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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】加湿フィルタ洗浄装置及び加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240329BHJP
   F24F 6/06 20060101ALI20240329BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240329BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240329BHJP
【FI】
F24F6/00 C
F24F6/00 A
F24F6/06
F24F11/65
F24F8/80 400
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020142649
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038255
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】澤野 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】鬼木 渉
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/086101(WO,A1)
【文献】特開昭62-172119(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107023923(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0074671(KR,A)
【文献】特開2010-121787(JP,A)
【文献】特開2011-080748(JP,A)
【文献】特開2011-016132(JP,A)
【文献】特開2012-207814(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1070395(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00-6/18
F24F 11/65
F24F 8/00-8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿フィルタと、
前記加湿フィルタを中心軸周りに回動させる駆動部と、
前記加湿フィルタを収容し、上方に向けて開口するトレイと、
前記トレイに着脱可能である筒状部材と
を備え、
前記筒状部材は、前記トレイに取り付けられた状態で前記トレイよりも上方で前記加湿フィルタを囲み、前記トレイとともに前記加湿フィルタの洗浄液を貯留可能である、加湿フィルタ洗浄装置。
【請求項2】
前記トレイに取り付けられた状態の前記筒状部材は、前記洗浄液を前記加湿フィルタの高さの1/2以上まで貯留可能な高さを有する、請求項1に記載の加湿フィルタ洗浄装置。
【請求項3】
気化式の加湿フィルタと、
前記加湿フィルタを中心軸周りに回動させる駆動部と、
前記加湿フィルタに水を供給する給水トレイと、
前記加湿フィルタの一部を洗浄液に浸漬させる洗浄トレイと、
トレイ収容部を含む筐体と
を備え、
前記筐体は、
加湿運転時に、前記加湿フィルタを収容した前記給水トレイを前記トレイ収容部に収容し、
フィルタ洗浄時に、前記加湿フィルタを収容した前記洗浄トレイを前記トレイ収容部に収容し、
前記給水トレイは、
前記加湿フィルタを回転自在に支持する第1底部と、
前記第1底部から上方に延設された第1側壁部と
を含み、
前記洗浄トレイは、
前記加湿フィルタを回転自在に支持する第2底部と、
前記第2底部から上方に延設された第2側壁部と
を含み、
前記洗浄トレイにおける前記第2底部の底面から前記第2側壁部の上端までの高さは、前記給水トレイにおける前記第1底部の底面から前記第1側壁部の上端までの高さより高い、加湿装置。
【請求項4】
前記洗浄トレイの前記第2側壁部は、前記加湿フィルタを前記洗浄トレイ内に支持した状態で、前記洗浄液を、前記加湿フィルタの高さの1/2以上まで貯留可能な高さを有する、請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記洗浄トレイは、前記給水トレイと、筒状部材とを有し、
前記第2底部は、前記第1底部であり、
前記第2側壁部は、前記第1側壁部と、前記筒状部材とを有し、
前記筒状部材は、前記第1側壁部に嵌合して、前記第1側壁部の上方へ突出する、請求項3又は請求項4に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記加湿フィルタに風を送る送風部と、
前記送風部及び前記駆動部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、フィルタ洗浄時に、
前記駆動部の駆動により前記洗浄トレイ内の前記加湿フィルタを回動させ、
前記送風部の送風動作を停止させる、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記駆動部は、駆動モータを含み、
前記制御部は、フィルタ洗浄時に、所定時間間隔ごとに前記駆動モータの回転方向を反転させる反転処理を実行する、請求項6に記載の加湿装置。
【請求項8】
前記駆動部は、駆動モータを含み、
前記制御部は、フィルタ洗浄時に、前記駆動モータの回転方向を第1回転方向と第2回転方向とに切り替える揺動回転処理を実行し、
前記第2回転方向は前記第1回転方向とは反対の回転方向であり、
前記駆動モータを前記第1回転方向に回転させる第1時間間隔は、前記駆動モータを前記第2回転方向に回転させる第2時間間隔よりも長く、
前記第1時間間隔と前記第2時間間隔との合計時間間隔は、前記加湿フィルタが1回転するのに要する時間間隔よりも短い、請求項6に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿フィルタ洗浄装置及び加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿装置は、水を溜める容器(給水トレイ)と、加湿フィルタと、送風ファンとを備える。加湿装置は、給水トレイ内の水を吸い上げた加湿フィルタに送風ファンで風を送り、風により気化した水分を機外に排出して、屋内を加湿する(特許文献1を参照)。
【0003】
加湿装置に給水される加湿用の水(水道水)には、カルシウムなどのミネラルが含まれている。ミネラルは、運転により加湿装置の加湿フィルタに蓄積し、加湿フィルタに汚れや性能劣化を引き起こす場合がある。そのため、加湿フィルタは、定期的なメンテナンス(いわゆる「お手入れ」)として、例えば1か月に一回程度、加湿装置から取り出して洗浄を行うことが推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-66445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の加湿装置の加湿フィルタの洗浄は、加湿フィルタを漬け置き洗いするためのスペースを別途用意せねばならず、煩雑で手間も時間もかかる。
【0006】
本発明は、加湿フィルタの洗浄を手軽に行うことのできる加湿フィルタ洗浄装置及び加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加湿フィルタ洗浄装置は、加湿フィルタと、駆動部と、洗浄トレイとを備える。前記駆動部は、前記加湿フィルタを中心軸周りに回動させる。前記洗浄トレイは、前記加湿フィルタを収容して前記加湿フィルタの一部を洗浄液に浸漬させる。
【0008】
本発明の加湿装置は、気化式の加湿フィルタと、駆動部と、給水トレイと、洗浄トレイと、トレイ収容部を含む筐体とを備える。前記駆動部は、前記加湿フィルタを中心軸周りに回動させる。前記給水トレイは、前記加湿フィルタに水を供給する。前記洗浄トレイは、前記加湿フィルタの一部を洗浄液に浸漬させる。前記筐体は、加湿運転時に、前記加湿フィルタを収容した前記給水トレイを前記トレイ収容部に収容し、フィルタ洗浄時に、前記加湿フィルタを収容した前記洗浄トレイを前記トレイ収容部に収容する。前記給水トレイは、前記加湿フィルタを回転自在に支持する第1底部と、前記第1底部から上方に延設された第1側壁部とを含む。前記洗浄トレイは、前記加湿フィルタを回転自在に支持する第2底部と、前記第2底部から上方に延設された第2側壁部とを含む。前記洗浄トレイにおける前記第2底部の底面から前記第2側壁部の上端までの高さは、前記給水トレイにおける前記第1底部の底面から前記第1側壁部の上端までの高さより高い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加湿フィルタの洗浄を手軽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の加湿装置の断面図である。
図2】実施形態の加湿装置の分解斜視図である。
図3】加湿フィルタを支持した給水トレイの斜視図である。
図4】加湿フィルタを取り外した給水トレイの斜視図である。
図5】第1実施形態の加湿装置において洗浄トレイの組み立てを示す斜視図である。
図6】第1実施形態の加湿装置の洗浄トレイの斜視図である。
図7】第1実施形態の加湿装置の洗浄トレイに加湿フィルタを挿入した状態を示す図である。
図8】第2実施形態の加湿装置の洗浄トレイの斜視図である。
図9】第3実施形態の加湿装置の洗浄トレイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、加湿装置は床面(水平面)に載置して使用されることを考慮して、床面に沿った方向を「水平方向」、鉛直方向を「上下方向」と記載する場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
図1から図4を参照して、第1実施形態で用いる加湿装置100の構成について説明する。なお、図1から図4は、加湿フィルタFの洗浄開始前の状態を示す図であり、加湿フィルタFの洗浄時には、図1から図4のトレイ部20に代えて、第1実施形態では図6及び図7に示す洗浄トレイ7が、筐体10内の加湿フィルタ収容空間13に収容される。
【0013】
図1は、実施形態の加湿装置100の断面図であり、図2は、加湿装置100の分解斜視図である。図3は、加湿フィルタFを支持したトレイ部20の斜視図である。図4は、加湿フィルタFを取り外したトレイ部20の斜視図である。なお、図1における矢印Dは、加湿する空気の気流(風)の流過方向を示す。
【0014】
図1に示すように、実施形態で使用する加湿装置100は、加湿フィルタFと、筐体10と、トレイ部20と、送風部40と、フィルタ駆動部50と、制御部60と、操作パネル61と、集塵フィルタ71と、脱臭フィルタ72とを備える。更に、加湿装置100は、図2に示すように、貯水部30を備える。実施形態の加湿装置100は、空気清浄フィルタを備える空気清浄機能付き加湿装置又は加湿機能付き空気清浄機である。
【0015】
筐体10は、前吹出口11と、後吹出口12と、加湿フィルタ収容空間13と、空清フィルタ収容空間14と、内面パネル15と、後面パネル16とを備える。
【0016】
前吹出口11及び後吹出口12は、筐体の上部に位置する。前吹出口11は、加湿フィルタFで加湿された空気を、筐体10の前面に向けて吹き出す。後吹出口12は、加湿された空気を、筐体10の後面(背面)に向けて吹き出す。
【0017】
加湿フィルタ収容空間13は、トレイ部20と貯水部30とを収容する。トレイ部20及び貯水部30の詳細については、図2を参照して後述する。
【0018】
空清フィルタ収容空間14は、内面パネル15と後面パネル16との間に形成される。空清フィルタ収容空間14は、集塵フィルタ71と、脱臭フィルタ72とを収容する。集塵フィルタ71と脱臭フィルタ72とは、後面パネル16により、空清フィルタ収容空間14内に保持される。
【0019】
送風部40は、送風モータ41と、送風ファン42とを含む。送風ファン42は、例えばシロッコファンである。送風ファン42は、送風モータ41の駆動により回転する。
【0020】
送風ファン42は、送風モータ41の駆動により回転して、筐体10後面側の空気を、脱臭フィルタ72及び集塵フィルタ71を介して吸い込む。吸い込んだ空気は、加湿フィルタFを通過する間に加湿され、前吹出口11又は後吹出口12、あるいはその両方から、加湿空気として送り出される。
【0021】
加湿フィルタFは、加湿フィルタ部1と、加湿フィルタ容器2と、加湿フィルタ容器2の外周(外周面)に形成された歯車部3とを含む。加湿フィルタFは、図4に示すように、給水トレイ21内の2つの支持ローラ22により、回転自在に支持される。
【0022】
フィルタ駆動部50は、駆動モータ51と、駆動ギア52(伝達部材)とを含む。フィルタ駆動部50は、加湿フィルタFを回転させる。具体的には、駆動ギア52は、駆動モータ51の駆動により回転する。駆動ギア52は、加湿フィルタFの歯車部3に当接して、駆動モータ51の回転駆動を加湿フィルタ容器2に伝達する。これにより、加湿フィルタFは、高さ方向(上下方向)中央の回転軸(図1の一点鎖線Ax)周りに回転する。
【0023】
なお、回転は、時計回り又は反時計回りのいずれにも可能である。また、回転方向、及び回転速度、回転角度(位相)、回転停止位置等は、制御部60の指示又は指令により任意に設定可能である。
【0024】
貯水部30及びトレイ部20について、図2及び図3図4を参照して説明する。
【0025】
貯水部30は、図2に示すように、水タンク31と、タンクキャップ32と、ハンドル33とを含む。トレイ部20は、図2から図4に示すように、給水トレイ21と、支持ローラ22と、給水部23と、トレイ仕切り24と、給水口25と、凸部26と、フロート27とを含む。
【0026】
貯水部30の水タンク31は、加湿フィルタFへ供給する水を貯留する。タンクキャップ32は、水タンク31の給水用開口の外縁に形成されたねじに締結される。タンクキャップ32は、貯留した水の外部への流出を防止する逆止弁を有する。ハンドル33は、水タンク31を持ち運びする際の取っ手である。ハンドル33は、水タンク31を縦置きする場合のスタンドを兼ねる。
【0027】
貯水部30が加湿フィルタ収容空間13に収容される場合、水タンク31は、その下部をトレイ部20の給水部23に嵌め入れ、給水部23の上に載置された状態で、トレイ部20ごと加湿フィルタ収容空間13に押し込まれ、収容される(図2参照)。なお、貯水部30は、単独で、加湿フィルタ収容空間13から取り外すこともできる。
【0028】
給水部23は、凸部26を有する。凸部26は、水タンク31が給水部23に載置された場合、タンクキャップ32の逆止弁を押し上げる。これにより、給水部23内の水の水位が低下した場合、水タンク31内の水が、給水部23に自動的に補給される。
【0029】
トレイ部20の給水トレイ21は、加湿フィルタFに給水する水を貯留する。給水トレイ21と給水部23とを区画する壁(隔壁)には、隔壁を貫通する給水口25が設けられている。これにより、水タンク31から、給水部23及び給水口25を経由して、給水トレイ21に水が供給される。
【0030】
給水トレイ21は、図4に示すように、高さ方向の中間部分に段部21aを有する。段部21aより上側は、開口面積が大きな幅広部である。給水トレイ21は、段部21aより下側(底部21b側)の幅狭部に、支持ローラ22を有する。なお、給水トレイ21の底部21bは、本発明の第1底部の一例である。
【0031】
支持ローラ22は、給水トレイ21内部の底部21b(底面)に配置されている。支持ローラ22は、それぞれ、給水トレイ21内において、図3に示すように支持ローラ22の上に載置された加湿フィルタFを回転自在に支持する。なお、ローラ以外に、ころや軸受で加湿フィルタFの回転を支持してもよい。
【0032】
給水部23と給水トレイ21の間の隔壁の上部には、トレイ仕切り24が配設されている。トレイ仕切り24は、送風ファン42が発生させる気流(風)が、加湿フィルタ収容空間13から外に漏れ出すのを抑制する。
【0033】
フロート27は、給水部23内の水位の検知に利用される。フロート27に関する説明は割愛する。
【0034】
図1に示すように、加湿装置100は、制御部60と、操作パネル61とを有する。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部60は、記憶部(図示省略)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、加湿装置100の各要素を制御する。
【0035】
操作パネル61は、筐体10の上面に配置される。操作パネル61は、表示部と、タッチパネルとを含む。タッチパネルは、操作入力部として機能する。
【0036】
以上の構成の加湿装置100において、装置内で加湿フィルタFの洗浄を行う場合、通常の加湿運転時に用いられるトレイ部20に代えて、加湿フィルタ収容空間13に、加湿フィルタFを洗浄液に浸すための洗浄トレイ7(図5図7)が収容される。
【0037】
以下、図5から図7を参照して、洗浄トレイ7について説明する。図5は、第1実施形態の加湿装置100において洗浄トレイ7の組み立て方法を示す斜視図である。図6は、第1実施形態の洗浄トレイ7の斜視図である。図7は、第1実施形態の洗浄トレイ7に加湿フィルタFを挿入した状態を示す図である。
【0038】
第1実施形態の洗浄トレイ7は、トレイ部20と、筒状部材4と、シール部材5及びシール部材6とを含む。具体的には、第1実施形態の洗浄トレイ7は、図5に示すように、トレイ仕切り24を取り外したトレイ部20に、筒状部材4と、シール部材5及びシール部材6とを取り付けて構成される。
【0039】
図5に示すように、筒状部材4は、上部と下部とが開口する中空筒状の部材である。筒状部材4は、例えば樹脂成形品である。筒状部材4は、筒状部4aと、筒状部4aの下側に突出する止水部4bとを含む。
【0040】
筒状部材4は、シール部材5及びシール部材6を備える。シール部材5及びシール部材6は、例えばゴム製の止水パッキンである。図5に示すように、シール部材5は、筒状部4aの下側端面に位置する。シール部材6は、止水部4bの外側側面に配置される。
【0041】
筒状部材4は、トレイ部20の給水トレイ21部分の内部にはめ込まれる。具体的には、図6に示すように、筒状部4aの下部が、給水トレイ21の段部21aより上側の幅広部(図4参照)の内側に嵌め込まれる。筒状部4aの外形(外周)は、給水トレイ21の段部21aより上側の第1側壁部21cの内周に沿った形状を有する。そのため、筒状部4aは、給水トレイ21の内側にぴったり嵌合する、いわゆるインロー(印籠)嵌合を形成する。
【0042】
なお、筒状部4aは、洗浄トレイ7の第2側壁部の一例である。筒状部4aを第2側壁部4aと記載する場合がある。洗浄トレイ7における第2底部(底部21b)の底面から第2側壁部4aの上端までの高さは、給水トレイ21における第1底部(底部21b)の底面から第1側壁部21cの上端までの高さより高い。
【0043】
また、嵌め入れられた筒状部4aの下端と給水トレイ21の段部21aとの間には、シール部材5(止水パッキン)が、挟み込まれるように配置される。これにより、筒状部4aと給水トレイ21との間からの漏水が防止される。シール部材5は、筒状部4aの外形(外周)と給水トレイ21の第1側壁部21cとの間に挟み込まれるように配置してもよい。
【0044】
筒状部4aが給水トレイ21の内側に嵌め入れられた場合、図6に示すように、シール部材6(止水パッキン)は、給水口25に密着する。これにより、給水口25は水密に密封され、給水部23への漏水が防止される。
【0045】
以上の構成により、2つの部材を組み合わせて構成した洗浄トレイ7(図6)であっても、この洗浄トレイ7の中に、洗浄液を漏らすことなく長時間保持することができる。
【0046】
加湿フィルタFの洗浄は、先ず、図6に示す洗浄トレイを組み立て、洗浄液を満たした洗浄トレイ7に加湿フィルタFを浸漬し(図7)、その状態で、加湿フィルタFを含む洗浄トレイ7を、筐体10の加湿フィルタ収容空間13に戻す。
【0047】
加湿フィルタFの洗浄を行う際は、洗浄トレイ7の中に、加湿フィルタFの高さの1/2以上にまで及ぶ高さHまで、洗浄液を投入する。洗浄液の高さ(洗浄トレイ7の中においては「液深さ」)を、加湿フィルタFの高さの1/2以上とする理由は、加湿フィルタFを回転させた場合に、加湿フィルタFの全ての領域が、1回転の間に少なくとも一度は洗浄液に浸かるようにするためである。
【0048】
なお、具体的には、図7に示すように、加湿フィルタFは洗浄トレイ7内において、底部の支持ローラ22より回転可能に支持されるため、実際の洗浄液の高さ(液深さ)は、加湿フィルタFの径(直径)の1/2を示す「H1」に、支持ローラ22の径(直径)を示す「H2」を加えた分以上の高さ(液深さ)が必要となる。実施形態1の洗浄トレイ7の側壁(第2側壁部4a)の高さHは、液深さ「H1+H2」の洗浄液を貯留するのに充分な側壁の高さを有している。
【0049】
図7に示すように、洗浄液を貯留した洗浄トレイ7に加湿フィルタFを浸漬し、洗浄トレイ7を加湿フィルタ収容空間13に収容した場合、浸漬された加湿フィルタFの歯車部3に、フィルタ駆動部50の駆動ギア52が当接する(図1を参照)。
【0050】
従って、第1実施形態の洗浄トレイ7は、加湿フィルタFを洗浄液に浸漬した状態で、駆動モータ51の駆動により加湿フィルタFを回転又は揺動させることができる。なお、加湿フィルタFと、フィルタ駆動部50と、加湿フィルタFを収容して加湿フィルタFの一部を洗浄液に浸漬させる洗浄トレイ7とは、「加湿フィルタ洗浄装置」の一例である。
【0051】
加湿フィルタFの洗浄液への浸漬及び洗浄操作(回転)について説明する。
【0052】
洗浄トレイ7に貯留する洗浄液としては、台所用合成洗剤を水道水で希釈した洗浄液の他、重曹を含む洗浄液、又は、クエン酸を含む洗浄液を用いてもよい。重曹を含む洗浄液を用いれば、水あか等を効果的に落とすことができる。また、クエン酸を含む洗浄液を用いれば、カルシウム等のミネラルを効果的に落とすことができる。
【0053】
加湿フィルタFの回転を伴う洗浄操作は、制御部60の制御により実行される。制御部60は、洗浄液へ浸漬した状態で加湿フィルタFを回転させる場合、例えば一回転に15~60分程度かかるような低速で加湿フィルタFを回転させる。この場合、加湿フィルタFの乾燥を避けるため、送風ファン42を停止した状態で行う。
【0054】
更に、制御部60は、洗浄時の加湿フィルタFの回転を制御する「加湿フィルタ洗浄モード」を備えていてもよい。加湿装置100の加湿フィルタ洗浄モードへの切り替えは、操作パネル61を介したユーザーの操作入力により行われる。具体的には、モードの切り替えは、ユーザーが洗浄トレイ7を加湿フィルタ収容空間13に収容した後、操作パネル61を通じた手動入力により行われる。
【0055】
制御部60が、加湿フィルタ洗浄モードにおいて行う加湿フィルタFの回転パターン(駆動モータ51の駆動パターン)としては、以下のものがある。
【0056】
(1)所定時間間隔ごとに駆動モータ51を所定時間の間動作させ、加湿フィルタFを間欠で回転させる間欠回転処理パターン。具体的には、例えば15~30分程度の間隔で、加湿フィルタFを、1/4回転又は1/2回転させ、回転を止めて次のタイミングまで待機する操作を、指定された時刻まで繰り返す。これにより、円板状の加湿フィルタFの全周を、もれなく洗浄することができる。
【0057】
(2)所定時間間隔ごとに駆動モータ51の回転方向を反転させ、加湿フィルタFの右回転-左逆転を切り換える反転処理パターン。具体的には、例えば一回転に10~20分程度かかるような低速で加湿フィルタFを回転させながら、一回転の完了ごとに、加湿フィルタFの回転方向を逆向きに切り替える。これにより、比較的短時間で、加湿フィルタFの全周の洗浄を完了することができる。加湿フィルタFの汚れの程度が少ない場合や、メンテナンスサイクルが短い場合に適用してもよい。
【0058】
(3)所定時間間隔ごとに駆動モータ51の回転方向を切り替えながら動作させ、加湿フィルタFを小刻みに振動させる揺動回転処理パターン。詳細には、揺動回転処理は、加湿フィルタFの洗浄時に、駆動モータ51の回転方向を第1回転方向と第2回転方向とに切り替える。第2回転方向は、第1回転方向とは反対の回転方向である。なお、駆動モータ51を第1回転方向に回転させる第1時間間隔は、駆動モータ51を第2回転方向に回転させる第2時間間隔よりも長く、第1時間間隔と第2時間間隔との合計時間間隔は、加湿フィルタFが1回転するのに要する時間間隔よりも短い。
【0059】
具体的には、揺動回転処理パターンは、例えば加湿フィルタFは3分間の正回転と2分間の逆回転とを繰り返し、加湿フィルタF全体が1回転すれば、今度は3分間の逆回転と2分間の正回転とを繰り返すように洗浄を行う。これにより、加湿フィルタFの汚れが多い場合でも、フィルタと洗浄液との接触機会を多くして、汚れを効率的に落とすことができる。
【0060】
なお、制御部60が実行する駆動モータ51の駆動パターンは、以上の(1)、(2)、(3)に限られるものではない。これらは組み合わせてもよく、(1)、(2)、(3)以外の駆動パターンとしてもよい。
【0061】
以上の構成により、第1実施形態の加湿装置100は、加湿フィルタFの洗浄を、装置内で手間なく簡単に行うことができる。
【0062】
[第2実施形態]
続いて、図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。但し、以下では第1実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する場合がある。
【0063】
図8は、給水トレイ21に筒状部材4を取り付けて構成した洗浄トレイ8に、加湿フィルタFを浸漬させた状態を示す斜視図である。図8に示す第2実施形態の洗浄トレイ8は、トレイ仕切り24の有無の点で、図7に示す第1実施形態の洗浄トレイ7とは異なる。
【0064】
詳細には、図8の洗浄トレイ8は、図3及び図4に示すトレイ部20からトレイ仕切り24を取り外さずに、給水トレイ21へ筒状部材4を取り付けたものである。従って、図7に示す第1実施形態の洗浄トレイ7とは、止水板4cの形状と位置が異なる。
【0065】
筒状部材4の筒状部4aは、洗浄トレイ7と同様、給水トレイ21の上部の第1側壁部21cの内側に嵌め入れられ、給水トレイ21との間は、シール部材5により水密に維持される。洗浄液に浸漬された加湿フィルタFは、2つの支持ローラ22により支持される。
【0066】
また、給水部23との間の給水口25は、止水板4cの内側(隔壁側)に配置されたシール部材6(止水パッキン)により水密に密封され、洗浄液の給水部23側への漏水が防止されている。
【0067】
なお、第2実施形態の洗浄トレイ8は、図8に示す状態で、加湿フィルタ収容空間13に収容される。
【0068】
以上の構成によっても、洗浄トレイ8の中に、加湿フィルタFの洗浄に充分な量の洗浄液を保持できる。また、加湿フィルタFが支持ローラ22に回転可能に支持されるため、加湿フィルタFの洗浄時に、加湿フィルタFを洗浄液に浸漬した状態で回転させることができる。
【0069】
従って、第2実施形態の洗浄トレイ8を用いても、加湿装置100は、加湿フィルタFの洗浄を手軽に実行することができる。
【0070】
[第3実施形態]
続いて、図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。但し、以下では第1実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する場合がある。
【0071】
図9は、第3実施形態の洗浄トレイ9の斜視図である。図9に示す第3実施形態の洗浄トレイ9は、図3及び図4に示すトレイ部20を筐体10から取り外した後、トレイ部20の代わりに、加湿フィルタ収容空間13に収容することを企図したものである。すなわち、洗浄トレイ9は、トレイ部20と交換して使用される。
【0072】
図9に示す第3実施形態の洗浄トレイ9は、有底筒状の一体成形物である。洗浄トレイ9は、底部9a(第2底部)と、筒部9b(第2側壁部)とを含む。洗浄トレイ9は、底部9aと筒部9bとの間に継ぎ目(隙間)がない点で、図7に示す第1実施形態の洗浄トレイ7とは異なる。部材間の継ぎ目(隙間)がないため、洗浄水が漏れる心配がない。
【0073】
底部9aは、図7に示す給水トレイ21の段部21aより下側の底部21b(第1底部)と同じ形状であり、内側には、2つの支持ローラ22が配置されている。筒部9bは、筒状部材4の筒状部4a(第2側壁部)及び給水トレイ21の段部21aより上側と同じ形状である。
【0074】
なお、図9に示す洗浄トレイ9においても、第1実施形態の洗浄トレイ7と同様、トレイの側壁(高さH)は、支持ローラ22(高さH2)に支持された状態の加湿フィルタFの直径の1/2(高さH1)以上が洗浄液に浸かるのに充分な液深さ「H1+H2」を確保できるだけの高さを有している。
【0075】
更に、洗浄トレイ9は、加湿フィルタ収容空間13に収容された場合、加湿フィルタFを洗浄液に浸漬した状態で回転させることができる。従って、第3実施形態の洗浄トレイ9を用いても、加湿装置100は、加湿フィルタFの洗浄を手軽に実行することができる。
【0076】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0077】
図1から図9を参照して説明した実施形態では、加湿フィルタFの全体形状を円板状としたが、加湿フィルタFの形状は円板(円盤)状に限定されるものではない。例えば球形や半円形状等、回転自在に支持され、回転により、吸水位置と加湿位置とを入れ替えることのできる形状であれば、どのような形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、加湿フィルタ洗浄装置及び加湿装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
F 加湿フィルタ
4 筒状部材
7 洗浄トレイ
8 洗浄トレイ
9 洗浄トレイ
13 加湿フィルタ収容空間
20 トレイ部
21 給水トレイ
40 送風部
50 フィルタ駆動部
60 制御部
100 加湿装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9