(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】健康管理サーバ、健康管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240329BHJP
G06Q 10/1057 20230101ALI20240329BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q10/1057
(21)【出願番号】P 2020078362
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591115006
【氏名又は名称】三菱地所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】春日 慶一
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207165(JP,A)
【文献】特開2017-102673(JP,A)
【文献】特開2006-243969(JP,A)
【文献】特開2017-111559(JP,A)
【文献】特許第6696654(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの体調または仕事に関するカウンセリングデータを、当該ユーザのIDと共に取得するカウンセリングデータ取得部と、
企業サーバから前記IDに対応するユーザの就業に関する数値データまたはラベルデータを含む就業データを取得する就業データ取得部と、
前記IDに対応するユーザの前記就業データに基づいて、前記IDに対応するユーザを就業環境の改善点を示す何れかの類型に分類し、または前記IDに対応するユーザが何れの類型にも分類されないことを判定する類型判定部と、
何れかの類型に分類されたユーザの前記カウンセリングデータのみに基づいて就業環境の改善点を提案する提案データを生成し、当該ユーザが所属する企業の前記企業サーバに送信する提案データ生成部を含む
健康管理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の健康管理サーバであって、
前記提案データ生成部は、
前記提案データの生成に用いる前記カウンセリングデータを匿名化処理する
健康管理サーバ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の健康管理サーバであって、
前記カウンセリングデータに当該ユーザの承諾が含まれている場合に、対応するカウンセリングデータを医療機関サーバに送信するカウンセリングデータ送信部を含む
健康管理サーバ。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の健康管理サーバであって、
前記類型は、
仕事量に関する改善点を示す類型、人間関係に関する改善点を示す類型、職種に関する改善点を示す類型、ライフスタイルに関する改善点を示す類型の何れかを含む
健康管理サーバ。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の健康管理サーバであって、
ユーザの体調に関する前記カウンセリングデータとして、
パーソナルヘルスレコード、過去の健診データ、アンケートデータ、面接聞き取り事項の何れかを含み、
ユーザの仕事に関する前記カウンセリングデータとして、
アンケートデータ、面接聞き取り事項の何れかを含む
健康管理サーバ。
【請求項6】
健康管理サーバが実行する健康管理方法であって、
ユーザの体調または仕事に関するカウンセリングデータを、当該ユーザのIDと共に取得するカウンセリングデータ取得ステップと、
企業サーバから前記IDに対応するユーザの就業に関する数値データまたはラベルデータを含む就業データを取得する就業データ取得ステップと、
前記IDに対応するユーザの前記就業データに基づいて、前記IDに対応するユーザを就業環境の改善点を示す何れかの類型に分類し、または前記IDに対応するユーザが何れの類型にも分類されないことを判定する類型判定ステップと、
何れかの類型に分類されたユーザの前記カウンセリングデータのみに基づいて就業環境の改善点を提案する提案データを生成し、当該ユーザが所属する企業の前記企業サーバに送信する提案データ生成ステップを含む
健康管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の健康管理方法であって、
前記提案データ生成ステップにおいて、
前記提案データの生成に用いる前記カウンセリングデータを匿名化処理する
健康管理方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の健康管理方法であって、
前記カウンセリングデータに当該ユーザの承諾が含まれている場合に、対応するカウンセリングデータを医療機関サーバに送信するカウンセリングデータ送信ステップを含む
健康管理方法。
【請求項9】
請求項6から8の何れかに記載の健康管理方法であって、
前記類型は、
仕事量に関する改善点を示す類型、人間関係に関する改善点を示す類型、職種に関する改善点を示す類型、ライフスタイルに関する改善点を示す類型の何れかを含む
健康管理方法。
【請求項10】
請求項6から9の何れかに記載の健康管理方法であって、
ユーザの体調に関する前記カウンセリングデータとして、
パーソナルヘルスレコード、過去の健診データ、アンケートデータ、面接聞き取り事項の何れかを含み、
ユーザの仕事に関する前記カウンセリングデータとして、
アンケートデータ、面接聞き取り事項の何れかを含む
健康管理方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1から5の何れかに記載の健康管理サーバとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理サーバ、健康管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
経済産業省は、次世代ヘルスケア産業の創出に向けたコンセプトとして、公的保険外の予防・健康管理サービスの活用を通じて、生活習慣の改善や受診勧奨等を促すことにより、『国民の健康寿命の延伸』と『新産業の創出』を同時に達成し、『あるべき医療費・介護費の実現』につなげることを提案している(非特許文献1)。
【0003】
同文献では、(1)生活習慣病等に関して、「重症化した後の治療」から「予防や早期診断・早期治療」に重点化するとともに、(2)地域包括ケアシステムと連携した事業(介護予防・生活支援等)に取り組むことが提唱されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】経済産業省、“経済産業省におけるヘルスケア産業政策について”、[online]、経済産業省、[令和1年11月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/01metihealthcarepolicy.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の次世代ヘルスケア産業の一例として、例えば自社の従業員の健康維持に関心が高い企業から協賛を得て、民間の予防・健康管理サービスを立ち上げることが考えられる。しかし、このような民間の予防・健康管理サービスは、どのようにすれば信頼性の高いデータを収集して企業にフィードバックすることができるか、その方法は知られていなかった。
【0006】
そこで本発明では、信頼性の高いデータを収集して企業にフィードバックすることができる健康管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の健康管理サーバは、カウンセリングデータ取得部と、就業データ取得部と、類型判定部と、提案データ生成部を含む。
【0008】
カウンセリングデータ取得部は、ユーザの体調または仕事に関するカウンセリングデータを、当該ユーザのIDと共に取得する。就業データ取得部は、企業サーバからIDに対応するユーザの就業に関する数値データまたはラベルデータを含む就業データを取得する。類型判定部は、IDに対応するユーザの就業データに基づいて、IDに対応するユーザを就業環境の改善点を示す何れかの類型に分類し、またはIDに対応するユーザが何れの類型にも分類されないことを判定する。提案データ生成部は、何れかの類型に分類されたユーザのカウンセリングデータのみに基づいて就業環境の改善点を提案する提案データを生成し、当該ユーザが所属する企業の企業サーバに送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の健康管理サーバによれば、信頼性の高いデータを収集して企業にフィードバックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の健康管理システムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施例1の健康管理サーバの構成を示すブロック図。
【
図3】実施例1の健康管理サーバの動作を示すフローチャート。
【
図4】カウンセリングデータに含まれるデータの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
以下、
図1を参照して実施例1の健康管理システム1の構成を説明する。同図に示すように本実施例の健康管理システム1は、企業サーバ11と、健康管理サーバ12と、医療機関サーバ13を含む。なお、医療機関サーバ13は割愛してもよい。
【0013】
[企業サーバ11]
企業サーバ11は、本実施例の健康管理システム1に参加している企業が管理するサーバである。同図では、企業サーバ11を一つのみ図示したが、企業サーバ11は、各企業が備えるサーバであるため、本実施例の健康管理システム1に参加している企業が複数ある場合には、企業サーバ11も複数存在する。企業サーバ11は、健康管理サーバ12と医療機関サーバ13と通信可能にネットワークで接続されており、健康管理サーバ12に後述する就業データを送信し、場合により、医療機関サーバ13から診断データを受信することができる。
【0014】
[健康管理サーバ12]
健康管理サーバ12は、本実施例の健康管理システム1において、上述の企業の従業員などに健康や働き方に関するカウンセリングを提供するサービスの事業者が管理するサーバである。このサービスによって提供されるカウンセリングは医療行為に該当しないものとする。カウンセリングを行うカウンセラは、医師であってもよいし、医師でなくてもよい。カウンセラは、上述の企業の従業員(ユーザー)に健康や働き方に関するアンケートを実施したり、面接を行ったりすることで、アンケートデータや面接聞き取り事項のデータを取得し、また従業員(ユーザー)のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)や、過去の健康診断のデータなどを取得して、健康管理サーバ12に入力するものとする。健康管理サーバ12は、企業サーバ11、後述する医療機関サーバ13と通信可能にネットワークで接続されており、企業サーバ11に後述する提案データを、医療機関サーバ13に後述するカウンセリングデータを送信し、企業サーバ11から就業データを受信することができる。
【0015】
[医療機関サーバ13]
医療機関サーバ13は、本実施例の健康管理システム1に参加している医療機関が管理するサーバである。同図では、医療機関サーバ13を一つのみ図示したが、医療機関サーバ13は、各医療機関が備えるサーバであるため、本実施例の健康管理システム1に参加している医療機関が複数ある場合には、医療機関サーバ13も複数存在する。医療機関サーバ13は、特定の条件が満たされる場合に、健康管理サーバ12からユーザのカウンセリングデータを受信し、カウンセリングデータをユーザーの診断に役立てる。また医療機関サーバ13は、ユーザーの診断データを匿名化して、企業サーバ11に送信する場合がある。医療機関サーバ13は本システムの必須の構成要件ではなく、適宜割愛することができる。
【0016】
[健康管理サーバ12の構成]
以下、
図2を参照して本実施例の健康管理サーバ12の構成を説明する。同図に示すように健康管理サーバ12は、カウンセリングデータ取得部121と、カウンセリングデータ記憶部12Aと、就業データ取得部122と、就業データ記憶部12Bと、類型判定部123と、類型判定ルール記憶部12Cと、カウンセリングデータ送信部124と、提案データ生成部125を含む。なお、カウンセリングデータ送信部124は、医療機関サーバ13が割愛される場合には、これに合わせて割愛可能である。以下、
図3を参照して各部の詳細な動作を説明する。
【0017】
<カウンセリングデータ取得部121>
例えば
図1に示すように、カウンセラはユーザーと面接をしてユーザの体調または仕事に関するカウンセリングデータを取得する。カウンセラは取得したカウンセリングデータをユーザーのIDと共に健康管理サーバ12に入力する。健康管理サーバ12のカウンセリングデータ取得部121は、カウンセリングデータをユーザーのIDと共に取得する(S121)。
【0018】
図4に示すように、カウンセリングデータとして、ユーザーの体調に関するデータや、ユーザーの仕事に関するデータを含んでもよい。同図に示すように、ユーザーの体調に関するデータとして、パーソナルヘルスレコード、過去の健診データ、アンケートデータ(体調)、面接聞き取り事項(体調)の何れかを含んでもよい。また、ユーザの仕事に関するデータとして、アンケートデータ(仕事)、面接聞き取り事項(仕事)の何れかを含んでもよい。なお、過去の健診データは企業サーバ11から取得してもよい。
【0019】
<カウンセリングデータ記憶部12A>
カウンセリングデータ記憶部12Aは、ステップS121で取得したカウンセリングデータをユーザのIDと対応付けて記憶する。
【0020】
<就業データ取得部122>
就業データ取得部122は、企業サーバ11からステップS121で取得したIDに対応するユーザーの就業に関する数値データまたはラベルデータを含む就業データを取得する(S122)。
【0021】
図5に示すように、就業データは、平均出社時刻(数値データ)、平均退社時刻(数値データ)、フレックス制度の有無(ラベルデータ)、平均残業時間(数値データ)、有給取得率(数値データ)、役職(ラベルデータ)、業種(ラベルデータ)、…などを含んでもよい。
【0022】
<就業データ記憶部12B>
就業データ記憶部12Bは、ステップS122で取得した就業データをユーザIDと対応付けて記憶する。
【0023】
<類型判定部123>
類型判定部123は、ステップS121で取得したIDに対応するユーザーの就業データに基づいて、ステップS121で取得したIDに対応するユーザーを就業環境の改善点を示す何れかの類型に分類し、またはステップS121で取得したIDに対応するユーザーが何れの類型にも分類されないことを判定する(S123)。例えば、
図6に示すように、類型は、仕事量に関する改善点を示す類型、人間関係に関する改善点を示す類型、職種に関する改善点を示す類型、ライフスタイルに関する改善点を示す類型、…などを含む。ステップS123において、後述する類型判定ルール記憶部12Cに記憶済みの類型判定ルール(モデル)を使用することができる。ステップS123を実行することにより、ステップS121で取得したIDに対応するユーザーが何れの類型に分類されるか、あるいは何れの類型にも分類されないか、を判定することができる。ユーザーが何れかの類型に分類される場合、ユーザーを雇用する企業は、ユーザーがカウンセリングデータ内で訴える体調の不良、仕事に関する不調に対して、類型に応じた改善策を講じることができる。また、ユーザーが何れの類型にも分類されない場合には、ユーザーがカウンセリングデータ内で訴える体調の不良、仕事に関する不調に対して、企業内で改善策を講じるより、他の改善策(例えば医師による診断、検査)を講じたほうが効果的である可能性が高い。
【0024】
<類型判定ルール記憶部12C>
類型判定ルール記憶部12Cは、予め学習した類型判定ルール(モデル)を記憶する。例えば、類型判定ルール(モデル)を教師有り学習で予め求めて記憶してもよい。この場合、訓練データ=(ベクトル,ラベル)は、ベクトルを就業データとし、ラベルを類型とすればよい。ラベルとなる類型は、例えばベクトルとなる就業データに対応するユーザーと面接したカウンセラが判定して付与したものを用いてもよい。
【0025】
<カウンセリングデータ送信部124>
カウンセリングデータ送信部124は、カウンセリングデータに当該ユーザの承諾が含まれている場合に、対応するカウンセリングデータを医療機関サーバ13に送信する(S124)。
【0026】
ステップS124は、ユーザの承諾に基づいて実行すること必要であり、ユーザの承諾がない場合には、カウンセリングデータ送信部124は、カウンセリングデータの送信を行わない。
【0027】
また、ステップS124は、ステップS123の結果如何にかかわらず実行されることが好ましい。例えば、ステップS123においてユーザーが何れの類型にも分類されなかった場合には、ユーザーがカウンセリングデータ内で訴える体調の不良、仕事に関する不調に対して、医師による診断、検査によりその原因を特定するのが好ましい場合がある。また、ステップS123においてユーザーが何れかの類型に分類された場合、企業が類型に応じた改善策を講じると同時に、ユーザーがカウンセリングデータ内で訴える体調の不良、仕事に関する不調に対して、医師による診断、検査によりその原因を特定する、企業と医療機関によるダブルチェック体制でユーザーをサポートすればより好適である。
【0028】
<提案データ生成部125>
提案データ生成部125は、何れかの類型に分類されたユーザーのカウンセリングデータのみに基づいて就業環境の改善点を提案する提案データを生成し、当該ユーザが所属する企業の企業サーバに送信する(S125)。提案データ生成部125は、何れの類型にも分類されなかったユーザーのカウンセリングデータを用いないものとする。ステップS125は、ユーザーが何れかの類型に分類されたか否かを条件として、ユーザーのカウンセリングデータをフィルタリングする処理とも表現できる。このフィルタリングは、就業環境の改善点を提案するために用いるカウンセリングデータを客観的かつ信憑性が高いものとするために行われる。なお、提案データ生成部125は、提案データの生成に用いるカウンセリングデータを匿名化処理すれば、さらに好適である。匿名化処理として、名前を伏せるだけでなく、複数人のユーザのカウンセリングデータの文面を項目化、一般化してユーザ個人を特定できないようにすれば好適である。提案データとしては、例えば、該当の企業が何れの類型に当てはまる可能性が高いかを示したうえで、匿名化され、項目化された複数人のユーザのカウンセリングデータを箇条書き方式で列挙してもよい。
【0029】
上述したように、本実施例の健康管理システム1、健康管理サーバ12によれば、ユーザーが何れの類型に分類されるか、あるいは何れの類型にも分類されないかに基づいて、カウンセリングデータをフィルタリングし、フィルタリング後に残ったカウンセリングデータに基づいて就業環境の改善点を提案する提案データを生成するため、信頼性の高いデータを収集して企業にフィードバックすることができる。
【0030】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0031】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0032】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0033】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0034】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0035】
上述の各種の処理は、
図7に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0036】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electrically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0037】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0038】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0039】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。