(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】前面側光制御フィルムを有する液晶ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20240329BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240329BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240329BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240329BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240329BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
G02B5/02 A
G02B5/02 B
G02B5/00 B
G02F1/13357
F21S2/00 431
(21)【出願番号】P 2021533427
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060616
(87)【国際公開番号】W WO2020121193
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ニコラス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,エンカイ
(72)【発明者】
【氏名】フィリッピィ,マシュー エム.
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-025621(JP,A)
【文献】特開2018-045052(JP,A)
【文献】特開2018-054730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02B 5/02
G02B 5/00
G02F 1/13357
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイであって、
反射型偏光フィルムを含むバックライトモジュールと、
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、
前記吸収領域の高さを前記吸収領域の最大幅で割った値をアスペクト比とするとき、前記吸収領域が、少なくとも30のアスペクト比を有する、交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、
前記バックライトモジュールと前記光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、
前記光制御フィルムの前記光入力面の上に配置された拡散層であって、前記拡散層が、70%未満の透明度及び60%未満のヘイズを有する、拡散層と、
を備える、液晶ディスプレイ。
【請求項2】
前記拡散層が、前記光制御フィルムの前記光入力
面の上にラミネートされている、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項3】
液晶ディスプレイであって、
バックライトモジュールと、
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、
前記バックライトモジュールと前記光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、
前記光制御フィルムの前記光入力面の上にラミネートされた拡散層であって、前記拡散層が、70%未満の透明度及び60%未満のヘイズを有する、拡散層と、
を備える、液晶ディスプレイ。
【請求項4】
前記吸収領域の高さを前記吸収領域の最大幅で割った値をアスペクト比とするとき、前記吸収領域が少なくとも5のアスペクト比を有する、請求項
3に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項5】
前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有する、請求項
4に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項6】
前記光制御フィルムのデューティサイクルが、70%~99.9%である、請求項
3~5のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項7】
前記拡散層が体積拡散体である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項8】
前記拡散層が、ポリマーマトリックス及びポリマー粒子を含む拡散光学接着剤を含み、前記拡散光学接着剤が、前記光制御フィルムの前記光入力面を前記液晶パネルに結合する、請求項
7に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項9】
前記拡散光学接着剤が感圧接着剤である、請求項
8に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項10】
前記拡散光学接着剤が構造用接着剤である、請求項
8に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項11】
前記拡散層が表面拡散体である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項12】
前記表面拡散体が、第1の屈折率を有する材料を含み、前記表面拡散体が、前記第1の屈折率よりも低い屈折率を有する材料に埋め込まれている、請求項
11に記載の液晶ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーバーフィルムなどの光制御フィルムは、多くの場合、反射を最小限に抑えるために自動車用液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)に組み込まれる。典型的には、光制御フィルムは、背面偏光フィルムの隣に配置された、又は後方偏光フィルムに直接ラミネートされた液晶(liquid crystal、LC)パネルの背後に配置される。
【発明の概要】
【0003】
簡潔には、一態様では、本発明は、液晶ディスプレイであって、(a)反射型偏光フィルムを含むバックライトモジュールと、(b)光制御フィルムであって、光入力面、及び光入力面の反対側の光出力面と、光入力面と光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、吸収領域が、少なくとも30のアスペクト比を有する、交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、(c)バックライトモジュールと光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、を備える、液晶ディスプレイを提供する。
【0004】
別の態様では、液晶ディスプレイであって、(a)バックライトモジュールと、(b)光制御フィルムであって、光入力面、及び光入力面の反対側の光出力面と、光入力面と光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、(c)バックライトモジュールと光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、(d)光制御フィルムの光入力面の上にラミネートされた拡散層であって、拡散層が、70%未満の透明度及び60%未満のヘイズを有する、拡散層と、を備える、液晶ディスプレイ。
【0005】
驚くべきことに、LCパネルの「前面」(すなわち、観察者の側)に光制御フィルムを有する本発明のLCDは、LCパネルの背後に光制御フィルムを有する従来技術のLCDと比較して、ディスプレイ輝度[brightness]を著しい増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図6B】
図6AのLCFの極性カットオフ視野角を示す図である。
【
図8】接着層と結合されたカバーフィルムを更に備えたLCFの断面図である。
【
図13】輝度[luminance]対視野角のプロットである。
【
図14】輝度[luminance]対視野角のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
バックライトモジュールは、LCD用の照明を提供する。本発明のLCDは、任意の有用なバックライトモジュールを備えることができる。典型的なバックライトモジュールは、例えば、光源、後方反射体、導光体、拡散体、プリズムフィルム(単数又は複数)及び反射型偏光子などの光平行化フィルム(単数又は複数)を含んでもよい。
【0008】
光源は、任意の有用な光源であってもよいが、いくつかの実施形態では、光源は発光ダイオード(light emitting diode、LED)である。複数のLEDをバックライトモジュールの縁部に沿って配置して、光を導光体の縁部に放出することができる。導光体は、全内部反射(total internal reflection、TIR)を使用して、縁部に取り付けられたLEDから、光を導光体の全長にわたってバックライトの反対側の縁部に伝達又はガイドする。光を更に分散させるために、拡散シートを利用することができる。導光体の背後又は下方に配置された反射性材料、及びプリズム輝度向上フィルム(brightness enhancement film、BEF)、及び導光体の前方又は上方に配置された反射型偏光フィルムなどの光管理フィルムを使用して、軸上輝度を増大させることができる。
【0009】
後方反射体は、主に鏡面反射体、拡散反射体、又は鏡面反射体/拡散反射体の組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、後方反射体は、半鏡面反射体であり得る。好適な高反射率材料としては、例えば、3M CompanyからのEnhanced Specular Reflector(ESR)多層ポリマーフィルム及び白色反射フィルムが挙げられる。
【0010】
3M Companyから入手可能なものなどのプリズムBEFフィルムは、光が観察者に向けられることを確実にする。
【0011】
反射型偏光子は、効率を高めるために散乱光をリサイクルする。この反射型偏光子に、任意の好適な反射型偏光子を使用することができる。例えば、多層光学フィルム(multilayer optical film、MOF)反射型偏光子、連続/分散相偏光子などの拡散反射型偏光フィルム(diffusely reflective polarizing film、DRPF)、ワイヤーグリッド偏光子、又はコレステリック偏光子。MOF反射型偏光子及び連続/分散相反射型偏光子は、直交偏光状態で光を透過させながら、1つの偏光状態の光を選択的に反射するために、少なくとも2つの材料の間の、通常はポリマー材料の間の屈折率の差に依存する。MOF DBEF反射型偏光子は、3M Companyから入手可能である。
【0012】
LCパネルは、典型的には、ガラスプレートの間に配置されたLCの層を含む。ガラスプレートは、LC層中のLCの配向を制御するために、ガラスプレートの内面上に電極構造体及びアラインメント層を含むことができる。電極構造体は、一般に、LCパネル画素を画定するように配置される。カラーフィルタもまた、1つ以上のプレートと共に含まれてもよい。LC構造体は、上部吸収型偏光子と下部吸収型偏光子との間に位置決めされる。本明細書で使用するとき、「液晶パネル」又は「LCパネル」への言及は、上部吸収型偏光子及び下部吸収型偏光子を含む(すなわち、本明細書で使用するとき、「液晶パネル」又は「LCパネル」は、ガラスプレートの間に配置され、2つの吸収型偏光子の間に位置決めされた液晶を意味する)。
【0013】
本発明の液晶ディスプレイは、LCパネルの前面側(すなわち、観察者の側)上の光制御フィルム(light control film、LCF)を含む。LCパネルは、バックライトモジュールと光制御フィルムとの間に配置される。有用なLCFとしては、例えば、米国特許第8,503,122号(Liuら)、同第8,213,082号(Gaidesら)、同第6,905,219号(Gaides)、同第8,133,572号(Gaidesら)、同第8,012,567号(Gaidesら)、同第9,063,284号(Jonesら)、同第9,335,449号(Gaidesら)、及び同第9,804,311号(Gaidesら)、並びに同時係属公開国際公開第2019/118685号に記載されているものなどのルーバーフィルムが挙げられる。
【0014】
LCFは、多くの場合、吸収領域が可能な限り多くの入射光を吸収することを確実にするために作製される。高度に吸収性の領域は、これらの領域を通って「漏れる」可能性がある光の量を最小限に抑え、したがって、LCFの方向性及び機能を制御する。
【0015】
入射光が吸収領域と透過領域との間の界面からTIRすると、ディスプレイの輝度[brightness]を高くすることができる。光線がTIRを受けるか否かは、境界面での入射角、並びに透過領域及び吸収領域で使用される材料の屈折率の差から判定することができる。
【0016】
図1は、光出力面120、及び光出力面120の反対側の光入力面110を含むLCF100の断面図を示す。LCF100は、交互の透過領域130及び吸収領域140、並びに透過領域130と吸収領域140との間の界面150を含む。透過領域130は、ピッチ「P」だけ互いに離間して配置されたベース幅「W」を有し、吸収領域140と光出力面120との間にランド領域「L」を含む。吸収領域140は、ベース145を有し、高さ「H」であり、ピッチ「P」だけ互いに離間して変位される。界面150は、光出力面120に対する法線160に対して界面角度θ
Iを形成する。本明細書に記載されるように、表面に対する「法線」とは、その表面に対して垂直であることを意味する。LCF100は、交互の透過領域130及び吸収領域140の形状によって画定される内部視野カットオフ角Φ
Iを含む。
【0017】
図2は、LCFを作製するために使用することができる、少なくとも1つの微細構造化表面210を含む、微細構造フィルム物品200を示す。1つの場合では、微細構造化表面210は、複数の溝201a~201dを含むことができる。
図2に示されているように、連続するランド層230は、溝220のベースと微細構造フィルム物品200の反対の面211との間に存在し得る。1つの場合では、溝220は、微細構造フィルム物品200を完全に通過して延びることができる。1つの場合では、微細構造フィルム物品200は、微細構造フィルム物品200と一体的に形成され得る又は別個に追加され得る、ベース基材層260を含むことができる。
【0018】
図3は、
図2の溝201a~201dが光吸収材料350で充填されることによって光吸収型となったLCF300を示す。(例えば溝)微細構造の凹部の形状の光吸収材料350は、本明細書では吸収領域140と称される。
【0019】
図4は、ベース基材層260と同じであっても、あるいは異なっていてもよい任意選択のカバーフィルム470を更に含むLCF400を示している。任意選択のカバーフィルム470は、接着剤410を使用して微細構造化表面に結合することができる。接着剤410は、UV硬化性アクリル酸接着剤、転写接着剤などのような光学的に透明な任意の接着剤であってもよい。LCF400はまた、平面を画定する、光入力面110と、光入力面110の反対側の光出力面120とを含む。本明細書の発明を説明する目的で、LCF400は、光入力面110が吸収領域140のベース145に近接して配置されるように位置決めされるが、光入力面110はまた、ベース145の反対側にも配置され得ることを理解されたい。換言すれば、LCF400は、ベース145が光入力面110に光を注入する光源(図示せず)に近くなるように位置決めすることができ、又は、ベース145が、光出力面120から光を受光するディスプレイ面(図示せず)に近くなるように位置決めすることもできる。
【0020】
図3及び
図4に示されるように、吸収領域140の間の透過領域130は、夾壁角度θ
T、透過領域のベース幅「W」、有効高さ「H」、ピッチ「P」、及び極性視野カットオフ角Φ
Pを有する。夾壁角度θ
Tは、対称な吸収領域について
図1に示す界面角度θ
Iの2倍である。1つの場合では、界面角度θ
Iは、各界面150に対して異なっていてもよく、また、夾壁角度θ
Tは、非対称の吸収領域に対して、吸収領域140の各側面上の界面角度θ
Iの和に等しい。極性視野カットオフ角Φ
Pは、任意のカバーフィルム470、接着剤410、透過領域130、ベース基材層260、及びLCF400が中に埋め込まれる材料(典型的には空気)の屈折率を使用して、内部視野カットオフ角Φ
Iを画定する光線にスネルの法則を適用することによって判定することができる。極性視野カットオフ角Φ
Pは、極性視野カットオフ半角Φ
1と、極性視野カットオフ半角Φ
2との和に等しく、極性視野カットオフ半角のそれぞれは、光入力面110に対する法線から測定される。いくつかの場合、極性視野カットオフ角Φ
Pは対称であり得、極性視野カットオフ半角Φ
1は、極性視野カットオフ半角Φ
2に等しい。いくつかの場合、極性視野カットオフ角Φ
Pは非対称であり得、極性視野カットオフ半角Φ
1は、極性視野カットオフ半角Φ
2に等しくない。本開示の目的のために、
図4に示され、示される方向に沿って光入力面110に対する法線から測定される角「Φ」は、本明細書では「極性視野角」と称される。極性視野角Φは、0°(すなわち、光入力面110に対する法線)~90°(すなわち、光入力面110に対して平行)の範囲であり得る。
【0021】
透過領域130の材料特性、夾壁角度θT、ピッチ「P」、及び透過領域のベース幅「W」は、LCF400を通る光透過に影響を及ぼし得る。LCFは、10度以上などの、比較的大きな夾壁角度を有することができる。より大きい壁角度は、光吸収領域の幅を増加させ、それによって垂直入射における透過率を減少させる。垂直入射における光の透過率を可能な限り大きくすることができるように、より小さい壁角度、例えば10度未満が好ましい。
【0022】
一態様では、本発明は、夾壁角度が6°以下であり得るLCFを対象とすることができる。一態様では、夾壁角度は、5°、4°、3°、2°、1°、又は0.1°未満など、5°以下であり得る。本明細書に記載されるように、夾壁角度は、対称な吸収領域及び非対称な吸収領域の界面角度に関連し得る。そのため、一態様では、界面角度は、3°又は3°以下、例えば2.5°、2°、1°、又は0.1°以下とすることができる。より小さい壁角度により、より小さいピッチ「P」において、比較的高いアスペクト比(H/W)を有する溝を形成することができ、より低い視野角で、より鋭い画像カットオフを提供することができる。いくつかの場合、透過領域は、平均高さ「H」、及びその最も広い部分における平均幅「W」を有し、H/Wは少なくとも1.75である。いくつかの場合、H/Wは、少なくとも2.0、2.5、3.0、又はそれ以上である。
【0023】
LCFは、任意の所望の極性視野カットオフ角を有するように作製することができる。一態様では、極性視野カットオフ角は、40°~90°又は更にはより大きい範囲である。極性視野カットオフ角Φ
Pは、パラメータ「θ
I」、「H」、「W」、「P」、及びLCF材料の屈折率によって、他の箇所で考察されるように判定することができる。いくつかの場合、LCFを介して極性視野カットオフ角よりも大きい角度で透過された光を含む「機能的極性視野角」を定義することも有用であり得る。例えば、吸収領域を内部視野カットオフ角Φ
Iよりわずかに大きい角度で遮断する光は、吸収領域の最も薄い部分を「ブリードスルー」することができる(すなわち、
図1に示した台形として表される光吸収領域の頂部及び底部を部分的に透過する)。機能的極性視野角は、輝度[brightness]が軸方向輝度の小さい割合、例えば10%、5%、又はそれ未満まで減少する軸として定義することができる。
【0024】
図5は、本開示の一態様によるLCF500を示す。吸収領域140に衝突する光の一部はTIRによって反射されるため、LCF500の光透過率は、先行技術のLCFを通した光透過率よりも大きい。LCF500は、屈折率N1を有する材料を含む透過領域130と、N1以下の屈折率N2を有する材料を含む吸収領域140とを含む。界面の臨界角θ
c(図示せず)は、θc=arcsin(N2/N1)である。θ
cより大きい角度で界面150に衝突する光線は、界面150でTIRを受ける。θ
c未満の角度で界面150に衝突する光線は、吸収領域140によって吸収される。
【0025】
図5は、光入力面110を通って透過領域130に入る3つの光線ABC、DEF、及びGHを示す。光線ABCは、内部視野カットオフ角Φ
I内の透過領域130に入り、θ
cよりも大きい入射角θ
iで吸収領域140を遮断し、TIRを受けて光出力面120を通って出る。類似の方法で、光線DEFは、内部視野カットオフ角Φ
I外の透過領域130に入り、θ
cより大きいも入射角θ
iで吸収領域140を遮断し、TIRを受けて光出力面120を通って出る。光線GHは、内部視野カットオフ角Φ
I外の透過領域130に入り、θ
cよりも小さい入射角θ
iで吸収領域140を遮断し、吸収領域140によって吸収される。夾壁角度θ
T、透過率N1、及び吸収率N2は、光出力面120を通る光の透過を制御するための調節可能なパラメータである。これらのパラメータの選択は、そうでなければ吸収領域140によって吸収される光の一部を、代わりに界面150から反射させ、意図された内部視野カットオフ角Φ
I内で出力面を通るように方向付けさせる。
【0026】
1つの有用なLCFでは、
図6Aに示されているように、透過領域630は、典型的にはランド領域「L」と一体であり、これは、ランド領域と、透過領域630のベース部631との間に界面が存在しないことを意味している。別法としては、LCFは、このようなランド領域Lを欠いていてもよく、あるいはランド領域Lと透過領域630との間に界面が存在していてもよい。この実施形態では、ランド領域は、交互の透過領域630及び吸収領域640と光入力面610との間に配置されている。
【0027】
別法としては、別の実施形態では、表面620は光入力面であってもよく、表面610は光出力面であってもよい。この実施形態では、ランド領域は、交互の透過領域630及び吸収領域640と光出力面との間に配置されている。
【0028】
透過領域630は幅「WT」によって画定され得る。ランド領域「L」を除くと、透過領域630は、典型的には吸収領域140と名目上同じ高さを有している。典型的な実施形態では、吸収領域の高さHAは、少なくとも30、40、50、60、70、80、90又は100ミクロンである。いくつかの実施形態では、高さは、200、190、180、170、160又は150ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、高さは、140、130、120、110、又は100ミクロン以下である。LCFは、典型的には、名目上同じ高さ及び幅を有する複数の透過領域を備えている。いくつかの実施形態では、透過領域は、高さ「HT」、その最も広い部分における最大幅「WT」、及び少なくとも1.75であるアスペクト比HT/WTを有する。いくつかの実施形態では、HT/WTは、少なくとも2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、又は5.0である。他の実施形態では、透過領域のアスペクト比は、少なくとも6、7、8、9、10である。他の実施形態では、透過領域のアスペクト比は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、又は50である。
【0029】
吸収領域640は、底面655と上面645との間の距離によって画定される高さ「HA」を有し、このような上面及び底面は、典型的には光出力面620及び光入力面610に対して平行である。吸収領域640は最大幅WAを有し、表面光出力面620に沿ってピッチ「PA」だけ間隔を隔てている。
【0030】
ベース(すなわち底面655に隣接している)における吸収領域の幅「WA」は、典型的には上面645に隣接する吸収領域の幅と名目上同じである。しかしながらベースにおける吸収領域の幅が上面に隣接する幅と異なる場合、幅は最大幅によって画定される。複数の吸収領域の最大幅は、透過率(例えば輝度[brightness])が測定される面積などの重要な面積に対して平均化することができる。LCFは、典型的には、名目上同じ高さ及び幅を有する複数の吸収領域を備えている。典型的な実施形態では、吸収領域は、通常、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1ミクロン以下の幅を有している。いくつかの実施形態では、吸収領域は、通常、900、800、700、600、又は500ナノメートル以下の幅を有している。いくつかの実施形態では、吸収領域は、少なくとも50、60、70、80、90、又は100ナノメートルの幅を有している。
【0031】
吸収領域は、吸収領域の高さを吸収領域の最大幅で割った(HA/WA)アスペクト比によって画定することができる。いくつかの実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。好ましい実施形態では、吸収領域の高さ及び幅は、吸収領域が更に高いアスペクト比を有するように選択される。いくつかの実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100である。他の実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも200、300、400、又は500である。アスペクト比は、最大10,000以上の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、アスペクト比は、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3000、2,000、又は1,000以下である。
【0032】
図6Bに示されているように、LCF600は、交互の透過領域630及び吸収領域640、並びに透過領域630と吸収領域640との間の界面650を含む。界面650は、光出力面620に対して垂直の線660と壁角度θを形成している。
【0033】
壁角度θが大きいほど、垂直入射、言い換えると0度の視野角における透過率が小さくなる。垂直入射における光の透過率を可能な限り大きくすることができるように、より小さい壁角度が好ましい。いくつかの実施形態では、壁角度θは、10、9、8、7、6、又は5度未満である。いくつかの実施形態では、壁角度は、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、又は0.1度以下である。いくつかの実施形態では、壁角度はゼロであるか、又はゼロに近づく。壁角度がゼロである場合、吸収領域と光出力面120との間の角度は90度である。透過領域は、壁角度に応じて、長方形又は台形の断面を有することができる。
【0034】
入射光が吸収領域と透過領域との間の界面から内部全反射(TIR)すると、透過率(例えば輝度[brightness])を高くすることができる。光線がTIRすることになるか否かは、界面との入射角、並びに透過領域及び吸収領域の材料の屈折率の差から判定することができる。
【0035】
吸収領域は、微細構造フィルムの表面をコーティングすることによって形成することができる。
図7は、LCFを作製するためにコーティングすることができる、具体化された微細構造フィルム物品700を示したものである。示されている微細構造フィルムは、複数のチャネル701a~701dを備えた微細構造化表面710を含む。
図7に示されているように、連続するランド層「L」は、チャネルの底部705とベース層760の上面710との間に存在し得る。別法としては、チャネル701は、微細構造フィルム物品700を完全に通過して延びることができる。この実施形態(図示せず)では、溝の底面705は、ベース層760の上面710と一致し得る。典型的な実施形態では、ベース層760は、引き続いて説明されるように、透過領域730とは異なる有機ポリマー材料を含む事前形成済みフィルムである。
【0036】
突出部(例えば透過領域)730の高さ及び幅は、隣接するチャネル(例えば701a及び701b)によって画定される。突出部(例えば透過領域)730は、比較的、上面770と、底面731と、上面を底面に結合する側壁732及び733とによって画定することができる。側壁は互いに平行であってもよい。より典型的には、側壁は、既に説明した壁角度を有している。
【0037】
いくつかの実施形態では、突出部(例えば透過領域)730は、少なくとも10ミクロンのピッチ「P
T」を有している。ピッチは、
図7に示されているように、第1の突出部(例えば透過領域)の開始と、第2の突出部(例えば透過領域)の開始との間の距離である。ピッチは、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、又は50ミクロンであってもよい。ピッチは、通常、1mm以下である。ピッチは、典型的には900、800、700、600、又は500ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、ピッチは、典型的には550、500、450、400、350、300、250、又は200ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、ピッチは、175、150、100ミクロン以下である。典型的な実施形態では、突出部は、単一のピッチで一様に間隔を隔てている。別法としては、突出部は、隣接する突出部の間のピッチが同じピッチにならないように間隔を隔てることができる。この後者の実施形態では、少なくとも一部、典型的には大部分(全突出部の少なくとも50、60、70、80、90%又はそれ以上)は、たった今説明したピッチを有している。
【0038】
吸収領域のピッチPAは、光透過領域に対してたった今説明した同じ範囲内である。いくつかの実施形態では、透過領域のピッチは、光吸収領域のピッチと同じである。
【0039】
突出部(例えば透過領域)のピッチ及び高さは、光吸収コーティングによる突出部(例えば透過領域)のコーティングを容易にするために重要であり得る。突出部が互いに過度に近接した間隔を取る場合、側壁を一様にコーティングすることが困難であり得る。突出部が過度に離れて間隔を隔てている場合、光吸収コーティングは、軸外視野角におけるプライバシーなどの意図された機能を提供するのに有効ではないことがある。
【0040】
吸収領域は、微細構造フィルムの突出部(例えば透過領域)の側壁に光吸収コーティングを提供することによって形成される。光吸収コーティングの厚さは、既に説明したように吸収領域の幅WAと等価である。吸収領域は、側壁(例えば732、733)に十分に薄いコンフォーマルな光吸収コーティングを提供する任意の方法によって形成することができる。
【0041】
一実施形態では、吸収領域は、加法的方法と減法的方法の組み合わせによって形成される。
【0042】
図8を参照すると、光制御フィルムは、上面(例えば820)及び側壁(832、833)によって画定される複数の突出部(例えば透過領域)を備えた微細構造フィルム800(
図7の微細構造フィルムなど)を提供することによって調製することができる。複数の突出部(例えば透過領域)830は、チャネル801a及び801bによって互いに分離されている。突出部(例えば透過領域)の側壁はチャネルの側壁と一致している。チャネルは、ベース層860の上面に対して平行であるか、又はそれと一致する底面805を更に備えている。この方法は、微細構造フィルムの(例えば全)表面、すなわち突出部(例えば透過領域)の上面820及び側壁832、833、及び突出部(例えば透過領域)を分離しているチャネルの底面805に光吸収コーティング841を適用することを更に含む。この方法は、突出部(例えば透過領域)の上面820及びチャネルの底面805からコーティングを除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、この方法は、突出部(例えば透過領域)と(例えば同じ)重合性樹脂などの有機ポリマー材料845をチャネルに充填することと、重合性樹脂を硬化させることとを更に含む。硬化した重合性樹脂でチャネルが充填されない場合、チャネルには、典型的には空気が充填される。
【0043】
いくつかの実施形態では、LCFは、70%~99.9%のデューティサイクルを有し、デューティサイクルは、吸収領域のピッチに対する断面における透過領域の表面の長さとして定義される。
【0044】
本発明のLCDはまた、LCFの光入力面又は光出力面上に配置された拡散層を含むことができる。有用な拡散層としては、例えば、体積拡散体及び表面拡散体が挙げられる。いくつかの実施形態では、拡散層は、70%未満(好ましくは60%未満、又はより好ましくは50%未満)の透明度と、少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%)の可視光透過率と、60%未満(好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満、及び更により好ましくは40%未満又は30%未満)のバルクヘイズと、を有する。透明度、透過率、及びヘイズは、ASTM D1003-13に従ってHaze Gard Plus(BYK Gardner(Columbia,MD)製)を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、拡散層は、LCFの光入力面又は光出力面の上にラミネートされている。
【0045】
体積拡散体は、例えば、拡散光学接着剤とすることができる。有用な拡散光学接着剤としては、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)及び構造用接着剤が挙げられる。
【0046】
1つの有用な体積拡散体は、米国特許第9,960,389号(Haoら)に記載のポリマーフィルムである。ポリマーフィルムは、2つの主表面を有する第1のポリマー層を含み、この第1のポリマー層は、屈折率n1を有する第1のポリマーマトリックスと、第1のポリマーマトリックス中に均一に分散された屈折率n2を有する粒子と、を含み、この粒子は、第1のポリマー層の体積を基準にして、30体積%未満の量で存在し、かつ400nm~3000nmの粒径範囲を有し、n1は、n2と異なる。
【0047】
特定の実施形態では、ポリマーフィルムは、2つの主表面を有するポリマー層を含む。このポリマー層は、ポリマーマトリックスと、この第1のポリマーマトリックス中に均一に分散された粒子(好ましくはポリマー粒子)と、を含む。特定の実施形態では、そのようなポリマーフィルムは、ボイドフリー(void-free)である。本文脈中、「ボイドフリー」は、細孔又はボイドが0.5体積パーセント(体積%)未満で存在することを意味する。
【0048】
特定の実施形態では、ポリマーフィルムは、第1のポリマー層の1つの主表面上に配置された第2のポリマー層を含み、第1のポリマー層は、ポリマーマトリックス(すなわち、第1のポリマーマトリックス)と、粒子と、を含む。第2のポリマー層は、第2のポリマーマトリックスを含む。第1のポリマーマトリックス及び第2のポリマーマトリックスは、同一でも異なっていてもよい。
【0049】
第1のポリマーマトリックス(粒子が分散しているマトリックス)は、屈折率n1を有し、第2のポリマーマトリックスは、屈折率n3を有する。特定の実施形態では、第1のポリマーマトリックス及び第2のポリマーマトリックスは、同一材料を含む。特定の実施形態では、第1のポリマーマトリックスは、第2のポリマーマトリックスと異なる。
【0050】
特定の実施形態では、第1及び第2のポリマーマトリックスが異なる場合、n1は、n3と少なくとも0.05単位異なる。特定の実施形態では、n1はn3から0.2単位以内であり、特定の実施形態では、n1はn3から0.1単位以内である。本文脈中、「以内」は、0.2単位(又は0.1単位)以内で、より高い又はより低いことを意味する。
【0051】
特定の実施形態では、第1のポリマーマトリックス及び第2のポリマーマトリックスのうちの少なくとも1つは、接着剤マトリックスである。特定の実施形態では、第1のポリマーマトリックス及び第2のポリマーマトリックスはそれぞれ、接着剤マトリックスを含む。特定の実施形態では、第1の接着剤マトリックス及び第2の接着剤マトリックスは、同一材料を含む。特定の実施形態では、第1の接着剤マトリックスは、第2の接着剤マトリックスとは異なる。
【0052】
特定の実施形態では、ポリマーフィルムの第1の(場合によっては、唯一の)ポリマー層は、少なくとも10マイクロメートル(ミクロン又はμm)の厚さを有する。特定の実施形態では、ポリマーフィルムの第1の(場合によっては、唯一の)ポリマー層は、最大100ミクロン、又は最大50ミクロン、又は最大25ミクロン、又は最大15ミクロンの厚さを有する。
【0053】
特定の実施形態では、ポリマーフィルムの第2のポリマー層は、少なくとも25ミクロンの厚さを有する。この第2のポリマー層に最大厚さは存在しないが、特定の実施形態では、最大1ミリメートル(mm)の厚さであり得る。
【0054】
特定の実施形態では、ポリマーフィルム全体は、少なくとも35ミクロンの厚さを有する。特定の実施形態では、ポリマーフィルム全体は、最大130ミクロンの厚さを有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、以下の特徴:70%未満(好ましくは60%未満、又はより好ましくは50%未満)の透明度と、少なくとも85%(好ましくは少なくとも90%)の可視光透過率と、60%未満(好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満、及び更にはより好ましくは40%未満又は30%未満)のバルクヘイズと、を有する。
【0056】
本開示では、ポリマー粒子などの粒子は、ポリマーマトリックス中に均一に分散される。本文脈中、「均一に分散された」は、ポリマーマトリックス全体にわたって連続的にランダムに分散された粒子分布を意味する。このような分散された粒子は、分散された個々の粒子であり、粒子のアグリゲート又はアグリゲーションではない。このようなアグリゲートの存在により、業界ではスパークルとして既知の欠陥として照明ディスプレイに現れる、非常に局所化されたヘイズ差が生まれる。
【0057】
ポリマーマトリックス中に均一に分散された粒子を得るために、混合プロセス及びコーティング方法を制御する必要がある。例えば、ポリマー前駆体(例えば、硬化性モノマー)又はポリマー組成物中に粒子を効果的に分散させるために、機械的混合を約数分間にわたって実施してもよい。別法としては、試料(ポリマー前駆体又は溶液に添加される乾燥粒子)のローリングを実施してもよいが、完全かつ均質な粒子分散体を得るために、これは、長時間(例えば、約数日又は約数週間)にわたって行われる必要がある。したがって、ローラ混合は、非常に実用的又は有効ではなく、機械的混合が、その効率及び高い剪断能力のために好ましい。機械的混合は、初期混合中に存在し得るあらゆる粒子アグロメレートを破壊するのに役立つ。
【0058】
機械的混合に加えて、機械的に混合される成分へ粒子を制御しながら(ゆっくりと)添加することが、典型的には、個々の粒子のアグロメレーションを避けるために必要である。粒子を急速に添加すると、「ウェットケーキ様固体」を形成しやすい場合があり、これは、一旦形成されると再分散するのが困難である。ゆっくりと添加するには、少量(すなわち、小ショット)の粒子を添加することが必要となり得るため、ミキサーに負担がかからず、ケーキが形成されない。小ショットの粒子が混合されると、別のショットが添加される。ケーキが形成されると、それを破壊し、適度な時間で完全に均一な分散体を得ることは困難であり得る。
【0059】
したがって、特定の実施形態では、ポリマーマトリックス中に粒子を効果的に均一に分散させるために、高剪断ミキサー(例えば、分散ディスクDSFB635、Promix(Ontario、Canada)製)を、粒子をゆっくりと添加することと組み合わせるのが好ましい。典型的には、より堅牢なポリマー又は無機ビーズに関しては、高剪断を使用することができ、一方、より軟質又はより脆い粒子に関しては、より低いがより長い剪断曝露が推奨される。
【0060】
加えて、粒子アグリゲーションが発生した場合、十分な混合時間を使用して、溶液中の粒子アグリゲーションを破壊することができる。更に、粒子沈降及び/又はアグロメレーションを回避するために、ポリマー/粒子混合物は、基材上にコーティングされるまで、少なくともローラ上で連続的に混合される。剪断/混合時間が、コーティング組成物中に粒子を均一に分散させるのに十分であれば、コーティングプロセス中のインライン混合を有利に使用することができる。Quadro(Waterloo(Ontario、Canada))から入手可能なものなどのインラインミキサーが有用であり得る。
【0061】
最終ポリマーフィルム中に均一に分散された粒子を保持するために、スロットダイコーティングなどの精密コーティング方法によってコーティング組成物がコーティングされることがまた好ましく、ダイとキャリアフィルムとの間の間隙は比較的大きいことが好ましい。
【0062】
粒子は、400ナノメートル(nm)~3000nmの粒径範囲、又は700nm~2.0マイクロメートル(ミクロン)の粒径範囲を有する。この観点で、「粒径」は、粒子の最長寸法を指し、これは、球状の粒子における直径である。「粒径範囲」は、粒径の最小から最大までの分布を指す(平均ではない)。したがって、粒子は、必ずしも均一な粒径ではない。粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して判定することができる。
【0063】
粒子は、多面体、平行六面体、ひし形、円筒形、弓形、弓形円筒形、丸みを帯びた形状(例えば、楕円形又は球形又は等軸形)、半球形、ガムドロップ形、ベル形、円錐形、円錐台形、不規則形状、及びこれらの混合物を含む、種々の形状のものであり得る。特定の実施形態では、粒子は、球状ビーズである。
【0064】
本開示のポリマーフィルムは、2つの主表面を有する第1のポリマー層であって、この第1のポリマー層が、第1のポリマーマトリックスと、その中に均一に分散された粒子(好ましくはポリマー粒子)と、を含む、第1のポリマー層を含む。粒子は、屈折率n2を有し、粒子が分散された第1のポリマーマトリックスは、屈折率n1を有し、n1が、n2と異なる。特定の実施形態では、n1は、n2と少なくとも0.01単位異なる。特定の実施形態では、n1は、n2と少なくとも0.02単位、又は少なくとも0.03単位、又は少なくとも0.04単位、又は少なくとも0.05単位異なる。特定の実施形態では、n1は、n2と最大0.5単位異なる。特定の実施形態では、n1は、n2から0.5単位以内であり、n1は、n2から0.4単位以内であり、n1は、n2から0.3単位以内であり、n1は、n2から0.2単位以内であり、又はn1は、n2から0.1単位以内である。これに関連して、「以内」は、0.5単位(又は0.4単位、又は0.3単位、又は0.2単位、又は0.1単位)以内で、より高い又はより低いことを意味する。
【0065】
粒子は、好ましくは有機ポリマー粒子であるが、他の粒子も同様に使用することができる。例示的な非有機粒子としては、SiO2、Al2O3、ZrO2、ZnO、及びこれらの混合物が挙げられる。有機粒子中で使用するための例示的な有機ポリマーとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせから選択される有機ポリマー材料が挙げられる。
【0066】
特定の実施形態では、粒子は、第1のポリマー層の体積を基準として、30体積パーセント(体積%)未満の量で第1のポリマー層中に存在する。特定の実施形態では、粒子は、第1のポリマー層の総体積を基準にして、最大25体積%、最大20体積%、又は最大15体積%の量で第1のポリマーマトリックス中に存在する。特定の実施形態では、粒子は、第1のポリマー層の総体積を基準にして、少なくとも0.5体積%(又は少なくとも1体積%)の量で第1のポリマーマトリックス中に存在する。
【0067】
本開示のポリマーフィルムのポリマーマトリックスには、多種多様なポリマーを使用してもよい。ポリマーマトリックス中で使用するための例示的なポリマーとしては、シリコーン、アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリオレフィンが挙げられる。
【0068】
特定の実施形態では、ポリマーマトリックスは、単相ポリマーマトリックス、又は多相モルホロジーを有するポリマーマトリックスから選択することができる。多相モルホロジーは、例えば、非晶質ドメイン及び結晶性ドメインの両方を有する半結晶ポリマーなどのポリマーマトリックスの選択に固有であり得るか、又はポリマーブレンドから生じ得る。別法としては、多相モルホロジーは、ポリマーマトリックスの乾燥中又は硬化中に発生し得る。多相モルホロジーを有する有用なポリマーマトリックスとしては、相のそれぞれが同一の屈折率を有するもの、又は屈折率が不整合であるが、分散相のドメインサイズがポリマーマトリックス中に分散された粒子の粒径を超えないものが挙げられる。
【0069】
特定の実施形態では、ポリマーマトリックスは、接着剤マトリックスである。特定の実施形態では、少なくとも1つの接着剤マトリックスは、光学的に透明な接着剤(OCA)(optically clear adhesive)を含む。特定の実施形態では、光学的に透明な接着剤は、アクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリイソブチレン(PIB)など)、シリコーン、又はこれらの組み合わせから選択される。例示的なOCAとしては、帯電防止の光学的に透明な感圧接着剤に関する国際公開第2008/128073号(3M Innovative Property Co.)、引っ張り剥離式OCAに関する米国特許出願公開第2009/089137号(Shermanら)、インジウムスズ酸化物適合性OCAに関する米国特許出願公開第2009/0087629号(Everaertsら)、光学的透過性接着剤を有する帯電防止の光学構造に関する米国特許出願公開第2010/0028564号(Chengら)、腐食感受性層と適合性のある接着剤に関する米国特許出願公開第2010/0040842号(Everaertsら)、光学的に透明な引っ張り剥離式接着テープに関する米国特許出願公開第2011/0126968号(Dolezalら)、及び引っ張り剥離式接着テープに関する米国特許第8,557,378号(Yamanakaら)に記載されるようなものが挙げられる。好適なOCAとしては、例えば3M Company,St.Paul,MN.から入手可能な、例えば3M OCA 8146などのアクリル系の光学的に透明な感圧接着剤が挙げられる。
【0070】
二重層の実施形態については、ポリマー層は、同一材料であってもよく、又は2つの異なる材料で構成してもよい。いずれの場合も、各ポリマー層は、単相ポリマーマトリックスを含んでもよく、又は多相モルホロジーを有するポリマーマトリックスを含んでもよい。
【0071】
特定の実施形態では、二重層製品の構造は、特定の光拡散特性を有する1つの層と、光学的に透明な接着剤である第2の層と、を含み得る。
【0072】
表面拡散体は、光拡散をもたらす構造化表面を有する。有用な表面拡散体としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0293272号(Phamら)及び米国特許第2016/0146982号(Boydら)に開示されている構造化表面が挙げられる。フィルムは、構造化表面を有するツールを製造し、構造化表面を光学フィルムの主表面として微細複製することによって作製することができる。ツールの製造は、比較的高い平均粗さを有する第1の主表面を生成する条件下で、金属の第1の層を電着することを含み得、続いて、比較的低い平均粗さ、すなわち、第1の主表面よりも低い平均粗さを有する第2の主表面を生成する条件下で、第1の層の上に同じ金属の第2の層を電着することによって第1の層を覆う。第2の主表面は、光学フィルムの構造化主面を形成するために複製されると、光学ヘイズと光学的透明度との所望の組み合わせを、有利であり得る構造化表面のトポグラフィーに関連する他の特性と共にフィルムに提供する構造化トポグラフィーを有する。
【0073】
光学フィルムの構造化主表面は、所望の量の光学ヘイズ及び光学的透明度を有するフィルムを提供する。構造化主表面はまた、好ましくは、上述のアーチファクトのうちの1つ以上を回避又は低減する物理的特性を有することが好ましい。例えば、構造化表面のトポグラフィーは、超低周期性、すなわち、第1及び第2の直交面内方向のそれぞれに沿った空間周波数の関数として、フーリエスペクトルにおける任意の有意な周期性ピークが実質的に存在しないことを特徴とする表面プロファイルに、ある程度の不規則性又はランダム性を有し得る。更に、構造化表面は、例えば、別個の空洞及び/又は突出部の形態の識別可能な構造を含んでもよく、構造は、2つの直交面内方向に沿ってサイズが制限されてもよい。所与の構造のサイズは、平面図において円相当直径(equivalent circular diameter、ECD)という用語で表現されてもよく、かつ構造部は、平均ECDが、例えば15マイクロメートル未満、又は10マイクロメートル未満、又は4~10マイクロメートルの範囲であってもよい。いくつかの場合、構造は、より小さい構造と組み合わせて、より大きな構造の二峰性分布を有し得る。構造は、密に充填され、不規則に又は不均一に分散されてもよい。いくつかの場合、構造のうちの一部、大部分、又は実質的に全ては、湾曲していてもよく、又は丸みを帯びた、そうでなければ湾曲した基面を備えてもよい。いくつかの場合、構造のうちの一部が、ピラミッド形状でもよく、そうでなければほぼ平坦なファセットにより画定されてもよい。構造は、少なくともいくつかの場合、構造の深さ又は高さを、構造の特性横寸法(例えば、ECD)で割ったアスペクト比によって特徴付けることができる。構造化表面は、例えば、隣接する密に充填された構造の接合部に形成され得る稜線を含んでもよい。そのような場合、構造化表面(又はその代表的部分)の平面図は、単位面積当たりの全稜線長さの観点から特徴付けることができる。構造化表面に、又は構造化表面上に、又は光学フィルム内のどこかにビーズを使用せずに、光学拡散フィルムの光学ヘイズ、光学透明度、及び他の特徴をもたらすことができる。
【0074】
他の有用な拡散フィルムとしては、例えば、国際公開第2018/130926号(Derksら)に記載されているものなどのランダムに分布したプリズム構造が挙げられる。微細構造化表面は、微細構造化表面の基準平面から傾斜した複数のファセットを含む、複数のプリズム構造体の不規則な分布を含む。プリズム構造体は、個別に不規則又はランダムであってもよいが、プリズム構造体のファセットは、ファセットの表面方位角分布が基準平面に沿って実質的に均一となるように、サイズ決定、角度付け、及び分散されてもよいが、ファセットの面極角分布は、基準平面に通常入射する光のピーク透過率と相関する極角範囲内に実質的に含まれることができる。このファセットの分布は、プリズム構造体を有する主表面全体を実質的に被覆しながら、ベース角度の均等分布を有する円錐形プリズム構造体の集合の光学分布特性などの円錐形光学分布特性に近似する微細構造化表面の光学分布特性をもたらすことができる。相互に接続されたファセット表面を使用すれば、光学フィルムの表面全体を微細構造化表面によって被覆することができる。プリズム構造体を不規則に分布させれば、パターン化又は規則的なフィルムに現れるモアレ効果を低減することができる。
【0075】
有用な微細複製フィルムの他の例は、米国特許第8,657,472号(Aronsonら)、同第8,888,333号(Yapelら)、同第9,618,791号(Haagら)、並びに米国特許出願公開第2014/0355125号(Boydら)及び同第2016/0216413号(Naismithら)に記載されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、表面拡散体は、表面拡散体材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料に埋め込まれてもよい。
【0077】
本発明のLCDは、自動車用ディスプレイとして特に有用である。典型的には、自動車用LCDにおいて、LCFは、光のコリメーションのためにバックライトモジュール設計に組み込まれる。
図9は、先行技術のLCDの断面概略図を示す。LCD900は、バックライトモジュール910、LCF920、及びLCパネル930を含む。バックライトモジュール910は、反射体912、導光体914、拡散体916、プリズムフィルム918、及び反射型偏光子919を含む。LCF920は、反射型偏光子919とLCパネル930との間に位置し、したがって、LCF920は、LCパネルの吸収型偏光子と反射型偏光子との間にある。
【0078】
LCパネルの前面側又は観察側にLCFを配置することにより、LCDの輝度[brightness]が大幅に増大することが発見された。
図10は、本開示のLCDの一実施形態の断面概略図を示す。LCD1000は、バックライトモジュール1010、LCF1020、及びLCパネル1030を含む。LCF1020は、LCパネル1030の上部に位置し、したがって、LCF1020は、LCパネルの吸収型偏光子と反射型偏光子との間にもはやない。LCF1020は、LCパネル1030の上に積み重ねられてもよく、又はLCパネル1030の上にラミネートされてもよい。
【0079】
図11は、本発明のLCDの別の実施形態を示す。LCD1100は、バックライトモジュール1110、LCF1120、LCパネル1130、及び拡散層1140を含む。LCF1120は、LCパネル1130の上部に位置し、拡散層1140は、LCパネル1130とLCF1120との間にある。
【0080】
図12は、本発明のLCDの別の実施形態を示す。LCD1200は、バックライトモジュール1210、LCF1220、LCパネル1230、及び拡散層1240を含む。LCF1220は、LCパネル1230の上部に位置し、拡散層1240は、LCF1220の前面側にある。
【実施例】
【0081】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例に記載された特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【0082】
特に言及されていない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全てのパート、百分率及び比率などは重量によるものである。特に言及されていない限り、全ての化学製品は、Missouri州St.Louis在所のSigma-Aldrich Co.などの化学製品供給業者から入手されたものであるか、あるいは入手可能である。
【0083】
材料
以下は、実施例全体にわたって使用されている材料のリスト、並びにそれらの簡単な説明及び由来である。
【0084】
鋳造及び硬化微細複製プロセス(調製実施例1)に使用された樹脂A、並びに実施例における屈折率整合バックフィル材料の成分は、下表1に列挙されている。レイヤー・バイ・レイヤーコーティングのための原料は、以下の表2に列挙されている。反応性イオンエッチングのための原料は、以下の表3に列挙されている。拡散接着剤調製のための原料は、以下の表4に列挙されている。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
準備実施例1(PE1):「方形波」微細構造フィルムの調製
ダイヤモンド(先端幅29.0μm、夾角3°、深さ87μm)を使用して、複数の平行直線溝を有するツールが切断された。溝は、62.6ミクロンのピッチで間隔が隔てられた。
【0090】
樹脂Aを、以下の表5の材料を混合することによって調製した。
【0091】
【0092】
上で説明した樹脂A及びツールを使用して「鋳造及び硬化」高精細プロセスが実施された。ライン条件は、樹脂温度150°F、ダイ温度150°F、コーターIR 120°F縁/130°F中心、ツール温度100°F、及びライン速度70fpmであり、ピーク波長が385nmのFusion Dランプを使用して、100%電力で動作させて硬化された。得られた微細構造フィルムは、
図8に示されているように、チャネルによって分離された複数の突出部(例えば光透過領域)を備えていた。微細構造フィルムの突出部は、ツールの溝のネガ複製である。突出部は1.5度の壁角度を有し、したがって突出部はわずかに先細りになっている(光入力面でより広く、光出力面でより狭い)。微細構造フィルムのチャネルは、溝の間のツールの非切断部分のネガ複製である。
【0093】
微細構造フィルムの上にレイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを製造するための方法
レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングは、Svaya Nanotechnologies,Inc.(California州Sunnyvale)から購入した装置を使用して行われ、米国特許第8,234,998号(Krogmanら)、並びにKrogman et al.Automated Process for Improved Uniformity and Versatility of Layer-by-Layer Deposition,Langmuir2007,23,3137-3141に記載されているシステムにならってモデル化された。
【0094】
この装置は、コーティング溶液を充填された圧力容器を備えている。平らな噴霧パターンを有する噴霧ノズル(Illinois州Wheaton在所のSpraying Systems,Inc.製)が取り付けられ、ソレノイドバルブによって制御される特定の時間にコーティング溶液及び濯ぎ水が噴霧された。コーティング溶液が入っている圧力容器(Wisconsin州Waukesha在所のAlloy Products Corp.)が、窒素によって30psiまで加圧され、一方、脱イオン(DI)水が入っている圧力容器は、空気によって30psiまで加圧された。コーティング溶液ノズルからの流量は、それぞれ1時間当たり10ガロンであり、一方、DI水濯ぎノズルからの流量は、1時間当たり40ガロンであった。コーティングされる基板は、エポキシ(Minnesota州St. Paul在所の3M CompanyのScotch-Weldエポキシ接着剤、DP100 Clear)を使用して、ガラスプレート(12インチ×12インチ×厚さ1/8インチ)(Minnesota州Minneapolis在所のBrin Northwestern Glass Co.)に接着され、ガラスプレートは、垂直方向の移行ステージ上に取り付けられ、真空チャックを使用して所定の位置に保持された。典型的なコーティングシーケンスで、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリカチオン(例えばPDAC)溶液が基板の上に噴霧された。次に、12秒間の休止時間の後に、ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水溶液が基板の上に噴霧された。次に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。次に、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリアニオン(例えば顔料ナノ粒子)溶液が基板の上に噴霧された。もう12秒間の休止期間を経過させた。ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水溶液が基板の上に噴霧された。最後に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。上記のシーケンスを繰り返して、(ポリカチオン/ポリアニオン)nとして表される多数の「二分子層」が堆積され、nは二分子層の数である。
【0095】
微細構造フィルムを反応性イオンエッチングするための方法
反応性イオンエッチング(RIE)が、並列プレート容量結合プラズマ反応器内で実施された。チャンバは、18.3ft2の表面積を有する中央円筒型被電力供給電極を有している。微細構造フィルムを被電力供給電極の上に置いた後、反応器チャンバが1.3Pa(2ミリトル)未満のベース圧力までポンプダウンされた。Ar(アルゴン)ガス及びO2(酸素)ガスの混合物が、それぞれ100SCCMの速度でチャンバ内に流された。RF電力を13.56MHzの周波数及び6000ワットの印加電力で反応器中に結合することにより、プラズマ増速CVD法を使用して処理が実施された。反応ゾーンを通して微細構造フィルムを移動させることによって処理時間が制御された。この処理に引き続いて、RF電力及びガスの供給が停止され、チャンバが大気圧に戻された。材料、円筒型RIEを適用するためのプロセス、及び使用される反応器の周囲の更なる詳細に関する追加情報は、米国特許第8460568(B2)号に見出すことができる。
【0096】
微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法
微細構造フィルム表面と、頂部に置かれた厚さ2ミルの一片の非下塗り処理PETフィルムとの間に樹脂をピペットで移し、ハンドローラを使用して頂部PETフィルムに圧力を印加し、次に、500ワット電力の「H」バルブを有するHERAEUS(ドイツのHanau在所)ベルトコンベアUVプロセッサ(モデル番号DRS(6))を使用してUV硬化させることにより、PE1で使用された樹脂Aがチャネルにバックフィルされた。具体的には、試料は、50ft/分の搬送速度で、3回にわたってUV硬化ステーションを通して送られた。次に、頂部PETフィルムが手で微細構造フィルムから剥がされた。
【0097】
拡散接着剤の調製
拡散性感圧接着剤配合物を以下のように調製した:最初にアクリルアミド(3部)をHEA(14部)に溶解し、次いでEHA(65部)、EHMA(18部)、及び0.15部のIrgacure 651を添加することによってモノマープレミックスを調製した。窒素(不活性)雰囲気下、この混合物を紫外線発光ダイオード(UVA-LED)によって生成された紫外線に曝露することにより、部分的に重合させて、約1000センチポアズ(cp)の粘度を有するコーティング可能なシロップ剤を得た。次いで、HDDA(0.24部)、IRGACURE 651(0.18部)、及びKBM-403(0.05部)をシロップ剤に添加して、均質な接着剤コーティング溶液を形成した。最後に、MX-1000ポリマービーズを、オーバーヘッドJiffy LM Pintミキサー(Jiffy Mixer Co.Inc,(Corona,CA)製)を使用して2時間高速撹拌しながら、1:9の重量比で接着剤溶液に添加し、乳白色の接着剤コーティング溶液を、コーティング前に更に3日間混合ローラの上に置いた。
【0098】
拡散性PSAを、75ミクロンの厚さで、対応する配合物を2つのシリコーン処理された剥離ライナーの間にナイフコーティングすることによって調製した。次に、得られたコーティングされた材料を、極大値351nmで300~400nmのスペクトル出力を有する低強度紫外線(1平方センチメートル当たり1ジュール(J/cm2)の全エネルギー)に曝露した。
【0099】
拡散光源からの輝度[luminance]プロファイルを測定するための試験方法
Eldim L80コノスコープ(Eldim S.A.、フランスのHEROUVILLE SAINT CLAIR在所)を使用して、全ての極性及び方位角で、半球型に同時に光出力が検出された。検出後、特に指示されていない限り、輝度[luminance](例えば輝度[brightness])読値の断面は、ルーバーの方向(0°配向角度として示されている)に対して直交する方向に取られた。12.3インチの1920×720LCDバックライトを3M BEF3-t-155nプリズムフィルムと共に底部拡散体の上方に配置し、そのプリズムフィルムの上方に3M ARP-320を配置して、従来のフィルム積層体を作成した。全ての測定についてバックライトを同じ電力レベルで保持した。
【0100】
実施例の説明
ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)基材及びポリカーボネート(PC)基材の両方の上で、調製実施例1で上述したように方形波フィルムを調製した。次に、同じ基材材料を他方の面にラミネートして、構造を封入した。ルーバーフィルムのタイプは、以降、PETタイプ又はPCタイプのルーバーフィルムのいずれかとしてラベル付けされる。
【0101】
実施例は、4つの実施例を形成するために、2つのルーバータイプ(PC及びPET)及び2つの構成(LCDパネルの上にラミネートされる構成、及びLCDパネルと静止接触している構成)で構築される。
図10は、LCDパネルと接触して配置されたルーバーフィルムのサンプル構成を示す。
図11は、ルーバーフィルムがLCDパネルの上にラミネートされたサンプル構成を示す。
図9は、ルーバーフィルムがバックライトユニットとLCDパネルとの間に配置される比較サンプル構成を示す。実施例1は、LCDパネルと静止接触するPETルーバーフィルムタイプから構成される。実施例2は、拡散接着剤を使用してLCDパネルにラミネートされたPETルーバーフィルムタイプから構成される。実施例3は、LCDパネルと静止接触しているPCルーバータイプフィルムから構成される。実施例4は、拡散接着剤を使用してLCDパネルにラミネートされたPCルーバーフィルムタイプから構成される。比較例1は、バックライトユニットとLCDパネルとの間に配置されたPETルーバーフィルムから構成される。比較例2は、バックライトユニットとLCDパネルとの間に配置されたPCルーバーフィルムから構成される。
【0102】
測定結果
PETタイプルーバフィルムの輝度[luminance]断面測定の結果を
図13に示し、結果を表6にまとめる。PCタイプルーバフィルムの輝度[luminance]断面測定の結果を
図14に示し、結果を表7にまとめる。
【0103】
【0104】
【0105】
本明細書中に引用している刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明に対する様々な改変及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、このような実施例及び実施形態は例としてのみ提示されており、本発明の範囲は、本明細書で以下のとおり記載される特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図しているものと理解されたい。以下に例示的実施形態を示す。
[項目1]
液晶ディスプレイであって、
反射型偏光フィルムを含むバックライトモジュールと、
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が、少なくとも30のアスペクト比を有する、交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、
前記バックライトモジュールと前記光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、
を備える、液晶ディスプレイ。
[項目2]
前記光制御フィルムの前記光入力面又は前記光出力面上に配置された拡散層を更に備え、前記拡散層が、70%未満の透明度及び60%未満のヘイズを有する、項目1に記載の液晶ディスプレイ。
[項目3]
前記拡散層が、前記光制御フィルムの前記光入力面又は前記光出力面の上にラミネートされている、項目2に記載の液晶ディスプレイ。
[項目4]
前記光制御フィルムのデューティサイクルが、70%~99.9%である、項目1~3のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目5]
前記拡散層が体積拡散体である、項目2~4のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目6]
前記拡散層が、ポリマーマトリックス及びポリマー粒子を含む拡散光学接着剤を含み、前記拡散光学接着剤が、前記光制御フィルムの前記光入力面を前記液晶パネルに結合する、項目5に記載の液晶ディスプレイ。
[項目7]
前記拡散光学接着剤が感圧接着剤である、項目6に記載の液晶ディスプレイ。
[項目8]
前記拡散光学接着剤が構造用接着剤である、項目6に記載の液晶ディスプレイ。
[項目9]
前記拡散層が表面拡散体である、項目2~4のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目10]
前記表面拡散体が、第1の屈折率を有する材料を含み、前記表面拡散体が、前記第1の屈折率よりも低い屈折率を有する材料に埋め込まれている、項目9に記載の液晶ディスプレイ。
[項目11]
液晶ディスプレイであって、
バックライトモジュールと、
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域と、を備える、光制御フィルムと、
前記バックライトモジュールと前記光制御フィルムとの間に配置された液晶パネルと、
前記光制御フィルムの前記光入力面の上にラミネートされた拡散層であって、前記拡散層が、70%未満の透明度及び60%未満のヘイズを有する、拡散層と、
を備える、液晶ディスプレイ。
[項目12]
前記吸収領域が少なくとも5のアスペクト比を有する、項目11に記載の液晶ディスプレイ。
[項目13]
前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有する、項目12に記載の液晶ディスプレイ。
[項目14]
前記光制御フィルムのデューティサイクルが、70%~99.9%である、項目11~13のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目15]
前記拡散層が体積拡散体である、項目11~14のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目16]
前記拡散層が、ポリマーマトリックス及びポリマー粒子を含む拡散光学接着剤を含み、前記拡散光学接着剤が、前記光制御フィルムの前記光入力面を前記液晶パネルに結合する、項目15に記載の液晶ディスプレイ。
[項目17]
前記拡散光学接着剤が感圧接着剤である、項目16に記載の液晶ディスプレイ。
[項目18]
前記拡散光学接着剤が構造用接着剤である、項目16に記載の液晶ディスプレイ。
[項目19]
前記拡散層が表面拡散体である、項目11~14のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
[項目20]
前記表面拡散体が、第1の屈折率を有する材料を含み、前記表面拡散体が、前記第1の屈折率よりも低い屈折率を有する材料に埋め込まれている、項目19に記載の液晶ディスプレイ。