(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】エキシマランプ、紫外線照射装置およびオゾン発生装置
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20240329BHJP
H01J 61/36 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01J65/00 D
H01J61/36 Z
(21)【出願番号】P 2020156231
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
(72)【発明者】
【氏名】両角 洋二
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091618(JP,A)
【文献】特開2007-179891(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049606(WO,A1)
【文献】特開平07-272693(JP,A)
【文献】特開2012-038658(JP,A)
【文献】特開2006-054059(JP,A)
【文献】特開2018-198175(JP,A)
【文献】特表2011-505061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0119279(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/30-65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に小径部を設けた放電容器と、
前記放電容器内に設けられた内側電極と、
前記内側電極を被覆する内側管とを備え、
前記内側管の先端部が、前記小径部に入り込み、
前記内側電極のランプ軸に沿った先端位置が、前記小径部より後端側にあることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
前記内側管の先端部が先細く、
前記先端部の側面の少なくとも一部が、前記小径部の内面と接していることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項3】
前記先端部の側面の少なくとも一部と接する前記小径部の接触部分が曲面形状であることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
【請求項4】
前記小径部が、容器外側および/または容器内側に向けて突出する円筒状部分を有し、
前記内側管が、前記円筒状部分と接していることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項5】
前記内側管の先端部と前記内側電極の先端部とのランプ軸に沿った距離間隔が、前記内側電極と前記内側管の外周面とのランプ径方向に沿った距離間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項6】
前記内側管の先端と前記内側電極の先端とのランプ軸に沿った距離間隔が、前記内側管の先端と前記小径部の先端とのランプ軸に沿った距離間隔よりも長いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記内側管の先端部は先細く、
前記内側電極が箔状であって、電界が集中するように前記内側管に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載されたエキシマランプを備えた紫外線照射装置であって、
前記エキシマランプが、
前記放電容器の外表面に設けられた外側電極または前記外側電極と同電位である導電体と、前記小径部または前記放電容器の端部とを接した状態または近接した状態で、装置筐体内に設置されることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載されたエキシマランプを備えたオゾン発生装置であって、
前記小径部を吸気ファンに向けて設置される前記エキシマランプを、前記小径部の先端部または前記放電容器
の端部で支持し、
前記放電容器の外表面に設けられた外側電極と同電位である支持部材を備えることを特徴とするオゾン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプ、エキシマランプを備えた紫外線照射装置およびオゾン発生装置に関し、特に、エキシマランプの放電容器の先端部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマランプでは、放電容器(発光管)内に希ガスを封入し、発光管の外表面に設けられた外側電極と、発光管内に設けられた内側電極との間に電圧を印加することによって放電し、エキシマ光が放射される。エキシマ光として紫外線を照射可能であり、紫外線照射によるオゾン発生などを行う光源として利用することができる。
【0003】
エキシマランプの始動電圧を低下させるため、内部電極の先端部を、放電容器の一端に形成されたチップ部内まで延ばし、外部電極をチップ部外表面まで延設する電極の配置構成が知られている(特許文献1参照)。このような電極配置構成は、二重管構造のエキシマランプにも採用することができる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-154274号公報
【文献】特開2016-91618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エキシマランプの内側電極に対して高電圧が印加される一方、チップ部は、エキシマランプの製造過程における放電容器内の排気経路の残部であり、放電容器(外側管)に比べて内径が小さい。そのため、チップ管先端まで延びる内側電極と、チップ部外表面まで延設している外側電極との間で絶縁破壊が生じやすい。また、チップ部に対して外側電極と同電位(アース)の導電体が接近している場合も、同じように絶縁破壊が生じやすい。
【0006】
したがって、絶縁破壊の発生を抑制する放電容器の構成が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエキシマランプは、先端に小径部を設けた放電容器と、放電容器内に設けられた内側電極と、内側電極を被覆する内側管とを備える。ここでの「先端」は、放電容器の一方の端部に相当する。また、「小径部」は、放電容器の径一定部分と比べて径が小さい部分であり、放電容器の軸(ランプ軸)に沿って様々な形状による小径部を形成することができる。容器端から先端側(容器外側)に向けて突出する構成、後端側(容器内側)に一部突出する部分を形成することも可能である。
【0008】
内側電極は、ランプ軸に沿って延びる構成が可能であり、例えば、箔状の電極として構成することができる。内側管は、先端部は先細く形成し、電界が集中するように内側管に埋設するようにすることができる。
【0009】
本発明では、内側管の先端部が、小径部に入り込み、内側電極のランプ軸に沿った先端位置が、小径部より後端側にある。小径部に入り込む形態は様々であり、内側管の形状、小径部の形状などに従う。
【0010】
例えば、内側管の先端部が先細く形成される場合、先端部の側面の少なくとも一部が、小径部の内面と接するように構成することができる。先端部の側面の少なくとも一部と接する小径部の接触部分を、曲面形状にすることができる。
【0011】
また、小径部は、容器外側および/または容器内側に向けて突出する円筒状部分を設けてもよく、内側管が、円筒状部分と接するように構成することができる。
【0012】
例えば、内側管の先端部と内側電極の先端部とのランプ軸に沿った距離間隔が、内側電極と内側管の外周面とのランプ径方向に沿った距離間隔よりも大きくなるように構成すればよい。
【0013】
また、内側管の先端と内側電極の先端とのランプ軸に沿った距離間隔が、内側管の先端と小径部の先端とのランプ軸に沿った距離間隔よりも長くなるように構成してもよい。
【0014】
本発明の一態様である紫外線照射装置は、上記エキシマランプのいずれかの特徴を備えた装置として構成可能であり、エキシマランプが、外側電極または外側電極と同電位である導電体と、小径部または放電容器の端部とを接した状態または近接した状態で、装置筐体内に設置される。
【0015】
本発明の一態様であるオゾン発生装置は、上記エキシマランプのいずれかの特徴を備えた装置として構成可能であり、小径部を吸気ファンに向けて設置されるエキシマランプを、小径部の先端部または放電容器端部で支持し、外側電極と同電位である支持部材を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エキシマランプ、エキシマランプを備えたオゾン発生装置などにおいて、絶縁破壊の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態であるエキシマランプを備えた照射装置の概略的内部構成を示した図である。
【
図2】エキシマランプの先端部を示す拡大図である。
【
図3】第1の実施形態である放電容器の変形例を示した図である。
【
図4】第1の実施形態である放電容器の他の変形例を示した図である。
【
図5】第2の実施形態である紫外線照射装置に設けられたキシマランプの概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態であるオゾン発生装置の概略的内部構成を示した図である。なお、
図1ではエキシマランプと筐体とを断面図として描いている。
【0020】
オゾン発生装置100は、エキシマランプ10を筐体100K内に収容した紫外線照射装置を備え、エキシマランプ10は、そのランプ軸Eを鉛直方向に沿うように配置されている。送風機(図示せず)は、エキシマランプ10の下方に設置され、筐体100K内に吸入されたガスは、筐体100K内を鉛直方向(ランプ軸E)に沿って流れ、上面の開口部100Pから流出する。
【0021】
エキシマランプ10は、紫外線を照射し、例えば波長172nmの紫外線を照射する。エキシマランプ10の周囲を流れる酸素を含むガスに対して紫外線が照射されることにより、オゾンが発生し、オゾンを含むガスが開口部100Pから放出される。これによって、除菌、殺菌などが行われる。
【0022】
エキシマランプ10は、支持部材70、71、72によって筐体100K内で支持されている。支持部材70、71、72は、それぞれ筐体100K内に配置された壁部75に取り付けられ、支持部材70、71は、エキシマランプ10の主に径方向への変位を防止するように、外側電極50を介して挟持する。支持部材72は、エキシマランプ10の主に軸方向への変位を防止するように、エキシマランプ10の一端(以下、先端部とする)を下支えしている。
【0023】
エキシマランプ10の放電容器(発光管)10Tは、石英ガラスなどの誘電材料から成る断面略円筒状の外側管20を備える。外側管20内には、管軸すなわちランプ軸Eに沿って延びる箔電極(以下、内側電極という)40が埋設(被覆)された断面略円筒状の内側管30を設けている。放電容器10T内の放電空間Sには、キセノンガスなどの希ガスや希ガスとハロゲンガスとの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
【0024】
誘電体である内側管30は、外側管20に対して同軸的に配置され、放電容器10Tの後端側で加熱溶着することで、放電空間Sを形成する。内側電極40は、内側管30の端部から見て、ランプ軸Eを中心として内側管30内に配置されている。内側電極40は、内側管30と外側管20との間に形成される放電空間Sに露出していない。なお、内側電極を内側管により加熱溶着して埋設せず、内側管の管内に配置する構成も可能である。
【0025】
外側管20の外表面20Sには、外側電極50が設けられている。外側電極50は、ここでは螺旋状に巻かれた金属線で構成され、その一部が支持部材70、71および壁部75を介してアースと接続する給電線(図示せず)と電気的に接続されている。
【0026】
筐体100K内には、図示しない電源部が設けられている。電源部は、商用交流電圧を直流電圧に変換し、スイッチング回路により直流電圧から高周波電圧に変換して、昇圧トランスへ送る。昇圧トランスは、高周波電圧を昇圧し、給電線60を通じて内側電極40と外側電極50との間へ高周波高電圧を印加する。あるいは、周波数コンバータにより商用交流電圧から直流電圧に変換して、昇圧トランスへ送るように構成してもよい。
【0027】
放電容器10Tは、放電空間Sを囲む内径一定部分20Mの両端に、突起状部分(以下、小径部という)21、22を設けている。小径部22は、内側管30の後端側の一部が外側管20に覆われずにランプ後端に向けてランプ軸Eに沿って突出した部分であり、内部を給電線60が貫通している。
【0028】
小径部21は、ランプ製造の過程で形成され、ランプ先端側に向けてランプ軸Eに沿って放電容器10T(容器外部)から突出している。ここでは、外側管20の先端側を加熱変形して縮径し、外側管20よりも小径のチップ管を溶着させることで、内径一定部分20Mよりも径の小さい小径部21が一体的に成形されている。なお、ランプ製造に用いるチップ管を小径部とは別の位置に設けてもよい。
【0029】
本実施形態では、内側管30の先端部31が小径部21に入り込んで、内側管30の先端部31が小径部21と接触して支持される。このような嵌合状態を形成する一方、内側電極40の先端部41は、小径部21内にまで入り込まない。以下、これについて詳述する。
【0030】
図2は、放電容器10Tの小径部付近を示した拡大図である。
【0031】
内側管30の先端部31は先細く、ここでは砲弾型形状になっている。一方、外側管20の先端側では、内径一定部分20Mから小径部21に向けて縮径する縮径部20Tが、ここでは椀状の曲面形状で構成され、小径部21がその中心部から突出するように形成されている。
【0032】
外側管20の縮径部20Tおよび小径部21の内面21Sは、ここでは、縮径部20Tと小径部21の繋目が分からないように、連続的で滑らかな曲面形状になっている。放電容器10Tの縮径部20Tから小径部21に至るまでの内面断面形状には、2つの曲率変更点Q11、Q12が現れる。
【0033】
放電容器10Tの縮径部20Tから小径部21に至るまでの内面断面形状に沿った曲線を円(曲率円)で近似したとき、曲率変更部分(変更点)Q11は、曲率円の曲率中心が放電空間Sからランプ外側に移る境界位置に該当する。すなわち、放電空間S側に凹状となっている内面断面形状部分からランプ外側に凹状となっている内面断面形状部分に移る境界位置に該当する。
【0034】
一方、曲率変更部分Q12は、曲率円の曲率中心がランプ外側から再び放電空間S側に移る境界位置に該当する。すなわち、ランプ外側に凹状となっている内面断面形状部分から放電空間S側に凹状となっている内面断面形状部分に移る境界位置に該当する。
【0035】
曲率変更部分Q11を用いて小径部21を定義すると、小径部21は、放電容器10Tの先端21Tと曲率変更部分Q11までの軸方向範囲の部分を示し、ランプ軸Eに沿って長さK1を有する。縮径部20Tは、曲率変更部分Q11よりも放電容器10Tの後端側に形成され、小径部21に向けて縮径する部分を表す。
【0036】
鉛直方向に沿って配置される内側管30は、その先端部31の側面(周方向に沿った外表面)31Sの一部が、接触部23に接することで位置決めされ、放電容器10Tによって支持されている。ただし、接触部23は、小径部21の曲率変更部分Q11とQ12との間の曲面部分を示す。内側管30の先端部頂点31Tとチップ管先端部頂点21Tとのランプ軸Eに沿った距離間隔L1は、内側管30の内側管先端部頂点31Tと内側電極40の先端部41とのランプ軸Eに沿った距離間隔L2より短い。
【0037】
また、距離間隔L2は、箔状の内側電極40のランプ径方向端の縁部40Lと内側管30の外周面30Sとの最短距離間隔Tよりも長い。すなわち、内側管30に埋設された内側電極40のランプ軸E方向に沿った絶縁距離が、径方向に沿った絶縁距離よりも長い。
【0038】
上述したように、エキシマランプ10は、その小径部21のチップ管先端部頂点21Tにおいて、アース接続する支持部材70に支えられている。また、箔状の内側電極40の縁部40Lは、ここでは幅方向の中心から縁に向けて先鋭化したナイフエッジ形状となっている。このような電極形状の内側電極40に対して高電圧が印加されると、縁部40Lにおいて(特に先端部41)電界集中が生じる。
【0039】
しかしながら、絶縁距離として距離間隔L2(内側管30のランプ軸方向の厚さ)と距離間隔L1(内側管先端部頂点31Tとチップ管先端部頂点21Tとのランプ軸方向距離間隔)とを確保しているため、支持部材70との間での絶縁破壊を防ぐことができる。その結果、内側電極40と外側電極50との間で放電が良好に生じ、紫外線が放電容器10T全体から放射される。
【0040】
このように、内側管30の先端部31が、放電容器の小径部21の内部空間に達して嵌合状態になる一方、内側電極40の先端部41のランプ軸Eに沿った位置が、小径部21の内部空間に達することなく、小径部21よりも後端(放電容器中央)側にある。そのため、内側電極40のランプ軸Eに沿った長さ、および外側電極50の巻く長さを、外側管20の縮径部20T付近まで含めることが可能となり、ランプの全長を変更せずに、発光長を長くすることができる。
【0041】
また、内側管30が小径部21に接触して支えられる構造であるため、内側管30を外側管20内で安定して同軸状に保持することできるとともに、接触部23である小径部の内面が曲面形状となっていることで、内側管30の先端部31を破損させないように接触することができる。そして、内側管30の先端部31が曲面形状で先細くなっているため、それぞれの加熱成形による寸法誤差に対しても安定して同軸状の保持できるように接触を実現することができる。
【0042】
放電容器10Tでは、ランプ軸に沿って縮径部20Tから小径部21までの部分は、放電(紫外線の放射)にほとんど寄与しない。したがって、放電容器10Tの縮径部20Tを、椀状の曲面形状でなく、略平坦状にすることも可能である。
【0043】
図3は、第1の実施形態における放電容器の変形例を示した図である。ランプ軸Eに垂直な方向(ランプ径方向)に沿った略平坦な面として平坦状部分20TMを形成している。小径部21-1のランプ軸Eに沿った長さ(突出高さ)K1’を短くすることで、ランプ軸Eに沿ってコンパクトなエキシマランプ10-1が構成可能となり、放電領域と放電容器10Tの縮径部20Tとを接近させることで、ランプ全長に対する発光長を長くすることができる。
【0044】
内側管30が放電容器10Tの小径部21-1と接して支持される(位置決めされる)構成としては、様々な構成が可能である。例えば、内側管30の先端部31の外径に対して小径部21-1の内径を大きくして、内側管先端部頂点31Tがチップ管先端部頂点21Tに近い位置とすることで、小径部21-1の内面の曲率変更部分Q12よりも内側管先端部頂点31T側や底部21Bに接して支持される構成としてもよい。
【0045】
また、小径部21-1の内表面において、曲率円の曲率中心がランプ外側から放電空間S側に移る境界位置、すなわち曲率変更部分Q12がある内表面部分に、ランプ軸Eに沿った円筒状部分を形成し、小径部21-1のランプ軸Eに沿った長さ(突出高さ)K1’を長くし、円筒状部分において先端部31と接触させた嵌合状態にしてもよい。さらには、内側管30の先端部31を先細く、曲面形状にせず、小径部内面を先細くして嵌合させてもよい。この場合、曲率変更部分Q11,Q12がある内表面部分は曲面形状でなくてもよい。内側管30の先端部31と小径部21-1が径方向に対して重なる軸方向範囲を有すればよい。
【0046】
図4は、第1の実施形態である放電容器の他の変形例を示した図である。ここでの小径部21-2は、その一端側で縮径部20Tの先端よりもランプ後端(容器内側)に向けてランプ軸Eに沿って突出して形成されている。小径部21-2は、少なくとも一部が放電空間側に突出した円筒状部分を有し、内側管30の先端部31は、小径部21-2の円筒状部分に嵌合する。なお、先端部31の側面が小径部21-2の内面と接してもよく、先端部頂点31Tが小径部21-2の底部21Bの内面と接してもよい。なお、ランプ外側に突出せず、内側だけに突出するようにしてもよい。
【0047】
次に、
図5を用いて、第2の実施形態であるエキシマランプを備えた紫外線照射装置について説明する。第2の実施形態では、外側電極が小径部にまで渡って設けられ、小径部を介して外側電極用の給電部と電気的に接続される。
【0048】
図5は、第2の実施形態である紫外線照射装置のエキシマランプを示した概略的内部構成図である。
【0049】
紫外線照射装置100’は、エキシマランプ10’を備える。ここでは、エキシマランプ10’が、紫外線照射装置筐体(図示せず)内において横方向(水平方向)に設置された光透過性のジャケット管11内部に配置され、洗浄水など紫外線照射対象となる流体がジャケット管11の外周側を流れていく。
【0050】
放電容器10’Tの外表面20’Sには、アルミニウム膜などの金属膜によって構成された外側電極50’が設けられている。外側電極50’は、放電容器10’Tの両端で外表面全体を覆う一方、その間の径一定部分20’Mでは紫外線照射の障害とならないように、一部表面のみ覆っている。小径部21’を覆う外側電極50’は、図示しない金属ソケットなどを介して外側電極用給電線と接続している。なお、
図3では外側電極50’の厚みを誇張して描いている。
【0051】
第1の実施形態と同様、断面図における曲率変更部分を用いて、小径部21’などの範囲が定義可能である。外側管20’の内径一定部分20’Mから縮径部20’Tを介して小径部21’までを接続する内面は、連続的で滑らかな曲面形状であり、その断面において曲率変更部分Q20、Q21、Q22、Q23が存在する。小径部21’は、円筒状部分を有する。
【0052】
曲率変更部分Q20は、外側管20の径一定部分20’Mと縮径部20Tとの境界部分であって、曲率変更部分Q21は、縮径部20Tとランプ径方向に沿った平坦状部分との境界部分に該当する。曲率変更部分Q22は、ランプ径方向に沿った平坦状部分と小径部21’との境界部分であって、曲率変更部分Q23は、小径部21におけるランプ後端側の縮径部分と円筒状部分との境界部分に該当する。曲率変更部分Q24は、小径部21’における円筒状部分とランプ先端側の縮径部分との境界部分であって、底部21Bは、小径部21’の内面の凹部の底となる部分である。
【0053】
このように定めたときの小径部21’とは、曲率変更部分Q22からチップ管先端部頂点21Tとのランプ軸Eに沿った長さとして表される(平坦状部分は含まれない)。ランプ軸方向に沿って、内側管30の先端部頂点31Tが小径部21の曲率変更部分Q22よりもランプ先端側(内部)にまで入り込んで嵌合状態を形成する一方、内側電極40の端部41’は、小径部21の曲率変更部分Q22よりも後端側(放電容器中央側)の位置にある。すなわち、小径部21’内にまで入り込んでいない。これによって、絶縁破壊を防ぐことができる。
【0054】
内側管30’と放電容器10’Tの小径部21’との嵌合状態は、内側管30’の先端部31’と小径部21’が互いに接触する様々な構成として実現可能であり、第1の実施形態と同様に、平坦状部分や円筒状部分を設けなくてもよい。また、外側管20’の径一定部分20’Mから縮径部20’Tを介して小径部21までを接続する内面を連続的で滑らかな曲面形状としなくてもよい。
【0055】
例えば、曲率変更部分Q20とQ21との間の曲面を設けず、外側管20’の内径一定部分20’Mと平坦状部分とを接続してもよく、曲率変更部分Q22とQ23との間の曲面を設けず、平坦状部分と円筒状部分を接続してもよく、曲率変更部分Q24と底部21Bとの間の曲面とせず、平坦状底部としてもよい。
【0056】
エキシマランプの配置は、第1、第2の実施形態に限定されるものでなく、様々なバリエーションが可能である。この場合、外側電極の同電位である導電体が近接した状態で配置される状況も生じるが、上述した構成によって絶縁破壊を防ぐことができる。第1の実施形態で示したエキシマランプを、紫外線照射装置に組み込むことも可能であり、第2の実施形態で示したエキシマランプをオゾン発生装置に組み込むことも可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 エキシマランプ
10T 放電容器
20 外側管
30 内側管
40 内側電極
50 外側電極
100 オゾン発生装置