(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
B60R 21/274 20110101AFI20240329BHJP
B60R 21/272 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B60R21/274
B60R21/272
(21)【出願番号】P 2020144018
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 一重
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024915(JP,A)
【文献】特開平09-011844(JP,A)
【文献】米国特許第06254128(US,B1)
【文献】特表2009-519168(JP,A)
【文献】特開平07-257310(JP,A)
【文献】特開2013-112252(JP,A)
【文献】特開2000-168480(JP,A)
【文献】特開2008-213529(JP,A)
【文献】特開2009-006918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/274
B60R 21/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火器と、
前記点火器に面する点火室および圧縮ガスが封入されたタンク室を内部に有するとともに、動作時において開口するガス噴出口が設けられてなるハウジングとを備え、
前記ハウジングは、前記点火器が組付けられたホルダと、前記ホルダと共に前記点火室を規定する第1ケーシングと、前記第1ケーシングと共に前記タンク室を規定する第2ケーシングとを有し、
前記第1ケーシングは、軸方向の一端が第1開放端として構成された筒状の第1周壁部と、前記第1周壁部の軸方向の他端を閉塞する底壁部とを含む有底筒状の単一の部材からなる第1ケース体を有し、
前記第2ケーシングは、軸方向の一端が第2開放端として構成された筒状の第2周壁部を少なくとも含む第2ケース体を有し、
前記第1開放端は、前記ホルダによって閉塞され、
前記第2開放端は、前記底壁部によって閉塞され、
前記底壁部には、前記点火室と前記タンク室とに通じる貫通孔が設けられ、
前記点火器の作動に起因して開裂が可能な破裂部材が、前記貫通孔を閉鎖するように前記底壁部に設けられ、
前記破裂部材が、前記貫通孔に挿入されるとともに前記貫通孔を規定する部分の前記底壁部の壁面にその外周面が溶接されることで固定された筒状の固定部と、前記固定部の軸方向の一端を閉塞する板状の破裂部とを含む有底筒状の単一の部材にて構成され
、
前記破裂部材が、前記点火室側から前記貫通孔に差し込み可能な形状を有し、
前記貫通孔が、前記点火室側から前記タンク室側に向かうにつれて内径が小さくなる先細り形状を有し、
前記固定部が、前記貫通孔の先細り形状に対応して前記点火室側から前記タンク室側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状を有している、ガス発生器。
【請求項2】
前記底壁部の前記点火室側の主面に当接することによって前記破裂部材が前記タンク室側に向けて移動することを規制するストッパ部が、前記破裂部材に設けられている、請求項
1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記破裂部が、前記固定部の前記タンク室側の端部に位置している、請求項1
または2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記固定部と前記破裂部とを接続する環状形状のコーナー部の外側表面が、湾曲面にて構成されている、請求項
3に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの内部に設けられたタンク室に封入された圧縮ガスが、点火器が作動することで外部に向けて噴出するように構成されたガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗員保護装置であるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器は、車両等衝突時に車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器が着火し、これに起因して瞬時に多量のガスが外部に向けて放出されるように構成されたものであり、これによってエアバッグを膨張および展開させる機器である。当該ガス発生器は、そのガスの放出メカニズムに基づき、パイロ型ガス発生器と、ストアード型ガス発生器と、ハイブリッド型ガス発生器とに大別される。
【0003】
パイロ型ガス発生器は、ガス発生剤がハウジングの内部に収容されてなるものであり、ガス発生剤が点火器の作動によって着火されて燃焼し、これによって多量のガスが発生させられて外部に放出されるものである。
【0004】
ストアード型ガス発生器は、圧縮ガスがハウジングの内部に封入されてなるものであり、圧縮ガスを封止する破裂板が点火器の作動によって開裂し、これによって圧縮ガスが外部に放出されるものである。
【0005】
ハイブリッド型ガス発生器は、圧縮ガスがハウジングの内部に封入されるとともに、さらに発熱剤がハウジングの内部に収容されてなるものであり、圧縮ガスを封止する破裂板が点火器の作動によって開裂するとともに、発熱剤が点火器の作動によって着火されて燃焼し、これにより圧縮ガスが断熱膨張することで発生し得るエネルギーロスを当該発熱剤が燃焼することで生じる熱によって補いつつ、圧縮ガスが外部に放出されるように構成されたものである。
【0006】
ここで、上述した各種のガス発生器のうち、ストアード型ガス発生器の具体的な構造が開示された文献としては、たとえば特開2003-182506号公報(特許文献1)等があり、ハイブリッド型ガス発生器の具体的な構造が開示された文献としては、たとえば特開2016-68658号公報(特許文献2)や特開2009-51236号公報(特許文献3)等がある。
【0007】
このうち、上記特許文献1に開示のストアード型ガス発生器および上記特許文献2に開示のハイブリッド型ガス発生器は、一般にリバースフロー構造と称される構造のものであり、圧縮ガスが封入されたタンク室と点火器が収容された点火室とを仕切る仕切り部に連通孔が設けられるとともに、点火室を規定する部分のハウジングにガス噴出口が設けられてなるものである。当該リバースフロー構造のストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器においては、連通孔およびガス噴出口のうちの連通孔のみがタンク室に面するように設けられているため、上述した破裂板は、この連通孔を閉鎖するように設けられ、ガス噴出口は、点火室を外部から気密に封止する封止部材によって閉鎖されるのみである。
【0008】
一方、上記特許文献3に開示のハイブリッド型ガス発生器は、一般にブローダウン構造と称される構造のものであり、圧縮ガスが封入されたタンク室と点火器が収容された点火室とを仕切る仕切り部に連通孔が設けられるとともに、タンク室を規定する部分のハウジングにガス噴出口が設けられてなるものである。当該ブローダウン構造のハイブリッド型ガス発生器においては、連通孔およびガス噴出口がいずれもタンク室に面するように設けられているため、上述した破裂板は、これら連通孔およびガス噴出口をそれぞれ個別に閉鎖するように一対設けられる。
【0009】
ここで、上記特許文献1ないし3に開示されたストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器においては、仕切り部に設けられた連通孔を閉塞する破裂板が、いずれも抵抗溶接によって仕切り部に固定されている。この抵抗溶接は、仕切り部に対して破裂板を加圧した状態で接触させつつこれらに電流を印加することにより、電気抵抗によるジュール熱を発生させてこれらを局所的に溶融させて接合するものである。
【0010】
なお、上述したストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器においては、ハウジングに設けられたタンク室に圧縮ガスを封入することが必要になる。この圧縮ガスの封入方法としては、たとえば特開2000-227199号公報(特許文献4)に開示の方法が知られている。
【0011】
当該特許文献4に開示の圧縮ガスの封入方法は、ハウジングを構成する円筒状部材の周壁のうちのタンク室を規定する部分に予めガス注入口を設けておき、当該ガス注入口を介してガスをタンク室に送り込んだ後に、当該ガス注入口が封止ピンによって閉鎖されるように当該封止ピンを円筒状部材に溶接するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2003-182506号公報
【文献】特開2016-68658号公報
【文献】特開2009-51236号公報
【文献】特開2000-227199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、仕切り部に対して破裂板を抵抗溶接によって接合するためには、これらを確実に接触させつつもその接触面積が必要以上に大きくならないようにすることが重要である。そのため、上記特許文献1ないし3においては、仕切り部の連通孔が設けられた部分の周囲に凹凸形状を付与することとし、これによって仕切り部と破裂板との接触面積が所定の大きさとなるように工夫されている。
【0014】
しかしながら、仕切り部にこのような凹凸形状を付与するためには、仕切り部の製作に際してたとえば切削加工等の追加の加工を施すことが必要になってしまい、製造コストの増大を招いてしまう。したがって、ストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器をより安価に製造する観点からは、この仕切り部に対する破裂板の組付構造を改良することが必要である。
【0015】
一方で、上記特許文献4に開示される如くの圧縮ガスの封入方法を採用してストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器を製造することとした場合には、ハウジングの所定部位に圧縮ガスの封入にのみ用いる構造部(すなわち、上述した円筒状部材の周壁に設けられたガス注入口および当該ガス注入部を閉鎖する封止ピンならびにその溶接部等)を設ける必要があり、ガス発生器自体の構成の複雑化、部品点数の増加、組立作業の煩雑化等を招来し、結果として製造コストが増大してしまう問題があった。
【0016】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、ストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器をより容易にかつ安価に製造可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に基づくガス発生器は、点火器と、ハウジングとを備えている。上記ハウジングは、上記点火器に面する点火室および圧縮ガスが封入されたタンク室を内部に有するとともに、動作時において開口するガス噴出口が設けられてなるものである。上記ハウジングは、上記点火器が組付けられたホルダと、上記ホルダと共に上記点火室を規定する第1ケーシングと、上記第1ケーシングと共に上記タンク室を規定する第2ケーシングとを有している。上記第1ケーシングは、軸方向の一端が第1開放端として構成された筒状の第1周壁部と、上記第1周壁部の軸方向の他端を閉塞する底壁部とを含む有底筒状の単一の部材からなる第1ケース体を有している。上記第2ケーシングは、軸方向の一端が第2開放端として構成された筒状の第2周壁部を少なくとも含む第2ケース体を有している。上記第1開放端は、上記ホルダによって閉塞されており、上記第2開放端は、上記底壁部によって閉塞されている。上記底壁部には、上記点火室と上記タンク室とに通じる貫通孔が設けられており、上記点火器の作動に起因して開裂が可能な破裂部材が、上記貫通孔を閉鎖するように上記底壁部に設けられている。上記破裂部材は、上記貫通孔に挿入されるとともに上記貫通孔を規定する部分の上記底壁部の壁面にその外周面が溶接されることで固定された筒状の固定部と、上記固定部の軸方向の一端を閉塞する板状の破裂部とを含む有底筒状の単一の部材にて構成されている。上記破裂部材は、上記点火室側から上記貫通孔に差し込み可能な形状を有している。上記貫通孔は、上記点火室側から上記タンク室側に向かうにつれて内径が小さくなる先細り形状を有しており、上記固定部は、上記貫通孔の先細り形状に対応して上記点火室側から上記タンク室側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状を有している。
【0020】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記底壁部の上記点火室側の主面に当接することによって上記破裂部材が上記タンク室側に向けて移動することを規制するストッパ部が、上記破裂部材に設けられていてもよい。
【0021】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記破裂部が、上記固定部の上記タンク室側の端部に位置していることが好ましい。
【0022】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記固定部と上記破裂部とを接続する環状形状のコーナー部の外側表面が、湾曲面にて構成されていてもよい。
【0023】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、燃焼することで高温の熱を発生させる発熱剤が、上記点火室に充填されていてもよい。
【0024】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第2ケース体が、上記第2周壁部の軸方向の他端が第3開放端として構成された筒状の部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記第2ケーシングが、上記第3開放端を閉塞するとともに上記ガス噴出口が設けられたノズル体をさらに有していてもよい。
【0025】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第2ケース体が、上記第2周壁部の軸方向の他端を閉塞する閉塞部を含む有底筒状の単一の部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記ガス噴出口が、上記第1周壁部に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ストアード型ガス発生器およびハイブリッド型ガス発生器をより容易にかつ安価に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
【
図2】
図1に示す点火器組立体および点火室の近傍の拡大図である。
【
図3】
図1に示すノズル組立体の近傍の拡大図である。
【
図4】
図1に示すハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図5】実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図である。
【
図6】
図5に示す製造フローにおける第2ケーシングの組立ておよび第1ケーシングへの第2ケーシングの組付け工程を示す模式断面図である。
【
図7】
図5に示す製造フローにおける圧縮ガス封入装置のヘッド部に対する第1ケーシングの位置決め工程を示す模式断面図である。
【
図8】
図5に示す製造フローにおける真空引き工程を示す模式断面図である。
【
図9】
図5に示す製造フローにおけるガス充填工程を示す模式断面図である。
【
図10】
図5に示す製造フローにおける第1ケーシングに対する破裂部材の組付け工程を示す模式断面図である。
【
図11】
図5に示す製造フローにおける第1ケーシングへの点火器組立体の組付け工程を示す模式断面図である。
【
図12】実施の形態1に基づいた第1変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図13】実施の形態1に基づいた第2変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図14】実施の形態1に基づいた第3変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図15】実施の形態1に基づいた第4変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図16】実施の形態1に基づいた第5変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図17】実施の形態1に基づいた第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図18】実施の形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。
【
図19】
図18に示す点火器組立体および点火室の近傍ならびに第2ケーシングの閉塞部の近傍の拡大図である。
【
図20】関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
【
図21】
図20に示す点火器組立体および点火室の近傍の拡大図である。
【
図22】
図20に示すハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図23】関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図である。
【
図24】
図23に示す製造フローにおける圧縮ガス封入装置のヘッド部に対する第1ケーシングの位置決め工程を示す模式断面図である。
【
図25】
図23に示す製造フローにおける第1ケーシングに対する封止部組立体の組付け工程を示す模式断面図である。
【
図26】関連形態1に基づいた第7変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図27】関連形態1に基づいた第8変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。
【
図28】関連形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。
【
図29】
図28に示す点火器組立体および点火室の近傍ならびに第2ケーシングの閉塞部の近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器としてのハイブリッド型ガス発生器またはストアード型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
図2は、
図1に示すハイブリッド型ガス発生器の点火器組立体および点火室の近傍の拡大図であり、
図3は、ノズル組立体の近傍の拡大図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの構成について説明する。なお、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aは、いわゆるブローダウン構造を有するものである。
【0030】
図1に示すように、ハイブリッド型ガス発生器1Aは、全体として長尺略円柱状の外形を有している。ハイブリッド型ガス発生器1Aは、第1ケーシング10と、第2ケーシング20と、点火器組立体30と、ノズル組立体40と、破裂部材50と、発熱剤60と、図には現れない圧縮ガスとを主として備えている。
【0031】
ハイブリッド型ガス発生器1Aのハウジングは、点火器組立体30に含まれるホルダ31と、第1ケーシング10と、第2ケーシング20とによって構成されている。このうち、第1ケーシング10は、第1ケース体11にて構成されており、第2ケーシング20は、第2ケース体21と、ノズル組立体40に含まれるノズル体41とによって構成されている。
【0032】
ハウジングの内部の空間は、ホルダ31および第1ケース体11によって主として規定された点火室S1と、第1ケース体11、第2ケース体21およびノズル体41によって主として規定されたタンク室S2とに区画されている。点火室S1には、発熱剤60が充填されており、タンク室S2には、圧縮ガスが封入されている。
【0033】
図1および
図2に示すように、第1ケース体11は、第1周壁部11aおよび底壁部11bを含む有底円筒状の単一の部材からなる。第1周壁部11aは、円筒状の形状を有しており、その軸方向の一端が第1開放端11a1として構成されている。底壁部11bは、中央に貫通孔11b1が設けられた円盤状の形状を有しており、第1周壁部11aの軸方向の他端を閉塞している。
【0034】
貫通孔11b1は、点火室S1およびタンク室S2の双方に通じるように底壁部11bに設けられている。当該貫通孔11b1は、タンク室S2に圧縮ガスを封入する際にガス注入口として用いられるものであり、圧縮ガスの注入後においては、破裂部材50によって閉鎖される。なお、貫通孔11b1は、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において点火室S1とタンク室S2とを連通させる連通孔が形成される部位でもある。
【0035】
第1ケース体11は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、第1ケース体11の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0036】
図1ないし
図3に示すように、第2ケース体21は、第2周壁部21aを含む円筒状の単一の部材からなる。第2周壁部21aは、円筒状の形状を有しており、その軸方向の一端が第2開放端21a1として構成されるとともに、その軸方向の他端が第3開放端21a2として構成されている。
【0037】
第2ケース体21は、第1ケース体11に固定されている。より詳細には、第2ケース体21は、その第2周壁部21aの第2開放端21a1が第1ケース体11の第1周壁部11aの閉塞端(すなわち、底壁部11bによって閉塞された第1周壁部11aの軸方向端部)に外挿されることで圧入されるとともに、第1ケース体11と第2ケース体21との接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、第1ケース体11と第2ケース体21との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0038】
これにより、第2ケース体21の第2開放端21a1は、第1ケース体11の底壁部11bによって閉塞されることになる。また、これにより、第1ケース体11と第2ケース体21とが同軸上に位置することになり、第1周壁部11aと第2周壁部21aとによってハイブリッド型ガス発生器1A全体としてのハウジングの周壁が構成されることになる。
【0039】
第2ケース体21は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、第2ケース体21は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0040】
なお、第2ケース体21の第1ケース体11への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0041】
図1および
図2に示すように、点火器組立体30は、ホルダ31と、点火器32と、樹脂成形部33とを有している。点火器組立体30は、ホルダ31と点火器32とを樹脂成形部33を用いて固定してなるものであり、予め一体化された部品として構成されている。
【0042】
ホルダ31は、外形が略円筒状の部材からなり、軸方向に沿って延びる貫通部31aを有している。貫通部31aは、点火器32が収容されるとともに樹脂成形部33が設けられる部位である。
【0043】
ホルダ31は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。
【0044】
点火器32は、火炎を発生させるためのものであり、一般にスクイブと称される火工品からなる。点火器32は、点火部32aと、一対の端子ピン32bとを有している。点火部32aは、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体(ブリッジワイヤ)とを含んでいる。一対の端子ピン32bは、点火薬を着火させるために点火部32aに接続されている。
【0045】
より詳細には、点火部32aは、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン32bが挿通されてこれを保持する塞栓とを含んでおり、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン32bの先端を連結するように上述した抵抗体が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
【0046】
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
【0047】
衝突を検知した際には、端子ピン32bを介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器32が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
【0048】
樹脂成形部33は、射出成形(より特定的にはいわゆるインサート成形)によって形成された樹脂製の部位からなり、ホルダ31および点火器32の双方に固着している。この樹脂成形部33は、射出成形時において型を用いることにより、ホルダ31と点火器32の間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。これにより、ホルダ31の貫通部31aは、点火器32と樹脂成形部33とによって埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が樹脂成形部33によって確保できることになる。
【0049】
射出成形によって形成される樹脂成形部33の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
【0050】
樹脂成形部33には、外部に向けて露出する凹部33aが設けられている。凹部33aの内部には、点火器32の一対の端子ピン32bが配置されている。これにより、点火器組立体30が位置するハウジングの周壁の軸方向の一方端側の端面には、凹部33aおよび一対の端子ピン32bからなる雌型コネクタ部が設けられることになる。
【0051】
当該雌型コネクタ部は、点火器32とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン32bとの電気的導通が実現されることになる。
【0052】
なお、点火器32のホルダ31への固定方法は、上述した樹脂成形部33を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0053】
点火器組立体30は、第1ケース体11に固定されている。より詳細には、点火器組立体30は、当該点火器組立体30が有するホルダ31が第1ケース体11の第1開放端11a1に外挿されることで圧入されるとともに、第1ケース体11とホルダ31との接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、第1ケース体11とホルダ31との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0054】
これにより、第1ケース体11の第1開放端11a1は、ホルダ31(より厳密には、点火器組立体30)によって閉塞されることになり、ホルダ31に組付けられた点火器32の点火部32aが、点火室S1に面することになる。また、これにより、第1ケース体11とホルダ31とが同軸上に位置することになり、ホルダ31によってハイブリッド型ガス発生器1Aのハウジングの周壁の軸方向の一端部が構成されることになる。
【0055】
なお、点火器組立体30の第1ケース体11への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0056】
図1および
図3に示すように、ノズル組立体40は、ノズル体41と、破裂板42とを有している。ノズル組立体40は、ノズル体41に破裂板42を接合することで予め一体化された部品として構成されている。
【0057】
ノズル体41は、中央に貫通孔が設けられた円盤状のベース部41aと、一端が閉塞された円筒状のノズル部41bとを有している。ノズル部41bは、ベース部41aの中央から軸方向に沿って突設されており、これによりハウジングの外部に向けて延びるように位置している。
【0058】
ノズル体41は、圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、ノズル体41の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0059】
ノズル体41は、その内部に中空状の流路部41cを有している。当該流路部41cは、ベース部41aに設けられた貫通孔と、ノズル部41bに設けられた中空部とによって構成されており、これにより当該流路部41cは、タンク室S2に向けて開口する開口部をその一端に有している。この流路部41cのタンク室S2側に設けられた開口部は、破裂板42によって閉鎖されている。
【0060】
ノズル部41bの周壁には、複数のガス噴出口41dが設けられており、当該複数のガス噴出口41dは、いずれも流路部41cに連通している。当該複数のガス噴出口41dは、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において開口することでガスを外部に向けて噴出するための部位であり、流路部41cを介して破裂板42によって閉鎖されている。
【0061】
破裂板42は、円形薄板状の外形を有しており、上述したように流路部41cのタンク室S2側に設けられた開口部を閉鎖するようにノズル体41のベース部41aに固定されている。破裂板42は、点火器32の作動および後述する破裂部材50の破裂部52の開裂に起因して開裂が可能なものであり、好適には金属製の部材にて構成される。
【0062】
ここで、破裂板42の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されるものであるため、破裂板42は、耐腐食性の観点からSUS316(JIS規格記号)やインコネル(登録商標)等の薄肉の金属板から形成されたニッケル合金製の部材にて構成されていることが望ましい。たとえば、破裂板42としては、耐熱性および耐腐食性を有する金属製の薄板(たとえば厚みが200[μm]程度)が好適に用いられ、Ni:10[重量%]、Cr:23[重量%]、Mn:6[重量%]、Mo:2[重量%]、C:0.01[重量%]、N:0.5[重量%]、その他の成分割合からなるステンレス鋼やインコネル合金(インコネル625)からなる薄板が特に好適に用いられる。
【0063】
破裂板42は、たとえば電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接等によってノズル体41に接合されることで固定される。
【0064】
ノズル組立体40は、第2ケース体21に固定されている。より詳細には、ノズル組立体40は、当該ノズル組立体40が有するノズル体41が第2ケース体21の第3開放端21a2に内挿されることで圧入されるとともに、第2ケース体21とノズル体41の接触部またはその近傍においてこれらが接合されることで固定されている。ここで、第2ケース体21とノズル体41との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、抵抗溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0065】
これにより、第2ケース体21の第3開放端21a2は、ノズル体41(より厳密には、ノズル組立体40)によって閉塞されることになり、ノズル体41に組付けられた破裂板42が、タンク室S2に面することになる。また、これにより、第2ケース体21とノズル体41とが同軸上に位置することになり、ノズル体41によってハイブリッド型ガス発生器1Aのハウジングの周壁の軸方向の他端部が構成されることになる。
【0066】
なお、ノズル組立体40の第2ケース体21への固定方法は、上述した圧入および溶接を利用した固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0067】
上述した構成を有することにより、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおいては、ハウジングの内部の空間が、第1ケース体11の底壁部11bによって軸方向に2つの空間に区画されることになる。そのため、その一方の空間である点火室S1が、第1ケース体11の第1周壁部11aおよび底壁部11bとホルダ31(より厳密には、点火器組立体30)とによって規定されることになり、その他方の空間であるタンク室S2が、第1ケース体11の底壁部11bと第2ケース体21の第2周壁部21aとノズル体41(より厳密には、ノズル組立体40)とによって規定されることになる。
【0068】
ここで、上述したように第1ケース体11は、圧力隔壁として機能するものであるため、当該第1ケース体11の底壁部11bも圧力隔壁として機能することになり、点火室S1とタンク室S2とを仕切る仕切り部としての機能を発揮することになる。なお、この仕切り部として機能する第1ケース体11の底壁部11bには、上述したように貫通孔11b1が設けられるとともに当該貫通孔11b1を閉鎖するように破裂部材50が設けられているが、その詳細については後述することとする。
【0069】
図1および
図2を参照して、上述したように、第1ケース体11および点火器組立体30によって規定された点火室S1には、発熱剤60が収容されている。
【0070】
発熱剤60は、燃焼することによって高温の熱を発生させる薬剤からなる。発熱剤60は、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において、破裂部材50および破裂板42が開裂することにより、圧縮ガスが断熱膨張することで生じ得るエネルギーロスを補うための熱を当該圧縮ガスに供給するものであり、たとえばB/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物やこれに硝酸グアニジンまたはニトログアニジンを加えた組成物、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5-アミノテトラゾール/硝酸カリウムからなる組成物、過塩素酸アンモニウム/過塩素酸カリウム/ニトログアニジンからなる組成物、Sr(NO3)2/ニトログアニジンからなる組成物等が用いられる。
【0071】
発熱剤60としては、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用できる。バインダによって成形された発熱剤60の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状が挙げられる。
【0072】
一方、
図1ないし
図3を参照して、上述したように、第1ケース体11、第2ケース体21およびノズル組立体40によって規定されたタンク室S2には、圧縮ガスが収容されている。
【0073】
圧縮ガスは、ハイブリッド型ガス発生器1Aの動作時において、破裂板42が開裂することにより、これが外部へと放出されることで当該ハイブリッド型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグを膨張および展開させるものである。圧縮ガスとしては、各種の不活性ガス等が利用可能であり、たとえばヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、窒素ガス、炭酸ガス、酸素ガス等を利用することができる。
【0074】
図4は、
図1に示すハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。次に、この
図4ならびに前述の
図2を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおける破裂部材50の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0075】
図2および
図4に示すように、破裂部材50は、固定部51および破裂部52を含む有底略円筒状の単一の部材からなる。固定部51は、略円筒状の形状を有しており、その内側に中空部51aが設けられている。破裂部52は、円形薄板状の形状を有している。固定部51の軸方向の一端は開放されており、他端は破裂部52によって閉塞されている。破裂部材50は、点火器32の作動に起因してその破裂部52が開裂可能なものであり、好適には金属製の部材にて構成される。
【0076】
ここで、破裂部材50の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されるものであるため、破裂部材50は、耐腐食性の観点からSUS316(JIS規格記号)やインコネル(登録商標)等の薄肉の金属板から形成されたニッケル合金製の部材にて構成されていることが望ましい。たとえば、破裂部材50としては、耐熱性および耐腐食性を有する金属製の薄板(たとえば厚みが200[μm]程度)をプレス加工等することによって成形されたプレス成形品が好適に用いられ、Ni:10[重量%]、Cr:23[重量%]、Mn:6[重量%]、Mo:2[重量%]、C:0.01[重量%]、N:0.5[重量%]、その他の成分割合からなるステンレス鋼やインコネル合金(インコネル625)からなるプレス成形品が特に好適に用いられる。
【0077】
破裂部材50は、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1に挿入された状態で当該第1ケース体11に固定されている。より詳細には、
図4に示すように、破裂部材50は、その固定部51の外周面が貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面に当接するように挿入され、この状態において抵抗溶接が行なわれることにより、第1ケース体11に固定される。これにより、固定部51の外周面は、底壁部11bの上記壁面に接合されることになる。
【0078】
ここで、破裂部材50は、後述するように第1周壁部11aの第1開放端11a1側から貫通孔11b1に挿入されることで組付けられるため、破裂部材50は、当該第1開放端11a1側から(すなわち、点火室S1側から)貫通孔11b1に差し込み可能な形状を有している。
【0079】
具体的には、本実施の形態においては、底壁部11bに設けられた貫通孔11b1が、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて内径が小さくなる先細り形状を有しており、破裂部材50の固定部51が、貫通孔11b1の上述した先細り形状に対応して点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状を有している。
【0080】
このように貫通孔11b1および固定部51を先細り形状にすることにより、破裂部材50の底壁部11bへの組付けに際して、破裂部材50を底壁部11bに対して高精度に位置決めして配置することが可能になるとともに、固定部51の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、結果としてその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、この状態において抵抗溶接を行なうことにより、破裂部材50を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0081】
ここで、本実施の形態においては、破裂部52は、固定部51のタンク室S2側の端部に位置している。これにより、破裂部材50は、その破裂部52の外側表面がタンク室S2に面するように配置されることになる。そのため、破裂部材50の耐圧性能を向上させる観点からは、固定部51と破裂部52とを接続する環状形状のコーナー部53の外側表面が、湾曲面にて構成されていることが好ましい。
【0082】
次に、上述した構成を有する本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの動作について、前述の
図1ないし
図3を参照しつつ説明する。
【0083】
まず、上述したコントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器32が作動する。点火器32が作動することにより、点火部32aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32aが破裂する。これにより、点火室S1に収容された発熱剤60が点火器32によって着火されて燃焼する。
【0084】
この点火薬および発熱剤60の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って破裂部材50のうちの破裂部52に開裂が生じる。この破裂部52の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1を介して連通した状態となる。なお、このとき、破裂部材50の固定部51は、焼失することなく残存するため、より厳密には、この固定部51の内側に位置する中空部51aを介して点火室S1とタンク室S2とが連通することになる。
【0085】
次に、点火室S1とタンク室S2とが連通したことに伴い、タンク室S2の圧力および温度も上昇することになり、これに伴って破裂板42のうちの流路部41cに面する部分に開裂が生じる。この破裂板42の開裂に伴い、タンク室S2と複数のガス噴出口41dとが流路部41cを介して連通した状態となる。
【0086】
これにより、タンク室S2に収容されていた圧縮ガスが、流路部41cを介して複数のガス噴出口41dへと至り、その後、当該複数のガス噴出口41dから外部に向けて噴出することになる。
【0087】
なお、複数のガス噴出口41dからハイブリッド型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0088】
以上において説明した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aとすることにより、点火室S1とタンク室S2とを仕切る仕切り部としての第1ケース体11の底壁部11bに、当該底壁部11bに対する破裂部材50の接触面積を所定の大きさとするための凹凸形状を付与せずとも、これら底壁部11bと破裂部材50との接触面積を所定の大きさに維持しつつ抵抗溶接によってこれらを接合することが可能になる。これは、上述したように、破裂部材50を有底略円筒状の部材にて構成するとともに、当該破裂部材50を底壁部11bに設けた貫通孔11b1に挿入した状態で抵抗溶接することで接合することとしたためである。
【0089】
そのため、従来必要であった上記凹凸形状を付与するためのたとえば切削加工等の追加の加工を施すことが不要になり、製造工程を簡素化できるとともに製造コストを削減することができる。したがって、上記構成のハイブリッド型ガス発生器1Aとすることにより、容易にかつ安価にその製造を行なうことが可能になる。
【0090】
また、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aとすることにより、ハウジングの耐圧性能を確保しつつ軽量化を図ることも可能になる。以下、この点について詳説する。
【0091】
ハイブリッド型ガス発生器においては、ハウジングの内部に形成された点火室に、点火器が面するように配置されるとともに、発熱剤が充填される。したがって、動作時において点火室の内圧は大幅に上昇するため、当該点火室を規定する部分のハウジングには、高い耐圧性能が要求される。また、ハウジングの内部に形成されたタンク室には、圧縮ガス封入される。したがって、タンク室を規定する部分のハウジングにも、相当程度の耐圧性能が要求される。
【0092】
そのため、これら点火室およびタンク室を規定する部分のハウジングとしては、高い耐圧性能を確保するために、機械的強度が高い材料にて構成されるとともに、その厚みが十分に厚く構成されることが必要であり、結果としてハイブリッド型ガス発生器の重量の増加の原因となっている。
【0093】
ここで、一般に、点火室を規定する部分のハウジングに要求される耐圧性能は、タンク室を規定する部分のハウジングに要求される耐圧性能よりも高い。そのため、タンク室を規定する部分のハウジングの厚みを点火室を規定する部分のハウジングの厚みよりも薄くすることができれば、その分だけ軽量化が図れることになる。
【0094】
この点、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおいては、ハウジングの周壁を構成する部分と仕切り部を構成する部分とのうち、点火室S1を規定する部分の周壁と、仕切り部とを、有底円筒状の単一の部材からなる第1ケース体11にて構成することとし、残るタンク室S2を規定する部分の周壁を、第2ケース体21にて構成することとしている。
【0095】
したがって、当該構成を採用することにより、第1ケース体11の第1周壁部11aおよび底壁部11bの厚みを相対的に厚くしつつ、第2ケース体21の第2周壁部21aの厚みを相対的に薄くすることが容易に行なえることになり、部品点数の増加を抑制しつつ、ハウジングの軽量化が実現できることになる。
【0096】
また、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにあっては、圧縮ガスが封入されたタンク室S2を規定する部分のハウジングの壁部のうち、第2ケース体21の第2周壁部21aに開口が設けられておらず、また、第1ケース体11の底壁部11bに破裂部材50によって閉鎖された貫通孔11b1以外の開口が設けられていない。
【0097】
このような特徴的な構成は、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aが、以下において説明する本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法に従って製造されていることに起因するものであり、要約すれば、圧縮ガスをタンク室S2に封入する際に、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1がガス注入口として利用されるとともに、圧縮ガスの注入後において当該貫通孔11b1が破裂部材50によって閉鎖されることによる。
【0098】
以下、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を具体的に説明しつつ、上記の点についてより詳細に説明する。
図5は、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図であり、
図6ないし
図11は、
図5に示す工程のうちの一部の工程における模式断面図である。
【0099】
図5に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aを製造するに際しては、まず、ステップST11において、点火器組立体30およびノズル組立体40がそれぞれ製作される。
【0100】
具体的には、ホルダ31に点火器32を樹脂成形部33を用いて固定することにより、一体の部品としての点火器組立体30が製作され、ノズル体41に破裂板42がたとえば抵抗溶接等によって溶接されることにより、一体の部品としてのノズル組立体40が製作される。
【0101】
次に、
図5および
図6に示すように、ステップST12において、第2ケーシング20の組立ておよび第1ケーシング10への第2ケーシング20の組付けが行なわれる。
【0102】
具体的には、
図6に示すように、第2ケース体21の第2周壁部21aの第3開放端21a2に対して、ノズル組立体40のノズル体41のベース部41aが内挿されることで圧入され、その後、ノズル体41が第2ケース体21にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、ノズル組立体40が第2ケース体21に組付けられる。これにより、第2ケーシング20の組立てが行なわれる。
【0103】
続いて、第1ケース体11の第1周壁部11aの閉塞端(すなわち、底壁部11bによって閉塞された第1周壁部11aの軸方向端部)に対して、第2ケース体21の第2周壁部21aの第2開放端21a1が外挿されることで圧入され、その後、第2ケース体21が第1ケース体11にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、第2ケース体21が第1ケース体11に組付けられる。これにより、第1ケーシング10への第2ケーシング20の組付けが行なわれる。
【0104】
次に、
図5および
図7に示すように、ステップST13において、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する第1ケーシング10の位置決めが行なわれる。
【0105】
図7に示すように、圧縮ガス封入装置100は、ガス充填装置と溶接装置とが組み合わされて構成されたものであり、ブロック状のヘッド部110を有している。ヘッド部110は、ガス充填ヘッド111と、溶接ヘッド112とを含んでおり、溶接ヘッド112は、摺動可能にガス充填ヘッド111に組み込まれている。
【0106】
ガス充填ヘッド111の内部には、図示しないガス供給源および負圧源に選択的に切り替え可能に接続された通気路111aが設けられており、当該通気路111aの一端は、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口している。
【0107】
一方、溶接ヘッド112は、略円柱状の外形を有しており、上述したようにガス充填ヘッド111によって摺動可能に保持されている。溶接ヘッド112の内部には、図示しない負圧源に接続された吸引路112aが設けられており、当該吸引路112aの一端は、溶接ヘッド112の主表面112bにおいて開口している。
【0108】
ここで、ガス充填ヘッド111の主表面111bと溶接ヘッド112の主表面112bとは、互いに平行なるように配置されており、溶接ヘッド112が駆動されることにより、溶接ヘッド112の主表面112bは、ガス充填ヘッド111の主表面111bから突出するように移動することができる。なお、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口する通気路111aの一端は、溶接ヘッド112を取り囲むように配置されている。
【0109】
溶接ヘッド112は、予め破裂部材50を保持している。より詳細には、破裂部材50は、その破裂部52が位置しない側の固定部51の開放端が予め溶接ヘッド112の主表面112bに宛がわれた状態とされ、この状態において上述した負圧源が駆動されることで吸引路112aに負圧が発生させられることにより、当該溶接ヘッド112によって保持されている(図中においては、当該負圧源による吸引方向を模式的に矢印Aで示している)。
【0110】
この状態において、ステップST12において第2ケーシング20が組付けられた第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1が、ガス充填ヘッド111の主表面111bに当接するように押し当てられることにより、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する第1ケーシング10の位置決めが行なわれる。
【0111】
このとき、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1側の端面がガス充填ヘッド111の主表面111bに当接させられることにより、ガス注入口としての貫通孔11b1が設けられた第1ケース体11の底壁部11bと、第1ケース体11の第1周壁部11aと、ガス充填ヘッド111の主表面111bとによって閉空間が形成されることになる(
図8参照)。
【0112】
また、このとき、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1によって破裂部材50を保持した溶接ヘッド112の端部が覆われるようにすることにより、破裂部材50が上述した閉空間の内部において溶接ヘッド112によって保持された状態となる(
図8参照)。
【0113】
なお、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1側の端面が押し当てられる部分のガス充填ヘッド111の主表面111bにパッキン等からなるシール部材を設けておけば、上述した閉空間と外部の空間との気密性を向上させることもできる。
【0114】
次に、
図5および
図8に示すように、ステップST14において、真空引きが行なわれる。この真空引きは、ガス充填ヘッド111を具備した上述のガス充填装置が用いられることで行なわれる。
【0115】
具体的には、
図8に示すように、ガス充填ヘッド111に設けられた通気路111aが上述した負圧源に接続されるとともに当該負圧源が駆動されることにより、上述した閉空間および当該閉空間と貫通孔11b1を介して連通するタンク室S2内の空気が吸引され、吸引された空気は、通気路111aを介して外部に排気される(図中においては、当該負圧源による吸引方向を模式的に矢印Bで示している)。当該真空引きは、タンク室S2の圧力が所定の真空度に達するまで実施される。
【0116】
次に、
図5および
図9に示すように、ステップST15において、ガス充填が行なわれる。このガス充填は、ガス充填ヘッド111を具備した上述のガス充填装置が引き続き用いられることで行なわれる。
【0117】
具体的には、
図9に示すように、ガス充填ヘッド111に設けられた通気路111aが、上述した負圧源から上述したガス供給源に切り替え接続されるとともに当該ガス供給源が駆動されることにより、上述した閉空間および当該閉空間と貫通孔11b1を介して連通するタンク室S2内にガスが送り込まれ、送り込まれたガスが圧縮されることにより、タンク室S2が圧縮ガスにて満たされる(図中においては、当該ガス供給源によって送り込まれるガスの供給方向を模式的に矢印Cで示している)。当該ガス充填は、タンク室S2の圧力が所定の高圧状態(たとえば、30[MPa]~90[MPa]程度)になるまで実施される。
【0118】
このとき、ガス充填ヘッド111の主表面111bにおいて開口する通気路111aの上記一端は、ガスを送り出すガス送出口111a1として機能することになり、当該ガス送出口111a1から送り出されたガスは、上述した閉空間を経由することでガス注入口としての貫通孔11b1からタンク室S2に送り込まれることになる。
【0119】
次に、
図5および
図10に示すように、ステップST16において、第1ケーシング10への破裂部材50の組付けが行なわれる。この破裂部材50の組付けは、溶接ヘッド112を具備した上述の溶接装置が用いられることで行なわれる。
【0120】
具体的には、
図10に示すように、ステップST15においてタンク室S2が圧縮ガスにて満たされた後の状態において、予め上述した閉空間の内部において溶接ヘッド112によって保持されていた破裂部材50が溶接ヘッド112が駆動されることで移動させられ、これにより破裂部材50がガス注入口としての貫通孔11b1に挿入される。その際、破裂部材50の固定部51の外周面が、当該貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面に密着するように破裂部材50が位置決めされる。
【0121】
この状態において、溶接ヘッド112が稼働させられる(すなわち、抵抗溶接のための電流が当該溶接ヘッド112に印加される)ことにより、底壁部11bに密着した状態にある破裂部材50の固定部51が、当該底壁部11bに溶接される。これにより、固定部51の外周面が底壁部11bの上記壁面に接合されることになり、破裂部材50が第1ケーシング10に固定される。
【0122】
そのため、底壁部11bに設けられたガス注入口としての貫通孔11b1が破裂部材50によって閉鎖されることになり、これに伴い、圧縮ガスにて満たされたタンク室S2は、当該破裂部材50によって封止されることになる。これにより、圧縮ガスがタンク室S2に封入されることになる。なお、上述した溶接が完了した後には、ガス充填装置のガス供給源によるガスの供給および溶接装置の負圧源による破裂部材50の保持は、いずれも解除される。
【0123】
次に、
図5および
図11に示すように、ステップST17において、発熱剤60が充填され、その後、ステップST18において、第1ケーシング10への点火器組立体30の組付が行なわれる。
【0124】
具体的には、
図11に示すように、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110から離脱させられた第1ケース体11の第1周壁部11aの内側の空間に、当該第1周壁部11aの第1開放端11a1側から所定量の発熱剤60が投入され、その後、当該第1開放端11a1に対して、点火器組立体30のホルダ31が内挿されることで圧入され、さらにその後、ホルダ31が第1ケース体11にたとえばレーザ溶接等によって溶接されることにより、点火器組立体30が第1ケース体11に組付けられる。これにより、発熱剤60の充填および第1ケーシング10への点火器組立体30の組付けが行なわれる。
【0125】
以上のステップST11~ST18を経ることにより、上述した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Aの製造が完了することになる。
【0126】
以上において説明した本実施の形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法においては、圧縮ガスをタンク室S2に封入する際に、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1がガス注入口として利用されるとともに、圧縮ガスの注入後において当該貫通孔11b1が破裂部材50によって閉鎖されることとしている。そのため、当該製造方法を採用することにより、ハウジングに圧縮ガスの封入にのみ用いる構造部を設ける必要がなく、ガス発生器自体の構成の簡素化と組立作業の容易化とが実現できることになる。
【0127】
また、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1側の端面が圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に押し当てられる構成であるため、上述した閉空間の容積を大幅に狭小化することができる。そのため、真空引きの際に、短時間のうちに所定の真空度にまでタンク室S2の真空度を下げることができ、また、ガス充填の際に、短時間のうちに所定の高圧状態にまでタンク室S2の圧力を上げることができる。したがって、製造に要する時間を短縮することができ、製造コストの削減に繋がることにもなる。
【0128】
また、この点に関連し、本実施の形態においては、上述した如くの構成の小型のヘッド部110を備えた圧縮ガス封入装置100を用いてハウジングへの圧縮ガスの封入が可能になるため、従来の圧縮ガス封入装置に比べて製造設備を大幅に小型化することができるメリットも得られる。
【0129】
さらには、ガス充填の際には、ガスの圧縮に伴って熱が発生することになるが、上述したように、本実施の形態においては、上述した閉空間の容積が大幅に狭小化するため、この発熱量のばらつきを抑えることができる。したがって、製造した製品間において圧縮ガスの充填量にばらつきが発生することが抑制でき、所望のガス出力が得られるハイブリッド型ガス発生器をより歩留まりよく製造することができる。
【0130】
また、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に押し当てられる部分のハウジング(すなわち、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1側の端面)の形状が平面形状であるため、ハウジングの湾曲した周壁(すなわち、第1ケース体11の第1周壁部11aまたは第2ケース体21の第2周壁部21a)にガス注入口を設ける場合よりも、上述した閉空間の気密性の確保が容易となり、より容易に高圧ガスの封入が行なえることにもなる。
【0131】
加えて、本実施の形態においては、ハイブリッド型ガス発生器1Aの製造時において、第2ケーシング20が組付けられた後の第1ケーシング10の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1がガス注入口として利用されるものであるため、タンク室を規定する圧縮ガス充填部と、燃焼剤が収容される点火室を規定するとともに点火器組立体が組付けられた起爆部とを、それぞれ別ユニットとして製作した後に、これらを組み合わせる必要がなく、極めて容易にハイブリッド型ガス発生器を製造することが可能になる。
【0132】
(第1変形例)
図12は、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。以下、この
図12を参照して、第1変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A1における破裂部材50の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0133】
図12に示すように、第1変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A1は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、破裂部材50の形状のみが相違している。
【0134】
具体的には、破裂部材50は、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状の略円筒状の固定部51と、当該固定部51のタンク室S2側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有しており、このうちの固定部51に、径方向外側に向かって延びるフランジ状のストッパ部51bがさらに設けられている。ここで、ストッパ部51bは、固定部51の破裂部52が設けられた側の軸方向端部とは反対側に位置する開放端(すなわち点火室S1側の端部)に位置しており、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1の内径よりも大きい外径を有している。
【0135】
本第1変形例においても、破裂部材50は、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1に挿入された状態で当該第1ケース体11に固定される。より詳細には、破裂部材50は、その固定部51の外周面が貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面に当接するように挿入され、この状態において抵抗溶接が行なわれることにより、第1ケース体11に固定される。これにより、固定部51の外周面は、底壁部11bの上記壁面に接合されることになる。
【0136】
このように構成した場合にも、固定部51の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、またその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、当該構成を採用することにより、破裂部材50を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0137】
ここで、上述したように、破裂部材50の固定部51の開放端側の部分にフランジ状のストッパ部51bが設けられることにより、上述した貫通孔11b1への破裂部材50の挿入に際しては、当該ストッパ部51bが、底壁部11bの点火室S1側の主面に当接することになる。このストッパ部51bの底壁部11bへの当接により、破裂部材50のタンク室S2側に向けての移動が規制されることになる。
【0138】
そのため、当該構成の破裂部材50とした場合には、破裂部材50の位置決めを当該ストッパ部51bを用いてより確実に行なうことができる。したがって、本第1変形例の如くの構成を採用することにより、第1ケーシング10への破裂部材50の組付けに際して、固定部51の外周面と貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面との接触面積をより確実に所定の大きさに維持できることになり、破裂部材50を底壁部11bに対してより確実にかつより安定的に固定することができる。
【0139】
(第2ないし第4変形例)
図13ないし
図15は、それぞれ上述した実施の形態1に基づいた第2ないし第4変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、各図において、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。以下、これら
図13ないし
図15を参照して、第2ないし第4変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A2~1A4における破裂部材50の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0140】
図13ないし
図15に示すように、第2ないし第4変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A2~1A4は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、いずれも破裂部材50の形状のみが相違している。
【0141】
図13に示すように、第2変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A2においては、破裂部材50が、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状の略円筒状の固定部51と、当該固定部51のタンク室S2側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有しており、このうちの円形薄板状の破裂部52が、タンク室S2側に向けて膨らんだ湾曲形状を有している。
【0142】
図14に示すように、第3変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A3においては、破裂部材50が、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状の略円筒状の固定部51と、当該固定部51のタンク室S2側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有しており、このうちの円形薄板状の破裂部52が、タンク室S2側とは反対側(すなわち点火室S1側)に向けて膨らんだ湾曲形状を有している。
【0143】
図15に示すように、第4変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A4においては、破裂部材50が、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状の略円筒状の固定部51と、当該固定部51のタンク室S2側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有しており、これら固定部51と破裂部52とを接続する環状形状のコーナー部53の外側表面が、屈曲面にて構成されている。
【0144】
これら第2ないし第4変形例の如くの構成を採用した場合にも、固定部51の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、またその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、当該構成を採用することにより、破裂部材50を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0145】
(第5および第6変形例)
図16および
図17は、それぞれ上述した実施の形態1に基づいた第5および第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における破裂部材の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、各図において、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。以下、これら
図16および
図17を参照して、第5および第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A5,1A6における破裂部材50の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0146】
図16および
図17に示すように、第5および第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A5,1A6は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、いずれも第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1の形状および破裂部材50の形状のみが相違している。
【0147】
図16に示すように、第5変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A5においては、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1が、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその内径が一定である円柱状の形状を有している。一方、破裂部材50は、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその外径が上記貫通孔11b1の内径に対応して一定である円筒状の固定部51と、当該固定部51のタンク室S2側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有している。
【0148】
図17に示すように、第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A6においては、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1は、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその内径が一定である円柱状の形状を有している。一方、破裂部材50は、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその外径が上記貫通孔11b1の内径に対応して一定である円筒状の固定部51と、当該固定部51の点火室S1側の端部を閉塞する円形薄板状の破裂部52とを有している。
【0149】
すなわち、第5変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A5と、第6変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1A6とは、貫通孔11b1に挿入される破裂部材50の向きが互いに逆向きとされている以外の点において、共通の構成を有するものである。
【0150】
これら第5および第6変形例の如くの構成を採用した場合にも、固定部51の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、またその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、当該構成を採用することにより、破裂部材50を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0151】
(実施の形態2)
図18は、実施の形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。
図19は、
図18に示すストアード型ガス発生器の点火器組立体および点火室の近傍ならびに第2ケーシングの閉塞部の近傍の拡大図である。まず、これら
図18および
図19を参照して、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bの構成について説明する。なお、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bは、いわゆるリバースフロー構造を有するものである。
【0152】
図18に示すように、本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと近似の構成を有しており、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、主としてタンク室S2を規定する部分のハウジングの構成が相違しており、またこれに加えて、ノズル組立体40および発熱剤60(いずれも
図1等参照)を具備していない点、複数のガス噴出口の形成位置や複数のガス噴出口近傍の構成が相違している点等においてその構成が相違している。
【0153】
具体的には、ストアード型ガス発生器1Bは、全体として長尺略円柱状の外形を有しており、第1ケーシング10と、第2ケーシング20と、点火器組立体30と、破裂部材50と、図には現れない圧縮ガスとを主として備えている。
【0154】
ストアード型ガス発生器1Bのハウジングは、点火器組立体30に含まれるホルダ31と、第1ケーシング10と、第2ケーシング20とによって構成されている。このうち、第1ケーシング10は、第1ケース体11にて構成されており、第2ケーシング20は、第2ケース体21にて構成されている。
【0155】
ハウジングの内部の空間は、ホルダ31および第1ケース体11によって主として規定された点火室S1と、第1ケース体11および第2ケース体21によって主として規定されたタンク室S2とに区画されている。このうちのタンク室S2には、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと同様に圧縮ガスが封入されている反面、点火室S1には、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aとは異なり、発熱剤60は充填されていない。
【0156】
図18および
図19に示すように、第1ケース体11および点火器組立体30は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおけるそれらと同様の構成を有している。一方、第2ケース体21は、第2周壁部21aおよび閉塞部21bを含む有底円筒状の単一の部材からなる。第2周壁部21aは、円筒状の形状を有しており、その軸方向の一端が第2開放端21a1として構成されている。閉塞部21bは、湾曲板状の形状を有しており、第2周壁部21aの軸方向の他端を閉塞している。
【0157】
第1ケース体11の第1開放端11a1は、ホルダ31(より厳密には、点火器組立体30)によって閉塞されており、第2ケース体21の第2開放端21a1は、第1ケース体11の底壁部11bによって閉塞されている。第1ケース体11の底壁部11bには、点火室S1およびタンク室S2の双方に通じるように貫通孔11b1が設けられている。
【0158】
当該貫通孔11b1には、略円筒状の固定部51と円形薄板状の破裂部52とを含む有底略円筒状の単一の部材からなる破裂部材50が挿入されており、この状態において破裂部材50が第1ケース体11に固定されている。なお、破裂部材50の構成ならびに当該破裂部材50の第1ケース体11への組付構造は、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおけるそれらと同様である。
【0159】
第1ケース体11の第1周壁部11aには、点火室S1に面するように複数のガス噴出口11cが設けられている。当該複数のガス噴出口11cは、ストアード型ガス発生器1Bの動作時において、ガスを外部に向けて噴出するための部位である。
【0160】
また、第1ケース体11の第1周壁部11aの内周面には、複数のガス噴出口11cを閉鎖するように金属製のシールテープ12が貼付されている。このシールテープ12としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ12によって点火室S1の気密性が確保されている。
【0161】
次に、上述した構成を有する本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bの動作について、前述の
図18および
図19を参照して説明する。
【0162】
まず、コントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器32が作動する。点火器32が作動することにより、点火部32aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32aが破裂する。
【0163】
この点火薬の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って破裂部材50のうちの破裂部52に開裂が生じる。この破裂部52の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1を介して連通した状態となる。なお、このとき、破裂部材50の固定部51は、焼失することなく残存するため、より厳密には、この固定部51の内側に位置する中空部51aを介して点火室S1とタンク室S2とが連通することになる。
【0164】
次に、点火室S1とタンク室S2とが貫通孔11b1を介して連通したことに伴い、圧縮ガスが貫通孔11b1を介して点火室S1に流れ込み、その後、複数のガス噴出口11cから外部に向けて噴出することになる。
【0165】
なお、複数のガス噴出口11cからストアード型ガス発生器1Bの外部へと噴出されたガスは、当該ストアード型ガス発生器1Bに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0166】
以上において説明した本実施の形態に係るストアード型ガス発生器1Bとすることにより、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0167】
(関連形態1)
図20は、関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の模式断面図である。
図21は、
図20に示すハイブリッド型ガス発生器の点火器組立体および点火室の近傍の拡大図である。また、
図22は、
図20に示すハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図であり、(A)および(B)は、それぞれ組付け前の状態および組付け後の状態を示している。まず、これら
図20ないし
図22を参照して、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cの構成ならびに封止部組立体70の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。なお、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cは、いわゆるブローダウン構造を有するものである。
【0168】
図20に示すように、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cは、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aと近似の構成を有しており、当該ハイブリッド型ガス発生器1Aと比較した場合に、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1を閉鎖する部材の構成のみ相違している。
【0169】
すなわち、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Aにおいては、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1が、当該貫通孔11b1に挿入された有底略円筒状の破裂部材50によって閉鎖されていたが(
図1等参照)、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cにおいては、これが封止部組立体70によって閉鎖されている。
【0170】
図20ないし
図22に示すように、封止部組立体70は、栓体71と、破裂部材としての破裂板72とを有している。封止部組立体70は、栓体71に破裂板72を接合することで予め一体化された部品として構成されている。
【0171】
栓体71は、中空略円柱状の形状を有している。栓体71には、軸方向に沿って延びる連通孔71aが設けられており、当該連通孔71aは、栓体71の一対の軸方向端面の各々に達している。一方、破裂板72は、円形薄板状の形状を有している。
【0172】
栓体71のタンク室S2側の軸方向端面には、連通孔71aを取り囲むように環状突部71bが設けられている。この環状突部71bは、破裂板72を抵抗溶接によって栓体71に組付けられるための部位であり、この環状突部71bを設けることにより、栓体71と破裂板72との接触面積が所定の大きさとなるため、抵抗溶接の際に破裂板72を栓体71に対して確実にかつ安定的に固定することができる。
【0173】
このように破裂板72が栓体71に接合されることにより、栓体71に設けられた連通孔71aは、栓体71のタンク室S2側の軸方向端面において破裂板72によって閉鎖されることになる。
【0174】
なお、破裂板72の栓体71への固定方法は、上述した抵抗溶接を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
【0175】
破裂板72は、点火器32の作動に起因して開裂が可能なものであり、好適には金属製の部材にて構成される。
【0176】
ここで、破裂板72の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されるものであるため、破裂板72は、耐腐食性の観点からSUS316(JIS規格記号)やインコネル(登録商標)等の薄肉の金属板から形成されたニッケル合金製の部材にて構成されていることが望ましい。たとえば、破裂板72としては、耐熱性および耐腐食性を有する金属製の薄板(たとえば厚みが200[μm]程度)が好適に用いられ、Ni:10[重量%]、Cr:23[重量%]、Mn:6[重量%]、Mo:2[重量%]、C:0.01[重量%]、N:0.5[重量%]、その他の成分割合からなるステンレス鋼やインコネル合金(インコネル625)からなる薄板が特に好適に用いられる。
【0177】
栓体71は、第1ケース体11の底壁部11bと共に圧力隔壁として機能するものであり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。ここで、栓体71の一部分は、長期間にわたって圧縮ガスに晒されることになるため、耐腐食性に優れたものとなるように、クロムやマンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル等が添加された鋼材にて構成されていることが好ましい。
【0178】
栓体71は、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1に挿入された状態で当該第1ケース体11に固定されている。より詳細には、
図22に示すように、栓体71は、その外周面が貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面に当接するように挿入され、この状態において抵抗溶接が行なわれることにより、第1ケース体11に固定される。これにより、栓体71の外周面は、底壁部11bの上記壁面に接合されることになる。
【0179】
ここで、栓体71は、後述するように第1周壁部11aの第1開放端11a1側から貫通孔11b1に挿入されることで組付けられるため、栓体71は、当該第1開放端11a1側から(すなわち、点火室S1側から)貫通孔11b1に差し込み可能な形状を有している。
【0180】
具体的には、本関連形態においては、底壁部11bに設けられた貫通孔11b1が、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて内径が小さくなる先細り形状を有しており、栓体71が、貫通孔11b1の上述した先細り形状に対応して点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状を有している。また、破裂板72は、貫通孔11b1の内径よりも小さい外径を有している。
【0181】
このように貫通孔11b1および栓体71を先細り形状にすることにより、封止部組立体70の底壁部11bへの組付けに際して、栓体71を底壁部11bに対して高精度に位置決めして配置することが可能になるとともに、栓体71の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、結果としてその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、この状態において抵抗溶接を行なうことにより、封止部組立体70を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0182】
次に、上述した構成を有する本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cの動作について、前述の
図20および
図21を参照しつつ説明する。
【0183】
まず、上述したコントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器32が作動する。点火器32が作動することにより、点火部32aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32aが破裂する。これにより、点火室S1に収容された発熱剤60が点火器32によって着火されて燃焼する。
【0184】
この点火薬および発熱剤60の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って破裂板72に開裂が生じる。この破裂板72の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが栓体71に設けられた連通孔71aを介して連通した状態となる。
【0185】
次に、点火室S1とタンク室S2とが連通したことに伴い、タンク室S2の圧力および温度も上昇することになり、これに伴って破裂板42のうちの流路部41cに面する部分に開裂が生じる。この破裂板42の開裂に伴い、タンク室S2と複数のガス噴出口41dとが流路部41cを介して連通した状態となる(
図3参照)。
【0186】
これにより、タンク室S2に収容されていた圧縮ガスが、流路部41cを介して複数のガス噴出口41dへと至り、その後、当該複数のガス噴出口41dから外部に向けて噴出することになる。
【0187】
なお、複数のガス噴出口41dからハイブリッド型ガス発生器1Cの外部へと噴出されたガスは、当該ハイブリッド型ガス発生器1Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0188】
以上において説明した本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cとすることにより、ハウジングの耐圧性能を確保しつつ軽量化を図ることが可能になる。すなわち、上述した実施の形態1において説明したように、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cにおいても、ハウジングの周壁を構成する部分と仕切り部を構成する部分とのうち、点火室S1を規定する部分の周壁と、仕切り部とを、有底円筒状の単一の部材からなる第1ケース体11にて構成することとし、残るタンク室S2を規定する部分の周壁を、第2ケース体21にて構成することとしている。
【0189】
したがって、当該構成を採用することにより、第1ケース体11の第1周壁部11aおよび底壁部11bの厚みを相対的に厚くしつつ、第2ケース体21の第2周壁部21aの厚みを相対的に薄くすることが容易に行なえることになり、部品点数の増加を抑制しつつ、ハウジングの軽量化が実現できることになる。
【0190】
また、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cにあっては、圧縮ガスが封入されたタンク室S2を規定する部分のハウジングの壁部のうち、第2ケース体21の第2周壁部21aに開口が設けられておらず、また、第1ケース体11の底壁部11bに封止部組立体70によって閉鎖された貫通孔11b1以外の開口が設けられていない。
【0191】
このような特徴的な構成は、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cが、以下において説明する本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法に従って製造されていることに起因するものであり、要約すれば、圧縮ガスをタンク室S2に封入する際に、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1がガス注入口として利用されるとともに、圧縮ガスの注入後において当該貫通孔11b1が封止部組立体70によって閉鎖されることによる。
【0192】
以下、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を具体的に説明しつつ、上記の点についてより詳細に説明する。
図23は、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を示すフロー図であり、
図24および
図25は、
図23に示す工程のうちの一部の工程における模式断面図である。
【0193】
図23に示すように、本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cを製造するに際しては、まず、ステップST21において、点火器組立体30、ノズル組立体40および封止部組立体70がそれぞれ製作される。このうち、点火器組立体30およびノズル組立体40の製作は、上述した実施の形態1において説明したステップST11と同様である。一方、封止部組立体70の製作は、栓体71に破裂板72が抵抗溶接によって接合されることによって行なわれ、これにより封止部組立体70が一体の部品として製作される。
【0194】
次に、ステップST22において、第2ケーシング20の組立ておよび第1ケーシング10への第2ケーシング20の組付けが行なわれる。当該ステップST22は、上述した実施の形態1において説明したステップST12と同様である。
【0195】
次に、
図23および
図24に示すように、ステップST23において、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する第1ケーシング10の位置決めが行なわれる。当該ステップST23は、上述した実施の形態1において説明したステップST13と基本的に同様であるが、
図24に示すように、圧縮ガス封入装置100の溶接ヘッド112は、予め封止部組立体70を保持している。
【0196】
そのため、第1ケース体11の第1周壁部11aの第1開放端11a1側の端面がガス充填ヘッド111の主表面111bに当接させられることにより、圧縮ガス封入装置100のヘッド部110に対する第1ケーシング10の位置決めが行なわれた状態においては、封止部組立体70が、第1ケース体11とガス充填ヘッド111とによって形成される閉空間の内部において、上記溶接ヘッド112によって保持された状態となる。
【0197】
次に、
図23に示すように、ステップST24およびステップST25において、真空引きおよびガス充填が順次行なわれる。これらステップST24およびステップST25は、上述した実施の形態1において説明したステップST14およびステップST15と同様である。
【0198】
次に、
図23および
図25に示すように、ステップST26において、第1ケーシング10への封止部組立体70の組付けが行なわれる。
【0199】
具体的には、
図25に示すように、ステップST25においてタンク室S2が圧縮ガスにて満たされた後の状態において、予め上述した閉空間の内部において溶接ヘッド112によって保持されていた封止部組立体70が溶接ヘッド112が駆動されることで移動させられ、これにより封止部組立体70がガス注入口としての貫通孔11b1に挿入される。その際、栓体71の外周面が、当該貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面に密着するように封止部組立体70が位置決めされる。
【0200】
この状態において、溶接ヘッド112が稼働させられる(すなわち、抵抗溶接のための電流が当該溶接ヘッド112に印加される)ことにより、底壁部11bに密着した状態にある栓体71が、当該底壁部11bに溶接される。これにより、栓体71の外周面が底壁部11bの上記壁面に接合されることになり、封止部組立体70が第1ケーシング10に固定される。
【0201】
そのため、底壁部11bに設けられたガス注入口としての貫通孔11b1が封止部組立体70によって閉鎖されることになり、これに伴い、圧縮ガスにて満たされたタンク室S2は、当該封止部組立体70によって封止されることになる。これにより、圧縮ガスがタンク室S2に封入されることになる。なお、上述したようにハイブリッド型ガス発生器1Cの動作時においては、破裂板72が開裂することにより、点火室S1とタンク室S2とが栓体71に設けられた連通孔71aを介して連通することになるため、上述したステップST26においては、圧縮ガスにて満たされたタンク室S2が、封止部組立体70のうちの破裂板72によって封止されると言うこともできる。
【0202】
次に、
図23に示すように、ステップST27において、発熱剤60が充填され、その後、ステップST28において、第1ケーシング10への点火器組立体30の組付が行なわれる。これらステップST27およびステップST28は、上述した実施の形態1において説明したステップST17およびステップST18と同様である。
【0203】
以上のステップST21~ST28を経ることにより、上述した本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器1Cの製造が完了することになる。
【0204】
以上において説明した本関連形態に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を採用することにより、上述した実施の形態1に係るハイブリッド型ガス発生器の製造方法を採用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0205】
(第7変形例)
図26は、上述した関連形態1に基づいた第7変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。以下、この
図26を参照して、第7変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1C1における封止部組立体70の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0206】
図26に示すように、第7変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1C1は、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cと比較した場合に、封止部組立体70の栓体71の形状のみが相違している。
【0207】
具体的には、封止部組立体70は、点火室S1側からタンク室S2側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状の栓体71を有しており、この栓体71に、径方向外側に向かって延びるフランジ状のストッパ部71cがさらに設けられている。ここで、ストッパ部71cは、栓体71の破裂板72が設けられた側の軸方向端部とは反対側に位置する軸方向端部(すなわち点火室S1側の端部)に位置しており、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1よりも大きい外径を有している。
【0208】
このように、栓体71の点火室S1側の部分にフランジ状のストッパ部71cが設けられることにより、貫通孔11b1への封止部組立体70の挿入に際しては、当該ストッパ部71cが、底壁部11bの点火室S1側の主面に当接することになる。このストッパ部71cの底壁部11bへの当接により、封止部組立体70のタンク室S2側に向けての移動が規制されることになる。
【0209】
そのため、当該構成の封止部組立体70とした場合には、封止部組立体70の位置決めを当該ストッパ部71cを用いてより確実に行なうことができる。したがって、本第7変形例の如くの構成を採用することにより、第1ケーシング10への封止部組立体70の組付けに際して、栓体71の外周面と貫通孔11b1を規定する部分の底壁部11bの壁面との接触面積をより確実に所定の大きさに維持できることになり、封止部組立体70を底壁部11bに対してより確実にかつより安定的に固定することができる。
【0210】
(第8変形例)
図27は、上述した関連形態1に基づいた第8変形例に係るハイブリッド型ガス発生器における封止部組立体の第1ケーシングに対する組付構造を示す模式図である。ここで、(A)は、組付け前の状態を示しており、(B)は、組付け後の状態を示している。以下、この
図27を参照して、第8変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1C2における封止部組立体70の第1ケーシング10に対する組付構造について説明する。
【0211】
図28に示すように、第8変形例に係るハイブリッド型ガス発生器1C2は、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cと比較した場合に、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1の形状および封止部組立体70の栓体71の形状のみが相違している。
【0212】
具体的には、第1ケース体11の底壁部11bに設けられた貫通孔11b1は、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその内径が一定である円柱状の形状を有している。一方、封止部組立体70の栓体71は、点火室S1側からタンク室S2側にかけてその外径が上記貫通孔11b1の内径に対応して一定である。
【0213】
このように構成した場合にも、栓体71の外周面と底壁部11bの上述した壁面とを密着させることが可能になり、またその接触面積を所定の大きさにすることができる。したがって、当該構成を採用することにより、封止部組立体70を底壁部11bに対して確実にかつ安定的に固定することが可能になる。
【0214】
(関連形態2)
図28は、関連形態2に係るストアード型ガス発生器の模式断面図である。
図29は、
図28に示すストアード型ガス発生器の点火器組立体および点火室の近傍ならびに第2ケーシングの閉塞部の近傍の拡大図である。まず、これら
図28および
図29を参照して、本関連形態に係るストアード型ガス発生器1Dの構成について説明する。なお、本関連形態に係るストアード型ガス発生器1Dは、いわゆるリバースフロー構造を有するものである。
【0215】
図28に示すように、本関連形態に係るストアード型ガス発生器1Dは、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cと近似の構成を有しており、当該ハイブリッド型ガス発生器1Cと比較した場合に、主としてタンク室S2を規定する部分のハウジングの構成が相違しており、またこれに加えて、ノズル組立体40および発熱剤60(いずれも
図20等参照)を具備していない点、複数のガス噴出口の形成位置や複数のガス噴出口近傍の構成が相違している点等においてその構成が相違している。
【0216】
具体的には、ストアード型ガス発生器1Dは、全体として長尺略円柱状の外形を有しており、第1ケーシング10と、第2ケーシング20と、点火器組立体30と、封止部組立体70と、図には現れない圧縮ガスとを主として備えている。
【0217】
ストアード型ガス発生器1Dのハウジングは、点火器組立体30に含まれるホルダ31と、第1ケーシング10と、第2ケーシング20とによって構成されている。このうち、第1ケーシング10は、第1ケース体11にて構成されており、第2ケーシング20は、第2ケース体21にて構成されている。
【0218】
ハウジングの内部の空間は、ホルダ31および第1ケース体11によって主として規定された点火室S1と、第1ケース体11および第2ケース体21によって主として規定されたタンク室S2とに区画されている。このうちのタンク室S2には、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cと同様に圧縮ガスが封入されている反面、点火室S1には、当該ハイブリッド型ガス発生器1Cとは異なり、発熱剤60は充填されていない。
【0219】
図28および
図29に示すように、第1ケース体11および点火器組立体30は、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cにおけるそれらと同様の構成を有している。一方、第2ケース体21は、第2周壁部21aおよび閉塞部21bを含む有底円筒状の単一の部材からなる。第2周壁部21aは、円筒状の形状を有しており、その軸方向の一端が第2開放端21a1として構成されている。閉塞部21bは、湾曲板状の形状を有しており、第2周壁部21aの軸方向の他端を閉塞している。
【0220】
第1ケース体11の第1開放端11a1は、ホルダ31(より厳密には、点火器組立体30)によって閉塞されており、第2ケース体21の第2開放端21a1は、第1ケース体11の底壁部11bによって閉塞されている。第1ケース体11の底壁部11bには、点火室S1およびタンク室S2の双方に通じるように貫通孔11b1が設けられている。
【0221】
当該貫通孔11b1には、中空略円柱状の栓体71と円形薄板状の破裂板72とを有する封止部組立体70が挿入されており、この状態において封止部組立体70が第1ケース体11に固定されている。なお、封止部組立体70の構成ならびに当該封止部組立体70の第1ケース体11への組付構造は、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cにおけるそれらと同様である。
【0222】
第1ケース体11の第1周壁部11aには、点火室S1に面するように複数のガス噴出口11cが設けられている。当該複数のガス噴出口11cは、ストアード型ガス発生器1Dの動作時において、ガスを外部に向けて噴出するための部位である。
【0223】
また、第1ケース体11の第1周壁部11aの内周面には、複数のガス噴出口11cを閉鎖するように金属製のシールテープ12が貼付されている。このシールテープ12としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ12によって点火室S1の気密性が確保されている。
【0224】
次に、上述した構成を有する本関連形態に係るストアード型ガス発生器1Dの動作について、前述の
図28および
図29を参照して説明する。
【0225】
まず、コントロールユニットからの通電を受けることにより、点火器32が作動する。点火器32が作動することにより、点火部32aに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32aが破裂する。
【0226】
この点火薬の燃焼によって点火室S1の圧力および温度が上昇することになり、これに伴って破裂板72に開裂が生じる。この破裂板72の開裂に伴い、点火室S1とタンク室S2とが栓体71に設けられた連通孔71aを介して連通した状態となる。
【0227】
次に、点火室S1とタンク室S2とが貫通孔11b1を介して連通したことに伴い、圧縮ガスが貫通孔11b1を介して点火室S1に流れ込み、その後、複数のガス噴出口11cから外部に向けて噴出することになる。
【0228】
なお、複数のガス噴出口11cからストアード型ガス発生器1Dの外部へと噴出されたガスは、当該ストアード型ガス発生器1Dに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
【0229】
以上において説明した本関連形態に係るストアード型ガス発生器1Dとすることにより、上述した関連形態1に係るハイブリッド型ガス発生器1Cとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0230】
(関連形態1,2の小括)
上述した関連形態1,2およびそれらの変形例に係るハイブリッド型ガス発生器およびストアード型ガス発生器における特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0231】
関連形態に係るガス発生器は、点火器と、ハウジングとを備えている。上記ハウジングは、上記点火器に面する点火室および圧縮ガスが封入されたタンク室を内部に有するとともに、動作時において開口するガス噴出口が設けられてなるものである。上記ハウジングは、上記点火器が組付けられたホルダと、上記ホルダと共に上記点火室を規定する第1ケーシングと、上記第1ケーシングと共に上記タンク室を規定する第2ケーシングとを有している。上記第1ケーシングは、軸方向の一端が第1開放端として構成された筒状の第1周壁部と、上記第1周壁部の軸方向の他端を閉塞する底壁部とを含む有底筒状の単一の部材からなる第1ケース体を有している。上記第2ケーシングは、軸方向の一端が第2開放端として構成された筒状の第2周壁部を少なくとも含む第2ケース体を有している。上記第1開放端は、上記ホルダによって閉塞されており、上記第2開放端は、上記底壁部によって閉塞されている。上記底壁部には、上記点火室と上記タンク室とに通じる貫通孔と、当該貫通孔を閉塞する栓体とが設けられている。上記栓体には、上記点火室と上記タンク室とを連通させるための連通孔が設けられており、上記点火器の作動に起因して開裂が可能な破裂部材が、上記連通孔を閉鎖するように上記栓体に設けられている。上記栓体は、上記貫通孔に挿入されるとともに上記貫通孔を規定する部分の上記底壁部の壁面にその外周面が溶接されることで固定されている。
【0232】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記破裂部材が設けられた状態にある上記栓体が、上記点火室側から上記貫通孔に差し込み可能な形状を有していることが好ましい。
【0233】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記貫通孔が、上記点火室側から上記タンク室側に向かうにつれて内径が小さくなる先細り形状を有していてもよく、その場合には、上記栓体が、上記貫通孔の先細り形状に対応して上記点火室側から上記タンク室側に向かうにつれて外径が小さくなる先細り形状を有していてもよい。
【0234】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記底壁部の上記点火室側の主面に当接することによって上記栓体が上記タンク室側に向けて移動することを規制するストッパ部が、上記栓体に設けられていてもよい。
【0235】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記破裂部材が、上記栓体の上記タンク室に面する側の部分に溶接されることで固定されていることが好ましい。
【0236】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、燃焼することで高温の熱を発生させる発熱剤が、上記点火室に充填されていてもよい。
【0237】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記第2ケース体が、上記第2周壁部の軸方向の他端が第3開放端として構成された筒状の部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記第2ケーシングが、上記第3開放端を閉塞するとともに上記ガス噴出口が設けられたノズル体をさらに有していてもよい。
【0238】
上記関連形態に係るガス発生器にあっては、上記第2ケース体が、上記第2周壁部の軸方向の他端を閉塞する閉塞部を含む有底筒状の単一の部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記ガス噴出口が、上記第1周壁部に設けられていてもよい。
【0239】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態1,2および関連形態1,2ならびにそれらの変形例においては、仕切り部としての第1ケース体の底壁部に組付けられる破裂部材および封止部組立体を、いずれもその一部がタンク室側に突出するように設けた場合を例示して説明を行なったが、これらが第1ケース体の底壁部と面一となるように貫通孔に挿入配置されてもよいし、これらが貫通孔の内部に位置するように当該貫通孔の開口面から後退配置されてもよい。
【0240】
また、上述した本発明の実施の形態1,2および関連形態1,2ならびにそれらの変形例においては、圧縮ガス封入装置のガス充填ヘッドに設けられた通気路がガス供給源および負圧源に選択的に切り替え可能に接続されるように構成された場合を例示して説明を行なったが、ガス供給源および負圧源にそれぞれ独立して接続された通気路をガス充填ヘッドに設け、ガス供給源および負圧源がそれぞれ異なるタイミングで駆動されるように構成することとしてもよい。
【0241】
また、上述した本発明の実施の形態1,2および関連形態1,2ならびにそれらの変形例における特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて相互に組み合わせることができる。
【0242】
さらには、上述した本発明の実施の形態1,2および関連形態1,2ならびにそれらの変形例においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、カーテンエアバッグ装置やニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器等にもその適用が可能である。
【0243】
このように、今回開示した上記実施の形態および関連形態ならびにその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0244】
1A,1A1~1A6,1C,1C1,1C2 ハイブリッド型ガス発生器、1B,1D ストアード型ガス発生器、10 第1ケーシング、11 第1ケース体、11a 第1周壁部、11a1 第1開放端、11b 底壁部、11b1 貫通孔、11c ガス噴出口、12 シールテープ、20 第2ケーシング、21 第2ケース体、21a 第2周壁部、21a1 第2開放端、21a2 第3開放端、21b 閉塞部、30 点火器組立体、31 ホルダ、31a 貫通部、32 点火器、32a 点火部、32b 端子ピン、33 樹脂成形部、33a 凹部、40 ノズル組立体、41 ノズル体、41a ベース部、41b ノズル部、41c 流路部、41d ガス噴出口、42 破裂板、50 破裂部材、51 固定部、51a 中空部、51b ストッパ部、52 破裂部、53 コーナー部、60 発熱剤、70 封止部組立体、71 栓体、71a 連通孔、71b 環状突部、71c ストッパ部、72 破裂板、100 圧縮ガス封入装置、110 ヘッド部、111 ガス充填ヘッド、111a 通気路、111a1 ガス送出口、111b 主表面、112 溶接ヘッド、112a 吸引路、112b 主表面、S1 点火室、S2 タンク室。