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特許7462496ホルダ、当該ホルダを備えたフック検出ユニットおよびフック検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ホルダ、当該ホルダを備えたフック検出ユニットおよびフック検出方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240329BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A62B35/00 J
A62B35/00 A
G08B21/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020118191
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015389
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】大西 祥太
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝男
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 繁年
(72)【発明者】
【氏名】中原 大輔
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097655(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194445(JP,U)
【文献】韓国登録特許第1964727(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00-99/00
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
墜落制止用器具に設けられたフックを吊下げ可能なホルダであって、
前記フックを吊下げ可能に係止するホルダ本体と、
前記ホルダ本体における前記フックの有無を検出する第1および第2の検出部と、
前記第1および第2の検出部の検出結果に基づいて異常を検出する異常検出部と、
を備えたホルダ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の検出部が、前記フックの自重に起因した荷重を検出可能な手段であり、前記第2の検出部が、前記ホルダ本体に対して前記フックが係止位置に位置していることを検出可能な手段である、
ことを特徴とするホルダ。
【請求項3】
請求項1において、
前記ホルダ本体が、作業者の体の側に取り付けられるベースと、前記ベースにスライド可能に設けられ、前記フックが係止し得るスライダとを備え、
前記第1の検出部が、前記フックの前記スライダへの係止時に前記スライダの移動を検出可能な手段であり、前記第2の検出部が、前記スライダに対して前記フックが係止位置に位置していることを検出可能な手段である、
ことを特徴とするホルダ。
【請求項4】
請求項において、
前記異常検出部による異常検出時に警報を発する警報部をさらに備えた、
ことを特徴とするホルダ。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1または第2の検出部が、前記ホルダ本体に過大な荷重が作用したことを検出可能な手段である、
ことを特徴とするホルダ。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1または第2の検出部が、前記フックに設けられた被検出部を検出可能な手段である、
ことを特徴とするホルダ。
【請求項7】
フックおよびこれを吊下げ可能なホルダを備えた墜落制止用器具におけるフック検出システムであって、
前記ホルダにおける前記フックの有無を検出する第1および第2の検出部と、
前記第1および第2の検出部の検出結果に基づいて正常状態および異常状態のいずれであるかを判断するコントローラと、
を備えたフック検出システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記ホルダおよび前記フックがそれぞれ左右一対の部材からなり、前記第1および第2の検出部が前記各ホルダにそれぞれ設けられており、
前記コントローラが、前記各ホルダの前記第1および第2の検出部の検出結果に基づいて正常状態および異常状態の検出を行っている、
ことを特徴とするフック検出システム。
【請求項9】
墜落制止用器具のフックを吊下げ可能なホルダにおいて前記フックの有無を検出するフック検出方法であって、
前記ホルダが、前記フックの有無を検出する第1および第2の検出部を有しており、
前記フック検出方法が、
前記フックを前記ホルダに吊り下げたときに、前記第1の検出部が第1の検出出力を出力し、かつ、前記第2の検出部が第2の検出出力を出力するフック有り検出ステップと、
前記フックを前記ホルダから外したとき、前記第1の検出部が前記第1の検出出力と出力動作設定が異なる第1’の検出出力を出力し、かつ、前記第2の検出部が前記第2の検出出力と出力動作設定が異なる第2’の検出出力を出力するフック無し検出ステップと、
前記第1の検出部が第1の検出出力を出力し、かつ、前記第2の検出部が前記第2’の検出出力を出力したとき、または、前記第1の検出部が第1’の検出出力を出力し、かつ、前記第2の検出部が前記第2の検出出力を出力したときに異常を検出する異常検出ステップと、
を備えたフック検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墜落制止用器具に設けられたフックを吊下げ可能なホルダ、当該ホルダを備えたフック検出ユニットおよびフック検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や工場等で高所作業を行う場合、墜落制止用器具(旧名称:安全帯)が用いられている。たとえばフルハーネス型の墜落制止用器具は、一般に、左右一対の肩ベルトと、これらの間に掛け渡される胸ベルトと、胴ベルトと、腿ベルト等とを備えるとともに、一端にフックを有しかつ他端が肩ベルトの背中側配設個所にショックアブソーバーを介して連結されたランヤードを備えている。
【0003】
ランヤード先端のフックは、ランヤードの使用時に作業現場の構造物に掛止するためのものであり、作業者は、高所作業を行う際、フックを作業現場の構造物に掛止することにより、ランヤードを命綱として作業を行っている。また、墜落制止用器具の肩ベルトには、ランヤードの非使用時にフックを作業者の体の側に吊り下げておくためのホルダが取り付けられている。ホルダは、作業者が高所の作業現場に向かう際にフックを吊り下げて持ち運ぶためのものである。
【0004】
作業者が高所作業時にランヤード先端のフックを作業現場の構造物に掛止しているか否かを検出するための技術として、たとえば特許第5822796号公報に記載のものでは、フックに凹状の設置部を形成して当該設置部にホール素子を設置するとともに、これと相対する位置に磁石を設置しており(段落[0026]および図5参照)、フックが被掛止部に掛止されたとき、ホール素子が磁石に近接することで被掛止部へのフックの掛止が検出されるようになっている。
【0005】
また、フックに複数の各種センサを搭載するとともに、各センサからの信号を外部に送信する通信機を搭載したものも提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成では、フックとして、専用のフックを用意しなければならず、汎用品のフックが取り付けられた既存の墜落制止用器具に適用することは困難である。また、上記従来の器具(とくに後者のもの)は非常に高価である。
【0007】
その一方、フルハーネス型の墜落制止用器具においては、左右一対のランヤードが設けられており、高所作業時に左側のランヤードが使用されているとき(つまり、左側のランヤードの先端のフックが作業現場の構造物に掛止されているとき)、右側のランヤードの先端のフックは、これに対応するホルダに係止された状態になっている。これとは逆に、高所作業時に右側のランヤードが使用されているとき(つまり、右側のランヤードの先端のフックが作業現場の構造物に掛止されているとき)、左側のランヤードの先端のフックは、これに対応するホルダに係止された状態になっている。
【0008】
したがって、高所作業時にランヤードの先端のフックが構造物に掛止されているかどうかをフック側で直接検出しなくても、ホルダ側でフックの有無を検出することで、高所作業時の安全性をある程度確保することが可能である。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、墜落制止用器具のフックの有無の検出を安価な構成で確実に行えるようにすることにある。また、本発明は、墜落制止用器具のフックの有無の検出を安価な構成で確実に行えるとともに、故障等の異常状態の検出を行えるようにすることにある。さらに、本発明は、このように安価で確実なフックの有無の検出を可能にするホルダ、フック検出ユニットおよびフック検出方法を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、墜落制止用器具に設けられたフックを吊下げ可能なホルダであって、フックを吊下げ可能に係止するホルダ本体と、ホルダ本体におけるフックの有無を検出する第1および第2の検出部と、第1および第2の検出部の検出結果に基づいて異常を検出する異常検出部とを備えている。
【0011】
本発明によれば、墜落制止用器具のフックをホルダ本体に吊り下げて係止したとき、ホルダ本体にフック有りの状態が第1および第2の検出部という2つの検出部により検出される。これにより、墜落制止用器具のフックの有無を確実に検出できるようになる。しかも、この場合には、専用品のフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができるので、安価に構成できる。さらに、この場合には、異常検出部を設けたことにより、第1および第2の検出部の検出結果に基づいて異常を検出できるようになる。
【0015】
本発明では、第1の検出部が、フックの自重に起因した荷重を検出可能な手段であり、第2の検出部が、ホルダ本体に対してフックが係止位置に位置していることを検出可能な手段である。
【0016】
この場合には、第1、第2の検出部が、ホルダ本体におけるフックの有無を検出する際に、異なる検出対象を検出するので、墜落制止用器具のフックの有無の検出をより正確に行えるようになる。
【0017】
本発明では、ホルダ本体が、作業者の体の側に取り付けられるベースと、ベースにスライド可能に設けられ、フックが係止し得るスライダとを備えている。第1の検出部は、フックのスライダへの係止時にスライダの移動を検出可能な手段であり、第2の検出部は、フックがスライダに対して係止位置に位置していることを検出可能な手段である。
【0018】
この場合には、フックがスライダに係止したとき、第1の検出部はスライダの移動を検出し、第2の検出部はフックがスライダに対して係止位置に位置していることを検出する。すなわち、スライダへの係止時には、フックがスライダに吊り下げられて係止されていること、および、フックがスライダの係止位置にあることが検出される。これにより、墜落制止用器具のフックの有無の検出をより一層確実に行えるようになる。
【0021】
本発明では、異常検出部による異常検出時に警報を発する警報部をさらに備えている。
【0022】
本発明では、第1または第2の検出部が、ホルダ本体に過大な荷重が作用したことを検出可能な手段である。
【0023】
本発明では、第1または第2の検出部が、フックに設けられた被検出部を検出可能な手段である。
【0024】
本発明に係るフック検出システムは、フックおよびこれを吊下げ可能なホルダを備えた墜落制止用器具におけるフック検出システムであって、ホルダにおけるフックの有無を検出する第1および第2の検出部と、第1および第2の検出部の検出結果に基づいて正常状態および異常状態のいずれであるかを判断するコントローラとを備えている。
【0025】
本発明によれば、墜落制止用器具のフックをホルダに吊り下げて係止したとき、ホルダにフック有りの状態が第1および第2の検出部という2つの検出部により検出される。これにより、墜落制止用器具のフックの有無を確実に検出できるようになる。しかも、この場合には、専用品のフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができるので、安価に構成できる。さらに、この場合には、コントローラにより、第1および第2の検出部の検出結果に基づいて正常状態および異常状態のいずれであるかを判断できるようになる。また、本発明では、ホルダおよびフックをそれぞれ左右一対の部材から構成し、第1および第2の検出部を各ホルダにそれぞれ設けるとともに、コントローラが、各ホルダの第1および第2の検出部の検出結果に基づいて正常状態および異常状態の検出を行うようにしてもよい。
【0026】
本発明に係るフック検出方法は、墜落制止用器具のフックを吊下げ可能ホルダにおいてフックの有無を検出するフック検出方法である。ホルダはフックの有無を検出する第1および第2の検出部を有している。フック検出方法は、以下のステップ(工程)を備えている。すなわち
i) フックをホルダに吊り下げたときに、第1の検出部が第1の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2の検出出力を出力するフック有り検出ステップ。
ii) フックをホルダから外したとき、第1の検出部が第1の検出出力と出力動作設定が異なる第1’の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2の検出出力と出力動作設定が異なる第2’の検出出力を出力するフック無し検出ステップ。
iii)第1の検出部が第1の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2’の検出出力を出力したとき、または、第1の検出部が第1’の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2の検出出力を出力したときに異常を検出する異常検出ステップ。
【0027】
本発明によれば、フック有り検出ステップにおいて、墜落制止用器具のフックをホルダに吊り下げて係止したとき、ホルダにフック有りの状態が第1および第2の検出部という2つの検出部により検出される。これにより、墜落制止用器具のフック有りの検出が確実に行えるようになる。しかも、この場合には、フックとして特殊なフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができるので、検出を安価に行える。
【0028】
また、本発明によれば、フック無し検出ステップにおいて、墜落制止用器具のフックをホルダから外したとき、ホルダにフック無しの状態が第1および第2の検出部という2つの検出部により検出される。これにより、墜落制止用器具のフック無しの検出が確実に行えるようになる。しかも、この場合には、フックとして特殊なフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができるので、検出を安価に行える。さらに、本発明によれば、異常検出ステップを設けたことにより、第1の検出部が第1の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2’の検出出力を出力したとき、または、第1の検出部が第1’の検出出力を出力し、かつ、第2の検出部が第2の検出出力を出力したとき、異常を検出できるようになる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、墜落制止用器具のフックの有無の検出を安価にかつ確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例によるホルダを備えたフルハーネス型墜落制止用器具を作業者が装着した状態を前側から見た全体斜視図であって、左右のフックが各ホルダに吊り下げられた状態を示している。
図2】前記フルハーネス型墜落制止用器具(図1)を後ろ側から見た全体斜視図であって、左側のフックがホルダから外された状態を示している。
図3】前記ホルダ(図1)を右側上方から見た全体斜視図である。
図4】前記ホルダ(図1)を右側下方から見た全体斜視図である。
図5】前記ホルダ(図1)の正面図である。
図6図5VI線矢視図である。
図7図5VII線矢視図である。
図8図5VIII線矢視図である。
図9】前記ホルダ(図5)において、ベースから蓋体を取り外した状態を示す正面図であって、内部構造を示している。
図10】前記ホルダ(図3)において、ベースから蓋体を取り外した状態を示す全体斜視図であって、内部構造を示している。
図11】前記ホルダ(図4)において、ベースから蓋体を取り外した状態を示す全体斜視図であって、内部構造を示している。
図12】前記ホルダ(図3)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す全体斜視図である。
図13】前記ホルダ(図4)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す全体斜視図である。
図14】前記ホルダ(図12)を左側上方から見た全体斜視図である。
図15】前記ホルダ(図13)を左側下方から見た全体斜視図である。
図16】前記ホルダ(図5)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す正面図である。
図17図16XVII線矢視図である。
図18図16XVIII線矢視図である。
図19図16XIX線矢視図である。
図20】前記ホルダ(図9)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す正面図である。
図21】前記ホルダ(図10)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す全体斜視図である。
図22】前記ホルダ(図11)において、スライダにフックが吊り下げられた状態を示す全体斜視図である。
図23】前記ホルダ(図1)の概略ブロック構成の一例を示す図である。
図23A】前記ホルダ(図1)の概略ブロック構成の他の例を示す図である。
図24】前記ホルダ(図1)の第1、第2の検出部の出力動作設定の一例を説明するための図である。
図25】前記ホルダ(図1)の第1、第2の検出部の出力動作設定の他の例を説明するための図である。
図26】前記ホルダ(図5)の第1の変形例を示す正面部分図である。
図27】前記ホルダ(図5)の第2の変形例を示す正面部分図である。
図28】前記ホルダ(図5)の第3の変形例を示す正面部分図である。
図29】前記ホルダ(図5)の第4の変形例を示す正面部分図である。
図30】前記ホルダ(図5)の第5の変形例を示す正面部分図である。
図31】前記ホルダ(図5)の第6の変形例を示す正面部分図である。
図32】前記ホルダ(図5図9)の第7の変形例を示す図であって、ベースから蓋体を取り外した状態を示す正面図である。
図33】前記ホルダ(図32)の作動を説明するための図である。
図34】前記ホルダ(図5図9)の第8の変形例を示す図であって、ベースから蓋体を取り外した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図25は、本発明の一実施例によるホルダを説明するための図であって、図1および図2は、当該ホルダを採用したフルハーネス型の墜落制止用器具の全体斜視図、図3ないし図8はホルダの外観図、図9ないし図11はホルダの内部構造を示す図、図12ないし図19はホルダにフックが吊り下げられた状態を示す外観図、図20ないし図22はホルダにフックが吊り下げられた状態を示す内部構造図、図23および図23Aはホルダの概略ブロック構成図、図24および図25はホルダの第1、第2の接点の出力動作設定を説明するための図である。
【0032】
図1および図2に示すように、墜落制止用器具1は、作業者Pの体に掛け渡される左右一対の肩ベルト10、10と、これらを連結する胸ベルト11と、胴ベルト12と、左右一対の腿ベルト13、13と、左右一対のランヤード14、14とを備えている。ここでは、2本のランヤードを有するダブルランヤード式のものを例にとる。
【0033】
ランヤード14は、先端にフック14Hが取り付けられたストラップ14Sから構成されており、同様に、ランヤード14は、先端にフック14Hが取り付けられたストラップ14Sから構成されている。墜落制止用器具1の背面側において(図2参照)、各肩ベルト10、10の交差個所には、D環15が固定されており、D環15にはショックアブソーバー16が係止している。各ランヤード14、14の基端は、それぞれショックアブソーバー16に取り付けられている。
【0034】
墜落制止用器具1の正面側において(図1参照)、左右の肩ベルト10、10には、本実施例によるホルダ2、3がそれぞれ取り付けられている。各ホルダ2、3は、対応する各肩ベルト10、10がそれぞれ挿通し得るベルト通し(図示せず)を一体に有しており、これらのベルト通しに肩ベルト10、10がそれぞれ挿通することで肩ベルト10、10に予め取り付けられている。あるいは、ホルダ2、3は、対応する各肩ベルト10、10がそれぞれ係止し得る、たとえばフック状または爪状の係止具(図示せず)を一体に有しており、これらの係止具に肩ベルト10、10がそれぞれ係止することで肩ベルト10、10に後付けで取り付けられている。後者の場合、ホルダ2、3は、肩ベルト10、10に対して着脱自在になっている。なお、従来の墜落制止用器具に元々取り付けられているホルダに対して、本実施例のホルダ2、3が係止可能な構造を有していてもよい。
【0035】
ホルダ2は、ランヤード14の先端のフック14Hを吊下げ可能に係止するためのものであり、同様に、ホルダ3は、ランヤード14の先端のフック14Hを吊下げ可能に係止するためのものである。
【0036】
ホルダ(ホルダ本体)2の外観構造について、図3ないし図8を用いて説明する。なお、ホルダ(ホルダ本体)3についても同様の構成を示しており、ここでは、ホルダ2についてのみ説明する。
これらの図に示すように、ホルダ2は、肩ベルト10に取付け可能に設けられる(つまり、作業者の体の側に取り付けられる)ベース20と、ベース20にスライド可能に設けられ、フック14Hが係止し得るスライダ21とを有している。ベース20には、図示していないが、肩ベルト10に取り付けるための係止具またはベルト通しがその背面側(図5の紙面奥側)に設けられている。
【0037】
ベース20は、フック14Hの有無を検出するための第1の検出部(後述)であるセンサを収容する箱状のセンサ収容部20Aと、センサ収容部20Aの前面開口部を覆う蓋体20Bとから構成されている。スライダ21は、センサ収容部20Aに上下方向(図5上下方向)スライド自在に支持されている。
【0038】
スライダ21は、図5に示すように、概略五角形状のフック吊下げ部を有する枠状部材であって、中央に開口21aを有している。スライダ21は、上下方向に延びる左右一対の立壁面21Aと、底部に配置され、左右方向(同図左右方向)に延びる底壁面21Bと、各立壁面21Aと底壁面21Bを連設するように下方に向かって傾斜する左右一対の傾斜面21Cとを有している。これら各立壁面21A、底壁面21Bおよび各傾斜面21Cと、センサ収容部20Aの底壁面20a(図4参照)とにより、開口21aが画成されている。スライダ21の各立壁面21Aには、スライダ21の上方へのスライド移動を規制するストッパ21Sがそれぞれ設けられている。各ストッパ21Sは、センサ収容部20Aの底壁面20aに下方から当接している。
【0039】
スライダ21の底壁面21Bは、フック14Hが吊下げ可能に係止される部位であるが、その下方の底部内には、フック14Hの有無を検出するための第2の検出部であるリードスイッチ22が設けられている。リードスイッチ22は、スライダ21の底部に形成された凹部に収容されている。
【0040】
リードスイッチ22は、2本の強磁性体リード22A、22Bを所定の接点間隔を介して対向配置させてガラス管22Cの中に封入することにより構成されている。各リード22A、22Bは、スライダ21の枠状部材に沿って形成された凹部21hに収容されている。スライダ21の底壁面21Bにフック14Hが吊り下げられていないとき、リードスイッチ22はOFF状態になっている。なお、図3ないし図5では、図示の便宜上、各リード22A、22Bおよびガラス管22Cがスライダ21の前面に露出したものが示されているが、各リード22A、22Bおよびガラス管22Cは、たとえばエポキシ樹脂を用いて樹脂封止されている。
【0041】
次に、ホルダ2の内部構造について、図9ないし図11を用いて説明する。なお、ホルダ3についても同様の構成を示しており、ここでは、ホルダ2についてのみ説明する。
【0042】
図9ないし図11では、図3ないし図5に示すホルダ2から蓋体20Bを取り外した状態を示している。
図9ないし図11に示すように、ホルダ2のセンサ収容部20Aは、図9の紙面奥側に配置された正面視概略矩形状の背面壁部20bと、背面壁部20bの外周縁部に沿って概略矩形状に配設されるとともに、同図の紙面手前側に向かって延設された側壁部20w、20w、20w、20wとを有しており、同図の紙面手前側に開口を有する箱形形状を有している。
【0043】
左右の側壁部20w、20wには、上下方向(図9上下方向)に延びる切欠き20nがそれぞれ形成されている。一方、スライダ21を構成する枠状部材の上部には、左右方向に延びる左右一対の肩部21kが設けられており、各肩部21kは、対応する各切欠き20nに挿入されている。各肩部21kは、対応する各切欠き20n内において、各切欠き20nとの間に上下方向の間隙を有している。リードスイッチ22の各リード22A、22Bは、各肩部21kを通り、スライダ21を挿通して上方まで延びている。
【0044】
下側の側壁部20wの左右の端部寄りの位置には、上下方向に配設された左右一対のリターンスプリング24が配置されている。各リターンスプリング24の下部は、側壁部20wに設けられた凹状のスプリング受け部20sにそれぞれ保持されており、各リターンスプリング24の上端は、スライダ21の各肩部21kの下面に当接している。このとき、側壁部20wの下面20aには、スライダ21の各ストッパ21Sが当接している。なお、各肩部21kの下面には、下方に延びる支軸部21k、21kがそれぞれ設けられており、各支軸部21k、21kは、対応する各リターンスプリング24の上部の内部に挿入されて、各リターンスプリング24を内周側から保持している。
【0045】
スライダ21において、左右の各肩部21kの間には、センサ収容凹部21mが形成されている。センサ収容凹部21mには、第1の検出部としてのマイクロスイッチ23が配置されている。マイクロスイッチ23は、この例では、上下方向に回動するヒンジレバー型のアクチュエータ23sを有している。アクチュエータ23sの先端は、センサ収容凹部21mの底部21fに圧接している。このとき、すなわち、スライダ21の底壁面21Bにフック14Hが吊り下げられていないとき、マイクロスイッチ23はON状態となっている。
【0046】
次に、図12ないし図19は、スライダ21にフック14Hが吊り下げられた状態の外観図であり、図20ないし図22はその状態での内部構造図である。図20図21図22は、図16図12図13にそれぞれ対応している。なお、ホルダ(ホルダ本体)3についても同様の構成を示しており、ここでは、ホルダ2についてのみ説明する。また、図12ないし図22では、フック14Hの先端部分を簡略化して示しており、外れ止め部材等の図示は省略されている。
【0047】
図12ないし図19に示すように、フック14Hは、スライダ21の底部の底壁面21Bに吊り下げられて係止されており、このとき、フック14Hはホルダ2に対して係止位置に位置している。フック14Hの先端側部の左右側面には、それぞれマグネット(被検出部)14mが接着剤や粘着テープ等により固着されている。なお、マグネット14mは、フック14Hの側面に形成された凹部または凸部に嵌合させるようにしてもよい。各マグネット14mは、フック14Hが底壁面21Bに係止された状態で、底壁面21Bの直近近傍に配置されている。また、このとき、各マグネット14mは、リードスイッチ22の接点の上方に位置しており、これにより、リードスイッチ22がいずれか一方または双方のマグネット14mを検出することにより、リードスイッチ22がON状態となっている。この例では、マグネット14mが固着されたフック14Hおよびホルダ2により、フック検出ユニットが構成されている。
【0048】
また、このとき、スライダ21にフック14Hが吊り下げられることで、フック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sの自重による荷重がスライダ21に作用しており、これにより、スライダ21が下方(図16下方)に移動する。その結果、スライダ21の各ストッパ21Sとセンサ収容部20の下面20aとの間には、ギャップeが形成されている。
【0049】
図20ないし図22に示すように、とくに図20図9と対比すると分かるように、スライダ21の底部の底壁面21Bにフック14Hが吊り下げられて係止されたとき、スライダ21の下方(図20下方)への移動によって、センサ収容部20Aのセンサ収容凹部21mの底部21fが下方に移動することにより、底部21fがマイクロスイッチ23のアクチュエータ23sから離れる。これにより、マイクロスイッチ23がOFF状態となる。また、このとき、各リターンスプリング24は圧縮変形している。
【0050】
この状態から、フック14Hをスライダ21から取り外すと、各リターンスプリング24の弾性反発力により、スライダ21が上方(図20上方)に移動し、各ストッパ21Sがセンサ収容部20の下面20aに当接して停止する(図9参照)。このとき、上述したように、センサ収容部20Aの底部21fがマイクロスイッチ23のアクチュエータ23sと当接して、マイクロスイッチ23がONとなる。その一方、リードスイッチ22は、フック14Hのマグネット14mを検出できなくなることにより、OFFとなる。
【0051】
このように、第1の検出部としてのマイクロスイッチ23は、フック14Hの自重に起因した荷重を検出可能な手段であり、または、スライダ21の移動を検出可能な手段であり、第2の検出部としてのリードスイッチ22は、フック14Hがスライダ21したがってホルダ2に対して係止位置に位置していることを検出可能な手段である。別の言い方をすれば、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22はいずれも、ホルダ2におけるフック14Hの有無を検出するための手段である。また、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22は、上述したように、フック14Hの吊下げ前および吊下げ後の双方においてON/OFF状態が異なっており、互いに異なる出力動作設定がなされている。
【0052】
次に、ホルダ2の概略ブロック構成について、図23および図23Aを用いて説明する。図23は概略ブロック構成の一例を示し、図23Aは概略ブロック構成の他の例を示している(ホルダ3についても同様)。
【0053】
図23に示す例では、ホルダ2は、外部コントローラOCと通信可能な通信ユニットCUを備えている。通信ユニットCUには、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の各出力が入力されるとともに、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22に電源電圧を供給するための電源PSが接続されている。通信ユニットCUは、作業者Pの体のいずれかの個所(たとえば肩ベルト10、10やヘルメット等)に装着してもよいし、ホルダ2の内部に無線モジュールとして収容するようにしてもよい。また、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の各出力は、通信ユニットCUに対してケーブルやコネクタ等の有線で入力されてもよいし、無線により入力されるようにしてもよい。
【0054】
外部コントローラOCは、たとえば、作業現場から離れた場所に設置されており、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の各出力情報が(すなわち、各スイッチ23、22の検出出力がそのまま)通信ユニットCUを介して無線で送信されるようになっている。外部コントローラOCは、受信されたマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の各出力情報から得られた各スイッチ22、23の検出結果に基づき、各スイッチ23、22の出力が互いに異なっている正常状態かまたは双方の出力が同じである異常状態かを判断して異常を検出する異常検出部(図示せず)と、異常検出部による異常検出時に警報を発したり、警告メッセージを流したりする警報部(図示せず)とを有している。なお、作業現場から離れた場所に外部コントローラOCを設置したことにより、作業者Pの作業状態を作業現場から離れた場所で監視できるようになっている。
【0055】
図23Aに示す例では、ホルダ2は、コントローラ(またはマイコン)Cを有している。コントローラCには、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の各検出出力が入力されるとともに、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22に電源電圧を供給するための電源PSが接続されている。コントローラCは、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の検出結果に基づき、各スイッチ23、22の出力が互いに異なっている正常状態かまたは双方の出力が同じである異常状態かを判断して異常を検出する異常検出部(図示せず)を有している。また、コントローラCには、コントローラCによる判断結果を外部コントローラOCに対して通信可能な通信ユニットCUと、異常検出部による異常検出時に警報を発したり、警告メッセージを流したりする警報部APとが接続されている。
【0056】
コントローラC、通信ユニットCUおよび警報部APは、作業者Pの体のいずれかの個所(たとえば肩ベルト10、10やヘルメット等)に装着してもよいし、ホルダ2の内部に一体化して収容するようにしてもよい。外部コントローラOCは、たとえば、作業現場から離れた場所に設置されており、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22が正常状態または異常状態のいずれの状態にあるかの情報が通信ユニットCUを介して無線で受信されることにより、作業者Pの作業状態を作業現場から離れた場所で監視できるようになっている。
【0057】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
ここでは、ホルダ2についてのみ説明するが、ホルダ3についても同様の作用効果を奏する。
上述したように、墜落制止用器具1のフック14Hをホルダ2のスライダ21に吊り下げて係止したとき(図16図20参照)、ホルダ2にフック有りの状態がマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22により検出される。このとき、各スイッチ23、22の出力状態は、図24中の「フック有り」の欄に示すとおり、マイクロスイッチ23は「OFF」(第1の検出出力)で、リードスイッチ22は「ON」(第2の検出出力)になっており、各スイッチ23、22の出力動作設定は異なっている。
【0058】
このように、フック有りの状態がマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22により検出されたとき、各スイッチ23、22の出力は互いに異なっており、マイクロスイッチ23が「OFF」で、リードスイッチ22が「ON」の場合に限り、各スイッチ23、22がフック有りの状態を検出したことになる。これにより、ホルダ2にフック有りの状態が確実に検出できるようになる。しかも、この場合には、専用品の特殊なフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができる(この例では、後付けでマグネット14mを装着するだけである)ので、安価に構成できる。
【0059】
また、フック有りの状態において、作業者Pの激しい体の動きによってフック14Hがスライダ21上で上下に振動してスライダ21上の係止位置から若干上方に移動した場合でも、リードスイッチ22が一定の検出範囲を有していることにより、リードスイッチ22がOFFになることなくON状態を維持できるので、作業者Pの体の動きに起因したリードスイッチ22の誤作動を防止できる。
【0060】
その一方、上述したように、墜落制止用器具1のフック14Hをホルダ2のスライダ21から取り外したとき(図5図9参照)、ホルダ2にフック無しの状態がマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22により検出される。このとき、各スイッチ23、22の出力状態は、図24中の「フック無し」の欄に示すとおり、マイクロスイッチ23は「ON」(第1’の検出出力(≠第1の検出出力))で、リードスイッチ22は「OFF」(第2’の検出出力(≠第2の検出出力および第1’の検出出力))になっており、各スイッチ23、22の出力動作設定は異なっている。
【0061】
このように、フック無しの状態がマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22により検出されたとき、各スイッチ23、22の出力は互いに異なっており、マイクロスイッチ23が「ON」で、リードスイッチ22が「OFF」の場合に限り、各スイッチ23、22がフック無しの状態を検出したことになる。これにより、ホルダ2にフック無しの状態が確実に検出できるようになる。しかも、この場合には、専用品の特殊なフックを用意することなく、汎用品のフックを使用することができる(この例では、後付けでマグネット14mを装着するだけである)ので、安価に構成できる。
【0062】
以上のようにして、ホルダ2におけるフック14Hの有無の検出を安価な構成で確実に行えるようになり、これにより、ホルダ2におけるフック14Hの有無の状態を監視できる。
【0063】
なお、図24中の右欄に示すように、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の出力状態がいずれも「OFF」または「ON」になっていて、各スイッチ23、22の出力動作が同じ場合には、接点の溶着や短絡、断線、スイッチの故障等に起因した異常が発生していることを検出できる。
【0064】
ここで、図25は、ホルダ2のマイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の出力動作設定の他の例を示している。同図に示すように、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22の正常時におけるそれぞれの出力動作設定は、図24に示した例と逆になっている。すなわち、フック有りのとき、マイクロスイッチ23が「ON」でリードスイッチ22が「OFF」(図24では、マイクロスイッチ23が「OFF」でリードスイッチ22が「ON」)になっており、フック無しのとき、マイクロスイッチ23が「OFF」でリードスイッチ22が「ON」(図24では、マイクロスイッチ23が「ON」でリードスイッチ22が「OFF」)になっている。この場合においても、マイクロスイッチ23およびリードスイッチ22は互いに異なる出力動作設定がなされているといえる。なお、異常時のときの出力動作設定は、図24と同様である。
【0065】
図25に示すような出力動作設定を行うには、たとえば、図9において、センサ収容凹部21mの底部21fと、ホルダ2のセンサ収容部20Aの下側の側壁部20wとにより画成された内部空間Sにマイクロスイッチ23を配置することが考えられる。なお、この場合、内部空間Sの上下方向の間隔を広げることで、フック吊下げ後においてもマイクロスイッチ23の占有スペースが確保される。また、リードスイッチ22については、図9図20に示したNO型のもの(つまり、フック14Hのマグネット14m、14mが接近したときにだけ接点が閉じてON状態となる)ではなく、NC型のもの(つまり、フック14Hのマグネット14m、14mが接近したときにだけ接点が開いてOFF状態となる)を採用することが考えられる。
【0066】
ホルダ2におけるフック14Hの有無に関しては、マイクロスイッチ23は、フック14Hの自重に起因した荷重を検出しまたはスライダ21の移動を検出し、リードスイッチ22は、フック14Hがスライダ21に対して係止位置にあることを検出しており、それぞれ異なる検出対象を検出しているので、墜落制止用器具1のフック14Hの有無の検出をより確実に行えるようになる。
【0067】
なお、作業者Pがフック14Hをスライダ21に吊り下げる際、フック14Hがスライダ21の底部の底壁面21Bに最初から吊り下げられずに傾斜面21Cに吊り下げられた場合(図20中の一点鎖線参照)でも、傾斜面21Cが下方に向かって傾斜していることにより、傾斜面21C上のフック14Hはその自重により傾斜面21Cに沿って下方に移動して底壁面21B上に移動するので、フック14Hを底壁面21Bの係止位置に容易に配置することができる。
【0068】
本実施例では、2本のランヤード14、14を有するダブルランヤード式の墜落制止用器具1を例にとっているが(図1図2参照)、このようなダブルランヤード式のものにおいては、2本のランヤード14、14の各フック14H、14Hを作業現場の構造物に交互に掛け替えることにより、双方のランヤードが構造物に掛っていない状態(無胴状態)を無くして構造物といずれか一方のランヤードが常に連結されているようにし、これにより、墜落の危険性を回避している。
【0069】
したがって、本実施例のようなダブルランヤード式の墜落制止用器具1においては、外部コントローラOC(図23)またはコントローラC(図23A)によりホルダ2、3の異常を検出する際には、上述したように、ホルダ2または3のそれぞれについて(つまりホルダ2単独またはホルダ3単独)の異常を検出するだけでなく、ホルダ2(またはホルダ3)がフック無しの状態のときにホルダ3(またはホルダ2)がフック有りの状態になっているか、すなわち、ホルダ2および3の双方がフック有りの状態になっていないかを検出するようにすることにより、より高い安全性を確保できるようになる。また、双方のホルダ2、3においてフックの有無を検出することにより、作業者Pが安全に作業を行っているかを監視できるようになる。
【0070】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、スライダ21が概略五角形状のフック吊下げ部を有する枠状部材から構成された例を示したが(図5図16図20参照)、本発明の適用はこれに限定されない。図26に示すように、スライダ21は、円弧状(たとえば半円状/楕円状/長円状/オーバル状等)のフック吊下げ部を有する枠状部材から構成されていてもよい。同図は、前記実施例の図20中のフック吊下げ部に対応している(ただし、ストッパ21Sは図示省略(以下の各変形例においても同様))。
【0071】
この場合には、スライダ21のフック吊下げ部が下凸状の円弧状面21Dを有しているので、作業者Pがフック14Hをスライダ21に吊り下げる際、フック14Hがスライダ21の円弧状面の底部に吊り下げられずに、円弧状面21Dの傾斜部に吊り下げられた場合(図26中の一点鎖線参照)でも、円弧状面21Dの傾斜部上のフック14Hはその自重により円弧状面21Dに沿って下方に移動して底部に移動するので、フック14Hを底部上の係止位置に容易に配置することができる。
【0072】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、スライダ21が概略五角形状のフック吊下げ部を有する枠状部材から構成された例を示したが(図5図16図20参照)、本発明の適用はこれに限定されない。図27に示すように、スライダ21は、矩形状(図示例ではコ字状)のフック吊下げ部を有する枠状部材から構成されていてもよい。同図は、前記実施例の図20中のフック吊下げ部に対応している。
【0073】
図27に示すように、スライダ21は、左右一対の立壁面21Aと、底部に配置された底壁面21Bとを有している。底部の内部には、左右の端部寄りの位置にそれぞれリードスイッチ22、22’が設けられている。リードスイッチ22は、内部に接点が配置されたガラス管22Cを有し、同様に、リードスイッチ22’は、内部に接点が配置されたガラス管22’Cを有している。
【0074】
この場合には、平坦状の底壁面21Bを有する底部の左右端部寄りの2個所の位置にリードスイッチ22、22’が設けられるので、フック14Hが底壁面21B上のいずれの位置に配置された場合でも、いずれかのリードスイッチ22、22’によりフック14Hを確実に検出できる。
【0075】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、第2の検出部として、リードスイッチ22が用いられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図28は、本発明の第3の変形例を示しており、図26に示した円弧状のフック吊下げ部を有する枠状部材からなるスライダ21の底部には、底壁面21Bに沿って円弧状に配設されたテープスイッチ25が設けられている。
【0076】
テープスイッチ25は、一般に、長手方向に沿って多数のスイッチ群が設けられた薄肉のテープ状のスイッチであって、長手方向のどの位置を押してもスイッチとして機能するように構成されている。この場合、スライダ21の底部にフック14Hが吊り下げられたとき、フック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sの自重による荷重がテープスイッチ25に作用して、テープスイッチ25がONするようになっている。
【0077】
前記実施例では、リードスイッチ22の検出対象として、フック14Hの左右の側面にマグネット14mを取り付ける必要があったが、この第3の変形例では、テープスイッチ25がフック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sによる荷重を検出対象としているので、マグネット14mのような部材を後付けで取り付ける必要はなく、汎用品のフック14Hをそのまま使用できる。
【0078】
また、この場合においても、スライダ21のフック吊下げ部が下凸状の円弧状面21Dを有しているので、作業者Pがフック14Hをスライダ21の円弧状面21Dの底部に吊り下げられずに円弧状面21Dの傾斜部に吊り下げた場合(図28中の一点鎖線参照)でも、円弧状面21D上のフック14Hはその自重により円弧状面21Dに沿って下方に移動して底部に移動するので、フック14Hを底部上の係止位置に容易に配置することができる。
【0079】
〔第4の変形例〕
図29は、本発明の第4の変形例を示しており、図27に示したコ字状のフック吊下げ部を有する枠状部材からなるスライダ21の底部に、底壁面21Bに沿って直線状に配設されたテープスイッチ25が設けられている。
【0080】
この場合においても、スライダ21の底部にフック14Hが吊り下げられたとき、フック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sの自重による荷重がテープスイッチ25に作用して、テープスイッチ25がONするようになっている。
【0081】
また、この場合には、平坦状の底壁面21Bに沿ってテープスイッチ25が設けられるので、フック14Hが底壁面21Bのいずれの位置に配置された場合でも、テープスイッチ25のいずれかの部位に配置されたスイッチによりフック14Hを確実に検出できる。
【0082】
前記実施例では、リードスイッチ22の検出対象として、フック14Hの左右の側面にマグネット14mを取り付ける必要があったが、この第4の変形例では、テープスイッチ25がフック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sによる荷重を検出対象としているので、マグネット14mのような部材を後付けで取り付ける必要はなく、汎用品のフック14Hをそのまま使用できる。
【0083】
〔第5の変形例〕
図30は、本発明の第5の変形例を示している。この第5の変形例においては、概略五角形状のフック吊下げ部を有する枠状部材からなるスライダ21の立壁部に透過型光電スイッチ26が設けられている。透過型光電スイッチ26は、一方の立壁部に配置された投光部26Aと、他方の立壁部において投光部26Aと相対する位置に配置された受光部26Bとを有している。
【0084】
この場合には、スライダ21の底部にフック14Hが吊り下げられたとき、投光部26Aから出射された光Lがフック14Hにより遮られて受光部26Bで受光されなくなることにより、フック有りの状態が検出される。その一方、スライダ21の底部からフック14Hが取り外されたとき、投光部26Aから出射された光Lが受光部26Bで受光されることにより、フック無しの状態が検出される。
【0085】
前記実施例では、リードスイッチ22の検出対象として、フック14Hの左右の側面にマグネット14mを取り付ける必要があったが、この第5の変形例では、フック14H自体を検出対象としているので、マグネット14mのような部材を後付けで取り付ける必要はなく、汎用品のフック14Hをそのまま使用できる。
【0086】
〔第6の変形例〕
図31は、本発明の第6の変形例を示している。この第6の変形例においては、概略五角形状のフック吊下げ部を有する枠状部材からなるスライダ21の立壁部に偏光回帰反射型光電スイッチ27が設けられており、フック14Hの側面に被検出部としてのリフレクタ28が設けられている。
【0087】
この場合には、スライダ21の底部にフック14Hが吊り下げられたとき、光電スイッチ27から出射された光Lがリフレクタ28で反射して反射光Lが光電スイッチ27で受光されることにより、フック有りの状態が検出される。その一方、スライダ21の底部からフック14Hが取り外されたとき、光電スイッチ27から出射された光Lがリフレクタ28で反射されず、反射光Lが光電スイッチ27で受光されないことにより、フック無しの状態が検出される。
【0088】
なお、前記実施例、前記第1および第2の変形例、ならびに前記第6の変形例では、フック14Hの側面にマグネット14mやリフレクタ28を後付けで取り付ける必要があるが、このような部材が後付けで取り付けられて第2の検出部の検出対象とされることによって、第2の検出部が検出対象以外のものを検出する誤作動を防止でき、第2の検出部の無効化を回避できる。
【0089】
たとえば、前記第3および第4の変形例では、第2の検出部として、テープスイッチ25を設けた例を示したが(図28図29参照)、テープスイッチ25が下向きの荷重を検出するものであるため、スライダ21の底部にフック14H以外のもの(たとえば機械部品等)が吊り下げられた場合にも、テープスイッチ25がONとなることで誤作動を起こしたり、テープスイッチ25の本来の機能を阻害して無効化される恐れがある。また、第5の変形例では、第2の検出部として、透過型光電スイッチ26が設けられた例を示したが(図30参照)、この場合にも、スライダ21の底部にフック14H以外のもの(たとえば機械部品等)が吊り下げられたときに、透過型光電スイッチ26が当該機械部品等を検出することで誤作動を起こしたり、透過型光電スイッチ26の本来の機能を阻害して無効化される恐れがある。
【0090】
これに対して、前記実施例、前記第1および第2の変形例、ならびに当該第6の変形例では、側面にマグネット14mやリフレクタ28が取り付けられたフック14Hのみを検出するので、上述した誤作動や無効化が生じるのを防止できる。
【0091】
〔第7の変形例〕
図32および図33は、本発明の第7の変形例を示している。図32は前記実施例の図9に対応しており、図9中の参照符号と同一符号は同一または相当部分を示している。この第7の変形例では、図9中の第1の検出部としてのマイクロスイッチ23の代わりに、3ポジションイネーブルスイッチ29が設けられている点が前記実施例と異なっている。また、スライダ21の底部に設けられた第2の検出部としてのリードスイッチ22は、図25に記載されたような出力動作設定がなされている。
【0092】
図32に示すように、スライダ21のセンサ収容凹部21mには、第1の検出部として3ポジションイネーブルスイッチ(以下、単に「イネーブルスイッチ」という)29が配置されている。イネーブルスイッチ29の押しボタン29aは、同図に示すように、イネーブルスイッチ29の図示上側に配置されている。一方、スライダ21の左右の各肩部21k間には、左右方向に延びる操作バー21gが掛け渡されており、操作バー21gの左右の各端部は、対応する各肩部21kに連結されている。また、操作バー21gは、図32に示すように、スライダ21にフック14Hが吊り下げられていない状態において、好ましくは、イネーブルスイッチ29の押しボタン29aの上端に隙間なく接触しており、このとき、押しボタン29aには図示下向きの荷重が作用していない。
【0093】
次に、イネーブルスイッチ29の作動について、図33を用いて説明する。同図(a)ないし(c)に示すように、イネーブルスイッチ29は、position 1 ~ position 3 の3つの位置をとり得るように構成されており、position 1 が図32の状態に対応している。
【0094】
なお、この第7の変形例では、スライダ21が図33(b)の position 2 の位置における状態(つまり、前記実施例の図20に示す状態)からさらに下方に移動できるようにするために、スライダ21の各肩部21kとこれに対応する各切欠き20nとの間の上下方向の間隙が前記実施例の場合よりも大きくとられている(図32では図示せず)。
【0095】
図33(a)に示すように、position 1 の状態は、スライダ21にフック14Hが吊り下げられていない状態であって、このとき、押しボタン29aに対しては、スライダ21の操作バー21gから図示下向きの荷重は作用しておらず、可動接点29bは固定接点29cから離隔した位置に配置されており、接点は「OFF」の状態である。また、このとき、リードスイッチ22の接点は「ON」の状態である(図25参照)。
【0096】
次に、スライダ21にフック14Hが吊り下げられると(前記実施例の図16図20参照)、図33(b)に示すように、イネーブルスイッチ29は position 1 から position 2 の状態に移行する。このとき、フック14Hおよびランヤード14のストラップ14Sの自重による荷重により、スライダ21が下方に移動し、それに伴ってスライダ21の操作バー21gが下方に移動する。その結果、押しボタン29aが操作バー21gにより押し込まれて、可動接点29bが固定接点29cと接触し、接点が「ON」となる。また、このとき、リードスイッチ22の接点は「OFF」となる(図25参照)。
【0097】
この状態から、作業者Pがフック14Hをスライダ21から取り外すと、スライダ21がリターンスプリング24の弾性反発力により上方に移動し、それに伴って、スライダ21の操作バー21gが上方に移動する。その結果、押しボタン29aも上方に移動して、イネーブルスイッチ29が position 2 から position 1 の状態に戻る(図33(a)参照)。
【0098】
その一方、図33(b)の position 2 の状態において、作業者Pが、もう一つのフック14H(図1図2参照)を誤って同じスライダ21に吊り下げたとする。このとき、スライダ21は2つのフック14Hおよび14Hが吊り下げられた状態にあり、過荷重(つまり過大な荷重)の状態にある。
【0099】
すると、図33(c)に示すように、イネーブルスイッチ29は position 2 から position 3 の状態に移行する。このとき、フック14H、14Hおよびストラップ14S、14Sの自重による荷重により、スライダ21がさらに下方に移動し、それに伴ってスライダ21の操作バー21gがさらに下方に移動する。これにより、押しボタン29aが操作バー21gによりさらに押し込まれ、その結果、可動接点29bが固定接点29cから離隔した位置に移動して、接点が「OFF」となる。また、このとき、リードスイッチ22の接点は「OFF」の状態を維持している(図25参照)。
【0100】
この場合には、イネーブルスイッチ29およびリードスイッチ22の双方が「OFF」状態となっており、図25中の右欄に示したように異常状態が発生していることになるので、警報部により、たとえば「異常状態を検知しました。作業手順および安全を確認してください。」等の警告メッセージが流れる。
【0101】
この状態から、作業者Pがスライダ21からいずれか一方のフック(たとえばフック14H)を取り外すと(このとき、スライダ21には他方のフック(たとえばフック14H)が掛けられたままの状態にあり)、イネーブルスイッチ29は「OFF」の状態を維持し、リードスイッチ22も同様に「OFF」状態を維持する。この場合においても、イネーブルスイッチ29およびリードスイッチ22の双方が「OFF」状態となっており、異常状態が継続していることになるので、警報部により引き続き、たとえば「異常状態を検知しました。作業手順および安全を確認してください。」等の警告メッセージが流れる。
【0102】
次に、作業者Pがスライダ21から残りのフックを取り外して、スライダ21にフックが吊り下げられていない状態にすると、イネーブルスイッチ29が position 3 から position 1 の状態に戻る(図33(a)参照)。このとき、イネーブルスイッチ29の接点は「OFF」の状態にあり、リードスイッチ22の接点は「ON」となって、両スイッチがフック無しの状態に戻る。これにより、警報部からの警告メッセージが停止する。作業者Pは、その後、ホルダ2、3に対して、各々対応するフック14H、14Hを一つずつ吊り下げるようにする。
【0103】
このような第7の変形例によれば、ホルダ2(ホルダ3についても同様)のスライダ21に2つのフック14H、14Hを吊り下げる等して、スライダ21に過荷重が作用した場合には、第1の検出部としてのイネーブルスイッチ29の接点が自動的に「OFF」となるので、スライダ21(したがって、ホルダ2)に過荷重が作用したことを容易に検出できるようになる。また、この場合、スライダ21から一旦、双方のフック14H、14Hを取り外さない限り、異常状態から脱することができず、警告メッセージを止めることができないので、作業者Pが一つのホルダに2つのフックを吊り下げないように促すことができる。
【0104】
なお、上述したイネーブルスイッチ29においては、position 3 から position 1 に戻る際に、position 2 を経ることなく、position 3 から直接 position 1 に戻るように構成されているが(すなわち、position 3 ⇒ position 1)、本発明は、position 3 から position 2 を経て position 1 に戻るように構成された3ポジションスイッチ(すなわち、position 3 ⇒ position 2 ⇒ position 1)にも適用可能である。この場合、スライダ21に2つのフックを吊り下げた状態からいずれか一方のフックを取り外したとき、3ポジションスイッチが position 3 から position 2 の状態に移行することで、接点が「ON」となり、これにより、スライダ21に2つのフックを吊り下げたときの異常状態が解消されることになる。
【0105】
この第7の変形例では、スライダ21に過荷重が作用する具体例として、スライダ21に2つのフック14Hおよび14Hが吊り下げられた場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。スライダ21に過荷重が作用する他の具体例としては、作業者Pがスライダ21に一方のフック14Hを吊り下げた状態で、作業中または歩行中にストラップ14Sを何かに引っ掛けたり、つまずいて転倒したり、または墜落したりした場合等が考えられる。このような場合においても、異常状態として検知可能である。
【0106】
〔第8の変形例〕
図34は、本発明の第8の変形例を示している。同図に示すように、この第8の変形例では、第1の検出部であるマイクロスイッチ23および第2の検出部であるリードスイッチ22に加えて、第3の検出部25A、25Bが設けられている。第3の検出部25A、25Bは、スライダ21のセンサ収容凹部21mの底部21fと、ホルダ2のセンサ収容部20Aの下側側壁部20wとにより画成された内部空間Sに設けられている。第3の検出部25A、25Bとしては、たとえば、誘導型近接センサや静電容量型近接センサ等が考えられる。
【0107】
この場合には、第1、第2の検出部に加えて第3の検出部を設けたことにより、ホルダに対するフックの有無の検出をより一層確実に行えるようになる。
【0108】
〔第9の変形例〕
前記実施例および前記各変形例では、第1、第2の検出部について互いに異なる出力動作設定がなされている場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明は、第1、第2の検出部について同じ出力動作設定がなされている場合にも適用可能である。
【0109】
たとえば、図24において、リードスイッチの出力動作設定はそのままにして、マイクロスイッチの出力動作設定に関し、フック有りの状態を「ON」とし、フック無しの状態を「OFF」とするようにしてもよい。また、これとは逆に、マイクロスイッチの出力動作設定はそのままにして、リードスイッチの出力動作設定に関し、フック有りの状態を「OFF」とし、フック無しの状態を「ON」とするようにしてもよい。これらの場合、異常状態においては、マイクロスイッチまたはリードスイッチのいずれか一方が「ON」で、他方が「OFF」となる。
【0110】
このように、リードスイッチおよびマイクロスイッチについて同じ出力動作設定をするには、図24中のマイクロスイッチに図25中のリードスイッチを組み合わせるか、または、図24中のリードスイッチに図25中のマイクロスイッチを組み合わせるようにすればよい。あるいは、互いに異なる出力動作設定がなされた第1、第2の検出部において、いずれか一方の検出部の出力をホルダ2の外部(または内部)で反転させるようにしてもよい。さらには、コントローラにおいて、いずれか一方の検出部の出力をその反転出力と判定するようにしてもよい。
【0111】
〔第10の変形例〕
前記実施例および前記各変形例では、第1、第2の検出部として各種センサを例に挙げて説明したが、本発明における第1、第2の検出部は、例示したものには限定されず、その他の種々のセンサを採用し得る。たとえば、感圧センサやひずみゲージ等を用いてもよい。また、RFID(Radio Frequency Identification)タグおよびリーダーを用いることも考えられる。この場合には、たとえば、フック側にRFIDタグを取り付け、RFIDタグに記憶された情報を読み取るリーダーをホルダ側に取り付けるようにすればよい。
【0112】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【0113】
〔他の適用例〕
前記実施例では、本発明によるホルダが、フルハーネス型の墜落制止用器具に適用された例を示したが、本発明は、胴ベルト型の墜落制止用器具にも適用可能である。また、前記実施例では、本発明によるホルダが、2本のランヤードを有するダブルランヤード式の墜落制止用器具に適用された例を示したが、本発明は、1本のランヤードを有するシングルランヤード式の墜落制止用器具にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、墜落制止用器具に設けられたフックを吊下げ可能なホルダ、当該ホルダを備えたフック検出ユニットおよびフック検出方法に有用である。
【符号の説明】
【0115】
1: 墜落制止用器具

2、3: ホルダ(ホルダ本体)
20: ベース
21: スライダ
22: リードスイッチ(第2の検出部)
23: マイクロスイッチ(第1の検出部)
25A、25B: 第3の検出部
29: 3ポジションイネーブルスイッチ(第1の検出部)

14H、14H: フック
14m: マグネット(被検出部)

CU: 通信ユニット
AP: 警報部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【文献】特許第5822796号公報(段落[0026]および図5参照)
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