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる第2沸き上げ運転を行うことを特徴とする。
【0009】
本開示によれば、第1沸き上げ運転で水熱交換器の入水温度が高くなっても第2沸き上げ運転に切り替えて沸き上げを継続でき、貯湯タンク内の湯水の全量をできるだけ高い温度に沸き上げることができる。
【0010】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記制御装置は、上記第1沸き上げ運転において、上記水熱交換器の出湯温度が目標出湯温度になるように上記循環ポンプの回転数を制御すると共に、上記第2沸き上げ運転において、上記循環ポンプの回転数を上記第1沸き上げ運転時の回転数よりも高い回転数にする。
【0011】
本開示によれば、第1沸き上げ運転において、水熱交換器の出湯温度が目標出湯温度になるように循環ポンプの回転数を制御することにより、貯湯タンク内の湯水のうち底部の一部を除く湯水を出湯温度に沸き上げた後、第2沸き上げ運転において、循環ポンプの回転数を第1沸き上げ運転時の回転数よりも高い回転数にすることにより、貯湯タンク内の湯水の全量を高い温度に沸き上げることができる。
【0012】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記制御装置は、上記第1沸き上げ運転において上記水熱交換器の入水温度が第1設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転に切り替えるように、上記ヒートポンプユニットおよび上記循環ポンプを制御する。
【0013】
本開示によれば、制御装置によってヒートポンプユニットおよび循環ポンプを制御して、第1沸き上げ運転において水熱交換器の入水温度が第1設定温度以上になると、第2沸き上げ運転に切り替えることによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる前に第2沸き上げ運転に切り替わるように第1設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0014】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記制御装置は、上記第1沸き上げ運転において上記水熱交換器の凝縮温度が第2設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転に切り替えるように、上記ヒートポンプユニットおよび上記循環ポンプを制御する。
【0015】
本開示によれば、制御装置によってヒートポンプユニットおよび循環ポンプを制御して、第1沸き上げ運転において水熱交換器の凝縮温度が第2設定温度以上になると、第2沸き上げ運転に切り替えることによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる少し前に第2沸き上げ運転に切り替わるように第2設定温度を設定することで、貯湯タンク内の湯水の温度分布の乱れが少なく上部の高温の湯水を利用できる第1沸き上げ運転をできるだけ長く行いつつ、高圧異常の発生を抑制できる。
【0016】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記制御装置は、上記第2沸き上げ運転において上記水熱交換器の凝縮温度が第3設定温度以上になると、上記第2沸き上げ運転を終了するように、上記ヒートポンプユニットおよび上記循環ポンプを制御する。
【0017】
本開示によれば、制御装置によってヒートポンプユニットおよび循環ポンプを制御して、第2沸き上げ運転において水熱交換器の凝縮温度が第3設定温度以上になると、第2沸き上げ運転を終了することによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる前に第2沸き上げ運転に終了するように第3設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0018】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記ヒートポンプユニットは、空気熱交換器と、上記空気熱交換器に外気を供給するファンとを有し、
上記制御装置は、上記第2沸き上げ運転において、上記水熱交換器の凝縮温度が第4設定温度以上になると、上記ファンの回転数を現在回転数よりも下げるか、または、上記ファンを停止するように、上記ヒートポンプユニットを制御する。
【0019】
本開示によれば、制御装置によってヒートポンプユニットを制御して、水熱交換器の凝縮温度が第4設定温度以上になると、ファンの回転数を現在回転数よりも下げることによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる前にファンの回転数を下げて能力を落とすように第4設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。あるいは、制御装置によってヒートポンプユニットを制御して、水熱交換器の凝縮温度が第4設定温度以上になると、ファンを停止することによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる前にファンを停止して能力を落とすように第4設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0020】
また、本開示の1つの態様に係るヒートポンプ式温水装置では、
上記制御装置は、上記第2沸き上げ運転において、上記水熱交換器の凝縮温度が第5設定温度以上になると、上記ヒートポンプユニットの圧縮機の回転数を現在回転数よりも下げるように、上記ヒートポンプユニットを制御する。
【0021】
本開示によれば、制御装置によってヒートポンプユニットを制御して、水熱交換器の凝縮温度が第5設定温度以上になると、ヒートポンプユニットの圧縮機の回転数を現在回転数よりも下げることによって、例えばヒートポンプユニットの冷媒回路が高圧異常になる前に圧縮機の回転数を下げて能力を落とすように第5設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の構成図である。
図2】第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の制御ブロック図である。
図3】第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転を説明するための図である。
図4】第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転の処理を示すフローチャートである。
図5】本開示の第2実施形態のヒートポンプ式温水装置の構成図である。
図6】第2実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転の処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転の処理を示すフローチャートである。
図8】第4実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転の処理を示すフローチャートである。
図9】第5実施形態のヒートポンプ式温水装置の沸き上げ運転の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の構成図である。
【0025】
このヒートポンプ式温水装置は、図1に示すように、ヒートポンプユニット100と、貯湯ユニット200と、リモートコントローラ300とを備えている。
【0026】
ヒートポンプユニット100は、圧縮機1と、圧縮機1の吐出側に一端が接続された水熱交換器2と、水熱交換器2の他端に一端が接続された電動膨張弁EVと、電動膨張弁EVの他端に一端が接続された空気熱交換器3と、空気熱交換器3の他端に一端が接続され、他端が圧縮機1の吸入側に接続されたアキュムレータ4とを備える。上記空気熱交換器3近傍に、空気熱交換器3に外気を供給する室外ファン6を配置している。室外ファン6は、ファンの一例である。
【0027】
水熱交換器2は、外管2aとその外管2a内に挿入された内管2bからなる2重管熱交換器である。なお、水熱交換器は、2重管熱交換器に限らず、プレート式の熱交換器などでもよい。
【0028】
上記圧縮機1と水熱交換器2と空気熱交換器3と電動膨張弁EVおよびアキュムレータ4で、熱源装置の一例としての冷媒回路を構成している。また、この実施の形態では、冷媒としてR32(臨界温度78.1℃)を用いているが、臨界温度が(出湯温度+10℃)よりも高い冷媒であればよい。例えば、R32以外の冷媒として、HFO-1234yf(臨界温度95℃)や、R410(臨界温度71.4℃)などがある。
【0029】
上記圧縮機1の吐出側に吐出管温度センサ11を設けている。また、空気熱交換器3の近傍に室外温度を検出する室外温度センサ12を設けている。
【0030】
また、上記ヒートポンプユニット100では、水熱交換器2の入水口に入水配管L1の一端が接続され、水熱交換器2の出湯口に出湯配管L2の一端が接続されている。入水配管L1に入水温度センサ13を設け、出湯配管L2に出湯温度センサ14を設けている。入水配管L1に循環ポンプPを配設している。
【0031】
上記ヒートポンプユニット100は、マイクロコンピュータおよび入出力回路などからなる制御装置10を備えている。上記制御装置10は、リモートコントローラ300から運転を指示するための信号などが無線通信または有線通信により入力される。なお、この制御装置10は、貯湯ユニット200側に備えてもよいし、ヒートポンプユニット100と貯湯ユニット200の夫々に、互いに通信を行って協調動作する制御装置を備えてもよい。
【0032】
また、貯湯ユニット200は、貯湯タンク20を備えている。この貯湯タンク20は、家庭用の比較的小容量の30リットル~200リットルである。貯湯タンク20の下部に入水配管L1の他端が接続され、貯湯タンク20の上部に出湯配管L2の他端が接続されている。貯湯タンク20には、下側から上側に向かって間隔をあけて3つの温度センサT1~T3を設けている。
なお、業務用のヒートポンプ式温水装置の場合、貯湯タンクの容量は500リットル~2000リットル程度で、その加熱能力は、家庭用のヒートポンプ式温水装置の加熱能力の2倍程度である。
【0033】
また、貯湯タンク20の下部に、減圧弁24が配設された給水配管L11が接続されている。貯湯タンク20の上部に配管L12の一端が接続され、配管L12の他端が給湯混合弁21の第1入水ポートに接続されている。給湯混合弁21の第2入水ポートに、給水配管L11から分岐した配管L13が接続されている。
【0034】
上記給湯混合弁21の出水ポートに給湯配管L14の一端を接続し、給湯配管L14の他端に給湯部30(例えば蛇口や風呂のカラン,シャワー)を接続している。給湯配管L14に給湯温度センサ25を設けている。
【0035】
また、配管L12から分岐した配管L15が湯はり混合弁22の第1入水ポートに接続されている。湯はり混合弁22の第2入水ポートに、配管L13から分岐した配管L16が接続されている。湯はり混合弁22の出水ポートに配管L17の一端を接続し、配管L17の他端を湯はり電磁弁23の一端に接続している。湯はり電磁弁23の他端に風呂配管L18の一端を接続し、風呂配管L18の他端を浴槽40に接続している。配管L17に湯はり温度センサ26を設けている。
【0036】
図2は、第1実施形態のヒートポンプ式温水装置の制御ブロック図である。この制御装置10は、図2に示すように、リモートコントローラ300,吐出管温度センサ11,室外温度センサ12,温度センサT1~T3,入水温度センサ13,出湯温度センサ14,給湯温度センサ25および湯はり温度センサ26からの信号に基づいて、圧縮機1,室外ファン用モータ6a,電動膨張弁EV,循環ポンプP,給湯混合弁21,湯はり混合弁22および湯はり電磁弁23などを制御する。
【0037】
<沸き上げ運転について>
上記構成のヒートポンプ式温水装置において、ヒートポンプユニット100により貯湯タンク20内の湯水を沸き上げる「沸き上げ運転」では、循環ポンプPを運転して、貯湯タンク20内の湯水を、入水配管L1,ヒートポンプユニット100の水熱交換器2,出湯配管L2を介して循環させながら、水熱交換器2で湯水を加熱する。
【0038】
上記第1実施形態のヒートポンプ式温水装置では、制御装置10によりヒートポンプユニット100および循環ポンプPを制御して、貯湯タンク20内の湯水を沸き上げる図3(a)の積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)を行った後に、積層沸き上げ運転における水熱交換器2の出湯温度よりも低い出湯温度で貯湯タンク20内の湯水を沸き上げる図3(b)の循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)を行う。
【0039】
積層沸き上げ運転では、水熱交換器2の出湯温度が目標出湯温度(例えば65℃)になるように循環ポンプPの回転数を制御する(フィードバック制御)。この積層沸き上げ運転では、貯湯タンク20の上部側に供給される高温水の流量を0.5~2.2リットル/minとしている。また、水熱交換器2の出湯温度は、40℃~65℃である。
【0040】
これにより、貯湯タンク20の上部側に比較的小流量の高温水が供給されるため、貯湯タンク20内で温度差による対流が生じないと共に、貯湯タンク20内で攪拌がほとんど生じない。このようにして、積層沸き上げ運転では、貯湯タンク20の上部側から底部側に向かって高温水の領域が拡大していく。
【0041】
制御装置10は、この積層沸き上げ運転において、入水温度センサ13により検出された水熱交換器2の入水温度が第1設定温度(例えば41℃)以上になると、循環沸き上げ運転に切り替えるように、ヒートポンプユニット100および循環ポンプPを制御する。
【0042】
そして、次の循環沸き上げ運転では、循環ポンプPの回転数を積層沸き上げ運転時の回転数よりも高い一定の回転数にする(フィードフォワード制御)。この循環沸き上げ運転では、貯湯タンク20の上部側に供給される高温水の流量を3~5リットル/minとしており、積層沸き上げ運転時の1.2倍以上の流量としている。また、水熱交換器2の出湯温度は、最低入水温度が5℃とした場合、10℃~65℃である。循環沸き上げ運転による沸き上げ温度tb2は、積層沸き上げ運転による沸き上げ温度tb1とすると、(tb1-5℃)程度である。
【0043】
これにより、循環沸き上げ運転時に貯湯タンク20の上部側に比較的大流量の高温水が供給されることにより、貯湯タンク20内の温水が攪拌されて、貯湯タンク20内の温度分布がほぼ均一化される。この循環沸き上げ運転を継続することにより、貯湯タンク20全体の温水の温度が徐々に上昇する。
【0044】
制御装置10は、この循環沸き上げ運転において、入水温度センサ13により検出された水熱交換器2の入水温度が沸き上げ停止温度(例えば50℃)以上になると、循環沸き上げ運転を終了する。なお、温度センサT1により検出された貯湯タンク20内の湯温が目標沸き上げ温度以上のとき循環沸き上げ運転を終了するようにしてもよい。
【0045】
次に、図4に示すフローチャートに従って沸き上げ運転の処理を説明する。
【0046】
まず、沸き上げ運転の処理がスタートすると、ステップS1で循環ポンプPの運転を開始する。
【0047】
次に、ステップS2に進み、ヒートポンプユニット100の運転を開始する。
【0048】
次に、ステップS3に進み、循環ポンプPの回転数を制御する(積層沸き上げ運転)。詳しくは、水熱交換器2の出湯温度が目標出湯温度(例えば65℃)になるように循環ポンプPの回転数を制御する(フィードバック制御)。このとき、循環ポンプPの回転数は、ステップS6の循環沸き上げ運転時よりも低い回転数となる。
【0049】
次に、ステップS4に進み、入水温度センサ13により水熱交換器2の入水温度を検出する。
【0050】
次に、ステップS5に進み、ステップS4で得られた入水温度が第1設定温度(例えば41℃)以上であると判定すると、ステップS6に進む。一方、ステップS5で入水温度が第2設定温度未満であると判定すると、ステップS3に戻り、ステップS3~S5を繰り返す。
【0051】
そして、ステップS6では、循環ポンプPの回転数を高くする(循環沸き上げ運転)。このとき、循環ポンプPの回転数は、一定回転数(例えば5000rpm)とする。
【0052】
次に、ステップS7に進み、入水温度センサ13により水熱交換器2の入水温度を検出する。
【0053】
次に、ステップS8に進み、ステップS7で得られた入水温度が沸き上げ停止温度(例えば50℃)以上であると判定すると、ステップS9に進む。一方、ステップS8で入水温度が沸き上げ停止温度未満であると判定すると、ステップS7に戻り、ステップS7,S8を繰り返す。
【0054】
そして、ステップS9では、循環ポンプPの運転を停止し、次のステップS10では、ヒートポンプユニット100の運転を停止して、この処理を終了する。
【0055】
<給湯運転について>
上記ヒートポンプ式温水装置において、給湯部30から湯水を供給する「給湯運転」を行う場合、給湯部30の蛇口を開くと、給水圧力により外部からの水が給水配管L11を介して貯湯タンク20の下部から貯湯タンク20内に供給される。これにより、貯湯タンク20内の上部から高温の湯が配管L12を介して押し出される。
【0056】
そして、貯湯タンク20内の上部から高温の湯が、配管L12を介して給湯混合弁21の第1入水ポートに供給されると共に、外部からの水が給水配管L11の一部,配管L13を介して給湯混合弁21の第2入水ポート(水側)に供給される。ここで、貯湯タンク20内の上部の高温の湯と外部からの水とが給湯混合弁21により混合された後、給湯配管L14を介して給湯部30から出湯される。
【0057】
上記制御装置10は、「給湯運転」において、給湯部30の蛇口が開かれて、水量センサ(図示せず)により給湯開始が検出されると、目標給湯温度に応じて給湯混合弁21を制御する。その後の給湯運転中は、給湯温度センサ25により検出された給湯温度が目標給湯温度になるように、給湯混合弁21の湯と水の混合比を制御するフィードバック制御を行う。
【0058】
<湯はり運転について>
上記ヒートポンプ式温水装置において、貯湯タンク20から風呂の浴槽40内に給湯する「湯はり運転」を行う場合、制御装置10により湯はり電磁弁23を開くと、給水圧力により外部からの水が給水配管L11を介して貯湯タンク20の下部から貯湯タンク20内に供給される。これにより、貯湯タンク20内の上部から高温の湯が配管L12を介して押し出される。
【0059】
そして、貯湯タンク20内の上部から高温の湯が、配管L12,配管L15を介して湯はり混合弁22の第1入水ポートに供給されると共に、外部からの水が給水配管L11の一部,配管L16を介して湯はり混合弁22の第2入水ポート(水側)に供給される。
【0060】
ここで、貯湯タンク20内の上部の高温の湯と外部からの水とが給湯混合弁21により混合された後、配管L17,湯はり電磁弁23および風呂配管L18を介して浴槽40に供給される。そして、水位センサ(図示せず)により検出された浴槽40内の水位が設定水位になると、湯はりが完了したものとして湯はり電磁弁23を閉じる。
【0061】
上記制御装置10は、「湯はり運転」において、湯はり電磁弁23を開いて、浴槽40への湯はり運転が開始されると、目標設定温度に応じて湯はり混合弁22を制御する。その後の湯はり運転中は、湯はり温度センサ26により検出された湯温が目標設定温度になるように、湯はり混合弁22の湯と水の混合比を制御するフィードバック制御を行う。
【0062】
上記構成のヒートポンプ式温水装置によれば、積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)で水熱交換器2の入水温度が高くなっても循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)に切り替えて沸き上げを継続でき、貯湯タンク20内の湯水の全量をできるだけ高い温度に沸き上げることができる。
【0063】
また、積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)において、水熱交換器2の出湯温度が目標出湯温度になるように循環ポンプPの回転数を制御することにより、貯湯タンク20内の湯水のうち底部の一部を除く湯水を出湯温度に沸き上げた後、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において、循環ポンプPの回転数を積層沸き上げ運転時の回転数よりも高い一定の回転数にすることにより、貯湯タンク20内の湯水の全量を高い温度に沸き上げることができる。
【0064】
また、上記積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)においてヒートポンプユニット100の冷媒回路が高圧異常になる前に循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)に切り替わるように第1設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0065】
〔第2実施形態〕
図5は、本開示の第2実施形態のヒートポンプ式温水装置の構成図である。この第2実施形態のヒートポンプ式温水装置は、凝縮温度センサ15と制御装置110を除いて第1実施形態のヒートポンプ式温水装置と同一の構成をしている。
【0066】
この第2実施形態のヒートポンプ式温水装置において、ヒートポンプユニット100は、水熱交換器2の凝縮温度を検出する凝縮温度センサ15を備える。そして、制御装置110は、積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)において、凝縮温度センサ15により検出された水熱交換器2の凝縮温度が第2設定温度(例えば59℃)以上になると、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)に切り替えるように、ヒートポンプユニット100および循環ポンプPを制御する。
【0067】
図6に示すフローチャートに従って沸き上げ運転の処理を説明する。この図6のフローチャートは、ステップS14,S15を除いて第1実施形態の図4に示すフローチャートと同じ処理を行う。以下、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通のステップは説明を省略する。
【0068】
ステップS1,S2の次に、ステップS3で循環ポンプPの回転数を制御し(積層沸き上げ運転)、次のステップS14で、凝縮温度センサ15により水熱交換器2の凝縮温度を検出する。
【0069】
次に、ステップS15に進み、ステップS14で得られた凝縮温度が第2設定温度(例えば59℃)以上であると判定すると、ステップS6に進む。一方、ステップS5で入水温度が第2設定温度未満であると判定すると、ステップS3に戻り、ステップS3~S5を繰り返す。
以下、第1実施形態の図4に示すフローチャートと同様にして、水熱交換器2の入水温度が沸き上げ停止温度になるまで循環沸き上げ運転を行う。
【0070】
上記ヒートポンプ式温水装置によれば、積層沸き上げ運転においてヒートポンプユニット100の冷媒回路が高圧異常になる少し前に循環沸き上げ運転に切り替わるように第2設定温度を設定することで、貯湯タンク20内の湯水の温度分布の乱れが少なく上部の高温の湯水を利用できる積層沸き上げ運転をできるだけ長く行いつつ、高圧異常が発生する前に循環沸き上げ運転に切り替えて高圧異常の発生を抑制できる。
【0071】
上記第2実施形態のヒートポンプ式温水装置は、第1実施形態のヒートポンプ式温水装置と同様の効果を有する。
【0072】
なお、上記第2実施形態において、積層沸き上げ運転(第1沸き上げ運転)において、水熱交換器2の凝縮温度が第2設定温度以上になるか、または、水熱交換器2の入水温度が第1設定温度(例えば41℃)以上になると、循環沸き上げ運転に切り替えるようにしてもよい。
【0073】
〔第3実施形態〕
本開示の第3実施形態のヒートポンプ式温水装置は、制御装置110の動作を除いて第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同一の構成をしており、図5を援用する。
【0074】
この第3実施形態のヒートポンプ式温水装置では、制御装置110は、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において水熱交換器2の凝縮温度が第3設定温度(例えば60℃)以上になると、循環沸き上げ運転を終了するように、ヒートポンプユニット100および循環ポンプPを制御する。
【0075】
図7に示すフローチャートに従って沸き上げ運転の処理を説明する。この図7のフローチャートは、ステップS17,S18を除いて第2実施形態の図6に示すフローチャートと同じ処理を行う。以下、第2実施形態との相違点について説明し、第2実施形態と共通のステップは説明を省略する。
【0076】
ステップS1~S3,S14,S15で積層沸き上げ運転をした後、次のステップS6で循環ポンプPの回転数を高くし(循環沸き上げ運転に切り替え)、次のステップS17で、凝縮温度センサ15により水熱交換器2の凝縮温度を検出する。
【0077】
次に、ステップS18に進み、ステップS17で得られた凝縮温度が第3設定温度(例えば60℃)以上であると判定すると、ステップS9に進む。一方、ステップS18で凝縮温度が第3設定温度未満であると判定すると、ステップS17に戻り、ステップS17,S18を繰り返す。
【0078】
そして、ステップS9では、循環ポンプPの運転を停止し、次のステップS10では、ヒートポンプユニット100の運転を停止して、この処理を終了する。
【0079】
上記ヒートポンプ式温水装置によれば、循環沸き上げ運転においてヒートポンプユニット100の冷媒回路が高圧異常になる前に循環沸き上げ運転に終了するように第3設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0080】
上記第3実施形態のヒートポンプ式温水装置は、第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同様の効果を有する。
【0081】
〔第4実施形態〕
本開示の第4実施形態のヒートポンプ式温水装置は、制御装置110の動作を除いて第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同一の構成をしており、図5を援用する。
【0082】
この第4実施形態のヒートポンプ式温水装置では、制御装置110は、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において、凝縮温度センサ15により検出された水熱交換器2の凝縮温度が第4設定温度(例えば58℃)以上になると、室外ファン6の回転数を現在回転数よりも所定回転数(例えば300rpm)下げるようにヒートポンプユニット100を制御する。ここで、室外ファン6の現在回転数とは、水熱交換器2の凝縮温度が第4設定温度以上になった時点における室外ファン6の回転数である。
【0083】
図8に示すフローチャートに従って沸き上げ運転の処理を説明する。この図8のフローチャートは、ステップS21~S23を除いて第2実施形態の図6に示すフローチャートと同じ処理を行う。以下、第2実施形態との相違点について説明し、第2実施形態と共通のステップは説明を省略する。
【0084】
まず、沸き上げ運転の処理がスタートすると、ステップS1~S15において積層沸き上げ運転をした後、ステップS6に進み、循環沸き上げ運転に切り替える。
【0085】
そして、ステップS6では、循環ポンプPの回転数を高くする(循環沸き上げ運転)。このとき、循環ポンプPの回転数は、一定回転数(例えば5000rpm)とする。
【0086】
次に、ステップS7に進み、入水温度センサ13により水熱交換器2の入水温度を検出する。
【0087】
次に、ステップS8に進み、ステップS7で得られた入水温度が沸き上げ停止温度(例えば50℃)以上であると判定すると、ステップS9に進む。一方、ステップS8で入水温度が沸き上げ停止温度未満であると判定すると、ステップS21に進む。
【0088】
次に、ステップS21で凝縮温度センサ15により水熱交換器2の凝縮温度を検出する。
【0089】
次に、ステップS22に進み、ステップS21で得られた凝縮温度が第4設定温度(例えば58℃)以上であると判定すると、ステップS23に進む。一方、ステップS22で凝縮温度が第4設定温度未満であると判定すると、ステップS7に戻る。
【0090】
次に、ステップS23で室外ファン6の回転数を下げる。詳しくは、室外ファン6の回転数を現在回転数よりも所定回転数(例えば300rpm)下げて、ステップS7に戻る。なお、この実施形態では、室外ファン6の回転数ダウンは1回のみ行われるが、凝縮温度が第4設定温度(例えば58℃)以上の状態が継続する場合は、さらに回転数を下げるようにしてもよい。
【0091】
そして、ステップS9では、循環ポンプPの運転を停止し、次のステップS10では、ヒートポンプユニット100の運転を停止して、この処理を終了する。
【0092】
上記ヒートポンプ式温水装置によれば、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)においてヒートポンプユニット100の冷媒回路が高圧異常になる前に室外ファン6の回転数を下げて能力を落とすように第4設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0093】
なお、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において、水熱交換器2の凝縮温度が第4設定温度以上になると、室外ファン6を停止してもよい。
【0094】
上記第4実施形態のヒートポンプ式温水装置は、第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同様の効果を有する。
【0095】
〔第5実施形態〕
本開示の第5実施形態のヒートポンプ式温水装置は、制御装置110の動作を除いて第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同一の構成をしており、図5を援用する。
【0096】
この第5実施形態のヒートポンプ式温水装置では、制御装置110は、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において、凝縮温度センサ15により検出された水熱交換器2の凝縮温度が第5設定温度(例えば57℃)以上になると、ヒートポンプユニット100の圧縮機1の回転数を現在回転数よりも所定回転数(例えば4Hz)下げるようにヒートポンプユニット100を制御する。ここで、圧縮機1の現在回転数とは、水熱交換器2の凝縮温度が第5設定温度以上になった時点における圧縮機1の回転数である。
【0097】
図9に示すフローチャートに従って沸き上げ運転の処理を説明する。この図9のフローチャートは、ステップS31~S33を除いて第2実施形態の図6に示すフローチャートと同じ処理を行う。以下、第2実施形態との相違点について説明し、第2実施形態と共通のステップは説明を省略する。
【0098】
まず、沸き上げ運転の処理がスタートすると、ステップS1~S15において積層沸き上げ運転をした後、ステップS6に進み、循環沸き上げ運転に切り替える。
【0099】
そして、ステップS6では、循環ポンプPの回転数を高くする(循環沸き上げ運転)。このとき、循環ポンプPの回転数は、一定回転数(例えば5000rpm)とする。
【0100】
次に、ステップS7に進み、入水温度センサ13により水熱交換器2の入水温度を検出する。
【0101】
次に、ステップS8に進み、ステップS7で得られた入水温度が沸き上げ停止温度(例えば50℃)以上であると判定すると、ステップS9に進む。一方、ステップS8で入水温度が沸き上げ停止温度未満であると判定すると、ステップS21に進む。
【0102】
次に、ステップS31で凝縮温度センサ15により水熱交換器2の凝縮温度を検出する。
【0103】
次に、ステップS32に進み、ステップS21で得られた凝縮温度が第5設定温度(例えば57℃)以上であると判定すると、ステップS23に進む。一方、ステップS22で凝縮温度が第5設定温度未満であると判定すると、ステップS7に戻る。
【0104】
次に、ステップS23で圧縮機1の回転数を下げる。詳しくは、圧縮機1の回転数を現在回転数よりも所定回転数(例えば4Hz)下げて、ステップS7に戻る。なお、この実施形態では、凝縮温度が第5設定温度(例えば58℃)以上の状態が所定時間継続する場合は、さらに回転数を下げる。
【0105】
そして、ステップS9では、循環ポンプPの運転を停止し、次のステップS10では、ヒートポンプユニット100の運転を停止して、この処理を終了する。
【0106】
上記ヒートポンプ式温水装置によれば、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)においてヒートポンプユニット100の冷媒回路が高圧異常になる前に圧縮機1の回転数を下げて能力を落とすように第5設定温度を設定することで、高圧異常の発生を抑制できる。
【0107】
上記第5実施形態のヒートポンプ式温水装置は、第2実施形態のヒートポンプ式温水装置と同様の効果を有する。
【0108】
上記第5実施形態では、循環沸き上げ運転(第2沸き上げ運転)において、水熱交換器2の凝縮温度が第5設定温度以上になると、ヒートポンプユニット100の圧縮機1の回転数を現在回転数よりも所定回転数下げると共に、水熱交換器2の凝縮温度が第4設定温度以上になると、室外ファン6の回転数を現在回転数よりも所定回転数下げるようにしてもよい。
【0109】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第5実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1~第5実施形態で記載した内容を適宜組み合わせたものを、本開示の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…圧縮機
2…水熱交換器
3…空気熱交換器
4…アキュムレータ
6…室外ファン
6a…室外ファン用モータ
10,110…制御装置
11…吐出管温度センサ
12…室外温度センサ
13…入水温度センサ
14…出湯温度センサ
15…凝縮温度センサ
20…貯湯タンク
21…給湯混合弁
22…湯はり混合弁
23…湯はり電磁弁
24…減圧弁
25…給湯温度センサ
26…湯はり温度センサ
30…給湯部
40…浴槽
100…ヒートポンプユニット
200…貯湯ユニット
300…リモートコントローラ
EV…電動膨張弁
P…循環ポンプ
T1~T3…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9