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  • 特許-粒状要素を封じ込めるためのデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】粒状要素を封じ込めるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20240329BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20240329BHJP
   E01F 7/04 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E02D29/02 308
E02D17/20 103G
E01F7/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021524436
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 FR2019052671
(87)【国際公開番号】W WO2020095007
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】1860405
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509167338
【氏名又は名称】ソレタンシュ フレシネ
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤシン・ベナニ・ブラオウリ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・フライターグ
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-143774(JP,A)
【文献】特公平07-099022(JP,B2)
【文献】特開2015-010421(JP,A)
【文献】特開2004-300701(JP,A)
【文献】特開2007-126864(JP,A)
【文献】特開2015-036502(JP,A)
【文献】特開平08-232267(JP,A)
【文献】米国特許第08967917(US,B1)
【文献】米国特許第05733072(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/02
E02D 17/20
E01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に溶接された金属ワイヤを含む金属網パネルを備える、粒状要素を封じ込めるためのデバイスであって、
前記金属網パネルは第1の配向の少なくとも1つの第1のV字形状の屈曲と第2の配向の少なくとも1つの第2の屈曲とを備え、前記第1の配向は第1の軸によって特徴付けられ、前記第2の配向は第2の軸によって特徴付けられ、前記第1の軸および前記第2の軸は同一直線上になく、
前記金属網パネルは、実質的に平面状の部分を備え、
前記少なくとも1つの第1のV字形状の屈曲は、面外の金属ワイヤを、前記金属網パネルの前記実質的に平面状の部分によって形成された平面から外に誘導するように配置構成され、
前記面外の金属ワイヤは、前記金属網パネルの前記金属ワイヤの大部分よりも短い長さを有する、粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項2】
前記第1の軸および前記第2の軸は、垂直であり、好ましくは、前記第1の軸および前記第2の軸は、各々、複数の金属ワイヤに平行である請求項1に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項3】
前記金属ワイヤは、互いに電気溶接される請求項1または2に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項4】
前記金属網パネルは、直径が4mm以上である金属ワイヤを備える請求項1から3のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項5】
前記金属網パネルは、前記金属網パネルよりも小さい特性寸法の網目サイズを有する二次網と関連付けられる請求項1から4のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項6】
前記二次網は、織網、バイオマットおよびジオテキスタイルの中から選択される請求項5に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項7】
第1の配向のいくつかの屈曲を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項8】
第2の配向のいくつかの屈曲を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項9】
前記面外の金属ワイヤは、前記金属網パネルの前記実質的に平面状の部分によって形成された前記平面に実質的に平行である、請求項1から8のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項10】
前記第1の屈曲及び前記第2の屈曲は、前記デバイスが自動安定性であることを可能にするように構成される請求項1から9のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項11】
前記金属網パネルは、金属被覆を施されたワイヤを備え、前記金属被覆は、好ましくは、亜鉛または亜鉛および/もしくはアルミニウムを含む合金のうちから選択される請求項1から10のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイス。
【請求項12】
金属網を第1の方向に曲げる第1のステップと、
前記金属網を前記第1の方向の同一直線上にない第2の方向に曲げるその後のステップと、
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイスを製造するための方法。
【請求項13】
補強土構造物であって、
- 請求項1から11のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイスと、
- 前記デバイスによって封じ込められている複数の粒状要素であって、前記粒状要素は好ましくは天然鉱物である、複数の粒状要素と、
- 金属またはポリマーの少なくとも1つの土壌補強部材と
を含む補強土構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封じ込められた(contained)粒状要素(granular element)を備える構造物、たとえば、補強土構造物(reinforced soil structure)の分野に関するものであり、特に、そのような構造物の面部材(facing member)に適用され得る。この建設技術は、擁壁、橋台などの構造物を作製するために一般的に使用される。これは、また、鉱物の外観を与えるために既存の構造物に沿って粒状要素を封じ込めることを含むクラッディングの分野にも応用できる。
【背景技術】
【0002】
このような構造物は、締固め盛土材(compacted fill)を形成する粒状要素、これらの粒状要素を封じ込め、フェーシング(facing)を形成するデバイス、およびフェーシングに一般的に接続される補強材を関連させる。粒状要素を封じ込めるデバイスは、一般的に、一緒に組み立てられた複数の部材を含む。
【0003】
一般的に長手方向の、様々なタイプの補強材が使用され得、これらは、たとえば、亜鉛メッキ鋼などの金属製であり得るか、またはジオテキスタイルと称される材料もしくはポリエステル繊維を含む材料などの合成材料によるものであってよい。
【0004】
同様に、異なるタイプの封じ込めデバイス(containing device)が使用されるものとしてよく、これらも、たとえば、亜鉛メッキ鋼などの金属製であり得るか、またはたとえばポリエステル繊維を含むジオテキスタイルと称される材料などの合成材料によるものであってよい。封じ込めデバイスは、一般的に、構造物の外部ファサードを構成するものであり、したがって、感じの良い美観を維持しながら摩耗、特に酸化に対して耐性がなければならない。
【0005】
構造物の外部ファサードは、異なるレベルのフェーシングの間に水平陥凹部を備え得る。これは、また、傾斜し、一般に、構造物の頂部に比べて地面において初期表面積が大きいものとしてよいが、張り出したフェーシングを有する構造物を建てることも可能である。
【0006】
粒状盛土材中に置かれた補強材は、多かれ少なかれ密に分布し得る。これらは、様々な形態をとり得る接続デバイスを用いて封じ込めデバイスに固定される。補強材は、数トンにも上る高荷重を伝達することを可能にする。
【0007】
封じ込めの役割を果たす上で、粒状要素を封じ込めるためのデバイスが著しい剛性を有することが重要である。この剛性は、従来から補強材によって可能にされており、補強材と封じ込めデバイスとの間の接続点の配置構成が、いくつかの方向において剛性を高めることを可能にする。しかしながら、これらの点における荷重の分布は、予測が困難である。
【0008】
したがって、所与の方向に加えられる応力に対する機械的抵抗を高めるために、平行で水平な波形または屈曲を有する封じ込めデバイスを使用することも知られている。このタイプの波形または屈曲は、波形金属板またはフェンシングにおいて使用されるものに類似している。
【0009】
しかしながら、これらの水平な屈曲は、すべての方向で剛性を高めるものではない。粒状要素によって加えられる圧力の影響下で、これはファサード内に望ましくない出っ張りの形成を引き起こす。したがって、これらの欠点を克服するために、非常に太い亜鉛メッキ鋼線から作られた金属網を備える封じ込めデバイスが使用される。
【0010】
すでに亜鉛メッキされている非常に太い鋼線を使用することには問題があるが、理由は1つだけでない。まず第1に、直径の大きな亜鉛メッキ鋼線から網を作るのは困難である。実際、鋼線同士の溶接点は、亜鉛メッキ被覆を通して鋼鉄と接触することがあり得、切断端部では網の断面積の大部分が保護されておらず、したがって局部腐食点がたちまち発生し得る。それに加えて、このタイプのワイヤを大量に入手することは困難である。一般的に、鋼鉄網の生産後に亜鉛メッキステップが実行されなければならず、そのため構造物の生産がかなり複雑なものとなる。最後に、大量の鋼鉄を使用するということは、構造物のコストが著しく変動することを意味する。実際、鋼鉄の価格は変動しやすく、このような構造物の完成までの時間スケールでは、結果として変動がかなり大きくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、粒状要素を封じ込めるためのデバイスの剛性を高める新しい手段が必要であり、また複数の方向で高めることを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一緒に溶接された金属ワイヤを含む金属網パネルを備える、粒状要素を封じ込めるためのデバイスを用いて、これを達成し、パネルは第1の配向の少なくとも1つの湾曲と第2の配向の少なくとも1つの湾曲とを備え、第1の配向は第1の軸によって特徴付けられ、第2の配向は第2の軸によって特徴付けられ、第1の軸および第2の軸は同一直線上にない。
【0013】
粒状要素を封じ込めるためのデバイスは、典型的には、補強土構造物などの土木構造物のためのフェーシング部材またはフェーシング部材の集合体である。
【0014】
粒状要素は、好ましくは天然鉱物である。これらは、たとえば、採石場または採掘工事から出るスクラップに由来する要素であってよい。これらは、また、構造物を植被で覆うために植物の成長に適した土壌であってもよい。最後に、これは工事盛土材(engineered fill)であってもよい。これらの要素は、好ましくは、高度に分散された粒度分布を有する。
【0015】
デバイスは、金属網パネルを備える。本発明によるパネルは、それに印加される応力を分散させることができる一体化された部材である。本発明の意味における金属網は、一体として接続されている金属ワイヤの格子である。これらの金属ワイヤは、好ましくは、ワイヤフェンシングに類似する網の格子を形成するように、2つの配向、たとえば、2つの垂直配向で配置構成される。
【0016】
この格子の網目サイズは、粒状要素を封じ込めるのに十分な小ささでなければならない。粒状要素が金属網の間隔よりも小さい粒径を有する場合、網は、粒状要素よりも細かい網目サイズを有する二次網を設けられるものとしてよく、金属網は、金属網よりも小さい特性寸法の網目サイズを有する二次網と関連付けられていてもよい。このような二次網は、剛性が低くてもよく、たとえば、織網、バイオマットまたはジオテキスタイルの中から選択され得る。
【0017】
金属網格子のノードは、金属ワイヤ間の溶接点によって形成される。好ましくは、この溶接は、電気溶接などのフィラーを加えない溶接である。フィラーを加えない溶接は、ワイヤの相互浸透を確実にし、したがって、金属ワイヤの一体化を高め、応力の伝達をよくする。
【0018】
金属網は、応力がかかる方向に応じて異なる剛性を示すために、異なる直径のワイヤを有していてもよい。これは、有利には、網を作られた用途に適合させることを可能にし得る。
【0019】
第1の配向の前記少なくとも1つの湾曲は、互いに平行である、たとえば、水平である、網の中の一連の屈曲からなるものとしてよい。網のこの少なくとも1つの湾曲は、網を3次元の物体にし、湾曲の方向とは異なる方向の変形を受ける傾向を制限することによってその剛性をかなり高める。機械的な観点からは、この少なくとも1つの湾曲は、ビームに相当する。
【0020】
第2の配向の前記少なくとも1つの湾曲も、互いに平行であるが、第1の配向の前記少なくとも1つの湾曲に対して平行でない、網の一連の屈曲からなるものとしてよい。この第2の少なくとも1つの湾曲の形成は、第1の配向の少なくとも1つの湾曲と同様に作用し、別の方向の剛性を高めることを可能にする。
【0021】
第1の軸および第2の軸は、たとえば、垂直であり、好ましくは、第1の軸および第2の軸は、各々、複数の金属ワイヤに平行である。したがって、金属網が2つの方向にワイヤを有する場合、これらの2つの方向で湾曲が生じる。これは、有利には、各湾曲に沿って少なくとも1つの金属ワイヤを位置決めすることを可能にし、したがって、デバイスを補強することを可能にする。
【0022】
異なる方向に湾曲を形成することができるようにするためには、いくつかの解決策が考えられる。
【0023】
好ましい一実施形態において、第1の配向の前記少なくとも1つの湾曲は、湾曲の前の網の平面から外に、限られた数のワイヤ、好ましくは単一のワイヤを誘導する。1つまたは複数の面外のワイヤは、有利には、他のワイヤよりも短く、第2の配向の少なくとも1つの湾曲をこのワイヤまたはこれらのワイヤが存在しないパネルのレベルで形成することを可能にする。
【0024】
代替的に、第1および第2の配向の湾曲は、ドームなどの複数の湾曲の形態で組み合わされ得る。網内のドーム形状の変形は、剛性の観点から非常に有利である。これは、たとえば、型押しによって、または貝殻を印刷するための3D技術を使用することによって生産され得る。
【0025】
したがって、様々な湾曲の軸は、好ましくは、直線的であるけれども、それらが湾曲していることがおおいにあり得る。
【0026】
第3の代替的形態により、第1および第2の配向の湾曲は、事後に網上に部材を追加することによって確実にされる。これらの部材は、V字型の形状を有し、別の方向の屈曲をすでに有している網に溶接され得る。
【0027】
本発明によるデバイスは、その幾何学的形状により剛性が向上している。この剛性は、より小さい金属ワイヤ径を補償することができ、これは上に示されているように特に有利である。金属網の様々な金属ワイヤの金属ワイヤ径は、最小抵抗を確実にするために、好ましくは4mmよりも大きい。しかしながら、従来は最大14mmまで、さらには18mmの直径であった従来技術の金属網において使用されているワイヤとは異なり、これは、好ましくは5から8mmの間であり、いかなる場合も12mm未満である。したがって、われわれは、使用される金属の量を半分未満に減らすことができ、一方で、上で説明されているようなその後の亜鉛メッキステップをなくすことができる。
【0028】
本発明による粒状要素を封じ込めるためのデバイスは、好ましくは、第1の配向のいくつかの湾曲および/または第2の配向のいくつかの湾曲を備える。網が実質的に平面状の部分を備えるときに、これらの湾曲は、たとえば、金属網の前記部分の平面から外に、好ましくは前記平面に実質的に平行に、金属ワイヤを誘導するように配置構成される。
【0029】
この場合、面外の金属ワイヤは、好ましくは、金属網の金属ワイヤの大部分よりも短い長さを有する。これは、ワイヤを超えて延在する平面において、異なる方向に湾曲を形成することを可能にする。
【0030】
少なくとも1つの湾曲は、本発明によるデバイスの一部を、これが組み込まれることになる構造物のファサードになることを意図されている平面の外に誘導することができる。この部分は、構造物の堅牢性に寄与し、全体の安定性を改善することができる。
【0031】
少なくとも1つの湾曲は、また、結果として、粒状要素の上に折り重ねることを生じ得る。この折り重ねは、粒状要素に対する保護機能およびファサードに衝撃が加わった場合の荷重分散機能の両方を有することができる。
【0032】
第1の配向の前記少なくとも1つの湾曲および第2の配向の前記少なくとも1つの湾曲は、屈曲であるか、または屈曲を含み得る。本発明の意味における屈曲は湾曲であるか、またはマンドレルの周りで金属網パネルを曲げることによって形成され得るものである。
【0033】
好ましくは、湾曲の配置構成は、デバイスが自動安定性であることを可能にするように構成される。構造物内のこれの明らかな利点に加えて、自動安定デバイスを有することは、デバイスの保管の観点からも興味深い。
【0034】
この目的のために、湾曲は、有利には、本発明によるデバイスを積み重ねることを可能にするようにも配置構成され得る。
【0035】
別の態様により、本発明は、本発明による粒状要素を封じ込めるためのデバイスを製造するための方法に関し、これは金属網を第1の方向に曲げる第1のステップと、金属網を第1の方向の同一直線上にない第2の方向に曲げるその後のステップとを含む。
【0036】
曲げるステップは、たとえば、マンドレルの周りで網に力を印加することによって実行される。マンドレルの直径は、多かれ少なかれ鋭角の湾曲をもたらし得る。好ましくは、湾曲は、金属ワイヤを傷つける危険性があるので、あまり鋭角でない。逆に、湾曲は、占有する空間を限定するために、好ましくは、漸進的に変化しすぎることがない。
【0037】
有利には、ワイヤの亜鉛メッキは、亜鉛または亜鉛アルミニウム合金の被覆からなる。したがって、金属網は、好ましくは、金属被覆を施されたワイヤを備え、金属被覆は、好ましくは、亜鉛または亜鉛および/もしくはアルミニウムを含む合金のうちから選択される。
【0038】
本発明による方法は、たとえば、面外の金属ワイヤを切断するステップなど、他のステップを含んでもよい。この切断ステップは、第1の湾曲の形成の後であってもよい。しかしながら、特に有利な実施形態において、この網は、将来の湾曲を予想し、ワイヤ間の溶接点が形成される時点において短くされた金属ワイヤを直接組み込むことによって設計される。
【0039】
第3の態様により、本発明は、
- 先行する請求項のいずれか一項に記載の粒状要素を封じ込めるためのデバイスと、
- 前記デバイスによって封じ込められている複数の粒状要素であって、この粒状要素は好ましくは天然鉱物である、複数の粒状要素と、
- 金属またはポリマーの少なくとも1つの土壌補強部材と
を含む補強土構造物に関する。
【0040】
金属の前記土壌補強部材は、封じ込めデバイスの一続きの材料として実装され得る。
【0041】
上で説明されている特徴は、互いに独立して、または互いに組み合わせて実装され得る。
【0042】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読むことで、また添付図面を分析することで、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態による粒状要素を封じ込めるためのデバイスの斜視図である。
図2】本発明による構造物の概略断面図である。
図3】本発明による構造物の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の図面および説明は、ほとんどの部分において、自然界に確実にある要素を含む。したがって、これらは、本発明をよく理解するのに役立ち得るだけでなく、該当する場合には、その定義にも寄与する。
【0045】
次に図1が参照される。図示されている例示的な実施形態の文脈において、本発明による封じ込めデバイスは、補強土構造物のためのフェーシング部材として使用される。フェーシング部材は、一方が他方の下に配置構成される他の類似の部材と関連付けられることを意図されている。
【0046】
この部材は、平らなときに電気溶接される亜鉛メッキ鋼線の金属網から得られる。ワイヤは、直径6mmである。溶接ステップは、フィラーを加えずに、ワイヤの交点に局所的に非常に高い電界を誘導することによって行われる。これは、局所的加熱を引き起こし、ワイヤの相互浸透が生じる。この溶接は、自動化され、コンベアベルト上で行われ得る。
【0047】
網の形成時に組み立てられるワイヤは、すべてが同じ長さであるわけではない。したがって、1次元では、2つのワイヤのうちの一方のワイヤは長さl1+l2と長くなっており、2つのワイヤのうちのもう一方のワイヤは長さl1と短い。
【0048】
次いで、こうして得られた網は、第1の方向に第1の一連の屈曲13を受ける。これらの屈曲は、一連の3つの屈曲にグループ化される。図中、一連の3つの屈曲を3つ分、表しているが、部材はさらに多くの屈曲を有し得る。
【0049】
例示されている部材は、構造物のファサード上に位置決めされることを意図されている第1の面10を備える。この第1の面10は、平面P1内にある。
【0050】
各一連の3つの屈曲は、V字形状を形成し、ファサードの平面の外にワイヤ131を誘導するように構成される。この面外のワイヤは、フェーシング部材の水平剛性を高める。水平剛性は、水平軸に沿った変形に対する抵抗を意味すると理解される。実際、折り畳まれた1枚の紙または波形板のように、屈曲13に垂直な軸に沿った変形を与えるために、各面外ワイヤ131の全体に、著しい抵抗を引き起こす、圧縮または引張応力を印加する必要がある。
【0051】
水平剛性の増大を引き起こすこの著しい抵抗は、面外ワイヤを含む網の部分にのみ存在する。したがって、単純な方式で、面外ワイヤを含まない金属網のレベルで第2の一連の屈曲14を形成することが可能である。示されている図において、この第2の一連の屈曲は、部材の第2の面20を形成することを可能にする単一の屈曲14を含む。
【0052】
構造物上では見えなくなるこの第2の面20は、平面P2内にある。
【0053】
この面が存在することで、垂直剛性、言い換えると、垂直軸に沿った変形に対する抵抗が増大する。実際、屈曲14に平行で、部材の面20に含まれるワイヤ21は、面10が応力を受けたときに圧縮または引張応力を受け、垂直方向の屈曲を生じる。
【0054】
図1において、部材は、第2の湾曲に沿った単一の屈曲14のみを有しているけれども、その垂直剛性をさらに強くするであろう、第3の面を部材の頂部に形成する別の屈曲を含むことが可能である。この部材は、ワイヤ131のように、ただし垂直方向に、いくつかのワイヤを面外にオフセットするために、この第2の配向に沿ったいくつかの一連の3つの屈曲を含むことも可能である。
【0055】
図1による異なる部材は、互いの上に積み重ねられた状態で保管され、輸送され得る。変形は、積み重ねられたときに部材間の間隙を制限することを可能にし、これは非常に有利である。
【0056】
フェーシング部材は、図2および図3に示されているもののうちの1つなどの構造物上で使用される。
【0057】
図2および図3は、本発明による構造物の概略断面図を例示している。このような構造物の一般的な構成は、Terre Armee International社によって提供されているTerraTrel(登録商標)というブランド名で知られている構造物に対応している。
【0058】
そのような構造物は、一方を他方の上に配置構成した図1による複数の部材を含む。これらの部材は、締固めた土61、土と小石62の混合物、小石、または岩片63などの異なる材料からなるものとしてよい盛土材60を封じ込めるために使用される。いくつかの実施形態により、盛土材は、いくつかのタイプの盛土材料からなる。これらの異なるタイプの盛土材料は、フィルム、布、特にジオファブリック50によって仕切られ得る。したがって、外観が著しく異なり、所望の美観に応じて選択される構造物を得ることが可能であり、図2により、表土61の層は、フェーシングと接触して配置されるものとしてよく、次いで、植物が植えられるものとしてよく、図3により、そのまま見える、フェーシングと接触する、岩片を分散させることが可能である。
【0059】
構造物は、フェーシングの中に貫入する可撓性細長片40によって補強される。これらの可撓性細長片は、フェーシングに関して垂直に、またはジグザグに水平面内に配置構成され得る。
【0060】
これらは、好ましくは、オフセットワイヤ131のところに配置構成されている接続手段を用いてフェーシングに取り付けられ、これにより、剛性の増大を最大限利用し、これらの取り付け点で受ける応力により生じ得る変形を制限する。
【0061】
これらは、フェーシングの背後に配置されるであろう壁に取り付けられるものとしてもよく、この壁とフェーシングとの間の空間は、盛土材で満たされる。
【0062】
図3の場合、特に面20を利用して、接続デバイスをフェーシングの背後に移動させることが有利な場合がある。実際、盛土材が岩片である領域63内に可撓性細長片40を有することを回避することは、これらの細長片の損傷を回避するために有利であり得る。
【0063】
本発明は、もっぱら例示として上で説明されている例に限定されないが、求められる保護の枠組み内で当業者が企図することができるすべての変更形態を包含する。特に、例は補強土構造物を扱っているけれども、美観の目的で、たとえば、より鉱物的な外観を与えるために、クラッディングが既存の構造物上に施される場合にも完全に適合可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 第1の面
13 屈曲
14 屈曲
20 第2の面
21 ワイヤ
40 可撓性細長片
50 ジオファブリック
60 盛土材
61 締固めた土、表土
62 小石
63 岩片、岩片である領域
131 ワイヤ
l1 長さ
l2 長さ
P1 平面
P2 平面
図1
図2
図3