(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】航空機用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20240329BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240329BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20240329BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240329BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240329BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240329BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20240329BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20240329BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240329BHJP
F21W 107/30 20180101ALN20240329BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S43/15
F21S45/00
F21V23/00 140
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/508
F21V23/06
F21Y115:10
F21W107:30
(21)【出願番号】P 2021533009
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2020026816
(87)【国際公開番号】W WO2021010270
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019130109
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019144340
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】中村 和義
(72)【発明者】
【氏名】依田 孝
(72)【発明者】
【氏名】石切山 勝
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-187081(JP,A)
【文献】特開2013-054834(JP,A)
【文献】特開2015-138742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
F21Y 115/10
F21W 107/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が第1の配置空間として形成された灯具外筐と、
光源が設けられた光源モジュールと前記光源モジュールが取り付けられた取付ベースと前記取付ベースに取り付けられ少なくとも前記光源に対する給電を行うための受電コネクターとを有し前記ランプハウジングに対して着脱可能にされた灯具ユニットとを備え、
前記ランプハウジングには前記第1の配置空間に連通された挿通孔が形成され、
前記ランプハウジングには前記ランプハウジングの外面側に開口された第2の配置空間を有する配置ケース部が設けられ、
前記第1の配置空間に前記挿通孔を挿通された状態で前記光源モジュールの少なくとも一部が配置され、
前記第2の配置空間に前記受電コネクターが配置された
航空機用灯具。
【請求項2】
前記取付ベースに配置凹部を有する基板収容部と前記配置凹部を閉塞する遮蔽カバー部とが設けられ、
前記配置凹部には前記光源の点消灯を制御する制御基板が配置され、
前記遮蔽カバー部における前記配置凹部と反対側の面に前記受電コネクターが取り付けられた
請求項1に記載の航空機用灯具。
【請求項3】
前記取付ベースには前記カバーに対して傾斜された傾斜面部と前記傾斜面部の厚み方向における一方の面から突出された放熱フィンとが設けられ、
前記光源モジュールは前記光源が複数搭載された基板を有し前記傾斜面部の厚み方向における他方の面に取り付けられる
請求項1又は請求項2に記載の航空機用灯具。
【請求項4】
前記灯具ユニットが前記ランプハウジングに取り付けられた状態において前記取付ベースの外周部が環状の伝熱シートによって前記ランプハウジングに押し付けられる
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の航空機用灯具。
【請求項5】
前記灯具ユニットが前記ランプハウジングから取り外された状態において前記灯具ユニットの前記ランプハウジングからの脱落を防止する脱落防止ワイヤーが設けられ、
前記脱落防止ワイヤーの両端部がそれぞれ前記ランプハウジングの外面と前記灯具ユニットの外面に取り付けられた
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の航空機用灯具。
【請求項6】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられるカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、
光源が設けられた光源モジュールと前記光源モジュールが取り付けられる取付ベースと前記取付ベースに取り付けられ少なくとも前記光源に対する給電を行うための受電コネクターと前記取付ベースに取り付けられ前記光源の点消灯制御を行う制御基板とを有し前記ランプハウジングに対して前記開口を介して着脱可能にされた灯具ユニットとを備え
、
前記取付ベースには前記ランプハウジングの内周面に対向する外周面と前記外周面の内側に位置され前記光源モジュールが取り付けられる取付部とが形成され、
前記カバーが前記ランプハウジングから取り外された状態において前記カバーの前記ランプハウジングからの脱落を防止する脱落防止ワイヤーが設けられ、
前記灯具ユニットが前記ランプハウジングに取り付けられた状態において前記脱落防止ワイヤーが前記内周面と前記外周面の間に位置された
航空機用灯具。
【請求項7】
前記受電コネクターは接続コネクターが着脱可能にされ、
前記接続コネクターの前記受電コネクターに対する着脱方向が前記光源モジュールに沿って移動する方向にされた
請求項6に記載の航空機用灯具。
【請求項8】
前記取付ベースには放熱フィンが設けられ、
前記光源モジュールにおいて発生する熱と前記制御基板において発生する熱とが前記取付ベースから放出される
請求項6又は請求項7に記載の航空機用灯具。
【請求項9】
前記配置空間の一部が前記光源モジュールから照射される光の経路となる光路用空間とされ、
前記灯具ユニットの前記ランプハウジングに対する着脱時に指を挿入する空間の少なくとも一部が前記光路用空間に一致された
請求項6、請求項7又は請求項8に記載の航空機用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機の機体等に取り付けられて使用される航空機用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐と光源から出射された光を外部へ向けて照射する灯具ユニットとを有するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このような航空機用灯具には、使用用途に応じて様々な種類が存在し、外部照明として、例えば、航空機同士の衝突を防止する衝突防止灯、機体の飛行姿勢や飛行方向を示す航空灯、離着陸時に滑走路を照射する着陸灯、機体に記された航空会社等のロゴを照明するロゴ灯等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-33840号公報
【文献】特開2010-33841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような航空機用灯具においては、光源の安定した駆動状態を確保して灯具ユニットから照射される光の良好な照明状態を確保することが望まれるが、灯具ユニットの各部に不具合が生じた場合には、光源の良好な駆動状態を確保することができなくなるおそれがあり、灯具ユニットに関するメンテナンス性の向上を図ることが必要である。
【0006】
そこで、本発明航空機用灯具は、灯具ユニットに関するメンテナンス性の向上を図り灯具ユニットから照射される光の良好な照明状態を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1に、本発明に係る航空機用灯具は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が第1の配置空間として形成された灯具外筐と、光源が設けられた光源モジュールと前記光源モジュールが取り付けられた取付ベースと前記取付ベースに取り付けられ少なくとも前記光源に対する給電を行うための受電コネクターとを有し前記ランプハウジングに対して着脱可能にされた灯具ユニットとを備え、前記ランプハウジングには前記第1の配置空間に連通された挿通孔が形成され、前記ランプハウジングには前記ランプハウジングの外面側に開口された第2の配置空間を有する配置ケース部が設けられ、前記第1の配置空間に前記挿通孔を挿通された状態で前記光源モジュールの少なくとも一部が配置され、前記第2の配置空間に前記受電コネクターが配置されたものである。
【0008】
これにより、光源モジュールと取付ベースと受電コネクターを有する灯具ユニットがランプハウジングに対してランプハウジングの外面側から着脱可能にされる。
【0009】
第2に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記取付ベースに配置凹部を有する基板収容部と前記配置凹部を閉塞する遮蔽カバー部とが設けられ、前記配置凹部には前記光源の点消灯を制御する制御基板が配置され、前記遮蔽カバー部における前記配置凹部と反対側の面に前記受電コネクターが取り付けられることが望ましい。
【0010】
これにより、受電コネクターと制御基板が遮蔽カバー部を挟んで反対側に位置されるため、受電コネクターと制御基板が干渉することがない。
【0011】
第3に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記取付ベースには前記カバーに対して傾斜された傾斜面部と前記傾斜面部の厚み方向における一方の面から突出された放熱フィンとが設けられ、前記光源モジュールは前記光源が複数搭載された基板を有し前記傾斜面部の厚み方向における他方の面に取り付けられることが望ましい。
【0012】
これにより、基板と光源がカバーに対して傾斜した状態で配置されると共に基板が取り付けられた傾斜面部から放熱フィンが突出される。
【0013】
第4に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記灯具ユニットが前記ランプハウジングに取り付けられた状態において前記取付ベースの外周部が環状の伝熱シートによって前記ランプハウジングに押し付けられることが望ましい。
【0014】
これにより、灯具ユニットにおいて発生する熱が取付ベースから外部へ放出されると共に伝熱シートを介してランプハウジングに伝達されてランプハウジングからも外部に放出される。
【0015】
第5に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記灯具ユニットが前記ランプハウジングから取り外された状態において前記灯具ユニットの前記ランプハウジングからの脱落を防止する脱落防止ワイヤーが設けられ、前記脱落防止ワイヤーの両端部がそれぞれ前記ランプハウジングの外面と前記灯具ユニットの外面に取り付けられることが望ましい。
【0016】
これにより、受電コネクターと脱落防止ワイヤーが干渉することがない。
【0017】
第6に、別の本発明に係る航空機用灯具は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられるカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、光源が設けられた光源モジュールと前記光源モジュールが取り付けられる取付ベースと前記取付ベースに取り付けられ少なくとも前記光源に対する給電を行うための受電コネクターと前記取付ベースに取り付けられ前記光源の点消灯制御を行う制御基板とを有し前記ランプハウジングに対して前記開口を介して着脱可能にされた灯具ユニットとを備え、前記取付ベースには前記ランプハウジングの内周面に対向する外周面と前記外周面の内側に位置され前記光源モジュールが取り付けられる取付部とが形成され、前記カバーが前記ランプハウジングから取り外された状態において前記カバーの前記ランプハウジングからの脱落を防止する脱落防止ワイヤーが設けられ、前記灯具ユニットが前記ランプハウジングに取り付けられた状態において前記脱落防止ワイヤーが前記内周面と前記外周面の間に位置されたものである。
【0018】
これにより、ランプハウジングからカバーを取り外すことにより光源モジュールと取付ベースと受電コネクターと制御基板を有する灯具ユニットをランプハウジングに対して着脱することが可能になる。また、脱落防止ワイヤーによって光源モジュールから照射される光が遮蔽されない。
【0019】
第7に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記受電コネクターは接続コネクターが着脱可能にされ、前記接続コネクターの前記受電コネクターに対する着脱方向が前記光源モジュールに沿って移動する方向にされることが望ましい。
【0020】
これにより、接続コネクターの受電コネクターに対する着脱作業において接続コネクターが光源モジュールに干渉しない。
【0021】
第8に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記取付ベースには放熱フィンが設けられ、前記光源モジュールにおいて発生する熱と前記制御基板において発生する熱とが前記取付ベースから放出されることが望ましい。
【0022】
これにより、光源モジュールにおいて発生する熱と制御基板において発生する熱とがともに取付ベースの放熱フィンから放出されるため、光源モジュールにおいて発生する熱と制御基板において発生する熱とをそれぞれ放出するための各別の部材を必要としない。
【0025】
上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記配置空間の一部が前記光源モジュールから照射される光の経路となる光路用空間とされ、前記灯具ユニットの前記ランプハウジングに対する着脱時に指を挿入する空間の少なくとも一部が前記光路用空間に一致されることが望ましい。
【0026】
これにより、ランプハウジングの内部に光源モジュールから照射される光の経路となる光路用空間と灯具ユニットのランプハウジングに対する着脱時に指等を挿入する作業空間とを各別に形成する必要がない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光源モジュールと取付ベースと受電コネクターを有する灯具ユニットがランプハウジングに対してランプハウジングの外面側から着脱可能にされるため、航空機からランプハウジングやカバーを取り外すことなく灯具ユニットをランプハウジングから取り外すことが可能になり、灯具ユニットに関するメンテナンス性の向上を図り灯具ユニットから照射される光の良好な照明状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図2乃至
図6と共に本発明航空機用灯具の第1の実施の形態を示すものであり、本図は、航空機の一部を示す斜視図である。
【
図6】航空機用灯具を
図2とは異なる方向から見た状態で示す斜視図である。
【
図7】
図8乃至
図11と共に本発明航空機用灯具の第2の実施の形態を示すものであり、本図は、航空機を示す斜視図である。
【
図9】カバーを取り外した状態で示す航空機用灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明航空機用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0030】
<第1の実施の形態に係る航空機用灯具>
まず、第1の実施形態に係る航空機用灯具1について説明する。
【0031】
以下には、本発明の航空機用灯具1を外部照明であり水平尾翼に取り付けられるロゴ灯に適用した例を示した。但し、本発明の適用範囲はロゴ灯に限られることはなく、航空機に用いられる他の外部照明に適用されてもよい。
【0032】
航空機用灯具1は灯具外筐がランプハウジングとカバーによって構成されているが、以下の説明にあっては、ランプハウジングとカバーの結合方向を上下方向とし、カバーを上方とし、ランプハウジングを下方とし、前後上下左右の方向を示すものとする。また、航空機用灯具1は水平尾翼の上面側に取り付けられ、左右方向は垂直尾翼側を左右方向における内方とし水平尾翼の先端側を外方として示す。
【0033】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0034】
航空機用灯具1は外部照明である、例えば、ロゴ灯として用いられ、航空機100の機体、例えば、後側の双方の水平尾翼200、200にそれぞれ取り付けられ、垂直尾翼300に付された図示しないロゴを照明する機能を有している(
図1参照)。従って、一方の航空機用灯具1から出射された光は垂直尾翼300における左右の一方の面に照射され、他方の航空機用灯具1から出射された光は垂直尾翼300における左右の他方の面に照射され、垂直尾翼300の左右の面はそれぞれ被照射面301、301とされる。水平尾翼200には上方に開口された図示しない配置凹部が形成されている。
【0035】
航空機用灯具1は上端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞した状態でランプハウジング2に取り付けられたカバー3とを備えている(
図2乃至
図4参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が第1の配置空間5として形成されている。
【0036】
ランプハウジング2は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって各部が一体に形成されて成る(
図3及び
図4参照)。ランプハウジング2は上下方向を向く底面部6と底面部6の外周部における一部を除いた部分から上方に突出された周面部7と周面部7の上端部から外方に突出された取付片部8、8、・・・とを有している。
【0037】
ランプハウジング2には底面部6に対して上方に突出された配置ケース部9が設けられている。配置ケース部9は左右方向における一端部の下縁が底面部6の左右方向における外方側の端縁に連続され、下方に開口された箱状に形成されている。配置ケース部9における下端の開口は挿脱口9aとして形成されている。配置ケース部9の内部空間は第2の配置空間10として形成されている。配置ケース部9には第1の配置空間5と第2の配置空間10を連通するケーブル挿通孔9bが形成されている。
【0038】
ランプハウジング2には下端部が底面部6に連続され底面部6に対して傾斜された孔形成部11が設けられている。孔形成部11は上方へ行くに従って左右方向における外方側に傾斜され、左右方向において配置ケース部9より外側に位置されている。孔形成部11にはランプハウジング2の外部と第1の配置空間5を連通する挿通孔11aが形成されている。挿通孔11aは、例えば、孔形成部11の前後両端部及び上端部を除く部分において略矩形状に形成されている。
【0039】
ランプハウジング2には孔形成部11の上端部に連続して上下方向を向く取付面部12が設けられ、取付面部12は周面部7の上端寄りに位置されている。
【0040】
周面部7の左右方向における内方側の部分にはコネクター13が貫通された状態で取り付けられている。コネクター13は周面部7の外面側に位置された部分と周面部7の内面側に位置された部分とを有し、周面部7の外面側に位置された部分が航空機100の図示しない電源回路に図示しない接続コードを介して接続される。
【0041】
カバー3は平板状に形成され、金属材料によって外形状が矩形状に形成された保持板部14と透明材料によって形成された透過カバー部15とを有している。保持板部14には上下に貫通された取付孔14aが形成され、透過カバー部15は外周部が取付孔14aの開口縁に取り付けられている。
【0042】
カバー3はランプハウジング2の上端部と略同じ大きさ及び形状のガスケット16を介してランプハウジング2の取付片部8、8、・・・にネジ止め等によって結合される。ガスケット16は、例えば、シリコン材料によって形成され、ランプハウジング2とカバー3の間の密閉性を確保する機能を有している。
【0043】
航空機用灯具1は、カバー3がランプハウジング2に取り付けられた状態において、カバー3における保持板部14の外周部がネジ止め等によって水平尾翼200に固定され、水平尾翼200に形成された配置凹部に配置される。
【0044】
ランプハウジング2には灯具ユニット17が着脱可能にされている(
図3及び
図4参照)。灯具ユニット17は取付ベース18と光源モジュール19と制御基板20と受電コネクター21を有している(
図3乃至
図6参照)。
【0045】
取付ベース18はアルミニウム等の金属材料によって形成された本体部22と本体部22に取り付けられる遮蔽カバー部23とを有している。
【0046】
本体部22は上方に開口する箱状に形成された基板収容部24と基板収容部24に対して傾斜された傾斜面部25と傾斜面部25の上端部に連続された被取付部26とを有している。
【0047】
基板収容部24は上下方向を向く略平板状の底壁部27と底壁部27の外周部から上方に突出された周壁部28と周壁部28の上端部における一部を除く部分から外方に張り出されたフランジ部29とを有している。基板収容部24の内部は配置凹部24aとして形成されている。基板収容部24には底壁部27から下方に突出されたフィン部30、30、・・・が前後に並んで設けられている。フランジ部29にはネジ挿通孔29a、29aが前後に離隔して形成されている。
【0048】
傾斜面部25は基板収容部24の左右方向における外方側の端部から斜め上方に突出され、下端部が基板収容部24の上端部に連続されている。傾斜面部25は上方へ行くに従って左右方向における外方側に変位する状態で傾斜され、灯具ユニット17がランプハウジング2に取り付けられた状態においてカバー3に対して傾斜されている。傾斜面部25には斜め下方を向く一方の面25aから斜め下方に突出された放熱フィン31、31、・・・が前後に並んで設けられている。
【0049】
被取付部26にはネジ挿通孔26a、26aが前後に離隔して形成されている。
【0050】
遮蔽カバー部23は、例えば、金属材料によって上下方向を向く平板状に形成されている。遮蔽カバー部23は配置凹部24aを上方から閉塞する状態で基板収容部24にネジ止め等によって取り付けられる。
【0051】
光源モジュール19は回路パターンが形成された基板32と基板32に搭載された光源33、33、・・・と光源33、33、・・・から出射される光を制御するインナーレンズ34とを有している。
【0052】
基板32は取付ベース18における傾斜面部25の他方の面25bに図示しない放熱シートを介して配置され、傾斜面部25にインナーレンズ34と共にネジ止め等によって取り付けられる。従って、基板32と光源33、33、・・・に発生する熱は、主として、放熱シートから傾斜面部25に伝達され、放熱フィン31、31、・・・から外部に放出される。
【0053】
このように放熱シートによって基板32と光源33、33、・・・に発生する熱が傾斜面部25に伝達されるため、基板32と光源33、33、・・・の温度上昇が抑制され、基板32と光源33、33、・・・の良好な駆動状態を確保することができる。
【0054】
光源33としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。光源33、33、・・・は基板32に規則的に搭載され、例えば、前後左右に等間隔に離隔した状態で搭載されている。
【0055】
インナーレンズ34は透明な樹脂又はガラスによって形成され、平板状のベース面部34aとベース面部34aからそれぞれ上方に突出された略半球状の制御レンズ部34b、34b、・・・とを有している。制御レンズ部34b、34b、・・・は光源33、33、・・・と同数が光源33、33、・・・に対応する位置に設けられている。制御レンズ部34b、34b、・・・は、例えば、自由曲面の凸レンズであり、それぞれ光源33、33、・・・から出射された光を集光する制御を行って照射する機能を有している。
【0056】
インナーレンズ34はベース面部34aと制御レンズ部34b、34b、・・・が基板32と光源33、33、・・・を上方から覆う状態で配置され、傾斜面部25にネジ止め等によって取り付けられる。従って、基板32と光源33、33、・・・とインナーレンズ34は傾斜面部25に配置される。
【0057】
上記したように、光源33、33、・・・が搭載された基板32が傾斜面部25に配置されるため、光源33、33、・・・から出射される光は光源モジュール19から上斜め側方へ向けて照射される。
【0058】
また、上記のように、光源モジュール19は基板32とインナーレンズ34がネジ止め等によって取付ベース18に取り付けられるため、取付ベース18に対して着脱可能にされている。
【0059】
従って、光源モジュール19を航空機100の機種に応じて交換することが可能になり、機種の異なる航空機100に応じた光源モジュール19を取付ベース18に取り付けることにより、機種の異なる航空機100に応じて光を照射することが可能になり、航空機用灯具1の汎用性の向上を図ることができる。
【0060】
制御基板20は光源モジュール19における光源33、33、・・・の点消灯を制御する機能を有し、上下方向を向くベース基板20aとベース基板20aの上下両面に搭載された電子部品20b、20b、・・・とを有している。制御基板20はスペーサー35、35、・・・を介して遮蔽カバー部23にネジ止め等によって取り付けられている。
【0061】
制御基板20は遮蔽カバー部23の下方に位置されている。従って、遮蔽カバー部23が基板収容部24に取り付けられた状態において、制御基板20が遮蔽カバー部23によって上方から覆われた状態で基板収容部24の配置凹部24aに配置されて収容される。
【0062】
このように遮蔽カバー部23が基板収容部24に取り付けられた状態においては、制御基板20が基板収容部24の各面部によって上方以外の方向から覆われると共に遮蔽カバー部23によって上方から覆われる。
【0063】
従って、制御基板20が基板収容部24の内部に収容され基板収容部24と遮蔽カバー部23によって覆われることにより、制御基板20において発生するノイズが基板収容部24と遮蔽カバー部23によって遮蔽される。
【0064】
制御基板20は一部が図示しない熱伝達シートを介して基板収容部24の一部に接触される。従って、制御基板20に発生する熱は、主として、熱伝達シートから基板収容部24に伝達され、基板収容部24に伝達された熱がフィン部30、30、・・・から外部に放出される。
【0065】
このように熱伝達シートによって制御基板20に発生する熱が基板収容部24に伝達されるため、制御基板20の温度上昇が抑制され、制御基板20の良好な駆動状態を確保することができる。
【0066】
受電コネクター21は、例えば、前後に延びる形状に形成され、遮蔽カバー部23の上面に取り付けられている。受電コネクター21には第1の接続線36と第2の接続線37の各一端部が接続され、第1の接続線36の他端部が基板32に接続され、第2の接続線37の他端部が制御基板20に接続される。受電コネクター21には第3の接続線38の一端部が接続され、第3の接続線38の他端部がコネクター13に接続される。
【0067】
従って、光源33、33、・・・は基板32と第1の接続線36と受電コネクター21と第3の接続線38とコネクター13を介して電源回路に接続される。また、制御基板20は第2の接続線37と受電コネクター21と第3の接続線38とコネクター13を介して電源回路に接続される。
【0068】
上記のように構成された灯具ユニット17はランプハウジング2に下方から取付ネジ50、50、・・・によって取り付けられる(
図4及び
図6参照)。取付ネジ50、50、・・・は取付ベース18に形成されたネジ挿通孔26a、26a、29a、29aに下方から挿通され、ランプハウジング2の底面部6と取付面部12に螺合される。従って、灯具ユニット17がランプハウジング2に取り付けられた状態においては、本体部22の基板収容部24と遮蔽カバー部23とが底面部6の下側に位置され、本体部22の傾斜面部25が孔形成部11の下側に位置され光源モジュール19が挿通孔11aに挿通されて第1の配置空間5に配置され、本体部22の被取付部26が取付面部12の下側に位置される。
【0069】
このときランプハウジング2の配置ケース部9に形成された第2の配置空間10には挿脱口9aを介して受電コネクター21が配置される。従って、第3の接続線38は配置ケース部9のケーブル挿通孔9bを挿通され、受電コネクター21とコネクター13を接続する状態にされる。
【0070】
灯具ユニット17がランプハウジング2に下方から取り付けられるときには、取付ベース18の外周部に環状の伝熱シート39が配置される(
図3及び
図4参照)。従って、灯具ユニット17は取付ベース18が伝熱シート39を介してランプハウジング2に下方から押し付けられる。
【0071】
伝熱シート39は取付ベース18における上面の外周部に相当する形状に形成され、基板収容部24と傾斜面部25と被取付部26に亘る位置に配置される。
【0072】
このように灯具ユニット17がランプハウジング2に取り付けられた状態において取付ベース18の外周部が環状の伝熱シート39によってランプハウジング2に押し付けられるため、灯具ユニット17において発生する熱が取付ベース18から外部へ放出されると共に伝熱シート39を介してランプハウジング2に伝達されてランプハウジング2からも外部に放出され、灯具ユニット17における各部の温度上昇を効率的に抑制することができる。
【0073】
また、灯具ユニット17とランプハウジング2が伝熱シート39を介して密着されるため、灯具ユニット17に対する防水性能の向上を図ることができる。
【0074】
ランプハウジング2と灯具ユニット17は脱落防止ワイヤー40によって結合されている。脱落防止ワイヤー40は両端部がランプハウジング2の外面と灯具ユニット17の外面にネジ止め等により取り付けられ、例えば、両端部がランプハウジング2における底面部6の下面又は周面部7の外周面と灯具ユニット17における基板収容部24の下面又は外周面とに取り付けられている。
【0075】
航空機用灯具1においては、灯具ユニット17がランプハウジング2に着脱可能にされており、取付ネジ50、50、・・・のランプハウジング2に対する螺合状態を解除することにより灯具ユニット17をランプハウジング2から取り外すことが可能であるが、灯具ユニット17がランプハウジング2から取り外された状態においてもランプハウジング2と灯具ユニット17が脱落防止ワイヤー40によって連結されている。
【0076】
従って、脱落防止ワイヤー40によって灯具ユニット17がランプハウジング2から取り外されたときの灯具ユニット17の落下が防止され、灯具ユニット17の破損や損傷を防止することができる。
【0077】
また、脱落防止ワイヤー40がランプハウジング2と灯具ユニット17の外面側に位置されるため、受電コネクター21と脱落防止ワイヤー40が干渉することがなく、受電コネクター21への第1の接続線36と第2の接続線37と第3の接続線38の接続時に脱落防止ワイヤー40が邪魔にならず接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0078】
尚、航空機用灯具1においては、取付ネジ50の螺軸部にシリコン等によって形成された図示しないワッシャ等を取り付け、灯具ユニット17がランプハウジング2から取り外されたときにワッシャ等によって取付ネジ50が灯具ユニット17から落下しないように構成されていてもよい。
【0079】
上記のように構成された航空機用灯具1において、光源33、33、・・・から光が出射されると、出射された光がそれぞれインナーレンズ34の制御レンズ部34b、34b、・・・によって制御され、ロゴが付されている垂直尾翼300の被照射面301に照射される。
【0080】
以上に記載した通り、航空機用灯具1にあっては、ランプハウジング2には第1の配置空間5に連通された挿通孔11aが形成され、ランプハウジング2にはランプハウジング2の外面側に開口された第2の配置空間10を有する配置ケース部9が設けられ、第1の配置空間5に挿通孔11aを挿通された状態で光源モジュール19の少なくとも一部が配置され、第2の配置空間10に受電コネクター21が配置されている。
【0081】
従って、光源モジュール19と取付ベース18と受電コネクター21を有する灯具ユニット17がランプハウジング2に対してランプハウジング2の外面側から着脱可能にされる。これにより、航空機100からランプハウジング2やカバー3を取り外すことなく灯具ユニット17をランプハウジング2から取り外すことが可能になり、灯具ユニット17に関するメンテナンス性の向上を図り灯具ユニット17から照射される光の良好な照明状態を確保することができる。
【0082】
また、取付ベース18に配置凹部24aを有する基板収容部24と配置凹部24aを閉塞する遮蔽カバー部23とが設けられ、配置凹部24aには光源33の点消灯を制御する制御基板20が配置され、遮蔽カバー部23における配置凹部24aと反対側の面に受電コネクター21が取り付けられている。
【0083】
従って、受電コネクター21と制御基板20が遮蔽カバー部23を挟んで反対側に位置されるため、受電コネクター21と制御基板20が干渉することがなく、受電コネクター21への第1の接続線36と第2の接続線37と第3の接続線38の接続時に制御基板20が邪魔にならず接続作業における作業性の向上を図ることができると共にスペース効率の向上による小型化を図ることができる。
【0084】
さらに、制御基板20が配置凹部24aに配置された状態において遮蔽カバー部23によって制御基板20が遮蔽されるため、制御基板20において生じるノイズの航空機100に設けられる各機器や各計器への影響を抑制することができる。
【0085】
さらにまた、取付ベース18にはカバー3に対して傾斜された傾斜面部25と傾斜面部25の厚み方向における一方の面25aから突出された放熱フィン31、31、・・・とが設けられ、光源モジュール19は光源33が複数搭載された基板32を有し傾斜面部25の厚み方向における他方の面25bに取り付けられる。
【0086】
従って、基板32と光源33、33、・・・がカバー3に対して傾斜した状態で配置されると共に基板32が取り付けられた傾斜面部25から放熱フィン31、31、・・・が突出される。これにより、光源33、33、・・・から出射された光をカバー3に対して傾斜する方向へ容易に照射することができると共に基板32と光源33、33、・・・に発生する熱を放熱フィン31、31、・・・に効率的に伝達させることができる。
【0087】
尚、上記には、灯具ユニット17に一つの光源モジュール19が設けられた例を示したが、航空機用灯具1に設けられる光源モジュール19の数は一つに限られることはなく、複数であってもよい。
【0088】
<第2の実施の形態に係る航空機用灯具>
次に、第2の実施形態に係る航空機用灯具51について説明する。
【0089】
以下には、本発明の航空機用灯具51を外部照明であり機体に取り付けられる検氷灯に適用した例を示した。但し、本発明の適用範囲は検氷灯に限られることはなく、航空機に用いられるロゴ灯等の他の外部照明に適用されてもよい。
【0090】
航空機用灯具51は、例えば、機体における左右の側面部にそれぞれ取り付けられ灯具外筐がランプハウジングとカバーによって構成されている。以下の説明にあっては、ランプハウジングとカバーの結合方向を左右方向とし、カバー側を側方における外方とし、ランプハウジング側を側方における内方とし、前後上下左右の方向を示すものとする。
【0091】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0092】
航空機用灯具51は、例えば、外部照明である検氷灯として用いられ、航空機100の機体における左右の側面部101、101にそれぞれ取り付けられている(
図7参照)。航空機用灯具51は、主翼400、400と主翼400、400にそれぞれ取り付けられているエンジン500、500とを照明し、エンジン500、500やエンジン500、500の周囲の部分に対する雪や氷の付着を検査するために用いられる。
【0093】
側面部101には側方における外方に開口された図示しない配置凹部が形成されている。
【0094】
航空機用灯具51はランプハウジング52とカバー53を有し、ランプハウジング52の側方における外端が開口52aとして形成され、開口52aがカバー53によって閉塞される(
図8乃至
図10参照)。ランプハウジング52とカバー53によって灯具外筐54が構成され、灯具外筐54の内部空間が配置空間55として形成されている。
【0095】
ランプハウジング52は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって各部が一体に形成されて成る。ランプハウジング52は左右方向を向く底面部56と底面部56の外周部から側方における外方に突出された周面部57と周面部57の先端部から張り出されたフランジ部58とを有している。
【0096】
ランプハウジング52には底面部56から側方における内方に突出された締結用突部59、59が上下に離隔して設けられている。締結用突部59、59は前後に延びる形状に形成されている。周面部57の内面はランプハウジング52の内周面57aとして形成されている。
【0097】
ランプハウジング52には底面部56から締結用突部59、59に亘る部分に底面部56に開口されたネジ穴52b、52b、・・・が形成され、ネジ穴52b、52b、・・・は締結用突部59、59に対応する位置にそれぞれ二つずつが左右に離隔して形成されている。
【0098】
底面部56には締結用突部59、59間に給電端子60が貫通された状態で取り付けられている。給電端子60はランプハウジング52の内外に位置された部分をそれぞれ有し、ランプハウジング52の外側に位置された部分が航空機100の図示しない電源回路に図示しない接続コードを介して接続される。
【0099】
給電端子60のうちランプハウジング52の内側に位置された部分には、給電コード61の一端部が接続されている。給電コード61の他端部は接続コネクター62に接続されている。
【0100】
カバー53はアルミニウム等の金属材料によって環状に形成されたリテイナー63と外周部がリテイナー63の内周部に固定された透過カバー部64とを有している。カバー53はリテイナー63の外周部と同じ大きさ及び形状のガスケット65を介してランプハウジング52のフランジ部58にネジ止め等によって結合される。ガスケット65は、例えば、シリコン材料によって形成され、ランプハウジング52とカバー53の間の密閉性を確保する機能を有している。
【0101】
航空機用灯具51は、カバー53がフランジ部58に結合された状態において、リテイナー63とフランジ部58がネジ止め等によって航空機100の側面部101に固定され、側面部101に形成された配置凹部に配置される。
【0102】
ランプハウジング52には灯具ユニット66が着脱可能にされている。灯具ユニット66は取付ベース67と光源モジュール68と制御基板69と受電コネクター70を有している(
図8乃至
図11参照)。
【0103】
取付ベース67はアルミニウム等の金属材料によって形成され、側方に開口する箱状に形成された基板収容部71と基板収容部71から側方に突出されたモジュール取付部72とを有している。
【0104】
基板収容部71は左右方向を向く平板状のベース部73とベース部73の外周部から側方における内方に突出された周壁部74とを有している。基板収容部71の内部は配置凹部71aとして形成されている。ベース部73の一部を除いた部分からはモジュール取付部72が突出され、ベース部73のうちモジュール取付部72の後側の部分がコネクター取付板部73aとして設けられている。
【0105】
取付ベース67には周壁部74の側方における内方側の端部からそれぞれ外面側に突出された被取付片部75、75、・・・が設けられている。被取付片部75には左右方向に貫通されたネジ挿通孔75aが形成されている。
【0106】
モジュール取付部72はベース部73から側方における外方に突出され、側方における外方に行くに従って前後の幅が小さくなる略三角柱状に形成されている。モジュール取付部72には後斜め側方に傾斜された取付部76が形成されている。モジュール取付部72には取付部76の側方における外方側の端縁に連続する略矩形状のフィン形成部77が設けられ、フィン形成部77には放熱フィン77a、77a、・・・が上下に離隔して設けられている(
図11参照)。フィン形成部77は外面が前方を向く面にされている。
【0107】
取付ベース67は外周面67aが周壁部74の外面とフィン形成部77の外面とによって構成されている。灯具ユニット66が配置空間55に配置された状態において、外周面67aはランプハウジング52の内周面57aに対向して位置されている。
【0108】
光源モジュール68は回路パターンが形成された基板78と基板78に搭載された光源79、79、・・・と光源79、79、・・・から出射される光を制御するインナーレンズ80とを有している(
図8乃至
図11参照)。
【0109】
光源79としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。光源79、79、・・・は基板78に、例えば、規則的に搭載されている。
【0110】
インナーレンズ80は透明な樹脂又はガラスによって形成され、平板状のベース面部80aとベース面部80aからそれぞれ基板78と反対側に突出された略半球状の制御レンズ部80b、80b、・・・とを有している。制御レンズ部80b、80b、・・・は光源79、79、・・・と同数が光源79、79、・・・に対応する位置に設けられている。制御レンズ部80b、80b、・・・は、例えば、自由曲面の凸レンズであり、それぞれ光源79、79、・・・から出射された光を集光する制御を行って照射する機能を有している。
【0111】
基板78は取付ベース67の取付部76に放熱シート81を介して配置され、インナーレンズ80は取付部76にパッキン82を介して配置される。パッキン82は基板78と放熱シート81より一回り大きい環状に形成され、ベース面部80aの外周部と取付部76との間に位置される。
【0112】
インナーレンズ80はベース面部80aと制御レンズ部80b、80b、・・・が基板78と光源79、79、・・・を外方から覆う状態で配置され、基板78とともに取付部76にネジ止め等によって取り付けられる。基板78と光源79、79、・・・に発生する熱は、主として、放熱シート81から取付部76に伝達され、放熱フィン77a、77a、・・・から外部に放出される。
【0113】
このように放熱シート81によって基板78と光源79、79、・・・に発生する熱が取付部76に伝達されるため、基板78と光源79、79、・・・の温度上昇が抑制され、基板78と光源79、79、・・・の良好な駆動状態を確保することができる。
【0114】
上記したように、光源79、79、・・・が搭載された基板78が後斜め側方に傾斜する取付部76に配置されるため、光源79、79、・・・から出射される光は光源モジュール68から後斜め側方へ向けて照射される。
【0115】
また、上記のように、光源モジュール68は基板78とインナーレンズ80がネジ止め等によって取付ベース67に取り付けられるため、取付ベース67に対して着脱可能にされている。
【0116】
従って、光源モジュール68を航空機100の機種に応じて交換することが可能になり、機種の異なる航空機100に応じた光源モジュール68を取付ベース67に取り付けることにより、機種の異なる航空機100に応じて光を照射することが可能になり、航空機用灯具51の汎用性の向上を図ることができる。
【0117】
制御基板69は光源モジュール68における光源79、79、・・・の点消灯を制御する機能を有し、前後方向を向くベース基板69aとベース基板69aの左右両面に搭載された電子部品69b、69b、・・・とを有している。制御基板69は配置凹部71aに配置されて基板収容部71に収容された状態で基板収容部71にネジ止め等によって取り付けられている。
【0118】
制御基板69は一部が図示しない熱伝達シートを介して基板収容部71の一部に接触される。従って、制御基板69に発生する熱は、主として、熱伝達シートから基板収容部71を介してモジュール取付部72に伝達されて放熱フィン77a、77a、・・・から外部に放出される。
【0119】
このように熱伝達シートによって制御基板69に発生する熱が放熱フィン77a、77a、・・・から放出されるため、制御基板69の温度上昇が抑制され、制御基板69の良好な駆動状態を確保することができる。
【0120】
また、上記のように、制御基板69はネジ止め等によって取付ベース67に取り付けられるため、取付ベース67に対して着脱可能にされている。
【0121】
従って、制御基板69を航空機100の機種に応じて交換することが可能になり、機種の異なる航空機100に応じた制御基板69を取付ベース67に取り付けることにより、機種の異なる航空機100に応じて光を照射することが可能になり、航空機用灯具51の汎用性の向上を図ることができる。
【0122】
受電コネクター70は、例えば、上下に延びる形状に形成され、取付ベース67のコネクター取付板部73aに取り付けられている。受電コネクター70には上下方向において接続コネクター62が着脱可能にされている。接続コネクター62の受電コネクター70に対する着脱方向は上下方向であり、光源モジュール68に沿って移動する方向にされている。
【0123】
従って、接続コネクター62が光源モジュール68に沿って移動されることにより受電コネクター70に対して着脱されるため、接続コネクター62の受電コネクター70に対する着脱作業において接続コネクター62が光源モジュール68に干渉することがない。これにより、接続コネクター62の受電コネクター70に対する着脱作業における作業性の向上及び接続コネクター62と光源モジュール68の損傷の発生を防止することができる。
【0124】
受電コネクター70には第1の接続線83の一端部が接続され、第1の接続線83の他端部が制御基板69に接続される。また、制御基板69と光源モジュール68の基板78とは第2の接続線84によって接続される。
【0125】
従って、光源79、79、・・・は基板78と第2の接続線84と制御基板69と第1の接続線83と受電コネクター70と接続コネクター62と給電コード61と給電端子60を介して電源回路に接続される。
【0126】
灯具ユニット66においては、光源モジュール68が制御基板69の側方に位置され、光源モジュール68と制御基板69が左右に位置される。従って、灯具ユニット66の上下方向及び前後方向における光源モジュール68と制御基板69の配置スペースが小さくて済み、灯具ユニット66の小型化を図ることができる。
【0127】
上記のように構成された灯具ユニット66はカバー53がランプハウジング52から取り外された状態においてランプハウジング52に開口52aから取付ネジ90、90、・・・によって取り付けられる(
図8乃至
図10参照)。取付ネジ90、90、・・・は取付ベース67の被取付片部75、75、・・・に形成されたネジ挿通孔75a、25a、・・・に挿通され、ランプハウジング52の底面部56と締結用突部59、59に亘って形成されたネジ穴52b、52b、・・・に螺合されてランプハウジング52に取り付けられる。
【0128】
ランプハウジング52に灯具ユニット66が取り付けられた状態においては、基板収容部71に収容されている制御基板69がランプハウジング52の底面部56によって側方から覆われ、制御基板69が基板収容部71とランプハウジング52によって遮蔽される。従って、制御基板69において生じるノイズの航空機100に設けられる各機器や各計器への影響を抑制することができる。
【0129】
ランプハウジング52に灯具ユニット66が取り付けられた状態において、ランプハウジング52とカバー53は脱落防止ワイヤー85によって結合される。脱落防止ワイヤー85は、例えば、両端部がランプハウジング52における底面部56の内面とカバー53におけるリテイナー63の内面とに取り付けられる。脱落防止ワイヤー85はランプハウジング52の内周面57aと灯具ユニット66の外周面67aとの間に位置され、少なくとも一部がランプハウジング52の内周面57aとフィン形成部77の間に位置される(
図10参照)。
【0130】
航空機用灯具51においては、灯具ユニット66がランプハウジング52に着脱可能にされており、カバー53をランプハウジング52から取り外した状態において取付ネジ90、90、・・・のランプハウジング52のネジ穴52b、52b、・・・に対する螺合状態を解除することにより灯具ユニット66をランプハウジング52から取り外すことが可能である。
【0131】
このときランプハウジング52とカバー53が脱落防止ワイヤー85によって連結されているため(
図9参照)、脱落防止ワイヤー85によってカバー53がランプハウジング52から取り外されたときのカバー53の落下が防止され、カバー53の破損や損傷を防止することができる。
【0132】
また、光源モジュール68が灯具ユニット66の外周面67aより内側に位置された取付部76に取り付けられ、灯具ユニット66がランプハウジング52に取り付けられた状態において脱落防止ワイヤー85がランプハウジング52の内周面57aと灯具ユニット66の外周面67aとの間に位置される(
図10参照)。
【0133】
従って、脱落防止ワイヤー85によって光源モジュール68から照射される光が遮蔽されることがなく、光源モジュール68からの光の良好な照射状態を確保することができる。
【0134】
特に、脱落防止ワイヤー85がランプハウジング52の内周面57aとフィン形成部77の間に位置されることにより、受電コネクター70と脱落防止ワイヤー85が干渉し難く、受電コネクター70への接続コネクター62の着脱時に脱落防止ワイヤー85が邪魔にならず受電コネクター70に対する接続コネクター62の接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0135】
脱落防止ワイヤー85は金属線が樹脂製のチューブによって覆われ、両端部に設けられた丸形端子が金属材料によって形成されたリテイナー63とランプハウジング52を電気的に接続する構成にされている。また、ランプハウジング52は航空機に設けられた所定の構造部材と電気的に接続されると共に航空機の機体とアース線によって接続されている。従って、カバー53の付近に落雷が生じた場合において、脱落防止ワイヤー85とランプハウジング52を介して航空機の機体に電気を逃がすことができる。これにより、脱落防止ワイヤー85は光源モジュール68の光源79、79、・・・と制御基板69の電子部品69b、69b、・・・とをサージ電圧から保護する機能を有している。
【0136】
尚、航空機用灯具51においては、取付ネジ90の螺軸部にシリコン等によって形成された図示しないワッシャ等を取り付け、灯具ユニット66がランプハウジング52から取り外されたときにワッシャ等によって取付ネジ90が灯具ユニット66から落下しないように構成されていてもよい。
【0137】
このような構成にすることにより、取付ネジ90が灯具ユニット66から落下しないため、取付ネジ90のネジ穴52bに対する螺合を解除した状態において取付ネジ90と灯具ユニット66がランプハウジング52から落下せず、灯具ユニット66を保護することができる。尚、取付ネジ90の螺軸部からワッシャを取り外すことにより、灯具ユニット66をランプハウジング52から分離して取り外すことができる。
【0138】
灯具ユニット66のランプハウジング52に対する着脱時は作業者の指やドライバー等の治具が配置空間55に挿入されて行われる。従って、配置空間55は灯具ユニット66のランプハウジング52に対する着脱作業を行うときの作業空間としても機能する。
【0139】
上記のように構成された航空機用灯具51において、光源79、79、・・・から光が出射されると、出射された光がそれぞれインナーレンズ80の制御レンズ部80b、80b、・・・によって制御され、インナーレンズ80から配置空間55の一部を通ってカバー53の透過カバー部64を透過され、主翼400、400と主翼400、400にそれぞれ取り付けられているエンジン500、500とに照射される(
図7参照)。光源79、79、・・・から出射された光が通る配置空間55の一部は光路用空間55aとされ、光路用空間55aの少なくとも一部は灯具ユニット66のランプハウジング52に対する着脱作業を行うときの作業空間に一致される。
【0140】
航空機用灯具51から主翼400、400とエンジン500、500に光が照射されることにより、航空機100の操縦士がエンジン500、500やエンジン500、500の周囲の部分に対する雪や氷の付着の有無を目視によって検査することが可能になる。
【0141】
以上に記載した通り、航空機用灯具51にあっては、ランプハウジング52とカバー53によって構成され内部空間が配置空間55として形成された灯具外筐54と、光源モジュール68と取付ベース67と受電コネクター70と制御基板69を有しランプハウジング52に対して開口52aを介して着脱可能にされた灯具ユニット66とを備えている。
【0142】
従って、ランプハウジング52からカバー53を取り外すことにより光源モジュール68と取付ベース67と受電コネクター70と制御基板69を有する灯具ユニット66をランプハウジング52に対して着脱することが可能になるため、灯具ユニット66に関するメンテナンス性の向上が図られ灯具ユニット66から照射される光の良好な照明状態を確保することができる。
【0143】
また、取付ベース67には放熱フィン77a、77a、・・・が設けられ、光源モジュール68において発生する熱と制御基板69において発生する熱とが取付ベース67から放出される。
【0144】
従って、光源モジュール68において発生する熱と制御基板69において発生する熱とがともに取付ベース67の放熱フィン77a、77a、・・・から放出されるため、光源モジュール68において発生する熱と制御基板69において発生する熱とをそれぞれ放出するための各別の部材を必要とせず、部品点数の削減を図った上で放熱効率の向上を図ることができる。
【0145】
さらに、配置空間55の一部が光源モジュール68から照射される光の経路となる光路用空間55aとされ、灯具ユニット66のランプハウジング52に対する着脱時に指を挿入する空間である作業空間の少なくとも一部が光路用空間55aに一致されている。
【0146】
従って、ランプハウジング52の内部に光源モジュール68から照射される光の経路となる光路用空間55aと灯具ユニット66のランプハウジング52に対する着脱時に指等を挿入する作業空間とを各別に形成する必要がなく、航空機用灯具51の小型化を図ることができる。
【0147】
尚、上記には、灯具ユニット66に一つの光源モジュール68が設けられた例を示したが、航空機用灯具51に設けられる光源モジュール68の数は一つに限られることはなく、複数であってもよい。
【符号の説明】
【0148】
1…航空機用灯具、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、5…第1の配置空間、9…配置ケース部、9b…ケーブル挿通孔、11a…挿通孔、17…灯具ユニット、18…取付ベース、19…光源モジュール、20…制御基板、21…受電コネクター、23…遮蔽カバー部、24…基板収容部、25…傾斜面部、25a…一方の面、25b…他方の面、31…放熱フィン、32…基板、33…光源、39…伝熱シート、40…脱落防止ワイヤー、51…航空機用灯具、52a…開口、52…ランプハウジング、53…カバー、54…灯具外筐、55…配置空間、55a…光路用空間、57a…内周面、62…接続コネクター、66…灯具ユニット、67…取付ベース、67a…外周面、68…光源モジュール、69…制御基板、70…受電コネクター、76…取付部、77a…放熱フィン、79…光源、85…脱落防止ワイヤー、100…航空機