(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】骨固定プレート
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61B17/80
(21)【出願番号】P 2020138599
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599140507
【氏名又は名称】株式会社パイオラックスメディカルデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】住近 理紗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/061007(WO,A1)
【文献】特開2012-120641(JP,A)
【文献】特表2007-530140(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217266(JP,U)
【文献】国際公開第2002/026106(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61B 17/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨本体から骨切線を介して切除された切除骨を、前記骨切線の内側に配置して、前記骨本体に対して前記切除骨を固定するか、又は、前記骨本体に生じた骨欠損部に骨補填部材を配置して、前記骨本体に対して前記骨補填部材を固定するために用いられる骨固定プレートであって、
前記骨固定プレートを前記切除骨又は前記骨補填部材に固定するためのネジを挿通させる第1環状部と、前記骨固定プレートを前記骨本体に固定するためのネジを挿通させる第2環状部と、前記第1環状部及び前記第2環状部を連結するフレームとを有する固定ユニットを複数有し、
前記固定ユニットが、撓み変形可能とされた連結部を介して、前記第1環状部及び前記第2環状部を同じ側にして一列に連結されて構成されており、
各固定ユニットの前記フレームは、前記第1環状部から前記第2環状部に向けて、分岐部を介して複数に分岐した分岐線部を有しており、各分岐線部の端部のそれぞれに前記第2環状部が形成されており、前記第2環状部の数は、前記第1環状部の数の2倍以上となっていることを特徴とする骨固定プレート。
【請求項2】
前記フレームの前記第2環状部に向けて分岐して延びる複数の前記分岐線部のうち、それらの一側に位置する分岐線部は、前記一側とは反対側の他側に位置する分岐線部から離れるように延出した後、再び他側に位置する分岐線部に近づくように延出した湾曲形状をなし、前記一側に位置する分岐線部は、前記他側に位置する分岐線部に比べて、湾曲度合いが大きい請求項1記載の骨固定プレート。
【請求項3】
前記連結部は、隣接する前記固定ユニットにおける、隣接する前記分岐線部どうしを連結する請求項1又は2記載の骨固定プレート。
【請求項4】
複数の前記分岐線部は、同一方向に湾曲し、且つ、前記フレームの前記分岐部から前記第2環状部までの長さが長いものと短いものとが配置されてなる請求項1~3のいずれか1つに記載の骨固定プレート。
【請求項5】
複数の前記固定ユニットの、ユニット配置方向の一側及び/又は他側には、前記骨本体に形成されたバーホールを覆う、バーホールプレートが連結されている請求項1~4のいずれか1つに記載の骨固定プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨本体に対して切除骨を固定するか、又は、骨欠損部に対して骨補填部材を固定するために用いられる、骨固定プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、開頭手術においては、頭蓋骨に複数のバーホールを開け、これらを介して骨切線に沿って骨を切除した後、適宜治療を施し、その後、切除した骨を骨切線の内側に配置して、スクリューホールを複数有する骨固定プレートを用いて、固定することが行われている。また、事故等で頭蓋骨が欠損した場合には、人工の骨補填部材を骨欠損部に配置して、骨固定プレートで固定することも行われている。
【0003】
前記固定プレートとしては、例えば、無数のスクリューホールを形成したプレート状のものがあり、これを骨切線に沿って複数個配置して骨を固定したり、或いは、スクリューホールを複数設けた略長板状をなしたものを、骨切線に沿って屈曲させて骨を固定したりしている。
【0004】
後者の構造として、例えば、下記特許文献1には、第1環状リングと、第1環状リングに対向して位置する第2環状リングと、第1環状リングと第2環状リングとを連結する第1連結部とを含む基本ユニットを備え、基本ユニットが、第1環状リングの複数個から構成される第1環状リング列と第2環状リングの複数個から構成される第2環状リング列が並行するように、第2連結部によって直鎖状に連結され、骨切線に沿って蛇行自在なメッシュを構成し、基本ユニットが前記第1連結部の中間域に非貫通の円状部をさらに含むようにした、インプラントが記載されている。
【0005】
上記インプラントを骨切線に沿わせて屈曲して配置した場合には、第1環状リング列又は第2環状リング列の一方が、骨切線の内側に配置され、他方が骨切線の外側に配置される。この際、骨切線の内側に位置する、一方の環状リング列は密に配置されるが(隣接する環状リング間の隙間が小さい)、骨切線の外側に位置する、他方の環状リング列は、疎に配置される(隣接する環状リング間の隙間が大きい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のインプラントでは、骨切線に沿わせて屈曲して配置した場合に、骨切線の外側に位置する、環状リング列が疎に配置されるので、切除した骨を安定して固定しにくかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、骨本体に対して切除骨又は骨補填部材を安定して固定することができる、骨固定プレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る骨固定プレートは、骨本体から骨切線を介して切除された切除骨を、前記骨切線の内側に配置して、前記骨本体に対して前記切除骨を固定するか、又は、前記骨本体に生じた骨欠損部に骨補填部材を配置して、前記骨本体に対して前記骨補填部材を固定するために用いられるものであって、前記骨固定プレートを前記切除骨又は前記骨補填部材に固定するためのネジを挿通させる第1環状部と、前記骨固定プレートを前記骨本体に固定するためのネジを挿通させる第2環状部と、前記第1環状部及び前記第2環状部を連結するフレームとを有する固定ユニットを複数有し、前記固定ユニットが、撓み変形可能とされた連結部を介して、前記第1環状部及び前記第2環状部を同じ側にして一列に連結されて構成されており、各固定ユニットの前記フレームは、前記第1環状部から前記第2環状部に向けて、分岐部を介して複数に分岐した分岐線部を有しており、各分岐線部の端部のそれぞれに前記第2環状部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1環状部及び第2環状部を連結するフレームが、第1環状部から第2環状部に向けて、分岐部を介して複数に分岐した分岐線部を有しており、各分岐線部の端部のそれぞれに第2環状部が形成されているので、撓み変形可能とされた連結部を介して、骨切線に沿って骨固定プレートを湾曲させると、第2環状部は、骨切線の外側にあって互いの間隔が広がり、第1環状部は、骨切線の内側にあって互いの間隔が狭められる傾向となるが、第2環状部の方が第1環状部に比べて数が2倍以上であるため、第2環状部の間隔が広がりすぎないように密に配置することができると共に、第1環状部どうしが干渉し合うことを抑制することができる。その結果、骨固定プレートを、第1環状部及び第2環状部を介して、骨本体に対しても、切除骨又は骨補填部材に対しても、適度な間隔でネジで締付け固定することができ、骨本体に対して切除骨又は骨補填部材を安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る骨固定プレートの第1実施形態を示しており、その平面図である。
【
図3】同骨固定プレートの環状部における断面図である。
【
図4】同骨固定プレートの使用状態を示しており、骨固定プレートを用いて、骨本体に切除骨を固定する前の状態を示す説明図である。
【
図5】同骨固定プレートの使用状態を示しており、骨固定プレートを用いて、骨本体に切除骨を固定した状態を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る骨固定プレートの第2実施形態を示しており、その平面図である。
【
図8】本発明に係る骨固定プレートの第3実施形態を示しており、その平面図である。
【
図9】本発明に係る骨固定プレートの第4実施形態を示しており、その平面図である。
【
図10】本発明に係る骨固定プレートの第5実施形態を示しており、その平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る骨固定プレートの、第1実施形態について説明する。
【0013】
図4及び
図5に示すように、例えば、開頭手術の際には、骨本体1の所定箇所に医療用ドリルでバーホール2を複数開け、これらのバーホール2,2間を医療用ノコギリで切除する。これによって骨切線3が形成される。次いで、骨本体1から骨切線3を介して切除骨4を切除して、適宜治療を施した後、骨切線3の内側に切除骨4を戻して固定する。本発明の骨固定プレート10は、骨本体1から骨切線3を介して切除された切除骨4を、骨切線3の内側に配置して、骨本体1に対して切除骨4を固定するためのものである。
【0014】
なお、骨切線3の内側とは、骨本体1に形成した骨切線3の内側であって切除骨4が位置する側を意味し、骨切線3の外側とは、それと反対側の骨本体1自体が位置する側を意味する。
【0015】
また、この実施形態における骨本体1は、頭蓋骨となっており、切除骨4は、いわゆる骨弁となっている。なお、骨本体としては、頭蓋骨以外の骨であってもよく、切除骨も、骨弁以外であってもよい。
【0016】
また、本発明の骨固定プレートは、事故等で骨本体の一部が欠損した場合にも、利用することができる。すなわち、事故等によって骨本体1の一部が欠損することがあるが、この場合は、骨が欠損した部位である骨欠損部に、チタンやセラミック等で形成された人工の骨補填部材が配置される。本発明の骨固定プレートは、このような場合に、骨本体に対して骨補填部材を固定する際にも利用することができる。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の骨固定プレート10は、第1環状部21と、第2環状部23と、第1環状部21及び第2環状部23を連結するフレーム25とを有する固定ユニット20を複数有している。この固定ユニット20は、所定方向に沿って配置されている。
【0018】
なお、
図1に示すように、固定ユニット20が配置された方向を「ユニット配置方向」とし、その一側をA1、他側をA2とする。また、第1環状部21,第2環状部23が配置される方向を「環状部配置方向」とし、その一側をB1、他側をB2とする。なお、この実施形態では、環状部配置方向は、ユニット配置方向と直交している。
【0019】
そして、この骨固定プレート10では、複数の固定ユニット20が、撓み変形可能とされた細幅板状の連結部40を介して、第1環状部21及び第2環状部23を同じ側にして一列に連結されて構成されている。すなわち、各ユニット20は、環状部配置方向の一側B1に、第1環状部21を向けて一列に配置されていると共に、環状部配置方向の他側B2に、第2環状部23を向けて一列に配置されている。
【0020】
また、
図1に示すように、この実施形態の骨固定プレート10においては、前記ユニット配置方向に平行で、且つ、第1環状部21及び第2環状部23の中央に、軸心Lが配置されている。
【0021】
そして、骨固定プレート10の利用に際しては、例えば、その軸心Lが骨切線3(
図4参照)に沿うように、連結部40を介して骨固定プレート10を湾曲させて用いることができる。また、人工の骨補填部材を配置する場合には、骨固定プレート10の軸心Lが、骨本体1の一部に生じた骨欠損部の内縁部に沿うように、連結部40を介して骨固定プレート10を湾曲させて用いることができる。なお、この骨固定プレート10においては、複数の第1環状部21は、骨切線3の内側に位置する切除骨4又は骨欠損部に配置され、複数の第2環状部23は、骨切線3の外側に位置する骨本体1に配置されるようになっている(
図5及び
図6参照)。
【0022】
また、フレーム25は、第1環状部21から第2環状部23に向けて、分岐部29を介して複数に分岐した分岐線部を有しており、各分岐線部の端部のそれぞれに第2環状部23が形成されている。更に、この実施形態では、複数の固定ユニット20のユニット配置方向の両側A1,A2に、骨本体1に形成されたバーホール2を覆う、バーホールプレート50,50がそれぞれ連結されている。なお、分岐部29は、骨固定プレート10の軸心Lに対して、ほぼ整合する位置となるように配置されている(
図1参照)。
【0023】
この実施形態の場合、分岐線部は、分岐部29を介して二股状に分岐して延びる第1分岐線部31及び第2分岐線部33からなるが、
図2に示すように、これらの分岐線部31,33が配置された方向を「分岐線部配置方向」とし、その一側をE1、他側をE2とする。なお、分岐線部配置方向は、前記ユニット配置方向と平行であり、分岐線部配置方向の一側E1,他側E2は、ユニット配置方向の一側A1,他側A2と同じ向きとなっている。
【0024】
図2に示すように、前記第1環状部21及び前記第2環状部23はそれぞれ略円環状をなしており、各環状部21,23の内側には、円形状をなしたネジ孔21a,23aがそれぞれ形成されている。骨切線3の内側に配置される第1環状部21のネジ孔21aには、骨固定プレート10を切除骨4又は骨補填部材に固定するためのネジ6が挿通され、骨切線3の外側に配置される第2環状部23のネジ孔23aには、骨固定プレート10を骨本体1に固定するためのネジ6が挿通されるようになっている。なお、この実施形態におけるネジ6は、頭部と外周に雄ネジが形成された軸部とからなり、骨に対してねじ込むことで締め付け固定される、いわゆるタッピングネジとなっている。更に
図3に示すように、ネジ孔21a,23aの内周には、環状部21,23の表側に向かって次第に拡径するテーパ状をなしたザグリ部21b,23bがそれぞれ形成されており、ネジ6の頭部を支持する部分となっている。
【0025】
なお、上記の「表側」とは、骨固定プレート10における骨との接触側とは反対側を意味しており、一方、以下の説明における「裏側」とは、骨固定プレート10における骨との接触側を意味している。なお、この「表側」及び「裏側」は、第1環状部や、第2環状部のみならず、フレーム、バーホールプレート等においても同様の意味である。
【0026】
図2を併せて参照すると、この第1実施形態におけるフレーム25は、一本の単独線部27と、この単独線部27の他端部27bが位置する分岐部29から分岐して延び、分岐線部配置方向の一側E1に位置する第1分岐線部31と、この第1分岐線部31に隣接して、前記分岐部29から分岐して延びると共に、分岐線部配置方向の他側E2に位置する第2分岐線部33とから構成されている。
【0027】
図2における二点鎖線(仮想線)は、単独線部27と、第2分岐線部33との境界を示している。
図2に示すように、単独線部27は、その一端部27aに第1環状部21が配置されていると共に、この一端部27aから、分岐線部配置方向の他側E2に向けて緩やかなカーブを描いて湾曲した形状をなしている。
【0028】
また、フレーム25の第2環状部23に向けて分岐して延びる複数の分岐線部のうち、それらの一側E1に位置する分岐線部(第1分岐線部31)は、前記一側E1とは反対側の他側E2に位置する分岐線部(第2分岐線部33)から離れるように延出した後、再び他側E2に位置する分岐線部(第2分岐線部33)に近づくように延出した湾曲形状をなしている。更に、前記一側E1に位置する分岐線部(第1分岐線部31)は、前記他側E2に位置する分岐線部(第2分岐線部33)に比べて、湾曲度合いが大きくなるように構成されている。
【0029】
より具体的に説明すると、第1分岐線部31は、その一端部31aが分岐部29から分岐して延びており(一端部31aが単独線部27の他端部27bに連結しているともいえる)、この一端部31aから、分岐線部配置方向の一側E1に向けて、隣接する第2分岐線部33から次第に離反するように延出すると共に、その頂部31b(第2分岐線部33に対して最も離反した部分)を越えた箇所から、分岐線部配置方向の他側E2に向けて、再び、隣接する第2分岐線部33に近づくように延出した形状をなしている。すなわち、この第1分岐線部31は、全体として分岐線部配置方向の一側E1に向けて、緩やかなカーブを描いて出っ張るような湾曲した形状となっている。そして、第1分岐線部31の、延出方向の他端部31cに、前記第2環状部23が配置されている。
【0030】
また、
図2に示すように、骨固定プレート10を平面方向から見たときに(骨固定プレート10の面方向に対して直交する方向から見たときに)、第1分岐線部31と、前記単独線部27とを併せて、略S字状に湾曲した形状をなしている。
【0031】
なお、第1分岐線部31の他端部31cに配置された第2環状部23は、その中心Cが、単独線部27の一端部31aに配置された第1環状部21の中心Cに対して、ユニット配置方向においてほぼ整合した位置となっている。
【0032】
一方、第2分岐線部33は、その一端部33aが分岐部29から分岐して延びており(一端部33aが単独線部27の他端部27bに連結しているともいえる)、この一端部33aから、分岐線部配置方向に対してほぼ直交するように直線状に延びると共に、その延出方向の他端部33cが、分岐線部配置方向の他側E2に向けてやや屈曲した形状をなしている。すなわち、この第2分岐線部33は、全体として分岐線部配置方向の一側E1に向けて湾曲したような形状となっている。そして、第2分岐線部33の、延出方向の他端部33cに第2環状部23が配置されている。この第2分岐線部33は、第1分岐線部31と同一方向に湾曲すると共に、第1分岐線部31に比べて湾曲度合いが小さい湾曲形状をなしている。
【0033】
なお、この実施形態における第2分岐線部33は、主として他端部33c側が湾曲した形状となっているが、一端部から他端部にかけて全体的に湾曲した形状としたり(ただし、第1分岐線部よりも湾曲度合いは小さい形状とする)、或いは、一端部から他端部にかけて直線状に延びるような、全く湾曲しない形状としたりしてもよい。
【0034】
また、第2分岐線部33の他端部33cに配置された第2環状部23は、その中心Cが、単独線部27の一端部31aに配置された第1環状部21の中心Cに対して、ユニット配置方向の他側A2側に位置ずれして配置されている。更に、第2分岐線部33の他端部33cに配置された第2環状部23と、第1分岐線部31の他端部31cに配置された第2環状部23とは、環状部配置方向において、同一位置となるように配置されている(
図2参照)。
【0035】
また、
図1に示すように、各固定ユニット20における第2環状部23は、その全てが環状部配置方向において同一位置となるように配置されており、更に、各固定ユニット20における第1環状部21も、その全てが環状部配置方向において同一位置となるように配置されている。
【0036】
また、複数の分岐線部、すなわち、第1分岐線部31及び第2分岐線部33は、いずれも同一方向に湾曲し(ここではいずれの分岐線部31,33も分岐線部配置方向の一側E1に向けて湾曲する)、且つ、フレーム25の分岐部29から第2環状部23までの長さが長いもの(ここでは第1分岐線部31)と短いもの(ここでは第2分岐線部33)とが配置されてなるものとなっている。すなわち、第1分岐線部31は、全体として分岐線部配置方向の一側E1に向けて緩やかなカーブを描いて出っ張る湾曲形状をなしているのに対して、第2分岐線部33は、全体として分岐線部配置方向の一側E1に向けて湾曲した形状となっているものの、最短距離を通る直線状に延びる部分を有している。そのため、第1分岐線部31の、分岐部29から第2環状部23までの長さの方が、第2分岐線部33の、分岐部29から第2環状部23までの長さの方よりも長くなっている。
【0037】
なお、フレーム25を構成する各部分の幅、すなわち、単独線部27、第1分岐線部31、第2分岐線部33の幅は、全て同一幅となっており、かつ、一定幅となっている。ただし、各線部27,31,33のいずれか一つ又は二つを、他のものと比べて幅狭としたり幅広としたりしてもよく、更に、各線部27,31,33の所定箇所を、幅狭としたり幅広としたりしてもよく、特に限定はされない。
【0038】
また、この実施形態のフレーム25は、単独線部27及び二股状に延びる第1分岐線部31,第2分岐線部33からなるが、フレームとしては、例えば、単独線部がない略V字状としたり、分岐線部を3本以上とした形状としたりしてもよく(これらについては後述の実施形態で説明する)、フレームの形状や構造は特に限定されない。
【0039】
なお、この実施形態における各固定ユニット20は、上記のような二股状のフレーム形状を採用したことで、第1環状部21が1個であるのに対して、第2環状部23が2個となり、第2環状部23の個数が第1環状部21の個数に比べて2倍となっている。ただし、各固定ユニットにおける第2環状部の個数としては、第1環状部の個数に比べて、3倍や、4倍、それ以上の個数であってもよく、2倍以上の個数であればよい(なお、3倍となる態様は、後述する第5実施形態で説明する)。
【0040】
次に、隣接する固定ユニット20,20どうしを連結する、撓み変形可能とされた細幅板状の連結部40について説明する。
【0041】
図2に示すように、この実施形態における連結部40は、直線状に延びる細幅板状をなしている。この連結部40は、ユニット配置方向の一側A1から他側A2に向けて、骨固定プレート10の軸心Lに対して次第に離れるように所定角度で傾斜する、直線状の細幅板状となっている。また、連結部40は、隣接する固定ユニット20,20における、隣接する分岐線部31,33どうしを連結する構成となっている。
【0042】
この実施形態における連結部40は、その一端部(分岐線部配置方向の一側E1側の端部を意味する。以下の説明においても同様)が、所定の固定ユニット20の、複数の分岐線部のうち他側E2に位置する分岐線部(第2分岐線部33)に連結されている。また、連結部40の他端部(分岐線部配置方向の他側E2側の端部を意味する。以下の説明においても同様)が、上記固定ユニット20に隣接する他の固定ユニット20の、複数の分岐線部のうち一側E1に位置する分岐線部(第1分岐線部31)の、一端部31a側に連結されている。更に
図2に示すように、この実施形態における連結部40は、骨固定プレート10の軸心Lに対して、環状部配置方向の他側B2寄りにやや位置ずれした位置に配置されている。
【0043】
より具体的には、隣接する固定ユニット20,20のうち、ユニット配置方向の一側A1に配置された固定ユニット20の、第2分岐線部33の一端部33a側の外縁部に、連結部40の一端部が連結されている。また、この固定ユニット20に隣接して、ユニット配置方向の他側A2に配置された固定ユニット20の、第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に、連結部40の他端部が連結されている。
【0044】
また、連結部40の幅は一定幅となっており、かつ、フレーム25を構成する各部分(単独線部27、第1分岐線部31、第2分岐線部33)の幅よりも小さくなっている。なお、連結部の形状としては、直線状の細幅板状でなくとも、例えば、所定形状に屈曲したり湾曲したりしていてもよく、特に限定はされない。更に、連結部の、固定ユニットとの連結箇所も、上記箇所に限定されるものではない。
【0045】
次に、固定ユニット20に連結されたバーホールプレート50について説明する。
【0046】
この実施形態におけるバーホールプレート50は、所定形状の孔51aが複数形成された、略円形プレート状をなしたプレート本体51を有している。このプレート本体51の外周には、所定間隔を空けて、複数の環状部53が突設されている。各環状部53は、前記第1環状部21及び前記第2環状部23と同様に、略円環状をなしている。また、各環状部53の内側には、円形状をなしたネジ孔53aが形成されていると共に、環状部53の表側に向かって次第に拡径するテーパ状をなしたザグリ部53bが形成されている。更に、プレート本体51には、その外縁部からプレート本体中心に向けて延びる切欠き部55が、複数形成されている。
【0047】
なお、バーホールプレート50の環状部53は、骨切線3の内側に位置する切除骨4又は骨欠損部に配置されたり、骨切線3の外側に位置する骨本体1に配置されたり、骨切線3上に配置されたりする(
図6参照)。そして、骨切線3の内側に位置する切除骨4又は骨欠損部に配置された環状部53や、骨切線3の外側に位置する骨本体1に配置された環状部53に、ネジ6が挿通されて固定されるようになっている。
【0048】
そして、
図2に示すように、ユニット配置方向の最も一側A1に位置する固定ユニット20には、次のようにしてバーホールプレート50が連結されている。すなわち、バーホールプレート50の複数の環状部53のうち、所定の環状部53が、上記固定ユニット20の、第1分岐線部31の頂部31bよりもやや一端部31a側の外縁部に連結されている。また、複数の環状部53のうち、前記所定の環状部53に対して周方向に隣接する、他の環状部53が、上記固定ユニット20の第1環状部21の外周に連結されている。
【0049】
また、
図1に示すように、ユニット配置方向の最も他側A2に位置する固定ユニット20には、次のようにしてバーホールプレート50が連結されている。すなわち、バーホールプレート50の複数の環状部53のうち、所定の環状部53が、上記固定ユニット20の、第2分岐線部33の他端部33cに配置された第2環状部23の外周に連結されている。また、複数の環状部53のうち、前記所定の環状部53に対して周方向に隣接する、他の環状部53が、上記固定ユニット20の単独線部27の他端部27bの外縁部に連結されている。
【0050】
上記のように、この実施形態におけるバーホールプレート50は、周方向に隣接配置された2つの環状部53,53を介して、ユニット配置方向の一側A1及び他側A2にそれぞれ連結されている。
【0051】
なお、バーホールプレート50は、ユニット配置方向の一側A1のみに連結されていたり、又は、ユニット配置方向の他側A2のみに連結されていたりしてもよい。また、バーホールプレートの形状や構造は、上記態様に限定されるものではなく、少なくともプレート状をなしバーホール2を覆う部分と、ネジ止め可能な環状部とを有するものであればよい。更に、バーホールプレートと固定ユニットとの連結箇所は2箇所ではなく、1箇所でも3箇所以上であってもよく、また、バーホールプレートと固定ユニットとの連結位置は、上記位置に限定されるものではない。
【0052】
以上説明した骨固定プレート10は、複数の固定ユニット20、それらを連結する連結部40、一対のバーホールプレート50,50の全てが、所定材料で一体成形されている。また、骨固定プレート10の材料としては、例えば、Tiや、Ti-Al-V系、Ti-Al-Nb-Ta系、Ti-Zr-Nb-Ta系、Ti-Mo-Zr-Al系等のTi系合金、ステンレス、Ni-Ti系合金、Co-Cr系合金、その他の生体適合性金属等からなる金属材料、又は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の、生体適合性を有する樹脂材料を用いることができる。
【0053】
なお、骨固定プレート10が、上記金属材料からなる場合には、金属板材を、例えば、レーザー加工や、打ち抜き加工、エッチング加工等の加工方法、又は、それらの加工方法を併用することで形成することができる。一方、骨固定プレート10が、上記樹脂材料からなる場合には、例えば、所定の型枠内に樹脂を射出成形することで形成することができる。
【0054】
次に、上記構成からなる骨固定プレート10の作用効果について説明する。
【0055】
すなわち、
図4に示すように、骨本体1に複数のバーホール2を開け、骨本体1から骨切線3を介して切除骨4を切除し、治療を施した後、骨切線3の内側に切除骨4を戻す。次いで、骨固定プレート10の軸心Lが骨切線3に沿うように、且つ、一対のバーホールプレート50,50がバーホール2,2を覆うように、連結部40を介して骨固定プレート10を屈曲させる(
図4参照)。すなわち、隣接する固定ユニット20,20どうしを連結する連結部40を適宜撓み変形させることで、骨固定プレート10の全体を屈曲させる。
【0056】
そして、
図5に示すように、骨切線3上に骨固定プレート10を配置すると共に、一対のバーホールプレート50,50でバーホール2,2を覆う。この状態では、骨切線3の内側に位置する切除骨4に、複数の第1環状部21が配置され、骨切線3の外側に位置する骨本体1に、複数の第2環状部23が配置されると共に、バーホールプレート50の所定の環状部53が、骨切線3の内側の切除骨4に配置され、他の環状部53が、骨切線3の外側の骨本体1に配置される。
【0057】
この際、
図6に示すように、骨切線3上には、骨固定プレート10の軸心Lよりも、環状部配置方向の他側B2寄りの部分が配置されるようになっている。すなわち、骨切線3上には、分岐線部を構成する第1分岐線部31の一端部31a側の部分、及び、第2分岐線部33の一端部33a側の部分が配置されると共に、連結部40が跨るように配置され、更にバーホールプレート50のプレート本体51が配置される。
【0058】
その後、各固定ユニット20の環状部21,23のネジ孔21a,23a、及び、各バーホールプレート50の環状部53のネジ孔53aに、ネジ6を挿入して締付け固定することで、骨固定プレート10を介して、骨本体1に対して切除骨4を固定することができると共に、バーホールプレート50でバーホール2を覆った状態に保持することができる。なお、
図5及び
図6では、全ての環状部21,23,53(骨切線上に配置されたものを除く)が、ネジ6で締付け固定されているが、所定の環状部21,23,53のみを締付け固定するようにしてもよい。
【0059】
また、事故等で骨本体の一部が欠損した場合は、適宜治療を施した後、骨欠損部に、骨補填部材を配置する。次いで、骨固定プレート10の軸心Lが、骨欠損部の内縁部に沿うように、連結部40を介して骨固定プレート10を屈曲させて配置する。その後、各固定ユニット20の環状部21,23のネジ孔21a,23a、及び、各バーホールプレート50の環状部53のネジ孔53aに、ネジ6を挿入して締付け固定することで、骨固定プレート10を介して、骨本体1に対して骨補填部材を固定することができる。
【0060】
なお、この実施形態では、骨固定プレート10は、その軸心Lが骨切線3に沿うように連結部40を介して屈曲させたが、目的に応じて、連結部40を介して骨固定プレート10を屈曲させても勿論よい。また、この実施形態では、固定ユニット20にバーホールプレート50が連結された状態で、骨固定プレート10を使用しているが、固定ユニット20からバーホールプレート50を分離して使用してもよい。この場合には、バーホールプレート50の周方向に隣接する環状部53,53と、固定ユニット20の対応する連結部分との間に形成されたノッチ部分を、医療用ハサミ等で切断することで、固定ユニット20からバーホールプレート50を分離することができる。
【0061】
そして、この骨固定プレート10においては、第1環状部21及び第2環状部23を連結するフレーム25が、第1環状部21から第2環状部23に向けて、分岐部29を介して複数に分岐した分岐線部(第1分岐線部31,第2分岐線部33)を有しており、各分岐線部31,33の端部(他端部31c,33c)のそれぞれに第2環状部23が形成されている。
【0062】
そのため、上述したように、撓み変形可能とされた連結部40を介して、骨切線3に沿って骨固定プレート10を湾曲させると、第2環状部23は、骨切線3の外側にあって互いの間隔が広がり、第1環状部21は、骨切線3の内側にあって互いの間隔が狭められる傾向となるが、第2環状部23の方が第1環状部21に比べて数が2倍以上となっている。したがって、隣接する第2環状部23,23の間隔が広がりすぎないように密に配置することができると共に、隣接する第1環状部21,21どうしが干渉し合うことを抑制することができる。その結果、骨固定プレート10を、第1環状部21及び第2環状部23を介して、骨本体1に対しても、切除骨4又は骨補填部材に対しても、適度な間隔でネジ6で締付け固定することができ、骨本体1に対して切除骨4又は骨補填部材を安定して固定することができる。
【0063】
また、この実施形態においては、フレーム25の第2環状部23に向けて分岐して延びる複数の分岐線部のうち、それらの一側E1に位置する第1分岐線部31は、前記一側E1とは反対側の他側E2に位置する第2分岐線部33から離れるように延出した後、再び他側E2に位置する第2分岐線部33に近づくように延出した湾曲形状をなしている。
【0064】
上記態様によれば、複数の分岐線部のうち、一側E1に位置する第1分岐線部31が、他側E2に位置する第2分岐線部33から離れるように延出した後、再び他側E2に位置する第2分岐線部33に近づくように延出した湾曲形状をなすので、第1分岐線部31の長さを、直線状のものと比べて、長く確保することができる。そのため、骨本体1と切除骨4との間や、骨本体1と骨補填部材との間に、隙間が生じていても、第1分岐線部31が、その隙間をなるべく広い面積で覆う(カバーする)ので、骨固定プレート10で切除骨4又は骨補填部材を固定した後、その上に皮膚を被せたときに、前記隙間に皮膚が落ち込もうとしても、第1分岐線部31で受け止めやすくして、皮膚の落ち込みを抑制することができる。
【0065】
また、この実施形態の場合は、一側E1に位置する第1分岐線部31は、他側E2に位置する第2分岐線部33に比べて、湾曲度合いが大きくなるように構成されているので(
図2参照)、骨本体1と切除骨4との隙間、又は、骨本体1と骨補填部材との隙間を、第2分岐線部33よりも湾曲度合いが大きい第1分岐線部31によって、より広い面積で覆うことができ、骨固定プレート10で切除骨4又は骨補填部材を固定した後、その上に皮膚を被せたときの、皮膚の落ち込みを効果的に抑制することができる。
【0066】
更に、この実施形態においては、連結部40は、隣接する固定ユニット20,20における、隣接する分岐線部どうし(ここでは第1分岐線部31及び第2分岐線部33どうし)を連結する構成となっている。
【0067】
上記態様によれば、骨固定プレート10を曲げる位置を、骨切線3の外側、又は、骨欠損部の内縁部の外側に寄せることができ、隣接する固定ユニット20,20における、隣接する第2環状部23,23どうしの開きを抑制して、骨本体1に対して切除骨4又は骨補填部材を、より安定して固定することができる。
【0068】
また、この実施形態においては、複数の分岐線部、すなわち、第1分岐線部31及び第2分岐線部33は、いずれも同一方向に湾曲し(ここでは両分岐線部31,33は分岐線部配置方向の一側E1に向けて湾曲する)、且つ、フレーム25の分岐部29から第2環状部23までの長さが長いもの(ここでは第1分岐線部31)と短いもの(ここでは第2分岐線部33)とが配置されてなるものとなっている。
【0069】
上記態様によれば、複数の分岐線部31,33は、同一方向に湾曲し、且つ、フレーム25の分岐部29から第2環状部23までの長さが短いものと長いものが配置されてなるので、隣接する第2環状部23,23どうしの開きをより抑制して、第2環状部23をより密に配置することができる。また、複数の分岐線部31,33が同一方向に湾曲しているので、骨本体1と、切除骨4又は骨補填部材との隙間を広い面積で覆うことができ、骨固定プレート10で切除骨4又は骨補填部材を固定した後、その上に皮膚を被せたときの、皮膚の落ち込みを、より効果的に抑制することができる。
【0070】
更に、この実施形態においては、複数の固定ユニット20の配置方向の一側A1及び/又は他側A2には、骨本体1に形成されたバーホール2を覆う、バーホールプレート50が連結されている(ここでは複数の固定ユニット20のユニット配置方向の両側A1,A2にバーホールプレート50,50がそれぞれ連結されている)。
【0071】
上記態様によれば、複数の固定ユニット20のユニット配置方向の一側及び/又は他側にバーホールプレート50が連結されているので、複数の固定ユニット20を骨切線3に沿って配置することができると共に、骨本体1に形成されたバーホール2を覆いやすくすることができる。
【0072】
図7には、本発明に係る骨固定プレートの、第2実施形態が示されている。前記第1実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0073】
この第2実施形態の骨固定プレート10Aは、連結部40Aの形状が、第1実施形態の連結部40と異なっている。
【0074】
すなわち、この第2実施形態における連結部40Aは、その一端部が、所定の固定ユニット20の第2分岐線部33の一端部33a側の外縁部に連結され、他端部が、上記固定ユニット20に隣接する他の固定ユニット20の、第1分岐線部31の頂部31bよりもやや一端部31a側の外縁部に連結されている。また、連結部40Aの、一端部と他端部との間の中間部分45が、骨固定プレート10Aの軸心Lに対して所定角度で傾斜していると共に、該中間部分45と一端部との連結部分、及び、中間部分45と他端部との連結部分が、R状のカーブを介して屈曲しており、連結部40A全体として、2つのR状部を有する屈曲形状となっている。
【0075】
そして、この第2実施形態においては、前記第1実施形態の骨固定プレート10と同様の作用効果を奏すると共に、連結部40Aが2つのR状部を有する屈曲形状となっているので、第1実施形態の連結部40よりも長さを長く確保して、連結部40Aを曲げやすくすることができ、骨固定プレート10Aを屈曲させやすくすることができる。
【0076】
図8には、本発明に係る骨固定プレートの、第3実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0077】
この第3実施形態の骨固定プレート10Bは、主として、固定ユニットの形状及び配置が前記実施形態と異なっている。
【0078】
すなわち、この第3実施形態では、所定の固定ユニット20に隣接する、固定ユニット20Bの分岐線部の形状が、骨固定プレート10Bの軸心Lに直交する対称軸Sとして、固定ユニット20の分岐線部に対して線対称となっている。
【0079】
より具体的には、固定ユニット20Bの複数の分岐線部のうち、分岐線部配置方向の他側E2に位置する第2分岐線部33Bは、分岐部29から、分岐線部配置方向の他側E2に向けて、隣接する第1分岐線部31Bから次第に離反するように延出すると共に、その頂部33dを越えた箇所から、分岐線部配置方向の一側E1に向けて、再び、隣接する第1分岐線部31Bに近づくように延出した湾曲形状をなしている。すなわち、この第2分岐線部33Bは、全体として分岐線部配置方向の他側E2に向けて、緩やかなカーブを描いて出っ張るような湾曲した形状となっている。
【0080】
一方、第1分岐線部31Bは、分岐部29から、分岐線部配置方向に対してほぼ直交するように直線状に延びると共に、その延出方向の他端部31cが、分岐線部配置方向の一側E1に向けてやや屈曲した形状をなしている。すなわち、この第1分岐線部31Bは、全体として分岐線部配置方向の他側E2に向けて湾曲したような形状となっている。したがって、この第1分岐線部31Bは、第2分岐線部33Bと同一方向に湾曲すると共に、第2分岐線部33Bに比べて湾曲度合いが小さい湾曲形状をなしている。なお、第1分岐線部31Bの他端部31cは、隣接する固定ユニット20の第2分岐線部33の他端部33cに対して近接するように屈曲している。
【0081】
また、固定ユニット20Bの第2分岐線部33Bの頂部33dよりも一端部33a側の外縁部に、連結部40Aの一端部が連結されていると共に、上記固定ユニット20Bに隣接する固定ユニット20の第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に、連結部40Aの他端部が連結されている。
【0082】
更に固定ユニット20の第2分岐線部33の一端部33a側の外縁部に、連結部40Bの一端部が連結されると共に、上記固定ユニット20に隣接する固定ユニット20Bの第1分岐線部31Bの一端部31aの外縁部に、連結部40Bの他端部が連結されることで、固定ユニット20,20Aどうしが互いに連結されている。
【0083】
すなわち、この第3実施形態の骨固定プレート10Bにおいては、固定ユニット20と、固定ユニット20Bとが、ユニット配置方向の一側A1から他側A2に向けて、交互に配置されている。なお、上記連結部40Bは、一端部と他端部との間の中間部分45がやや湾曲した形状をなしていると共に、連結部40Aよりも長く形成されている。
【0084】
また、
図8に示すように、ユニット配置方向の最も他側A2に位置する固定ユニット20には、次のようにしてバーホールプレート50が連結されている。すなわち、バーホールプレート50の所定の環状部53が、固定ユニット20Bの、第2分岐線部33Bの他端部33c側の外縁部に連結されていると共に、前記所定の環状部53に対して周方向に隣接する、他の環状部53が、固定ユニット20Bの第2分岐線部33Bの一端部33a側の外縁部に連結されている。
【0085】
そして、この第3実施形態においては、前記実施形態の骨固定プレート10,10Aと同様の作用効果を奏すると共に、連結部40Aよりも長い連結部40Bが曲げやすいため、骨固定プレート10Bをより屈曲させやすくすることができる。
【0086】
図9には、本発明に係る骨固定プレートの、第4実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0087】
この第4実施形態の骨固定プレート10Cは、主として、固定ユニットの形状及び配置が前記実施形態と異なっている。
【0088】
すなわち、この第3実施形態では、所定の固定ユニット20に隣接する、固定ユニット20Cが、単独線部27のない形状となっている。より具体的には、この固定ユニット20Cは、第1環状部21に隣接した位置に分岐部29が設けられており、この分岐部29から、第1分岐線部31及び第2分岐線部33が略V字状をなすように二股状に延出している。
【0089】
また、連結部40の一つは、その一端部が、固定ユニット20の第2分岐線部33の一端部33a側の外縁部に連結されていると共に、他端部が、上記固定ユニット20に隣接する固定ユニット20Cの第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に連結されている。更に、連結部40のもう一つは、その一端部が、固定ユニット20Cの第2分岐線部33の一端部33a側の外縁部に連結されていると共に、他端部が、上記固定ユニット20Cに隣接する固定ユニット20の第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に連結されている。
【0090】
また、この第4実施形態の骨固定プレート10Cにおいては、固定ユニット20と、固定ユニット20Cとが、ユニット配置方向の一側A1から他側A2に向けて、交互に配置されている。その結果、ユニット配置方向の一側A1から他側A2に向けて、環状部配置方向の一側B1に出っ張る第1環状部21と、この出っ張った第1環状部21よりも、環状部配置方向の他側B2に向けて引込まれる第1環状部21とが、交互に配置されるようになっている。
【0091】
そして、この第4実施形態においては、前記実施形態の骨固定プレート10,10A,10Bと同様の作用効果を奏すると共に、ユニット配置方向の一側A1から他側A2に向けて、環状部配置方向の一側B1に出っ張る第1環状部21と、これよりも環状部配置方向の他側B2に向けて引込まれる第1環状部21とが、交互に配置されているので、隣接する第1環状部21,21どうしの干渉をより効果的に抑制することができる。
【0092】
図10には、本発明に係る骨固定プレートの、第5実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0093】
この第5実施形態の骨固定プレート10Dは、主として、固定ユニットの分岐線部の形状が前記実施形態と異なっている。
【0094】
すなわち、この第5実施形態における固定ユニット20Dは、分岐部29から、第1分岐線部31、第2分岐線部33、第3分岐線部35が、略三又状に延出した形状をなしている。また、分岐線部31,33,35のうち、分岐部29からの他端部までの距離は、第1分岐線部31が最も長く、第2分岐線部33がそれよりも短く、第3分岐線部35が最も短くなっている。また、固定ユニット20Dの第3分岐線部35の一端部35a側の外縁部に、連結部40の一端部が連結されていると共に、それに隣接する固定ユニット20Dの第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に、連結部40の他端部が連結されている。
【0095】
また、
図10に示すように、ユニット配置方向の最も一側A1に位置する固定ユニット20Dには、次のようにしてバーホールプレート50が連結されている。すなわち、バーホールプレート50の所定の環状部53が、固定ユニット20Dの、第1分岐線部31の頂部31bよりも一端部31a側の外縁部に連結されていると共に、前記所定の環状部53に対して周方向に隣接する、他の環状部53が、固定ユニット20Dの第1環状部21の外周に連結されている。
【0096】
一方、ユニット配置方向の最も他側A2に位置する固定ユニット20Dには、次のようにしてバーホールプレート50が連結されている。すなわち、バーホールプレート50の所定の環状部53が、固定ユニット20Dの、第3分岐線部35の他端部35c側の外縁部に連結されていると共に、前記所定の環状部53に対して周方向に隣接する、他の環状部53が、固定ユニット20Dの単独線部27の延出方向途中の外縁部に連結されている。
【0097】
そして、この第5実施形態においては、前記実施形態の骨固定プレート10,10A,10B,10Cと同様の作用効果を奏すると共に、分岐線部が三又状の分岐線部31,33,35を有しており、その他端部31c,33c,35cのそれぞれに、第2環状部21が形成されているので、第2環状部23を第1環状部21の3倍とすることができ、第2環状部23をより密に配置することができる。
【0098】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1 骨本体
2 バーホール
3 骨切線
4 切除骨
10,10A,10B,10C,10D 骨固定プレート
20,20B,20C,20D 固定ユニット
21 第1環状部
22 第2環状部
23 第3環状部
25 フレーム
27 単独線部
29 分岐部
31,31B 第1分岐線部
33,33B 第2分岐線部
35 第3分岐線部
40,40A,40B 連結部
50 バーホールプレート