(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】下水汚泥処理装置および下水汚泥処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/06 20060101AFI20240329BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20240329BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20240329BHJP
C02F 11/121 20190101ALI20240329BHJP
C02F 11/143 20190101ALI20240329BHJP
C02F 3/12 20230101ALI20240329BHJP
B01F 27/87 20220101ALI20240329BHJP
【FI】
C02F11/06 B
C02F11/02 ZAB
C02F11/04
C02F11/121
C02F11/143
C02F3/12 N
B01F27/87
(21)【出願番号】P 2020168812
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋志
(72)【発明者】
【氏名】勝又 典亮
(72)【発明者】
【氏名】杉本 諒
(72)【発明者】
【氏名】大泉 雅伸
(72)【発明者】
【氏名】臼井 肇
(72)【発明者】
【氏名】村橋 一毅
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-118299(JP,A)
【文献】特開平11-090496(JP,A)
【文献】特開平04-225826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
C02F3/12
B01F21/00-35/95
E03F1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物処理を行う生物処理槽と、前記生物処理槽の後段で、処理水と活性汚泥とに分離する沈殿槽と、
前記沈殿槽の後段で、前記活性汚泥の一部の余剰汚泥に無機酸を添加する酸添加装置と攪拌機が設けられた酸処理槽と、
前記酸処理槽の後段で、酸処理汚泥を貯留するとともに、前記酸処理汚泥を、オゾン発生器から送出されるオゾンガスで改質するオゾン処理槽とを
備え、
前記酸処理槽には、仕切板で多段に分離された部屋が設けられ、前記部屋毎に前記攪拌機で前記酸処理汚泥を撹拌し、前記酸処理汚泥を前記仕切板の貫通穴を介して、下段の部屋から上段の部屋に流動
させ、
前記酸処理槽と前記オゾン処理槽を接続する循環配管にはポンプが設けられ、前記ポンプによって前記オゾン処理槽からオゾン処理汚泥を引き抜き、前記酸処理槽に投入する下水汚泥処理装置。
【請求項2】
制御部を備え、前記制御部によって、前記オゾン処理槽に設けられたPH計の出力値に対応して前記攪拌機の回転数および前記無機酸の添加量が制御されるとともに、前記PH計の出力するPH値が所定値内で、かつ時間変動が±0.3以下となると前記無機酸の添加が停止される請求項1に記載の下水汚泥処理装置。
【請求項3】
制御部を備え、前記制御部は、前記オゾン処理槽に設けられたPH計の出力値に基づいて、前記オゾン処理槽から前記酸処理槽に循環させるオゾン処理汚泥の量を制御する請求項1または請求項2に記載の下水汚泥処理装置。
【請求項4】
制御部を備え、前記オゾン処理槽に貯留される酸処理汚泥は、前記制御部で前記オゾン処理槽に設けられた液面計によって所定の液面高さを保持するように制御されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の下水汚泥処理装置。
【請求項5】
制御部を備え、前記制御部によって引き抜かれる
前記オゾン処理汚泥の
循環量は、前記攪拌機の動力、前記ポンプの動力の合計が最小とするよう制御されている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の下水汚泥処理装置。
【請求項6】
前記沈殿槽と前記酸処理槽との間には、前記余剰汚泥の水分を除去する濃縮装置が設けられているとともに、前記オゾン処理槽の後段に嫌気性消化槽とが設けられている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の下水汚泥処理装置。
【請求項7】
請求項1から請
求項6のいずれか1項に記載の下水汚泥処理装置を用いて処理を行う下水汚泥処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、下水汚泥処理装置および下水汚泥処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場では、流入した下水排水を処理して河川、海に放流している。放流は処理水中の無機系または有機系の浮遊物および溶解性の有機物を基準レベルまで除去する必要があり、除去方法として活性汚泥法が用いられる。この活性汚泥法に使用する微生物は、溶解性有機物を分解することでエネルギーを得て増殖する。曝気槽の微生物濃度が増加すると、沈殿によって微生物を処理水と分離することが困難になる。これを防ぐため増殖した微生物を余剰汚泥として引き抜いている。大量の余剰汚泥を効率的に改質するためにオゾンガスを利用しているが、このオゾンガス発生には多くの電力が必要となり、従来からオゾンガス使用量の削減化に注力されている。例えば、生物処理系において生成する余剰汚泥をオゾン処理槽においてオゾン処理した後、嫌気性処理装置で生物処理する方法にあって、余剰汚泥に硫酸などの無機酸を加えてPHを5以下に調整した後、オゾン処理する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された技術は、以下のような問題点がある。余剰汚泥に無機酸を添加してオゾン処理を行う場合、オゾンガス使用量を削減するには、余剰汚泥全体に無機酸を均等に分布させることが必要である。その理由として、余剰汚泥は微生物の集合体である数十ミクロンから1mm程度の大きさのフロックが多数浮遊した形状を持っているオゾン処理において、前記フロックとオゾンガスとの反応が生じるため、フロックの表面を無機酸と接触させて、フロックの表面を無機酸で改質する必要がある。この状態を生成するには、添加した無機酸がフロック間に侵入させる必要があるが、上記特許文献1には余剰汚泥に添加した無機酸を分散させる点に関する記載は示されていない。一方、従来よりオゾン処理槽内で攪拌機を用いて、余剰汚泥と無機酸を混合させるものが知られているが、攪拌機の運転およびオゾン発生器の運転に伴う使用電力量の低減ならびにオゾンガス使用量の低減に関する技術は開示されていないという問題点がある。
【0005】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、使用電力量とオゾンガス使用量を低減した下水汚泥処理装置および下水汚泥処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の下水汚泥処理装置は、生物処理を行う生物処理槽と、前記生物処理槽の後段で、処理水と活性汚泥とに分離する沈殿槽と、前記沈殿槽の後段で、前記活性汚泥の一部の余剰汚泥に無機酸を添加する酸添加装置と攪拌機が設けられた酸処理槽と、前記酸処理槽の後段で、酸処理汚泥を貯留するとともに、前記酸処理汚泥を、オゾン発生器から送出されるオゾンガスで改質するオゾン処理槽とを備え、
前記酸処理槽には、仕切板で多段に分離された部屋が設けられ、前記部屋毎に前記攪拌機で前記酸処理汚泥を撹拌し、前記酸処理汚泥を前記仕切板の貫通穴を介して、下段の部屋から上段の部屋に流動させ、
前記酸処理槽と前記オゾン処理槽を接続する循環配管にはポンプが設けられ、前記ポンプによって前記オゾン処理槽からオゾン処理汚泥を引き抜き、前記酸処理槽に投入するものである。
また、本開示の下水汚泥処理方法は、上記記載の下水汚泥処理装置を用いて処理を行うものである。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される下水汚泥処理装置は、上記のような構成を採用しているので、使用電力量とオゾン使用量を低減した下水汚泥処理装置を提供できるという効果があり、また下水汚泥処理方法も同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1による攪拌機を示す断面図である。
【
図3】実施の形態2による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態3による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態4による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態5による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態6による下水汚泥処理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1を図に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1による下水汚泥処理装置100を示すブロック図である。
図1において、下水は生物処理槽1によって溶解性有機物が分解され、沈殿槽2において処理水と、微生物を含む活性汚泥3とに分離される。活性汚泥3の一部は、余剰汚泥4として生物処理槽1に戻さずに引き抜かれる。この引き抜き量は、下水処理の状況に対応した量である。余剰汚泥4は投入配管20を介して無機酸を添加する酸処理槽6に投入される。使用する無機酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸などである。酸処理槽6には、無機酸を添加する酸添加装置7と、余剰汚泥4を撹拌する羽根14を取り付けた攪拌機8、PH計9が設置されている。この酸処理槽6の後段には、汚泥配管10を介してオゾン処理槽5が設けられている。このオゾン処理槽5には、オゾン発生器11で発生したオゾンガスを注入するオゾン配管12と、オゾンガスによって改質したオゾン処理汚泥を引き抜くオゾン処理汚泥配管13と液面計16とオゾン排出管32とが設けられている。また、上記各構成要素の出力を入力し、演算、運転制御する制御部50が設けられている。
【0010】
図1を用い、余剰汚泥4をオゾンガスによって改質する手順を説明する。沈殿槽2から生物処理槽1に戻す活性汚泥3の一部が引き抜かれた余剰汚泥4は、投入配管20を介して酸処理槽6に投入されるとともに、攪拌機8の羽根14によって撹拌される。酸添加装置7から注入配管21を介して酸処理槽6に注入される無機酸は、余剰汚泥4の内部に分散される。前記無機酸は、余剰汚泥4中に含まれる微生物の集合体であるフロックの表面全体に付着することにより、フロックの表面が改質されて余剰汚泥4の粘度が低下した酸処理汚泥が生成され、汚泥配管10を介しオゾン処理槽5に送出される。
【0011】
酸処理汚泥のPHはPH計9によって測定され、その出力は制御部50に送信される。制御部50はPH計9の出力に対応して酸添加装置7からの無機酸の注入量を制御する。この制御はPH計9の値が予め設定されたしきい値、例えばPH=3~6の値となるようになされるものであり、PH計9の出力が高い場合は、酸添加装置7から注入する無機酸の量を増やし、前記しきい値より低くなった場合には、酸添加装置7からの無機酸の添加を停止する。尚、前記しきい値は、汚泥の状態によって変化させるものである。
【0012】
酸処理槽6に添加した無機酸は、濃度が不均一に分布する。羽根14によって撹拌されることにより、測定されるPH値は時間的に変動する。この場合、PH値が設定しきい値より±0.5以上変動する場合、制御部50の信号に基づき、攪拌機8の回転数を制御することで酸処理汚泥内部における無機酸の分布を均等とする。このように、酸処理槽6における酸処理汚泥の処理は、PH計9の時間変動が±0.3以下となるよう制御される。
【0013】
酸処理槽6で処理された酸処理汚泥は、汚泥配管10を介してオゾン処理槽5に流入される。このオゾン処理槽5には、オゾン発生器11で発生したオゾンガスがオゾン配管12を通して注入される。オゾン処理槽5内の酸処理汚泥は、オゾンガスによる改質が促進されるため、酸処理汚泥のPH値に応じて汚泥を改質するためのオゾンガス量は減少する。このように、オゾンガスによって改質された酸処理汚泥は、オゾン処理汚泥となり、オゾン処理汚泥配管13を介してオゾン処理槽5から引き抜かれる。また、オゾン排出管32から排オゾンが排出される。
【0014】
オゾン処理槽5における酸処理汚泥のオゾン処理方式としては、バッチ処理方式と、連続処理方式とがある。バッチ処理方式は、酸処理槽6で生成された酸処理汚泥をオゾン処理槽5に貯留し、液面計16で計測する液面の高さが設定値に達すると、制御部50の制御により酸処理汚泥の流入を停止する。その後、オゾンガスがオゾン処理槽5に注入され酸処理汚泥と反応して改質を行う。酸処理汚泥が吸収したオゾンガス量が所定値に達すると、オゾンガスの注入を停止する。前記所定値は、制御部50において貯留した酸処理汚泥量から固形物重量、注入したオゾンガス濃度とオゾン処理槽5に設けられたオゾン排出管32から流出したオゾン濃度の差と、処理時間の積から、オゾン吸収量を算出することで吸収量の所定値としている。引き続きオゾン処理槽5からオゾン処理汚泥配管13を介してオゾン処理汚泥を引き抜いた後、再度酸処理槽6から酸処理汚泥をオゾン処理槽5に貯留してバッチ処理方式によるオゾン処理を繰り返す。
【0015】
連続処理方式の場合、酸処理槽6からオゾン処理槽5へ連続的に投入する酸処理汚泥の量と、オゾン処理槽5から引き抜くオゾン処理汚泥の量が同じになるようにして汚泥処理を行う。すなわち、液面計16が計測する液面が所定の液面高を保持するよう投入量を一定として引き抜き量が制御される。
【0016】
図2は無機酸と余剰汚泥4を効率よく混合させるための酸処理槽6を示す断面図である。酸処理槽6には酸処理汚泥が通過可能なサイズを有する貫通穴15と羽根14を設けた撹拌棒17を通す穴18が設けられた仕切板19によって、上下方向に多段の部屋、この場合3つの部屋に分けられている。余剰汚泥4を投入する投入配管20と、無機酸を添加する注入配管21は酸処理槽6の最下段の部屋に設けられている。羽根14は各部屋毎に設けられている。PH計9は最下段の部屋に設けられているが、これに限定されるものではなく、また各部屋に設けてもよい。酸処理汚泥が流出する汚泥配管10は、酸処理槽6の上部に設けられている。最下段の部屋に注入の余剰汚泥4は、無機酸が添加され、羽根14によって混合されて酸処理汚泥となり、貫通穴15を通して上部の部屋、この場合2段目の部屋に流動、移動し、再度羽根14によって撹拌されて酸処理汚泥の内部における無機酸の濃度分布が均等化され、さらに最上段部屋において流動した酸処理汚泥が羽根14で攪拌されることにより無機酸の濃度分布がさらに均等になる。このように、酸処理槽6を仕切板19で多段に分割して多段の部屋を設け、各部屋で酸処理汚泥を撹拌するので、撹拌するための動力を低減して、無機酸の濃度分布を均等化可能とし、結果として使用電力量の低減およびオゾンガスの使用量を低減する。
【0017】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2による下水汚泥処理装置100を示すブロック図である。この
図3は前述した実施の形態1のバッチ処理方式を示す
図2の酸処理槽6と、オゾン処理槽5とを一つの槽にまとめたオゾン処理槽5Aを設けたものである。
図3において、オゾン処理槽5Aには、投入配管20、攪拌機8、羽根14、酸添加装置7、PH計9、液面計16が設けられている。以下、
図3に基づく動作を説明する。余剰汚泥4を投入配管20を介してオゾン処理槽5Aに投入すると同時に、酸添加装置7を用いて無機酸を添加する。余剰汚泥4を投入する際には、攪拌機8の運転による羽根14の回転で、余剰汚泥4を撹拌する。無機酸の添加量はPH計9によって計測されるPH値を基に制御部50によって制御される。液面計16による所定量の余剰汚泥4が貯留されると、余剰汚泥4の投入を停止する。PH値が所定の値となるまで無機酸の添加と羽根14による撹拌は継続される。酸処理汚泥のPH値が所定の値、たとえばPH5となり、かつPH値の時間変動が±0.3以下になると、無機酸の添加が停止される。次に、オゾン発生器11で生成されたオゾンガスをオゾン処理槽5Aに注入してオゾン処理を行う。このオゾン処理を行っている間も羽根14の回転でオゾンガスと酸処理汚泥の接触効率を高めることが可能となる。このオゾン処理槽5Aにおける処理が完了する、すなわち実施の形態1で前述した制御部50による所定値を判断すると、オゾンガス注入を停止する。その後、オゾン処理汚泥をオゾン処理汚泥配管13を介して引き抜く。このような実施の形態2においても、撹拌動力が低減される。また、オゾン発生器11からのオゾンガス注入運転は、余剰汚泥4の貯留時、汚泥引き抜き時は停止されるので、オゾンガス使用量および使用電力量の低減となる。
【0018】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3による下水汚泥処理装置100を示すブロック図である。実施の形態1で示した
図1に、オゾン処理槽5と酸処理槽6とを接続するとともに、ポンプ22が設けられた循環配管23が設けられた構成を追加したもので、それ以外は
図1と同様である。次に、
図4の構成による連続処理方式で、酸処理とオゾン処理を行う動作を説明する。沈殿槽2から生物処理槽1に戻す活性汚泥3の一部を引き抜いた余剰汚泥4は、酸処理槽6に投入され、羽根14によって撹拌される。酸添加装置7から注入された無機酸は、余剰汚泥4の内部に分散され、余剰汚泥4の粘度が低下した酸処理汚泥を生成後、オゾン処理槽5に流入される。上記状態に達した後、この実施の形態3における定常状態の連続処理が開始される。すなわち、ポンプ22の運転によりオゾン処理槽5からオゾン処理汚泥を引き抜く。この引き抜き量は、オゾン処理槽5に流入する量の50%~100%である。引き抜いた粘度の低下したオゾン処理汚泥は循環配管23を介して酸処理槽6に投入される。このため、酸処理槽6内における余剰汚泥4と、循環配管23から投入されるオゾン処理汚泥とが混合された混合汚泥の粘度は、余剰汚泥単独の場合よりも低下し、羽根14による撹拌による混合が効率的に進む。従って、撹拌に要する動力が低減されるとともに、余剰汚泥4に無機酸をより分散させることが可能となる。
【0019】
オゾン処理槽5から酸処理槽6に循環させるオゾン処理汚泥の量は、PH計9によって得られる酸処理槽6の酸処理汚泥のPH値を基に制御される。この理由は、オゾン処理槽5から引き抜いた汚泥を混合させると、酸処理槽6での汚泥の粘度が下がるため撹拌による混合が短時間で完了し、PH値の時間変動が小さく、このためPH値のみで判断可能となる故である。一方、オゾン処理汚泥の循環量が増加すると、ポンプ22の大容量化とともに使用電力増となる。従って循環量は、ポンプ22の動力、酸処理槽6の攪拌機8の動力の合計が最小となるよう設定されている。
【0020】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4による下水汚泥処理装置100を示すブロック図であり、前述した実施の形態3の
図4に濃縮装置25と嫌気性消化槽24を追加した構成としたもので、それ以外は
図4と同様である。
図5に示すように、酸処理槽6の前段に濃縮装置25が設けられており、この濃縮装置25によって余剰汚泥4に含まれる水分を除去することで余剰汚泥4の濃縮処理が行われる。この処理は、オゾン処理槽5の後段に設けられた嫌気性消化槽24を小型化するためになされるものである。濃縮装置25は浮上分離装置、遠心分離装置が用いられ、余剰汚泥4の水分を分離水として排出する。このことにより余剰汚泥4は濃度が高くなり粘度が上昇するが、酸処理槽6で無機酸を投入すること、実施の形態3で述べたオゾン処理槽5から引き抜いたオゾン処理汚泥も酸処理槽6に投入することにより、余剰汚泥4の粘度を低下させることが可能となり、撹拌に必要な動力の低減化が図れる。
【0021】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5による下水汚泥処理装置100を示すブロック図であり、前述した実施の形態3で示した
図4の酸処理槽6に代替してスタティックミキサ26を設けたものである。従って、この実施の形態5では攪拌機8、羽根14は設置されていない。
図6において、投入配管20を介する余剰汚泥4および循環配管23を介するオゾン処理汚泥は、スタティックミキサ26に投入される。尚、酸添加装置7はスタティックミキサ26の前段に、PH計9はスタティックミキサ26の後段に設けられている。このように、オゾン処理槽5から循環配管23を介して引き抜いたオゾン処理汚泥と、酸添加装置7の無機酸とが混合すると、粘度が低下する。この粘度低下により、スタティックミキサ26の内部に余剰汚泥4の投入がより容易となる。このような構成を備えているので、下水汚泥処理装置100がコンパクト化され、かつ撹拌動力が不要となりランニングコストが低下する。
【0022】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6による下水汚泥処理装置100を示すブロック図であり、前述した実施の形態5の
図6に、沈殿槽2の後段に余剰汚泥4の水分を除去する濃縮装置25と、オゾン処理槽5の後段に嫌気性消化槽24を追加設置したものである。
図7において、沈殿槽2から引き抜いた余剰汚泥4は、濃縮装置25で水分を除去された濃縮汚泥と、オゾン処理槽5から引き抜かれたオゾン処理汚泥と、無機酸とが混合されて粘土が低下後、スタティックミキサ26に注入される。このような構成を備えているので、前述の実施の形態5に加え、嫌気性消化槽24の小型化が図れるという効果がある。
【0023】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0024】
1 生物処理槽、2 沈殿槽、4 余剰汚泥、5,5A オゾン処理槽、
6 酸処理槽、7 酸添加装置、9 PH計、14 羽根、16 液面計、
19 仕切板、22 ポンプ、26 スタティックミキサ、50 制御部、
100 下水汚泥処理装置。