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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240329BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
G03F7/16 502
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020125318
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2021040128
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2019158580
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】松近 啓司
(72)【発明者】
【氏名】松 泰司
(72)【発明者】
【氏名】俵谷 佳典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優史
(72)【発明者】
【氏名】西山 耕二
(72)【発明者】
【氏名】村井 征爾
(72)【発明者】
【氏名】福本 靖博
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184644(JP,A)
【文献】特開2019-046833(JP,A)
【文献】特開2019-145561(JP,A)
【文献】特開2003-080159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/16
7/30
B05C 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するスピンチャックと、
前記スピンチャックの下面に設けられ、前記スピンチャックと共に鉛直軸周りに回転することが可能な回転シャフトと、
前記回転シャフトの周囲に配置される円筒状の内カップと、
前記スピンチャックで保持された基板および前記内カップを収容する外カップであって、前記内カップの下端から離れて配置される中空円板状の底部、前記底部の外縁部から上方に延びて前記内カップの周囲に配置される円筒状の外周壁、および前記底部の内縁部から上方に延びて前記内カップの内側に配置される円筒状の仕切り壁を有する前記外カップと、
前記外カップの前記外周壁と前記内カップとの隙間である外排気路と、
前記外排気路に連通する、前記内カップの下端と前記外カップの前記底部との隙間である底排気路と、
前記底排気路に連通する、前記内カップと前記外カップの前記仕切り壁との隙間である内排気路と、
前記外排気路、前記底排気路および前記内排気路を、前記外カップの前記仕切り壁の内周側から排気する排気部と、
複数の孔部が形成されたトラップリングと、を備え、
前記トラップリングは、前記内カップの下端に配置されて、前記外カップの前記外周壁から前記仕切り壁までの幅と略同じリング幅を有していることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記外カップの前記外周壁と前記内カップとの間に、前記スピンチャック側から溶剤を供給する溶剤供給部と、
前記外カップの底部から溶剤を排出するための液排出部と、
を更に備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置において、
前記トラップリングは、前記内カップの下端との間に隙間を有して配置されており、
前記トラップリングは、内周側が低くなるように傾斜していることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の塗布装置において、
前記内カップは、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材と、前記上整流部材の外縁部に接続する円筒状の下整流部材とを有し、
前記外カップは、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部を有し、
前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記上整流部材上に案内することを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の塗布装置において、
前記内カップは、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材と、前記上整流部材の外縁部に接続する円筒状の下整流部材とを有し、
前記外カップは、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部を有し、
前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記下整流部材の外壁に案内することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の塗布装置において、
前記ガイド突起部は、前記溶剤が集まる先端と、前記先端から各々延びる2つの面とを有し、
前記先端は、前記2つの面の最低位置となるように配置されることを特徴とする塗布装置。
【請求項7】
請求項2または3に記載の塗布装置において、
前記外カップの外周壁の内壁に設けられ、前記溶剤供給部から供給された溶剤を前記トラップリングにガイドするためのリング状の溶剤ガイド部材を更に備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の塗布装置において、
前記トラップリングは、前記外周壁との間および前記仕切り壁との間に隙間を有して配置されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の塗布装置において、
前記トラップリングは、前記外カップまたは前記内カップに引っ掛けて、前記トラップリングを吊り下げるためのフックを更に備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項9に記載の塗布装置において、
前記フックは、前記外カップの前記仕切り壁の上端に引っ掛けるためのフックであることを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の塗布装置において、
前記トラップリングは、前記外カップの前記外周壁と前記仕切り壁との間における前記底部に前記トラップリングを立たせるため、複数の脚部を備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
請求項11に記載の塗布装置において、
前記トラップリングは、前記トラップリングを持ち上げるための取っ手部を更に備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の塗布装置において、
前記内カップは、円筒状の下整流部材を有し、
前記下整流部材は、前記前記仕切り壁と前記外周壁の中間よりも外周側に位置することを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に塗布液を塗布する塗布装置に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来の塗布装置は、基板上に塗布液を供給し、基板を回転させることにより、基板上に塗布液を塗布している。このとき、余分な塗布液は、遠心力によって基板外に飛散される。基板外に飛散された塗布液は、飛散防止カップ(以下、「カップ」と呼ぶ)によって回収される(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
なお、特許文献1には、カップ内の雰囲気を外部排気する排気通路内であって、かつ、排気口近傍に、カップ内の雰囲気中に含まれる塗布液ミストを捕捉するミストトラップが開示されている。
【0004】
特許文献2には、浮遊する糸状の塗布液を捕捉するトラップ部材が開示されている。トラップ部材は、多数の孔部を有する。トラップ部材は、上下方向の排気通路を下側から遮るように配置される。トラップ部材は、整流部材にスペーサを介してねじで取り付けられる。トラップ部材が整流部材の外径よりも少し大きく形成されているので、トラップ部材の上面に洗浄液を滴下することができ、トラップ部材の孔部に付着した塗布液が洗浄液により洗浄、除去される。
【0005】
特許文献3には、糸状の塗布液を捕集する塗布液捕集部材が開示されている。塗布液捕集部材は、多数の開口部を有し、また、溶剤を貯留することができるように構成されている。糸状の塗布液は、塗布液捕集部材に貯留される溶剤に接触し、溶解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-080159号公報
【文献】特開2016-184644号公報
【文献】特開2019-046833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来装置は次の問題を有する。基板の回転によって余分な処理液を飛散させると、塗布液ミストが発生する。塗布液ミストは、排気通路の内壁に付着して排気通路を閉塞してしまう可能性がある。ミストトラップを設けて、塗布液ミストを捕集(捕捉)することができる。しかし、従来のミストトラップでは、トラップ効果が不十分である可能性がある。また、図15に示すように、内カップ121の下端で塗布液がつらら状になり(符号IC)、排気通路を閉塞してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を防止しつつ、処理液ミストの捕集効率を向上させることができる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る塗布装置は、基板を保持するスピンチャックと、前記スピンチャックの下面に設けられ、前記スピンチャックと共に鉛直軸周りに回転することが可能な回転シャフトと、前記回転シャフトの周囲に配置される円筒状の内カップと、前記スピンチャックで保持された基板および前記内カップを収容する外カップであって、前記内カップの下端から離れて配置される中空円板状の底部、前記底部の外縁部から上方に延びて前記内カップの周囲に配置される円筒状の外周壁、および前記底部の内縁部から上方に延びて前記内カップの内側に配置される円筒状の仕切り壁を有する前記外カップと、前記外カップの前記外周壁と前記内カップとの隙間である外排気路と、前記外排気路に連通する、前記内カップの下端と前記外カップの前記底部との隙間である底排気路と、前記底排気路に連通する、前記内カップと前記外カップの前記仕切り壁との隙間である内排気路と、前記外排気路、前記底排気路および前記内排気路を、前記外カップの前記仕切り壁の内周側から排気する排気部と、複数の孔部が形成されたトラップリングと、を備え、トラップリングは、前記内カップの下端に配置されて、前記外カップの前記外周壁から前記仕切り壁までの幅と略同じリング幅を有していることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る塗布装置によれば、複数の孔部が形成されたトラップリングは、内カップの下端に配置されており、外カップの外周壁から仕切り壁までの幅と略同じリング幅を有している。内カップから垂れ落ちる塗布液の一部は、トラップリングによって遮られるので、つらら状の塗布液による底排気路の閉塞を防止することができる。また、外排気路から底排気路に気体が向かうときに、トラップリングは、塗布液ミストを捕集することができる。さらに、底排気路から内排気路に気体が向かうときに、トラップリングは、残留する塗布液ミストを更に捕集することができる。すなわち、このような構成により、排気する気体をトラップリングに2回、通過させることができる。そのため、処理液ミストの捕集効率を向上させることができる。
【0011】
また、上述の塗布装置において、前記外カップの前記外周壁と前記内カップとの間に、前記スピンチャック側から溶剤を供給する溶剤供給部と、前記外カップの底部から溶剤を排出するための液排出部と、を更に備えていることが好ましい。溶剤供給部による溶剤の供給によって、例えば外周壁、内カップおよびトラップリングを洗浄することができる。
【0012】
また、上述の塗布装置において、前記トラップリングは、前記内カップの下端との間に隙間を有して配置されており、前記トラップリングは、内周側が低くなるように傾斜していることが好ましい。これにより、トラップリングの外周から内周にかけて溶剤を流すことができる。例えば、トラップリングの外周側が低くなるように傾斜している場合、トラップリングの外周側に溶剤が流れるが、内周側に溶剤を流すことができなくなる。
【0013】
また、上述の塗布装置において、前記内カップは、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材と、前記上整流部材の外縁部に接続する円筒状の下整流部材とを有し、前記外カップは、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部を有し、前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記上整流部材上に案内することが好ましい。上整流部材上に案内された溶剤は、上整流部材の外縁部に接続する下整流部材に流れる。そのため、下整流部材の上流側から溶剤を流すことができる。そのため、下整流部材の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。
【0014】
また、上述の塗布装置において、前記内カップは、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材と、前記上整流部材の外縁部に接続する円筒状の下整流部材とを有し、前記外カップは、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部を有し、前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記下整流部材の外壁に案内することが好ましい。これにより、下整流部材の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。
【0015】
また、上述の塗布装置において、前記ガイド突起部は、前記溶剤が集まる先端と、前記先端から各々延びる2つの面とを有し、前記先端は、前記2つの面の最低位置となるように配置されることが好ましい。先端が2つの面の最低位置となるように配置されるので、溶剤を先端に集めることができると共に、先端から一方の面を伝って溶剤が流れてしまうことを防止することができる。そのため、先端に集まった溶剤を先端から効果的に滴下させることができる。
【0016】
また、上述の塗布装置において、前記外カップの外周壁の内壁に設けられ、前記溶剤供給部から供給された溶剤を前記トラップリングにガイドするためのリング状の溶剤ガイド部材を更に備えていることが好ましい。これにより、トラップリングに溶剤を供給することを容易にすることができる。
【0017】
また、上述の塗布装置において、前記トラップリングは、前記外周壁との間および前記仕切り壁との間に隙間を有して配置されていることが好ましい。隙間を設けることで、外カップに変形が生じたとしても、トラップリングの取り付けが困難になることを防止できる。また、外周壁近傍および仕切り壁近傍の排気路を塞ぐことを避けられるので、排気性能が低下することを防止できる。さらに、トラップリングが、外周壁および仕切り壁の少なくとも一方と、付着した塗布液(例えばレジスト)によって固着することを抑制でき、その結果、トラップリングの取り外しが困難になり、メンテナンス性が低下することを防止できる。
【0018】
また、上述の塗布装置において、前記トラップリングは、前記外カップまたは前記内カップに引っ掛けて、前記トラップリングを吊り下げるためのフックを更に備えていることが好ましい。例えば、ねじでトラップリングを固定すると、ねじを覆った塗布液が固化したときに、トラップリングの取り外しが難しくなる。本発明によれば、トラップリングをフックで吊り下げているだけなので、トラップリングの取り付けおよび取り外しが容易である。
【0019】
また、上述の塗布装置において、前記フックは、前記外カップの前記仕切り壁の上端に引っ掛けるためのフックであることが好ましい。これにより、新たにフックを引っ掛ける部分を設けなくてもよい効果がある。
【0020】
また、上述の塗布装置において、前記トラップリングは、前記外カップの前記外周壁と前記仕切り壁との間における前記底部に前記トラップリングを立たせるため、複数の脚部を備えていることが好ましい。例えば、ねじでトラップリングを固定すると、ねじを覆った塗布液が固化したときに、トラップリングの取り外しが難しくなる。本発明によれば、トラップリングに設けられた複数の脚部でトラップリングを配置しているだけなので、トラップリングの取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【0021】
また、上述の塗布装置において、前記トラップリングは、前記トラップリングを持ち上げるための取っ手部を更に備えていることが好ましい。これにより、外カップの外周壁と仕切り壁の間に、はまり込んだトラップリングの取り出しおよび取り付けを容易にすることができる。
【0022】
また、上述の塗布装置において、前記内カップは、円筒状の下整流部材を有し、前記下整流部材は、前記前記仕切り壁と前記外周壁の中間よりも外周側に位置することが好ましい。これにより、下整流部材と外周壁の隙間に流れる風速を高めることができるため、塗布液ミストを含む排気をトラップリングにより強くぶつけることができる。その結果、塗布液ミストの捕集効率を高めることができる。
【0023】
なお、本明細書は、次のような塗布装置に係る発明も開示している。
【0024】
(1)塗布装置は、基板を保持するスピンチャックと、前記スピンチャックの下面に設けられ、前記スピンチャックと共に鉛直軸周りに回転することが可能な回転シャフトと、
前記回転シャフトの周囲に配置される円筒状の内カップと、前記スピンチャックで保持された基板および前記内カップを収容する外カップとを備えている。前記外カップは、前記内カップの下端から離れて配置される中空円板状の底部、前記底部の外縁部から上方に延びて前記内カップの周囲に配置される円筒状の外周壁、および前記底部の内縁部から上方に延びて前記内カップの内側に配置される円筒状の仕切り壁を有する。塗布装置は、前記外カップの前記外周壁と前記内カップとの隙間である外排気路と、前記外排気路に連通する、前記内カップの下端と前記外カップの前記底部との隙間である底排気路と、前記底排気路に連通する、前記内カップと前記外カップの前記仕切り壁との隙間である内排気路と、前記外排気路、前記底排気路および前記内排気路を、前記外カップの前記仕切り壁の内周側から排気する排気部と、を更に備えている。前記内カップは、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材と、前記上整流部材の外縁部に接続する円筒状の下整流部材とを有する。前記外カップは、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部を有する。前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記上整流部材上に案内する。
【0025】
前記(1)に記載の発明によれば、下整流部材の上流側から溶剤を流すことができる。そのため、下整流部材の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を防止することができる。
【0026】
(2)前記(1)に記載の発明において、前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記上整流部材上に案内する。これに代えて、前記ガイド突起部は、前記ガイド突起部を含む前記外カップの内壁で受け止めた溶剤を前記下整流部材の外壁に案内する。これにより、下整流部材の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る塗布装置によれば、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を防止しつつ、処理液ミストの捕集効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例1に係る塗布装置の概略構成図である。
図2】(a)は、実施例1に係るトラップリングの平面図であり、(b)は、そのトラップリングの縦断面図である。
図3】トラップリングが外カップに配置される様子を示す平面図である。
図4】(a)、(b)は、塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図である。
図5】(a)は、溶剤供給ノズルによる溶剤の供給について説明するための図であり、(b)は、裏面洗浄ノズルによる溶剤の供給について説明するための図であり、(c)は、洗浄液ノズルおよびカップ洗浄部材による溶剤の供給について説明するための図である。
図6】(a)は、実施例2に係るトラップリングの平面図であり、(b)は、そのトラップリングの縦断面図である。
図7】実施例2に係る、塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図である。
図8】実施例3に係る塗布装置の概略構成図である。
図9】(a)、(b)は、実施例3に係る塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図である。
図10】(a)~(c)は、実施例3に係る塗布装置の変形例を示す図である。
図11】ガイド突起部の先端の水平方向の位置を説明するための図である。
図12】変形例に係る、塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図である。
図13】変形例に係る、塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図である。
図14】(a)は、変形例に係る、塗布装置のカップの縦断面右側を一部拡大した図であり、(b)は、二重のトラップリングの複数の孔部がジグザグ状に配置される様子を示す図である。
図15】課題を説明するための図である。
【実施例1】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る塗布装置1の概略構成図である。なお、この図1において、後述するスピンチャック2、内カップ21、外カップ23などは、縦断面図で示される。
【0030】
<塗布装置1の構成>
図1を参照する。塗布装置1は、スピンチャック2、回転シャフト3、回転駆動部5、塗布液ノズル7および溶剤ノズル9を備えている。なお、溶剤ノズル9は、本発明の溶剤供給部に相当する。
【0031】
スピンチャック2は、例えば基板Wの下面を真空吸着することで基板Wを保持する。また、スピンチャック2は、基板Wの外縁部を3つ以上のピン部材で機械的に挟み込むような構成であってもよい。スピンチャック2は、円板状に形成されている。スピンチャック2の下面には、回転シャフト3が設けられている。回転シャフト3は、スピンチャック2と共に鉛直軸AX1周りに回転することができる。回転シャフト3は、鉛直方向(Z方向)に長手の円柱状の部材である。
【0032】
回転駆動部5は、スピンチャック2および回転シャフト3を鉛直軸AX1周りに回転させることで、スピンチャック2に保持された基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。回転駆動部5は、電動モータを備えている。
【0033】
塗布液ノズル7は、基板W上に塗布液を供給する。塗布液は、例えば、フォトレジスト液、反射防止膜を形成するための液、SOC(Spin On Carbon)膜を形成するための液、SOG(Spin On Glass)膜を形成するための液が用いられる。溶剤ノズル9は、基板W上に溶剤を供給する。溶剤は、例えばシンナーが用いられる。塗布液ノズル7および溶剤ノズル9は各々、図示しないノズル移動機構によって、基板Wの中心上方の位置、および基板Wの側方の待機位置など任意の位置に移動できるように構成されている。
【0034】
塗布液供給源13から塗布液配管15を通じて塗布液が送られる。塗布液配管15には、開閉弁V1とポンプP1が設けられている。開閉弁V1は塗布液の供給とその停止を行い、ポンプP1は塗布液を塗布液ノズル7に送り出す。また、溶剤供給源17から溶剤配管19を通じて溶剤が供給される。溶剤配管19には、開閉弁V2とポンプP2が設けられている。開閉弁V2は溶剤の供給とその停止を行い、ポンプP2は溶剤を溶剤ノズル9に送り出す。
【0035】
更に、塗布装置1は、飛散した塗布液を回収するカップとして、内カップ21と外カップ23とを備えている。内カップ21は、整流部材とも呼ばれる。内カップ21は、回転シャフト3およびベース部材11の周囲に配置されている。内カップ21は、上整流部材25と下整流部材26とを備えている。上整流部材25は、中空円板状の部材であり、外周側が低くなるように傾斜している。下整流部材26は、上整流部材25の外縁部から少なくとも下方に延び、円筒状(中空)に形成されている。なお、図1では、下整流部材26は、上整流部材25の外縁部から下方に延びているが、下に向かうほど広くなるように形成されていてもよい。
【0036】
また、外カップ23は、例えばスピンチャック2で保持された基板Wおよび内カップ21を収容する。外カップ23は、底部27、外周壁29、仕切り壁31、および内周壁33を備えている。底部27は、中空円板状に形成されている。底部27は、内カップ21の下整流部材26の下端26Aから離れて配置されている。外カップ23において、仕切り壁31の外周側は、液排出ライン34であり、仕切り壁31の内周側は、排気ライン35である。液排出ライン34では、底部27は、断面がV字状の溝27Aを有する。
【0037】
ここで、図1の右側の四角形の枠内を参照しつつ、内カップ21と外カップ23によって形成された、外排気路PT1、底排気路PT2および内排気路PT3について説明する。外排気路PT1は、外カップ23の外周壁29と内カップ21の下整流部材26との隙間である。底排気路PT2は、外排気路PT1に連通する隙間であって、下整流部材26(内カップ21)の下端26Aと外カップ23の底部27との隙間である。内排気路PT3は、底排気路PT2に連通する隙間であって、下整流部材26と外カップ23の仕切り壁31との隙間である。
【0038】
また、底部27は、仕切り壁31の外周側(すなわち液排出ライン34)に設けられた液排出配管37と、仕切り壁31の内周側(すなわち排気ライン35)に設けられた排気配管38とを有する。塗布液および溶剤は、液排出配管37から排出され、気体は、排気配管38から排出される。液排出配管37は、外周壁29と仕切り壁31との間における底部27(V字状溝27A)から溶剤を排出する。排気配管38は、外排気路PT1、底排気路PT2および内排気路PT3を通過した気体を、仕切り壁31の内周側から排気する。なお、排気配管38は、例えば工場の排気ダクトに接続されることで、吸引力が得られる。排気配管38は、本発明の排気部に相当する。
【0039】
外周壁29は、底部27の外縁部から少なくとも上方に延びて形成されている。外周壁29は、上方に延びる円筒状の下部分29Aと、上に向かうほど狭くなっている円筒状の上部分29Bとを備えている。仕切り壁31は、外周壁29よりも内周側に配置されている。仕切り壁31は、底部27から上方に延びて形成されているが、全部または一部で傾斜していてもよい。仕切り壁31は、円筒状に形成されている。
【0040】
また、内周壁33は、底部27の内側の縁から少なくとも上方に延びて形成されている。内周壁33は、円筒状に形成されている。内周壁33の上端は、上整流部材25と接続する。また、内周壁33は、上整流部材25および底部27の少なくとも一方から延びた壁によって形成されていればよい。また、図1において、内カップ21の下整流部材26の下端26Aは、外カップ23の外周壁29と仕切り壁31との間に配置される。また、下整流部材26(すなわち下端26A)は、仕切り壁31の上端31Aよりも低い位置に配置されている。
【0041】
〔トラップリング41の構成〕
図2(a)は、実施例1に係るトラップリング41の平面図である。図2(b)は、そのトラップリング41の縦断面図である。トラップリング41は、塗布液ミストを捕集するためのものである。なお、塗布液ミストは、基板Wを回転させて余分な塗布液を基板W外に飛散させたときに発生する。トラップリング41は、例えばステンレス鋼(SUS:Stainless Used Steel)で形成されている。
【0042】
図2(a)に示すように、トラップリング41は、複数の孔部43を備えている。複数の孔部43は各々、半径方向に長手の長方形で形成されている。複数の孔部43は、トラップリング41の中心軸である軸AX2周りにリング状に配置されている。トラップリング41は、外カップ23の仕切り壁31の上端31Aに引っ掛けて、トラップリング41を吊り下げるための3つのフック45を備えている。なお、フック45の個数は、3つに限定されず任意に設定される。また、図2(b)に示すように、トラップリング41は、内周側が低くなるように傾斜している。
【0043】
図3は、トラップリング41が外カップ23に配置される様子を示す平面図である。トラップリング41は、外カップ23の外周壁29と仕切り壁31の間に配置される。フック45が仕切り壁31の上端31Aに引っ掛けられることにより、トラップリング41の位置決めがされる。トラップリング41は、外カップ23の外周壁29から仕切り壁31までの幅WD1と略同じリング幅WD2を有している。また、トラップリング41は、外周壁29に対して隙間S1を有して配置されている。また、トラップリング41は、仕切り壁31に対して隙間S2を有して配置されている。このように、隙間S1,S2を設けることで、外カップ23に変形が生じたとしても、トラップリング41の取り付けが困難になることを防止できる。また、外周壁29近傍および仕切り壁31近傍の排気路を塞ぐことを避けられるので、排気性能が低下することを防止できる。さらに、トラップリング41が、外周壁29および仕切り壁31の少なくとも一方と、付着した塗布液(例えばレジスト)によって固着することを抑制でき、その結果、トラップリング41の取り外しが困難になることを防止できる。図3において、符号NTで示す二点鎖線は、下整流部材26の下端26Aが配置される位置である。
【0044】
図4(a)、図4(b)は、塗布装置1の内カップ21および外カップ23の縦断面右側を一部拡大した図である。トラップリング41は、下整流部材26の下端26Aに隙間S3を有して配置されている。トラップリング41は、外カップ23の外周壁29から仕切り壁31までの幅WD1と略同じリング幅WD2を有している(図3参照)。すなわち、少なくとも下向きに延びる下整流部材26を遮るように、傾斜を有しつつ略水平姿勢で配置されている。仮に、下整流部材26の表面から塗布液が流れ落ちた場合、トラップリング41の複数の孔部43を通じて塗布液が垂れ落ちる。しかし、トラップリング41の複数の孔部43以外の部分で塗布液が受け止められる。そのため、つらら状の塗布液により排気通路が閉塞されることを防止できる。
【0045】
また、トラップリング41の配置により、図4(a)に示す矢印T1,T2のように、排気される気体をトラップリング41に2回通過させることになる。そのため、2回通過させることによる塗布液ミストの捕集効率を向上させることができる。また、トラップリング41は、外周側よりも内周側が低くなるように傾斜している。そのため、図4(b)に示すように、トラップリング41に溶剤が供給されたときに、トラップリング41上面の外周から内周にかけて溶剤を流すことができる。そのため、内カップ21の陰になったトラップリング41の内周側に溶剤を供給でき、トラップリング41の複数の孔部43以外の部分で受け止められた塗布液、および塗布液ミストを効率良く、除去することができる。例えば、トラップリング41の外周側が低くなるように傾斜している場合、トラップリング41の外周側に溶剤が流れるが、内周側に溶剤を流すことができなくなる。
【0046】
図1に戻る。塗布装置1は、裏面洗浄ノズル51、洗浄液ノズル53、カップ洗浄部材55および回転伝達部57を備えている。なお、裏面洗浄ノズル51、洗浄液ノズル53、カップ洗浄部材55は、本発明の溶剤供給部に相当する。
【0047】
裏面洗浄ノズル51は、基板Wの裏面に溶剤を向けて供給する。洗浄液ノズル53は、洗浄液をカップ洗浄部材55の下面側の凹部59に向けて吐出する。裏面洗浄ノズル51および洗浄液ノズル53は、ベース部材11に設けられている。
【0048】
溶剤供給源61から溶剤配管63を通じて溶剤が供給される。溶剤配管63には、2つの開閉弁V3,V4とポンプP3が設けられている。開閉弁V3は、裏面洗浄ノズル51のために用いられ、開閉弁V4は、洗浄液ノズル53のために用いられる。2つの開閉弁V3,V4は各々、溶剤の供給とその停止を行う。ポンプP3は溶剤を裏面洗浄ノズル51および洗浄液ノズル53に送り出す。
【0049】
カップ洗浄部材55は、下面側に設けられた凹部59と、凹部59と連通する洗浄液吐出口65とを備えている。凹部59は、洗浄液ノズル53から吐出された溶剤を受け取るために用いられる。カップ洗浄部材55の回転による遠心力により、溶剤は凹部59に保持され、また、凹部59と連通する洗浄液吐出口65から吐出される。
【0050】
内カップ21、外カップ23およびベース部材11は一体的に昇降されるように構成されている。昇降は、例えば、エアシリンダまたは電動モータによって行われる。回転シャフト3には、回転伝達部57が固定されている。そのため、内カップ21、外カップ23およびベース部材11が下降すると、カップ洗浄部材55の下面は、回転伝達部57によって支持される。また、回転伝達部57は、回転シャフト3とカップ洗浄部材55を連結させる。また、内カップ21、外カップ23およびベース部材11が上昇すると、回転伝達部57は、カップ洗浄部材55から離れる。
【0051】
また、塗布装置1は、図1に示すように、制御部71と、操作部72とを備えている。制御部71は、例えば中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部71は、塗布装置1の各構成を制御する。操作部72は、表示部(例えば液晶モニタ)、記憶部および入力部を備えている。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。入力部は、キーボード、マウス、タッチパネルおよび各種ボタンの少なくとも1つを備えている。記憶部には、塗布処理の各種条件および塗布装置1の制御に必要な動作プログラム等が記憶されている。
【0052】
<塗布装置1の動作>
塗布装置1の動作について説明する。まず、トラップリング41の捕集機能について説明し、その後、トラップリング41の洗浄機能について説明する。
【0053】
〔トラップリング41の捕集機能〕
スピンチャック2は、図1に示すように、基板Wを保持している。塗布液ノズル7は、図示しないノズル移動機構により、基板W中心の上方に配置される。その後、塗布液ノズル7から例えばフォトレジスト液が基板W上に供給される。また、回転駆動部5は、スピンチャック2に保持された基板Wを回転させる。基板Wの回転により基板W上の塗布液が広げられ、塗布液が基板W上に塗布される。また、基板Wの回転により、余分な塗布液は、基板W外に飛散されて、この際に塗布液ミスト(レジストミスト)が発生する。
【0054】
内カップ21および外カップ23により形成される通路内(外排気路PT1、底排気路PT2および内排気路PT3など)は、排気配管38に向かうように、吸引されている。そのため、発生した塗布液ミストは、排気配管38に向かうように流れる。図4(a)の矢印T1に示すように、下整流部材26と外周壁29の間を通過する塗布液ミストは、トラップリング41を通過する。この際に、トラップリング41は、塗布液ミストを捕集する。
【0055】
その後、V字状溝27A付近(液排出ライン34)に存在する塗布液ミストは、再度、トラップリング41を通過する(図4(a)の矢印T2参照)。この際も、トラップリング41は、残留する塗布液ミストを捕集する。その後、トラップリング41によって、塗布液ミストが捕集された後の気体は、排気ライン35を通じて排気配管38から排気される。
【0056】
〔トラップリング41の洗浄機構〕
塗布液が付着したトラップリング41を洗浄するため、トラップリング41には、溶剤が供給される。溶剤の供給手段は、例えば次のように、3種類ある。図5(a)は、溶剤供給ノズル9による溶剤の供給について説明するための図である。この溶剤供給手段は、プリウェット処理として、塗布液ノズル7から塗布液を基板Wに供給する工程の前に行われる。溶剤ノズル9から溶剤を基板W上に供給する。また、回転駆動部5は、スピンチャック2に保持された基板Wを回転する。基板Wの回転等により基板W外に飛散した溶剤は、外カップ23等により回収される。
【0057】
図5(b)は、裏面洗浄ノズル51による溶剤の供給について説明するための図である。この溶剤供給手段は、裏面洗浄処理として、塗布液ノズル7から塗布液を基板Wに供給する工程の後に行われる。裏面洗浄ノズル51から溶剤が基板Wの裏面(下面)に供給される。また、回転駆動部5は、スピンチャック2に保持された基板Wを回転する。基板Wの回転等により、溶剤が飛散される。外カップ23等により回収される。
【0058】
図5(c)は、洗浄液ノズル53およびカップ洗浄部材55による溶剤の供給について説明するための図である。この溶剤供給手段は、カップ洗浄処理において行われる。カップ洗浄処理は、予め設定された時間(例えば十数時間)ごとに定期的に行われる。図示しない例えばエアシリンダは、内カップ21、外カップ23およびベース部材11を一体的に下降させる。これにより、カップ洗浄部材55は、回転シャフト3に固定された回転伝達部57に支持されると共に、カップ洗浄部材55は、回転シャフト3と一体的に回転可能になる。
【0059】
回転駆動部5は、回転シャフト3およびカップ洗浄部材55を回転させる。カップ洗浄部材55の下面側の凹部59は、洗浄液ノズル53から吐出された溶剤を受け取り、遠心力によって溶剤を保持する。また、これと同時に、凹部59に連通する洗浄液吐出口65から溶剤が吐出される。
【0060】
3つの溶剤供給手段の各々による溶剤は、スピンチャック2側から外カップ23の外周壁29と内カップ21の下整流部材26との間に送られる。その後、外周壁29および内カップ21に付着した塗布液を洗浄しながら、溶剤がトラップリング41に送られる。図4(b)に示すように、トラップリング41は、下整流部材26の下端26Aに隙間S3を有して配置されている。また、トラップリング41は、内周側が低くなるように傾斜している。これにより、トラップリング41上面の外周から内周にかけて溶剤を流すことができる。
【0061】
本実施例によれば、複数の孔部43が形成されたトラップリング41は、内カップ21のリング状の下端26Aに沿って配置されており、外カップ23の外周壁29から仕切り壁31までの幅WD1と略同じリング幅WD2を有している。内カップ21から垂れ落ちる塗布液の一部は、トラップリング41によって遮られるので、つらら状の塗布液(図15参照)による底排気路の閉塞を防止することができる。また、外排気路PT1から底排気路PT2に気体が向かうときに、トラップリング41は、塗布液ミストを捕集することができる。さらに、底排気路PT2から内排気路PT3に気体が向かうときに、トラップリング41は、残留する塗布液ミストを更に捕集することができる。すなわち、このような構成により、排気する気体をトラップリング41に2回、通過させることができる。そのため、処理液ミストの捕集効率を向上させることができる。
【0062】
また、塗布装置1は、外カップ23の外周壁29と内カップ21の下整流部材26との間にスピンチャック2側から溶剤を供給する例えば溶剤ノズル9(溶剤供給部)と、外カップ23の外周壁29と仕切り壁31の間における底部27から溶剤を排出する排気配管38とを更に備えている。例えば溶剤ノズル9による溶剤の供給によって、例えば外周壁29、内カップ21およびトラップリング41を洗浄することができる。
【0063】
また、トラップリング41は、外カップ23の仕切り壁31の上端31Aに引っ掛けて、トラップリング41を吊り下げるためのフック45を備えている。例えば、ねじでトラップリング41を固定すると、ねじを覆った塗布液が固化したときに、トラップリング41の取り外しが難しくなる。本実施例によれば、トラップリング41をフック45で吊り下げているだけなので、トラップリング41の取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【実施例2】
【0064】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0065】
実施例1のトラップリング41は、フック45によってトラップリング41が吊り下げられることで、配置された。この点、実施例2では、脚部81によってトラップリング41を支えることで、トラップリング41は配置される。
【0066】
図6(a)は、実施例2に係るトラップリング41の平面図である。図6(b)は、そのトラップリング41の縦断面図である。トラップリング41は、複数(例えば4本)の脚部81と、複数(例えば2つ)の取っ手部83とを備えている。複数の脚部81は、外カップ23の外周壁29と、仕切り壁31との間における底部27にトラップリング41を立たせるために用いられる。図7に示すように、複数の脚部81の先端がV字状溝27Aの最も凹んでいる部分に位置するように、トラップリング41が配置される。下整流部材26の下端26Aとトラップリング41との間の隙間S3(図4(a)参照)は、脚部81の長さを調整することで設定される。
【0067】
複数の取っ手部83は、トラップリング41を持ち上げるために用いられる。これにより、トラップリング41を外カップ23のV字状溝27Aに対して取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【0068】
本実施例によれば、トラップリング41は、外カップ23の外周壁29と仕切り壁31との間における底部27にトラップリング41を立たせるため、複数の脚部81を備えている。例えば、ねじでトラップリング41を固定すると、ねじを覆った塗布液が固化したときに、トラップリング41の取り外しが難しくなる。本実施例によれば、トラップリング41に設けられた複数の脚部81でトラップリング41を配置しているだけなので、トラップリング41の取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【実施例3】
【0069】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。
【0070】
実施例1,2において、溶剤供給は、トラップリング41を洗浄するために行われる。これに加えて、溶剤供給は、内カップ21の下整流部26の外壁(外面)を効果的に洗浄するために行われてもよい。また、実施例1の図4(a)において、下整流部材26は、仕切り壁31と外周壁29(下部分29A)の中間に位置する。この点、下整流部材26は、仕切り壁31と外周壁29(下部分29A)の中間よりも外周側に位置してもよい。具体的に説明する。
【0071】
〔ガイド突起部101の構成〕
図8は、実施例3に係る塗布装置1の概略構成図である。内カップ21は、外周側が低くなるように傾斜する中空円板状の上整流部材25と、上整流部材25の外縁部に接続する円筒状の下整流部材26とを備えている。実施例3の塗布装置1の外カップ23は、その内壁に設けられたリング状のガイド突起部101を備えている。ガイド突起部101は、ガイド突起部101を含む外カップ23の内壁で受け止めた溶剤を上整流部材25上に案内する。
【0072】
ガイド突起部101は、外カップ23の外周壁29の内周側に周回するように設けられている。ガイド突起部101は、外周壁29と一体的に設けられていてもよい。また、ガイド突起部101は、下部分29A、上部分29B、または下部分29Aと上部分29Bの両方と一体的に設けられていてもよい。更に、ガイド突起部101は、外周壁29から取り外しできるように構成されていてもよい。
【0073】
図9(a)、図9(b)は、塗布装置の内カップ21、外カップ23およびトラップリング41などの構成の縦断面右側を一部拡大した図である。また、図8図9(a)および図9(b)は、鉛直軸AX1を通過しながら径方向に切った縦断面図でもある。この縦断面を見た場合において、ガイド突起部101は、先端102と、2つの面103,104を備えている。先端102は、面103に沿って流下した液状の溶剤が集まる部分である。2つの面103,104は、先端102から各々延びている。すなわち、先端102は、第1の面103の一端と、第2の面104の一端とを合わせることで形成される。また、先端102は、2つの面103,104の最低位置となるように配置される。
【0074】
第1の面103(具体的には面103の法線)は、スピンチャック2に保持された基板Wの外縁部(内周)に向いている。言い換えると、第1の面103は、先端102から鉛直上方に延びている。
【0075】
第2の面104(具体的には面104の法線)は、外周に向いている。言い換えると、第2の面104は、先端102から上方、あるいは外周に水平に延びている。図9(a)、図9(b)において、第2の面104は、外周および下に向いており、また、先端102から外周および上方に延びている。第2の面104は、内周側に向かって下がるように傾斜する。また、2つの面103,104は、鋭角を形成する。なお、各面103,104は、平面、曲面、およびこれらの組合せで形成されている。
【0076】
また、先端102は、内カップ21および外カップ23における排気の流れを妨げないために、上整流部材25の上面から予め設定された距離を隔てて配置される。図9(a)において、例えば、上整流部材25の上面と平行な仮想線(仮想面)ILを設定する。この場合、先端102は、上整流部材25の上面から予め設定された距離DT隔てた仮想線IL上に配置される。なお、仮想線ILと上整流部材25との間は、排気気流が速い領域である。また、先端102の水平方向の位置は、面103を流下した溶剤が上整流部材25の上面に落下するように設定される。具体的には、先端102の水平方向の位置は、仕切り壁31と下整流部材26の外壁(外面)との間に設定される(後述する範囲RG4に相当する)。
【0077】
〔下整流部材26の位置〕
また、本実施例において、内カップ21は、円筒状の下整流部材26を備えている。下整流部材26は、仕切り壁31と外周壁29(下部分29A)の中間(中央)よりも外周側に位置する。すなわち、外周壁29と下整流部材26との隙間(図1の外排気路PT1)の径方向の幅WD3は、下整流部材26と仕切り壁31との隙間(図1の内排気路PT3)の径方向の幅WD4よりも小さくなるように構成されている。
【0078】
なお、図9(a)において、例えば先端102と上整流部材25との隙間DT1で定まるリング状流路の断面積は、リング状の外排気路PT1の流路断面積よりも大きくなるように構成される。これにより、先端102は、内カップ21および外カップ23における排気の流れを妨げることを防止できる。
【0079】
〔その他の構成〕
また、外カップ23の外周壁29の上部分29Bの内縁部およびその付近には、返し部106が設けられている。返し部106は、内カップ21および外カップ23で回収された塗布液および溶剤のミストが基板Wに舞い戻ることを防止する(図9(a)の矢印AR1参照)。
【0080】
返し部106は、外カップ23の内側、すなわち、上部分29Bの下面に設けられている。図9(a)、図9(b)において、返し部106は、先端108と、2つの面109,110を備えている。2つの面109,110は、先端108から各々延びている。先端部108は、基板Wおよび、ガイド突起部101の先端部102よりも高い位置に配置される。また、先端部108から上整流部材25の上面までの距離DT2は、先端部102(仮想線IL)から上整流部材25の上面までの距離DT(DT1)よりも大きく設定されている。これにより、基板Wから飛散した塗布液および溶剤が面109に衝突して、それらの液やミストが基板W上に舞い戻ることを防止する。つまり、塗布液および溶剤の回収を妨げないようになっている。
【0081】
<塗布装置1の動作>
次に、本実施例の塗布装置1の動作について説明する。まず、図8図9(a)を参照して塗布液ミストの回収について説明する。塗布装置1は、その上方からダウンフローの気体が供給されている。また、例えば工場の排気ダクトに接続されることで、吸引力を得ている。これらは、上述した実施例1,2も同様である。
【0082】
塗布液ノズル7から例えばフォトレジスト液が基板W上に供給される。基板の回転により、余分な塗布液は、基板W外に飛散されて、この際に塗布液ミストが発生する。塗布液ミストは、内カップ21および外カップ23により回収される。塗布液ミストは、返し部106およびガイド突起部101によって妨げられずに外排気路PT1に流れる。
【0083】
ここで、下整流部材26は、仕切り壁31と外周壁29の中間よりも外周側に位置する。これにより、下整流部材26と外周壁29との隙間WD3が内側の隙間WD4よりも絞られるので、外排気路PT1における流速を内排気路PT3よりも高くすることができる。そのため、塗布液ミストを含む気体をトラップリング41に強く当てつつ底排気路PT2に送ることができる。その結果、トラップリング41による塗布液ミストの捕集効率を高めることができる。また、下整流部材26に付着したフォトレジスト液を強い排気流により効果的に除去することができる。
【0084】
なお、例えば、下整流部材26が仕切り壁31と外周壁29の中間よりも内周側に位置すると、外排気路PT1における風速が比較的小さくなる。これにより、塗布液ミストを含む気体をトラップリング41に強く当てることができない可能性がある。そのため、図9(a)の破線の矢印AR2のように、下整流部材26の下端26Aとトラップリング41の上面との隙間S3(図9(b)参照)を通過しながら、トラップリング41の上面に沿って塗布液ミストが流れてしまう。そのため、トラップリング41に2回通過させる気流が少なくなるので、捕集効率が低下する。
【0085】
次に、図9(b)を参照して、下整流部材26およびトラップリング41の洗浄について説明する。なお、図9(b)における破線は、溶剤の移動の一例である。
【0086】
図5(a)~図5(c)示す手段によって溶剤が供給される。例えば、図5(b)において、裏面洗浄ノズル51から溶剤が基板Wの下面に供給される。基板Wの回転により、溶剤は、基板Wの外縁部から例えば水平方向に飛散される。飛散された溶剤は、返し部106に妨げられず、例えば、ガイド突起部101の面103で受け止められる。面103で受け止められた溶剤は、面103に沿って下向きに流れ、先端102から上整流部材25の上面に、溶剤が流れ落ちる。その後、上整流部材25の上面から下整流部材26の外壁に沿って溶剤が流れる。これにより、下整流部材26の外壁が洗浄されるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。
【0087】
その後、下整流部材26の下端26Aからトラップリング41の上面に、溶剤が流れ落ちる。ここで、トラップリング41は、内周側が低くなるように傾斜している。これにより、トラップリング41の上面の外周から内周にかけて溶剤を流すことができる。本実施例において、下整流部材26は、仕切り壁31と外周壁29の中間よりも外周側に位置する。そのため、下整流部材26の外壁に沿って流れた溶剤を、トラップリング41の上面のより外周側に供給することができる。
【0088】
その後、トラップリング41の内縁部からV字状溝27Aに、溶剤が流れ落ちる。その後、溶剤は、液排出配管37から排出される。
【0089】
本実施例によれば、ガイド突起部101は、ガイド突起部101を含む外カップ23の内壁で受け止めた溶剤を上整流部材25上に案内する。上整流部材25上に案内された溶剤は、上整流部材25の外縁部に接続する下整流部材26に流れる。そのため、下整流部材26の上流側から溶剤を流すことができる。そのため、下整流部材26の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。
【0090】
また、ガイド突起部101は、溶剤が集まる先端102と、先端102から各々延びる2つの面103,104とを有する。先端102は、2つの面103,104の最低位置となるように配置される。先端102が2つの面の最低位置となるように配置されるので、溶剤を先端102に集めることができると共に、先端102から一方の面(例えば面104)を伝って溶剤が流れてしまうことを防止することができる。そのため、先端102に集まった溶剤を先端から効果的に滴下させることができる。
【0091】
<実施例3の変形例>
図9(a)では、ガイド突起部101の第1の面103は、先端102から真上に延びているが、これに限定されない。例えば、図10(a)に示すように、第1の面103は、上方および外周側に向けて延びていてもよい。
【0092】
また、ガイド突起部101の先端102の水平方向の位置は、図9(a)に示す位置に配置されたが、これに限定されない。例えば、図10(b)に示すように、ガイド突起部101の先端102Aの水平方向の位置は、外周壁29の上部分29Bの内縁部の水平方向の位置(水平位置)PS1の近くであってもよい。これにより、上整流部材25の傾斜の上側から溶剤を流すことができる。
【0093】
また、図10(c)に示すように、先端102Bの水平位置は、トラップリング41の外縁部の水平位置PS2と同じであってもよい。この場合、ガイド突起部101は、先端102Bに集まる溶剤を下整流部材26の外壁に案内するように構成される。すなわち、ガイド突起部101は、ガイド突起部101を含む外カップ23の内壁で受け止めた溶剤を下整流部材26の外壁に案内する。これにより、下整流部材26の外壁に付着する塗布液を洗い流すことができるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。また、外周壁29の内壁(内面)に沿って、トラップリング41と外周壁29の内壁との隙間S1を溶剤が通過してしまうことを防止することができる。
【0094】
図11を参照する。例えば、ガイド突起部101の先端102の水平位置は、水平位置P1より外周側で、かつ水平位置PS2よりも内周側の範囲RG1に配置されてもよい。なお、水平位置PS1は、外周壁29の上部分29Bの内縁部の水平位置である。水平位置PS2は、トラップリング41の外縁部の水平位置である。
【0095】
また、水平位置PS1と、下部分29Aの内壁の水平位置PS4との中央位置を水平位置PS3とした場合、先端102の水平位置は、水平位置PS3よりも外周側で、かつ水平位置PS2よりも内周側の範囲RG2に配置されていることが好ましい。これにより、先端102の水平位置がスピンチャック2に保持された基板Wから離れた位置に配置されることになる。そのため、ガイド突起部101の第1の面103に溶剤が衝突して、溶剤のミストが基板W上に舞い戻る可能性が抑制される。なお、水平位置PS2は、トラップリング41の外縁部の水平位置である。
【0096】
また、先端102の水平位置は、水平位置PS5よりも外周側で、かつ水平位置PS2よりも内周側の範囲RG3に配置されていることが好ましい。これにより、水平位置PS3と同様に、ガイド突起部101の第1の面103に溶剤が衝突して基板W上に溶剤が舞い戻る可能性が抑制される。また、水平位置PS5が水平位置PS3の外周側に存在すれば、溶剤のミストが基板W上に舞い戻る可能性が更に抑制される。なお、水平位置PS5は、仕切り壁31の内壁(内面)の水平位置である。
【0097】
また、先端102の水平位置は、水平位置PS5よりも外周側で、かつ水平位置PS6よりも内周側の範囲RG4に配置されていることが好ましい。これにより、気流を考慮しない場合、ガイド突起部101の先端102から下整流部材26の上端側の丸み部分CVに確実に溶剤を流れ落とすことができる。そのため、下整流部材26の上端側から、下整流部材26の外壁を洗浄することができる。なお、水平位置PS5は、仕切り壁31の内壁の水平位置である。水平位置PS6は、下整流部材26の外壁(外面)の水平位置である。
【0098】
なお、上述の範囲RG1,RG2,RG3において、水平位置PS2に代えて、先端102の水平位置は、水平位置PS6よりも内周側に配置されていることが好ましい。これにより、気流を考慮しない場合、ガイド突起部101の先端102から下整流部材26の上端側の丸み部分CVに確実に溶剤を流れ落とすことができる。そのため、下整流部材26の上端側から、下整流部材26の外壁を洗浄することができる。
【0099】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0100】
(1)上述した実施例1では、トラップリング41が吊り下げて設置するために、フック45が仕切り壁31の上端31Aに引っ掛けられた。しかしながら、フック45によって、引っ掛けられる部分は、仕切り壁31の上端31Aでなくてもよい。例えば、外カップ23の外周壁29および仕切り壁31の少なくとも一方にフック45が引っ掛かる部分が設けられていてもよい。また、例えば、下整流部材26(内カップ21)にフック45が引っ掛かる部分が設けられていてもよい。
【0101】
(2)上述した各実施例および変形例(1)において、図12に示すように、ガイド突起部121は、このガイド突起部121を含む外カップ23の内壁で受け止めた溶剤を下整流部材26の外壁だけに案内してもよい。これにより、下整流部材26の外壁が洗浄されるので、つらら状の塗布液による排気通路の閉塞を更に防止することができる。また、外排気路PT1において、所望の風速を得るために、ガイド突起部121の先端122と下整流部材26の外壁との距離DT5を設定してもよい。これにより、下整流部材26と外周壁29との隙間(外排気路PT1)における風速を高くすることができる。そのため、塗布液ミストを含む気体をトラップリング41に強く当てつつ底排気路PT2に送ることができる。その結果、トラップリング41による塗布液ミストの捕集効率を高めることができる。
【0102】
なお、図12に示すガイド突起部121の下側には、溶剤が届きにくくなるが、溶剤ミストによって洗浄できないことはない。また、仮に、ガイド突起部121の下側外周壁29の内壁において塗布液ミストが厚く付着しても、図15に示すつらら状の塗布液により排気通路が閉塞することはない。また、V字溝部27Aまで塗布液が移動すると、V字溝部27Aを流れる溶剤によって塗布液は洗い流される。また、図12において、ガイド突起部121は、外周壁29の下部分29Aの内壁に設けられている。この点、ガイド突起部121は、外周壁29の下部分29Aおよび上部分29Bの内壁に設けられていてもよい。
【0103】
(3)上述した各実施例および変形例(1)において、塗布装置1は、図13に示すように、外カップ23の外周壁29の内壁に設けられ、例えば溶剤ノズル9から供給された溶剤をトラップリング41にガイドするためのリング状の溶剤ガイド部材87を備えていてもよい。トラップリング41と外周壁29との間の隙間S1を通過する溶剤を、トラップリング41上にガイドすることができる。これにより、トラップリング41に溶剤を供給することを容易にすることができる。なお、溶剤ガイド部材87は、図10(a)、図10(c)、図12のガイド突起部101(121)のような形状であってもよい。
【0104】
(4)上述した各実施例および各変形例では、トラップリング41は、一重であった。この点、図14(a)に示すように、トラップリング41は、二重であってもよい。この場合、例えば、図14(b)に示すように上側のトラップリング41の複数の孔部43と、下側のトラップリング41の複数の孔部43は、ジグザグ状に配置されていてもよい。気体を排気するために、トラップリング41を4回通過することになり、更に、捕集効率を向上させることができる。
【0105】
(5)上述した各実施例および各変形例では、トラップリング41は、半径方向に長手の矩形の孔部43を有していた。この点、孔部43は、丸いパンチ穴であってもよい。また、複数の孔部43が形成されたトラップリング41に代えて、櫛状のトラップリング41であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 … 塗布装置
2 … スピンチャック
3 … 回転シャフト
9 … 溶剤ノズル
21 … 内カップ
23 … 外カップ
25 … 上整流部材
26 … 下整流部材
26A … 下端
27 … 底部
29 … 外周壁
31 … 仕切り壁
37 … 液排出配管
38 … 排気配管
41 … トラップリング
43 … 孔部
45 … フック
51 … 裏面洗浄ノズル
53 … 洗浄液ノズル
55 … カップ洗浄部材
71 … 制御部
81 … 脚部
83 … 取っ手部
101,121 … ガイド突起部
102,102A,102B,122 … 先端
103,104 … 面
WD1 … 幅
WD2 … リング幅
S1~S3 … 隙間
PT1 … 外排気路
PT2 … 底排気路
PT3 … 内排気路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15