(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】マウスピースにホワイトニングジェル及び他のオーラルケア化合物を塗布するためのマニホールドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61C 19/06 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61C19/06 Z
(21)【出願番号】P 2020555784
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2019058757
(87)【国際公開番号】W WO2019197310
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フォスター レーガン スターキー
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02461690(GB,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0101101(KR,A)
【文献】特開2012-152555(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00865770(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面を有するマウスピースと、
前記マウスピースと係合する出口であって、係合時に、前記出口の1つ又は複数のポートを前記作業面と位置合わせする、当該出口において終端するオーラルケア化合物用の流路を有するマニホールドアセンブリと、
作動時に、前記マニホールドアセンブリを通して前記オーラルケア化合物を移動させることによって、前記出口から前記マウスピースの前記作業面上に、前記オーラルケア化合物を分配する作動可能要素と、
を含
み、
前記マニホールドアセンブリは、前記マニホールドアセンブリの入口と前記出口との間の前記流路内に、複数の分離レベルを含む、オーラルケアシステム。
【請求項2】
前記マニホールドアセンブリの前記流路は、第1の分離レベルにおいて、複数のチャネルに移行するトランクによって画定され、前記1つ又は複数のポートは、第2の分離レベルを形成する、請求項
1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項3】
前記マニホールドアセンブリは、複数の異なるチャネルに沿って前記オーラルケア化合物を方向転換する1つ又は複数の仕切りを含む、請求項
1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項4】
前記マニホールドアセンブリは、接合部から延在する複数の個別のチャネルを含む、請求項
1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項5】
前記マニホールドアセンブリは、周囲の特徴よりも比較的大きな流れ面積を有する1つ又は複数のポケット又はチャンバを含み、前記1つ又は複数のポケット又はチャンバのそれぞれは、前記オーラルケア化合物の圧力が前記マニホールドアセンブリ全体で等しくなる低圧ボリュームとして機能することを可能にする、請求項1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項6】
前記出口は、前記1つ又は複数のポートと連通する前記1つ又は複数のポケット又はチャンバを含み、前記1つ又は複数のチャンバ又はポケットは、前記オーラルケア化合物が前記1つ又は複数のポートを介して前記出口から分配される前に、最初に前記オーラルケア化合物で満たされる、請求項
5に記載のオーラルケアシステム。
【請求項7】
前記作動可能要素は、プランジャを含む、請求項1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項8】
前記作動可能要素は、前記マニホールドアセンブリとは別個のインジェクタアセンブリの一部である、請求項1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項9】
前記マニホールドアセンブリは、ベースに接合されたフィルムカバーから形成される、請求項1に記載のオーラルケアシステム。
【請求項10】
マニホールドアセンブリを通るオーラルケア化合物の流れのための第1の分離レベルにおいて、複数のチャネルに分離する流路と、
前記オーラルケア化合物の流れの第2の分離レベルを形成する1つ又は複数のポートを有する出口であって、前記出口がマウスピースに係合されたときに、前記1つ又は複数のポートを作業面に位置合わせするように前記マウスピースの前記作業面に対して相補的に形成される、出口と、
作動時に、前記マニホールドアセンブリを通して前記オーラルケア化合物を移動させることによって、前記1つ又は複数のポートを介して前記出口から所定量の前記オーラルケア化合物を分配する作動可能要素と、
を含む、マニホールドアセンブリ。
【請求項11】
マウスピースの作業面にオーラルケア化合物を塗布する方法であって、
前記マウスピースにマニホールドアセンブリを係合するステップであって、前記マニホールドアセンブリは、係合時に、出口の1つ又は複数のポートを前記マウスピースの前記作業面と位置合わせする、係合するステップと、
前記マニホールドアセンブリを通して前記オーラルケア化合物を移動させるステップと、
前記オーラルケア化合物の流れの複数の分離レベルにおいて、前記オーラルケア化合物を複数の別個のチャネルに分離するステップと、
前記1つ又は複数のポートを介して前記出口から前記オーラルケア化合物を分配するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記移動させるステップは、プランジャを作動させるステップを含み、
前記分配するステップは、前記プランジャの寸法によって設定される所定量の前記オーラルケア化合物を分配するステップを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記分離するステップは、前記マニホールドアセンブリの仕切りを用いて前記流れを複数のチャネルに方向転換するステップを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記分離するステップは、前記複数の分離レベルのうちの次の1つに移行する前に、最初に低圧ボリュームを充填するステップを含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、一般に、マウスピースの作業面にオーラルケア化合物を塗布するためのオーラルケアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 歯のホワイトニングジェルなどのオーラルケア化合物は、従来、使用者が最終使用のためにマウスピースの作業面にジェルを塗布できるようにするシリンジに保存されている。これらのシリンジは、通常、ジェルの単一の流れを押し出す小さな先端ノズルが組付けられている。このアセンブリでは、使用者が、協調的なやり方で、シリンジの先端を位置付けながら、シリンジプランジャーを押し下げて、マウスピースの作業面上にジェルを一様に分配させる必要がある。このため、使用者がシリンジプランジャーを同時に押し、ノズル先端で細い経路をたどり、ジェルがシリンジから分配される速度と合うように協調的な速度で先端を動かすのは難しい場合がある。特に慣れていない使用者の場合、これは使用者エラーやマウスピース上の不適切なジェル分配につながる可能性がある。一様でない又は不十分な分配は、ホワイトニングプロセス又は他のオーラルケア治療の有効性に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] したがって、当技術分野では、マウスピースの作業面にホワイトニングジェル及び他のオーラルケア化合物を塗布するためのシステム及び方法が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本開示は、マウスピースの作業面にオーラルケア化合物を所望の分配で塗布するための本発明のオーラルケアシステム及び方法に関する。オーラルケアシステムは、オーラルケア化合物を受け入れるための入口又はオーラルケア化合物のための加圧源と、オーラルケア化合物を分配するための1つ又は複数のポートを備えた出口とを有するマニホールドを含む。出口は、出口がマウスピースと係合しているときに、1つ又は複数のポートをマウスピースの作業面と位置合わせさせる。プランジャなどの作動可能要素を備えた注射アセンブリが、オーラルケア化合物を加圧し、オーラルケア化合物を出口のポートを介して分配させるように含まれる。
【0005】
[0005] マニホールドアセンブリは、ジェルの単一の流れを、多くの出力ポートに、及び/又は出口の指定された長さに沿って分離するので、それをマウスピースの作業面に所望の分配で塗布できる。マニホールドアセンブリは、流れがマニホールドアセンブリの中を進むときに、流れのための複数の連続した分離レベルを含む。最終の分離レベルは、1つ又は複数のポートによって達成されるが、他の分離レベルは、流路を2つ以上の分岐に分離する流路内の仕切りによって作成される。オーラルケア化合物の圧力がマニホールド全体の特定の点で等しくなることを可能にするチャンバ、ポケット、又は他の比較的低い圧力のボリューム(例えば、周囲の特徴の流れ面積よりも大きい流れ面積を有する)が含まれる。つまり、低圧ボリュームが最初にオーラルケア化合物で満たされてから、流れは次の分離レベルにおける比較的制限された流れ面積(例えば、ポート、チャネルなど)を有する特徴を通って移動する。
【0006】
[0006] 有利なことに、本明細書に開示されるマニホールドアセンブリは、使用者による器用な操作を必要とせず、加圧及び/又は分配速度が、分配プロファイルに無関係である。本明細書に開示されるマニホールドアセンブリは、シリンジのノズル先端の場所及びジェル分配速度などの機能を分離することにより、使用者がより適切な場所にオーラルケア化合物をより一様に又は正確に塗布し、分配されるジェル量を制御することを可能にする。
【0007】
[0007] 一般に、一態様において、オーラルケアシステムが提供される。このシステムは、作業面を有するマウスピースと、マウスピースと係合する出口であって、係合時に、出口の1つ又は複数のポートを作業面と位置合わせする、当該出口において終端するオーラルケア化合物用の流路を有するマニホールドアセンブリと、作動時に、マニホールドアセンブリを通してオーラルケア化合物を移動させることによって、出口からマウスピースの作業面上に、オーラルケア化合物を分配する作動可能要素とを含む。
【0008】
[0008] 一実施形態によれば、マニホールドアセンブリは、マニホールドアセンブリの入口と出口との間の流路内に、複数の分離レベルを含む。一実施形態によれば、マニホールドアセンブリの流路は、第1の分離レベルにおいて、複数のチャネルに移行するトランクによって画定され、1つ又は複数のポートは、第2の分離レベルを形成する。
【0009】
[0009] 一実施形態によれば、マニホールドアセンブリは、複数の異なるチャネルに沿ってオーラルケア化合物を方向転換する1つ又は複数の仕切りを含む。一実施形態によれば、マニホールドアセンブリは、接合部から延在する複数の個別のチャネルを含む。
【0010】
[0010] 一実施形態によれば、マニホールドアセンブリは、周囲の特徴よりも比較的大きな流れ面積を有する1つ又は複数のポケット又はチャンバを含み、1つ又は複数のポケット又はチャンバのそれぞれは、オーラルケア化合物の圧力がマニホールドアセンブリ全体で等しくなる低圧ボリュームとして機能することを可能にする。一実施形態によれば、出口は、1つ又は複数のポートと連通する1つ又は複数のポケット又はチャンバを含み、オーラルケア化合物が1つ又は複数のポートを介して出口から分配される前に、1つ又は複数のチャンバ又はポケットは、最初にオーラルケア化合物で満たされる。
【0011】
[0011] 一実施形態によれば、作動可能要素はプランジャを含む。一実施形態によれば、作動可能要素は、マニホールドアセンブリとは別個のインジェクタアセンブリの一部である。一実施形態によれば、マニホールドアセンブリは、ベースに結合されたフィルムカバーから形成される。
【0012】
[0012] 一般に、一態様において、マニホールドアセンブリが提供される。マニホールドアセンブリは、マニホールドアセンブリを通るオーラルケア化合物の流れのための第1の分離レベルにおいて、複数のチャネルに分離する流路と、オーラルケア化合物の流れの第2の分離レベルを形成する1つ又は複数のポートを有する出口であって、出口がマウスピースに係合されたときに、1つ又は複数のポートを作業面に位置合わせするようにマウスピースの作業面に対して相補的に形成される、出口と、作動時に、マニホールドアセンブリを通してオーラルケア化合物を移動させることによって、1つ又は複数のポートを介して出口から所定量のオーラルケア化合物を分配する作動可能要素とを含む。
【0013】
[0013] 一般に、一態様において、マウスピースの作業面にオーラルケア化合物を塗布する方法が提供される。この方法は、マウスピースにマニホールドアセンブリを係合するステップであって、マニホールドアセンブリは、係合時に、出口の1つ又は複数のポートをマウスピースの作業面と位置合わせする、係合するステップと、マニホールドアセンブリを通してオーラルケア化合物を移動させるステップと、オーラルケア化合物の流れの複数の分離レベルにおいて、オーラルケア化合物を複数の別個のチャネルに分離するステップと、1つ又は複数のポートを介して出口からオーラルケア化合物を分配するステップとを含む。
【0014】
[0014] 一実施形態によれば、移動させるステップは、プランジャを作動させるステップを含み、分配するステップは、プランジャの寸法によって設定される所定量のオーラルケア化合物を分配するステップを含む。一実施形態によれば、分離するステップは、マニホールドアセンブリの仕切りを用いて流れを複数のチャネルに方向転換するステップを含む。一実施形態によれば、分離するステップは、複数の分離レベルのうちの次の1つに移行する前に、最初に低圧ボリュームを充填するステップを含む。
【0015】
[0015] 当然ながら、前述の概念及び以下でより詳細に論じる追加の概念のあらゆる組み合わせ(ただし、そのような概念が相互に矛盾しないことを条件とする)は、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると企図される。特に、この開示の最後に登場する請求される主題のあらゆる組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図される。更に当然ながら、参照により組み込まれる任意の開示にも登場する本明細書で明示的に使用される用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
[0016] 図面では、同じ参照符号は、通常、異なる図面全体で同じ部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りである必要はなく、代わりに、一般に、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【0017】
【
図1】[0017]
図1は、本明細書に開示される一実施形態によるオーラルケアシステムの分解斜視図である。
【
図2】[0018]
図2は、本明細書に開示される一実施形態によるマニホールドアセンブリの上面図である。
【
図3】[0019]
図3は、
図2のマニホールドアセンブリの出口の拡大図である。
【
図4】[0020]
図4は、本明細書に開示される一実施形態によるマニホールドアセンブリの概略図である。
【
図5】[0021]
図5は、本明細書に開示される一実施形態によるマニホールドアセンブリの概略図である。
【
図6】[0022]
図6は、本明細書に開示される一実施形態による、マニホールドアセンブリの異なるレベル又は段階を通るオーラルケア化合物の進行を示す。
【
図7】[0022]
図7は、本明細書に開示される一実施形態による、マニホールドアセンブリの異なるレベル又は段階を通るオーラルケア化合物の進行を示す。
【
図8】[0022]
図8は、本明細書に開示される一実施形態による、マニホールドアセンブリの異なるレベル又は段階を通るオーラルケア化合物の進行を示す。
【
図9】[0022]
図9は、本明細書に開示される一実施形態による、マニホールドアセンブリの異なるレベル又は段階を通るオーラルケア化合物の進行を示す。
【
図10】[0023]
図10は、本明細書に開示される一実施形態によるマニホールドアセンブリの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0025] 本開示は、オーラルケア化合物の所望の分配プロファイルでの分配を容易にするためのマニホールドアセンブリの様々な実施形態について説明する。より一般的には、本出願人は、マウスピースと係合可能なマニホールドアセンブリを用いてマウスピースにオーラルケア化合物を塗布するためのオーラルケアシステムを提供することが有益であることを認識し、理解している。本開示の特定の実施形態の利用の特定の目標は、使用者による器用な操作を必要とせずに、使用者がマウスピースの作業面にオーラルケア化合物を所望の分配で塗布できるようにすることである。
【0019】
[0026] 前述を考慮して、様々な実施形態及び実装形態は、マウスピースの作業面にオーラルケア化合物を所望の分配で塗布するためのオーラルケアシステム及び方法に関する。オーラルケアシステムは、オーラルケア化合物を受け入れるための入口又はオーラルケア化合物のための加圧源と、オーラルケア化合物を分配するための1つ又は複数のポートを備えた出口とを有するマニホールドを含む。出口は、出口がマウスピースと係合しているときに、1つ又は複数のポートをマウスピースの作業面と位置合わせするように配置されている。プランジャなどの作動可能な要素を備えた注射アセンブリが、オーラルケア化合物を加圧し、オーラルケア化合物を出口のポートを介して分配させるように含まれる。
【0020】
[0027] マニホールドアセンブリは、ジェルの単一の流れを、多くの出力ポートに、及び/又は出口の指定された長さに沿って分離するので、マウスピースの作業面に所望の分配で塗布できる。マニホールドアセンブリは、流れがマニホールドアセンブリの中を進むときに、流れのための複数の連続した分離レベルを含む。最終の分離レベルは、1つ又は複数のポートによって達成されるが、他の分離レベルは、流路を2つ以上の分岐に分離する流路内の仕切りによって作成される。オーラルケア化合物の圧力がマニホールド全体で特定の点で等しくなることを可能にするチャンバ、ポケット、又は他の比較的低い圧力のボリューム部分(例えば、周囲の特徴の流れ面積よりも大きい流れ面積を有する)が含まれている。つまり、流れが次の分離レベルにおける比較的制限された流れ面積(例えば、ポート、チャネルなど)を有する特徴部分を通って移動する前に、低圧ボリューム部分は、最初にオーラルケア化合物で満たされる。
【0021】
[0028] 有利なことに、本明細書に開示されるマニホールドアセンブリは、使用者による器用な操作を必要とせず、また、加圧及び/又は分配速度が、分配プロファイルに無関係である。本明細書に開示されるマニホールドアセンブリは、シリンジのノズル先端の場所及びジェル分配速度などの機能を分離することにより、使用者がより適切な場所にオーラルケア化合物をより一様に又は正確に塗布し、分配されるジェルの量を制御することを可能にする。
【0022】
[0029]
図1を参照すると、一実施形態では、オーラルケアシステム10は、マニホールドアセンブリ12、マウスピース14、及びインジェクタアセンブリ15を備えている。
図2に、マニホールドアセンブリ12の上面図も示されている。本明細書でより詳細に論じられるように、マニホールドアセンブリ12は、インジェクタアセンブリ15からマウスピース14へのオーラルケア化合物の塗布を支援する。本明細書で使用される「オーラルケア化合物」という用語は、歯のホワイトニングジェル、洗浄液、薬剤などのオーラルケア治療を提供するのに有用な、典型的には液体、ジェル、又は他の流動性材料の形態の任意の物質を含む。マニホールドアセンブリ12は、インジェクタアセンブリ15からオーラルケア化合物を受け取る入口16と、マウスピース14の1つ又は複数の作業面にオーラルケア化合物を塗布する出口18とを含む。
図3に、出口18の一部の拡大図も示されている。
【0023】
[0030] マニホールドアセンブリ12の出口18の形状は、マウスピース14の作業面(すなわち、使用者の歯へのオーラルケア化合物の塗布を支援するマウスピース14の表面)の形状に一致させる。例えば、マウスピース14は、使用者の歯を受け入れるトラフ20を含む。この実施形態では、作業面22は、使用者がマウスピース14を着用しているときに、使用者の歯の前面に近接して配置される。このようにして、作業面22は、作業面22上に分配された任意のオーラルケア化合物を(例えば、システム10でホワイトニング化合物が使用される場合、使用者の歯の前面を白くするために)使用者の歯の前面に塗布するのを助ける。これは単なる一例であり、他のオーラルケア治療では、使用者の歯の他の領域、例えば、すべての表面、咀嚼面、歯肉線に沿ってなど、オーラルケア化合物を塗布することが望ましい場合があり、したがって、マニホールドアセンブリ12から出力されたオーラルケア化合物がマウスピース14の対応する領域又は表面にしかるべく提供されることを理解されたい。
【0024】
[0031] マウスピース14内に示される作業面22は、
図1に図示の実施形態では、U字形又はアーチ形であるため、マニホールドアセンブリ12の出口18は、出口18が作業面22に対して配置されることを可能にする相補的な形状をとる。例えば、出口18は、複数のポート24(
図3に最もよく見られる)が作業面22に面して配置された出口18の外壁26に形成された状態で、トラフ20に受容される。このようにして、オーラル化合物がマニホールドアセンブリ12を出口18のポート24を介して出るとき、オーラルケア化合物は、マウスピース14の作業面22に塗布され、それに沿って分配される。ポート24は、以下でより詳細に論じられるように、所望の流れ分配を得るために任意の所望の形状又はサイズをとる。一実施形態では、マニホールドアセンブリの出口は、複数の円形断面の別個のポートの代わりに、マウスピースの作業面の長さにわたって延在する単一のスリット、又は選択された場所にオーラルケア化合物を分配するための複数のスリットを含む。
【0025】
[0032] マウスピース14は、
図1に1つの代表的な例として提供されており、さまざまな形状、サイズ、及び/又は機能のマウスピースがシステム10に含まれてよいことを理解されたい。例えば、マウスピース14は、特定の使用者の口に関して及び/又は特定の使用者の口のためにカスタム形成されてよく、各歯のために個別に成形された区画を含み、より大きな又はより小さな側壁などを含む。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、ホワイトニング、クリーニング、又はその他のオーラルケア治療の一環として、歯にオーラルケア化合物を塗布するために使用者の歯を少なくとも部分的に包み込む、接触する、又は隣接して配置される任意のオーラルケアトレイ又はオーラルケアストリップ若しくはデバイスを含むことも理解されたい。出口18は、「マウスピース」14、特にマウスピース14の作業面22の特定の形状に関して相補的に形成することを理解されたい。
【0026】
[0033]
図1に、中空本体28、プランジャ30、及びノズル32を有するシリンジの形態のインジェクタアセンブリ15が示されている。(例えば、使用者が手動で)プランジャ30を中空本体28内に押し下げると、プランジャ30に、中空本体28からノズル32の外へとオーラルケア化合物(例えば、ホワイトニングジェル又は他の物質)を移動させる。マニホールドアセンブリ12によって分配されるオーラルケア化合物の量は、プランジャ30の変位によって制御することを理解されたい。つまり、プランジャ30の寸法、例えば、長さ及び表面積は、マニホールドアセンブリ12を通して移動されるオーラルケア化合物の所定量、したがって、出口18によって分配される量を設定するために利用できる。例えば、分配量は、プランジャ30によって移動させた総量からマニホールドアセンブリ12内の空の量を差し引くことによって決定される。他の作動可能な要素のパラメータも、所定量の分配オーラルケア化合物を提供するように同様に調整される。
【0027】
[0034] マニホールドアセンブリ12の入口16は、インジェクタアセンブリ15のノズル32などの、対応するオーラルケア化合物インジェクタのノズルを受容する。例えば、入口16は、ノズル32の形状に関して相補的に形成することができ、例えば、
図1の実施形態では、ノズル32を受容するためのテーパ状の容器を含む。入口16は、オーラルケア化合物の注入中に、マニホールドアセンブリ12にノズル32を固定するためのねじ山、スナップフィット、又は他の特徴を含む。一実施形態では、インジェクタアセンブリ15の一部又はすべてが、マニホールドアセンブリ12と一体的に形成される。例えば、一実施形態では、インジェクタアセンブリ15の作動可能要素、例えば、プランジャ30が、入口16のトランク34内など、マニホールドアセンブリ12の一部内で直接作動する。
【0028】
[0035] マウスピース14と同様に、インジェクタアセンブリ15は、任意の所望のサイズ、形状、及び/又は特徴を有して構成することができ、また、
図1のシリンジの実施形態は、1つの非限定的な構造に過ぎないことを理解されたい。例えば、プランジャ30は、電動アクチュエータによって押し下げられ、コーキングガンなどと同様にトリガーを引くことによって手動で作動される。さらに、スクリュー、回転翼、蠕動、歯車、又は他のタイプのポンプ若しくはポンプ機構など、直線的に作動するプランジャ以外の作動可能要素を使用して、オーラルケア化合物がマニホールドアセンブリ12の出口18を通るようにできる。一実施形態では、マニホールドアセンブリ12は、オーラルケア化合物で少なくとも部分的に事前に充填されている。一実施形態では、入口16は、オーラルケア化合物以外の流体又は材料を受容し、また、インジェクタは、オーラルケア化合物以外の圧力源(例えば、異なる加圧流体)を提供して、マニホールドアセンブリ12を介してオーラルケア化合物を移動させ、出口18からオーラルケア化合物を分配する。
【0029】
[0036] 入口16のトランク34は、複数のチャネル36に分割又は分岐する。したがって、マニホールドアセンブリ12は、インジェクタアセンブリ15からの単一の流れを、各チャネル36を通る複数の流れに分離する。チャネル36は、各ポート24を通して流量がほぼ等しくなるように配置される(これにより、マウスピースの作業面全体に沿ってオーラルケア化合物を一様に分配する)。例えば、
図1~
図3に示されるように、チャネル36は、トランク34からのオーラルケア化合物の入力方向に関して対称的に配置され、これにより、出口18における対称的な出力を促進する。さらに、トランク34とチャネル36との間の接合部35のボリュームは、図示のように球状であるか、そうでなければ、特にチャネル36の断面流れ面積に対して比較的拡大されている。このようにして、トランク34からの流れは、最初に接合部35における拡大されたボリュームを満たしてから、各チャネル36に押し入れられ、これによって、各チャネル36を通る等しい流れを促進する。あるいは、チャネル36は、マウスピースの作業面に沿った異なる場所におけるオーラルケア化合物の可変の分配量のために、ポート24を通して流量が変化するように配置されてもよい。
【0030】
[0037] マニホールドアセンブリ12はまた、ポート24と連通しているチャンバ38を含む。チャンバ38は、マニホールドアセンブリの外壁26内又は外壁26によって形成されてよく、したがって、マウスピース14及び/又は作業面22の形状に対して相補的に形成される(例えば、図示のようにU字形で、その長さに沿ってポート24が分配する)。接合部35での拡大されたボリュームと同様に、チャンバ38は、ポート24を通して押し出される前に、オーラルケア化合物がその中に分散される低圧の容器又はボリュームとして提供される。すなわち、チャンバ38の目的は、それがジェル、液体、又は他のオーラルケア化合物で容易に満たされることを可能にする低い流動抵抗を提供することである。例えば、チャンバ38は、ポート24の断面流れ面積と比較して比較的大きいボリューム及び/又は断面流れ面積で設定される。このようにして、オーラルケア化合物は、個々の流れがポート24を通して分配される前に、出口18の全長にわたって圧力が少なくとも部分的に等しくなる。チャンバ38が一杯になると、圧力が高まり、オーラルケア化合物は、ポート24の高度に制限されたフロープロファイルを強制的に通る。
【0031】
[0038] 出口18の総断面積は、ポート24の数及び/又は各ポート24の個々の形状若しくはサイズを変更することによって設定される。次に、これを使用して、出口18を通るオーラルケア化合物の場所及び分配挙動が設定される。一実施形態では、各ポート24のサイズは同じであるが、他の実施形態では、ポート24のうちの特定のもののサイズは、他よりも大きいか又は小さい。一実施形態では、出口18の全長にわたって流れは一様に分配され、一方、別の実施形態では、流れは特定の場所に偏らせられる。例えば、オーラルケア化合物は、使用者の大臼歯ではなく使用者の前歯に対応するマウスピースの作業面に集中される。
【0032】
[0039] マニホールドアセンブリ12を通る流路は、2つの段階で又はレベルの分離で分配される。これは、流路を追加の経路に分割すること、及び/又は比較的制限された流れ面積を通して流れを分配することを意味する。例えば、第1の分離レベルは、トランク34からの流れを3つのチャネル36に移行させ、第2の分離レベルは、チャネル36からの流れをポート24に移行させる(
図2の実施形態に12個のポートが一例として示されている)。
図1~
図3のマニホールドアセンブリ12は、1つの可能な構成に過ぎず、他の実施形態によるマニホールドアセンブリは、単一のトランクから延びる3つより大きい又は小さい数のチャネル、出口における12個より大きい又は小さい数のポート、及び/又は2つよりも大きい又は小さい数の分離レベルを含んでもよいことを理解されたい。このために、代替の実施形態が、
図4、
図5、
図6~
図9及び
図10~
図11に示され以下に説明される。
【0033】
[0040]
図4は、一実施形態によるマニホールドアセンブリ40を概略的に示す。マニホールドアセンブリ40は、オーラルケア化合物が入口42から生じる、及び/又は出口44を通してオーラルケア化合物を分配するために、例えば、前述の作動可能要素によって、マニホールドアセンブリ40内のオーラルケア化合物の入口42からの加圧が達成される、当該入口42を含む。
図4に、マニホールドアセンブリ40の入口42から出口44まで延在する流路45が示されている。流路45は、流れが第1の仕切り48に遭遇することにより、流路45が単一の流路から2つの流路に分割、又はそうでなければ移行する第1の分離レベル46を有する。仕切り48は、第1の方向からの(例えば、入口42から出口44に向かう)流れを、1つ又は複数の第2の方向に、例えば、第1の方向に垂直に(
図4の向きに対して左右に)方向転換することによって動作する。同様に、流路45は、流路の各分岐が、流れを再び分割させる第2の仕切り52に遭遇する第2の分離レベル50を有する。外壁56に形成された複数のポート54(例えば、ポート24に類似する)が、流れの第3の分離レベル58(例えば、流路45の各分岐を有する)を提供する。したがって、
図4に示されるマニホールドアセンブリ40は、3つの分離レベルを含む。当業者は、マニホールドアセンブリ12及び40の開示から、必要に応じて、追加の分離のレベルを配置する方法を認識するであろう。
【0034】
[0041]
図5は、入口62及び出口64を有するマニホールドアセンブリ60を示している。マニホールドアセンブリ60を通る流れの分配は、4つのレベルで行われる。各分離レベルは、流れを2で分割する。最初の3つの分離レベルは、ジェルの流れに配置された仕切りによって達成される。より具体的には、入口62からの流れは、第1の仕切り66で2つのチャネル68に移行する。
図4の第1の仕切り48とは異なり、第1の仕切り66は、各チャネル68への流れのより一様な分離を容易にするために、先細、湾曲、及び/又は角度を付けられていてよい。各チャネル68内の流れは、第2の仕切り70で再び分離し、第3の仕切り72で再び分離する。第4の分離レベルは、出口64の複数のポート74によって達成される。マニホールドアセンブリ60は、流路全体に配置されたポケット76を含む。チャンバ38と同様に、ポケット76は、最初にポケット76が満たされるのを促進するために比較的大きな流れ面積で構成され、これにより、オーラルケア化合物が次の分離レベルに移行する前に、オーラルケア化合物の圧力がマニホールドアセンブリ60全体にわたって少なくとも部分的に等しくなることを可能になる。次に、これは、出口64を通ってポート74から出る流れのより一様な分配を助ける。
【0035】
[0042]
図6~
図9は、マニホールドアセンブリ80の各分離レベルでのマニホールドアセンブリ80を通る代表的なオーラルケア化合物のコンピュータ実施フロー分析を示している。マニホールドアセンブリ80は、マニホールドアセンブリ60に実質的に類似しているので、同様の構成要素が各実施形態で同じ参照符号を与えられていることを理解されたい(マニホールドアセンブリ60は合計6つの第3の仕切り72を含むが、マニホールドアセンブリ80は4つしか含まず、これは、これらの場所で低圧ボリュームとして1対のポケット82を作成する)。前述の仕切りの配置、分離レベル、及び/又は低圧ボリュームによって、流れはポート74から一様に分配される。前述のように、流れは、
図6において、第1の分離レベルでチャネル68に分割され、
図7において、ポケット76のボリュームがオーラルケア化合物の流れによって満たされ、
図8において、ポケット82のボリュームが、
図9においてオーラルケア化合物がすべてのポート74を通して実質的に一様に分配される前に満たされている。
【0036】
[0043] 本明細書に開示されるマニホールドアセンブリは、任意の所望のやり方、例えば、射出成形、3D印刷などで製造されることを理解されたい。一実施形態では、マニホールドアセンブリは、より複雑な成形又は印刷された構成要素とは対照的に、1つ又は複数のフィルムを使用して製造される。例えば、
図10及び
図11に、カバーフィルム94によってシールされた開放空洞(例えば、熱成形フィルム又は成形部品)としてベース92を有するマニホールドアセンブリ90が示されている。つまり、ベース92は、内部に形成された複数の仕切り96を含み、カバーフィルム94は、ベース92の仕切り96に(例えば、接着剤、溶接などを使用して)結合されて、それらの間にチャネルが形成される。したがって、マニホールドアセンブリ90は、複雑な接着又は溶接プロセスを必要とせずに製造される。
【0037】
[0044] 前述のように、以前のオーラルケア化合物ディスペンサ(例えば、ホワイトニングジェル用のシリンジ)の主な課題は、分配動作の複雑さである。つまり、以前のシステムを使用している使用者は、シリンジプランジャーを同時に押し、ノズル先端で細い経路をたどり、ジェルがシリンジから分配される速度に一致するように調整された速度で先端を動かす必要がある。したがって、現在開示されている実施形態は、有利には、分配されたオーラルケア化合物の場所、オーラルケア化合物の長さ/分配プロファイル、又はオーラルケア化合物の量を設定することを使用者に要求しないことを理解されたい。代わりに、マニホールドアセンブリの出口の形状は、出口がマウスピースと係合しているときに、出力ポートをマウスピースの作業面に位置合わせする。これは、オーラルケア化合物の位置を特定し、作業面全体のオーラルケア化合物の長さ、量、及び/又は分配を決定する。一様な分配を容易にするための流れ操作は、複数の個別のチャネル、流れを方向転換する仕切り、及び/又は入口と出口との間の流路内の特定の点で圧力を等しくする低圧ボリューム(ポケット、チャンバなど)によって達成される。
【0038】
[0045] 本明細書において、いくつかの発明に係る実施形態が説明され且つ例示されたが、当業者であれば、機能を実行するため、及び/若しくは、結果及び/若しくは本明細書に説明された1つ以上の利点を取得するための様々な他の手段並びに/又は構成を容易に想像できるだろう。また、かかる変形及び/又は変更の各々は、本明細書に説明された発明に係る実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に説明されたあらゆるパラメータ、寸法、材料及び構成は、例示を意図しており、実際のパラメータ、寸法、材料及び構成は、発明の教示内容が用いられる特定の1つ以上の用途に依存することは容易に理解できるであろう。当業者であれば、日常程度の実験を用いて、本明細書に説明された特定の発明に係る実施形態に対する多くの等価物を認識又は確認できるであろう。したがって、上述した実施形態は、ほんの一例として提示されたに過ぎず、また、添付の特許請求の範囲及びその等価物内において、発明に係る実施形態は、具体的に説明された及び特許請求された以外にも実施可能であることは理解すべきである。本開示の発明に係る実施形態は、本明細書に説明された個々の特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法の各々に関する。さらに、このような特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法のうちの2つ以上の任意の組み合わせが、かかる特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛盾しないのであれば、本開示の発明に係る範囲内に含まれる。
【0039】
[0046] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という表現は、等位結合された要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解すべきである。すなわち、要素は、ある場合は接続的に存在し、その他の場合は離接的に存在する。「及び/又は」を用いて列挙される複数の要素も同様に解釈されるべきであり、すなわち、要素のうちの「1つ以上」が等位結合される。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素も、それが具体的に特定された要素に関連していても関連していなくても、任意選択的に存在してもよい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上に定義したような「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0040】
[0047] また、特に明記されない限り、本明細書で請求される2つ以上のステップ又は動作を含むどの方法においても、当該方法のステップ又は動作の順番は、説明された方法のステップ又は動作の順序に必ずしも限定されないことを理解すべきである。