(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240329BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240329BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240329BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240329BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240329BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L27/04 P
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L29/78 616T
(21)【出願番号】P 2020192122
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 芳樹
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10121846(US,B1)
【文献】特開2009-064860(JP,A)
【文献】特開2013-130454(JP,A)
【文献】特開2005-332995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の第1領域に形成された抵抗素子と、前記基板の第2領域に形成されたMISFETと、を備える半導体装置であって、
前記基板は、支持基板、前記支持基板上の絶縁層、および前記絶縁層上の半導体層を有し、
前記抵抗素子は、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成されたエピタキシャル半導体層と、
からなり、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成された第1半導体部と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部から離間した第2半導体部と、
を有し、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、
その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、
その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、
を有
し、
前記素子部の不純物濃度は、1×10
21
/cm
3
以上である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの表面に、金属シリサイド層が形成されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記基板に形成され、前記半導体層および前記絶縁層を貫通して底部が前記支持基板に達する素子分離領域を更に備え、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、平面視において、周囲を前記素子分離領域により囲まれている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第2領域に位置する前記半導体層は、平面視において、周囲を前記素子分離領域により囲まれており、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、前記第2領域に位置する前記半導体層とは、前記素子分離領域により離間されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記エピタキシャル半導体層は、前記第2領域に位置する前記半導体層上にも形成されており、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成された第3半導体部と、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第3半導体部から離間した第4半導体部と、
を有し、
前記MISFETは、前記第2領域に位置する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有し、
前記MISFETのソース領域は、前記第2領域に位置する前記半導体層および前記第3半導体部に形成され、
前記MISFETのドレイン領域は、前記第2領域に位置する前記半導体層および前記第4半導体部に形成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記ゲート電極は、平面視において、前記第3半導体部と前記第4半導体部との間に配置されている、半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置において、
前記素子部の不純物濃度は、前記ソース領域および前記ドレイン領域のそれぞれの不純物濃度と同じである、半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記ソース領域および前記ドレイン領域のそれぞれの不純物濃度は、1×10
21/cm
3以上である、半導体装置。
【請求項9】
請求項5記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、前記ゲート電極の厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、前記ゲート電極の下の前記半導体層の厚さと同じである、半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、30nm以下である、半導体装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、3nm~30nmである、半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、30nm以下である、半導体装置。
【請求項14】
請求項1記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、3nm~30nmである、半導体装置。
【請求項15】
請求項1記載の半導体装置において、
前記基板上に、前記半導体層および前記エピタキシャル半導体層を覆うように形成された層間絶縁膜を更に備え、
前記層間絶縁膜には、複数の導電性プラグが埋め込まれており、
前記複数の導電性プラグは、前記第1半導体部上に形成され、かつ、前記第1半導体部と電気的に接続された第1プラグと、前記第2半導体部上に形成され、かつ、前記第2半導体部と電気的に接続された第2プラグと、を含んでいる、半導体装置。
【請求項16】
請求項
15記載の半導体装置において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの表面に、金属シリサイド層が形成されており、
前記第1プラグは、前記第1半導体部の表面に形成された前記金属シリサイド層と接し、
前記第2プラグは、前記第2半導体部の表面に形成された前記金属シリサイド層と接している、半導体装置。
【請求項17】
請求項
16記載の半導体装置において、
前記第1領域に位置する前記半導体層の表面には、金属シリサイド層は形成されていない、半導体装置。
【請求項18】
支持基板と、
前記支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された半導体層と、
前記半導体層上に形成されたエピタキシャル半導体層と、
を有し、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記半導体層上に形成された第1半導体部と、
前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部から離間した第2半導体部と、
を有し、
前記半導体層は、
その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、
その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、
を有し、
前記素子部の厚さは、30nm以下であり、
前記素子部の不純物濃度は、1×10
21/cm
3以上である、半導体装置。
【請求項19】
請求項
18記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、3nm~30nmである、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、抵抗素子を有する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造するには、半導体基板に素子分離領域を形成し、素子分離領域で規定された半導体基板の活性領域にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)や抵抗素子などの半導体素子を形成し、半導体基板上に多層配線構造を形成する。また、半導体基板としてSOI基板を用いる技術がある。
【0003】
特開2007-242660号公報(特許文献1)および特開平9-219493号公報(特許文献2)には、抵抗素子を有する半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-242660号公報
【文献】特開平9-219493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SOI基板に形成された抵抗素子を有する半導体装置において、信頼性を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、基板と、前記基板の第1領域に形成された抵抗素子と、前記基板の第2領域に形成されたMISFETと、を備える。前記基板は、支持基板、前記支持基板上の絶縁層、および前記絶縁層上の半導体層を有する。前記抵抗素子は、前記第1領域に位置する前記半導体層と、前記第1領域に位置する前記半導体層上に互いに離間して形成された第1および第2半導体部とからなる。前記第1領域に位置する前記半導体層は、その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
【
図2】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図3】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図4】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図5】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図7】一実施の形態の半導体装置に含まれる回路例を示す回路図である。
【
図8】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図17】
図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図18】
図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図19】
図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図20】
図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図21】
図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図22】
図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図23】
図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図24】
図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図25】
図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図27】第1変形例の半導体装置の要部断面図である。
【
図28】第2変形例の半導体装置の要部断面図である。
【
図29】第3変形例の半導体装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態)
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、
図2~
図6は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図1のA-A線の断面図が、
図2にほぼ対応し、
図1のB-B線の断面図が、
図3にほぼ対応し、
図1のC-C線の断面図が、
図4にほぼ対応し、
図1のD-D線の断面図が、
図5にほぼ対応している。
図1~
図5は、抵抗素子3が形成された抵抗素子形成領域1Bの平面図および断面図に対応し、
図6は、MISFET2が形成されたMISFET形成領域1Aの断面図に対応している。また、
図1に示されるX方向およびY方向は、SOI基板1の主面に略平行な方向であり、X方向とY方向とは互いに直交している。
【0014】
図1~
図6に示される本実施の形態の半導体装置は、SOI(SOI:Silicon On Insulator)基板1を用いた半導体装置である。
【0015】
図2~
図6に示すように、SOI基板1は、支持基板としての半導体基板(支持基板)SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層(埋め込み絶縁膜)BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。半導体基板SBは、絶縁層BXと絶縁層BXよりも上の構造とを支持する支持基板であるが、半導体基板でもある。
【0016】
半導体基板SBは、好ましくは単結晶シリコン基板であり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。例えば、1Ω~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体基板SBを形成することができる。半導体基板SBの厚みは、例えば700μm~750μm程度とすることができる。絶縁層BXは、好ましくは酸化シリコン膜であり、絶縁層BXの厚さは、例えば10nm~20nm程度とすることができる。絶縁層BXが酸化シリコン膜の場合、絶縁層BXは、埋め込み酸化膜、すなわちBOX(Buried Oxide)層とみなすこともできる。半導体層SMは、単結晶シリコンなどからなる。例えば、1Ω~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体層SMを形成することができる。半導体層SMは、SOI層とみなすこともできる。支持基板である半導体基板SBの厚さに比べて半導体層SMの厚さは薄く、半導体層SMの厚さは、例えば15nm~25nm程度とすることができる。これら半導体基板SB、絶縁層BXおよび半導体層SMにより、SOI基板1が形成されている。
【0017】
図2~
図6に示すように、SOI基板1には、素子分離領域(素子分離構造)STが形成されている。この素子分離領域STは、素子分離溝(素子分離用の溝)に埋め込まれた絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)により形成されている。素子分離溝およびそれを埋めている素子分離領域STは、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して、その底部が半導体基板SBの厚みの途中に達している。すなわち、半導体層SM、絶縁層BXおよび半導体基板SBにかけて形成された素子分離溝に、素子分離領域STが埋め込まれた状態となっている。
【0018】
本実施の形態のSOI基板1は、MISFETが形成される領域であるMISFET形成領域1Aと、抵抗素子が形成される領域である抵抗素子形成領域1Bとを有している。MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、同一のSOI基板1の主面における互いに異なる平面領域に対応している。MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、それぞれ、素子分離領域STで区画されており、例えば
図1に示すように、それぞれ素子分離領域STで周囲を囲まれている。従って、MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、それぞれ、素子分離領域STで囲まれた活性領域とみなすことができる。
【0019】
MISFET形成領域1Aの半導体層SMに、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)2が形成されている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMにより、抵抗素子3が形成されている。SOI基板1において、MISFET形成領域1Aの半導体層SMと、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMとは、それぞれ、素子分離領域STに平面的に囲まれて区画されている。
【0020】
ここで、MISFET形成領域1Aの半導体層SMを、符号SMaを付して半導体層SMaと称し、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMを、符号SMbを付して半導体層SMbと称することとする。半導体層SMaと半導体層SMbとは、互いに同じ厚さを有している。
【0021】
MISFET形成領域1Aの半導体層SM、すなわち半導体層SMaは、側面が素子分離領域STに接し、底面が絶縁層BXに接することで、絶縁層BXと素子分離領域STとで囲まれた状態になっている。すなわち、半導体層SMaの底面は絶縁層BXで覆われ、半導体層SMaの側面は、素子分離領域STで覆われている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SM、すなわち半導体層SMbは、側面が素子分離領域STに接し、底面が絶縁層BXに接することで、絶縁層BXと素子分離領域STとで囲まれた状態になっている。すなわち、半導体層SMbの底面は絶縁層BXで覆われ、半導体層SMbの側面は、素子分離領域STで覆われている。半導体層SMaと半導体層SMbとは、それぞれ平面視において周囲を素子分離領域STにより囲まれており、従って、素子分離領域STによって互いに離間されている。
【0022】
まず、MISFET形成領域1Aに形成されたMISFET2について説明する(
図6参照)。
【0023】
MISFET2は、半導体層SMa上にゲート絶縁膜GFを介して形成されたゲート電極GEを有している。ゲート電極GEは、例えば多結晶シリコンからなる。ゲート電極GEの側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2が形成されている。
【0024】
半導体層SMaのうち、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSW2とからなる構造体の両側に位置する領域上に、半導体層(エピタキシャル半導体)EPが形成されている。すなわち、半導体層SMaのうち、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2に覆われていない領域上に、半導体層EPが形成されている。半導体層EPは、エピタキシャル成長により形成されたエピタキシャル半導体層であり、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。
【0025】
ここで、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSW2とからなる構造体の両側に形成された半導体層EPの一方を、半導体部(エピタキシャル半導体部)EP1aと称し、他方を、半導体部(エピタキシャル半導体部)EP1bと称することとする。すなわち、半導体層SMa上に形成された半導体層EPは、半導体層SMa上に互いに離間して形成された半導体部EP1a,EP1bを有している。半導体部EP1aと半導体部EP1bとは、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2を間に介して、互いに離間している。このため、半導体部EP1aおよび半導体部EP1bは、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。ゲート電極GEは、平面視において、半導体部EP1aと半導体部EP1bとの間に配置されている。
【0026】
MISFET形成領域1Aにおいて、MISFET2のソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン用の半導体領域)は、半導体層EP,SMaに形成されている。具体的には、半導体層SMaに形成されているn-型半導体領域EXと、半導体層EPおよび半導体層SMaにわたって形成されているn+型半導体領域SDとにより、LDD(Lightly Doped Drain)構造のソース・ドレイン領域が形成されている。n+型半導体領域SDの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n-型半導体領域EXの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。
【0027】
MISFET形成領域1Aにおいて、n-型半導体領域EXは、半導体層SMaにおいて、サイドウォールスペーサSW2の直下に位置する領域に形成されている。MISFET形成領域1Aいのいて、n+型半導体領域SDは、半導体層EPと、半導体層SMaのうちの半導体層EPの下に位置する領域とにわたって、形成されている。半導体層SMaのうち、ゲート電極GEの直下に位置する領域が、MISFET2のチャネル形成領域となる。n-型半導体領域EXは、チャネル形成領域の両側(ゲート長方向における両側)に、チャネル形成領域に接するように形成されている。n+型半導体領域SDは、n-型半導体領域EXに隣接しており、n+型半導体領域SDとチャネル形成領域との間にn-型半導体領域EXが介在した状態となっている。
【0028】
なお、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2の両側に形成された2つ(一対)のn+型半導体領域SDのうち、一方はMISFET2を構成するソース領域であり、他方はMISFET2を構成するドレイン領域である。ソース領域を構成するn+型半導体領域SDは、半導体部EP1aとその下の半導体層SMaとにわたって形成され、ドレイン領域を構成するn+型半導体領域SDは、半導体部EP1bとその下の半導体層SMaとにわたって形成されている。
【0029】
ゲート電極GEおよびn+型半導体領域SDのそれぞれの表面(上層部)には、金属シリサイド層(金属化合物層)MSが形成されている。より特定的には、n+型半導体領域SDを構成する半導体層EP(半導体部EP1a,EP1a)の表面(上層部)に金属シリサイド層MSが形成されている。
【0030】
次に、抵抗素子形成領域1Bに形成された抵抗素子3について説明する(
図1~
図5参照)。
【0031】
半導体層SMb上に半導体層(エピタキシャル半導体)EPが形成されている。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EPは、半導体層SMbの全体上に形成されているのではなく、半導体層SMb上に部分的に形成されている。半導体層EPは、エピタキシャル成長により形成されたエピタキシャル半導体層であり、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。
【0032】
半導体層SMb上に形成された半導体層EPは、半導体層SMb上に互いに離間して形成された半導体部(エピタキシャル半導体部)EP2a,EP2bを有している。このため、半導体部EP2aおよび半導体部EP2bは、エピタキシャル成長により形成されており、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。
【0033】
抵抗素子形成領域1Bに形成されている半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)と、MISFET形成領域1Aに形成されている半導体層EP(半導体部EP1a,EP1b)とは、同工程(同じエピタキシャル成長工程)で形成されている。このため、抵抗素子形成領域1Bに形成されている半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)と、MISFET形成領域1Aに形成されている半導体層EP(半導体部EP1a,EP1b)とは、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。
【0034】
抵抗素子3は、半導体層SMbと半導体層SMb上に形成された半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)とにより、されている。半導体層SMb,EPがシリコンからなる場合は、抵抗素子3は、シリコン抵抗素子とみなすことができる。
【0035】
図1~
図5の場合は、半導体層SMbの延在方向(X方向)における一方の端部において、半導体層SMb上に半導体部EP2aが形成され、半導体層SMbの延在方向(X方向)における他方の端部において、半導体層SMb上に半導体部EP2bが形成されている。半導体部EP2aと半導体部EP2bとは、互いに離間している。
【0036】
半導体層SMbは、半導体部EP2aの直下に位置する領域(接続部、端部)RG1aと、半導体部EP2bの直下に位置する領域(接続部、端部)RG1bと、領域RG1aと領域RG1bとの間に位置し、かつ、その上に半導体層EPが形成されていない領域(素子部、中央部)RG2と、を有している。半導体層SMbのうち、領域RG1a上には半導体部EP2aが形成され、領域RG1b上には半導体部EP2bが形成されているが、領域RG2上には半導体層EPは形成されていない。領域RG1aは、半導体層SMbのうち、その上に半導体部EP2aが形成された領域とみなすこともでき、また、領域RG1bは、半導体層SMbのうち、その上に半導体部EP2bが形成された領域とみなすこともでき、また、領域RG2は、半導体層SMbのうち、その上に半導層EPが形成されていない領域とみなすこともできる。
【0037】
半導体部EP2aおよび半導体部EP2bのそれぞれの表面(上層部)には、金属シリサイド層(金属化合物層)MSが形成されている。半導体層SMbの表面には、金属シリサイド層MSに相当するものは形成されていない。半導体層SMbのうち、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域RG2の表面(上面)は、絶縁膜パターン(パターニングされた絶縁膜)ZMP2で覆われている。また、半導体部EP2a,EP2bのそれぞれの表面(上面)のうち、金属シリサイド層MSが形成されていない領域も、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。また、領域RG2に位置する半導体層SMbの表面上の絶縁膜パターンZMP2と、各半導体部EP2a,EP2bの表面上の絶縁膜パターンZMP2とが一体的につながるように、各半導体部EP2a,EP2bの側面(互いに対向する側面)上にも絶縁膜パターンZMP2が形成されている。このため、各半導体部EP2a,EP2bの表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない領域に、金属シリサイド層MSが形成されており、絶縁膜パターンZMP2は、金属シリサイド層MSの形成を防ぐシリサイドブロック層として機能する膜である。
【0038】
SOI基板1の主面上には、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2、半導体層SM,EPおよび金属シリサイド層MSを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)L1が形成されている。絶縁膜L1には、絶縁膜L1を貫通するコンタクトホール(貫通孔、孔)CTが形成されており、コンタクトホールCT内には導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGが形成されている(埋め込まれている)。プラグPGは、複数形成されており、ゲート電極GEに接続されるプラグPG、n+型半導体領域SDに接続されるプラグPG、半導体部EP2aに接続されるプラグPG、および、半導体部EP2aに接続されるプラグPGを含んでいる。各プラグPGの底面は、金属シリサイド層MSと接している。
【0039】
ここで、n+型半導体領域SD上に配置されて、n+型半導体領域SDに電気的に接続されたプラグPGを、プラグPG1aと称することとする。また、ゲート電極GE上に配置されて、ゲート電極GEに電気的に接続されたプラグPGを、プラグPG1bと称することとする。また、半導体部EP2a上に配置されて、半導体部EP2aに電気的に接続されたプラグPGを、プラグPG2aと称することとする。また、半導体部EP2b上に配置されて、半導体部EP2bに電気的に接続されたプラグPGを、プラグPG2bと称することとする。また、プラグPG2aが埋め込まれるコンタクトホールCTを、コンタクトホールCT2aと称し、プラグPG2bが埋め込まれるコンタクトホールCTを、コンタクトホールCT2bと称することとする。
【0040】
プラグPG1aは、n+型半導体領域SDの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介してn+型半導体領域SDと電気的に接続されている。また、プラグPG1bは、ゲート電極GEの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介してゲート電極GEと電気的に接続されている。また、プラグPG2aは、半導体部EP2aの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2aと電気的に接続されている。また、プラグPG2bは、半導体部EP2bの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2bと電気的に接続されている。
【0041】
プラグPGが埋め込まれた絶縁膜L1上には、絶縁膜L2が形成されており、その絶縁膜L2に形成された溝(配線溝)に、配線M1が形成されている(埋め込まれている)。配線M1は、プラグPGを介して、n+型半導体領域SD、ゲート電極GE、半導体部EP2aまたは半導体部EP2bなどと電気的に接続されている。
【0042】
ここで、プラグPG2aに接続された配線M1を、配線M1aと称することとする。また、プラグPG2bに接続された配線M1を、配線M1bと称することとする。配線M1aは、プラグPG2aの上面と接しており、そのプラグPG2aと電気的に接続されている。また、配線M1bは、プラグPG2bの上面と接しており、そのプラグPG2bと電気的に接続されている。このため、配線M1aは、プラグPG2aを介して、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに電気的に接続され、更にその金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2aと電気的に接続されている。また、配線M1bは、プラグPG2bを介して、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに電気的に接続され、更にその金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2bと電気的に接続されている。
【0043】
配線M1よりも上層の配線も形成されているが、ここでは、絶縁膜L2および配線M1よりも上の構造については、図示および説明を省略する。
【0044】
抵抗素子3は、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SM(すなわち半導体層SMb)と、その半導体層SMb上に形成された半導体層EP(具体的には半導体部EP2a,EP2b)とにより、形成されている。配線M1aから、プラグPG2aを介して、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに所定の電位(電圧)が印加され、また、配線M1bから、プラグPG2bを介して、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに所定の電位(電圧)が印加される。配線M1aの電位(電圧)と配線M1bの電位(電圧)とに差があると、すなわち、プラグPG2aの電位(電圧)とプラグPG2bの電位(電圧)とに差があると、抵抗素子3に電流が流れる。例えば、配線M1aの電位(電圧)が配線M1bの電位(電圧)よりも高い場合は、プラグPG2aから半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに高電位(高電圧)が印加され、プラグPG2bから半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに低電位(低電圧)が印加される。その結果、プラグPG2aから、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSと、半導体部EP2aと、領域RG1aに位置する半導体層SMbと、領域RG2に位置する半導体層SMbと、領域RG1bに位置する半導体層SMbと、半導体部EP2bと、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSと、を順に経由して、プラグPG2bへ電流が流れる。また、配線M1bの電位(電圧)が配線M1aの電位(電圧)よりも高い場合は、プラグPG2bから半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに高電位(高電圧)が印加され、プラグPG2aから半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに低電位(低電圧)が印加される。その結果、プラグPG2bから、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSと、半導体部EP2bと、領域RG1bに位置する半導体層SMbと、領域RG2に位置する半導体層SMbと、領域RG1aに位置する半導体層SMbと、半導体部EP2aと、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSと、を順に経由して、プラグPG2aへ電流が流れる。
【0045】
抵抗素子3の抵抗値を主として決めるのは、半導体層SMbの領域RG2である。なぜなら、半導体層SMbの領域RG2は、厚さが薄いことから、半導体層SMbの領域RG2においては、電流が流れる方向に略垂直な断面の面積が小さくなるからである。半導体層SMbの領域RG2の厚さを薄くすることで、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。また、抵抗素子3の抵抗値は、半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度によっても規定され、半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度を小さくすることにより、抵抗素子3の抵抗値は大きくなり、また、半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度を大きくすることにより、抵抗素子3の抵抗値は小さくなる。
【0046】
図7は、本実施の形態の半導体装置に含まれる回路例を示す回路図である。
【0047】
抵抗素子3は、種々の回路で利用することができるが、
図7の場合は、バイアス電流生成部4の構成要素として、抵抗素子3を用いている。また、MISFET2は、種々の回路で利用することができるが、
図7の場合は、MISFET2は、バイアス電流生成部4と接続されている。
【0048】
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。
図8~
図25は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図8~
図25のそれぞれには、上記
図6に相当する断面(MISFET形成領域1Aの断面)と、上記
図2に相当する断面(抵抗素子形成領域1Bの断面)とが、示されている。
【0049】
まず、
図8に示されるように、SOI基板1を用意(準備)する。
図8からも分かるように、SOI基板1は、支持基板としての半導体基板SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。
【0050】
SOI基板1の製造方法に制限はないが、例えば、SIMOX(Silicon Implanted Oxide)法、貼り合わせ法またはスマートカットプロセスなどを用いて、SOI基板1を製造することができる。
【0051】
次に、
図9に示されるように、SOI基板1に素子分離領域STを形成する。
【0052】
素子分離領域STを形成するには、例えば、SOI基板1(半導体層SM)の主面に、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して底部が基板SBに達する素子分離溝ST1を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いて形成する。素子分離溝ST1は、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通し、素子分離溝ST1の底部が基板SBに到達している(基板SBの厚みの途中に素子分離溝ST1の底部が位置している)ため、素子分離溝ST1の底部では、基板SBが露出される。それから、この素子分離溝ST1に、成膜技術およびCMP技術などを用いて絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域STを形成することができる。例えば、SOI基板1の主面上に、素子分離溝ST1を埋めるように絶縁膜を形成してから、素子分離溝ST1の外部のその絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法などにより除去することで、素子分離溝ST1に埋め込まれた絶縁膜からなる素子分離領域STを形成することができる。
【0053】
SOI基板1においては、素子分離領域STを形成したことで、半導体層SMは、複数の区画(すなわち活性領域)に分割され、それぞれの活性領域を構成する半導体層SMは、素子分離領域STにより周囲を囲まれた状態となっている。MISFET形成領域1Aに位置する半導体層SMが、半導体層SMaであり、抵抗素子形成領域1Bに位置する半導体層SMが、半導体層SMaである。半導体層SMa,SMbのそれぞれは、底面が絶縁層BXに接し、側面が素子分離領域STに接している。
【0054】
次に、
図10に示されるように、MISFET形成領域1Aにおいて、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SM(SMa)の主面上に、ゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEを形成する。ゲート電極GEの上部には、ゲート電極GEと同じ平面形状の絶縁膜(キャップ絶縁膜)CPが形成されていてもよい。なお、本実施の形態のゲート電極GEの厚さは、例えば、100nmである。
【0055】
ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GE形成工程の具体例について説明する。まず、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜を形成してから、この絶縁膜上にゲート電極GE用の導電膜(例えばポリシリコン膜)を形成し、この導電膜上に絶縁膜(後で絶縁膜CPとなる絶縁膜)を形成する。この段階では、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜は、MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bの両方に形成されている。それから、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パターニングされた導電膜からなるゲート電極GEを形成することができる。ゲート電極GEは、MISFET形成領域1Aに形成され、ゲート電極GEと半導体層SMとの間には、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜が残存し、これがゲート絶縁膜GFとなる。また、ゲート電極GE上には、ゲート電極GEとほぼ同じ平面形状にパターニングされた絶縁膜CPが形成されている状態となる。抵抗素子形成領域1Bでは、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜の全体が除去される。また、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜のうち、ゲート電極GEで覆われた部分以外は、ゲート電極GE用の導電膜のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。これにより、ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GEは、SOI基板1において、MISFET形成領域1Aに形成されているが、抵抗素子形成領域1Bには、形成されていない状態になる。
【0056】
なお、以下では、MISFET形成領域1Aに形成されたゲート絶縁膜GFとその上のゲート電極GEとその上の絶縁膜CPとの積層体を、積層体LM1と称することとする。
【0057】
次に、
図11に示されるように、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、積層体LM1を覆うように、絶縁膜ZM1を形成する。絶縁膜ZM1は、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。ここでは、絶縁膜ZM1が単体の絶縁膜である場合について説明するが、他の形態として、絶縁膜ZM1を、複数の絶縁膜を積層した積層絶縁膜とすることもできる。
【0058】
次に、
図11に示されるように、絶縁膜ZM1上にフォトレジストパターンRP1をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。フォトレジストパターンRP1は、抵抗素子形成領域1Bに形成されるが、MISFET形成領域1Aには形成されない。
【0059】
次に、絶縁膜ZM1を異方性エッチング技術を用いてエッチバックする。このエッチバック工程により、
図12に示されるように、MISFET形成領域1Aにおいて、積層体LM1の側壁上に絶縁膜ZM1がサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SW1として残存し、抵抗素子形成領域1Bにおいて、フォトレジストパターンRP1の下に絶縁膜ZM1が絶縁膜パターン(パターニングされた絶縁膜)ZMP1として残存し、それ以外の絶縁膜ZM1は除去される。その後、
図13に示されるように、フォトレジストパターンRP1をアッシングなどにより除去する。
【0060】
このようにして、MISFET形成領域1Aにおいて、積層体LM1の側壁上にサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SW1が形成され、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SM上に絶縁膜パターンZMP1が形成される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMは、絶縁膜パターンZMP1で覆われた部分と、絶縁膜パターンZMP1で覆われない部分とを、有している。
【0061】
次に、
図14に示されるように、エピタキシャル成長法により、半導体層(エピタキシャル層)EPを形成する。半導体層EPは、半導体層SMの露出面上に形成される。MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EPは、半導体層SMaのうちの積層体LM1およびサイドウォールスペーサSW1で覆われない部分上に形成される。すなわち、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EPは、半導体層SMaのうち、積層体LM1とその側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW1とからなる構造体の両側に位置する領域上に形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EPは、半導体層SMbのうちの絶縁膜パターンZMP1で覆われない部分上に形成される。半導体層EPは、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。上述したように、半導体層EPは、MISFET形成領域1Aに形成された半導体部EP1a,EP1bと、抵抗素子形成領域1Bに形成された半導体部EP2a,EP2bとを有している。
【0062】
次に、
図15に示されるように、サイドウォールスペーサSW1および絶縁膜パターンZMP1をエッチングにより除去する。このエッチングの際、ゲート電極GE上の絶縁膜CPを除去することもできる。また、このエッチングでは、サイドウォールスペーサSW1および絶縁膜パターンZMP1に比べて、半導体層EP,SMおよびゲート電極GEがエッチングされにくい条件でエッチングを行うことにより、半導体層EP,SMおよびゲート電極GEがエッチングされるのを、抑制または防止することができる。
【0063】
次に、
図16に示されるように、MISFET形成領域1Aおよび抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SM1(EP,SM)にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入する。このイオン注入を、以下ではイオン注入IM1と称し、
図16では矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM1により、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層SM,EPにおけるゲート電極GEの両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n
-型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)EXが形成される。また、このイオン注入IM1では、ゲート電極GEはマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域1Aにおいて、半導体層SMのうちのゲート電極GEの直下に位置する領域には、n型不純物は注入されない。また、このイオン注入IM1では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMのほぼ全体にn型不純物が注入され得る。
【0064】
次に、
図17に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2を形成する。サイドウォールスペーサSW2は、例えば、SOI基板1の主面(主面全面)上に、ゲート電極GEおよび半導体層EPを覆うように、サイドウォールスペーサSW2形成用の絶縁膜を形成してから、その絶縁膜を異方性エッチング技術によりエッチバックすることにより、形成することができる。
【0065】
サイドウォールスペーサSW2は、MISFET形成領域1Aにおいて、ゲート電極GEの側壁上に形成される。
図17には、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EPの側壁上にサイドウォールスペーサSW2が形成されていない場合が示されている。
【0066】
他の形態として、MISFET形成領域1Aにおけるゲート電極GEの側壁上にサイドウォールスペーサSW2を形成した際に、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EPの側壁上にサイドウォールスペーサが形成される場合もあり得る。この場合、抵抗素子形成領域1Bにおいて半導体層EPの側壁上に形成されるサイドウォールスペーサは、MISFET形成領域1Aにおいてゲート電極GEの側壁上に形成されるサイドウォールスペーサSW2と同じ絶縁体からなる。しかしながら、半導体層EPの厚さ(高さ)は、ゲート電極GEの厚さ(高さ)よりも小さい(低い)ため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EPの側壁上にはサイドウォールスペーサは形成されにくく、たとえ半導体層EPの側壁上にサイドウォールスペーサが形成された場合でも、その寸法(厚さ)はサイドウォールスペーサSW2に比べて小さい。このため、抵抗素子形成領域1Bにおいて半導体層EPの側壁上にサイドウォールスペーサが形成された場合でも、その後のエッチング工程(洗浄処理工程を含む)により、抵抗素子形成領域1Bにおける半導体層EPの側壁上のサイドウォールスペーサは除去され得る。
【0067】
次に、
図18に示されるように、MISFET形成領域1Aおよび抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMにリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入する。このイオン注入を、以下ではイオン注入IM2と称し、
図18では矢印で模式的に示してある。このイオン注入IM2により、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EPと半導体層SMにおけるゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2の両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n
+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SDが形成される。また、このイオン注入IM2では、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができるため、MISFET形成領域1Aにおいて、半導体層SMのうちのゲート電極GEの直下およびサイドウォールスペーサSW2の直下に位置する領域には、n型不純物は注入されない。また、このイオン注入IM2では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMのほぼ全体にn型不純物が注入され得る。
【0068】
MISFET形成領域1Aにおいては、イオン注入IM1では、半導体層EPと、半導体層SMaにおけるゲート電極GEで覆われていない領域とに、n型不純物が注入され、イオン注入IM2では、半導体層EPと、半導体層SMaにおけるゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2で覆われない領域とに、n型不純物が注入される。イオン注入IM2のドーズ量は、イオン注入IM1のドーズ量よりも大きく、n+型半導体領域SDは、n-型半導体領域EXよりも、n型不純物濃度が高い。また、イオン注入IM2のドーズ量は、イオン注入IM1のドーズ量よりも大きいため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMの不純物濃度(n型不純物濃度)は、主としてイオン注入IM2によって規定される。抵抗素子形成領域1Bにおける半導体層EP,SM(すなわち半導体部EP2a,EP2aおよび半導体層SMa)の不純物濃度(n型不純物濃度)は、MISFET形成領域1Aにおけるn+型半導体領域SDの不純物濃度(n型不純物濃度)と、実質的には同じになる。n-型半導体領域EXおよびn+型半導体領域SDにより、MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域(LDD(Lightly Doped Drain)構造の半導体領域)が形成される。
【0069】
次に、必要に応じて、これまでに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0070】
次に、
図19に示されるように、SOI基板1の主面上に、MISFET形成領域1Aにおいてはゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2およびn
+型半導体領域SDを覆うように、抵抗素子形成領域1Bにおいては半導体層EP,SMを覆うように、絶縁膜ZM2を形成する。絶縁膜ZM2は、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD法などを用いて形成することができる。
【0071】
次に、
図19に示されるように、絶縁膜ZM2上にフォトレジストパターンRP2をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。フォトレジストパターンRP2は、主として抵抗素子形成領域1Bに形成される。
【0072】
次に、フォトレジストパターンRP2をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜ZM2をエッチングする。このエッチング工程により、フォトレジストパターンRP2の下に絶縁膜ZM2が絶縁膜パターン(パターニングされた絶縁膜)ZMP2として残存し、それ以外の絶縁膜ZM2はエッチングされて除去される。その後、フォトレジストパターンRP2をアッシングなどにより除去し、
図20には、この段階が示されている。このようにして、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SM上に絶縁膜パターンZMP2が形成される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMaのうち、半導体層EPで覆われていない領域(上記領域RG2に対応)は、絶縁膜パターンZMP2で覆われていることが好ましい。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、絶縁膜パターンZMP2は、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)の一部上に乗り上げており、半導体層EP半導体部EP2a,EP2aの上面の一部は、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。
【0073】
次に、
図21に示されるように、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、金属シリサイド層(金属化合物層)MSを形成する。MISFET形成領域1Aにおいては、金属シリサイド層MSは、n
+型半導体領域SDの表面(上層部)、すなわち半導体層EPの表面(上層部)と、ゲート電極GEの表面(上層部)とに、形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいては、金属シリサイド層MSは、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)の表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない部分に形成される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMの表面には、金属シリサイド層MSは形成されない。
【0074】
金属シリサイド層MS形成工程は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、まず、SOI基板1の主面上に、SOI基板1の主面上に、MISFET形成領域1Aにおいてはゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2およびn
+型半導体領域SDを覆うように、抵抗素子形成領域1Bにおいては半導体層EP,SMおよび絶縁膜パターンZMP2を覆うように、金属膜(金属シリサイド層MS形成用の金属膜)を形成する。この金属膜は、例えば、コバルト膜、ニッケル膜またはニッケル白金合金膜からなる。それから、熱処理を行うことにより、その金属膜を、MISFET形成領域1Aにおいてはゲート電極GEおよびn
+型半導体領域SDと反応させ、抵抗素子形成領域1Bにおいては半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)と反応させる。これにより、金属(金属膜)と半導体(ゲート電極GE、n
+型半導体領域SD、半導体層EP)との反応層(化合物層)である金属シリサイド層MSが形成される。その後、未反応の金属膜は除去する。
図21には、この段階が示されている。上記金属膜(金属シリサイド層MS形成用の金属膜)がニッケル膜の場合は、金属シリサイド層MSは、ニッケルシリサイド層であり、上記金属膜がニッケル白金合金膜の場合は、金属シリサイド層MSは、ニッケル白金シリサイド層である。
【0075】
抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)の表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない部分には、金属シリサイド層MSが形成されるが、絶縁膜パターンZMP2で覆われている部分には、金属シリサイド層MSは形成されない。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうち、半導体層EPで覆われていない部分は、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。このため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbの表面には、金属シリサイド層MSは形成されない。絶縁膜パターンZMP2は、金属シリサイド層MSの形成を防ぐシリサイドブロック層として機能することができる。
【0076】
このようにして、MISFET形成領域1AにMISFET2が形成され、抵抗素子形成領域1Bに抵抗素子3が形成される。
【0077】
次に、
図22に示されるように、SOI基板1の主面上に、ゲート電極GE、半導体層EP,SM、サイドウォールスペーサSW2および金属シリサイド層MSを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)L1を形成する。
【0078】
絶縁膜L1は、例えば、窒化シリコン膜とその窒化シリコン膜上の酸化シリコン膜(窒化シリコン膜よりも厚い酸化シリコン膜)との積層膜、あるいは、酸化シリコン膜の単体膜などを用いることができる。絶縁膜L1の形成後、必要に応じて、絶縁膜L1の上面をCMP法で研磨するなどして絶縁膜L1の上面の平坦性を高めることもできる。
【0079】
次に、
図23に示されるように、絶縁膜L1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜L1をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、絶縁膜L1にコンタクトホール(貫通孔、孔)CTを形成する。コンタクトホールCTは、絶縁膜L1を貫通するように形成される。MISFET形成領域1Aにおいて、コンタクトホールCTは、ゲート電極GE上やn
+型半導体領域SD上に形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、コンタクトホールCTは、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)上に形成される。コンタクトホールCT形成工程では、絶縁膜L1に比べて金属シリサイド層MSおよび半導体層EP,SMがエッチングされにくい条件で、エッチングを行うことが好ましい。
【0080】
次に、
図24に示されるように、コンタクトホールCT内に、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。プラグPGは、次のようにして形成することができる。
【0081】
プラグPGを形成するには、まず、コンタクトホールCTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜L1上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜を、CVD法などによってバリア導体膜上にコンタクトホールCTを埋めるように形成する。その後、コンタクトホールCTの外部(絶縁膜L1上)の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、絶縁膜L1の上面が露出し、コンタクトホールCT内に埋め込まれて残存するバリア導体膜および主導体膜により、プラグPGが形成される。
【0082】
次に、
図25に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜L1上に、配線形成用の絶縁膜L2を形成する。絶縁膜L2は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。
【0083】
次に、
図25に示されるように、第1層目の配線である配線M1をシングルダマシン法を用いて形成する。具体的には、まず、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜L2の所定の領域に配線溝(配線M1を埋め込むための溝)を形成した後、SOI基板1の主面上(すなわち配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜L2上)にバリア導体膜(バリアメタル膜)を形成する。バリア導体膜は、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜(主導体膜)を形成する。銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、配線溝内に、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。
【0084】
その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0085】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0086】
<検討例について>
図26は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の要部断面図であり、
図26には、抵抗素子103が形成された領域の断面図が示されている。
【0087】
図26に示されるように、検討例の半導体装置においては、素子分離領域ST上に抵抗素子103が形成されている。抵抗素子103の両端部の表面には、それぞれ金属シリサイド層MSが形成されている。層間絶縁膜である絶縁膜L1は、抵抗素子103を覆っており、プラグPG102a,PG102bは、抵抗素子103の両端部の表面の金属シリサイド層MSに接続されている。抵抗素子103は、ポリシリコンからなり、ゲート電極(上記ゲート電極GEに対応)と同層のポリシリコン膜により形成することができる。すなわち、共通のポリシリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極と抵抗素子103とを形成することができる。
【0088】
図26の検討例の場合、共通のポリシリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極と抵抗素子103とを形成することができるが、必然的に、抵抗素子103の厚さは、ゲート電極の厚さと同じになる。例えば、ゲート電極の厚さが100nmの場合は、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜の厚さも100nmとなる。ゲート電極の厚さは、MISFETの特性などを考慮して設計される。そのため、抵抗素子103に要求される特性を考慮してゲート電極の厚さ(すなわち、抵抗素子103の厚さ)を設定することが難しい。例えば、抵抗素子103の厚さを薄くすれば、抵抗素子103の抵抗値は大きくなるが、抵抗素子103の厚さを薄くしてしまうと、ゲート電極の厚さも薄くなってしまうことから、抵抗素子103の厚さを薄くすることにより抵抗素子103の抵抗値を大きくすることは困難である。
【0089】
このため、
図26の検討例の場合、抵抗素子103の抵抗値を大きくするためには、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度を小さくすることが有効である。抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度を小さくすれば、抵抗素子103の抵抗率が大きくなるため、抵抗素子103の抵抗値を大きくすることができる。このため、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度を小さくすることにより、抵抗素子103の厚さを薄くしなくとも、抵抗素子103の抵抗値を大きくすることが可能となる。
【0090】
しかしながら、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度を小さくした場合には、抵抗素子103の抵抗の温度係数(抵抗温度係数)が大きくなるという不利益が生じてしまう。ここで、抵抗温度係数とは、抵抗が温度1℃あたりどのくらいの割合で変化するかを表す係数に対応している。抵抗素子103の抵抗温度係数が大きくなると、抵抗素子103の抵抗値の温度依存性が大きくなり、半導体装置の環境温度の変化や、発熱などによる半導体装置の温度変化などに起因して、抵抗素子103の抵抗値がかなり変化してしまい、抵抗素子103を利用している回路の特性が変化してしまう虞がある。これは、半導体装置の信頼性を低下させる要因となり得る。
【0091】
また、MISFETのソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)を形成するためのイオン注入工程で、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中に不純物を導入した場合には、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度はかなり高くなる。この場合、抵抗素子103の抵抗温度係数の上昇は抑制される反面、抵抗素子103の抵抗率が小さくなるため、抵抗素子103の抵抗を大きくしにくくなる。このため、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜の不純物濃度を、ソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)よりも低くしようとすると、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中に不純物をイオン注入する工程が、ソース・ドレイン領域形成用のイオン注入工程とは別に必要になるため、半導体装置の製造工程数の増加を招き、半導体装置の製造コストを増加させてしまう。
【0092】
また、抵抗素子103を構成するポリシリコン膜中の不純物濃度を小さくせずに、かつ、抵抗素子103の厚さを薄くせずに、抵抗素子103の抵抗値を大きくしようとすると、抵抗素子103の長さ(電流が流れる方向に沿った長さ)を大きくする必要がある。これは、半導体装置において、抵抗素子103を配置するのに要する面積の増大を招くため、半導体装置の小型化(小面積化)の点で、不利となる。
【0093】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、SOI基板を構成する半導体層SMと、半導体層SM上に形成したエピタキシャル半導体層(半導体層EP)とにより、抵抗素子3を形成したことである。
【0094】
具体的には、
図2~
図5に示すように、抵抗素子形成領域1Bに位置する半導体層SMである半導体層SMbと、半導体層SMb上に形成された半導体層EP(エピタキシャル半導体層)とにより、抵抗素子3が形成されている。半導体層EPは、半導体層SMb上に互いに離間して形成された2つの半導体部EP2a,EP2bを有している。半導体層SMbは、その上に半導体部EP2aが形成された領域RG1a(第1接続部)と、その上に半導体部EP2bが形成された領域RG1b(第2接続部)と、領域RG1aと領域RG1bとの間に位置し、その上に半導体層EPが形成されていない領域RG2(素子部)と、を有している。
【0095】
本実施の形態では、抵抗素子3を構成する半導体層SMbは、その上に半導体層EPが形成されていない領域RG2を有しており、この領域RG2によって、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。すなわち、領域RG2に位置する半導体層SMb上には半導体層EPが形成されておらず、領域RG2における抵抗素子3の厚さが各領域RG1a、RG1bにおける抵抗素子3の厚さよりも薄い。これにより、この領域RG2によって抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことができる。具体的には、半導体層SMbの厚さT1(
図2参照)は、ゲート電極GEの厚さよりも薄く、好ましくは、30nm以下(T1≦30nm)である。領域RG2に位置し、かつ、その厚さT1が薄い(小さい)半導体層SMbを抵抗素子3の電流経路とすることで抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことができ、この結果、抵抗素子3を構成する半導体層SMb(特に領域RG2に位置する部分)の不純物濃度を高くしたとしても、この抵抗素子3の抵抗温度係数の上昇を抑制しつつ、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度を高くしたとしても、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができるため、抵抗素子3の抵抗温度係数を抑制することができる。これにより、半導体装置の環境温度の変化や、発熱などによる半導体装置の温度変化などに起因して、抵抗素子3の抵抗値が変化するのを抑制できるため、抵抗素子3を利用している回路の特性が変化してしまうのを抑制または防止でき、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、厚さT1が薄い半導体層SMbの領域RG2が、抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことにより、要求される抵抗値を確保するのに必要な抵抗素子3の長さ(電流が流れる方向に沿った長さ)を抑制することができる。これにより、半導体装置において、抵抗素子3を配置するのに要する面積を抑制することができるため、半導体装置の小型化(小面積化)に有利となる。
【0096】
各半導体部EP2a,EP2bおよび半導体層SMbの不純物濃度(特に半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度)は、1×1021/cm3以上であることが好ましい。これにより、抵抗素子3の抵抗温度係数の上昇を的確に抑制することができる。なお、本実施の形態の不純物濃度は、例えば、n型不純物濃度である。
【0097】
例えば、抵抗素子を構成するシリコン領域中の不純物濃度が1×1019/cm3~1×1020/cm3程度である場合には、その抵抗素子の抵抗温度係数は1000ppm/℃以上となり、100℃の温度変化により、抵抗値は10%以上変化してしまう。このため、半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度を、好ましくは1×1021/cm3以上とすることにより、抵抗素子3の抵抗値変化率を小さくすることができ、この結果、抵抗素子3の抵抗値の温度依存性を効果的に低くすることができる。例えば、抵抗素子3の抵抗温度係数を、100ppm/℃以下とすることができる。
【0098】
また、MISFETのソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)を形成するためのイオン注入工程(上記イオン注入IM2に対応)で、各半導体部EP2a,EP2bおよび半導体層SMbにも不純物をイオン注入することができる。これにより、各半導体部EP2a,EP2bおよび半導体層SMbの不純物濃度(特に半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度)を、MISFETのソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)の不純物濃度(本実施の形態では、n型不純物濃度)と同程度とすることができ、例えば、1×1021/cm3以上とすることができる。これにより、半導体層SMbの領域RG2の不純物濃度を高めて、抵抗素子3の抵抗温度係数の上昇を抑制できるとともに、半導体層SMbの領域RG2に不純物をイオン注入する工程と、ソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)を形成するためのイオン注入工程とを共通化することができ、半導体装置の製造工程数を抑制することができる。このため、半導体装置の製造コストを抑制することができる。
【0099】
また、SOI基板1の半導体層SMを用いて、MISFET2と抵抗素子3とを形成しており、MISFET2のチャネル領域は、ゲート電極GEの直下に位置する半導体層SMaに形成される。このため、半導体層SMbの領域RG2の厚さT1は、MISFETのゲート電極GEの直下に位置する半導体層SMaの厚さと同程度となる。半導体層SMaおよび半導体層SMbのそれぞれの厚さは、30nm以下が好ましく、3nm~30nmが好適である。
【0100】
また、上記
図7のように、抵抗素子3がバイアス電流生成部4で用いられる場合、抵抗素子3の抵抗値として、かなり大きな抵抗値が要求されることがある。例えば、2kΩ以上のシート抵抗が、抵抗素子3として要求されることがある。また、抵抗素子3がバイアス電流生成部4で用いられる場合、抵抗素子3の抵抗温度係数が小さいことが要求されることがある。本実施の形態では、領域RG2に位置し、かつ、その上に半導体層EPが形成されない半導体層SMbが抵抗素子3の電流経路となることで、半導体層SMb(特に領域RG2に位置する部分)の不純物濃度を高くしても、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。このため、抵抗素子3の抵抗値変化率を小さくしながら、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができるため、抵抗素子3をバイアス電流生成部4で用いた場合においても、半導体装置の信頼性を的確に向上させることができるとともに、抵抗素子3を配置するのに要する面積を抑制して、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。例えば、抵抗素子3として2kΩ以上のシート抵抗が要求される場合でも、抵抗素子3を配置するのに要する面積を抑制して、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0101】
ここで、本実施の形態とは異なり、半導体層SMb上に半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)を形成しなかった場合を仮定する。この場合は、プラグPG2a,PG2bは、半導体部EP2a,EP2bではなく、半導体層SMbに接続されることになる。しかしながら、この場合は、コンタクトホールCTを形成する際に、半導体層SMbの厚さが薄いことから、コンタクトホールCT2a,CT2bが半導体層SMbを突き抜けて(貫通して)しまうことが懸念される。コンタクトホールCT2a,CT2bが半導体層SMbを突き抜けてしまうと、コンタクトホールCT2a,CT2bの底部で絶縁層BXが露出し、露出した絶縁層BXもエッチングされることにより、コンタクトホールCT2a,CT2bが絶縁層BXを貫通する可能性がある。なぜなら、コンタクトホールCTを形成する際には、半導体層SMに比べて絶縁膜L1がエッチングされやすい条件でエッチングを行うため、もしもコンタクトホールCTの底部で絶縁層BXが露出される個所が発生すると、露出した絶縁層BXはエッチングされやすいため、コンタクトホールCTが絶縁層BXを貫通する可能性が生じるからである。コンタクトホールCT2a,CT2bが絶縁層BXを貫通してしまうと、プラグPG2a,PG2bが絶縁層BXを貫通して半導体基板SBに接続されることになる。このため、コンタクトホールCT2a,CT2bが絶縁層BXに到達することは、防ぐ必要がある。
【0102】
それに対して、本実施の形態では、半導体層SMbの領域RG1a上に半導体部EP2aが形成され、半導体層SMbの領域RG1b上に半導体部EP2bが形成されており、プラグPG2aは、半導体部EP2a上に配置されて半導体部EP2aと電気的に接続され、プラグPG2bは、半導体部EP2b上に配置されて半導体部EP2bと電気的に接続されている。このため、コンタクトホールCTを形成する際に、コンタクトホールCT2a,CT2bが半導体層EP,SMbを突き抜けて(貫通して)しまうことを的確に防止することができる。すなわち、コンタクトホールCT2aは半導体部EP2a上に形成されるため、コンタクトホールCT2aが絶縁層BXに到達するには、半導体部EP2aと半導体層SMbとの両方を貫通しなければならないため、半導体部EP2aが存在している分、コンタクトホールCT2aが絶縁層BXに到達することは困難になる。また、コンタクトホールCT2bは半導体部EP2b上に形成されるため、コンタクトホールCT2bが絶縁層BXに到達するには、半導体部EP2bと半導体層SMbとの両方を貫通しなければならないため、半導体部EP2bが存在している分、コンタクトホールCT2bが絶縁層BXに到達することは困難になる。このため、コンタクトホールCTを形成する際に、コンタクトホールCT2a,CT2bが絶縁層BXに到達してしまうのを防止することができる。従って、コンタクトホールCT2a,CT2bが絶縁層BXを貫通するのを的確に防止でき、それゆえ、プラグPG2a,PG2bが絶縁層BXを貫通して半導体基板SBに接続されることを的確に防止することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0103】
また、本実施の形態とは異なり、半導体層SMb上に半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)を形成しなかった場合には、半導体層SMbに金属シリサイド層MSが形成されることになるが、半導体層SMbの厚さが薄いことにより、金属シリサイド層MSが上手く形成できなくなる虞がある。
【0104】
それに対して、本実施の形態では、
図2~
図5に示すように、半導体層SMb上に半導体部EP2a,EP2bが形成され、各半導体部EP2a,EP2bの表面(上層部)に金属シリサイド層MSが形成されている。このため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体部EP2a,EP2bが存在する分、金属シリサイド層MSを形成するのに用いられる半導体領域(ここでは半導体層EPおよび半導体層SMb)の厚さを厚くすることができるため、金属シリサイド層MSを的確に形成することができる。
【0105】
半導体層SMb上に形成された半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)の厚さは、例えば20nm~60nm程度とすることができる。
【0106】
また、抵抗素子3を構成する半導体部EP2a,EP2bは、MISFET2のソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD)を構成する半導体層EP(半導体部EP1a,EP1b)と、同工程でエピタキシャル成長法により形成することができる。このため、半導体部EP2a,EP2bを形成するためにエピタキシャル成長工程を追加する必要はない。抵抗素子形成領域1Bに半導体部EP2a,EP2bを形成するエピタキシャル成長工程と、MISFET形成領域1Aに半導体層EPを形成するエピタキシャル成長工程とを、共通化することができ、半導体装置の製造工程数を抑制することができる。このため、半導体装置の製造コストを抑制することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、各半導体部EP2a,EP2bのそれぞれの表面(上層部)に金属シリサイド層MSを形成し、各プラグPG2a,PG2bを金属シリサイド層MSに接続している。これにより、金属シリサイド層MSを形成せずに、各プラグPG2a,PG2bを半導体部EP2a,EP2bに直接的に接続した場合に比べて、各プラグPG2a,PG2bの接続抵抗を低減することができる。
【0108】
また、半導体部EP2aの上面において、金属シリサイド層MSは、半導体部EP2aの辺H1から所定の距離(例えば10nm以上)、離間していることが好ましい。同様に、半導体部EP2bの上面において、金属シリサイド層MSは、半導体部EP2bの辺H2から所定の距離(例えば10nm以上)、離間していることが好ましい。これにより、絶縁膜ZM2をパターニングして絶縁膜パターンZMP2を形成する際に、フォトマスクの位置合わせのずれなどが多少、生じたとしても、領域RG2に位置する半導体層SMbの表面に金属シリサイド層MSが形成されてしまうのを防止することができる。これにより、フォトマスクの位置合わせのずれに対するマージンを確保することができるので、半導体装置の製造工程を行いやすくなり、工程管理が容易になる。
【0109】
なお、半導体部EP2aの上面の辺H1は、半導体部EP2bに対向する側の辺に対応し、また、半導体部EP2bの上面の辺H2は、半導体部EP2aに対向する側の辺に対応している。
【0110】
<変形例>
次に、本実施の形態の半導体装置の変形例について説明する。
【0111】
図27は、本実施の形態の第1変形例の半導体装置の要部断面図である。
図27には、上記
図6に相当する断面(MISFET形成領域1Aの断面)と、上記
図2に相当する断面(抵抗素子形成領域1Bの断面)とが、示されている。
【0112】
図27(第1変形例)の場合は、MISFET形成領域1Aにおいて、半導体基板SBにp型半導体領域(p型ウエル)PW1を形成している。p型半導体領域PW1の不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体基板SBの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。p型半導体領域PW1は、絶縁層BXと隣接している(接している)。p型半導体領域PW1は、半導体層SMaの下方にあり、p型半導体領域PW1と半導体層SMaとの間に絶縁層BXが介在している。p型半導体領域PW1に所定の電位を供給することにより、MISFET2のしきい値電圧を制御することができる。
【0113】
半導体基板SBにおいて、p型半導体領域PW1の下に、p型半導体領域PW1に隣接するように、n型半導体領域NW1が形成されている。また、半導体基板SBにおいて、素子分離領域STの下にn型半導体領域NW2が形成されており、p型半導体領域PW1の側面は、素子分離領域STとn型半導体領域NW2とで囲まれている。これにより、p型半導体領域PW1は、絶縁層BXと素子分離領域STとn型半導体領域NW1,NW2とで囲まれた状態になるため、MISFET形成領域1Aのp型半導体領域PW1と、抵抗素子形成領域1Bの半導体基板SBとを電気的に分離することができる。
【0114】
図27(第1変形例)の場合は、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体基板SBにp型半導体領域PW1に相当するものは、形成していない。このため、抵抗素子形成領域1Bの半導体基板SBにおいては、絶縁層BXに隣接する領域の不純物濃度(p型不純物濃度)は低く、例えば1×10
16/cm
3未満とすることができる。抵抗素子形成領域1Bの半導体基板SBにおいては、絶縁層BXに隣接する領域の不純物濃度(p型不純物濃度)を低くしたことにより、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbと半導体基板SBとの間に形成され得る寄生容量を抑制することができる。
【0115】
図28は、本実施の形態の第2変形例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図27に対応するものである。
【0116】
図28(第2変形例)の場合は、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体基板SBにp型半導体領域(p型ウエル)PW2を形成している。p型半導体領域PW2の不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体基板SBの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。p型半導体領域PW2は、絶縁層BXと隣接している(接している)。p型半導体領域PW2は、半導体層SMbの下方にあり、p型半導体領域PW2と半導体層SMbとの間に絶縁層BXが介在している。p型半導体領域PW2の不純物濃度(p型不純物濃度)は、例えば、1×10
16/cm
3~1×10
18/cm
3程度とすることができる。p型半導体領域PW2の不純物濃度(p型不純物濃度)とp型半導体領域PW1の不純物濃度(p型不純物濃度)とを同じにすることもでき、その場合は、p型半導体領域PW2とp型半導体領域PW1とを同じイオン注入工程により、形成することができる。p型半導体領域PW2に所定の電位を供給することにより、抵抗素子3の抵抗値を制御(変化)することができる。それ以外は、
図28の第2変形例は、
図27の第1変形例とほぼ同様である。
【0117】
図29は、本実施の形態の第3変形例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図27に対応するものである。
【0118】
図29(第3変形例)の場合は、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域PW2の下に、p型半導体領域PW2に隣接するように、n型半導体領域NW3が形成されている。また、半導体基板SBにおいて、素子分離領域STの下にn型半導体領域NW2が形成されており、p型半導体領域PW2の側面は、素子分離領域STとn型半導体領域NW2とで囲まれている。これにより、p型半導体領域PW2は、絶縁層BXと素子分離領域STとn型半導体領域NW2,NW3とで囲まれた状態になるため、MISFET形成領域1Aのp型半導体領域PW1と、抵抗素子形成領域1Bの半導体基板SB(p型半導体領域PW2)とを、より的確に、電気的に分離することができる。それ以外は、
図29の第3変形例は、
図28の第2変形例とほぼ同様である。
【0119】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
1 SOI基板
1A MISFET形成領域
1B 抵抗素子形成領域
2 MISFET
3 抵抗素子
4 バイアス電流生成部
103 抵抗素子
BX 絶縁層
CT,CT2a,CT2b コンタクトホール
CP 絶縁膜
EP 半導体層
EP1a,EP1b,EP1c,EP1d 半導体部
EX n-型半導体領域
GE ゲート電極
GF ゲート絶縁膜
L1,L2 絶縁膜
LM1 積層体
M1,M1a,M1b 配線
MS 金属シリサイド層
NW1,NW2,NW3 n型半導体領域
PG,PG1a,PG1b,PG2a,PG2b,PG102a,PG102b プラグ
PW1,PW2 p型半導体領域
RG1a,RG1b,RG2 領域
RP1,RP2 フォトレジストパターン
SB 半導体基板
SD n+型半導体領域
SM,SMa,SMb 半導体層
ST 素子分離領域
ST1 素子分離溝
SW1,SW2 サイドウォールスペーサ
ZM1,ZM2 絶縁膜
ZMP1,ZMP2 絶縁膜パターン