(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】動物用ブラシ
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20240329BHJP
A46B 1/00 20060101ALI20240329BHJP
A46B 5/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A01K13/00 E
A46B1/00
A46B5/02
(21)【出願番号】P 2020198403
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】597036477
【氏名又は名称】ライオンペット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯田 由美
(72)【発明者】
【氏名】大沼 京子
(72)【発明者】
【氏名】玉津 知洋
(72)【発明者】
【氏名】定家 恵実
(72)【発明者】
【氏名】荻島 敦子
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-029128(JP,A)
【文献】特開2018-134002(JP,A)
【文献】特開2016-123723(JP,A)
【文献】特開平11-221184(JP,A)
【文献】実開昭55-160160(JP,U)
【文献】米国特許第05297882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00
A46B 1/00
A46B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状のベース部と、
前記ベース部に固定され前記ベース部からアーチ状に延在するとともに、前記ベース部の平面に直交する方向から視たときに、前記ベース部に固定されている一端から他端に連れて幅が小さくなる複数のブラシ部と、を有する動物用ブラシ。
【請求項2】
前記ベース部が固定されるとともに、使用者が把持可能なグリップ部をさらに有する、請求項1に記載の動物用ブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ部は合成樹脂によって構成される、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ部の前記ベース部側の面には、前記ブラシ部の延在方向に沿って凹部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の動物用ブラシ。
【請求項5】
前記ベース部には、平面方向に直交する方向に貫通する複数の孔部が設けられ、
前記孔部に挿入される凸部を備えるプレートをさらに有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の動物用ブラシ。
【請求項6】
前記ベース部および前記ブラシ部は、一体的に構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の動物用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットの室内飼育率が9割になり、ペットのボディの清潔さを保つために、動物用ブラシが使用される。動物用ブラシは、猫や犬のようなペットの被毛から抜け毛を取り除くためや、絡み合った毛を梳きほぐすために用いられる。このような動物用ブラシとして、従来から様々なものが提案されている(例えば、下記の特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-36177号公報
【文献】米国特許第3491725号
【文献】米国特許第2529012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の動物用ブラシでは、動物用ブラシが針金状であるため、肌当たりが悪かったり、被毛が強く引っ張られたりすることによって、動物にとって不快に感じる場合がある。そして、一度不快感が与えられると、動物用ブラシを見ただけで、嫌がって逃げ出し、ブラッシングが行いにくくなる。
【0005】
本発明の発明者等は、上記課題の解決を図るにあたり、鋭意努力を重ねた結果、本発明の動物用ブラシを案出するに至った。
【0006】
本発明は、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングできる動物用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る動物用ブラシは、平面状のベース部と、前記ベース部に固定され前記ベース部からアーチ状に延在するとともに、前記ベース部の平面に直交する方向から視たときに、前記ベース部側の一端から他端に連れて幅が小さくなる複数のブラシ部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上述の動物用ブラシによれば、ブラシ部がアーチ状の構成を備えており、かつベース部側の一端から他端に連れて幅が小さくなるため、弱い力で被毛の奥にブラシ部が入り込んでブラッシングできる。したがって、使用者がペットにブラッシングした際に、ペットが嫌がる頻度が減少する。以上から、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングできる動物用ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る動物用ブラシを上方から視たときの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る動物用ブラシを下方から視たときの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る動物用ブラシを下方から視たときの分解斜視図である。
【
図4】ブラシ本体部を下方から視たときの斜視図である。
【
図5】プレートを下方から視たときの斜視図である。
【
図6】プレートをブラシ本体部にセットした状態を下方から視たときの斜視図である。
【
図7】プレートをブラシ本体部にセットした状態を上方から視たときの斜視図である。
【
図8】ブラシ本体部のブラシ部を示す平面図である。
【
図9】ブラシ本体部のブラシ部を示す正面図である。
【
図11】ブラシ部の他端をX方向のプラス側から視たときの端面における図である。
【
図12】ブラシ本体部を上方から視たときの斜視図である。
【
図14】ブラシ本体部のブラシ部を示す底面図である。
【
図16】変形例に係る動物用ブラシの
図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、
図1~
図15を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る動物用ブラシ1を上方から視たときの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る動物用ブラシ1を下方から視たときの斜視図である。
図3は、本実施形態に係る動物用ブラシ1を下方から視たときの分解斜視図である。
図4は、ブラシ本体部10を下方から視たときの斜視図である。
図5は、プレート20を下方から視たときの斜視図である。
図6は、プレート20をブラシ本体部10にセットした状態を下方から視たときの斜視図である。
図7は、プレート20をブラシ本体部10にセットした状態を上方から視たときの斜視図である。
図8は、ブラシ本体部10のブラシ部12を示す平面図である。
図9は、ブラシ本体部10のブラシ部12を示す正面図である。
図10は、
図8の10-10線に沿う断面図である。
図11は、ブラシ部の他端1BをX方向のプラス側から視たときの端面における図である。
図12は、ブラシ本体部10を上方から視たときの斜視図である。
図13は、
図12の2点鎖線の箇所における拡大図である。
図14は、ブラシ本体部10のブラシ部12を示す底面図である。
図15は、
図8の15-15線に沿う断面図である。
【0012】
以下の説明において、
図8の右方向をX方向と称し、
図8の下方向をY方向と称し、
図1の下方向をZ方向と称する。また、
図1に示す使用時における動物用ブラシ1の姿勢において上側を上方として、下側を下方とする。すなわち、
図2~
図6において上側が下方となり、下側が上方となる。
【0013】
本実施形態に係る動物用ブラシ1は、
図1~
図3に示すように、複数のブラシ部12を備えるブラシ本体部10と、ブラシ本体部10に対してセット可能に構成されたプレート20と、ブラシ本体部10およびプレート20が固定されるグリップ部30と、を有する。
【0014】
<ブラシ本体部10>
ブラシ本体部10は、
図2~
図4に示すように、下方から視たとき、略楕円形状を有している。ブラシ本体部10は、動物用ブラシ1のうち、使用時に最も下側となるように配置されている。
【0015】
ブラシ本体部10は、
図2~
図4に示すように、XY平面上に延在するベース部11と、ベース部11に一体的に固定された複数のブラシ部12と、を有する。
【0016】
ベース部11には、
図2、
図3に示すように、Z方向に沿って複数の孔部11Hが形成されている。複数の孔部11Hは、アーチ状に構成されたブラシ部12を上下から挟み込む金型で成形する際に、ベース部11に形成される。このため、複数の孔部11Hは、
図3、
図4に示すように、ブラシ部12のX方向かつZ方向のプラス側に形成されている。複数の孔部11Hには、後述するプレート20の凸部23が挿入される(
図2参照)。
【0017】
複数の孔部11Hが形成される箇所は特に限定されないが、ブラシ部12がベース部11に最も多く配置されるように配置されることが好ましい。以下、複数の孔部11Hが配置される箇所の一例について説明する。
【0018】
複数の孔部11Hは、
図4に示すように、第1孔部80Hと、第2孔部81Hと、第3孔部82Hと、第4孔部83Hと、第5孔部84Hと、第6孔部85Hと、第7孔部86Hと、第8孔部87Hと、第9孔部88Hと、第10孔部89Hと、第11孔部90Hと、第12孔部91Hと、第13孔部92Hと、第14孔部93Hと、第15孔部94Hと、第16孔部95Hと、第17孔部96Hと、を有する。
【0019】
ブラシ本体部10は、
図4に示すように、ベース部11の周縁からZ方向のプラス側に向けて延在する縦壁部13を有する。縦壁部13には、
図4、
図6に示すように、ベース部11の径方向外方に向けて突出する4つの凸部14が形成されている。4つの凸部14は、後述するようにグリップ部30の溝部34A(
図3参照)に係合される。
【0020】
ブラシ部12は、ペットの抜け毛を取り除いたり、絡み合った毛を梳きほぐしたりするために設けられる。
【0021】
図4に示すように、第1孔部80Hに対応する箇所(Z方向のマイナス側の箇所)には、ブラシ部12は2つ設けられ、第2孔部81Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第3孔部82Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第4孔部83Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられ、第5孔部84Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられ、第6孔部85Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第7孔部86Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第8孔部87Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられ、第9孔部88Hに対応する箇所には、ブラシ部12は5つ設けられ、第10孔部89Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられ、第11孔部90Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられ、第12孔部91Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第13孔部92Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第14孔部93Hに対応する箇所には、ブラシ部12は2つ設けられ、第15孔部94Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第16孔部95Hに対応する箇所には、ブラシ部12は4つ設けられ、第17孔部96Hに対応する箇所には、ブラシ部12は3つ設けられる。
【0022】
ブラシ部12は、ベース部11に一体的に構成されている。ブラシ部12の詳細な構成については後述する。
【0023】
ブラシ本体部10を構成する材料は、特に限定されないが、合成樹脂製、好ましくは硬質樹脂製であり、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどが使用できる。その中でもポリエステル、ポリエチレンによって構成されていることがより好ましい。また、ブラシ本体部10に使用する合成樹脂の引張弾性率は500~10000MPaであることが好ましく、1000~5000MPaであることがより好ましい。引張弾性率が前記下限以上であれば、ブラッシングの際に意図せず変形してしまうことなく、より好適にブラッシングすることができる。引張弾性率が前記上限以下であれば、入手し易く、ブラッシングの際にペットがより良好な感触を得ることができる。さらに、ブラシ本体部10の硬度(ショアA)は、60以上が好ましく、70以上であることがより好ましい。ブラシ本体部10の硬度が小さくなるほど、ブラッシングの際に意図せず変形してしまい好適にブラッシングすることができなくなる可能性がある。高度の上限は特になく、硬度(ショアA)は100でもよいが、入手し易さ、ブラッシングの際にペットがより良好に感じるためには、85以下であることがより好ましく、80以下であることがさらに好ましい。
【0024】
ブラシ本体部10の色は特に限定されないが、例えばピンク色を用いることができる。
【0025】
<プレート20>
プレート20は、
図3、
図5に示すように、ブラシ本体部10と同様に、下方から視たとき、略楕円形状を有している。プレート20は、
図3に示すように、ブラシ本体部10およびグリップ部30の間に配置される。
【0026】
プレート20は、
図3、
図5~
図7に示すように、XY平面上に延在するベース部21と、ベース部21の周縁からZ方向のプラス側に向けて延在する縦壁部22と、ベース部21のZ方向のマイナス側の面に形成される凸部23と、ベース部21のZ方向のプラス側の面に形成される凹部24と、を有する。
【0027】
複数の凸部23は、
図5に示すように、第1凸部23Aと、第2凸部23Bと、第3凸部23Cと、第4凸部23Dと、第5凸部23Eと、第6凸部23Fと、第7凸部23Gと、第8凸部23Hと、第9凸部23Jと、第10凸部23Kと、第11凸部23Lと、第12凸部23Mと、第13凸部23Nと、第14凸部23Pと、第15凸部23Qと、第16凸部23Rと、第17凸部23Sと、を有する。
【0028】
第1凸部23Aは第1孔部80Hに、第2凸部23Bは第2孔部81Hに、第3凸部23Cは第3孔部82Hに、第4凸部23Dは第4孔部83Hに、第5凸部23Eは第5孔部84Hに、第6凸部23Fは第6孔部85Hに、第7凸部23Gは第7孔部86Hに、第8凸部23Hは第8孔部87Hに、第9凸部23Jは第9孔部88Hに、第10凸部23Kは第10孔部89Hに、第11凸部23Lは第11孔部90Hに、第12凸部23Mは第12孔部91Hに、第13凸部23Nは第13孔部92Hに、第14凸部23Pは第14孔部93Hに、第15凸部23Qは第15孔部94Hに、第16凸部23Rは第16孔部95Hに、第17凸部23Sは第17孔部96Hに、それぞれ挿入される。
【0029】
複数の凸部23は、対応する複数の孔部11Hよりも一回りだけ小さく構成されている。
【0030】
縦壁部22のZ方向のプラス側の端部には、
図5に示すように、ベース部21の径方向外方に向けて折れ曲がった鍔部22Tが形成されている。鍔部22Tは、
図6、
図7に示すように、プレート20をブラシ本体部10にセットした状態で、ブラシ本体部10の縦壁部13のZ方向のプラス側の面の受け面となる。
【0031】
複数の凹部24は、成形型を用いて複数の凸部23を形成する際に形成される。すなわち、複数の凹部24は、複数の凸部23の反対側の面に対応して形成されている。
【0032】
プレート20を構成する材料は、特に限定されないが、合成樹脂製、好ましくは硬質樹脂製であり、熱可塑性樹脂が好ましく、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、メラミンなどが使用できる。
【0033】
<グリップ部30>
グリップ部30は、使用者が動物用ブラシ1を使用する際に把持される部材である。グリップ部30は、動物用ブラシ1のうち、使用時に最も上側となるように配置されている。
【0034】
グリップ部30は、
図1、3に示すように、丸みを帯びた形状を備える本体部31と、本体部31のZ方向のプラス側に設けられる固定部32と、を有する。
【0035】
本体部31は、
図3に示すように、Z方向のプラス側に凹む凹部33と、凹部33に連続する側壁34と、を有する。凹部33は、Z方向に沿って視たときに、
図3に示すように、ブラシ本体部10およびプレート20と同様に、略楕円形状を有している。
【0036】
側壁34は、凹部33に連続してZ方向のマイナス側に延在するように形成される。側壁34の内周側の面には、
図3に示すように、径方向の外方に向けて凹む溝部34Aが形成されている。
【0037】
プレート20をブラシ本体部10にセットした状態で、ブラシ本体部10の4つの凸部14をグリップ部30の溝部34Aに係合することによって、ブラシ本体部10、プレート20、およびグリップ部30が互いに固定される。
【0038】
固定部32は、
図1に示すように、使用者が動物用ブラシ1を使用する際に、使用者の人差し指および中指によって挟まれる第1固定部32Aと、人差し指および中指が抜けないように、人差し指および中指の一部を覆うように構成された第2固定部32Bと、を有する。なお、固定部32の構成は上記の構成に限定されない。
【0039】
第1固定部32Aおよび第2固定部32Bは、使用者が把持しやすいように、丸みを帯びた形状を備える。
【0040】
第2固定部32BのZ方向のプラス側の面には、
図1に示すように、矢印35が付されている。矢印35は、ブラシ部12が延在する方向(X方向のプラス側)に向けて付されている。使用者は、矢印35の方向に沿って、動物用ブラシ1をスライドさせることによって、ブラッシングすることができる。
【0041】
グリップ部30を構成する材料としては特に限定されないが、合成樹脂製、好ましくは硬質樹脂製であり、熱可塑性樹脂が好ましく、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、メラミンなどが使用できる。
【0042】
グリップ部30は有色であることが好ましく、肌色であることがより好ましい。グリップ部30を有色にすることによって、例えばグリップ部30内部に被毛が侵入したり、汚れが発生したりしたとしてもグリップ部30内部を視認できないため意匠性を担保することができる。
【0043】
グリップ部30は、手の中に収まる大きさであることが好ましい。また、グリップ部30の形状は特に限定されないが、円形または長円形であることが好ましく、X方向に沿う幅は、55~95mmであることが好ましい。
【0044】
以下、
図8~
図15を参照して、ブラシ本体部10のブラシ部12の構成について詳細に説明する。
【0045】
ブラシ部12は、
図8に示すように、Z方向から視たときに、ベース部11に固定されている一端12Aから他端12Bに向けてY方向の幅が小さくなるように構成されている。この構成によれば、ブラシ部12の先端側が細く、根本側に向けて太くなるため、ブラッシングの際に弱い力で被毛の奥にブラシ部12が入り込んでブラッシングできる。
【0046】
ブラシ部12は、
図9、
図10に示すように、Y方向から視たときに、アーチ状に構成されている。本明細書において「アーチ状」とは、Z方向に沿う長さよりもX方向に沿う長さが長く、かつ湾曲状に構成されていることをいう。
【0047】
本実施形態において、ブラシ部12のZ方向のマイナス側の面は、
図9に示すように、Z方向のマイナス側に凸となるように湾曲して構成している。
【0048】
図9に示すブラシ部12の傾斜角度θは、5~40度であることが好ましく、8~25度であることがより好ましく、10~20度であることがさらに好ましい。この構成によれば、ブラシ部12の欠損を防止しつつ、好適にブラッシングすることがでる。
【0049】
本明細書において、「傾斜角度θ」とは、
図9に示すように、ブラシ部12の一端12AのX方向のマイナス側の端部12Eから、ブラシ部12の立ち上がり部12HのZ方向のプラス側の縁線に接線Rを引いたときの、X軸から接線Rまでの反時計回りの角度をいう。
【0050】
ブラシ部12の立ち上がり部12HにおけるX方向に沿う長さL1(
図9参照)は、被毛の奥まで届かせる観点から、3~10mmであることが好ましく、3~8mmであることがより好ましく、3~6mmであることがさらに好ましい。また、ブラシ部12の立ち上がり部12HにおけるZ方向に沿う長さL2(
図9参照)は、被毛の奥まで届かせる観点から、1~6mmであることが好ましく、1~3mmであることがより好ましく、1~2mmであることがさらに好ましい。
【0051】
また、L2/L1の比の値は、0.2~1.0であることが好ましく0.25~0.8であることがより好ましく、0.3~0.7であることがさらに好ましい。例えば、L2/L1の比の値が小さすぎる場合、立ち上がり部12Hにおける傾斜が緩やかとなり、ブラシ部12がペットの被毛の奥に入らない虞がある。また、L2/L1の比の値が大きすぎる場合、立ち上がり部12Hにおける傾斜が急となり、ブラシ部12が破損する虞がある。本実施形態に係る動物用ブラシ1によれば、ブラシ部12の破損を防止しつつ、ブラシ部12をペットの被毛の奥に入れることができる。
【0052】
ブラシ部12の他端12Bは、X方向のプラス側から視たときに、
図11に示すように、略真円状に構成されている。なお、ブラシ部の他端は、X方向のプラス側から視たときに、楕円状や矩形状に構成されていてもよい。
【0053】
X方向のプラス側から視たときの、ブラシ部12の他端12Bの直径L3は、特に限定されないが、0.5~2.0mmであることが好ましく、0.5~1.0mmであることがより好ましい。
【0054】
ブラシ部12のZ方向のプラス側(ベース部11側)の面には、
図12~
図15に示すように、X方向に沿って凹部19が形成されている。凹部19は、Z方向のマイナス側に凹んでいる。凹部19は、X方向およびY方向から視た断面視で、
図10、
図15に示すように、U字状に構成されている。
【0055】
このようにブラシ部12に凹部19が形成されることによって、動物用ブラシ1をペット用の液剤と併用する際に、毛細管現象によって凹部19を介して液剤を全身に効果的に行き渡らせることができる。
【0056】
ブラシ部12の一端12Aにおけるベース部11に固定される箇所は、
図14に示すように楕円形状を有しているが、これに限定されず、真円形状や矩形形状であってもよい。ブラシ部12の一端12Aにおけるベース部11に固定される箇所における長径L4は、1~7mmであることが好ましく、2~5mmであることがより好ましい。
【0057】
Z方向から視たときに、ブラシ部12の単位面積当たりの本数は、1~4本/cm2であることが好ましく、2~4本/cm2であることがより好ましく、2~3本/cm2であることがさらに好ましい。この構成によれば、ベース部11に対して密にブラシ部12を配置することができ、好適にブラッシングすることができる。
【0058】
本実施形態では、ブラシ部12は59本設けられているが、これに限定されず、20~100本であることが好ましく、ブラシ部12の長さ、太さ等のサイズに応じて適宜変更することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る動物用ブラシ1は、平面状のベース部11と、ベース部11に固定されベース部11からアーチ状に延在するとともに、ベース部11の平面(XY平面)に直交する方向(Y方向)から視たときに、ベース部11に固定されている一端12Aから他端12Bに連れて幅が小さくなる複数のブラシ部12と、を有する。このように構成された動物用ブラシ1によれば、ブラシ部12がアーチ状の構成を備えており、かつベース部11の一端12Aから他端12Bに連れて幅が小さくなるため、弱い力で被毛の奥にブラシ部12が入り込んでブラッシングできる。したがって、使用者がペットにブラッシングした際に、ペットが嫌がる頻度が減少する。以上から、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングできる動物用ブラシ1を提供することができる。
【0060】
また、上記の動物用ブラシ1によれば、手をブラシ部12の延在する方向(X方向)に滑らせることによって、ブラッシングした際にブラシ部12に付着した被毛を好適に取り除くことができる。
【0061】
また、動物用ブラシ1は、ベース部11が固定されるとともに、使用者が把持可能なグリップ部30をさらに有する。このように構成された動物用ブラシ1によれば、使用者の作業性が向上する。
【0062】
また、ブラシ部12は合成樹脂によって構成される。このように構成された動物用ブラシ1によれば、ペットが不快に感じることなく好適にブラッシングすることができる。
【0063】
また、ブラシ部12のベース部11側の面には、ブラシ部12の延在方向(X方向)に沿って凹部19が形成されている。このように構成された動物用ブラシ1によれば、動物用ブラシ1をペット用の液剤と併用する際に、毛細管現象によって凹部19を介して液剤を全身に効果的に行き渡らせることができる。
【0064】
また、ベース部11には、平面方向に直交する方向に複数の孔部11Hが設けられ、動物用ブラシ1は、孔部11Hに対応する凸部23を備えるプレート20をさらに有する。ここで、ベース部11の複数の孔部11Hは、アーチ状に構成されたブラシ部12を上下から挟み込むような金型で成形する際に形成される。プレート20には、孔部11Hに対応する凸部23が設けられるため、プレート20をブラシ本体部10にセットすることによって、強度を保つことができるとともに、清潔性(被毛や汚れのブラシ本体部10内部への侵入の防止)を保つことができる。
【0065】
また、ベース部11およびブラシ部12は、一体的に構成される。このように構成された動物用ブラシ1によれば、ブラシ部12がベース部11から欠損することを防止できる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、ブラシ部12のベース部11側の面には、ブラシ部12の延在方向に沿って凹部19が形成されていたが、凹部19は形成されていなくてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、ブラシ本体部10には、複数の孔部11Hが設けられ、かつ孔部11Hに対応する凸部23を備えるプレート20が設けられた。しかしながら、ブラシ本体部には複数の孔部が設けられず、当該ブラシ本体部がグリップ部30に固定される構成であってもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、ベース部11およびブラシ部12は、一体的に構成された。しかしながら、ブラシ部はベース部に対して別部材として構成され、ブラシ部がベース部に対して例えば接着剤によって接着される構成であってもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、ブラシ本体部10の凸部14が、グリップ部30の溝部34Aに係合されることによって、ブラシ本体部10、プレート20、およびグリップ部30を互いに固定した。しかしながら、ブラシ本体部10、プレート20、およびグリップ部30を互いに固定する方法は、上記の係合に限定されず、例えば接着剤によって固定されてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、Z方向から視たときに、ベース部11、ベース部21、および凹部33は、略楕円形状を有していたが、ベース部11、ベース部21、および凹部33は、真円形状や矩形形状を有していてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、ブラシ部12のZ方向のマイナス側の面は、Z方向のマイナス側に凸となるように湾曲して構成していた。しかしながら、
図16に示すように、ブラシ部112のZ方向のマイナス側の面は、ブラシ部112の一端112A側においてZ方向のプラス側に凸で、他端112B側に連れてZ方向のマイナス側に凸となるS字状に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 動物用ブラシ、
10 ブラシ本体部、
11 ベース部、
11H 孔部、
12 ブラシ部、
12A ブラシ部の一端、
12B ブラシ部の他端、
19 凹部、
20 プレート、
23 凸部、
30 グリップ部、
θ 傾斜角度。