(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】コヒーレント送信システムのためのチューナブル・レーザー
(51)【国際特許分類】
H01S 5/50 20060101AFI20240329BHJP
G02F 1/025 20060101ALI20240329BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20240329BHJP
H01S 5/068 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01S5/50 610
G02F1/025
H01S5/026 618
H01S5/026 650
H01S5/068
(21)【出願番号】P 2020516421
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018051956
(87)【国際公開番号】W WO2019060547
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518066415
【氏名又は名称】マコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】双田 晴久
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0015743(US,A1)
【文献】特開2016-178283(JP,A)
【文献】特開2017-098362(JP,A)
【文献】特開2016-102926(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106785882(CN,A)
【文献】国際公開第2013/114577(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/080891(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/029647(WO,A1)
【文献】特開2016-212265(JP,A)
【文献】特開2009-200091(JP,A)
【文献】特開2008-251673(JP,A)
【文献】特開2015-230991(JP,A)
【文献】Richard Grzybowski and Arlen Martin,MACOM's L-PIC TM (Laser Integrated PIC) Platform Using Self-Aligned Etch Facet Technology (SAEFT TM)For Data Center Networks,Advanced Photonics 2017 (IPR, NOMA, Sensors, Networks, SPPCom, PS) Proceedings,米国,2017年07月,NeW1B.4,2 pages
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
H01S 3/00-3/30
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューナブル・レーザー・デバイスであって、前記チューナブル・レーザー・デバイスは、
アダプティブ・リング・ミラーであって、前記アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路、前記第1のリング導波路の第1のリング導波路ヒーター、前記第1のリング導波路ヒーターから分離した位相シフター、第2のリング導波路、および、前記第2のリング導波路の第2のリング導波路ヒーターを含む、アダプティブ・リング・ミラーと、
前記アダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されているゲイン導波路と、
前記ゲイン導波路に光学的に連結されているループ・ミラーと、
ブースター増幅器であって、前記ブースター増幅器は、1つの端部において前記ループ・ミラーに光学的に連結されており、別の端部において前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ブースター増幅器と、
コヒーレント通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を変調および調節するために、前記第1のリング導波路ヒーターおよび前記位相シフターのそれぞれの動作を別個に制御するように構成されている制御ドライバーと
を含み、
前記ゲイン導波路および前記ブースター増幅器は、前記チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、
前記アダプティブ・リング・ミラーおよび前記ループ・ミラーは、前記チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、チューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項2】
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、
前記MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、前記MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、
前記第1のMMIカップラーの第2の出力は、前記MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されている、請求項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項3】
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
前記第2のMMIカップラーおよび前記第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路をさらに含み、
前記第1のリング導波路は、第1の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされており、
前記第2のリング導波路は、第2の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている、請求項2に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項4】
前記位相シフターは、前記第1のMMIカップラーと前記第2のMMIカップラーおよび前記第3のMMIカップラーのうちの少なくとも1つとの間に光学的に連結されている、請求項2に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項5】
前記制御ドライバーは、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、前記アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するようにさらに構成されている、請求項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項6】
前記制御ドライバーは、前記第1のリング導波路ヒーターまたは前記第2のリング導波路ヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を別個に制御し、コヒーレント光ファイバー通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の波長を調節するように構成されている、請求項5に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項7】
前記制御ドライバーは、コヒーレント通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の位相を調節するように前記位相シフターを別個に制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項8】
前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記SOA領域と前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記シリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含む、請求項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項9】
前記SOA領域と前記シリコン・フォトニクス領域との間の前記インターフェースは、前記SOA領域および前記シリコン・フォトニクス領域の縁部に沿った嵌合する自己整合式のファセットである、請求項8に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項10】
チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法であって、
前記チューナブル・レーザー・デバイスは、
アダプティブ・リング・ミラーであって、前記アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路、前記第1のリング導波路の第1のリング導波路ヒーター、前記第1のリング導波路ヒーターから分離した位相シフター、第2のリング導波路、および、前記第2のリング導波路の第2のリング導波路ヒーターを含む、アダプティブ・リング・ミラーと、
前記アダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されているゲイン導波路と、
ブースター増幅器であって、前記ブースター増幅器は、前記ゲイン導波路に光学的に連結されており、前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ブースター増幅器と、
制御ドライバーと
を含み、
前記方法は、
前記ゲイン導波路をバイアスし、前記レーザー出力を発生させるステップと、
通信のための入力データを受信するステップと、
コヒーレント通信のための前記入力データに基づいて、前記レーザー出力の波長を変調および調節するために、前記第1のリング導波路ヒーターおよび前記位相シフターのそれぞれの動作を別個に制御するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、前記アダプティブ・リング・ミラーの温度を調節し、前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の波長を適合させるステップを含む、請求項10に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【請求項12】
前記ゲイン導波路は、前記チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、
前記アダプティブ・リング・ミラーは、前記チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、請求項10に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【請求項13】
前記チューナブル・レーザー・デバイスは、前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記SOA領域と前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記シリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含み、
前記SOA領域と前記シリコン・フォトニクス領域との間の前記インターフェースは、前記SOA領域および前記シリコン・フォトニクス領域の縁部に沿った嵌合する自己整合式のファセットである、請求項12に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【請求項14】
前記アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御するステップを含む、請求項10に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【請求項15】
前記アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、前記第1のヒーターまたは前記第2のヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、光ファイバー通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の波長を調節するステップを含む、請求項14に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【請求項16】
チューナブル・レーザー・デバイスであって、前記チューナブル・レーザー・デバイスは、
アダプティブ・リング・ミラーであって、前記アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路、前記第1のリング導波路の第1のリング導波路ヒーター、前記第1のリング導波路ヒーターから分離した位相シフター、第2のリング導波路、および、前記第2のリング導波路の第2のリング導波路ヒーターを含む、アダプティブ・リング・ミラーと、
前記アダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されているゲイン導波路と、
ブースター増幅器であって、前記ブースター増幅器は、前記ゲイン導波路に光学的に連結されており、前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ブースター増幅器と、
コヒーレント光ファイバー通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を変調および調節するために、前記第1のリング導波路ヒーターおよび前記位相シフターのそれぞれの動作を別個に制御するように構成されている制御ドライバーと
を含む、チューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項17】
前記制御ドライバーは、前記アダプティブ・リング・ミラーの温度を調節し、前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の波長を適合させるようにさらに構成されている、請求項16に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項18】
前記チューナブル・レーザー・デバイスは、前記ゲイン導波路と前記ブースター増幅器との間に光学的に連結されているループ・ミラーをさらに含み、
前記ゲイン導波路および前記ブースター増幅器は、前記チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、
前記アダプティブ・リング・ミラーおよび前記ループ・ミラーは、前記チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、請求項16に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項19】
前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記SOA領域と前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記シリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含む、請求項18に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項20】
前記SOA領域と前記シリコン・フォトニクス領域との間の前記インターフェースは、前記SOA領域および前記シリコン・フォトニクス領域の縁部に沿った嵌合する自己整合されたファセットである、請求項19に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項21】
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、
前記MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、前記MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、
前記第1のMMIカップラーの第2の出力は、前記MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されている、請求項16に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項22】
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
前記第2のMMIカップラーおよび前記第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路と、
第1の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第1のリング導波路と、
第2の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第2のリング導波路と
をさらに含む、請求項21に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項23】
前記位相シフターは、前記第1のMMIカップラーと前記第2のMMIカップラーおよび前記第3のMMIカップラーのうちの少なくとも1つとの間に光学的に連結されている、請求項21に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項24】
前記制御ドライバーは、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、前記アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するようにさらに構成されている、請求項16に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項25】
前記制御ドライバーは、前記第1のリング導波路ヒーターまたは前記第2のリング導波路ヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、前記第1のリング導波路および前記第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を別個に制御し、コヒーレント光ファイバー通信のための前記チューナブル・レーザー・デバイスの前記レーザー出力の波長を調節するように構成されている、請求項24に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項26】
前記ゲイン導波路は、前記アダプティブ・リング・ミラーと前記ループ・ミラーとの間に光学的に位置決めされており、前記ループ・ミラーは、前記ゲイン導波路と前記ブースター増幅器との間に光学的に位置決めされている、請求項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項27】
第1のMMIカップラーは、前記ゲイン導波路
と第2のMMIカップラーとの間に光学的に位置決めされており、前記位相シフターは、前記第1のMMIカップラーと前記第2のMMIカップラーとの間に光学的に位置決めされている、請求項26に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【請求項28】
チューナブル・レーザー・デバイスであって、前記チューナブル・レーザー・デバイスは、
アダプティブ・リング・ミラーと、
前記アダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されているゲイン導波路と、
前記ゲイン導波路に光学的に連結されているループ・ミラーと、
ブースター増幅器であって、前記ブースター増幅器は、1つの端部において前記ループ・ミラーに光学的に連結されており、別の端部において前記チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ブースター増幅器と
を含み、
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、
前記MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、前記MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、
前記第1のMMIカップラーの第2の出力は、前記MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、
前記アダプティブ・リング・ミラーは、
前記第2のMMIカップラーおよび前記第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路と、
第1の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第1のリング導波路と、
第2の対の前記線形導波路の間で前記アダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第2のリング導波路と
をさらに含み、
前記ゲイン導波路および前記ブースター増幅器は、前記チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、
前記アダプティブ・リング・ミラーおよび前記ループ・ミラーは、前記チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、チューナブル・レーザー・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年9月20日に出願された米国仮出願第62/560,960号明細書の利益を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
シリコン・フォトニクス(SiPh)において、光学デバイスは、半導体材料を使用して電子コンポーネントと一体化されており、半導体製造技法を使用してモノリシックに加工されている。他の使用のなかでも、SiPhデバイスは、光学トランスミッターと光学レシーバーとの間でデータを通信するための光ファイバー通信において信頼され得る。光学トランスミッターにおいて、データは、発光ダイオードまたはレーザー・ダイオードによって作り出されるものなどのような光を変調させるために使用され、変調された光は、導波路、光ファイバー・ケーブルなどの上を、光学レシーバーへ送信され得る。変調された光ストリーム(たとえば、光学的なデータ・ストリーム)は、電気ドメインの中で送信されるデータと比較して、長距離の低損失データ送信にとって、より適切である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
チューナブル・レーザー・デバイスが説明されている。1つの例では、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラー、ゲイン導波路、ループ・ミラー導波路、およびブースター増幅器導波路を含む。ゲイン導波路およびブースト増幅器導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成され得り、アダプティブ・リング・ミラーおよびループ・ミラー導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成され得る。アダプティブ・リング・ミラーは、複数のMMIカップラーの間に光学的に連結されている位相シフターを含む。位相シフターを使用して位相シフトを誘発させることによって、チューナブル・レーザー・デバイスの出力の波長は、たとえば、他の用途のなかでも、コヒーレント光ファイバー通信において使用するために変更または調節され得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の態様は、以下の図面を参照して、より良好に理解され得る。図面の中のエレメントは、必ずしも正しい縮尺であるわけではなく、その代わりに、実施形態の原理を明確に図示するときに強調がされた状態になっているということが留意される。図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して、同様のまたは対応する(しかし、必ずしも同じであるわけではない)エレメントを指定している。
【0005】
【
図1】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による例示的なチューナブル・レーザーを図示する図である。
【
図2A】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの例示的なピーク波長反射特性を図示する図である。
【
図2B】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの例示的なピーク波長反射特性を図示する図である。
【
図3】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの例示的な反射パワー特性を図示する図である。
【
図4】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの例示的な反射ディファレンス・パワー特性を図示する図である。
【
図5A】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの波長に対する例示的なパワー反射特性を図示する図である。
【
図5B】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による
図1に示されているチューナブル・レーザーのアダプティブ・リング・ミラーの波長に対する例示的なパワー反射特性を図示する図である。
【
図6】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による別の例示的なチューナブル・レーザーを図示する図である。
【
図7】本明細書で説明されているさまざまな実施形態による本明細書で説明されているチューナブル・レーザーによって実施され得る、通信のためのレーザー出力チューニングのプロセスを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
光ファイバー通信において、波長分割多重(WDM)方式は、レーザー光の複数の光学的なキャリアが単一の光ファイバーの上に多重化される技術である。例として、WDMは、データ通信のための1つのシングルモード光ファイバーの上で、2つのチャネル(1310および1550の波長)を使用することが可能である。WDMに対する拡張は、疎密度(coarse)WDM(CWDM)および高密度(dense)WDM(DWDM)を含む。たとえば、CDWMは、16チャネルを使用することが可能であり、DWDMは、40チャネルを使用することが可能である。
【0007】
周波数グリッドは、通信システムの中で許容されるチャネルの中心周波数(および、対応する波長)の表である。たとえば、DWDMに関して、ITU-T G.694.1によって規定されているように、1550nmの周りの波長が使用される。グリッドは、193.1THzに対して規定されており、191.7THzから196.1THzへ100GHz間隔で延在している。周波数グリッドは、波長の観点から表現されることが多い。その文脈において、DWDMに関する例示的な周波数グリッドは、1528.77nmから1563.86nmへの波長範囲を約0.8nmチャネル間隔でカバーすることが可能であるが、他のグリッドが、より大きい範囲をカバーするように延在および分割されている。
【0008】
WDM、CWDM、およびDWDMを使用する従来の光ファイバー通信において、強度変調(IM)またはオン/オフ・キーイング(OOK)が、光のパルスを使用して任意の所与のチャネルにわたってデータを伝送するために使用されてきた。IMは、比較的に低いスループットの短距離光学通信に適切であるということが判明している。しかし、IMは、スペクトル利用においてとりわけ効率的ではなく、なかでも、波長分散(CD)および偏波モード分散(PMD)などのような、ファイバー機能障害を受けやすい。より長い距離において光学通信システムの中のデータ転送のスループットおよび/または信号対雑音比を増加させるために、IM以外の他の変調技法も考えられている。たとえば、長距離の高バンド幅コヒーレント光学的送信に関して、光学的デュオバイナリー(ODB)、差動四位相偏移変調(DQPSK)、および他の変調スキーム(高次コヒーレント変調スキームを含む)が考えられている。しかし、DQPSKおよび他の高次コヒーレント変調スキームに関して、半導体レーザー出力の波長および位相制御がとりわけ重要である。
【0009】
したがって、半導体レーザーは、光ファイバー通信システムの中のキー・コンポーネントとして信頼されている。半導体レーザーは、レフレクターまたはミラーを使用し、レージング(lasing)領域を画定することが可能であり、レージング領域では、光子が反射され、ゲイン媒体からの放出をシミュレートする。なかでも、クリーブド・ファセット(cleaved facets)、エッチド・ファセット(etched facets)、エッチド・ミラー、およびグレーチング・レフレクターを含む、さまざまな構造が、半導体デバイスからレーザー出力を提供するのに適切な反射を実現することが知られている。また、コーティングが、反射を制御するために、クリーブド・ファセットおよびエッチド・ファセットに追加され得る。いくつかのケースでは、複数のコーティングが、複数の波長における反射を制御するために必要とされ得る。グレーチングの反射特性は、波長依存性であり、グレーチングの慎重な設計およびキャリブレーションが、幅の広いチューニング範囲を可能にするために必要とされる。
【0010】
上記に概説されている文脈において、新しいチューナブル半導体レーザー・デバイスが説明されている。デバイスのレーザー出力の波長は、光ファイバー通信を含むさまざまな用途に関して制御され得る。1つの例では、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラーと、ゲイン導波路と、ループ・ミラー導波路と、ブースター増幅器導波路とを含む。ゲイン導波路およびブースト増幅器導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成され得り、アダプティブ・リング・ミラーおよびループ・ミラー導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成され得る。アダプティブ・リング・ミラーは、複数のMMIカップラー同士の間に光学的に連結されている位相シフターを含む。位相シフターを使用して位相シフトを誘発させることによって、チューナブル・レーザー・デバイスの出力の波長は、たとえば、他の用途のなかでも、コヒーレント光ファイバー通信において使用するために変更または調節され得る。
【0011】
図面を見てみると、
図1は、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による例示的なチューナブル・レーザー10を図示している。チューナブル・レーザー10は、本明細書で説明されている実施形態による1つの代表的な例として提示されている。チューナブル・レーザー10は、必ずしも正しい寸法で描かれているわけではなく、
図1に示されているものと比較してサイズおよび割合が変化することが可能である。たとえば、ループおよびアダプティブ・リング・ミラー、導波路、ならびに他のエレメントのサイズおよび割合は、特定の波長または波長範囲における光出力の発生のために変化または調節され得る。追加的に、チューナブル・レーザー10のエレメントの構造または配置に関する変形例は、本実施形態の範囲内にあり、
図7は、本明細書で説明されている概念と一貫する別のチューナブル・レーザー構成を図示している。
【0012】
図1に示されているように、チューナブル・レーザー10は、アダプティブ・リング・ミラー20と、アダプティブ・リング・ミラー20に光学的に連結されているゲイン導波路30と、ゲイン導波路30に光学的に連結されているループ・ミラー40と、1つの端部においてループ・ミラー40に光学的に連結されており、別の端部においてチューナブル・レーザー10のレーザー出力を提供するように適合されているブースター増幅器50とを含む。ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、チューナブル・レーザー10の半導体光増幅器(SOA)領域60の中の導波路として形成され得り、アダプティブ・リング・ミラー20およびループ・ミラー40は、チューナブル・レーザー10のシリコン・フォトニクス(SiPh)領域70の中に形成され得る。また、チューナブル・レーザー10は、制御ドライバー80を含み、チューナブル・レーザー10のエレメントへのパワー・バイアスを制御および供給する。また、制御ドライバー80は、制御信号および他の関係の信号をチューナブル・レーザー10に提供し、チューナブル・レーザー10からフィードバックを取得することが可能である。
【0013】
チューナブル・レーザー10は、1つまたは複数の波長においてピーク・パワーを有するレーザー出力を提供することが可能である。チューナブル・レーザー10によるレーザー出力の波長は、経時的に適合または調節され得る。1つの例では、チューナブル・レーザー10によるレーザー出力の波長は、制御ドライバー80に提供されるデータ81のストリームに基づいて適合され得る。換言すれば、チューナブル・レーザー10によるレーザー出力の波長は、データ81のストリームに基づいて経時的に変調され得る。したがって、チューナブル・レーザー10の出力は、他の実用的な用途のなかでも、たとえば、コヒーレント光ファイバー通信に関して信頼され得る。チューナブル・レーザー10の動作が、さらに詳細に下記に説明される。
【0014】
ゲイン導波路30およびブースター増幅器50がその中に形成されている半導体光増幅器(SOA)領域60は、光の生成のためのゲインを提供し、それは、チューナブル・レーザー10のレーザー出力につながる。チューナブル・レーザー10の中のSOA領域60は、光ゲインを提供するためのゲイン媒体を含む半導体領域として具現化され得る。したがって、ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、アクティブ増幅領域を含むことが可能であり、アクティブ増幅領域は、制御ドライバー80から供給されるエネルギー(たとえば、特定の電圧および/または電流)によってバイアスされ得る。ゲイン導波路30およびブースター増幅器50の中へのバイアスの注入は、伝導帯から価電子帯への光子の光学的な移行につながるキャリア密度を生成させる。最大ゲインは、バンドギャップ・エネルギーの直ぐ上方の光子エネルギーに関して起こる。
【0015】
SOA領域60は、リン化インジウム(InP)ホスト材料から形成され得り、半導体製造技法を使用してアクティブ媒体がその上に成長させられてモノリシックに処理された状態になっている。したがって、ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、半導体光増幅器を含む光電子的なデバイスに関して適切な直接的なバンドギャップを示す材料から構築され得る。他の実施形態では、SOA領域60は、インジウム、アルミニウム、ガリウム、ヒ化物、リン、および他の元素の組み合わせを含む他のII-V族またはIII-V族の化合物材料半導体、たとえば、なかでも、GaAs/AlGaAs、InP/InGaAs、InP/InGaAsP、およびInP/InAlGaAsなどから形成され得る。SiPh領域70は、他の適切なSiPh材料のなかでも、シリコンウエハーまたはシリコンオンインシュレーター(SOI)材料の上の埋め込み酸化物層(buried oxide layer)(BOX)であることが可能である。
【0016】
1つの例では、ゲイン導波路30およびブースター増幅器50を形成するチューナブル・レーザー10の層は、たとえば、AlInGaAsベースの量子井戸、バリア、および、隣接する上側および下側クラッディング領域(たとえば、レージング媒体および/または領域を提供するため)によって形成されたアクティブ領域を含むことが可能である。層は、基板の上にエピタキシャルに形成され得り、上側および下側クラッディング領域がInPなどのような半導体材料から形成された状態になっており、それは、アクティブ領域のインデックスよりも低いインデックスを有している。InGaAs封鎖層は、上側クラッディング層の上部表面の上に提供され、1つまたは複数のオーミック接触を提供することが可能である。動作の間に、ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、制御ドライバー80によってバイアスされ、特定の波長において、または、比較的に狭い範囲の波長にわたって、パワーを示す光を放出することが可能である。
【0017】
SiPh領域70に対するSOA領域60の相対的なサイズおよび設置は、実施形態の間で変化することが可能である。
図1に示されているものに対する変形例では、SOA領域60は、SiPh領域70によって取り囲まれていなくてもよい。たとえば、SOA領域60は、SOA領域60と隣り合わせの構成で配置され得る。SOA領域60およびSiPh領域70は、一緒に形成されるかまたは互いから別個に形成され得る。互いから別個に形成される場合には、SOA領域60およびSiPh領域70は、別個の処理ステップとして一緒に整合させられ得る。
【0018】
アダプティブ・リング・ミラー20は、チューナブル・レフレクターを提供し、アダプティブ・リング・ミラー20の1つまたは複数の反射特性は、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー10のレーザー出力の波長をチューニングするために調節され得る。また、ループ・ミラー40は、チューナブル・レーザー10の中のレフレクターを提供する。いくつかのケースでは、ループ・ミラー40は、たとえば
図6に示されている実施形態などのように、省略され得る。
【0019】
ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、SOA領域60とSiPh領域70との間のインターフェース110を横切っておよびそれに沿って、ループ・ミラー40およびアダプティブ・リング・ミラー20と光学的に整合させられ得る。それらは、米国特許第8,009,711号明細書(その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている)に説明されているものと同様に、SOA領域60およびSiPh領域70の縁部に沿って、嵌合する自己整合ファセット(たとえば、Lowell、MassachusettsのMACOM(商標)のSelf-Aligned Etch Facet(SAEFT(商標))技術)を使用して、または、任意の他の適切なアプローチを使用して、アライメント処理ステップの間にそれらを通過する光の測定を通して、インターフェース110を横切って光学的に整合させられ得る。したがって、チューナブル・レーザー10は、レーザー光子集積回路として形成され得る。
【0020】
アダプティブ・リング・ミラー20は、複数のマルチモード干渉(MMI)カップラー21~23を含み、それらは、
図1に示されている実施形態によるシングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む。MMIカップラーの他のタイプおよび配置が、他の実施形態の中のアダプティブ・リング・ミラー20の代わりに使用され得る。示されているように、MMIカップラー21の第1の出力は、MMIカップラー22の入力に光学的に連結されており、MMIカップラー21の第2の出力は、MMIカップラー23の入力に光学的に連結されている。
【0021】
MMIカップラー21~23は、アダプティブ・リング・ミラー20の中に一体化されたパッシブ・コンポーネントとして具現化され得る。MMIカップラー21~23は、それらを通してガイドされる光の完全な干渉を可能にするように形成され得る。したがって、MMIカップラー21~23を通してガイドされる光は、建設的にまたは破壊的に、MMIカップラー21~23の中で干渉することが可能である。
【0022】
複数の線形導波路25~28が、MMIカップラー22および23の出力に光学的に連結されている。また、アダプティブ・リング・ミラー20は、線形導波路25と26との間に位置決めされている第1のリング導波路R1と、線形導波路27と28との間に位置決めされている第2のリング導波路R2とを含む。R1およびR2の自由スペクトル範囲(FSR)を制御するために、アダプティブ・リング・ミラー20は、また、ヒーター24Aおよび24Bを含む。ヒーター24Aおよび24Bのサイズおよび設置は、
図1において代表的なものであり、第1および第2のリング導波路R1およびR2のFSRを制御するための適切なヒーターが、他の場所に位置決めされ得る。制御ドライバー80は、ヒーター24Aおよび24Bに電流を供給し、第1および第2のリング導波路R1およびR2のFSRを制御することが可能であり、それは、アダプティブ・リング・ミラー20の少なくとも1つの反射特性の調節につながる。
【0023】
また、アダプティブ・リング・ミラー20は、位相シフター29を含む。
図1に示されているように、位相シフター29は、(たとえば、温度変化を通した)第2のリング導波路R2に提供される光の位相の適合のために、MMIカップラー21の出力とMMIカップラー22の入力との間に光学的に連結されている。代替的に、位相シフター29は、第2のリング導波路R2に提供される光の位相の適合のために、MMIカップラー21の別の出力とMMIカップラー23の入力との間に連結され得る。他の実施形態では、第1および第2のリング導波路R1およびR2の両方のための位相シフターなどのような、2つ以上の位相シフターが使用され得る。
【0024】
位相シフター29は、MMIカップラー21とMMIカップラー22との間の所定の長さの導波路を加熱することが可能である。位相シフター29は、たとえば、抵抗率のために、プラチナがドープされたアダプティブ・リング・ミラー20の中の領域として形成され得る。制御ドライバー80から供給されるバイアス電流の印加によって、位相シフター29は、MMIカップラー21とMMIカップラー22との間の所定の長さの導波路を加熱することが可能である。加熱されるときに、導波路の屈折率が変化し、それは、導波路を通してガイドされる光の位相のシフト(たとえば、伝搬遅延に基づく)につながる(たとえば、それらの入力と比較して、それらの出力において測定される)。バイアス電流は、データ81に基づいて制御ドライバー80から位相シフター29へ供給され、コヒーレント光ファイバー通信のためにチューナブル・レーザー10の出力を変調させることが可能である。
【0025】
アダプティブ・リング・ミラー20において、導波路25~28からの光は、リング導波路R1およびR2の中へ光学的に連結することが可能である。リング導波路R1およびR2の中において、光は、建設的におよび/または破壊的に、特定の波長においてそれ自身と干渉することが可能である。光の特定の波長(または、波長の範囲)だけが建設的に干渉することとなるので、アダプティブ・リング・ミラー20は、所定のタイプの光学的なフィルターまたは波長フィルターとして作用することが可能であり、光のうちのいくらかは、アダプティブ・リング・ミラー20から外へミラー・バックする(mirror back)ことが可能である。さらに、位相シフター29は、MMIカップラー21とMMIカップラー22との間の導波路を通してガイドされる光の位相(たとえば、伝搬遅延)を調節することが可能であるので、リング導波路R1およびR2およびMMIカップラー21~23の中の干渉は、位相シフター29の調節に基づいて変化することが可能である。
【0026】
制御ドライバー80は、特定の電圧および電流バイアスをチューナブル・レーザー10の中のエレメント(他のエレメントのなかでも、SOA領域60、位相シフター29、ならびにヒーター24Aおよび24Bを含む)に供給および/またはポンプ送りするように構成され得る。本明細書で説明されているように、制御ドライバー80は、それぞれ、レーザー発振および変調させるために、SOA領域60、位相シフター29、ならびにヒーター24Aおよび24Bに別個のバイアスを提供することが可能である。
【0027】
制御ドライバー80は、特定のインクリメントでバイアス電圧および/または電流バイアスの範囲を提供するように設計され得り、いくつかのケースでは、プログラムされ得る。1つの構成では、制御ドライバー80は、ヒーター24Aおよび24Bのうちの一方または両方に提供される電圧および/または電流バイアスを制御し、アダプティブ・リング・ミラー20の中の温度の比較的に小さく正確な変化(たとえば、摂氏0.24度から0.40度の間の範囲の中の変化)を結果として生じさせるように設計され得り、それは、アダプティブ・リング・ミラー20の少なくとも1つの反射特性における調節につながる。アダプティブ・リング・ミラー20の反射特性の変化は、光ファイバー通信のためにチューナブル・レーザー10のレーザー出力の波長を最終的に変化させる。したがって、チューナブル・レーザー10のレーザー出力の波長は、データ81のストリームに基づいて経時的に変調され得り、チューナブル・レーザー10の出力は、コヒーレント光ファイバー通信に関して信頼され得る。
【0028】
さまざまな実施形態では、制御ドライバー80は、少なくとも1つの処理回路、および、少なくとも1つのメモリーまたはメモリー・デバイスを含むことが可能である。処理回路は、1つまたは複数のプロセッサーを含むことが可能であり、ローカル・インターフェースを介してメモリー・デバイスに連結され得る。メモリーは、処理回路の1つまたは複数のプロセッサーによって実行可能なコンピューター可読のインストラクションを記憶することが可能である。したがって、制御ドライバー80は、ハードウェアの形態で、ハードウェアによって実行可能なソフトウェアコンポーネントとして、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせとして具現化され得る。
【0029】
ハードウェアとして具現化されている場合には、制御ドライバー80は、任意の適切なハードウェア技術を用いる回路またはステート・マシンとして実装され得る。ハードウェア技術は、1つまたは複数のプロセッサーまたはマイクロプロセッサー、1つまたは複数のデータ信号の適用のときにさまざまなロジック関数を実装するための論理ゲートを有する個別論理回路、適当な論理ゲートを有するASIC、プログラマブル・ロジック・デバイス(たとえば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAS)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)など)を含むことが可能である。
【0030】
他の実施形態では、チューナブル・レーザー10は、1つまたは複数のコンピューティング・デバイスの上でシミュレートされ得る。たとえば、半導体製造プロセスの1つまたは複数の態様、たとえば、ドーパント分布、応力分布、デバイス幾何学形状、および、チューナブル・レーザー10の他の態様などが、シミュレートされ得る。製造プロセス・シミュレーションは、チューナブル・レーザー10、チューナブル・レーザー10に関連付けられる半導体デバイス(たとえば、トランジスター)、および他のエレメント(たとえば、抵抗器、インダクター、キャパシターなど)の特性をモデル化するために信頼され得る。また、チューナブル・レーザー10の1つまたは複数の動作特性、たとえば、ピーク波長反射特性、反射パワー特性、反射ディファレンス・パワー特性、および他の特性などが、シミュレートされ得る。
【0031】
シミュレーションは、アダプティブ・リング・ミラー20、ゲイン導波路30、ループ・ミラー40、およびブースター増幅器50、ならびに、他の半導体デバイス(たとえば、トランジスター)、および、チューナブル・レーザー10のエレメント(たとえば、抵抗器、インダクター、キャパシターなど)の特性モデル化するために信頼され得る。
したがって、チューナブル・レーザー10は、1つまたは複数の回路シミュレーター、半導体デバイス・モデリング、半導体プロセス・シミュレーション、または、関連技術コンピューター支援設計(TCAD)ソフトウェア・ツールを使用してシミュレートされ得る。
図1に示されているチューナブル・レーザー10および/または
図6に示されているチューナブル・レーザー100の評価のためのプロセスは、1つまたは複数の適切なTCADシミュレーション・プログラムを使用して、チューナブル・レーザー10および/またはチューナブル・レーザー100のエレメントをシミュレートすることを含むことが可能である。
【0032】
チューナブル・レーザー10の動作特性に関して、
図2Aおよび
図2Bは、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による、
図1に示されているチューナブル・レーザー10のアダプティブ・リング・ミラー20の例示的なピーク波長反射特性を図示している。とりわけ、
図2Aは、摂氏約0度から5度の間のリング導波路R1およびR2の温度変化(たとえば、相対的な温度差)に関して、約1520nmから約1580のより幅広い波長範囲に対する反射波長を図示している。
図2Bは、摂氏約0度から0.5度の間のリング導波路R1およびR2の温度変化に関して、約1540nmから約1550nmのより幅の狭い波長範囲に対する反射波長を図示している。
図2Bに示されているように、リング導波路R1およびR2のうちの1つの約0.1~0.2度の相対的な温度変化に関して、約2nmのアダプティブ・リング・ミラー20のピーク波長反射特性の変化が実現され得る。
図2Aおよび
図2Bに示されている温度変化は、制御ドライバー80によって制御されるように、ヒーター24Aおよび24Bによって付与され得る。
【0033】
図3は、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による、
図1に示されているチューナブル・レーザー10のアダプティブ・リング・ミラー20の例示的な反射パワー特性を図示している。とりわけ、
図3は、摂氏約0度から0.5度の間のリング導波路R1およびR2の温度変化に関して、約-6デシベルから約0デシベルの反射パワーを図示している。示されているように、リング導波路R1およびR2のうちの1つの約0.1~0.2度の相対的な温度変化に関して、ほぼ6デシベルのアダプティブ・リング・ミラー20の反射パワー特性の変化が実現され得る。
図3に示されている温度変化は、制御ドライバー80によって制御されるように、ヒーター24Aおよび24Bによって付与され得る。
【0034】
図4は、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による、
図1に示されているチューナブル・レーザー10のアダプティブ・リング・ミラー20の例示的な反射ディファレンス・パワー(reflection difference power)特性を図示している。とりわけ、
図4は、摂氏約0度から0.5度の間のリング導波路R1およびR2の温度変化に関して、約-60デシベルから約0デシベルの反射ディファレンス・パワーを図示している。示されているように、リング導波路R1およびR2のうちの1つの約0.1~0.2度の相対的な温度変化に関して、約60デシベルもの大きさのアダプティブ・リング・ミラー20の反射ディファレンス・パワー特性の変化が実現され得る。
図3に示されている温度変化は、制御ドライバー80によって制御されるように、ヒーター24Aおよび24Bによって部分的に付与され得る。追加的にまたは代替的に、
図3に示されている温度変化は、制御ドライバー80による位相シフター29のアダプティブ制御に基づいて部分的に付与され得る。
【0035】
図5Aおよび
図5Bは、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による、
図1に示されているチューナブル・レーザー10のアダプティブ・リング・ミラー20の波長に対する例示的なパワー反射特性を図示している。
図5Aと
図4Bとの間で、リング導波路R1の温度の相対的な差(dT1)は、摂氏0.35度である。
図5Aと
図5Bとの間のリング導波路R2の温度の相対的な差(dT2)は、摂氏0.02である。したがって、
図5Aと
図5Bとの間で、リング導波路R1は、リング導波路R2と比較して相対的により重要な温度の変化を見る(たとえば、リング導波路R2の温度は、別個に制御される必要はない)。リング導波路R1に関するそのような重要な変化なしに、リング導波路R2の温度が変化させられるときに、
図5Aおよび
図5Bに示されている特性は同様である。
【0036】
繰り返しになるが、
図5Aと
図5Bとの間に示されているように、アダプティブ・リング・ミラー20のパワー反射特性は、波長に関してシフトさせられる。したがって、アダプティブ・リング・ミラー20のアダプティブまたはチューナブルの性質が、明確に示されている。
図5Aおよび
図5Bに示されているそれぞれのピーク以外において、アダプティブ・リング・ミラー20のパワー反射特性は、他の波長に関して著しく低減される。本明細書で説明されているように、コントローラー80は、リング導波路R1およびR2のそれぞれの温度(または、温度差)を制御することによって、アダプティブ・リング・ミラー20のパワー反射特性、ひいては、レーザー出力を変調させることが可能である。コントローラー80は、他の要因の中でも、データ81に基づいて、リング導波路R1およびR2のそれぞれの温度を制御することが可能である。追加的にまたは代替的に、
図5Aおよび
図5Bに示されているパワー反射特性は、データ81に基づく制御ドライバー80による位相シフター29のアダプティブ制御によって部分的に付与され得る。それらの方式のうちの1つまたは複数において、チューナブル・レーザー10のレーザー出力の波長は、光ファイバー通信を含むさまざまな用途に関して制御され得る。
【0037】
他の例示的な実施形態を見てみると、
図6は、本明細書で説明されているさまざまな実施形態による別の例示的なチューナブル・レーザー100を図示している。チューナブル・レーザー100は、本明細書で説明されている実施形態による別の代表的な例として提示されている。チューナブル・レーザー100は、必ずしも正しい寸法で描かれているわけではなく、
図7に示されているものと比較して、サイズおよび割合が変化することが可能である。たとえば、ループ・ミラーおよびアダプティブ・リング・ミラー、導波路、ならびに他のエレメントのサイズおよび割合は、特定の波長または波長範囲における光出力の発生のために調節され得る。追加的に、チューナブル・レーザー100のエレメントの構造または配置に関する変形例は、本実施形態の範囲内にある。
【0038】
図1に示されているチューナブル・レーザー10と比較して、チューナブル・レーザー100は、また、SOA領域60およびSiPh領域70を含み、アダプティブ・リング・ミラー20がSiPh領域70の中に形成された状態になっている。また、チューナブル・レーザー100は、ゲイン導波路130およびブースター増幅器150を含む。いくつかの実施形態では、小さいギャップが、ゲイン導波路130とブースター増幅器150との間に形成され得る。チューナブル・レーザー100は、制御ドライバー80による位相シフター29のアダプティブ制御に基づいて、チューナブル・レーザー10によって提供されるものと同様のアダプティブ・レーザー出力を提供することが可能である。ゲイン導波路およびブースター増幅器の他の配置も、本実施形態の範囲内にある。
【0039】
本明細書で説明されているように、コントローラー80は、リング導波路R1およびR2のそれぞれの温度(または、温度差)を制御することによって、チューナブル・レーザー100のアダプティブ・リング・ミラー20のパワー反射特性、ひいては、レーザー出力を変調させることが可能である。コントローラー80は、他の要因の中でも、データ81に基づいて、リング導波路R1およびR2のそれぞれの温度を制御することが可能である。追加的にまたは代替的に、コントローラー80は、データ81に基づく制御ドライバー80による位相シフター29のアダプティブ制御によって、パワー反射特性を変調させることが可能である。それらの方式のうちの1つまたは複数において、チューナブル・レーザー100のレーザー出力の波長は、光ファイバー通信を含むさまざまな用途に関して制御され得る。
【0040】
他の実施形態を見てみると、
図7は、通信のためのレーザー出力チューニングのプロセスを図示している。プロセスは、たとえば、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100によって実施され得る。
図7に示されているプロセス・ダイアグラムは、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100のレーザー出力の波長を調節するために使用され得るステップのシーケンスの1つの例を提供する。
図7に示されているステップの配置は、代表的な例として提供される。他の実施形態では、ステップの順序は、示されているものとは異なることが可能である。たとえば、ステップのうちの2つ以上の実行の順序は、示されている順序に対してスクランブルされ得る。また、いくつかのケースでは、ステップのうちの2つ以上は、同時にまたは部分的に同時に実施され得る。さらに、いくつかのケースでは、ステップのうちの1つまたは複数は、スキップまたは省略され得り、また、他のステップが追加され得る。追加的に、そのプロセスは、
図1および
図6に示されているチューナブル・レーザー・デバイスに関連して説明されているが、同様のチューナブル・レーザー・デバイスも、そのプロセスを実施することが可能である。
【0041】
ステップ202において、プロセスは、制御ドライバー80が、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100のSOA領域60の1つまたは複数の領域またはコンポーネントをバイアスし、レーザー出力を発生させるステップを含む。たとえば、制御ドライバー80は、ゲイン導波路30および/またはブースター増幅器50に1つまたは複数のバイアスを提供することが可能である。バイアスに応答して、ゲイン導波路30および/またはブースター増幅器50は、レーザーを放出することが可能であり、また、レーザー光を発生させることが可能である。上記に説明されているように、ゲイン導波路30およびブースター増幅器50は、アクティブな増幅領域を含むことが可能であり、増幅領域は、制御ドライバー80から供給されるエネルギー(たとえば、特定の電圧および/または電流)によってバイアスされ得る。SOA領域60の中へのバイアスの注入は、光子の光学的な移行につながるキャリア密度を生成させ、レーザー光を発生させる。そして、レーザー光は、アダプティブ・リング・ミラー20および/またはループ・ミラー40に連結され得り、それによって反射され得り、最終的に、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100からのレーザー出力の発生につながる。さまざまな実施形態において、レーザー出力は、特定の波長において、または、比較的に幅の狭い範囲の波長にわたって、パワーを示すことが可能である。
【0042】
ステップ204において、プロセスは、通信のための入力データを受信する制御ドライバー80を含む。たとえば、データ81のストリームは、制御ドライバー80によって受信され得る。さまざまな実施形態では、任意のデータが受信され得る。データは、プロセスのもっと後のステップにおいて、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100からのレーザー出力を変調させるために使用され得る。
【0043】
ステップ206において、プロセスは、制御ドライバー80が、ステップ204において受信されるデータ81のストリームに基づいて、アダプティブ・リング・ミラー20の少なくとも1つの反射特性を経時的に調節し、ステップ202において発生させられるレーザー出力を変調させるステップを含む。ここで、制御ドライバー80は、位相シフター29ならびにアダプティブ・リング・ミラー20のヒーター24Aおよび24Bのうちの1つまたは複数を含む、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100の中のエレメントに、特定の電圧および電流バイアスを供給および/またはポンプ送りすることが可能である。制御ドライバー80は、ステップ206において、必要に応じて、位相シフター29およびヒーター24Aおよび24Bに別個のバイアスを提供することが可能である。
【0044】
制御ドライバー80は、データ81のストリームに基づいて、電圧および/または電流バイアスを提供することが可能である。1つの例として、制御ドライバー80は、データ81のストリームの状態(たとえば、データ「0」値またはデータ「1」値)に基づいて、ヒーター24Aおよび24Bのうちの一方または両方に提供される電圧および/または電流バイアスを制御することが可能である。バイアスは、第1のリング導波路R1、第2のリング導波路R2、またはその両方の比較的に小さい正確な温度の変化を結果として生じさせることが可能である。温度の変化は、アダプティブ・リング・ミラー20の第1のリング導波路R1および第2のリング導波路R2のうちの一方または両方に関して、摂氏約0.24度から0.40度の間にあることが可能である。したがって、ステップ206は、データ81に基づいて、ヒーター24Aおよび24Bのうちの一方または両方の温度を経時的に調節することを含むことが可能である。
【0045】
温度の変化は、
図2A、
図2B、
図3、および
図4に示されているものなどのような、アダプティブ・リング・ミラー20の少なくとも1つの反射特性における調節につながることが可能である。反射特性の変化は、光ファイバー通信に関して、
図5Aおよび
図5Bに示されているものなどのように、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100からのレーザー出力の波長を最終的に変化させる。したがって、チューナブル・レーザー10またはチューナブル・レーザー100のレーザー出力の波長は、コヒーレント光ファイバー通信に関して、データ81のストリームに基づいて経時的に変調され得る。
【0046】
別の例として、制御ドライバー80は、位相シフター29に提供される電圧および/または電流バイアスを制御し、アダプティブ・リング・ミラー20の少なくとも1つの反射特性を調節することが可能である。制御ドライバー80からのバイアスの適用によって、位相シフター29は、MMIカップラー21とMMIカップラー22との間の所定の長さの導波路を加熱することが可能である。加熱されるときに、導波路の屈折率が変化し、それは、導波路を通してガイドされる光の位相のシフト(たとえば、伝搬遅延に基づく)につながる(たとえば、それらの入力と比較して、それらの出力において測定される)。バイアス電流は、データ81に基づいて制御ドライバー80から位相シフター29へ供給され、コヒーレント光ファイバー通信のためにチューナブル・レーザー10の出力を変調させることが可能である。したがって、ステップ206は、データ81に基づいて位相シフター29の温度を経時的に調節することを含むことが可能である。
【0047】
ソフトウェア・インストラクションまたはプログラム・インストラクションを含む、本明細書で説明されているコンポーネントのうちの1つまたは複数は、コンピューター・システムまたは他のシステムの中のプロセッサーなどのような、インストラクション実行システムによってまたはそれに関連して使用するために、任意の非一時的なコンピューター可読の媒体の中に具現化され得る。コンピューター可読の媒体は、インストラクション実行システムによってまたはそれに関連して使用するために、ソフトウェア・インストラクションまたはプログラム・インストラクションを含有するか、記憶するか、または維持することが可能である。
【0048】
コンピューター可読の媒体は、磁気媒体、光学媒体、半導体媒体、または他の適切な媒体などのような、物理的な媒体を含むことが可能である。適切なコンピューター可読の媒体の例は、それに限定されないが、ソリッド・ステート・ドライブ、磁気ドライブ、およびフラッシュ・メモリーを含む。さらに、本明細書で説明されている任意のロジックまたはコンポーネントは、さまざまな方式で実装および構造化され得る。
【0049】
ソフトウェアの中でシミュレートされる場合には、それぞれの回路エレメントは、モジュールとして、または、特定のパラメーターに関連付けられるコードのリスティングとして具現化され、エレメントをシミュレートすることが可能である。回路エレメントをシミュレートするためのソフトウェアは、たとえば、ソース・コードの形態で具現化されているプログラム・インストラクションを含むことが可能であり、ソース・コードは、プログラミング言語またはマシン・コードで書かれたヒューマン・リーダブル・ステートメントを含み、プログラミング言語またはマシン・コードは、コンピューター・システムまたは他のシステムの中のプロセッサーなどのような、適切な実行システムによって認識可能なマシンインストラクションを含む。ハードウェアの中で具現化される場合には、それぞれのエレメントは、1つの回路または複数の相互接続された回路を表すことが可能である。
【0050】
1つまたは複数のコンピューティング・デバイスは、なかでも、本明細書で説明されている分配された増幅器を形成する回路エレメントをシミュレートするために、ソフトウェアを実行することが可能である。コンピューティング・デバイスは、少なくとも1つの処理回路を含むことが可能である。そのような処理回路は、たとえば、1つまたは複数のプロセッサー、および、1つまたは複数のストレージまたはメモリー・デバイスを含むことが可能であり、それは、ローカル・インターフェースに連結されている。ローカル・インターフェースは、たとえば、同伴するアドレス/制御バスまたは任意の他の適切なバス構造体を備えたデータ・バスを含むことが可能である。
【0051】
ストレージまたはメモリー・デバイスは、処理回路のプロセッサーによって実行可能なデータまたはコンポーネントを記憶することが可能である。たとえば、分配された増幅器の1つまたは複数の回路エレメントと関連付けられるデータは、1つまたは複数のストレージ・デバイスの中に記憶され得り、また、コンピューティング・デバイスの中の1つまたは複数のプロセッサーによって処理するために参照され得る。同様に、回路エレメントおよび/または他のコンポーネントをシミュレートするためのソフトウェアは、1つまたは複数のストレージ・デバイスの中に記憶され得り、また、コンピューティング・デバイスの中の1つまたは複数のプロセッサーによって実行可能であることが可能である。
【0052】
また、ソフトウェア・インストラクションまたはプログラム・インストラクションを含む、本明細書で説明されているコンポーネントのうちの1つまたは複数は、コンピューター・システムまたは他のシステムの中のプロセッサーなどのような、インストラクション実行システムによってまたはそれに関連して使用するために、任意の非一時的なコンピューター可読の媒体の中に具現化され得る。コンピューター可読の媒体は、インストラクション実行システムによってまたはそれに関連して使用するために、ソフトウェア・インストラクションまたはプログラム・インストラクションを含有し、記憶し、および/または維持することが可能である。
【0053】
コンピューター可読の媒体は、磁気媒体、光学媒体、半導体媒体、または他の適切な媒体などのような、物理的な媒体を含むことが可能である。適切なコンピューター可読の媒体の例は、それに限定されないが、ソリッド・ステート・ドライブ、磁気ドライブ、またはフラッシュ・メモリーを含む。さらに、本明細書で説明されている任意のロジックまたはコンポーネントは、さまざまな方式で実装および構造化され得る。たとえば、説明されている1つまたは複数のコンポーネントは、単一の用途のモジュールまたはコンポーネントとして実装され得る。さらに、本明細書で説明されている1つまたは複数のコンポーネントは、1つのコンピューティング・デバイスの中で実行されるか、または、複数のコンピューティング・デバイスを使用することによって実行され得る。
【0054】
実施形態の追加的な態様は、以下の条項のうちの1つまたは複数の中に説明されている。
【0055】
条項1: チューナブル・レーザー・デバイスであって、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラーと、アダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されているゲイン導波路と、ゲイン導波路に光学的に連結されているループ・ミラーと、ブースター増幅器であって、ブースター増幅器は、1つの端部においてループ・ミラーに光学的に連結されており、別の端部においてチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ブースター増幅器とを含み、ゲイン導波路およびブースト増幅器は、チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、アダプティブ・リング・ミラーおよびループ・ミラーは、チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、チューナブル・レーザー・デバイス。
【0056】
条項2: アダプティブ・リング・ミラーは、シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、第1のMMIカップラーの第2の出力は、MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されている、条項1に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0057】
条項3: アダプティブ・リング・ミラーは、第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路と、第1の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第1のリング導波路と、第2の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第2のリング導波路とをさらに含む、条項1または2に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0058】
条項4: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のMMIカップラーと第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーのうちの少なくとも1つとの間に光学的に連結されている位相シフターをさらに含む、条項1~3のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0059】
条項5: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路と、第1のリング導波路の第1のヒーターと、第2のリング導波路と、第2のリング導波路の第2のヒーターとを含み、チューナブル・レーザー・デバイスは、制御ドライバーをさらに含み、制御ドライバーは、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するように構成されている、条項1~4のいずれ1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0060】
条項6: 制御ドライバーは、第1のヒーターまたは第2のヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を調節するように構成されている、条項1~5のいずれ1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0061】
条項7: アダプティブ・リング・ミラーは、位相シフターを含み、チューナブル・レーザー・デバイスは、制御ドライバーをさらに含み、制御ドライバーは、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するように位相シフターを制御するように構成されている、条項1~6のいずれ1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0062】
条項8: チューナブル・レーザー・デバイスのSOA領域とチューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含む、条項1~7のいずれ1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0063】
条項9: SOA領域とシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースは、SOA領域およびシリコン・フォトニクス領域の縁部に沿って、自己整合ファセットを使用して整合させられる、条項1~8のいずれ1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0064】
条項10: チューナブル・レーザー・デバイスであって、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラーと、ゲイン導波路であって、ゲイン導波路は、1つの端部においてアダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されており、別の端部においてチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ゲイン導波路と、制御ドライバーであって、制御ドライバーは、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節し、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を適合させるように構成されている、制御ドライバーとを含む。
【0065】
条項11: 制御ドライバーは、アダプティブ・リング・ミラーの温度を調節し、チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を適合させるように構成されている、条項10に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0066】
条項12: ゲイン導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、アダプティブ・リング・ミラーは、チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、条項10または11に記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0067】
条項13: チューナブル・レーザー・デバイスのSOA領域とチューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含む、条項10~12のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0068】
条項14: SOA領域とシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースは、SOA領域およびシリコン・フォトニクス領域の縁部に沿って、自己整合ファセットを使用して整合させられる、条項10~13のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0069】
条項15: アダプティブ・リング・ミラーは、シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、第1のMMIカップラーの第2の出力は、MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されている、条項10~14のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0070】
条項16: アダプティブ・リング・ミラーは、第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路と、第1の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第1のリング導波路と、第2の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第2のリング導波路とをさらに含む、条項10~15のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0071】
条項17: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のMMIカップラーと第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーのうちの少なくとも1つとの間に光学的に連結されている位相シフターをさらに含む、条項10~16のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0072】
条項18: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路と、第1のリング導波路の第1のヒーターと、第2のリング導波路と、第2のリング導波路の第2のヒーターとを含み、制御ドライバーは、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するように構成されている、条項10~17のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0073】
条項19: 制御ドライバーは、第1のヒーターまたは第2のヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を調節するように構成されている、条項10~18のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイス。
【0074】
条項20: チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法であって、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラーと、ゲイン導波路であって、ゲイン導波路は、1つの端部においてアダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されており、別の端部においてチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ゲイン導波路と、制御ドライバーとを含み、方法は、ゲイン導波路をバイアスし、レーザー出力を発生させるステップと、通信のための入力データを受信するステップと、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節し、入力データに基づいてレーザー出力を変調させるステップとを含む、方法。
【0075】
条項21: チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法であって、チューナブル・レーザー・デバイスは、アダプティブ・リング・ミラーと、ゲイン導波路であって、ゲイン導波路は、1つの端部においてアダプティブ・リング・ミラーに光学的に連結されており、別の端部においてチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を提供するように適合されている、ゲイン導波路と、制御ドライバーとを含み、方法は、ゲイン導波路をバイアスし、レーザー出力を発生させるステップと、通信のための入力データを受信するステップと、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節し、入力データに基づいてレーザー出力を変調させるステップとを含む、方法。
【0076】
条項22: アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、アダプティブ・リング・ミラーの温度を調節し、チューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を適合させるステップを含む、条項21に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0077】
条項23: ゲイン導波路は、チューナブル・レーザー・デバイスの半導体光増幅器(SOA)領域の中に形成されており、アダプティブ・リング・ミラーは、チューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域の中に形成されている、条項21または22に記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0078】
条項24: チューナブル・レーザーは、チューナブル・レーザー・デバイスのSOA領域とチューナブル・レーザー・デバイスのシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースをさらに含み、SOA領域とシリコン・フォトニクス領域との間のインターフェースは、SOA領域およびシリコン・フォトニクス領域の縁部に沿って、自己整合ファセットを使用して整合させられる、条項21~23のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0079】
条項25: アダプティブ・リング・ミラーは、シングル入力-ダブル出力-MMIカップラーをそれぞれ含む複数のマルチモード干渉(MMI)カップラーを含み、MMIカップラーのうちの第1のMMIカップラーの第1の出力は、MMIカップラーのうちの第2のMMIカップラーの入力に光学的に連結されており、第1のMMIカップラーの第2の出力は、MMIカップラーのうちの第3のMMIカップラーの入力に光学的に連結されている、条項21~24のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0080】
条項26: アダプティブ・リング・ミラーは、第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーの出力に光学的に連結されている複数の線形導波路と、第1の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第1のリング導波路と、第2の対の線形導波路の間でアダプティブ・リング・ミラーの中に位置決めされている第2のリング導波路とをさらに含む、条項21~25のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0081】
条項27: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のMMIカップラーと第2のMMIカップラーおよび第3のMMIカップラーのうちの少なくとも1つとの間に光学的に連結されている位相シフターをさらに含む、条項21~26のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0082】
条項28: アダプティブ・リング・ミラーは、第1のリング導波路と、第1のリング導波路の第1のヒーターと、第2のリング導波路と、第2のリング導波路の第2のヒーターとを含み、アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御するステップを含む、条項21~27のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0083】
条項29: アダプティブ・リング・ミラーの少なくとも1つの反射特性を調節するステップは、第1のヒーターまたは第2のヒーターのうちの少なくとも1つを使用して、第1のリング導波路および第2のリング導波路のうちの少なくとも1つの温度を制御し、光ファイバー通信のためのチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力の波長を調節するステップを含む、条項21~28のいずれか1つに記載のチューナブル・レーザー・デバイスのレーザー出力を変調させる方法。
【0084】
実施形態が本明細書で詳細に説明されてきたが、説明は例としてのものである。本明細書で説明されている実施形態の特徴は、代表的なものであり、代替的な実施形態では、特定の特徴およびエレメントが、追加または省略され得る。追加的に、本明細書で説明されている実施形態の態様に対する修正が、以下の特許請求の範囲の中で定義されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得り、特許請求の範囲は、修正例および均等の構造体を包含するように最も広い解釈を与えられるべきである。