(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】植物性紙及び保湿剤を含む化粧用マスク
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240329BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240329BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240329BHJP
D21H 21/20 20060101ALI20240329BHJP
D21H 21/28 20060101ALI20240329BHJP
D21H 11/12 20060101ALI20240329BHJP
D21H 17/06 20060101ALI20240329BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20240329BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61Q19/00
D21H21/20
D21H21/28 Z
D21H11/12
D21H17/06
A61K8/88
A61K8/34
(21)【出願番号】P 2021529824
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2019082598
(87)【国際公開番号】W WO2020109311
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518100443
【氏名又は名称】エスダブリュエム・ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ルソー
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/174661(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0244977(US,A1)
【文献】特表2021-529267(JP,A)
【文献】特開2014-205924(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102958414(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108882809(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107105947(CN,A)
【文献】仏国特許出願公開第3049620(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
D21H 21/20
D21H 21/28
D21H 11/12
D21H 17/06
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 植物性紙の繊維の総量に基づいて1質量%から95%質量までの植物繊維及び5質量%から99質量%までのセルロース繊維を含む植物性紙、
- 湿潤紙力増強剤、及び
- 保湿剤
を含
み、
前記保湿剤の量が、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で5%から50%であり、
前記植物繊維及び前記セルロース繊維が、50°SRから65°SRのショッパー・リーグラー叩解度(Schopper-Riegler degree)(°SR)を有する、
化粧用マスク。
【請求項2】
植物が、ミント、ユーカリ、バラ、エーデルワイス、アマランス、ラベンダー、ブドウの木、キンセンカ、アルニカ、バオバブ、レモングラス、チャ、ショウガ、カモミール、又はこれらの混合
物から選択される、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
植物性紙が、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む、請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
植物性紙中の、溶媒中での抽出を受けた植物繊維の量が、植物性紙の繊維の総量に基づいて、少なくとも5質量%である、請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
植物性紙が、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項6】
植物性紙中の、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維の量が、植物性紙の繊維の総量に基づいて、最大で25質量%である、請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
保湿剤の量が、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量
で10%から30%までである、請求項1から6のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項8】
植物性紙中の湿潤紙力増強剤の量が、マスクを構成する植物性紙のセルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で0.1%から5%ま
でである、請求項1から7のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項9】
皮脂調整剤、抗微生物剤、抗菌剤、マット感付与剤、収斂剤、酸性化剤、治癒剤、角質除去剤又は角質調整剤、オクルーシブ、保護剤、殺菌剤、エモリエント、栄養剤、モイスチャライザー、抗老化剤、鎮静剤、うっ血緩和剤又は静脈収縮剤、UVフィルター、吸湿剤、ゲル化剤、抗フリーラジカル剤、細胞再生剤又は刺激剤、ファーミング剤、張り付与剤、抗糖化剤、美白剤、カンナビノイド及びこれらの混合物から選択される活性成分を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項10】
活性成分が、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、及びこれらの混合物から選択されるカンナビノイ
ドである、請求項9に記載のマスク。
【請求項11】
フェイシャルマスクである、請求項1から10のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のマスクを製造する方法であって、
a)植物繊維とセルロース繊維とを混合して繊維混合物を得る工程、
b)湿式法を用いて、繊維混合物から植物性紙を作製する工程、
c)作製された植物性紙をカットし、成形してマスクを作製する工程
を含み、保湿剤及び湿潤紙力増強剤が、工程b)の前、工程b)のあいだ、又は工程b)の後で添加される、方法。
【請求項13】
保湿剤が、サイズプレス、コーティング、若しくはスプレー手段を用いて、工程b)で作製された植物性紙に添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)の前に、溶媒中で植物繊維を抽出及び分離して、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を得る工程を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性紙(plant paper)、湿潤紙力増強剤(wet strength agent)及び保湿剤(humectant)を含む化粧用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用マスクは、皮膚に潤いを与える、顔色を明るくする、顔の汚れをとる又は皮膚を引き締める目的で、一般的に使用されている。典型的には、ユーザーがマスクを顔に10~20分間適用すると、マスクに含有されているローションがマスクから顔の上に放出されて所望の美容効果が得られる。化粧用マスクの売れ行きは好調で、近年、世界的に需要が急増している。
【0003】
ユーザーを満足させるには、化粧用マスクはいくつかの特徴を備えていなければならない。化粧用マスクは、使用中を通して良好な感覚的効果を保たなければならず、特に、視覚的に心地よく (つやがある、自然である) かつ皮膚感覚的に心地よい(柔らかい、滑らかである、しなやかである)ものでなければならない。理想的には、化粧用マスクは、次に挙げる特性を有する:使い心地がよいものでもあるべきである (広げて適所に載せるのが簡単である、粒子の損失がない) ;良好なドレープ性を有するべきである;跡がつきにくいマスクであるべきである、すなわち、広げたときに折り目が目立たないマスクであるべきである;形状追従性がある (conformable) もの、すなわち、マスクが適用される身体部位になじむものであるべきである;良好なリザーバー効果(貯留効果)も有するマスクでなければならない、すなわち、化粧用活性物質を含有する化粧用ローションを皮膚に向けて放出する目的で当該化粧用ローションを吸収することが可能なものでなければならない。更に、マスクは、ローションで湿らせた/ローションを含浸させたときに耐えられる湿潤強度特性も備えていなければならない。
【0004】
マスクは、従来、紙又は合成繊維で作られている。従来型のマスクを生産するプロセスでは、有害な化学薬品、例えば、ソーダ、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素又は炭化水素が使用される。したがって、これら従来型のマスクは、ユーザーにとって潜在的に危険なものである可能性がある。更に、これら従来型のマスクは、あまり「自然な」ものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、危険性が低下した、より「自然な」化粧用マスクがユーザーに求められている。この需要を満たすことを目的として、US2015/0056255には、例えば、紙又は合成繊維が植物繊維で一部置き換えられているマスクが記載されている。これらのマスクの特徴、特に、柔軟性、使いやすさ及び快適性は、改善が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、
- 植物性紙の繊維の総量に基づいて、質量で1%から95%までの植物繊維及び5%から99%までのセルロース繊維を含む植物性紙と、
- 湿潤紙力増強剤(wet strength agent)と、
- 保湿剤(humectant)と
を含む化粧用マスクを開発した。
【0008】
有利なことに、保湿剤は、本発明によるマスクに形状追従性、柔らかさ、ドレープ性、及び跡のつきにくさをもたらす。加えて、本発明によるマスクは、有利なことに、化粧用ローションを十分に吸収、保持、及び放出することができる。本発明によるマスクは、更に、製造が簡単である。本発明によるマスクは、更に、生分解性且つ堆肥化可能である。
【0009】
加えて、本発明によるマスクは、使用されている植物原料に関連する香り及び色を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、「マスク」とは、人体の部位にフィットする形状を有する柔軟な基材を意味する。典型的には、本発明によるマスクは、フェイシャルマスク (facial mask)、すなわち、顔の造作にフィットする形状を備え、眼、鼻、及び口のための穴を有するマスクである。
【0011】
特定の実施形態によれば、植物性紙中の植物繊維の量は、植物性紙中の繊維の総量に基づいて、質量で2%から85%まで、とりわけ5%から80%まででありうる。
【0012】
植物繊維は、植物の繊維性部分である。
【0013】
植物性紙は、任意の種類の植物、特に、ミント、ユーカリ、バラ、エーデルワイス、アマランス、ラベンダー、ブドウの木、キンセンカ、アルニカ、バオバブ、レモングラス、チャ、ショウガ、カモミール又はこれらの混合物、特に、ミント、バラ、エーデルワイス、チャ、カモミール又はこれらの混合物から得ることができる。
【0014】
典型的には、植物性紙は、植物体全体 (whole plant) から、植物の一部分から、又は植物のさまざまな部分の混合物から作られる。植物の一部分とは、典型的には、花、葉、果実、茎、根、又はこれらの混合物でありうる。植物の一部分はまた、植物の1つ若しくは複数の部分を機械的、化学的、又は機械化学的(メカノケミカル)に変化させた結果得られたもの、例えばブドウの搾りかすであってもよい。
【0015】
一実施形態によれば、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む。
【0016】
典型的には、植物性紙中の、溶媒中での抽出を受けた植物繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、質量で少なくとも5%、特に10%から90%まで、とりわけ15%から80%までである。
【0017】
典型的には、植物性紙は、植物性紙の乾燥物質(dry matter)の10質量%未満しか植物の溶媒可溶性抽出物を含まない。
【0018】
溶媒可溶性抽出物は、溶媒中に可溶である、その植物の非繊維性部分全体に相当する。
【0019】
典型的には、本発明にしたがう、溶媒中での抽出を受けた植物繊維は、抽出及び分離工程によって得られる。このような方法においては、植物の1つ又は複数の部分を、例えば抽出機中で溶媒と混合して、溶媒可溶性抽出物を抽出する(抽出工程)。次いで、溶媒可溶性抽出物を、例えばスクリュープレス又は液圧プレスを通すことによって繊維部分から分離して、一方で、溶媒中での抽出をうけた植物繊維を、他方では、溶媒可溶性抽出物を得る(分離工程)。このような抽出及び分離工程においては、溶媒中での抽出をうけた植物繊維は、抽出され、次に溶媒可溶性抽出物から分離される。
【0020】
したがって、本発明による、溶媒中での抽出を受けた植物繊維は、溶媒可溶性抽出物の残留画分を含みうる。これが、植物性紙がその植物の溶媒可溶性抽出物を植物性紙に対する乾燥物質の質量比で10%未満含む理由である。典型的には、植物性紙は、その植物の溶媒可溶性抽出物を、植物性紙の乾燥物質の5質量%未満、4質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、1質量%未満しか含まない。特定の実施形態によれば、植物性紙は、溶媒中に可溶な、植物の抽出物を全く含まない。
【0021】
植物性紙中の乾燥物質の溶媒可溶性抽出物の質量百分率の決定には、以下の手法が用いられる。分析対象の植物性紙を粉砕して粒径2mm以下にする。次いで、粉砕された植物性紙を沸騰水と10分間混合して、溶媒可溶性抽出物を抽出する。植物性紙中の溶媒可溶性抽出物の乾燥物質の質量を、植物性紙試料の乾燥質量と抽出後の繊維残留物の乾燥質量との差により算出する。
【0022】
この抽出及び分離方法により、本発明による植物性紙中に溶媒可溶性抽出物がほとんど又は全く含まれない状態を達成することが可能になる。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、溶媒中での抽出は、本発明によるマスクに機械的及び感覚的特性、特に、使用した植物性原料に関連する香り及び色をもたらすと考えている。
【0023】
溶媒中での抽出を受けた植物繊維を得るために行われる抽出工程は、人間及び環境に有害な化合物、例えばソーダ又は有機溶媒を使用しない穏やかな方法である。この方法は、製紙及び漂白処理のために用いられる脱リグニン処理とも異なる。典型的には、脱リグニン処理は、メカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルメカニカルパルプ、又はケミカルパルプとして知られている処理である。典型的には、漂白処理は、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、又は過酸化水素を用いた処理である。有利なことに、本発明による溶媒抽出は、上に挙げた有害な化学薬品の使用を必要としない。したがって、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む植物性紙を含む本発明によるマスクは、紙製のマスクと比較して、ユーザーにとって危険性がより小さい。加えて、溶媒抽出は、植物がもつ活性物質(植物の活性物質)を保つので、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む植物性紙を含む本発明によるマスクのユーザーの利益となるように、こうした活性物質が放出されうる。
【0024】
特定の実施形態によれば、上記の溶媒は水性溶媒であり、とりわけ、溶媒は水である。
【0025】
典型的には、水性溶媒は、70-30 (v/v) の水-アルコール混合物であることができる。
【0026】
溶媒が水である実施形態によれば、抽出は大気圧下で実施され、水の温度は、40℃から100℃まで、特に60℃から90℃まで、中でも特に70℃から80℃までである。
【0027】
別の実施形態によれば、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維を含む。
【0028】
本発明による植物性紙中の、溶媒中での抽出を経ていない植物繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、最大で25質量%である。典型的には、溶媒中での抽出を受けていない繊維の量は、1質量%から22質量%まで、特に5質量%から20質量%までである。
【0029】
典型的には、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維は、本発明によるマスクを構成する植物性紙中に、植物体全体、植物の一部分、又は植物のさまざまな部分の混合物の粒子の形態で、特に、植物の花又は葉の粒子の形態で存在する。
【0030】
典型的には、これらの粒子の粒径は、5mm未満、特に0.5mmから4mm、とりわけ1mmから3mmである。
【0031】
別の実施形態によれば、本発明による植物性紙は、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維、及び、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む。
【0032】
典型的には、本発明による植物性紙中のセルロース繊維の量は、植物性紙中の繊維の総量に基づいて、10質量%から98質量%まで、特に20質量%から95質量%までである。
【0033】
本発明の目的のためには、「セルロース繊維」は、Tencel(登録商標)繊維(セルロースを粉砕し、N-メチルモルホリンN-オキシド一水和物中に溶解して作られるセルロース繊維);ビスコース繊維(セルロースのヒドロキシル基を二硫化炭素(CS2)で修飾することによるセルロースの溶解と、次いで糸を得るために硫酸(H2SO4)の存在下でそれを沈殿させることによって得られる);木材パルプ、アサ、タケ、ワタ、カポック、ココナッツ、アマ、ラミー、ジュート、サイザルアサ、ケナフ、アバカ、ラフィア、パピルス、アシ、コムギ、サトウキビ、トウモロコシ、モロコシ、又はこれらの混合物からの繊維を指す。
【0034】
典型的には、木材パルプは、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、又はこれらの混合物である。
【0035】
典型的には、木材パルプ、アサ、タケ、ワタ、カポック、ココナッツ、アマ、ラミー、ジュート、サイザルアサ、ケナフ、アバカ、ラフィア、パピルス、アシ、コムギ、サトウキビ、トウモロコシ、モロコシ、又はこれらの混合物からのセルロース繊維は、リファイニングされており、15°SR~90°SR、特に30°SR~75°SR、とりわけ50°SR~65°SRのショッパー・リーグラー叩解度(Schopper-Riegler degree)(°SR)を有する。
【0036】
典型的には、植物繊維、特に、溶媒中での抽出を受けた植物繊維もまたリファイニングされており、15°SR~90°SR、特に30°SR~75°SR、とりわけ50°SR~65°SRのショッパー・リーグラー叩解度(°SR)を有する。
【0037】
植物性紙の特性を改変するために、セルロース繊維を植物性紙に添加することができる。典型的には、改変可能な植物性紙の特性は、耐機械特性、例えば、引張強度、耐引裂性、耐破裂性、耐折り曲げ性、若しくは耐屈曲性;光学的特性、例えば、白色度、不透明度、若しくは光沢度;或いはテクスチャー特性、例えば、坪量、多孔性、あるいは空気若しくは液体に対する透過性である。
【0038】
特定の実施形態によれば、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、溶媒中での抽出を受けた植物繊維、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維、及びセルロース繊維を含み、ここで、
- 溶媒中での抽出を受けた植物繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、10質量%から20質量%までであり、
- 溶媒中での抽出を受けていない植物繊維の量は、植物性紙の繊維に基づいて、1質量%から10質量%までであり、かつ
- セルロース繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、70質量%から89質量%までであり、
溶媒中での抽出を受けた植物繊維、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維、及びセルロース繊維の各量の合計は、植物性紙の繊維の総量に基づいて100質量%である。
【0039】
別の特定の実施形態によれば、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、溶媒中での抽出を受けた植物繊維及びセルロース繊維を含み、ここで、
- 溶媒中での抽出を受けた植物繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、60質量%から80質量%までであり、
- セルロース繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、20質量%から40質量%までであり、
溶媒中での抽出を受けた植物繊維及びセルロース繊維の量の合計は、植物性紙の繊維の総量に基づいて100質量%である。
【0040】
別の特定の実施形態によれば、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維及びセルロース繊維を含み、ここで、
- 抽出を受けていない植物繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて、5質量%から20質量%までであり、
- セルロース繊維の量は、植物性紙の繊維の総量に基づいて80質量%から95質量%までであり、
抽出を受けていない植物繊維及びセルロース繊維の量の合計は、植物性紙の繊維の総量に基づいて100質量%である。
【0041】
本発明によるマスクは、保湿剤を更に含む。
【0042】
有利なことに、保湿剤は、本発明によるマスクに、形状追従性、柔らかさ、ドレープ性、及び跡のつきにくさをもたらす。加えて、本発明によるマスクは、有利なことに、満足のいくように、化粧用ローションを吸収、保持、及び放出することができる。
【0043】
典型的には、保湿剤は、糖アルコール、例えば、グリセリン若しくはソルビトール;グリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、若しくはジプロピレングリコール;又はポリエチレングリコール;又はこれらの混合物でありうる。
【0044】
特定の実施形態によれば、保湿剤は、グリセリンである。
【0045】
典型的には、本発明によるマスク中の保湿剤の量は、本発明によるマスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で50%未満、特に5%から45%まで、中でも特に7%から40%まで、その中でも特に10%から30%までである。
【0046】
本発明によるマスクは、湿潤紙力増強剤を更に含む。
【0047】
湿潤紙力増強剤は、マスクが液体、例えば、水又は化粧用ローションと接触したときに、マスクが受けうる劣化を低下させる。
【0048】
典型的には、湿潤紙力増強剤は、ポリアミド、例えば、エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミン-エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂、ポリ(アミノアミド)-エピクロロヒドリン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、アルキル-ケテン二量体、アルキルコハク酸無水物、ポリビニルアミン、酸化多糖、及びこれらの混合物から選択できる。
【0049】
典型的には、本発明によるマスク中の湿潤紙力増強剤の量は、本発明によるマスクを構成する植物性紙のセルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で0.1%から5%まで、特に0.5%から4%まで、中でも特に1%から3%まで、その中でも特に1.5%から2.5%までである。
【0050】
典型的には、本発明によるマスクは、本発明による植物性紙に加えて、皮脂調整剤、抗微生物剤、抗菌剤、マット感付与剤、収斂剤、酸性化剤、治癒剤、角質除去剤又は角質調整剤、オクルーシブ (occlusive)、保護剤、殺菌剤、エモリエント、栄養剤、モイスチャライザー、抗老化剤、鎮静剤、うっ血緩和剤又は静脈収縮剤、UVフィルター、吸湿剤、ゲル化剤、抗フリーラジカル剤、細胞再生剤又は刺激剤、ファーミング剤 (firming agent)、張り付与剤 (tensor)、抗糖化剤、美白剤、カンナビノイド、例えば、カンナビジオール (CBD) 及びテトラヒドロカンナビノール (THC)、及びこれらの混合物から選択される活性成分を含みうる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、活性成分は、カンナビノイド、例えば、カンナビジオール (CBD) 及びテトラヒドロカンナビノール (THC) 又はこれらの混合物、特にカンナビジオール (CBD) でありうる。
【0052】
本発明による化粧用マスクは、
a) 植物繊維とセルロース繊維とを混合して繊維混合物を得る工程、
b) 湿式法を用いて、繊維混合物から植物性紙を作製する工程、
c) 作製された植物性紙を切断し、成形してマスクを作製する工程
を含む方法であって、保湿剤及び湿潤紙力増強剤が、工程b) の前、工程b)の間、又は工程b) の後に添加される方法により製造される。
【0053】
本発明によるマスクを構成する植物性紙が、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を含む場合には、この方法は、溶媒中で植物繊維を抽出し及び分離して、溶媒中での抽出を受けた植物繊維を得る工程を、工程a) の前に含む。抽出及び分離工程は、化粧用マスクの項で先述したとおりである。
【0054】
本発明によるマスクを構成する植物性紙が、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維を含む場合には、この方法は、植物体全体、植物の一部分、又は植物のさまざまな部分の混合物を切断して、溶媒中での抽出を受けていない植物繊維を含む粒子を得る工程を、工程a) の前に含む。次いで、これらの粒子をセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。
【0055】
セルロース繊維をリファイニングする場合には、この方法は、セルロース繊維をリファイニングする工程を、工程a) の前に含む。次いで、リファイニングされたセルロース繊維を工程a) において植物繊維と混合して、繊維混合物を得る。
【0056】
植物繊維をリファイニングする場合には、この方法は、植物繊維をリファイニングする工程を、工程a) の前に含む。次いで、リファイニングされた植物繊維を工程a) においてセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。
【0057】
溶媒中での抽出を受けた植物繊維をリファイニングする場合には、この方法は、植物繊維をリファイニングする工程を、抽出及び分離工程の後、且つ工程a) の前に含む。次いで、リファイニングされた植物繊維を工程a) においてセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。
【0058】
セルロース繊維及び植物繊維、特に、溶媒中での抽出を受けた植物繊維をリファイニングする場合には、工程a) で得られた繊維混合物を工程b) の実施前にリファイニングしてもよいし、又は、先述のようにセルロース繊維及び植物繊維を工程a) の実施前に別々にリファイニングし、次いで、これらのリファイニングされた繊維を工程a) において混合して、繊維混合物を得てもよい。
【0059】
当業者であれば、このリファイニング法を適用して、所望のショッパー・リーグラー叩解度を有するリファイニングされた繊維を得ることが可能になる。
【0060】
工程b) には、従来の湿式製紙法、特に、脱水スクリーン、典型的には、傾斜-上昇型の脱水スクリーン又はフラット型の脱水スクリーンを用いる湿式製紙法が含まれる。当業者であれば、脱水スクリーンを用いる湿式法のパラメーターを適用することにより、本発明による植物性紙を製造することが可能になる。
【0061】
典型的には、湿潤紙力増強剤は、繊維混合物を工程b) に供する前に繊維混合物に添加してもよく、又は、サイズプレス、コーティング、若しくはスプレー手段を用いて、工程b) において製造される植物性紙に添加する。特に、湿潤紙力増強剤は、湿潤紙力増強剤とセルロース繊維との間の相互作用を改善する目的で、繊維混合物を工程b) に供する前に繊維混合物に添加してもよい。
【0062】
典型的には、保湿剤は、繊維混合物を工程b) に供する前に繊維混合物に添加してもよく、又は、サイズプレス、コーティング、若しくはスプレー手段を用いて、工程b) で製造される植物性紙に添加する。特に、保湿剤は、工程b) において製造された植物性紙に添加することができる。
【0063】
典型的には、工程b) の後で、本発明によるマスクを構成する植物性紙は、乾燥装置、例えば乾燥ローラー又はトンネルによって乾燥することができる。
【0064】
本発明によるマスクを構成する植物性紙は、製紙業では公知の追加処理を受けさせることができる。典型的には、これらの処理の1つを行うことにより、多数のヘッドボックスを使用する多層植物性紙の製造が可能になる。
【0065】
工程c) は、マスクを製造するための、従来からのカット及び成形工程である。
【実施例】
【0066】
(実施例1):植物性紙、湿潤紙力増強剤、及び保湿剤を含むフェイシャルマスク
【0067】
(実施例1.1)植物:チャノキ
本実施例では、チャノキの繊維に、水中での抽出を行っている。
【0068】
未加工のチャの葉(green tea leaf)と水とを、葉:水の質量比1:5で混合する。混合物を85℃に20分間加熱する。次いで、この混合物を液圧プレスでの分離工程にかけて、水中での抽出を受けたチャノキの繊維を可溶性抽出物から分離する。
【0069】
次いで、水中での抽出を受けたチャノキの繊維を、アバカ由来のセルロース繊維及び広葉樹パルプ由来のセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。次いで、この繊維混合物中の繊維をリファイニングして、ショッパー・リーグラー叩解度を54°SRにする。次いで、リファイニングされた繊維混合物にKymene GHP20(湿潤紙力増強剤)を添加する。次いで、この最終混合物を脱水スクリーンに通して、水中での抽出を受けたチャノキの繊維60%、アバカ由来のセルロース繊維30%、及び広葉樹パルプ由来のセルロース繊維10%を含む植物性紙を得る。この百分率は、植物性紙中の繊維の総量に基づく質量割合である。この植物性紙は、セルロース繊維の乾燥質量(dry weight)に基づいて、乾燥質量で2%のKymene GHP20も含有する。
【0070】
次いで、サイズプレスを用いて、植物性紙にグリセリンを添加する。植物性紙中のグリセリンの量は、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で10%である。
【0071】
次いで、植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0072】
(実施例1.2)植物:チャ及びミント
本実施例では、チャノキの繊維及びミントの繊維に、水中での抽出を行う。
【0073】
未加工のチャの葉、ミントの葉及び水を、葉:水の質量比1:5で混合する。混合物を85℃に20分間加熱する。次いで、この混合物を液圧プレスでの分離工程にかけて、水中での抽出を受けたチャノキの繊維及びミントの繊維を、可溶性抽出物から分離する。
【0074】
次いで、水中での抽出を受けたチャノキの繊維及びミントの繊維を、アバカ由来のセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。次いで、この繊維混合物中の繊維をリファイニングして、ショッパー・リーグラー叩解度を55°SR~60°SRにする。次いで、リファイニングされた繊維混合物にKymene GHP20(湿潤紙力増強剤)を添加する。次いで、この最終混合物を脱水スクリーンに通して、水中での抽出を受けたチャノキの繊維40%、水中での抽出を受けたミントの繊維40%、及びセルロース繊維20%を含む植物性紙を得る。この百分率は、植物性紙中の繊維の総量に基づく質量割合である。この植物性紙は、セルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で2%のKymene GHP20も含有する。
【0075】
次いで、サイズプレスを用いて、植物性紙にグリセリンを添加する。植物性紙中のグリセリンの量は、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で10%である。
【0076】
次いで、植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0077】
(実施例1.3)植物:チャノキ及びミント
実施例1.3の植物性紙は、実施例1.2の植物性紙と同様にして得る。違いは、実施例1.3の植物性紙中のグリセリンの量は、マスク中の植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で30%であることである。
【0078】
次いで、実施例1.3の植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0079】
(実施例1.4)植物:バラ
この実施例では、バラの繊維は、バラの花弁に由来するものであり、溶媒中での抽出を受けていない。
【0080】
ショッパー・リーグラー叩解度が52°SRである、アバカ由来のリファイニングされたセルロース繊維を、Kymene GHP20(湿潤紙力増強剤)と混合する。2mmの粒子にカットしたバラの花弁をこの混合物に添加し、直後に混合物を脱水スクリーンに通して、抽出を受けていないバラの繊維20%及びアバカ由来のセルロース繊維80%を含む植物性紙を得る。この百分率は、植物性紙中の繊維の総量に基づく質量割合である。この植物性紙は、セルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で2%のKymene GHP20も含有する。
【0081】
次いで、サイズプレスを用いて、植物性紙にグリセリンを添加する。植物性紙中のグリセリンの量は、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で20%である。
【0082】
次いで、植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0083】
(実施例1.5)植物:エーデルワイス
この実施例では、エーデルワイスの繊維は、エーデルワイスの花に由来するものであり、溶媒中での抽出を受けていない。
【0084】
アバカ由来のセルロース繊維を針葉樹パルプ由来のセルロース繊維と混合して、セルロース繊維の混合物を得る。この繊維混合物の繊維はリファイニングされてショッパー・リーグラー叩解度が54°SRになっている。このリファイニングされた繊維混合物をKymene GHP20(湿潤紙力増強剤)と混合する。2mmの粒子にカットしたエーデルワイスの花をこの混合物に添加し、直後に混合物を脱水スクリーンに通して、抽出を受けていないエーデルワイスの繊維5%及び針葉樹パルプ由来のセルロース繊維80%及びアバカ由来のセルロース繊維15%を含む植物性紙を得る。この百分率は、植物性紙中の繊維の総量に基づく質量割合である。この植物性紙は、セルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で2%のKymene GHP20も含有する。
【0085】
次いで、サイズプレスを用いて、植物性紙にグリセリンを添加する。植物性紙中のグリセリンの量は、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で20%である。
【0086】
次いで、植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0087】
(実施例1.6)植物:エーデルワイス
実施例1.6の植物性紙は、実施例1.5の植物性紙と同様にして得る。違いは、セルロース繊維がアバカのみに由来するものであること、及び、混合物中の繊維はリファインぐされて、ショッパー・リーグラー叩解度が53°SRになっていることである。
【0088】
次いで、実施例1.6の植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0089】
(実施例1.7)植物:カモミール及びバラ
この実施例では、カモミールの繊維は水中での抽出を受けたものであり、バラの繊維は、バラの花弁に由来したものであり、水中での抽出を受けていなかった。
【0090】
カモミール植物体全体と水とを、植物:水の質量比1:5で混合する。混合物を85℃に20分間加熱する。次いで、この混合物を液圧プレスでの分離工程にかけて、水中での抽出を受けたカモミールの繊維を可溶性抽出物から分離する。
【0091】
次いで、水中での抽出を受けたカモミールの繊維を、アバカ由来のセルロース繊維及びアマ由来のセルロース繊維と混合して、繊維混合物を得る。次いで、この繊維混合物中の繊維をリファイニングして、ショッパー・リーグラー叩解度を55°SR~60°SRにする。次いで、リファイニングされた繊維混合物にKymene GHP20(湿潤紙力増強剤)を添加する。バラの花弁を2mmの粒子にカットし、この最終混合物に添加し、直後に混合物を脱水スクリーンに通して、水中での抽出を受けたカモミールの繊維15%、バラの繊維5%、アマ由来のセルロース繊維65%、及びアバカ由来のセルロース繊維20%を含む植物性紙を得る。この百分率は、植物性紙中の繊維の総量に基づく質量割合である。この植物性紙は、セルロース繊維の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で2%のKymene GHP20も含有する。
【0092】
次いで、サイズプレスを用いて、植物性紙にグリセリンを添加する。植物性紙中のグリセリンの量は、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で10%である。
【0093】
次いで、植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0094】
(実施例1.8)植物:カモミール及びバラ
実施例1.8の植物性紙は、実施例1.7の植物性紙と同様にして得る。違いは、植物性紙中のグリセリンの量が、マスクを構成する植物性紙の乾燥質量に基づいて、乾燥質量で30%であることである。
【0095】
次いで、実施例1.8の植物性紙をカットし、成形して、フェイシャルマスクを作製する。
【0096】
(比較例1)植物性紙、湿潤紙力増強剤を含むが保湿剤を含まないフェイシャルマスク
【0097】
(比較例1.1)植物:チャノキ
比較例1.1の植物性紙は、実施例1.1の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0098】
次いで、比較例1.1の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンを含まないフェイシャルマスクを作製する。
【0099】
(比較例1.2)植物:チャ及びミント
比較例1.2の植物性紙は、実施例1.2の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0100】
次いで、比較例1.2の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンを含まないフェイシャルマスクを作製する。
【0101】
(比較例1.3)植物:バラ
比較例1.3の植物性紙は、実施例1.4の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0102】
次いで、比較例1.3の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンフリーのフェイシャルマスクを作製する。
【0103】
(比較例1.4)植物:エーデルワイス
比較例1.4の植物性紙は、実施例1.5の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0104】
次いで、比較例1.4の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンを含まないのフェイシャルマスクを作製する。
【0105】
(比較例1.5)植物:エーデルワイス
比較例1.5の植物性紙は、実施例1.6の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0106】
次いで、比較例1.5の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンを含まないフェイシャルマスクを作製する。
【0107】
(比較例1.6)植物:カモミール及びバラ
比較例1.6の植物性紙は、実施例1.7の植物性紙と同様にして得るが、グリセリンを含有しない。
【0108】
次いで、比較例1.6の植物性紙をカットし、成形して、グリセリンを含まないフェイシャルマスクを作製する。
【0109】
(実施例2)実施例1及び比較例1のフェイシャルマスクの官能評価
実施例1及び比較例1のフェイシャルマスクに、化粧用ローションを含浸させる。
【0110】
実施例1及び比較例1の化粧用ローションを含浸させたフェイシャルマスクの官能特性を、数名のパネリストで組織されている化粧品パネルにより評価する。
【0111】
各フェイシャルマスクについて、各パネリストが、さまざまな規準、すなわち、乾燥状態での柔らかさ、ドレープ性、耐折性、ひだの跡、展開性、形状追従性、及び水分保持性について検討する。
【0112】
(実施例2-1)実施例1.1及び比較例1.1のフェイシャルマスク
パネリストらは、実施例1.1のフェイシャルマスクの形状追従性は比較例1.1のフェイシャルマスクより優れていると認めている。加えて、実施例1.1のフェイシャルマスクの方が比較例1.1のフェイシャルマスクより、水分をよく保持し、しわの跡が少ない。
【0113】
グリセリンが添加されているために、実施例1.1のフェイシャルマスクは、比較例1.1のフェイシャルマスクより満足できるものとなっている。加えて、その水分保持能力のおかげで、実施例1.1のフェイシャルマスクは、未使用時には、吸収されている化粧用ローションを容易に保持できる。
【0114】
(実施例2-2)実施例1.2及び1.3、並びに比較例1.2の植物性紙
グリセリンの添加は、植物性紙の柔らかさ及びドレープ性を大きく高めている。この植物性紙は、グリセリンにより、形状追従性及び水分保持能力も向上している。
【0115】
実施例1.2及び1.3のフェイシャルマスクは、比較例1.2のフェイシャルマスクより満足できるものとなっている。
【0116】
(実施例2-3)実施例1.4及び比較例1.3の植物性紙
グリセリンの添加により、変化がみられなかった耐折性/展開性規準を除く全ての規準について、評価が向上している。特に、パネリストらは、実施例1.4のフェイシャルマスクの方が比較例1.3よりも、ドレープ性に優れ、水分保持性も良好であると認めている。
【0117】
グリセリンが添加されているために、実施例1.4のフェイシャルマスクは、比較例1.3のフェイシャルマスクより満足できるものとなっている。加えて、その水分保持能力のおかげで、実施例1.4のフェイシャルマスクは、未使用時には、吸収されている化粧用ローションを容易に保持できる。
【0118】
(実施例2-4)実施例1.5及び1.6、並びに比較例1.4及び1.5の植物性紙
グリセリンの添加は、乾燥時の柔らかさ、ドレープ性及び水分保持性を改善させているが、耐折性及び形状追従性に変化はみられない。特に、パネリストらは、実施例1.5及び1.6のフェイシャルマスクの方が比較例1.4及び1.5のフェイシャルマスクよりドレープ性に優れていると認めている。
【0119】
したがって、実施例1.5及び1.6のフェイシャルマスクは、化粧用フェイシャルマスクとして十分満足できるものとなっている。加えて、その水分保持能力のおかげで、実施例1.5及び1.6のフェイシャルマスクは、使用時まで、吸収されている化粧用ローションを保持できる。
【0120】
(実施例2-5)実施例1.7及び1.8、並びに比較例1.6の植物性紙
グリセリンの添加は、水中での抽出を受けたカモミールの繊維及び水中での抽出を受けていないバラの繊維を含有する植物性紙の柔らかさ、ドレープ性、及び跡のつきにくさを大きく高めている。このことは、グリセリン30%を含有する実施例1.8のフェイシャルマスクの場合に特に当てはまる。
したがって、実施例1.7及び1.8のフェイシャルマスクは、化粧用フェイシャルマスクとして十分満足できるものとなっている。