IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チソット・エス アーの特許一覧

<>
  • 特許-磁力計の較正又は設定 図1
  • 特許-磁力計の較正又は設定 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】磁力計の較正又は設定
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20240329BHJP
   G01C 17/00 20060101ALI20240329BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240329BHJP
【FI】
G01C21/28
G01C17/00
G06N20/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021537486
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019073111
(87)【国際公開番号】W WO2020052988
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】18193525.5
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591260638
【氏名又は名称】ティソ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】フランツィ,エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】デュンバル,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】テュレトケン,アンジャン
(72)【発明者】
【氏名】モーゼル,ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】スタデルマン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,リンチュアン
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210866(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056391(WO,A1)
【文献】特開2014-219340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/28
G06N 20/00
G01C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクテッド・ウォッチである携帯支持体(30)上に組み付けた磁力計が生成する磁力計測定値を修正する方法(10)であって、前記携帯支持体は、前記磁力計(32)の他に、1つ若しくは複数の移動センサ及び位置センサ(34)を保持し、前記1つ若しくは複数の移動及び位置センサ(34)は、前記磁力計に対して固定するように組み付け、前記磁力計(32)ならびに前記移動センサ及び前記位置センサ(34)は、処理ユニット(36)に夫々接続され、前記方法(10)は、
-前記処理ユニット(36)によって、ある時間間隔の間、前記磁力計、前記移動センサ及び前記位置センサがそれぞれ同時に生成した磁力計測定値(12)並びに移動測定値(14)及び位置測定値(16)を得ることと、
-前記処理ユニット(36)によって、前記時間間隔の間に同時に生成した前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び/若しくは前記位置測定値(16)、又は前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び/若しくは前記位置測定値(16)から推測した数量を、クラウド計算プラットフォームに伝達し、修正磁力計測定値(28)のために前記処理ユニット(36)が実行するソフトウェアの更新設定を受信し、前記時間間隔の間に同時に生成した前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び前記位置測定値(16)から、前記修正磁力計測定値(28)を推測することと
を含み、前記処理ユニット(36)は、1つ又は複数の専用のマイクロプロセッサ又は回路を備え、前記クラウド計算プラットフォームにおいて強化された人工知能アルゴリズム(24)を介して前記修正磁力計測定値(28)を推測することができ、前記アルゴリズムは、訓練データにより訓練し、前記時間間隔の間に記録した前記磁力計測定値並びに前記移動測定値及び前記位置測定値のログに従って前記磁力計測定値の修正を発見するようにし、
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、1つ又は複数のGNSS受信器(16)が生成した測定値を含む、方法。
【請求項2】
前記時間間隔の間に前記磁力計が生成した前記磁力計測定値(12)は、前記外部磁界に対する前記携帯支持体の方位の展開を示す、請求項1に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項3】
前記時間間隔の間に前記移動センサ及び/又は前記位置センサが生成した前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、前記時間間隔の間の前記携帯支持体の移動を示す、請求項1又は2に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項4】
前記修正磁力計測定値(28)の推測は、一方の、前記外部磁界に対する前記携帯支持体の方位の展開と、もう一方の、前記携帯支持体の移動との間の一致及び相違に基づく、請求項2又は3に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項5】
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、1つ又は複数の加速度計が生成した測定値を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項6】
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、1つ又は複数のジャイロメータが生成した測定値を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項7】
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、1つ又は複数の加速度計及び1つ又は複数のジャイロメータを備える慣性測定ユニット(14)が生成した測定値を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項8】
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、いくつかのセンサから得られ、前記修正磁力計測定値を推測する前に互いに混成する、請求項1からのいずれ
か一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項9】
前記修正磁力計測定値の推測は、その場で実行する、請求項1からのいずれか一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項10】
前記人工知能アルゴリズム(24)は、以下のアルゴリズム:ベイジアン・ネットワーク、ニューラル・ネットワーク、サポート・ベクター・マシン、k近傍法、遺伝的アルゴリズム、決定木、決定木フォレスト、混合ガウス・モデル、ロジスティック回帰分析、及び線形判別分析の少なくとも1つを使用する、請求項1からのいずれか一項に記載の磁力計測定値を修正する方法(10)。
【請求項11】
コネクテッド・ウォッチである携帯端末(30)であって、前記携帯端末(30)は、磁力計(32)と、前記磁力計に対して固定するように組み付けた1つ若しくは複数の移動センサ及び位置センサ(34)と、1つ又は複数の専用のマイクロプロセッサ又は回路を有し、前記磁力計並びに前記移動センサ及び前記位置センサ(複数可)に接続した処理ユニット(36)と、を備え、ある時間間隔の間に前記磁力計(32)、前記移動センサ及び前記位置センサ(複数可)(34)のそれぞれが同時に生成した磁力計測定値(12)並びに移動測定値(14)及び位置測定値(16)を得るようにし、前記処理ユニット(36)は、コンピュータ・プログラムにより、前記時間間隔の間に同時に生成した前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び/若しくは前記位置測定値(16)、又は前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び/若しくは前記位置測定値(16)から推測した数量を、人工知能アルゴリズムが強化されるクラウド計算プラットフォームに伝達し、修正磁力計測定値(28)のために前記処理ユニット(36)が実行するソフトウェアの更新設定を受信し、前記時間間隔の間に同時に生成した前記磁力計測定値(12)並びに前記移動測定値(14)及び前記位置測定値(16)から、前記修正磁力計測定値(28)を推測するように構成し、
前記移動測定値(14)及び/又は前記位置測定値(16)は、1つ又は複数のGNSS受信器(16)が生成した測定値を含む、携帯端末。
【請求項12】
プログラム・コード命令を含むコンピュータ・プログラムであって、前記プログラム・コード命令は、前記プログラムを携帯端末の制御ユニット(36)によって実行すると、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法ステップを実行する、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、1つ又は複数の磁力計を較正及び/又は設定する方法に関する。本発明は、より詳細には、携帯支持体上で1つ又は複数の磁力計が生成した磁力計測定値を修正することを対象とし、携帯支持体は、1つ若しくは複数の移動センサ及び/又は位置センサを更に含む。
【背景技術】
【0002】
今日、ほとんどの多機能携帯電話(スマートフォン)は、多数の様々なセンサ、例えば、GNSS受信器(GNSS、即ち衛星測位システムが送信する電波航行信号の受信器。GNSSは、「Global Navigation Satellite System(全地球航法衛星システム)」の頭文字である)、加速度計、ジャイロメータ、磁力計等を含む。地球基準座標系内で多機能携帯電話の方位を決定するため、磁力計は、多数のアプリケーションに必須である。このことは、ナビゲーション・アプリケーションに特にあてはまる。個々のGNSS受信器は、GNSS受信器のアンテナ中心の位置及び速度を決定することができる。一方、地球基準座標系におけるGNSS受信器の方位は、難しく、少なくとも、初期の方位に関する知識を必要とする。したがって、大部分のナビゲーション・アプリケーションは、地図に対して携帯電話の方位を決定する必要がある場合、磁力計を使用する。
【0003】
磁力計の測定値は、磁北方向、又は偏角差の修正後、地理上の北の方向を指すように働くことができる。しかし、測定誤差は、数度に達することがあり、このことは、磁力計の測定値を高精度の用途では使用できないことを意味する。特に、この測定誤差は、地球磁界よりもはるかに大きい外部環境及び/又は内部環境内に存在する磁気の干渉に起因することがあり、したがって、測定推定値を著しくゆがませ、例えば、数十度の誤差を引き起こし得ることに留意されたい。
【0004】
この問題は、全ての種類の携帯端末で最も一般的である、低価格の磁力計に特に影響を与える。誤差の更なる発生源は、携帯端末の位置における磁界が、(比較的弱い)地球磁界以外の寄与を有することによる。局所的な外乱(磁気、金属質量体、電磁源)は、磁力計測定値を容易にゆがませることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、限定はしないが、特に、携帯端末(例えば、多機能携帯電話、タブレット、コネクテッド・ウォッチ、GNSS/GPS受信器等)の場合におけるこの問題を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、携帯支持体上に組み付けた磁力計が生成する磁力計測定値を修正する方法に関する。携帯支持体は、磁力計以外に、磁力計に対して固定するように組み付けた1つ若しくは複数の移動センサ及び/又は位置センサを保持する。方法は、
〇ある時間間隔の間、磁力計、移動センサ及び/又は位置センサがそれぞれ同時に生成した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値を得ることと、
〇処理ユニット(例えば、マイクロプロセッサ、一組のマイクロプロセッサ、プログラム可能論理回路、特定用途向け集積回路等)によって、前記時間間隔の間に同時に生成した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値に基づき、修正磁力計測定値を推測することと
を含み、処理ユニット(36)は、1つ又は複数のマイクロプロセッサを備え、人工知能アルゴリズム(24)を介して修正磁力計測定値(28)を推測することができ、前記アルゴリズムは、訓練データにより訓練され、時間間隔の間に記録した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値のログに従って磁力計測定値の修正を発見するようにする。
【0007】
磁力計という用語は、本文書の背景において、(1つの軸に沿って磁界を測定することができる)基本磁力計、及びいくつかの基本磁力計を備える多軸(例えば2軸又は3軸)磁力計を示すことを留意されたい。
【0008】
一方で、時間間隔の間に磁力計が生成した磁力計測定値は、時間間隔の間の、基準座標系における携帯支持体の外部磁界の方向及び/又は大きさの展開、したがって、外部磁界に対する携帯支持体の方位の展開を示す。
【0009】
もう一方で、移動センサ及び/又は位置センサが生成した移動測定値及び/又は位置測定値は、同じ時間間隔の間の、携帯支持体の移動を示す。
【0010】
したがって、修正磁力計測定値の推測は、一方の、外部磁界に対する携帯支持体の方位の展開と、もう一方の、携帯支持体の移動、又は携帯支持体の経時的な並進移動との間の一致及び相違に基づくことができる。修正磁力計測定値は、いくつかの方向で生成した並進移動から構成することができる。
【0011】
地球磁界が地域で一様である場合、(測定誤差がなく、携帯支持体がその地域内に留まる間)外部磁界に対する携帯支持体の方位の展開と、携帯支持体の移動との間の一致が観察されるはずである。実際、この一致は、測定誤差(特に、センサの浮動/移動/並進移動)、及び地球磁界の外乱のために完全ではない。直観的に、携帯支持体が動いていた時間間隔の間に観察される相違により、磁界の局所的な外乱を検出し、定量化することを可能にする。次に、磁力計測定値は、これらの外乱をなくすように修正することができる。特定の条件下、磁力計を(再)較正することも可能である。地球基準座標系(例えばWGS84)内の携帯支持体の変位、及び変位の間の携帯支持体の固有の移動が既知である場合、十分な精度を伴って磁界ベクトルの理論値を推測し、これらを測定値と比較することが可能である。
【0012】
好ましくは、携帯支持体は、移動測定値及び/又は位置測定値を生成する1つ又は複数の加速度計を備える。
【0013】
代替又は追加として、携帯支持体は、移動測定値及び/又は位置測定値を生成する1つ又は複数のジャイロメータを備える。
【0014】
特に好ましくは、携帯支持体は、慣性測定ユニット(IMU)を備え、慣性測定ユニット(IMU)は、移動測定値及び/又は位置測定値を生成する1つ又は複数の加速度計及び1つ又は複数のジャイロメータを統合するものである。
【0015】
好ましくは、移動センサ(複数可)は、超小型電子技術システム(MEMS)として具現化される。
【0016】
本発明の特に有利な実施形態によれば、携帯支持体は、1つ又は複数の位置センサ、好ましくは、移動測定値及び/又は位置測定値を生成する1つ又は複数のGNSS/GPS受信器を備える。
【0017】
携帯支持体がいくつかのセンサ、例えば、慣性測定ユニット及びGNSS/GPS受信器を備える場合、移動測定値及び/又は位置測定値は、修正磁力計測定値を推測するステップの前の事前処理ステップにおいて、(例えば、適応フィルタ又はカルマン・フィルタにより)互いに混成することができる。
【0018】
好ましくは、修正磁力計測定値の推測は、その場で実行される。時間間隔は、好ましくは、修正を決定する時間に先行する既定の時間間隔に対応する。時間間隔は、決定時間に対して固定することができる。しかし、可能性としては、時間間隔のパラメータ(開始及び継続時間)に動的に適応するように構成することが可能である。時間間隔は、好ましくは、30秒以上、例えば、1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、又は5分以上の継続時間を有する。間隔の最大継続時間は、10から15分の範囲以内とすることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、携帯支持体は、携帯端末、例えば、携帯電話又はコネクテッド・ウォッチを備える。
【0020】
好ましくは、処理ユニットは、1つ又は複数のマイクロプロセッサを備え、マイクロプロセッサは、修正磁力計測定値を推測する専用プログラムを実行する。修正磁力計測定値の推測ステップは、カルマン・フィルタ又は適応フィルタを使用することができる。しかし、より好ましくは、人工知能アルゴリズムが使用される。この背景において、「人工知能アルゴリズム」は、コンピュータによって使用され、訓練データにより(教師あり学習又は教師なし学習によって)訓練してあるアルゴリズムを示し、時間間隔の間に記録した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値のログに従って磁力計測定値の修正を発見するようにする。人工知能アルゴリズムは、例えば、ベイジアン・ネットワーク、ニューラル・ネットワーク、サポート・ベクター・マシン、k近傍法、遺伝的アルゴリズム、決定木、決定木フォレスト、混合ガウス・モデル、ロジスティック回帰分析、線形判別分析又はそれらの組合せを含むことができる。
【0021】
上記では、磁力計測定値の修正が可能であることを説明している。というのは、磁力計測定値は、移動測定値及び/又は位置測定値と同じ移動値を概算的に反映しなければならないためである。実際、全ての状況で有効な修正規則を確立することはかなり困難である。この理由で、人工知能アルゴリズムの使用は、本発明の範囲内で有利であると考えられる。
【0022】
特に好ましい実施形態によれば、方法は、同時に生成した磁力計測定値並びに移動測定値及び/若しくは位置測定値(又はこれらから推測した数量)を、クラウド計算プラットフォームに伝達し、修正磁力計測定値のために処理ユニットによって実行されるソフトウェアの更新設定を受信することを含む。クラウド計算プラットフォームは、この場合、多数のユーザからデータを収集し、このデータを「消化」し、修正アルゴリズムを強化することをタスクとする。この双方向の態様は、人工知能アルゴリズムの背景では特に有用である。
【0023】
本発明の第2の態様は、携帯端末、例えば、コネクテッド・ウォッチ又は携帯電話に関し、携帯端末は、磁力計と、磁力計に対して固定するように組み付けた1つ若しくは複数の移動センサ及び/又は位置センサと、処理ユニットとを備え、処理ユニットは、磁力計並びに移動センサ及び/又は位置センサ(複数可)に接続され、ある時間間隔の間、磁力計、移動センサ及び/又は位置センサ(複数可)がそれぞれ同時に生成した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値を得るようにする。処理ユニットは、コンピュータ・プログラムにより、時間間隔の間に同時に生成した磁力計測定値並びに移動測定値及び/又は位置測定値に基づき、修正磁力計測定値を推測するように構成される。
【0024】
本発明の更なる態様は、プログラム・コード命令を含むコンピュータ・プログラムに関し、プログラム・コード命令は、前記プログラムを携帯端末の処理ユニットによって実行すると、この方法ステップを実行する。
【0025】
本発明の更なる詳細及び特徴は、例として、添付の図面を参照しながら以下で提示するいくつかの有利な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の有利な実施形態による、磁力計測定値を修正する方法の図である。
図2】本発明による方法を実施するコネクテッド・ウォッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、磁力計測定値を修正する方法10を概略的に示し、方法10は、携帯端末の処理ユニットによって実施することができる。処理ユニット(本アプリケーション専用の1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ又は回路を備え得る)は、入力として、
〇磁力計測定値12(即ち、携帯端末の基準座標系内の磁界のベクトル成分)、
〇慣性測定ユニット測定値14(即ち、加速度及び角速度)、並びに
〇GNSS/GPS受信器測定値16(即ち、当該GNSS/GPSの基準座標系内の位置、速度及び時間)
を受信する。
【0028】
処理ユニット10は、北の表示19をもたらすため、測定値12を従来の様式で処理し(例えば、フィルタ処理、平滑化、球形データ又は極性データへの変換等)、この北の表示19は、通常、携帯端末の軸に対する角度の形態で表現される。この従来の処理は、機能ユニット18によって概略的に表される。北の表示が地理上の北に関連する場合、従来の処理は、携帯端末の位置で有効な偏角差を考慮する。
【0029】
測定値12、14及び16は、人工知能アルゴリズムを実施する工程において導入される。センサによって供給される測定値12、14及び16は、まず、事前処理20(例えば、フィルタ処理、平滑化、変換等を含む)にかけられ、特徴ベクトルに変換される。特徴ベクトル20は、それ自体、人工知能アルゴリズム24を実施する工程において、入力データとして働く。アルゴリズムは、北の表示19に関する修正26を発見するように、訓練データにより事前に訓練してある。各時間間隔において、アルゴリズムは、規定の時間間隔の間に記録した特徴ベクトル(したがって、測定値12、14及び16)に従って、可能性が最も高い修正26を生成する。修正された北の表示28は、機能ユニット18が生成した北の表示に修正26を加えることによって得られる。
【0030】
測定値12、14及び16の事前処理は、任意であることに留意されたい。実際、生の測定値を人工知能ユニットに導入することが可能である(人工知能ユニットが、生の測定値で事前に訓練してあることを条件とする)。
【0031】
図2は、コネクテッド・ウォッチ30の概略図であり、コネクテッド・ウォッチ30は、磁力計32と、MEMS慣性測定ユニット34と、本発明による磁力計測定値を修正する方法を実施するように構成したマイクロプロセッサ36とを備える。マイクロプロセッサ36は、磁力計32が供給する生の磁力計測定値、並びに慣性測定ユニット34が供給する移動値(より具体的には加速度及び角速度)から修正磁力計測定値を推測する。修正磁力計測定値は、コネクテッド・ウォッチ上にインストールされる携帯アプリケーション、例えば、コンパス・アプリケーション38に利用可能である。
【0032】
本発明は、プログラム・コード命令を含むコンピュータ・プログラムにも関し、プログラム・コード命令は、前記プログラムを携帯端末の処理ユニット36によって実行すると、この方法ステップを実行する。
【0033】
いくつかの特定の実施形態は、詳細に説明してあるが、当業者は、本発明の本開示が提供する全体的な教示に照らして、これら実施形態に対する様々な修正形態及び代替形態を展開し得ることは了解するであろう。したがって、本明細書で説明する特定の構成及び/又は方法は、単なる例として示すことを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
図1
図2