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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240329BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G43/08 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021051779
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149563
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504044540
【氏名又は名称】東邦ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森久保 光男
(72)【発明者】
【氏名】青柳 知幸
(72)【発明者】
【氏名】岩井 正美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 研司
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 文博
(72)【発明者】
【氏名】石田 茂人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 慎吏
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-187167(JP,A)
【文献】特開2008-055383(JP,A)
【文献】特開2009-280294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を搬送する搬送システムであって、
物品が搬送されるN個(Nは2以上の整数)の第1搬送経路と、
N個の前記第1搬送経路のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記第1搬送経路を搬送されてきた前記物品を前記容器に収容する収容作業が行われる収容作業エリアと、
N個の前記収容作業エリアの全てを通るように配置された第2搬送経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送コンベヤと、
前記容器搬送コンベヤを制御する制御部と、を備え、
複数の前記容器には、第1種容器と、前記第1種容器とは属性が異なる第2種容器と、が含まれ、
前記制御部は、前記容器搬送コンベヤによる搬送領域を前記第2搬送経路に沿って第1領域と第2領域とに区分して、前記第1領域と前記第2領域とで互いに反対向きに前記容器を搬送するように前記容器搬送コンベヤを制御し、
前記第1領域に前記第1種容器が供給されると共に、前記第2領域に前記第2種容器が供給され、
前記制御部は、設定数M(Mは0以上N以下の整数)の前記収容作業エリアを通るように前記第1領域を設定すると共に、前記第1領域が通らない(N-M)個の前記収容作業エリアを通るように前記第2領域を設定し、
前記制御部は、前記搬送領域における前記第1領域と前記第2領域との境界位置を前記第2搬送経路に沿って変更して、前記第1領域が通る前記収容作業エリアの前記設定数Mと前記第2領域が通る前記収容作業エリアの数(N-M)とを変更する領域変更処理を実行する、搬送システム。
【請求項2】
前記容器搬送コンベヤの一端に接続され、前記第1領域に前記第1種容器を供給する第1供給装置と、
前記容器搬送コンベヤの他端に接続され、前記第2領域に前記第2種容器を供給する第2供給装置と、を備える、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第2搬送経路は、N個の前記収容作業エリアが並ぶ方向である配列方向に沿うように設定されている、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
N個の前記収容作業エリアのそれぞれにおいて、前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とが立体交差するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記設定数Mの設定変更を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記受付部で受け付けられた前記設定数Mに応じて前記領域変更処理を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記収容作業エリアにおいてこれから実施される前記収容作業の種類と各種類の作業数を示す作業情報を取得し、前記作業情報に基づいて、前記設定数Mを自動的に設定し、設定した前記設定数Mに応じて前記領域変更処理を実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
N個の前記第1搬送経路のそれぞれに沿って、前記物品が収容された前工程容器を搬送し、N個の前記収容作業エリアのそれぞれに前記物品を供給する物品供給コンベヤを備え、
前記第2搬送経路に沿って搬送される前記容器が後工程容器であり、
前記収容作業は、複数の前記前工程容器から取り出した前記物品を合わせて1つの前記後工程容器に収容する作業である、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記属性は、前記容器の色彩、形状、及び、大きさの少なくとも1つである、請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送システムの一例が、特開2009-280294号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示されたシステムでは、複数の作業エリア(21a~21h)を通るように設定された搬送経路に沿って、空の容器(VD)を搬送している。作業エリア(21a~21h)では、搬送されてきた空の容器(VD)に複数の物品を収容する収容作業が行われる。複数の物品が収容された容器(SD)は、出荷箱(E)に詰められて出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-280294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなシステムでは、複数の作業エリアのそれぞれにおいて内容の異なる作業を行ったり、複数の作業エリアで行われた作業の結果を区別したりするために、各作業内容に応じた複数種類の容器を、物品収容用の容器として用いることが求められる場合がある。しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、作業エリア(21a~21h)での収容作業に用いられる複数の容器(VD,SD)を、同じ搬送経路上で同じ方向に向けて搬送している。そのため、特許文献1に開示されたシステムにおいて、上記のように各作業内容に応じた複数種類の容器を用いたとしても、複数種類の容器が混在する状態で、それら複数種類の容器が同じ搬送経路上を同じ方向に向けて搬送されることになる。そのため、例えば対象の作業エリアにおいて第1の種類の容器を用いたいにも関わらず、当該第1の種類以外の種類の容器が対象の作業エリアにある場合には、当該第1の種類の容器が対象の作業エリアに到達するまで作業を進めることができない場合が生じ得るなど、作業エリアでの作業効率を高めることが難しい。
【0006】
一方、複数種類の容器をそれぞれ異なる搬送経路で必要な作業エリアに搬送する構成とすることも可能である。しかし、そのような構成とすると、容器の搬送経路の本数が多くなるなど搬送設備の構成が複雑になり、搬送設備の設置面積の拡大や設置コストの増大の要因となり易い。また、このような構成では、特定の種類の容器を用いる作業の作業量の変化に起因して、各種類の容器が供給される作業エリアの数を変更する場合には、容器の搬送設備の構成も変更する必要が生じることになる。そのため、各種類の容器を用いた作業の作業量の変化に柔軟に対応することが困難であった。
【0007】
上記実状に鑑みて、複数の作業エリアに複数種類の容器を区別して搬送する構成において、各作業エリアでの作業の効率化を図ることができると共に、各種類の容器を用いた作業の作業量の変化にも柔軟に対応することができる搬送システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の容器を搬送する搬送システムであって、
物品が搬送されるN個(Nは2以上の整数)の第1搬送経路と、
N個の前記第1搬送経路のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記第1搬送経路を搬送されてきた前記物品を前記容器に収容する収容作業が行われる収容作業エリアと、
N個の前記収容作業エリアの全てを通るように配置された第2搬送経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送コンベヤと、
前記容器搬送コンベヤを制御する制御部と、を備え、
複数の前記容器には、第1種容器と、前記第1種容器とは属性が異なる第2種容器と、が含まれ、
前記制御部は、前記容器搬送コンベヤによる搬送領域を前記第2搬送経路に沿って第1領域と第2領域とに区分して、前記第1領域と前記第2領域とで互いに反対向きに前記容器を搬送するように前記容器搬送コンベヤを制御し、
前記第1領域に前記第1種容器が供給されると共に、前記第2領域に前記第2種容器が供給され、
前記制御部は、設定数M(Mは0以上N以下の整数)の前記収容作業エリアを通るように前記第1領域を設定すると共に、前記第1領域が通らない(N-M)個の前記収容作業エリアを通るように前記第2領域を設定し、
前記制御部は、前記搬送領域における前記第1領域と前記第2領域との境界位置を前記第2搬送経路に沿って変更して、前記第1領域が通る前記収容作業エリアの前記設定数Mと前記第2領域が通る前記収容作業エリアの数(N-M)とを変更する領域変更処理を実行する。
【0009】
本構成によれば、容器搬送コンベヤによる搬送領域が、第2搬送経路に沿って第1領域と第2領域とに区分される。そして、第1領域では、第1種容器が第2搬送経路に沿って搬送され、第2領域では、第2種容器が第2搬送経路に沿って第1種容器とは反対向きに搬送される。そのため、第1領域が通る設定数Mの収容作業エリアに対して、第1種容器を搬送することができると共に、第2領域が通る(N-M)個の収容作業エリアに対して第2種容器を搬送することができる。これにより、各収容作業エリアに対して、特定の種類の容器を他の種類の容器と混在させずに搬送できるため、各収容作業エリアでの作業の効率化を図ることができる。また、本構成によれば、領域変更処理を実行することによって、第1領域及び第2領域のそれぞれが通る収容作業エリアの数を変更することができる。例えば、第1種容器を用いた収容作業の作業量と第2種容器を用いた収容作業の作業量との割合を変化させたい場合には、当該作業量の割合に応じて、第1種容器を用いた収容作業を行う収容作業エリアの数と第2種容器を用いた収容作業を行う収容作業エリアの数とを変化させることができる。このように、本構成によれば、搬送設備の構成を変更することなく、各種類の容器を用いた収容作業の作業量の変化に柔軟に対応することができる。以上のように、本構成によれば、複数の作業エリアに複数種類の容器を区別して搬送する構成において、各作業エリアでの作業の効率化を図ることができると共に、各種類の容器を用いた作業の作業量の変化にも柔軟に対応することができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】搬送システムの概略を示す平面図
図2】収容作業エリアを示す平面図
図3】搬送システムの制御ブロック図
図4】領域変更処理を実行するまでの制御の手順を示すフローチャート
図5】第2搬送経路の要部を模式的に示す平面図
図6】第2搬送経路における容器の動きを示す図
図7】領域変更処理実行後における第1領域と第2領域との割合の一例を示す図
図8】領域変更処理実行後における第1領域と第2領域との割合の一例を示す図
図9】その他の実施形態において領域変更処理を実行するまでの制御の手順を示すフローチャート
図10】その他の実施形態に係る搬送システムの概略を示す平面図
図11】その他の実施形態に係る搬送システムの概略を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
搬送システムは、複数の容器を搬送するシステムである。以下、搬送システムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送システム100は、物品Gを収容及び搬送する複数の自動倉庫1と、物品Gが搬送されるN個の第1搬送経路R1と、物品Gを収容するための容器Caを保管する容器保管部3と、容器Caが搬送される第2搬送経路R2と、N個の第1搬送経路R1のそれぞれに対応して設けられ、対応する第1搬送経路R1を搬送されてきた物品Gを容器Caに収容する収容作業が行われる収容作業エリアWAと、を備えている。本実施形態では、搬送システム100は、N個の第1搬送経路R1に対応して、N個の自動倉庫1を備えている。ここで、「N」は2以上の整数である。本実施形態では、「N」が「5」である場合を例示している。
【0014】
例えば、この搬送システム100では、異なる物品Gを取り扱う複数の使用者が、それぞれの物品Gの収容作業を行うことが可能となっている。本例では、N個の自動倉庫1のうちM個の自動倉庫1には、使用者Aが取り扱う物品Gが収容されており、(N-M)個の自動倉庫1には、使用者Bが取り扱う物品Gが収容されている。そして、M個の自動倉庫1に対応して、M個の収容作業エリアWAが設けられており、(N-M)個の自動倉庫1に対応して、(N-M)個の収容作業エリアWAが設けられている。図示の例では、5個の自動倉庫1のうち3個(M個)の自動倉庫1に使用者Aが取り扱う物品Gが収容されている。3個の自動倉庫1のそれぞれに収容されている物品Gは、第1搬送経路R1に沿って搬送され、対応する収容作業エリアWAに供給される。また、上記のほか2個(N-M個)の自動倉庫1に使用者Bが取り扱う物品Gが収容されている。2個の自動倉庫1のそれぞれに収容されている物品Gは、第1搬送経路R1に沿って搬送され、対応する収容作業エリアWAに供給される。
【0015】
以下では、N個の自動倉庫1のうちM個の自動倉庫1を第1自動倉庫11と称し、(N-M)個の自動倉庫1を第2自動倉庫12と称する場合がある。また、N個の収容作業エリアWAのうちM個の収容作業エリアWA、すなわち第1自動倉庫11に対応する収容作業エリアWAを第1収容作業エリアWA1と称し、(N-M)個の収容作業エリアWA、すなわち第2自動倉庫12に対応する収容作業エリアWAを第2収容作業エリアWA2と称する場合がある。例えば、第1自動倉庫11及び第1収容作業エリアWA1は、使用者Aによって使用され、第2自動倉庫12及び第2収容作業エリアWA2は、使用者Bによって使用される。なお、以下において第1自動倉庫11と第2自動倉庫12とを特に区別しない場合には、両者を「自動倉庫1」と総称する。また、第1収容作業エリアWA1と第2収容作業エリアWA2とを特に区別しない場合には、両者を「収容作業エリアWA」と総称する。
【0016】
N個の第1搬送経路R1のそれぞれは、対応する自動倉庫1と対応する収容作業エリアWAとを通るように配置されている。本実施形態では、N個の第1搬送経路R1のそれぞれは、互いに平面視で平行状に設定されている。
【0017】
第2搬送経路R2は、N個の収容作業エリアの全てを通るように配置されている。本実施形態では、第2搬送経路R2は、N個の収容作業エリアWAが並ぶ方向である配列方向Xに沿うように設定されている。
【0018】
本実施形態では、N個の収容作業エリアWAのそれぞれにおいて、第1搬送経路R1と第2搬送経路R2とが立体交差するように配置されている(図2も参照)。詳細には、第1搬送経路R1と第2搬送経路R2とが、N個の収容作業エリアWAのそれぞれにおいて、平面視で互いに直交すると共に立体交差するように配置されている。すなわち本例では、第1搬送経路R1は、配列方向Xに沿って設定された第2搬送経路R2に対して、平面視で直交する方向に沿って設定されている。
【0019】
本実施形態では、搬送システム100は、N個の第1搬送経路R1のそれぞれに沿って物品Gを搬送し、N個の収容作業エリアWAのそれぞれに物品Gを供給する物品供給コンベヤ10を備えている。本例では、物品供給コンベヤ10は、対応する自動倉庫1に収容された物品Gを、対応する収容作業エリアWAに供給する。物品供給コンベヤ10としては、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤなど、様々な構造のコンベヤを用いることができる。なお、1つの物品供給コンベヤ10は、複数のコンベヤを含んで構成されていても良い。
【0020】
詳細な図示は省略するが、自動倉庫1は、物品Gを収容する複数の物品収容部と、物品収容部への物品Gの入庫および物品収容部からの物品Gの出庫を行う搬送装置と、を備えている。本例では、N個の物品供給コンベヤ10のそれぞれは、対応する自動倉庫1の搬送装置から物品Gを受け取って、当該物品Gを、対応する収容作業エリアWAに供給する。
【0021】
図1に示すように、搬送システム100は、N個の収容作業エリアWAの全てを通るように配置された第2搬送経路R2に沿って容器Caを搬送する容器搬送コンベヤ2を備えている。少なくとも、容器搬送コンベヤ2におけるN個の収容作業エリアWAに隣接する部分が、第2搬送経路R2とされる。本例では、N個の収容作業エリアWAに隣接する部分を含む容器搬送コンベヤ2の全体が、第2搬送経路R2とされている。
【0022】
本実施形態では、容器搬送コンベヤ2による搬送領域TAが、第2搬送経路R2におけるN個の収容作業エリアWAに隣接する領域に設定されている。搬送領域TAは、第2搬送経路R2に沿って第1領域TA1と第2領域TA2とに区分されている。本例では、容器搬送コンベヤ2は、第1領域TA1と第2領域TA2とで、互いに反対向きに容器Caを搬送する。
【0023】
容器搬送コンベヤ2の搬送対象とされる複数の容器Caには、第1種容器Ca1と、第1種容器Ca1とは属性が異なる第2種容器Ca2と、が含まれる。この属性は、容器Caの色彩、形状、及び、大きさの少なくとも1つを意味している。すなわち、第1種容器Ca1と第2種容器Ca2とは、色彩、形状、及び、大きさの少なくとも1つが異なっている。これにより、第1種容器Ca1と第2種容器Ca2とを区別し易くなっている。本例では、第1種容器Ca1及び第2種容器Ca2を含む容器Caは、箱状に形成されている。但し、容器Caとしては、物品Gを運べるものであれば良く、例えば、かご車やパレットなどであっても良いし、不使用時に折り畳み可能な折り畳みコンテナなどであっても良い。
【0024】
第1種容器Ca1と第2種容器Ca2とは、第2搬送経路R2上において互いに反対向きに搬送される。この搬送システム100では、第1領域TA1に第1種容器Ca1が供給されると共に、第2領域TA2に第2種容器Ca2が供給される。本実施形態では、搬送システム100は、容器搬送コンベヤ2の一端に接続され、第1領域TA1に第1種容器Ca1を供給する第1供給装置31と、容器搬送コンベヤ2の他端に接続され、第2領域TA2に第2種容器Ca2を供給する第2供給装置32と、を備えている。
【0025】
本実施形態では、容器搬送コンベヤ2は、ループ状の経路を構成しており、容器搬送コンベヤ2の両端は、1つの容器保管部3に接続されている。そして、第1供給装置31及び第2供給装置32は、容器保管部3の内部に設けられている。第1供給装置31は、容器保管部3の内部において容器搬送コンベヤ2の一端に接続され、第2供給装置32は、容器保管部3の内部において容器搬送コンベヤ2の他端に接続されている。容器保管部3には、複数の第1種容器Ca1および複数の第2種容器Ca2が保管されている。第1供給装置31は、容器保管部3に保管されている第1種容器Ca1を容器搬送コンベヤ2に引き渡すように構成されており、当該第1種容器Ca1は、容器搬送コンベヤ2により搬送されて第1領域TA1に供給される。第2供給装置32は、容器保管部3に保管されている第2種容器Ca2を容器搬送コンベヤ2に引き渡すように構成されており、当該第2種容器Ca2は、容器搬送コンベヤ2により搬送されて第2領域TA2に供給される。
【0026】
容器搬送コンベヤ2は、第1供給装置31から受け取った第1種容器Ca1を、少なくとも第1領域TA1を通り、第2領域TA2を通らないように搬送する。また、容器搬送コンベヤ2は、第2供給装置32から受け取った第2種容器Ca2を、少なくとも第2領域TA2を通り、第1領域TA1を通らないように搬送する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態では、容器搬送コンベヤ2は、複数のローラを有するローラコンベヤにより構成されている。そして、複数のローラのそれぞれは、独立して正転、逆転、又は停止するように構成されている。すなわち、容器搬送コンベヤ2は、第2搬送経路R2上にある複数の容器Caのそれぞれを独立させて、第2搬送経路R2における任意の位置で停止及び移動させることが可能に構成されている。本例では、複数のローラのそれぞれは、モータが内蔵された、いわゆるモータローラとして構成されている。このような構成により、図1に示すように、容器搬送コンベヤ2は、第1領域TA1と第2領域TA2とで容器Caを反対向きに搬送可能となっている。また、上述のように、容器搬送コンベヤ2は、第1供給装置31から受け取った第1種容器Ca1を、少なくとも第1領域TA1を通り、第2領域TA2を通らないように搬送可能となっている。また、容器搬送コンベヤ2は、第2供給装置32から受け取った第2種容器Ca2を、少なくとも第2領域TA2を通り、第1領域TA1を通らないように搬送可能となっている。
【0028】
本実施形態では、自動倉庫1の物品Gは、前工程容器Cbに収容された状態で物品供給コンベヤ10によって第1搬送経路R1上を搬送される。すなわち、N個の物品供給コンベヤ10のそれぞれは、N個の第1搬送経路R1のそれぞれに沿って、物品Gが収容された前工程容器Cbを搬送し、N個の収容作業エリアWAのそれぞれに物品Gを供給する。
【0029】
本実施形態では、N個の収容作業エリアWAのそれぞれにおいて行われる収容作業は、複数の前工程容器Cbから取り出した物品Gを合わせて1つの後工程容器Caに収容する作業である。本実施形態では、第2搬送経路R2に沿って搬送される容器Caが後工程容器Caである。すなわち、第1種容器Ca1及び第2種容器Ca2の双方が、後工程容器Caに相当する。
【0030】
本実施形態では、後工程容器Caである第1種容器Ca1は、第1自動倉庫11から出庫される物品Gをまとめて収容するために用いられる。容器搬送コンベヤ2によって第1領域TA1に供給された第1種容器Ca1は、第1収容作業エリアWA1において作業者によって第2搬送経路R2から取り出される。そして、作業者は、前工程容器Cbに収容された状態で第1自動倉庫11から出庫される物品Gが第1収容作業エリアWA1に到達すると、当該前工程容器Cbから物品Gを取り出して第1種容器Ca1に収容する作業を行う。ここでは、1つ又は複数の前工程容器Cbから取り出された物品Gが第1種容器Ca1に収容される。第1種容器Ca1に収容された物品Gは、次の目的の場所へ搬送される。本例では、搬送システム100は、出荷コンベヤ4を備えており、第1種容器Ca1に収容された物品Gは、出荷コンベヤ4によって目的の場所へ出荷される。物品Gが取り出されて空となった前工程容器Cbは、返送コンベヤ5によって元の第1自動倉庫11へ返送される。
【0031】
また、図2に示すように、後工程容器Caである第2種容器Ca2は、第2自動倉庫12(図1参照)から出庫される物品Gをまとめて収容するために用いられる。容器搬送コンベヤ2によって第2領域TA2に供給された第2種容器Ca2は、第2収容作業エリアWA2において作業者によって第2搬送経路R2から取り出される。そして、作業者は、前工程容器Cbに収容された状態で第2自動倉庫12から出庫される物品Gが第2収容作業エリアWA2に到達すると、当該前工程容器Cbから物品Gを取り出して第2種容器Ca2に収容する作業を行う。ここでは、1つ又は複数の前工程容器Cbから取り出された物品Gが第2種容器Ca2に収容される。第2種容器Ca2に収容された物品Gは、次の目的の場所へ搬送される。本例では、第1種容器Ca1に収容された物品Gは、出荷コンベヤ4によって目的の場所へ出荷される。物品Gが取り出されて空となった前工程容器Cbは、返送コンベヤ5によって元の第2自動倉庫12へ返送される。
【0032】
次に、図3も参照して、搬送システム100の制御構成について説明する。
【0033】
搬送システム100は、システム全体を統括して管理する統括制御装置Htと、容器搬送コンベヤ2を制御する制御部H2と、を備えている。本実施形態では、統括制御装置Htは、第1供給装置31、第2供給装置32、M個の自動倉庫1(物品供給コンベヤ10)、及び、M個の収容作業エリアWAを統括して管理している。統括制御装置Ht及び制御部H2は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0034】
本実施形態では、統括制御装置Htは、収容作業エリアWAにおいてこれから実施される収容作業の種類と各種類の作業数を示す作業情報Iwを、制御部H2に対して送信するように構成されている。制御部H2は、作業情報Iwに基づいて容器搬送コンベヤ2を制御可能に構成されている。
【0035】
制御部H2は、容器搬送コンベヤ2による搬送領域TAを第2搬送経路R2に沿って第1領域TA1と第2領域TA2とに区分して、第1領域TA1と第2領域TA2とで互いに反対向きに容器Caを搬送するように容器搬送コンベヤ2を制御する(図1も参照)。
【0036】
また、制御部H2は、設定数Mの収容作業エリアWAを通るように第1領域TA1を設定すると共に、第1領域TA1が通らない(N-M)個の収容作業エリアWAを通るように第2領域TA2を設定する。ここで、「M」は、0以上「N」以下の整数である。上述のように本実施形態では、「N」が「5」である場合を例示しており、この場合、「M」は0以上「5」以下の整数である。図1に示す例では、制御部H2が、3個の第1収容作業エリアWA1を通るように第1領域TA1を設定し、2個の第2収容作業エリアWA2を通るように第2領域TA2を設定している。
【0037】
そして、制御部H2は、搬送領域TAにおける第1領域TA1と第2領域TA2との境界位置B(図5等参照)を第2搬送経路R2に沿って変更して、第1領域TA1が通る収容作業エリアWAの設定数Mと第2領域TA2が通る収容作業エリアWAの数(N-M)とを変更する領域変更処理を実行することが可能に構成されている。これにより、例えば、第1種容器Ca1を用いた収容作業の作業量と第2種容器Ca2を用いた収容作業の作業量との割合を変化させたい場合には、当該作業量の割合に応じて、第1種容器Ca1を用いた収容作業を行う収容作業エリアWAの数と第2種容器Ca2を用いた収容作業を行う収容作業エリアWAの数とを変化させることができる。換言すれば、M個の収容作業エリアWAにおける第1収容作業エリアWA1が占める割合と第2収容作業エリアWA2が占める割合とを変更することができる。これにより、各種類の容器Caを用いた作業の作業量の変化にも柔軟に対応することが可能となっている。
【0038】
図5等に示すように、本実施形態では、N個の収容作業エリアWAにおける、隣り合う収容作業エリアWAどうしの間に、エリア間基準位置PAが設定されている。本例では、第1領域TA1と第2領域TA2との境界位置Bは、複数のエリア間基準位置PAの何れかに対応した位置に設定される。制御部H2は、領域変更処理を実行する場合には、設定数Mに基づいて、複数のエリア間基準位置PAのうちから1つを選択して、選択したエリア間基準位置PAに対応した位置に境界位置Bを設定する。
【0039】
本実施形態では、搬送システム100は、設定数Mの設定変更を受け付ける受付部6を備えている。そして、制御部H2は、受付部6で受け付けられた設定数Mに応じて領域変更処理を実行する。受付部6は、入力装置や表示装置、或いはそれらが複合された操作パネル等により構成されている。例えば、受付部6は、作業者等による設定数Mの設定変更の入力によって当該設定変更を受け付ける。
【0040】
図4に示すように、本実施形態では、制御部H2は、設定数Mの設定変更が受付部6によって受け付けられたか否かを判断する(#11)。制御部H2は、設定数Mの設定変更が受付部6によって受け付けられた場合には(#11:Yes)、受け付けられた設定変更に係る設定数Mを取得する(#12)。そして、制御部H2は、取得した設定数Mに基づいて、領域変更処理を実行する(#13)。
【0041】
次に、図5図8を参照して、第2搬送経路R2の搬送領域TAにおける容器搬送コンベヤ2の動作、及び領域変更処理について説明する。
【0042】
図5は、境界位置Bが第4エリア間基準位置PA4に対応する位置に設定され、設定数Mが「4」に設定されている場合を例示している。すなわち、5個の収容作業エリアWAのうち4個(M個)が第1収容作業エリアWA1となっており、1個(N-M個)が第2収容作業エリアWA2となっている。上述のように、収容作業エリアWAでは、第2搬送経路R2から容器Caが取り出されて、当該容器Caに物品Gが収容される。なお、ここでは、説明の便宜上、図中における複数のエリア間基準位置PAを、左から順番に第1~第4エリア間基準位置PA1~PA4としている。
【0043】
本実施形態では、制御部H2は、第2搬送経路R2上において複数の容器Caが等間隔で配置されるように容器搬送コンベヤ2を制御する。ここでの「等間隔」とは、第2搬送経路R2の何れの箇所においても、第2搬送経路R2上において隣り合う容器Caどうしの間隔が全く同じである場合の他、第2搬送経路R2の箇所によっては、ある程度の誤差をも含む概念である。本実施形態では、制御部H2は、第2搬送経路R2上において隣り合う容器Caどうしの間隔が、少なくとも容器Ca1つ分の大きさ以上の間隔とならないように、容器搬送コンベヤ2を制御する。具体的には、図6に示すように、制御部H2は、第2搬送経路R2から容器Caが取り出された場合には、取り出された容器Caの間隔を詰めるように、それよりも後方にある複数の容器Caの全てを前方へ搬送させるように容器搬送コンベヤ2を制御する。
【0044】
次に、領域変更処理について説明する。例えば、図5の状態から、設定数Mが「1」とされて領域変更処理が実行された場合には、図7の状態となる。この場合には、境界位置Bが、第4エリア間基準位置PA4から第1エリア間基準位置PA1に対応する位置に変更されて、設定数Mが「4」から「1」に変更されている。図7では、5個の収容作業エリアWAのうち1個(M個)が第1収容作業エリアWA1となっており、4個(N-M個)が第2収容作業エリアWA2となっている。
【0045】
なお、上記のような領域変更処理が実行される前には、図5に示すように、第1エリア間基準位置PA1から第4エリア間基準位置PA4までの間にある第1種容器Ca1(容器Ca)が作業者等によって第2搬送経路R2から取り除かれる。そして、取り除かれた複数の第1種容器Ca1の間隔、換言すれば第1エリア間基準位置PA1から第4エリア間基準位置PA4までの間隔を詰めるように、第4エリア間基準位置PA4よりも外側(図5における右側)にあった複数の第2種容器Ca2が前方へ搬送される。そして、図7に示すように、第1エリア間基準位置PA1を境界位置Bとして、当該境界位置Bを挟んで両側に、第1種容器Ca1と第2種容器Ca2とが配置された状態となる。
【0046】
図8は、設定数Mが「N」に設定された場合を例示している。上述のように、「M」は、0以上「N」以下の整数であるため、M=Nと設定することもできる。図8は、設定数Mが「5」に設定されている場合を示している(なお、本例ではN=5である。)。すなわち、5個の収容作業エリアWAの全てが第1収容作業エリアWA1となっており、5個の第1収容作業エリアWA1に対応する位置に第1種容器Ca1が配置される。
【0047】
本実施形態では、N個の収容作業エリアWAのうち両端の収容作業エリアWAのそれぞれの外側に対応する位置に、エリア外基準位置PXが設定されている。図示の例では、5個の収容作業エリアWAのうち左端(一端)の収容作業エリアWAの外縁に対応する位置に、第1エリア外基準位置PX1が設定されている。そして、5個の収容作業エリアWAのうち右端(他端)の収容作業エリアWAの外縁に対応する位置に、第2エリア外基準位置PX2が設定されている。本実施形態では、制御部H2は、設定数MをNに設定(本例では「5」に設定)して領域変更処理を実行する場合において、エリア外基準位置PX(図示の例では第1エリア外基準位置PX1)に対応した位置に境界位置Bを設定する。
【0048】
また、「M」は、0以上「N」以下の整数であるため、設定数Mを「0」に設定することもできる。詳細な図示は省略するが、本実施形態では、制御部H2は、設定数Mを「0」に設定して領域変更処理を実行する場合において、エリア外基準位置PX(図示の例では第2エリア外基準位置PX2)に対応した位置に境界位置Bを設定する。このように設定した場合、図8の状態とは反対に、5個の収容作業エリアWAの全てが第2収容作業エリアWA2となり、5個の第2収容作業エリアWA2に対応する位置に第2種容器Ca2が配置される。
【0049】
以上説明したように、本開示に係る搬送システム100によれば、第1領域TA1が通る設定数Mの収容作業エリアWAに対して、第1種容器Ca1を搬送することができると共に、第2領域TA2が通る(N-M)個の収容作業エリアWAに対して第2種容器Ca2を搬送することができる。これにより、各収容作業エリアWAに対して、特定の種類の容器Caを他の種類の容器Caと混在させずに搬送できるため、各収容作業エリアWAでの作業の効率化を図ることができる。また、第1種容器Ca1を用いた収容作業の作業量と第2種容器Ca2を用いた収容作業の作業量との割合を変化させたい場合には、当該作業量の割合に応じて、第1種容器Ca1を用いた収容作業を行う収容作業エリアWAの数と第2種容器Ca2を用いた収容作業を行う収容作業エリアWAの数とを変化させることができる。従って、搬送設備の構成を変更することなく、各種類の容器Caを用いた収容作業の作業量の変化に柔軟に対応することができる。
【0050】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送システムのその他の実施形態について説明する。
【0051】
(1)上記の実施形態では、制御部H2が、受付部6で受け付けられた設定数Mに応じて領域変更処理を実行する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、図9に示すように、制御部H2は、収容作業エリアWAにおいてこれから実施される収容作業の種類と各種類の作業数を示す作業情報Iwを取得し(#21)、作業情報に基づいて、設定数Mを自動的に設定し(#22)、設定した設定数Mに応じて領域変更処理を実行しても良い(#23)。例えば、制御部H2は、作業情報Iwに基づいて、これから実施される、第1種容器Ca1を用いた収容作業の作業量と第2種容器Ca2を用いた収容作業の作業量との比率を求め、設定数Mと(N-M)との比が当該比率に近くなるように自動的に設定数Mを設定すると好適である。
【0052】
(2)上記の実施形態では、容器搬送コンベヤ2が、ループ状の経路を構成しており、容器搬送コンベヤ2の両端が、1つの容器保管部3の内部に接続されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図10に示すように、容器搬送コンベヤ2は、直線状の経路を構成していても良い。この場合、容器搬送コンベヤ2の一端と他端とは、それぞれ別の容器保管部3に接続されていても良い。図示の例では、2つの容器保管部3のうち一方に第1供給装置31が設けられ、当該第1供給装置31から容器搬送コンベヤ2の一端に第1種容器Ca1が引き渡される。そして、2つの容器保管部3のうち他方に第2供給装置32が設けられ、当該第2供給装置32から容器搬送コンベヤ2の他端に第2種容器Ca2が引き渡される。
【0053】
(3)上記の実施形態では、搬送システム100は、N個の収容作業エリアの全てを通るように配置された第2搬送経路R2を備えている例について説明したが、搬送システム100は、例えば図11に示すように、第2搬送経路R2に加えて、N個の収容作業エリアの全てを通るように配置された他の搬送経路(図示の例では第3搬送経路R3)を備えていても良い。第3搬送経路R3についても、第1領域TA1と第2領域TA2とに区分され、容器Caは、これら第1領域TA1と第2領域TA2とで互いに反対向きに搬送されると良い。これにより、第1種容器Ca1及び第2種容器Ca2に加えて、これらとは異なる種類の容器Ca(例えば第3種容器Ca3及び第4種容器Ca4)を用いることが可能となる。この場合、第3搬送経路R3では、容器搬送コンベヤ2の一端は、第3種容器Ca3を供給する第3供給装置33を備えていると良く、容器搬送コンベヤ2の他端は、第4種容器Ca4を供給する第4供給装置34を備えていると良い。
【0054】
(4)上記の実施形態では、余剰となる容器Caが作業者等によって第2搬送経路R2から取り除かれた後に、領域変更処理を実行する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、容器搬送コンベヤ2によって、第2搬送経路R2にある全ての容器Caを同じ方向に移動させることにより、領域変更処理を実行しても良い。例えば、領域変更処理によって図5の状態から図7の状態にする場合、第2搬送経路R2にある全ての第1種容器Ca1及び全ての第2種容器Ca2を、図中左方向(黒矢印で示す方向)に移動させることによって、境界位置Bを第4エリア間基準位置PA4から第1エリア間基準位置PA1に移動させても良い。
【0055】
(5)上記の実施形態では、第1搬送経路R1及び収容作業エリアWAの数を示す「N」が、「5」である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、「N」は、2以上の整数であれば良い。すなわち、搬送システム100は、2個以上の第1搬送経路R1及び収容作業エリアWAを備えていてれば良い。
【0056】
(6)上記の実施形態では、N個の第1搬送経路R1のそれぞれが、互いに平面視で平行となるように設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、N個の第1搬送経路R1それぞれは、N個の収容作業エリアWAのうち対応する収容作業エリアWAを通るように設定されていれば、互いに異なる方向に沿って設定されていても良い。
【0057】
(7)上記の実施形態では、第2搬送経路R2が、N個の収容作業エリアWAが並ぶ配列方向Xに沿うように設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2搬送経路R2は、N個の収容作業エリアWAの全てを通るように設定されていれば、配列方向Xに対して交差する方向に沿って設定されていても良い。
【0058】
(8)上記の実施形態では、物品Gが、前工程容器Cbに収容された状態で物品供給コンベヤ10によって第1搬送経路R1上を搬送される例について説明した。しかし、物品Gは、前工程容器Cbに収容されていない状態で第1搬送経路R1上を搬送されても良い。すなわち、物品供給コンベヤ10は、物品Gをそのままの状態で搬送するように構成されていても良い。
【0059】
(9)上記の実施形態では、搬送システム100が、物品Gを収容及び搬送する複数の自動倉庫1、より詳しくは、N個の第1搬送経路R1に対応してN個の自動倉庫1を備えている例について説明した。しかし、自動倉庫1の数は、第1搬送経路R1の数Nと一致していなくても良い。自動倉庫1の数が第1搬送経路R1の数Nより少なくても良く、例えば、N個の第1搬送経路R1に対して自動倉庫1が1つのみ備えられていても良い。これらの場合では、各自動倉庫1から任意の第1搬送経路R1に物品Gを搬送できるように搬送経路が構成されていると好適である。また、搬送システム100は、このような自動倉庫1を備えていなくても良い。
【0060】
(10)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0061】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送システムについて説明する。
【0062】
複数の容器を搬送する搬送システムであって、
物品が搬送されるN個(Nは2以上の整数)の第1搬送経路と、
N個の前記第1搬送経路のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記第1搬送経路を搬送されてきた前記物品を前記容器に収容する収容作業が行われる収容作業エリアと、
N個の前記収容作業エリアの全てを通るように配置された第2搬送経路に沿って前記容器を搬送する容器搬送コンベヤと、
前記容器搬送コンベヤを制御する制御部と、を備え、
複数の前記容器には、第1種容器と、前記第1種容器とは属性が異なる第2種容器と、が含まれ、
前記制御部は、前記容器搬送コンベヤによる搬送領域を前記第2搬送経路に沿って第1領域と第2領域とに区分して、前記第1領域と前記第2領域とで互いに反対向きに前記容器を搬送するように前記容器搬送コンベヤを制御し、
前記第1領域に前記第1種容器が供給されると共に、前記第2領域に前記第2種容器が供給され、
前記制御部は、設定数M(Mは0以上N以下の整数)の前記収容作業エリアを通るように前記第1領域を設定すると共に、前記第1領域が通らない(N-M)個の前記収容作業エリアを通るように前記第2領域を設定し、
前記制御部は、前記搬送領域における前記第1領域と前記第2領域との境界位置を前記第2搬送経路に沿って変更して、前記第1領域が通る前記収容作業エリアの前記設定数Mと前記第2領域が通る前記収容作業エリアの数(N-M)とを変更する領域変更処理を実行する。
【0063】
本構成によれば、容器搬送コンベヤによる搬送領域が、第2搬送経路に沿って第1領域と第2領域とに区分される。そして、第1領域では、第1種容器が第2搬送経路に沿って搬送され、第2領域では、第2種容器が第2搬送経路に沿って第1種容器とは反対向きに搬送される。そのため、第1領域が通る設定数Mの収容作業エリアに対して、第1種容器を搬送することができると共に、第2領域が通る(N-M)個の収容作業エリアに対して第2種容器を搬送することができる。これにより、各収容作業エリアに対して、特定の種類の容器を他の種類の容器と混在させずに搬送できるため、各収容作業エリアでの作業の効率化を図ることができる。また、本構成によれば、領域変更処理を実行することによって、第1領域及び第2領域のそれぞれが通る収容作業エリアの数を変更することができる。例えば、第1種容器を用いた収容作業の作業量と第2種容器を用いた収容作業の作業量との割合を変化させたい場合には、当該作業量の割合に応じて、第1種容器を用いた収容作業を行う収容作業エリアの数と第2種容器を用いた収容作業を行う収容作業エリアの数とを変化させることができる。このように、本構成によれば、搬送設備の構成を変更することなく、各種類の容器を用いた収容作業の作業量の変化に柔軟に対応することができる。以上のように、本構成によれば、複数の作業エリアに複数種類の容器を区別して搬送する構成において、各作業エリアでの作業の効率化を図ることができると共に、各種類の容器を用いた作業の作業量の変化にも柔軟に対応することができる。
【0064】
ここで、前記容器搬送コンベヤの一端に接続され、前記第1領域に前記第1種容器を供給する第1供給装置と、
前記容器搬送コンベヤの他端に接続され、前記第2領域に前記第2種容器を供給する第2供給装置と、を備えると好適である。
【0065】
本構成によれば、容器搬送コンベヤの一端側から第1種容器を搬送し、他端側から第2種容器を搬送することができる。そのため、第1領域と第2領域とで互いに反対向きに容器を搬送して、第1領域において第1種容器を搬送し、第2領域において第2種容器を搬送する構成を実現し易い。
【0066】
また、前記第2搬送経路は、N個の前記収容作業エリアが並ぶ方向である配列方向に沿うように設定されている、と好適である。
【0067】
本構成によれば、第1領域が設定数Mの収容作業エリアを通り、かつ、第2領域が(N-M)個の収容作業エリアを通る構成を実現し易い。
【0068】
また、N個の前記収容作業エリアのそれぞれにおいて、前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とが立体交差するように配置されている、と好適である。
【0069】
本構成によれば、各収容作業エリアにおいて、第1搬送経路を搬送されてくる物品と第2搬送経路を搬送されてくる容器とを取り扱い易くすることができるため、各収容作業エリアにおける作業効率を向上させることができる。また、第1搬送経路と第2搬送経路との配置の自由度も確保し易くすることができる。
【0070】
また、前記設定数Mの設定変更を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記受付部で受け付けられた前記設定数Mに応じて前記領域変更処理を実行する、と好適である。
【0071】
本構成によれば、受付部を操作する作業者等の裁量によって、第1領域が通る収容作業エリアの数と第2領域が通る収容作業エリアの数とを調節することができる。
【0072】
また、前記制御部は、前記収容作業エリアにおいてこれから実施される前記収容作業の種類と各種類の作業数を示す作業情報を取得し、前記作業情報に基づいて、前記設定数Mを自動的に設定し、設定した前記設定数Mに応じて前記領域変更処理を実行する、と好適である。
【0073】
本構成によれば、各収容作業エリアにおいてこれから実施される収容作業の種類と各種類の作業数とに応じて、第1領域が通る収容作業エリアの数と第2領域が通る収容作業エリアの数とを、それらの割合が適切になるように自動的に調節することができる。
【0074】
また、N個の前記第1搬送経路のそれぞれに沿って、前記物品が収容された前工程容器を搬送し、N個の前記収容作業エリアのそれぞれに前記物品を供給する物品供給コンベヤを備え、
前記第2搬送経路に沿って搬送される前記容器が後工程容器であり、
前記収容作業は、複数の前記前工程容器から取り出した前記物品を合わせて1つの前記後工程容器に収容する作業である、と好適である。
【0075】
本構成によれば、各収容作業エリアにおいて、前工程容器に収容された複数の物品を後工程容器に集める集荷作業を適切に行うことができる。
【0076】
また、前記属性は、前記容器の色彩、形状、及び、大きさの少なくとも1つである、と好適である。
【0077】
本構成によれば、色彩、形状、及び、大きさの少なくとも1つが互いに異なる第1種容器と第2種容器とを用いて、各収容作業エリアにおいて行われた収容作業の結果を適切に区別することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示に係る技術は、複数の容器を搬送する搬送システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
100 :搬送システム
H2 :制御部
2 :容器搬送コンベヤ
6 :受付部
10 :物品供給コンベヤ
31 :第1供給装置
32 :第2供給装置
WA :収容作業エリア
Ca :容器(後工程容器)
Ca1 :第1種容器
Ca2 :第2種容器
Cb :前工程容器
G :物品
M :設定数
R1 :第1搬送経路
R2 :第2搬送経路
TA :搬送領域
TA1 :第1領域
TA2 :第2領域
B :境界位置
Iw :作業情報
X :配列方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11