(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】体腔から生物学的物質を吸引するためのシステム、デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20240329BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61M1/00
(21)【出願番号】P 2021516811
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019075579
(87)【国際公開番号】W WO2020064660
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サロハ プリンストン
(72)【発明者】
【氏名】スティガル ジェレミー
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-535246(JP,A)
【文献】特許第5620546(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/194261(WO,A1)
【文献】特表2010-523173(JP,A)
【文献】特開2001-245967(JP,A)
【文献】特開平11-267089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
A61M 1/00
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の管腔から生物学的物質を吸引するための管腔内システムであって、
前記患者の前記管腔内に位置決めされる遠位部と、前記遠位部と流体連通し、前記患者の外側に位置決めされる近位部とを含む使い捨て管腔内デバイスと、
前記患者の前記管腔から前記生物学的物質を吸引する使い捨てポンプであって、前記使い捨て管腔内デバイスの前記近位部に連結され、ポンプシャーシを含む、使い捨てポンプと、
を含み、
前記ポンプシャーシは、
前記使い捨て管腔内デバイスの前記近位部に密封可能に取り付けられる入口ポート、
前記使い捨てポンプから前記吸引された生物学的物質を排出する出口ポート、
前記使い捨てポンプを通る流体の流量を調整する流量制御器、
アクチュエータ、
第1のポンプチャンバ、
前記第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、並びに、
前記アクチュエータがデュアル排出アダプタを駆動して前記第1のポンプチャンバ及び前記第2のポンプチャンバのそれぞれを通し
て交互に
前記生物学的物質を吸引するように前記アクチュエータに連結された当該デュアル排出アダプタ、
を収容し、
前記ポンプシャーシは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状である、
管腔内システム。
【請求項2】
前記流量制御器は、前記ユーザ
が機械的又は電気的入力部を使用することによって手動で制御可能
である、請求項1に記載の管腔内システム。
【請求項3】
前記ポンプシャーシはさらに、前記使い捨てポンプを通る流体の流量を検出し、前記流体の流量の表示を提供する流量計を収容し、前記流量制御器は、電気的流量制御デバイスを含む、請求項1に記載の管腔内システム。
【請求項4】
前記流量計は、電気的流量計を含み、前記電気的流量計は、前記流量制御器と通信して、前記流量制御器にフィードバックを提供する、請求項3に記載の管腔内システム。
【請求項5】
前記電気的流量計及び前記流量制御器は、PID制御で動作する、請求項4に記載の管腔内システム。
【請求項6】
前記流量制御器は、前記患者の前記管腔内に流体圧力のパルスを生成するために繰り返し開閉する、請求項3に記載の管腔内システム。
【請求項7】
患者の管腔から生物学的物質を吸引するための管腔内システムであって、
前記患者の前記管腔内に位置決めされる遠位部、及び、前記遠位部と流体連通し、前記患者の外側に位置決めされる近位部を含む使い捨て管腔内デバイスと、
ポンプシャーシと、
を含み、
前記ポンプシャーシは、
第1のポンプチャンバ、
前記第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、
アクチュエータ、並びに、
前記アクチュエータがデュアル排出アダプタを駆動して前記第1のポンプチャンバ及び前記第2のポンプチャンバのそれぞれを通し
て交互に
前記生物学的物質を吸引するように前記アクチュエータに連結された当該デュアル排出アダプタ、
を収容し、
前記ポンプシャーシは、前記使い捨て管腔内デバイスの前記近位部に密閉可能に取り付けられ
、
前記アクチュエータ及び前記デュアル排出アダプタは、前記ポンプシャーシ内に配置され、
前記ポンプシャーシは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状である、
管腔内システム。
【請求項8】
前記デュアル排出アダプタは、前記第1のポンプチャンバと連通する第1のピストン、及び、前記第2のポンプチャンバと連通する第2のピストンに連結されたカムを含む、請求項
7に記載の管腔内システム。
【請求項9】
前記デュアル排出アダプタは、前記アクチュエータからのトルクを、前記第1のポンプチャンバと連通する第1のポンプ部材、及び前記第2のポンプチャンバと連通する第2のポンプ部材に分配する複数のギアを含む、請求項
7に記載の管腔内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、概して、血管などの患者の管腔から生物学的物質を吸引するポンプシステムに関する。例えば、ポンプシステムは、アクチュエータと、患者の管腔内に挿入された管腔内デバイスと連通するポンプチャンバとを含む手持ち式の使い捨てポンプを含む。
【背景技術】
【0002】
[0002] 血栓切除は一般に、カテーテルと共に、他の治療から分離された真空ポンプシステムを使用して行われる。バルーン血管形成術及び様々な形態のアテローム切除術などの低侵襲外科的介入以外に、他の一般的な方法には、開心術及び抗凝固療法が含まれる。既存のポンプシステムは、購入及び維持するのに費用がかかり、他の患者での使用のために滅菌するのが困難であり得る、取り付け面積の大きい再使用可能なポンプを含むことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] さらに、いくつかの既存のポンプシステムは、設計が単純であるために、動力効率及び/又は一貫したポンプ圧力を欠いている可能性がある。例えば、不規則なポンプ真空サイクルは、持続時間は短いが、血管を崩壊させるのに十分に高い周期的な圧力スパイクを生成する可能性がある。
【0004】
[0004] 本開示の実施形態は、患者の血管から生物学的物質を吸引する使い捨てポンプシステム及びデバイスについて有利に説明する。例えば、いくつかの実施形態では、使い捨てポンプシステムは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状であるポンプシャーシを含む。ポンプシャーシは、入口、ポンプチャンバ、モータ又はアクチュエータ、及び出口を収容する、及び/又はそれらに連結する。ポンプの構成要素は、吸引血栓除去術に使用するのに十分に高い真空強度を維持しながら、サイズ及び重量を保ち、費用を削減するように、サイズ決定、形状決定、及び構成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本開示の例示的な態様では、患者の管腔から生物学的物質を吸引するための管腔内システムが提供される。システムは、患者の管腔内に位置決めされる遠位部、及び遠位部と流体連通し、患者の外側に位置決めされる近位部を含む使い捨て管腔内デバイスと、患者の管腔から生物学的物質を吸引する使い捨てポンプであって、管腔内デバイスの近位部に連結され、ポンプシャーシを含む使い捨てポンプとを含む。ポンプシャーシは、管腔内デバイスの近位部に密封可能に取り付けられる入口ポート、ポンプから吸引された生物学的物質を排出する出口ポート、及び、ポンプを通る流体の流量を調整する流量制御器を収容し、ポンプシャーシは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状である。
【0006】
[0006] 一態様では、流量制御器は、ユーザによって手動で制御可能である機械弁を含む。一態様では、流量制御器は、電気的流量制御デバイスを含む。一態様では、ポンプシャーシはさらに、ポンプを通る流体の流量を検出し、流体の流量の表示を提供する流量計を収容する。一態様では、流量計は、電気的流量計を含み、流量計は、流量制御器と通信して、流量制御器にフィードバックを提供する。一態様では、流量計及び流量制御器は、PID制御で動作する。一態様では、流量制御器は、患者の管腔内に流体圧力のパルスを生成するために繰り返し開閉する。一態様では、ポンプシャーシはさらに、アクチュエータ、第1のポンプチャンバ、第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、及び、アクチュエータに連結されたデュアル排出アダプタを収容し、アクチュエータがデュアル排出アダプタを駆動して、第1のポンプチャンバ及び第2のポンプチャンバのそれぞれを通して流体を送出する。一態様では、使い捨て管腔内デバイスは、流体送達管腔、及び流体送達管腔とは別個の吸引管腔を含み、ポンプシャーシはさらに、第1のポンプチャンバ、第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、使い捨て管腔内デバイスの流体送達管腔及び第1のポンプチャンバと連通する遠位出口、使い捨て管腔内デバイスの吸引管腔及び第2のポンプチャンバと連通する遠位入口、第1のポンプチャンバと連通する近位入口、及び第2のポンプチャンバと連通する近位出口を収容し、ポンプは、近位入口に連結された流体源からの流体を、第1のポンプチャンバを通して患者の管腔に送出し、ポンプは、患者の管腔からの生物学的物質を第2のポンプチャンバを通して吸引する。
【0007】
[0007] 本開示の例示的な態様では、患者の管腔から生物学的物質を吸引するための管腔内システムが提供される。システムは、患者の管腔内に位置決めされる遠位部、及び遠位部と流体連通し、患者の外側に位置決めされる近位部を含む使い捨て管腔内デバイスと、ポンプシャーシとを含み、ポンプシャーシは、第1のポンプチャンバ、第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、アクチュエータ、及び、アクチュエータに連結されたデュアル排出アダプタを収容し、アクチュエータはデュアル排出アダプタを駆動して、第1のポンプチャンバ及び第2のポンプチャンバのそれぞれを通って流体を送出し、ポンプシャーシは、使い捨て管腔内デバイスの近位部に密封可能に取り付けられ、アクチュエータはデュアル排出アダプタを駆動して、第1のポンプチャンバ又は第2のポンプチャンバの少なくとも1つを通って生物学的物質を吸引し、アクチュエータ及びデュアル排出アダプタは、ポンプシャーシ内に配置され、ポンプシャーシは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状である。
【0008】
[0008] 一態様では、デュアル排出アダプタは、第1のポンプチャンバを通して使い捨て管腔内デバイスの遠位部に流体を送出し、第2のポンプチャンバを通して生物学的物質を吸引する。一態様では、デュアル排出アダプタは、第1のポンプチャンバ及び第2のポンプチャンバのそれぞれを通して流体を交互に送出する。一態様では、デュアル排出アダプタは、第1のポンプチャンバと連通する第1のピストン、及び第2のポンプチャンバと連通する第2のピストンに連結されたカムを含む。一態様では、デュアル排出アダプタは、アクチュエータからトルクを、第1のポンプチャンバと連通する第1のポンプ部材、及び、第2のポンプチャンバと連通する第2のポンプ部材に分配する複数のギアを含む。
【0009】
[0009] 本開示の例示的な態様では、患者の管腔から生物学的物質を吸引するための管腔内システムが提供される。システムは、患者の管腔内に位置決めされる遠位部、及び遠位部と流体連通し、患者の外側に位置決めされる近位部を含む使い捨て管腔内デバイスであって、流体送達管腔、及び流体送達管腔とは別個の吸引管腔を含む、管腔内デバイスと、患者の管腔に流体を送達し、患者の管腔から生物学的物質を吸引する使い捨てポンプであって、管腔内デバイスの近位部に連結され、ポンプシャーシを含む、使い捨てポンプとを含み、ポンプシャーシは、第1のポンプチャンバ、第1のポンプチャンバとは別個の第2のポンプチャンバ、使い捨て管腔内デバイスの流体送達管腔及び第1のポンプチャンバと連通する遠位出口、使い捨て管腔内デバイスの吸引管腔及び第2のポンプチャンバと連通する遠位入口、第1のポンプチャンバと連通する近位入口、及び第2のポンプチャンバと連通する近位出口を収容し、ポンプは、近位入口に連結された流体源からの流体を第1のポンプチャンバを通して患者の管腔に送出し、ポンプは、患者の管腔からの生物学的物質を第2のポンプチャンバを通して吸引し、ポンプシャーシは、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状である。
【0010】
[0010] 一態様では、近位入口は、第2のポンプチャンバから第1のポンプチャンバを通って患者の管腔に、吸引された流体を再循環させるために、近位出口と連通している。一態様では、システムはさらに、近位出口と近位入口との間に配置されたフィルタを含む。一態様では、近位入口は、流体リザーバと連通し、近位出口は、流体リザーバとは別個の廃棄物容器と連通する。一態様では、使い捨て管腔内デバイスは、流体送達管腔を囲むシースを含み、吸引管腔は、流体送達管腔内に同軸上に配置され、シースの遠位先端は、狭くなるテーパを含む。一態様では、使い捨て管腔内デバイスは、流体送達管腔を囲むシースを含み、吸引管腔は、流体送達管腔内に同軸上に配置され、シースの遠位先端は、広がるテーパを含む。
【0011】
[0011] 本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] 本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
【
図1】[0013]
図1は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプシステムの概略図である。
【
図2】[0014]
図2は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプの概略図である。
【
図3】[0015]
図3は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプの概略図である。
【
図4】[0016]
図4は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプのデュアル排出アダプタの概略図である。
【
図5】[0017]
図5は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプのデュアル排出アダプタの概略図である。
【
図6】[0018]
図6は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプの概略図である。
【
図7A】[0019]
図7Aは、本開示の実施形態による、患者の管腔内に位置決めされる使い捨て管腔内デバイスの概略図である。
【
図7B】[0020]
図7Bは、本開示の実施形態による、患者の管腔内に位置決めされる使い捨て管腔内デバイスの概略図である。
【
図8】[0021]
図8は、本開示のいくつかの実施形態による使い捨てポンプの概略図である。
【
図9】[0022]
図9は、本開示の一実施形態による管腔内デバイスの遠位部の概略図である。
【
図10】[0023]
図10は、本開示の一実施形態による管腔内デバイスの遠位部の概略図である。
【
図11】[0024]
図11は、本開示の一実施形態による管腔内デバイスの遠位部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0025] 本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面に示される実施形態を参照し、それを説明するために特定の言語を使用する。しかしながら、本開示の範囲への限定は意図されないことが理解される。説明されるデバイス、システム、及び方法に対する任意の変更及びさらなる修正、並びに本開示の原理の任意のさらなる用途は、本開示が関係する技術分野の当業者に通常想起されるように、本開示内に十分に企図され、含まれている。例えば、本開示の一実施形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップは、他の実施形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせ得ることが十分に企図されている。しかしながら、簡潔さのために、これらの組合せの多数の反復は、個別には説明しない。
【0015】
[0026] 血管の閉塞又は狭窄を引き起こす生物学的物質を除去しなければならないときがある。血液のかたまり、つまり血栓を取り除く過程は、血栓除去術と呼ばれる。吸引として知られている1つのタイプの血栓除去術は、血管から血栓を除去するために、血管内カテーテルを用いた吸引を使用することを含む。吸引は、患者の体外に配置されたポンプによって達成される。典型的には、吸引血栓除去術に使用されるポンプは、各使用間に滅菌されなければならない大型の再使用可能なユニットである。このようなポンプは、かなりの初期費用と、継続的な保守費用とを提示する。本出願は、十分に高い真空強度及び機能性を維持しつつ、サイズ及び重量を保ち、費用を削減する、吸引血栓除去術で使用するための手持ち式及び/又は使い捨てポンプを提示する。
【0016】
[0027] いくつかの実施形態では、血栓除去ポンプは、管腔内システムに関連して使用される。
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、吸引血栓除去システムなどの管腔内治療システム100の概略図である。システム100は、管腔内デバイス110と、ポンプ200と、容器128とを含む。管腔内デバイス110は、患者の生体構造102内に位置決めされるように構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は形状決定される)。管腔内デバイス110は、生物学的物質(例えば、閉塞106)を生体構造102内から吸引し、超音波治療を生体構造102に適用する。
【0017】
[0028] 一般に、管腔内デバイス110は、カテーテル、ガイドカテーテル、及び/又はガイドワイヤを含む。管腔内デバイス110は、可撓性伸長部材130を含む。本明細書で使用される場合、「伸長部材」又は「可撓性伸長部材」は、生体構造102の管腔104内に位置決めされるように構造的に構成された(例えば、サイズ決定及び/又は形状決定された)少なくとも任意の薄く、長く、可撓性の構造を含む。例えば、可撓性伸長部材130の遠位部114は、管腔104内に位置決めされ、一方、可撓性伸長部材130の近位部112は、患者の身体の外側に位置決めされる。可撓性伸長部材130は、吸引血栓除去術のためにポンプ200と共に使用することができる。例えば、ガイドワイヤ140を伸長部材130から後退させ、ポンプ200を作動させて、体腔104から容器128内に流体及び/又は生物学的物質を吸引するための真空又は吸込みを生成する。ポンプ200(例えば、ポンプシャーシ)は、ユーザによって手動で支持されるべきサイズ及び形状であるように、構造的に構成され、及び/又は他の態様で構成される。例えば、ポンプ200及び/又はポンプシャーシは、ユーザによる手持ちでの操作、患者ベッドの上、ベッドレール上などで位置決めされるべきサイズ及び形状であるように、構造的に構成され、及び/又は他の態様で構成される。
【0018】
[0029] 可撓性伸長部材130は、長手方向軸LAを含む。いくつかの例では、長手方向軸LAは、可撓性伸長部材130の中心長手方向軸である。いくつかの実施態様では、可撓性伸長部材130は、種々のグレードのナイロン、Pebax、ポリマー複合材料、ポリイミド及び/又はテフロン(登録商標)でできた1つ以上のポリマー/プラスチック層を含む。いくつかの実施形態では、可撓性伸長部材130は、編組金属及び/又はポリマーストランドの1つ以上の層を含む。編組層(複数可)は、任意の適切なパー・イン・カウント(per in count)(pic)を含む任意の適切な構成できつく又は緩く編組さされてよい。いくつかの実施形態では、可撓性伸長部材130は、1つ以上の金属コイル及び/又はポリマーコイルを含む。可撓性伸長部材130のすべて又は部分は、任意の適切な幾何学的断面プロファイル(例えば、円形、卵形、長方形、正方形、楕円形など)又は非幾何学的断面プロファイルを有する。例えば、可撓性伸長部材130は、可撓性伸長部材130の外径を規定する円形断面プロファイルを有する略円筒形プロファイルを有する。例えば、可撓性伸長部材130の外径は、約1Frと約15Frとの間を含み、3.5Fr、5Fr、7Fr、8.2Fr、9Frなどの値、及び/又はより大きい及びより小さい他の適切な値を含む、生体構造102内に位置決めするための任意の適切な値である。
【0019】
[0030] 管腔内デバイス110は、可撓性伸長部材130の長さの全部又は一部に沿って延在する1つ以上の管腔を含む。管腔内デバイス110の管腔は、1つ以上の他の診断器具及び/又は治療器具を受容及び/又は誘導するように構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は形状決定される)。管腔内デバイス110の管腔は、デバイス110の断面プロファイルに対して中心に置かれるか、又はオフセットされる。図示の実施形態では、管腔内デバイス110はカテーテルであり、可撓性伸長部材130の遠位部114にガイドワイヤ管腔を含む。ガイドワイヤ140は、カテーテル110のガイドワイヤ管腔を通って、入口/出口ポート142と、可撓性伸長部材130の遠位端118における出口/入口ポートとの間に延在する。一般に、ガイドワイヤ140は、生体構造102の管腔104内に配置されるように構造的に構成される(例えば、サイズ決定及び/又は形状決定される)細く、長い可撓性の構造である。治療処置の間、医療専門家は、典型的には最初に、ガイドワイヤ140を生体構造102の管腔104に挿入し、ガイドワイヤ140を、閉塞106に隣接するように、生体構造102内の所望の位置に移動させる。ガイドワイヤ140は、管腔内デバイス110を含む1つ以上の治療器具の、生体構造102内の所望の位置への導入及び位置決めを容易にする。例えば、管腔内デバイス110は、ガイドワイヤ140に沿って生体構造102の管腔104の中を移動する。いくつかの実施形態では、管腔内デバイス110の管腔は、可撓性伸長部材130の全長に沿って延在する。図示の実施形態では、出口/入口ポート142は、治療デバイス120又は管腔内デバイス110の構成要素の近位に位置決めされる。いくつかの実施形態では、出口/入口ポート142、遠位端118の出口/入口ポート、及び/又は管腔内デバイス110の管腔は、デバイス120の遠位に位置決めされる。いくつかの実施形態では、管腔内デバイス110は、ガイドワイヤと共に使用されず、出口/入口ポート142は、管腔内デバイス110から省略される。
【0020】
[0031] 生体構造102は、任意の流体で満たされた又は流体に囲まれた構造(天然及び人工の両方)を表す。例えば、生体構造102は、患者の体内にある。流体が生体構造102の管腔104を通って流れる。生体構造102は、血管のような管であってよく、その中を血液が管腔104を通って流れる。いくつかの例では、管腔内デバイス110は、血管内デバイスとも呼ぶ。様々な実施形態では、血管は、心臓血管系、末梢血管系、神経血管系、腎臓血管系、及び/又は体内の任意の他の適切な生体構造/管腔を含む、患者の血管系の動脈又は静脈である。生体構造102は、場合によっては曲がりくねっていてもよい。例えば、デバイス110は、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺、食道を含む臓器や、管や、腸や、脳、硬膜嚢、脊髄及び末梢神経を含む神経系構造や、尿路だけでなく、血液内の弁、心腔又は心臓の他の部分、及び/又は、身体の他の器官を含むがこれらに限定されない任意の数の解剖学的位置及び組織型を検査するために使用される。デバイス110は、天然の構造に加えて、次に限定しないが、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ及び他のデバイスといった人工構造を検査するために使用されてもよい。
【0021】
[0032] 生体構造102の閉塞106は一般に、例えば、患者の健康に害を及ぼすように、管腔104を通る流体の流れを制限する任意の詰まり又は他の構造的配置を表す。例えば、閉塞106は、管腔104の断面積及び/又は流体が管腔104を通って流れるために利用可能な空間が減少するように、管腔104を狭くする。生体構造102が血管である場合、閉塞106は、血餅(血栓)、線維、線維脂質(線維脂肪)、壊死コア、又は石灰化(高密度カルシウム)などのプラーク成分を含むがこれらに限定されないプラーク蓄積の結果である。いくつかの例では、閉塞106は、血栓、狭窄、及び/又は病変と呼ぶ。一般に、閉塞106の組成は、評価される生体構造のタイプに依存する。生体構造102のより健康な部分は、均一又は対称的なプロファイル(例えば、円形断面プロファイルを有する円筒形プロファイル)を有する。閉塞106は、均一な又は対称的なプロファイルを有さない場合がある。したがって、閉塞106を有する生体構造102の罹患部分は、非対称及び/又はそうでなければ不規則なプロファイルを有する。
図1では、生体構造102は単一の閉塞106を有するものとして示されているが、本明細書に説明されるデバイス、システム、及び方法は、複数の閉塞を有する生体構造に対して同様の用途を有することが理解される。
【0022】
管腔内デバイス110は、可撓性伸長部材130の遠位部114に治療デバイス120を含む。いくつかの実施形態では、治療デバイス120は、ブレードなどの関節切除構成要素である。いくつかの実施形態では、治療デバイス120は、閉塞106などの生体構造102に超音波治療を適用する。例えば、治療デバイス120は、閉塞106の構造を損傷する音波を放出する。この点に関して、デバイス110及び/又は治療デバイス120は、血栓除去デバイスと呼ぶことができる。治療デバイス120によって放出された超音波エネルギーは、閉塞106に微小の割れ目を生じさせる。例えば、治療デバイス120は、閉塞106のキャビテーション(例えば、波力キャビテーション、熱キャビテーションなど)を引き起こすように、的を絞った様式で超音波エネルギーを送達する。治療デバイス120による超音波治療の送達は、血栓希釈及び/又は血管準備を有利に容易にする。いくつかの実施形態では、治療デバイス120は、生体構造102に薬剤を送達する。薬剤は、血栓溶解剤、線維素溶解剤、プラスミン、プラスミド、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、コラゲナーゼ、ヘプラノイド、抗トロンビン薬、任意の他の適切な薬物、及び/又はそれらの組合せであってよい。伸長部材130及び治療デバイス120を含む管腔内システム100に関する追加の態様については、2017年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/545,888号、2017年8月16日に出願された米国仮特許出願第62/546,184号、及び代理人整理番号2017P023113US01/44755.1812PV02(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0023】
[0033]
図2は、本開示の一実施形態による使い捨てポンプ200の概略図である。ポンプ200は、モータ又はアクチュエータ212、流量制御器214、流量計216、入口222、及び出口224を収容するポンプシャーシ210、すなわちポンプ本体を含む。モータ212は、電力ケーブル242を介して電源240に連結され、ピストン、膜、ロータなどのポンプ排出機構に機械的動力(例えば、トルク)を提供して、ポンプ200を通して流体を送出する。いくつかの実施形態では、電源240はポンプシャーシ210とは別個のハウジング内に配置される。他の実施形態では、電源240はポンプシャーシ210内に配置される。
【0024】
[0034] 流量計216は、ポンプ200を通る流体の流れを検出又は測定し、その流れの表示を提供する。例えば、一実施形態では、流量計216は、ポンプ200の1つ以上の位置における流体の流れの特性(例えば、流体圧力)を測定する機械式又はアナログ式ゲージを含む。他の実施形態では、流量計216は、流れの特性の値を示す電気信号を別の構成要素(例えば、流量制御器214)に出力する、及び/又は測定された流れの値をオンボードディスプレイなどの視覚インジケータ215へ出力するデジタル流量計などの電気的流量計を含む。いくつかの実施形態では、インジケータ215は、測定された流れの特性が閾値を通過する時を示すために、LEDライト又はスピーカ(すなわち、アラーム)を含む。
【0025】
[0035] 流量制御器214は、ポンプ200を通る流量を制御するための機械弁又は他の適切な構成要素を含む。いくつかの実施形態では、流量制御器214は、処理構成要素によって電気的に制御される。流量計216は、流量制御器214に通信可能に連結され、流量制御器214が流量計216によって提供される測定流量値に応じてポンプ200を通る流量を動的に調節できるようにフィードバックループを提供する。例えば、吸引中に、ポンプ200によって患者の血管系内に生成される真空が、血管を潰すことがある。血管の崩壊は、流量計216によってポンプ200への流量の急激な減少として検出される。血管への損傷を軽減するために、電気的流量制御器214は、流量計216から測定された流量の表示を受け取り、それに応じて患者の血管系内の流量を制限し、したがって吸込みを減少させて、血管の形状及び機能を回復させるように調整することができる。他の実施形態では、流量計216は、モータ212と通信して、モータ212に直接フィードバックを提供するようになっており、モータは、測定された流量に応じてその出力(例えば、速度、トルク)を自動的に調整することができる。さらに他の実施形態では、流量制御器214は、ユーザによって手動で制御される。例えば、ユーザは、流量計216によって測定され出力される流量特性を観察し、それに応じて、スイッチ、ボタン、レバー、ダイヤル、ノブなどの機械的又は電気的入力部213を使用することによって、流量制御器214を手動で調整できる。いくつかの実施形態では、流量制御器は、繰り返し及び/又は急速に開閉して、血栓の一部を除去すること、又は管腔内デバイス230内に蓄積された抽出された物質の詰まりをなくすことを補助できる流体圧力のパルス(すなわち、微小の圧縮及び膨張)を生成する。さらに他の実施形態では、モータ212及び/又はポンプ排出機構が、ポンプを吸引から注入に変更するなど、ポンプ方向を切り替えるために可逆的であってもよい。
【0026】
[0036] シャーシ210は、ポンプ200の遠位部に入口222と、ポンプ200の近位部に出口224とを含む。入口222は、患者の血管とポンプ200との間の流体連通を提供するために、使い捨て管腔内デバイス230に連結される。管腔内デバイス230は、近位部232及び遠位部234を有する中空の伸長本体を含む。少なくとも遠位部234は、吸引のために患者の血管系に挿入される。以下でさらに説明するように、管腔内デバイス230は、1つ以上の管腔を含む。例えば、いくつかの実施形態では、デバイス230は、吸引(又は吸込み)管腔、流体送達管腔、及び/又はガイドワイヤ管腔を含む。いくつかの実施形態では、デバイス230は、1つ以上の流体運搬管腔を有する、医療用チューブなどの導管又はチューブを含む。
【0027】
[0037] 管腔内デバイス230の近位部232は、例えば、ルアー、ノズル、ソケット、又はポンプ200内への吸込みを維持するために適切なシールを提供する任意の他の適切な接続及び/又はフィッティングによって、ポンプ200の入口222に接続される。この点に関して、管腔内デバイス230の近位部232は、ソケット又はノズルを備え得る入口222の中又は上に直接嵌合してもよい。いくつかの実施形態では、入口222は、ポンプシャーシ210と一体的に形成される。他の実施形態では、入口222は、ポンプシャーシ210内に収容される、及び/又はポンプシャーシに連結される別個の構成要素である。
【0028】
[0038] ポンプの出口224は、吸引された流体をポンプ200から容器228に導く。出口224は、伸長部材226を介して容器と流体連通している。伸長部材226は、管腔内デバイス230と同様の構造又は構成であってよい。伸長部材226は、流体を運搬するための管腔を有する導管又はチューブを含む。出口224は、入口222と同様の構造であってよい。他の実施形態では、出口224は、チューブ226を必要とせずに、容器228と直接連通している。例えば、出口224は、容器228に直接かつ密封可能に連結する。容器228は、吸引された生物学的物質を受け入れ、含有するための廃棄物容器を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、容器228は、生理食塩水又は治療剤などの患者の血管に送達される流体を含有するリザーバを含む。
【0029】
[0039] ポンプ200の構成要素は、使い捨て設計と矛盾しないように、プラスチックなどの低重量及び/又は低費用の材料を含む。例えば、ポンプシャーシ、入口、出口、及び容器228は、ナイロン、Pebax、ポリマー複合材料、ポリイミド、及び/又はテフロン(登録商標)などの材料を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のポンプ構成要素は、アルミニウム又はステンレス鋼などの軽量金属を含む。ポンプ200は、ポンプ200を使用する全体的な費用を削減するために、カテーテル、シース、及び標準的な電源などの既存の管腔内製品に接続するか、又はそれらと連動する。ポンプ200の構成要素は、ポンプ200の総重量を軽減するための切り抜きなどの軽量化形状を含む。いくつかの実施形態では、管腔内デバイス230及び/又はポンプ200は、患者の血管系への管腔内デバイス230の取り付け及び取り外しの間の出血を防止するために、1つ以上の遮断弁を含む。シャーシ210は、防水接着剤、Oリング、疎水性コーティング若しくは材料、又は任意の他の適切な防水材料などの防水又はシール構成要素及び/又は材料を含む。
【0030】
[0040]
図3は、本開示の別の実施形態による使い捨てポンプ300を示す。ポンプ300は、
図2に示されるポンプ200と同様の又は同一の構成要素を多く含む。例えば、ポンプ300は、モータ312、入口322a、322b、及び出口324a、324bを収容するポンプシャーシ310を含む。
図3の実施形態では、ポンプは、第1のチャンバ362と連通する第1の入口322a及び第1の出口324aと、第2のチャンバ364と連通する第2の入口322b及び第2の出口324bとを含む。第1のチャンバ362及び第2のチャンバ364は、互いに直接流体連通しないように互いに分離されている。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、第1のチャンバ362及び第2のチャンバ364のそれぞれ、並びにそれらの対応する入口及び出口は、患者の血管から流体及び生物学的物質を吸引するために使用される。他の実施形態では、一方のチャンバ並びにその対応する入口及び出口は、血管から流体を吸引するために使用され、他方のチャンバ並びにその対応する入口及び出口は、血管に流体を送出するために使用される。単一のモータ312は、両方のチャンバ362、364を通る送出を駆動する。この点に関して、モータ312は、モータ312からの動力及び/又はトルクを第1のチャンバ362及び第2のチャンバ364のそれぞれに分配するデュアル排出アダプタ(dual displacement adapter)350に動作可能に連結される。モータ312は、手持ち式使い捨てポンプを設計する際の最大の空間的制約の1つであるため、デュアル排出アダプタ350を使用することは、単一のモータで2つのポンプ排出システムを動作させることができるので、有利である。
【0031】
[0041] いくつかの実施形態では、デュアル排出アダプタ350は、第1及び第2のチャンバ362、364と連通する1つ以上のピストン、ロータ、プロペラ、又は膜に連結されて、チャンバ362を通るポンプ作用を生成する。いくつかの実施形態では、デュアル排出アダプタ350は、流体及び生物学的物質を、患者の血管から使い捨て管腔内デバイス230を通ってポンプ300に送出するために、流体をチャンバ362、364の両方を通して近位方向に送出する。他の実施形態では、デュアル排出アダプタ及び/又はチャンバ362、364は、流体を反対方向に移動させる。例えば、第1のチャンバ362はフラッシング流体及び/又は治療剤をリザーバから患者の血管に送出し、一方、第2のチャンバ364は流体を患者の血管から老廃物容器228に送出する。
【0032】
[0042] 入口322a、322bは、Yルアー338によって管腔内デバイス230に接続される。デュアル排出アダプタ350及びポンプチャンバ362、364の構成に応じて、Yルアー338は入口322a及び322bを単一の管腔又は別々の管腔(例えば、吸引管腔及び流体送達管腔)に接続する。同様に、出口324a、324bもYルアー336によって容器228に接続されている。いくつかの実施形態では、Yルアーは出口324a、324bを、容器228に通じる単一の管腔に接合する。他の実施形態では、Yルアー336が出口324a、324bを別々の管腔に接続する。
【0033】
[0043] ポンプ300はさらに、ポンプシャーシ310内に収容されたバッテリ344を含む。いくつかの実施態様では、バッテリ344は再充電可能及び/又は交換可能である。他の実施形態では、バッテリ344は再充電可能及び/又は交換可能ではない。ポンプ300がバッテリ344によって給電されるか又は外部電源によって給電されるかに関わらず、いくつかの実施形態では、ポンプは、約10V~約20Vの入力電圧で動作する。
図3には示されていないが、ポンプ300はまた、いくつかの実施形態では、流量計及び/又は流量制御器を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、管腔内デバイス230、入口322、チャンバ362、364、出口324、及び廃棄物容器228は、ポンプ300の使い捨てフォームファクタ内での直接的な引き込みを維持するために、直線的な向きで直列に配置される。
【0034】
[0044]
図4は、本開示の一実施形態によるデュアル排出アダプタ250の概略図である。
図4のデュアル排出アダプタ250は、モータに連結するカム252と、第1のピストン258に連結された第1のクランクシャフト254と、第2のピストン259に連結された第2のクランクシャフト256とを含む。モータがカム252を回転させると、クランクシャフト254及び256は、ピストン258及び259を揺動形式で前進及び後退させる。ピストン258、259がそれぞれ第1及び第2のポンプチャンバ262、264内に前進すると、チャンバのボリュームが減少し、これにより第1のボール弁272aが上昇し、第1の流体矢印52で示される、流体のチャンバ262内から第1の出口224aの外への放出を可能にし、一方、第1の入口ボール弁274aは閉じたままとなる。第1ピストン258が第1チャンバ262から後退するにつれて、第1出口ボール弁272aは、第1の出口弁ストップ266aに落ちて戻ることによって閉じる。また、圧力の低下は、第1の入口ボール弁274aを第1の出口弁ストップ268aから離れて上昇させ、第1の入口222aを通る流体の進入を可能にする。第2のチャンバ264、第2のピストン259、第2の出口ボール弁272b及び第2の出口弁ストップ266bを含む第2の出口224b、及び第2の入口ボール弁274b及び第2の入口弁ストップ268bを含む第2の入口222bに関して、同じプロセスが交互のパターンで生じる。第2のチャンバ264内への流体の進入は、流体矢印54によって示されている。
【0035】
[0045] ピストン258、259は、流体を交互にチャンバ262、264を通して送出するので、デュアル排出アダプタ250は流体のより安定した動きを提供することができ、これは血管内のより安定した流体圧力に相当し得る。他の実施形態では、例えば、弁ストップの傾斜部分が入口222a、222bに向くように弁ストップを180度回転させることによって、チャンバ262、264の一方又は両方の方向性は変更できる。したがって、いくつかの実施形態では、デュアル排出アダプタ250は、単一のモータからの吸引及び流体送達の両方を可能にすることができる。他の実施形態では、ピストン258、259は、可撓性膜に置換されてもよく、カム252及びクランクシャフト254、256は、ダイヤフラム式ポンプのための類似の構成要素に置換されてよい。さらに、ポンプ200及び/又はデュアル排出アダプタ250の弁は、ボール弁の他に、リーフ弁などの他のタイプの弁、又は任意の他の適切な弁を含んでよい。具体的には図示されていないが、単一のモータ又はアクチュエータからの機械的動力を2つ以上のポンプ駆動構成要素に分配することができる他のタイプのデュアル排出アダプタが本開示によって企図されている。
【0036】
[0046]
図5は、本開示の別の実施形態による、デュアル排出アダプタ350の概略図を示す。
図5の実施形態では、デュアル排出アダプタ350は、単一のモータからの動力又はトルクを他のポンプ構成要素に分配する一連のギアを含む。デュアル排出アダプタ350は、モータに連結された駆動ギア352と、デュアルベベルギヤ358と、下部ベベルギヤ359と、第1及び第2の頂部ピニオン354a、354bと、第1及び第2の底部ピニオン356a、356bとを含む。デュアル排出アダプタ350は、回転ポンプに連結され得る。この点に関して、第1の頂部ピニオン354a及び第1の底部ピニオン356aは、第1の回転ポンプに連結され、第2の頂部ピニオン354b及び第2の底部ピニオン356bは、第2の回転ポンプに連結され得る。各ピニオンは、回転ポンプの別個のロータに連結され得る。他の実施形態では、各ピニオンが別個のピストン又は膜と連通して、別個のポンプチャンバを通して流体を駆動する。
【0037】
[0047]
図6は、本開示の実施形態によるデュアルチャンバ使い捨てポンプ400の概略図である。
図3に示されるポンプ300と同様に、
図6のポンプ400は、第1の入口422a及び第1の出口424aと連通する第1のチャンバ462と、第2の入口422b及び第2の出口424bと連通する第2のチャンバ464とを含む。
図3のポンプ300とは対照的に、
図6のポンプ400は、第2のチャンバ464を駆動する第2のモータ412bを含み、一方、第1のモータ412aは、第1のチャンバ462を駆動する。したがって、
図6のポンプ400は、各チャンバ462、464を通して流体を送出するためのデュアル排出アダプタを必要としない。
【0038】
[0048] ポンプ400は、フラッシング溶液をリザーバ228から第1のチャンバ462を通して患者の血管に送達し、流体及び生物学的物質を患者の血管から第2のチャンバ464を通して廃棄物容器229に吸引する。第1の入口422aは、第1の管状部材226によってフラッシング流体のリザーバ228に接続され、第2の出口424bは、第2の管状部材227を介して廃棄物容器229に接続される。
【0039】
[0049] 第1の出口424a及び第2の入口422bは、Yルアー238を介して管腔内デバイス230に接続される。Yルアー238は、第1の出口424a及び第2の入口422bのそれぞれを、管腔内デバイス230内の別個の管腔に接合する。いくつかの実施形態では、別個の管腔は同軸である。他の実施形態では、管腔は平行であり、管腔内デバイス230内で並んで延びる。いくつかの実施態様では、Y型ルアー238は、Yルアー238の各フォークに遮断弁を含む。
【0040】
[0050]
図7A及び
図7Bは、本開示の一実施形態による使い捨て管腔内デバイスを示す。
図7Aは、管腔内デバイス230の概略側面図であり、
図7Bは、
図7Aに示す線B-Bに沿った断面図である。管腔内デバイス230は、
図6のポンプ400などのデュアルチャンバポンプと共に使用されてよい。管腔内デバイス230は、ガイドワイヤ管腔288を囲む外側シース280を含む。ガイドワイヤ管腔288内には、流体送達シース284によって囲まれた流体送達管腔282と、吸引シース285によって囲まれた吸引管腔286とがある。ガイドワイヤ管腔288は、ガイドワイヤが通過できるようなサイズ及び形状にされる。
【0041】
[0051] 他の実施形態では、管腔内デバイス230は、2つの管腔のみを含む。例えば、吸引管腔286又は流体送達管腔282が、ガイドワイヤ管腔として機能する。いくつかの実施形態では、流体送達管腔282及び吸引管腔286は同軸であり、これにより、吸引管腔は流体送達管腔によって囲まれ、又はその逆も同様である。
【0042】
[0052]
図8は、本開示の別の実施形態による、
図6に示されるポンプ400の概略図である。
図8では、ポンプ400は、第2のチャンバ464を通して流体及び生物学的物質を吸引する。第2のチャンバ464は、第2の出口424b及び吸引管状部材227を通して流体及び生物学的物質をフィルタ225に放出する。フィルタ225は、吸引された流体(例えば、血液)から生物学的物質又は他の異物を除去し、濾過された流体を、流体送達管状部材226及び第1の入口422aを通って再循環させる。第1の入口422aで、濾過された流体は、第1のチャンバ462内で、第1の出口424a及び管腔内デバイス230を通って送出され、患者の血管内に戻される。フィルタ225は、ステンレス鋼、ePTFEストランド、又は任意の他の生物学的に適切な材料のメッシュを含む。フィルタ225のメッシュサイズは、抽出された流体から症候性塞栓を除去できる。いくつかの実施形態では、フィルタは、従来の手段によってポンプ400の入口及び/又は出口に取り付けることができる、チューブ内に配置されたフィルタメッシュを有するチューブの一部を含む。
【0043】
[0053]
図9、
図10、及び
図11は、本開示のいくつかの実施形態による管腔内デバイスの遠位部334の様々な構成を示す。
図9、
図10、及び
図11の実施形態では、吸引管腔386は流体送達管腔383と同軸であり、両方ともシース380内に配置されている。遠位部334は、様々な品質を示すように形状決定及び/又は構成される遠位先端388を含む。例えば、
図9では、先端388はシース380の狭くなるテーパを含む。先端388の狭くなるテーパは、フラッシング流体及び/又は治療剤を所望の位置に集束又は方向付ける。
図10では、遠位先端がシース380の広がるテーパを含む。広がるテーパは、流体送達管腔382を通過する流体のより広い流れを提供し、生物学的物質が管腔382、386の周りを通過することを制限するのに役立ち得る。シース380のテーパは、吸引シース384の遠位に延在する。
図11では、遠位先端388は、吸引シース384の広がるテーパを含む。吸引シース384の広がるテーパは、吸引管腔386内に吸引される流体及び生物学的物質のより広い流れを生成するのに役立ち得る。吸引シース384は、シース380の遠位に延在し、流体送達管腔382の遠位に吸引遠位先端388を置く。
【0044】
[0054] 当業者であれば、上述の装置、システム、及び方法を様々なやり方で修正できることを理解するであろう。したがって、当業者は、本開示によって包含される実施形態が上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。この点に関して、例示的な実施形態が示され、説明されたが、前述の開示において、広範囲の修正、変更、及び置換が企図される。このような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記になされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広くかつ本開示と一致するよう解釈されることが適切である。