(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】OX40結合性ポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240329BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20240329BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240329BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240329BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240329BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240329BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240329BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240329BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240329BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240329BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240329BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240329BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240329BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240329BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K35/768
A61K38/19
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
(21)【出願番号】P 2021506977
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019046156
(87)【国際公開番号】W WO2020036867
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514199744
【氏名又は名称】インヒブルクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティマー ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】クラーゴ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ カイル
(72)【発明者】
【氏名】スルツマイアー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベックランド ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】エッケルマン ブレンダン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス ケイトリン
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/123673(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
A61K 35/768
A61K 38/19
A61K 39/395
A61K 45/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
C07K 16/28
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12N 15/63
C12P 21/02
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドであって、前記VHHドメインは、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
前記VHHドメインは、ヒト化されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
2つのVHHドメインを含む、請求項1
又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
3つのVHHドメインを含む、請求項1
又は2に記載のポリペプチド。
【請求項5】
4つのVHHドメインを含む、請求項1
又は2に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドは、OX40以外の第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記第2の抗原は、PD-1、PD-L1、及び41BBから選択される、請求項
6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインは、アンタゴニスト又はアゴニストである、請求項
7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
各VHHドメインは、OX40に結合する、請求項
1~
5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
各VHHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項
9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリペプチドは、Fcドメインを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記Fcドメインは、配列番号25及び配列番号26から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項
11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む、請求項1~
3及び請求項
11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
配列番号15のアミノ酸配列を含むOX40に結合するポリペプチド。
【請求項16】
配列番号15のアミノ酸配列からなるOX40に結合するポリペプチド。
【請求項17】
生理学的条件下で二量体を形成する、請求項1~
16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞の増殖を増加させる、請求項1~
17のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞の増殖を増加させる、請求項
18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記ポリペプチドは、in vitroでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞の増殖を少なくとも1.5
倍増加させる、請求項
18又は
19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD25発現を増加させる、請求項1~
20のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記ポリペプチドは、in vitroでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD25発現を少なくとも1.5
倍増加させる、請求項
21に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD71発現を増加させる、請求項1~
22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記ポリペプチドは、in vitroでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD71発現を少なくとも1.5
倍増加させる、請求項
23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を増加させる、請求項1~
24のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記ポリペプチドは、in vitroでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を少なくとも1.5
倍増加させる、請求項
25に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる、請求項1~
26のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記ポリペプチドは、in vitroでCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるIFNγ発現を少なくとも1.5
倍増加させる、請求項
27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記ポリペプチドは、Treg細胞の存在下で
CD25、CD71、NFκB及び/又はIFNγの発現を増加させる、請求項
20~
28のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記増加は、少なくとも5
人の異なる健康なヒトドナーのT細胞からの結果の平均として決定される、請求項
18~
29のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項31】
OX40の生物学的活性のアゴニストである、請求項1~
30のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記OX40は、ヒトOX40である、請求項1~
31のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記ポリペプチドは、10nM未
満の親和性(K
D)でヒトOX40に結合する、請求項1~
32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記ポリペプチドは、10nM未
満の親和性(K
D)でカニクイザルOX40に結合する、請求項1~
33のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項36】
請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項37】
請求項
36に記載の核酸を含むベクター。
【請求項38】
請求項
36に記載の核酸又は請求項
37に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項39】
請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞。
【請求項40】
請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドを分泌する、請求項
38又は
39に記載の宿主細胞。
【請求項41】
初代ヒト細胞である、請求項
38~
40のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項42】
初代ヒトT細胞である、請求項
41に記載の宿主細胞。
【請求項43】
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞である、請求項
38~
42のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項44】
請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドを生産する方法であって、前記ポリペプチドの発現に適した条件下で請求項
38~
40のいずれか一項に記載の宿主細胞をインキュベートすることを含む、方法。
【請求項45】
前記ポリペプチドを単離することを更に含む、請求項
44に記載の方法。
【請求項46】
in vitroにおいてCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞の増殖を増加させる方法であって、T細胞を請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項47】
in vitroにおいてCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD25発現を増加させる方法であって、T細胞を請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項48】
in vitroにおいてCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞上でのCD71発現を増加させる方法であって、T細胞を請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項49】
in vitroにおいてCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を増加させる方法であって、T細胞を請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項50】
in vitroにおいてCD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる方法であって、T細胞を請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項51】
前記CD4
+T細胞及び/又はCD8
+T細胞は、Treg細胞の存在下にある、請求項
46~
50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記増加は、少なくとも1.5
倍である、請求項
46~
51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
癌を治療するための組成物であって、請求項1~
34のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項
35に記載の医薬組成物、又は請求項
41~
43のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む、組成物。
【請求項54】
前記癌は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳癌及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、胃腸癌、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、並びに慢性骨髄芽球性白血病から選択される、請求項
53に記載の組成物。
【請求項55】
追加の療法剤と組み合せて投与される、請求項
53又は
54に記載の組成物。
【請求項56】
前記追加の療法剤は、抗癌剤である、請求項
55に記載の組成物。
【請求項57】
前記抗癌剤は、化学療法剤、抗癌生物製剤、放射線療法、CAR-T療法薬、及び腫瘍溶解性ウイルスから選択される、請求項
56に記載の組成物。
【請求項58】
前記追加の療法剤は、抗癌生物製剤である、請求項
55~
57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記抗癌生物製剤は、PD-1及び/又はPD-L1を阻害する作用物質である、請求項
58に記載の組成物。
【請求項60】
前記抗癌生物製剤は、ニボルマブ、ピディリズマブ、ペンブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、AMP-224、BMS-936559、AMP-514、MDX-1105、TSR-042、STI-A1010、及びSTI-A1110から選択される、請求項
59に記載の組成物。
【請求項61】
前記抗癌生物製剤は、VISTA、gpNMB、B7H3、B7H4、HHLA2、CD73、CTLA4、又はTIGITを阻害する作用物質である、請求項
58に記載の組成物。
【請求項62】
前記抗癌
生物製剤は、抗体である、請求項
58~
61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記抗癌生物製剤は、サイトカインである、請求項
58に記載の組成物。
【請求項64】
前記抗癌剤は、CAR-T療法薬である、請求項
57に記載の組成物。
【請求項65】
前記抗癌剤は、腫瘍溶解性ウイルスである、請求項
57に記載の組成物。
【請求項66】
腫瘍切除及び/又は放射線療法と組み合せて投与される、請求項
53~
65のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年8月13日付で出願された米国仮出願第62/718,106号の優先権の利益を主張し、その全体があらゆる目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、OX40結合性ポリペプチド、及びOX40結合性ポリペプチドを使用してOX40の生物学的活性を調節する方法に関する。そのような方法には、限定されるものではないが、癌を治療する方法が含まれる。幾つかの実施の形態では、OX40結合性ポリペプチドは、多価OX40結合性ポリペプチドである。
【背景技術】
【0003】
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)には、構造的に関連する幾つかの細胞表面受容体が含まれる。多量体リガンドによる活性化は、これらの受容体の多くに共通する特徴であり、そのような活性化は、適切に活性化されると多くの病理において治療的有用性を有する。この受容体ファミリーの効果的なアゴニズムは、従来の二価抗体を使用して達成されるよりも高次のクラスター形成を必要とし得る。
【0004】
OX40(TNFRSF4、CD134)は、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーであり、T細胞活性化の24時間~72時間後にT細胞の表面上で発現される。活性化されたT細胞に近接した抗原提示細胞はその表面上にOX40リガンド(OX40L)を提示し、このリガンドがT細胞上のOX40に結合してクラスターを形成することで、共刺激シグナルが送られ、それによりT細胞の増殖が増加し、エフェクターT細胞の分化が増強される。したがって、OX40の活性化は、例えばT細胞の生存及び機能を増強することにより、免疫応答を維持する働きがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、OX40のより強力なアゴニストが治療上必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、OX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドであって、VHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、ポリペプチドが提供される。幾つかの実施の形態では、VHHドメインは、ヒト化されている。幾つかの実施の形態では、VHHドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含むフレームワーク2(FR2)を含む。幾つかの実施の形態では、VHHドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含むFR2及び配列番号23のアミノ酸配列を含むFR3を含む。幾つかの実施の形態では、VHHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0007】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、2つのVHHドメインを含む。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、3つのVHHドメインを含む。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、4つのVHHドメインを含む。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、OX40以外の第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。幾つかのそのような実施の形態では、第2の抗原は、PD-1、PD-L1、及び41BBから選択される。幾つかの実施の形態では、第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインは、アンタゴニスト又はアゴニストである。幾つかの実施の形態では、第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインは、VHHドメインである。
【0008】
幾つかの実施の形態では、各VHHドメインは、OX40に結合する。幾つかの実施の形態では、各VHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。幾つかの実施の形態では、各VHHドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含むフレームワーク2(FR2)を含む。幾つかの実施の形態では、各VHHドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含むFR2及び配列番号23のアミノ酸配列を含むFR3を含む。幾つかの実施の形態では、各VHHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0009】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、Fcドメインを含む。幾つかの実施の形態では、Fcドメインは、配列番号25及び配列番号26から選択されるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施の形態では、配列番号15のアミノ酸配列を含むOX40に結合するポリペプチドが本明細書で提供される。幾つかの実施の形態では、配列番号15のアミノ酸配列からなるOX40に結合するポリペプチドが本明細書で提供される。
【0010】
様々な実施の形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、生理学的条件下で二量体を形成する。幾つかのそのような実施の形態では、ポリペプチドは、Fcドメインを含む。
【0011】
幾つかの実施の形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。
【0012】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。
【0013】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。
【0014】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍増加させる。
【0015】
幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍増加させる。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、in vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍増加させる。
【0016】
様々な実施の形態では、ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でCD25、CD71、及び/又はIFNγの発現を増加させる及び/又はNFκBシグナル伝達を増加させる。様々な実施の形態では、増加は、少なくとも5人又は少なくとも10人の異なる健康なヒトドナーのT細胞からの結果の平均として決定される。
【0017】
様々な実施の形態では、本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドは、OX40の生物学的活性のアゴニストである。幾つかの実施の形態では、OX40は、ヒトOX40である。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、10nM未満、5nM未満、2nM未満、又は1nM未満の親和性(KD)でヒトOX40に結合する。幾つかの実施の形態では、ポリペプチドは、10nM未満、5nM未満、2nM未満、又は1nM未満の親和性(KD)でカニクイザルOX40に結合する。
【0018】
幾つかの実施の形態では、本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0019】
幾つかの実施の形態では、本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドをコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施の形態では、核酸を含むベクターが提供される。幾つかの実施の形態では、核酸又はベクターを含む宿主細胞が提供される。幾つかの実施の形態では、本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを発現する宿主細胞が提供される。幾つかの実施の形態では、宿主細胞はOX40結合性ポリペプチドを分泌する。幾つかの実施の形態では、宿主細胞は初代ヒト細胞である。幾つかの実施の形態では、宿主細胞はT細胞である。幾つかの実施の形態では、宿主細胞はキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞である。
【0020】
幾つかの実施の形態では、OX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドの発現に適した条件下で宿主細胞をインキュベートすることを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、上記方法は、ポリペプチドを単離することを更に含む。
【0021】
幾つかの実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる方法であって、T細胞をOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を増加させる方法であって、T細胞をOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を増加させる方法であって、T細胞をOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる方法であって、T細胞をOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるNFκBシグナル伝達を増加させる方法であって、T細胞をOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドと接触させることを含む、方法が提供される。様々な実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞は、in vitroで存在する。様々な実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞は、in vivoで存在する。様々な実施の形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞は、Treg細胞の存在下にある。様々な実施の形態では、増加は、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍である。
【0022】
幾つかの実施の形態では、癌を治療する方法であって、癌を伴う被験体に本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを薬学的有効量、投与することを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、癌を治療する方法であって、癌を伴う被験体に本明細書で提供されるOX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを発現する宿主細胞を薬学的有効量、投与することを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、宿主細胞はOX40結合性ポリペプチドを分泌する。幾つかの実施の形態では、宿主細胞は、表面上にOX40結合性ポリペプチドを発現する。幾つかの実施の形態では、癌は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳癌及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、胃腸癌、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、並びに慢性骨髄芽球性白血病から選択される。
【0023】
幾つかの実施の形態では、癌を治療する方法は、追加の療法剤を投与することを更に含む。幾つかの実施の形態では、追加の療法剤は、抗癌剤である。幾つかの実施の形態では、抗癌剤は、化学療法剤、抗癌生物製剤、放射線療法、CAR-T療法薬、及び腫瘍溶解性ウイルスから選択される。幾つかの実施の形態では、追加の療法剤は、抗癌生物製剤である。幾つかの実施の形態では、抗癌生物製剤は、PD-1及び/又はPD-L1を阻害する作用物質である。幾つかの実施の形態では、抗癌生物製剤は、ニボルマブ、ピディリズマブ、ペンブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、AMP-224、BMS-936559、AMP-514、MDX-1105、TSR-042、STI-A1010、及びSTI-A1110から選択される。幾つかの実施の形態では、抗癌生物製剤は、VISTA、gpNMB、B7H3、B7H4、HHLA2、CD73、CTLA4、又はTIGITを阻害する作用物質である。幾つかの実施の形態では、抗癌生物製剤は、抗体である。幾つかの実施の形態では、抗癌生物製剤は、サイトカインである。幾つかの実施の形態では、抗癌剤は、CAR-T療法薬である。幾つかの実施の形態では、抗癌剤は、腫瘍溶解性ウイルスである。幾つかの実施の形態では、本明細書で提供される癌を治療する方法は、腫瘍切除及び/又は放射線療法を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】トランスフェクションされていないHEK293細胞への1D10v1-Fc及び1D10v6-Fcの非特異的結合を示す図である。
【
図2A-2B】1D10v1-Fc及び1D10v6-Fcの、ヒトOX40(A)及びカニクイザルOX40(B)を発現するCHO細胞への結合を示す図である。
【
図3A-3B】六価3×1D10v1-Fc及び六価3×1D10v6-Fc(それぞれ、Hex-1D10v1及びHex-1D10v6とも呼ばれる)の、ヒトOX40を発現するHEK293細胞(A)及びトランスフェクションされていないHEK293細胞(B)への結合を示す図である。
【
図4】OX40を発現し、OX40応答エレメントの下流にルシフェラーゼ遺伝子を含むJurkat細胞における六価3×1D10v1-Fc及び六価3×1D10v6-Fcによるルシフェラーゼ発現の活性化を示す図である。
【
図5】六価3×1D10v6-Fc、四価2×1D10v6-Fc、及び二価1D10v6-Fcと接触された、OX40を発現し、OX40応答エレメントの下流にルシフェラーゼ遺伝子を含むJurkat細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す図である。
【
図6】六価3×1D10v6-Fc及び二価1D10v6-Fcで共刺激された4人の異なるドナーからのCD4
+T細胞(L556、Leuko 20、Leuko 22、及びLeuko 9)の用量依存的増殖を示す図である。
【
図7】六価3×1D10v6-Fc及び二価1D10v6-Fcで共刺激された4人の異なるドナーからのCD4
+T細胞(L556、Leuko 20、Leuko 22、及びLeuko 9)上でのCD25
+発現の用量依存的増加を示す図である。
【
図8】六価3×1D10v6-Fc及び二価1D10v6-Fcで共刺激された4人の異なるドナーからのCD4
+T細胞(L556、Leuko 20、Leuko 22、及びLeuko 9)上でのCD71
+発現の用量依存的増加を示す図である。
【
図9】六価3×1D10v6-Fc及び二価1D10v6-Fcで共刺激された4人の異なるドナーからのCD4
+T細胞(L556、Leuko 20、Leuko 22、及びLeuko 9)から分泌されるIFNγの用量依存的増加を示す図である。
【
図10】抗CD3抗体及び六価3×1D10v6-FcによるヒトT細胞の共刺激後のCD4
+T細胞及びCD8
+T細胞の増加を示す図である(「抗体なし」は、六価3×1D10v1-Fcなしでの抗CD3抗体刺激を示す)。
【
図11】六価3×1D10v6-Fcによる10人の健康なドナーからのT細胞の共刺激後の、CD4
+T細胞及びCD8
+T細胞の増殖の増加(上部の2つのパネル)、CD25
+CD4
+T細胞及びCD25
+CD8
+T細胞のパーセンテージの増加(中央の2つのパネル)、並びにCD71
+CD4
+T細胞及びCD71
+CD8
+T細胞のパーセンテージの増加(下部の2つのパネル)を示す図である。
【
図12】六価3×1D10v6-Fcによる4人の健康なドナーからのT細胞の共刺激後の、細胞内IFNγ
+CD4
+T細胞及び細胞内IFNγ
+CD8
+T細胞のパーセンテージの増加を示す図である。
【
図13】六価3×1D10v6-Fcでの処理がレスポンダーCD4
+T細胞増殖のTreg媒介性の抑制を逆転させ、活性化マーカーCD25及びCD71を発現するCD4
+T細胞のパーセンテージを増加させたことを示す図である。
【
図14A-14B】PD-1を標的とする抗体であるペンブロリズマブ及び六価3×1D10v6-Fc(Hex-1D10v6)の組み合わせが、混合リンパ球反応(MLR)におけるIL-2産生を増強したことを示す図である。
図14Aは、10nMのペンブロリズマブと様々な濃度の六価3×1D10v6-Fcとの組み合わせを示している。
図14Bは、1nMの六価3×1D10v6-Fcと様々な濃度のペンブロリズマブとの組み合わせを示している。
【
図15】カニクイザルに投与された5mg/kg、20mg/kg、又は60mg/kgの六価3×1D10v6-Fc(Hex-1D10v6)の薬物動態(PK)プロファイルを示す図である。全身的曝露が達成され、これは用量に比例して増加した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に示される実施形態は、OX40の活性を調節する多価OX40結合性ポリペプチド、及び癌を治療する様々な方法におけるそれらの使用に関する。
【0026】
定義及び様々な実施形態
本明細書に使用されるセクションの見出しは編成のみを目的とし、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0027】
特許出願、特許公報、及びGenbankアクセッション番号を含む本明細書で引用される全ての参考文献は、各個別の参考文献が、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすと具体的かつ個別に示されているかのように、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0028】
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、一般に十分に理解されており、通常、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd. edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, et al. eds., (2003))、the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames and G. R. Taylor eds. (1995))、Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL、及びANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, ed. (1987))、Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984)、Methods in Molecular Biology, Humana Press、Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, ed., 1998) Academic Press、Animal Cell Culture (R. I. Freshney, ed., 1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press、Cell and Tissue Culture Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, and D. G. Newell eds., 1993-8) J. Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller and M. P. Calos, eds., 1987)、PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994)、Current Protocols in Immunology (J. E. Coligan et al. eds., 1991)、Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999)、Immunobiology (C. A. Janeway and P. Travers, 1997)、Antibodies (P. Finch, 1997)、Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989)、Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000)、Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane( Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999)、The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995)、及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V. T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 1993)並びにそれらの最新版に記載される広く利用されている方法論等の当業者による慣例的な方法論を用いて使用される。
【0029】
別段の規定がない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により別段の要求がない限り、又は明白に特段の指示がない限り、単数名辞は複数を含み、複数名辞は単数を含むものとする。様々な出典又は参考文献の間での定義の矛盾については、本明細書に示される定義が優先される。
【0030】
一般に、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)でのようなEUインデックスの番号付けである。「KabatでのようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0031】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、「からなる(consisting)」実施形態及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を含むと理解される。本明細書で使用される場合に、単数形("a", "an", and "the")は、特段の指示がない限り複数の参照を含む。本明細書での「又は」という用語の使用は、選択肢が互いに排他的であることを意味すると解釈されない。
【0032】
本出願では、「又は」の使用は、明白に特段の指定がない限り又は当業者によって理解されない限り、「及び/又は」を意味する。多項従属請求項の文脈では、「又は」の使用は、2項以上の先行する独立請求項又は従属請求項を引用する。
【0033】
「参照試料」、「参照細胞」、又は「参照組織」という語句は、少なくとも1つの未知の特徴を有する試料との比較として使用され得る少なくとも1つの既知の特徴を有する試料を示す。幾つかの実施形態では、参照試料は、陽性又は陰性の指標として使用され得る。参照試料を使用することで、未知の特徴を有する試料中に存在するタンパク質及び/又はmRNAのレベルに対して、例えば、健康な組織中に存在するタンパク質及び/又はmRNAのレベルを確立することができる。幾つかの実施形態では、参照試料は、同じ被験体に由来するが、試験される部分とは異なる被験体の部分に由来する試料である。幾つかの実施形態では、参照試料は、癌を取り囲む又は癌に隣接する組織領域に由来する試料である。幾つかの実施形態では、参照試料は、試験される被験体に由来するものではなく、対象の障害(例えば、特定の癌又はOX40関連障害)を有する又は有しないことが既知の被験体に由来する試料である。幾つかの実施形態では、参照試料は、同じ被験体に由来するものであるが、被験体が癌を発症する前の時点での試料である。幾つかの実施形態では、参照試料は、同じ被験体又は異なる被験体からの良性癌試料に由来する試料である。比較のために陰性参照試料が使用される場合に、陰性参照試料における対象の分子の発現レベル又は量は、当業者が本開示を考慮して、該分子が存在しない及び/又は低いレベルの該分子が存在することを認識するレベルを示す。比較のために陽性参照試料が使用される場合に、陽性参照試料における対象の分子の発現レベル又は量は、当業者が本開示を考慮して、或るレベルの該分子が存在することを認識するレベルを示す。
【0034】
療法剤の投与から恩恵を受ける又は療法剤の投与に応答するという文脈において本明細書で使用される「便益」、「臨床的便益」、「応答性」、及び「治療的応答性」という用語は、様々なエンドポイント、例えば、減速及び完全な停止を含む疾患進行の或る程度の抑止、疾患エピソード及び/又は症状の数の減少、病変サイズの縮小、隣接する末梢器官及び/又は末梢組織内への疾患細胞浸潤の抑止(すなわち、減少、減速、又は完全な停止)、病気蔓延の抑止(すなわち、減少、減速、又は完全な停止)、障害に関連する1つ以上の症状の或る程度の軽減、治療後の無病提示、例えば無増悪生存期間の長さの増加、全生存期間の延長、より高い奏効率、及び/又は治療後の所与の時点での死亡率の低下を評価することによって推し量ることができる。「非応答性」又は「応答しない」被験体又は癌は、「応答する」という上記の条件を満たさないものである。
【0035】
「核酸分子」、「核酸」、及び「ポリヌクレオチド」という用語は、区別なく使用され、ヌクレオチドのポリマーを指し得る。そのようなヌクレオチドのポリマーは、天然及び/又は非天然のヌクレオチドを含み、限定されるものではないが、DNA、RNA、及びPNAを含み得る。「核酸配列」は、核酸分子又はポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチドの線状配列を指す。
【0036】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために区別なく使用され、最小の長さに限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然又は非天然のアミノ酸残基を含み、限定されるものではないが、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体、及び多量体を含み得る。この定義には、完全長タンパク質及びその断片の両方が含まれる。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアル化、アセチル化、リン酸化等を含む。さらに、本開示の目的で、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加、及び置換等の修飾(一般に性質について保存的)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるような意図的なものであり得る、又はタンパク質を産生する宿主の突然変異若しくはPCR増幅によるエラーによるような偶発的なものであり得る。
【0037】
本明細書で使用される「OX40」は、細胞内でのOX40前駆体のプロセシングから生ずるあらゆる天然の成熟OX40を指す。この用語は、特段の指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル又はアカゲザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含むあらゆる脊椎動物起源からのOX40を含む。この用語はまた、スプライス変異体又はアレル変異体等のOX40の天然に存在する変異体を含む。非限定的な例示的なヒトOX40アミノ酸配列は、例えば、GenBankアクセッション番号CAE11757.1に示されている。配列番号1を参照。非限定的な例示的なカニクイザルのOX40アミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号XP_005545179に示されている。配列番号2を参照。
【0038】
抗原又はエピトープに「特異的に結合する」という用語は、当該技術分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的な結合を決定する方法も当該技術分野で十分に知られている。別の細胞又は物質と反応又は会合するよりも特定の細胞又は物質とより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間及び/又はより高い親和性で反応又は会合する場合に、分子は「特異的な結合」又は「優先的な結合」を示すと言及される。シングルドメイン抗体(sdAb)又はVHH含有ポリペプチドは、他の物質に結合するよりも高い親和性、アビディティーで、より容易に、及び/又はより長い持続時間で結合する場合に、標的に「特異的に結合」又は「優先的に結合」する。例えば、OX40エピトープに特異的に又は優先的に結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドは、他のOX40エピトープ又は非OX40エピトープに結合するよりも高い親和性、アビディティーで、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこのエピトープと結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドである。また、この定義を解釈することにより、例えば、第1の標的に特異的又は優先的に結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドが、第2の標的に特異的又は優先的に結合し得る又は結合し得ないことも理解される。したがって、「特異的な結合」又は「優先的な結合」は、排他的な結合を(含み得るものの)必ずしも必要としない。一般に、必ずしもそうとは限らないが、結合への言及は優先的な結合を意味する。「特異性」は、結合性タンパク質が抗原に選択的に結合する能力を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合に、OX40の活性に関する「調節する」という用語は、OX40の活性の変化を指す。幾つかの実施形態では、「調節する」とは、調節物質の不存在下でのOX40と比較したOX40活性の増加を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合に、「エピトープ」という用語は、抗原結合分子(例えば、sdAb又はVHH含有ポリペプチド)が結合する標的分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、又は脂質等の抗原)上の部位を指す。エピトープは、しばしば、アミノ酸、ポリペプチド、又は糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面編成物を含み、特定の3次元構造的特徴及び特定の電荷特徴を有する。エピトープは、標的分子の連続残基及び/又は並置された非連続残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)の両方から形成され得る。連続残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)から形成されるエピトープは、通常、変性溶剤への曝露で保持されるが、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、通常、変性溶剤による処理で失われる。エピトープは、限定されるものではないが、少なくとも3個、少なくとも5個、又は8個~10個の残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)を含み得る。幾つかの実施形態では、エピトープは、20残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)未満、15残基未満、又は12残基未満の長さである。2つの抗体は、それらが抗原に対して競合的結合を示す場合に、抗原内の同じエピトープに結合し得る。幾つかの実施形態では、エピトープは、抗原結合分子上のCDR残基との或る特定の最小距離によって特定され得る。幾つかの実施形態では、エピトープは、上記距離によって特定され得て、抗原結合分子の残基と抗原残基との間の結合(例えば、水素結合)に関与するそれらの残基に更に限定され得る。エピトープは、様々なスキャンによっても同様に特定され得る。例えば、アラニンスキャン又はアルギニンスキャンは、抗原結合分子が相互作用し得る1つ以上の残基を示すことができる。明示的に示されない限り、エピトープとしての残基のセットは、特定の抗原結合分子に対するエピトープの一部であることから他の残基を除外するものではない。むしろ、そのようなセットの存在は、最小のエピトープの列(又は種類のセット)を示す。したがって、幾つかの実施形態では、エピトープとして特定された残基のセットは、抗原上のエピトープについての残基の排他的リストではなく、抗原に関連する最小のエピトープを示す。
【0041】
「非線状エピトープ」又は「立体構造エピトープ」は、エピトープに特異的な抗原結合分子が結合する抗原性タンパク質内の非連続的なポリペプチド、アミノ酸及び/又は糖を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの残基がエピトープの他の示された残基と非連続的であるが、1つ以上の残基が他の残基と連続的である場合もある。
【0042】
「線状エピトープ」は、エピトープに特異的な抗原結合分子が結合する抗原性タンパク質内の連続的なポリペプチド、アミノ酸及び/又は糖を含む。幾つかの実施形態では、線状エピトープ内の残基の全てが、抗原結合分子によって直接的に結合される(又は結合に関与する)必要があるわけではないことに留意されたい。幾つかの実施形態では、線状エピトープは、事実上線状エピトープの配列からなるペプチドによる免疫化に由来し得る、又はタンパク質の残部から相対的に分離されたタンパク質の構造区間に由来し得る(こうして、抗原結合分子は、少なくとも主として、まさにその配列区間と相互作用し得る)。
【0043】
「抗体」及び「抗原結合分子」という用語は、最も広い意味で区別なく使用され、限定されるものではないが、慣例的な抗体(典型的には、少なくとも1つの重鎖及び少なくとも1つの軽鎖を含む)、シングルドメイン抗体(sdAb、典型的には重鎖に類似している1つだけの鎖を含む)、VHH含有ポリペプチド(少なくとも1つの重鎖のみの抗体可変ドメイン、すなわちVHHを含むポリペプチド)、及び所望の抗原結合活性を示す限り上述のいずれかのフラグメントを含む抗体様抗原結合ドメインを含む様々なポリペプチドを包含する。幾つかの実施形態では、抗体は二量体化ドメインを含む。そのような二量体化ドメインには、限定されるものではないが、重鎖定常ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3を含み、CH1は典型的には、軽鎖定常ドメインCLと対をなす一方で、ヒンジは二量体化を介在する)及びFcドメイン(ヒンジ、CH2、及びCH3を含み、ヒンジは二量体化を介在する)が含まれる。
【0044】
抗体という用語には、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びラクダ(ラマを含む)、サメ、マウス、ヒト、カニクイザル等の様々な種の抗体も含まれる。
【0045】
「シングルドメイン抗体」及び「sdAb」という用語は、軽鎖を有しない重鎖の可変ドメイン(又はVHH)のペア等の単一の単量体ドメインを有する抗体を指すために、本明細書では区別なく使用される。
【0046】
本明細書で使用される「VHH」又は「VHHドメイン」又は「VHH抗原結合ドメイン」という用語は、ラクダ抗体又はサメ抗体等のシングルドメイン抗体の抗原結合部分を指す。幾つかの実施形態では、VHHは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4と表される3つのCDRと4つのフレームワーク領域とを含む。幾つかの実施形態では、VHHは、VHHが実質的に抗原結合及び特異性を維持する限り、部分的なFR1及び/又はFR4のみを含むように又はそれらのフレームワーク領域の一方若しくは両方を欠くように、N末端又はC末端で切断されていてもよい。
【0047】
「VHH含有ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを指す。幾つかの実施形態では、VHHポリペプチドは、2つ、3つ、又は4つ以上のVHHドメインを含み、ここで、各VHHドメインは、同じ又は異なっていてもよい。幾つかの実施形態では、VHH含有ポリペプチドは、Fcドメインを含む。幾つかのそのような実施形態では、VHHポリペプチドは、二量体を形成し得る。VHH含有ポリペプチドの非限定的な構造には、VHH1-Fc、VHH1-VHH2-Fc、及びVHH1-VHH2-VHH3-Fcが含まれ、ここで、VHH1、VHH2、及びVHH3は、同じ又は異なっていてもよい。そのような構造の幾つかの実施形態では、或るVHHは、リンカーによって別のVHHに連結され得る、又は或るVHHは、リンカーによってFcに連結され得る。幾つかのそのような実施形態では、リンカーは、1個~20個のアミノ酸、好ましくは、主にグリシン及び任意にセリンから構成される1個~20個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、VHH含有ポリペプチドがFcを含む場合に、それは二量体を形成する。したがって、構造VHH1-VHH2-Fcは、それが二量体を形成する場合に、四価であるとみなされる(すなわち、二量体は4つのVHHドメインを有する)。同様に、構造VHH1-VHH2-VHH3-Fcは、それが二量体を形成する場合に、六価であるとみなされる(すなわち、二量体は6つのVHHドメインを有する)。
【0048】
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団の抗体(sdAb又はVHH含有ポリペプチドを含む)を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する抗体である。したがって、モノクローナル抗体の試料は、抗原上の同じエピトープに結合することができる。「モノクローナル」という修飾成句は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の性質を示し、何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得る、又は米国特許第4,816,567号に記載されるような組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554に記載される技術を使用して作製されたファージライブラリーから単離され得る。
【0049】
「CDR」という用語は、少なくとも1つの当業者に対する特定様式によって定義される相補性決定領域を示す。幾つかの実施形態では、CDRは、Chothia番号付けスキーム、Kabat番号付けスキーム、KabatとChothiaとの組み合わせ、AbM定義、及び/又は接触定義(contact definition)のいずれかに従って定義され得る。VHHは、CDR1、CDR2、及びCDR3と表される3つのCDRを含む。
【0050】
本明細書で使用される「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、すなわち、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3を含む領域を指す。当然ながら、ドメイン内の機能を変えない欠失及び改変は、特段の指定がない限り、「重鎖定常領域」という用語の範囲内に含まれる。非限定的な例示的な重鎖定常領域には、γ、δ、及びαが含まれる。非限定的な例示的な重鎖定常領域には、ε及びμも含まれる。それぞれの重鎖定常領域は、1つの抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体である。さらに、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体である。或る特定のアイソタイプは、更にサブクラスに細分化され得る。例えば、IgG抗体には、限定されるものではないが、IgG1(γ1定常領域を含む)抗体、IgG2(γ2定常領域を含む)抗体、IgG3(γ3定常領域を含む)抗体、及びIgG4(γ4定常領域を含む)抗体が含まれ、IgA抗体には、限定されるものではないが、IgA1(α1定常領域を含む)抗体及びIgA2(α2定常領域を含む)抗体が含まれ、IgM抗体には、限定されるものではないが、IgM1及びIgM2が含まれる。
【0051】
本明細書で使用される「Fc領域」は、CH2及びCH3を含む重鎖定常領域の一部を指す。幾つかの実施形態では、Fc領域は、ヒンジ、CH2、及びCH3を含む。様々な実施形態では、Fc領域がヒンジを含む場合に、ヒンジは、2つのFc含有ポリペプチド間の二量体化を介在する。Fc領域は、本明細書で論じられる任意の抗体重鎖定常領域アイソタイプのものであり得る。幾つかの実施形態では、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である。
【0052】
本明細書で使用される「アクセプターヒトフレームワーク」は、本明細書で論じられるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来するアクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含むことができる、又はアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施形態では、アミノ酸の変化の数は、VHH等の単一の抗原結合ドメイン内の全てのヒトフレームワークにわたって10個未満、又は9個未満、又は8個未満、又は7個未満、又は6個未満、又は5個未満、又は4個未満、又は3個未満である。
【0053】
「親和性」は、分子(例えば、抗体又はVHH含有ポリペプチド)の単一の結合部位及びその結合相手(例えば、抗原)の間の非共有結合的相互作用の合計の強さを指す。分子Xのその相手Yに対する親和性又は見かけの親和性は、一般に、それぞれ解離定数(KD)又はKD(見かけ)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されている方法を含む、当該技術分野で既知の通常の方法(例えば、ELISA KD、KinExA、フローサイトメトリー、及び/又は表面プラズモン共鳴デバイス等)によって測定され得る。このような方法には、限定されるものではないが、BIAcore(商標)、Octet(商標)、又はフローサイトメトリーを要する方法が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される「KD」という用語は、抗原結合分子/抗原相互作用の平衡解離定数を指す。本明細書で「KD」という用語が使用される場合に、それには、KD及びKD(見かけ)が含まれる。
【0055】
幾つかの実施形態では、抗原結合分子のKDは、フローサイトメトリーによって、抗原発現細胞系統を使用し、各抗体濃度で測定された平均蛍光を非線形1サイト結合方程式(graphpad社のPrism Software)にフィッティングして測定される。幾つかのそのような実施形態では、KDはKD(見かけ)である。
【0056】
「生物学的活性」という用語は、分子の任意の1つ以上の生物学的特性(in vivoで見られるように天然に存在するか、又は組換え手段によって提供される若しくは可能となるかどうか)を指す。生物学的特性には、限定されるものではないが、リガンドの結合、細胞増殖(T細胞増殖等)の誘導又は増加、及びサイトカインの発現の誘導又は増加が含まれる。
【0057】
本明細書で使用される「OX40活性」又はOX40の「生物学的活性」という用語には、OX40タンパク質の任意の生物学的作用又は生物学的関連機能の少なくとも1つが含まれる。幾つかの実施形態では、OX40活性には、OX40がOX40リガンド(OX40L)と相互作用又は結合する能力が含まれる。非限定的な例示的なOX40活性には、NFκBシグナル伝達の増加、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖の増加、T細胞におけるIFNγ発現の増加、T細胞上でのCD25及び/又はCD71発現の増加、並びにエフェクターT細胞活性化及び増殖に対するTreg細胞の抑制活性の低下が含まれる。
【0058】
「アゴニスト」抗体又は「活性化」抗体(sdAb又はVHH含有ポリペプチド等)は、標的抗原の生物学的活性を増加及び/又は活性化する抗体である。幾つかの実施形態では、アゴニスト抗体は、抗原に結合し、その生物学的活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上増加させる。
【0059】
「アンタゴニスト」抗体、「ブロッキング」抗体、又は「中和」抗体は、標的抗原の生物学的活性を低下及び/又は不活性化する抗体である。幾つかの実施形態では、中和抗体は、抗原に結合し、その生物学的活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%、90%、95%、99%以上低下させる。
【0060】
「親和性成熟」VHH含有ポリペプチドは、VHH含有ポリペプチドの抗原に対する親和性に改善をもたらす改変を有しない親VHH含有ポリペプチドと比較して1つ以上のCDRに1つ以上のそのような改変を有するVHH含有ポリペプチドを指す。
【0061】
本明細書で使用される「ヒト化VHH」は、1つ以上のフレームワーク領域が実質的にヒトフレームワーク領域で置き換えられたVHHを指す。幾つかの場合には、ヒト免疫グロブリンの或る特定のフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化VHHは、当初のVHHにもヒトフレームワーク配列にも見られないが、VHH又はVHH含有ポリペプチドの性能をさらに改良及び最適化するために含まれる残基を含み得る。幾つかの実施形態では、ヒト化VHH含有ポリペプチドは、ヒトFc領域を含む。理解されるように、ヒト化配列は、その一次配列によって特定され得て、必ずしも抗体が作製された過程を示すわけではない。
【0062】
「機能的Fc領域」は、天然配列のFc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、Fc受容体結合、Clq結合及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節、並びにB細胞活性化等が含まれる。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域を結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせることを要し、様々なアッセイを使用して評価することができる。
【0063】
「天然配列のFc領域」は、天然に見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFc領域には、天然配列のヒトIgG1 Fc領域(非Aアロタイプ及びAアロタイプ)、天然配列のヒトIgG2 Fc領域、天然配列のヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域、並びにそれらの天然に存在する変異体が含まれる。
【0064】
「変異型Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾により天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、「変異型Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾により天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるが、天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、変異型Fc領域は、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、約1個~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1個~約5個のアミノ酸置換を有する。幾つかの実施形態では、本明細書の変異型Fc領域は、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、それらと少なくとも約90%の配列同一性、それらと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有する。
【0065】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載している。幾つかの実施形態では、FcγRは、天然のヒトFcRである。幾つかの実施形態では、FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、及びFcγRIIIサブクラスの受容体であって、これらの受容体のアレル変異体及び選択的スプライシングされた形態を含む受容体を含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは同様のアミノ酸配列を有するが、主にその細胞質ドメインが異なる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)、Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994)、及びde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)でレビューされている。将来特定されるものを含む他のFcRは、本明細書では「FcR」という用語によって包含される。例えば、「Fc受容体」又は「FcR」という用語はまた、胎児性受容体FcRnを含み、これは、母体のIgGの胎児への移動(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))及び免疫グロブリンの恒常性の調節の役割を担う。FcRnへの結合を測定する方法は既知である(例えば、Ghetie and Ward, Immunol. Today 18(12):592-598 (1997)、Ghetie et al., Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997)、Hinton et al., J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004)、国際公開第2004/92219号(Hintonら)を参照)。
【0066】
本明細書で使用される「実質的に同様」又は「実質的に同じ」という用語は、当業者が2つ以上の値の間の差を、上記値によって測定される生物学的特徴の文脈内で生物学的意義及び/又は統計学的有意性が殆どない又は全くないとみなすような、2つ以上の数値の間の十分に高度な類似性を示す。幾つかの実施形態では、2つ以上の実質的に同様の値は、5%、10%、15%、20%、25%、又は50%のいずれか1つの概数以下だけ異なる。
【0067】
ポリペプチド「変異体」とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセントの配列同一性を達成した後に、配列同一性の部分として保存的置換を一切考慮せずに、天然配列のポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチドを意味する。そのような変異体には、例えば、ポリペプチドのN末端又はC末端で1つ以上のアミノ酸残基が付加又は欠失されているポリペプチドが含まれる。幾つかの実施形態では、変異体は、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する。幾つかの実施形態では、変異体は、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する。幾つかの実施形態では、変異体は、天然配列のポリペプチドと少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0068】
本明細書で使用される場合に、ペプチド配列、ポリペプチド配列、又は抗体配列に関する「パーセント(%)のアミノ酸配列同一性」及び「ホモロジー」は、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセントの配列同一性を達成した後に、配列同一性の部分として保存的置換を一切考慮せずに、特定のペプチド配列又はポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントのアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGN(商標)(DNASTAR社)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技能の範囲内である様々な方法で達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0069】
アミノ酸置換には、限定されるものではないが、ポリペプチド中の或るアミノ酸を別のアミノ酸により置き換えることが含まれ得る。例示的な置換を表1に示す。アミノ酸置換を対象の抗体に導入し、産物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングすることができる。
【0070】
【0071】
共通の側鎖特性に従ってアミノ酸をグループ分けすることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0072】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。
【0073】
「ベクター」という用語は、宿主細胞内で増殖され得る、クローニングされたポリヌクレオチド(単数又は複数)を含むように操作することができるポリヌクレオチドを記載するために使用される。ベクターは、以下のエレメントのうちの1つ以上を含み得る:複製起点、対象のポリペプチドの発現を調節する1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター及び/又はエンハンサー等)、及び/又は1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子及び比色アッセイで使用することができる遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼ等)。「発現ベクター」という用語は、宿主細胞において対象のポリペプチドを発現するために使用されるベクターを指す。
【0074】
「宿主細胞」は、ベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得る又はレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。例示的な真核細胞には、霊長類動物細胞又は非霊長類動物細胞等の哺乳動物細胞、酵母等の真菌細胞、植物細胞、及び昆虫細胞が含まれる。非限定的な例示的な哺乳動物細胞には、限定されるものではないが、NSO細胞、PER.C6(商標)細胞(Crucell社)、並びに293細胞及びCHO細胞、並びにそれらの派生物、例えば293-6E細胞、CHO-DG44細胞、CHO-K1細胞、CHO-S細胞、及びCHO-DS細胞が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれるが、自然突然変異、偶発突然変異、又は意図的突然変異のため、子孫は必ずしも当初の親細胞と完全に同一(形態又はゲノムDNA相補において)であるとは限らない。宿主細胞には、初代ヒト免疫細胞等の初代細胞も含まれる。
【0075】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、典型的に天然に一緒に見出される又は一緒に産生される成分の少なくとも幾つかから分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それを産生した細胞の成分の少なくとも一部から分離される場合に、「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合に、ポリペプチドを含む上清を、それを産生した細胞から物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離する」とみなされる。同様に、ポリヌクレオチドは、それが典型的に天然に見られるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合に、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNA等)の一部ではない場合に、又は例えば、RNAポリヌクレオチドの場合に、それを産生した細胞の成分の少なくとも一部から分離される場合に、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、「単離された」と称され得る。
【0076】
「個体」及び「被験体」という用語は、動物、例えば哺乳動物を指すために本明細書では区別なく使用される。幾つかの実施形態では、限定されるものではないが、ヒト、齧歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳動物実験動物、哺乳動物家畜、哺乳動物競技用動物(sport animals)、及び哺乳動物ペットを含む哺乳動物を治療する方法が提供される。幾つかの例では、「個体」又は「被験体」は、疾患又は障害の治療を必要とする個体又は被験体を指す。幾つかの実施形態では、治療を受ける被験体は、被験体が治療に関連する障害を有する又は障害を患う十分なリスクがあると特定されたことを表す患者であり得る。
【0077】
本明細書で使用される「疾患」又は「障害」は、治療が必要とされる及び/又は所望される状態を指す。
【0078】
「腫瘍細胞」、「癌細胞」、「癌」、「腫瘍」、及び/又は「新生物」という用語は、特段の指定がない限り、本明細書では区別なく使用され、身体器官及び系の正常な機能を妨げる制御不能な増殖及び/又は異常な細胞生存の増加及び/又はアポトーシスの阻害を示す細胞(又は複数の細胞)を指す。この定義には、良性及び悪性の癌、ポリープ、過形成、並びに潜伏腫瘍又は微小転移が含まれる。
【0079】
「癌」及び「腫瘍」という用語は、固形癌及び血液癌/リンパ腺癌を包含するとともに、異形成等の悪性腫瘍、前悪性腫瘍、及び良性腫瘍も包含する。また、この定義には、免疫系(例えば、免疫回避メカニズム及び免疫エスケープメカニズム)によって妨げられない異常な増殖を伴う細胞(例えば、ウイルス感染細胞)も含まれる。例示的な癌には、限定されるものではないが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳癌及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(胃腸癌を含む)、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、並びにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHLを含む、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びにその他の癌腫及び肉腫、並びに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症、浮腫(脳腫瘍に関連する浮腫等)及びメイグス症候群に関連する異常血管増殖が含まれる。
【0080】
本明細書で使用される「非腫瘍細胞」という用語は、正常な細胞又は組織を指す。例示的な非腫瘍細胞には、限定されるものではないが、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、上皮細胞、線維芽細胞、肝細胞、間質性腎臓細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、骨芽細胞、及び乳房、骨格筋、膵臓、胃、卵巣、小腸、胎盤、子宮、精巣、腎臓、肺、心臓、脳、肝臓、前立腺、結腸、リンパ器官、骨に位置する細胞、及び骨由来の間葉系幹細胞が含まれる。本明細書で使用される「末梢に位置する細胞又は組織」という用語は、腫瘍細胞の近く及び/又は腫瘍微小環境内に位置しない非腫瘍細胞を指す。
【0081】
本明細書で使用される「腫瘍微小環境内の細胞又は組織」という用語は、腫瘍細胞を取り囲む及び/又は腫瘍細胞に栄養を与える細胞、分子、細胞外マトリックス及び/又は血管を指す。例示的な腫瘍微小環境内の細胞又は組織には、限定されるものではないが、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、癌関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞(Treg細胞)、マクロファージ、好中球、骨髄由来抑制細胞(MDSC)及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞が含まれる。腫瘍細胞及び/又は腫瘍微小環境内に位置する細胞/組織を特定する方法は、本明細書で以下に記載されるように当該技術分野で十分に知られている。
【0082】
幾つかの実施形態では、「増加」又は「減少」は、それぞれ、統計学的に有意な増加又は減少を指す。当業者に明らかであるように、「調節」はまた、試験作用物質が存在することを除き同じ条件と比較した、標的又は抗原のそのリガンド、結合相手、ホモ多量体形若しくはヘテロ多量体形へと会合する相手又は基質の1つ以上に対する親和性、アビディティー、特異性及び/又は選択性の変化(増加又は減少のいずれかであり得る)を引き起こすこと、標的又は抗原が存在する培地又は環境における1つ以上の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対する標的又は抗原の感受性の変化(増加又は減少のいずれかであり得る)を引き起こすこと、及び/又は細胞増殖若しくはサイトカイン産生を含み得る。これは、関与する標的に応じて、それ自体が既知の又は本明細書に記載される任意の適切な方法で及び/又は任意の適切なアッセイを使用して決定され得る。
【0083】
本明細書で使用される場合に、「免疫応答」は、疾患(例えば、癌又は癌転移)の発症を抑止若しくは未然防止する又はその症状を改善するのに十分である細胞性免疫応答及び/又は体液性免疫応答を包含することが意図される。「免疫応答」は、自然免疫系及び獲得免疫系の両方の側面を包含し得る。
【0084】
本明細書で使用される場合に、「治療」は、有益な又は所望の臨床結果を得るための手法である。本明細書で使用される「治療」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患用の療法薬の任意の投与又は適用を対象とする。本開示の目的では、有益な又は所望の臨床結果には、限定されるものではないが、1つ以上の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の進展(例えば、転移、例えば肺又はリンパ節への転移)の未然防止又は遅延、疾患の再発の未然防止又は遅延、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善、疾患又は疾患の進行の抑止、疾患又はその進行の抑止又は減速、その発達の阻止、及び寛解(部分的でも全体的でも)のいずれか1つ以上が含まれる。「治療」には、増殖性疾患の病理学的結果の軽減も含まれる。本明細書で提供される方法は、治療のこれらの側面のいずれか1つ以上を企図している。上記に従って、治療という用語は、障害の全ての側面を100パーセント除去する必要はない。
【0085】
「改善する」とは、療法剤を投与しない場合と比べて、1つ以上の症状が軽減又は向上することを意味する。「改善」には、症状の持続期間が短縮又は減少することも含まれる。
【0086】
「抗癌剤」という用語は、本明細書では、その最も広い意味で、1つ以上の癌の治療に使用される作用物質を指すために使用される。そのような作用物質の例示的なクラスには、限定されるものではないが、化学療法剤、抗癌生物製剤(サイトカイン、受容体細胞外ドメイン-Fc融合物、及び抗体等)、放射線療法、CAR-T療法薬、治療用オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNA等)、及び腫瘍溶解性ウイルスが含まれる。
【0087】
「生体試料」という用語は、生きている生き物又はかつて生きていた生き物からの或る量の物質を意味する。そのような物質には、限定されるものではないが、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、羊水、滑液、内皮細胞、白血球、単球、他の細胞、器官、組織、骨髄、リンパ節、及び脾臓が含まれる。
【0088】
「コントロール」又は「参照」という用語は、分析物を含まないことが既知の組成物(「ネガティブコントロール」)又は分析物を含むことが既知の組成物(「ポジティブコントロール」)を指す。ポジティブコントロールは、既知の濃度の分析物を含み得る。
【0089】
「抑止」又は「抑止する」という用語は、任意の表現型特徴の減少若しくは停止、又はその特徴の発生率、程度、若しくは可能性の減少若しくは停止を指す。「低減する」又は「抑止する」とは、参照と比較して、活性、機能、及び/又は量を減少させる、低減する、又は停止することである。幾つかの実施形態では、「低減する」又は「抑止する」とは、10%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態では、「低減する」又は「抑止する」とは、50%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態では、「低減する」又は「抑止する」とは、75%、85%、90%、95%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態では、上記の量は、或る期間にわたって、同じ期間にわたるコントロールに対して抑止又は減少される。
【0090】
本明細書で使用される場合に、「疾患の発症を遅延させる」とは、疾患(癌等)の発症を遅らせる、妨げる、減速させる、遅滞させる、安定化させる、抑制する、及び/又は引き延ばすことを意味する。この遅延は、疾患の病歴及び/又は治療される個体に応じて、様々な長さの時間となり得る。当業者に明らかであるように、十分な又は大幅な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で未然防止を包含し得る。例えば、転移の発生等の末期癌を遅延させることができる。
【0091】
本明細書で使用される「未然防止」は、疾患の素因を有し得るが、まだ疾患と診断されていない被験体における疾患の発生又は再発に対する予防をもたらすことを含む。特段の指示がない限り、「低減する」、「抑止する」、又は「未然防止する」という用語は、全期間にわたる完全な未然防止を示すのではなく又は必要とするのではなく、測定される期間だけにわたる未然防止を示す又は必要とする。
【0092】
物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストが個体において所望の応答を誘発する能力等の要因によって変動し得る。治療有効量はまた、治療的に有益な作用が物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の有毒作用又は有害作用を上回る量である。治療有効量は、1回以上の投与で送達され得る。治療有効量は、必要な投与量で必要な時間にわたって、所望の治療的結果及び/又は予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
【0093】
「医薬製剤」及び「医薬組成物」という用語は、有効成分(複数の場合もある)の生物学的活性が有効になることを可能にするような形態であり、製剤を投与する被験体に対して許容不可能なほど有毒な追加の成分を含まない調剤を指す。そのような製剤は滅菌され得る。
【0094】
「薬学的に許容可能な担体」は、被験体に投与するための「医薬組成物」を一緒に含む療法剤とともに使用される当該技術分野において慣用の非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、製剤補助剤、又は担体を指す。薬学的に許容可能な担体は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、製剤の他の成分と適合性がある。薬学的に許容可能な担体は、使用される製剤にとって適切である。
【0095】
1つ以上の更なる療法剤と「組み合わせて」の投与には、同時(併用)投与及び任意の順序での連続投与が含まれる。
【0096】
「同時に」という用語は、本明細書では、2つ以上の療法剤の投与であって、投与の少なくとも一部が時間的に重複する、又は1つの療法剤の投与が他の療法剤の投与に対して短い期間に含まれる、又は両方の療法剤の治療効果が少なくとも或る期間にわたり重複する、投与を指すために使用される。
【0097】
「連続的に」という用語は、本明細書では、2つ以上の療法剤の投与であって、時間的に重複しない、又は療法剤の治療効果が重複しない、投与を指すために使用される。
【0098】
本明細書で使用される場合に、「~と組み合わせて」は、或る治療法の施与に別の治療法を加えることを指す。したがって、「~と組み合わせて」は、或る治療法を、個体に他の治療法を施す前、その間、又はその後に施すことを指す。
【0099】
「添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通例含まれる使用説明書であって、そのような治療製品の使用に関する指示、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む、使用説明書を指すために使用される。
【0100】
「製造品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患若しくは障害(例えば、癌)の治療用の医薬、又は本明細書に記載されるバイオマーカーを特異的に検出するプローブを含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)又はキットである。幾つかの実施形態では、製造物又はキットは、本明細書に記載される方法を実施する単位として宣伝、配送、又は販売される。
【0101】
「標識」及び「検出可能な標識」という用語は、例えば、抗体又は抗原に結合されて、特異的結合ペアのメンバー間の反応(例えば、結合)を検出可能にする部分を意味する。特異的結合ペアの標識されたメンバーは、「検出可能に標識された」と称される。したがって、「標識された結合性タンパク質」という用語は、結合性タンパク質の特定をもたらす標識が組み込まれたタンパク質を指す。幾つかの実施形態では、標識は、視覚的に又は機器的手段により検出可能なシグナルを生成し得る検出可能なマーカー、例えば、放射性標識されたアミノ酸の組み込み又はマーキングされたアビジン(例えば、蛍光マーカー又は光学的方法若しくは比色法により検出され得る酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部のポリペプチドへの結合である。ポリペプチドの標識の例には、限定されるものではないが、放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、又は153Sm)、色素原、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される予め決められたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、及びガドリニウムキレート等の磁性剤が含まれる。イムノアッセイに通常使用される標識の代表的な例には、光を発する部分、例えば、アクリジニウム化合物、及び蛍光を発する部分、例えば、フルオレセインが含まれる。この点について、その部分自体は検出可能に標識されていない場合もあるが、更に別の部分と反応すると検出可能になり得る。
【0102】
例示的なOX40結合性ポリペプチド
本明細書では、アゴニストのOX40結合性ポリペプチドが提供される。様々な実施形態では、アゴニストのOX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるアゴニストのOX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるアゴニストのOX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインを含む。そのようなOX40結合性ポリペプチドは、OX40以外の1つ以上の標的タンパク質に結合する1つ以上の追加のVHHドメインを含み得る。
【0103】
幾つかの実施形態では、アゴニストのOX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する少なくとも1つのVHHドメインと、Fcドメインとを含む。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるアゴニストのOX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインと、Fcドメインとを含む。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、生理学的条件でOX40結合性ポリペプチドの二量体化を介在し、こうして二量体が形成されることにより、OX40結合部位の数が2倍となる。例えば、OX40に結合する3つのVHHドメインと、Fc領域とを含むOX40結合性ポリペプチドは、単量体としては三価であるが、生理学的条件では、Fc領域が二量体化を介在することができ、こうしてOX40結合性ポリペプチドは、そのような条件下で六価の二量体として存在する。非限定的な例示的な六価OX40結合性ポリペプチドには、3×1D10v1-Fc及び3×1D10v6-Fcが含まれ、これらは、それぞれ、Hex-1D10v1及びHex-1D10v6とも称される。特定の理論に縛られることを意図するものではないが、OX40を通じた共刺激はOX40のクラスター形成によって改善されると考えられる。つまり、多価OX40結合性ポリペプチド(四価又は六価等)は、一価又は二価のOX40結合性ポリペプチドよりも有効である。
【0104】
様々な実施形態では、OX40に結合するVHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。幾つかの実施形態では、VHHドメインはヒト化されている。
【0105】
幾つかの実施形態では、OX40に結合するVHHドメインはヒト化され得る。ヒト化抗体(VHH含有ポリペプチド等)は、治療分子として有用である。それというのも、ヒト化抗体は、抗体療法薬に対する免疫応答をもたらして療法薬の有効性を低下させ得る非ヒト抗体に対するヒト免疫応答を低減又は排除するからである。一般に、ヒト化抗体は、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。幾つかの実施形態では、ヒト化抗体における幾つかのFR残基は、例えば、抗体の特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基の元となる抗体)からの対応する残基で置換される。
【0106】
ヒト化抗体及びその作製方法は、例えば、Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13: 1619-1633においてレビューされており、例えば、Riechmann et al., (1988) Nature 332:323-329、Queen et al., (1989) Proc. Natl Acad. Sci. USA 86: 10029-10033、米国特許第5,821,337号、米国特許第7,527,791号、米国特許第6,982,321号、及び米国特許第7,087,409号、Kashmiri et al., (2005) Methods 36:25-34、Padlan, (1991) Mol. Immunol. 28:489-498(「リサーフェイシング(resurfacing)」を記載している)、Dall'Acqua et al., (2005) Methods 36:43-60(「FRシャッフリング(FR shuffling)」を記載している)、並びにOsbourn et al., (2005) Methods 36:61-68及びKlimka et al., (2000) Br. J. Cancer, 83:252-260(FRシャッフリングに対する「ガイド選択(guided selection)」アプローチを記載している)で更に記載されている。
【0107】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、限定されるものではないが、「ベストフィット(best-fit)」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al. (1993) J. Immunol. 151 :2296を参照)、重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285、及びPresta et al. (1993) J. Immunol, 151:2623を参照)、ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633を参照)、及びFRライブラリーのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al., (1997) J. Biol. Chem. 272: 10678-10684、及びRosok et al., (1996) J. Biol. Chem. 271 :22611-22618を参照)が含まれる。典型的には、VHHのFR領域をヒトFR領域と置き換えることで、ヒト化VHHが作製される。幾つかの実施形態では、ヒトFRの或る特定のFR残基を置き換えることで、ヒト化VHHの1つ以上の特性が改善される。そのような置き換えられた残基を有するVHHドメインも、本明細書では更に「ヒト化」と称される。
【0108】
幾つかの実施形態では、OX40に結合するVHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3と、配列番号22のアミノ酸配列を含むフレームワーク2(FR2)とを含む。幾つかの実施形態では、VHHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含むFR3を更に含む。
【0109】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む少なくとも1つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインを含む。
【0110】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、OX40に結合する3つのVHHドメインと、Fcドメインとを含む。幾つかのそのような実施形態では、各VHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。幾つかの実施形態では、各VHHドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3と、配列番号22のアミノ酸配列を含むフレームワーク2(FR2)とを含む。幾つかの実施形態では、各VHHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含むFR3を更に含む。幾つかの実施形態では、各VHHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0111】
様々な実施形態では、OX40結合性ポリペプチドに含まれるFcドメインは、ヒトFcドメインである、又はヒトFcドメインに由来する。
【0112】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドに含まれるFcドメインは、ヒトFcドメインに由来し、IgG1 E233、L234、及びL235に対応する3つのアミノ酸欠失を下部ヒンジに含み、本明細書で「Fc xELL」と称される。Fc xELLポリペプチドはFcγRと結合しないため、「エフェクターサイレント」又は「エフェクターヌル」と称されるが、幾つかの実施形態では、xELL FcドメインはFcRnに結合するため、半減期の延長及びFcRn媒介性リサイクリング(FcRn mediated recycling)と関連したトランスサイトーシスを伴う。
【0113】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドに含まれるFcドメインは、ヒトFcドメインに由来し、突然変異M252Y及びM428Vを含み、本明細書で「Fc-YV」と称される。幾つかの実施形態では、そのような突然変異は、エンドソームの酸性pH(6.5近く)でFcRnへの結合を増強するのに対し、中性pH(約7.2)では検出可能な結合が失われることから、FcRn媒介性リサイクリングの増強及び半減期の延長が可能となる。
【0114】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドに含まれるFcドメインは、ヒトFcドメインに由来し、ヘテロ二量体化のために設計された突然変異を含み、本明細書において「ノブ」及び「ホール」と称される。幾つかの実施形態では、「ノブ」Fcドメインは、突然変異T366Wを含む。幾つかの実施形態では、「ホール」Fcドメインは、突然変異T366S、L368A、及びY407Vを含む。幾つかの実施形態では、ヘテロ二量体化に使用されるFcドメインは、ヘテロ二量体Fcペアの第1のメンバー上の突然変異S354C等の追加の突然変異を含み、この突然変異は、ヘテロ二量体Fcペアの第2のメンバー上の対応する突然変異Y349Cと非対称ジスルフィドを形成する。幾つかの実施形態では、ヘテロ二量体Fcペアの一方のメンバーは、修飾H435R又はH435Kを含むことで、FcRn結合を維持しつつプロテインAの結合を妨げる。幾つかの実施形態では、ヘテロ二量体Fcペアの一方のメンバーは、修飾H435R又はH435Kを含むのに対して、ヘテロ二量体Fcペアの第2のメンバーは、H435で修飾されていない。様々な実施形態では、ホールFcドメインは、修飾H435R又はH435Kを含むが(修飾がH435Rである場合に、場合によっては「ホール-R」と称される)、ノブFcドメインはそれを含まない。幾つかの場合には、ホール-R突然変異は、存在し得るホモ二量体ホールFcドメインに対するヘテロ二量体の精製を改善する。
【0115】
OX40結合性ポリペプチドで使用され得る非限定的な例示的なFcドメインには、配列番号25及び配列番号26のアミノ酸配列を含むFcドメインが含まれる。
【0116】
幾つかの実施形態では、3つのVHHドメインと、Fcドメインとを含むOX40結合性ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列と、そのアミノ酸配列のC末端に融合されたFcドメインとを含む。幾つかの実施形態では、3つのVHHドメインと、Fcドメインとを含むOX40結合性ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列からなる。
【0117】
OX40結合性ポリペプチドの例示的な活性
様々な実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、OX40活性のアゴニストである。アゴニスト活性は、幾つかの実施形態では、本明細書の実施例に示される方法を使用して、例えばJurkat/OX40レポーター細胞又は同様の細胞を使用して決定され得る。
【0118】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖の増加は、例えば、本明細書の実施例に示される方法等の当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞を1人以上の健康なヒトドナーから分離し、CellTrace Violet(CTV)で染色することができる。次いで、T細胞を抗CD3抗体及びOX40結合性ポリペプチドで共刺激した後に、FACSで分析する。CTV染色の喪失は増殖を示す。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖の増加は、例えば、異なる健康なヒトドナーから分離されたCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を測定することによって、一連の実験又はプールされたT細胞からの平均として決定される。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖の増加は、少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞を使用して実施される実験からの、又は少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞のプールからの平均として決定される。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でさえもCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖を増加させる。
【0119】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を増加させる。CD25発現はT細胞の活性化を示している。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を増加させる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現の増加は、例えば、本明細書の実施例に示される方法等の当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞を、1人以上の健康なヒトドナーから分離し、抗CD3抗体及びOX40結合性ポリペプチドで共刺激した後に、FACSによってCD25発現について分析することができる。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現の増加は、例えば、異なる健康なヒトドナーから分離されたCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を測定することによって、一連の実験又はプールされたT細胞からの平均として決定される。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現の増加は、少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞を使用して実施される実験からの、又は少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞のプールからの平均として決定される。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でさえもCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD25発現を増加させる。
【0120】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を増加させる。CD71発現はT細胞の活性化を示している。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を増加させる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍増加させる。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現の増加は、例えば、本明細書の実施例に示される方法等の当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞を、1人以上の健康なヒトドナーから分離し、抗CD3抗体及びOX40結合性ポリペプチドで共刺激した後に、FACSによってCD71発現について分析することができる。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現の増加は、例えば、異なる健康なヒトドナーから分離されたCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を測定することによって、一連の実験又はプールされたT細胞からの平均として決定される。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現の増加は、少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞を使用して実施される実験からの、又は少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞のプールからの平均として決定される。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でさえもCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのCD71発現を増加させる。
【0121】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる。IFNγ発現はT細胞の活性化を示している。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、in vitroでCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのIFNγ発現を少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍増加させる。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現の増加は、例えば、本明細書の実施例に示される方法等の当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞を、1人以上の健康なヒトドナーから分離し、抗CD3抗体及びOX40結合性ポリペプチドで共刺激することができる。細胞内IFNγ発現を決定するために、細胞をペレット化し、検出可能な抗CD4抗体及び抗CD8抗体で表面標識する。次いで、細胞を固定して透過処理した後に、検出可能な抗IFNγ抗体で染色する。次に、IFNγ+CD4+細胞又はIFNγ+CD8+細胞をFACSによって検出する。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのIFNγ発現の増加は、例えば、異なる健康なヒトドナーから分離されたCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を測定することによって、一連の実験又はプールされたT細胞からの平均として決定される。幾つかの実施形態では、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現の増加は、少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞を使用して実施される実験からの、又は少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのT細胞のプールからの平均として決定される。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、Treg細胞の存在下でさえもCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞におけるIFNγ発現を増加させる。
【0122】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、制御性T細胞(Treg)の抑制活性を低減又は減弱させる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞に対するTreg抑制活性を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%低減させる。慣例的なCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞上でのTreg抑制活性の減少は、例えば、本明細書の実施例に示される方法等の当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。Treg及びCD4+T細胞を、健康なヒトドナーPBMCから分離した後に、増殖性細胞用蛍光色素で異なる様式で標識する。CD4+T細胞を抗CD3抗体で刺激し、一方で、Treg細胞を本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドの存在下でインキュベートする。2つのT細胞集団を3日間共培養し、CD4+T細胞の増殖及び活性化をフローサイトメトリーでモニターする。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、例えば、Treg細胞の存在下であるが本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドの不存在下でのCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の活性化及び増殖と比較して、Treg細胞の存在下でCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の活性化及び増殖を増加させる。
【0123】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは多価であり、2つ以上のOX40結合ドメインを含む。様々な実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのOX40結合ドメインを含む。幾つかのそのような実施形態では、OX40結合ドメインの少なくとも1つ又は全ては同じである。幾つかのそのような実施形態では、OX40結合ドメインの全ては、1D10v6のCDR1、CDR2、及びCDR3(それぞれ、配列番号10、配列番号11、及び配列番号12)を含む。幾つかの実施形態では、OX40結合ドメインの少なくとも1つ又は全ては、1D10v6のVHH(配列番号9)を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのOX40結合ドメインは、1D10v6のCDR又はVHHを含み、少なくとも1つのOX40結合ドメインは、1D10v6のCDR又はVHHを含まない。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、多重特異性であり、OX40に結合する少なくとも1つのドメインと、別の抗原に結合する少なくとも1つのドメインとを含む。幾つかの実施形態では、第2の抗原は、PD1、PDL1、CTLA4、TIGIT、LAG3、VISTA、gpNMB、B7H3、B7H4、HHLA2、CD73、CD39、41BB、GITR、CD28、ICOS、HVEM、5T4、α-4インテグリン、α-Vインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗Lewis-Y、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BTLA、C5補体、C-242、CA9、CA19-9(Lewis a)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132(IL-2RG)、CD133、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、CLAUDIN-3、CLAUDIN-4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、フィブロネクチンのエクストラドメインB(EDB)、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GRP78、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、Lewis X、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MRP4、MUC1、ムチン-16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、NEctin 4、ニカストリン、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジル-セリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン1ホスフェート、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される。幾つかの実施形態では、第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインは、アンタゴニスト又はアゴニストである。幾つかの実施形態では、第2の抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインは、VHHドメインである。
【0124】
本明細書では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを発現する操作された細胞が提供される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、細胞から分泌される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、シグナルペプチド、例えば、ポリペプチドの細胞による分泌を引き起こす抗体シグナルペプチド又は他のシグナル配列を含む。シグナルペプチド又はシグナルペプチドの一部は、分泌されるときにポリペプチドから切断され得る。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、細胞内の核酸によってコードされ、さらに、細胞によって発現及び分泌され得る。核酸は、典型的には、所望の条件下での発現に適した調節配列(例えば、プロモーター及び/又はエンハンサー等)を含む。核酸は、細胞のゲノム中に組み込まれていてもよく、又はゲノム外の核酸としても存在し得る。幾つかの実施形態では、細胞は、例えば、初代免疫細胞等の免疫細胞である。
【0125】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)である。CARは、典型的には、T細胞等の細胞の表面上に発現される融合分子における抗原結合ドメイン等の細胞外標的化部分又は結合部分と、膜貫通ドメインと、1つ以上のシグナル伝達ドメインとを含む合成受容体である。したがって、CARは、単一分子において抗原特異性とT細胞活性化特性とを兼ね備えている。第1世代のCARは典型的には、CD3ζの細胞質領域又はFcl受容体γ鎖をそれらのシグナル伝達ドメインとして含む。第1世代のCARは、卵巣癌、腎癌、リンパ腫、及び神経芽細胞腫を伴う患者における第I相臨床試験で試験されており、これらは中程度の奏効を誘導した(Sadelain et al., Curr Opin Immunol, 21 (2): 215-223, 2009でレビューされている)。CD28及びCD3ζ等の共刺激分子のシグナル伝達ドメインを含む第2世代のCARは、活性化シグナルと共刺激シグナルとの組み合わせに向けたデュアルシグナル伝達を提供する。第3世代のCARは、3つ以上のシグナル伝達ドメインを伴ってより複雑である(Sadelain et al., Cancer Discovery (3), 388-398, 2013及びDotti et al, Immuno. Rev, 257 (1), 1-36, 2014でレビューされている)。
【0126】
幾つかの実施形態では、CARの細胞外結合部分は、OX40に結合するVHHドメイン等の1つ以上の結合ドメインを含む。幾つかの実施形態では、細胞外結合部分は多価であり、OX40に結合する2つ以上の結合ドメインを含む。様々な実施形態では、細胞外結合部分は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのOX40結合ドメインを含む。幾つかのそのような実施形態では、OX40結合ドメインの少なくとも1つ又は全ては同じである。幾つかのそのような実施形態では、OX40結合ドメインの全ては、1D10v6のCDR1、CDR2、及びCDR3(それぞれ、配列番号10、配列番号11、及び配列番号12)を含む。幾つかの実施形態では、OX40結合ドメインの少なくとも1つ又は全ては、1D10v6のVHH(配列番号9)を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのOX40結合ドメインは、1D10v6のCDR又はVHHを含み、少なくとも1つのOX40結合ドメインは、1D10v6のCDR又はVHHを含まない。幾つかの実施形態では、細胞外結合部分は、多重特異性であり、OX40に結合する少なくとも1つのドメインと、別の抗原に結合する少なくとも1つのドメインとを含む。幾つかの実施形態では、第2の抗原は、PD1、PDL1、CTLA4、TIGIT、LAG3、VISTA、gpNMB、B7H3、B7H4、HHLA2、CD73、CD39、41BB、GITR、CD28、ICOS、HVEM、5T4、α-4インテグリン、α-Vインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗Lewis-Y、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BTLA、C5補体、C-242、CA9、CA19-9(Lewis a)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132(IL-2RG)、CD133、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、CLAUDIN-3、CLAUDIN-4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、フィブロネクチンエクストラドメインB(EDB)、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GRP78、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、Lewis X、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MRP4、MUC1、ムチン-16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、NEctin 4、ニカストリン、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジル-セリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン1ホスフェート、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される。幾つかの実施形態では、細胞外結合部分の1つ以上の抗原結合ドメインは、scFv又はVHHである。幾つかの実施形態では、細胞外結合部分は、十分な親和性で標的抗原に結合する又は結合することができるため、CARは、療法において有用であり、例えば、標的抗原を発現する細胞又は組織を標的化するのに有用である。
【0127】
CARの膜貫通ドメインは、典型的に原形質膜を横切る又は原形質膜を横切り得る若しくは原形質膜にまたがり得るドメインであり、このドメインは、細胞外抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む内質部分に直接的又は間接的に(例えば、免疫グロブリンヒンジ配列等のスペーサーを介して)連結されている。幾つかの実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質)の膜貫通領域、人工疎水性配列、又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD3ζドメイン又はCD28膜貫通ドメインを含む。他の膜貫通ドメインは当業者には明らかであり、本明細書で提供されるCARの実施形態に関連して使用され得る。
【0128】
本明細書で提供されるCARの細胞内シグナル伝達領域は、CARの抗原結合ドメインの結合時に、例えば、抗原の結合時にT細胞にシグナルを伝達する1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。幾つかの実施形態では、細胞内領域は、ITAMシグナル伝達ドメインである又はITAMシグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。例示的な細胞内シグナル伝達ドメインには、例えば、T細胞受容体複合体のζ鎖又はそのホモログ(例えば、η鎖、FcsRIy鎖及びβ鎖、MB1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖等)のいずれか、ヒトCD3ζ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δ、及びε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP70等)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lyn等)並びにCD2、CD5、OX40及びCD28等のT細胞伝達に関与する他の分子に由来するシグナル伝達ドメインが含まれる。特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3ζ鎖に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0129】
幾つかの実施形態では、エンドドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。幾つかの実施形態では、CD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号27に示されるアミノ酸の配列、又は配列番号27に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%以上の配列同一性を示し、T細胞シグナル伝達の活性を保持しているアミノ酸の配列を含む。
【0130】
幾つかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達領域は、共刺激分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを更に含み得る。そのような例では、そのようなシグナル伝達ドメインは、例えば、抗原特異的結合後に、例えば、ITAM含有シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζのみを含むCARと比較して、記憶細胞の増殖、生存及び/又は発達の増強を介してCAR-T細胞活性を増強し得る。幾つかの実施形態では、共刺激ドメインは、CD28、CD137(4-IBB)、CD134(OX40)、DapIO、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40又はそれらの組み合わせから選択されるタンパク質から得られる機能的シグナル伝達ドメインである。特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、ヒトタンパク質に由来する又はヒトタンパク質から得られる。幾つかの態様では、共刺激シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28又はヒトCD137(4-IBB)に由来する又はそれらから得られる。
【0131】
幾つかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインはCD28又は4-1BBに由来し、配列番号28~配列番号31のいずれかに示されるアミノ酸の配列、又は配列番号28~配列番号31に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%以上の配列同一性を示し、T細胞共刺激シグナル伝達の活性を保持しているアミノ酸の配列を含む。
【0132】
幾つかの実施形態では、CARは、細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとを連結するヒンジ領域又はスペーサー領域を更に含む。このヒンジ領域又はスペーサー領域を使用して、得られるCARの種々の長さ及び柔軟性を実現することができる。使用され得るヒンジ領域又はスペーサー領域の例には、限定されるものではないが、抗体のFcフラグメント、若しくはその断片若しくは誘導体、抗体のヒンジ領域、若しくはその断片若しくは誘導体、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、例えばペプチド配列、又はそれらの組み合わせが含まれる。他のヒンジ領域又はスペーサー領域は当業者には明らかであり、使用され得る。一実施形態では、ヒンジは、IgG4ヒンジ又はCD8Aヒンジである。
【0133】
幾つかの実施形態では、スペーサー及び膜貫通ドメインは、例えば、配列番号32~配列番号34に示される例示的な配列、又は配列番号32~配列番号34に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する、CD8に由来するヒンジ及び膜貫通ドメインである。
【0134】
また、本明細書では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを含むCARをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸が提供される。幾つかの実施形態では、CARをコードする第1の核酸は、OX40結合性ポリペプチドをコードする第2の核酸からIRES又はリボソームスキップ配列(例えば、T2A又はP2A)等のビスシストロン性エレメントによって分離される。幾つかの態様では、コンストラクトは、細胞におけるOX40結合性ポリペプチド及び/又はCARの発現のための発現ベクターである。発現ベクターはウイルスベクターであり得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野で十分に知られており、例えば、Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 2013)に記載されている。哺乳動物細胞への遺伝子移入のために多くのウイルスベースのシステムが開発されてきた。例えば、アデノウイルスベクター等のレトロウイルスが使用される。一実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。
【0135】
更なる態様では、上記の1つ以上の核酸コンストラクトを含む分離された細胞又は細胞集団も提供される。また、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチド及び/又はCARを発現するように遺伝子改変された分離された細胞又は細胞集団も提供される。したがって、本明細書では、本明細書で提供されるCARを含み、それを何らか安定して発現し得る細胞を含む遺伝子操作された細胞が提供される。一実施形態では、細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、造血幹細胞、及び/又は多能性胚性幹細胞/多能性誘導幹細胞から選択される。幾つかの場合では、細胞はCD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞等のT細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は被験体に対して自家である。例えば、幾つかの実施形態では、T細胞は、CAR核酸コンストラクトでの操作、例えばトランスフェクション又は形質導入のために、患者から分離され得る(初代T細胞とも称される)。
【0136】
例示的な方法では、初代T細胞はex vivoで純化され(CD4+細胞若しくはCD8+細胞又は両方)、抗CD3/抗CD28でコーティングされたビーズ等のTCR/CD28アゴニストで刺激され得る。2日又は3日の活性化過程の後に、CARをコードする組換え発現ベクターは、標準的なレンチウイルス若しくはレトロウイルスの形質導入プロトコル又はプラスミドのエレクトロポレーション戦略を通じて、初代T細胞へと安定的に導入され得る。例えば、抗エピトープタグ又は天然の親分子と交差反応する抗体を使用するフローサイトメトリーによって、OX40結合性ポリペプチドの分泌及び/又はCAR発現について、細胞をモニターすることができる。CARを発現するT細胞を、抗エピトープタグ抗体でソーティングすることによって濃縮することができる、又は用途に応じて高発現若しくは低発現に関して濃縮することができる。
【0137】
OX40結合性ポリペプチド及び/又はCARで操作されたT細胞を、様々な手段によって適切な機能についてアッセイすることができる。幾つかの場合には、in vitroでの細胞傷害性、増殖、OX40レポーターアッセイ、又はサイトカインアッセイ(例えば、IFNγ、IL-2、TNFα発現)を使用して、操作されたT細胞の機能を評価することができる。例示的な標準エンドポイントは、腫瘍系統の溶解のパーセント、操作されたT細胞の増殖、又は培養上清中のIFNγタンパク質の発現である。幾つかの場合には、例えば抗原を介したCARの刺激時にT細胞の活性化を刺激する能力を、例えば、CD69、CD44若しくはCD62L等の活性化マーカーの発現、増殖及び/又はサイトカイン産生をモニターすることによって評価することができる。
【0138】
また、本明細書では、本明細書で提供される操作された細胞を被験体に投与することを含む、被験体における疾患又は病態、例えば癌を未然防止及び/又は治療する方法が提供される。一般的に、被験体は、疾患又は病態の治療を必要としている。薬学的活性量の本発明の細胞及び/又は医薬組成物。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを発現及び分泌する細胞が治療において使用される。幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを発現するCARで操作されたT細胞が治療に使用される。
【0139】
ポリペプチドの発現及び産生
OX40結合性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子が提供される。したがって、様々な実施形態では、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、OX40に結合するVHHドメインをコードする核酸分子が提供される。幾つかの実施形態では、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3と、配列番号22のアミノ酸配列を含むフレームワーク2(FR2)とを含む、OX40に結合するVHHドメインをコードする核酸分子が提供される。幾つかの実施形態では、核酸分子は、配列番号23のアミノ酸配列を含むFR3を更にコードする。幾つかの実施形態では、配列番号9のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの、例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインを含む、OX40結合性ポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。様々な実施形態では、核酸分子は、配列番号25又は配列番号26のFcドメイン等のFcドメインを更にコードする。幾つかの実施形態では、配列番号14のアミノ酸配列と、そのアミノ酸配列のC末端に融合されたFcドメインとを含む、3つのVHHドメインと、Fcドメインとを含むOX40結合性ポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。幾つかの実施形態では、配列番号15のアミノ酸配列を含む又は配列番号15のアミノ酸配列からなるOX40結合性ポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。上述の実施形態のいずれかにおいて、核酸分子はまた、OX40結合性ポリペプチドの分泌を指示するリーダー配列もコードすることができ、そのリーダー配列は、典型的には、これが分泌されたポリペプチド中に存在しないように切断される。リーダー配列は、天然の重鎖(又はVHH)リーダー配列であり得る、又は別の異種リーダー配列であり得る。
【0140】
核酸分子は、当該技術分野で慣用の組換えDNA技術を使用して構築され得る。幾つかの実施形態では、核酸分子は、選択された宿主細胞における発現に適した発現ベクターである。
【0141】
本明細書に記載されるOX40結合性ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターが提供される。そのようなベクターには、限定されるものではないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等が含まれる。幾つかの実施形態では、CHO細胞若しくはCHO由来細胞等の所望の細胞型、又はNSO細胞におけるポリペプチドの発現のために最適化されたベクターが選択される。例示的なそのようなベクターは、例えば、Running Deer et al., Biotechnol. Prog. 20:880-889 (2004)に記載されている。
【0142】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、細菌細胞等の原核細胞において、又は真菌細胞(酵母等)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞等の真核細胞において発現され得る。そのような発現は、例えば、当該技術分野で既知の手順に従って実施され得る。ポリペプチドの発現に使用され得る例示的な真核細胞には、限定されるものではないが、COS7細胞を含むCOS細胞、293-6E細胞を含む293細胞、CHO-S、DG44、Lec13 CHO細胞及びFUT8 CHO細胞を含むCHO細胞、PER.C6(商標)細胞(Crucell社)、並びにNSO細胞が含まれる。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、酵母において発現され得る。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045号を参照。幾つかの実施形態では、特定の真核宿主細胞は、ポリペプチドに対して所望の翻訳後修飾を行うその能力に基づいて選択される。例えば、幾つかの実施形態では、CHO細胞は、293細胞で産生される同じポリペプチドよりも高レベルのシアリル化を有するポリペプチドを産生する。
【0143】
所望の宿主細胞への1つ以上の核酸(ベクター等)の導入は、限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染等を含むあらゆる方法によって達成され得る。非限定的な例示的な方法は、例えばSambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸は、任意の適切な方法に従って、所望の宿主細胞に一過的又は安定的にトランスフェクションされ得る。
【0144】
本明細書に記載される核酸又はベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるOX40結合性ポリペプチドを発現する宿主細胞が提供される。宿主細胞で発現されたOX40結合性ポリペプチドは、任意の適切な方法によって精製され得る。そのような方法には、限定されるものではないが、親和性マトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が含まれる。適切なアフィニティーリガンドには、ROR1 ECD及びFc領域に結合する作用物質が含まれる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、又は抗体アフィニティーカラムを使用して、Fc領域に結合することで、Fc領域を含むOX40結合性ポリペプチドを精製することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチルカラム又はフェニルカラムもまた、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー及び/又は陽イオン交換クロマトグラフィー)もまた、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。混合モードクロマトグラフィー(例えば、逆相/陰イオン交換、逆相/陽イオン交換、親水性相互作用/陰イオン交換、親水性相互作用/陽イオン交換等)も、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。ポリペプチドを精製する多くの方法が当該技術分野で知られている。
【0145】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、無細胞系において産生される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al., Methods Mol. Biol. 498: 229-44 (2009)、Spirin, Trends Biotechnol. 22: 538-45 (2004)、Endo et al., Biotechnol. Adv. 21: 695-713 (2003)に記載されている。
【0146】
幾つかの実施形態では、上記の方法によって作製されたOX40結合性ポリペプチドが提供される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、宿主細胞において作製される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、無細胞系において作製される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは精製される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドを含む細胞培養培地が提供される。
【0147】
幾つかの実施形態では、上記の方法によって作製された抗体を含む組成物が提供される。幾つかの実施形態では、該組成物は、宿主細胞において作製されたOX40結合性ポリペプチドを含む。幾つかの実施形態では、該組成物は、無細胞系において作製されたOX40結合性ポリペプチドを含む。幾つかの実施形態では、該組成物は、精製されたOX40結合性ポリペプチドを含む。
【0148】
OX40結合性ポリペプチドを使用して疾患を治療する例示的な方法
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドを投与することを含む、個体における疾患を治療する方法が提供される。このような疾患には、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞の増殖及び活性化の増加から恩恵を受けるあらゆる疾患が含まれる。幾つかの実施形態では、個体における癌を治療する方法が提供される。該方法は、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを有効量、個体に投与することを含む。そのような治療方法は、ヒト又は動物における治療方法であり得る。幾つかの実施形態では、ヒトを治療する方法が提供される。本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドを使用して治療することができる非限定的な例示的な癌には、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳癌及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、胃腸癌、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、並びに外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、並びに慢性骨髄芽球性白血病が含まれる。
【0149】
OX40結合性ポリペプチドは、必要に応じて被験体に投与され得る。投与の頻度の決定は、治療される病態、治療される被験体の年齢、治療される病態の重症度、治療される被験体の全般的健康状態等の考慮に基づいて、主治医等の当業者によって行われ得る。幾つかの実施形態では、有効用量のOX40結合性ポリペプチドが被験体に1回以上投与される。幾つかの実施形態では、有効用量のOX40結合性ポリペプチドが、被験体に毎日、週に2回、毎週、2週間ごとに、月に1回等で投与される。有効用量のOX40結合性ポリペプチドが被験体に少なくとも1回投与される。幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドの有効用量は、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年間にわたる複数回を含む複数回で投与され得る。
【0150】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、癌を治療(癌の予防を含む)する及び/又はT細胞増殖を増加させるのに有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療される被験体の体重、その被験体の身体的状態若しくは健康状態、治療される病態の広範さ、又は治療される被験体の年齢に依存する。一般に、抗体は、用量あたり約0.05mg/kg(体重)~約100mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約10μg/kg(体重)~約100mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約50μg/kg(体重)~約5mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約100μg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約100μg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約0.5mg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約0.5mg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約0.05mg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、用量あたり約0.05mg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、約5mg/kg(体重)以下、例えば、4mg/kg未満、3mg/kg未満、2mg/kg未満、又は1mg/kg未満の範囲の抗体の量で投与され得る。
【0151】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドは、限定されるものではないが、静脈内、動脈内、非経口、腹腔内、又は皮下を含む様々な経路によってin vivoで投与され得る。意図される用途に応じて、適切な製剤及び投与経路を選択することができる。
【0152】
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドを使用する療法処置は、T細胞の増殖及び/又は活性化を増加させることによって達成される。幾つかの実施形態では、T細胞の増殖及び/又は活性化の増加は、癌の成長を抑止する。
【0153】
医薬組成物
幾つかの実施形態では、OX40結合性ポリペプチドを含む組成物は、多種多様な薬学的に許容可能な担体を含む製剤で提供される(例えば、Gennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus, 20th ed. (2003)、Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th ed., Lippencott Williams and Wilkins (2004)、Kibbe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd ed., Pharmaceutical Press (2000)を参照)。賦形剤、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な薬学的に許容可能な担体が利用可能である。さらに、pH調整剤及び緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤等の様々な薬学的に許容可能な補助物質も利用可能である。非限定的な例示的な担体には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0154】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、又は250mg/mLの濃度でOX40結合性ポリペプチドを含む。
【0155】
併用療法
OX40結合性ポリペプチドは、単独で又は他の抗癌剤等の他の治療方式と組み合わせて投与され得る。OX40結合性ポリペプチドは、他の治療方式の前、実質的にそれと同時に、又はその後に供給され得る(すなわち、同時に又は連続的に)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される治療方法は、放射線療法、化学療法、ワクチン接種、標的腫瘍療法、CAR-T療法、腫瘍溶解性ウイルス療法、癌免疫療法、サイトカイン療法、外科的切除、クロマチン修飾、切除、冷却療法、腫瘍標的に対するアンチセンス剤、腫瘍標的に対するsiRNA剤、腫瘍標的に対するマイクロRNA剤若しくは抗癌剤/抗腫瘍剤、又は抗体、サイトカイン若しくは受容体細胞外ドメイン-Fc融合物等の生物製剤を施すことを更に含み得る。
【0156】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、第2の療法剤、例えば、PD-1療法薬と同時に与えられる。PD-1/PD-L1療法薬の例には、ニボルマブ(BMS社)、ピディリズマブ(CureTech社、CT-011)、ペンブロリズマブ(Merck社)、デュルバルマブ(Medimmune/AstraZeneca社)、アテゾリズマブ(Genentech/Roche社)、アベルマブ(Pfizer社)、AMP-224(Amplimmune社)、BMS-936559、AMP-514(Amplimmune社)、MDX-1105(Merck社)、TSR-042(Tesaro/AnaptysBio社、ANB-011)、STI-A1010(Sorrento Therapeutics社)、STI-A1110(Sorrento Therapeutics社)、及びプログラム死-1(PD-1)又はプログラム死リガンド1(PD-L1)に対する他の作用物質が含まれる。
【0157】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるOX40結合性ポリペプチドは、CAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法薬、腫瘍溶解性ウイルス療法薬、サイトカイン療法薬、及び/又はVISTA、gpNMB、B7H3、B7H4、HHLA2、CD73、CTLA4、TIGIT等の他のチェックポイント分子を標的とする作用物質と同時に与えられる。
【0158】
診断及び治療の非限定的な例示的な方法
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、被験体及び/又は被験体(例えば、癌患者)からの検体を評価するのに有用である。幾つかの実施形態では、評価は、診断、予後診断、及び/又は治療への奏効のうちの1つ以上である。
【0159】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、タンパク質の存在、不存在、又はレベルを評価することを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、核酸の存在、不存在、又は発現のレベルを評価することを含む。これらの測定に本明細書に記載される組成物を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、腫瘍の検体又は腫瘍から培養された細胞を、本明細書に記載される療法剤と接触させることを含む。
【0160】
幾つかの実施形態では、評価により、治療(本明細書に記載される抗体による治療を含む)が指示され得る。幾つかの実施形態では、評価により、切除後の補助療法を使用する又は差し控えることが指示され得る。補助治療とも呼ばれる補助療法は、一次治療、主治療、又は初回治療に加えてなされる治療である。非限定的な例として、補助療法は、全ての検出可能な疾患が取り除かれたが、潜在疾患のため再燃の統計的リスクが残っている場合に、通常は手術後になされる追加の治療であり得る。幾つかの実施形態では、上記抗体は、癌の治療における補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態では、上記抗体は、癌の治療における単独補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、癌の治療における補助療法薬としては差し控えられる。例えば、患者が本明細書に記載される抗体に応答する可能性が低い又は最小限の応答しか有しない場合に、生活の質のために、及び無効な化学療法による不必要な毒性を避けるために、治療を施さないこともできる。このような場合に、緩和ケアが使用される場合がある。
【0161】
幾つかの実施形態では、切除前に術前補助療法薬として上記分子が投与される。幾つかの実施形態では、術前補助療法薬は、任意の手術の前に腫瘍を縮小及び/又はダウングレードする療法薬を指す。幾つかの実施形態では、術前補助療法薬は、手術前に癌患者に投与される化学療法薬を意味する。幾つかの実施形態では、術前補助療法薬は、手術前に癌患者に投与される抗体を意味する。術前補助化学療法薬が通常考慮される癌型には、例えば、乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、及び肺癌が含まれる。幾つかの実施形態では、上記抗体は、癌の治療における術前補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態では、その使用は切除前である。
【0162】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法で企図される腫瘍微小環境は、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、癌関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞の1つ以上である。
【0163】
キット
本明細書に記載されるOX40結合性ポリペプチドのいずれか及び適切な包装を含む製造品及びキットも提供される。幾つかの実施形態では、本発明は、(i)OX40結合性ポリペプチドと、(ii)該キットを使用してOX40結合性ポリペプチドを個体に投与するための使用説明書とを含むキットを含む。
【0164】
本明細書に記載される組成物に適切な包装は、当該技術分野で知られており、例えば、バイアル(例えば、密封バイアル)、容器、アンプル、ボトル、広口瓶、フレキシブルな包装(例えば、密封マイラー又はプラスチックバッグ)等が含まれる。これらの製造品は、更に滅菌及び/又は密封され得る。本明細書に記載される組成物を含む単位剤形も提供される。これらの単位剤形は、単回又は多回単位剤形で適切な包装内で保存され得て、更に滅菌及び密封もされ得る。本発明のキットに提供される使用説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた指示であるが、機械可読の指示(例えば、磁気記憶ディスク又は光学記憶ディスクに保持された指示)も許容可能である。抗体の使用に関する使用説明書は一般に、意図された治療又は工業的使用のための投与量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。キットは、個々の適切な治療を選択することの説明を更に含み得る。
【0165】
容器は、単位用量、バルク包装(例えば、多回用量包装)又はサブユニット用量であり得る。例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月以上のいずれかの概数の期間等の長期間にわたって個体に効果的な治療をもたらすのに十分な用量の本明細書に開示される分子を含むキットも提供され得る。キットはまた、多回単位用量の分子及び使用説明書を含むことができ、薬局、例えば、病院薬局及び調剤薬局での保存及び使用に十分な量で包装され得る。幾つかの実施形態では、キットは、再構成、再懸濁、又は再水和することで、一般的に抗体の安定な水性懸濁液を形成することができる乾燥(例えば、凍結乾燥)組成物を含む。
【実施例】
【0166】
以下で論じられる実施例は、本発明を純粋に例示することが意図され、決して本発明を限定するとみなされるべきではない。これらの実施例は、以下の実験が、実施された全て又は唯一の実験であることを表すとは意図されない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを保証するための努力がなされたが、幾らかの実験誤差及び偏差が考慮に入れられるべきである。特段の指示が無い限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧であるか又は近大気圧である。
【0167】
実施例1:1D10v6-Fcでは、1D10v1-Fcと比較して非特異的結合が低下する
OX40に結合するVHHドメインを含むシングルドメイン抗体(sdAb)は、以前に開発された。国際公開第2017/123673号を参照。ヒト化のためにsdAb 1D10を選択することで、1D10v1が得られた。同書物及び配列番号3を参照。
【0168】
非特異的結合を減らすために1D10v1を最適化した。その最適化により、sdAbのVHHドメインのCDR3における1つのアミノ酸及びフレームワーク領域2(FR2)における2つのアミノ酸の置換をもたらし、1D10v6(配列番号9)が得られた。1D10v6のCDR3(配列番号12)は、1D10v1のCDR3(配列番号6)に対してGからAへの置換を有し、1D10v6のFR2は、GLからERへの置換を有する(配列番号22)。驚くべきことに、これらの置換によりsdAbの非特異的結合は減少したが、以下に記載されるように、ヒト及びカニクイザルOX40に対する親和性は保持された。
【0169】
二価sdAbの非特異的結合を、高温ストレス後にフローサイトメトリーによって測定した。精製された1D10v1-Fc及び1D10v6-Fcを、20mMのTris(pH8.0)、150mMのNaCl、2%トレハロース、0.2%TWEEN-20へとバッファー交換し、50℃で7日間インキュベートしてストレスを与えた。次いで、抗体を0.2μmのAcrodiscシリンジフィルターを使用して濾過し、A280測定により定量化した。HEK293細胞は細胞表面上に測定可能なOX40を発現しないため、非特異的結合のためのコントロール細胞系統として使用した。1ウェル当たり30000個の細胞を、温度ストレスを与えた1D10v1-Fc又は1D10v6-Fcの希釈系列と一緒にインキュベートした。一次抗体と一緒にインキュベートした後に、二次抗ヒトFc Alexa Fluor 647を1/2000希釈で使用し、その後、結合された抗体を、Intellicyte社のiQue Plusにおいてフローサイトメトリーによって測定し、蛍光を中央蛍光強度としてプロットした。
図1に示されるように、1D10v1-Fcは、約33nMのsdAbから始まってトランスフェクションされていないHEK293細胞への非特異的結合を示し、その結合は、sdAb濃度が増加するにつれて劇的に増加した。それに対して、1D10v6-Fcは、1000nMのsdAbまではトランスフェクションされていないHEK293細胞に対して検出可能な結合を示さなかった。
【0170】
sdAbのヒトOX40及びカニクイザルOX40への結合を、以下のように測定した。全長のヒトOX40又はカニクイザルOX40を発現する安定的にトランスフェクションされたCHO細胞を50000個の細胞/ウェルで播種した。抗体を400nMから開始して1:3で段階希釈して力価測定し、抗ヒトFc488二次抗体で検出した。Intellicyte社のiQueアナライザーでフローサイトメトリー分析を行い、蛍光を平均蛍光強度としてプロットした。
図2に示されるように、1D10v6-Fcは、1D10v1-Fcと同等のヒトOX40(
図2A)及びカニクイザルOX40(
図2B)への結合を示した。ヒトOX40及びカニクイザルOX40に対する1D10v6-Fcの親和性(K
D)は、それぞれ0.81nM及び0.66nMであった。ヒトOX40及びカニクイザルOX40に対する1D10v1-Fcの親和性(K
D)は、それぞれ0.86nM及び0.79nMであった。
【0171】
実施例2:六価3×1D10v6-Fcでは、六価3×1D10v1-Fcと比較して非特異的結合が低下する
六価抗OX40 sdAbは、3つのVHHドメインをFcに結合させることによって作製された。このポリペプチドは六価の二量体を形成する。六価3×1D10v1-Fc(配列番号8、Hex-1D10v1とも称される)及び六価3×1D10v6-Fc(配列番号14、Hex-1D10v6とも称される)の非特異的結合を、以下のように測定した。3×1D10v1-Fc及び3×1D10v6-Fcを、20mMのHis、150mMのNaCl、0.02%TWEEN-20のバッファー(pH9)中で、トランスフェクションされていないHEK293 freestyle細胞又は全長のOX40を発現する一過的にトランスフェクションされたHEK293 freestyle細胞と一緒に室温で48時間インキュベートした。蛍光抗Fc特異的二次抗体を使用して、結合された3×1D10v1-Fc及び3×1D10v6-Fcを検出し、Intellicyte社のiQueアナライザーを使用してフローサイトメトリーによって測定した。抗体の各濃度について平均蛍光強度をプロットした。
【0172】
図3に示されるように、3×1D10v1-Fc及び3×1D10v6-Fcは、これらの条件下で同等の特異的結合を示し、見かけのK
Dはそれぞれ0.82nM及び0.90nMであった(
図3A)。3×1D10v1-Fcは、トランスフェクションされていないHEK293細胞への非特異的結合を示したが、一方で、3×1D10v6-Fcは示さなかった(
図3B)。
【0173】
実施例3:六価3×1D10v6-Fcは、OX40アゴニスト活性を保持する
上記のように、3×1D10v6-Fcでは、OX40結合親和性を保持しながら、HEK293細胞への非特異的結合が低下した。3×1D10v6-Fcのアゴニスト活性を以下のように確認した。
【0174】
解凍使用型(Thaw-and-Use)Jurkat/OX40レポーター細胞(Promega社)(第5継代)を液体窒素から取り出し、37℃の水浴中で解凍した。この細胞はOX40を安定的に発現し、NFκB応答エレメントの下流にルシフェラーゼレポーターを含む。細胞を優しく混ぜ、9mLの予熱した培養培地(RPMI+10%FBS)に移した。細胞を400×gで5分間遠心分離し、5mLのアッセイ培地(RPMI+10%FBS)中で再懸濁した。細胞密度及び生存率を、トリパンブルー及びTC20全自動セルカウンターを使用して測定した。アッセイプレートの内側の60ウェルに、細胞を6×104個の細胞/ウェルで50μL/ウェルのアッセイ培地中で播種した。100μL/ウェルのアッセイ培地を外側のウェルに加えた。2.5mLのアッセイ培地を、アッセイプレートの各隅のリザーバーに加えた。
【0175】
3×1D10v1-Fc及び3×1D10v6-Fcを、濃度が所望の最高最終濃度の2倍となるようにアッセイ培地中で希釈した。9点の段階希釈(5倍、5倍、2倍、2倍、2倍、2倍、5倍、5倍)を行い、その際、最高濃度は50nMであり、最低濃度は0.005nMであった。したがって、最終的なアッセイ濃度は、最高25nMであり、最低0.0025nMであることとなる。抗体の希釈は96ウェル希釈プレートにおいて行った。50μL/ウェルの2×抗体希釈物をアッセイプレートに加えた。1ウェル当たりの最終アッセイ容量は100μLであった。アッセイプレートをプレート蓋で覆い、37℃のCO2インキュベーター中に6時間置いた。
【0176】
6時間のインキュベート後に、アッセイプレートをインキュベーターから取り出し、室温で10分間置いた。100μLの再構成されたBio-Gloルシフェラーゼ試薬(Promega社)を、アッセイプレート内の細胞を含む各ウェルに添加した。アッセイプレートを室温で10分間インキュベートした。100μL/ウェルのアッセイプレートを白色の96ウェルプレートに移して、相対発光単位(RLU)を測定した。試薬の表に定義された設定(PMT-最大範囲、ターゲット波-470nm)に従って、Molecular Devices社のSpectraMax Lプレートリーダー及びSoftMax Pro v5.4でプレートを読み取った。
【0177】
その実験結果は
図4に示されている。最大結合(Bmax)及び50%応答での酵素濃度(K
D)は、3×1D10v6-FcがOX40ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて3×1D10v1-Fcと同等の活性を有することを示している。
【0178】
実施例4:六価3×1D10v6-Fcは、優れたOX40アゴニスト活性を有する
六価3×1D10v6-Fcが二価型及び四価型(それぞれ配列番号13及び配列番号16)と比較して優れたOX40アゴニストであることを実証するために、実質的に実施例3に記載されるOX40ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用した。
【0179】
その実験結果は
図5に示されている。このアッセイでは、六価3×1D10v6-Fcが四価2×1D10v6-Fcよりも優れていたことから、3×1D10v6-Fcが優れたアゴニストであることを示している。二価1D10v6-Fcは、このアッセイで最小の活性を示した。
【0180】
実施例5:六価3×1D10v6-Fcは、T細胞増殖を増加させる
PBMCの分離:PBMCを、以下のように密度勾配遠心分離を使用して、正常なヒトドナーの白血球アフェレーシス又は全血試料から分離した。血液試料をPBS/2%FBS(1:2)で希釈し、30mlの希釈された血液を15mlのLymphoprep(Stemcell Technologies社)密度勾配培地上に重層した。800×gで30分間遠心分離した後に、血漿とlymphoprepとの中間相にあるPBMC層を取り出し、赤血球溶解バッファー(BioLegend社)を使用して残りの赤血球を室温で5分間溶解させた。細胞をPBS中で洗浄した後に、Cryostor CS10(Stemcell Technologies社)において100×106個の細胞/mlで新鮮凍結させた。
【0181】
T細胞濃縮:非T細胞集団を、CD14、CD16、CD19、CD20、CD36、CD56、CD123、TCRγ/δに対するビオチン化された抗系譜マーカー抗体(BioLegend社)で室温にて20分間標識した。次いで、磁性ストレプトアビジン粒子と一緒に室温で20分間インキュベートすることにより、非T細胞集団を減少させた(500μlのビーズスラリーに加えて100×106個当たり500μlの細胞懸濁液、マグネット上で2×8分間インキュベートする)。非結合細胞の上清はT細胞を含む。代替的に、EasySepヒトT細胞濃縮キット(Stemcell Technologies社)を製造業者の推奨に従って使用して、PBMC試料からT細胞を濃縮した。濃縮されたCD4+T細胞を得るために、濃縮されたT細胞を、ビオチン化された抗CD8抗体と一緒にインキュベートし、実質的に上記の磁性ストレプトアビジン粒子を使用して減少させた。
【0182】
M-450トシル活性化ビーズのコーティング:T細胞活性化アッセイ用の刺激物質ビーズを、製造業者の推奨コーティング手順に従って、4×108個のビーズ当たり200μgのマウス抗ヒトCD3抗体(クローンOKT3、eBioscience社)でコーティングした。簡潔には、ビーズをバッファー1(0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4~8.0)中で1回洗浄した後に、チューブローテーターにおいて200μgの抗ヒトCD3抗体を含むバッファー1中で室温にて18時間インキュベートした。次いで、ビーズをバッファー2(PBS、0.1%BSA、2mMのEDTA pH7.4)で4回洗浄した。ビーズをバッファー3(0.2MのTris、0.1%BSA、pH8.5)中で37℃にて4時間インキュベートすることにより、遊離トシル基を不活性化させた。次いで、ビーズをバッファー2中で1回洗浄し、400×106個のビーズ/mlの濃度に再懸濁した。
【0183】
共刺激アッセイ:濃縮されたCD4+T細胞(4人の異なるドナーから)をCellTrace Violet(CTV、Invitrogen社)により1:1000の希釈率で標識した。次いで、細胞を丸底96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり200000個の細胞で三連にて播種し、100000個の抗ヒトCD3抗体でコーティングされたビーズと混ぜ合わせた。培養物をインキュベートするとともに、50nMの最終濃度から開始して3×1D10v6-Fc又は二価1D10v6-Fcを力価測定し、プレート全体にわたり1:5で力価測定した。最終培養物容量は1ウェル当たり200μlであり、細胞を37℃/5%CO2で4日間インキュベートした。
【0184】
FACS染色:T細胞培養の4日目に、細胞を150μLのFACSバッファー中で1回洗浄し、細胞ペレットを50μlの表面マーカー染色溶液(CD4、CD25及びCD71に対する抗体とヨウ化プロピジウムとを含む)中に再懸濁した。細胞を室温で20分間インキュベートした後に、最終洗浄し、ソニー株式会社のアナライザーのフローサイトメーターで分析した。T細胞集団の分析にFlowJoソフトウェアを使用した。次いで、種々の活性化マーカーについての生の平均蛍光強度をエクスポートし、Excel及びGraphPad PRISMを使用して分析した。値をグラフ化し、力価測定曲線をフィッティングさせて、[アゴニスト]vs反応--可変傾斜(4パラメータ)の非線形曲線フィットを使用して用量-反応関係を評価した。また、このフィットを使用して、各ドナーについての有効濃度(EC50)を決定した。
【0185】
FACSゲーティング戦略:T細胞増殖のレベル及びT細胞亜集団での活性化マーカー発現のレベルを評価するために、以下のゲーティング戦略を使用した:細胞デブリをFSC/SSCでのサイズ排除によって除外し、死細胞をそれらのヨウ化プロピジウムの陽性シグナルに基づいて除外した。FSC-A/FSC-Hでのダブレット及び凝集物の除外を使用して単一細胞を選択した。残りの細胞集団はCD4+であることが確認された。T細胞のみのコントロールと比較したCellTrace Violet(CTV+)染色の喪失は細胞増殖の現れであった。活性化マーカーCD25及びCD71のMFIレベルの増加は、T細胞活性化の指標であった。
【0186】
IFNγ ELISA及びデータ分析:4日目に細胞培養上清試料を採取し、-80℃で保存した。細胞培養上清中のIFNγのレベルを、IFNγ ELISAキットを使用して製造業者のプロトコルに従って測定した。簡潔には、ELISAプレートを抗IFNγ捕捉抗体により4℃で一晩コーティングした。翌日、プレートをアッセイバッファー中で1時間ブロッキングした後に、細胞上清を2時間インキュベートした。試料をアッセイバッファー中で1:25に希釈した。プレートをビオチン化検出抗体と一緒に1時間インキュベートし、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン試薬と一緒にインキュベートすることにより、抗原結合を検出した。基質溶液を添加し、15分間インキュベートした後に、HRP活性を測定した。停止溶液を加えた後に、プレートをEmaxプレシジョンマイクロプレートリーダーにおいて450nmの波長で分析した。
【0187】
Emaxプレシジョンマイクロプレートリーダーからの生の値を、このマイクロプレートリーダーのSoftmax Pro分析ソフトウェアを使用して分析した。検量線の吸光度値及び4パラメーターロジスティック回帰を使用して、pg/ml単位の試料IFNγレベルを計算した。分析された値をExcel(Microsoft社、バージョン15.27)にエクスポートして、更なるデータ分析をした。PRISM(GraphPad Software Inc.社、バージョン7.0c)を使用して値をグラフ化し、力価測定曲線をフィッティングさせて、[アゴニスト]vs反応--可変傾斜(4パラメータ)の非線形曲線フィットを使用して用量-反応関係を評価した。
【0188】
図6に示されるように、六価3×1D10v6-Fcでの処理は4人の全てのドナーからのCD4
+T細胞増殖の増加をもたらすが、二価の1D10v6-Fcではもたらされない。六価3×1D10v6-Fcでの処理はまた、4人の全てのドナーにおいてより高いレベルの活性化マーカーCD25及びCD71をもたらした(
図7及び
図8)。分泌されたIFNγレベルも3×1D10v6-Fcでの処理時にはより高かった(
図9)。共刺激の強度はドナーによって様々であったが、一般的に用量依存的であった。計算されたEC50値を、以下の表2にまとめる。
【0189】
【0190】
まとめると、3×1D10v6-Fcは、in vitroでT細胞の抗CD3抗体媒介性の刺激を改善した。特定の理論に縛られることを意図するものではないが、このアッセイにおける効果的な共刺激には、例えば、六価3×1D10v6-FcによるOX40のクラスター形成が必要とされるように思われた。
【0191】
実施例6:六価3×1D10v6-Fcは、T細胞の共刺激及びIFNγ産生を増強する
3×1D10v6-Fcの存在下又は不存在下で、10人の健康なヒトドナーからの濃縮されたT細胞を、最適以下の抗CD3抗体で刺激した。
【0192】
実施例5に実質的に記載されるように、PBMCを10人の健康なヒトドナーから分離し、T細胞集団を濃縮した。
【0193】
T細胞刺激:10人の健康なドナーからの濃縮されたT細胞を解凍し、CTL anti-aggregate培地を使用して2回洗浄した。T細胞を増殖色素CellTrace Violet(CTV)(ThermoFisher社)により37℃で10分間標識した。洗浄後に、T細胞を10%FBS及び1×抗生物質/抗真菌剤を補充したRPMI中で1.5×106個の細胞/mlに再懸濁し、平底96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり100μlで150000個のT細胞を添加した。M-450 Tosylactivated Dynabeads(ThermoFisher社)を、製造業者の指示に従って、200μgの抗CD3抗体(クローンOKT3、eBioscience社)で一晩コーティングした。抗CD3抗体でコーティングされたビーズを1ウェル当たり50μlで標識T細胞に1:2の比率で添加して、一次T細胞刺激を与えた。3×1D10v6-Fcを50μlにて10nMの最終濃度で添加した。プレートを37℃/5%CO2で3日間インキュベートし、フローサイトメトリーによって分析した。
【0194】
フローサイトメトリー:3日後に、T細胞を遠沈させ、FACSバッファー(PBS/2%FBS/0.05%アジ化ナトリウム)中で、生存率マーカーのヨウ化プロピジウム(PI)と一緒に以下の蛍光標識抗体:CD4-PE、CD8-APC、CD25-FITC、及びCD71-PE/Cy7(Biolegend社)により室温で20分間標識した。T細胞を洗浄し、70μlのFACSバッファー中で再懸濁し、ソニー株式会社のSA3800スペクトルアナライザーを使用して分析した。Flowjoソフトウェアを使用して、生存(PI-)CD4集団及びCD8集団に対してゲーティングし、CTV希釈によって決定される最低1回の分裂を経たT細胞に対してゲーティングすることによって、増殖を経た細胞のパーセンテージを決定した。活性化マーカーCD25及びCD71を発現するCD4T細胞及びCD8T細胞のパーセンテージを、刺激されていないT細胞集団と比較することによって決定した。データをMicrosoft社のExcelにエクスポートし、Prismを使用してグラフ化した。
【0195】
細胞内サイトカイン染色:細胞を遠沈させ、PE結合抗CD4抗体及びAPC結合抗CD8抗体と一緒にZombie Red生存率染色剤(BioLegend社)により、FACSバッファー(PBS中の2%FBS/0.1%アジ化ナトリウム)中で室温にて20分間表面標識した。洗浄後に、細胞をBD Fix/Permバッファーで30分間固定した。細胞を1×BD Perm/Washバッファーで洗浄し、Perm/Washバッファー中のPE/Cy7抗IFNγ抗体により室温で45分間標識した。洗浄後に、細胞をFACSバッファー中で再懸濁し、ソニー株式会社のSA3800スペクトルアナライザーで読み取った。CD4+T細胞集団及びCD8+T細胞集団のデータ分析を、Flowjoソフトウェアを使用して実施し、Prismを使用してグラフ化した。
【0196】
試験された10人の全てのドナーからのT細胞において、3×1D10v6-Fc処理は、抗CD3抗体刺激に応答して増殖を経たCD4
+T細胞及びCD8
+T細胞のパーセンテージの大幅な増加をもたらした(
図10、
図11)。さらに、活性化マーカーCD25及びCD71を発現したCD4T細胞及びCD8T細胞のパーセンテージは、3×1D10v6-Fc処理により増加した(
図11)。別の実験では、4人のドナーのより小さなサブセットが、両方のT細胞サブセットにおいて3×1D10v6-Fcでの処理後に細胞内IFNγレベルの増加を示した(
図12)。したがって、3×1D10v6-Fcは、T細胞に強力な共刺激シグナルを与えることから、活性化、増殖、及びエフェクター機能の増強をもたらす。
【0197】
実施例7:六価3×1D10v6-Fcは、Treg媒介性のCD4+T細胞増殖の抑制を逆転させる
T細胞濃縮:EasySep Human CD4+CD127lowCD25+制御性T細胞分離キット(Stemcell社)を製造業者の指示に従って使用することにより、Treg及び慣用のCD4+T細胞を新鮮で健康なドナーPBMCから濃縮した。
【0198】
T細胞抑制アッセイ:2つの細胞集団を区別するために、濃縮されたTreg及びCD4+レスポンダーT細胞を、それぞれ増殖色素CellTrace Violet(CTV)及びCFSEにより37℃で10分間標識した。洗浄後に、Treg及びCD4+T細胞を10%FBS及び1×抗生物質/抗真菌剤を補充したRPMI中で1.5×106細胞/mlに再懸濁した。Tregを50μlの容量で播種することで、96ウェル丸底プレートにおいて75000個のTreg/ウェルを得た。10nMの抗OX40の六価3×1D10v6-Fc、10nMの従来の(HC/LC)二価抗OX40抗体の存在下で、又は抗体の不存在下で、Tregを37℃にて一晩インキュベートした。並行して、標識されたCD4+レスポンダーT細胞を、抗CD3でコーティングされたdynabeadsにより1:2のビーズ対T細胞比で37℃にて一晩活性化した。翌日、Tregのプレートを培地で2回洗浄して抗体を除去した。刺激されたレスポンダーCD4+T細胞を100μlの培地中に加えて、2つのCD4+レスポンダーT細胞ごとに1つのTregの比率でTregを含むプレートに150000個のCD4+T細胞/ウェルを供給した。六価3×1D10v6-Fc又は従来の二価抗OX40抗体を、100μlの培地において10nMの最終濃度で細胞のサブセットに二連で加え戻した。さらに、Tregと一緒にインキュベートしなかったCD4+レスポンダーT細胞の群が含まれていた。プレートを37℃/5%CO2で3日間インキュベートし、フローサイトメトリーによって分析した。
【0199】
フローサイトメトリー:3日後に、T細胞を遠沈させ、FACSバッファー(PBS/2%FBS/0.05%アジ化ナトリウム)中で、生存率マーカーのヨウ化プロピジウム(PI)と一緒に以下の蛍光標識抗体:CD4-PE、CD25-APC、及びCD71-PE/Cy7(Biolegend社)により室温で20分間標識した。T細胞を洗浄し、70μlのFACSバッファー中で再懸濁し、ソニー株式会社のSA3800スペクトルアナライザーを使用して分析した。Flowjoソフトウェアを使用して、生存(PI-)CFSE+レスポンダーCD4+又はCTV+Treg集団に対してゲーティングし、CFSE希釈によって決定される最低1回の分裂を経たレスポンダーT細胞に対してゲーティングすることによって、増殖を経た細胞のパーセンテージを決定した。活性化マーカーCD25及びCD71を発現するレスポンダーCD4+T細胞のパーセンテージを、刺激されていないT細胞集団と比較することによって決定した。データをMicrosoft社のExcelにエクスポートし、Prismを使用してグラフ化した。
【0200】
抗CD3でコーティングされたビーズで合計4日間刺激することで、レスポンダーCD4
+T細胞の66%の増殖が引き起こされた(
図13)。濃縮されたTregを培養物に添加することで、レスポンダーCD4
+T細胞の増殖の劇的な低下が引き起こされた(34%の増殖)。10nMの六価3×1D10v6-Fcで処理することで、レスポンダーCD4
+T細胞の増殖のほぼ完全な回復が引き起こされた(62%の増殖)。さらに、T細胞活性化マーカーCD25及びCD71の発現は、TregなしのCD4
+T細胞レスポンダーの実験群と同様のレベルに回復した。それに対して、従来の二価抗OX40抗体による処理は、CD4
+T細胞の増殖を回復させることも、又は抗体なしの群と比較してCD25若しくはCD71の発現を増加させることもできなかった。
【0201】
実施例8:六価3×1D10v6-Fcをペンブロリズマブと組み合わせると、T細胞活性化が増強される
TCRの結合後に、OX40のような共刺激分子は、TCRシグナル伝達の減弱によりT細胞の活性化に対抗する負の調節分子と一緒に上方調節される。臨床的には、そのような経路の1つであるPD-1/PD-L1軸の遮断は、この抑制性シグナルを緩和することにより、無応答の腫瘍特異的T細胞の機能の回復に成功することが分かっている。OX40は、TCRシグナルと相乗作用する外因性共刺激シグナルをもたらす種々のメカニズムを介して、T細胞応答の増強という同様の結果を達成する。重複しないが補完的なこれらのメカニズムは、OX40アゴニズムとチェックポイント遮断とを組み合わせることで、より大きな臨床的便益が達成されることを示唆している。
【0202】
同種異系の混合リンパ球反応(MLR)は、T細胞の機能的調節を実証するために使用されるin vitroアッセイであり、in vitro由来の未成熟樹状細胞(iDC)とHLAミスマッチT細胞との混合物を利用して、TCR依存性T細胞活性化が誘導される。六価3×1D10v6-Fcは、このアッセイで中程度の活性を有することが分かった(データは示していない)。六価3×1D10v6-Fcの活性を抗PD-1抗体のペンブロリズマブと組み合わせて試験し、その組み合わせ物がT細胞活性化の増加を示すかどうかを確認した。
【0203】
CD4+T細胞の分離:PBMCを、実質的に以下のように密度勾配遠心分離を使用して、ヒトドナーの血液ロイコパックから分離した。血液試料をPBS/2%FBS(1:2)で希釈し、30mLの希釈された試料を15mLのLymphoprep(商標)密度勾配培地上に重層した。800×gで30分間遠心分離した後に、血漿とLymphoprep(商標)との中間相にあるPBMC層を収集し、赤血球溶解バッファーを使用して残りの赤血球を室温で7分間溶解させた。次いで、PBMCを以下に記載されるように単球に関して濃縮した、又はCryoStor(商標)凍結保存培地中で100×106個の細胞/mlで凍結し、液体窒素中で保存した。EasySep(商標)Human CD4+T細胞分離キット(Stemcell Technologies社)を製造業者の指示に従って用いて、CD4+T細胞を新鮮な健康なドナーのPBMCから濃縮した。PBMCを、2%FBS及び1mMのEDTAを含むPBS中で50×106個の細胞/mLで再懸濁した。CD4+T細胞分離用カクテルを使用して、CD4+T細胞をネガティブ濃縮した後に、EasySep(商標)マグネット内でDextran RapidSpheres(商標)と一緒にインキュベートした。該マグネットにおいて2ラウンド濃縮した後に、CD4+T細胞を計数し、PBS/0.1%BSA(CTVバッファー)で洗浄した。細胞をCellTrace(商標)Violet色素(1:1000)により、CTVバッファー中で10×106個の細胞/mLで37℃にて10分間標識した。標識された細胞をPBS/2%FBSで1回洗浄し、アッセイ培地(RPMI+10%FBS+ペニシリン、ストレプトマイシン、及びアンホテリシン)中で3.5×106個の細胞/mLで再懸濁した。
【0204】
単球の濃縮及び未成熟樹状細胞(iDC)の生成:CD16の減少を伴わないネガティブ濃縮キットを使用して製造業者のプロトコル(CD16の減少を伴わないEasySep(商標)ヒト単球濃縮キット、Stemcell Technologies社)に従って、ロイコパックドナーから分離されたPBMCから単球を濃縮した。簡潔には、抗系譜マーカーを認識する四量体抗体複合体で非単球集団を標識し、磁性粒子を使用して減少させた。非結合細胞の上清に単球が含まれていた。10%FBSに加えてペニシリン、ストレプトマイシン及びアンホテリシン、500U/mLのGM-CSF、並びに250U/mLのIL-4を補充したRPMI中で、単球を1×106細胞/mLで培養した。緩く付着した細胞及び浮遊細胞を収集することによって7日目に未成熟樹状細胞(iDC)を採取するまで、2日ごとに培地の半分を補充した。細胞をPBS中で洗浄した後に、CryoStor(商標)において3×106個の細胞/mLで新鮮凍結させた。このレジメンに従うiDC表現型の誘導は、FSC/SSCでのサイズ除外を使用したフローサイトメトリーによって、集団の少なくとも60%でCD14-CD11c+HLA-DR+染色を検出することで確認された。
【0205】
混合リンパ球反応(MLR):単球由来の未成熟樹状細胞(iDC)をアッセイ培地中で0.8×106個の細胞/mLで再懸濁した。異なるドナーからの1.75×105個のCD4+T細胞を50μLで懸濁し、96ウェルのU型底プレートにおいて50μLで4×104個のiDCと混合した。
【0206】
六価3×1D10v6-Fcを10nMの初期アッセイ濃度で添加し、10nMのペンブロリズマブの一定のアッセイ濃度の存在下又は不存在下のいずれかで、プレート全体にわたり1:4で三連にて力価測定した。別の実験では、ペンブロリズマブを50nMの初期アッセイ濃度で添加し、1nMの六価3×1D10v6-Fcの一定のアッセイ濃度の存在下又は不存在下のいずれかで、プレート全体にわたり1:4で三連にて力価測定した。六価3×1D10v6Fcの固定された濃度(1nM)は、T細胞共刺激アッセイで最大の活性を示した飽和抗体濃度に基づいて選択され、ペンブロリズマブ(10nM)については、PD1/PD-L1遮断アッセイで最大のレポーター活性を示した飽和抗体濃度に基づいて選択された。全てのアッセイプレートを37℃で7日間インキュベートした。
【0207】
ヒトIL-2 ELISA:アッセイ上清のアリコートを3日目に収集し、Human IL-2 ELISA MAX(商標)Deluxeキット(Biolegend社)を製造業者の指示に従って使用してELISAによって、ヒトIL-2濃度を決定した。ELISA MaxiSorpプレートをヒトIL-2捕捉抗体で一晩コーティングし、洗浄した後に、希釈バッファーで1時間ブロッキングした。検量線を1000pg/mLのIL-2の初期濃度から二連で作成し、アッセイ上清試料を希釈バッファー中で1:5又は1:10に希釈した。試料及び標準をELISAプレート上で2時間インキュベートした後に、洗浄し、検出抗体と一緒に1時間インキュベートした。アッセイプレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンと一緒に30分間インキュベートした。最終洗浄工程の後に、捕捉されたヒトIL-2を、供給された基質溶液を用いてELISAプレート上で検出した。検出反応を、等容量の1MのHClにより10分~30分後に止めた。EMax(商標)プレートリーダー(Molecular Devices社)において450nmでの吸光度値を読み取り、MLRアッセイ上清中のヒトIL-2の濃度を検量線から計算した。
【0208】
図14A及び
図14Bに示されるように、ペンブロリズマブと六価3×1D10v6-Fcとを組み合わせると、混合リンパ球反応(MLR)においてCD4
+T細胞からのIL-2産生が増強した。これらの結果は、PD-1/PD-L1軸の遮断とOX40アゴニズムとを組み合わせることの利点を裏付けている。
【0209】
実施例9:六価3×1D10v6-Fcの薬物動態特性の評価
療法剤の薬物動態(PK)特性及び毒物動態プロファイルは、用量/曝露の関係、クリアランス速度、及び安全性プロファイルを理解するために重要である。曝露の減弱及び/又はクリアランスプロファイルの加速は、非特異的相互作用、不十分な安定性、若しくは免疫原性による作用物質自体の不利益、又は毒性若しくは薬物動態の変化により証明されるような標的における不利益を明らかにし得る。典型的には、治療用抗体のPK特性を、齧歯類及び/又は非ヒト霊長類で評価する。これらのモデルでの不十分なPKは、抗体の非特異的結合及び迅速なクリアランスの指標であり得る。
【0210】
六価3×1D10v6Fcを、カニクイザル(1群当たり雄5匹及び雌5匹)に5mg/kg、20mg/kg、及び60mg/kgで静脈注射を介して投与した。定量的ELISA法を使用して、実質的に以下のように、六価3×1D10v6-Fcの血清濃度を測定した。マウスFcドメインに融合されたヒトOX40(OX40-mFc)の細胞外ドメインの組換え形態でマイクロプレートのウェルをプレコートした。ブロッキング及び洗浄、六価3×1D10v6-Fcの力価測定(検量線用)の後に、予め決められた濃度の六価3×1D10v6-Fcを含むコントロール試料、及び試験試料をウェルに添加し、インキュベートすることで、試料中に含まれる六価3×1D10v6Fcを固定化されたOX40-mFcに結合させた。プレートを洗浄し、Fcγフラグメントに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ヒトIgG二次抗体を添加して、プレートに結合された六価3×1D10v6Fcを検出した。HRP基質のテトラメチルベンジジン(TMB)を含む溶液をウェルに添加したところ、六価3×1D10v6-Fcに結合されたHRP結合抗ヒトIgG抗体の濃度に比例する比色シグナルが得られた。酸性溶液の添加によって反応を止め、450nmでの吸光度を測定した。コントロール試料及び試験試料について、分光光度吸光度(光学密度(OD450)により定量化される)値の濃度への変換は、4-PL/ロジスティックモデルに従って回帰された同時に分析された検量線との比較によって実施した。この方法による血清中の六価3×1D10v6Fcの定量下限(LLOQ)は100ng/mLであった。
【0211】
用量範囲全体にわたって、性差なしに、全身曝露(Cmax及びAUC
0-168h)が達成され、これは用量に比例して増加した。5mg/kg~60mg/kgの用量範囲全体にわたって、ノンコンパートメント解析を使用して、群全体にわたる平均T
1/2は55時間~89.7時間であり、クリアランス速度(CL)は0.683mL/h/kg~0.832mL/h/kgであり、そして定常状態での分布容積(Vdss)は55.9mL/kg~86.2mL/kgであった。六価3×1D10v6-FcのPKプロファイルは、
図15に示されている。
【0212】
これらの結果は、六価3×1D10v6-Fcが治療用途に適した良好なPKプロファイルを有することを裏付けており、1D10v1により観察される非特異的結合が軽減されたことを示唆している。
【0213】
本開示は、本発明の趣旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。したがって、上述の実施形態は、全ての点で例示としてみなされるべきであって、本開示を限定するものとはみなされない。したがって、本開示の範囲は、上述の詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるため、特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内にある全ての変更は、本明細書に含まれることが意図される。
【0214】
【配列表】