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特許7462513コア・シェル構造の軟質材料押出しのためのニードルアダプタおよび装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】コア・シェル構造の軟質材料押出しのためのニードルアダプタおよび装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/14 20060101AFI20240329BHJP
   F16L 15/00 20060101ALI20240329BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20240329BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F16L25/14
F16L15/00
A61M5/158 500H
A61M39/10
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136709
(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公開番号】P2021050821
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】16/555,106
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】野村 壮史
(72)【発明者】
【氏名】平野 稔
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0050782(US,A1)
【文献】米国特許第06488666(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0375223(US,A1)
【文献】特表2011-505918(JP,A)
【文献】特表2002-523189(JP,A)
【文献】特開2018-192312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/14
F16L 15/00
A61M 5/158
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のニードルを伴うコア・シェル構造を押出すためのアダプタであって、
第1のアダプタ部品であって、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が第2の雌ルアー継手と結合するように構成されたネジ式の開放端部を含み、第2の相対する端部が、前記コア・シェル構造のコア部分を押出すためのコアニードルと結合されるように構成された内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された第1の入口雌ルアー継手を伴う第1の入口ポートを有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された第2の入口ポート、
を含む第1のアダプタ部品と、
第2のアダプタ部品であって、
前記内部ネジ式チャンバの前記ネジ式の開放端部と結合するように構成された前記第2の雌ルアー継手、および
前記コア・シェル構造のシェル部分を押出すためのシェルニードルと結合するように構成され、前記第2の雌ルアー継手から同軸的に延在する雄ルアー継手、
を含む第2のアダプタ部品と、
を含む、アダプタ。
【請求項2】
前記第2のアダプタ部品が、前記内部ネジ式チャンバに対する前記第2の雌ルアー継手の連結を介して、前記第1のアダプタ部品に対し連結されている、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記第1のアダプタ部品および前記第2のアダプタ部品の間に位置付けされたOリングをさらに含む、請求項2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートに対して連結されたルアー管継手を含む、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
熱可塑性物質で形成された、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項6】
コア・シェル管状構造を押出すための装置であって、
コア流体通路であって、
外部供給源からコア流体を受入れるように構成され、第1のアダプタ部品上にある第1の入口ポートであって、コア入口雌ルアー継手を伴う第1の入口ポートと、
前記第1の入口ポートの前記コア入口雌ルアー継手と直接流体連通状態にある、前記第1のアダプタ部品上の第1のテーパ付き雄ルアー継手、および
前記コア・シェル管状構造のコア部分を押出すためのコアニードルであって、前記第1のテーパ付き雄ルアー継手に取付けられ、前記第1の入口ポートと流体連通状態にあるコアニードル、
を含むコア流体通路と、
シェル流体通路であって、
前記第1のテーパ付き雄ルアー継手を取り囲むネジ式内部チャンバを伴うシリンダ、
前記ネジ式内部チャンバ内のアパーチャに連結された、前記第1のアダプタ部品内の側方チャネル、
前記側方チャネルの頂上にある第2の入口ポート、
第2のアダプタ本体であって、
前記ネジ式内部チャンバに取付けられた第2のアダプタ本体雌ルアー継手、
前記第2のアダプタ本体雌ルアー継手と直接流体連通状態にある第2のテーパ付き雄ルアー継手、
を有する第2のアダプタ本体、および
前記コア・シェル管状構造のシェル部分を押出すためのシェルニードルであって、前記コアニードルおよび該シェルニードルが同軸になるように、前記第2のテーパ付き雄ルアー継手に連結され、前記第2の入口ポートと流体連通状態にある、シェルニードル、
を含むシェル流体通路と、
を含む、装置。
【請求項7】
前記コアニードルが、外径を有するコアニードルシャフトを含み、前記シェルニードルが、前記コアニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有するシェルニードルシャフトを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コアニードルシャフトが前記シェルニードルシャフトの内側に位置付けされている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の入口ポートは、管継手を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の入口ポートは、シェル入口雌ルアー継手を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記シェル入口雌ルアー継手は、連結されたシェル入口雌ルアー管継手である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
記コア入口雌ルアー継手に取付けられたコア流体シリンジと、前記シェル入口雌ルアー継手に取付けられたシェル流体シリンジと、をさらに含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記コア流体シリンジがコア流体を含み、シェル流体シリンジが未硬化のシェル流体を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記未硬化のシェル流体が、
架橋性種、
化学架橋性種、
光架橋性種、
からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記コアニードルを除去しまたは前記第1のテーパ付き雄ルアー継手に再取付けするための工具をさらに含み、
前記工具が、
細長い管状構造、および、
前記細長い管状構造の長さを通って内部を走り、前記工具が前記コアニードルのシャフトを内部に収容できるようにする貫通孔、および
前記細長い管状構造の端部にあり、前記コアニードルのハブと噛合しこのハブ内でフィンを把持するように構成されたノッチ、
を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項16】
3本以上のニードルを伴う多層同心構造を押出すための装置であって、前記装置が、
第1のアダプタ部品であって、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が雌ルアー継手と結合するように構成された開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された第1の入口雌ルアー継手を伴う第1の入口ポートを有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された第2の入口ポート、
を含む第1のアダプタ部品と、
第2のアダプタ部品であって、
前記内部ネジ式チャンバの前記開放端部と結合するように構成された第2のアダプタ部品雌ルアー継手、および
ニードルと結合するように構成され、前記第2のアダプタ部品雌ルアー継手から同軸的に延在する雄ルアー継手、
を含む第2のアダプタ部品と、
付加的なアダプタ部品であって、実質的に前記第1のアダプタ部品と同一で、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が前記第2のアダプタ部品の第2のアダプタ部品雌ルアー継手と結合するように構成された開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記第1のアダプタ部品の前記開放端部と結合するように構成された外部雌ルアー継手を含む第1の入口ポート、を有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第3の入口流体を通過させるように構成された第3の入口ポート、
を含む付加的なアダプタ部品と、
前記第1のアダプタ部品の前記内部雄ルアー継手に連結されたコアニードルであって、前記多層同心構造のコア部分を押出すためのコアニードルと、
前記付加的なアダプタ部品の前記内部雄ルアー継手に連結された中間ニードルであって、前記多層同心構造の中間部分を押出すための中間ニードルと、
前記第2のアダプタ部品の前記雄ルアー継手に連結されたシェルニードルであって、前記多層同心構造のシェル部分を押出すためのシェルニードルと、
を含む、装置。
【請求項17】
前記コアニードルが、外径を有するコアニードルシャフトを含み、前記中間ニードルが前記コアニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有し且つ外径を有する中間ニードルシャフトを含み、前記シェルニードルが、前記中間ニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有するシェルニードルシャフトを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コアニードルシャフトが、前記シェルニードルシャフトの内側に位置付けされている前記中間ニードルシャフトの内側に位置付けされている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記コアニードルシャフト、前記中間ニードルシャフトおよび前記シェルニードルシャフトの相対的位置がオフセットにより特徴付けられ、前記オフセットは、前記第1のアダプタ部品、前記第2のアダプタ部品および前記付加的なアダプタ部品の間の少なくとも1つの連結を緩めたり、または、締めたりすることによって手動で調整可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の入口雌ルアー継手は、コア入口雌ルアー継手であり、前記第3の入口ポートがシェル入口雌ルアー継手を含み、
前記コア入口雌ルアー継手に取付けられたコア流体シリンジと、前記シェル入口雌ルアー継手に取付けられたシェル流体シリンジと、をさらに含む、
請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、医用生体ニードルのためのアダプタに関し、より詳細にはコア・シェル管状構造の押出しのためのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中で提供される背景技術の説明は、本開示の背景を一般的に提供することを目的とする。ここで名前が挙げられている発明人らの研究作業は、それが本背景技術の項において説明され得る範囲内で、そうでなければ出願時点において先行技術として適格であり得ない該説明の他の側面と共に、当該技術に対抗する先行技術として明示的にも暗示的にも認められていない。
【0003】
軟質管状構造および他の軟質円筒形コア・シェル構造は、工業的および医用生体的利用分野において数多くの重要な役割を有する。例えば、人工の灌流可能な組織および補綴は、栄養素を供給するために人工脈管構造を必要とする可能性がある。しかしながら、このような構造は、特に、求められる再現性および生体適合性に関して製造が難しい。
【0004】
いくつかの事例において、このようなコア・シェル構造を製造しようとする研究者達は、医用生体ニードルを用いた独自の押出し装置を作製してきた。このような初歩的な装置には概して、第1のニードルのハブ内に孔を開けるステップ、孔の中に第2のニードルのシャフトを挿入し接合点を接着剤で封止するステップ、および第1のニードルのシャフトを第3のニードルのシャフト内に挿入するステップが関与する。このようなその場しのぎの装置には典型的に、装置を作製する間の傷害の可能性;再現可能な結果の欠如、および生体適合性のない接着剤などの意図された機能に反する材料の導入;および同時終端先端部を得るために同軸ニードルシャフトを切断する必要性などを含めた多数の欠点がある。
【0005】
他の事例では、既製のコア・シェルノズルシステムが市販されている。このような装置は高価となる傾向があり、カスタマイズ可能でなく(例えば単一のユニットは単一のコア・シェル寸法しか押出しできない)、ノズルはバイオインクなどの押出し材料で容易に詰まる可能性がある。これら全ての理由から、このようなシステムは、特に研究者の間では使用が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、コア・シェル構造の押出しのための改良型装置を提供することが望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本節は、本開示の概要を提示するものであり、その全範囲またはその特徴の全ての広範な開示ではない。
【0008】
さまざまな態様において、本教示は、2本のニードルを伴うコア・シェル構造を押出すためのアダプタ(an adapter for extruding core-shell structures with two needles)を提供する。該アダプタは、第1および第2のアダプタ部品を含む。第1のアダプタ部品は、第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が雌ルアー継手(female Luer fitting)と結合するように構成されたネジ式の開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手(internal male Luer fitting)を含む内部ネジ式チャンバを有する本体を含む。第1のアダプタ部品は同様に、内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された外部雌ルアー継手を含む第1の入口ポートをも含む。第1のアダプタ部品はさらに、側方チャネルを介して内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された外部雌ルアー継手を含む第2の入口ポートを含む。アダプタは付加的に、内部ネジ式チャネルの開放端部と結合するように構成された雌ルアー継手、およびニードルと結合するように構成された雄ルアー継手を有する第2のアダプタ部品を含む。該雄ルアー継手は、雌ルアー継手から同軸的に延在する。
【0009】
他の態様において、本教示は、コア・シェル管状構造を押出すための装置を提供する。該装置は、第1のアダプタ部品上の第1の入口ポートを有するコア流体通路を含む。第1の入口ポートは、外部供給源からコア流体を受入れるように構成されている。コア流体通路は同様に、第1のアダプタ部品上の第1のテーパ付き雄ルアー継手、および第1のテーパ付き雄ルアー継手に取付けられ、第1の入口ポートと流体連通状態にあるコアニードルをも含んでいる。該装置はさらに、第1のテーパ付き雄ルアー継手を取り囲むネジ式内部チャンバを伴うシリンダおよび側方チャネルの頂上にある第2の入口ポートを有するシェル流体通路を含む。シェル流体通路はさらに、ネジ式内部チャンバに可逆的に取付けられた雌ルアー継手を有する第2のアダプタ本体、および雌ルアー継手と直接流体連通状態にある第2のテーパ付き雄ルアー継手を含む。シェル流体通路は同様に、第2の雄ルアー継手に連結され、第2の入口ポートと流体連通状態にあり、こうしてコアおよびシェルニードルが同軸になっている、シェルニードルを含む。
【0010】
さらに他の態様において、本教示は、2本のニードルを伴うコア・シェル構造を押出すための装置を提供する。該装置は、第1および第2のアダプタ部品を含む。第1のアダプタ部品は、第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が雌ルアー継手と結合するように構成された開放ネジ式端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバを有する本体を含む。第1のアダプタ部品は同様に、内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された外部雌ルアー継手を含む第1の入口ポートをも含む。第1のアダプタ部品はさらに、側方チャネルを介して内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された外部雌ルアー継手を含む第2の入口ポートを含む。アダプタは付加的に、内部ネジ式チャネルの開放端部と結合するように構成された雌ルアー継手、およびニードルと結合するように構成された雄ルアー継手を有する第2のアダプタ部品を含む。該雄ルアー継手は、雌ルアー継手から同軸的に延在する。装置は同様に、第1のアダプタ部品の内部雄ルアー継手に連結されたコアニードル、および第2のアダプタ部品の雄ルアー継手に連結されたシェルニードルも含んでいる。
【0011】
さらなる利用分野および上述の結合技術を増強するさまざまな方法が、本明細書中で提供されている説明から明らかとなるものである。本要約中の説明および具体例は、単に例示を目的としたものであり、本開示の範囲を限定するよう意図されたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本教示は、詳細な説明および添付図面から、より完全に理解されるものである。
【0013】
図1】コア・シェル構造を押出すための本教示の装置の斜視図である。
図2A】ライン2A-2Aに沿って見た、2本のニードルを含む図1の装置の側面断面図である。
図2B】2本のニードルの取付けを介して図1および2Aの装置を作製するためのツーピースアダプタの側面断面図である。
図2C図2Bのツーピースアダプタの第1の「上部」部品の側面断面図である。
図2D】コアニードルが取付けられた状態の図2Cの第1の部品の側面断面図である。
図2E図2Bのツーピースアダプタの第2の「下部」部品の側面断面図である。
図2F】シェルニードルが取付けられた状態の図2Eの下部部品の側面断面図である。
図2G】太字矢印がシェル液体の流路を示す、図2Aの側面断面図である。
図3】ニードル先端部の拡大終端図を伴う、ニードルシャフトの側面平面図である。
図4A】同心コアとシェルニードルの間のニュートラル、プラスおよびマイナスオフセットを示す3つのニードルシャフト対の端部部分の側面断面図である。
図4B図4Aで部分的に示されているニードルシャフトの3つの斜視図である。
図5A図2Cおよび2Dの第1のアダプタ部品にコアニードルを可逆的に取付けるための工具の斜視図である。
図5B】ライン5B~5Bに沿って見た、図5Aの工具の端部平面図である。
図6A】コアニードルと係合する図5Aおよび5Bの工具の斜視図である。
図6B】コアニードルと係合する図5Aおよび5Bの工具の斜視図である。
図6C図6Bの工具およびニードルの斜視断面図である。
図6D】第1のアダプタ部品を透明に描いた、図2Cおよび2Dの第1のアダプタ部品内に挿入された図6Bの工具およびニードルの斜視図である。
図7A】アダプタが、2つの同心コアを形成するように積重ねられた第1のアダプタ部品の2つの複製部品を有している、コア-中間シェル構造の押出しのための装置の一変形形態のそれぞれ側面平面図および側面断面図である。
図7B】アダプタが、2つの同心コアを形成するように積重ねられた第1のアダプタ部品の2つの複製部品を有している、コア-中間シェル構造の押出しのための装置の一変形形態のそれぞれ側面平面図および側面断面図である。
図7C】アダプタが、3つの同心コアを形成するように積重ねられた第1のアダプタ部品の3つの複製部品を有している、コア-中間-中間’-シェル構造の押出しのための装置の変形形態のそれぞれ側面平面図および側面断面図である。
図7D】アダプタが、3つの同心コアを形成するように積重ねられた第1のアダプタ部品の3つの複製部品を有している、コア-中間-中間’-シェル構造の押出しのための装置の変形形態のそれぞれ側面平面図および側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中に示されている図は、いくつかの態様を描写する目的で当該技術の特徴のうち、方法、アルゴリズムおよび装置の一般的特徴を例証するように意図されている、ということを指摘しておかなければならない。これらの図は、いずれかの所与の態様の特徴を厳密に反映していない可能性があり、必ずしも特定の実施形態を本技術の範囲内で規定または限定するよう意図されていない。さらに、いくつかの態様は、図の組合せからの特徴を包含し得る。
【0015】
本教示は、コア-シェル構造を押出すための装置、およびこのような装置を作製するためのアダプタを提供する。アダプタは共通の医用生体ニードルを受入れ、こうして本教示のアダプタを押出し装置へと変換する。提供されたアダプタは、2つの異なる材料供給源(例えば、シリンジ、バッグ、コンテナまたは管)から同軸的に、軟質材料の2つの異なる同心層を押出すことを可能にする。
【0016】
本教示のアダプタは、可逆的に連結可能な構成要素を含む。第1の構成要素は、少なくとも2つの進入ポートを有し、比較的長く狭いシャフトを有するニードルに連結する。このニードルはこのとき、最終的なコア・シェル構造のコア部分を押出すためのコアニードルとなる。第2のアダプタ構成要素は、比較的短かい幅広のシャフトを有するニードルに連結する。このニードルはこのとき、最終的なコア・シェル構造のシェル部分を押出すためのシェルニードルとなる。第1および第2のアダプタ構成要素は共に連結してコア・シェル押出し装置を形成する。完成した装置において、進入ポートの一方はコアニードルと流体連通状態にあり、他方の進入ポートは、シェルニードルと流体連通状態にある。コアニードルシャフトは、第1の進入ポート内へと通過させられた液体がコア材料として押出され、第2の進入ポート内へと通過させられた液体はシェル材料として押出され、コアおよびシェル材料が共にコア・シェル管状構造を形成するような形で、シェルニードルシャフト内に収められている。
【0017】
図1は、コア・シェル構造を押出すための装置100の斜視図を示す。本明細書中で使用される「コア・シェル構造」なる表現は、外側つまりシェルシリンダと内側つまりコアシリンダを有する同心または同軸シリンダ構造を意味する。いくつかの実装において、コアシリンダは空気で構成され得、こうして、コア・シェル構造は中空管となる。多くの実装において、コア・シェル構造のコアおよびシェルシリンダはそれらの共通軸に沿って可とう性かつ/または非線形であり得ることが理解される。
【0018】
図2Aは、装置100の内部に大部分が格納されたシェルニードル150およびコアニードル160を例示する、ライン2-2に沿って見た、図1の装置100の側面断面図を示す。図2Bは、図2A中の装置と同じ検分軸に沿って見た、本教示のアダプタ105を示す。アダプタ105は、第1のアダプタ部品110および第2のアダプタ部品120を含む。図2Aの装置100は図2Bのアダプタ105ならびにコアおよびシェルニードル150、160を含む、ということが指摘される。第2のアダプタ部品120は、シェルニードル150に可逆的に取付けられるように構成されている。第1のアダプタ部品は、入口ポート130、140を有し、コアニードル160に可逆的に取付けられるように構成されている。
【0019】
2Cおよび2Dは、それぞれコアニードル160が取付けられていない状態および取付けられている状態にある第1のアダプタ部品110の側面断面図を示す。図2Eおよび2Fは、それぞれシェルニードル150が取付けられていない状態および取付けられている状態にある第2のアダプタ部品120の側面断面図を示す。図2Gは、押出し中の未硬化のコアおよびシェル液体の一般化された流路を例示する曲線ブロック矢印を伴う、図2Aの側面断面図を示す。
【0020】
特に図2A~2Fを参照すると、第2のアダプタ部品120は、雄ルアー継手122および、雄ルアー継手122とは反対側でこの雄ルアー継手と流体連通状態にある雌ルアー継手124を含む。雄ルアー継手はシェルニードル150のハブ152とドッキングするように構成されている。
【0021】
第1のアダプタ部品110は、コア入口ポート130およびシェル入口ポート140を含む。いくつかの実装において、コア入口ポート130およびシェル入口ポート140のいずれかまたは両方が、シリンジの雄ルアー継手とドッキングするように構成された雌ルアー継手を含み得る。図1および2A~2Cの実施例では、両方の入口ポート130、140が雌ルアー継手を含んでいることが指摘される。いくつかの事例においては、コア入口ポート130およびシェル入口ポート140のいずれかまたは両方が、有刺管継手または圧縮管継手などの管継手を含み得る。いくつかの実装では、コア入口ポート130およびシェル入口ポート140のいずれかまたは両方が、図1、2A~2Dおよび2Gに示されたタイプのテーパ付き雌ルアー継手を含むことができ、有刺または他の管継手とは反対側の雄ルアー継手を有するルアー管継手に対して可逆的に取付けられ得る。
【0022】
コア入口ポート130は、内部ネジ式チャンバ112と共に、第1のアダプタ部品110の内部に位置設定された雄ルアー継手135と流体連通状態にある。内部ネジ式チャンバは、開放端部113および開放端部113から内部ネジ式チャンバ112の反対側の端部に存在する雄ルアー継手135に囲まれている。開放端部113および雄ルアー継手135は距離Lだけ離隔し得る。第1のアダプタ部品110の雄ルアー継手135は、コアニードル160と結合するように構成されている。こうして、コアニードル160が取付けられた時点で、コア入口ポート130、第1のアダプタ部品110の雄ルアーアダプタ135およびコアニードル160は、互いに流体連通状態にあり、未硬化コア流体が装置100を通過するときに通ることのできる通路を形成する。内部ネジ式チャンバ112は図2A~2Gの例においてはその全長Lに沿ってネジ山が付いているものの、必ずしもそのようである必要はなく、開放端部113の周りおよび雄ルアー継手135の周りの端部部分にネジ山を付けることができると考えられる。
【0023】
第1のアダプタ部品110の内部ネジ式チャンバ112の開放端部113は、第2のアダプタ部品120の雌ルアー継手124と結合するように構成されている。第1および第2のアダプタ部品110、120が開放端部113と第2のアダプタ部品120の雌ルアー継手124の結合を介して取付けられた時点で、アダプタ100は組立てられた状態になるということが指摘される。組立てられたアダプタ105または装置100は、第1および第2のアダプタ部品110、120の間の接合部に漏液シールとするためのOリング170を含むことができる。
【0024】
第1のアダプタ部品のシェル入口ポート140は、側方チャネル116を介して内部ネジ式チャンバ112と流体連通状態にある。図2A~2Gの実施例では、側方チャネル116は側方アーム114内に格納されている。概して、シェル入口ポート140、側方チャネル116および内部ネジ式チャンバ112は、コア入口ポート130、第1のアダプタ部品110の雄ルアーアダプタ135およびコアニードル160で形成されて未硬化コア流体が中を通過できる通路に平行な流体通路を形成する。
【0025】
図3は、ニードルシャフトが内径Iと外径Oを有することを標示するニードルシャフトの先端部の差込み端部平面図を伴う、ニードルシャフトの側面平面図を示す。図2Aおよび3を特に参照すると、コアニードル160はハブ162とシャフト164を含む。ハブ162は従来、必ずというわけではないものの、プラスチックで形成され、雌ルアー継手を含み、こうして第1のアダプタ部品110の雄ルアー継手135に対し可逆的に係止されているということが理解される。さらに、シャフトは従来、必ずというわけではないものの、ステンレス鋼で形成され、図3に示されているように、断面内径および断面外径を有する管を画定する、ということが理解される。
【0026】
シェルニードル150は、ハブ152およびシャフト154を含む。ハブ152は従来、必ずというわけではないものの、プラスチックで形成され、雌ルアー継手を含み、こうして、第2のアダプタ部品120の雄ルアー継手122に対し可逆的に係止されているということが理解される。さらに、シャフトは従来、必ずというわけではないものの、ステンレス鋼で形成され、図3に示されているように、断面内径および断面外径を有する管を画定する、ということが理解される。図2Dおよび2Fにおいて、簡略化のためにニードルシャフト154、164が省略され、ニードルハブ152、162のみが示されているということが指摘される。
【0027】
図2Aおよび2Gに示されているように、上述の通りコアおよびシェルニードル150、160と共に一緒に結合された第1および第2のアダプタ部品110、120で装置100が完全に形成されている場合、コアニードル150のシャフト154は、コアニードル160のシャフト164の内側に入れ子にされ、ニードルシャフトの同軸対を形成する。したがって、コアニードル160のシャフト164の外径はシェルニードル150のシャフト154の内径より小さいものでなければならないということが認識される。さらに、特に図2Gを参照すると、完全に組立てられた装置100において、コア入口ポート130がコアニードル160のシャフト164と流体連通状態にあり、シェル入口ポート140がシェルニードル150のシャフト154と流体連通状態にあるということが分かる。
【0028】
したがって、未硬化のコア流体がコア進入ポート130内に推進されると、図2Gに示された通り、それは直接コアニードル160までそしてコアニードルシャフト164を通って進む。同様にして、未硬化のシェル流体がシェル進入ポート140内を推進されると、それは、側方チャネル116を通って、内部ネジ式チャネル112内へ、さらに、シェルニードル150のハブ152内へと進み、シェルニードル150のシャフト154を通過する。未硬化のコア流体および未硬化のシェル流体が同時にそれらのそれぞれの進入ポート130、140内へ推進された時点で、それらは、論述され図2Gに部分的に示されている通り装置を通過し、所望のコア・シェル構成でそれらのそれぞれのニードルシャフト160、150の先端部から押出される。
【0029】
ユーザは、コアおよびシェルニードル160、150のサイズゲージを変更することによりコア・シェル押出し物の寸法を容易に変更することができる。上述の通り、シェルニードル150のシャフト154の内径がコアニードル160のシャフト164の外径よりも大きいことしか必要ではない。同じく上述の通り、コアニードル160のシャフト164は概してシェルニードル150のシャフト154よりも長く、こうして2本のシャフト154、164の先端部がほぼ一致する(すなわちニードルシャフト154、164がほぼ同じ場所で終る)ようになっていなければならない。
【0030】
図4Aは、3つの異なる構成での、シェルおよびコアニードル150、160のシャフト154、164の先端部の側面断面図である。図4Bは、同じ3つの構成の斜視図である。図4Aおよび4Bの各々の左側のパネル(panel)では、ニードルシャフト154、164のオフセットはゼロである(すなわちそれらの先端部は同一平面上にある)。中央のパネルでは、先端部のオフセットはプラスであり、ここでシェルニードル150のシャフト154はコアニードル160のシャフト164の先端部から突出している。右側のパネルでは、先端部のオフセットはマイナスであり、ここでシェルニードル150のシャフト154は、コアニードル160のシャフト164の先端部内に引込んでいる。
【0031】
多くの実装においてゼロオフセットが選好されるものの、一部の実装では、例えばコア流体および、シェル流体の間の実質的な粘度格差の結果として、プラスまたはマイナスのオフセットが選好される可能性がある。ニードルのオフセットは、第1のアダプタ部品110の内部ネジ式チャネル112の開放端部113に対する第2のアダプタ部品120の雌ルアー継手124の結合によって仲介される第1および第2のアダプタ部品110、120間の連結を緩めたり締めたりすることによって調整可能であるということが認識される。オフセットの調整可能範囲は、第1および第2のアダプタ部品110、120間の接合部において厚いOリング170を使用することによって増大させることができる。
【0032】
いくつかの実装において、未硬化のシェル流体は、熱架橋性または化学架橋性または光架橋性組成物、例えばコラーゲン、Matrigel(商標)またはさまざまなアクリレート、アルギネートまたはそれらの組成物を含み得る。コア流体は、異なる架橋性組成物を含むことができ、または、架橋性活性剤を含むことができ、または単純に、ひとたびシェル部分が架橋された時点で除去されることになる流動性空間充填剤を含むことができる。
【0033】
したがって、本教示のアダプタおよび装置は、共通の医用生体ニードルを用いて容易に修正可能であるということが認識される。こうして、ユーザは、成り行き任せでその場しのぎの装置の作製を試みて鋭利なニードルを加工する必要がない。またユーザは、コアおよびシェルの寸法が単一の構成に限定された高価な既製のコア・シェルノズルを購入する必要もない。
【0034】
再び図2Cおよび2Dを参照すると、いくつかの事例においては、内部ネジ式チャネル112の長さLに起因して、第1のアダプタ部品110に対して手作業でコアニードル160を取付けることが困難である場合がある、ということが認識される。図5Aは、第1のアダプタ部品110に対するコアニードル160の取付けを容易にし、同時に第1のアダプタ部品110からのコアニードル160の除去を容易にすることのできる工具200の斜視図を示す。図5Bは、図5Aのライン5B-5Bに沿って見た、工具200の端部平面図を示す。工具200は概して、細長い管状構造210および、工具200の長さを走行し工具がコアニードル160を内部に収容することを可能にする貫通孔212を含む。図5Aおよび5Bの例示的工具200は、4つのノッチ214と凹凸の付いた取っ手216を含み、この取っ手は手で工具200をより正しく把持できるようにしている。
【0035】
図6Aおよび6Bは、コアニードル160のハブ162と係合する図5Aおよび5Bの工具の斜視図を示す。ハブ162は通常フィン166を有すること、ひいては工具200のノッチ214がコアニードル160のフィン166と噛合しこのフィン166を把持し、こうして工具200がねじ回しのように回転させられた時点でコアニードル160がそれと共に回転するようになっていること、が理解される。図6Cは、工具200の貫通孔212の中を通るコアニードル160のシャフト164を示す、図6Bの工具およびニードルの斜視断面図を示す。
【0036】
図6Dは、第1のアダプタ部品110内に挿入された図6Bの工具およびニードルの斜視図を示し、この第1のアダプタ部品は工具200の内部動作を示すように透明に描かれている。さらに図2Cを参照すると、この位置で工具200を回すことでユーザは、コアニードル160を第1のアダプタ部品110の内部ネジ式チャンバ112の雄ルアー継手135と係合させることができる、ということが認識される。
【0037】
いくつかの変形形態においては、本教示の装置100およびアダプタ105を、3つ以上の同心層(例えばコア層、1つ以上の中間層およびシェル層)を有する多層同心構造の押出しのために調整することができる。図7Aおよび7Bは、コア層とシェル層の間に載置され1つの中間層を有する多層同心構造(すなわちコア・中間・シェル構造)の押出しのための装置300の側面平面図および側面断面図をそれぞれ示す。図7Aおよび7Bの装置300は、それが共に積重ねられた第1のアダプタ部品110Aと第1のアダプタ部品110Bを含むという点を除いて、図1Aおよび2Aの装置100と同じである。第1のアダプタ部品110Aおよび第1のアダプタ部品110Bの各々は、図1および図2A~2Dの第1のアダプタ部品110と同じである。図7Aおよび7Bの装置300においては、第1のアダプタ部品110Aの第1の入口ポート(図2Cの第1の入口ポート130と等価)は、第1のアダプタ部品110Bの内部ネジ式チャンバの開放端部(図2Cの内部ネジ式チャンバ112の開放端部113と等価)に対して可逆的に取付けられた雌ルアー継手である。
【0038】
上述の通り、第1のアダプタ部品110Aはコアニードル160Aに連結され、第1のアダプタ部品110Bは中間ニードル160Bに連結され、こうして、コアニードル160Bのシャフトは、図4Aおよび4Bに示された上述の形で、それ自体シェルニードル150のシャフトの内側に格納されている中間ニードル160Aのシャフトの内側に格納されるようになっている。したがって、第1の入口ポート130Bに進入する未硬化コア流体はコアニードル160Bのハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造の中心層またはコア同心層として押出される。第3の入口ポート140Bに進入する未硬化の中間層流体は、中間ニードル160Aのハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造の中間層として押出される。第3の入口ポート140Aに進入する未硬化シェル流体は、シェルニードル150のハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造のシェルまたは外側層として押出される。さらに、コアニードル160Bは最長で最も狭いシャフトを有するべきであり;中間ニードル160Aは中間の長さおよび外径のシャフトを有するべきであり;シェルニードル150は最短で最も幅広のシャフトを有するべきであり、こうして、3本のシャフトは、図4Aおよび4B内に2つのニードルについて示されているように、おおよそ同時終端しているということが理解される。
【0039】
図7Cおよび7Dは、多層同心構造の押出しのための装置400が、コアおよびシェル層間に載置されている2つの中間層(すなわちコア・中間・中間’・シェル構造)を有する該コンセプトのさらなる拡張の側面平面図および側面断面図を示す。上述のものと同様、第1の入口ポート130Cに進入する未硬化コア流体はコアニードル160Cのハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造の中心層またはコア同心層として押出され;第2の入口ポート140Cに進入する未硬化の第1の中間層流体は、中間ニードル160Bのハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造の第1の中間層(中間)として押出され;第3の入口ポート140Bに進入する未硬化の第2の空間層流体は、中間ニードル160Aのハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造の第2の空間層流体(中間’)として押出され;第4の入口ポート140Aに進入する未硬化シェル流体はシェルニードル150のハブおよびシャフト内へ移行し、多層同心構造のシェル層または外側層として押出される。追加できる中間層の数に対する唯一の制限は、互いに同心的に挿入され得るニードルの利用可能性にある、ということが認識される。
【0040】
ルアー継手は概して、大部分のニードルとのそれらの共通の特徴および直接的使用のために選好されるものの、当該アダプタおよび装置のさまざまな雄および雌ルアー継手を他のタイプの連結で置換することが可能であることが理解される。このような連結は合理的に標準化されているかまたは標準化可能であり、ニードル連結に利用可能であることが好ましい。さらに、第1および第2のアダプタ部品110、120を、プラスチック、金属またはルアー継手に利用可能な他のあらゆる比較的硬質で可撓性のない材料で形成できるということが理解される。
【0041】
以上の説明は、事実上単に例示的なものであり、いかなる形であれ開示、その応用または使用を限定するように意図されたものではない。本明細書中で使用されるA、BおよびCの少なくとも1つという言い回しは、非排他的論理「or」を用いて論理(AorBorC)を意味するものとみなされるべきである。1つの方法の中のさまざまなステップを、本開示の原則を改変することなく異なる順序で実行することができる、ということを理解すべきである。範囲の開示は、全ての範囲および範囲全体の中の細分割された範囲の開示を含む。
【0042】
本明細書中で使用される見出し(例えば「背景技術」および「発明の概要」)および小見出しは、本開示内の主題の全体的組織のためのみに意図され、該技術またはそのいずれかの態様の開示を限定するように意図されていない。記載された特徴を有する多数の実施形態の列挙は、付加的な特徴を有する他の実施形態または記載の特徴の異なる組合せを包含する他の実施形態を排除するように意図されたものではない。
【0043】
本明細書中で使用される「comprise(含む)」および「include(含む)」なる用語およびそれらの異形は、非限定的であるように意図され、したがって連続的なアイテムの列挙またはリストは、本技術の装置および方法において同様に有用であり得る他の類似のアイテムを排除するものではない。同様に、「can」および「may」なる用語およびそれらの異形は、非限定的であるように意図され、したがって、1つの実施形態が或る要素または特徴を含み得る(canまたはmay)という記述は、これらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除するものではない。
【0044】
本開示の広義の教示は、さまざまな形態で実装され得る。したがって、本開示には特定の実施例が含まれるものの、開示の真の範囲はそのように限定されるべきではなく、明細書および以下のクレームを検討した上で当業者には他の修正が明らかになるものである。1つの態様またはさまざまな態様に対する本明細書中の言及は、1つの実施形態または特定のシステムに関連して説明された特定の特徴部、構造または特徴が少なくとも1つの実施形態または態様の中に含められることを意味する。「1つの態様において」(またはその変形形態)なる言い回しの出現は、必ずしも、同じ態様または実施形態に対して言及するものではない。同様に、本明細書中で論述されているさまざまな方法ステップは、描写されたものと同じ順序で実施されなければならないわけではなく、各々の方法ステップが各々の態様または実施形態内で求められるわけではないということも理解すべきである。
【0045】
実施形態についての以上の説明は、例示および説明を目的として提供されたものである。それは、網羅的であるようにまたは本開示を限定するように意図されたものではない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、概してその特定の実施形態に限定されず、該当する場合には、互換性があり、たとえ具体的に図示または説明されていなくとも、選択された実施形態において使用可能である。同じものを多くの形で変化させることも可能である。このような変形形態は、本開示からの逸脱としてみなされるべきではなく、このような修正はすべて、本開示の範囲内に含められるように意図されている。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
2本のニードルを伴うコア・シェル構造を押出すためのアダプタであって、
第1のアダプタ部品であって、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が雌ルアー継手と結合するように構成されたネジ式の開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された第1の入口を有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された第2の入口ポート、
を含む第1のアダプタ部品と、
第2のアダプタ部品であって、
前記内部ネジ式チャネルの前記開放端部と結合するように構成された雌ルアー継手、および
ニードルと結合するように構成され、前記雌ルアー継手から同軸的に延在する雄ルアー継手、
を含む第2のアダプタ部品と、
を含む、アダプタ。
〔態様2〕
前記第2のアダプタ部品が、前記内部ネジ式チャンバに対する前記第3の雌ルアー継手の連結を介して、前記第1のアダプタ部品に対し可逆的に連結されている、態様1に記載のアダプタ。
〔態様3〕
前記第1のアダプタ部品および前記第2のアダプタ部品の間に位置付けされたOリングをさらに含む、態様2に記載のアダプタ。
〔態様4〕
前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートに対して可逆的に連結されたルアー管継手を含む、態様1に記載のアダプタ。
〔態様5〕
熱可塑性物質で形成された、態様1に記載のアダプタ。
〔態様6〕
コア・シェル管状構造を押出すための装置であって、
コア流体通路であって、
外部供給源からコア流体を受入れるように構成された、第1のアダプタ部品上の第1の入口ポート、
前記第1の入口ポートと直接流体連通状態にある、前記第1のアダプタ部品上の第1のテーパ付き雄ルアー継手、および
前記第1のテーパ付き雄ルアー継手に取付けられ、前記第1の入口ポートと流体連通状態にあるコアニードル、
を含むコア流体通路と、
シェル流体通路であって、
前記第1のテーパ付き雄ルアー継手を取り囲むネジ式内部チャンバを伴うシリンダ、
前記ネジ式内部チャンバ内のアパーチャに連結された、前記第1のアダプタ部品内の側方チャネル、
前記側方チャネルの頂上にある第2の入口ポート、
第2のアダプタ本体であって、
前記ネジ式内部チャンバに可逆的に取付けられた雌ルアー継手、
前記雌ルアー継手と直接流体連通状態にある第2のテーパ付き雄ルアー継手
を有する第2のアダプタ本体、および
シェルニードルであって、前記第2のテーパ付き雄ルアー継手に連結され、前記第2の入口ポートと流体連通状態にあり、こうして前記コアニードルおよび該シェルニードルが同軸になっている、シェルニードル、
を含むシェル流体通路と、
を含む、装置。
〔態様7〕
前記コアニードルが、外径を有するコアニードルシャフトを含み、前記シェルニードルが、前記コアニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有するシェルニードルシャフトを含む、態様6に記載の装置。
〔態様8〕
前記コアニードルシャフトが前記シェルニードルシャフトの内側に位置付けされている、態様6に記載の装置。
〔態様9〕
前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートの少なくとも一方が管継手を含む、態様6に記載の装置。
〔態様10〕
前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートの少なくとも一方が雌ルアー継手を含む、態様6に記載の装置。
〔態様11〕
前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートの少なくとも一方が可逆的に連結されたルアー管継手を含む、態様10に記載の装置。
〔態様12〕
前記第1の入口ポートがコア入口雌ルアー継手を含み、前記第2の入口ポートがシェル入口雌ルアー継手を含み、
前記コア入口雌ルアー継手に可逆的に取付けられたコア流体シリンジと、前記シェル入口雌ルアー継手に可逆的に取付けられたシェル流体シリンジと、をさらに含む、
態様10に記載の装置。
〔態様13〕
前記コア流体シリンジがコア流体を含み、シェル流体シリンジが未硬化のシェル流体を含む、態様12に記載の装置。
〔態様14〕
前記未硬化のシェル流体が、
光重合性種、
熱架橋性種、
化学架橋性種、
光架橋性種、
からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む、態様13に記載の装置。
〔態様15〕
前記コアニードルを除去しまたは前記第1のテーパ付き雄ルアー継手に再取付けするための工具をさらに含み、
前記工具が、
細長い管状構造、および、
前記管状構造の長さを通って内部を走り、前記工具が前記コアニードルのシャフトを内部に収容できるようにする貫通孔、および
前記管状構造の一端部にあり、前記コアニードルのハブと噛合しこのハブ内でフィンを把持するように構成されたノッチ、
を含む、態様6に記載の装置。
〔態様16〕
3本以上のニードルを伴う多層同心構造を押出すための装置であって、前記アダプタが、
第1のアダプタ部品であって、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が雌ルアー継手と結合するように構成された開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記内部雄ルアー継手に対して直接第1の入口流体を通過させるように構成された第1の入口ポートを有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第2の入口流体を通過させるように構成された第2の入口ポート、
を含む第1のアダプタ部品と、
第2のアダプタ部品であって、
前記内部ネジ式チャネルの前記開放端部と結合するように構成された雌ルアー継手、および
ニードルと結合するように構成され、前記雌ルアー継手から同軸的に延在する雄ルアー継手、
を含む第2のアダプタ部品と、
付加的なアダプタ部品であって、実質的に前記第1のアダプタ部品と同一で、
第1および第2の相対する端部を伴い、第1の相対する端部が前記第2のアダプタ部品の雌ルアー継手と結合するように構成された開放端部を含み、第2の相対する端部が内部雄ルアー継手を含む内部ネジ式チャンバ、および前記第1のアダプタ部品の前記開放端部と結合するように構成された外部雌ルアー継手を含む第1の入口ポート、を有する本体、および
側方チャネルを介して前記内部ネジ式チャンバ内に第3の入口流体を通過させるように構成された第2の入口ポート、
を含む付加的なアダプタ部品と、
前記第1のアダプタ部品の前記内部雄ルアー継手に連結されたコアニードルと、
前記付加的なアダプタ部品の前記内部雄ルアー継手に連結された中間ニードルと、
前記第2のアダプタ部品の前記雄ルアー継手に連結されたシェルニードルと、
を含む、装置。
〔態様17〕
前記コアニードルが、外径を有するコアニードルシャフトを含み、前記中間ニードルが前記コアニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有し且つ外径を有する中間ニードルシャフトを含み、前記シェルニードルが、前記中間ニードルシャフトの外径よりも大きい内径を有するシェルニードルシャフトを含む、態様15に記載の装置。
〔態様18〕
前記コアニードルシャフトが、前記シェルニードルシャフトの内側に位置付けされている前記中間ニードルシャフトの内側に位置付けされている、態様15に記載の装置。
〔態様19〕
前記コアニードルシャフト、前記中間ニードルシャフトおよび前記シェルニードルシャフトの相対的位置がオフセットにより特徴付けられ、前記オフセットは、前記第1のアダプタ部品、前記第2のアダプタ部品および前記付加的なアダプタ部品の間の少なくとも1つの連結を緩めたり、または、締めたりすることによって手動で調整可能である、態様17に記載の装置。
〔態様20〕
前記第1の入口ポートがコア入口雌ルアー継手を含み、前記第2の入口ポートがシェル入口雌ルアー継手を含み、
前記コア入口雌ルアー継手に可逆的に取付けられたコア流体シリンジと、前記シェル入口雌ルアー継手に可逆的に取付けられたシェル流体シリンジと、をさらに含む、
態様15に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D