(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】人材育成支援システム、連携支援システム、方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/632 20190101AFI20240329BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20240329BHJP
【FI】
G06F16/632
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2021131148
(22)【出願日】2021-08-11
【審査請求日】2021-08-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518112996
【氏名又は名称】アフラック生命保険株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521165747
【氏名又は名称】ゼネラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正則
(72)【発明者】
【氏名】平谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】田中 健人
(72)【発明者】
【氏名】下谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 君予
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】山崎 慎一
【審判官】吉田 美彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133451(JP,A)
【文献】特開2020-160336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0198011(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0251859(US,A1)
【文献】特開2021-056668(JP,A)
【文献】株式会社NTTデータ,Com Analyzerのご紹介,FIT2020 金融国際情報技術展 [online] ,2020年10月09日,Internet<URL:https://fit.nikkin.co.jp/assets/uploads/files/sps_post_file/2016_20200923201645_5f6b2e9daa3ca.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F16/632
G06Q50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーナーまたはトレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システムと連携して動作する人材育成支援システムであって、
前記オンライン会議システムから直接的または間接的に前記アクセス先情報を取得
し、前記仮想会議室におけるオンライン会議が開始されるまで待機し、当該オンライン会議が開始されると待機状態を解除する支援制御部と、
前記
待機状態の解除に応じて、前記アクセス先情報を用いて前記仮想会議室にアクセスするように構成され、前記仮想会議室に参加する前記トレーナー及び前記トレーニーの間でなされた対話の発話データを取得するように構成された対話処理部と、
前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うように構成された音声解析部と、
前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するように構成された評価生成部と、
前記評価データを格納する評価データベースと
を備えることを特徴とする人材育成支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の人材育成支援システムであって、
前記トレーナー及び前記トレーニーのうちの少なくとも一方が使用する外部の通信端末と通信ネットワークを介して通信するように構成された通信インタフェースをさらに備え、
前記支援制御部は、前記外部の通信端末から前記通信インタフェースを介して設定情報を受け付ける機能を有し、
前記設定情報は、前記アクセス先情報を含む、人材育成支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人材育成支援システムであって、前記評価生成部は、前記評価基準情報に含まれる単数または複数の評価キーワードと前記音声解析の結果との間で前記マッチングを実行するように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の人材育成支援システムであって、前記評価基準情報は、前記複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子との組合せを有する、人材育成支援システム。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の人材育成支援システムであって、前記音声解析部は、前記発話テキストに自然言語処理を施すことにより前記音声解析を行うように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の人材育成支援システムであって、前記支援制御部は、外部の通信端末からのリクエストで指定された評価データを前記評価データベースから取得し、当該取得された評価データに基づいて評価結果を表示可能とする表示用データを生成して前記表示用データを送信する機能をさらに有する、人材育成支援システム。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の人材育成支援システムと、前記オンライン会議システムとを備える連携支援システム。
【請求項8】
トレーナーまたはトレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システムと連携して動作する人材育成支援システムにおいて実行される方法であって、
前記仮想会議室におけるオンライン会議が開始される
まで待機し、
当該オンライン会議が開始されると待機状態を解除するステップと、
前記待機状態の解除に応じて、前記オンライン会議システムから直接的または間接的に取得された前記アクセス先情報を用いて前記仮想会議室にアクセスするステップと、
前記仮想会議室に参加する前記トレーナー及び前記トレーニーの間でなされた対話の発話データを取得するステップと、
前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うステップと、
前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行するステップと、
前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するステップと、
前記評価データを評価データベースに格納するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記トレーナー及び前記トレーニーのうちの少なくとも一方が使用する外部の通信端末から通信インタフェースを介して入力された設定情報を受け付けるステップをさらに備え、
前記設定情報はアクセス先情報を含む、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、前記マッチングは、前記評価基準情報に含まれる単数または複数の評価キーワードと前記音声解析の結果との間で実行される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の人材育成支援システムであって、前記評価基準情報は、前記複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子との組合せを有する、人材育成支援システム。
【請求項12】
請求項8から11のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記音声解析は、前記発話テキストに自然言語処理を施すことにより行われる、方法。
【請求項13】
請求項8から12のうちのいずれか1項に記載の方法であって、
外部の通信端末からのリクエストで指定された評価データを前記評価データベースから取得するステップと、
当該取得された評価データに基づいて評価結果を表示可能とする表示用データを生成するステップと、
前記表示用データを送信するステップと
をさらに備える方法。
【請求項14】
不揮発性メモリから読み出されて単数または複数のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムであって、請求項8から13のうちのいずれか1項に記載の方法を前記単数または複数のプロセッサに実施させるように構成されたことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
トレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室を開設し、前記仮想会議室に参加する当該トレーニーとの間で自動対話によるロールプレイングを実行しつつ前記トレーニーの発話データを取得するように構成された対話処理部と、
前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うように構成された音声解析部と、
前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するように構成された評価生成部と、
前記評価データを格納する評価データベースと、
前記トレーニーが使用する外部の通信端末から通信インタフェースを介して設定情報を受け付けるように構成された支援制御部と、
複数の仮想的な人物像を仮想トレーナーとしてそれぞれ表現するための複数のペルソナデータセットを含むペルソナデータベースと、
複数の想定場面を表すための複数の場面データセットを含む場面データベースと
を備え、
前記支援制御部は、
前記複数の想定場面の中から
、少なくともシナリオと顧客属性との組合せからなる一の想定場面を選択する第1の設定情報を前記外部の通信端末から前記通信インタフェースを介して受け付け、
前記複数の仮想的な人物像の中から、前記第1の設定情報で選択された一の想定場面と適合する仮想的な人物像の候補を少なくとも1つ選択し、
前記候補の中から一の仮想的な人物像の選択を促す設定画面を前記外部の通信端末に表示させ、
前記候補の中から一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして選択する第2の設定情報を前記外部の通信端末から前記通信インタフェースを介して受け付けるように構成されており、
前記対話処理部は、
前記ペルソナデータベースから、前記第2の設定情報で選択された一の仮想的な人物像を表現するためのペルソナデータセットを取得し、
前記場面データベースから、前記第1の設定情報で選択された一の想定場面を表すための場面データセットを取得し、
当該取得された場面データセットと当該取得されたペルソナデータセットとを用いて、当該一の想定場面に基づき、前記トレーニーとの間で前記仮想トレーナーとして前記ロールプレイングを行うように構成されている、
人材育成支援システム。
【請求項16】
請求項15に記載の人材育成支援システムであって、前記対話処理部は、前記仮想トレーナーのキャラクタを模したモデル画像を動的に生成して前記モデル画像を前記仮想会議室に供給するように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項17】
請求項15または16に記載の人材育成支援システムであって、前記評価生成部は、前記評価基準情報に含まれる単数または複数の評価キーワードと前記音声解析の結果との間で前記マッチングを実行するように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項18】
請求項17に記載の人材育成支援システムであって、
前記評価基準情報は、複数の対話セクションの各々に対して設定された単数または複数の評価キーワードを有し、
前記評価生成部は、前記マッチングを実行して前記対話セクションごとに前記評価データを生成するように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項19】
請求項17または18に記載の人材育成支援システムであって、前記評価基準情報は、前記複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子との組合せを有する、人材育成支援システム。
【請求項20】
請求項15から19のうちのいずれか1項に記載の人材育成支援システムであって、前記支援制御部は、外部の通信端末からのリクエストで指定された評価データを前記評価データベースから取得し、当該取得された評価データに基づいて評価結果を表示可能とする表示用データを生成して前記表示用データを送信する機能をさらに有する、人材育成支援システム。
【請求項21】
請求項15から20のうちのいずれか1項に記載の人材育成支援システムであって、前記音声解析部は、前記発話テキストに自然言語処理を施すことにより前記音声解析を行うように構成されている、人材育成支援システム。
【請求項22】
トレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室を開設し、前記仮想会議室に参加する当該トレーニーとの間で自動対話によるロールプレイングを実行するように構成された人材育成支援システムにおいて実行される方法であって、
複数の想定場面の中から
、少なくともシナリオと顧客属性との組合せからなる一の想定場面を選択する第1の設定情報を、前記トレーニーが使用する外部の通信端末から通信インタフェースを介して受け付けるステップと、
複数の仮想的な人物像の中から、前記第1の設定情報で選択された一の想定場面と適合する仮想的な人物像の候補を少なくとも1つ選択するステップと、
前記候補の中から一の仮想的な人物像の選択を促す設定画面を前記外部の通信端末に表示させるステップと、
前記候補の中から一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして選択する第2の設定情報を、前記外部の通信端末から前記通信インタフェースを介して受け付けるステップと、
前記複数の仮想的な人物像をそれぞれ表現するための複数のペルソナデータセットを含むペルソナデータベースから、前記第2の設定情報で選択された一の仮想的な人物像を表現するためのペルソナデータセットを取得するステップと、
前記複数の想定場面を表すための複数の場面データセットを含む場面データベースから、前記第1の設定情報で選択された一の想定場面を表すための場面データセットを取得するステップと、
当該取得された場面データセットと当該取得されたペルソナデータセットとを用いて、当該選択された一の想定場面に基づき、前記トレーニーとの間で前記仮想トレーナーとして前記ロールプレイングを行うステップと、
前記ロールプレイングが実行される際の前記トレーニーの発話データを取得するステップと、
前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うステップと、
前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行するステップと、
前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するステップと、
前記評価データを評価データベースに格納するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記仮想トレーナーのキャラクタを模したモデル画像を動的に生成して前記モデル画像を前記仮想会議室に供給するステップをさらに備える方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記マッチングは、前記評価基準情報に含まれる単数または複数の評価キーワードと前記音声解析の結果との間で実行される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
複数の対話セクションの対話セクションごとに前記評価データを生成するステップをさらに備え、
前記評価基準情報は、前記複数の対話セクションの各々に対して設定された単数または複数の評価キーワードを有する、方法。
【請求項26】
請求項24または25に記載の方法であって、前記評価基準情報は、前記複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子との組合せを有する、方法。
【請求項27】
請求項22から26のうちのいずれか1項に記載の方法であって、
外部の通信端末からのリクエストで指定された評価データを前記評価データベースから取得するステップと、
当該取得された評価データに基づいて評価結果を表示可能とする表示用データを生成するステップと、
前記表示用データを送信するステップと
をさらに備える方法。
【請求項28】
請求項22から27のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記音声解析は、前記発話テキストに自然言語処理を施すことにより行われる、方法。
【請求項29】
不揮発性メモリから読み出されて単数または複数のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムであって、請求項22から28のうちのいずれか1項に記載の方法を前記単数または複数のプロセッサに実施させるように構成されたことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信ネットワークを通じてロールプレイングによる人材育成を支援するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、企業において業務に必要な知識やスキルの習得のための人材育成手法として、トレーナーとトレーニー(トレーナーから指導や教育を受ける者)とが役割分担してロールプレイングを行う手法が広く採用されている。近年、インターネットなどの通信ネットワークを介して音声通話やビデオ通話を行うことを可能とするウェブ会議ツールなどのオンラインコミュニケーションツールが数多く提供されている。このようなオンラインコミュニケーションツールを用いたロールプレイングによる人材育成手法も企業において広く採用されている。
【0003】
また、オンラインコミュニケーションツールを用いたロールプレイングの際にトレーニーが発した音声を解析して当該トレーニーのスキルを自動的に評価するコンピュータシステムも存在する。そのようなコンピュータシステムの1つが、たとえば、特開2016-76788号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1には、CTI(Computer Telephony Integration)を実現する統合サーバを介して担当者端末と顧客端末との間で行われた通話の内容を評価するための評価サーバが開示されている。この評価サーバは、担当者のセルフトレーニングを支援する機能を有している。すなわち、この評価サーバは、ロールプレイングのために顧客を想定した役割を演じるトレーナー役の準備処理部と、そのロールプレイングの際に担当者が発した音声を発話テキストに変換する音声認識部と、キーワード,通話時間及び話速などの評価項目に関する評価モジュールを用いて、発話テキストから担当者の通話内容を評価する評価部とを備える(特許文献1の段落[0026]~[0033]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オンラインコミュニケーションツールを用いたロールプレイングによる人材育成を可能とする従来のシステムでは、利便性が低いために、ユーザがそのロールプレイング環境を気軽に利用できないことがある。このため、ロールプレイングの機会が抑制または喪失されてしまい、人材育成が促進されないという課題がある。
【0007】
上記に鑑みて本開示の目的は、ロールプレイング環境を提供することができ、ユーザのスキル向上の機会を増やすことを可能とする人材育成支援システム、連携支援システム、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様による人材育成支援システムは、トレーナーまたはトレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システムと連携して動作する人材育成支援システムであって、前記オンライン会議システムから直接的または間接的に前記アクセス先情報を取得する支援制御部と、前記アクセス先情報を用いて前記仮想会議室にアクセスするとともに、前記仮想会議室に参加する前記トレーナー及び前記トレーニーの間でなされた対話の発話データを取得するように構成された対話処理部と、前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うように構成された音声解析部と、前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するように構成された評価生成部と、前記評価データを格納する評価データベースとを備えることを特徴とする。
【0009】
本開示の第2の態様による連携支援システムは、前記第1の態様による人材育成支援システムとオンライン会議システムとを備えることを特徴とする。
【0010】
本開示の第3の態様による方法は、トレーナーまたはトレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システムと連携して動作する人材育成支援システムにおいて実行される方法であって、前記オンライン会議システムから直接的または間接的に取得された前記アクセス先情報を用いて前記仮想会議室にアクセスするステップと、前記仮想会議室に参加する前記トレーナー及び前記トレーニーの間でなされた対話の発話データを取得するステップと、前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うステップと、前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行するステップと、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するステップと、前記評価データを評価データベースに格納するステップとを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本開示の第4の態様によるコンピュータプログラムは、不揮発性メモリから読み出されて単数または複数のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムであって、前記第3の態様による方法を前記単数または複数のプロセッサに実施させるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本開示の第5の態様による人材育成支援システムは、トレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室を開設し、前記仮想会議室に参加する当該トレーニーとの間で自動対話によるロールプレイングを実行しつつ前記トレーニーの発話データを取得するように構成された対話処理部と、前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うように構成された音声解析部と、前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するように構成された評価生成部と、前記評価データを格納する評価データベースと、前記トレーニーが使用する外部の通信端末から通信インタフェースを介して設定情報を受け付けるように構成された支援制御部と、複数の仮想的な人物像を仮想トレーナーとしてそれぞれ表現するための複数のペルソナデータセットを含むペルソナデータベースとを備え、前記設定情報は、前記複数の仮想的な人物像の中から一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして選択する情報を含み、前記対話処理部は、前記ペルソナデータベースから、当該選択された一の仮想的な人物像を表現するためのペルソナデータセットを取得し、当該取得されたペルソナデータセットを用いて、前記トレーニーとの間で前記仮想トレーナーとして前記ロールプレイングを行うように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第6の態様による方法は、トレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室を開設し、前記仮想会議室に参加する当該トレーニーとの間で自動対話によるロールプレイングを実行するように構成された人材育成支援システムにおいて実行される方法であって、複数の仮想的な人物像の中から一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして選択する情報を含む設定情報を、前記トレーニーが使用する外部の通信端末から通信インタフェースを介して受け付けるステップと、前記複数の仮想的な人物像をそれぞれ表現するための複数のペルソナデータセットを含むペルソナデータベースから、当該選択された一の仮想的な人物像を表現するためのペルソナデータセットを取得するステップと、当該取得されたペルソナデータセットを用いて、前記トレーニーとの間で前記仮想トレーナーとして前記ロールプレイングを行うステップと、前記ロールプレイングが実行される際の前記トレーニーの発話データを取得するステップと、前記発話データに音声認識を施して発話テキストを生成することにより音声解析を行うステップと、前記音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行するステップと、前記マッチングの結果に応じて前記トレーニーの評価結果を示す評価データを生成するステップと、前記評価データを評価データベースに格納するステップとを備えることを特徴とするものである。
【0014】
本開示の第7の態様によるコンピュータプログラムは、不揮発性メモリから読み出されて単数または複数のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムであって、前記第6の態様による方法を前記単数または複数のプロセッサに実施させるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記第1~第4の態様によれば、人材育成支援システムは、トレーナーまたはトレーニーによるリクエストに応じて仮想会議室へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システムと連携して動作する。この人材育成支援システムは、オンライン会議システムから直接的または間接的に取得されたアクセス先情報を用いて仮想会議室にアクセスするとともに、当該仮想会議室に参加するトレーナー及びトレーニーの間でなされた対話の発話データを取得することができる。さらに人材育成支援システムは、当該取得された発話データに音声解析を施してその音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、前記マッチングの結果に応じた評価データを評価データベースに格納することができる。
【0016】
したがって、第1~第4の態様によれば、トレーニーは、非常に簡便な手続きで仮想会議室にてロールプレイングの機会を得ることができ、評価データベースに評価データを蓄積させることができる。これにより、時間や場所に依存せずに、トレーニーのスキル向上の機会を増やすことが可能となる。
【0017】
上記第5~第7の態様によれば、人材育成支援システムは、トレーニーが使用する外部の通信端末から設定情報を受け付けると、ペルソナデータベースから、その設定情報で選択された一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして表現するためのペルソナデータセットを取得することができる。人材育成支援システムは、当該取得されたペルソナデータセットを用いて、トレーニーとの間で仮想トレーナーとしてロールプレイングを行うことができる。さらに人材育成支援システムは、ロールプレイングが実行される際のトレーニーの発話データを取得し、当該取得された発話データに音声解析を施してその音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、そのマッチングの結果に応じた評価データを評価データベースに格納することができる。
【0018】
したがって、第5~第7の態様によれば、トレーニーは、非常に簡便な手続きで仮想会議室にてロールプレイングの機会を得ることができ、評価データベースに評価データを蓄積させることができる。これにより、時間や場所に依存せずに、トレーニーのスキル向上の機会を増やすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態の連携支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態の連携支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】音声解析結果と評価基準情報との間のマッチングの一例を示す図である。
【
図4】音声解析結果と評価基準情報との間のマッチングの一例を示す図である。
【
図5】音声解析結果と評価基準情報との間のマッチングの一例を示す図である。
【
図6】人材育成支援システムのバックシステムのハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
【
図7】オンライン会議システムを使用してロールプレイングが実行される場合の人材育成支援システムによる処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【
図8】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図9】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図10】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図11】ロールプレイング実行中に通信端末に表示されるビデオ通話画面を例示する図である。
【
図12】評価データをトレーニーにフィードバックするための処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【
図13】表示用データで表される評価画面を例示する図である。
【
図14】表示用データで表される評価画面を例示する図である。
【
図15】仮想トレーナーとして動作するときの人材育成支援システムによる処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【
図16】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図17】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図18】設定情報の入力を促す設定画面を例示する図である。
【
図19】ロールプレイング実行中に通信端末に表示されるビデオ通話画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照しつつ、本開示に係る実施形態及びその変形例について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号が付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態の連携支援システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示されるように連携支援システム1は、ユーザによるリクエストに応じて仮想会議室11を設定しこの仮想会議室11へのアクセス先情報を発行するように構成されたオンライン会議システム10と、このオンライン会議システム10と連携して動作する人材育成支援システム12とを備えている。オンライン会議システム10と人材育成支援システム12とは、通信ネットワークなどの通信路(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0022】
オンライン会議システム10上の仮想会議室11は、通信端末T1を使用するトレーニーTeと、通信端末T2を使用するトレーナーTrとの間での対話(音声通話やビデオ通話)によるロールプレイングのために使用される電子的な会議室である。人材育成支援システム12は、アクセス先情報を用いて仮想会議室11にアクセスして、トレーニーTeとトレーナーTrとの間でなされた対話の発話データを取得し、その発話データを解析して評価する機能(以下「対話解析機能」と呼ぶ。)を有している。
【0023】
図1に示されるように、トレーニーTe及びトレーナーTrが使用する通信端末T1,T2は、通信ネットワークNWを介してオンライン会議システム10及び人材育成支援システム12の各々と双方向通信可能となるように構成されている。通信ネットワークNWは、たとえば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)、あるいはインターネットなどの広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)であればよい。通信端末T1,T2の各々は、たとえば、通信機能を有するPC(Personal Computer)、あるいは携帯電話端末やスマートフォンなどの移動体通信機器である。通信端末T1には、オンライン会議システム10のサービスと人材育成支援システム12のサービスとを利用するためのクライアントC1がインストールされており、通信端末T2にも、オンライン会議システム10のサービスと人材育成支援システム12のサービスとを利用するためのクライアントC2がインストールされている。
【0024】
なお、本実施形態では、通信端末T1,T2の各々は、オンライン会議システム10のサービスと人材育成支援システム12のサービスとを利用するために1つのクライアントを有しているが、これに限定されるものではない。通信端末T1,T2の各々が、オンライン会議システム10のサービスを利用するためのクライアントと、人材育成支援システム12のサービスを利用するためのクライアントとを個別に有していてもよい。
【0025】
人材育成支援システム12は、上記の対話解析機能の他に、オンライン会議システム10を利用せずに、トレーニーTeとの間で自動対話によるロールプレイングを行うチャットボット(Chatbot)などの自動応答システムを備えている。以下、自動応答システムが演じるトレーナーを「仮想トレーナー」と呼ぶこととする。
【0026】
オンライン会議システム10は、たとえば、マイクロソフト(Microsoft)社提供の「Teams」(登録商標),マイクロソフト社提供の「Skype」(登録商標)またはグーグル(Google)社提供の「Google Meet」(登録商標)などのウェブ会議システムと同様に複数の通信機器の間での音声通話やビデオ通話を実現することができる単数または複数のサーバで構成されていればよい。トレーニーTeまたはトレーナーTrは、クライアントC1またはC2を用いてオンライン会議システム10にアクセスし、オンライン会議システム10に対して仮想会議室11を設定するようにリクエストすることができる。オンライン会議システム10は、そのリクエストに応じて、仮想会議室11を設定して当該仮想会議室11へのアクセス先情報を発行する。アクセス先情報は、仮想会議室11に参加するために必要な情報である。アクセス先情報としては、たとえば、URL(Uniform Resource Locator)などのアドレス情報,仮想会議室11の開催日時,ID(識別子),及び,パスワードもしくはパスコードが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
図1に示されるように人材育成支援システム12は、さらにゲートウェイサーバ(GWサーバ)21,フロントシステム22及びバックシステム23を備えている。GWサーバ21及びフロントシステム22は、バックシステム23が外部の通信端末(たとえば通信端末T1,T2)との間でデータの送受信を行うために使用される通信インタフェース20を構成する。
【0028】
バックシステム23は、
図1に示されるように、支援制御部31,対話処理部35,ペルソナデータベース(ペルソナDB)36,場面データベース(場面DB)37,音声解析部40,評価生成部44,評価基準データベース(評価基準DB)45及び評価データベース(評価DB)47を有する。さらに音声解析部40は、音声認識部41及び自然言語処理部42を有している。
【0029】
支援制御部31は、人材育成支援システム12のサービスの利用を要求するエンティティ(ユーザやデバイス)の認証を行う機能を有している。トレーニーTeは、通信端末T1のクライアントC1を用いて、人材育成支援システム12のサービスを利用するためにログインすることができる。このとき、通信端末T1は、人材育成支援システム12のサービスの利用を求めるリクエスト及び認証情報を送信する。支援制御部31は、たとえば、外部の認証用サーバ(図示せず)と当該認証情報とを用いてサービスの利用を許可するどうかを決定することができる。認証情報としては、たとえば、ID(ユーザID,グループIDまたはデバイスID)とパスワードまたはパスコードとの組合せが使用可能であるが、これに限定されるものではない。トレーナーTrも、通信端末T2のクライアントC2を用いて、人材育成支援システム12のサービスを利用するためにログインすることが可能である。
【0030】
支援制御部31は、通信端末T1,T2の各々から通信インタフェース20を介して入力された設定情報を受け付ける機能を有する。支援制御部31は、トレーニーTeまたはトレーナーTrに対して設定情報の入力を促す設定画面を通信端末T1または通信端末T2に表示させることができる。トレーニーTeまたはトレーナーTrは、通信端末T1または通信端末T2に表示された設定画面を通じて設定情報の入力を行うことができる。
【0031】
人材育成支援システム12がオンライン会議システム10を利用する対話解析機能を実行する場合には、設定情報には、仮想会議室11にアクセスするために必要なアクセス先情報が含まれている。対話処理部35は、そのアクセス先情報を用いて仮想会議室11にアクセスして仮想会議室11に入力された発話データを取得することができる。なお、オンライン会議システム10がアクセス先情報を人材育成支援システム12に直接送信するときには、支援制御部31は、そのアクセス先情報を通信インタフェース20を介して受信し、当該アクセス先情報を設定情報に含めることもできる。
【0032】
一方、人材育成支援システム12がオンライン会議システム10を利用せずに仮想トレーナーとして動作する場合には、
図2に示されるようにフロントシステム22に仮想会議室32が設定される。仮想会議室32は、通信端末T1を使用するトレーニーTeと仮想トレーナーとの間での対話(音声通話やビデオ通話)によるロールプレイングのために使用される電子的な会議室である。フロントシステム22は、仮想会議室32を設定してオンライン会議を行うためのアプリケーションサーバを備えることができる。対話処理部35は、ペルソナDB36及び場面DB37を用いて、仮想会議室32に参加するトレーニーTeとの間で自動対話によるロールプレイングを実行する自動対話機能を有している。対話処理部35の自動対話機能は、ルールベース型の自動応答システム、より好ましくは、深層学習モデルなどの機械学習モデルを用いた自動応答システムにより実現され得る。
【0033】
ペルソナDB36には、複数の仮想的な人物像(ペルソナ)を仮想トレーナー候補としてそれぞれ表現するための複数のペルソナデータセットが格納されている。設定情報には、複数のペルソナの中から一のペルソナを選択する情報が含まれているので、対話処理部35は、設定情報に従って選択された一のペルソナを表すためのペルソナデータセットをペルソナDB36の中から取得することができる。対話処理部35は、当該取得されたペルソナデータセットで表現される仮想トレーナーとしてロールプレイングを行うことが可能である。支援制御部31は、トレーニーTeに対して、複数のペルソナの中から所望のペルソナを選択することを促す設定画面を通信端末T1に表示させることができる。トレーニーTeが所望のペルソナを選択したときは、支援制御部31は、当該所望のペルソナを選択する情報を設定情報に含める。一方、トレーニーTeが所望のペルソナを選択しないときは、支援制御部31は、デフォルト設定のペルソナを選択する情報を設定情報に含めることができる。
【0034】
また、対話処理部35の自動対話機能は、トレーニーTeとのロールプレイングの実行中に、仮想トレーナーのキャラクタを模した3Dモデル画像をアバターとして動的に生成し、アバターを仮想会議室32に供給することができる。
【0035】
場面DB37には、学習テーマ,シナリオ及び顧客属性といった複数の想定場面を表すための複数の場面データセットが格納されている。支援制御部31は、トレーニーTeまたはトレーナーTrに対して、複数の想定場面の中から所望の想定場面を選択することを促す設定画面を通信端末T1または通信端末T2に表示させることができる。トレーニーTeまたはトレーナーTrが所望の想定場面を選択したときは、支援制御部31は、当該所望の想定場面を選択する情報を設定情報に含める。一方、トレーニーTeまたはトレーナーTrが所望の想定場面を選択しないときは、支援制御部31は、デフォルト設定の想定場面を選択する情報を設定情報に含めることができる。
【0036】
人材育成支援システム12がオンライン会議システム10を利用せずに仮想トレーナーとして動作する場合には、対話処理部35の自動対話機能は、設定情報に従って選択された一の想定場面を表す場面データセットを場面DB37の中から取得し、当該取得された場面データセットで表される想定場面に基づくロールプレイングを行うことが可能である。
【0037】
対話処理部35は、トレーニーTeとトレーナーTr間のロールプレイングの実行中、または、トレーニーTeと仮想トレーナー間のロールプレイングの実行中に、トレーニーTeにより入力された発話データを取得して当該発話データを音声解析部40に供給する。音声解析部40は、当該発話データに音声解析を施してその音声解析結果を対話処理部35に出力する。より具体的には、音声認識部41は、対話処理部35から入力された発話データに音声認識を施して発話テキストを生成する。自然言語処理部42は、当該生成された発話テキストに対して、形態素解析,構文解析及び意味解析などの種々の解析を含む自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)を実行することができる。
【0038】
対話処理部35の自動対話機能は、音声解析部40から音声解析結果を示すデータが供給されると、ペルソナデータセット及び場面データセットに基づいて当該音声解析結果に応じた応答テキストを生成し、当該応答テキストを仮想会議室32(
図2)のテキスト表示領域に供給することができる。あるいは、対話処理部35の自動対話機能は、公知の音声合成技術を用いて当該応答テキストを音声データに変換し、当該音声データを仮想会議室32に供給することもできる。
【0039】
一方、音声解析部40で生成された音声解析結果を示すデータは、対話処理部35及び支援制御部31を介して評価生成部44にも供給される。評価生成部44は、当該音声解析結果と、評価基準DB45にあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを定量的に実行し、そのマッチングの結果に応じてトレーニーTeの評価結果を示す評価データを生成することができる。生成された評価データは、支援制御部31により評価DB47に格納される。
【0040】
図3,
図4及び
図5は、それぞれ、音声解析結果と評価基準情報との間のマッチングの例を示す図である。
図3の例では、『はい、XXXX様がスーパーがん保険にご加入されたきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか?』という音声認識結果すなわち発話テキスト50Aが得られている。自然言語処理部42は、発話テキスト50Aに自然言語処理を施すことにより、自然言語処理結果すなわち音声解析結果51Aを生成する。音声解析結果51Aは、「はい、」,「XXXX」,「様」,「が」,「スーパー」,「がん」,「保険」,「に」,「ご」,「加入」,「された」,「きっかけ」,「を」,「お」,「伺い」,「しても」,「よろしい」,「でしょうか?」という、各々が意味をもつ複数の言語単位で構成されている。評価基準情報52Aは、[きっかけ],[理由],[心配],…という複数の評価キーワードを含む。評価生成部44は、評価基準情報52Aに含まれる評価キーワードと、音声解析結果51Aに含まれる複数の言語単位との間のマッチングを実行することにより、音声解析結果51Aの中から評価キーワードと一致または類似する言語単位を見つけ出すことができる。
図3の例では、マッチング結果53Aは「きっかけ」という言語単位を有する。評価生成部44は、たとえば、音声解析結果51Aと評価基準情報52Aとの一致度または類似度が高いほど高くなる評価スコアを算出することができる。具体的には、たとえば、評価生成部44は、音声解析結果51Aのうち評価キーワードと一致または類似する言語単位の数が多いほど、一致度または類似度が高いと評価することができる。
【0041】
自然言語処理部42は、各言語単位をベクトル化してもよい。この場合、評価基準DB45には、ベクトル化された評価キーワードを格納することができる。評価生成部44は、ベクトル化された言語単位とベクトル化された評価キーワードとの間のマッチングを行う(たとえば、コサイン類似度またはベクトル空間上の距離を計算する)ことにより、一致度または類似度を算出することができる。自然言語処理部42は、たとえば、ニューラルネットワーク(Neural Network)モデルを用いて、各言語単位を分散表現(Distributed Representation)と呼ばれる実数値ベクトルに変換することにより、ベクトル化された言語単位を生成することができる。分散表現化の手法は、たとえば下記非特許文献1に開示されているが、これに限定されるものではない。
【0042】
・非特許文献1:Tomas Mikolov, Ilya Sutskever, Kai Chen, Greg Corrado and Jeffrey Dean, "Distributed Representations of Words and Phrases and their Compositionality," Advances in Neural Information Processing Systems 26, pp. 3111-3119, 2013.
【0043】
図4の例では、『はい。では、次は情報提供のところですね。じゃあちょっと私のほうからあ、現在の医療事情の説明のところ、少しお話します。はい、今は入院期間ん?』という音声認識結果すなわち発話テキスト50Bが得られている。
図3の場合と同様に、自然言語処理部42は、発話テキスト50Bに自然言語処理を施すことにより、自然言語処理結果すなわち音声解析結果51Bを生成する。評価生成部44は、評価基準情報52Bに含まれる評価キーワード([医療事情],[治療方法],[先進医療],…)と、音声解析結果51Bに含まれる複数の言語単位との間のマッチングを実行することにより、音声解析結果51Bの中から評価キーワードと一致または類似する言語単位を見つけ出すことができる。
図4の例では、マッチング結果53Bは「医療事情」という言語単位を有する。
【0044】
また、
図5の例では、『スーパーがん保険にご加入いただいてからお時間が経過しているため、契約内容の説明に伺いました。』という音声認識結果すなわち発話テキスト50Cが得られている。
図3の場合と同様に、自然言語処理部42は、発話テキスト50Cに自然言語処理を施すことにより、自然言語処理結果すなわち音声解析結果51Cを生成する。評価生成部44は、評価基準情報52Cに含まれる評価キーワード([契約],[内容],[確認],[説明],…)と、音声解析結果51Cに含まれる複数の言語単位との間のマッチングを実行することにより、音声解析結果51Cの中から評価キーワードと一致または類似する言語単位を見つけ出すことができる。
図5の例では、マッチング結果53Cは「契約」,「内容」,「説明」という言語単位を有する。
【0045】
上記した評価基準情報は、複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子(論理演算子)との組合せであるブール演算式であってもよい。ブール演算子としては、たとえば、論理否定(NOT)演算子、論理和(OR)演算子、論理積(AND)演算子、排他的論理和(XOR)演算子が挙げられる。評価生成部44は、ブール演算式と音声解析結果に含まれる複数の言語単位との間のマッチングを実行することにより、ブール演算式と適合する言語単位を見つけ出すことができる。
図3の例では、評価基準情報52Aは、論理積演算子「&」を用いた以下のブール演算式Sを有していてもよい。この場合、音声解析結果51Aの中には、ブール演算式Sに適合する言語単位は見つからない。
S=[きっかけ]&[理由]&[心配]
【0046】
支援制御部31は、通信端末T1のクライアントC1からのリクエストに応じて、当該リクエストで指定された評価データを評価DB47から取得し、その評価データに基づいて、通信端末T1で評価結果を表示可能とする表示用データを生成する機能を有している。支援制御部31は、その表示用データを通信インタフェース20を介して通信端末T1に送信することができる。たとえば、クライアントC1がウェブクライアント(Webクライアント)機能を有するのであれば、支援制御部31は、クライアントC1からのリクエストに応じて、HTML(Hypertext Markup Language)言語などのマークアップ言語で記述されたウェブページを表示用ページとして生成すればよい。これにより、トレーニーTeは、通信端末T1の画面に表示された評価結果を確認することができる。
【0047】
上記した人材育成支援システム12の構成は、一台の情報処理装置で実現されてもよいし、あるいは、通信路を介して相互接続された複数台の情報処理装置からなる分散処理システムで実現されてもよい。また人材育成支援システム12の全部または一部は、物理的なサーバ及びストレージなどのハードウェア機器を企業自らが管理するオンプレミス(on-premise)の形態で実現されてもよいし、あるいは、ハードウェア機器を企業自らが管理せずに済むクラウド(cloud)の形態で実現されてもよい。クラウドとは、他の事業者が用意したサービスをインターネットを通じて利用することをいう。
【0048】
図6は、人材育成支援システム12のバックシステム23のハードウェア構成例である情報処理装置(コンピュータ)60を概略的に示すブロック図である。信号処理装置60は、デジタル信号処理を実行するプロセッサ61,ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)62,不揮発性メモリ63,大容量メモリ64及び入出力インタフェース回路65及び信号路66を含んで構成されている。信号路66は、プロセッサ61,RAM62,不揮発性メモリ63,大容量メモリ64及び入出力インタフェース回路65を相互に接続するためのバスである。RAM62は、プロセッサ61がディジタル信号処理を実行する際に使用されるデータ記憶領域である。プロセッサ61がCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を内蔵する場合には、不揮発性メモリ93は、プロセッサ91により実行されるソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを記憶するデータ記憶領域を有する。
【0049】
次に、人材育成支援システム12の処理内容について詳細に説明する。
【0050】
図7は、オンライン会議システム10上の仮想会議室11(
図1)を使用してトレーニーTeとトレーナーTrとの間でロールプレイングが実行される場合の人材育成支援システム12による処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【0051】
オンライン会議システム10に仮想会議室11が設定された後は、トレーナーTrは、通信端末T2のクライアントC2を用いて人材育成支援システム12にログインする。これに応じて、支援制御部31は、設定処理を実行する(
図7のステップS11)。すなわち、支援制御部31は、トレーナーTrに対して設定情報の入力を促す設定画面を通信端末T2に表示させ、これに応じて通信端末T2から通信インタフェース20を介して入力された設定情報を受け付ける。通信端末T2は、キー入力デバイス及びポインティングデバイス(たとえばマウス)などの入力デバイスを備えているので、トレーナーTrは、通信端末T2に表示された設定画面を視認しつつ、入力デバイスを用いて設定情報を入力することができる。ここで、トレーナーTrの代わりに、トレーニーTeが、通信端末T1のクライアントC1を用いて人材育成支援システム12にログインし、設定情報を入力してもよい。設定情報が受け付けられた後は、支援制御部31は、オンライン会議が開始されるまで待機している(ステップS12のNO)。
【0052】
図8,
図9及び
図10は、設定情報の入力を促すGUI(Graphical User Interface)画面すなわち設定画面SW01,SW02,SW03を例示する図である。
図8の設定画面SW01は、直前に表示されていた画面(図示せず)に戻るために選択可能なボタン71と、次の設定画面SW02を表示させるために選択可能なボタン72と、学習テーマ,シナリオ及び顧客属性の組合せからなる一の想定場面を選択するための選択領域73とを含む。
図8の例では、選択領域73は、「単品編」,「併売編」及び「総合保障編」という3つの学習テーマのうちのいずれか1つを選択するためのオプションボタン(ラジオボタン)と、「がん保険の見直し」及び「医療保険の見直し」という2つのシナリオのうちのいずれか1つを選択するためのオプションボタン(ラジオボタン)と、「53歳 男性」,「65歳 男性」及び「46歳 男性」という3つの顧客属性のうちのいずれかを選択するための3つのボタンとを含む。
【0053】
図9を参照すると、設定画面SW02は、
図8の設定画面SW01に戻るために選択可能なボタン75と、次の設定画面SW03を表示させるために選択可能なボタン76と、「アプローチ」,「既契約内容の説明」,「情報提供」,「ニーズの確認」,「プレゼンテーション」及び「クロージング」という6つの対話セクションを選択するための選択領域77,78,79,80,81,82とを含む。支援制御部31は、直前の設定画面SW01で選択された想定場面の対話を構成すべき複数の対話セクションを設定画面SW02に表示させることができる。
【0054】
図9の選択領域77,78,79,80,81,82の各々には、チェックボックスが設けられている。たとえばトレーナーTr(またはトレーニーTe)は、各チェックボックスを選択状態または非選択状態のいずれかとすることで、6つの対話セクションの中から任意の対話セクションを選択することができる。対話セクションごとに、単数または複数の評価キーワードをあらかじめ設定することが可能である。さらに、対話セクションごとに、複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子(論理演算子)との組合せであるブール演算式を設定することもできる。評価基準DB45(
図1)には、複数の対話セクションの各々に対して設定された単数または複数の評価キーワードまたはブール演算式が記憶されている。たとえばトレーナーTr(またはトレーニーTe)が「既契約内容の説明」という対話セクションを選択すると、評価生成部44は、当該選択された対話セクションに対して設定された評価キーワード(たとえば「きっかけ」,「保険金」)と音声解析結果との間のマッチングを実行し、対話セクションごとの評価データを生成することができる。
【0055】
次に
図10を参照すると、設定画面SW03は、
図9の設定画面SW02に戻るために選択可能なボタン84と、オンライン会議を開始させるために選択可能なボタン85と、アドレス先情報のURLを入力するための入力ボックス86とを含む。トレーナーTr(またはトレーニーTe)は、入力ボックス86にURLを入力した後にボタン85を選択することで、仮想会議室11におけるオンライン会議を開始させることができる。これにより、仮想会議室11を通じて通信端末T1と通信端末T2との間でなされるオンライン会議が開始する。
図11は、そのオンライン会議時に通信端末T1または通信端末T2に表示されたビデオ通話画面TWを例示する図である。ビデオ通話画面TWには、トレーニーTeの撮像画像88とトレーナーTrの撮像画像89とが示されている。
【0056】
図7を参照すると、オンライン会議が開始されると、支援制御部31は待機状態を解除する(ステップS12のNO)。次に対話処理部35は、アクセス先情報を用いて、オンライン会議システム10の仮想会議室11にアクセスする(ステップS13)。そして、対話処理部35は、仮想会議室11に参加するトレーニーTe及びトレーナーTrの間でなされた対話の発話データを仮想会議室11から取得する(ステップS14)。このとき、音声解析部40は、対話処理部35から供給された発話データに音声解析を施してその音声解析結果を対話処理部35及び支援制御部31を介して評価生成部44に供給している。
【0057】
ロールプレイングの終了後は、評価生成部44は、音声解析部40から得られた音声解析結果と、評価基準DB45にあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを定量的に実行する(ステップS15)。次に、評価生成部44は、上記のとおり、当該マッチングの結果に応じてトレーニーTeの評価結果を示す評価データを生成する(ステップS16)。生成された評価データは評価DB47に格納される(ステップS17)。なお、
図7の例では、ロールプレイングの終了後にステップS15~S17が実行されているが、この代わりに、ロールプレイングと同時並行にステップS15~S17が実行されてもよい。
【0058】
次に、評価DB47に格納された評価データをトレーニーTeにフィードバックするための処理手順について説明する。
図12は、そのフィードバックのための処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【0059】
支援制御部31は、通信端末T1から通信インタフェース20(GWサーバ21及びフロントシステム22)を介して評価結果を求めるリクエストを受信すると、そのリクエストで指定された評価データを評価DB47から取得し(
図12のステップS21)、当該取得された評価データに基づいて、通信端末T1で評価データを表示可能とする表示用データを生成する(ステップS22)。ステップS22の後は、支援制御部31は、生成された表示用データを通信インタフェース20を介して通信端末T1に送信する(ステップS23)。これにより、通信端末T1は、表示用データで表される評価結果を表示することができる。
【0060】
図13は、表示用データで表される評価画面EW1を例示する図である。
図13の評価画面EW1は、全体評価を示す表示領域92と、「アプローチ」という対話セクションの評価結果を示す表示領域93と、「既契約内容の説明」という対話セクションの評価結果を示す表示領域94と、「情報提供」という対話セクションの評価結果を示す表示領域95と、「ニーズの確認」という対話セクションの評価結果を示す表示領域96と、「プレゼンテーション」という対話セクションの評価結果を示す表示領域97と、「クロージング」という対話セクションの評価結果を示す表示領域98と、トレーニーTeの発話割合を示す表示領域99と、トレーニーTeの発話速度を示す表示領域100とを有している。
【0061】
上記のとおり、対話セクションごとに、単数または複数の評価キーワード及びブール演算式をあらかじめ設定することが可能である。また対話セクションごとに複数のチェック基準を設定して、各チェック基準について単数または複数の評価キーワード及びブール演算式を設定することもできる。
図13の例では、「アプローチ」という対話セクションについては3つのチェック基準が設けられ、これら3つのチェック基準のうち3つのチェック基準が満たされるとの評価結果(「3/3(100%)」)が示されている。また、「既契約内容の説明」という対話セクションについては3つのチェック基準が設けられ、これら3つのチェック基準のうち2つのチェック基準が満たされるとの評価結果(「2/3(67%)」)が示されている。表示領域120には、全ての対話セクションについて設定された19のチェック基準のうち、13のチェック基準が満たされるとの全体評価(「13/19(68%)」)が示されている。
【0062】
トレーニーTeが入力デバイスを操作して表示領域94を選択すると、
図13の評価画面EW1は、
図14の評価画面EW2に切り替わる。
図14に示されるように、「既契約内容の説明」という対話セクションについてチェック基準ごとの評価内容を示す表示領域94dが現れている。この表示領域94dに示されるように、「加入きっかけ」,「保障内容の概要説明」及び「保障内容の注意点の説明」という3つのチェック基準が設けられ、各チェック基準について複数の評価キーワードが設定されていることが分かる。
【0063】
また
図13を参照すると、表示領域99には、ロールプレイング時間,トーク時間,リッスン時間及びトーク・リッスン比率が示されている。トーク時間は、ロールプレイング時間中にトレーニーTeが発話した時間であり、リッスン時間は、ロールプレイング時間中にトレーニーTeが聞いていた時間であり、トーク・リッスン比率は、ロールプレイング時間に対するトーク時間の比率である。
【0064】
以上に説明したように人材育成支援システム12は、対話解析機能を実行するときはオンライン会議システム10と連携して動作する。オンライン会議システム10は、トレーナーTrまたはトレーニーTeによるリクエストに応じて仮想会議室11を設定して当該仮想会議室11へのアクセス先情報を発行するように構成されている。対話処理部35は、オンライン会議システム10から直接的または間接的に取得されたアクセス先情報を用いて仮想会議室11にアクセスするとともに、仮想会議室11に参加するトレーニーTe及びトレーナーTrの間での対話の発話データを取得することができる。さらに人材育成支援システム12の評価生成部44は、当該取得された発話データに音声解析を施して得られる結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、当該マッチングの結果に応じた評価データを評価DB47に格納することができる。したがって、トレーニーTeは、非常に簡便な手続きでロールプレイングの機会を得ることができ、評価DB47に自己の評価データを蓄積させることができる。これにより、時間や場所に依存せずにトレーニーTeのスキル向上の機会を増やしたり、業務に必要な知識習得の機会を増やしたりすることが可能となる。
【0065】
また対話処理部35は、場面DB37から、トレーナーTr(またはトレーニーTe)が所望する想定場面を表すための場面データセットを取得し、当該取得された場面データセットを用いてロールプレイングを行うことができる。これにより、トレーニーTeのスキル向上に適した想定場面を選択することが可能となる。
【0066】
次に、人材育成支援システム12がオンライン会議システム10を利用せずに仮想トレーナーとして動作する場合について説明する。このときは、支援制御部31は、フロントシステム22に仮想会議室32(
図2)を設定させる。
図15は、仮想トレーナーとして動作するときの人材育成支援システム12による処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【0067】
トレーニーTeが通信端末T1のクライアントC1を用いて人材育成支援システム12にログインすると、支援制御部31は、設定処理を実行する(
図15のステップS31)。すなわち、支援制御部31は、トレーニーTeに対して設定情報の入力を促す設定画面を通信端末T1に表示させ、これに応じて通信端末T1から通信インタフェース20を介して入力された設定情報を受け付ける。通信端末T1は、キー入力デバイス及びポインティングデバイス(たとえばマウス)などの入力デバイスを備えているので、トレーニーTeは、通信端末T1に表示された設定画面を視認しつつ、入力デバイスを用いて設定情報を入力することができる。
【0068】
図16,
図17及び
図18は、設定情報の入力を促すGUI画面すなわち設定画面SW11,SW12,SW13を例示する図である。
図16の設定画面SW11は、直前に表示されていた画面(図示せず)に戻るために選択可能なボタン101と、次の設定画面SW12を表示させるために選択可能なボタン102と、学習テーマ,シナリオ及び顧客属性の組合せからなる一の想定場面を選択するための選択領域103とを含む。
図16の選択領域103は、
図8の選択領域73と同様に、学習テーマを選択するためのオプションボタン(ラジオボタン)と、シナリオを選択するためのオプションボタン(ラジオボタン)と、顧客属性を選択するための3つのボタンとを有する。
【0069】
支援制御部31は、トレーニーTeにより選択された一の想定場面と適合する仮想トレーナー候補(仮想的な人物像の候補)を少なくとも1つ選択し、トレーニーTeに対して当該仮想トレーナー候補の中から一の仮想トレーナーの選択を促す設定画面を通信端末T1に表示させる機能を有している。
図17の設定画面SW12は、トレーニーTeが一の想定場面を選択した後に表示されるべき画面である。
図17に示されるように、設定画面SW12は、
図16の設定画面SW11に戻るために選択可能なボタン105と、次の設定画面SW13を表示させるために選択可能なボタン106と、3つの仮想トレーナー候補の中から1つの仮想トレーナーを選択するためのオプションボタン107,108,109とを含む。設定画面SW12には、設定画面SW11で選択された想定場面に適合する仮想トレーナー候補が提示されている。
【0070】
図18を参照すると、設定画面SW13は、
図17の設定画面SW12に戻るために選択可能なボタン111と、オンライン会議を開始させるために選択可能なボタン112と、「アプローチ」,「既契約内容の説明」,「情報提供」,「ニーズの確認」,「プレゼンテーション」及び「クロージング」という6つの対話セクションを選択するための選択領域113,114,115,116,117,118とを含む。選択領域113,114,115,116,117,118の各々には、チェックボックスが設けられている。トレーニーTeは、各チェックボックスを選択状態または非選択状態のいずれかとすることで、6つの対話セクションの中から任意の対話セクションを選択することができる。対話セクションごとに、単数または複数の評価キーワードをあらかじめ設定することが可能である。さらに、対話セクションごとに、複数の評価キーワードと少なくとも1つのブール演算子(論理演算子)との組合せであるブール演算式を設定することもできる。評価基準DB45(
図2)には、複数の対話セクションの各々に対して設定された単数または複数の評価キーワードまたはブール演算式が記憶されている。たとえば、トレーニーTeが「既契約内容の説明」という対話セクションを選択すると、評価生成部44は、当該選択された対話セクションに対して設定された評価キーワード(たとえば「きっかけ」,「保険金」)と音声解析結果との間のマッチングを実行し、対話セクションごとの評価データを生成することができる。
【0071】
トレーニーTeは、対話セクションの選択を完了した後は、ボタン112を選択することで、オンライン会議を開始させることができる。
【0072】
図15を参照すると、設定情報が受け付けられた後は、支援制御部31は、オンライン会議のための仮想会議室32(
図2)を起動する(ステップS32)。次いで対話処理部35は、設定情報に従って、ペルソナDB36の中から一のペルソナを表すためのペルソナデータセットを取得し(ステップS33)、さらに、設定情報に従って、場面DB37の中から一の想定場面を表すための場面データセットを取得する(ステップS34)。
【0073】
次に対話処理部35は、仮想会議室32に参加するトレーニーTeとの間で自動対話によるロールプレイングを実行しつつ、トレーニーTeにより入力された発話データを仮想会議室32から取得する(ステップS35)。このとき、対話処理部35は、ステップS34で取得された場面データセットで表される想定場面に基づき、ステップS33で取得されたペルソナデータセットで表現される仮想トレーナーとしてロールプレイングを実行する。音声解析部40は、対話処理部35から供給された発話データに音声解析を施してその音声解析結果を対話処理部35に出力しているので、対話処理部35は、その音声解析結果に応じたロールプレイングを実行することができる。
【0074】
図19は、ロールプレイング実行中に通信端末T1に表示されるビデオ通話画面RWを例示する図である。ビデオ通話画面RWは、画像表示領域120と、ビデオ通話を中断するために選択可能なボタン121と、ロールプレイングをやり直すために選択可能なボタン122と、ロールプレイングを終了させて評価データを得るために選択可能なボタン123とを含む。画像表示領域120には、仮想トレーナーのキャラクタを模した3Dモデル画像(アバター)124と、トレーニーTeの撮像画像125とが表示されている。
【0075】
図15を参照すると、ロールプレイングの終了後は、評価生成部44は、音声解析部40から得られた音声解析結果と、評価基準DB45にあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを定量的に実行する(ステップS36)。次に、評価生成部44は、上記のとおり、当該マッチングの結果に応じてトレーニーTeの評価結果を示す評価データを生成する(ステップS37)。生成された評価データは評価DB47に格納される(ステップS38)。なお、
図15の例では、ロールプレイングの終了後にステップS36~S38が実行されているが、この代わりに、ロールプレイングと同時並行にステップS36~S38が実行されてもよい。
【0076】
トレーニーTeと仮想トレーナーとの間のロールプレイングが終了した後は、オンライン会議システム10と連携して対話解析機能が実行される場合と同様に、支援制御部31は、通信端末T1から通信インタフェース20を介して評価結果を求めるリクエストを受信すると、そのリクエストで指定された評価データを評価DB47から取得し、当該取得された評価データに基づいて、通信端末T1で評価データを表示可能とする表示用データを生成し送信することができる。これにより、通信端末T1は、表示用データで表される評価結果(たとえば、
図13及び
図14の評価画面EW1,EW2)を表示することができる。
【0077】
以上に説明したように人材育成支援システム12がオンライン会議システム10を利用せずに仮想トレーナーとして動作するとき、トレーニーTeが使用する外部の通信端末T1から設定情報を受け付けると、ペルソナDB36から、その設定情報で選択された一の仮想的な人物像を仮想トレーナーとして表現するためのペルソナデータセットを取得することができる。人材育成支援システム12は、当該取得されたペルソナデータセットを用いて、トレーニーTeとの間で仮想トレーナーとしてロールプレイングを行うことができる。さらに人材育成支援システム12は、ロールプレイングが実行される際のトレーニーTeの発話データを取得し、当該取得された発話データに音声解析を施してその音声解析の結果とあらかじめ登録された評価基準情報との間のマッチングを実行し、そのマッチングの結果に応じた評価データを評価DB47に格納することができる。したがって、トレーニーTeは、非常に簡便な手続きでロールプレイングの機会を得ることができ、評価DB47に自己の評価データを蓄積させることができる。これにより、時間や場所に依存せずにトレーニーTeのスキル向上の機会を増やしたり、業務に必要な知識習得の機会を増やしたりすることが可能となる。
【0078】
また対話処理部35は、場面DB37から、トレーニーTeが所望する想定場面を表すための場面データセットを取得し、当該取得された場面データセットを用いてロールプレイングを行うことができる。これにより、トレーニーTeは、自己のスキル向上に適した想定場面を選択することもできる。
【0079】
以上、本開示に係る種々の実施形態及びその変形例について説明したが、上記の実施形態及びその変形例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。また、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記実施形態の変更、追加及び改良を適宜行うことができることが理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈されるべきであり、さらにその均等物を含むものと理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示に係る人材育成支援システム,連携支援システム,方法及びコンピュータプログラムは、時間や場所に依存せずにトレーニーのスキル向上の機会や業務に必要な知識習得の機会を増やすことができるので、たとえば企業における保険関連業務などの業務に関する人材育成手段で利用することに適している。
【符号の説明】
【0081】
NW:通信ネットワーク、T1:通信端末、Te:トレーニー、T2:通信端末、Tr:トレーナー、C1,C2:クライアント、1:連携支援システム、10:オンライン会議システム、11:仮想会議室、12:人材育成支援システム、20:通信インタフェース、21:ゲートウェイサーバ(GWサーバ)、22:フロントシステム、23:バックシステム、31:支援制御部、35:対話処理部、36:ペルソナデータベース(ペルソナDB)、37:場面データベース(場面DB)、40:音声解析部、41:音声認識部、42:自然言語処理部、44:評価生成部、45:評価基準データベース(評価基準DB)、47:評価データベース(評価DB)、49:認証用データベース(DB)、60:情報処理装置、61:プロセッサ、62:RAM、63:不揮発性メモリ、64:大容量メモリ、65:入出力インタフェース回路、66:信号路。