(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】デジタル印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 101
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2021536799
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2019061081
(87)【国際公開番号】W WO2020136517
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】ザルミ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】シマン,トヴ,アロン
(72)【発明者】
【氏名】ケレン,アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ザクハリン,イェヴゲニー
(72)【発明者】
【氏名】グルエッター,アルリッチ
(72)【発明者】
【氏名】シュトラッサー,ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ステイン,ヨアブ
(72)【発明者】
【氏名】レズニコブ ポルズマン,オラ
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515394(JP,A)
【文献】特開2003-127480(JP,A)
【文献】特開2005-153525(JP,A)
【文献】特開2018-144435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル印刷システムであって、
画像を形成するために印刷流体を受け取るように構成されている、中間転写部材(ITM)と、
前記ITMから前記画像を受け取るために前記ITMと係合ポイントで係合するように構成されている、連続対象基材であって、前記係合ポイントにおいて、前記ITMは、第1の速度で移動するように構成されており、前記連続対象基材は第2の速度で移動するように構成されている、連続対象基材と、
前記ITMおよび前記対象基材の一方または両方を移動させるように構成された電動モーターと、
(i)前記電動モーターを流れる電流における時間的変化を示す信号を受信し、(ii)前記信号に応答して前記第1の速度と前記第2の速度を前記係合ポイントで一致させるように構成されている、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記システムは、第1のドラムおよび第2のドラムを含み、前記第1のドラムは、前記ITMを前記第1の速度で移動させるために第1の方向および第1の回転速度で回転するように構成されており、前記第2のドラムは、前記連続対象基材を前記第2の速度で移動させるために第2の方向および第2の回転速度で回転するように構成されており、前記プロセッサは、前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの一方または両方を移動させることにより前記係合ポイントにおいて前記ITMと前記連続対象基材との間で係合および解放させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第1の速度と前記第2の速度の差を示す電気信号を受信し、前記電気信号に基づき、前記第1の速度および前記第2の速度を一致させるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、(a)前記第1のドラムと前記第2のドラムとの間の係合および解放のタイミング、(b)前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの少なくとも1つの動きプロファイル、ならびに(c)解放された第1のドラムと第2のドラムとの間の間隙のサイズ、から成るリストから選択された少なくとも1つの動作を設定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記電流におけ
る時間的変化を減少させることにより前記第1の速度および前記第2の速度を一致させるように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記時間的変化は、前記電流の勾配を、所定の時間間隔にわたる、時間の関数として含む、請求項
1または
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記電流におけ
る時間的変化を減少させることにより、前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの少なくとも1つの熱膨張を補正するように構成される、請求項
2または4に記載のシステム。
【請求項8】
前記連続対象基材は、第1の厚さを有する第1の基材、または前記第1の厚さとは異なる、第2の厚さを有する第2の基材を含み、前記プロセッサは、前記電流におけ
る時間的変化を減少させることにより、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの差を補正するように構成される、請求項
1または5に記載のシステム。
【請求項9】
前記ITMは、継ぎ目部によって閉じられているループの形をしており、前記プロセッサは、前記継ぎ目部と前記連続対象基材との間の物理的接触を、
前記継ぎ目部が前記係合ポイントを通過する時間間隔の間、前記ITMと前記連続対象基材との間に一時的な解放を引き起こすことと、
前記一時的な解放を補正するために、前記時間間隔中に前記連続対象基材をバックトラックさせることと、
によって防ぐように構成される、請求項1
または5に記載のシステム。
【請求項10】
前記連続対象基材をバックトラックさせるように構成され、かつ、前記連続対象基材と物理的に接触する少なくとも第1の移動可能なローラーおよび第2の移動可能なローラーを含み、前記ローラーを相互に動かすことにより前記連続対象基材をバックトラックさせるように構成される、バックトラッキング機構を備える、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
方法であって、
画像を形成するために、印刷流体を中間転写部材(ITM)上で受け取ることと、
前記ITMから前記画像を受け取るために、連続対象基材を係合ポイントで前記ITMと係合し、前記係合ポイントにおいて、前記ITMを第1の速度で移動させ、前記連続対象基材を第2の速度で移動させることと、
前記ITMおよび前記対象基材の一方または両方を、電動モーターを使用して移動させることと、
前記電動モーターを流れる電流における時間的変化を示す信号を受信することと、
前記信号に応答して前記第1の速度および前記第2の速度を前記係合ポイントで一致させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記ITMを前記第1の速度で移動させるために第1のドラムを第1の方向および第1の回転速度で回転させることと、前記連続対象基材を前記第2の速度で移動させるために第2のドラムを第2の方向および第2の回転速度で回転させることと、前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの一方または両方を移動させることにより前記係合ポイントにおいて前記ITMと前記連続対象基材との間で係合および解放させることとを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の速度および前記第2の速度を一致させることは、前記第1の速度と前記第2の速度の差を示す電気信号を受信することと、前記電気信号に基づき、前記第1の速度および前記第2の速度を一致させることとを含む、請求項
11または
12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の速度および前記第2の速度を一致させることは、(a)前記第1のドラムと前記第2のドラムとの間の少なくともひとつの係合および解放のタイミング、(b)前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの少なくとも1つの動きプロファイル、ならびに(c)解放された第1のドラムと第2のドラムとの間の間隙のサイズ、から成るリストから選択された少なくとも1つの動作を設定することを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の速度および前記第2の速度を一致させることは
、(a)前記電流におけ
る時間的変化を減少させること、
および(
b)前記電流におけ
る時間的変化を減少させることにより、前記第1のドラムおよび前記第2のドラムの少なくとも1つの熱膨張を補正することのうちの少なくとも1つを含む、請求項12
または14に記載の方法。
【請求項16】
前記連続対象基材は、第1の厚さを有する第1の基材、または前記第1の厚さとは異なる、第2の厚さを有する第2の基材を含み、かつ前記第1の速度および前記第2の速度を一致させることは、前記電流におけ
る時間的変化を減少させることにより、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの差を補正することを含む、請求項
11、12、および14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月24日に出願された米国仮特許出願第62/784,576号および2018年12月24日に出願された米国仮特許出願第62/784,579号の利益を主張し、それらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にデジタル印刷に関し、詳細には連続基材上へのデジタル印刷のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ラベルおよびプラスチック袋の製造などの、様々な用途において、適切な連続媒体上への画像の印刷が必要とされる。さらに、デジタル印刷において、歪み、とりわけ幾何学的歪みを監視して減らすための様々な方法が開発されている。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第2002/0149771号は、それぞれ検査光および補助光をフィルムストリップの位置上に投影する検査光プロジェクタおよび補助発光器を含む検査装置を記述する。フィルムストリップを送出した後、検査光が欠陥検出器によって受信される。検査光を受信すると、欠陥検出器はデータ信号を生成し、それをコントローラに送信する。コントローラでは、データ信号のレベルの閾値が記憶され、データ信号のレベルが閾値と比較される。データ信号のレベルが閾値未満になる場合、コントローラはフィルムストリップに着色欠陥があると判断する。
【0005】
米国特許出願公開第2010/0165333号は、ラミネートフィルムを検査するための方法および装置を記述する。方法は、保護フィルムをフィルム本体から分離したフィルム本体の表側上で欠陥の存在を検査する第1の検査プロセスを含む。方法は、セパレータをフィルム本体から分離して取り除いたフィルム本体を垂直方向に向けられたフィルム移動経路に導入しながらフィルム本体における欠陥の存在を縦向きで検査して、検出データを格納する第2の検査プロセスをさらに含む。
【0006】
米国特許第5,969,372号は、光学式イメージスキャナにおいて透過像上で表面欠陥およびアーチファクトを検出し、結果として生じるスキャンされた画像を補正するための方法および装置を記述する。あるスキャンで、画像が正常にスキャンされる。ダスト、スクラッチおよび指紋などの表面欠陥およびアーチファクトが、赤外線を使用して別個のスキャンを提供することにより、または欠陥およびアーチファクトによって散乱もしくは回折される光(白または赤外線)を測定することにより、検出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書で説明される本発明の一実施形態は、デジタル印刷システムを提供し、画像を形成するために印刷流体を受け取るように構成されている、中間転写部材(ITM)、連続対象基材、およびプロセッサを含む。連続対象基材は、ITMから画像を受け取るためにITMと係合ポイントで係合するように構成されており、係合ポイントにおいて、ITMは、第1の速度で移動するように構成されており、連続対象基材は第2の速度で移動するように構成されている。プロセッサは第1の速度および第2の速度を係合ポイントで一致させるように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、印刷流体は、画像をその表面に形成するためにインク供給システムから受け取ったインク液滴を含む。他の実施形態では、システムは、第1および第2のドラムを含み、第1のドラムは、ITMを第1の速度で移動させるために第1の方向および第1の回転速度で回転するように構成されており、第2のドラムは、連続対象基材を第2の速度で移動させるために第2の方向および第2の回転速度で回転するように構成されており、プロセッサは、第1のドラムおよび第2のドラムの一方または両方を動かすことにより係合ポイントにおいてITMと連続対象基材との間で係合および解放させるように構成される。さらに他の実施形態では、プロセッサは、第1の速度と第2の速度との差を示す電気信号を受信し、その電気信号に基づき、第1および第2の速度を一致させるように構成される。
【0009】
一実施形態では、プロセッサは、(a)第1のドラムと第2のドラムとの間の係合および解放のタイミング、(b)第1および第2のドラムの少なくとも1つの動きプロファイル、ならびに(c)解放された第1のドラムと第2のドラムとの間の間隙のサイズ、から構成されるリストから選択された少なくとも1つの動作を設定するように構成される。別の実施形態では、システムは、ITMおよび対象基材の一方または両方を移動させるように構成された電動モーターを含み、プロセッサは、電動モーターを流れる電流における時間的変化を示す信号を受信し、信号に応答して第1の速度および第2の速度を一致させるように構成される。さらに別の実施形態では、プロセッサは、電流における時間的変化を減少させることにより第1の速度および第2の速度を一致させるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、時間的変化は、電流の勾配を、所定の時間間隔にわたる、時間の関数として含む。別の実施形態では、プロセッサは、電流における時間的変化を減少させることにより、第1のドラムおよび第2のドラムの少なくとも1つの熱膨張を補正するように構成される。さらに他の実施形態では、連続対象基材は、第1の厚さを有する第1の基材、または第1の厚さとは異なる、第2の厚さを有する第2の基材を含み、プロセッサは、電流における時間的変化を減少させることにより、第1の厚さと第2の厚さとの差を補正するように構成される。
【0011】
一実施形態では、ITMは、継ぎ目部によって閉じられているループの形をしており、プロセッサは、継ぎ目部と連続対象基材との間の物理的接触を、(a)継ぎ目部が係合ポイントを通過する時間間隔の間、ITMと連続対象基材との間に一時的な解放を引き起こすこと、および(b)一時的な解放を補正するために、その時間間隔の間、連続対象基材をバックトラックさせることによって防ぐように構成される。別の実施形態では、システムは、バックトラッキング機構を含んでおり、バックトラッキング機構は、連続対象基材をバックトラックさせるように構成され、連続対象基材と物理的に接触して、ローラーを相互に動かすことにより連続対象基材をバックトラックさせるように構成された少なくとも第1および第2の移動可能なローラーを含む。さらに別の実施形態では、ITMは、多層のスタックを含み、層の少なくとも1つ内に刻まれた1つ以上のマーカーをITMに沿った1つ以上のそれぞれのマーキング位置に有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、ITMに対して1つ以上のそれぞれ事前に定義された位置に配置された1つ以上の検知組立体を含み、検知組立体は、マーカーのそれぞれの位置を示す信号を生成するように構成される。他の実施形態では、プロセッサは、信号を受信し、その信号に基づき、インク液滴のITM上への付着を制御するように構成される。さらに他の実施形態では、システムは、少なくとも1つのステーションまたは組立体を含み、プロセッサは、信号に基づき、システムの少なくとも1つのステーションまたは組立体の動作を制御するように構成される。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つのステーションまたは組立体は、(a)画像形成ステーション、(b)刷ステーション、(c)ITM誘導システム、(d)1つ以上の乾燥組立体、(e)ITM処理ステーション、および(f)画像品質管理ステーション、から成るリストから選択される。別の実施形態では、システムは、画像形成モジュールを含み、それは、物質をITMに塗布するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、物質は、印刷流体の少なくとも一部を含む。他の実施形態では、画像形成モジュールは、グラビア印刷装置を含む。
【0015】
本発明の実施形態に従い、画像を形成するために、印刷流体を中間転写部材(ITM)上で受け取ることを含む、方法が追加として提供される。連続対象基材は、ITMから画像を受け取るために係合ポイントでITMと係合し、係合ポイントにおいて、ITMは第1の速度で移動し、連続対象基材は、第2の速度で移動する。第1の速度および第2の速度は係合ポイントで一致する。
【0016】
本発明の実施形態に従い、中間転写部材(ITM)、光源、画像センサー組立体、およびプロセッサを含むデジタル印刷システムがさらに提供される。ITMは、画像を形成するために印刷流体を受け取り、画像を対象基材に転写するために、対向する第1および第2の表面を有する対象基材と係合するように構成される。光源は、対象基材の第1の表面を光で照射するように構成される。画像センサー組立体は、対象基材を通して第2の表面に透過された光の少なくとも一部を結像し、結像された光に応答して電気信号を生成するように構成される。プロセッサは、電気信号に基づきデジタル画像を生成し、デジタル画像に基づき、印刷画像における少なくとも歪みを推定するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、対象基材は、連続対象基材を含む。他の実施形態では、歪みは、幾何学的歪みを含む。さらに他の実施形態では、プロセッサは、対象基材上の1つ以上のマークを分析することにより歪みを推定するように構成される。
【0018】
一実施形態では、マークの少なくとも1つは、バーコードを含む。別の実施形態では、光源は光拡散器を含む。別の実施形態では、光源は、少なくとも発光ダイオード(LED)を含む。さらに別の実施形態では、システムは、1つ以上の動き組立体を含み、それは、対象基材および画像センサー組立体の少なくとも1つを相互に対して動かすように構成されており、プロセッサは、1つ以上の動き組立体を制御することによりデジタル画像を生成するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、対象基材上に形成されたマークを、光源と画像センサー組立体との間に位置付けるために、1つ以上の動き組立体の少なくとも1つを使用するように構成される。他の実施形態では、動き組立体は、第1および第2の動き組立体を含み、プロセッサは、(i)第1および第2の動き組立体の一方だけを一度に動かす、ならびに(ii)第1および第2の動き組立体を同時に動かす、ように構成される。さらに他の実施形態では、プロセッサは、印刷画像の製造中に画像における少なくとも歪みを推定するように構成される。
【0020】
一実施形態では、プロセッサは、印刷流体の少なくとも密度を、対象基材を通して第2の表面に透過された光の強度を分析することにより、推定するように構成される。別の実施形態では、印刷流体は、白インクを含む。さらに別の実施形態では、電気信号は、強度を示しており、プロセッサは、デジタル画像において、強度を示す濃度を生成するように構成される。
【0021】
本発明の実施形態に従い、デジタル印刷システムにおいて、画像を形成するために中間転写部材(ITM)により印刷流体を受け取ること、および画像を対象基材に転写するために対向する第1および第2の表面を有する対象基材と係合することを含む方法が追加として提供される。光源を使用して、対象基材の第1の表面が光で照射される。画像センサー組立体を使用して、対象基材を通して透過された光の少なくとも一部が第2の表面上に結像され、結像された光に応答して電気信号が生成される。電気信号に基づきデジタル画像が生成され、かつデジタル画像に基づき、印刷画像における少なくとも歪みが推定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、図面と一緒に解釈されると、その実施形態の以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムの概略側面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に従った、基材搬送モジュールの概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従った、バックトラッキングモジュールの概略側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に従った、基材搬送モジュールを制御するために使用されたグラフの概略絵表示である。
【
図4】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムの刷ステーションの概略側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムの一部分である画像形成ステーションおよび複数の乾燥ステーションの概略側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムに統合された検査モジュールの概略側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従った、連続ウェブ基材上へのデジタル印刷において生じた欠陥を監視するための方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概要
以下で説明される本発明の実施形態は、連続基材上へのデジタル印刷のための方法および装置を提供する。いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、水性インクなどの、印刷流体をITM上に置くことによって形成された画像を受け取るように構成された可撓性中間転写部材(ITM)、およびITMから画像を受け取るために係合ポイントにおいてITMと係合するように構成されている、対象基材を含む。係合ポイントにおいて、ITMおよび基材は、それぞれ第1および第2の速度で移動される。
【0025】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、対象基材を第1の速度で移動させるように構成されている、圧胴シリンダ、およびITMを第2の速度で移動させるように構成されている、圧力シリンダを含む刷ステーションをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、プロセッサをさらに含み、プロセッサは、少なくとも圧胴シリンダを移動させることにより係合ポイントにおいてITMと基材との間で係合および解放を行い、インクをITMから基材に転写するために係合ポイントにおいて第1および第2の速度を一致させるように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、ITMは、継ぎ目部によって閉じられているループの形をしており、プロセッサは、継ぎ目部と基材との間の望ましくない物理的接触を、(a)継ぎ目部が係合ポイントを通過する時間間隔の間、ITMと連続対象基材との間に一時的な解放を引き起こすこと、および(b)一時的な解放を補正するために、これらの時間間隔の間、連続対象基材をバックトラックさせることによって防ぐように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、電動モーターを含み、電動モーターは、ITMおよび対象基材の1つ、または両方を移動させるように構成される。これらの実施形態では、プロセッサは、電動モーターを流れる電流における時間的変化を示す信号を受信し、信号に基づき、例えば、電流における時間的変化を減少させることにより、第1の速度および第2の速度を一致させるように構成される。
【0029】
いくつかの場合、印刷システムおよび/または印刷プロセスは、例えば、刷ステーションの1つ以上のシリンダの熱膨張によって、または基材の厚さの変化によって、生じた変動を有し得る。いくつかの実施形態では、前述の受信した信号に基づき、プロセッサは、電動モーターを流れる電流における時間的変化を減少させることにより、かかる(および他の)変動を補正するように構成される。
【0030】
開示される技術は、様々なシステムおよびプロセスの変動を補正することにより、連続基材上へのデジタル印刷の精度、品質および生産性を向上させる。その上、開示される技術は、継ぎ目と基材との間の物理的接触を防ぐことにより、かつ隣接する印刷画像間のマージンを最小限にするために連続基材をバックトラッキングすることにより、基材物的財産の考えられる無駄を削減する。
【0031】
連続ウェブの形の高分子基材は、食品包装、プラスチック袋およびチューブにおいてなど、可撓性包装の様々な用途で使用される。いくつかの場合、画像をかかる基材上に印刷するプロセスは、印刷画像における幾何学的歪みおよび他の欠陥などの、歪みを生じ得る。原理上、かかる歪みは、例えば、反射に基づく光学検査法を使用して、検出できる。しかし、それに適用された基材の高反射率および、基材における皺などの、他のノイズ源が、内在する歪みを示す検査信号に干渉して、検出率および精度を低下させ得る。例えば、基材の高反射率は、光学検査機器によって取得される画像の視野(FOV)にわたって不均一なコントラストおよび局所的飽和を引き起こし得、それは、対象の欠陥の検出率を低下させ得る。
【0032】
本発明の他の実施形態は、連続基材上のデジタル印刷において、幾何学的歪みなどの、欠陥を検出するための方法およびシステムを提供する。これらの実施形態の一部では、デジタル印刷システムは、前述の水性インクなどの、印刷流体をITM上に置くことによって形成された画像を受け取るように構成されたITMを含む。デジタル印刷システムは、対向する上面および下面を有する連続対象基材上に画像を印刷する。対象基材は、ITMから画像を受け取るためにITMと係合するように構成される。対象基材上に印刷された画像は典型的には、白インクから作成された基層、および1つ以上の他の色のインクを使用して基層上に印刷されたパターンを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象上に印刷された画像は、欠陥を検出するための検査を受ける。欠陥検出を実行するために、デジタル印刷システムは、光源をさらに含み、光源は、対象基材の一方の表面(例えば、下面)を適切な光線で照射するように構成される。デジタル印刷システムは、画像センサー組立体をさらに含み、画像センサー組立体は、対象基材を通して反対表面(例えば、上面)に透過された光線を検知し、検知された光に応答して電気信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、画像センサー組立体は、対象基材、基層およびインクパターンを通過した透過光の強度を検出するように構成される。例えば、白インクは放出光に対して部分的に透過性であるので、検出された光の強度、およびそれ故、画像センサー組立体によって生成された電気信号も、白インクの層の密度および/または厚さによって決まる。
【0034】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムのプロセッサは、画像センサー組立体から受信した電気信号に基づきデジタル画像を生成するように構成される。例えば、プロセッサは、各カラーに対して、デジタル画像の異なる位置において同様または異なる調色を有するデジタルカラー画像を生成するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体は、赤、緑および青(RGB)チャネルを有するカラーカメラを含む。本開示の文脈およびクレームにおいて、カラー画像における「濃度(gray level)」という用語は、デジタル画像のカラーの輝度レベルを示すスケールを指す。RGBチャネルを有するカメラでは、各チャネルは、濃度のスケールを有する。例えば、それぞれ100および200の濃度を有する2つの領域を含む、緑チャネルの画像では、濃度200の領域は、濃度100の領域よりも明るい緑色を有する。
【0036】
代替実施形態では、画像センサー組立体は、黒、白および灰色だけを有するモノクロカメラを含み得る。これらの実施形態では、「濃度」という用語は、黒と白との間だけで輝度レベルを示すスケールを表す。デジタル画像における実際の濃度は、対象基材のそれぞれの位置に塗布されたインクの密度によって決まる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、印刷画像における幾何学的歪みおよび他の欠陥を検出するためにデジタル画像を処理するようにさらに構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象基材は、本明細書で上面上に印刷されたテスト対象とも呼ばれる、様々なタイプのテスト特徴を含み得、各テスト対象は、デジタルシステムの構成要素の状態をチェックするために使用できる。例えば、所与のテスト対象は、ノズルが機能しているか、または詰まっているかどうかをチェックするために、デジタル印刷システムの印刷バー内の特定のノズルを監視するために使用され得る。プロセッサは、問題になっているノズルの状態を判断するために、テスト対象を光源と画像センサー組立体との間に位置付け、テスト対象の1つ以上のデジタル画像を取得して、取得された画像を分析するように構成される。プロセッサは、テスト対象を使用して検出される少なくともいくつかのタイプの機能不全を、例えば、印刷プロセスを再構成することにより、補正するようにさらに構成される。
【0038】
開示される技術は、他の(例えば、反射に基づく)光学検査法を使用して検出できないか、または低検出率を有する、様々なタイプの欠陥により、可撓性包装上への印刷の品質を向上させる。開示されるテスト対象およびテスト方式の使用は、これらの欠陥を引き起こすデジタル印刷プロセス内で生じている機能不全を識別して補正するのを支援する。さらに、開示される技術は、スクラップにされた基材およびインクによって生じるプラスチック廃棄物の量を削減する。
【0039】
システム記述
図1Aは、本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システム10の概略側面図である。いくつかの実施形態では、システム10は、画像形成ステーション60、乾燥ステーション64、刷ステーション84およびブランケット処理ステーション52(本明細書ではITM処理ステーションとも呼ばれる)を通って循環する、回転する可撓性ITM44を含む。本発明の文脈およびクレームにおいて、「ブランケット(blanket)」および「中間転写部材(ITM)」という用語は区別しないで使用されて、以下で詳細に説明されるように、インク画像を受け取り、そのインク画像を連続対象基材50に転写するように構成された中間部材として使用される1つ以上の層を含む可撓性部材を指す。
【0040】
ITM44は、例えば、PCT特許出願第PCT/IB2017/053167号、第PCT/IB2019/055288号、および第PCT/IB2019/055288号でさらに詳細に記述されており、それらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
図1Bは、本発明の一実施形態に従った、システム10の基材搬送モジュール100の概略側面図である。
【0042】
動作モードでは、画像形成ステーション60は、デジタル画像42の、本明細書で「インク画像」(図示せず)とも呼ばれる、ミラーインク画像を、ブランケット剥離層上またはITM44の任意の他の適切な層上などの、ITM44の表面の上部ラン(upper run)上に形成するように構成される。その後、インク画像はITM44の下部ランの下に配置された連続対象基材50に転写される。いくつかの実施形態では、連続対象基材50は、アルミ箔、紙、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、二軸延伸ポリアミド(BOPA)、他のタイプの延伸ポリプロピレン(OPP)、本明細書でポリマープラスチックフィルムとも呼ばれる収縮フィルム、もしくは連続ウェブの形の可撓性包装に適した任意の他の材料などの、任意の適切な材料の1つ以上の層、または、例えば、多層構造での、それらの任意の適切な組み合わせから作られた連続(「ウェブ」)基材を含む。連続対象基材50は、食品包装、プラスチック袋およびチューブ、ラベル、装飾および床材などであるが、それらに制限されない、様々な用途で使用され得る。
【0043】
本発明の文脈において、「ラン(run)」という用語は、ITM44がその上を誘導される任意の2つの所与のローラー間のITM44の長さまたはセグメントを指す。
【0044】
いくつかの実施形態では、設置中、ITM44は、本明細書で継ぎ目部(図示せず)と呼ばれる、縁と縁が付着されて、連続するブランケットループを形成し得る。継ぎ目部の形成のための方法およびシステムの一例が、PCT特許公開第WO 2016/166690号およびPCT特許公開第WO 2019/012456号に詳細に記述されており、その開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、システム10は、インク画像が継ぎ目上に印刷されないように、ITM44と画像形成ステーション60との間で同期されるように構成される。他の実施形態では、システム10のプロセッサ20は、以下の
図2で詳細に説明されるように、継ぎ目部と連続対象基材50との間の物理的接触を防ぐように構成される。
【0046】
代替実施形態では、ITM44は、前述の継ぎ目などの、ブランケット(図示せず)の端部を接続するための連結部、またはITM44の端部を連結するための任意の他の技術を使用した任意の他の構成を含み得る。これらの実施形態では、インク画像の少なくとも一部および/または任意のタイプのテスト特徴の少なくとも一部が連結部上に印刷され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は典型的には、複数の印刷バー62を含み、各々は、ITM44の上部ランの表面の上に固定の高さで位置付けられたフレーム(図示せず)上に(例えば、スライダを使用して)取り付けられている。いくつかの実施形態では、各印刷バー62は、ITM44上の印刷領域の幅をカバーするように配置された複数の印刷ヘッドを含み、個別に制御可能な印刷ノズルを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は、任意の適切な数の印刷バー62を含み得、各印刷バー62は、異なる色の水性インクなどの、印刷流体を含み得る。インクは典型的には、シアン、マゼンタ、赤、緑、青、黄、黒および白などであるがそれらに制限されない、可視色を有する。
図1Aの例では、画像形成ステーション60は、7つの印刷バー62を含むが、例えば、シアン、マゼンタ、黄および黒などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、印刷ヘッドは、インク画像(図示せず)をITM44の表面上に形成するために、異なる色のインク液滴をITM44の表面上に噴射するように構成される。いくつかの実施形態では、システム10は、前述の画像形成ステーションに加えて、画像形成モジュール(図示せず)を含み得る。画像形成モジュールは、任意の適切な技術を使用して、色の少なくとも1つ(例えば、白)をITM44の表面に塗布するように構成される。例えば、画像形成モジュールは、グラビア印刷装置(図示せず)を含み得、グラビア印刷装置は、印刷流体(例えば、インク)、またはプライマ(primer)もしくは任意の他のタイプの物質をITM44の表面に塗布するように構成された、彫刻ローラー、例えば、アニロックスロールおよび/もしくは任意の他の適切なタイプの1つ以上のローラー、のセットを含む。いくつかの実施形態では、グラビア印刷装置は、以下で説明されるように、システム10に連結され得る。他の実施形態では、1つ以上の物質を連続対象基材50に塗布するために、任意の他のタイプの印刷装置がシステム10に連結され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、異なる印刷バー62は、矢印94によって表される、ITM44の移動軸に沿って相互に間隔が空けられている。この構成では、バー62間の正確な間隔、および各バー62のインクの液滴の方向付けとITM44の移動との間の同期化は、画像パターンの正確な配置を可能にするために不可欠である。
【0051】
いくつかの実施形態では、システム10は、赤外線放射を放出するように構成された赤外線ベースの乾燥機(以下の
図5で詳細に示される)、および/または高温ガスもしくは空気送風機66などであるが、それらに制限されない、乾燥機を含む。画像形成ステーション60は、印刷バー62、ならびに、送風機66および前述の赤外線ベースの乾燥機などの、インク乾燥機の任意の適切な組み合わせを含み得ることに留意されたい。これらの乾燥機は、印刷バー62の間に配置されて、ITM44の表面上に置かれたインク液滴を一部乾燥させるように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステーション60は、1つ以上の送風機66および/または1つ以上の赤外線ベースの乾燥機(または任意の他のタイプの乾燥機)を、少なくとも2つの隣接した印刷バー62の間に含み得、これらの実施形態の構成例が以下の
図5に示されているが、他の実施形態では、ステーション60は任意の他の適切な構成を含み得る。印刷バー間のこの温風の流れおよび/または赤外線放射は、例えば、印刷ヘッドの表面での凝結を減らす、および/またはサテライト(例えば、主インク液滴の周囲に分散された残留物または小さい液滴)を処理する、および/または印刷ヘッドのインクジェットノズルの詰まりを防ぐ、および/またはITM44上の異なるカラーインクの液滴が不必要に相互に混ざるのを防ぐ、のに役立ち得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、乾燥ステーション64は、ITM44の表面に塗布されたインク画像を、例えば、溶媒および/または水から、表面上への温風(または別のガス)の吹付け、および/または赤外線もしくは任意の他の適切な放射を使用したITM44の表面の照射など、乾燥させるように構成される。これら、または任意の他の適切な乾燥技術の使用は、インク画像を粘着性にし、それによりITM44から連続対象基材50へのインク画像の完全で適切な転写を可能にする。
【0054】
実施形態例では、乾燥ステーション64は、温風および/もしくはガスを吹き付けるように構成された送風機68、ならびに/または任意の他の適切な乾燥装置を含み得る。
図1Aの例では、乾燥ステーション64は、赤外線放射をITM44の表面上に放出するように構成された1つ以上の赤外線乾燥機(IRD)67をさらに含む。乾燥ステーション64では、ITM44上に形成されたインク画像は、インクをもっと完全に乾かすために放射および/または温風にさらされて、液体キャリアのほとんど、または全部を蒸発させて、粘着性のあるインクフィルムになるポイントまで加熱される樹脂および着色剤の層だけが残る。
【0055】
追加または代替として、システム10は乾燥ステーション75を含み、乾燥ステーション75は、前述の技術を使用してITM44上に形成されたインク画像を乾燥させるために、赤外光または任意の他の適切な周波数、もしくは周波数の範囲の光を放出するように構成される。
【0056】
システム10は、単一タイプの1つ以上の適切な乾燥ステーション、例えば、ステーション64で示されたような、例えば、送風機ベースもしくは放射ベース、または相互に統合された複数の乾燥技術の組み合わせ、を含み得ることに留意されたい。ステーション64および75の各乾燥機は、ITM44の表面に塗布された色のタイプおよび順序に基づき、かつITM44および連続対象基材50のタイプに基づき、選択的に操作され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書でITM誘導システムとも呼ばれる、ブランケットモジュール70を含み、ITM44などの、回転ITMを含む。いくつかの実施形態では、ブランケットモジュール70は1つ以上のローラー78を含み、ローラー78の少なくとも1つは、エンコーダ(図示せず)を含み、エンコーダは、ITM44のセクションの位置をそれぞれの印刷バー62に対して制御するために、ITM44の位置を記録するように構成される。いくつかの実施形態では、ローラー78のエンコーダは典型的には、それぞれのローラーの角変位を示すロータリーベースの位置信号を生成するように構成されたロータリーエンコーダを含む。
【0058】
追加または代替として、ITM44は、組込みエンコーダ(図示せず)を含み得、組込みエンコーダは、ITM44の1つ以上の層内に埋め込まれた1つ以上のマーカーを含む。いくつかの実施形態では、組込みエンコーダは、システム10の様々なモジュールの動作を制御するために使用され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、システム10は、ITM44に隣接した1つ以上のそれぞれ事前に定義された位置に配置された1つ以上の検知組立体(図示せず)を含み得る。検知組立体は、マーカーの検知に応答して、マーカーのそれぞれの位置を示す位置信号などの、電気信号を生成するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、検知組立体から受信した信号は、刷ステーション84のプロセスを制御するため、例えば、シリンダ90と102の係合および解放のタイミングならびにそれらそれぞれの動きプロファイルを制御するため、シリンダ90と102との間の間隙のサイズを制御するため、刷ステーション84の動作をブランケット継ぎ目の位置に関して同期させるため、ならびにステーション84の任意の他の適切な動作を制御するために、使用され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、検知組立体から受信した信号は、ブランケット処理ステーション52の動作を制御するため、例えば、洗浄プロセス、および/または処理液のITM44への塗布を制御するため、ならびにブランケット処理プロセスの全ての他の態様を制御するためなど、に使用され得る。
【0062】
さらに、検知組立体から受信した信号は、システム10のローラーおよびダンサーの全部の動作を制御するために使用され得、各ローラーは個々に、かつ相互に同期化されて、システム10の動作の温度態様、および熱交換態様を制御するシステム10の任意のサブシステムを制御する。いくつかの実施形態では、検知組立体から受信した信号は、システム10のブランケット結像動作を制御するために使用され得る。例えば、対象基材上に印刷された画像のデジタル画像を取得するように構成された画像品質制御ステーション(以下で
図6に示されている)から取得されたデータに基づき、システム10の任意の他の構成要素の動作を制御するため。
【0063】
組込みエンコーダは、例えば、前述の米国仮出願第62/689,852号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、ITM44はローラー76および78ならびに、本明細書でダンサー74とも呼ばれる、動力引張りローラーの上を誘導される。ダンサー74は、ITM44における弛みの長さを制御するように構成され、その動きは両方向矢印によって図式的に表されている。さらに、印刷プロセス中および/または経年劣化に起因したITM44の任意の伸張は、システム10のインク画像配置性能に影響を及ぼさず、引張りダンサー74によってさらに弛みを取ることを必要とするだけであろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、ダンサー74は動力化され得る。ローラー76および78、ならびにダンサー74の構成および動作は、例えば、米国出願公開第2017/0008272号および前述のPCT国際公開第WO 2013/132424号にさらに詳細に記述されており、その開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
刷ステーション84で、ITM44は、圧胴シリンダ102と圧力シリンダ90との間を通り、それは、その周囲に巻き付いた圧縮可能なブランケットを搬送するように構成される。本発明の文脈およびクレームでは、「シリンダ」および「ドラム」という用語は区別しないで使用されて、刷ステーション84の圧胴シリンダ102および圧力シリンダ90を指す。
【0067】
いくつかの実施形態では、システム10は制御コンソール12を含み、制御コンソール12は、ブランケットモジュール70、ブランケットモジュール70の上に配置された画像形成ステーション60、およびブランケットモジュール70の下に配置された基材搬送モジュール100などの、システム10の複数のモジュールを制御するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、コンソール12は、ケーブル57を介して、コントローラ54とインタフェースを取るため、および信号をそれから受信するための、適切なフロントエンドおよびインタフェース回路を備えた、プロセッサ20、典型的には汎用コンピュータを含む。いくつかの実施形態では、単一装置として図式的に示されている、コントローラ54は、システム10上の所定の位置に取り付けられた1つ以上の電子モジュールを含み得る。コントローラ54の電子モジュールの少なくとも1つは、制御回路またはプロセッサ(図示せず)などの、電子装置を含み得、それは、システム10の様々なモジュールおよびステーションを制御するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20および制御回路は、印刷システムによって使用される機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされ得、ソフトウェアのためのデータをメモリ22内に格納し得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを経由して、プロセッサ20および制御回路に電子的形態でダウンロードされ得るか、または光学、磁気もしくは電子メモリ媒体などの、持続性有形的媒体上で提供され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、コンソール12はディスプレイ34を含み、ディスプレイ34は、プロセッサ20から受信したデータおよび画像、または入力装置40を使用してユーザー(図示せず)により挿入された入力を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、コンソール12は、任意の他の適切な構成を有し得、例えば、コンソール12およびディスプレイ34の代替構成が、例えば、米国特許第9,229,664号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像42の1つ以上のセグメント(図示せず)を含むデジタル画像42およびメモリ22内に格納されている様々なタイプのテストパターンをディスプレイ34上に表示するように構成される。
【0071】
いくつかの実施形態では、冷却ステーションとも呼ばれる、ブランケット処理ステーション52は、ブランケットを、例えば、それを冷却し、かつ/または処理流体をITM44の外表面に塗布し、かつ/またはITM44の外表面を洗浄することによって、処理するように構成される。ブランケット処理ステーション52において、ITM44が画像形成ステーション60に入る前に、ITM44の温度を所望の値まで下げることができる。処理は、冷却および/または洗浄および/または処理流体をブランケットの外表面上に塗布するために構成された1つ以上のローラーおよび/またはブレードの上を、ITM44を通過させることによって実行され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ITM44の温度を監視して、ブランケット処理ステーション52の動作を制御するために、例えば、温度センサー(図示せず)から、ITM44の表面温度を示す信号を受信するように構成される。かかる処理ステーションの例は、例えば、PCT国際公開第WO 2013/132424号および第WO 2017/208152号に記述されており、それらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。追加または代替として、画像形成ステーションでのインク噴射の前に、処理流体が噴射によって塗布され得る。
【0072】
図1Aの例では、ブランケット処理ステーション52はローラー78とローラー76との間に取り付けられているが、ブランケット処理ステーション52は、刷ステーション84と画像形成ステーション60との間の任意の他の適切な位置にITM44に隣接して取り付けられ得る。
【0073】
ここで
図1Bを参照する。いくつかの実施形態では、圧胴シリンダ102は、基材搬送モジュール100により印刷前バッファユニット86から印刷後バッファユニット88へ圧胴シリンダ102を経由して運ばれた、対象とする可撓性ウェブ連続対象基材50上にインク画像を押し付ける。
図1Bのモジュール100に示されるように、連続対象基材50は、モジュール100内を、本明細書で移動方向99とも呼ばれる、矢印によって表された方向に移動するが、以下で説明されるように、移動方向99と逆方向にも移動し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ITM44の下部ランは、刷ステーション84において圧胴シリンダ102と選択的に相互作用して、圧力シリンダ90の圧力の作用によりITM44と圧胴シリンダ102との間で圧迫された対象可撓性基材上に画像パターンを押し付ける。
図1Aに示されるシンプレックスプリンタ(すなわち、連続対象基材50の片面上への印刷)の場合、1つの刷ステーション84だけが必要である。
【0075】
ここで再度、
図1Aを参照する。いくつかの実施形態では、ローラー78は、ITM44の上部ランに位置付けられて、画像形成ステーション60に隣接して通過する際にITM44をピンと張ったままに維持するように構成される。さらに、形成ステーション60によって、ITM44の表面上へのインク液滴の正確な噴射および付着、それにより、インク画像の配置を獲得するために、画像形成ステーション60の下のITM44の速度を制御することは特に重要である。
【0076】
ここで
図1Bを参照する。いくつかの実施形態では、圧胴シリンダ102は、インク画像を、移動しているITM44から、ITM44と圧胴シリンダ102との間を通過している連続対象基材50に転写するために、周期的にITM44に係合されて、ITM44から解放される。連続対象基材50が刷ステーション84でITM44と永久的に係合された場合、印刷されたインク画像の間に位置している大量の連続対象基材50は廃棄する必要があることに留意されたい。
図1Bおよび以下の
図2で説明される実施形態は、印刷されたインク画像の間に位置している連続対象基材50の廃棄される物的財産の量を削減する。
【0077】
本発明の文脈およびクレームにおいて、「係合位置(engagement position)」および「係合」という用語は、ITM44と連続対象基材50が、例えば、係合ポイント150で、相互に物理的に接触するような、シリンダ90と102との間の近接近を指す。係合位置において、インク画像がITM44から連続対象基材50に転写される。同様に、「解放位置(disengagement position)」および「解放」という用語は、ITM44と連続対象基材50が相互に物理的に接触せず、相互に対して動くことができるような、シリンダ90と102との間の距離を指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、システム10は、上部ランをピンと張ったまま維持して、ITM44の上部ランを、下部ランで生じた任意の機械的振動によって影響を受けるのから実質的に分離するために、前述のローラーおよびダンサーを使用してITM44にトルクを印加するように構成される。
【0079】
ここで
図1Bを参照する。いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書で自動品質管理(AQM)システムとも呼ばれる、画像品質管理ステーション55を含み、それは、システム10内に統合された閉ループ検査システムとして機能する。いくつかの実施形態では、ステーション55は、
図1Aに示されているように、圧胴シリンダ102に隣接して、またはシステム10内の任意の他の適切な位置に、配置され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、ステーション55はカメラ(以下の
図6に示されている)を含み、それは、連続対象基材50上に印刷された前述のインク画像の1つ以上のデジタル画像を取得するように構成される。いくつかの実施形態では、カメラは、密着型画像センサー(CIS)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサーなどの、任意の適切な画像センサー、および約1メートルの幅または任意の他の適切な幅をもつスリットを含むスキャナを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、連続対象基材50上に印刷されたインクの品質を監視するように構成された分光光度計(図示せず)を含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、ステーション55によって取得されたデジタル画像は、プロセッサ20またはステーション55の任意の他のプロセッサなどの、プロセッサに伝送され、それは、それぞれの印刷画像の品質を評価するように構成される。その評価およびコントローラ54から受信した信号に基づき、プロセッサ20は、システム10のモジュールおよびステーションの動作を制御するように構成される。本発明の文脈およびクレームでは、「プロセッサ」という用語は、プロセッサ20またはステーション55に接続されているか、もしくはステーション55と統合されている任意の他のプロセッサなどの、任意の処理装置を指し、それは、ステーション55のカメラおよび/または分光光度計から受信した信号を処理するように構成される。本明細書で説明する信号処理操作、制御関連命令、および他の計算操作は、単一のプロセッサによって実行されるか、または1つ以上のそれぞれのコンピュータの複数のプロセッサ間で分配され得ることに留意されたい。
【0083】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、連続対象基材50での完全な画像レジストレーション、色間(color-to-color)レジストレーション、印刷された幾何形状、画像均一性、色のプロファイルおよび直線性、ならびに印刷ノズルの機能性などであるが、それらに制限されない、様々な属性を監視するために、印刷画像およびテストパターンの品質を検査するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、幾何学的歪みまたは、前述の属性の1つ以上における他の欠陥および/もしくはエラーを自動的に検出するように構成される。例えば、プロセッサ20は、所与のデジタル画像の設計バージョンと、カメラによって取得される、所与の画像の印刷バージョンのデジタル画像との間で比較するように構成される。
【0084】
他の実施形態では、プロセッサ20は、前述のエラーを示す歪みを検出するために、任意の適切なタイプの画像処理ソフトウェアを、例えば、テストパターンに適用し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、修正処置を機能不良のモジュールに適用するために検出された歪みを分析し、かつ/または検出された歪みを補正するためにシステム10の別のモジュールもしくはステーションに命令を供給するように構成される。
【0085】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像形成ステーション60のノズルを監視するためにステーション55によって取得された信号を分析するように構成される。ステーション60の各色のテストパターンを印刷することにより、プロセッサ20は、それぞれのノズルの動作における機能不良を示す様々なタイプの欠陥を識別するように構成される。
【0086】
いくつかの実施形態では、ステーション55のプロセッサは、例えば、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、システム10の動作を停止するかどうかを判断するように構成される。ステーション55のプロセッサは、システム10のモジュールおよびステーションの1つ以上において修正処置を開始するようにさらに構成される。修正処置は、オンザフライで(その間、システム10は印刷プロセスを継続する)、またはオフラインで、印刷動作を停止し、システム10のそれぞれのモジュールおよび/もしくはステーション内の問題を修正することにより、実行され得る。他の実施形態では、システム10の任意の他のプロセッサまたはコントローラ(例えば、プロセッサ20またはコントローラ54)は、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、修正処置を開始するか、またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0087】
追加または代替として、プロセッサ20は、例えば、ステーション55から、システム10の印刷プロセスにおける追加のタイプの欠陥および問題を示す信号を受信するように構成される。これらの信号に基づき、プロセッサ20は、パターン配置精度および前述されていない追加のタイプの欠陥のレベルを自動的に推定するように構成される。他の実施形態では、連続対象基材50上に印刷されたパターンを検査するための任意の他の適切な方法も、例えば、外部(例えば、オフライン)の検査システム、または任意のタイプの測定治具および/もしくはスキャナを使用して、使用できる。これらの実施形態では、外部の検査システムから受信した情報に基づき、プロセッサ20は、任意の適切な修正処置を開始し、かつ/またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0088】
ここで
図1Aを参照する。いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、印刷前バッファユニット86の外部に配置された、本明細書で印刷前ワインダ180とも呼ばれる、印刷前ローラーから連続対象基材50を受け取る(例えば、引っ張る)ように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、ウェブ連続対象基材50を、印刷前バッファユニット86から、インク画像をITM44から受け取るための刷ステーション84を経由して、印刷後バッファユニット88へ搬送するように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、バッファユニット86および88は各々、本明細書でバッファローラーとも呼ばれる、1つ以上のバッファアイドラ(buffer idler)104を含む。各バッファアイドラ104は、固定軸を有していて、連続対象基材50を基材搬送モジュール100に沿って誘導するために固定軸の周りを回転し、連続対象基材50における一定の張力を維持するように構成される。
【0091】
図1Bの例では、バッファユニット86は6つのバッファアイドラ104を含み、バッファユニット88は7つのバッファアイドラ104を含むが、他の構成では、各バッファユニットは、任意の他の適切な数のバッファアイドラ104を有し得る。他の実施形態では、バッファアイドラ104の少なくとも1つは、連続対象基材50における機械的張力のレベルを制御するために可動軸を有し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100はウェブ誘導ユニット110を含み、ウェブ誘導ユニット110は、1つ以上のローラー108、センサーおよびモーター(図示せず)を含み、連続対象基材50における指定された(典型的には一定の)張力を維持して、基材100と基材搬送モジュール100のローラーおよびアイドラとの間で位置合わせするように構成される。
【0093】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、ユニット110に隣接して取り付けられたアイドラ106を含む。各アイドラ106は固定軸を有しており、連続対象基材50を基材搬送モジュール100に沿って誘導するために固定軸の周りを回転し、ウェブ誘導ユニット110によって連続対象基材50に印加された張力を維持するように構成される。他の実施形態では、アイドラ106の少なくとも1つは可動軸を有し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、張力制御ユニット112および128などの、1つ以上の張力制御ユニットを含む。これらの張力制御ユニットの各々は、バッファユニット86と88の間を通過する際に連続対象基材50をピンと張ったままに維持するために、連続対象基材50における張力を検知し、その検知に基づき、張力のレベルを調整するように構成される。
図1Bの例では、モジュール100は、バッファユニット86と刷ステーション84との間に取り付けられたユニット112、および刷ステーション84とバッファユニット88との間に取り付けられたユニット128を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、これらの張力制御ユニットの各々は張力検知ローラー114を含み、それは、連続対象基材50に所定の重みを印加するか、または任意の他の適切な検知機構を使用することにより、連続対象基材50における張力のレベルを検知するように構成される。張力制御ユニットは、ローラー114によって検知された、張力のレベルを示す電気信号を、コントローラ54および/またはプロセッサ20に送信するように構成される。
【0096】
いくつかの実施形態では、ユニット112および128の各々は、本明細書で滑車116とも呼ばれる、ギアをさらに含み、ギアは、ローラー114によって検知された張力のレベルに基づき、連続対象基材50における張力を調整するように構成されたモーター(図示せず)に連結される。モーターは、コントローラ54によって、および/またはプロセッサ20によって、および/または任意の適切なタイプのドライバによって駆動され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、ユニット112および128の各々は、バッキングニップローラー(backing nip roller)118およびテンションローラー122をさらに含み、それは、ベルト124または任意の他の適切な機構を使用して滑車116によって動力化される。バッキングニップローラー118は、連続対象基材50とテンションローラー122との間を連結するために、可動軸および可動軸を動かすように構成された空気圧ピストンを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、張力制御ユニット128と印刷後バッファユニット88との間に配置されて、張力制御ユニット128によって連続対象基材50に印加された張力を維持するように構成された、複数のアイドラ106を含む。インク画像を刷ステーション84で受け取った後、連続対象基材50はユニット128から印刷後バッファユニット88へ移動され、その後、本明細書でリワインダ190とも呼ばれる、印刷後ローラーに移動され、印刷後ローラー上に巻かれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、前述のグラビア印刷装置(および白インクを塗布するための他の任意選択の印刷モジュール)は、印刷前ワインダ180と印刷前バッファユニット86との間などの、任意の適切な位置でシステム10に連結され得る。追加または代替として、グラビア印刷装置は、印刷後バッファユニット88とリワインダ190との間でシステム10に連結され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、システム10は、基材搬送モジュール100に連結された加圧ローラーブロック140を含む。ブロック140は、圧力シリンダ90を基材搬送モジュール100に対して固定するように構成される。ブロック140は、その上に取り付けられたブランケットアイドラ142を固定するようにさらに構成される。アイドラ142はITM44における張力を維持するように構成される。
【0101】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、本明細書でバックトラッキングモジュール166とも呼ばれる、バックトラッキング機構を含み、それは、連続対象基材50を移動方向99に対してバックトラックさせるように構成される。言い換えれば、モジュール166は、連続対象基材50を方向99と逆方向に移動させるように構成される。
【0102】
いくつかの実施形態では、バックトラッキングモジュール166は、2つ以上の移動可能なローラー、
図1Bの例では、ダンサー120および130を含み、これらのダンサーの各々は、連続対象基材50と物理的に接触して、相互に対して移動することにより連続対象基材50をバックトラックさせるように構成される。バックトラッキングモジュール166の動作は、以下の
図2で詳細に説明される。
【0103】
前述のとおり、圧胴シリンダ102は、インク画像を、移動しているITM44から、ITM44と圧胴シリンダ102との間を通過している連続対象基材50に転写するために、周期的にITM44に係合されて、ITM44から解放される。
図1Bに示されるように、圧力シリンダ90および圧胴シリンダ102は、インク画像をITM44から連続対象基材50に転写するために係合ポイント150で相互に係合される。
【0104】
いくつかの実施形態では、圧力シリンダ90は固定軸を有しており、他方、圧胴シリンダ102は、前述の係合および解放を可能にする移動可能軸を有する。
【0105】
代替実施形態では、システム10は、係合および解放動作をサポートするために任意の他の適切な構成を有し得る。例えば、シリンダ90および102の両方が各々、移動可能軸を有し得るか、またはシリンダ102が固定軸を有し、他方シリンダ90が移動可能軸を有し得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、圧力シリンダ90は、その軸の周りを、回転モーター(図示せず)を使用して第1の所定の速度で回転するように構成される。同様に、圧胴シリンダ102は、その軸の周りを、別の回転モーター(図示せず)を使用して第2の所定の速度で回転するように構成される。これらの回転モーターは、任意の適切なドライバによって、および/またはコントローラ54によって、および/またはプロセッサ20によって駆動および制御される任意の適切なタイプの電動モーターを含み得る。
【0107】
係合ポイント150において、インク画像をITM44から連続対象基材50に正確に転写できるようにするために、シリンダ90と102の線速度を一致させることが重要であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、プロセッサ20、またはシステムの任意の他のプロセッサもしくはコントローラは、シリンダ90の第1の速度とシリンダ102の第2の速度を係合ポイント150で一致させるように構成される。
【0108】
他の実施形態では、圧力シリンダ90および圧胴シリンダ102の両方は、前述の第1および第2の速度を係合ポイント150で一致させるのを可能にする任意の他の適切なタイプの運動機構を使用して回転運動を実行するために動力化され得る。
【0109】
システム10の構成は、本発明を明確にするために純粋に例として単純化されて提供されている。前述した印刷システム10で説明されている構成要素、モジュールおよびステーション、ならびに追加の構成要素および構成は、例えば、米国特許第9,327,496号および第9,186,884号、PCT国際公開WO第2013/132438号、WO第2013/132424号およびWO第2017/208152号、米国特許出願公開第2015/0118503号および第2017/0008272号に詳細に記述されており、それらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
図1Aは、連続対象基材50の片面だけに印刷するために、単一の刷ステーション84だけを有するデジタル印刷システム10を示す。両面に印刷するために、2つの刷ステーションを備えた、タンデムシステムが提供でき、両面印刷のためにウェブ基材をひっくり返すのを可能にするために、刷ステーション間にウェブ基材インバータ機構が提供され得る。代替として、ITM44の幅が連続対象基材50の幅の2倍を上回っている場合、ウェブ基材の異なるセクションの両面に同時に印刷するために、同じブランケットおよび圧胴シリンダの両半分を使用することが可能である。
【0111】
システム10の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびかかるシステムの性能強化においてこれらの実施形態の適用を実証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のシステム例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0112】
継ぎ目部と連続ウェブ基材との間の物理的接触の防止
図2は、本発明の一実施形態に従った、バックトラッキングモジュール166の概略側面図である。いくつかの実施形態では、ダンサー120および130は動力化されており、プロセッサ20は、ダンサー120および130を相互に同期化して反対方向に上下に移動させるように構成される。
【0113】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、シリンダ90と102との間の解放、連続対象基材50の所与のセクションの一時的なバックトラッキング、およびシリンダ90と102の再係合を含むシーケンスを実行することにより、連続対象基材50とITM44の継ぎ目部との間の物理的接触を防ぐように構成される。シーケンスは本明細書で詳細に説明される。所与のセクションの長さは、解放位置と係合位置との間の遷移時間、および連続対象基材50の指定された速度などであるが、それらに制限されない、様々なパラメータによって決まる。
【0114】
インク画像が係合ポイント150で、ITM44から連続対象基材50へ転写された後、プロセッサ20は、連続対象基材50およびITM44が相互に関して移動するのを可能にするために、シリンダ102を、本明細書で「下方」とも呼ばれる、方向170に移動させることにより、圧胴シリンダ102を圧力シリンダ90から解放する。
【0115】
一実施形態では、解放に応答して、張力検知ローラー114の少なくとも1つが連続対象基材50での張力レベルにおける変化を検知する。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、検知された張力を示す電気信号を受信し、ダンサー120を、本明細書で「下方」とも呼ばれる、方向180に移動させ、同時に、ダンサー130を、本明細書で「上方」とも呼ばれる、方向192に移動させる。この実施形態では、ダンサー120と130との間に位置する連続対象基材50の所与のセクションがバックトラックされ、他方、連続対象基材50の他のセクションは指定された速度で前方へ移動され続け、その速度は、シリンダ90および102が相互に係合されるときの連続対象基材50の速度と同様であるか、または略同様であり得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、圧胴シリンダ102の後ろの連続対象基材50のランから弛みを取り、その弛みを圧力シリンダ90の前のランに移すことにより、バックトラッキングを実行するように構成される。その後、プロセッサ20は、ダンサー120および130の動きを逆転させて、それらを
図2に示される位置に戻し、その結果、連続対象基材50の所与のセクションはITM44の指定された速度まで再度、加速される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20はまた、圧胴シリンダ102を圧力シリンダ90の方(すなわち、方向170と逆)へ移動させてそれらを再係合して、ITM44から連続対象基材50へのインク画像転写を再開する。前述した解放、バックトラッキングおよび再係合のシーケンスは、連続対象基材50上に印刷された画像の間に大きな空白領域を残すことなく、システム10が連続対象基材50とITM44の継ぎ目部との間の物理的接触を防ぐのを可能にすることに留意されたい。
【0117】
いくつかの実施形態では、圧胴シリンダ102は、任意の適切な機構上に取り付けられ、それは、プロセッサ20によって制御されて、シリンダ102を解放位置まで下方(例えば、方向170)に、および係合位置まで上方(例えば、方向170と逆)に移動させるように構成される。実施形態例では、シリンダ102は、任意の適切なモーターまたはアクチュエータ(図示せず)を使用して回転可能な偏心器172上に取り付けられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、シリンダ102の回転移動を引き起こすために、偏心器172は、例えば、ベルトによって、アイドラ106および電動ギア(図示せず)に連結され得る。一実施形態では、偏心器172が前述のモーターまたはアクチュエータによってモジュール100の支持フレーム98内の上方位置まで回転されると、シリンダ102は係合位置まで移動される。この位置は
図2に示されている。別の実施形態では、偏心器172が方向170へ下方位置まで回転されると、シリンダ102は解放位置まで移動される。前述した偏心器に基づく係合および解放機構は、シリンダ102の係合位置と解放位置との間の高速で確実な移行を可能にする。
【0119】
他の実施形態では、プロセッサ20は、連続対象基材50と連結部以外のITM44の任意の事前に定義されたセクション、および特に、前述の継ぎ目部との間の物理的接触を防ぐように構成される。これらの実施形態では、プロセッサ20は、ITM44の1サイクル内で、シリンダ90と102との間の複数の解放を実行するように構成される。例えば、継ぎ目部と連続対象基材50との間の物理的接触を防ぐための1回の解放、およびITM44の任意の他の事前に定義されたセクションと連続対象基材50との間の物理的接触を防ぐための少なくとも1回以上の解放。
【0120】
他の実施形態では、係合および解放機構は、ピストン式、ばね式、または磁気式機構などであるが、それらに制限されない、任意の他の適切な技術を使用して実行され得る。
【0121】
係合および解放機構ならびにバックトラッキングモジュール166の特定の構成および動作は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびシステム10の性能強化においてこれらの実施形態の適用を実証するために、例として簡略化されて示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のモジュール例および機構に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0122】
基材搬送モジュールの制御
図3は、モーター電流を経時的に示し、本発明の一実施形態に従った、基材搬送モジュール100を制御するために使用できる、グラフ300の概略図表示である。
【0123】
前述のとおり、係合位置において圧力シリンダ90および圧胴シリンダ102は相互に係合し、プロセッサ20は、シリンダ90と102の線速度を係合ポイント150で一致させるように構成される。システム10は、ITM44および連続対象基材50をそれぞれ移動させる、シリンダ90および102の一方または両方を動かすように構成された1つ以上の電動モーターをさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、グラフ300における線302は、シリンダ90を移動させる電動モーターを流れる電流のそれぞれの測定値を時間の関数として表す複数のポイントを含む。いくつかの実施形態では、電動モーターを流れる電流における時間的変化はシリンダ90と102の線速度間の不一致を示す。シリンダ90および102、ITM44ならびに連続対象基材50の少なくとも1つに印加された任意の望ましくないか、または不特定の力は、電動モーターを流れる電流に時間的変化を引き起こし得ることに留意されたい。例えば、シリンダ90と102の線速度間の不一致は、ITM44に不特定のトルクをシリンダ90に印加させ得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、システム10は、追加の測定機能を含み得、それは、バッファユニット86および88の前述の要素に印加されたトルクおよび他の力の少なくとも一部を測定するように構成される。
【0126】
例えば、グラフ300のポイント304は、シリンダ90と102との間の係合が始まるときに電動モーターを流れる電流を示す。グラフ300に示されるように、係合が始まる、ポイント304と、係合が終了する、ポイント306との間の線302の勾配は、その時間間隔中の電流減少を示す。勾配を評価する際に、我々は、グラフ300において鋸波として示されている、電流の急激な低振幅変動を無視することに留意されたい。
【0127】
ポイント304と306との間の勾配および任意の他の変化などの、時間的変化は、シリンダ90と102との間の、その不一致の速度に起因した、望ましくない相互作用を示す。
図3の例では、シリンダ90を回転させるモーターは、シリンダ90を、シリンダ102の速度よりも高速で移動させる。結果として、シリンダ90のモーターは、シリンダ90と102の線速度間で一致させるために、速度を下げる。従って、モーターを流れる電流は、ポイント304と306との間の時間間隔中に、次第に減少する。
【0128】
同様に、モーターが、シリンダ102の線速度よりも低い線速度でシリンダ90を移動させる場合、シリンダ102はシリンダ0を引っ張って(例えば、連続対象基材50とITM44との間の摩擦力のため)、シリンダ90のモーターはより高速に動くはずであり、結果としてシリンダ90のモーターを流れる電流が増加する。
【0129】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、電動モーターの少なくとも1つから、グラフ300内に示される電流測定値(500Hzなどであるが、それに制限されない、任意の適切なサンプリング周波数を使用)を受信して、例えば、連続もしくは重複する時間間隔にわたるか、または事前に定義された勾配値にわたる、傾向を評価するように構成される。時間的傾向に基づき、プロセッサ20は、電流における時間的変化を減少させることによりシリンダ90と102の線速度の間で一致させるために、電動モーターの少なくとも1つの速度を調整するように構成される。
【0130】
例えば、ポイント308と310との間の線302の時間間隔は、係合およびインク画像のITM44から連続対象基材50への転写の追加のサイクル中にシリンダ90のモーターを流れる電流を示す。
図3に示されるように、この時間間隔の勾配は、ポイント304と306との間の線302の勾配よりも相当に小さく、基本的な速度は略一致することを示している。
【0131】
グラフ300のさらなる例では、線302のポイント312と314は、シリンダ90と102との間の別の係合サイクルの開始と終了を表す。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、線302が、ポイント312と314との間の時間間隔中にゼロ(またはゼロに近い)勾配を有するように、シリンダ90と102の線速度を一致させている。
【0132】
シリンダ90および102の線速度は、シリンダ90と102との間の異なる熱膨張および本明細書で説明される他の理由などの、様々な理由のために、相互に異なり得ることに留意されたい。
【0133】
図4は、本発明の一実施形態に従った、システム10などの、デジタル印刷システムの刷ステーション400の概略側面図である。刷ステーション400は、例えば、前述の
図1Bに示されている刷ステーション84に取って代わり得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、ステーション400は、それぞれ第1および第2のモーターにより、それぞれω1およびω2の回転速度で回転される圧胴シリンダ402および圧力シリンダ404を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ITM44および連続対象基材50は、インク画像をITM44から連続対象基材50へ転写するために、ステーション400を通って移動される。ステーション400のセットアップ中、シリンダ402と404との間に所定の距離406が設定される。いくつかの実施形態では、シリンダ402および404の少なくとも1つは、エンコーダ(図示せず)を含み、エンコーダはそれぞれ、ITM44および連続対象基材50の位置を記録するように構成される。
【0136】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、シリンダ402のエンコーダから、ITM44のそれぞれのセクションの位置を示す複数の位置信号を受信するように構成される。位置信号に基づき、プロセッサ20は、ITM44の線速度およびシリンダ402の回転速度ω1を計算するように構成される。
【0137】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、係合ポイント150においてITM44と連続対象基材50の線速度を一致させるために、シリンダ404の回転速度ω2を調整するように構成される。本開示の文脈およびクレームにおいて、「回転速度(rotational velocity)」および「回転速度(rotary velocity)」という用語は区別しないで使用されて、システム10の様々なドラム、シリンダおよびローラーの速度を指す。
【0138】
いくつかの場合、異なる基材は、例えば、機械的強度の異なる要件に起因して、または規制上の要件に起因して、異なる厚さを有し得る。原理上、全ての基材に対して距離406を調整することは可能であるが、しかし、この調整は、システム10の生産性、例えば、1時間当たりの生産高を減少させ、またその操作も複雑にし得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション400の第1および第2のモーターの少なくとも1つを流れる電流を示す変換されたアナログ信号に基づく、デジタル信号を受信し、回転速度ω1およびω2の少なくとも1つを変化させることにより連続対象基材50の異なる厚さを補うように構成される。調整された駆動電圧および/または電流を第1および第2のモーターの少なくとも1つに印加することにより、システム10は、距離406の値を変更するなど、ハードウェアまたは構造的な変更を行うことなく、異なる厚さを有する異なるタイプの基材間で切り替え得る。距離406は当初は、対象基材の予期される典型的な厚さに従って設定され得、例えば、PETおよびOPPは紙よりも薄い、ことに留意されたい。異なる基材の厚さの差が大きい(例えば、2倍以上の厚さ)場合、プロセッサ20は、例えば、距離406の2つの値を設定して、各セットに対して対応する回転速度を調整するように構成される。
【0140】
他の実施形態では、プロセッサ20は、シリンダ402および404の少なくとも1つの直径における変化(例えば、熱膨張に起因した)を補正するか、またはITM44の厚さにおける変化、もしくはステーション400の動作に影響を及ぼし得る他の望ましくない影響を補正するために、同じ技術を適用するように構成される。
【0141】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション400の制御を強化し、ITM44および連続対象基材50の線速度を継続的に調整して一致させることにより、刷プロセスを改善するように構成される。刷プロセスを改善することにより、プロセッサ20は、連続対象基材50上に印刷されたインク画像の品質を向上させ得る。
【0142】
図5は、本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システム10の一部分である画像形成ステーション500ならびに乾燥ステーション502および504の概略側面図である。画像形成ステーション500および乾燥ステーション502は、例えば、前述した
図1Aのそれぞれのステーション60および64に取って代わり得、乾燥ステーション504は、例えば、前述した
図1Aのステーション75に取って代わるか、または本明細書で説明される異なる構成に追加され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション500は、例えば、ホワイト印刷バー510、ブラック印刷バー530、シアン印刷バー540、マゼンタ印刷バー550、およびイエロー印刷バー560などの、複数の印刷バーを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、ステーション500は、複数の赤外線ベースの乾燥機(IRD)520A~520Eを含む。各IRDは、赤外線(IR)放射量をステーション500に面しているITM44の表面に当てるように構成される。IR放射は、ITM44の表面に以前に塗布されたインクを乾燥させるように構成される。いくつかの実施形態では、IRDの少なくとも1つは、IR乾燥機だけ、またはIRベースの乾燥機と温風ベースの乾燥機の組み合わせを含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、ステーション500は、前述した
図1Aの送風機66に類似した構成を有する複数の送風機511A~511Eを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、ステーション500は、印刷バー510を使用してITM44に塗布された白インクを乾燥させるために、
図5の例示されたシーケンス例に配置された3つのIRD 520A~520Cならびに2つの送風機511Aおよび511Bを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、送風機511C、511D、511E、および511Fからの任意の送風機などの、単一の送風機は、それぞれ、各印刷バー530、540、550および560の後に取り付けられ、2つのIRD520Dおよび520Eはイエロー印刷バー560と乾燥機502との間に取り付けられる。
【0148】
いくつかの実施形態では、乾燥ステーション502は、送風機(図示せず)の8つのセクションを含み、各送風機は前述した
図1Aの送風機68に類似している。他の実施形態では、送風機は、4つのセクションに配置され得、各セクションは2つの送風機を含む。代替実施形態では、乾燥ステーション502は、任意の適切な構成に配置された任意の適切なタイプおよび数の乾燥機を含み得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、乾燥ステーション504は、単一のIRD、または複数のIRDのアレイ(図示せず)を含み、それぞれのインク画像が刷ステーションに入る前に、IRの最終量をITM44に当てるように構成される。
【0150】
画像形成ステーション500の構成は、分かりやすくするために簡略化されており、例として説明されている。他の実施形態では、デジタル印刷システムの画像形成ステーションは、任意の他の適切な構成を含み得る。
【0151】
本明細書で説明される実施形態は主に、連続ウェブ基材上へのデジタル印刷に対処し、本明細書で説明される方法およびシステムは他の用途でも使用できる。
【0152】
連続ウェブ基材上に印刷されたパターンの透過ベースの結像
図6は、本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システム10に統合された検査ステーション200の概略側面図である。一実施形態では、検査ステーション200は、画像がその上に印刷されている連続対象基材50がローラー214上に巻かれる前の、デジタル印刷システム10のリワインダ190に統合される。
【0153】
別の実施形態では、検査ステーション200は、任意の適切な構成を使用して、デジタル印刷システム10の任意の他の適切なステーションもしくは組立体上に取り付けられるか、または統合され得る。
【0154】
前述のとおり、連続対象基材50は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、もしくは延伸ポリプロピレン(OPP)などの任意の適切な材料、または連続ウェブの形の可撓性包装に適した任意の他の材料の1つ以上の層から作られる。かかる材料は、可視光に対して部分的に透過性であるが、それでも典型的には、可視光の少なくとも一部を反射している。連続対象基材50からの反射は、統合された検査システムの、連続対象基材50の画像を生成し、かつ/または前述したデジタル印刷プロセス中に形成された様々なタイプのプロセス問題および欠陥を検出する能力を低下させ得る。
【0155】
いくつかのタイプのプロセス問題および欠陥が連続対象基材50において生じ得ることに留意されたい。例えば、連続対象基材50の表面上または層間の粒子もしくはスクラッチなどの、ランダムな欠陥、および印刷バー62の1つ以上における欠損もしくは詰まったノズルなどの、システマティック欠陥。
【0156】
いくつかの実施形態では、検査ステーション200は、本明細書でバックライトモジュール210とも呼ばれる、光源を含み、それは、連続対象基材50の下面202を1つ以上の光ビーム208で照射するように構成される。
【0157】
いくつかの実施形態では、バックライトモジュール210は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、蛍光ベースの光源、ネオンベースの光源、および1つ以上の白熱電球などの、任意の適切なタイプの光源(図示せず)を含み得る。光源は光拡散器を含み得るか、または光拡散装置(図示せず)に結合され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で光拡散器とも呼ばれる、光拡散装置は、画像処理アルゴリズムの性能を改善する均一の照射プロファイルを有する拡散光を検査ステーション200に供給するように構成される。
【0158】
いくつかの実施形態では、バックライトモジュール210は、白色光、可視光内の任意の選択された範囲、または任意の周波数もしくは周波数の範囲の不可視光(例えば、赤外線または紫外線)などの、任意のスペクトルの光を放出するように構成される。
【0159】
いくつかの実施形態では、バックライトモジュール210は、連続照射、対称もしくは非対称形状を有するパルスまたは任意の他のタイプの照射モードなどの、任意の照射モードを使用して光を放出するように構成される。
【0160】
いくつかの実施形態では、バックライトモジュール210は、バックライトモジュール210に適切な電圧電流、または任意の他の適切な電力を供給するように構成された、任意の適切な電力供給ユニット(図示せず)に電気的に接続される。
【0161】
いくつかの実施形態では、検査ステーション200は、画像センサー組立体220を含み、それは、連続対象基材50を通して透過された光ビーム208の少なくとも一部に基づき画像を取得するように構成される。
【0162】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220は、制御コンソール12に電気的に接続されて、結像された光に応答して電気信号を生成し、その電気信号を、例えば、ケーブル57を経由して、制御コンソール12のプロセッサ20に送信するように構成される。
【0163】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220は、連続対象基材50の上面204およびバックライトモジュール210に面している。
図6の例では、画像センサー組立体220とバックライトモジュール210との間に伸びている、照射軸212は、連続対象基材50に対して実質的に直角である。この構成では、検査ステーション200は、連続対象基材50に印加されたインク画像の明視野像を生成するように構成され、表面202および204上、または連続対象基材50内に存在し得る欠陥の像も取得し得る。欠陥のタイプおよび幾何学的歪みは、以下の
図7で詳細に説明される。
【0164】
他の実施形態では、画像センサー組立体220および/またはバックライトモジュール210は、任意の他の適切な構成を使用して、デジタル印刷システム10上に取り付けられ得る。例えば、画像センサー組立体220は、連続対象基材50の暗視野像を生成するために、照射軸212に対してある角度をなして配置された1つ以上の結像部分組立体(図示せず)を含み得る。
【0165】
前述の
図1Bで説明されているように、基材搬送モジュール100は、連続対象基材50を方向99に移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220は、スキャン装置(図示せず)、例えば、ステージ上に取り付けられ、それは、画像センサー組立体220を方向206に、典型的には、方向99に対して直角に、移動させるように構成される。
【0166】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、連続対象基材50の選択された位置をバックライトモジュール210と画像センサー組立体220との間に配置することにより、選択された位置から画像を取得するために、動きプロファイルを方向99および206において制御するように構成される。
【0167】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220は、例えば、任意の適切なレンズに結合された12メガピクセル(MP)画像センサーを含むSurfaceカメラなどの、任意の適切なカメラ(図示せず)を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220のカメラは、8cm~15cm×4cm~8cmなどであるが、それらに制限されない、任意の適切な視野(FOV)を有し得、それは、25μmの画素サイズに変換される、1000ドット/インチ(dpi)などの、任意の適切な解像度を提供するように構成される。カメラは、FOVとの間のトレードオフの対象となる異なる解像度およびFOVを有するように構成される。例えば、カメラは、より小さいFOVを使用して2000dpiの解像度を有し得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、カメラからFOVのセットを受信して、連続対象基材50の選択された対象領域(ROI)の画像を表示するために複数のFOVをステッチする(stitch)ように構成される。
【0170】
いくつかの実施形態では、システム10は、前述の
図1Aで説明されるように、連続対象基材50の表面に白インクの基層を塗布する。基材および白インクは高度に反射的であるが、検査ステーション200の構成を使用することにより、画像センサー組立体220は連続対象基材50および白インクを通して透過された光ビーム208の少なくとも一部を結像するように構成される。
【0171】
いくつかの実施形態では、画像センサー組立体220は、連続対象基材50、基層およびインクパターンを含むスタックを通して透過された異なる強度の光を検出するようにさらに構成される。例えば、白インクは、光ビーム208に対して部分的に透過性であり、従って、白インクの異なる密度および/または厚さは、異なる強度の透過されたビーム208、従って、画像センサー組立体220によって生成される異なる電気信号となる。いくつかの実施形態では、システム10は、連続対象基材50の表面204上の事前に定義された領域上に置かれるそれぞれのインク液滴の量を制御することにより、異なる密度および/または厚さの白インク、ならびに他の色のインクを連続対象基材50に塗布するように構成される。
【0172】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、デジタル画像において、例えば、連続対象基材50の表面204に塗布される白インクの密度および/または厚さを示す異なる濃度を生成するように構成される。
【0173】
いくつかの実施形態では、連続対象基材50は、位置合わせマーク、前述のステッチ操作のためのステッチマーク、およびバーコードマークなどであるが、それらに制限されない、様々なタイプの印刷された、および/または統合されたマーク(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、システム10は、以下の
図7で詳細に説明されるような、印刷プロセスを監視するために、連続対象基材50のマークを読み取るように構成されたセンサーを含み得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、システム10は、基材搬送モジュール100が連続対象基材50を方向99に移動させる場合に、高速スキャンを使用して連続対象基材50の領域全体を方向206にスキャンするように構成される。追加または代替として、システム10は、連続対象基材50の領域全体をカバーするために、例えば、連続対象基材50の幅にわたって方向206に配列された、複数の検査ステーション200を含み得る。さらに他の実施形態では、システム10は、各々、事前に定義された移動経路を方向206に沿って有する、複数のカメラなどの、任意の他の適切な構成を含み得、それにより、これらのカメラの少なくとも一部が連続対象基材50の領域全体をカバーする。
【0175】
他の実施形態では、検査ステーション200は、前述した単一のバックライトモジュール210を使用して、連続対象基材50の領域全体をカバーするために、例えば、連続対象基材50の幅にわたって方向206に配列された、複数の画像センサー組立体220を含み得る。
【0176】
図6における例では、バックライトモジュール210は固定されていて、画像センサー組立体220は動く。代替実施形態では、検査ステーション200は、任意の他の適切な構成を有し得る。例えば、バックライトモジュール210および画像センサー組立体220の両方は、プロセッサ20によって移動可能であるか、またはバックライトモジュール210は移動可能で、1つ以上の画像センサー組立体220は固定である。
【0177】
検査ステーション200のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、ならびにかかる検査ステーション200およびシステム10の性能強化においてこれらの実施形態の適用を実証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、これらの特定の種類の例の検査ステーションおよびデジタル画像システムに決して制限されず、本明細書で説明される原理は、他の種類の検査ステーション印刷システムに同様に適用され得る。例えば、システム10は、インク画像を連続対象基材50に転写する前にITM44上での欠陥および/または歪みの検出に適した任意の構成を有するブランケット検査ステーション(図示せず)を含み得る。ブランケット検査ステーションは、任意の適切な位置でシステム10に統合され得、検査ステーション200に加えて、または検査ステーション200の代わりに動作し得る。
【0178】
他の実施形態では、制御コンソール12は、検査ステーション200の構成などの、任意の適切な構成を有する、本明細書でスタンドアロン検査システムとも呼ばれる、外部検査システム(図示せず)に電気的に接続され得る。スタンドアロン検査システムは、連続対象基材50を通して透過された光の少なくとも一部を結像し、結像された光に応答して電気信号を生成するように構成される。前述の印刷プロセス後に連続対象基材50を検査する、スタンドアロン検査システムは、検査ステーション200の代わりに、または検査ステーション200に加えて、動作し得ることに留意されたい。
【0179】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、検査ステーション200から、および/またはスタンドアロン検査システムから受信した電気信号に基づいてデジタル画像を生成するように構成され、その各々は、連続対象基材50の異なるセクションを検査し得、かつ/または連続対象基材50のマークおよびインクパターンなどの、問題になっている異なる特徴を検査するために、異なる検査技術(ハードウェアおよびソフトウェア)を適用し得る。
【0180】
他の実施形態では、スタンドアロン検査システムは、前述の結像および以下で説明される検出を実行するために、1つ以上のプロセッサ、インタフェース回路、メモリ装置および他の適切な装置を含み得、システム10の制御された動作を改善するために出力ファイルをプロセッサ20に送信し得る。
【0181】
連続ウェブ基材上に印刷されたパターンにおける欠陥および歪みの検出
図7は、本発明の一実施形態に従った、連続対象基材50上へのデジタル印刷において生じた欠陥を検出するための方法を概略的に示す流れ図である。前述の
図6で説明されているように、いくつかのタイプのプロセス問題および欠陥が連続対象基材50に生じ得る。例えば、連続対象基材50の表面上または層間の粒子もしくはスクラッチなどの、ランダムな欠陥、ならびに印刷バー62の1つ以上における欠損もしくは詰まったノズル、印刷ヘッド間のずれ、不均一性および他のタイプのシステマティック欠陥などの、システマティック欠陥。「システマティック欠陥(systematic defect)」という用語は、システム10および/またはその動作における問題に起因して生じ得る欠陥を指す。従って、システマティック欠陥は、特定の位置における各印刷画像において繰り返され得、かつ/または特定の幾何学的サイズおよび/もしくは形状を有し得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、
図7の方法は、前述の
図6で説明されている様々なテスト構造およびマークを使用してシステマティックプロセス問題および欠陥を検出することを目的とする。方法は、ウェブホーミング(web homing)ステップ702で、バックライトモジュール210と画像センサー組立体220との間に、連続対象基材50の選択されたセクションに置かれた所与のマークを位置付けることから開始する。いくつかの実施形態では、所与のマークは、連続対象基材50上に検査ステーション200の座標系の原点を定義する。
【0183】
較正ステップ704で、プロセッサ34は、画像センサー組立体220のカメラが連続対象基材50のパターンのないセクションからビーム208を検出するように、連続対象基材50および画像センサー組立体220を移動させる。いくつかの実施形態では、プロセッサ20はホワイトバランス技術を適用して、露光時間、RGBチャネルなどの、検査ステーション200の様々なパラメータを較正する。いくつかの実施形態では、パターンのないセクションは、レンズ口径食補正などの光学的欠陥を補正するためにも使用される。
【0184】
前述の
図6で説明されているように、プロセッサ20は、デジタル画像において、例えば、連続対象基材50の表面204に塗布されるそれぞれの色のインクの密度および/または厚さを示す異なる強度(例えば、輝度)を生成するように構成される。例えば、異なる濃度は、連続対象基材50の表面204に塗布される白インクの密度を示す。同様に、シアンインク、または任意の他の色の高密度および/または厚い層を有する領域は、デジタル画像において低輝度(例えば、暗色)で現れる。
【0185】
焦点検証ステップ706で、プロセッサ20は、検査ステーション200の応答をテストすることにより検査ステーション200の焦点を測定して、連続対象基材50の焦点較正対象または任意の他の適切なパターンを取得し、焦点を合わせる。焦点較正は、かかる動作をサポートするレンズおよびカメラモデルにおいても実行され得る。
【0186】
基材回転ステップ708で、プロセッサ20は、連続対象基材50を方向99に、本明細書で対象ラインとも呼ばれる、対象セクションまで回転させ、それは、連続対象基材50におけるプロセス問題およびシステマティック欠陥をテストするための1つ以上の対象を含む。例えば、対象ラインは、黒色印刷バーの1つ以上の印刷バー62における欠損ノズルを検出するための対象の配列を含み得る。別の対象ラインは、シアン色印刷バーの1つ以上の印刷バー62における欠損ノズルを検出するための対象の配列を含み得る。
【0187】
カメラ移動ステップ710で、プロセッサ20は、テスト方式のテスト対象と位置合わせしてカメラを位置付けるために、画像センサー組立体220のカメラを方向206に移動させる。例えば、黒色印刷バーの印刷ヘッド9番に欠損ノズルがあるかどうかをテストするための対象。
【0188】
いくつかの実施形態では、ステップ308および310は、シーケンシャルモードで実行され得る。これらの実施形態では、プロセッサ20は、連続対象基材50を方向99に対象のセクションまたは配列まで回転させる。その後、プロセッサ20は、連続対象基材50の回転を停止させ、カメラを所望のテスト対象と合わせるために、画像センサー組立体220のカメラの方向206への移動を開始する。これらの実施形態は較正ステップ704に対しても適用可能である。
【0189】
他の実施形態では、ステップ308および310は、同時処理モードで実行され得る。これらの実施形態では、プロセッサ20は、連続対象基材50を方向99に対象セクションまで回転させ、同時に、カメラをテスト対象と合わせるために、画像センサー組立体220のカメラを方向206へ移動させる。これらの実施形態は較正ステップ704に対しても適用可能である。
【0190】
一実施形態では、同時処理モードは、システム10が画像を、テスト基材上ではなく、製品基材上に印刷する場合、製造中にも実行され得る。この実施形態では、画像形成ステーション60は、製品画像の間、または連続対象基材50上の任意の他の適切な位置に配置されたテスト対象を作製する。印刷画像の製造中、プロセッサ20は、画像の製品基材上への印刷中に、連続対象基材50を回転させながら、画像センサー組立体220のカメラを所望のテスト対象まで移動させる。
【0191】
画像取得ステップ712で、プロセッサ20は、カメラを前述の対象に、その画像を取得するために、適用する。
【0192】
前述の
図6で説明されているように、各対象は、バーコードなどの、マークを有し得、それはルックアップテーブル(または任意の他のタイプのファイル)内のレジストリを指す。バーコード検出および読取りステップ714で、プロセッサ20は、バーコードを検出して読み取る。
【0193】
いくつかの実施形態では、バーコードは、テストされる特徴(例えば、印刷ヘッド9番の黒色ノズル)テストのタイプ(詰まったノズルの検出)および取得された画像に適用されるアルゴリズムを記述し得る。
【0194】
他の実施形態では、方法は、バーコードを任意の他の適切な技術と置き換えることにより、バーコード検出および読取りステップ714を除外し得る。例えば、所与のテストされる特徴と関連付けられた情報は、検査ステーション200の座標系における所与の対象の位置に基づいて設定され得る。
【0195】
画像分析ステップ716で、プロセッサ20は、画像に示されるテスト特徴に対応する1つ以上のアルゴリズムを、画像センサー組立体220によって取得された画像に適用する。アルゴリズムは画像を分析し、プロセッサ20は、例えば、印刷バー9番の黒色ノズルがシステム10の仕様範囲内で機能しているかどうかの指標、またはこのノズルが部分的に、もしくは完全に詰まっている場合にはアラートと共に、結果を保存する。
【0196】
対象ライン判断ステップ718で、プロセッサ20は、対象ラインが、テスト方式の一部であって、まだ訪問されていなかった、追加の対象を有するかどうかをチェックする。同じ対象ライン内にテストすべき追加の対象(例えば、印刷バー8番の黒色ノズル)がある場合、方法は、カメラ移動ステップ710にループバックし、プロセッサ20は、カメラを同じ対象ラインおよびテスト方式の次のテスト対象の上に位置付けるために、画像センサー組立体220のカメラを方向206に沿って移動させる。
【0197】
対象ライン内の最後の対象の分析後、プロセッサは、スキャン完了ステップ720で、テスト方式内に追加の対象ラインがあるかどうかを確認する。追加の対象ラインがある場合、方法は基材回転ステップ708にループバックし、プロセッサ20は基材を次の対象ラインまで回転させる。例えば、印刷バー62のシアン色ノズルをテストするための対象を含む対象ライン、および印刷バー62の全ての他の色(例えば、イエロー、マゼンタおよび白)のノズルをテストするための類似の(または異なる)対象ライン。
【0198】
最後の対象ラインの完結後、報告ステップ722で、プロセッサ20は、テストしたノズルの各々に対する状態報告を出力する。報告は、システム10の仕様範囲内のノズルおよび機能不良のノズルを要約し、修正ファイルも生成する。
【0199】
方法を完結する実装ステップ724で、プロセッサ20は、画像形成ステーション60ならびにシステム10の他のステーションおよび組立体に修正処置を適用する。
【0200】
他の実施形態では、
図7の方法は、システム10の1つ以上のステーション、モジュールおよび組立体の任意の他の機能不良の監視および分析に適用可能であり得る。
【0201】
例えば、同じ方法は、印刷ヘッドの機械的位置合わせなどの、印刷バー較正、ならびに印刷不均一性およびカラーレジストレーションエラーなどであるが、それらに制限されない、他の問題および欠陥を監視するために適用され得る。
【0202】
本明細書で説明される実施形態は主に、連続ウェブ基材上へのデジタル印刷に対処し、本明細書で説明される方法およびシステムは、枚葉紙印刷検査においてなど、他の用途でも使用できる。
【0203】
それ故、前述の実施形態は例として言及されていること、および本発明は上で具体的に示して説明されているものに制限されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、前述されている様々な特徴の組合せおよび部分的組合せの両方、ならびに前述の説明を読んで当業者が気付き、かつ従来技術で開示されていない変形および修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文書は、任意の用語がこれらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的または暗黙的に行われた定義と対立するように定義される範囲で、本明細書における定義だけが考慮されるべきであることを除いて、本出願の一体部分と見なされるべきである。