(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】基準レーザの追跡システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G01C15/00 103B
G01C15/00 104Z
(21)【出願番号】P 2021546219
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020016319
(87)【国際公開番号】W WO2020163194
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ダニエル マケイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ キショア ナギン
(72)【発明者】
【氏名】エレナ クルジコワ
(72)【発明者】
【氏名】ドナ ケリー
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第98/09136(WO,A1)
【文献】特開昭64-071904(JP,A)
【文献】特開2002-310655(JP,A)
【文献】米国特許第4273225(US,A)
【文献】特開平8-240409(JP,A)
【文献】特開2000-161952(JP,A)
【文献】独国実用新案第202010014183(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0006048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マストに沿って移動可能なレーザセンサの位置決めをするための方法であって、
回転レーザ発信器からのレーザの
前記レーザセンサへの受光位置を判定することと、
ただし前記レーザセンサは、前記マストの外部に位置しており、かつ、前記マストの内部に位置するキャリッジに対して磁気的に結合しており、
前記マストに沿った前記レーザセンサの現在位置を判定することと、
前記レーザの前記レーザセンサへの前記受光位置および前記レーザセンサの前記現在位置に基づいて、前記マストに沿った前記レーザセンサの新たな位置を判定することと、
前記キャリッジを移動させることによって前記レーザセンサを前記新たな位置に移動させるために、コマンドをアクチュエータに送信することと、を含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記レーザセンサの前記現在位置および前記レーザセンサの前記新たな位置に基づいて、前記アクチュエータへの前記コマンドを計算することをさらに含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記レーザセンサの前記現在位置を判定することはさらに、慣性計測装置からデータを受信することを含み、
前記レーザセンサの前記新たな位置を判定することは、さらに、前記慣性計測装置からの該データに基づく、
ことを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記レーザセンサの前記現在位置を判定することは、さらに、前記マストに沿った前記レーザセンサの前記現在位置を特定する
位置センサからのデータを受信することを含み、
前記マストに沿った前記レーザセンサの前記現在位置を特定する前記データおよび前記慣性計測装置からの前記データは、前記レーザセンサの前記新たな位置を判定する前にフィルタリングされる、
ことを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記アクチュエータは、
前記キャリッジを移動させることにより、前記レーザセンサを垂直に前記マストに沿って移動させるよう構成される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項2において、
前記コマンドを計算することは、さらに、前記レーザセンサの現在速度に基づく、
ことを特徴とする、方法。
【請求項7】
マストに沿って移動可能なレーザセンサの位置決めをするための装置であって、
コンピュータプログラム指示を記憶するメモリと、
前記メモリに通信可能に結合され、かつ前記コンピュータプログラム指示を実行するよう構成されたプロセッサと、を備える装置であって、
前記コンピュータプログラム指示は、前記プロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに、
回転レーザ発信器からのレーザの
前記レーザセンサへの受光位置を判定することと、
ただし前記レーザセンサは、前記マストの外部に位置しており、かつ、前記マストの内部に位置するキャリッジに対して磁気的に結合しており、
前記マストに沿った前記レーザセンサの現在位置を判定することと、
前記レーザの前記レーザセンサへの前記受光位置および前記レーザセンサの前記現在位置に基づいて、前記マストに沿った前記レーザセンサの新たな位置を判定することと、
前記キャリッジを移動させることによって前記レーザセンサを前記新たな位置に移動させるために、コマンドをアクチュエータに送信することと、を含む動作を行わせる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記動作はさらに、前記レーザセンサの前記現在位置および前記レーザセンサの前記新たな位置に基づいて、前記アクチュエータへの前記コマンドを計算することを含む、
ことを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記レーザセンサの前記現在位置を判定することはさらに、慣性計測装置からデータを受信することを含み、
前記レーザセンサの前記新たな位置を判定することは、さらに、前記慣性計測装置からの該データに基づく、
ことを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記レーザセンサの前記現在位置を判定することは、さらに、前記マストに沿った前記レーザセンサの前記現在位置を特定する
位置センサからのデータを受信することを含み、
前記マストに沿った前記レーザセンサの前記現在位置を特定する前記データおよび前記慣性計測装置からの前記データは、前記レーザセンサの前記新たな位置を判定する前にフィルタリングされる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項7において、
前記アクチュエータは、
前記キャリッジを移動させることにより、前記レーザセンサを垂直に前記マストに沿って移動させるよう構成される、
ことを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項8において、
前記コマンドを計算することは、さらに、前記レーザセンサの現在速度に基づく、
ことを特徴とする、装置。
【請求項13】
マストに沿って移動可能なレーザセンサの位置決めをするためのコンピュータプログラム指示を記憶するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記コンピュータプログラム指示は、プロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに、
回転レーザ発信器からのレーザの
前記レーザセンサへの受光位置を判定することと、
ただし前記レーザセンサは、前記マストの外部に位置しており、かつ、前記マストの内部に位置するキャリッジに対して磁気的に結合しており、
前記マストに沿った前記レーザセンサの現在位置を判定することと、
前記レーザの前記レーザセンサへの前記受光位置および前記レーザセンサの前記現在位置に基づいて、前記マストに沿った前記レーザセンサの新たな位置を判定することと、
前記キャリッジを移動させることによって前記レーザセンサを前記新たな位置に移動させるために、コマンドをアクチュエータに送信することと、を含む動作を行わせる、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項14】
請求項13において、
前記動作はさらに、前記レーザセンサの前記現在位置および前記レーザセンサの前記新たな位置に基づいて、前記アクチュエータへの前記コマンドを計算することを含む、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項15】
請求項14において、
前記レーザセンサの前記現在位置を判定することはさらに、慣性計測装置からデータを受信することを含み、
前記レーザセンサの前記新たな位置を判定することは、さらに、前記慣性計測装置からの該データに基づく、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項16】
請求項15において、
前記マストに沿った前記レーザセンサの前記現在位置を特定するデータおよび前記慣性計測装置からの前記データは、前記レーザセンサの前記新たな位置を判定する前にフィルタリングされる、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項17】
レーザ検出器アセンブリであって、
マストと、
前記マストに沿って移動可能であり、回転レーザ発信器からのレーザ出力を検出するよう構成されたレーザセンサと、
ただし前記レーザセンサは、前記マストの外部に位置しており、かつ、前記マストの内部に位置するキャリッジに対して磁気的に結合しており、
前記キャリッジを移動させることにより前記レーザセンサを前記マストに沿って移動させるアクチュエータと、
レーザセンサ位置センサと、
前記レーザセンサ、前記レーザセンサ位置センサおよび前記アクチュエータと通信する制御装置であって、前記回転レーザ発信器からの前記レーザ出力を前記レーザ検出器アセンブリの動作範囲内に維持するように、
前記キャリッジを移動させることにより前記レーザセンサを移動させるために前記アクチュエータを作動させるよう構成された制御装置と、を備える、
ことを特徴とする、レーザ検出器アセンブリ。
【請求項18】
請求項17において、
前記アクチュエータは、前記レーザセンサおよび前記レーザセンサ位置センサからのデータに基づいて作動される、
ことを特徴とする、レーザ検出器アセンブリ。
【請求項19】
請求項18において、
前記マストに取り付けられ、前記制御装置と通信する慣性計測装置をさらに備え、
前記アクチュエータは、さらに、前記慣性計測装置からのデータに基づいて作動される、
ことを特徴とする、レーザ検出器アセンブリ。
【請求項20】
請求項18において、
前記レーザセンサは、複数のレーザ検出器素子を備え、
前記レーザセンサからの該データは、前記複数のレーザ検出器素子のうち、前記
回転レーザ発信器からのレーザが当たるレーザ検出器素子を特定する、
ことを特徴とする、レーザ検出器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,152号および2019年12月20日に出願された米国実用特許出願第16/721,981号の利益を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、機械制御および動作に関し、より詳細には、基準レーザの追跡に関する。
【背景技術】
【0003】
建設用機械には、その機械および/または機械の器具の高さ(例えば、基準に対する高さ)を判定する回転レーザシステムを用いることができる。
図1Aは、レーザ発信器140の鉛直軸を中心に回転するレーザビーム128(「レーザ」ともいう)を出力するレーザ発信器140を含む回転レーザシステムを示す。レーザ発信器のミラー、光学部品および/または機械部品は、既知高さ132を有するレーザ基準面においてレーザを回転させる。レーザ検出器112は、マスト114に取り付けられている。レーザ検出器112は、従来技術でよく知られるように、レーザビーム128を、それがレーザ検出器112の複数のレーザ検出器素子(
図1Bおよび
図1Cの116)のうちの1つに当たるときに検出する。レーザ検出器素子は、レーザビーム128を検出できる光受容体、フォトダイオードまたは他の種類のセンサであってもよい。マスト114は、
図1Aに示されるようなブルドーザなどの機械110の器具120に取り付けられる。レーザ検出器112の高さは、レーザ128に対して判定され、機械の器具の高さは、器具120からレーザ検出器112までの距離が分かっているため、レーザ検出器112の高さに基づいて判定できる。
【0004】
機械制御レーザ受信器は、通常、一般に150mm~250mmの固定動作範囲を有する。レーザ検出器の動作範囲は、レーザビームを検出できる鉛直方向の長さである。従来のシステムでは、レーザ検出器の動作範囲は、レーザ検出器素子116がレーザビーム128を検出できる鉛直方向の長さ118に基づく。
図1Bに示すように、レーザ検出器112の鉛直方向の長さ118は固定されている。機器の操作者は、使用前に勾配高さを得るために、レーザビーム128が複数のレーザ検出器素子116のうちの1つに当たるように、レーザ検出器112を位置決めしなければならない。レーザ検出器112は、操作者がレーザ検出器を垂直にマスト114に沿って移動できるよう、マスト114に移動可能に取り付けられる。レーザビーム128は裸眼では確認できないため、操作者は、レーザ検出器112がレーザ128の光路に入るまで、レーザ検出器112を垂直にマスト114に沿って移動させることによって、回転レーザビーム128を手動で探索しなければならない。遠隔制御によってレーザ受信器を範囲内に移動させるために、電動マストを提供しているメーカもある。これは受信器を手動で位置決めするよりも便利であるが、依然として送信器からのレーザ出力位置を突き止めるのにかなりの時間と手間がかかる。
【0005】
図1Cは、複数のレーザ検出器素子116のうち、レーザ検出器112の下端付近に位置するレーザ検出器素子116に当たるレーザビーム128を示す。この状況は、レーザ検出器112が(この例ではレーザビーム128に対して上方に)移動したときに起こる。同様に、レーザ検出器112がレーザビーム128に対して下方に移動したとき、レーザ検出器素子116のうち、レーザ検出器112の上端付近に位置するレーザ検出器素子116がレーザビーム128を検出する。
図1Bおよび
図1Cに見られるように、レーザビーム128は、レーザ128が複数のレーザ検出器素子116のうちの1つに当たるときにのみ検出できる。したがって、レーザ検出器112の動作範囲は、その長さにより制限される。レーザビーム128がレーザ検出器素子116のうちの1つに当たらないようにレーザ検出器112を上方または下方に移動する場合、レーザ検出器112の高さは判定できない。例えば、レーザ検出器112が(例えば、操作者が器具120を上方に移動させることにより)上方に移動され、その結果、レーザビーム128がもはやレーザ検出器112に当たらず、代わりにマスト114または器具120に当たる場合、レーザ検出器112の高さは判定できない。レーザ検出器112が(例えば、操作者が器具120を下方に移動させることにより)下方に移動され、その結果、レーザビーム128がもはやレーザ検出器112に当たらず、代わりに機械110のキャブに当たる、または機械110のいずれの部分にも当たることなく移動する場合、レーザ検出器112の高さは判定できない。
【0006】
ほとんどの機械制御レーザ検出器の他の一般的な特性として、レーザ検出器の出力速度は、レーザがレーザ検出器素子に当たる速度に直接関係する。一般的なレーザ発信器は、レーザ基準面でレーザビームを600rpm(10Hz)で回転させ、それが回転と回転との間に100ミリ秒に変換されるため、レーザ検出器は10Hzの速度でレーザビームを検出する。したがって、レーザ検出器は、レーザが検出されるのと同じ速度(この例では10Hz)でレーザ受光(laser strike)に関する情報を出力する。レーザ検出器へのレーザの受光が連続で検出される間は、レーザ検出器の移動は検出されない。
【0007】
そこで、基準レーザを追跡し、高速で高さ情報を提供し、効果的に広域な動作範囲を得るための、簡易かつ効率的な方法およびシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
レーザビームのレーザ検出器アセンブリへの受光を維持するシステムおよび方法は、回転レーザ発信器からのレーザビームのレーザセンサへの受光位置を判定することを含む。レーザ検出器アセンブリのマストに沿ったレーザセンサの現在位置が判定され、マストに沿ったレーザセンサの新たな位置が、レーザビームのレーザセンサへの受光位置およびレーザセンサの現在位置に基づいて判定される。そして、前記レーザセンサを前記新たな位置に移動させるために、コマンドがアクチュエータに送信される。一実施形態では、前記方法は、前記レーザセンサの前記現在位置および前記レーザセンサの前記新たな位置に基づいて、前記アクチュエータへの前記コマンドを計算することを含む。一実施形態では、前記コマンドは、前記レーザセンサの現在速度に基づいて計算される。一実施形態では、前記レーザセンサの前記現在位置を判定することは、さらに、慣性計測装置からデータを受信することと、前記慣性計測装置からの該データに基づいて前記新たな位置を判定することと、を含む。一実施形態では、前記レーザセンサおよび前記慣性計測装置からの前記データは、前記レーザセンサの前記新たな位置を判定する前にフィルタリングされる。
【0009】
一実施形態では、レーザ検出器アセンブリは、マストと、マストに沿って移動可能かつレーザを検出するレーザセンサと、前記レーザセンサを移動させるアクチュエータと、レーザセンサ位置センサと、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記レーザセンサ、前記レーザセンサ位置センサおよび前記アクチュエータと通信し、前記レーザを前記レーザ検出器アセンブリの動作範囲内に維持するように、前記アクチュエータを作動させるよう構成される。前記アクチュエータは、前記レーザセンサおよび前記レーザセンサ位置センサからのデータに基づいて作動されてもよい。前記レーザ検出器アセンブリは、さらに、慣性計測装置を備え、前記アクチュエータは、さらに、前記慣性計測装置からのデータに基づいて作動されてもよい。レーザセンサは、複数のレーザ検出器素子を備えてもよく、レーザセンサからのデータは、該レーザ検出器素子のうち、レーザが当たるレーザ検出器素子を識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、高さを判定する回転レーザシステムを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、複数のレーザ検出器素子のうちの1つにレーザビームが当たっているレーザ検出器を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、複数のレーザ検出器素子のうちの他の1つにレーザビームが当たっている
図1Bのレーザ検出器を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態におけるレーザ発信器を備える高さ制御システムおよびレーザ検出器アセンブリを示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態におけるレーザ検出器アセンブリを示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態におけるレーザセンサを示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態における
図2に記載のレーザ検出器アセンブリのマストを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態における、レーザ位置を検出し、レーザ検出器をマストに沿って移動させる方法を示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、レーザ発信器から出力されるレーザビーム探索方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、レーザ検出器アセンブリを有する機械器具の異なる向きを示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態における、レーザ受光を検出し、高さデータを出力する方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態におけるフィルタを用いて融合された計測値を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、レーザビーム128を出力するレーザ発信器140を示す。実施形態では、レーザ発信器140はレーザビーム128を出力し、それが垂直軸を中心に回転され、それにより水平なレーザ基準面130が形成される。実施形態では、レーザ発信器140の高さは既知である。したがって、レーザ基準面130の高さ132も既知である。このような回転レーザは当技術分野において知られている。
【0012】
レーザビーム128は、レーザ検出器アセンブリ100のレーザセンサ150によって検出され、レーザ検出器アセンブリ100は、一実施形態では、レーザセンサ150と、マスト250と、基部200とを備える(後に詳細に説明する)。レーザ検出器アセンブリ100は、機械110の器具120(この例ではブルドーザのブレード)に搭載される。機械110は、一実施形態では、レーザ検出器アセンブリ100からのデータに基づいて所望の現場計画に従って表面を修正するのに用いられる。
【0013】
図3は、レーザ検出器基部200を含むレーザ検出器アセンブリ100の詳細を示す。マスト250は、レーザ検出器基部200から垂直に延び、レーザセンサ150の支持体として用いられる。レーザセンサ150は、シャフト220に接続されたモータ205(アクチュエータともいう)によってマスト250に沿って移動できる。一実施形態では、レーザセンサ150は、高さ幅が約100ミリメートルであり、一列またはアレイ状に並ぶフォトダイオードである複数のレーザ検出器素子310を備える。他の実施形態では、レーザセンサは、他の種類のセンサを含んでもよく、他の高さ幅、例えば、50〜250ミリメートルの長さを有してもよい。一実施形態では、約100ミリメートルの高さ幅を有するレーザセンサは、長いマスト上に移動可能に配置され、それにより、高さ幅が短いレーザセンサで広い検出範囲が得られ、その結果、高さ幅の長いレーザセンサに比べて低コストとなる。歯付きプーリ222は、シャフト220に取り付けられ、キャリッジ260に接続された歯付きベルト215と係合する。歯付きベルト215はまた、マスト250の端部付近のシャフト224上に位置するアイドラプーリ232と係合する。アイドラプーリ232と歯付きプーリ222とは、歯付きベルト215の所望の張力を維持するのに必要な距離だけ離間している。一実施形態による動作では、モータ205は、シャフト220と歯付きプーリ222とを回転させ、それにより、歯付きベルト215がマスト250の長さ方向に沿って移動する。歯付きベルト215の移動により、キャリッジ260は、モータ205の回転方向に基づき、マスト250の長さ方向に沿って、矢印151に示される第1方向または矢印152に示される第2方向に移動する。歯付きプーリと歯付きベルトとは、キャリッジ260の位置と位置センサ225(後述する)との間の位置合わせを維持するのに用いられる。
【0014】
キャリッジ260は、歯付きベルト215に取り付けられ、歯付きベルト215の移動に応じてマスト250内を移動する。キャリッジ260は、一実施形態では、円筒状であり、シャフト250内に嵌合する大きさである。キャリッジ260は、その周囲にレーザセンサ150の磁石246を磁気的に引き付ける複数の磁石245を有する。磁石245と磁石246との間の引力により、キャリッジ260がマスト250の長さ方向に沿って移動するときも、レーザセンサ150は、キャリッジ260に隣接する位置に維持される。キャリッジ260は、一実施形態では、レーザ検出器素子310がレーザビーム128の視野に入るよう自動で移動される。例えば、
図1Cに示すように、レーザ128は、器具120の上方移動(例えば、操作者が器具120を移動させることによる、または機械110の上方移動に伴って器具120が上方に移動する)と、結果的に生じるレーザ検出器112の上方移動とによって、複数のレーザ検出器素子116のうち、レーザ検出器112の端部付近に位置するレーザ検出器素子116によって検出される。レーザ検出器112が上方に移動し続けると、レーザ128は複数のレーザ検出器素子116のいずれにも検出されなくなる。
図3に示される実施形態では、キャリッジ260は、レーザビーム128をレーザセンサ150の鉛直方向の中心付近の一点に当てるために、マスト250の長さ方向に沿って下方に移動させることができる。
【0015】
シャフト220はまた、シャフト220の回転を感知する位置センサ225が取り付けられる。シャフト220の位置および回転は歯付きベルト215の直線運動に直接関係し、キャリッジ260は歯付きベルト215に取り付けられているので、マスト250の長さ方向に沿ったキャリッジ260の位置は、位置センサ225によって検出されるシャフト220の位置および回転に基づいて判定できる。歯付きプーリと歯付きベルトとで、キャリッジ260の位置と位置センサ225との間の位置合わせを維持する。キャリッジ260の位置と位置センサ225との間の位置合わせを維持するために、歯付きプーリと歯付きベルトとによる構成の代わりに他の構成を用いてもよい。一実施形態では、位置センサ225はロータリエンコーダであるが、回転を感知する他の種類のセンサであってもよい。位置センサ225からのデータは、コンピュータ235に送信される。
【0016】
尚、モータ205は、作動され、キャリッジ260をマスト250の長さ方向に沿って移動させる。しかし、マスト250の長さ方向に沿ってキャリッジ260を移動させるのに、他の種類のアクチュエータを用いてもよい。例えば、マスト250の長さ方向に沿ってキャリッジ260を移動させるのに、油圧式または空圧式リニアアクチュエータを用いてもよい。マスト250の長さ方向に沿ったキャリッジ260の位置を判定するのに、異なる種類のアクチュエータは、異なる種類のセンサを必要とする場合もある。そのような実施形態では、キャリッジ260の位置を判定する特定のセンサは、使用されるアクチュエータの種類に基づいて選択され用いられる。
【0017】
コンピュータ235は、レーザ検出器アセンブリ100の様々な構成要素からデータを受信し、回転レーザビーム128が常にレーザセンサ150に当たるようにし、レーザ基準面130に対する器具120の高さを判定する。コンピュータ235は、このような動作を規定するコンピュータプログラム指示を実行することによって、コンピュータ235の全体動作を制御するプロセッサ236を含む。コンピュータプログラム指示は、記憶装置238または他のコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、磁気ディスク、CD-ROMなど)に記憶され、コンピュータプログラム指示を実行したいときにメモリ237に取り込まれてもよい。したがって、
図6A、
図6Bおよび
図8における方法ステップは、メモリ237および/または記憶装置238に記憶されたコンピュータプログラム指示によって規定でき、コンピュータプログラム指示を実行するプロセッサ236により制御できる。例えば、コンピュータプログラム指示は、
図6A、
図6Bおよび
図8の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行するように当業者によってプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実現できる。したがって、コンピュータプログラム指示を実行することにより、プロセッサ236は、
図6A、
図6Bおよび
図8の方法ステップに規定されるアルゴリズムを実行する。コンピュータ235は、また、ネットワークを介して他の装置と通信する1つまたは複数のネットワークインターフェース(図示せず)や、コンピュータ235とのユーザ対話を可能にする入出力装置(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタンなど)を含んでもよい。当業者とって当然のことながら、実際のコンピュータの実装形態は、他の構成要素も同様に含んでもよく、
図3に示されるコンピュータ235は、例示を目的としてそのようなコンピュータの構成要素のうち、いくつかの構成要素を高度に示したものである。
【0018】
慣性計測装置(「IMU」)230は、レーザ検出器基部200に配置される。IMU230は、1つまたは複数の加速度計(例えば、3軸加速度計)および/またはジャイロスコープ(例えば、3軸ジャイロスコープ)を用いて移動を感知する。一実施形態では、レーザ検出器基部200は、機械110の器具120に取り付けられる。したがって、IMUが器具120の動きを検出しても、器具120は移動される。例えば、器具は、器具120を作動させる機械110の操作者によって移動できる。器具120はまた、表面上の機械110の移動に基づいて移動できる。IMU230は、移動を判定でき、IMU230の移動に関するデータは、他の装置に送信できる。
【0019】
無線機240は、レーザセンサ150からデータを受信するのに用いられる。
図4は、複数のレーザ検出器素子310を有するレーザセンサ150を示す。レーザセンサ150は、レーザ検出に関するデータをプロセッサ320に送信する。一実施形態では、プロセッサ320は、レーザセンサ150からのデータを分析し、レーザビーム128が当たるレーザセンサ150の鉛直軸に沿ったレーザの鉛直方向の位置を判定する。例えば、レーザセンサ150の鉛直方向の中心に位置する検出器素子がレーザビーム128を検出する場合、レーザ128がレーザセンサ150の鉛直方向の略中心に当たっていることが分かる。同様に、レーザセンサの一端における検出器素子がレーザビーム128を検出する場合、レーザビーム128がレーザセンサ150の端部に当たっていることが分かる。プロセッサ320は、鉛直方向の位置データを、レーザ検出器基部200に配置された無線機240に送信するために無線機330に送信する(
図3に示す)。一実施形態では、無線機240は、無線機330からデータを受信するのに用いられ、高さデータ等のデータは、後述のように、有線接続を用いて、コンピュータ235から他の装置に送信される。
【0020】
コンピュータ235は、無線機240と通信する。コンピュータ235によって計算された高さデータ(後に詳細に説明する)は、機械110(
図2に示す)の動作に関連する機械制御インジケータ(図示せず)など他の装置に送信できる。無線機240を介してコンピュータ235からデータが送信されることにより、一実施形態では、
図2に示される機械110などの機械の動作の自動化が容易になる。例えば、機械110による器具120の作動は、所望の勾配に基づいて表面を修正するのにコンピュータ235によって計算された高さデータを用いるよう自動化できる。一実施形態では、コンピュータ235によって計算された高さデータは、有線接続を用いて他の装置に送信される。例えば、コンピュータ235上に配置されたコントローラエリアネットワーク(CAN)コネクタを、有線接続を用いて各装置をコンピュータ235に接続するのに用いてもよい。さらに、他の種類の有線接続を用いてもよい。
【0021】
図5は、マスト250Aの下端に配置されたレーザセンサ150Aを有するレーザ検出器アセンブリ100Aを示す。レーザ検出器アセンブリ100Bは、レーザセンサ150Bがマスト250Bの上端に配置された状態で示されている。レーザ検出器アセンブリ100Aとレーザ検出器アセンブリ100Bとを並べて比較することにより、レーザ検出器アセンブリ100の動作範囲400が示される。レーザ検出器アセンブリ100の動作範囲400は、レーザセンサ150のレーザ検出器素子310のうちの1つがレーザビーム128を検出できる範囲である。従来のレーザセンサの固定動作範囲が、固定レーザセンサのレーザ検出器素子の鉛直方向の長さに限定されるのに対し、レーザセンサ150は、動作中、垂直にマスト150の長さ方向に沿って移動することができ、それによって、レーザビーム128を検出できるより広い動作範囲が得られる。一実施形態では、動作範囲400は約2メートルである。動作範囲400は、要求される勾配補正、機械および器具の種類など、マスト250の鉛直方向の長さの選択に影響を及ぼす様々な要因に基づいて、それよりも長くても短くてもよい。
【0022】
図6は、一実施形態における、レーザビーム128が常にレーザセンサ150に当たるように、レーザセンサ150上のレーザビーム位置を検出し、レーザセンサ150をマスト250の長さ方向に沿って移動させる方法500を示すフローチャートである。この方法は、一実施形態では、コンピュータ235(
図3に示す)によって制御され、ステップ504から始まり、そこでレーザビーム128(
図3に示す)がレーザ検出器素子310のうちの1つまたは複数によって検出されるか否かが判定される。
【0023】
ステップ504においてレーザ128が検出される場合、この方法はステップ506に進み、レーザセンサ150に当たるレーザビーム128が検出された位置(すなわち、レーザが当たる特定の検出器素子310)を判定するために、レーザセンサ150から受信したデータを分析する。ステップ508において、マスト250に沿ったキャリッジ260(ひいてはレーザセンサ150)の位置を特定するデータが位置センサ225から受信される。ステップ510において、データ(例えば、移動データ)がIMU230から受信される。ステップ512では、ステップ506でレーザセンサ150から受信されたデータ、ステップ508で位置センサ225から受信されたデータ、およびステップ510でIMU230から受信されたデータがフィルタリングされる。データのフィルタリングについては、
図9に関連して後にさらに詳細に説明する。ステップ514では、レーザセンサ150から受信したデータに基づいて、レーザビーム128がレーザセンサ150に当たる鉛直方向の位置が計算される。例えば、複数のレーザ検出器素子310のうち、特定のレーザ検出器素子310は、それぞれレーザセンサ150に対して特定の位置に配置される。レーザ128が複数のレーザ検出器素子310のうち、特定のレーザ検出器素子310によって検出される場合、複数のレーザ検出器素子310の各々の既知位置に基づいて、レーザ128がレーザセンサ150の長さ方向に沿ったどこに当たるのかが分かる。ステップ516で、キャリッジ260(互いに磁気的に結合されているため、ひいては、レーザセンサ150)の新たな位置が計算される。レーザ基準面130のレーザが常にレーザセンサ150上の略中心に位置するように、キャリッジ260の新たな位置は、キャリッジ260の現在位置と、キャリッジ260がどの鉛直方向の位置に移動する必要があるかと、移動距離とに基づく。
【0024】
ステップ518では、ステップ516で計算された新たなキャリッジ位置に基づいてキャリッジ260を移動させるために、モータ205に回転を命令するモータコマンドが計算される。ステップ520において、モータ205を回転させ、キャリッジ260(およびレーザセンサ150)をステップ516で計算された新たなキャリッジ位置に移動させるために、モータ205への信号がモータ制御装置210を介して送信される。この方法は、ステップ520からステップ504に戻り、処理が継続される。方法500は、レーザビーム128をレーザセンサ150の略中心に維持するように、必要に応じてコンピュータ235によって開始、停止できる。
【0025】
ステップ504に戻り、レーザが検出されない場合、この方法はステップ508に進み、マスト250に沿ったキャリッジ260の位置を特定するデータが位置センサ225から受信され、この方法は上述のように継続される。
【0026】
一実施形態では、検索モードは、レーザ検出器アセンブリの起動時にレーザ発信器から出力されるレーザビームの高さを求めるのに用いられる。
図6Bは、検索モードにおける方法550を示すフローチャートである。レーザ検出器アセンブリの初期起動時には、レーザビームはレーザセンサに当たらなくてもよい。検索モードにおいて、レーザビームがレーザセンサによって検出されるまでキャリッジが移動する。この方法は、ステップ552から始まり、そこでレーザビームがレーザセンサによって検出されたかどうかが判定される。レーザビームがレーザセンサによって検出された場合、この方法はステップ558に進み、ここで
図6Aに示す方法500が開始され、上述のようにキャリッジを移動させることによりレーザビームを追跡し続ける。ステップ552においてレーザビームが検出されない場合、この方法はステップ554に進み、モータコマンドが計算される。始動中、キャリッジはマストの最上または最下位置に移動され、モータコマンドが計算され、キャリッジをマスト250の反対側の端部に向かって徐々に移動させる。ステップ556では、ステップ554で計算されたコマンドが、キャリッジを移動させるモータを作動させるのに用いられる。一実施形態では、キャリッジがマストの反対側の端部に到達すると、ステップ554で計算されたモータコマンドによって、キャリッジは元の位置に向かって反対方向に移動される。一実施形態では、方法550は、レーザビームがレーザセンサによって検出されるか、またはこの方法がユーザによって停止されるまで継続される。一実施形態では、方法550は、コンピュータ235によって停止されるまで、設定期間またはマストに沿って何度も反対移動が行われる間継続される。
【0027】
一実施形態では、方法550において示された検索モードは、コンピュータ235が方法500を行っている間、レーザビームがある期間、例えば約1~2秒間レーザセンサによって検出されなかった場合にも用いられる。方法550は、方法550のステップ552においてレーザセンサによってレーザビームが検出されるまで行われる。一実施形態では、方法550のステップを方法500のステップに組み込んでもよい。設定期間またはマストの長さ方向に沿って何度もキャリッジ移動が行われた後、方法550を用いてレーザビームが検出されない場合、ユーザ通知用のエラーメッセージを生成し、ユーザに出力してもよい。
【0028】
一実施形態では、レーザセンサ150を上下に移動させる必要があるかどうかを判定するために、追加情報が考慮される。この実施形態では、ステップ506において、レーザセンサ150がレーザビーム128に対して上方向または下方向に移動しているように見えるパターンでレーザ128が検出器素子310によって最後に検出されたかどうかがさらに判定される。コンピュータ235は、パターンに基づいて、レーザセンサ150がレーザビーム128に対して上方または下方に移動しているように見える速度を判定できる。例えば、レーザビーム128が第1の検出器素子から始まる一連の検出器素子によって検出され、第1の検出素子の垂直上方に位置する検出器素子によって順次検出される場合、レーザセンサ150が下方に移動していることが分かる。同様に、レーザ128が第1の検出素子から始まる一連の検出器素子によって検出され、第1の検出素子の垂直下方に位置する検出器素子によって順次検出される場合、レーザセンサ150が上方に移動していることが分かる。一実施形態では、ステップ518において、レーザビーム128がレーザセンサ150に対して垂直に移動していると判定された方向および速度に基づいて、コンピュータ235によってモータコマンドが計算される。例えば、レーザが特定の速度で上方に移動していると判定された場合、コンピュータ235は、レーザが検出器素子310のうち、特定の検出器素子310、例えばレーザセンサ150の中心付近に垂直に配置された検出器素子310の視野に入るのに必要なモータ205の回転量を計算する。ステップ510において、コンピュータ235は、モータ制御装置210に信号を出力し、モータ制御装置は、コンピュータ235から受信した信号に基づいてモータ205を作動させる。ステップ510においてモータが移動されると、この方法はステップ504に戻る。
【0029】
図9は、カルマンフィルタ801、802および803が、位置センサ225、IMU230およびレーザセンサ150からの測定値を融合するのに用いられる実施形態を示す。
図9に示すように、位置センサ225、IMU230およびレーザセンサ150からのデータは、カルマンフィルタ801、802および803によってそれぞれフィルタリングされる。そして、フィルタリングされたデータは、コンピュータ235によって受信され、コンピュータ235は、適切なモータコマンドを計算し、
図6に関連して説明したように、モータ制御装置210にコマンドを送信する。カルマンフィルタを用いて測定値を融合することにより、レーザセンサ150に関する位置および移動情報が得られる。本明細書で説明するカルマンフィルタは、ソフトウェアベースであってもハードウェアベースであってもよく、またはソフトウェアとハードウェアの組合せであってもよい。一実施形態では、カルマンフィルタの目的は、レーザセンサの位置および速度と、レーザ検出器基部200に対するマストに沿った推定レーザ受光位置とを推定することにある。位置および移動情報は、例えば、方法500のステップ508および/または524において、マスト250に沿ってレーザセンサ150を位置決めするためのモータコマンドを計算するのに用いられる。
【0030】
レーザ128がレーザセンサ150に当たる周波数は、レーザ発信器140の垂直軸を中心としたレーザ128の回転速度に依る。レーザ発信器140を中心としたレーザ128の一般的な回転速度は約600回/分であり、その結果、レーザ128は10Hzの周波数でレーザセンサ150に当たる。IMU230からのデータを用いてレーザ検出器アセンブリ100の移動を感知することにより、IMU230からのデータに基づいてレーザ受光位置の変化を予測できるため、レーザ受光周波数よりも高い周波数で高さ値を出力できる。したがって、高さ値が計算される周波数は、レーザ受光周波数とは無関係であり、IMU230からのデータの受信周波数およびコンピュータ235が高さ値を計算できる周波数によって裏付けられる所望の周波数であってもよい。
【0031】
一実施形態では、2つのカルマンフィルタ801および802が、レーザセンサ150の動きおよびレーザ受光位置を切り離して追跡するために、位置センサ225およびIMU230からのデータを100Hzで同時に処理する。カルマンフィルタ801は、位置センサ225の測定値を処理し、また、モータ制御装置210に送信されたモータコマンドを用いて、マスト250に対するレーザセンサ150の速度についてより良好な推定値を得る。カルマンフィルタ802は、IMU測定値を処理し、IMU230を用いて、実際のレーザ受光間のレーザ受光位置を推定する。これにより、推定レーザ受光位置を100Hzで報告できる。
【0032】
カルマンフィルタ803は、上述したように、通常、約10Hzで受信されるレーザセンサ測定値を処理する。レーザセンサ測定値は、レーザ受光位置と検出器位置との間の相対距離を示すので、カルマンフィルタ803は、検出器とレーザ受光位置との両方の動きを合わせて追跡する。カルマンフィルタ803により、マスト加速度カルマンフィルタ802が時間と共に分散するのを防止できる。上述したように、一実施形態では、3つのカルマンフィルタが用いられる。他の実施形態では、3つ未満のカルマンフィルタが用いられてもよい。
【0033】
図7(a)は、レーザ基準面130に平行な最下縁部を有する器具120を示す。しかしながら、器具120は、必ずしもレーザ基準面130に平行に配置されなくてもよい。例えば、器具120に関連する機械は、器具120が取り付けられる機械の長手方向軸を中心に器具120を回転可能であってもよい。また、器具120が取り付けられる機械は、斜面などの非平坦地面の上を移動することがあり、それにより、器具120がレーザ基準面130と平行にならない場合がある。
図7(b)は、レーザ基準面130に平行でない最上縁部を有する器具120Aを示す。器具120Aは、操作者が器具120Aを移動させるのに対応して、または傾斜を横切って移動する機械110に対応して、機械110の長手方向軸を中心に回転できる。
図7(a)および
図7(b)に示されるように、座標系600によって示されるように3次元空間において器具120Aを回転するには、レーザ基準面130のレーザがレーザセンサ150Aの略中心に位置するように、矢印610に示されるように、レーザセンサ150Aを器具120Aに向かって移動させる必要がある。
【0034】
鉛直方向に対するマスト250の向きの変化を考慮して、相補フィルタが用いられる。相補フィルタによって、3軸加速度計からのデータと、IMU230によって得られた3軸ジャイロスコープ測定値からのデータとを融合し、IMU230の座標系における重力の方向を示す単位ベクトルが得られる。単位重力ベクトルは、垂直面に対するマストの角度を判定するのに用いられる。この角度は、IMU230からの3軸加速度計の読み取り値を推測し、マスト軸に沿ったマストの加速度を得るのに用いられる。回転レーザ面が世界基準系において固定されている場合、この加速度は、マストフレームの座標系において表わされる、マストフレームに沿ったレーザ受光位置の加速度として解釈される。実験から、垂直面に対して20度までのモータ制御には、単位重力ベクトルの推定で十分である。他の実施形態では、拡張カルマンフィルタ、アンセンテッドカルマンフィルタまたは粒子フィルタなど、他のタイプのフィルタが用いられてもよい。これらのフィルタは、単独で用いられてもよいし、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタおよび/または他のタイプのフィルタなど他のフィルタと組み合わせて用いられてもよい。
【0035】
図8は、レーザセンサ150に当たるレーザビーム128を検出し高さデータを出力するためにコンピュータ235によって行われる方法700を示すフローチャートである。ステップ702において、レーザビーム128が、レーザセンサ150によって検出される。ステップ704において、レーザ128のレーザセンサ150への受光位置が判定される。例えば、レーザビーム128は、レーザセンサ150の長さ方向に沿う既知位置に配置されたレーザ検出器素子116のうち、特定のレーザ検出器素子116によって検出される。ステップ706において、キャリッジ260の位置(磁気カップリングに基づいてレーザセンサ150と同じ位置である)は、位置センサ225からのデータに基づいて判定される。ステップ708において、IMU230からのデータが読み取られる。一実施形態では、IMU230からのセンサデータは、コンピュータ235に送信され、マスト250に沿った回転レーザビーム128の推定レーザ受光位置および移動を判定するのに用いることができる。ステップ710において、高さ値が判定される(後に詳細に説明する)。一実施形態では、高さ値は、器具120の底縁部の高さを示す。他の実施形態では、高さ値は、レーザ検出器基部200の高さなど他の高さを示してもよい。ステップ712において、高さ値がコンピュータ235から出力され、無線機240に送信され、無線機240は、高さ値を機械110のキャブに配置された制御装置など他の装置に送信する。
【0036】
ステップ710で判定された高さ値は、様々なデータおよび方法を用いて計算できる。一実施形態では、レーザ受光が検出された位置からレーザ検出器基部200までの距離は、レーザセンサ150上のレーザ受光位置と、レーザ受光が検出された際のレーザ検出器基部200からのレーザセンサ150の距離とに基づいて計算される。この高さ値は、レーザ検出器アセンブリ100が垂直面から傾斜しているかどうかを考慮していない。レーザ検出器アセンブリ100が垂直面から傾斜する可能性が低い場合、この方法を用いて高さ値を計算することで十分である。
【0037】
一実施形態では、高さ値は、IMU230からの追加情報に基づいて計算される。このような実施形態では、高さ値は、レーザ受光が検出された位置からレーザ検出器基部200までの距離、ならびにレーザ検出器アセンブリ100が垂直面から傾斜する角度に関するIMU230からの情報に基づいて計算される。
図7および上に示したように、レーザ検出器アセンブリ100の傾きにより、世界基準系における垂直面とマスト基準系における垂直面との間に差が生じる。これにより、IMU230からのデータを世界基準系における垂直面からのレーザ検出器アセンブリ100の偏差を判定するのに用いない限り、高さ計算において誤差が生じ得る。
【0038】
一実施形態では、レーザセンサ150、位置センサ225およびIMU230からのデータは、ステップ710で判定された高さ値を計算するのに用いられる。このような実施形態では、IMU230からのデータは、垂直面からのレーザ検出器アセンブリ100の傾き、ならびにマスト250に沿った回転レーザビーム128の推定レーザ受光位置および移動に関する。3つの装置全てからのデータを用いて高さ値を計算することにより、通常、上述の他の方法と比べて正確な値が得られる。さらに、3つの装置から受信したデータは、上述のようにレーザセンサ150によって検出されたレーザ受光周波数よりも高い周波数における高さ値を計算するのに用いることができる。
【0039】
以上の「発明を実施するための形態」は、あらゆる点において例示的であって限定的ではないものとして理解されるべきであり、本明細書に開示される本発明概念の範囲は、「発明を実施するための形態」から判断されるのではなく、各特許法において認められる全容に渡って解釈される特許請求の範囲から判断されるべきものである。当然のことながら、本明細書に図示、説明された実施形態は、本発明概念の原理を例示したにすぎず、本発明概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な修正が行われてもよい。当業者は、本発明の概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の様々な特徴の組合せを実現できるであろう。