(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】複合部材および保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2021008168
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100167232
【氏名又は名称】川上 みな
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092337(JP,A)
【文献】特開2007-250313(JP,A)
【文献】特開2021-002641(JP,A)
【文献】特開2004-087869(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038044(WO,A1)
【文献】特開2019-197830(JP,A)
【文献】特開2007-142238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を積層して成る複合部材であって、
セラミックを主成分とする第1板状部材および第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との双方に接するように、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置されて、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに対して非接着状態である非接着シートと、
前記非接着シートに設けられた貫通孔に配され、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに接続される
無機材料によって形成される無機材ピースと、
を備え
、
前記無機材ピースは、前記第1板状部材を構成するセラミックと同種のセラミックにより形成されることを特徴とする
複合部材。
【請求項2】
複数の部材を積層して成る複合部材であって、
セラミックを主成分とする第1板状部材および第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との双方に接するように、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置されて、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに対して非接着状態である非接着シートと、
前記非接着シートに設けられた貫通孔に配され、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに接続される
無機材料によって形成される無機材ピースと、
を備え
、
前記無機材ピースと、前記無機材ピースが貫通するように前記非接着シートに設けられた前記貫通孔の内周との間に、常温で隙間が形成されることを特徴とする
複合部材。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の複合部材であって、
前記第1板状部材と前記第2板状部材とは、同種のセラミック材料により形成されることを特徴とする
複合部材。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の複合部材であって、
前記第2板状部材は、前記第1板状部材を構成するセラミックに比べて熱伝導率の低いセラミックにより形成されることを特徴とする
複合部材。
【請求項5】
請求項1から
4までのいずれか一項に記載の複合部材であって、
前記第2板状部材は、多孔質セラミックにより形成されることを特徴とする
複合部材。
【請求項6】
対象物を保持する保持装置であって、
請求項1から
5までのいずれか一項に記載の複合部材と、
金属を主成分とし、板状に形成されたベース部と、
前記複合部材と前記ベース部との間に配置され、前記複合部材と前記ベース部とを接合する接合部と、
を備えることを特徴とする
保持装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の保持装置であって、
前記接合部は、接着剤を含むことを特徴とする
保持装置。
【請求項8】
請求項
6または
7に記載の保持装置であって、
前記無機材ピースは、前記保持装置を前記積層方向に見たときに、前記対象物が載置される領域である載置領域の外側に配置されることを特徴とする
保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合部材および保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を保持する保持装置として、例えば、半導体を製造する際にウェハ等の対象物を保持する静電チャックが知られている。静電チャックは、対象物が載置されるセラミック部と、冷媒流路が形成されるベース部と、が接合された構造を有する。このような保持装置に関して、特許文献1には、静電チャックを-100~200℃の広い温度範囲で使用する場合であっても、シリコーン樹脂によって構成される接合部によって静電チャック部材(セラミック部)とベース部材(ベース部)とを接合することで、静電チャック部材とベース部材の熱膨張率差を吸収しやすくなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、樹脂を含む接合部によってセラミック部とベース部とを接合する場合には、接合部を構成する樹脂の耐熱温度が比較的低いために、保持装置を使用する温度条件が制限される可能性があった。このような高温での使用に係る課題は、静電チャック等の保持装置に限らず、使用時に高温になり得るセラミック部材を備える装置に共通して生じ得るものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、複数の部材を積層して成る複合部材が提供される。この複合部材は、セラミックを主成分とする第1板状部材および第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との双方に接するように、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に配置されて、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに対して非接着状態である非接着シートと、前記非接着シートに設けられた貫通孔に配され、前記第1板状部材および前記第2板状部材のそれぞれに接続される無機材料によって形成される無機材ピースと、を備える。
この形態の複合部材によれば、第1板状部材と第2板状部材27との間に非接着シートを配置するため、非接着シートと第2板状部材とによって、第1板状部材からの伝熱を抑えることができる。そのため、例えば複合部材を備える装置においては、第1板状部材が高温になる場合であっても、第2板状部材に近接して配置される他の部材の昇温を抑えることができ、複合部材を備える装置の使用温度が制限されることを抑えることができる。また、セラミックを主成分とする第1板状部材および第2板状部材との間の密着性を非接着シートによって確保可能となるため、伝熱の面内均一性を高めることができる。また、第1板状部材および第2板状部材と非接着シートとの間が非接着状態であるため、第1板状部材および第2板状部材との間の熱膨張差に起因して非接着シートに生じる熱応力を低減することができる。さらに、第1板状部材と第2板状部材との接続のために、樹脂材料等に比べて一般的に耐熱温度が高い無機材ピースを用いるため、上記接続のための構造に起因して複合部材全体の耐熱性が低下することを抑えることができる。また、第1板状部材および第2板状部材がいずれもセラミックを主成分としており、両者の熱膨張率差が比較的小さくなることから、これらの部材を接続する無機材ピースにおける過剰な熱応力の発生を抑えることができる。
(2)上記形態の複合部材において、前記第1板状部材と前記第2板状部材とは、同種のセラミック材料により形成されることとしてもよい。このような構成とすれば、第1板状部材と第2板状部材との間の熱膨張率差を抑えることができる。そのため、比較的高温の温度条件下であっても、非接着シートを介した第1板状部材と第2板状部材との間の摺動量を抑えることができ、伝熱の面内均一性を高めることができる。
(3)上記形態の複合部材において、前記第2板状部材は、前記第1板状部材を構成するセラミックに比べて熱伝導率の低いセラミックにより形成されることとしてもよい。このような構成とすれば、第2板状部材を介した第1板状部材からの伝熱を抑える効果を高めることができる。
(4)上記形態の複合部材において、前記第2板状部材は、多孔質セラミックにより形成されることとしてもよい。このような構成とすれば、第2板状部材における伝熱量が抑えられるため、非接着シートおよび第2板状部材を介した第1板状部材からの伝熱を抑える効果を高めることができる。
(5)上記形態の複合部材において、前記無機材ピースは、前記第1板状部材を構成するセラミックと同種のセラミックにより形成されることとしてもよい。このような構成とすれば、第1板状部材と無機材ピースとの間の熱膨張率差に起因して生じる第1板状部材のぐらつきや損傷を、抑えることができる。
(6)上記形態の複合部材において、前記無機材ピースと、前記無機材ピースが貫通するように前記非接着シートに設けられた前記貫通孔の内周との間に、常温で隙間が形成されることとしてもよい。このような構成とすれば、非接着シートが膨張する場合であっても、非接着シートが無機材ピースに当接して撓んで、非接着シートと第1板状部材との間が局所的に離間することがなく、非接着シートを介した熱伝達の均一性の低下を抑えることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、複合部材を備える保持装置、複合部材の製造方法、保持装置を含む半導体製造装置、保持装置の製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】無機材ピースの配置を模式的に表す静電チャックの上面図。
【
図5】第2実施形態のセラミック部の一部を拡大して示す断面図。
【
図6】静電チャック10の各部の温度を数値解析した結果を示す説明図。
【
図7】静電チャック10の各部の温度を数値解析した結果を示す説明図。
【
図8】第5実施形態の静電チャックの構成を模式的に示す断面図。
【
図9】第5実施形態の第1板状部材の積層前の形状を模式的に表す断面図。
【
図10】第6実施形態の静電チャックの構成を模式的に示す断面図。
【
図11】第6実施形態の変形例の静電チャックの構成を模式的に示す断面図。
【
図12】第7実施形態の静電チャックの構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
(A-1)静電チャックの構造:
図1は、第1実施形態における静電チャック10の外観の概略を表す斜視図である。
図2は、静電チャック10の構成を模式的に表す断面図である。
図1では、静電チャック10の一部を破断して示している。また、
図1、
図2、および後述する
図3、
図8~
図12には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸を示している。各図に示されるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれ同じ向きを表す。本願明細書においては、Z軸は鉛直方向を示し、X軸およびY軸は水平方向を示している。XY平面の方向を、面方向とも呼び、Z軸の方向を積層方向とも呼ぶ。なお、各図は、各部の配置を模式的に表しており、各部の寸法の比率を正確に表すものではない。
【0008】
静電チャック10は、対象物を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバ内で、対象物であるウェハWを固定するために使用される。静電チャック10は、セラミック部20と、ベース部30と、接合部40と、を備える。これらは、-Z軸方向(鉛直下方)に向かって、セラミック部20、接合部40、ベース部30の順に積層されている。本実施形態における静電チャック10を、「保持装置」とも呼ぶ。
【0009】
セラミック部20は、略円形の複数の板状部材を積層して成る複合部材である。
図2に示すように、セラミック部20は、略円形の板状部材である第1板状部材26、第2板状部材27、および非接着シート28と、無機材ピース29と、を備える。
【0010】
第1板状部材26および第2板状部材27は、セラミック(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等)を主成分として形成されている。本実施形態では、第1板状部材26と第2板状部材27とは、同種のセラミックにより構成されている。第1板状部材26および第2板状部材27の構成材料として、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)は、耐プラズマ性に優れるため好ましい。また、第1板状部材26および第2板状部材27の構成材料として、窒化アルミニウムは、熱伝導性が比較的高いため好ましい。本願明細書において、特定成分が「主成分である」とは、当該特定成分の含有率が、50体積%以上であることを意味する。
【0011】
第1板状部材26において、+Z方向(鉛直上方)側の面は、ウェハWを載置するための載置面24となっている。第1板状部材26の内部には、図示しないチャック電極が配置されている。チャック電極は、例えば、タングステンやモリブデンなどの導電性材料により形成されている。チャック電極に対して図示しない電源から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWがセラミック部20の載置面24に吸着固定される。チャック電極は、双極型であってもよく、単極型であってもよい。また、セラミック部20の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された抵抗発熱体で構成されて、載置面24に吸着固定されたウェハWを加熱するための、図示しないヒータ電極を設けてもよい。
【0012】
非接着シート28は、第1板状部材26と第2板状部材27との間において、第1板状部材26と第2板状部材27との双方に非接着状態で配置される板状部材である。非接着シート28は、第2板状部材27と共に、第1板状部材26の熱が接合部40に伝えられることを抑える断熱部として機能する。ここで、非接着シート28が、第1板状部材26および第2板状部材27との間で非接着状態であるとは、非接着シート28と、第1板状部材26および第2板状部材27との間において、接着剤を用いる等による積極的な固着が行われていないことをいう。具体的には、非接着シート28自体の引張強度よりも、第1板状部材26および第2板状部材27との間の層間(界面)の接合強度の方が低いことをいう。非接着シート28と、第1板状部材26あるいは第2板状部材27との間が非接着状態であることは、例えば、外力をかけて非接着シート28を第1板状部材26および第2板状部材27から剥離した後に、剥離面を目視もしくは光学顕微鏡にて観察し、第1板状部材26および第2板状部材27の剥離面において、8割以上の面積に、非接着シート28が残っていない(非接着シート28において、界面破壊により剥離する面積が8割以上であって、凝集破壊により剥離する面積が2割未満である)ことにより確認することができる。
【0013】
非接着シート28は、セラミックを用いて構成される第1板状部材26および第2板状部材27よりも柔らかく形成されている。具体的には、非接着シート28は、弾性率(縦弾性係数、引張弾性率、ヤング率)で100GPa以下、より好ましくは20GPa以下、さらに好ましくは5GPa以下とすることができる。
【0014】
非接着シート28は、例えば、静電チャック10の使用温度条件に耐える樹脂材料により形成することができる。樹脂材料は、摩擦係数が比較的小さく、優れた自己潤滑性および摺動性を有するが、中でも、ポリイミドやフッ素樹脂は、特に耐熱性に優れているため、非接着シート28の構成材料として好ましい。ここで、非接着シート28の摺動性とは、非接着シート28が、例えば温度変化に応じて膨張あるいは収縮する際に、第1板状部材26および第2板状部材27に対して相対的に、面方向に移動可能である性質を指す。
【0015】
また、非接着シート28は、カーボンファイバー、膨張黒鉛、グラファイト等の炭素材料、あるいは、マイカやバーミキュライトなどの無機材料により形成することができる。このような無機材料は耐熱性に優れているが、中でも、マイカ、カーボンファイバー、あるいは膨張黒鉛は、特に摩擦係数が小さいため好ましい。また、無機材料の中でも、マイカやカーボンファイバーは、粒子形状がより球形に近い膨張黒鉛等に比べて、熱伝導に異方性があるため好ましい。具体的には、これらの材料は、厚み方向の熱伝導率が面方向の熱伝導よりも低いため、非接着シート28を介して第2板状部材27側に伝熱する際に、面方向に均熱化することができる。また、無機材料の中でも、マイカ、膨張黒鉛、グラファイト、バーミキュライトを非接着シート28の材料として用いるならば、非接着シート28におけるガスの気密性が高まり望ましい。
【0016】
無機材ピース29は、無機材料によって形成されると共に、非接着シート28に設けられた貫通孔28aを介して、第1板状部材26および第2板状部材27のそれぞれに接続され、第1板状部材26と非接着シート28と第2板状部材27との積層方向の移動を規制する。すなわち、無機材ピース29は、第1板状部材26と非接着シート28と第2板状部材27とのそれぞれにおいて積層方向に重なる位置に設けられた穴部に挿入されて、第1板状部材26と非接着シート28と第2板状部材27との積層体(以下では、「セラミック部積層体」とも呼ぶ)を、積層方向に固定する。本実施形態の無機材ピース29は、略円柱状に形成されているが、多角柱状に形成することも可能である。
【0017】
本実施形態では、無機材ピース29は、-Z方向側から(鉛直下方から)+Z方向に向かってセラミック部積層体に圧入されている。ここで、無機材ピースは、-Z方向側(鉛直下方側)の端部が、第2板状部材27の-Z方向側(鉛直下方側)の面と面一となるように圧入されており、無機材ピース29の鉛直上方の先端は、第1板状部材26の厚み方向の中程の位置に達している。なお、セラミック部積層体に対する無機材ピース29の固定の強度が確保できるならば、無機材ピース29は、セラミック部積層体を貫通することとしてもよい。
【0018】
図3は、無機材ピース29の配置を模式的に表す静電チャック10の上面図である。
図3では、無機材ピース29の配置を破線で示している。また、
図3では、
図2に示した断面の位置を、2-2断面として示している。
図3に示すように、本実施形態の静電チャック10は、12個の無機材ピース29を備えており、各無機材ピース29は、第1板状部材26の外周に沿って等間隔に、すなわち、第1板状部材26の中心からの角度で30°間隔で配置されている。無機材ピース29は、異なる位置に12個以外の数を設けることとしてもよいが、セラミック部20の内部にかかる面圧を均一化する観点から、複数設けることが望ましく、等間隔で設けることが望ましく、セラミック部20を積層方向に見たときに、第1板状部材26と第2板状部材27とが重なる領域の外周部に配置することが望ましい。
【0019】
セラミック部20の内部にかかる面圧の均一化を容易にする観点から、無機材ピース29は、3個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、8個以上がさらに好ましい。また、セラミック部20において、第1板状部材26および第2板状部材27の無機材ピース29が配置される領域の強度低下を抑制する観点から、無機材ピース29は、20個以下が好ましく、16個以下がより好ましく、12個以下がさらに好ましい。
【0020】
また、
図3では、第1板状部材26の載置面24において、ウェハWが載置される領域を、載置領域Awとして一点鎖線で囲んで示している。
図3に示すように、各無機材ピース29は、静電チャック10を積層方向に見たときに、載置領域Awの外側に配置されている。そのため、載置領域Awにおける面圧や温度を均一化することができる。
【0021】
本実施形態の無機材ピース29は、第1板状部材26および第2板状部材27と同種のセラミックにより構成されている。例えば、第1板状部材26および第2板状部材27が酸化アルミニウムにより構成される場合には、無機材ピース29も、酸化アルミニウムにより構成すればよい。
【0022】
本実施形態のセラミック部20では、第1板状部材26と第2板状部材27とは、ほぼ同じ大きさに形成されており、積層方向に見たときに、第1板状部材26の外周と第2板状部材27の外周とが重なるように配置されている。非接着シート28は、第1板状部材26と第2板状部材27とが重なる領域全体にわたって設けることとすればよい。セラミック部20の直径は、例えば、50mm~500mm程度とすればよく、通常は200mm~350mm程度である。
【0023】
第1板状部材26の厚みは、内部にチャック電極を設けることができ、ウェハWの着脱時の衝撃や熱応力による損傷を抑えることができる強度や剛直性を確保する観点から、例えば1mm以上とすることが望ましく、1.5mm以上とすることがより望ましい。また、第1板状部材26の厚みは、載置面24からベース部30までの距離を短くして静電チャック10を小型化する観点から、例えば10mm以下とすることが望ましく、5mm以下とすることがより望ましい。第1板状部材26の厚みは、例えば、2mmとすることができる。
【0024】
第2板状部材27の厚みは、第2板状部材27による断熱性を確保する観点から、例えば0.3mm以上とすることが望ましく、0.5mm以上とすることがより望ましい。また、第2板状部材27の厚みは、静電チャック10を小型化する観点から、例えば10mm以下とすることが望ましく、5mm以下とすることがより望ましい。第2板状部材27の厚みは、例えば、1mmとすることができる。
【0025】
非接着シート28の厚みは、第1板状部材26および第2板状部材27の接触面の凹凸を吸収して、第1板状部材26および第2板状部材27との密着性を確保する観点から、例えば0.05mm以上とすることが望ましく、0.1mm以上とすることがより望ましい。また、非接着シート28の厚みは、静電チャック10を小型化する観点から、0.5mm以下とすることが望ましく、0.4mm以下とすることがより望ましい。非接着シート28の厚みは、例えば、0.3mmとすることができる。
【0026】
無機材ピース29の長さは、セラミック部積層体を積層方向に固定する強度を十分に確保することができ、セラミック部積層体から無機材ピース29が積層方向にはみ出すことを抑えられるように、適宜設定すればよい。また、無機材ピース29の直径は、無機材ピース29において曲がりなどの変形が生じない強度および剛直性が得られるように、適宜設定すればよい。無機材ピース29の強度を確保する観点から、無機材ピース29の「長さ/直径」の値は、0.5~3程度とすることが望ましい。そのため、無機材ピース29の長さは、例えば、3mmとすることができる。
【0027】
ベース部30は、金属を含み、略円形に形成された板状部材である。ベース部30は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、モリブデン、チタン、タングステン、ニッケルのうちの少なくとも一種の金属を含むこととすることができる。モリブデン、チタン、タングステンは、上記した金属の中でも熱膨張率が比較的小さいため、これらのうちの少なくとも一種の金属を用いてベース部30を構成する場合には、ベース部30とセラミック部20との間の熱膨張率差を抑えることができて望ましい。なお、本願明細書において、「熱膨張率」は、「線膨張率」を指す。また、マグネシウムは、ヤング率が比較的小さいため、マグネシウムを用いてベース部30を構成する場合には、ベース部30で生じる熱応力を低減することができて望ましい。また、アルミニウムは、熱伝導率が比較的高く、加工が容易で低コストである。そのため、アルミニウムを用いてベース部30を構成する場合には、ベース部30によるセラミック部20およびウェハWの冷却効率を高めることができ、静電チャック10の製造コストを抑えることができて望ましい。ベース部30による冷却効率を高めつつ製造コストを抑える観点からは、ベース部30における金属の含有割合が高い方が望ましく、ベース部30は、金属を主成分とすることが望ましい。例えば、汎用性が高いアルミニウムを90質量%以上含有すること(例えば、A6061、A5052などのアルミニウム合金により構成すること)が望ましい。ただし、ベース部30は、セラミックなどの金属以外の成分を含んでいてもよい。ベース部30の直径は、例えば、220mm~550mm程度とすればよく、通常は220mm~350mmである。ベース部30の厚さは、20mm~40mm程度とすればよく、例えば30mmとすることができる。
【0028】
ベース部30の内部には、複数の冷媒流路32がXY平面に沿うように形成されている(
図1参照)。なお、
図2では、冷媒流路32の図示は省略している。冷媒流路32に、例えばフッ素系不活性液体や水や液体窒素等の冷媒を流すことにより、ベース部30が冷却される。そして、接合部40を介したベース部30とセラミック部20との間の伝熱によりセラミック部20が冷却され、セラミック部20の載置面24に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。ベース部30の内部に冷媒流路32を有する形態の他、ベース部30の外部からベース部30を冷却することにより、ベース部30に冷却機能を持たせてもよい。
【0029】
接合部40は、セラミック部20とベース部30との間に配置されて、セラミック部20とベース部30とを接合する。接合部40は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着剤により構成される。接合部40は、例えばセラミック粉末等の無機フィラーを含んでいてもよい。具体的には、シリカ、アルミナ、アルミ、酸化イットリウム、フッ化イットリウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化鉄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等のフィラーを含んでいてもよい。接合部40の厚さは、例えば0.1mm~1mm程度とすることができる。
【0030】
静電チャック10には、さらに、複数のガス供給路50が形成されている(
図1参照)。ガス供給路50は、セラミック部20、接合部40、およびベース部30をZ方向に貫通して設けられており、載置面24に形成されたガス吐出口52において開口している。ガス供給路50は、図示しないガス供給装置から、例えばヘリウムガス等の不活性ガスを供給されて、載置面24とウェハWとの間の空間に対して、ガス吐出口52から不活性ガスを供給する。これにより、セラミック部20とウェハWとの間の伝熱性を高めて、ウェハWの温度分布の制御性がさらに高められる。なお、ガス供給路50は必須ではなく、静電チャック10にガス供給路50を設けないこととしてもよい。
【0031】
(A-2)静電チャックの製造方法:
次に、本実施形態における静電チャック10の製造方法を説明する。はじめに、チャック電極およびヒータ電極等の導電性材料層が内部に配置された第1板状部材26、および、第2板状部材27を作製する。第1板状部材26および第2板状部材27の作製は、例えば、公知のシート積層法やプレス成形法により行うことができる。そして、さらに、非接着シート28となるシートを用意し、第1板状部材26、非接着シート28、第2板状部材27の順で重ね合わせる。これらの積層体には、予め設定した位置に、無機材ピース29を圧入するための穴を予め形成しておき、第2板状部材27の表面と無機材ピース29の端部とが面一となるように、無機材ピース29を打ち込んで、セラミック部20を作製する。
【0032】
また、ベース部30と、接合部40を形成するための接着シートとをさらに準備する。接着シートを作製するためには、まず、硬化前のシリコーン樹脂、白金触媒、シランカップリング剤、架橋剤、充填材等の接合部40の構成材料を真空下で撹拌することにより、ペースト状のシリコーン樹脂組成物(接着ペースト)を作製する。そして、作製した接着ペーストを、ロールコーター等を用いてシート状に成形した後、適宜設定した温度および時間の条件下で加熱し、半硬化させることにより、接着シートを得る。その後、セラミック部20とベース部30との間に接着シートを配置し、真空中で貼り合せて加熱する。これにより、接着剤が硬化して接合部40が形成され、セラミック部20とベース部30とが接合部40により接着される。その後、必要により後処理(外周の研磨、端子の形成等)を行うことにより、静電チャック10が製造される。
【0033】
以上のように構成された本実施形態の静電チャック10によれば、非接着シート28を介して積層される第1板状部材26と第2板状部材27とによってセラミック部20を構成することによって、高温になる第1板状部材26の載置面24と接合部40との間に、非接着シート28および第2板状部材27を配置している。上記のように、第1板状部材26と第2板状部材27との間を分断して不連続とすることにより、第1板状部材26の熱が、接合部40側へと伝わることを抑えることができる。このとき、非接着シート28を、第1板状部材26および第2板状部材27を構成するセラミックよりも熱伝導率が小さい樹脂によって構成する場合には、接合部40側への伝熱をさらに抑えることができる。上記のように接合部40側への伝熱を抑制できることにより、接合部40の熱による劣化を抑えることができる。具体的には、例えば、載置面24が、接合部40を構成する接着剤の耐熱温度を超える高温となる場合であっても、接合部40の温度を上記耐熱温度以下に抑えて、接合部40の劣化を抑えることができる。そのため、接合部40の耐熱温度のために静電チャック10の使用温度が制限されることを抑えることができる。また、接合部40側への伝熱を抑える性能が高まることにより、セラミック部20を薄型化できるため、静電チャック10全体の小型化が可能になる。
【0034】
このとき、第1板状部材26および第2板状部材27を単に重ねるだけでは、上記2枚の板状部材の接触する界面において伝熱量がばらついて、伝熱の面内均一性を確保することが困難になる場合がある。本実施形態では、上記セラミック製の板状部材よりも柔らかい(ヤング率が小さい)非接着シート28を、2枚の板状部材間に配置している。そのため、第1板状部材26および第2板状部材27と、非接着シート28との間の密着性を高め、第1板状部材26および第2板状部材27と、非接着シート28との間で接触面積をより広く確保し、伝熱の面内均一性を高めて、面内における温度分布の偏りを緩和することができる。
【0035】
また、本実施形態では、第1板状部材26と第2板状部材27との間に配置する非接着シート28は、第1板状部材26および第2板状部材27に対して非接着状態となっている。そのため、静電チャック10の温度変化に伴って、第1板状部材26および第2板状部材27と、非接着シート28と、の間の熱膨張差が大きくなる場合であっても、非接着シート28は、第1板状部材26および第2板状部材27に対して面方向に摺動することができる。その結果、上記熱膨張差に起因して非接着シート28で生じる熱応力を緩和して、非接着シート28の損傷を抑えることができる。
【0036】
図4は、
図2に示したセラミック部20の一部であって、無機材ピース29を含む部分を拡大して示す断面図である。
図4に示すように、無機材ピース29と、無機材ピース29が貫通するように非接着シート28に設けられた貫通孔28aの内周との間に、常温で隙間54が形成されることが望ましい。すなわち、常温において、無機材ピース29の径(横断面の径)は、貫通孔28aの内径よりも小さいことが望ましい。ここでいう常温とは、25℃のことをいう。隙間54の大きさは、静電チャック10の使用温度と、非接着シート28および無機材ピース29の熱膨張率とに応じて設定すればよく、静電チャック10の使用時に非接着シート28および無機材ピース29が膨張しても、非接着シート28と無機材ピース29とが接しない大きさに設定することが望ましい。このようにすれば、静電チャック10の使用時に非接着シート28が膨張しても、非接着シート28が無機材ピース29に当接して撓んで、非接着シート28と第1板状部材26との間が局所的に離間することがなく、セラミック部20において均一な熱伝達を保つことができる。なお、静電チャック10の使用温度範囲において、非接着シート28の熱膨張の程度が許容範囲であれば、常温で隙間54を実質的に設けないこととしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、非接着シート28を介して第1板状部材26と第2板状部材27とを接合するために、セラミックによって構成される無機材ピース29を用いている。そのため、セラミックなどの無機材料よりも一般的に耐熱性が低い接着剤等を用いる場合とは異なり、第1板状部材26が比較的高温となる条件下でも、第1板状部材26と第2板状部材27とを接合するための構造の劣化を抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態では、第2板状部材27を第1板状部材26と同様にセラミックを用いて構成しているため、第1板状部材26と第2板状部材27との間の熱膨張率差を抑えることができる。特に本実施形態では。第1板状部材26と第2板状部材27とを同種のセラミックを用いて構成しているため、両者の熱膨張率差を抑える効果を高めることができる。そのため、非接着シート28を介した第1板状部材26と第2板状部材27との間の摺動量を抑えることができる。その結果、摺動に起因して、第1板状部材26および第2板状部材27と、非接着シート28との界面において、部分的な剥がれ等が生じることを抑え、伝熱の面内均一性を高めることができる。
【0039】
さらに、上記のように第1板状部材26と第2板状部材27との間の熱膨張率差が小さいことにより、静電チャック10が温度変化する際に、第2板状部材27を貫通して第1板状部材26の内部に達するように配置される無機材ピース29にかかる応力を低減して、無機材ピース29の損傷を抑えることができる。このとき、無機材ピース29を、第1板状部材26および第2板状部材27と同種のセラミックによって構成するなどにより、無機材ピース29と、第1板状部材26および第2板状部材27との間の熱膨張率差を小さくすることで、無機材ピース29にかかる応力を低減する効果を高めることができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、樹脂から成る接着剤によって構成される接合部40を用いて、セラミック部20とベース部30とを接合することにより、接合部40によって、セラミック部20とベース部30との間の熱膨張率差を吸収し、上記熱膨張率差に起因する静電チャック10の損傷を抑えることができる。さらに、接合部40によってセラミック部20とベース部30とを接合することにより、例えば、ねじ等を用いてセラミック部20とベース部30とを接合する場合とは異なり、セラミック部20とベース部30とを接合する構造のために、ベース部30内の冷媒流路の配置パターンが制限される等の問題が生じることがない。
【0041】
また、本実施形態では、静電チャック10を積層方向に見たときに、載置領域Awの外側に無機材ピース29を配置している。セラミック部20において、無機材ピース29による接合箇所は、他の箇所に比べて、第1板状部材26から第2板状部材27への伝熱の効率が高くなるため、伝熱量が他の箇所よりも多い伝熱の特異点になり得る。このような伝熱の特異点となり得る無機材ピース29による接合箇所を、載置領域Awの外側に配置することで、載置面24における載置領域Aw全体の均熱性を高めることができる。
【0042】
本実施形態において、無機材ピース29は、セラミック部積層体に圧入されており、第1板状部材26および第2板状部材27に接着されておらず、かつ、ねじ止めもされていない。ここで、第1板状部材26は、静電チャック10の構成部材の中でも特に温度が高くなる部材であり、また、特にプラズマの影響を受けやすい部材であるため、他の部材よりも劣化し易いといえる。本実施形態によれば、第1板状部材26が劣化したときに、第1板状部材26を鉛直上方に引き抜くことにより、第1板状部材26のみを交換することが可能となり、静電チャック10における他の部材を有効利用することができる。
【0043】
本実施形態の静電チャック10において、非接着シート28における第1板状部材26あるいは第2板状部材27と接する面の少なくとも一方の面において、第1板状部材26あるいは第2板状部材27との間の接触抵抗を低減するための摺動用潤滑剤を配置することとしてもよい。このようにして、第1板状部材26と第2板状部材27との間で非接着シート28を摺動し易くすることにより、高温下で非接着シート28の熱膨張が大きくなる場合であっても、第1板状部材26および第2板状部材27と非接着シート28との間が局所的に離間することを抑えることができる。そのため、非接着シート28を介した伝熱量の面内のばらつきを、小さくすることができる。
【0044】
摺動用潤滑剤は、耐熱性が高く、真腔チャンバなどの静電チャック10の使用環境下において、不揮発性であることが望ましい。このような摺動用潤滑剤としては、例えば、イオン液体が挙げられる。あるいは、フッ素系のオイル、フッ素系のオイルを含むフッ素系グリース、界面活性剤を用いることができる。具体的には、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系オイルを含むフッ素系グリースの市販品として、例えば、NOKクリューバー株式会社製のBARRIERTA(バリエルタ)シリーズ(「BARRIERTA」は登録商標)、NOXLUB(ノックスルーブ)シリーズ(「NOXLUB」は登録商標)、クリューバーテンプシリーズを用いることができる。また、フッ素系オイルであるパーフルオロポリエーテルの市販品として、例えば、ダイキン工業株式会社製のデムナム(「デムナム」は登録商標)を用いることができる。
【0045】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態の静電チャック10におけるセラミック部20の一部を、
図4と同様にして拡大して示す断面図である。第2実施形態は、無機材ピース29を配置するための構造を除いて、第1実施形態と同様の構成を有する。第2実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付す。
【0046】
第2実施形態では、第1板状部材26と無機材ピース29との間に、シール部23が配置されている。すなわち、第1板状部材26には、無機材ピース29よりも一回り大きな径を有するように形成されて、無機材ピース29の先端部が挿入される有底の穴部26aが形成されており、穴部26aの内壁面と、無機材ピース29の先端部との間に、シール部23が設けられている。セラミック部20を作製する際には、第1板状部材26に上記した穴部26aを形成すると共に、第2板状部材27に、無機材ピース29よりも一回り大きな径を有して無機材ピース29に貫通される貫通孔27aを形成する。そして、第1板状部材26と非接着シート28と第2板状部材27とを積層してセラミック部積層体を形成する際に、第1板状部材26の穴部26aの底面および側面のうちの少なくとも一方に、予めシール部23の材料を配置して、セラミック部積層体に無機材ピース29を押し込めばよい。これにより、無機材ピース29の先端部が第1板状部材26に対して固定される。
【0047】
シール部23を構成する材料は、無機材ピース29を圧入する動作を容易にするための摺動性、および、静電チャック10の使用温度条件に耐える十分な耐熱性を有していればよく、セラミックよりも柔らかく、無機材ピース29の挿入時に変形可能なシール材を用いることが望ましい。例えば、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などカーボン系材料から成りシート状に形成されたシール材を用いることができる。
【0048】
第2実施形態では、無機材ピース29において、第1板状部材26に挿入される先端部とは異なる側の端部において、拡径された鍔部29aが設けられている。また、第2板状部材27において、無機材ピース29が貫通する貫通孔27aには、上記鍔部29aが係合する段差部27bが設けられている。無機材ピース29がセラミック部積層体に圧入されて、無機材ピース29の先端部がシール部23によって第1板状部材26に固定されると、無機材ピース29の鍔部29aが第2板状部材27の段差部27bに係合することによって、第2板状部材27が第1板状部材26に対して固定される。
【0049】
このように、シール部23を用いて無機材ピース29を固定することで、例えば150℃を超える高温条件下であっても、あるいは温度変化を伴う使用条件であっても、セラミック部20の積層構造が安定して維持されて、静電チャック10を安定して使用することができる。また、シール部23を用いて無機材ピース29を固定するため、第1板状部材26の穴部26aおよび第2板状部材27の貫通孔27aは、無機材ピース29よりも大きな径となるように形成すればよい。そのため、第1板状部材26および第2板状部材27に対して穴部26aや貫通孔27aを形成する際の加工の要求精度を、抑えることができる。また、シール部23を用いて第1板状部材26と無機材ピース29とを固定する場合であっても、第1実施形態と同様に、第1板状部材26を鉛直上方に引き抜くことにより、第1板状部材26のみを交換することが可能となる。
【0050】
C.第3実施形態:
第1および第2実施形態では、第1板状部材26と第2板状部材27とは同種のセラミック材料により形成したが、異なる構成としてもよい。以下に、このような構成を第3実施形態として説明する。第3実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
【0051】
第3実施例の静電チャック10が備える第2板状部材27は、第1板状部材26を構成するセラミックよりも熱伝導率の低いセラミックを用いて構成されている。例えば、第1板状部材26を窒化アルミニウム(20℃における熱伝導率は150W/m・K)を用いて構成し、第2板状部材27を酸化アルミニウム(20℃における熱伝導率は32W/m・K)を用いて構成することができる。
【0052】
このような構成とすれば、第2板状部材27による伝熱の抑制効果が高まるため、接合部40が高温になることを抑える効果を高めて、接合部40の劣化を抑えることができる。また、接合部40への伝熱量を低減できることにより、第2板状部材27を薄型化して、静電チャック10全体を小型化することが可能になる。
【0053】
第1板状部材26と第2板状部材27とを異種のセラミック材料を用いて形成する場合に、第1板状部材26と第2板状部材27との組み合わせを、上記とは異なる組み合わせとしてもよい。第2板状部材27は、第1実施形態で説明した酸化アルミニウムや窒化アルミニウムの他、例えば、炭化ケイ素や、無機系の材料から成る断熱板やマシナブルセラミックを主成分として形成してもよい。第2板状部材27を接合部40と接合した後に、第2板状部材27が損傷しない程度の強度、例えば、第2板状部材27の引っ張り強度が1MPa以上となるように、第2板状部材27の材料および厚みを適宜設定すればよい。
【0054】
このように、第1板状部材26と第2板状部材27とを異なるセラミックを用いて構成する場合には、無機材ピース29は、第1板状部材26の熱膨張率により近い熱膨張率を示すセラミックを用いて構成することが望ましく、第1板状部材26と同種のセラミックを用いて構成することがより望ましい。静電チャック10においては、載置面24を有する第1板状部材26のぐらつきや損傷を抑えることが特に重要となる。無機材ピース29の熱膨張率よりも、第1板状部材26の熱膨張率の方が大きい場合には、加熱時の熱膨張により第1板状部材26の穴部26aの径の方が無機材ピース29の径よりも大きくなって、無機材ピース29を固定する力が弱まり、第1板状部材26のぐらつきを生じる可能性がある。また、無機材ピース29の熱膨張率の方が第1板状部材26の熱膨張率よりも大きい場合には、加熱時の熱膨張により、第1板状部材26の穴部26aの径よりも無機材ピース29の径の方が大きくなって、無機材ピース29が穴部26aを押し広げ、第1板状部材26が損傷する可能性がある。そのため、無機材ピース29は第1板状部材26と同種のセラミック材料により形成されることが望ましい。
【0055】
D.第4実施形態:
第4実施形態の静電チャック10では、第2板状部材27は、多孔質セラミックにより形成される。第4実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
【0056】
第4実施形態では、第1板状部材26は緻密質のセラミックにより形成しており、第2板状部材27は多孔質セラミックにより形成している。このように、第2板状部材27を多孔質セラミックにより構成することで、第2板状部材27における伝熱量を抑えることができるため、接合部40の高温化を抑制して、接合部40の劣化を抑える効果を高めることができる。
【0057】
このとき、第1板状部材26と第2板状部材27とは、同種のセラミックを用いて構成してもよく、異種のセラミックを用いて構成してもよい。同種のセラミックにより構成すれば、第1板状部材26と第2板状部材27との構成材料の熱膨張率が同じになり、非接着シート28を間に挟んだ第1板状部材26および第2板状部材27の摺動量を小さくすることができる。第2板状部材27は、第1実施形態で説明した酸化アルミニウムや窒化アルミニウムの多孔質体とする他、例えば、炭化ケイ素や、無機系の材料から成る断熱板やマシナブルセラミックの多孔質体を用いて形成してもよい。第2板状部材27を接合部40と接合した後に、第2板状部材27が損傷しない程度の強度、例えば、第2板状部材27の引っ張り強度が1MPa以上となるように、第2板状部材27を構成する多孔質体の材料、厚み、および気孔率を適宜設定すればよい。
【0058】
上記のように第2板状部材27を多孔質体とする場合には、ガス供給路50(
図1参照)のガスシール性を確保するために、第2板状部材27においてガス供給路50が形成される部位では、溶射などにより多孔質体の細孔を塞ぐことが望ましい。なお、第1板状部材26も多孔質体とすることは可能であるが、この場合には、第1板状部材26を構成する多孔質体よりも、第2板状部材27を構成する多孔質体の方が、気孔率を高くすればよい。ただし、載置面24を有してプラズマに晒されやすい第1板状部材26は、プラズマによって多孔質体の細孔が拡大される等の不都合が生じ易いため、第1板状部材26は緻密質のセラミックにより形成することが望ましい。
【0059】
図6および
図7は、第4実施形態の静電チャック10に係る第2板状部材27や非接着シート28の条件を種々変更したサンプルについて、各部の温度を数値解析した結果を示す説明図である。
図6に示すサンプル1~サンプル8は、非接着シート28を、熱伝導率が0.24W/mKのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)により形成された厚みが0.3mmのシートとしている。また、
図7に示すサンプル9~サンプル16は、非接着シート28を、熱伝導率が100W/mKの黒鉛により形成された厚みが0.3mmのシートとしている。
【0060】
サンプル1~サンプル16が備える第2板状部材27は、いずれも、アルミナにより形成されるが、気孔率(%)が異なっており、サンプル2~4,6~8,10~12,14~16の第2板状部材27は、多孔質体である。サンプル1,5,9,13の第2板状部材27は、気孔率が0%であって、熱伝導率が30W/mKである。サンプル2,6,10,14の第2板状部材27は、気孔率が20%であって、熱伝導率が18W/mKである。サンプル3,7,11,15の第2板状部材27は、気孔率が40%であって、熱伝導率が5W/mKである。サンプル4,8,12,16の第2板状部材27は、気孔率が50%であって、熱伝導率は3W/mKである。サンプル1~サンプル12の第2板状部材27は、厚みが1mmであり、サンプル13~サンプル16の第2板状部材27は、厚みが5mmである。
【0061】
また、サンプル1~サンプル16が備える接合部40は、いずれも、熱伝導率が0.9W/mKのシリコーン樹脂により形成されて、厚みが0.5mmとなっている。これらのサンプルのうち、サンプル1~4およびサンプル9~12は、第1板状部材26の温度を250℃に設定し、サンプル5~8およびサンプル13~16は、第1板状部材26の温度を200℃に設定した。そして、各サンプルのベース部30の温度を100℃に設定して、各サンプルにおける「非接着シート28-第2板状部材27の界面」の温度と、「第2板状部材27-接合部40の界面」の温度とを、数値解析した。
【0062】
図6に示すように、非接着シート28を、熱伝導率が低く断熱性が高いPTFEシートにより構成する場合には、第1板状部材26の温度を200℃に設定したサンプル5~8だけでなく、第1板状部材26の温度を250℃に設定したサンプル1~4であっても、「非接着シート28-第2板状部材27の界面」の温度は170℃以下であった。その結果、気孔率を変更することによって熱伝導率を異ならせた第2板状部材27を備えるサンプル1~8のいずれにおいても、「第2板状部材27-接合部40の界面」の温度は、150℃以下となった。
【0063】
これに対して、
図7に示すように、非接着シート28を、熱伝導率が高く断熱性が低い黒鉛シートにより構成する場合には、第1板状部材26の設定温度にかかわらず、サンプル9~サンプル16のいずれにおいても、「非接着シート28-第2板状部材27の界面」の温度は200℃以上であった。そして、第1板状部材26の温度を250℃に設定した場合には、第2板状部材27の気孔率が最も高い50%であるサンプル12であっても、「第2板状部材27-接合部40の界面」の温度は、190℃以上であった。第1板状部材26の温度を200℃に設定した場合には、第2板状部材27の厚みを5mmとして、第2板状部材27の気孔率を40%以上とすることで、「第2板状部材27-接合部40の界面」の温度を、140°以下にすることができた(サンプル15、サンプル16)。
【0064】
上記したサンプル9~サンプル16のように、非接着シート18の熱伝導率が高く断熱性が低い場合であっても、第2板状部材27の気孔率や厚みを調節することにより、接合部40の温度を十分に抑え、例えば150℃を下回る温度にまで低下できることが確認された。すなわち、シリコーン樹脂よりも耐熱温度が低い、例えばエポキシ樹脂等から成る接着剤やアクリル樹脂等からなる粘着剤を用いて接合部40を形成する場合であっても、接合部40の温度を、接合部40の耐熱温度よりも十分に低い温度にすることが可能になることが確認された。静電チャック10の使用温度に応じて、接合部40の温度が耐熱温度以下になるように、第2板状部材27として多孔質体を用いるか否か、用いる場合にはその気孔率、あるいは、非接着シート28や第2板状部材27の材質や厚み等を、適宜設定すればよい。
【0065】
E.第5実施形態:
第1~第4実施形態の静電チャック10は、鉛直下方からセラミック部積層体に圧入される無機材ピース29を備えることとしたが、異なる構成としてもよい。以下では、第5実施形態として、鉛直上方からセラミック部積層体に嵌め込まれる無機材ピース129を備える構成について説明する。第5実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
【0066】
図8は、第5実施形態の静電チャック110の構成を、
図2と同様にして模式的に示す断面図である。静電チャック110のセラミック部120は、無機材ピース29に代えて無機材ピース129を備える。無機材ピース129は、鉛直上方からセラミック部積層体にねじ止めされている。第1板状部材126には、無機材ピース129を嵌めるための貫通孔126aが設けられている。また、第2板状部材127には、無機材ピース129の先端部が挿入されるための、内壁にねじ溝が形成された有底の穴部127aが形成されている。このようにすれば、第2板状部材127の接合部40側の面に、無機材ピース129に起因する凹凸が形成されることがなく、無機材ピース129に起因して静電チャック110内にかかる面圧が不均一になることを抑えることができる。
【0067】
上記した第5実施形態の静電チャック110においても、非接着シート28および第2板状部材127を備えることにより、第1実施形態と同様に、伝熱の面内均一性を高めつつ、接合部40への伝熱を抑える効果を得ることができる。また、第5実施形態では、ねじ止めされた無機材ピース129を鉛直上方から容易に着脱できるため、第1板状部材126を容易に交換することが可能になる。
【0068】
また第5実施形態の第1板状部材126では、+Z方向(鉛直上方)側の面において、外周部に段差部が設けられており、ウェハWが載置される載置面24に比べて、無機材ピース129が配置される領域の方が低く形成されている。これにより、静電チャック110にウェハWを載置する、あるいはウェハWを取り出す動作を行う際に、無機材ピース129のねじの頭部が上記動作を妨げることを抑えることができる。
【0069】
図9は、第5実施形態の第1板状部材126の、積層前の形状を模式的に表す断面図である。
図9に示すように、第1板状部材126は、非接着シート28と接する側の面が下に凸となる形状を有している。セラミック部積層体を、無機材ピース129を用いてねじ止めすると、無機材ピース129を配置した箇所は、他の部位よりも積層方向にかかる締結圧が高くなる。第1板状部材126を
図9に示すような形状とすることで、無機材ピース129から離間した載置面24の中央部付近で積層方向にかかる圧力を高めて、セラミック部積層体内にかかる面圧を均一化することができる。その結果、接合部40を介したセラミック部120とベース部30との接触状態を、面内で均一化することができる。
【0070】
なお、第5実施形態のように無機材ピースを鉛直上方からセラミック部積層体に止めつける場合に、無機材ピースをねじ止めするのではなく、第1実施形態と同様に無機材ピースを圧入することとしてもよい。また、このとき、第2実施形態と同様に、無機材ピースの先端にシール部を配置してもよい。
【0071】
F.第6実施形態:
図10は、第6実施形態の静電チャック210の構成を、
図2と同様にして模式的に示す断面図である。第6実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
【0072】
静電チャック210のセラミック部220は、第2板状部材27に代えて第2板状部材227を備える。第2板状部材227は、第1板状部材26よりも大きく形成されており、静電チャック210を積層方向に見たときに、第2板状部材227の外周部が全周にわたって、第1板状部材26の外周よりも外側に突出するように配置されている。第2板状部材227において、上記した外周側に突出する部分である突出部227bは、フォーカスリングヒータ60を配置するために用いられる。
【0073】
このような構成とすれば、載置面24の外側にフォーカスリングヒータを配置することができるため、静電チャック210の使用時に、ウェハWの温度分布を均一化でき、また、ウェハWの端部にエッチングガスが集中することによる、ウェハWの端部の過度なエッチングを抑えることができる。
【0074】
図11は、第6実施形態の変形例としての静電チャック310の構成を模式的に示す断面図である。静電チャック310は、静電チャック210と同様に、フォーカスリングヒータ60が載置されるが、
図8に示した静電チャック110と同様に、鉛直上方から無機材ピース129がねじ止めされている。
図11では、第5実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付している。
【0075】
静電チャック310のセラミック部320は、第1板状部材126に代えて第1板状部材326を備える。静電チャック310の第1板状部材326には、無機材ピース129が嵌め込まれる貫通孔326aが設けられている。この貫通孔326aの内壁は、鉛直上方側の開口部近傍に段差部が形成されて拡径されている。無機材ピース129をねじ止めしたときには、無機材ピース129のねじの頭部が上記拡径された部位に配置され、ねじの頭部の頭頂部は、第1板状部材326における鉛直上方側の面であって、上記開口部を囲む水平面326bと同等の高さ、あるいは、水平面326bよりも低くなる。これにより、無機材ピース129のねじの頭部に妨げられることなく、フォーカスリングヒータを配置することができる。
【0076】
G.第7実施形態:
図12は、第7実施形態の静電チャック410の構成を模式的に示す断面図である。第7実施形態において、第1実施形態の静電チャック10と共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
【0077】
第7実施形態の静電チャック410は、ベース部30に設けた冷媒流路32の配置に特徴がある。第7実施形態では、静電チャック410を積層方向に見たときに、載置領域Awと、載置領域Awの外側の領域、すなわち、無機材ピース29によって第1板状部材26と第2板状部材27とが接続される部位を含む領域との間で、冷媒流路32の配置の状態が異なっている。具体的には、載置領域Awでは、他の領域に比べて、冷媒流路32が密に形成されている。「冷媒流路32が密に形成される」とは、ベース部30の当該領域において、単位体積当たりの冷媒流路32が占める体積の平均値が、より大きいことをいう。
【0078】
このような構成とすれば、静電チャック410の載置面24において、面内の温度分布状態を均一化することができる。無機材ピース29によって第1板状部材26と第2板状部材27とが接続される部位を含む上記他の領域は、無機材ピース29によって強固に接合されるため、伝熱性が高く、冷媒流路32内の冷媒によって冷却され易い領域であるといえる。これに対して載置領域Awは、上記他の領域よりも接合強度が弱く伝熱性が低いために、ベース部30による冷却の効率が抑えられる。そのため、載置領域Awにおいて冷媒流路32を密に配置することで、載置領域Awにおける冷却を促進し、面内の温度分布状態を均一化することができる。
【0079】
H.他の実施形態:
上記した各実施形態では、非接着シート28を、樹脂材料、マイカ、バーミキュライト、炭素材料などにより構成したが、金属により構成してもよい。このとき、金属製の非接着シートは、チャック電極、あるいは、高周波電力印加用のRF電極として用いることとしてもよい。
【0080】
上記した各実施形態では、無機材ピースをセラミックにより形成したが、金属など、セラミック以外の無機材料により形成してもよい。この場合には、無機材ピースを構成する材料として、第1板状部材26や第2板状部材27を構成するセラミックに近い熱膨張率を示す材料を選択することが望ましい。
【0081】
上記した各実施形態では、無機材ピースは、圧入あるいはねじ止めによりセラミック部積層体を接合しているが、異なる方法、例えば接着により接合することとしてもよい。また、セラミック部とベース部30とは、接着剤を備える接合部40を用いる以外の方法により接合してもよい。
【0082】
上記した各実施形態では、第2板状部材の外周と接合部40の外周とが積層方向に重なっているが、異なる構成としてもよい。例えば、第2板状部材を大きく形成することにより、静電チャックを積層方向に見たときに、第2板状部材の外周部が全周にわたって、接合部40の外周よりも外側に突出する構成としてもよい。このような構成とすることで、第2板状部材によって接合部40を保護し、静電チャックの使用中に、第2板状部材の外周部が全周にわたって接合部40の外周よりも外側に突出するように配置されていない形態と比較して、接合部40の外周部にプラズマが当たって接合部40が劣化することを抑制できる。さらに、接合部40の外周部に、接合部40を形成する材料よりも耐食性の高い材料を配置してもよい。
【0083】
また、非接着シートを介して第1板状部材と第2板状部材とを無機材ピースを用いて接合した複合部材は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック以外の保持装置に適用してもよい。すなわち、上記複合部材であるセラミック部と、ベース部と、セラミックス部とベース部とを接合する接合部と、を備え、セラミック部の表面上に対象物を保持する他の保持装置、例えば、CVD、PVD、PLD等の真空装置用ヒータ装置や、真空チャック等にも同様に適用可能である。
【0084】
また、本開示の複合部材を、金属を主成分とするベース部とは異なる部材に接合して、保持装置以外の装置に適用してもよい。複合部材が備える第1板状部材側が高温になる装置に適用すれば、第2板状部材側に配置される部材が過度に高温になることを抑える同様の効果が得られる。
【0085】
本開示は、上述の実施形態等に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
10,110,210,310,410…静電チャック
20,120、220,320…セラミック部
23…シール部
24…載置面
26,126,326…第1板状部材
26a…穴部
27,127,227…第2板状部材
27a…貫通孔
27b…段差部
28…非接着シート
28a…貫通孔
29,129…無機材ピース
29a…鍔部
30…ベース部
32…冷媒流路
40…接合部
50…ガス供給路
52…ガス吐出口
54…隙間
60…フォーカスリングヒータ
126a,326a…貫通孔
127a…穴部
227b…突出部
326b…水平面
Aw…載置領域
W…ウェハ